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戸田政府委員 このコスパス・サーサット、ソ連とアメリカの衛星でありますが、この衛星につきましては、当初のころ使っておりましたものは軍が打ち上げた衛星であったことは確かであります。ただ、これらの衛星の主目的というのが極地帯の気象観測をする、そういうことで打ち上げられたものにこういった機能を付加しておりまして、それでこの
衛星EPIRBの
システムが可能になったという
経緯がございます。
これまでの実態を見ますと、カナダとかフランス、ソ連が参加しましてこの衛星を利用した
システムが
構築されまして、既に欧米で相当数の
EPIRBが利用されております。欧米で数の上で一番多く利用されておりますのは、例えばプレジャーボートなどに相当数利用されていると聞いております。
それで、今回、衛星系
EPIRBを
導入するにつきましては、米国、ソ連、フランス及びカナダが一九八八年にコスパス・サーサットに関する協定を改めて締結し直しておりましてこの
IMOで決めました新しい
システムの
導入に備えているわけでありますが、この結果、捜索
救助活動のためにいかなる場合も差別なしに
遭難通報に関する情報を各国に提供するということをこの協定の中で約束しておりまして、その点については我々は問題ないと思っております。我々がこれまで関知してきたといいますか、
IMOそれからコスパス・サーサット
関係で聞いておりますところでは、これが軍事的なものとは全く
関係ないということになっております。ただ、この
EPIRBにつきましては、軍用機などで利用されることは一般商船が利用すると同様にあり得ることであるというふうに考えております。
それから、
EPIRBにつきまして通報の時間がおくれるのではないかというようなことでありますが、原則的に考えますと、まず第一に、
インマルサットを利用するとかあるいは
海域によりましては中波
電話を利用するとかいうようなことで、
遭難した場合に
遭難通信を出して、それから救命艇に乗り移る、あるいは救命いかだに乗り移る。そういうものに乗り移った際にその
位置が自動的に捕捉できるということを考えておりまして、
救助の初動はまず
最初の
遭難信号が入ったときに始まる、大体の
位置がそのときに示される、それから衛星系
EPIRBで拾った正確な
位置について捜索をする、そういうような
システムを考えております。
そこで、何分ぐらいの空白が出るか。空白が全くないわけではありませんで、最悪の場合ということになりますが、コスパス・サーサット衛星というのは極軌道を回っておりまして、大体一回回るのに百分ぐらいで地球の上を縦に回っておりますが、この
EPIRBからの
遭難信号を受信した場合には、それを記録しまして、
最初に通りかかった地上局、
最初に通りかかったといいますか、
最初に衛星の視界の中に入ってきた地上局に受信した記録を伝達する、そういう仕組みになっておりますが、その場合でも最高九十分
程度かかることは確かであります。
ただ、これまでのいろいろな実験その他によりますと、通常、
救助機関に届く時間でありますが、三十分以内が約五割、それから一時間以内が約三割、それから一時間三十分以内が二割
程度になっておりまして、そういうようなことで、
最初の
遭難信号が出て、
衛星EPIRBであとはその
位置を正確に知る、それが……