○元信
委員 事実はそのとおりですね。問題は、それをどういうふうにとらえるかということにあるわけでして、今度のゴルバチョフ訪日によって向こう側からは哀悼なり同情なり、申しわけなかったというニュアンスだろうと思うのですけれどもお話があったと思う。
日本側からは全然そのことに触れないというのは、ちょっと今後の両国の交流をしていく上で感情面での障害にはなりはせぬか。いつもそうなんですけれども、
政府は聞かれるとそういう事実があったなどと言って、どんどん突っ込まれてくると最後には申しわけなかった、こういうことになっていたのではないかと思いますが、そういうことがないように先手といいますか、必要なことはこちらからも率直に言う。どうせ過去のことは片一方が一方的によくて一方的に悪いということはないのです。お互いにそういうことがある、そういうことをはっきり見詰め合った上で将来の新しい関係をつくっていこうじゃないか、この態度でひとつ
お願いをしたいと思うのであります。
北方領土の返還に至る道筋、
日ソ間の人的な交流、情報の交流をもっと進めなければならない、こういう
大臣のお話、まことにごもっともであるというふうに思います。私は
国家間の関係はそういうことであろうと思いますが、国民の間でももっともっと交流をする、いわば
日ソの間の垣根を低くする、こういう
対応が必要なのではないか。
先ほど数字を挙げて御答弁をいただきましたが、人的交流もまだ双方二、三万人ということで、全国民的な交流ということにはならない。
日ソ間は一番近い国、国境を接している国でありますから距離的には近いのですけれども、そういう交流の面では遠い国と言わざるを得ないわけでありまして、これを国民レベルに推し広げていくということが必要ではないか、こう思うわけであります。
そこで、角度をちょっと変えて議論をしてみたいというふうに思うのですが、北方領土返せ返せと言っておっても返すものでもないし、返そうかな、返してもいいなと思うような気分というのが両方にできるためには、その間に経過的な、過渡的な
措置というものがやはり何らか必要なんじゃないかなというふうに思いますね。一遍に白から黒へ、黒から白へと百八十度ひっくり返るということは実際問題としては難しいわけでありまして、そういう
考え方で
一つの提案をしてみたいというふうに思います。
北方領土というのは、今は
日ソ間の問題、歴史的にさかのぼって言うならば日露間の問題として議論されていることが多いわけでありますが、
日本がまだそういう島があることを知らない時代、あるいはロシアも、あれはたしかコサックが毛皮を求めてカムチャッカからおりてきてクリール諸島を発見した、こういうふうに承知しておりますけれども、その前にはあれらの島々には、先住民族と今言われておりますが、アイヌ、ギリヤーク、オロッコ、こういうような民族が住まっておったわけであります。
現在
日本にいるアイヌの人々が、北方領土の交渉に、
もともとあれは
ソ連の島でもなければ
日本の島でもない、アイヌの島なんだから、アイヌ抜きで交渉するのはおかしいじゃないか、我々もその交渉に入れるべきである、こういうふうに要求をされているのは御存じであろうというふうに思います。この人たちで組織をしているウタリ協会の方が
政府に対してこの交渉に参画をさせるように要求をしておるというふうに伝えられておりますが、どのように承知をされておるか。あるいはまた、
先ほど申しました、
もともと先住民族の島であるから先住民族に返すべきである、こういう主張についてどういうふうにお考えになってい
るか、承りたいと思います。