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谷本巍君 参議院での決議は、当時の決議の文書を読んでみますと、「
米国内の
我が国に対する
自由化要求の動きは、極めて遺憾であり、認められない。よって
政府は、二度にわたる本院の決議の趣旨を体し、断固たる
態度で臨むべきである。」、こう言っているんですね。二度にわたる決議というのは、
昭和五十五年の「
食糧自給力強化に関する決議」と
昭和五十九年の「米の
需給安定に関する決議」なんです。五十九年の場合は、お隣の韓国から加工用米を入れたときの決議なのであります。これを踏まえてやっていけというのでありますから、明らかに加工用米というのも
米市場開放問題については対象になっておるというそういう決議であるということをきちっと私の側からこの際申し上げておきたいのであります。
時間がなくなってしまいました。最後に
大臣に要望しておきたいことがございます。二つほど要望しておきたいと思うのでありますが、
一つは、
ガット交渉でぜひひとつ
大臣持ち前のしたたかさを発揮してやっていただきたいということであります。
アメリカ政府提出の
オファーを見てみましても、まともな
オファーと果たして言えるのかどうなのか。
国内でのコンセンサスができていないからああいう
オファーになったのではないかと思われます。つまり、
アメリカ自身実行可能な
提案をしていない、こう申し上げてよかろうと存じます。
じゃ、何のための
提案なのか。ECや
日本をたたいていく材料としての
提案でしかないのではないか。あれを武器にして譲歩を迫っていくというような駆け引きの手段としての
提案でしかないというふうに思われてなりません。
アメリカ対ECの輸出
補助金問題にしても同じなのじゃないでしょうか。
アメリカ自身が九〇%
削減論を出しておきながら
小麦の輸出
補助金を二倍にもしているといったような
状況がそれであります。こうした精神分裂症的な
アメリカ政府のやり方、あるいはまたECについても似たようなことがあるのでありますけれ
ども、しかし、その中にやはり私は学ぶべきものがあると思うのです。なりふり構わずやっていくというがめつさであります。その
背景にはそれぞれの国の
農業問題にかかわる事項もあってのことでありますが、まして
日本においてをやというふうに申し上げてよいのであります。ECと
アメリカとの谷間の中に
日本が沈んでしまうということがないようにひとつ積極的に
大臣やってきていただきたいということを
お願い申し上げたいのであります。
二つ目の問題としては、
日本政府の
提案というのは
世界の中で孤立するという性質のものではないということであります。これは
先ほど来申し上げてきておりますように、
日本政府の
提案を通していくことは
地球環境を守っていくということと
食糧安保を確保していくということであって、二十一
世紀に向けての人類の共通課題に見合ったものだというふうに私は思うのです。そのために
家族農業を守り、農村社会を守っていく。それが
地球環境を守っていく大事なことなのでありまして、
各国はそれぞれの
農業政策の決定権をきちっと持つことができるような条件を整備させるためにも
大臣に頑張ってきていただきたいというふうに思うのであります。
さらにまた、
自由化問題というのは
発展途上国の
農業生産を換金作目に特化させていって飢餓の状態を広げるというようなことになっていくでありましょうし、そしてまた、熱帯雨林等を犠牲にした農地の拡大というようなことにもなっていくのではないかと思います。
最近私たちは、
アメリカの
家族農業の団体から
ガットに一緒に押しかけていって闘いをやろうじゃないかといったような
提案等々も受けております。
日本からも
大臣よりも一歩先に
ガットに詰めかけておる
農業団体の代表、あるいはまた市民運動の代表な
ども行っておるということであります。
今回の
ガット交渉というのは、
日本農業が生き残ることができるのかどうなのかというようなことがかかっており、
日本農業の将来というのがかかっておるのでありまして、そのことは一に
大臣の奮闘いかんによって決まると言っても過言ではないのであります。そうした点を踏まえてぜひひとつ
大臣頑張ってきてほしいということを最後に要望申し上げ、
大臣の簡単な御所見を伺っておきたいと思います。