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北修二君
委員派遣の御
報告を申し上げます。
去る九月十二日から十四日までの三日間にわたり、北海道におきまして農林水産業の実情を
調査してまいりました。
派遣委員は、
村沢理事、
高木委員、
大渕委員、
菅野委員、
刈田委員、それに私、北の六名であります。
まず、北海道の農林水産業の概況についてでありますが、その主な内容は以下のとおりでございます。
まず、農業について見ると、本道は、
全国の総耕地面積の二三%に当たる耕地を有し、専業農家を主体とした生産性の高い土地利用型農業を展開しております。また、農業粗生産額も一兆円を超え
全国の一〇%のシェアを占め、多くの農産物が生産量
全国一となっている等、本道農業は我が国の重要な食糧供給基地としての役割を着実に果たしております。しかしながら、近年、農産物の輸入自由化の発展、農産物
価格の低迷等、困難な問題を抱えております。このため、本道のスケールメリットを生かした施策等の実施によるコストの一層の低減、加工等による付加価値の向上等が進められております。
次に林業について見ると、本道は森林蓄積が五億六千万立方メートルで
全国の一九%を占めており、林業粗生産額も千二百六十九億円で
全国の十四%を占める我が国最大の木材供給
地域であります。本道の林業を取り巻く情勢は、外材主導の
価格形成を余儀なくされ、木材
価格が低迷を続けている等、厳しいものがあります。このため、林道用の整備を初めとする生産基盤の設備、木材産業の体質強化、森林の総合利用のための施設の設備等が進められております。
さらに、水産業について見ると、本道は海面漁業生産量が三百十三万五千トンで
全国の二五%を占めるとともに、生産額でも三千七百八十五億円で
全国の十五%を占め、我が国最大の水産基地としての役割を担っています。しかしながら、近年の国際的な漁業規制強化に伴い、北洋サケ・マス漁業を初めに遠洋、沖合漁業は極めて厳しい環境下に置かれており、本道周辺海域の有効利用が今後の重要な課題となっています。このため、周辺海域の特性を踏まえ、資源と漁場に見合う効率的な生産管理体制を築くとともに、水産物の高付加価値の優位性を最大限に発揮させる取り組みが進められています。
北海道からの主要な要望事項は、米の国内完全自給方針の堅持、乳製品、でん粉、雑豆、小麦等の現行輸入規制措置の堅持、林野公共事業予算の確保、日本海漁業振興対策の推進、北洋漁業関連
地域振興対策の推進等でありました。
以下、北海道で視察いたしました箇所について、順次その概要を申し上げます。
まず、空知支庁管内に参りました。
同管内の農業は、稲作が中心で、水稲の作付面積が全道の四二%を占め全支庁管内中一位となっている北海道の代表的な稲作地帯であります。水稲では、きらら三九七等の良食味
品種への移行が進んでおります。また、転作田での作付を主体とした野菜や花卉の生産が盛んになってきております。
また、同管内は、面積の六七%を森林に覆われ、林業も重要な産業となっています。
同管内では、まず、岩見沢市の道立中央農業試験場稲作部に参りました。同試験場では、優良新
品種の早期開発等に取り組んでおります。試験場の当面の目標は、きらら三九七並みの食味のわせ種を育成することです。そして、ササニシキ並みの食味への到達に向けて
努力しています。
次に奈井江町の稲作と花卉の複合経営農家に参りました。この農家は、転作作物として花卉栽培に取り組み、奈井江町花卉生産組合を設立して産地形成に
努力しておられます。花卉は収益性は高いが
価格の上下が激しいので、経営を安定させるには苦労が要るとのことです。
次に上川市庁管内に参りました。
同管内の農業は、作付面積が全道の二三%で全支庁管内中二位となっている稲作を主体に発展してきましたが、近年は、畑作、畜産に加え、野菜、花卉についても主産地形成が進み、本道の中核的な農業地帯として大いに発展が期待されております。
また、同管内では林業も盛んで、森林蓄積が全道の一三%で全支管内中三位であり、道内の主要な木材生産地帯となっています。
同管内では、まず、旭川市の道立林産試験場に参りました。同試験場では、集成材等の製造技術や、間伐材等の未利用・低利用材の付加価値向上技術等幅広い木材加工技術の改良、開発に取り組み、研究成果は広く民間企業に技術移転されているとのことです。実用化されたものとしては、木製サッシ等が挙げられるとのことです。
次に、当麻町の稲作と野菜の複合経営農家に参りました。この農家は、田畑輪換方式を導入した水稲と野菜の複合経営を行い、土づくりの実践による低位生産田の改良と田畑輪換による土地生産性の向上を図っておられます。
次に、愛別町の農事組合法人伏古生産組合に参りました。同組合では、構成員の所得拡大のため、キノコ栽培施設を導入し、キノコ専業農家の農地を中核農家に集積する等によって稲作の低コスト化を実現しておられます。
次に、網走支庁管内に参りました。
同管内の農業は、耕地面積で全道の一四%を占め、全支庁管内中二位となっており、畑作と酪農中心の大規模農業を展開しております。
また、同支庁管内の林業は、森林蓄積で全道の一七%を占め、全支庁管内中二位であり、道内の重要な木材供給
地域となっています。
さらに、道管内は、水産業も盛んで、ホタテガイけた網漁業、サケ定置網漁業及び沖合底びき網漁業を中心に営まれ、漁業生産額は全支庁管内第四位で、全道の一三%を占めております。
同管内では、まず、湧別町の湧別漁業協同組合登江床水産加工所に参りました。同組合では、ホタテ稚貝の放流から加工まで一貫生産を行っております。近年好景気で、同加工所も人手の確保に苦労しているとのことです。
次に、佐呂間町の酪農と肉用牛の複合経営農家に参りました。この農家は、良質粗飼料の確保を重視するとともに、牛乳の固体管理による乳量の増加に取り組んでおられます。また、公共草地の利用、機械の共同利用等による生産コストの低減にも取り組んでおられるとのことです。
次に、北見市にある株式会社グリーンズ北見の農産物処理加工施設に参りました。この会社は、北見市及び市内三
農協等が中心となって設立したもので、タマネギ、ホウレンソウ等の規格外品の処理加工を行い付加価値を高めることで、野菜生産農家の経営の安定に貢献しております。
最後に視察したのは、端野町の畑作農家でありました。この農家は、パソコンを導入した経営診断の実施による経営の省力化、有機物の施用等による土づくりや輪作の遵守による高
品質生産、機械の共同利用による低コスト生産に取り組んでおられるとのことです。
以上が北海道における農林水産業の概況であります。
なお、本道における要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただきますようお願い申し上げます。
最後に、今回の
調査に当たって特段の御配慮をいただきました
方々に心から感謝の意を表しまして
報告を終わります。
〔
理事青木幹雄君退席、
理事北修二君着席〕