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1990-12-04 第119回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十二月四日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         田  英夫君     理 事                 大木  浩君                 中曽根弘文君                 深田  肇君                 白浜 一良君                 高崎 裕子君                 古川太三郎君     委 員                 合馬  敬君                 狩野 明男君                 鈴木 省吾君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 藤井 孝男君                 星野 朋市君                 向山 一人君                 本村 和喜君                 菅野  壽君                 対馬 孝且君                 西野 康雄君                 福間 知之君                 三重野栄子君                 中野 鉄造君                 神谷信之助君    事務局側        第三特別調査室        長        大平 芳弘君    説明員        厚生省社会局庶        務課長      加納 正弘君        工業技術院総務        部長       大野 隆夫君        資源エネルギー        庁長官      緒方謙二郎君        資源エネルギー        庁石油部長    黒田 直樹君        資源エネルギー        庁公益事業部長  川田 洋輝君        自治省財政局交        付税課長     谷本 正憲君    参考人        東京大学先端科        学技術研究セン        ター教授     竹内  啓君        株式会社日本総        合研究所理事        長        海野 恒男君        株式会社システ        ム技術研究所所        長        槌屋 治紀君        財団法人日本シ        ステム開発研究        所常務理事    垣田 行雄君        財団法人省エネ        ルギーセンター        常務理事     古垣 一成君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (国際エネルギー情勢及び今後のエネルギー需給見通しに関する件)  (エネルギー需要構造のあり方に関する件)     ─────────────
  2. 田英夫

    会長田英夫君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、国際エネルギー情勢及び今後のエネルギー需給見通しに関する件について、政府から説明を聴取いたします。資源エネルギー庁長官緒方謙二郎君。
  3. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 資源エネルギー庁長官緒方でございます。  それでは、お手元の資料に基づきまして、状況を御説明させていただきます。  初めに、国際エネルギー情勢でございますが、イラククウェート世界原油輸出量の約一割を占めていたわけでありまして、本年八月二日のイラクによりますクウェート侵攻以降、このために国際石油情勢は極めて不透明な状況が続いていることは今さら申し上げるまでもございません。しかし、御案内のとおり、サウジを初め他の産油国増産あるいは消費国の高い石油備蓄水準などから、現在までのところ、幸い原油需給について大きな逼迫は見られていないというのが現状でございます。  この間、国際エネルギー機関IEAは累次理事会開催をいたしまして、国際石油情勢需給等の問題について協議をいたしましたが、今申し上げましたような消費国における高い備蓄水準あるいは他の産油国増産などから、現状認識としてIEAのどの加盟国においても石油製品不足は生じていない。したがって、現時点で加盟国が協調的な措置をとる必要はないという認識で一致をし、ただ、今後重大な供給不足が生じた場合に、各国が直ちに協調的な措置をとれるように必要な準備を進めておく必要があるということ、そしてまた、各国省エネルギーについての措置継続、強化することが必要である、こういうことで合意をしているわけでございます。  他方原油価格でありますが、イラククウェート侵攻以降原油価格は極めて不安定で、基本的に高水準推移をしてございます。最新の数字で申しますと、この資料には十一月二十七日の数字が書いてございますが、十二月三日のドバイ原油価格は二十五ドル十五ということでございます。このスポット市場におきます原油価格状況というものは、国際石油需給の実勢に基づくというよりは、むしろ非常に不安定かつ先行き不透明な中東の政治的、軍事的情勢を踏まえたいわば心理的な要因による部分が大きいわけであります。スポット価格だけならよろしいわけですが、ターム契約と言われております長期契約期間契約原油価格もこのスポット価格に連動して動いてまいりますので、スポット市場における価格変動というものは影響するところが大変大きいわけでありまして、今後とも市場の動向を注視していくことが必要なわけであります。  我が国への影響でありますけれどもイラクからの原油輸入量が六%、クウェートからの輸入も同じく六%、合わせて一二%の原油をこの両国に依存をしていたわけでありますが、後に申し上げますようにいろいろな対応策をとりました結果、今後特段の状況変化がなければ、当面必要な原油はおおむね確保できているというふうに考えております。他方石油製品の方でございますが、これも後にも述べますように供給確保に努めておりますけれども中東情勢推移あるいは天候等によりましては需給への影響がなお懸念される要素が残っておりまして、石油製品需給見通しにつきましては依然若干不透明な要素継続をしている、こういう認識でございます。  我が国対応でありますが、今回の事件が起こりまして以降、国民経済国民生活への影響を最小限にするように省エネルギーの一層の徹底を行うとともに、石油調達努力継続等安定供給確保を図ることを旨としているわけでございます。  省エネルギーにつきましては、八月に今後の省エネルギー対策ということを政府として決定をし、一層の省エネルギーについて国民各層協力を呼びかけたわけでありますが、さらに冬の需要期を控えまして、十月二十九日に再び政府省エネルギー・省資源対策推進会議開催いたしまして、暖房温度を二十度にしようというようなことを中心とします省エネルギー対策決定し、現在その周知徹底に努めているところであります。  石油安定供給につきましては、関係企業に対しまして、高値買い等国際的な批判を浴びることかないよう十分留意をしながら石油調達最大限努力をするように要請をし、さらに冬場安定供給を確保するために、八月の段階から国内石油精製各社に対しまして原油処理量を約三百六十万キロリットル拡大するように要請をし、十月になりまして再び、今年度下期におきましても当面製油所の能力いっぱいの原油処理を行うように要請しているわけでございます。  なお、我が国には十月末現在で、民間備蓄で八十八日分、国家備蓄で五十四日分、合計百四十二日分の備蓄がございますので、これらの努力にかかわらず、もし石油供給が量的に不足をするような場合には、この備蓄を活用することが可能な状況になっているわけでございます。三ページにありますように、過去二回のいわゆる石油危機の際と今日との大きな差が石油備蓄の差にあると言ってもよろしいかと思っております。  石油製品価格の問題でありますが、これはマーケットメカニズムの中で決定されるのが基本であるわけでありますけれども国民生活に与える影響の大きさから慎重な対応が必要と考えておりまして、石油業界に対していわゆる便乗値上げ防止という観点からの指導を行いまして、特に元売各社卸売価格改定につきましては、可能な限り企業努力によりコストアップを吸収するということと同時に、毎月各社ごとコスト変動通産省報告させる等の指導を行ったわけでございます。末端価格につきましては、モニタリングをきめ細かく行う体制をとりまして、また消費者などからの苦情についても、本省及び通産局に相談の窓口を開設いたしまして組織的に受け付けを行っているところであります。また、これらの事情背景等消費者にわかりやすく説明することが肝要でありますので、石油各社に対して指導いたしますとともに、通産省みずからもパンフレットの作成、説明会開催等措置をとっているところでございます。  今後とも、依然不透明な要素が残っているわけでありますが、国民生活あるいは経済成長影響がなるべく及ばないように、情勢に即して適時適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、今後のエネルギー需給見通しについて御説明をさせていただきます。  昭和六十二年の十月に長期エネルギー需給見通しというものを改定したわけでありますが、それ以降、我が国エネルギー需要増大あるいは地球環境問題に対する関心の高まり等、内外の環境は非常に大きく変化をしてきておりますので、本年の六月、総合エネルギー調査会がこの長期エネルギー需給見通し改定を行いました。私ども通産省ではこの見通しにさらに検討を加えまして、石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律に基づきます石油代替エネルギー供給目標という形で十月三十日に閣議決定をした上で目標決定を行ったところでございます。その内容並びに背景にあります考え方は以下御説明するとおりでございます。  まず、基本的な認識でありますが、二十一世紀の初頭まで見通し我が国エネルギー需要というものは、国民生活の質的な充実等背景民生部門を初めとして大幅な増大が見込まれるわけであります。また、世界エネルギー需要発展途上国中心増大傾向が続いて、エネルギー制約顕在化というようなことが懸念をされるわけであります。他方、極めて脆弱なエネルギー供給構造を有する我が国にとりまして、今後増大の見込まれる需要に対してその安定供給、すなわちエネルギーセキュリティーを確保するということが極めて重要な課題になるわけであります。また、地球環境問題、特に地球温暖化問題に関連をいたしまして、持続的な経済発展を確保しつつ人間活動環境保全の両立を図るためにエネルギー政策において最大限対応をしなければならない。  こういうような考え方から、エネルギー需要増大最大限に抑制をする。他方、引き続き石油依存度低減及び原子力あるいは新・再生可能エネルギーのような非化石エネルギーへの依存度向上を目指した供給構造を実現するということを基本に総合的なエネルギー政策を積極的に展開する必要がある、こういう考え方であります。  目標年度につきましては、エネルギー政策リードタイムの長さを考え二〇一〇年、平成二十二年度を目標年次とし、中間の西暦二〇〇〇年につきましても中間的な目標値を設定いたしました。  内容でございますが、エネルギー消費については、政府民間省エネルギー対策最大限努力を傾注することによって達成されるべき見通しとして、二〇一〇年に原油換算で四億三千四百万キロリットルとしているわけでございます。その内訳でありますが、国民生活の質的な充実から民生部門伸びが非常に大きいわけでありますが、その結果シェアも八九年実績の二四%から二〇一〇年には三一%まで拡大をする、その間の平均伸び率は二・四%というふうに試算をされます。他方産業部門エネルギーについては一層の省エネルギー努力継続をされるわけでありまして、シェアにつきましては五三%から二〇一〇年まで四八%に低下をする、伸び率にして〇・七%ということに見込んでおります。  他方エネルギー供給でありますが、引き続き石油依存度低減を図り、非化石エネルギーへの依存度向上を図るという基本的考え方に基づきまして、各エネルギー源の持ちます諸特性に配慮しながら見通しをつくったわけであります。その結果、二酸化炭素を排出しない非化石エネルギー、新エネルギー水力地熱原子力でありますが、これへの依存度向上を図る。八九年の実績依存度は一四・八%でありますが、これを二〇〇〇年には二〇・二%、二〇一〇年には二六・八%に見込む。その結果、石油依存度というものは、第一次オイルショック当時七七・四%あり、それが八九年には五七・九まで下がっているわけでありますが、これをさらに二〇〇〇年には五一・三、二〇一〇年には四五・三まで低下をするように図るということでございます。  これらを石油代替エネルギー供給目標という形でまとめたのが最後の七ページの表でございまして、一番右の欄の注にありますように原油換算で万キロリットルのオーダーで書いてございますが、石油代替エネルギーとしては新エネルギー等で三千五百万キロリットル相当水力で二千五百万キロリットル相当地熱で六百万キロリットル相当原子力で一億一千百万キロリットル相当代替エネルギー開発供給を目指す、こういう目標を掲げたわけでございます。  簡単ですが、以上で御説明を終わらせていただきます。
  4. 田英夫

    会長田英夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 福間知之

    福間知之君 今概略の説明エネルギー庁長官からあったわけですが、最初に中東紛争に関連したエネルギー事情についてお伺いします。  一つは、けさ新聞石油各社灯油価格をつり上げているのではないかという趣旨の報道がありました。特に、生協関係が一般的に価格は低いんですけれども、おおむね昨シーズンに比べて一・五倍だと、こういうふうに言われているんですが、今の説明でも石油元売各社に対して価格についての便乗値上げ等を抑制するという示達を出されているということはわかりますが、果たしてその効果のほどはどうなのかということ。国民生活冬場に向かうにつれて灯油の面で、特に北海道など灯油消費量が多い地域では影響が大きいと思うんですが、いかがでございますか。  それから、今のお話にもありましたが、今回の中東危機に関して先進国ではおおむね石油備蓄量が確保されているということで、比較的冷静に事態を受けとめているようですが、我が国の場合、緊急対策といたしまして国家備蓄を増強し民間備蓄負担義務緩和するという意見があるやに伺うんですが、今後そういうふうに進めていかれるのか。  三つ目は、これはもともと我が国石油事業者が構造的に見て精製、輸送といったいわゆる下流部門が主流を占めているわけですが、欧米系企業におきましては上流、下流部門の一貫した経営基盤によって運営されているようです。今日における原油価格決定が極めて流動的あるいは国際政治的に推移をしていることを考慮した場合、世界最大石油依存率、しかもエネルギー消費大国としての我が国石油業界経営基盤を将来にわたって強化するために何らかの措置が必要じゃないか、対応が迫られていると思うんです。  私、過去、当調査会におきましても商工委員会におきましても、日本小売店の数が五万余りあって、その半分は経営赤字だと、こういうことを指摘したことがあるんです。現実、現在でもその状況というのは余り大きく変わっていない。赤字小売店に対しては元売バックペイをして何とか店の数を温存するために非効率的な経営をしているということを問題視しているわけですけれども現状から将来に向けてここらの点をどう考えるのか、以上三点をまずお伺いします。
  6. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 第一の灯油価格の問題でございますが、海外の原油価格の上昇に伴いますコストアップ分がいろいろな石油製品国内価格に正当に転嫁されていくのはやむを得ないことと思っておりますが、便乗値上げと称されるようなものが行われないように私ども指導していることは先ほど御説明したとおりでございます。  御指摘灯油価格ですが、私どもモニタリングの結果で言いますと、一連の値上げが始まります前に比べて、店頭渡し価格で十八リットル当たりの単価で全国平均で三六%程度の値上がりというのが私どもモニタリングの結果でございます。したがいまして、統計のとり方あるいは地域、店の問題などによって多少のばらつきはあろうかと思いますが、非常に大きな便乗値上げが行われているというふうには私ども認識をしていないところでございます。  二番目の備蓄の問題でありますが、私ども昭和六十二年の総合エネルギー調査会及び石油審議会石油備蓄小委員会報告を受けまして、九〇年代半ばに国家備蓄については現在の三千万キロリットル体制から五千万キロリットルに引き上げをする、他方民間備蓄の方はこの国家備蓄の増強を踏まえて段階的に九十日の備蓄から七十日備蓄負担を軽減させる、こういう計画を立てておりまして、現在その進行途上にございます。長期的にはそういう目標で進めてまいりたいと思っております。  それから、三番目には石油企業経営体質の問題でありますけれども、御指摘のように石油製品というものが非常に商品差別性のないものであるということ、それから歴史的な沿革等からいいまして、非常に過当競争体質にあって経営基盤が脆弱であるということは御指摘のとおりでございます。私どもとしては、セキュリティー確保観点から、緊急時対応としては石油備蓄の拡充あるいは自主開発推進を図っているわけであります。他方で段階的に規制緩和を進めまして、いわゆるデレギュレーションでございますが、石油産業活性化体質強化というものを図っていきたい、こういう考え方をとっておりまして、平時においては強靱な基盤を有する石油企業の、石油産業の自律的な活動によって日本エネルギーが賄われるようにしていきたい、こう考えているわけでございます。  具体的には、六十二年の石油審議会石油部会石油産業基本問題検討委員会報告を受けまして、おおむね五年間の間に諸規制生産販売活動に対する規制緩和を進めていくということでございまして、既に設備許可弾力化、それから個別油種油についての各社生産計画に対する指導撤廃給油所に関します転籍ルール建設指導撤廃等をやっておりまして、最後残っております原油処理量生産計画に対する指導につきましては、安定供給に重大な支障を生ずるおそれのある場合を除いて指導撤廃するということで、九二年中にそれを実施したいと考えております。このようなデレギュレーションを通じて強靭な石油産業の構築というものを図ってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  7. 福間知之

    福間知之君 経営基盤改善強化というのは叫ばれて久しいわけでございまして、いつでしたか、コスモ石油は丸善と大協の合併でしたか、できましたね。あのときに私、あっと思ったんですけれども、これを進めていかなきゃいかぬのじゃないか。大体、元売が十二社あるというのは多いのか少ないのか一概には言えないにしても、石油あるいはガソリン等需要がなかなかふえても減らない状況ですから、やっぱりこういう今回のような事態対応して迅速に業界対策を打てるように、そういう指導育成が必要だ、そういうふうに思いますので、ぜひこれはやってもらいたい。  備蓄に関しては、私も素人でわかりませんが、日本とかアメリカとかドイツぐらいでしかやっていないと聞いていますけれども、どうですかね。政府備蓄をふやしていくということは私必要だと思うんですけれども、どのくらいまでこれ将来お互いのウエートになることが適切なのか。これは難しい問題ですけれども、どういう要件をもってそれを考えていくのか、私は素人でわかりませんけれども、お教えを願いたい。  それから、灯油価格の件は、実はけさ新聞では、一番販売価格のレベルが低いのは生協扱い部分だ、こう書いているんですけれども、それで見ると昨年から五〇%上がっていると。今の長官お話では平均的には三六%程度と、こういうことですが、そういう新聞記事があったということで、これは元売が下げないということですから、これはいささか私はおかしい話だと思うんです。市場価格が多少のでこぼこがあっても私はいいと思いますし、それは高位水準に張りつくということじゃ困るので、元売がそれを下げないようにしているということはいささか問題がある、こういう指摘をしたわけであります。これはひとつ調査を願って、そういうことのないように。きょうの新聞、日経新聞ですよ、私見たのは。  次に、長期エネルギー需給見通しに関しましてお伺いします。  省エネルギー目標値といたしまして、GNP単位で八八年度から二〇一〇年までの間、年平均二%の改善をする、こういうことに長期見通しではなっているようですが、その積算の根拠と具体的な方法をどう展望されているのか。生活様式変化とか代替エネルギー開発という話がありますけれども、そのあたりはどういう御認識でございますか。  それから次に、長期需給見通しの策定の後で、先ほどちょっと指摘がありましたけれども、いわゆる地球環境行動計画、これは十月十八日に具体化いたしました。また、世界気候会議閣僚宣言、これは十一月七日でございますが、表明をされるに至りました。世界的にエネルギー需給に対する積極的な環境保全のための行動が期待をされているわけでございますが、例えば地球温暖化防止行動計画達成に必要なエネルギー供給見通しによりますと、CO2削減のために、石油供給量につきまして二〇〇〇年三百万キロリットル、二〇一〇年八百万キロリットルを削減しようということになっております。石油以外のエネルギー源につきましては長期エネルギー計画を踏襲しているようですが、どういうふうに考えておられますか。  もう一点は、この世界気候会議閣僚宣言の発表に当たりまして、一部の先進国CO2等温暖化ガス排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年水準で安定化することを目標にした決定に参加をしていないと聞いているんですが、我が国中心となって、この際国際会議の場面において省エネルギー国際協力必要性を積極的に推進すべきではないかと思うんですが、この点についてどうお考えでございますか。
  8. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 第一点の省エネでございますが、私どもは一九八八年から二〇一〇年までの間にGNP単位で三六%の改善をするという目標を掲げているわけであります。  その計算の仕方でありますけれども、これはエネルギー消費部門産業民生、運輸という大きく三つ部門に分け、それぞれについてさらに個別に各分野を分けまして、それぞれについて将来の生産水準なり活動水準あるいは原単位というものを想定し、最大限省エネルギー努力をやった場合にどうなるかというのを織り込みまして、部門別に積み上げてこの目標をつくったわけでございます。三六%になったわけでありますけれども、この数字は御案内のとおり、第一次オイルショックがあった一九七三年から計画のベースになりました一九八八年までの間に達成されましたGNP単位改善率と同じ率であります。三六%、過去に一回成功した目標になっておりますので、これをもう一度チャレンジするということで目標に掲げたものでございます。  達成方法につきましては、省エネ設備投資推進する、あるいは住宅の断熱化あるいは自動車の燃費の改善等、従来から進められておりますことを一層推進するほかに、未利用エネルギーの活用というようなエネルギーの利用の効率化を図ることなども積極的に取り上げていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、第二点目は、この計画CO2削減のために石油については削減をしたが、ほかのものが変わっていないのはどういうわけかという御質問であったかと思いますが、代替エネルギー供給目標を決めました際には、この六月の長期エネルギー需給見通しをベースにしていろいろ議論をしたわけでありますが、他方、さらにいろいろ多角的な検討を行いまして、また関係各省の御意見なども非常に精緻に伺いました。その結果、運輸省の方で鉄道等エネルギー効率のより高い輸送手段にシフトをする、いわゆるモーダルシフトを政策的に推進をしたいというお考えが強く提示をされましたので、それらの点も加味いたしました結果、若干の数字の動きがございまして、先ほど御説明したような数字になったわけでございます。  いずれにいたしましても、この代替エネルギー供給目標といいますのは地球温暖化問題も視野に入れ、地球環境の保全と経済の安定的発展の両立ということを可能にするような総合エネルギー政策推進する結果どうなるか、どういう目標を掲げるか、こういう視点で検討したものでございます。  それから、国際的に地球温暖化防止との関連で、先般の世界気候会議の際に一部の国が参加をしなかったのではないかという御指摘でございますが、いろいろ途中の過程で議論はあったようでございますが、最終的に採択をされた宣言というものは、特定の国が参加をしなかったということはない、会議として議論を尽くした上で妥協をして採択したものというふうに私ども伺っているところでございます。二〇〇〇年以降、いろいろなアプローチの方法などは違うけれども、一九九〇年レベルで安定化させるように各国努力をするという姿勢を評価するというような言い方で最終的な宣言ができているものというふうに私は記憶をしているわけでございます。
  9. 福間知之

    福間知之君 今のお話のように、二〇一〇年まで年平均二%というのは、七三年から八八年に至る十五年間ですか、この実績三六%だと、それは承知をいたしております。それを根拠にそれと同レベルの努力目標として掲げた、こういうことですが、見通しはいかがですか。確信が持てますか、どうですか。  それから二番目は、後の方の御答弁で、一部の国が決議に参加しなかったと私指摘したんですけれども、これは正確であるのかどうか。決議そのものにはやっぱり留保をしたんじゃないか、こう思うんです。考えてみると、CO2ですから、日本よりは他の先進国、三カ国ばかりは大変石炭の消費量が多いわけですね。現実に多いわけです。それはまたこれからもそう大きく変わらない。それは豊富で割安に国内的に石炭がとれる国のことですからある程度無理からぬとは思うんですが、しからばこの会議目標とされた値は果たして実現可能なのかどうか。これは日本だけが一生懸命努力してもだめな問題ですから、国際会議で繰り返し日本は発言をして努力をすべきだ。非常におぼつかないという気持ちが私はしてならないから強くこの点を指摘しているわけです。  その二点、もう一度御答弁を願います。
  10. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 第一点の省エネ目標に対して達成の確信ありやという御質問でございますが、これは現段階で私ども確信がありますというあれではなくて、こういう目標を掲げて官民挙げて努力をしていかなければいけない、こういう目標数字でございます。私どもとしては、もちろん政府挙げてこれに取り組む決意でございますし、民間産業界あるいは国民の皆様にも協力をお願いしてぜひこれを達成しなければならない。それをやらなければ環境経済成長の両立という目標達成できない、何かを犠牲にしなければならないということをぜひ御理解をいただいて努力をしていきたい、こういうものとして掲げているところでございます。  それから第二点は、繰り返しになって恐縮でございますが、先般の世界気候会議では最後に宣言を採択したわけでございますが、先ほどちょっと私手元に資料がなかったのでややあいまいな言い方をしましたが、この宣言の中で、温室効果ガスの排出量をおおむね二〇〇〇年までに一九九〇年レベルで安定化することを目指して行動するとのEC及びその加盟国、オーストラリア、オーストリア、カナダ、フィンランド、アイスランド、日本、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス及び他の先進国によってなされた決定とコミットメントを歓迎する、こういう言い方になっております。  この宣言そのものはアメリカも参加をして決めたものでございますが、今お聞き取りのように、歓迎をされるべきこの決定をした国の中にアメリカという名前は出てきません。つまり、アメリカはまだコミットをしていないわけです。その意味でこの宣言の中でアメリカは特に褒められてはいない。日本がとった決定は歓迎されておりますけれども、アメリカは決定をしていないので歓迎をするともしないとも何も触れられていないわけです。しかし、そういう宣言はアメリカも参加をして決めた、これが実情でございますので御説明をさせていただきました。
  11. 福間知之

    福間知之君 だから、私も指摘したいのはそこなんですよ。アメリカと一言で言いますけれども世界の中のアメリカですから、非常に我々としては懸念せざるを得ないということであります。  ところで、この省エネルギー関係考え方についてですが、省エネルギー・省資源対策推進会議ですか、六月ないし八月に持たれたようですが、官公庁や各事業所あるいは家庭などにおける措置、さらには消費節約についてそれぞれ努力目標を提起されているわけですが、この中で、従来から実施してきているエネルギー消費節約のための諸措置徹底実施とともに、住宅の断熱性向上云々という文言があるわけですが、まず省エネ対策推進するに際しましての基本的な方針と従来から実施してきたことの成果をどういうふうに評価をし改善をしようとしているか。また、例えば今さら住宅の断熱性向上云々と言われるまでもなく、断熱効果がすぐれている、あるいは設備費用が低廉であれば当然普及すると考えられるわけでございますが、この点については国として具体的な方針があるのか、どうですか。  私、ことしの夏、スウェーデンにちょっと寄る機会があったんですが、向こうでの話を耳にした中で、もう寒い国のことですから、冬場などは特に暖房の効率化ということでしょう、あるいは費用の節減という立場からでしょう、ガラスを過去二重であったものを三重にするという傾向が今強まっていると聞いていますが、例えばそんなことも我が国においても考えられることでしょうか、いかがでしょうか。
  12. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 従来の省エネにつきましての施策の評価でございますが、日本の場合に第一次オイルショックのありました一九七三年以降、官民挙げて必死の省エネ努力をやりまして、特に産業界における省エネ努力というものは大変著しいものがありました。その結果、先ほど申し上げた三六%GNP単位改善ということが達成されたわけでありまして、この成果というものは他の先進国に比べて非常に高い、世界に誇り得る改善であるというふうに私どもは評価をしております。  しかし、ここ数年、特に八七年以降をとってみますと、これは原油価格がやや低下をし安定をしたこともあり、また景気が拡大局面にあったということもあるのでございますが、エネルギー消費量産業界も含めてまた再び伸びてきております。エネルギー単位改善率も若干低下傾向にあるということがありまして、これから先個人消費の拡大というようなことも考えますと、この辺でまた本腰を入れて省エネについて徹底を図らなければいけないなというふうに認識をしているところでございます。  それで、その中で産業界についてももちろん省エネルギー努力を求めていくわけでありますけれども、これから個人消費、国民生活向上に伴いまして一般の民生用のエネルギー消費が非常に高い率で伸びていくことが予想されているわけでありますが、その中でやはり冷暖房に使うエネルギーというのは相当大きなウエートを持っております。そういう意味で、住宅の断熱性につきましては従来から施策を講じているわけでありますけれども、それをさらに見直し強化をする必要があるのではないか、こう考えているわけでございます。  先生御指摘のスウェーデンのような寒い国については、これはもう以前から大変徹底した施策をとっているわけでございまして、日本として大いに見習うべき点があるのではないかと思いますが、建築の基準その他についてはむしろ建設省の方が担当しておりますので、私からお答えする筋ではないんでありますけれども、私どもがやっておりますのは、これまで省エネルギー法に基づきまして、各地域ごとにどの程度の断熱材を入れるのが目安になるか標準を決めております。ある地域、北海道なら北海道地域について、グラスウールという断熱材を使う場合には何センチ入れるべきかというような標準を決めております。これについて決めているわけでございますけれども、その基準が外国に比べて必ずしも十分ではない、もう少し見直して強化をする必要があるのではないかということ。  それから、さらに普及のための施策として、これは建設省の施策もあり、住宅金融公庫からお金を借りるときに、一定の基準以上の断熱工事をした住宅については融資金額が割り増しをされるような制度がございますが、それのやり方が今のようなことでいいのか、もう少し強化をする必要があるのか、その辺を建設省にも御検討いただくようなことも必要なのかもしれないというふうに思っております。
  13. 福間知之

    福間知之君 そこで、主要国のエネルギー政策を見てみますと、省エネルギーの施策として例えばヒートポンプあるいはソーラーなど新型の暖房装置に対する省エネ投資の償却の増加、したがってこれは家庭を対象にした話ではないんですが、そういう償却の率を上げることを認めるというふうなこととか、省エネの可能性に関する情報あるいは勧告制度、省エネ投資に対する補助金交付などを実施しておるようであります。  今、住宅金融公庫の貸出金の増額などという面は我が国でも採用されているという御指摘ですが、外国ではそういう補助金の交付まで考えておるようであります。先進国における省エネ施策について、やはりこれからも実情を詳細に調べまして我が国も受け入れられるものがあれば具体化する。例えば、一概にいいかどうかは別ですけれども、補助金とか償却制度等を見直すというふうなことも必要じゃないかと思うわけであります。  時間がありませんから、最後にもう一点お聞きします。  省エネ国内問題として、情報、技術、教育の三位一体の施策が必要ではないかと言われております。例えば今般の石油危機の発生によりまして大方の人々は初めて備蓄の目的あるいはまたその必要性、機能、そういうものを感じたのじゃないか、あるいは原油備蓄コストはそこにはしたがってかかるんだと、こういうことについても認識が広がったんじゃないかと、そういうふうに思われます。  なお、原油備蓄のあり方につきましては一般にいろいろ意見がありますが、エネルギー、特に石油の国際的な価格動向、埋蔵量、国内価格などに及ぼす影響、さらには将来見通し等いろいろと考えなきゃならない、また理解を深めていかなきゃならない国民的な課題がそこにあると思いますので、いわゆるエネルギー白書なるものを毎年公表してはいかがかと。資源のない我が国エネルギー節約の必要性、ひいては今問題になっている地球環境保全に関する理解を深めるためにも我が国の責務を白書を通じて明らかにしていくということが国内外に対して必要じゃないかと思うわけです。ちなみに通産省の中小企業白書あるいは運輸省の運輸白書あるいは経企庁の物価白書等があります。何かきのうテレビでかじったところによると、労働省でも婦人問題の白書が出ているようですね。そういう意味じゃエネルギーは理屈抜きに国民的重要課題ですから、この際白書を出されることを私は要望しておきたいと思うんですが、いかがですか。
  14. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 初めに、前半で御指摘いただきました諸外国でいろいろ補助金あるいは償却制度に工夫を凝らしているので取り入れられるものは日本でもやるべきだという御指摘、ごもっともな御指摘でございますが、私どももいろいろな各種の技術開発等についての補助金あるいは委託費制度、それから省エネルギーあるいは環境改善のための設備投資等についての特別償却あるいは税額控除制度など、不十分かもしれませんが一応整備をしておりまして、また諸外国ともIEAの場なども利用いたしましていろいろ情報交換をし、日本として学ぶべき点があればこれからも積極的に取り入れてまいりたいというふうに思います。  それから、最後にエネルギー問題、これだけ国民的関心事項であるので、情報、技術、教育三位一体で、要すれば白書のようなもので問うべきではないかという貴重な御意見を聞かせていただいたわけでございますが、私ども、このエネルギー問題と申しますのはやはり国民一人一人の自覚と実行がなければ解決できないものでございまして、そのためには正確な情報提供というものが必要だというふうに深く感じている次第でございます。そのために、白書こそ出しておりませんけれども、それぞれのテーマに応じてパンフレット等を作成し、あるいはいろいろなメディアを通じてそのときどき適時適切なエネルギー関連情報の提供を行っているわけでございまして、例えば省エネルギーについてこんなパンフレットをつくったり、それから石油価格問題、備蓄問題についてこういう資料をつくっていろいろ説明会をやるなどの努力も既にいたしております。  今後とも、先生御指摘の趣旨を踏まえまして、ぜひ国民の各位に正しい情報を提供するように努力を続けていきたいというふうに考えております。
  15. 福間知之

    福間知之君 そういうパンフレット等資料は、これは努力されているのは私も承知をしておりますけれども、やはり正式に国のエネルギーに対する責任ある対応というものはこれは内外に向けて、国内だけじゃなくてやはり世界に向けても一定の意味を持つと思いますので、これはぜひ研究をして実現をすることを強く希望して私の質問を 終わります。
  16. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 まず、きょうの長官の御説明に従って質問をさせていただきたいと思います。  石油情勢見通しといいますか、これは非常に難しい面が多々あると思うんですね。特に短期的に見ますと、先ほど福間委員の方からいろいろお話がございました。特にこれから需要期に入る、こういうことでの対応をどうするかという問題あるいは価格の問題等々ございました。これはこれとしてまた質問をいたしますが、いわゆるこれからの石油情勢、今イラク中心とした中東紛争がある中で非常に見通しがわからない点があるんだろうと思います。それはひとえに、これが戦争状態になるのか、あるいは平和裏に解決されるのか、あるいはずるずる長期化するのか、いろいろな条件によって大きく変わろうと思います。  この問題はきょうはさておきまして、いずれにいたしましても中間報告の中で二〇一〇年までの需給見通しが出されましたですね。これもいろいろな見方がある。ただ、長官、率直にお聞きいたしたいのは、私の私見でありますけれども、いずれにいたしましても二〇一〇年になりましても我が国エネルギーの主要を占めるのは石油である、このように私は思っているわけですね。なかんずく、それは世界全体でOPEC、非OPEC諸国の産油国があるわけですけれども、これも相変わらずいわゆるOPEC、それもとりわけ湾岸諸国を中心としてこの石油依存が続くんではなかろうか、私はこのように思うわけですね。  したがって、今回のこのイラククウェート紛争は別にいたしましても、そういうことは別にいたしましても、長官のまたエネルギー庁といたしましてのこれからの石油に対する、エネルギーに対する見通し。そして、我が国がやはりこれは中東中心としていかなきゃいけないのか、あるいはリスク分散という面からいえば東南アジアを含めた、あるいは非OPEC諸国へのリスク分散をしなきゃいけないのか、そういう点を含めましてそれにはどういう具体的な対応があるのかどうか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  17. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、先ほどの計画でもお示ししましたように、二〇一〇年で石油への依存度は確かに四五・三というふうに下がるわけですけれども、絶対量からいいますとほぼ横ばいということになります。なお、五割近い四五%のエネルギー石油依存するということは変わりございません。ですから、将来にわたって石油の安定的な供給対策を講ずるということが非常に重要な施策であることに変わりはありません。その際に、石油という資源の世界的な賦存状況から申しまして、OPEC諸国、特に湾岸諸国に非常に大きく依存せざるを得ないという点は御指摘のとおりだろうと思います。  そこで、そういう点を踏まえまして、私どももちろん石油以外のエネルギー、危険分散のためになるべく多様なエネルギー源を確保するという意味で最適バランスの構築をやるわけでありますが、石油に関しましてはその安定確保のために産油国との外交的な関係、友好的な関係を増進するための施策、外交努力を大いに強める必要があるということ。それからもう一つは、日本自主開発をできる範囲で極力ふやしていこう、こんなようなことを政策の課題として考えているところでございます。
  18. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 今外交努力というお話がありました。これにつきましても、我が国政府もいろいろ国際社会に貢献するということで努力をされておるわけです。これは、言い方が合っているかどうかは別といたしまして、今長官も同意されたわけですけれども、やはり湾岸諸国との関係石油に関しましては依然としてこれは続いていく。したがって、外交努力というものが大変大切であるということを言われたわけです。私もそれはそのとおりだと思うんです。ただ、その割には政府自身の努力が足りないと言えばそれまでのことなんですけれども、これは外務省、通産省、エネ庁も含めまして国、政府を挙げてやらなきゃいけない問題です。  しかし、今までの特にサウジを中心とした中東地域との関係というのは、七三年のオイルショックのときには大変日本国民も大騒ぎいたしまして、これではいけないということで備蓄の問題とかいろいろ省エネの問題もそれなりの達成はしてきたと思います。ただ、今現在どうなっているかといいますと、これは語弊があるかもしれませんけれども、のど元過ぎれば熱さを忘れるような状況が私は続いていると思うわけでございます。したがって、これからの外交努力というものは、特に中近東諸国との関係というものはやはりもっともっとより緊密にしなきゃいけないというふうに思うわけです。  そこで、もちろん通産省、エネ庁の方ではそういった努力をされておりますけれども、率直に言いまして、これは石油とはちょっと関係ないかもしれませんが、長官も中近東地域を訪問されたことがあるんだろうと思いますけれども、いわゆる産油国側から見た日本政府なりあるいは日本通産省なりエネ庁なりあるいは日本に対する期待あるいはまた不満、そういったものがあるんではないかな。その点は一体日本に対してどのような期待をされているのかどうかという向こう側からの立場での話をお聞かせいただければと思います。
  19. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 石油という側面からの産油国側との関係につきましては、ただいま長官がお答えいたしましたように、先般の総合エネルギー調査会報告の中でも、石油安定供給という観点から産油国との関係を全般的に強化していこうということがうたわれているわけでございます。  そういう関係の前提といたしまして、今先生の御質問の産油国側から日本に何か期待されるかということでございます。これは産油国によっていろいろ要請は違いますけれども、最大公約数的に申し上げますと、一つは、産油国側はやはり油を売ることによって経済を開発していこうというのが基本でございますので、できるだけ多くの原油市場を確保したいというのが一つあろうかと思います。日本を大きな原油供給先として確保したいということでございます。  それから二つ目は、これは国によって違いますけれども、物によってはやはり日本という大きな消費国と、生産国としての産油国と何か共同事業をしたいというのがあるわけでございます。その場合に、共同事業の形態といたしましては、国によりましてはいわゆる中・下流部門、ダウンストリームの部門、国によっては上流部門への協力と、いろんな形があろうかと思いますけれども、そういった要請が一般的にあるということではないかというふうに思っております。
  20. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 今石油部長お話の中で、それぞれ産油国でも我が国に対する期待感というのはいろいろ違っていると思いますが、いわゆる中・下流部門への進出という問題。これはさきの調査会でも、実は石油連盟の能登専務理事さんに質問いたしたわけですが、これは前々から特にサウジを中心とした諸国から、言ってみれば一貫操業、いわゆるインテグレーションというような意向が産油国側にあるんではないかという質問を実はしたわけです。  そのときの答弁では、今具体的にそういうことはない、こういうお話でしたけれども、私の感触では、今ヨーロッパには一部市場も出ておりますけれども、やはり産油国側も日本下流部門に対して、消費シェアからいいましても消費量からいいましても非常に興味があるんじゃないかなという気がするわけです。万一それが具体的になった場合は、これは先ほど福間委員のお話にもありましたように、我が国のいわゆる下流部門精製会社等々にもある意味では非常に大きなインパクトを与える問題だろうし、また石油業法の問題、いろんな問題からいたしましてもいろいろ大変な問題があるんだろうと思いますけれども、その点について何か石油連盟の方は、今具体的にはないけれども今後の見通しとして、先ほど答弁にありま したようにそういう期待感というのがあるんだというお話でありましたので、そういうことになる可能性ということについて、そしてまたそうなった場合の我が国石油精製業界対応というものについて、お答えできればお答えいただきたいと思います。
  21. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 先ほど申し上げましたように産油国によって要請がいろいろ違うわけでございまして、日本市場あるいは日本企業との関係でダウンストリームで何かやりたいというような一般的な要請を行っている国は二、三ございます。ただ、具体的な案件という形で来ているわけではございません。  こういった問題についての私ども考え方でございますけれども、御承知のように日本原油のほとんどを海外に依存しているわけでございまして、現在産油国からの原油輸入というのが日本の場合六割から七割あろうかと思いますが、いずれにいたしましても非常に大きな供給先でございます。したがいまして、もちろんこれは民間石油会社がまず御判断される話でございますので、そういうような案件が本当に出てきた場合という話でございます。  一方で、私どもといたしましては産油国を初めといたします諸外国に対しまして、結局新しい外資の受け入れという形になるわけでございますけれども、こういったいろいろな、石油の場合にはセキュリティー上の問題があるわけでございますから、緊急事態でもちゃんと油が確保できるような案件であるのかどうか、それに資するような案件であるのかどうか。あるいは先ほど日本石油産業の特質についてのお話がございましたけれども、やはりこれから日本石油産業というのはさらに一層経営基盤を強化していかなければいかぬ状況にある。そういう意味で国内産業のいわばリストラクチャリングというのをやっていかなきゃいかぬ時期にあるわけでございますので、そういうものに本当に資するものであるのかどうか。そういうものであれば私どもとしてもこれは非常に前向きに考えていっていいのではないかと、こういうふうに産油国の側にも、あるいはほかの諸外国に対しましてもお話を申し上げているところでございます。
  22. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 私の意見を申し上げますと、いわゆる国際社会の変動といいますか、結局そういう中に我が国もどんどん巻き込まれていくわけですね。これは一つには金融の自由化の問題も含めまして大変な変革を遂げておるわけですね。それで日本の金融業界も合併を含めていろいろそれに対応してやっておるわけです。これは若干石油業界精製業界に対して失礼な言い方かもしれませんけれども、何となく石油精製業界というのは一言で言えばまとまりが悪いといいますか、そういう部分がちょっと見えているわけですね。  それで、業界体質強化というふうにおっしゃられましたが、確かにそういう体質強化を図るなきゃいけない。しかも安定した供給を図らなきゃいけない。この目的を達するためには私はある程度そういった思い切った施策をやはりこれからとっていかなければならない、またそういう時代がもうやがて来るんじゃないかなという気がするんで、その点につきましてはまた今後とも私も勉強し、またいろいろお考えをお聞きいたしたいと思います。  それから、省エネ対策の問題ですけれども、これも先ほど御質問があったようでございますが、確かに一九七三年から十五年間にわたって三六%の省エネ達成された、そしてさらに二十年間でこれをまた実施しようということで、このこと自体決して悪いことではない。しかし一方、こう見ていますと、今度のこうした大きな問題を抱えながらも一般国民、消費者のサイドには、それほどといった危機感が全くない、まあないと言えばうそになりますけれども、ほとんど生活をしている上で感じられない。こういうことで果たして省エネが実際に達成できるかどうかというのは非常に疑問に思うわけですね。  これは、先ほど官民挙げてというお話もありましたから当然そういうことであろうかと思いますけれども、ただ、じゃ省エネの具体的な対策というふうになると一体何があるのか。それはちょっと、すぐ出てくるのが非化石燃料への切りかえだとかということが出てくるんですが、しかし、今まではいわゆる各産業界が相当省力化に励んでこられたということがありますけれども、一方消費者側の立場からいうと、今の生活形態というのはやはりエネルギー多消費型になっているんじゃないか。そこのアンバランスが非常にあるんじゃないかという気がするんですね。  ですから、これからも企業努力するでしょうし、またいろいろな非化石燃料の開発も進めなきゃいけないんですが、やはり国民、消費者の側にも私は多消費型生活というのがこれがまた当然続くんだろうと思うんですね。その辺を考えますと、一体三六%また実質的に引き下げるということはできるのかどうか。と同時に、じゃ達成するためにはもっと具体的にこういうことをしなきゃいけないんではないかというようなことがあるんじゃないかと。その具体案がなかなかこの中間報告でも出てきていないんじゃないかというふうにも思うわけですね。  その点について何か御意見があればお答えいただきたいと思います。
  23. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先ほど来省エネについては官民挙げて努力をしなければならないということを申し上げているわけですが、産業界につきましては、これは一つはエネルギーコストがどうしても上がってまいりますので経済原則がある程度働いて、これに基づく合理化の一環という側面とあわせて省エネルギー努力というものがこれからも行われていくんだろうと思います。その際に、一九七三年以降既に相当改善をやっておりますので、必ずしもその延長線上で再び三六%というのが達成できるかどうか、これは議論のあるところかもしれません。その間にやはり新しい技術革新、製法についての技術革新なりなんなりというような要素が必要になる場合もあろうかと思っておりますが、それらも含めて産業界にもなお一層の努力をお願いしたいと考えているわけです。  他方民生用の部門でありますが、これが伸び率が高いわけでありますが、この点についてはなかなか難しい側面がございます。先生御指摘のように、のど元過ぎればといいましょうか、エネルギーコストは上がってきているわけでありますが、ガソリンの値段がある程度上がったからそれではレジャーでドライブに行くのを車の利用を控えるかというと、なかなか経済原則だけではそうはいかないというのが現状ではないかと思います。そこにいわゆる節約の心がけ、もっと我慢をすべきだということを説くだけではやはり省エネルギーというものは進まないわけでありますので、そういう一人一人の心がけが大事だということはもちろん指摘をし続けますけれども、それ以外にもう少し具体的に一般民生用のエネルギーの消費が抑制されるようなことを考えなければならない。  それは幾つかの方法があろうかと思いますが、一つは一般の消費者の方が利用される機器のエネルギー効率を上げることであります。自動車にどうしても乗るとした場合に、自動車の燃費が改善をいたしますと、同じ距離を走っても使われるエネルギーは少ないわけでありますから、自動車になるべく乗るなと言うのと同時に、それでも乗っちゃった場合にはより効率的な走り方ができるような自動車をつくるように産業界にお願いをする。これは家電製品なんかについても同じでありまして、これは例えばテレビをなるべく見ないようにと言ってもなかなか守られないことでありますけれども、同じテレビを見た場合でも消費電力量は昔に比べてはるかに少なくなっております。冷蔵庫であっても消費電力がうんと少なくなっております。こういうものを大いに進めていただきたい。  その一環として、最近実施をいたしましたことの一つに深夜電力料金の利用制度がございます。 これは電力の比較的余裕のある夜間電力を安くし昼間の電力を相対的に高くすることによって電力の需要のピークをシフトしようという試みであります。個人の生活のパターンを夜型に急に変えるというのは無理な話でございますが、たまたまそういうパターンをしている方はこの制度を直ちに利用できるわけです。私どもがもう一つねらっていますのは、そういうパターンで電力を消費し、一般の消費者の方は従来と同じように行動ができるような、そういう新しい家電製品開発をされるんじゃないのか。夜働いて冷熱を蓄えて昼間は電気を余り使わない冷蔵庫であるとか、そういうものが開発をされれば一般の方が使うエネルギーが非常に効率的に使われるようになる、そんなことも考えております。    〔会長退席、理事深田肇君着席〕  それから、もう一つは未利用エネルギーの利用、エネルギー利用の効率化ということでありまして、これは例えばごみ焼却場の廃熱でありますとか地下鉄の駅の廃熱、あるいは変電所の廃熱というようなもの、都市の熱でございますね、それを有効に利用する。さらには東京で既に一部始まっておりますが、隅田川の水温を利用した地域冷暖房システムが始まっておりますけれども、このような河川の水などの潜熱を利用したヒートポンプを利用して冷暖房などを行うようなシステムを利用するというようなことで、これまで捨てられていたエネルギーを有効に活用する。これをやることによって、従来の省エネルギーとはやや趣を異にいたしますが、効率を上げることによって総量をふやすことなく国民生活充実を図っていくようにしたい、こんなことも考えておる次第でございます。
  24. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 確かに、いろいろ長官おっしゃられましたけれども日本人の国民性と申しましょうか、なかなかそういう危機感がないと自覚が出てこないというような点もあるんだと思います。ですから、七三年の第一次オイルショックのような事態が起きれば、国民こぞってこれは大変だということになりますけれども、今の状況我が国に幸いしているかどうか、本来はもっともっと危機感があってしかるべきだろうと思うんです。  しかし、実際のところはそれまでの需給関係は非常に緩んでおったわけですね。確かに、クウェートイラクのいわゆる石油依存度が合わせて一二%、しかしそれ以前に供給過剰な状態が続いて、それが価格に反映されて十八ドルとか十五ドルとかということになって、結果においてはOPECの中で調整をとって、最終的には二十一ドルという価格設定をしたわけです。それが実態は、イラククウェート侵攻によってこれが三十ドル前後で推移している。こういうことにおいては、産油国側から見れば、ある意味では期せずして大変石油の値段が上がったことではいいわけでありますけれども我が国にとってはこれは大変な大きな影響を受けている。  ただし、今回の場合に第一次オイルショックあるいは第二次オイルショックとは違った面は、一方で円高ドル安という逆な面が出てきておる。これがある程度いわゆるバッファー効果と申しましょうか、緩衝材になって、この点が石油、本来ならもっともっと上がってまさに大変だという状況が、ドル高円安ではなくて逆に円高ドル安、こういう状況でかなり融和されている。    〔理事深田肇君退席、会長着席〕 そういう面が、私は、国民あるいは企業にとっても苦しいところはあるかもしれませんけれども、ある程度この辺が危機感が逆に余り起きてこないというような状況があるんではなかろうかなと思っておるわけです。  いずれにいたしましても、省エネにつきましては今後とも努力をしなきゃいけないんですが、なかなか具体案になりますと、実際はこれは環境問題とも関連するんだろうと思うんです。これをやるにはCO2の総量規制とか、こういう問題をやらなきゃいけない。それは一方では二律背反するような二面性があって、じゃCO2をかなり厳しくするということになれば、一方では経済成長というものをどう見るのか。しかし、経済成長は落とすわけにはいかない。あるいは今後日米構造協議の四百三十兆円における公共投資とか、こういう問題を達成するためには経済成長もある程度維持しなければいけない。そういった意味で省エネ環境問題、そして安定供給経済成長という非常に一見相矛盾するものを達成しなきゃいけないという大変難しい問題だろうと思うんです。  ですから、そういう意味で私はこの石油問題というのはただ単にエネルギー庁が声を大にして叫んでも、やはり政府がそういう国民一人一人に対して啓蒙をするということをもっともっと努力しなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うわけであります。これは私の方の私見であります。  そこで、国民の消費者側からいいますと、一番気になるのは、先ほどお話にもありましたように価格の問題、石油製品価格の問題があるわけです。先ほど長官も手にかざした「石油価格の問題を一緒に考えましょう」というパンフレット、これ私も読ませていただきました。ところが、これ読んでいくうちに、私の感想を述べますと、まだこれわかりにくい面がかなりあるんではないかと思うんです。  特に、価格の問題に関する会計処理の問題です。この問題ももうちょっとわかりやすく書かれた方がいいんじゃないかなと。私は何も漫画的にしろということではなくて、何となく石油製品価格というものが消費者にとって非常にわかりにくい。それから備蓄の取り崩しの問題につきましても、この書き方でいきますと、いわゆるこれも平均法だったのを後入れ先出しなんというようなことによってどうのこうのとか書いてありますけれども、もうちょっとこれはわかりやすく書くべきではないか。決してこれけなすわけではありませんけれども、こういうものを出されることは大変結構ですが、もう少しやっぱり一般消費者にわかりやすく書いていく。しかし、なかなかこれ難しいところがあるかなとは一方で思いますけれども、この点についてもうちょっと努力していただきたいのです。その点について長官の御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  25. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) いろいろ御注意をいただきましてまことにありがとうございました。  私どももいろいろそれなりの努力はしたつもりでございますけれども、初めてつくりましたので……
  26. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 初めてですか、初めてつくったんですかこれ、この価格の問題。
  27. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 石油問題ではこのパンフレットがこの種のものとしては初めてでございます。それなりの努力はしたつもりでございますけれども、なおいろいろ反省をいたしまして今後の参考にさせていただきたいと思います。大いに改善努力をしたいと思います。
  28. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 これは初めて出したとは思わなかったので、もう何度か出しているのかと思ったら初めてだったんですね。その点がやっぱりもうちょっと、後入れ先出しじゃありませんけれども、どんどん先出しでやってもらわないと困るんです。こういう時期になって慌てて出しますと、結局、何だ今ごろという話になりますから、こういった問題を先取りしてどんどん啓蒙運動をやっていただきたいと思うわけでございます。  そこで、最後になりますが、いずれにいたしましても今後我が国石油に対する依存度というのは、目標としては四五%ですか、今の五八%が四五%、これはこれなりに結構でありますが、そうなりますとやはりその他の代替エネルギーということになりますけれども、これが長期見通しでも原子力というのが主力になっています。この原子力というのも非常に大きな問題を抱え社会問題になっている。あるいは私はある面では感情的な、情緒的ないわゆる原子力アレルギーという問題が先行している部分もあるんではないかと思います。どうしてもこれは私自身としては必要不可欠なものであると思っています。この点について、この計画からいくと相当数の、現在稼働中のものではとても足りないわけですし、計画中のも のでも足りないですから、これからまだまだふやしていかなきゃならない。それをやらなければこの四五%も逆に達成できない、こういう問題ですので、この原子力発電の問題についての見通し、それからエネ庁としての考え方、そういうものについて教えていただきたいと思います。
  29. 川田洋輝

    説明員(川田洋輝君) 本年十月に閣議決定されました石油代替エネルギー供給目標は、各エネルギー源供給安定性、経済性、環境面への影響あるいは導入可能性といったようなものについて、総合評価を踏まえた適切なエネルギーミックスを考慮したものでございます。  この中で、原子力につきましては二〇一〇年度の年度末設備につきまして七千二百五十万キロワットを見込んでおるところでございます。現在が三千百六十五万キロワットでございますから、かなり大きな伸びを期待させていただいているということになるわけでございます。私どもとしては、この原子力につきましては供給安定性、経済性、環境負荷の観点からすぐれた特性を有しておるエネルギーだと位置づけをいたしておりまして、先ほどの目標我が国エネルギー需給上ぜひとも達成が必要だというように考えております。  しかしながら、先生もお触れいただきましたように、国民の原子力に対する意識の厳しさ等にかんがみますと、その達成には国民に受け入れられるための格段の努力が不可欠でございます。このため、政府といたしましては、引き続いて安全確保対策、バックエンド対策、立地促進対策、広報対策などの施策を総合的に強力に進めることによりまして、ぜひとも目標達成ということに向けてできる限りの努力をしてまいりたいというように考えております。
  30. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 それをしっかり本当にやってもらいたいと思うんです。これは今おっしゃられたように、とにかく民生用といいますか、国民生活というのは非常にこれからも、私はなかなかエネルギー消費をやめろというのは難しいと思うんですよね。先ほどおっしゃいましたように、テレビを見るなと言ったって、これはそういうあれになってないし、ますますある意味では省力はやっていくけれども、しかし省エネに国民が本当に理解してそれに協力していくかというとなかなかこれは難しい。したがって、やはりそれを補てんしなきゃいけない。しかも、さらに石油依存というのは続く。しかし、これも非常に限りあるものであるから、どうしてもこれは代替エネルギーの転換を図っていかなければならない。それも一方では大変難しい問題があるけれども原子力というものは、やはりこれは主たる代替エネルギーの柱になるということも間違いない。したがって、それは国民一人一人に対しても十分な理解を深めるように最大の努力をして、この二〇一〇年の目標達成するために、さらに私は頑張ってもらわなきゃいけないと思う。まだまだ努力が足りない面もあるんだろうと思いますけれども、どうかその点をよく拳々服膺されまして、頑張っていただきたいと思います。  以上でもって私の質問を終わります。
  31. 白浜一良

    ○白浜一良君 レジュメに即しまして何点かお伺いいたしたいと思います。  まず最初に、イラククウェートから石油輸入されてないわけでございますが、全体としては他国が増産いたしまして需給は逼迫していないと、このようにレジュメには書かれておるわけでございますが、量的には不足はないという。しかしながら、実際石油価格は上昇しているわけでございますが、このレジュメによりましたら、「言わば心理的要因によるものとも言うべきと思われる。」、このように書いております。  確かにそういうことなんでしょうけれども、要するに実際コストが上がっているこの原因ですね、それをどのようにお考えになっているのか。心理的要因ということだけでいいましたら、石油輸入されまして元売から石油業界、流通を経て小売段階まで全部心理的要因で上がるといいましたら、それを便乗値上げと言うわけでございます。ですから、なぜ石油価格が上がっているのかというその原因をお伺いしたいと思いますし、特に便乗値上げに関しましては、先ほど質問もございましたが、実は灯油に関しましては、先ほど平均三六%とおっしゃいましたけれども、私大阪なんですが、五〇%以上上がっている小売値もあるわけです。このレジュメによりましたら、「便乗値上げ防止指導を行うとともに、」と、行っているというふうに書いているわけですが、実際にどのような防止の指導を行っていらっしゃるのか、この点をお伺いしたいと思います。原因とその防止の指導内容ですね。
  32. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 石油価格が心理的要因で上がっていると言いましたのは、国際原油市場において価格が上がっているわけでありまして、コストが上がっているわけではありません。取引価格が上がっているんです。  これは、ちょうど株の値段と同じように、例えばニューヨーク・マーカンタイル・エクスチェンジという取引市場がございまして、ここで一日に一億バレルぐらいの原油の取引が行われます。ちなみに、一日に消費される自由世界全体の消費量が五千万バレルぐらいですから、一日に消費される量の倍ぐらいは一つの商品取引所で取引されているわけでございます。そうすると、株の取引と同じように、心理的要因で、先行き戦争があるかもしれないということになると値段は上がります。コストが上がっているんじゃありません。値段が上がります。そこで、市場価格が形成をされます。形成をされますと、その値段でスポット価格が決まります。スポット価格だけならよろしいんですが、先ほど冒頭に御説明しましたように、長期契約をしておりますターム契約というものも、量は長期契約をしておりますが価格スポット市場価格の一カ月の平均値に連動して動くような仕組みになっている契約が普通でございます。したがって、これが影響をしてまいります。  日本石油会社が実際にサウジならサウジから油を買ってまいりますと、その値段はこのニューヨークのマーケットなり何なりの値段に連動して値段が決まりますから、ここから先はコストになります。輸入をする日本石油会社にとって輸入をする商品の価格が従来十五ドルであったものが二十五ドルになり三十ドルになり三十三ドルに上がったと、こういうようなことが起こったわけでございます。  このときに、原油価格が十五ドルのものが二十五ドルに十ドル上がったときに、この十ドル上がったものをではどうするのか。輸人した業者にとってはコストが上がっているわけでありますから、その上がった十ドル分というものが灯油になりガソリンになりその他もろもろの製品になって国内市場で売られるわけですから、その企業にとってのコスト便乗値上げなしで転嫁をされていくことは、企業の合理化による吸収は最大限求めますけれども、それで対応できない分が転嫁されていく分は、いわば経済原則でありますから仕方がないのではないか。その間に、おっしゃいますようにコスト以上に、コストは十ドルしか上がっていないのに国内製品価格が例えば二十ドル相当、三十ドル相当上がっていくということになれば、これは先生御指摘のように便乗と言われても仕方かないかもしれません。  そこで、私どもはそういうことがないように、では国内石油会社が輸入をした原油の値段が幾ら上がったのか。輸入するのは原油だけではありません、製品も買ってきます。製品はもっと値上がり幅が大きゅうございますから、そういうものが幾らで入ったのか。それから為替は先ほど御指摘がありました円高に動いておりましたので、これは若干効果を減殺する要因になります。その要因がどうであったのかということを各社ごとに掌握をして各社ごとコストを私どもは正確に把握をいたします。これをもとに各社価格動向をウオッチしておりまして、その各社価格形成に不審な点があれば指導をする、こういう体制対応しているわけでございます。  それで、灯油の問題について御指摘がありましたが、灯油についてもまさに申し上げましたようなことで、国内精製元売業者、輸入元売業者が原料である原油価格コストが上がった分を製品である灯油に転嫁をした場合、それが幾らにどれだけの上げ幅になるかということを私どもは掌握をしております。各社値上げの動向を見ておりますと、おおむねその範囲内で行われております。それは卸売値段でございますから、末端の小売価格はそれとは若干違う動きになりますが、その小売価格の動向も私どもモニターをしておりますと、先ほど申し上げましたように、全国平均では十八リットル売りで三六%程度の上昇になっております。先生の先ほどの御指摘で、いやそうは言っても五〇%以上上がっているものがあるぞという御指摘でありますが、これは五〇%上がる前の価格がどういう価格であったのか、それが問題になるのではないかというふうに思いますが、もし非常に御不審の点がおありでございましたら、先ほど申し上げましたように、私ども本省にも近畿通産局の中にも相談の窓口を設けてございますので、具体的に御指摘をいただければ私ども調査の上、しかるべく対応させていただきます。
  33. 白浜一良

    ○白浜一良君 原油価格の形成そのものは、私もそのように理解をしております。要するに心理的要因というようなことで言われることが、確かにそういうことでいわゆる原油価格そのものが今説明されたように決まるんでしょうけれども、要するに国内に入ってコスト形成されて小売段階にまで来る、その不透明なことを私は心配して言っているだけでございまして、その辺をよく具体的な指導徹底していただきたい、こういうことなんです。特に、私は灯油で言いましたけれども、これからだんだん寒くなりますし、灯油需要が非常に激しくなるわけで、そういう一般国民の生活に関連しますから具体的にお話ししたわけでございます。  次に、先ほど御説明備蓄の問題で、足りなくなったら百四十日分の備蓄があるという話をされましたが、例えば足りなくなったらというそのめどですね、どういう状態が備蓄を取り崩す一つのめどとして考えていらっしゃるのか。もう一つは、取り崩すと決まった場合、その取り崩す分のいわゆる価格の形成ですね、それはどのように決定されるのか、この点をお伺いしたいんです。
  34. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 備蓄の取り崩しについての御質問でございますが、先生御案内のように、我が国の場合に備蓄というのは、民間石油会社が持っておりますいわゆる民間備蓄、これがまた二つに本当は分かれるわけでございますけれども、それはさておきまして、それと国家備蓄とこの二本立てになっているわけでございます。それで、現在その日数というところで見ますと、民間備蓄の場合が八十八日分、国家備蓄が五十四日分ということで、合わせて百四十二日分の備蓄があるということでございます。今回、こういういわゆる湾岸危機が発生しまして以降、八月の末、九月の末、十月の末、三カ月続きましてこの百四十二日分というのはほとんど変わらない水準で維持されている状況にございます。  それで、備蓄取り崩しのめどということでございますけれども、この問題につきましては昭和六十三年に石油審議会におきまして相当御議論いただきまして、基本的な考え方といたしましては、まず民間備蓄を初期段階では取り崩していく。もちろんこれは我が国への石油供給不足した場合ということでございますが、まず民間備蓄を取り崩していく。それから、民間備蓄だけじゃ対応できない場合には国家備蓄を取り崩していく。もちろんこの備蓄の取り崩しにつきましては国際的ないろいろな協調というようなものもあるわけでございまして、その場合には別途考えていく、こういうようなのが基本的な考え方でございます。  それで、まず今民間備蓄につきましては、先ほど八十八日分持っていると申し上げたわけでございますけれども、現在の石油備蓄法に基づきますいわゆる備蓄義務量というのは八十二日分ということになっております。したがって、石油産業全体といたしまして、国全体としてでございますけれども六日分ぐらいはいわゆる備蓄義務はないけれども商業上持っている在庫として原油なり石油製品という形で備蓄が行われている、こういうことでございます。したがいまして、石油供給不足してまいりました場合には、今申し上げましたいわゆる法律上の備蓄義務はかかっていないけれども商業上の在庫として持っております六日分というのが第一段階としてはこれは取り崩されていく。これはもうコマーシャルベースで取り崩されていくわけでございます。それから、そういうことでは対応できなくなっていった場合には、いわゆる八十二日という石油備蓄法に基づきます備蓄義務量というものの一部を取り崩していくということになろうかと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、そういった石油会社が持っております民間備蓄というものだけでは対応できなくなってきた場合には国家備蓄を放出していくというようなことも考えていかなければならないわけでございますが、現在までのところは、先ほど来御議論ございますように、世界的にもそれから我が国の場合にも原油に関する限りにおきましては、またこういう状況に大きな変化がない限りにおきましては、原油需給というのは比較的バランスがとれていると申しますか、ありますので、したがって当面はそういうことでまだ備蓄を取り崩すには至っていないわけでございます。
  35. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことを聞きたいんじゃなしに、どういう状態で取り崩しがされるのかということだけ聞きたいんです。そんなわかり切った話は要りません。  それで、それを出すときの価格はどうなるのかということを私は聞きたいだけで、そんなわかり切った話を長々と、私もう時間がないんです。一言で結構です。言ってください。
  36. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) したがいまして、今申し上げましたように量のめどといたしましては、まず民間会社の方で原油調達が販売量を下回っていく場合ということになっていこうかと思います。それから原油なり石油製品調達が実際の国内での販売量を下回っていく場合ということになろうかと思います。  それから、価格につきましては、民間備蓄の場合には民間会社のそれぞれの経理の方法によって取り崩しが行われていくことになります。それから国家備蓄につきましては、先ほど申し上げました昭和六十三年の石油審議会におきまして、そのときの時価に必要経費を加えたものを基本に考えていくべきだということになっておりまして、基本的にはそういう方向で考えていくのが適切ではないかと思っております。
  37. 白浜一良

    ○白浜一良君 そのときの時価ですか。高かったら高い値段で出すということですね。わかりました。  もう時間がございませんので最後に一つだけ聞きますが、本当は省エネルギーのことを聞きたかったんですけれども、時間がないので割愛します。  先ほど長官が三点にわたる具体的説明をされましたけれども、私これ、二〇〇〇年で六%、二〇一〇年で一一・何%ですか、省エネ、本当に信じられません。実際、経済成長エネルギー需要の弾性値を見ましても、八八年には一・〇六まで上がっているんですね。それが今の現状なんです。よっぽどのことをしないとこの省エネルギー長官見通しのようにならない。私はそのように思っておりますのでしっかりお願いをしたい、このように思います。  最後に、原子力の問題もこれ聞きたかったんですが、これも先ほどおっしゃいましたけれども、四つの対策努力すると言われました。これはもう二・五倍ぐらいつくらなきゃなりません、今から二十年で。これはとてもじゃないけど私は不可能だと思いますし、しっかり安全性、国民は安全性を一番考えているわけですから、エネルギー全体の考え方をもっとしっかり計画を練り直していただきたいと思うわけでございます。  このレジュメにエネルギーセキュリティーということが書いてあるんですけれども、今後の見通し考え方の中で。そういった面では数少ない国内資源というのは石炭なんですね。確かに国内炭はコストが高いということで、八次対策すらも守られていないという現状で、今八次以降のいろいろ検討をされているわけでございますが、このいわゆる国内炭、セキュリティーという面に関しまして、長官、一言最後にお考えを。
  38. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 省エネしっかりやれという御指摘ありがとうございます。しっかりやりたいと思いますので御支援をお願いしたいと思います。  それから、省エネ原子力もなかなか難しいぞと言うのは簡単なんですが、これはぜひやりませんと、省エネをやり石油依存率を下げてまいりませんと経済成長環境の両立というのはできなくなるわけでありますから、何かを犠牲にしなきゃいかぬことになりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  そこで、セキュリティーの観点で貴重な国内資源の国内石炭をどうするのかという御指摘でありますが、石炭については、一千万トン体制を目指した第八次石炭政策、現在進行中でありますが、八次策が終了した後どのような石炭政策をとるのか、これについて現在石炭鉱業審議会で検討を始めたところでございまして、来年の夏ごろまでの間に多方面、多角的な議論をして、その基本的な政策を決めたいと思っております。その検討をする中で、御指摘のように、資源としての位置づけあるいは技術としての問題、あるいは産炭地域地域問題としての観点、セキュリティーの観点などなどいろいろ検討すべき点があるわけでありますので、多角的に検討したいと思います。  ただ、情勢はなかなか楽観を許さない情勢でございます。御指摘のように非常にコストが高うございます。内外炭価格差は高うございますし、またこれらについての構造調整の補助金についてガット・ウルグアイ・ラウンドでいろいろ議論があるところでございますので、内外の動向をいろいろ見据えて慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  39. 白浜一良

    ○白浜一良君 どうもありがとうございました。
  40. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 石油元売各社が、イラククウェート侵略を契機とした国際的な原油価格の高騰を理由に、九月十七日以降、これは主に民生用ですが、毎月石油製品卸売価格を、十一月は四社のみですけれども値上げしてまいりました。その影響は今や石油化学製品にとどまらず、すべての商品に広がっている。  私は北海道ですけれども、とりわけ厳冬期を迎えた北海道でこのまま推移をすれば、一般家庭はもとより年金生活者や教育施設、福祉施設等々に与える影響は非常に大きい。のみならず中小企業、農業、漁業すべての分野に深刻な影響が出ることが予想される。北海道では灯油は米と同じくらいに重要とまで言われているわけです。  私どもは、こうした灯油を初めとした石油製品値上げ問題を重視して、小笠原参議院議員を団長に衆参六名の国会議員を中心に地方議員ともども十一月二十六日から三日間、札幌、旭川、函館と実態調査を行って、私も参加をして帰ってまいりました。その結果、私たちの予想を上回る深刻な影響が各層に出ている。  例えば、北海道では灯油が前年比で五〇%以上も高騰しております。このため九月以降の負担増が平均家庭で三万から四万になっている。灯油代が収入に占める割合も一・六五%と、三年前が〇・七%であるのに対して二倍強になる見込みだと家計簿上も明らかになったわけです。この金額は生活保護世帯の一カ月分の食費に当たる、国民年金生活者の一カ月分の支給額にも匹敵する金額ということで、例えばお年寄りの方は家にいると暖房費がかかるので、それを節約するために一日デパートが閉まる時間までそこに行って時を過ごすというような深刻な事態も出ているわけですね。  また、学校、病院、福祉施設などでは、暖房にA重油を使用しているという場所では支出が当初の予算を大幅に上回っている。市立函館病院で二千三百三十三万円、国立札幌病院で約一千三百七十五万円の負担増。それから北海道大学で年間消費量が四千五百キロリットルになりますが、一億円近い補正予算が必要になっている。また、旭川の重度心身障害児の施設で北海道療育園というのがありますが、三百二十六名の園児を収容していますが、園児の九〇%以上がおむつを使っているために年じゅう燃料が必要ということで、このままではA重油の価格高騰で五百二十六万の出費増が見込まれる。予定していたサンルーム拡張という施設もやめなければならない、医療機器の更新も断念せざるを得ないというような深刻な事態がある。  この住民の被害、とりわけ社会的な弱者に対する深刻な影響があるということで、これを軽減させるための緊急かつ切実な課題ということが問われてくるわけですけれども、最初に自治省にお伺いしたいと思います。  北海道では、六十四自治体で独自に福祉灯油という名目で現金を支給したり灯油の購入券を交付して社会的弱者を救済するという施策を実施しているわけです。実施されていないところでも実施をしてほしいという声が非常に大きかったわけですけれども、そうなると自治体の負担が非常に大変になるということで、自治省は十一月十四日の参議院の決算委員会で我が党の諫山議員に対する答弁で、「地方団体が自主的な判断で展開される施策の充実という観点からは今後とも十分配慮してまいりたい」と、こう述べられて、私はこの答弁を大変注目しているわけですが、自治省としてとう具体的な配慮を考えておられるのか、お聞かせください。
  41. 谷本正憲

    説明員(谷本正憲君) 御指摘のいわゆる福祉灯油の件でございますが、御質問にございましたように去る十一月十四日、私どもの財政課長がお答えをしたわけでございますが、いわゆるこの福祉灯油につきましては、その委員会におきましても既にお答えをしておりますけれども、これは個別、具体の財源措置という問題につきましては、国の福祉政策の中での位置づけ、あるいは財源措置といったような問題がありますので、これだけを抜き出して個別に財源措置をするというのは大変難しいというのは既にその委員会でお答えをしたとおりでございます。  ただ、地方団体がその全体の地方財源といいますか、その中で単独福祉の施策、そういったものをおやりになる、地方団体がその地域の実情等を十分踏まえられまして自主的な判断の中でそういう単独福祉施策を全般としておやりになるという場合につきましては、これはいろいろほかにも例があるわけでございまして、私どもとしましてはこういう施策を地方団体がそれぞれ自主的な判断において展開をされるという場合には、そういうことが可能になりますよう従来からいわゆる地方単独の福祉関係の経費につきましてはその充実を図ってきておりますし、地方税あるいは地方交付税等の地方一般財源の充実、確保といったような点につきましても努力をしてきたところでございます。  今後とも、私どもいわゆる地方財政計画というのを今後また策定をしてまいるわけでございますが、そういう計画の策定に当たりましても十分配慮してまいりたい、かように考えているところでございます。
  42. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 その答弁に重ねて、国の施策の中での位置づけ、財源措置のあり方が明確でない以上は個別の財源措置はできないと。これは逆に言えば、国の施策が明確になれば自治省としてもできるんだという考えにつながると思うんですね。  それで、あわせて厚生省にも伺いたいんですが、六十三年四月二十八日の参議院の地方行政委員会で厚生省の答弁ですが、灯油価格が非常に高くなるなど、経済情勢変化があれば検討しなければならないと、こう言われたわけです。私ども調査でもわずか二、三カ月で五〇%以上の値上げ、そのために三度の食事を二度に切り詰めな ければならないという状況も生まれているということで、自治省としても国の施策が明確になれば財源措置ができるという考え方を示しておられるわけです。そういうことを前提に考えるならば、今こそ国の施策として福祉灯油を実現すべき段階ではないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  43. 加納正弘

    説明員(加納正弘君) 最低生活の保障を行います生活保護でありますとかあるいは社会福祉施設の運営など、特別な給付を行わなければナショナルミニマムを確保できなくなるという場合には、国の施策におきまして地域的な特性に配慮するのが適当でございますが、その他の地域的特性に配慮する施策につきましては、各地方公共団体の自主的な判断のもとに行われることが原則でございます。  お尋ねの福祉灯油の問題と申しますのも、ナショナルミニマムを超える地域的特性に関する問題と考えておりまして、国が新たに具体的な施策を講じるということは考えていないところでございます。
  44. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 従来の答弁の域を出ないということで、この事態が大変深刻だということをどう受けとめておられるのかということを私は改めて言いたいわけですけれども、こういう事態関係省庁がそれぞれなすり合いをするのではなくて、それぞれが力を合わせて事態を解決していっていただきたいということを強調しておきたいと思うんです。  重ねて自治省にもう一度お尋ねしたいんですが、道立高校でA重油、灯油など燃料費の支出が当初予算を大きく上回って、道庁の調査でも五億四千百五十五万円に上ると推計されています。函館市では自治体の財政能力の限界を超えていると、こういう声も出され、国に対して何らかの特別の手だてを求める声というのは非常に切実で、補正予算関連での措置あるいは特別交付税での措置を含めて検討すべきと思いますが、この点いかがでしょうか。
  45. 谷本正憲

    説明員(谷本正憲君) 御指摘灯油、学校等の公共施設に係りますいわゆる暖房燃料用灯油でございますけれども、これにつきましては、私ども一つは普通交付税の中でいわゆる寒冷補正というのを適用いたしておりまして、その中でこの暖房燃料用灯油に係る増加財政需要といいますか、そういった需要措置しておるわけでございます。この中では、過去におきます価格変動状況といいますか、そういった点も考慮に入れまして、現在十八リットル当たり千二百円の単価というのを実は用いまして、その寒冷補正の中でこの増加財政需要というのを実は措置をいたしておるわけでございます。この単価からいたしますと、私ども現在までのところの灯油の値上がりに対しましてはさらにこの特別な措置を講ずるという必要はないのではないかなというふうに考えておるわけでございますが、御指摘のように今後の価格動向でございますとか、いわゆる個別の地方団体の財政状況、こういったものを私ども十分踏まえていく必要があろうかというふうに考えております。  そういった点では、灯油の値上がりによりまして、現実の問題として財政運営に著しい支障を来すという団体が生じるというような場合につきましては、当該団体の財政運営全体の問題として事情をよく私どもお聞きをいたしまして、特別交付税の算定に当たりましてもそのような事情を十分念頭に置いて対処してまいりたいというふうに考えております。
  46. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 十八リットル当たり千二百円という単価については、これは寒冷地別に一級から五級まであって、ストーブ一基分幾らという形で算定をしておりまして、これはそれからいきますとどうも十八リットル当たり千二百円というふうにはならないと私たちは理解しているんですけれども、今現実に暖房費を追加予算に組んだために赤字になったり他の事業ができないという場合には何らかの考慮をすることはあり得るということの御答弁でしたので、ぜひその点について考慮をしていただきたいということをお願いします。  次に、通産省にお尋ねをいたします。  石油元売各社は、原油価格の高騰を理由に、先ほども言いましたが卸売価格を毎月値上げをしてまいりました。消費者イラク問題があるからやむを得ないのではないかという気分もあって、私どもも必要な値上げはやむを得ないというふうに思うわけですけれども、一体そうなのだろうかということが大変疑問なわけです。  先ほども通産省のパンフのお話が出ましたが、十月十二日付の通産省のパンフで六ページに、「二月のコスト元売仕切価格の改訂の前提とされた原油価格」と、こう述べているわけですけれども、これは間違いありませんね。
  47. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) そのとおりでございます。
  48. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこで、さらにパンフは、当面の元売卸売価格改定の前提となるコスト変動では、人件費など企業努力に吸収してもらうものはもらうとした上で、計算方法として輸人原油のCIF価格変化、それから自家燃費、それから金利などこれを繰り込んでみると、そしてかつ輸入石油製品も多いわけで、こちらのコストアップの方が大きいということで、輸入石油製品の値上がりによるコスト上昇分を加えて私ども計算をしてみました。全く通産省の前提に基づいて計算をしたわけですけれども、二月の平均原油のCIF価格と九月の中旬以降の各自の旬間の原油CIF価格の差額を、石油統計速報による四油種を大蔵省の発表する原油輸入量に基づいて案分しながら計算をしてみますと、九月十七日から十一月十日までのわずか二カ月足らずで三百億円を超えるしなくてもいい値上げが計算として出てくるわけです。それを私たちは不当な値上げと考えているわけで、これは値上げをすべきものではなかったので国民に返すべきもので、そういう指導こそ通産省としては国民の立場に立ってしていただきたいと、そう思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  49. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) ただいまの試算はどういう計算かよくわかりませんけれども、今お話を伺って私がこの違いかなと思いましたのは、恐らく今先生の御指摘のCIF価格というのは通関統計の価格ではないかと思うわけでございますが、企業コストへの影響という面で見ますと、いわゆる検尺ベースと申しまして、通関をする前にどれだけの量がちゃんとあるかということを行うわけでございます。その段階での価格でございますので、あるいは量でございますので、今先生おっしゃったものとは若干のタイムラグがあるのではなかろうかなと、こういう感じかいたします。
  50. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これを議論するとちょっと時間がありませんので、また別途個々についてはやりたいと思うんですけれども石油会社が現実にコストアップになっていないのにいずれそうなるとして先取り的に値上げをしているということは通産省としても認めざるを得ない事実だと私は思うわけです。パンフでも、値上げコスト変動の範囲内で必要最小限にすべきと。他方コストが下がれば値下げをするように指導も行っていきますと、こう書かれているわけです。  昨日発表になった十一月中旬の輸入原油のCIF価格を見ても、依然として石油会社は先取り値上げがあるという実態が出ているわけですけれども通産省の予測でも原油価格低下傾向にあると思うわけですね。したがって、十二月に予想される仕切り価格改定では値下げ指導が不可欠であろうかと思うわけです。従来の石油会社の姿勢は、値上げには熱心だけれども値下げは可能な限り行わないと、事実として推移をしてきたと思うんですけれども通産省としては原油価格が下がれば消費者が買う灯油ども小売段階で必ず下がるように指導すべきと、こう思いますが、この点お約束していただけますでしょうか。
  51. 黒田直樹

    説明員(黒田直樹君) 第一点のコストに反映されてないものが値上げされているという点につきましては、ただいま申し上げましたようにコストに反映される時点を明確につかまえまして私どもはヒアリングを行い、コスト変動をチェックしているわけでございます。したがって、そういう意味で外から出てくる通関統計とかそういうものとは若干違いがあることを御理解賜りたいと思います。  それから、第二点のコスト変動があった場合にどうなるかということでございますけれども、いろいろ新聞報道等に推測記事が出ておりますが、私どもといたしましては、月々きちっと各石油会社のコスト内容が固まった時点でヒアリングを行ってその実際の状況を把握するのがまず先決であるというふうに考えております。毎月大体十日前後ぐらいからヒアリングを行っておりますので、その状況を見てということになるわけでございますが、コスト変動した場合にどうするかという点につきましては、かねがね石油業界におきましてもコストが下がれば値下げをするというふうに言っておられるわけでありまして、私どもはそういう意味で石油会社が自主的にその範囲でそういった行動をおとりになるというふうに確信をいたしております。そういうものがない場合には私どももしかるべく考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  52. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 時間ですので終わります。
  53. 古川太三郎

    古川太三郎君 わずか十分しか質問時間はございませんけれども、ことし、来年の問題じゃなくて、十年、二十年先の話で大変恐縮なんですが、今地球的な規模で環境問題が叫ばれておる。そういう中で新しいエネルギーというのはどういった程度開発される形になるんだろうか。レジュメでは大体二十年後には五・三%ぐらいのものを供給するというような形になっておりますけれども、本当にそのようなことができるのかどうか。原子力よりも新エネルギーと言われるものの比重がふえることについては私どもは大賛成なんですけれども、ふえ方としては大体原子力と同じような規模でふえていく。また、その容量も同じぐらいだ。今までは、確かに経済の発展というのはエネルギーが大変重要なものである、これからも大変重要なものであるんですけれども。  今までの自由主義社会が共産主義というようなものにまさっていたと言えるような状態にあったのは、確かにゼロサム時代じゃなくて、みんなが少しずつ裕福な生活ができるようになってきた。だれかが五を取ればだれかが五へこむというような時代じゃなくて、パイが大きくなるから裕福になってきた。しかし、環境問題を考える場合にはそういうノンゼロサム時代じゃなくてゼロサム時代になったんではないか。  石油備蓄されたとしても、これは先ほどお話もありましたように、日本だけで本当に取り崩せるものかどうか。これは外国との話し合いになる場合もあるでしょうし、そういうことを考えてきますと、石油に頼るというよりもこれはもう新エネルギーを本当に国家挙げて、また業界挙げて開発していかなきゃならない時代になってきたんじゃないか。そういう意味から新エネルギーというのはどういったものがあるのか、そしてまた開発程度。そして、私は、こういう値段というのは必らず、今国際的に問題になるように、債務国が環境の汚染問題を、これはまあ損害賠償のような形で先進国から取るような形になってくるだろうと、こう思うんです。  そういう意味から、エネルギーというのは余り値段を、これは今までの質問では非常に値段のことに集中されましたけれども、大きく考えればこれは値段というよりももっと開発に力を注ぐことが必要じゃないかという視点から、その辺の状況をお聞かせいただきたいと、こう思うんです。
  54. 大野隆夫

    説明員(大野隆夫君) 私どもサンシャイン計画という名前のもとに昭和四十九年以来新エネルギー技術の開発に努めてまいっておりますが、現在取り組んでおります技術の中身は太陽光発電あるいは太陽の熱の利用、それから地熱発電また風力エネルギーの利用等々でございます。より広義に革新的なエネルギー技術をということでございますと、それに加えまして私どもムーンライト計画という名のもとに省エネルギーの革新技術に取り組んでまいっておりますが、この中には燃料電池であるとかスーパーヒートポンプシステムあるいは超電導発電といったような技術に取り組んでおります。現在のところ、例えば今申し上げました燃料電池といったようなものにつきましてはかなりの技術の進歩が見られておりまして、数年内には小規模な実用規模のプラントが可能になるかと考えております。  今多々申し上げました技術の種類の中では、そのほかに太陽光発電といったようなものは極めて有力な未来の技術であると私ども考えておりますが、現在の段階を総括的に申し上げますと、この十数年の間に飛躍的な技術の進歩を見ましたけれども、なおコストあるいは応用面で商業化にはいま一歩のものがあると考えております。今後、今申し上げました有力な未来のエネルギーといったものを中心代替エネルギーの導入目標に向かいまして一層の努力をしてまいりたいと考えております。
  55. 古川太三郎

    古川太三郎君 もう時間ですから結構です。
  56. 田英夫

    会長田英夫君) 他に御発言もなければ、本件についての調査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  57. 田英夫

    会長田英夫君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を再開いたします。  休憩前に続き、産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、エネルギー需要構造のあり方に関する件について、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、東京大学先端科学技術研究センター教授竹内啓君、株式会社日本総合研究所理事長海野恒男君、株式会社システム技術研究所所長槌屋治紀君、財団法人日本システム開発研究所常務理事垣田行雄君及び財団法人省エネルギーセンター常務理事古垣一成君に御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  参考人の皆様から、エネルギー需要構造のあり方について忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、各参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、竹内参考人からお願いいたします。
  58. 竹内啓

    参考人(竹内啓君) 東京大学先端科学技術研究センターの竹内でございます。  私は、エネルギー需要長期的な、マクロ的な動向について、国際比較の方を主としてお話をしたいと用います。日本に関してより立ち入った詳細なお話はほかの参考人の方からあると思いますので、私は、日本には若干は触れたいと思いますが、主として国際的に見て長期的なエネルギー消費のあり方の変動の仕方というようなことを中心お話ししたいと思います。  エネルギー消費量というものは、簡単に申しますと、大体経済活動水準依存するわけでありますが、経済活動単位当たりの消費量掛ける経済活動水準ということで決まるわけであります。それは、経済活動水準をGDPあるいはGNP、ちょっと資料でGDPとGNPが両方混在して使われておりますが、まあこれはどちらでもよろしいんですけれども、GDPの方があるいはよろしいかと思いますが、国民総生産ですね、国民総生産掛ける国民総生産一単位当たりのエネルギー消費量というもので一国のエネルギーの総消費量が決まるわけであります。逆に申しますと、GDP当たりのエネルギー消費量をエネルギーの効率というふうに考えることができるわけでありますが、そういう形でエネルギー消費量は決まる。  その次に、今度はエネルギー消費伸び率の方は、GDPの伸び率とそれからGDPが一単位当たり伸びたときにどれだけエネルギー消費がふえるかといういわゆるエネルギー弾力性、エネルギー弾性値との積で決まるわけであります。そのエネルギー弾性値というのがしばしば将来の予測などというものにも使われますので、その歴史的変遷を見てみますと、実はそこに幾つかの資料をコピーしてきましたけれども、恐縮でありますが、これはもともとの書物が外国書でありますので、そのままコピーしたものですから英語が出ております。  そこの一番最初のページの図に実は一八一〇年というかなり古い時代から一九八〇年近くまでの多くの国々についてのいわゆるエネルギー弾性値が、ちょっとコピーが汚くてお読みにくくて恐縮ですが、縦軸がエネルギー弾性値でありまして、この一・〇という水準が弾性値が一、つまりGDPが一〇%伸びればエネルギー消費も一〇%伸びるというところの数字であります。それが一より大きい、例えば二というところであればGDPが一〇%伸びるとエネルギーが二〇%も伸びるということを意味するわけでありますし、それから〇・五ぐらいでありますと、それはGDPが一〇%伸びてもエネルギー消費は五%しか伸びないということになるわけであります。  そういう数字を見ますと、いろいろ各国がかなり大きく時間とともに変動していることがわかりまして、大体すべての国において工業化の初期の時代には非常に弾性値が高くて二ぐらいになっている。しかし、いわゆる脱工業化あるいは情報化の時代になるとそれは一を切ってもっと小さくなるということになりますが、もう少し詳しく見るとそこにいろいろな変動があるわけです。時間がありましたらもう少し詳しく御説明できるんですが、そこはそのくらいにさしていただきます。  ところで、そういうエネルギー弾性値の歴史的な変化にはかなり共通のものがあるわけですが、実はエネルギー消費単位当たりのGDPの量あるいはGDP一単位当たりのエネルギー消費量ということについて見ますと、これがまた国によってかなり差がありまして、それが次の二ページ目の図でありますが、はっきりわかりますことは、イギリス、カナダ、アメリカというような国とフランス、スウェーデン、日本というような国では非常に明確に差があって、日本を含むその他の幾つかの国は非常に低いということがおわかりかと思います。  実は、これには出ておりませんが、ソ連とか中国というのは非常にこれより高くて、恐らくソ連や中国はこのグラフの中におさまらないところにありまして、例えば六十という数字よりはるかにもっと上の方にあるはずであります。  それから、その下の図は、今度はこれを一人当たりに見たときでありまして、一人当たりに見ますと、もちろん所得が伸びるとともに、経済成長とともに一人当たりの所得が伸びますからエネルギー消費もふえるわけでありますが、そのエネルギー消費伸び方のパターンがある程度似ているところと似てないところがあります。形が似ていても絶対的水準においては、例えば日本とアメリカではアメリカの方が一人当たり消費が三・五倍ぐらいで非常に多いということがおわかりだと思います。  三ページ目に同じことが別の形で書いてありまして、一人当たりのエネルギー消費がどのくらいか、国の数のいわばヒストグラム、分布図でありますけれども、つまり一番左の方がエネルギー消費量が最低の部分でありまして、その国の数が非常に多いというわけですね。全世界の、地球の平均がそこの大体六十というあたりに書いてあります。日本はそれの二倍ぐらいの水準のところですが、ソ連は日本より五割ぐらい多い。それから、アメリカは日本の三倍ぐらいのところになっているということがこの数字でおわかりだと思います。アメリカよりもっと右にあるのは、これはカナダであったんではないかと思いますが、あるいはクウェートかなんかであったかもしれません。ちょっとよく思い出せません。そういうことで、国によってかなり違いがあって、一人当たりのエネルギー消費は非常に今不平等であるということはそこでおわかりかと思います。  ところが、開発途上国は一般に一人当たりのエネルギー消費量は非常に少ないわけでありますけれども、実はそういう国はエネルギー消費の効率が非常に悪いということがこれまた事実でありまして、その下には、余り適当な数字がなかったのでこれしか私は見つからなかったんですが、中国とアメリカの一人当たりのエネルギーがそれぞれ暖房とか炊事とかあるいは照明とか運輸とかいうことにどれくらい使われているかという数字があります。アメリカの方がすべてにおいてエネルギー消費量が多いわけでありますけれども、実はその中で有効に使われているエネルギーの比率というのを見ると、アメリカと中国では随分差がありまして、結局、実際に有効に使われているエネルギー消費量というものは表面上使われているエネルギー消費量に比べてはるかにまたその差が大きいということがそこに出ております。  例えば、中国では十二に対してアメリカは百五というのが名目上の総量でありますが、有効に使われているものを比較すると、中国が一・四五に対してアメリカは三十六・七であるということであります。これは日本数字がございませんけれども日本数字はもっとアメリカよりずっと効率がよいので、恐らく日本と中国とを比べたらもっとはるかに大きな効率の差があらわれるだろうというふうに思われます。  それから、その次のページはエネルギーの種類でありまして、いわゆる一次エネルギー資源というのは、御承知のように電力やなんかは一遍石油とかその他のエネルギーを使ってまたエネルギーをつくるわけですから二次エネルギーですが、そのもとになります一次エネルギーのことですが、それはバイオマスと化石燃料と原子力のようなものと自然エネルギー等に分かれるとすると、大体いろいろなエネルギーについてその相対的な比率が歴史的に変遷して、昔はほとんどが薪のようなものであったけれども、その後石炭がうんとふえて、しかしそれからまた次は原油がふえる、それから天然ガスがふえてくるというような形になっております。この中には原子力は入っておりませんが、原子力も右側である程度を占めていることを入れればもっと位置を占めるはずであります。  そういうふうに自然に変遷があるわけでありますけれども、こういう中で実はエネルギー消費の予測というのは実はちょっと狂うんだという話がありまして、石炭の消費というものが何年かにわたって行われて、その下の図が、例えば一九五五年に一九七〇年にはどうなるだろうというような消費の予測が行われると、そこを矢印で書いてありますが、実際の消費量は実線でもっと下がってしまうというようなことがある。この点は後でも申します。  今のことは世界的な大体の傾向でありますが、実はもう少し詳しく見ますと、オイルショック以後実はエネルギー弾性値というものが非常に下がっております。これは一番最初のページのところをごらんいただいてもおわかりのはずなんですが、一九七〇年のちょっと先のところでがたんと弾性値がいろいろな国の線について下がっておりまして、下がってないのはソ連だけであります。  それをもう少し詳しく見ますと、日本ではGNPの原単位、つまりGNP単位つくり出すのに必要なエネルギーの量というものが、指数に直しまして七三年度を一〇〇とするとずっと下がって、八九年では六三まで下がっているということだと思います。ほぼ三分の二に下がっているということでありますが、しかし実は中を見るとこの構造はいろいろ複雑でありまして、全体としては量はふえていますけれども、その中でも産業部門におけるエネルギー単位改善が著しいけれども家庭部門は割合ふえているというようなものがありますので、これは後でほかの参考人の方からもう少し詳しく御説明があると思います。  そういうことでありまして、エネルギー弾性値というのはかなり変わるものでありますし、それから国ごとにもエネルギーのいわゆる原単位というのは非常に違っているわけであります。この違いが何によるかということにつきましてはいろいろな理由がありますけれども、一つは産業構造の違い。産業構造の違いということは例えば重厚長大型の重工業を持っていれば当然エネルギー消費が多いということがあります。それから生活スタイルの違い。アメリカのエネルギー消費日本よりはるかに多いわけですけれども、それはもちろんアメリカの人がたくさん自動車を持っていて自動車を遠くまで乗り回しているということによるものがかなりあるわけです。  しかし、もっと重要な問題としては、やはり技術水準の差というのがかなりありまして、中国のエネルギー消費日本と比べるとかなり多いわけであります。一人当たりにすれば少ないですけれども総量にしますと日本の一・五倍ぐらいでありまして、一・五倍あるいはもっとかもしれません。ですが、GNPは、これは正確に比較することは不可能ですけれども、中国の方が数分の一ぐらいしかないわけですから、とにかく少し大きく言えば大体十倍ぐらい効率が悪いというふうに言えるかもしれません。そういうことのうちのかなりの部分は技術の差によるものであるということが言えると思います。  そういうわけでありますので、将来エネルギー需要が全体としてマクロにどうなるかということについてはかなり不確定な要因が多いと思いますので難しいわけでありますが、そこにちょっとおもしろい図がありましたので御参考までに本の中から引いてきたのでありますが、これは二〇〇〇年にどのくらい世界で全体としてエネルギー消費に対する需要があるであろうかということの数字、下の軸はそれぞれ一九七六年から七七年、七八年、七九年等のそれぞれの年にどのくらいあるだろうかと予測したというその予測値でありまして、その予測の値がどんどん下がっているわけですね。  つまり、オイルショック以後には二〇〇〇年の世界でのエネルギー消費はこのくらいあるだろうと思った。ところが実際にその後、実はオイルショック後、さっき日本で非常に原単位が下がってエネルギー消費効率がよくなったと申しましたが、世界的にそのことは言えるわけでありまして、それを反映して予測の値もどんどん下がってきまして、何かこれでごく簡単に見ておわかりのように三分の二ぐらいまで下がっているわけですね。あるいはもっとかもしれませんが、大体三分の二ぐらいまで下がってしまっているということでありますと、これは予測というものは余り当てにならぬものだということがおわかりかと思います。  予測を困難にする理由はいろいろありますけれども、一つの理由は、省エネに関しまして申しますと、実は技術的な可能性と経済の現実との間には非常に大きなギャップがありまして、純粋に技術的な可能性だけを追求いたしますとまだ非常に大きな可能性があるわけだと思います。日本はかなり技術的可能性が追求されているのでもう余り余地がないと言う方もありますが、私はそう思っておりませんでまだ日本でもかなりあるだろうと思うわけであります。日本のことは詳しい研究を私は余りよく存じませんが、私が伺ったところでは、実はドイツではかなり詳しい研究が行われておりまして、そのドイツでの研究によりますと、生活水準を全く下げずにそして現在の技術だけを前提にしてエネルギー消費を八〇%減らすことは可能であるという結論が出たそうであります。ということでありますから非常にいろいろな可能性があるということですね。  もう一つは、効率というようなことを言うときに実はGDPとかGNPというのは必ずしも正確な尺度ではありませんので、本当に必要な量を考えるときにそれで考えていいかという問題もある。  それから、もちろん非常に重要なことは、オイルショックのようなことがありますと一遍に省エネが進むわけでありますが、残念ながらここ二、三年は、今度逆に日本では、世界的に原油価格が下がったのと円が高かったのと両方でエネルギーコストが非常に下がったために、各企業省エネに熱心でなくなった。これは当たり前のことでありますが、そのために逆にエネルギー消費の効率は悪くなっているというような面がありまして、そういうことによる変化があります。それから政策に関しても、いろいろな積極的な政策をとれば省エネが進むとか、あるいはいろいろな税制とかその他の点でも、また間接的に省エネを進めたり、あるいは逆に省エネをむしろ進めない、ディスカレッジするようなことは起こりますので、そういうことによっても変わるということがあると思います。  時間が来たようでありますので簡単に結論だけ申しますと、そういうことでありますので、将来につきましては、私としては省エネの可能性は日本でもかなりあるし、世界的に見ればもっと非常に大きくある。それについて日本がいろいろな点で技術協力並びに資金協力をする余地は非常にあると思いますし、大いにやった方がいいと思っているんですが、しかしそれは日本でも世界でもやはりいろいろ、その問題は世界情勢及びどの程度積極的な政策がとられるかということに依存するであろうというふうに思います。  そういうことで、とりあえず私の意見を終わらせていただきたいと思います。
  59. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、海野参考人、お願いいたします。
  60. 海野恒男

    参考人(海野恒男君) 日本合研究所の副理事長の海野でございます。  私は、かつて役人をやっておりまして、経済企画庁の物価局、国民生活局、それから総合計画局、三局を担当させていただいたという経験を踏まえまして、いわばエネルギー需給需要供給の双方について少しコメントをさせていただきたいと思っております。  と申しますのは、物価局並びに国民生活局では、それぞれ需要のサイドから、主としてエネルギー価格問題あるいは省エネルギー問題というのを取り扱っておりましたし、総合計画局におきましては電源開発調整審議会というものを預かっておりましたので、いわば電源立地という観点エネルギー供給という観点からの行政にかかわっておったという経験もございますので、需給両面にわたって少しコメントをさせていただきたいと思っております。特に、この六月に総合エネルギー調査会におきまして八七年につくりました長期見通し改定の中間報告が出ております。これを中心にコメントをさせていただきたいと思っております。  既に、この総合エネルギー調査会の中間報告改定見通しにつきましては午前中の審議、質疑等で十分御理解をいただいていると思いますけれども、一応私なりに整理いたしましたのをレジュメに載せてございますが、特に前提条件として私の推測するところでは、GNP伸び率を二〇〇〇年までに大体四%、それ以後を三%、今回の改定見通し作業におきましては二〇一〇年までの見通しを立てておるわけでありますが、二〇〇〇年から二〇一〇年までは三%程度を見ているのではないか。人口の増加率についても、最初七%、それからさらに四%ふえるというふうな見通しを立てておられる。そして、原油価格としては、ここに指摘しましたような前半バレル当たり三十ドル、後半四十五ドルということを想定しているのではないかという推測をしているわけであります。そして、弾性値としてそれぞれ〇・四というのを想定しているという、こういった前提条件のもとに改定作業が行われたということを聞いておるわけであります。  その内容については、既に十分な御理解をいただいておると思いますので、改めて申し上げませんけれども、(4)に書きましたように、私なりに見たところでは、改定前の見通しに比べまして大きく変わったところ、特徴的なところは三つあるのではないかというふうに思いました。  一つは、産業エネルギーというのに対して相対的にウエートが今度は高くなっているということで、もとの見通しではウエートが四六・三%であったものが今回の見通しでは四九・二%と、シェアを上げておるというのが一つの特徴であります。  もう一つは、石油に対するウエートが相対的に高くなっているということがもう一つの特徴と言えるかと思います。もとの見通しでは四五・〇%のシェア石油に期待しておったわけですが、今回の新しいものでは五一・六%ということで、エネルギー源のいわば石油への傾斜が相対的に高まっているという特徴がございます。これは、今回の中東紛争の前につくられた改定見通しでありますので、恐らく今回の紛争が起きた後でつくられていればこういう見通しにはならなかったかもしれませんと思います。  それから、三番目の特徴としては、省エネ目標を明示しているというのかもう一つの特徴かと思っております。  こういうエネルギー調査会での改定見通しについての私の意見でございますけれども、まず前提条件、二枚目にありますように前提条件につきましては、一つは成長率の問題、次に石油価格の問題、それから弾性値〇・四、この三つについてそれぞれ結論を先に申し上げますと、私は、成長率についてはこの程度見通しが妥当ではないかというふうに思っております。  現在の政府が持っております計画では、九二年まで三・七五という平均成長率を想定しておりますけれども、やや潜在成長力から見ると低いのではないかということで、少なくとも二〇〇〇年まで四%程度というのはやや強気かもしれませんけれども、私としては妥当な数字ではないかというふうに思っております。  それから、石油価格についても、この程度のことを想定することは妥当なものではないかというふうに考えます。  しかし、弾性値の〇・四というのは若干低いのではないかというふうに個人的には思っております。これは、ある意味では弾性値というのは結果的に出てくる数字でもありますので、内容を見ないといけませんので、次に内容について申し上げますと、私の感じでは、まず民生用の需要伸びを相対的に低く見過ぎているのではないかというふうに思っております。二〇〇〇年まで二・七%の伸びということを想定しておりますけれども、それでも仮に四%の成長があったとすれば、私はこの民生用の需要伸びはそれでは小さ過ぎるのではないかというふうに思っております。  その理由の一つは、ライフスタイルが非常に大きく変わりまして、すべての家庭でも次第に子供たちが一つの部屋を占領し出す。そのために一人の部屋にそれぞれ一つのクーラーをというふうなこととか、あるいはテレビを自分の部屋に持ち込むといったような傾向が非常に進んでおりますし、もう一つは全体として単身世帯というものが非常にふえてまいっております。そういった意味でライフスタイルが非常に大きく変わってきているということ。それから、諸外国の例を見てみますと、例えばアメリカの個人消費支出の中に占めますエネルギー費の割合というのは、大体最近では一一%ぐらいになっております。それに対しまして日本の場合には六%程度でありますので、まだシェアを大きくする可能性があるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、民生用の伸びを少し抑え過ぎているのではないかということであります。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、中東紛争以前につくられたということもございまして石油依存度を、石油を少し強く見過ぎているのではないかというふうに思っております。そういう意味で、今回の需給見通し総合エネルギー調査会改定見通しは、ある意味では需要を相対的に低く見過ぎているのではないかというふうに思っておりますし、石油依存し過ぎているというふうに思っております。今後恐らくこの見通しの中で、需要は相対的にこれからもっと改定見通しよりも高く、それから恐らく供給のいろいろな制約があるので供給は一層困難になって、需要の不均衡と申しますか、パンクする状態が比較的早く来るおそれがあるというふうに私は個人的に思います。  その対応策として、この三番目に掲げましたように、需要面では、当然需要を抑制する努力をしなければならないわけでありますけれども、一つは、当然省エネ努力をする。既に政府がいろいろなことを決定しておりますので、それに沿って着実にそれを実施していくという努力が必要でありますが、同時に、今後は少し価格メカニズムの一層の活用を図っていく必要があるのではないかというふうに思っております。現在は夏時間だけ多少高くなっておりますけれども、もう少しこれをシャープにしていくということも検討していく必要があるのではないかというふうに思っております。  それから三番目に、これはやや唐突な感がありますけれども、特にことしの電力の需要状況を見たりいたしますと、ピークカットのためのいろいろな社会的なシステムを本格的に考えていく必要があるのではないか。  私は、約二十年ほど前に地域開発の問題を担当しておりました時期に、巨大都市問題というものを分析しまして報告書を書いたことがあるわけでありますが、その最終の結びのところで、このままいきますと東京におきましてはエネルギーとそれから特に水の両方で夏時期にピークが来たときには大変な問題が起きるということで、この時期に一種の休都宣言をしたらどうか、それを制度的に実施していくということにしたらどうかということを提言したことがあるわけでありますけれども、ことしの夏はたまたま非常に暑く、そして水は幸いにも途中で雨が降ってまいりましたのでよかったわけでありますけれども、これが同時に来た場合には大変なことになるという意味も含めまして、私は一種の休都ということを提案したいと思っております。  諸外国、特にヨーロッパ等におきましては、夏に参りましても官公庁等はほとんど仕事にもなりませんし、多くの会社のヘッドクォーターでも同様な現象が見られるわけでありますので、日本もこの際そういったことをもう少し徹底的に、一カ月全部といわなくとも、少なくとも東京都にある主要な官庁、国会はもちろんのことでありますけれども、それから主要な企業が一斉にその時期を分けて長期休暇をとるという制度を導入することが必要ではないかというふうに思っております。  それから、供給面を一層充実する必要があるわけでありますけれども、何と申しましても、これまで少し原子力の重要性について我々はアレルギーを持ち過ぎていたのではないかというふうに思っております。CO2等の関係からすれば一層むしろ化石エネルギー等に問題があるわけでありますし、安全性に関しては十分な措置がとられる可能性のあるものでありますが化石燃料等、石油や石炭といったようなものはどんなに努力してもCO2が出てきてしまう。それに対して原子力の方は、安全性というものを十分配慮すればこちらの方が地球環境上もいいのではないかというふうに思いますので、もう少し原子力必要性というものについて国民的なコンセンサスを得られる努力をすべきではないかというふうに思っております。  それから、これは少し余談になりますけれども、キロワットアワー当たりに幾らかの上乗せをすることによって、その部分代替エネルギー開発努力をする資金を調達するということも一つの方法として考えていいのではないか。石油に余りにも依存し過ぎることは今回のようなことが起きますと大変問題がありますので、やはりエネルギーの安定的な供給ということが経済の安全保障というものの上で非常に重要なものであるという観点から、私はそういったことも一つの考慮に値する問題ではないかというふうに思っております。  とりあえず私の見解は以上で終わらせていただきます。
  61. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、槌屋参考人、お願いいたします。
  62. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) お手元の資料に沿って説明したいと思います。  きょうはエネルギー需要構造についてということなんですが、まずその前に、エネルギー問題をどうとらえるかということを簡単にお話しして、それからエネルギー需要影響を与える要因と対策についてお話ししたいと思います。  まず、エネルギーを使うということ、これは人々の生活を豊かにすることだというふうに考えられます。しかし、現状を見ますと、使いやすい資源が急速になくなっていくとか環境に与える影響が大きくなってきていますから、長期的に地球規模で今のようなやり方を延ばしていきますと、人々の生活を豊かにするというその最初の目的が達成できなくなるというふうに考えられます。  地球規模での人間の活動検討するために、昨年、グローバル資源バランステーブルというのをつくりました。これはエネルギー分析の世界で使われているエネルギーバランス表を地球全体で使われている資源に拡大した表なのですが、次に申し上げるような地球上での資源の消費の規模を知ることができます。  まず、化石燃料として石油、石炭を各三十億トン、天然ガスを十一億トン、こういったものを人類は燃やしています。これらの物質は結局炭酸ガスになって、百八十億トンの炭酸ガスが大気中に放出されています。  それから、材料資源として一年間に鉄を九億トン、セメントを十億トン、紙を三億トン、肥料を一・三億トン使っています。この生産には今申し上げましたエネルギーの一部が利用されています。  それから、森林から木材十三億トンが切り出されて、その半分が主として開発途上国で燃料として利用されています。  穀物生産は十八億トンあって、この六〇%が人間の食糧になっていますが、四〇%は飼料として家畜に供給され、わずか二億トンの肉類になっています。  化石燃料の燃焼に伴って硫黄酸化物、窒素酸化物がおおよそ年間約二億トン放出されています。これは大気汚染物質というよりは、未成熟な技術によって大気中に大量の工業材料が放出されているというような規模になっています。影響は未知でありますけれども、森林が崩壊する、都市の建造物が酸性物質のために崩壊する、遺跡が崩壊する等の報告がなされています。長期的にこのようなことを続けていくとどうなるかというのは非常に心配の種であります。  人間自身も食物をとることによりまして炭酸ガスを放出します。これは冗談のようですが、一人一日一キログラム、五十億の人類からは年間十九億トン、先ほど申し上げた化石燃料から発生する炭酸ガスの約十分の一の量を放出しています。家畜についても試算してみますと、人間の一・四倍ほどになります。  人類は、生物学的な存在の炭酸ガス放出の十倍の炭酸ガスを化石燃料の消費から放出していますが、アメリカでは五十五倍、日本では二十五倍になっています。この炭酸ガスが長期的には地球の温暖化というような問題に結びついていることは御承知のとおりかと思います。  それから、これは余り注目されないのですが、人間が使います化石燃料等は使った後は低温の廃熱になりまして大気中、海、陸地等を温める結果になります。簡単な計算をしてみますと、この廃熱が地球の周りにある大気を加熱したとしますと、一年間に〇・〇五度Cの気温上昇になります。二十年間に一度Cの上昇になるほどの規模の廃熱が出ているということであります。  ということですので、人類の活動というのは地球規模で非常に大きくなっています。ですから、エネルギー問題をグローバルに長期的に考えていく場合には、資源やエネルギーを上手に有効に利用する低エネルギー社会、ロー・エナジー・ソサエティー、あるいは永続的なエネルギーシステムを持つような太陽エネルギー社会へ向かっていくことが必要だと思います。言ってみれば、太古の時代に人間が食糧を、狩猟型の獲得から耕作型に変わったように、エネルギーに関しても、エネルギー狩猟型文明からエネルギー耕作型文明、地上で太陽エネルギーを有効に受けとめて利用するような文明に移っていくべきではないかと考えます。  こうした長期的な視野に立てば、さまざまな政策を、あるいは国際的な場で国際社会に貢献する具体的な計画を導き出せるというふうに思われます。  続きまして、今のような前提条件で物を考えていった場合に、エネルギー需要影響を与える要因と対策について述べたいと思います。きょうは五項目ほど取り出して書いてきました。  まず一番最初は、生活水準向上とライフスタイルの変化ということであります。  所得が上がり、生活水準向上すると、生活にかかわるエネルギー消費増大するということが言われてきました。まだ言われ続けていますが、実際にヨーロッパ等OECD諸国の家庭のエネルギー消費の量を見ますと、もう日本は最高水準になっています。主として違いますのは、暖房用のエネルギーが気象条件によって違うということであります。そういうふうに考えますと、生活に必要なエネルギーの量というのはもう飽和点に達しつつあるのではないか。エネルギー消費増大しないようなライフスタイルへ緩やかに転換していくということが必要なのではないかと考えられます。  ライフスタイルというのは、人間それぞれの人の価値観によってつくられているものですから、こういったところへ政府が直接何らかの規制や政策を打つということは難しいかと思いますが、政府が行うすべての政策は国民一人一人のライフスタイルに何らかの影響を与えるわけですから、どんな政策をとるかという場合に、例えば国が補助したり推進する研究開発、公共投資、都市開発計画、輸送網整備、いろいろな工業製品の規格の決定、こういったときに、こういった場所でエネルギー消費の点からチェックをする、検討を行うということが総合的に必要ではないかと思います。  それから、長期的にはライフスタイルを変えていくものは教育でありますから、教育において、ライフスタイルが変わっていく、あるいは資源やエネルギーを大切にしていくというようなことが重要視されることは言うまでもありません。  二番目の問題といたしまして、エネルギー産業というものの根本問題について少し触れたいと思います。  省エネルギー推進するということは、現在の自由市場経済のメカニズムの中ではエネルギー産業の売り上げと利益を損なうものだというふうに考えられます。例えばエネルギー産業は、よくエネルギー需要伸び悩みであるというふうな表現をします。省エネルギー社会を目指そうという一方、だれが悩むか。悩む人がそこに出てくるということがあらわれています。簡単に言いますと、石油を何リットル、電力を何キロワットアワー売り上げたかを基準にしているエネルギー産業、このエネルギー産業の思考方法を百八十度転換する必要があるかと思います。例えば、エネルギー産業エネルギーの量を売るのではなくて、エネルギーの有効利用技術を売っていく、あるいはエネルギーを利用して生み出される価値を売るようにしていくというふうなことを政府指導したり、そういう方向に向けていくことが必要だと思います。  もう二十年近く前から、鉄鋼業は鉄鋼生産を増大するということではなくて、エンジニアリング産業であるとか半導体等の情報産業へ転換するというようなことを、時代に対応した変化をしています。こういったことをエネルギー産業についても進めない限り、エネルギー産業はそれ自身の運動メカニズムとしてエネルギーの売り上げをふやそうとしますから、そういったことをそのまま放置しておいたのでは省エネルギー社会というふうなものをつくることはできないと私は思います。  じゃエネルギー産業に未来はないのかというと、そんなことはないと思います。最近、隅田川の川の水をビルに運び込みまして、これに非常に効率の高い、COPが五ぐらいのヒートポンプを使いまして、隅田川の水の熱エネルギーをちょっと借りまして、たくさんのビルの暖冷房、温水供給をしているというふうな、エネルギー産業が自分で売ろうとするエネルギーの価値を高めて売るというふうなことをしている例があります。  三番目に、エネルギー価格の問題があります。エネルギー需要低減させる、あるいは省エネルギーを進展させるためにはエネルギー価格が高くなるということが非常に簡単な方法であります。エネルギー価格を引き上げるということが簡単であります。しかし、実際には難しい。ところが、化石燃料等の先ほどから申し上げているエネルギー問題、大気汚染、温暖化のリスク等、こういったものは環境コストとして価格の中に繰り込むべきものであるというふうに考えられます。例えば、数年前にアメリカの環境保護局が発表した炭酸ガス安定化のシミュレーションでは、炭素税であるとか石炭や石油に課徴金をかけるというふうなことがシミュレーションの中に取り込まれておりまして、将来的には国際的世論がそういうような方向へ発展していくだろうと予想されます。  こういったことを考えますと、既存のエネルギー価格の中に環境コストを含むような形にして、そこから生み出される資金が新しいエネルギー開発に向けられるというふうにしていくことが重要かと思います。  次に、四番目にエネルギー利用効率の向上についてですが、エネルギー利用効率の向上については、もう限界であるとか日本世界一効率が高いというような意見がありますが、全然そんなことはないと思います。といいますのは、大抵の場合、住宅に断熱材を五センチ入れたらいいか、十センチ入れたらいいか、十五センチ入れたらいいかということはそのときのエネルギー価格エネルギーに関する問題のとらえ方によって変わってきますから、幾らでも省エネルギーのチャンスはあります。それから、エネルギー供給設備を建設する場合に、その投資の回収期間というのは十五年とか二十年とかいう非常に長期の期間がベースになって計算されていますが、効率向上省エネルギーに対する投資の資金の回収期間はせいぜい二、三年、長くても五年といったところですから、省エネルギーがよいか、供給設備をふやすのがよいか、両方の比較対照をして資金提供が平等化されるような政策が必要であるというふうに思います。  効率向上の技術というのは実用化されて実証されているものが非常に多くありまして、新しい発電所をつくるよりも短期間で成果が上がって、環境への負荷を長期的に将来とも小さくすることができますから非常に有効です。例えば、住宅を断熱化するとか、ペアガラスで窓ガラスからの熱エネルギーの損失を減らすとか、白熱灯にかわるコンパクト蛍光灯をつけるとか、CRTディスプレーにかわる液晶ディスプレーのようなものがテレビにこれから移っていくと思いますが、そういったものの普及を図る。ヒートポンプ、コジェネレーション、モーターの回転数制御、廃熱回収等、いろいろな技術があります。電気冷蔵庫や自動車などのエネルギー消費量は、現在走っているものの二倍以上の効率のものが既に実用化されていますから、そういったものを政策的に誘導して、標準的にそういう効率の高い技術が普及するように持っていくということが重要だと思います。そして、こういった技術を国際的に移転して、世界各国省エネルギーに貢献するという政策が非常に重要かと思います。  最後に、時間とエネルギー消費についてですが、エネルギー消費に関する行動科学的な研究を見ますと、人間は時間を節約するためにエネルギーを使うというふうなことがあらわれます。人間は長くても百年ぐらいの人生しか生きられませんから、その中で有効に時間を使って最高の人生を生きたいというふうな議論をする場合には、時間に関して何らかの規制をするというようなことは非常に難しいし、私はそういう意見に賛成できません。人間がどういうふうに時間を使うかは自由です。  しかし、実際のエネルギー消費の例を見ますと、エネルギーを使って速く移動するとか、エネルギーを使って機械に何かをやらせて、その間に自分はほかのことをやるというふうなことが実際上出ています。ところが、時間を節約するためのコストが非常に大きくなってきていまして、例えば輸送路の建設と維持コスト、それから輸送に関するスピードのコスト、こういったものは非常に高くなってきています。ですから、政府が行ういろいろな開発、大規模開発プロジェクト、公共投資、こういったもの一つ一つに関してそのプロジェクトが時間をどう節約するか、そのためにエネルギーがどのぐらいかかるのかといったことをチェックするというふうなことが必要ではないかと思います。  以上、簡単ですが、私の考えを五項目ほどにまとめてお話ししました。  日本エネルギー利用効率を向上させたり、太陽エネルギーを導入したりすることがどのくらい可能性があるかということを二〇一〇年までの二十年にわたってコンピューターを使ってシミュレーションして、さまざまな検討を行った結果を資料としてつけておきましたので、御参考にしていただければありがたく存じます。
  63. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、垣田参考人、お願いします。
  64. 垣田行雄

    参考人垣田行雄君) ただいま御紹介にあずかりました財団法人日本システム開発研究所の垣田でございます。  私は、エネルギー需要の中で我が国が一番多く使っております石油、LNG、石炭等の燃料、これはほとんど熱エネルギーとして一度燃焼させて使っておるわけですが、そういう観点からエネルギーの効率的利用についてどのような観点が必要であるかということについて述べさせていただきたいと思います。(OHP映写)  まず最初に、現在私どもの使っております燃料を燃やしますと千五百度、千六百度という高い温度で燃えますけれども、そこからここで使っております電気とか、あるいはコンピューター用の電力をとろうとするときに一体どの程度とれるかということを示した図でございますが、これは一八二四年にフランスのカルノーが唱えましたカルノーサイクルというものでございまして、これが熱力学第二の法則ということになっておりますが、現在日本の大気が平均十五度だといたしますと、その場合にとれるエネルギー量というのは、一〇〇のうちたかだか八二%、これが限度でございまして、論理的にこれ以上はとれない。これは論理的でございますから熱力学の第二法則と言っておるわけでございますが、例えばおふろで必要な五十度とか、あるいはまた一般にお湯が沸くという百度という温度でありますと、論理的にも二三%程度エネルギーしかとれない。  ということは、同じ石油あるいは天然ガス、都市ガスあるいはまた石油を燃やしまして、燃える温度は千五百度、千八百度になるんですけれども、実際使うときにどれだけのエネルギーがとれるかということは、これだけ温度によって効率が違ってまいりますし、現実にはこのカーブの約半分ぐらいでございます。現在の大規模火力発電所でも四一・二%が限度でございまして、それ以上はとれません。これが一つの原理原則だと。悲しいかな現在の社会を律しておる原則であります。  そうした観点から日本の使われておるエネルギー消費を見てまいりますと、この図は資源エネルギー庁が出しておりますエネルギー統計から出してまいったわけですが、左の欄に一次エネルギー供給量が入っておりますけれども石油換算で約四億八千二百万キロリットル。お手元にすべて資料がついておりますので、見ていただければ結構でございますが、この中の左に石油、石炭、それから天然ガス、新エネ、水力地熱原子力等書いておりますが、この中の新エネ等あるいは水力地熱、及び最終エネルギー消費産業欄のところに非エネルギーとして9(3)と書いておりますが、先ほど申しました新エネ、水力地熱それから非エネルギー、非エネルギーというのはプラスチック等の材料でございますけれども、そういうのを引きますと、一次エネルギー量を一〇〇といたしますと九三%はすべて一度燃やして使っておる、燃やすという手順を経ているということをまず念頭に置いていただきたいと思います。  そういたしますと、現在四億八千二百万キロリットルの一次エネルギー供給いたしながら、最終的に需要サイドに行っておりますのは三億二千五百万キロリットルということで、それが括弧に書いてありますように大体三分の二しかこちらから行っておりません。  我々日本の社会で求められておるものは、この消費量を下げることが重要なのか、あるいはこの消費に対してどういう方法供給するかということでございまして、私が論じたいのはこの量を同じにしても、ここをもっと下げる方法をまず追求すべきだ。それを追求した後これを下げていく。これを下げるということは節約とか、あるいは勤勉にもっと倹約しろということになろうかと思いますけれども、問題は倹約の前にやることがあるのではなかろうかというお話をしていきたいわけでございます。  この図の中で、ちょうど真ん中に電力化率と書いてあるところに百七十九という数字がありますが、これは一次エネルギー量のうちの百七十九が電力に変わるということでございます。この百七十九から電力に最終行っておるところのE、これ六十二という数字になっておりますが、この百七十九というエネルギーを投入しながら実際に電力になるのは六十二ということで、この比率が約三四・五%になりますけれども、これは、先ほど申しました熱力学の法則によりまして、先ほどお見せしたこのグラフの示す、実際の論理はこうですけれども現実にはこの半分程度しかいかないということを如実に物語っておるわけでございます。  こうした現在の状況にあるわけでございますが、さらに、もう少し細かく見てみますとどういうことが言えるかと申しますと、燃焼エネルギーといいますのは、四ページ目にございますように、最初いろいろな種類のエネルギーを燃やして最終的にいろいろな用途に使われていくわけでございます。ところが、最初入れた段階からいろいろな段階、発電所で電気に変わる、あるいは輸送されて石油が家庭に行く、こういう経過をたどってまいりますが、この経過のどの時点でとっても入れたエネルギー量は一定であるというのがこれは一つの原則でございまして、これを熱力学の第一法則と言っております。そうしますと、当初入れましたエネルギーのうち実際に有効に使われておりますのが三七という数字がございます。これは一九七五年でございまして、一九八六年、下の方では三五という数字になっておりますが、これはどういうことかと申しますと、ガソリンで例えば自動車をお使いになる場合に、一リッターのガソリンを食ったといっても一リッターの仕事をしたかどうかということでございます。時速三十キロとか四十キロで走った場合に、実際に距離を動いた、移動ということに使われますのはたかだか二〇%程度でございまして、八〇%はすべて排気ガスになっております。  そういう観点からいいますと、一〇〇のエネルギーを入れたうち実際に有効に使われておるのは三分の一程度でありまして、残りは全部大気に出ておる、それが結果として地球の温度を上げておるということになるわけでございますが、私は、先ほども申しましたように、有用に使われるエネルギー量、これに対してこちら側からインプットするエネルギー量をいかに減らすかというのが今日の日本の社会に求められている問題ではないかと思うわけでございます。  それで、これは一九七五年と八六年の変化を示した図でございますけれども、ここで問題なのは、まず、民生用が七五年には一四であったものが八六年には一七とふえております。これは先ほど来ほかの参考人からもお話がありましたように、民生用がふえておるというのはまさにこういうことを端的に示しておりますし、また一方、産業用ではかつて四二%使っておりましたのが八六年には三五に落ちておるというのは、産業界が非常な努力をいたしまして省エネを達してきたというものが結果としてあらわれておるわけでございますが、問題となりますのは、今後、こうした産業用の努力にもかかわりませず民生用はふえる、また一方、老齢化とかあるいはまたアメニティー指向によりまして、同じ家庭用でも電気の需要伸びてくるというようなことで、今後これがどういうように変化していくかということが重要なわけでございます。  このような観点から、同じ電力をとるにしてもより有効に電気がとれないかということで、五ページに参りますが、従来の発電所と申しますのは、石油あるいは天然ガス、石炭あるいはまた原子力を使いまして、水を蒸気にいたしまして蒸気タービンを回して発電をしておるわけでございます。そうしますと、原子力では三三・四%、あるいは新鋭の火力発電所でも三九から四一・二%というのが限度でございます。  それはどうしてかといいますと、この蒸気タービンの入り口温度が五百六十六度という温度に規定されておるというところにあるわけですが、先ほど申しましたように、物を燃焼させますと千五、六百度に燃えるわけでございますから、そこで高い温度からはより効率的にエネルギーがとれるわけで、まず最初にガスタービンを動かしまして、ガスタービンから出てきました排気ガスで蒸気をつくって蒸気タービンを回そうというガスタービンと蒸気タービンの組み合わせ、こういうことでコンバインドと言っておるわけですが、これはようやく大規模の発電所では、五ページの表にありますように今から五年前に東新潟の火力発電所で実現されまして、現在、東京電力さんとか今後の発電所の計画はできるだけ高効率な発電にしようという動きになっております。こういたしますと、四三%、四四%というように従来よりも効率の高い電気がとれるというわけでございます。  こうした努力にさらに加えまして、次にお話しいたしたいのがコジェネレーションというものでございます。  コジェネレーションといいますのは、六ページに書いてございますように、従来の発電所が電気だけをおこして残りの六割ぐらいのエネルギーを全部海なり大気に放出しているのに比べましてコジェネレーションは、例えば東京のホテルの下あるいはまた病院の下に発電所を置きまして、そこから出てくる電気を自分で使い、残った排熱で暖房、給湯をする。それによって効率が、一〇〇に対して七〇なり八〇のエネルギーが使えるといることでコジェネレーションがいいという議論が行われるわけです。  私は、コジェネレーションというのはどういうものかというときにこの図が使われるということは理解しておりまして、いいことなんですが、コジェネレーションでは〇・七とか〇・八になる、ところが従来方式だといいところ〇・三五ぐらいしか実際に電気にならないんだよという話がこの図を使ってよく説明されるわけです。これは全くもってのほかの話でございまして、六ページ目の下にありますように、じゃボイラーを使ったらどうかといいますと、ボイラーを使いますと一〇〇のうち八〇%なり九〇%が熱になるわけでございます。ですから、一〇〇のうち幾らが有効に使えるかということだけでありましたら、電気なんてやめて全部ボイラーでお湯をつくればいいわけです。ところが、お湯で電気ができますかということですね。  我々の文明社会というのは、電気という質の高いエネルギーと熱という二つの種類のエネルギーが必要です。電気というのは、一番最初に書きましたように、論理的に何%とれるかという法則によって律せられております。ですから私どもが必要なのは、電気と熱をいかに有効にとれるかということを理解しなくちゃいけないわけです。  その場合に、コジェネレーションというのを使った場合にどの程度の有効性があるかというものを八ページ目に書いてございます。これはホテルとか病院等でお使いになります電気と熱の比率、熱電比と申しますけれども、分子に熱をとり分母に電気の需要をとったものを横軸にとっております。ですから右にいけばいくほど熱の需要が多い、左になれば電気の需要が多いということでございます。  こうした熱需要に対しまして従来の方式、すなわち電気は電力会社から買う、あるいは冷暖房はガス会社からガスを買って自分で暖房、冷房をするという場合を比較しておるわけでございますが、この図でわかりますように、まずエンジンの効率が高ければ高いほど省エネになるというわけでございます。この図を二つ見比べていただいて、下の方の図をよく見ていただきたいんですが、これは省エネルギー性はマイナス、要するに従来の電力会社から電気を買い自分で暖房、冷房をやった方がいいですよ、前の方がいいですよというわけです。コジェネレーションの方がマイナスになる。  これはどういうことかといいますと、コジェネレーションというのは、先ほど申しましたように、一度エンジンに燃料を入れましてそこから出てくるエネルギーで発電をして、同時に出てくる排熱で暖房とか給湯あるいは冷房をしましょうというシステムなんですけれども、出てきた排熱をもしそのまま捨てちゃいますと結局省エネルギー性がない。ですから、やはり出てきた排熱は十分に使わなくちゃいけないんですが、問題は十分に使えるだけの熱需要があるかどうかということでございます。  一般のビルでございますと、ほとんど一か一を割りますところに熱と電気の比率があります。ところが、ホテルとかですと、お客さんがおふろに毎日入りますから給湯需要が非常に多くて、それが一・五とかあるいは二を超える場合があります。そうしますと、出てきた熱を全部お客さん用の給湯に使えますから、現在いろいろなところでコジェネレーションがふえておる中の多くはホテルとかでございます。その状況を示しましたのが次のページでございまして、十ページに現時点までどのようにしてコジェネレーションがふえてきたかという図を書いてございます。  十ページ目は、これはホテルとか病院とかのような事務所ビルでございまして、横軸に年度をとっております。昭和五十八、九年ごろからようやく急激にふえてまいりますが、これはエンジンが有効に動くようになってきたということでございます。  エンジンが有効に動くというのはどういう意味かと申しますと、例えば大手自動車会社が皆さん方に保証しておりますエンジンの寿命といいますのは、十万キロメーターは保証しますと。十万キロメーターというのはどういうことかといいますと、例えば平均で三十キロぐらいの時速で走っていたといたしますと三千時間。要するに三千時間保証しますということです。ところが、一年間は八千七百六十時間でございますから、三千時間ということは一年の半分以下の保証しかしていない。ところが、自分のホテルとか自分の病院でコジェネレーションを回そうとしますと、少なくとも一年、二年は事故なく回ってほしい。そうすると、一万時間とか一万五千時間回ってくれなくちゃいけない。ところが自動車のエンジンというのは三千時間とか四千時間しか保証していないわけですから、いかに技術開発が重要であったかということでございます。  そういうことで、昭和五十八年以降ようやくふえてまいりまして、現在といいますか、ことしの三月末で四百五十一件、それからキロワットにしまして十九万二千キロワットぐらいにふえておりまして、その多くは、先ほど申しましたようにホテルとかスポーツ施設あるいは健康ランドのように熱需要の大きな建物でございます。  この中で事務所というのが多くなっておりますが、これは実際に超高層ビルとか、あるいはまたガス会社さん、石油会社さん等の自社ビルでデモンストレーション的にやりたいというのが多くて事務所が多くなっております。実際、商用的にいきますと、ホテルとかスポーツ施設とか、あるいは病院とか健康ランド等の給湯需要の多いところで多くなっております。  それはまた、産業界といたしまして工場用ではどうなっておるかと申しますと、十一ページにございますように、これも同じように昭和五十八、九年から急激にふえてまいりまして、現在三百五十二件、百二十五万キロワット程度伸びになっております。  この工場の場合に少し誤解があるといけませんけれども、六ページ目に、戻って恐縮ですが六ページの真ん中に括弧してございますが、製鉄業とか石油精製業、製紙業等の電気需要、熱需要の大きなところは従来蒸気タービンを使ってこうした熱供給をやっておりました。先ほど示しました図は、ガスエンジンとかディーゼルエンジンあるいはガスタービン等の内燃機関を使ったものでございまして、現在ようやくそうした内燃機関を使ってコジェネレーションができるという状況になったということが一つございます。  それから、九ページに書いておきましたけれども、コジェネレーションの省エネルギー性というのは、その需要の電気及び熱のパターンによって随分変わりますよと。それからまた設計がいい、悪いによって非常に変わるということがございまして、私はコジェネレーションというのは適材適所で使って、先ほど申しました日本需要に対していかに省エネルギー供給するかという場合に適材適所をよく判断できる技術力を日本全体が持っていく必要がありますし、またそういう制度にする必要があると思います。  ただ、一つ残念な点がございまして、これだけ省エネルギーになるということは、炭酸ガスの発生も少ないわけですからいいんですけれども、窒素酸化物、NOxというのが従来の方法に比べて非常に多く出てまいりまして、現在、東京都の規制がその真ん中の欄に書いておりますが、これに対していかに対応していくかというのが一つの問題点になっておりまして、現在コジェネレーションに携わる各関係者の技術開発のターゲットの一つになっております。これにつきましては今後とも十分な技術開発をしていただきたいと思っております。  そうしたコジェネレーションについて、さらにNOxも出ないのは何かというのが十二ページに書いてございます燃料電池でございます。燃料電池は、皆さん御承知のように、水に電気をかけますと水素と酸素の電気分解ができるというのは中学校ぐらいにお聞きかと思いますが、それを逆にやろうということでございまして、水素と酸素を化合させれば電気が出てくるということで、これは今から約百六十年ぐらい前、イギリスのグローブ卿が発明したわけですが、実際には今から二十五年前にアポロ計画のジェミニの五号に搭載されまして、宇宙ロケット用の燃料になった。それから、何とか商用化できないかということで鋭意技術開発が行われまして、一九八五年につくばで行われました科学技術博覧会で実証され、あるいはまた今東京、大阪等のホテルで実証プラントが動いておりますが、こういう燃料電池ができますとNOxはほとんど出ない、それからまた非常に高効率ということでございます。  さらに、先ほどの参考人からもお話がありましたけれども、ヒートポンプということ。皆さん方の家庭もかつては灯油とかあるいはまた都市ガスだけで暖房なさっていた。ところが最近は電気でということが多いと思いますが、それはどういう方法で暖房ができるかということでございます。例えば山の上でお米を炊いて御飯をつくるときに、富士山とか非常に高い山だとしんができてどうしようもないというのは、温度が低い温度、今私どものレベルですと百度でお湯が沸きますけれども、高い山になりますと九十度とか八十何度でしかお湯が沸きません。それと同じように、今度は圧力をかけますと、例えば水でありますと十気圧の圧力をかけますと百八十度ぐらいまでは水なんですけれども、そういう圧力と温度というのは関係するんです。  今皆さん方の家庭用に使われておりますエアコンディショナーに入っております物質は、例えば七気圧をかけますと十度で蒸発してしまう、あるいはまた二十気圧をかけますと五十度で蒸発するという圧力と温度の関係がございます。そうしますと、大気の温度が十度ぐらいでも結局それを一度圧縮して凝縮する、それでまた蒸発させる。蒸発するというのは、皆さんが病院へ行って注射なさるときにアルコールで消毒しますけれども、そうしますと冷えますが、そういう冷える状態。要するに蒸発させると熱を奪って冷えるわけですが、そのときに部屋を冷やす。ところが、また、冷えた蒸気が今度は液体に戻るときに凝縮するときには熱を出す。ここで、冬にはこちら側を使う、ですから部屋が暖まるわけです。夏には切りかえますと、こちらで蒸発しますから部屋が冷える。この回りぐあいを夏と冬に逆にいたしますと、同じ機械で暖房も冷房もできる。  それで、河川水を使った例が先ほどありましたが、それはどういうことかといいますと、河川水は十度とか十五度の温度がありますから、それをここで蒸発させて圧縮機で圧縮しますと、ここでは五十度とか五十五度のお湯がとれるということで、河川水からも暖房ができるということでございます。  こうした新しい技術開発というのがどんどん進んでおりまして、これを使いますと、十四ページに書いてありますような地下鉄の排熱とか、あるいは地中送電線、下水、地下水、あるいはまた海水等が使えるわけでございますが、こうした技術開発によりまして同じ需要に対して供給エネルギーをいかに少なくしていくかが今後の課題ではないかと思っております。  それで、私の結論といたしましては、エネルギー有効利用というために技術開発の成果をいかに社会に適応しやすいような社会制度にしていくか、あるいは町づくり等につきましても、下水あるいはごみ等あるいは地下鉄の排熱等があるところの熱を、今までは使い捨て一方であったものを、それを利用する立場で町づくりを考えているかどうかというような点につきまして問題提起をさしていただいて、私の話とさしていただきます。  どうもありがとうございました。
  65. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、古垣参考人、お願いいたします。
  66. 古垣一成

    参考人(古垣一成君) 私は、省エネルギー推進の実務を担当する立場から、我が国省エネルギー現状、国際比較を交えながら概観いたしますと同時に、今後の対応策ということについて述べさせていただきたいというふうに思います。(OHP映写)  この絵は見なれた絵かと思いますが、七三年のオイルショックまでGNP伸びエネルギーの総需要石油伸び、並行しておりました。七三年のオイルショックを我が国は見事に乗り切ったわけでございますが、GNPは着実に伸びながらエネルギーの総需要はほぼフラットということで、経済成長にもかかわらずエネルギー需要を抑制いたしております。さらに、石油につきましては石油代替技術、その促進効果によりまして、石油はむしろ減少ぎみでございます。電力は着実に伸びておりますことは御承知のとおりだというふうに思います。  ただ、この絵で私が申し上げたいのは、最近のここの二、三年、非常にこの使用が上がっておる、伸びておるということでございます。これにつきましても、先ほど竹内先生がお話しになったのと同じGNP単位に対するエネルギー消費でございますが、この数年フラットになっております。省エネルギーの指標という意味で、最近省エネルギーが停滞しておるというのですか渋滞というんですか、飽和ぎみだということが言えるというふうに思います。  国際的に比較してみますと、先ほどは竹内先生非常に難しい絵で御紹介されましたが、これはもともとでございますので見やすいかと思いますが、各国エネルギー消費のGDP原単位でございます。日本はもともと低かったわけでございますが、右下がりになっておりまして、これが省エネルギーの成果だというふうに思っております。各国これ気象条件、国土の広さ、産業構造その他で、あるいは為替レート等で一概に比較しがたいわけでございますが、大体の傾向はこれで御理解いただきたいと思いますし、なおかつ各国とも程度の差はあれ右下がりで、省エネルギー努力が先進各国ではなされておるということが御理解いただけようかというふうに思います。  国内状況ですが、先ほどから出ておりますように、GNP伸びに対しまして、運輸部門はほとんど同じ伸びをいたしております。民生部門もそれなりの伸びをいたしております。産業部門のみが低下いたしておるために、全体として我が国エネルギー需要伸びが抑制されておるわけでございまして、この絵から我が国省エネルギーというのは産業部門中心に行われてきたと。民生、運輸部門は、国民生活の豊かさと引きかえであればいいわけですが、結構伸びてきておるということが言えようというふうに思います。  この関係をもう少し細かく見てみますと、原油価格、この絵のとおり非常に大きく変動いたしました。上の産業部門をごらんいただきますと、まさに原油価格と反比例しておりまして、経済効果がそのまま働いておりまして、原油価格の高いときは産業部門エネルギー消費が少ない、油が安くなりますとかなり消費が伸びておるということが言えそうであります。残念ながら民生、運輸部門につきましては、この程度価格変動では、多少影響があるようでございますが極めて軽微な影響で、原油価格の動向にかかわらず着実な伸びを示しておるということが言えようと思います。  しつこくなりますが、産業部門省エネルギー設備投資と原油価格関係、さらに詳しく見てみますと、先ほどと同じことが言えるわけでございますが、鉄鋼、石油化学、紙・パ、各部門とも大体同じような傾向で、産業部門どの部門をとりましても原油価格に非常に敏感に反応しておるということがうかがえます。産業部門、非常に省エネルギー努力したということでございますが、産業部門エネルギー消費というのは産業構造との関係がございます。したがいまして、この表で分析しているわけでございますが、生産水準変化あるいは業種シェア変化によってもかなり大きな影響を受けるわけでございますが、原単位変化ということにつきましても各年ともマイナス基調でございまして、これがまさに省エネルギーの正味の値だというふうに理解していいと思います。  ただ、この原単位変化につきましても、かつてはかなり大きな値、五ないし六百万キロリッターというような非常に大きな値であったんでございますが、最近では百ないし二百万、八八年では二十万とわずかに低下が見られるだけで、産業部門もこのあたりが今後の問題でございます。  エネルギー多消費の四業種、鉄、紙・パ、石油化学、セメントにつきまして七三年からの省エネルギー実績を見ますとこの表のとおりでございまして、業種によって多少の差はございますが、二〇ないし三〇%ぐらいの省エネルギーをしてきております。ただ、一時的に上がっておりますけれども省エネルギーというのは決して楽なものではございませんで、石油から石炭への転換とか、省エネルギー技術導入した設備が順調に動くまでのトラブル、立ち上がりの期間とかいうことで切りかえ当初はかなり苦労した面もこのグラフはあらわしております。このような我が国省エネルギーでございますが、省エネルギーは厳密には産業部門、原単位で比較すべきでございます。  鉄とセメントが生産トン数で非常に統計が整備いたしております。化学製品とか紙・パになりますと、いろいろな製品をつくっておりましてなかなかその補正が難しいわけでございますので、鉄とセメントで我が国省エネルギーの実力を国際比較いたしますとこの絵のとおりでございます。白抜きの線は生の数字、専門的になって申しわけございませんが、鉄鋼比というのでエネルギー消費がかなり変わりますので、技術的にその辺を補正したのがハッチングの入ったところでございますので、技術的にはこのハッチングの入ったところで比較すればいいかと思いますが、米国は日本の約四〇%ぐらい、その他欧米各国も二〇%ぐらい余計エネルギーを使っておるということがわかります。同じようにセメントについて見ましても、大体五〇%ないし六〇%、諸外国の方が日本よりも多くのエネルギーを使っておるということになります。  このようなことを申し上げる一つの私の意見は、技術移転といいますとすぐ発展途上国に対する援助、協力ということを申し上げますが、まずやるべきは炭酸ガスの問題と考えて先進国みずからがやるべきことでありまして、その意味では我が国国際協力というのは先進国に対しても技術の交流、この辺に今後力を入れていく必要があろうかなというふうに思うわけでございます。  ただいままで非常に我が国の代表的な産業省エネルギーの優秀性を申し述べてまいりましたけれども、これはエネルギー多消費の産業というのは規模も大きく資本の大きい会社、管理の行き届いた会社でございます。産業部門の全体のエネルギーをこのような大企業で六五%消費いたしておりますが、残り三五%は中小企業でもエネルギーが消費されております。この値は決して無視できない値でございますが、中小企業省エネルギーにつきましては省エネルギー法、エネルギーの有効利用に関する法律の適用が当然及んでないこともありますが、エネルギー管理士もおりませんし、エネルギー技術者もおりませんし、なかなか管理がうまくいってないのが通例でございます。  私ども省エネルギーセンターは、中小企業庁の委託を受けまして中小企業エネルギー診断アドバイス事業を展開いたしておりまして、今日までに約五千社実施いたしましたが、そのデータの一部を見ますと極めて基本的なことすらなされてない。発展途上国が非常に未成熟、未熟だといいますが、我が国の中小企業発展途上国とそうレベルの差はない。したがいまして、我が国の中小企業における省エネルギーの余地というのはまだ十分にあるというふうに考えております。先ほど五千社ほど診断、指導をしたと申し上げましたけれどもエネルギーを比較的多く使用しておる中小企業はその数四十五万事業所と言われておりますので、この辺まだ今後、先進国発展途上国のことも大事でございますが、我が国の足元、数多くの中小企業エネルギー管理というところにつきまして省エネルギー普及の実効を上げる余地があるというふうに思いますので、中小企業に対する諸政策がございますが、省エネルギーという問題につきましてもこの点御配慮いただきたいところだというふうに思っております。  国際協力の方でございますが、中小企業の話と同じなんですが、ここに出しました数字は私ども省エネセンターが三カ国、タイのバンコク周辺、中国の大連、それからアルゼンチンで、JICA、国際協力事業団の委託を受けましてその国の産業部門、工場の省エネルギーの診断とアドバイスをいたしました。その結果、このAといいますのは、ほとんどお金をかけなくてやることをきちんとやれば六%、ちょっと計器をつけてやるというような小改善でもやればBで六%、さらに本格的に省エネルギー設備を入れればCで約六%、丸めて私はこれを三、六、一八と言っているんですが、一八%ぐらいは大した資本の投下なしに発展途上国につきましては、まあ中小企業もほとんど同じでございますが、省エネルギーの余地があるというふうに思っております。これは我が国の大企業におきましては、先ほども出ていましたが、この辺まではやり切っておりまして、あと投資回収が三年とか五年とかいう案件はまだ残っております。  これで申し上げたいことは、試算でございますが、一%省エネルギーするのに発展途上国や中小企業ですと九十四万円で済む。先ほど申しました鉄鋼とかセメントあたりですと、省エネルギーの余地はありますが三百六十万円かかる。この差が三・八倍ございますので、同じ省エネルギー投資をするんであれば海外でやった方が非常に効果的だということが言えるというふうに思います。  これがそのステップでございまして、A、B、Cという省エネルギー技術と設備投資の関係でございますが、省エネが進めば進むほど省エネルギーにはお金がかかるわけでございますので、省エネ程度の低いところ、先進国でも発展途上国でも我が国の中小企業でもありますので、そちらに技術移転というんですか、技術を指導するということは極めて有効だとというふうに思っております。  ただいままで産業部門を申し上げましたが、民生部門につきましては先ほどから大分お話がございましたので簡単にしますが、日本の世帯当たりのエネルギー消費、国際比較すると結構少ないわけでございます。  民生部門省エネルギーにつきましては二つのポイントがございます。一つはエネルギー有効機器を使うこと。機器の効率がよければテレビにしても冷蔵庫にしてもこれはもうおのずと省エネルギーになるわけでございまして、私どもこれ知らず知らずの省エネルギーと、意識しないで省エネルギーが進むということで、省エネルギーに関しましてはやはりエネルギー効率のいい機器を消費者のところに届けるということが第一点大事かと思います。このとおり非常に冷蔵庫につきましては七三年から七〇%もエネルギー消費を少なくしておりますし、テレビにつきましても約半分ぐらいになっておるわけでございますが、こういういい機器を使いながら、先ほどから申し上げていますように民生部門エネルギー消費がふえておるということにつきましてはいろいろと問題がございます。  こっちの方がわかりやすいんですが、かつては扇風機とこたつ、日本は夏は扇風機、冬はこたつでございました。こたつは英語にならないのでこのまま扱っておりますが、これは頭打ちで、あっても余り使われていないんじゃないかと思います。結構使われておりますのがルームエアコン、二台目のカラーテレビ等であります。  このようなことで、民生部門につきましては今後とも優秀な機器を提供することと同時に、何といいましても、こたつ、扇風機をもう一度使ってくださいとは申し上げませんけれども、やはりライフスタイル、意識というものが非常に大事でございますので、普及・広報活動というのは息長く着実に今後とも推進すべき項目だというふうに思っております。  先般行われました省エネルギー部会の中間報告でいろいろな省エネルギー対策が提案されました。この中で、産業部門につきましてはまだまだ排エネルギーがございます。これの活用促進ということが重要でございますし、民生部門では二十一世紀に向けました省エネルギー機器、効率機器の開発、家庭におけるエネルギー使用の適正化のための普及・広報活動等が重要かなというふうに思っております。  ちょっと話題になっているかと思いますが、社会制度という話ではサマータイムということで私ども今いろいろと勉強いたしておりまして、これだけ世論で話題になっただけでも一つの効果があったかなというふうに思っておりますけれども先進国の中でサマータイムをやっていないのはアイスランドと日本だけということになっておりますので、省エネの面からこの辺も今後考えていきたいというふうに思っているわけでございます。  とりあえず以上で終わらしていただきます。
  67. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 福間知之

    福間知之君 参考人の皆さんからそれぞれのカテゴリーで非常に示唆に富むお話を今伺いまして、今後勉強さしてもらわなきゃならぬほどたくさんの情報をちょうだいしたわけでございます。限られた時間でございますので、二、三お聞かせをいただきたいと思います。  竹内参考人と海野参考人に最初にお伺いします。  まず、竹内参考人にですが、石油危機以降成長率が低下し、省エネ技術の開発あるいはエネルギーの節約努力等によりましてGNP弾性値が大きく低下をした。単位実質GNP当たりのエネルギー消費量は、先ほど来触れておられますようにほぼ三分の二まで低下をしておけます。このことは、一面エネルギーの消費効率が増大したことを意味しているとも言われておりまして、過去の石油危機の時期における日本以外の先進国あるいは途上国のエネルギー対策とその結果についてどういうふうにお考えになっておられるか。先ほどのお話でも、国内でもあるいは国際的にも産業構造の違いとかあるいは生活スタイルの相違とか、さらには技術水準の高低がそれぞれやはり大きな影響を及ぼすと、こういうふうにおっしゃっておられましたが、私もなるほどなと思うんですけれども、そのあたりもう少し敷衍していただければありがたい。  それからもう一点、いわゆるCO2濃度の上昇によりまして地球の温暖化問題が重要になっていますが、先進国間においてこの点についての意見の相違があるのじゃないか。これは朝ほど当局にも私はお尋ねをしたんですが、そんな気がするんです。したがって問題は、そうは言うが大変推進が容易ではない、困難を伴っているということも予想されますが、我が国としては技術的なあるいは経済的な対外支援策も含めましてどういう貢献策が考えられるのか。以上二点を竹内参考人にまずお伺いします。  海野参考人には、中長期的なエネルギーの安全保障にかかわる基本的な問題は、エネルギー価格の急騰によって経済的な損失を可能な限り回避できるところの経済体質の構築にあると言われております。そのためには、仮に需要抑制が困難であれば供給増加は避けられないものでございまするから、結局、今後の環境保全等を考慮すれば、必然的にエネルギー消費に占める石油依存率低下させるようなエネルギー源の多様化の選択が必要となると思います。そうした場合に、具体的にどういうふうに開発努力を進めるのがベターと考えられますか。俗に我々今までエネルギーのベストミックスなどということを軽々しく口にしてきたことがあるわけでございますが、さてどのようにその点をお考えになられますか。  二番目には、日本における従来の省エネルギー推進というのは、原油高とか円安とか成長率の低下という経済環境の場合、極めて機能的に発揮されてきました。今、古垣さんの最後の方の説明でもそうでございました。本来省エネというものは原油価格の高騰に対応するという必然性がなければなかなか効果を発揮し得ないものであるのか。結果的に産業とか交通、民生を含めその成果について格差がありますが、特に民生部門においては二〇〇〇年度までのエネルギー需要年平均二・七%の伸び率で増加するのじゃないかと見込まれておりまして、住居環境の拡大、先ほどのお話にあったライフスタイルの変化などの対応で効果的な省エネ対策推進するためにはどういうふうな方法がよいと考えられますか。最後の方で海野参考人は、長期休暇という問題も提起されましたし、あるいはまた休都宣言、あるいは休都の制度化と。  つい先日、ある団体の東京圏一極集中をどう考えるかというフォーラムに私コーディネーターで引っ張り出されたんですが、御高名な下河辺大先生が休都宣言をやっぱりそこで提言されておりまして、初めてそのときにその言葉を耳にしました。きょう二度目、休都宣言なる言葉を耳にしましたが、これは非常にユニークでしかも効果的な提言だとは思うんですけれども、以上お二方にまずお伺いします。
  69. 竹内啓

    参考人(竹内啓君) ではお答え申し上げます。  各国状況でありますが、それにつきましては、ただいま古垣参考人の方から適切な資料をお示しいただきましたように、すべての先進国が一九七三生のオイルショック以後ほぼ一様な比率でGNP単位が大分下がっているわけであります。にもかかわらず、実は絶対的水準ではかなりの差があるというのが現実でございます。  それが何によるかということにつきまして、いろいろな理由があると思うんですけれども、一つは、生活水準の差とか生活のスタイルの差というのがあって、アメリカとかカナダは自動車を非常にたくさん使わざるを得ないというような生活の状態にありますが、そういう問題が一つあると用うんです。それから低温地域、寒冷地では暖房が非常にたくさん要るというような問題もあると思うんですが、そのほかに技術的な水準の差もあるということも確かだと思います。それにつきましてまた比較可能なところにつきましては、先ほどの古垣参考人の方の資料の中でもお示しいただいたところだと思います。  ただ、私がここで一つだけつけ加えておきたいと思いますことは、国際比較につきまして申しますと、実は新しい技術ができましてもある程度の投資をしないとそれが実現できないわけですが、その設備投資をするには時間がかかりますし、お金もかかる。特に日本産業に関しましては、非常に新しい設備が多いということと技術開発のための投資が非常に盛んであるということのために、新しい技術を非常に早く取り入れられるということが日本省エネ産業部門では非常に進んでいるということの一つの理由だと思いますし、またそのことが民生部門などでは逆に例えば新しい断熱材をうまくたんさん使えば暖房の効率が非常に上がるというようなことがありましても古い家ではなかなかそれをやれないということがありまして、そのためになかなか技術があっても普及しないというような面がありますので、そういうことも事実数字の上の差として反映してくるのではなかろうかというふうに思っております。  それで、それに関しまして実は国際的ないろいろな意見の相違があるのではないかという御指摘がございましたが、それはまさにそのとおりでありまして、大体CO2の地球温暖化効果に対応するためのCO2抑制につきましては、ヨーロッパ諸国は非常に積極的でありますが、アメリカはどちらかと申しますと、少なくとも現在の政府の周りは大変消極的でありまして、CO2の温暖化の効果が具体的にどのくらいになるかということについてはまだよくわかっていないのだから早まって対策をとって経済成長を阻害するようなことはマイナスであるというような意見が強くて、ヨーロッパ諸国は、そんなことを言っていても本当に温暖化の効果が現実に例えば海面上昇になってあらわれてからでは手おくれであるから早く対策をとらなければならないという立場と対立しております。日本政府は、最近はある程度ヨーロッパ諸国寄りの方に移ったように私は拝見しております。  私の考えは、その次の二番目の御質問と関係いたしますけれども、CO2の増加による温暖化が本当にどのくらいの影響があって、例えば海面上昇というのがどのくらいのものをもたらすかということは実はよくわかっていないことがあるわけですけれども、少なくとも例えば開発途上国のようなところに関する限りは、エネルギー効率を高めるということは経済成長を効果的に行い、そしてさらにNO2とかNOxとかCO2とかSO2とかいうようないわゆる普通の意味での大気汚染物質の排出を減らすといろ、あらゆる意味で非常に効率のいいことでありますから、それによってCO2の削減を図るということは、仮にCO2そのものの効果が非常に重大なことでないとしても非常に有効であると思いますので、そのために日本は大いに対外支援をすべきであるというふうに私は思いますし、そのための一つの手がかりとしてCO2削減ということを一つの目標にすることもいいのではないかというふうに思っております。  ただ、ついでに申しますと、実は技術援助はなかなか難しいところがありまして、相手国が十分納得しませんと、相手国がまだ開発途上国では、そういうCO2の抑制とか環境基準の改善とかいうようなことについてやるほどの余裕がないのだ、だから何でもいいから今あるものを使い、とにかく最新の機械だけを入れたいというような要求がありまして、そういうエネルギー消費効率の改善というようなぜいたくをしている余地はないというような考え方をする人がありますのですが、それは開発途上国の側の立場からしても間違いであるということを十分説得して、相手側の納得を得てそういうための技術援助を進めるということが非常に重要なのではないかというふうに思っています。
  70. 海野恒男

    参考人(海野恒男君) 福間先生から二つ御質問いただきました。  御質問にお答えする前に改めて申し上げますけれども、私は総合エネルギー調査会改定見通しについての批判的なコメントをしたわけでありますが、現在でも率直に申し上げましてこの改定見通しの中で想定されております供給見通し達成がこのままでもかなり難しいんじゃないか、それから需要の方はこれを上回ることはあっても下回ることはないのではないか、こういうふうに思っております。そういう意味で早晩パンクする可能性があるということを前提に申し上げ、これから御質問にお答えしたいと思うんです  第一番目のエネルギー源の多様化ということで、特に石油依存し過ぎますと非常にボラタイルな動きを価格がするということでエネルギーの安全保障というものが確保できないという観点からもう少し多様化していく必要がある、そのために何が必要かというふうな御質問だったんですが、私はもちろん代替エネルギー開発ということは当然やらなければいけない、太陽熱の利用あるいは潮流その他のいろいろな利用も考えなければいけないと思いますが、今のところでは、これはあくまでもやはりそれでもって巨大なエネルギー需要を賄えるものであるかどうかということについては、直ちには疑問を持ちます。相当長期にわたれば別でありますけれども、当面と申しますか、ここ五年ないし十年を考えた場合にはかなり難しいと思うので、どうしてもやっぱり先ほど申しましたように私は原子力エネルギーについてもう一度考え直す必要がある。  日本の場合には、チェルノブイリとかあるいはスリーマイル島等の経験から、あるいは日本自身が被爆しているというような経験から余りにもアレルギーが過ぎますけれども、実際には石油その他の化石燃料等を燃やすことによるいろいろなCO2、NOx等が出てくるという地球温暖化との関係で言えば、今の技術で相当努力してもどうもそれを防ぐのは難しい。しかし、原子力の方の場合には、技術開発といいますか、技術的な努力によってこの安全性は確保できるというものでありますので、やはり主力は原子力ということでこれについてもう少し国民的なコンセンサスが得られるような努力をすべきであるというふうに私は思っております。  それから、二番目の点でありますが、民生用が二・七%伸びるということが想定されておるわけでありますけれども、これも今の供給が非常に制約されているということを考えますとできるだけ抑えなければいけないと思います。そのためのいわば非常に効率的な器具を開発するとか省エネルギー努力をするということは当然であります。そしてちょっと紹介いたしましたように、私はいろいろな社会的なシステムも考えなければいけないと思います。それでも今の供給の可能性とそれから需要伸びの見込みからしましてかなり難しい状態になるので相当努力をする必要が需要面でありますけれども、最終的には一種の価格メカニズムを活用することによって、ぎりぎりどうしてもだめな場合には国民一人一人に、たくさん使えば相当家計に負担がかかるというような価格システムを導入するということが場合によったらかなり必要になるかもしれないんじゃないかなというふうに思っております。  休都といったような考え方は二十年前に御指摘の下河辺さんと一緒に仕事をしていたときに考えたものでありましたけれども、やはりことしの夏などを考えますと特に、私どもエネルギーにプラス水資源というものをその当時は考えておったわけですが、ことしは夏直前になって雨が降りましたので事なきを得ましたけれども、春先のような状態が続きましたらどこの水がめもほとんど空になっているというような状態があの夏にきていたら大変なことになったんじゃないかというふうに思いますので、この際ヨーロッパ並みのいわば休みをとるということが少なくとも首都においては必要なんじゃないか。そして首都機能をある程度停止するというようなことがあっていいんじゃないか。それをしても日本経済はそれほど大きな痛手を受けないで発展するだろうというふうに私は思っておりますので、そういうふうにお答え申し上げたわけです。
  71. 福間知之

    福間知之君 次に、槌屋参考人、古垣参考人垣田参考人にお伺いします。  槌屋参考人の方から非常にユニークなお話を伺いまして感銘を受けたんですが、CO2の排出量について二〇〇〇年時点で一九八八年水準以下に削減可能ということが地球環境保全にとって最も望ましいと思うわけでありますが、そうした観点から、いわゆる炭素に依存した経済、これは参考人のおっしゃっていることですけれども、それから転換するためにエネルギーの利用効率を高めること、太陽エネルギー技術の確立を急ぐこと、CO2を吸収する植林の推進を行うほか、人間のライフスタイルを変更することによって解決できると御指摘されましたが、政府長期見通しに述べられていますようにエネルギー面からの重大な制約を生じさせないこと、エネルギー消費に対する規制措置を講じないことなどを前提としまして経済発展を維持するとした場合に、技術的立場から各需要部門別に可能と考えられる根拠、問題点というのは一体どうなのかということが一点。  二点目に、エネルギー消費に対して行われる規制措置を講じないことを前提としてライフスタイルを変更するためには一体具体的にどういう方法が考えられるのか。  三つ目に、太陽光発電は光を受けると御承知のとおり直流電流を発生する半導体組織、いわゆる太陽電池ですが、これを利用した発電方式ですから、システムは簡単で環境汚染がないなどということで近年脚光を浴びておりますが、しからば開発現状と生産コスト、経済性などについて今後どういうふうにその応用範囲が考えられますか。  四つ目は、コジェネレーションに関してです。近年急速に普及していますが、今後ともコジェネが供給するエネルギーの質、すなわち電力と熱ですが、その安全性、環境対策及び燃料の多様化への対応などで、これらがすべての面で大型発電所の発電効率と競合できなければ発展の余地がないように思うんですが、いかがですか。  これは、先ほど垣田参考人もコジェネあるいはヒートポンプなどでおっしゃいました。垣田参考人はここでNOx対策は問題が残っているとおっしゃいましたが、私もそう思うんです。そうしたらば、解決の可能性というのは垣田さん、どうお考えでございますか。  以上、槌屋参考人に四点ばかりお伺いしました。  古垣参考人三つお伺いします。  我が国は、二度にわたる石油危機におきまして他の先進国と比較した場合にいち早く石油依存率低下させるとともにその一環として省エネルギー化が進んだと考えられますが、国民的合意による消費節約が先行したのか、あるいは技術が先行したと言えるのか、その実績についてどのように評価をされますでしょうか。  二つ目に、システムとしての省エネルギー推進について、特に産業部門エネルギーの六〇%ぐらいがロスだと言われています。先ほど垣田さんのお話でもそう言われていますが、具体的にどういう方法で進めるのか、その効果、見通し等について御意見をお聞かせいただければありがたい。  三つ目に、地球環境保全のために今後我が国に対し開発途上国等から各種の経済支援と並んで技術指導など国際協力が求められると予想されますが、エネルギー利用効率などの技術移転について、先ほどちょっと最後にお触れになりましたが、どういうふうに考えていかれますか。  それから、最後に垣田参考人、先ほどの問いと合わせまして、特に参考人の前段の話でエネルギーの第一次のインプット量と最終消費の量とが大変乖離があっていわゆる不経済であるということで、最終消費量を減らす努力はもちろんできるだけやることは結構だが、その投入量を抑制する、そして効率的な消費に成功すると、こういう趣旨が述べられたんですけれども、これは多様なエネルギーがございますのですべてにわたってどうこうというのは難しいでしょうが、どういう構想をお持ちでございますか。  以上です。
  72. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) 質問にお答えしたいと思います。  まず第一の質問は、CO2を削減するというふうな点に関して各需要部門別に可能と考えられる技術的な内容ということでしたので、資料をちょっと見ていただきますと後半に雑誌のコピーが入っておりますが、それの十二ページに二〇〇〇年と二〇一〇年のエネルギー需要予測、政府見通しに基づきましてそこからどのぐらい技術的な効率向上が可能かという試算をしてみました。  例えば十二ページにある表を見ていただきますと、二〇一〇年までに例えば照明の効率向上石油換算で八百十万キロリットル、電気冷蔵庫の効率向上が三百十八万キロリットルというふうに一つずつの値が出ております。これらはすべて現実にわかっている技術を適用するということで、計算の根拠等は本文の方に詳しく書いてありますが、幾つか取り上げて申し上げますと、例えば乗用車の効率の向上ということで現在普通の千三百cc、千五百cc程度の乗用車は一リッターで十一・六キロメートル走るという標準の値が出ておりますけれども、大分前にはこれが十三キロメートル走りました。それから、既に実用化されている乗用車では、ことしの九月にアメリカのEPAのドライビングテストによりますと、日本の車が非常に効率がよくて一リットルで二十二キロメートル走るというような車が紹介されております。そういった技術を適用することで石油換算で約二千五百万キロリットルの節減が可能だという計算になります。  貨物をトラック輸送から鉄道輸送に切りかえていくというふうなことをやりますと、トン・キロ当たりのエネルギー必要量が二十三分の一になります。それから、人間の輸送を乗用車での輸送から公共交通へ移行させますと、人・キロ当たりのエネルギー消費が九分の一になるということですので、二〇一〇年の輸送需要、乗用車による輸送、トラックによる輸送を一五%ずつ公共的なものに乗りかえていくということでそこにあるような数字の節減が可能です。  それから、太陽エネルギーやコジェネ等がどのぐらいの供給可能性があるかというようなことをそこに出しております。これらはすべて技術的な解決策、しかも現在わかっている技術的な解決策を適用すればいいということです。  二番目に、ライフスタイルの問題を御質問されましたが、この計算はすべてそういうライフスタイルの変更を一切前提にしておりません。技術的に可能なことだけに限定しております。しかし、このライフスタイルの問題というのが長期的には必ず出てくるだろうというふうに考えています。  例えば、エネルギーの最終用途に注目したエネルギー分析のグループが世界じゅうにいろいろありますが、そのグループの計算結果では二〇二〇年、二〇五〇年程度までは新しい技術あるいはブレークスルーによってライフスタイルを変更することなしに地球上のすべての人類が今先進国が楽しんでいるような生活をすることが可能であるというような計算をしております。これは効率の向上を技術的に行うことだけでもそういうことが可能だということです。  じゃ、二〇五〇年を過ぎたらどうなるかというふうに考えてきますと、人口も現在の倍以上になってくるというふうなことで、やはりそのころには最後の切り札といいますか、ライフスタイルの変更ということが出てくると思います。しかし、政策立案者であるとかエネルギー分析者はこのライフスタイルの変更ということを決して口には出しませんし、それからこれが計算不可能なものですから計算するというふうなことを発表しません。私にもそれはできません。  しかし、先ほど申し上げましたように、エネルギー消費と時間の問題であるとか、それからエネルギーや資源に関する教育の問題であるとか、そういうことを通じて政府のさまざまな政策が、どんな政策をとろうと人々のライフスタイルに影響を与えるということを考えてみるならば、エネルギーを節約するないしは効率よく使うというようなことがそういった政策や教育を通じて実現できるように思います。  それから三番目は、太陽光発電の開発現状等ということでしたが、これは現在石油ショック以後、一九七三年以来急激にコスト低下しまして、現在では一ピークワット当たり八百円前後になっているかと思います。キロワットアワー当たりで言いますと百五十円から二百円ですから、現在家庭用で使われている電力の値段の約五倍から六倍ぐらいというところになってきております。これがどのぐらいまでつくられたら経済的に成り立つのかということを学習曲線を利用しまして分析しましたところ、例えばこういう結果が出ております。  学習曲線というのは、累積生産量が二倍になるに従って大量生産の製品コストが七〇%程度低下していくというような経験則ですけれども、現在日本では太陽電池が約六万キロワットから七万キロワット累積生産量として生産されております。この生産量を拡大していきまして、日本にあるさまざまな離島の発電であるとか太陽電池が適した需要を積み上げていきますとマーケットカーブができ上がりますが、このマーケットカーブと太陽電池が学習曲線によってコスト低下していくという曲線の交点を求めてみますと、先ほどの雑誌の論文の十一ページに出ておりますけれども、累積生産量が約百四十万キロワット程度になれば既存の電力供給源と競合可能になるという計算結果になります。この市場曲線は単純な一本の線であらわされていますが、もちろんある幅を持っていますから、いろいろな分野でもう既に経済的に成り立ってきているものもあります。ということで、もう既に六万キロワット、それから世界全体ですと三十五万キロワットぐらいの累積生産量がありますから、百四十万キロワットぐらいにいくことはそう不可能ではないし十分可能だと思います。  それから、太陽電池を利用するに当たっては非常に大面積が必要だという議論がいつも出ますが、太陽電池は軽くて信頼性が高いものですから、既存の構造物の屋根の上、それから壁、どこへでも取りつけることができますから余分な土地を必要としません。最終的には二十一世紀のエネルギーの非常に多くの部分が太陽光発電によって賄われると考えてもおかしくないと思います。  それからコジェネレーションに関しては、専門家の垣田さんがいらっしゃいますから御発言があると思いますが、コジェネレーションは既存の発電所と競合できなければというふうに考える必要はないと思います。エネルギー供給源の交代というのは五十年とか百年とか長期にわたって変化していくものですから、その間にコジェネレーションが適切に必要なところ、熱と電力の適当な需要のあるところに上手に入り込んでいけばいいというふうに考えております。  以上です。
  73. 垣田行雄

    参考人垣田行雄君) 先ほどの御質問に答えたいと思います。  まず最初に、NOxの問題をおっしゃいましたけれども、現在のコジェネレーションに使われておりますエンジンはガスエンジン、ガスタービン、ディーゼルエンジン、この三種類が使われておりまして、先ほど申しましたように製鉄業とかあるいはパルプとかセメントのように大規模なところでは従来から蒸気タービンが使われております。現在議論されておるコジェネレーションというのはガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン等の内燃機関を使ったものでございます。  内燃機関といいますのは、御存じのようにエンジンの中で燃焼をするものですからどうしても燃焼温度が高い、その結果NOxを出すわけでございますが、現在環境庁でディーゼルエンジンとガスタービンにつきましては全国一律の規制をやっておりますし、また来年の二月一日からはガスエンジンについても規制を行います。それにつきまして、東京都等の人口集中地区におきましては、条例によってさらに上乗せ基準を既に実施しておりまして、先ほどの資料にも書いておきましたように、現在かなり厳しい規制をしておりますが、それに対する対応の可能性につきましての御質問でございます。  まず、エンジンごとに違う。もともとエンジンの型式が違いますから、例えばガスタービンといいますのは、御存じのような例でいきますと、皆さんが海外とかあるいは国内で飛行機に乗られるときのジェットエンジンについているエンジンでございまして、ジャンボでありますと四基のエンジンをつけておりますが、あの一基が大体二万二千キロワットぐらいの発電になります。ですから、ジャンボジェット機が四基でわっと飛んでいるということは約八万キロワットぐらいですから、八万キロワットといいますと、大体イメージでいきますと六万人の人口を持っている町の全電力を賄えるぐらいの発電をしながら飛んでいるというイメージなんです。あの場合には、ガスタービンに対しまして、普通はガスを燃焼させて羽根車にその高温ガスをぶつけるわけですが、そのときに水とか蒸気を同時に吹き込んでやります。そうしますとNOxというのは減るわけです。  そのNOxのお話につきまして注意したいのは、二つNOxの発生源があります。一つは、燃料の中に入っている窒素が燃焼のときに出るNOxそれから、空気中には我々が吸っている酸素は二十数%、残りは窒素です。七割ぐらいは窒素ですから、物が燃えるときに必然的に空気中にある窒素と酸素が化合するという、二種類のNOxがあるわけです。現在、日本の使っております燃料について、燃料中に窒素が入っておるというのはほとんどありません。かつての石炭とかには燃料中に随分窒素が入っておりますけれども、現在、石油とか天然ガスの場合にはほとんど入っておりませんから、NOxの問題は何かというと後者の問題、すなわち物が燃えるときに必然的に空気中の窒素と酸素が化合してNOxになってしまうという窒素なんです。  それを、先ほど申しましたガスタービンの場合には、水を噴射するなり蒸気を噴射することによって抑えようということで、現在は東京都の基準、すなわち国の基準より東京都の基準の方がさらに厳しいわけですが、それにつきまして大体クリアできる見通しでございまして、現在新設されておるのはその基準を満たしております。  それから、ディーゼルエンジンとガスエンジンでございますが、ガスエンジンというのは皆さんに余りなじみがない。ディーゼルの場合は、トラックとかバスがディーゼルでございます。ただし、皆さん方非常にうるさいなというイメージがあると思いますが、要するにピストンを圧縮してプラグで着火させるというのがガソリンエンジンでございまして、ディーゼルエンジンというのはプラグがないんですね。単に圧縮している状況で、圧縮しますと温度が上がってきますから、その温度が上がってくる状況で着火する。  ですから、プラグがなくても着火するのがディーゼルエンジン、プラグがあるのがガソリンエンジンなんですけれども、プラグがないものですから圧縮比が高いわけですね。大体二十二とか二十三に圧縮するわけですが、そういうようにしますと自然の温度の上昇によって着火する。ですから圧縮比が高いからうるさい。要するに、自分の家の前にもしガソリン車がとまって宅配便がいる場合と、ディーゼル車がとまって宅配便がやっている場合、どうもうるさいなというときは大体あれはディーゼルです。静かだなというのはガソリンエンジンなんですけれども、そういうディーゼルエンジンの場合には圧縮比が高いがゆえに空気をたくさん吸い込んでいるわけです。そうしますと、どうしても空気中の窒素と化合しやすいものですからNOxは非常に多く出ます。  それにつきましては、現在のところ、エンジンから出てきた後に脱硝装置をつけて回収するということでないと東京都の基準はクリアしない。ただ、エンジンの点火のタイミングをずらすという方法もあるんですけれども、それでは環境庁の基準はクリアしますが、東京都の基準はクリアしにくい。ですから、先ほどのコジェネレーションがいろいろのところでふえてまいってきておりますけれども、東京とか大阪のように過密な地域で設置しようとしますと、脱硝装置をつけてクリアしているという場合があります。  一方、ガスエンジンの場合には、先ほどディーゼルエンジンが二十二とか二十三の圧縮比を持っていると言いましたが、ガスエンジンの場合は大体十二とか十三の圧縮比で点火プラグをもってエンジンを動かしておりますが、その場合には空気の量がディーゼルほど多くないものですから、燃料に対して必要な空気の量と大体理論的に一前後で動いておるものですから、一方ではNOxを出しますし、一方ではCOという炭素と酸素の化合したものが出るわけですが、その両方を一方では酸化して取る、一方では還元して取るというような、うまくバランスがとれるものですから、それに対して三元触媒というものを使えば、現在の東京都の基準あるいはほかの地方自治体の基準にもクリアできるという現状になっております。  ただ、信頼性が今のところまだ不確定というところがありまして、あるエンジンにつきましては二年間ぐらいもう全然トラブルなく動いているというのもありますし、あるエンジンにつきましては設置して一カ月、二カ月は非常にいい値だったんだけれども、三カ月、四カ月目からどうも大きな値になってきたというように、まだ成熟した技術とまでは言えない。そういう意味で私が先ほど鋭意もっと技術開発を低NOxについてはすべきだと申し上げたことでございまして、先ほど申しましたように、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルにつきましては、そのエンジンの特性に応じてそれぞれの対策を持って現在のところ設置がされておるという状況でございます。  それから、エネルギーの一次インプット量を最終消費に対していかに抑えるかという私の論点に対しましての御質問なんですが、私は幾つかの御提案があるんですが、先ほど最後に申しましたように、ヒートポンプという新しい技術を我々は手にいれた。その新しい技術を、一つは家庭用の場合は空気を熱源として既に普及されておりますけれども、河川とか、あるいは海水であるとか、下水の温度を利用するというようなことを考えますと、従来ごみ焼却場につきましても下水処理場につきましても、すべて日本では迷惑施設と考えられております。それはどうしてかといいますと、単に処理だけをしておる。ところが、そこからエネルギーがとれて、そのごみ焼却場とかあるいは下水処理場の周辺は暖房費とか冷房費が安いというようになれば、これはウエルカム施設、来てちょうだいなと。日本でも北海道の一部等では、地方自治体のごみ焼却の計画が出ますと、ぜひ我が町にといって誘致運動ができるという状況があるんですが、それはその熱を有効に利用して周辺の人たちがメリットを受けるからなんです。  そういうことからいきますと、私はまず一つは都市の処理施設、ごみ処理とか下水処理とかいろいろな処理施設がございますが、それはやはり処理という目的、これは当然達しなくちゃいけないんですけれども、それプラスエネルギー供給施設であるという二つの観点を同じ位置づけにしなくちゃいけないのではないか。そうすることによって、迷惑施設からウエルカム施設になってくる。それによって、先ほどのように需要は同じようにあるわけですから、それに対して新たな一次エネルギーは従来よりずっと少ない投入量で済むということで、そういう都市施設のエネルギー施設化というのが一つ必要ではないかと思っております。  それからもう一つは、そうした利用をする場合に、排熱等を有効に利用しやすいために、都市の地下にはいろいろな配管が入っております。上水とか下水とか入っておりますけれども、熱供給配管というのは日本にはまだ入っておりません。一部熱供給事業をなさっているところでは事業者が持っておられますけれども、それは公共投資の対象ではなくて、熱供給事業者の施設ということになっております。  私は、熱供給のパイプ自身も公共施設としてとらえる。これは北欧の国等では多くはそういう位置づけをしておる国もございますけれども我が国でもこれだけ需要がふえてまいりますと、熱供給というものを一つの社会資本として考えたらどうかと思っておりますが、それは何分熱供給自身が日本に入ってまいりましたのは、御高承のとおり大阪で行われました万国博覧会、あれが日本で第一号でございますから、まだ歴史的に二十年足らずというようなことでございまして、熱供給事業法ができましたのも昭和四十七年でございますから、それから月日がそうたっておりません。こうした先ほど来いろいろ言われております民生用のエネルギー需要が今後ともふえていくという状況、また老高齢化が進んできて、できるだけ安全な暖房冷房方式、あるいはまた給湯に対する需要がふえてくるという観点からいきますと、熱需要増大に対して新たな発想の転換といいますか、そういうのが必要ではないかということで、先ほどのギャップを埋める方策の一つ。  それから、あと一つは技術開発。太陽光発電等も先ほど御指摘がありましたものもすべてそうでございますが、やはり技術開発をやる。私はいろいろなメーカーの人のお話も聞くんですけれども、技術開発をやるということは当然マーケットがあるという前提で技術開発をしているわけですが、技術開発である程度物になりそうになってきたと。ですから、皆さん方お使いの電卓はもうほとんど太陽電池です。ところが、実際に家庭用の上につくのか、ビルにつくのかというのはまだ方向性がはっきりしていないものですから、企業の中で太陽光の開発をやっている人が肩身が狭い。要するに全力を挙げてやれということが、まだないわけですね。  ですから、そういうインセンティブというか方向づけ、今すぐはまだ無理、先ほど御指摘ありましたように、直流ですからそれをインバーターを介して送電、運転とやったときにどういう問題が起こるかというのは、まだまだ技術的にもチェックしなくちゃいけない面が私自身あるとは思っておるんですけれども、そういう検討も踏まえて、今後どういう年次にどういう方策をとるかという方向づけを与えない限り、民間企業の中でソーラーとか太陽電池の研究をしている人が非常に社内で肩身が狭い。外へ行くと結構もてるわけですけれども、社内では金ばっかり食って全然利益上げてないというようなことで、やっぱり方向づけを示していくことが必要ではないかと思っております。  以上でございます。
  74. 古垣一成

    参考人(古垣一成君) 一点目、二度の石油危機に際しまして消費節約が先行したのか、技術が先行したのかという御質問でございますが、私は意識による消費節約が先行したというふうに考えております。ただし、民生部門におきましてはこの消費節約というのは我慢と忍耐を強いるものでございました。  したがいまして、そのころから省エネルギーという言葉が出たわけでございますが、最近では私ども省エネルギーセンター、余り人気がよくございませんで、名前を変えないかと、省エネルギーはどうも暗いイメージがしてならないというお話がございまして、いろいろと考えているんですけれども、若干募集いたしましたところ七百件ほど集まりました。効エネルギー、高エネルギーとか活エネルギーとか三百ぐらいの御提案いただいたんですけれども、非常にばらけておりまして、そういう意味で意識が先行したわけでございますが、その後我慢と忍耐というのは長続きするものじゃございませんので、やはり制度、システム、機器という面が先ほど申し上げましたように非常に重要かというふうに思っております。  技術は一朝一夕にできません。そういう民生部門あるいは工場における現場での自主管理活動とか、きめ細かい省エネルギー努力の積み重ねの中から技術が成熟設備技術ということで今日になったというふうに考えております。  二点目でございますが、システムとしての省エネルギー産業部門で今後どのように考えていくのかということでございますが、先ほど垣田さんの方から六十数%がロスされておると言われておりますが、鉄鋼業では三六%しかロスしておりません。セメントでは二〇%以下、非常に進んでおります。こういうところでは、一部にはもう乾いたタオルは絞れないという言葉が出ておりますが、私どもそう思っておりませんで、乾いたタオルが絞れなければぬれたぞうきんを見つけてきて絞ればいいわけでありまして、そのぞうきんはどこにあるかといいますと、現在はやはり一つの工場、一つの企業の中での省エネルギーなんです。  鉄鋼業の例をとりますと、鉄鋼業は千五、六百度の温度で作業しますので、二、三百度の温度の熱は捨てているわけですね、回収しても意味がありませんので。片や製紙とか化学工業では百度、二百度の熱を得るためにボイラーで蒸気を得ているわけでございますので、垣田さんが先ほど申しましたように、カスケード的に段階的にエネルギーを利用するとまだまだ絞り出すことはできるというふうに考えております。  そのためには、やはり工場ごとで熱の発生量が違いますので、それを適当に貯蔵、配給するシステムだとか、費用もかなりかかります。そういう意味での大型の設備投資、助成というようなことも必要でしょう。もう一つ、行政的にも、実際川一つ隔てて、道路一つ隔てて隣の工場に蒸気を送る、水を送るということは、道路交通法、建設法、港湾法いろいろな規制がございまして非常に大変でございます。その辺も簡略化する。こういうシステム的なエネルギーの利用が進みやすくするような対応策ということも必要かなというふうに思っております。  三点目、国際協力の進め方をどう考えておるかということでございますが、私ども今までやっておりますのは、一番目、省エネルギー推進マニュアル。その国に合った省エネルギーのやり方、教科書をつくって説明して配付するようなことをやっております。二番目、工場省エネルギー計画調査。工場に実際に計測器を持ってまいりまして診断してさしあげて、先ほど申し上げましたように三、六、一八%ぐらいの省エネルギーはできますよというような指導、助言もいたしておりますが、大体今まで私どもがやりましたのはこの段階まででございます。これはどちらかというとわかったわかったで済む話でございまして、どうも実感として出ないわけでございまして、今後やるべきことはデモンストレーション、実際にそういうことをやってみせてあげる。そういう設備をつけて効果を上げてさしあげる、やってみせて確認してもらうということが必要かなというふうに思います。このためには若干の費用が要ることはやむを得ません。(OHP映写)  さらに、その次の方策といたしましては、省エネルギーセンター的なもの。やはり省エネルギーをするためには人の育成が根幹であります。私どもみたいな省エネルギーセンターがありまして、そこに技術情報があり、指導員がおり、人の育成、教育ができる、そういう機関をつくってさしあげることが非常に肝要でございます。各国からもそういう話に同調をいただきまして、既に韓国とタイには省エネセンターをつくりました。ほかの国からも要望がございますけれども、そういうことが必要かというふうに思っております。  御参考までに、これはA、B、C、D、E、国名はASEAN各国でございますが、どのようなことをやってほしいですか、省エネルギー技術協力をしてほしいかというアンケートを各国に私どもが出向いて調査をいたしました。その中で、三点挙げてくださいということで各国三点挙がっているのですが、一番要望が高かったのは省エネルギーセンターをつくってくださいというのが一番でございました。二番目がエネルギー診断のための計測機器をください。正直言って専門家はある程度のことは一目見てわかりますけれども、実際にはエネルギーというのは非常に見えにくいものでございますので、計測機器で測定する必要がございます。計測機器というのは結構高いものでございまして、なかなかそういうのが備わっていないというのが実態でございます。三番目、工場のエネルギー診断をしてください。それから、日本に呼んで省エネルギーの教育実習をさせてください。その次が専門家を派遣していろいろと御指導をくださいというようなことが要望でございます。  大体、私どもが考えておりますことと要望と合っておりますので、将来の省エネルギー技術協力というのはこういう方向かなというふうに思っております。
  75. 田英夫

    会長田英夫君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  76. 田英夫

    会長田英夫君) 速記を起こしてください。  引き続き、参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  77. 星野朋市

    ○星野朋市君 本来はこれは午前中の政府資源エネルギー庁に聞けばよかったかと思うんですけれども、実はエネルギーの当分の間の主流というのは石油原子力資源エネルギーその他お話がございましたけれども、やはり一番重要な問題は石油原子力だと思いますので、その観点に立ってちょっとお聞きしたい。  非常にプリミティブな問題なんです。多分これだと海野さんにお聞きするのが一番いいと思うんですけれども、いわゆる日本石油備蓄量というのは今、政府五十四日分、それから民間八十八日分、こういうふうに言われているわけですね。じゃ、民間における八十八日分というのはどういう状態のものを備蓄と言っているのか、比較的明確でないわけです。例えばこの間一斉に新聞広告が出まして、民間備蓄八十八日、ただし操業に必要な四十五日分を含むという、そういう広告がなされているわけですね。そうすると、民間の八十八日分というものの内訳はどうなっているのか、おわかりでしたらお聞かせ願いたい。
  78. 海野恒男

    参考人(海野恒男君) 細かい数字は私は持ち合わせておりませんので、できれば資源エネルギー庁の方に次の機会に伺っていただきたいと思います。この点について私も細かな数字を持っておりません。
  79. 星野朋市

    ○星野朋市君 これは私の調べたことで申し上げますけれども、要するに政府備蓄五十四日分というのは原油で持っているわけですよ。民間の八十八日分というのは、中に精製の過程にある半製品とそれから製品を含んでいるわけですね。それで、日本の一日の内需の原油というのは五十八万キロであって、これで備蓄量を割ったものをいわゆる何日分と称しているわけです。では日本原油備蓄というのはどの時点を指して言うのかということになりますと、タンクに入っているものだけではないですね、現に入港しているタンカーのそのものも換算する。それから、これはある商社の石油担当部門に聞いたんですけれども、外国からタンカーが日本向けに走ってくる。沖縄のある地点を通過した時点から日本備蓄に換算される、こういうことなんですね。入港プラス輸送中のもの。  私があえてこう言うのは、民間備蓄八十八日分というのはいわゆる観念的な問題であって、実際内容がどうなっているかということは公表されていないんですよ。今石油状況がこういう深刻な状況にあると言って、政府は百四十二日分あるから安心だ、こう言いながら、実際の内容というのは非常にあいまいなんですね。私は、こういう日本エネルギー政策、特に供給の安定とそれから日本エネルギー需要、ここら辺の問題というのをそういうところからはっきりさせなければならないと思っているわけです。本当ならこれは政府に聞けばもっとよかったんですけれども、残念ながらあれだし、きょうは石油会社の方がおられないのであえて申し上げたわけでございますけれども、意外にそういうことがPRされていない、わかっていないというのが日本現状だと思います。  それで、実はこれはどうしてそんなことを申し上げたかといいますと、後で関連してお聞きしたいことがありますので、その中の一つとして思い起こしていただきたいんですけれども、もう一つはGNPに対するエネルギーの弾性値の問題でございます。竹内先生は、これは非常にあいまいだという御指摘をなさいましたけれども、いわゆる統計上の連続の問題からすると、やはりこれは重要な問題なんですね。それで、これからの需要予測の中で、海野さんはさっき〇・四というのは非常に弾性値が低過ぎるんじゃないか、そういうお話をなさいました。私もこれは全く同感なんです。  同時に、これは古垣さんにお尋ねしたいんですが、一九七三年を大体ベースにして一九八五年までの日本GNPに対するエネルギーの弾性値は非常に低下をいたしました。特に古垣さんのあれでは、エネルギーの消費の非常に大きい四つの業種について図が示されているわけでございますけれども、私の思うところでは、この間にいわゆる石油ショックがありましてエネルギー価格が非常に高騰したわけです。それで各産業石油換算にすれば非常な省エネルギー達成しましたけれども、実はその間に産業構造の変化があったわけですね。特に軽薄短小と言われる半導体工業の隆盛がありまして、そういう形で石油依存度が少なくなった。  それからもう一つは、石油から他のエネルギーに転換された部分が非常に大きかった。統計で見ますと大体一〇ポイントぐらい石油依存度日本は下がっているんですけれども、それを埋めたのは、その一〇ポイントのうち六ポイントは原子力、それから二ポイントはガス、二ポイントは石炭なんですね。そういう構造がこれからも続くのかどうか。  今まではそういう大きな変化の中で弾性値は一時下がった。それが、御指摘のようにここ二年ぐらいは残念ながらまた一に戻っちゃっているんですね。これは重大な問題だと思うんです。これで、さらに弾性値を低いところで見積もったこれからの十年先、二十年先の展望というのは非常に大きな違いを生ずると思うんですけれども、この点についてお二人の御意見を聞かせていただきたい。
  80. 田英夫

    会長田英夫君) まず、海野参考人
  81. 海野恒男

    参考人(海野恒男君) 確かに、弾性値というのはむしろ事後の結果の関係でありまして、それを予測に使う、アプリオリに使うということは問題があるし、恐らくこの推計に当たっても前提として〇・四を使ったんではなくて、後で結果的に見るとそうなったという計算になろうかと思うんですが、私はこの〇・四は比較的小さいんではないかと思っているのは、産業の分野で最近例えば鉄鋼とか化学とかいったような重厚長大的な分野が景気の拡大局面で生産を非常にふやしたために、そういったものが非常に加わってきて、全体として需要を拡大して弾性値を上げているということが一つ大きな要因としてあると思うんです。私は、事産業に関しては、産業構造というのは比較的今後も大きく転換をしていって、それほどエネルギー需要増大させるような重厚長大的なものが今後大きくふえるとは思っていないわけで、そういう意味では産業の分野での需要拡大というのはそう大きいものだとは思っていないわけです。  僕が強調したいのは、先ほどから申し上げていますように、民生用がかなり大きく出てくるであろうと。民生用については、先ほどの資料にもございましたように、日本の場合には冷暖房が非常に少なくて、他の国に比べると非常に小さいわけであります。この分野は、一人一室だとかあるいは単身世帯といったようなものがこれからふえる傾向にありますので、ますます一人で、自分の部屋は自分で冷暖房し、カラーテレビも自分の部屋に持ち込んでというふうなことで、一人当たりのいわばエネルギー消費の量は相当ふえてくる、そういうライフスタイルが一層深まるんではないか。  そういう意味で、二・七という想定された数字は相対的に低い。したがって、その部分を含めたいわゆる全体のGNPに対するエネルギー関係、すなわちエネルギーの弾性値が〇・四になっているということで、それが相対的に小さいんじゃないかということで、産業の分野では私はそれほど低く見積もったとは思っていないわけです。むしろ結果的に〇・四は低いと見ているのは、民生用を比較的低く見たからではないか、こういうことを申し上げたかったわけです。
  82. 古垣一成

    参考人(古垣一成君) 産業用のエネルギー源でございますが、先ほど申し上げましたように、価格動向に大きく左右されますということが一点。二点目が、炭酸ガスの問題を非常に気にしなければならないということだと思います。炭酸ガスの問題と申しますのは、石炭が非常に熱量当たりの炭酸ガス発生量が多うございまして、石油、ガスという順番で、同じ熱量を得るにつきましてはガスが非常に炭酸ガスの削減効果があるわけでございます。したがいまして、石油は心配で余りふやしたくない、今後やはり石炭が安定しておる、石炭かな、あるいは思い切って炭酸ガスの問題を考えるとガスかなということで、産業界の特に炭酸ガスに対する対応、処置というのが明確でない、現在非常に混乱しておるというふうに思います。  産業界は現在横ばい、低迷状況でございますが、産業内容自体、どちらかというと昔よりも少量多品種生産、高付加価値化、それから産業構造の転換の途中で、重厚長大が思ったほど減らないものですから、とめる予定の溶鉱炉もまだ動かしている。夏場になるともう効率の悪い発電機まで駆り出さないと電気が足りないというような状況で、構造的な転換過程にありますので、現在の産業部門における省エネルギーの停滞というのはそのような条件だけでも改善の余地がかなりあろうかなというふうに思っております。やはり産業部門エネルギー総量よりもエネルギー単価を減らすことが企業にとりましては非常に重要なターゲットであることは現実でございますので、こういう問題を議論する場合、最終的には価格政策、プライスメカニズムというのが有効であるということは申すまでもないというふうに思っております。  先ほど申し上げましたように、産業部門はかなり限界に来ておるというところでございますが、ただいまも申し上げました問題は、炭酸ガスも含めた対処ということでまだまだ対応できると思いますし、技術開発の問題をきょうは議論しておりませんけれども、いざ追い込まれますと人間の知恵は、開発に期待されるところが技術的にまだ十分にございますので、企業はそれなりの対応は可能だというふうに思います。  民生部門につきましては、我慢と忍耐が言えないとなると、一度豊かになったものをもう一度後戻りというのは非常に難しい問題がございますので、意識、ライフスタイル、あわせてエネルギー有効利用機器の開発ということで、対応の重点は民生部門に置くべきではないかなというふうに思います。
  83. 星野朋市

    ○星野朋市君 それはまさしくおっしゃるとおりでありまして、産業用よりも問題なのは民生用なんですね。特に石油について言いますと、石油の使用量の約三分の一は自動車燃料なんですね。そのほかの船舶その他ではそれに若干プラスされるぐらい。自動車一つとってみましても、いわゆる石油ショックのときには小型自動車は効率がいいというのがもてはやされて、テンモード燃費も九から十三ぐらいにまで上がりましたけれども、今また十一ぐらいですね。十五%ぐらい下がってしまった。それから、いわゆる家庭生活の豊かさというんですが、これは分類上どっちに入るかわかりませんけれども、全国に設置されているいわゆる自動販売機、これのトータルで原発一基分ぐらいの総エネルギーになるんですね。こういうような問題がありまして、要するに民生用の方の伸び率がはるかに大きくなっている。これが今、一に近づいている主要な原因だと思っているわけです。これはそういうことで意見として申し上げました。  時間が余りありませんのですが、竹内先生がエコノミストにお書きになったあれを読ませていただきました。さっきもちょっとお触れになりましたけれども、現在の生活水準を下げることなく、ドイツのあれが約八〇%節約できるという、クルップさんの御意見なんですか、具体的に一つでもお聞かせ願えるとありがたいんですけれども
  84. 竹内啓

    参考人(竹内啓君) クルップさんのところの研究はいろいろたくさんに分かれておりまして、ですからとても全面にわたって具体的には申し上げられないんですけれども、ただ、一つ民生用に関係しまして強調されておりますことは、そして私は日本についても同じだと思うんですけれども民生用といいますか、挟い意味の民生用に入ると思いますが、運輸につきましても、例えば今燃費がまた悪くなっているという御指摘がありました。それはそのとおりでありますが、それは一つは大型化というような問題もありますけれども、今度はそういう燃費だけで必ずしもあらわせない、例えば東京の中の交通の効率は非常に悪くなっているわけでありまして、つまり交通渋滞のために至るところで自動車がつかえて、平均時速どのくらいか知りませんけれども、例えば時速二十何キロぐらいしか出ないというようなことでありますと非常に効率は悪いわけですね。  そういう点から考えますと、やはり都市の交通システムを全体としてうまく変えていくというようなことが必要でありますし、自家用車を全部禁止しろというようなことをしているわけじゃないんですが、例えばわざわざ乗用車で行く必要がないところは電車にかえる、そういうふうなことをやっぱり都市交通全体のシステムの問題として考えていわば再設計すれば、かなり節約可能である。  それから、民生用の冷暖房につきましても、特に暖房の方につきましては地域暖房をして、それで地域ごとに、しかも例えばごみその他を使ってコジェネや廃熱利用とかその他で地域的にお湯を沸かして、それを各家庭に配管する。家についてもすっかり断熱材をうまく使って非常に効率をよくする。そういうようなことをすると、それはかなりの程度エネルギーを節約して家は十分暖かくできるというようなことがありまして、そういうことをかなり細かくたくさん積み上げていくと八〇%まで節約可能であるということであります。  ついでに今のクルップさんから伺ったところの研究の成果をもう一つ補足しますと、それにはかなり投資コストがかかるわけですが、実際に賄えるぐらいの投資を行って、それで投資の金額の方の節約も考えた上で、二〇〇五年ぐらいまでの間で実は五〇%の節約が可能だということがまた別の研究として、これはその当時の西ドイツの議会にそういう研究調査委員会ができまして、議員の方と学者の方とが何人かそこで委員会をつくって、そして西ドイツ国内のいろいろなそれぞれの専門研究機関に研究を委託しまして、その結果をまとめてつくった成果ということであるようでありますので、かなり細かい、ドイツ流のかなり科学的な研究の成果であるというふうに私は理解しております。
  85. 星野朋市

    ○星野朋市君 一つ実例としてこんなことをやっている国があるんですね。南米のベネズエラ、産油国でありますけれども、これは自動車対策の問題が主なところなんですが、いわゆる末尾ナンバーが一、六は月曜日運行禁止です。二、七は火曜日禁止と。要するに二〇%削減というやつですね。お金のある人は二台買えばそれ逃れられるわけですけれども。要するにそういうペナルティー方式みたいなものを、実際的には今すぐでなくても、あるいは考えざるを得ない事態が来ているのじゃないかなと、そういう思いなんです。これは竹内先生、それから海野さんもそうだし、槌屋さんも、ちょっと意味が違いますけれども炭素税みたいなお考えをお述べになっているということで、結局皆さん一致した意見は、一つは省エネルギーという問題にこの議論は特化しないと、どうも新エネルギー開発というのはこれからなかなかそう簡単にいかないわけですね。  そうすると、これはきょうはいわゆる政府対議会という状態でやっているわけではございませんので、かなり自由に物を言わせてもらえば、結局のところ価格政策でエネルギー価格が高くなるのか、一つは何かタックスの問題なのか、それからもう一つはペナルティーの問題なのか、こういうふうに思うのですがいかがでございましょうか、槌屋さん。
  86. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) 確かにそういう面はありますが、先ほど御紹介しましたように、省エネルギーの技術に対する投資というのは非常に不平等に扱われているという点があると思います。供給量をふやすというふうなことに関しては、非常に長期の投資回収期間ということをみんな想定するわけですが、先ほどのここに出ていました資料でも、省エネルギー投資というのは大体二、三年で回収できないといけないというふうなことが現実に行われていますから、例えばこれを十年というふうな単位で回収できるような形でその資金を政府が融通するというふうなことをすれば、そういう価格とかペナルティーというふうなことへ持っていかなくても、現実の有効なエネルギー利用技術というものをもっと広範に進めることは十分可能だと私は思います。
  87. 星野朋市

    ○星野朋市君 少し専門的になりますけれども、槌屋さんが「技術と経済」にお書きになった中に、アメリカの学者が来て日本で最小コスト分析の概念がないとびっくりされたということをお書きになっていますけれども、最小コスト分析というのはどういうものなのか簡単に御説明いただいて、これがエネルギー政策とどういうふうに関連されるのか。私の理解では、いわゆる製造業における限界利益の曲線、これの裏返しではないかと思っているのですが、いかがでございますか。
  88. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) 最小コスト分析というのは、エネルギーだけでなくどんな分野でも適用可能なわけですけれども、現在あるエネルギー需要を、効率のいい技術を一つ一つ適用していくときに一番安上がりに適用できる技術から積み上げていく。一番安上がりというのは、この今のお話の場合には例えば電球、普通の白熱灯を蛍光灯にかえるという場合に、初期投資は大きくなりますけれども、同じ明るさを出すのにかかる費用が三分の一ぐらいになりますから、これによって単位キロワットアワー当たりの節約金額が幾らになるかということで、コストが一番小さいということで、そういうことを一つ一つ積み上げていきまして、全体のエネルギー需要をどれだけ有効利用技術で代替できるかというカーブなんですけれども、横軸に代替できる量を、縦軸にそのコストをというふうにとりまして、一つ一つ一番小さいコストから積み上げていく。  そうすると、どこかで現在流通しているエネルギー価格とぶつかるわけですが、大抵のものが現在流通しているエネルギー価格より下側にあります。ということは、産業とかコスト感覚に厳しい企業家だったらいつでもそれを採用するべきなんですが、一番の問題は、大抵の場合初期投資が大きいという問題を含んでいますから、この初期投資をどういうふうに経済的なメカニズムの中でうまく運営できるかということだと思います。
  89. 星野朋市

    ○星野朋市君 それから、こういう論議の中で、エネルギーエネルギーそのものとして議論されていることが多いんですが、いわゆる日本の豊かさ、これは槌屋先生はライフサイクルということでお触れになりましたけれども、いわゆる日本の豊かさの中に過剰包装を初めとする壮大な物の一種のむだ、それが実はGNPを押し上げているある要因ではあるんですが、こういうものの論議が比較的なされないんですね。鉄と紙のいわゆるリサイクルだけでもってエネルギーは大体三分の一ぐらい減少できるというような説もあると思うんですけれども、こういうことをもとにして、今の豊かさの内容変化というのを根本的に考えざるを得ない。  ライフサイクルの変化というのはなかなか難しいんですけれども、フランスなんかではこの教育がかなり徹底しているはずです。今テレビその他でごみの問題というのをかなり取り上げておりますが、これは一つはエネルギーの問題であるということですね。日本人というのは比較的物を忘れやすい民族。これはしようがないんですね、仏教の思想ですから。だから、石油ショックのとき例えば堺屋大一さんが書いた「油断」みたいな本が出るとぱっとみんなやるんですけれども、その後もう全然忘れ去ってしまう。これはふだんのPRなり何なりが必要なんですけれども、そういう時期がもう来ているんじゃないかと私は思います。  そういう意味で、時間が私ございませんが、これからの問題ですね。いわゆる生活態度の変化、豊かさといるのは本当は何なのかということの徹底と、それから新技術、特にコジェネレーションの問題とかヒートポンプ、いろいろございましたけれども、これはシステムそのものは都市計画というものと全般に関係するので、これをやはり変えなくちゃならないということ。  それから、先ほど一番先に石油備蓄量を申し上げましたけれども、これは二〇〇〇年までのいわゆるエネルギーの増加割合という予測がされていまして、この場合のエネルギーの最大の増加圏はいわゆる環太平洋圏なんですね。二〇〇〇年までの予測がされていますが、一番高い率はマレーシアなんです。それで、この環太平洋圏の中で特に成長率の高いミニドラゴン及びASEAN、それから成長率は比較的高くはないけれども絶対量としては大きくなるだろうと思われる中国、こういうところが、日本ほどではなくても、同じように石油原子力のどちらかを主要エネルギーとして進めていった場合に、石油需要は、実際の需要プラス備蓄量という形で増大する可能性があるわけです。そうすると私は、今予測されているよりももっと石油に対するインパクトは大きくなる、こういうふうに思っております。  そこで、もう一つの問題というのは、先ほどどなたか御説明されたように、日本の進んだ技術の技術移転を積極的にやらざるを得ないんではないか、こう思っておりますが、竹内先生から御意見を伺わせていただきたい。
  90. 竹内啓

    参考人(竹内啓君) 全くおっしゃるとおりでございまして、そのとおりだと思います。特に私は、中国が非常に重要な対象だと思っております。  と申しますのは、エネルギーの問題もありますが、エネルギーの問題について言えば、非常に悲観的なことを申しますと、中国というのは油田はありますけれども、余り良質の石油が出ませんので、もし中国が非常に高度ないわゆる工業化による高度成長を続けて、それで重化学工業中心の高度成長をしようということになりますと、急激に中国の原油需要増大する可能性があって、日本供給先において衝突する可能性がかなりあると思いますね。これは非常に重大なことになる可能性があると思います。  それからもう一つは、現在の中国のエネルギーの使用効率は先ほど申しましたように大変悪いわけです。その大変悪いことが、単にエネルギーコストを高めているだけではなくて、実は中国各地のエネルギー消費に基づく大気汚染というものも非常に大きいわけでありまして、中国の国内の空気を非常に悪くしております。日本にも酸性雨という形で非常に大きな影響がそろそろあらわれようとしていると私は判断しております。ですから、もしこのまま進めば日本も非常に大きな被害を受ける可能性があるわけであります。そういう点で、中国に援助することは日本のいわば森林を守るためにも絶対必要なことだというようなところにそろそろ差しかかっていると思いますので、中国に関してはかなり積極的に取り組むということが非常に必要なんではないかと思っております。
  91. 星野朋市

    ○星野朋市君 時間をまだ残しているんですが、まことに申しわけありません、ちょっと出かけなくちゃなりませんのでこれで終わらしていただきます。
  92. 白浜一良

    ○白浜一良君 きょうは貴重な御意見をありがとうございます。  それでは御質問さしていただきますが、まず竹内先生にお伺いしたいと思います。  エネルギー需要経済成長のマクロ的な関係お話しいただきましたけれども、七三年の石油ショック以後省エネが進みまして、たしか七三年から八五年まで弾性値は〇・一三というふうに記憶しております。ところが、ここ二、三年、もう一を超えているわけですね。いろんな要因があるんでしょうけれども、今後の需給見通しを考えてもやはり省エネというのは一番大事なことでございまして、そういった面で、ここ二、三年非常に弾性値が上がってきた原因を先生はどのようにお考えになりますか。
  93. 竹内啓

    参考人(竹内啓君) 現象的にはその原因は非常にはっきりしているわけでありまして、つまり原油価格世界的にもドル建てでも下がっている、そしてかつ円が高くなったので日本におけるエネルギーコストは非常に下がって、今少し上がっていると思いますが、ある計算によると、しばらく前に一番安かったときには、一九八〇年の第二次オイルショックのときに比べて円建てで計算するとエネルギーコストが大体五分の一になっているということがあります。そうなりますと、だれも余り一生懸命省エネをやらないということになるわけであります。  もう少しそれを具体的に申しますと、結局、企業における省エネ投資というのが非常に熱意がなくなってしまって、したがって産業においても省エネが進まなくなった。これまでの一九七三年のオイルショック後に一生懸命行われた省エネルギーの投資の成果があらわれて、一応いわばその技術が一巡してしまって、もっと何かプレッシャーがかかれば別ですが、そうでなければもうこれ以上やれないようなところに来ているということもあると思うんですけれども、そういう点があったということ。それから民生用も非常に価格が下がり安いので伸びたという問題もあります。  それから、率直に申し上げますと、政策的にも非常におかしな政策が幾つかあって、例えば大型車の税金が、物品税がなくなって消費税になったために結果的に下がってしまった、大型車の方が事実上奨励されることになったというような問題もありますし、まあ政策的にちょっとそごを来した面もあると思うんですが、いろいろな現象が重なって、とにかく非常にエネルギーコストが安いということがそういうエネルギー消費の率を高めて弾性値を一あるいはそれ以上にしたということになったと思います。  ということは、ついでにちょっと申し上げさせていただきますと、今後のことを考えるときに、市場価格の動向をそのままにほうっておいて、そして何ら積極的な手をとらずにただ省エネ省エネということを叫んでいるだけでは結局物事は進行しないということに当然なると思いますので、先ほどから各参考人がおっしゃっていた市場価格メカニズムを利用するというお話ですが、これはまあ遠回しに言えばそうですけれども、もう少し率直に言えば、要するに税金とか課徴金とか何かをかけてエネルギーをむだ遣いするところには罰金を科す、そのかわり省エネを進めるような方にはある程度インセンティブを与えて奨励金を出すということも必要だと思うんです。そういういわば露骨なことがある程度必要ではないかと思います。  市場状況に任せておいては恐らく省エネが進まないというのは当然であると思いますし、しかも市場状況に任せておきますと、市場というものはある意味では先行きがわからないものですから、だんだんエネルギー価格が上がっていけばある意味では非常にいいんですけれども、ずっとしばらく安い価格が続いていて急にまたエネルギーが暴騰すると、その暴騰のきっかけになるのは例えば政治的な問題とかいうようなことかもしれませんけれども、長い目で見れば要するに経済的に上がっていくべきものがしばらく上がっていなかったんで、それが何らかのきっかけで急激にまた七三年のオイルショックのときのように暴騰するというようなことが起こる可能性があると思います。  もしそれが起これば、これはやはり相当大混乱が起こって、その大混乱のあげく、大体日本企業日本の国民もそういうときには一生懸命頑張りますから多分何とかなるでしょうけれども、それから何とかなるというのは非常に効率も悪いし犠牲も大きいわけですから、やはりそういうことを事前に考えて適当に手を打っていくというのがしかるべき方向ではないかなというふうに思っております。
  94. 白浜一良

    ○白浜一良君 海野先生にお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話を聞いておりましたら、政府見通しを比べられまして、いわゆる弾性値も低いということでございますし、民生用の需要伸びが低過ぎる、こういうお考えなんですね。ですから、当然政府見通しよりもエネルギー需要は非常に大きい、当然供給も多くならなければならない。  そういう中で、お話を伺っていますとどうしても原子力に対する比重が大きいというか、大きくならざるを得ないというお考えのように理解するわけでございます。政府見通しでも現在よりも二・五倍ぐらいの量になるわけですね、原子力の占める割合というのは。実際、今の日本国内状況、国民の意識から見れば、政府見通しだって非常に難しい、ましてそれ以上依存しなきゃならないという先生の見通しは非常に困難じゃないかというふうに私は思うわけでございますが、どのようにお考えですか。
  95. 海野恒男

    参考人(海野恒男君) 私は、冒頭にも申し上げましたように、かつて役人をやっておりましたときに経済企画庁総合計画局で電源開発調整審議会というのをお預かりしていたことがありましたが、私の経験では、少なくとも原子力のための新規立地というのは申請が出てきた記憶がないわけであります。そういう意味で、最近時点においては新しく立地するということが非常に困難になっていることは事実でありますし、そういう意味でこの総合エネルギー調査会改定見通し供給においては非常に厳しい、需要は想定を上回る可能性があるけれども供給の方は想定を下回る可能性があるということを私が申し上げたのは、その背後には原子力の立地が非常に困難になっているということが一つあるわけであります。  しかし、需要が想定を上回り供給が想定を下回るような事態であれば、これは大変なことになるわけでありますので、どうしても需要を抑えると同時に供給を必死になってふやす努力をしなければいけないと思います。そういう意味で原子力についてもっと、要するにひとり電力会社だけが必死になって住民を説得するのでなくてもう少し広い立場から、例えば国会でももう少しこういう点について真剣な議論をし、ジャーナリズムも十分説得して、そして国民的なコンセンサスを得る努力をもっとすべきではないか。いたずらにただ原子力というのをはれものにさわるように嫌がって逃げるということでなくて、もっと積極的にこれを推進する努力をみんなでしないと供給需要に追いつかない。  そのときには、最終的に場合によってはとらざるを得ない措置としては、先ほどのあらゆる省エネ等の努力をしてもまだ追いつかないとすれば、最終的にはプライスメカニズムを活用する。つまり、ある程度以上の使用をするような場合には、限界的な部分に対しては相対的に高い価格がつけられて、そして懐が具体的に痛むというようなことにならないといけないようなことにならないとも限らないと思いますので、供給については積極的に原子力についての評価をもう少しみんなで検討する機会をもっと持つべきだと思います。  私の意見はそういうことであります。
  96. 白浜一良

    ○白浜一良君 槌屋先生にお伺いいたします。  なかなか貴重な御意見、私も同調するところが多いわけでございますが、まず前提といいますか、常識的なことをお伺いしますが、エネルギーを省力化していくというのは、現実のいろいろの問題点、炭酸ガスの問題を含めて急に反文明論的な批判も随分たくさんあるんですね。反文明論的な観点からそういうエネルギー消費に対する批判というのはよくあるんですけれども、先生の場合は当然経済成長というものを前提にしながらエネルギーの効率化ということをお考えになっているんでしょうね。
  97. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) 全くおっしゃるとおりで、僕はいろいろな現代の文明そのものが決していいとは思っていませんが、これにかわるいいものはほかに今すぐ見つからないですから、私は今のこの世界の延長上で適用できる技術ということを考えています。現代の文明全体に反文明論を唱えてエネルギー長期的な見通しを考えるというようなことは非常に難しいし、まず技術的な計算の対象にならないということから、そういうことはしておりません。
  98. 白浜一良

    ○白浜一良君 そこで、五つの視点からいろいろお考えをお聞きいたしましたが、これをざっくり考えて進めていくためには、一つはやはりライフスタイルの変更といいますか、そのためにはいわゆる国民的コンセンサスとしてそういう考え方が根づいていかなければならないわけですね。そのためにはどうしていくことがいいのか、お考えがあればお聞きしたいと思います。  もう一つ必要なことは、いわゆるエネルギー利用の効率の向上といいますか、省エネを進めていくためには、企業の価値観からしましたら、先ほど先生おっしゃいましたようにどうしても初期投資ができない、コスト計算だけで動きますから。だから、非常に克服できない問題があるわけですが、ここに述べられているようなことを進めていこうと思えば、政府が何らかの誘導政策もしくは法的な規制も含めて何かしないとやはりなかなかそっちに向かっていかないということもあると思うんです。  そういう二点に関しましてお考えを伺いたいと思います。
  99. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) まず、ライフスタイルの変更については、私はそういうことは望ましいと思いますけれども政府が具体的に人間はこうやって生きていくべきだ、こうしたらいいというふうに言えというふうに決して思いません。そう言うぐらいならば、炭酸ガスで温度が上がるぐらいは我慢した方がいいぐらいに思っています。  ライフスタイルを変えていくということの意味は、長期的な問題の解決、地球上で八十億とか百億の人間が今のアメリカで行われていると同じようなライフスタイルというふうになりますと、先ほどグローバル資源バランステーブルで御紹介しましたように、非常に大量のエネルギーを使い資源を使うことになりますので、そういう長期的な意味で考えていることです。実際その人間の生活のやり方や価値観というのは短期間には変わりません。例えば教育を通じてこれをやったとしても、一つのゼネレーションが育つまで時間がかかるわけです。ですから、長期的にそういうことは行われるべきだと思います。  それをやるのに、具体的に政府が行う例えば都市計画であるとか公共投資であるとか、そういう側面一つ一つに、これは資源とエネルギーにどういう関係を持っているか、どういうエネルギー消費増大をもたらすか、あるいはどういうふうにエネルギー消費が減るかということを、一つ一つあらゆる計画をチェックするということが必要だと思います。政府が何かの計画なり施策を行う場合には、それがエネルギーとか資源の浪費とどういう関係を持っているかということを必ず明確にするということをするだけでも、話は相当違ってくると思います。人々が物を考えるときに、これは資源浪費的だろうか、エネルギー需要をふやしてしまうんではないかというふうに必ず考えるようになりますから、そういうことだけでも影響は大きいと思います。そういうことを一つ一つ積み重ねていくということが重要だと思っています。  それから、省エネルギーについては、エネルギー有効利用技術が非常にたくさんありますから、これをいろいろな、例えば利子を補給するとか、それから住宅金融公庫にありますような断熱材を入れたときにそれだけ融資枠をふやすとかいうような、そういう融資を利用した方法エネルギーの有効利用技術、省エネルギー技術を広範に適用さしていくということが私はまずあると思います。  それからさらに、今お話がありましたようないろいろな誘導策、先ほど申し上げました公共投資でありますとか、政府のやる計画の中に省エネルギー技術を組み込んでいくようなことを積極的に取り入れていくというふうなことが行われ得ると思います。  以上です。
  100. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、垣田先生にお伺いしたいんですが、コジェネレーションのいろんな具体的に使用されている実態というのは、先ほど説明をいただきましたけれども、その中に有効利用ということで燃料電池、それからヒートポンプ、これはもう実際に広範に利用されているんですか。
  101. 垣田行雄

    参考人垣田行雄君) 現在、広範という意味では燃料電池はまだその段階に至っておりません。  ヒートポンプは既に広範に使われております。それは、まず家庭用でエアコンと称しているものは全部ヒートポンプです。資料の十四ページに書いてありますような地下鉄排熱とか下水処理水とか地下水云々につきましては、例えば地下鉄排熱につきましては現在札幌の北口の一カ所が実績でございまして、下水処理水につきましては千葉の幕張の地区の地域冷暖房に使っております。というように、広範とはまだ言えない。要するに、実績が幾つか出てきたということです、大規模なヒートポンプにつきましては。小規模なヒートポンプにつきましては、広範に普及しております。
  102. 白浜一良

    ○白浜一良君 時間がございませんので、最後に古垣先生にお伺いしたいと思います。  いろいろ説明をお伺いしまして、A、B、C、D、Eという省エネの投資効果の段階を伺いました。A、B、Cまでは簡単で比較的投資コストが安いというふうに伺いましたが、海外の技術協力、先ほどお話を伺いましたけれども日本にたくさんあるとおっしゃいましたですね。四十何万ある中小企業、それは全体にそういういろいろ指導をされつつあるわけですか。
  103. 古垣一成

    参考人(古垣一成君) 中小企業につきましては、三つ方法がございます。  一つは、私ども省エネルギーセンターが行う方法、それから地方自治体、県、市でも力を入れているところが、多少のばらつきはございますけれども、力を入れてやっている県、市も相当ございます。それから各工業試験所等の技術力で、相談に来られた場合それなりの御指導をいただくということで、中小企業の方がみずから相当な意識を持って門をたたこうとすれば扉は開かれるようになっております。
  104. 白浜一良

    ○白浜一良君 どうもありがとうございました。
  105. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それでは、まず古垣参考人にお伺いいたします。  我が国エネルギー問題を考える場合に、地球環境問題も念頭に入れて考えるとエネルギーの効率的な利用が当然問題になるというふうに思うわけです。先ほど来言われておりますが、我が国は七三年のオイルショック以来先進諸国の中では抜きん出た省エネルギーということで効率化を図ってきたと思います。したがって、その効率化というのをさらに進めるためには、むだを省くとか節約とかいうことも言われましたけれども、単にそういう発想だけではなく、抜本的なエネルギーの効率的な利用技術とか効率的な施設とか設備、機器を開発するということが求められていくと思うんです。その具体的な展望ということになりますと、どのようなものでしょうか。
  106. 古垣一成

    参考人(古垣一成君) 省エネルギーは、炭酸ガスの問題を考えますとき、当面既存の技術をフルに活用して成果を上げていく、その期間にやはり次なる技術開発というのが絶対必須だというふうに考えております。企業でやれる技術開発というのもございますが、やはり大型の長期にわたる技術開発というのは政府の公的な援助が必要だというふうに思います。  工業技術院の方で、ムーンライト計画ということで今五項目ですか、燃料電池、スーパーヒートポンプ集積システムその他やっておりますが、ああいう技術開発を進める中で、本来の目的を達成するための研究の中でいろいろと派生的に新技術が開発されておりますので、あれはかなり長期のものではありますが、途中での成果も反映させつつ、民間においてもそれなりの研究開発が必要だということで、やっぱり研究開発となりますと官民相まったステップというのが必要だというふうに考えております。
  107. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、垣田、槌屋、海野参考人にそれぞれお伺いいたします。  先ほども出たわけですけれどもエネルギーの効率的な利用とか合理的な利用を考える場合に、用途に応じてさまざまなエネルギー源を組み合わせてシステム化していく、そういう利用が重要ではないかというふうに思うわけですが、例えば発電だとか製鉄など高温が必要なものと、それから家庭用のおふろとか暖房というのは必ずしも高温が必要ではないということで、同じエネルギー源対応しなくてもいい場合がたくさんあるわけです。そういう意味で、太陽熱や廃熱などで暖房とかおふろは賄い、化石燃料を転換した電力などというものは使うべきではないというようないろいろな考え方をしていかなければならないと思うんです。その際、エネルギー源として化石燃料とか原子力にこだわらずに、再生可能なエネルギーを積極的にシステムに組み込んでいくという点で技術開発に力を入れることが非常に大切だと思うんですけれども、その開発とかそれを進めるためにどうしたらいいのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  108. 海野恒男

    参考人(海野恒男君) 私は、技術屋ではございませんので、むしろお二人に伺っていただいた方がよろしいんではないかと思いますが、私は個人的には、そういったものを促進するためには単に一人一人を説得するというようなことは難しいかと思うんです。制度的にそういったいわば環境にとってプラスあるいは無害であるようなエネルギーを使うような機器なり、あるいはそういう人々に対してある種のインセンティブを与えるようなシステムを、あるいは価格でやる場合、あるいは助成等という形でやる場合もあろうかと思いますが、そういうシステムを導入することによって促進していくという以外にないのではないか。  私は、技術屋ではありませんので、どのエネルギー源はどういう用途に使ったらいいというふうなことは具体的には申し上げられませんけれども、一般論としてはそういうシステムをこれから少しずつ考えていく必要があろうかと思っております。
  109. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) そういう新しいエネルギー開発するための方針ということなんですが、まず政府がはっきりした方針を示して、そういったエネルギーが必要でそういうものを開発していくんだということを示す必要があると思います。  例えば風力発電の例をとりますと、カリフォルニア州ではもう既に百六十万キロワットの風力発電がウインドファームというような形で入っています。ところが、日本ではせいぜい北海道に十六キロワットの風車が五基つくられて、これが初めてのウインドファームだというような状態です。見てみますと、カリフォルニアにつくられている風車のうちのかなりの部分日本のメーカーが輸出しているということなんですね。  それで、結局、日本政府がそういったことが重要であり政府が主導になってそういうことを進めていくという姿勢をもし示されれば、状況はすごく違うと思います。そういったことを広範に推し進めるためには、例えば電気事業法に関連するような規制を取り払うというようなことも必要になってくるかと思います。  それから、制度的な支援。例えばパッシブ・ソーラー・ハウスというのがありまして、太陽熱を有効に利用しまして暖房をしたり温水を利用したりするというシステムがあります。これが省エネルギーの割合が一〇%あるということで五十万円の融資枠が拡大してついているんですけれども、これなどももっと、それが効果がある技術であるということを確認できればもっと大きな金額の融資をつけてやるということができると思います。  それからもう一つは、こういう再生可能なエネルギーに対する研究開発を、大学であるとか民間の研究所、それから企業の研究開発を刺激するような政策を政府が幾つも打ち出すということができると思います。  例えば、研究開発を進めることによっていろいろなことが変わってきているわけですね。石油ショック以後、例えば太陽電池の価格というのは、ワット当たり三万円ぐらいだったものが先ほどお話ししましたように八百円ぐらいまでにこの十五年ぐらいの間に低下したわけです。太陽電池というのは、太陽の光のうち効率一〇%で直接電力を取り出せるというのが大体平均的な効率ですが、最近の研究開発の例では、地面に当たる太陽エネルギーの三五%を直接電力にできるというようなものも、実験的ではありますが既につくられています。ですから、政府がこういうものが重要だということで研究開発のためにいろいろな施策を行うということがあれば、研究開発というのは非常に進むという例ではないかと思います。  太陽の光線の三五%が電力になるというのは、石油火力でも石油を燃やして出てくる電力はせいぜい三五%ぐらいですから、同じような効率を考えますと、現在の一〇%でも、大気汚染とか温暖化というような問題を起こさないということを考えれば、つまり環境コストというようなことを考えればこういった技術がいかに重要かということはわかるわけで、政府長期的に十年、二十年にこういうふうにしていくんだということを具体的にはっきりと示すことが私は必要だと思います。  以上です。
  110. 垣田行雄

    参考人垣田行雄君) 今御指摘がありました件はまさにそのとおりでございまして、エネルギーを効率利用するというのに対しましては、私が最初にお話しいたしましたように、エネルギー需要というのは基本的に温度レベルが違う。ですから温度レベルが違うところで当然最適的に使われておるわけですが、ではそれを両方足して全体として見たときに本当に最適かということです。そういう意味で我々今日問題にしなくちゃいけないのは、単一目的の最適化と複数目的の最適化が同じ方法であれば何ら問題が起こらないわけですけれども、単一目的の最適化が複数目的から見ると最適じゃないということで、先ほど申しましたように同じ需要に対してより多くのエネルギーを消費しておるわけです。  それで、先ほど来のお話にもありますように、需要伸びていくであろうというときに、いろいろな政策的方法の中に価格の問題であるとかいろいろなことをお話になっていますが、私自身はそれ以前にやることがまだあると。今委員御指摘のようにカスケード利用といいますか、要するに高温のところと低温のところ、例えば今までの産業用でいきますとコンビナートという言葉がありますが、石油コンビナートとかというのは材料をお互いに有効利用するためのコンビナートです。要するに、原油からナフサをとる、あるいはそこからエチレンをさらに加工するとかという材料のリンケージをとるためのコンビナートでありまして、エネルギーを高温のところはA社が使う、もう少し低くなった中温はB社が使う、さらに低温のところの住宅の暖房とか給湯にはC社でいいというようなエネルギーコンビナートという発想はないわけです。ですから、そういうまずカスケード利用するための社会制度ということが進めば、今までほかの委員からも御指摘あるような民生用が少々ふえていっても供給的には従来の量的なことで対応可能な面が多いと思っておりますのが第一点です。  それから二点目では、先ほど再生可能エネルギーのようないろいろな技術開発の進め方というお話ですけれども、私が先ほど述べましたガスエンジン、ディーゼルエンジン等は灯油であるとか天然ガスの化石燃料を使いますけれども、例えばスターリング・エンジンといいますのは、これは外燃機関でございますからまきとかそういうものでもエンジンが動くわけです。あるいはまた太陽熱でもエンジンが動くわけです。それで、現在自動車用等に試験的に行われておりますけれども、これについては実際にどういう方向で社会に導入していくんだという方向づけがはっきりされてませんから、技術屋さんとしては自分の興味とかでやっていても会社でオーソライズされないというようなことがありまして、それは先ほど申し上げたことと重複するんですが、やはり将来そういう新しい技術開発をこういう手順で世の中に導入していくんだというインセンティブが必要だと思います。  それから、例えばの例で申し上げますと、かつて蒸気機関車というものがありましたけれども、それが今ほとんど電車とか電気機関車になっております。多くの人たちは、あれはすすが出ない、そのために電気機関車になったんだと思われますけれども、実際はエネルギー効率を上げるために電車にしたわけです。というのは、蒸気機関車といいますのはボイラーをたいてシュッシュッポッポと行きますけれども、あの場合にはいいところ二〇%ぐらいしか実際距離を稼ぐのには利用されてなかった。あれは二〇%もいきませんね。悪い場合には一五%ぐらい、残りは全部すすで出ていったわけですけれども、とりあえず発電所という効率のいいところで電気にしてそれを送電線で送った方がまだ、今だと大体三〇%から三三%は有効に距離を稼ぐのに使われております。  そういうように、先ほど来いろいろ議論になっておりますけれども、効率のいい電気に一度変えてそれから電気自動車を動かすというようなことにすれば同じ使い勝手でもできる方策がございまして、需要はふえていくけれども、ではそれに対応する供給がふえるかという、そこがどうも短絡している。需要がふえても供給をそうふやさなくてもいい方法というのはいろいろあるんですが、それに対する方向づけなりインセンティブが不明確なところが問題であるということを私は申したつもりでございます。
  111. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 重ねて恐縮ですけれども垣田参考人にお尋ねいたします。  エネルギーバランスという観点から感じますことは、一次エネルギーの最大の消費者は電力である。それは約三分の二が廃熱として捨てられてしまう、利用されていないという結果があるわけで、効率という点では極めて悪い例の一つです。地球環境の問題も考慮すれば、このむだをいかになくしていくのかということが意義のあることで、コジェネレーションの活用ということもあるんですけれども、大規模な発電施設では例がないと思うわけなんです。ですから、その発電に伴うロスの活用について有効な対策は果たしてあるのか、どの程度の成果が実際に上がっているのか、その点についてお尋ねいたします。
  112. 垣田行雄

    参考人垣田行雄君) 発電所というイメージをどのように持つかでございますが、日本の場合に発電所と申しますと非常に大規模ということになりますが、世界的に見ますと発電所というのは必ずしも大規模ではないわけですね。大規模にいたしますと、どうしても大量の熱が出てまいります。先ほど委員がおっしゃったように三分の二ぐらいは熱として出てきますけれども、それを有効に利用しようといたしますと、いろいろな工場とかビル、あるいは家庭に配管で熱を送るためにまた膨大な投資が必要でございまして、とてもペイしない。  ですから、今我々が本来一つの理想と考えておりますのは、先ほど申しましたようにNOxも出さない燃料電池のようなものを都心のビルの中に置きまして、そこから出てくる電気は当然電力会社の設備でいいわけですから、電力会社の設備としてそこからその周辺には熱を送るというように排熱を使いやすい方策を持っていくというのがまず第一でございまして、大規模火力で同じことをやればいいじゃないかといっても、それは配管投資ばかりもう天文学的数字がかかりまして、不可能であります。その場合にはやはり電気だけを効率よくつくるという単一目的に徹するべきだと思うんです。  そうじゃなくて、電気と熱と両方をうまく使うというようなものはやっぱり小規模にしまして熱の需要地帯に持ってくる。そういう大規模と小規模のベストミックスといいますか、従来ベストミックスという言葉は原子力と石炭と天然ガスとかをどう組み合わせるかという場合に使われるケースが多いんですが、私自身は大と小のベストミックスを模索したらどうかということを言っておりまして、今委員がおっしゃいました発電所の件につきましてはそのような観点を考えております。
  113. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 時間がありませんので、最後に槌屋参考人にお尋ねいたします。  日本の二酸化炭素の排出量を二〇〇〇年時点で一九八八年の水準以下に削減可能だということで四つの点について詳細に御指摘もされているわけですけれども、その中で特にライフスタイルの問題と、エネルギーの大量消費を引き起こさない社会をつくっていくという中で、とりわけ社会システムの改善の中で非常に示唆的な一つとして輸送システムの問題を取り上げておられて、公共交通機関を充実させる、あるいは貨物輸送の鉄道への転換ということが具体的に指摘されているわけです。  北海道では、国鉄がJRになってローカル線がかなり廃止されたということで、公共交通機関がなくなって逆に自動車が住民の足として大量にふえていくということで、かなり逆行しているという状況があるんですけれども、この輸送システムを公共交通機関を充実させる等々で転換をしていくという問題について、もう少し詳しくお伺いできればと思います。
  114. 槌屋治紀

    参考人(槌屋治紀君) 最初のライフスタイルの問題に関しては、私はあくまでも長期的な問題としてとらえているので、この十年ぐらいにそれが具体的な問題にできることなら取り上げられない方がいいと思います。自然な形で政府がいろいろな計画、政策を行う中でそれをチェックしていくということが重要だと思います。  それから、自動車、輸送の問題に関しましては、確かに北海道のように非常に広く広がった地域では自動車というのが今後も増加するというふうな傾向があると思います。そういった場合に注目するべきは、例えば、先ほどから幾つかお話が出ていましたが、都市内での自動車、それから首都圏の非常に大量のトラックの輸送というふうなところに着目しますと、これはエネルギーというだけでなくて、実際にそれが所期の目的から逸脱して、時間を節約するということもできないし、非常にたくさんの種類の問題を引き起こしているというふうなことから考えて、都市を中心にして自動車を抑制する、公共交通機関にかえていくというようなことが重要だというふうに思います。  ですから、それは国全体で一律なやり方をとるのではなくて、地域によって適応したやり方を考えていくということが必要だと思いますし、そういうことを通じても十分に二〇〇〇年までに自動車あるいはトラックの輸送の一五%を公共交通に切りかえるということは可能だと思います。
  115. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 ありがとうございました。
  116. 田英夫

    会長田英夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人に一言お礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。本調査会を代表して厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  なお、本日、参考人から御提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたく存じますので、御了承いただきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会