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1990-11-28 第119回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十一月二十八日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      村田 誠醇君     大渕 絹子君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     上田耕一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 岡野  裕君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 二木 秀夫君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 西岡瑠璃子君                 渕上 貞雄君                 諫山  博君                 上田耕一郎君                 高井 和伸君    国務大臣        建 設 大 臣  綿貫 民輔君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  塩崎  潤君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       木部 佳昭君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  佐藤 守良君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    島田 尚武君        総務庁行政管理        局長       増島 俊之君        北海道開発庁計        画監理官     平工 剛郎君        環境庁企画調整        局環境管理課長  的石 淳一君        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       橋本善太郎君        環境庁自然保護        局企画調整課自        然環境調査室長  小林  光君        環境庁水質保全        局水質管理課長  浜田 康敬君        沖縄開発庁振興        局長       水谷 文彦君        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     斎藤  衛君        国土庁地方振興        局長       芦尾 長司君        大蔵大臣官房企        画官       神原  寧君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    坂本 弘道君        農林水産省構造        改善局建設部整        備課長      上田 一美君        農林水産省農蚕        園芸局総務課長  大日向寛畝君        運輸省地域交通        局交通計画課長  鶴野 泰孝君        運輸省港湾局計        画課長      堀井 修身君        建設大臣官房長  望月 薫雄君        建設省建設経済        局長       鈴木 政徳君        建設省都市局長  市川 一朗君        建設省河川局長  近藤  徹君        建設省道路局長  藤井 治芳君        会計検査院事務        総局第一局長   安部  彪君        会計検査院事務        総局第三局長   川崎 恒夫君        会計検査院事務        総局第五局長   山本  正君    参考人        住宅金融公庫総        裁        高橋  進君        北海道東北開発        公庫総裁     吉岡 孝行君        北海道東北開発        公庫理事     三松 弘志君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   藤仲 貞一君        沖縄振興開発金        融公庫理事    勝又 博明君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十二年度政府関係機関決算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十一日、村田誠醇君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。  また、本日、沓脱タケ子君が委員辞任され、その補欠として上田耕一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は建設省総務庁北海道開発庁沖縄開発庁国土庁住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 種田誠

    種田誠君 私は、地価対策についてまず伺ってまいりたいと思います。  過日の十月二十九日に、土地政策審議会の方から答申がなされました。答申によりますと、地価対策は急務であるということで、しかもその最大の目的は異常な地価勤労者住宅確保し得るような適正な水準にまで引き下げるということが一つだということと、もう一つは二度と地価高騰を起こさないような制度的な枠組みをつくり上げなければならない、こういうふうなことが骨格だったと思います。  そして、そのためには国民企業において痛みを伴う合理的な施策も抜本的に必要になってくるだろう、このことも覚悟をしなければならない。そしてさらには、これまでの土地対策に関してはどうしても対応のおくれがあったり、施策総合性整合性に欠けていた、そういうことから対症療法的な施策中心であったのではないだろうか、そういうことが今日の地価高騰を三たび起こしてしまった、そういうふうなことの原因なのではないのかということに関して反省をした上で、強力な土地政策を進めることによって先ほどの目的を達成できるように、こういうふうなことが答申の大きな流れではないだろうか、こう思うわけであります。  そこで、実はこの答申が出る少し前でありましたが、NHK番組で、「地価は下げられる」とかいうシリーズ物でしたが、その中で国土庁長官も、間違いなく下げられます、私下げます、こういうふうにおっしゃっていた記憶もまだ耳に生々しく残っておるわけであります。  そういう意味で、今答申が出された、まさにこれからこの答申に沿って土地対策をしていかなければならないと思うわけでありますが、まず、その辺に関する御決意、また反省などとかそういう点がございましたらば両大臣から述べていただければ幸いだと思います。
  8. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 種田先生にお答えします。  今先生の御指摘のとおり、地価が非常に高いわけでありまして、地価をどう安定させるか、将来どう下げるか、それから将来地価高騰を起こさない制度をどうしてつくるかというようなことで、全力を尽くしているわけでございます。  先生も御高承のとおりでございますが、今度の地価高騰に対する対策としては、これまでも総合土地対策要綱などに従いまして、監視区域の的確な運用、これは地価を上げないための監視区域の的確な運用土地関連融資規制住宅宅地の供給の促進土地有効高度利用促進、また政治的配慮としては東京からの機能分散促進などの需給両面にわたる各般施策を実施してまいりました。  これに対して、土地政策審議会答申では、土地基本法成立を機に、これは大切なことは公共の福祉優先の原則を打ち立てたということだと思いますが、この成立を機に、土地政策全般あり方について改めて見直し、土地基本法基本理念にのっとったより総合的な土地対策を確立し、その効果的な推進を図ることが必要としています。  今後は、この答申指摘のあった事項の具体化を早急に図り、土地神話の打破、適正な地価水準実現及び適正かつ合理的な土地利用確保という土地政策目標実現に向けて全力を挙げて努力してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  9. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 適正な地価の形成と適正な土地利用確保のためには、税制金融上の施策はもちろんでございますが、土地利用計画充実等総合的な施策充実を図ることが重要だということはよく認識をいたしておるところであります。  この土地政策審議会答申に示されております点につきまして、私どもといたしましても、従来から都市計画法というのは経済社会の発展に合わせて的確に見直しながらやってまいったわけでございますが、今回こういう御指摘もございましたので、今後は土地に関する総合的な施策の一環といたしまして、都市計画におけるマスタープランの充実土地利用計画詳細性確保等土地利用計画の一層の充実のために、その線に沿って検討を行ってまいりたいと思っております。  私もNHK番組に出させていただきましたが、地区計画制度とかいろいろ都市づくりについても、住民参加のもとにいい町づくりをしていく、こういう方向をぜひ進めたいと思いますが、そのためにも、私もNHKで申し上げましたように、住民の皆さんの協力なり御解理がなければならぬわけであります。日本土地政策というのは、やはり総論は賛成でも各論になるとエゴが出るということでありますから、どうかそういう点についても住民の御協力をぜひお願いしたい、こう思っております。
  10. 種田誠

    種田誠君 問題は、そういうことの中で地価に関して、地価を下げられるとか下げるとか、こういうふうな一つ言葉があるわけでありますが、今日の施策の中で、目安として果たして地価はどの程度価格であれば私たちの日常生活の仕組みの中で妥当なのだろうか、その辺が一番国民にとっても重要な関心のあるところではないだろうかと思うわけであります。  過日の答申の際に審議会部会長さんからは、勤労者所得地価の対比で見て、一九八四年ごろの水準を想定したい、こういうふうな言葉もあったように記憶しておるんですが、その辺に関しまして、目安とする地価というのは一体どのようにお考えでしょうか。
  11. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私は、基本的に考えまして一番問題なのは、実はまじめに働いて、そして一生涯かかっても住まいの持てない現状を大変問題だと思っておりまして、基本的には、まじめに働けばある一定規模以上の水準の、これは一戸建て住宅とかあるいは中高層マンションとかいろいろあるわけですが、持てるようにする地価が適正な地価土地基本法の言う「適正な地価」ではないか。今考えておりますのは、三年ないし五年かけて今の二分の一にする、半分にするというぐらいが適正な地価ではないか、このように考えております。  そんなことでございまして、持ち家、また逆に賃貸住宅の問題がございますが、家賃等につきましては、年間収入の二〇%程度で住めるようにいたしたい。そんなことでございまして、土地利用価値に相応した適正な水準まで下げるということを考えておるわけでございます。私は、土地基本法の言う「適正な地価」というのは、まじめに働けば住まいの持てるということで、まあ今の地価の半分ぐらい。そうすれば、率直に言いますと、逆に所得年間三ないし五%ふえますから、ちょうど持てるのじゃないか、このように考えております。
  12. 種田誠

    種田誠君 長官の方からかなり大胆な御提言をいただいたわけでありますが、問題は、それを本当に政策の中で下げていくということになりますと、先ほど冒頭述べましたように、企業国民にとってもある場面では大きな痛手をこうむるようなこともあるかもわかりませんけれども、それを乗り越えてやっていくということだと思うんですね。その場合に、地価引き下げのための大きな骨格となる対策はどのようなものがあるでしょうか。
  13. 藤原良一

    説明員藤原良一君) お答え申し上げます。  地価対策というのは非常に間口の広い対策でございますから、対策各般にわたるわけでございすが、例えば土地取引規制として監視区域活用等もございますし、また土地関連融資に対する規制措置、そういった金融上の措置もあろうかと思います。さらに土地税制の問題、土地利用計画の問題、あるいは土地情報整備公的評価の問題、そういった各般にわたる問題があろうかと考えております。
  14. 種田誠

    種田誠君 今局長が述べられた中で、監視区域なり規制区域、これは土地価格抑制する、下げるというよりは抑制するという機能が大きいんじゃないかなと思うんですね。それから金融土地関連金融ですね、これも割と即応できる一つ緊急対策というふうな形での、引き下げまではいかないにしても、抑制策にはなるだろう。さらに税制ということも述べられましたけれども税制に関して言えば、これは抑制からむしろ引き下げを可能にする政策ではないだろうかな、こういう気もするわけです。  さらに、今度は土地高騰を防ぐ、そういう視点に立った場合の対策としては、先ほど述べられたいわゆる計画とか利用とか、そういうことが問題になろうと思うんです。  そこで、今回のこの土地高騰を招いてしまったその原因については、もう国会でもいろいろなところで議論をされておりますから、そのこと自体は触れないにしても、今申し述べたようないろいろな施策の中で、今回どういうところに欠陥があったがゆえに土地高騰を招いてしまったのだろうか、その辺のことについて、まず監視区域規制区域について、果たしてこの制度でもって十分だったんだろうか、それともこの制度にどこかに何か欠陥があってそれが地価高騰を招いてしまった一つ要因になっているのではないだろうかとか、そういうことについて御意見などありましたらばお願いしたいと思うんです。
  15. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 今回の高騰要因としては、もう御承知のとおり、いろいろな要因が複合しておると思いますけれども、これほどまでに地価を引き上げてしまった原因としては、大量の資金土地市場に流れ込んだということもございますし、また土地が資産として有利な側面を持っておる、そういった制度的な背景もあろうかと思います。さらには、土地利用計画も比較的緩やかな規制でありまして、大都市地域においても低・未利用状態で放置することが許されるような側面もあるいはあったかと思います。  いろいろな要因があったと思いますが、ただ直接お聞きの取引規制関係につきましては、監視区域規制区域制度がございます。監視区域制度は六十二年に国土利用計画法を一部改正していただきまして創設した制度でございますが、その後積極的にこの制度運用してきております。ただ、制度創設当時はどうしても地価の動向に対して後手に回る嫌いがあったと思います。ただ、今日では既に全国で千を超す市区町村でこれが運用されておりまして、これをできるだけ早く先行的に指定する、さらには届け出価格の設定を厳格にするとか、窓口における価格審査を厳正的確に行いますと相当の効果が発揮できると評価しております。  なお、規制区域につきましてはまだ運用された実績がございませんけれども、これにつきましても答申にございますように、今後大規模プロジェクトが予定される地域において積極的に活用されるような方策をさらに検討してまいりたいというふうに考えております。  これまでの実績を振り返りますと、必ずしも十分ではございませんが、かなり法律改正等によって進んできておるというふうに考えておるところでございます。
  16. 種田誠

    種田誠君 実際今回は、監視区域制度指定にしても、国土庁の方のいろいろな指導の結果、先ほど局長が述べられておったように、全国的にかなりのスピードをもって監視区域指定が詳細になされていったわけでありますが、問題は、この制度に関しても当初やはり自治体がなかなか真っ正面からこの問題に関して取り組めなかった。そういうふうな一つ地方財源の問題とか人的な組織の問題とか、そういうことがあったのではないだろうかと思うわけなんです。ですから、制度を生かすも殺すも、やはり実際それを運用する者、監視区域規制区域でいえば自治体、その財源とか人的な組織の問題、そういうことに関するあらかじめの十分な体制をこれからもお願いをしたいと思うわけであります。  そして次に、先ほど来ちょっと話が出たわけでありますが、土地高騰を防ぐ、かつ土地を安定的に利用に供せしめる、こういうふうな目標に立ってつくられているのがいわゆる国土利用計画法でもあるし、それから都市計画法でもあったわけだろうと思うし、建築基準法におけるさまざまな施策だったと思うんですね。日本法律においても、もう既に土地利用に関するさまざまな計画制度化されているわけであります。そして、詳細計画などについてももうかなり全国的にもそれを実行しようという自治体もあるわけです。しかしながら、そういう制度があっても、じゃ今日までその制度はどうだったんだろうかと。この制度が十二分に発揮されていれば多分今回のような土地高騰は起こっていなかったと思うんです。  ですから私は、この都市計画法建築基準法国土利用計画法における制度が何かこれまで十二分に実効性を担保できなかった、そこに大きな問題があるのではないだろうか、こう思うわけでありますが、その辺のことについて、省庁の方のお考えを伺いたいと思います。
  17. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 確かに制度的には一応整備されておりますが、それの運用が不十分だという側面もあったと思います。典型的なのは、先ほど御指摘になりました規制区域運用等がそれに当たると思います。また、土地利用計画側面でも、一応法律上の計画制度は整っておりますが、その内容の点について申しますと必ずしも充実した内容を備えていなかった、そういう面もあろうかと思います。ただ、制度的にもまだまだこれから検討し充実していかなければならない側面もあろうと思いますが、まずその前に既存制度をできるだけ活用していくという姿勢が何よりも必要だと考えております。
  18. 市川一朗

    説明員市川一朗君) 都市計画法を所管しております立場からお答え申し上げます。  今回の地価高騰に関しまして私どもが分析している観点一つといたしまして、例えば住宅商業業務とが併存できる状態用途地域が決められておるような、主として都心周辺部におきまして住宅商業業務系用途に変わっていく、その過程でいわゆる業務系用途を期待した地価が形成されてきておるといったようなことが、用途規制あり方として規制が緩やか過ぎるためではないかというような指摘があることを私ども存じておるわけでございますが、しかしながら、一方では低層住宅以外の用途は基本的に認めておりません第一種住居専用地域でも地価が上昇しておるというようなことから、非常に難しい問題がいろいろあるというふうに認識しておるわけでございます。  さきの通常国会におきましても、都市計画法を改正いたしまして、例えば遊休土地に対する新しい地区制度を設けるなど新たな土地利用計画に関する制度創設等も行いまして、今後の対応をいろいろ検討しているわけでございます。先ほど建設大臣からも御答弁申し上げましたように、土地政策審議会答申もございますし、そういったような観点から、よりよい土地利用規制といいますか、土地利用計画が我が国において策定され、それが実行されるように努力してまいる必要があるというふうに考えております。  特にその場合には、何といいましても具体の問題につきましての市民の理解協力コンセンサスを得られるような制度であり、かつ運用でなければならないと思っておりまして、その点につきましても十分意を体してまいる必要があると考えておる次第でございます。
  19. 種田誠

    種田誠君 今局長の方から最後に述べられました、まさに地域住民方々の意を十二分に酌みながら理解をもらう、そういうことが背景にないと、いわゆる詳細計画地区計画実効性が上がらないということが一つ大きな課題だろうと思うんですね。  過日、都市局長の方も、日経新聞の十一月二十六日のものでしたが、そこのコラム欄に、「規制から強制へ転換図る」というようなことで発言をされておりますが、問題は、規制から強制へ転換を図っても、図ることは私は極めて重要だと思うんですけれども、先ほど来お話がありましたように、果たしてこのことが地方自治体の、また地方住民方々コンセンサスを得られて、一緒にやっていこうという方向が出ないとまた結局同じことになってしまうのじゃないかなと、そういうふうな危惧を持つわけなんです。  そういう中で、特に日本においても都市計画法の中における、また建築基準法におけるいろいろな計画、一番重要な地区詳細計画、これも私がちょっと調べたところによりますと、九〇年の三月現在まででまだ五百三十二件ぐらいのいわゆる自治体での地区計画導入にすぎないということになりますと、量的にははるかに少ない計画の実施なんですね。そうすると、この辺のことについても、建設省の方ではそれなりの制度を全部おぜん立てするけれども、実際それが地方自治体に、地域に生かされないというところに問題が一つあろうかと思うんですね。その点について、単に住民の御理解をいただくとか、自治体の積極的な推進を求めるとかというだけでは同じことを歩んでしまうんじゃないかなと思うんですが、その辺に関する新しい取り組みの方針などというのはございますですか。
  20. 市川一朗

    説明員市川一朗君) ただいま御指摘のありました地区計画制度は、昭和五十五年に都市計画法を改正いたしまして設けられた制度でございまして、御指摘のとおりまだ五百数十件の適用ではございますが、最近特に東京都を中心といたしまして地区計画制度、その中でも再開発地区計画という制度が非常に有効であるという認識が広まってまいっておりまして、東京都を中心に大いに活用される機運が高まっております。そういったようなことで、私どもは、これから地区計画制度の積極的な活用によってよりよい町づくりができる。  地区計画制度と申しますのは、簡単に言いますと、建築物の形態まで計画で決まるというようなものでございますので、でき上がりを想定いたしながら地区住民の中で議論ができるという制度が従来の制度と非常に異なっている点でございまして、そこでコンセンサスが得られますと、非常にいい町づくりができ上がることが期待できる。そういったことにつきまして、国といいますか、建設省といたしましても、強く、それが活用されるよう指導してまいるという方向で検討しておるところでございます。
  21. 種田誠

    種田誠君 まさに土地利用に関する原点というか、ベースは、今局長が述べられたところにあろうかと思うんです。したがいまして、問題はその辺のところに、住民の皆さん方が自分たちの考えでもって町をつくっていくんだということ、そしてそれが自分たちの環境をよりよく保全をしていくんだという、まさに下から上に物を積み上げていくような、そういうふうな思考というか、物の見方というのをこれから積極的にこれらの施策の中に取り入れていただきたい。取り入れることによって初めて土地というものがその地域においてどのような位置づけを得ているんだろうかということが多くの国民の皆さんに理解されていくのではないだろうか、こう思うわけでありますので、ぜひ強力な御推進をお願いしたいと思います。  この地価対策の中で今まさに問題になっておりますのが、いわゆる税制の制定によって地価を下げるということが国会においても、そしてまた各政党においても今論じられておるわけでありますが、土地が大きな含み益などを持ってしまった時期でありますので、私は、この税制に関しても両省におきまして積極的に、前向きに取り組んでいただきたい。そして、今都市政策住宅政策、とりわけ生活関連の環境整備の施設に関しては膨大なお金が必要になるわけでありますから、できれば新税などのうちの何割かをこのような目的税化してもらって、省庁において早急に国民のニーズにこたえるための財源にしていただきたい。こういう形でぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、その辺のことに関する簡単な考え方などもありましたらばお願いしたいと思います。
  22. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 土地対策に占めます土地税制の役割というのは、非常に重要な役割があると思っております。例えば、土地の資産としての有利性をできるだけ縮減いたしまして土地に対する過剰な選好を抑えていくとか、あるいは投機の抑制、供給及び有効利用促進、そういった側面で非常に税制の果たす役割は大きいと思っております。政府税調の答申等を踏まえながら、今さらに税制の総合見直しについて詰めが進められております。  ただ、この税制は、私ども政策税制である、あくまでも土地対策の一環としての税制見直しである、そういう視点から理解しておりますので、この税収につきましても、できるだけ還元していくというのは当然の方向だろうと考えております。  さらに、一歩踏み込んで申し上げさせていただきますと、やはりこれは住宅宅地対策、そういった方面に活用をしていただけますならば、さらに土地対策推進に役立つのではないかというふうに期待しておるところであります。
  23. 種田誠

    種田誠君 次に、常磐新線の件についてお伺いをしたいと思います。  多くの皆さんの御努力によって、今月、第三セクター方式でもって常磐新線がもう一歩前に進んでいくという方向が打ち出されてきたわけでありますが、そういう中で、とうとうJR東日本の積極的参加はいただけませんで、完成後の運営委託という方向に落ちついていかざるを得ないような状況に今あるわけでありますが、冒頭運輸省の方にお伺いしたいと思います。  第三セクター、しかも将来の運営をJR東日本に委託をしていくという方向が生まれたわけでありますが、これだけの大きないわゆる国の事業と言ってもおかしくないような形での常磐新線の建設でありますし、さらには運輸省を通じてJR東日本の一層の協力ども得なければ遂行できないと思うんですね。そういう意味で、運輸省の現時点における常磐新線に対するお考え方などをまず伺いたいと思います。
  24. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) お答えいたします。  常磐新線の整備につきましては、先生おっしゃいましたように、沿線の一都三県が、去る十一月の十五日に開催されました副知事会議におきまして、地方自治体を主体といたしまして第三セクターを本年度中に設立すること等について合意したところでございます。一部三県は、JR東日本に運行を委託するとともに、第三セクターに対する出資でありますとか、鉄道事業者としてのノーハウあるいはマンパワーの提供等の協力をJR東日本から得たいと希望していると我々承知しており‐ます。  運輸省といたしましては、JR東日本は民営化された会社でありますことから、第一義的には同社の経営判断によるものであると考えておりますけれども、常磐新線、これは非常に重要な路線であると考えておりまして、その円滑な整備確保されますように、JR東日本に対しまして必要な指導を行っているところでございます。今後も引き続きまして必要に応じて指導してまいりたいと考えております。
  25. 種田誠

    種田誠君 結局、当面自治体中心に、自治体の負担でこれを遂行していくということになったわけでありますが、ややもすると、この半年間の動きなどを見ていますと、常磐新線に対してもう既に、何か赤字路線でもつくるような冷ややかな全体的な態度があったようにも感じられたのが非常に残念なんです。むしろ、先ほど述べましたように、この常磐新線、決して茨城県だけの問題ではなくて、東京都、首都圏全体の課題を解決していく、そういう視点でこれが事業化されているわけでありますから、ぜひとも運輸省の方でも、もろもろの財政上、税制上等の最大の御支援をいただきたいと思うんですが、その辺のところ、当面どういう形でやっていくか、お考えがございますか。
  26. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 運輸省といたしましては、平成三年度の概算要求におきまして、鉄道整備に対する助成の充実を図るということを目的といたしまして、特殊法人鉄道整備基金、これは仮称でございますが、この基金をつくりまして、その基金から常磐新線を含みます大都市鉄道整備に対する無利子貸し付けを行うという制度の創設を要求しているところでございます。  現在、基金の設立あるいは無利子貸付制度創設等について折衝中でございますが、運輸省といたしましては、これらが実現できるように最大限努力してまいりたいと考えております。
  27. 種田誠

    種田誠君 運輸省の方には、ぜひとも協力方お願いをしたいと思います。  ところで、この常磐新線が成功するかしないかというのは二つにかかっていると言われております。一つは、今実施されております集約換地の手法をとっている土地区画整理事業、これが成功するかどうかです。いわゆる四・四方式と言われるものですね。それからもう一つは、いわゆる監視区域をどこまで狭く規制して土地の値上がりを抑えることができるか。これが最大の課題だと、これも言われているわけなんです。この二つがしっかりと位置づけられていかないと、多分常磐新線二〇〇〇年完成は不可能だろうということにならざるを得ないと思うんです。  そこで、この二つの点でございますが、まず最初に監視区域の点と地価値上がりの点について伺いたいと思うわけであります。  過日私のところへ寄せられた資料によりますと、何と茨城県では去年一年間で、全県平均で宅地部分が一〇・七%、商業地域が一〇・一%の地価の上昇です。そして、この常磐新線が対象になっている県南、県西地域、ここでは甚だしいところでは何と三三・九%、二七・二%、かなりの地価の上昇が見られるわけであります。そしてついには調整区域の田畑まで、今大幅な値上がりの状況を呈しているわけであります。田んぼが昨年は一六・二%、畑でも一九・五%、急上昇しているわけであります。監視区域も、多分この重要地域には全部指定にはなっておると思うんですね。じゃ、監視区域指定がなっているのになぜ上がってしまうのか、その点を伺いたいと思います。
  28. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 御指摘のとおり、茨城県、この常磐新線沿線につきましては、六十三年三月ごろから順次監視区域指定してきておりまして、現在ではつくば市など十六市町村で指定を行っております。この過程で、区域を拡大したりあるいは届け出対象面積を若干引き下げたり、そういった措置を講じてきておるわけでございますが、御指摘のとおり、それでもなお地価の上昇は続いております。私どもは、この措置でかなり抑制はされつつあるんだろうと思いますが、遺憾ながらなお二〇%、三〇%の高率の上昇が続いておる、そういう実態があるわけでございます。  私は、この監視区域制度につきましては、先生も御承知のとおり、一般の取引価格地価公示価格等に比べまして著しく適正を欠くという部分について行政指導を加えてきておりますので、抑制する場合にもある程度の限界があるということが一つ言えると思います。それともう一つは、届け出対象面積の設定によりましては全取引の一部しか捕捉できない、そういう側面がございますので、監視区域指定されましても行政指導を経ないまま取引されてしまう部分が相当ある、そういったことが相まってなお相当の上昇が続いておるのじゃないか、そういうふうに判断しておるわけでございます。
  29. 種田誠

    種田誠君 この監視区域の点について、この秋に建設委員会で大阪や奈良の方に視察に行ったとき、実は大阪府の方の御説明をいただきました。大阪府の方において六十二年から平成二年までに要している費用も大変な事業費であります。人数も三倍ぐらいにふやしてやっているわけですね。国土庁の御指導もあったんだと思いますが、大阪府の方は地価が今下がっている、そういう状況に至っているわけです。  これまでの取り組みに対しては敬意を表するんですが、私は、こういう既存の、できている町うちの地価抑制には、きめの細かい対策を打てば、監視区域という制度によっても、また規制区域という制度によっても、地価抑制は図れるんだろうと思うんです。ところが、常磐新線の場合はこれはまだ町ができていないんですね。これから町をつくっていく、そういう場所なんです。そうしますと、そもそも監視区域が予定していたような地域に対する監視区域指定じゃないんですね。これはまさにこれから開発をされて、皆さんが頭の中で、もっと地価が上がるんじゃないかという、先が見えないわけですね。そういう地域に対して地価抑制、また開発を進めるための地価の安定というものを図るためには、私は本来、監視区域という制度を適用してもこれは効果が期待できないものじゃないかなと一面思うわけです。  そういう中で、たまたま今度土地政策審議会の中で、大プロジェクトを行うような場合には、この監視区域規制区域以外に、別個な、将来のいわゆる利益還元なども踏まえて新たな制度考えるべきだ、こういう指摘があったと思うんです。私は、そうでないと今回の常磐新線の地価抑制というのは不可能なんじゃないかなと、こう思うわけなんですが、その辺のことに関しての御意見はどうでしょうか。
  30. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 監視区域運用によりましても、先ほど申し上げましたように、先行的にきめ細かい取引まで厳正的確な指導対象にするという対応をいたしますと、抑制という面では相当の効果は期待できると思っております。そういうことで、私どももこの六月に監視区域運用指針を定めまして相当厳しく的確に運用していただくよう指導に努めておるところであります。しかしながら、地価をさらに厳しく凍結するとかそういうふうな方向で進もうといたしますと、どうしても監視区域制度には限界があるというのは御指摘のとおりであります。  そういうことで、大規模プロジェクト予定地につきましては、これは先行き地域開発に対する期待が非常に高まるわけですから、どうしても地価が上昇する可能性、蓋然性が強いわけでありますので、そういうところについては少なくとも規制区域のような制度を積極的に活用し、さらに厳しい地価対策を講じていくということは私どもも必要だと思っております。答申でもそういう御指摘をいただいておりますので、私ども現行制度の活用方法をさらに突っ込んで検討し、現行制度で不十分であれば、先ほどの開発利益還元方策等もあわせて考えながら、何とかこういうより厳しい規制制度が活用できるような方途を探っていきたい、そういうふうに考えております。
  31. 種田誠

    種田誠君 この地価対策と同時に、常磐新線で今非常に大変な状況に陥っているのが先ほど述べましたいわゆる四・四方式という区画整理方式なんです。東京の方により近い谷和原地域とか茎崎地域では約八割の先買いが行われたというふうにも聞いていますが、問題は、つくば周辺に行きましたら、この半年の間に、絶対協力しない、もう常磐新線は要らないんだ、そういうふうな声まで出て、実は県議会においてもかなり厳しい御指摘などがなされて、そういう中で四・四方式の見直しとか区域の見直しとか、いろんなことが今茨城県の中では議論されているわけであります。そういう中で、果たして今後四・四方式と言われる四割先買い四割減歩手取り三六%という方法でこの事業がやっていけるのかどうか。そしてまた、何らかのもう少し多様化した土地の取得、また開発のあり方などに対する方策がとれないものか。その辺のことについて伺いたいと思います。
  32. 市川一朗

    説明員市川一朗君) 常磐新線の沿線につきまして、まだ常磐新線自体が必ずしも具体的に位置等が特定できる段階ではないわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、茨城県を中心といたしましていわゆる四・四方式という形で区画整理事業を進めるべく現在地元説明等を行っていることを私ども承知しておるわけでございます。  四・四方式といいますのは、ただいまもお話がございましたが、地区のおおむね四割をまず先行買収いたしまして、残り六割につきましてそのうちの四割を減歩して公共施設用地と保留地を生み出すというものでございますので、地元地権者にとりましては土地が平均して三六%しか残らないんですが、先行買収いたしました四割分は金額として入るといったような関係でございまして、それが伊奈・谷和原丘陵部地区というところでは、ただいま御指摘ございましたように、目標といたします用地買収面積の約八割まで買収できているようでございます。残りの地区、つくば地区を中心といたしましてはまだ地元での説明会を行っている段階でございまして、いろいろと意見がふくそうしておるということは私どもも承知しておるところでございますが、例えばその手前の守谷地区で最近組合区画整理が行われておりますが、そこでの減歩率は約四八%というふうに承知しております。  したがいまして、区画整理事業を行う場合の減歩率等にかかわる問題でございますから、いわゆる地権者の方々にとりましては非常に深刻な問題でございまして、問題は簡単ではないと理解しておりますが、常磐新線建設という極めて重要なプロジェクトのための事業でございますので、茨城県といたしましてもできるだけ早期に事業を推進したいという意向のようでございまして、私ども国の立場でも、そういった地元権者との十分な話し合いを行って納得を得られる形でやってもらいたいという気持ちを出しつつ、その事業の円滑な推進が図られるよう全面的に協力してまいりたいと思っておるところでございます。
  33. 種田誠

    種田誠君 ちょっと農水省の方に伺いたいと思うんですが、茎崎町に日本農業研究所というのがあろうかと思うんですね。この日本農業研究所は、今回のいわゆる常磐新線沿線の開発対象地域には入っておるんでしょうか、それとも入っていないんでしょうか。
  34. 大日向寛畝

    説明員大日向寛畝君) 今御指摘の財団法人日本農業研究所の農場が茎崎町にあるわけでございますが、その農場に関しましては、まだ常磐新線の計画具体的に定まっておりません段階でございまして、その中に入っているか入っていないか、まだ明確になっていない段階であるかと思っております。
  35. 種田誠

    種田誠君 現在はどのように利用され、今後のこの農業研究所の位置づけというか、その辺のところはどんなものでしょうか。
  36. 大日向寛畝

    説明員大日向寛畝君) お答えいたします。  財団法人日本農業研究所は農業及び農学に関しまして必要な研究及び表彰を行うということでございまして、昭和十七年に設立されました公益法人でございます。  御指摘土地は、昭和三十七年に学園都市整備に先駆けまして東京からわざわざ移転してきました実験農場でございまして、現在は飼料作物の栽培を行いながら約二百五十頭の乳牛を飼育いたしまして、生産農家に新しい技術の普及を目的といたしました畜産主体の実証試験を実施するとともに、大規模家畜経営の成立要因に関しまして、経済的、技術的な側面から総合的な調査研究に一生懸命に取り組んでいるところでございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、常磐新線の施設に伴う農場の今後の方向につきましては、常磐新線の計画がまだ具体的な段階でない、そういった段階はおきましては明確な御答弁はできないのでございますが、仮にそのような移転の要請がある場合には、まず日本農業研究所の意向を尊重しながら、農場の立地条件や調査研究の将来方向をも十分に考慮して適切に対処する必要があると考えております。
  37. 種田誠

    種田誠君 日本農業研究所さんは茎崎町の方に約二十六万平米ぐらいの敷地を持っておるわけでありますが、実はそのほかに、つくばのこの地域日本自動車研究所というのがございまして、これは何と二百七十三万平方キロメートルの敷地を持っております。そして今、日本農業研究所さんの方の将来のことはまたわからないという御発言がありましたが、常磐新線の沿線開発などのかかわりにおいて何らかの対応ども必要になってくるんじゃないか、こういうふうな御意見だろうとも思うわけであります。そうしますと、例えばその四・四方式を実行する上で地権者の方がどうしても土地を手放したくないんだと、三六%の残では困るんだというような場合、四割の買い取り価格でもってこういう土地を例えばつくば市とかその他の茨城県なりの自治体がとりあえず取得して、そしてこれを地権者の方に代替として渡すとか、そういうふうな物の考え方もそろそろ検討の中に入れておいてもいいんじゃないかと思うわけなんですが、その辺はどうでしょうか。
  38. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) ただいま御指摘のように、今後沿線の宅地開発を進める上で、用地取得を促進するということが大変重要であるということは私ども認識しているところでございます。そのために、茨城県を初め関係地方公共団体におきましては既に必要な予算の確保等を行いまして、現在、用地の先行取得の準備を進めているところでございます。  ただいま御指摘の財団法人日本自動車研究所のように、大規模な低・未利用地につきましては、茨城県の沿線の開発計画の中にも位置づけまして、現在、県が計画的な土地利用につきまして協議を進めているところであるというふうに報告を受けているところでございます。
  39. 種田誠

    種田誠君 どうもありがとうございました。常磐新線に関しては、省庁を合わせて国策事業というような視点に位置づけて、ぜひ協力方御推進をお願いしたいと思います。  最後の質問に入っていきますが、過日、総務庁の方から湖沼の環境保全に関しての調査結果に基づく勧告がなされたわけであります。それにつきまして新聞などでは、「湖沼浄化足ぶみ 排水対策急げ」と、こういうふうな見出しでもって、こぞって厳しい指摘がなされたわけであります。そういう中で今第七次下水道整備五カ年計画が策定されておる。そして、それを拝見していきますと、いわゆる特定環境保全公共下水道や特定公共下水道、いわゆる湖沼周辺の緊急の対策対応するような下水道の予算が大幅に増額されている。大変心強いと思うわけであります。  しかしながら、問題は、いわゆる湖沼の、緊急に浄化しなければならないとされた九湖沼、その周辺でもこれまで特定環境保全公共下水道ほか下水道類似施設の普及が極めて低かったということになりますと、これからいわゆる中小市町村、さらには今回指定をされている九湖沼以外の環境を早急に改善しなきゃならない地域の下水道の普及というものは極めて難しいのじゃないか、こう思うわけであります。  その辺のことに関して、建設省におきまして大幅な予算の確保はなされつつあるようでありますが、それを効率よく実施していくためにどのような手だてを今持っているか、簡単に御提示いただければありがたいと思います。
  40. 市川一朗

    説明員市川一朗君) 下水道の普及率に関しましては、全国平均約四〇%台でございますが、御指摘にございましたように、湖沼周辺の下水道普及率はまだ低い状況でございます。こういった状況は、実は必ずしも湖沼周辺だけに限りませんで、我が国の下水道の普及は、例えば人口八十万以上とか、そういった大きな大都市におきます普及が先に発達しておりまして、それを平均いたしますと約四〇%ということになりますが、人口五万未満の市町村でとってみますと、普及率は平均で七%にすぎません。しかも、約二千八百の市町村があるわけでございます。そのうちの約二千は下水道は全く未着手でございます。  こういったような問題が基本的にあるという認識に立ちまして、来年度から始まります新しい下水道五カ年計画につきましては、最終的に今後十年間で、現在四二%程度の普及率を七〇%まで全国平均で引き上げるために、その未着手の二千の市町村も含めましたいわゆる地方都市を中心とする下水道の普及率を高めていくということに重点を置いてやっていきたいということをまず基本的に考えておりまして、いろんな施策を講じようとして予算要求等をしてございます。  また、特に指定湖沼等を対象といたしました公共下水道につきましては、基本計画策定費補助制度等もございますので、こういったものを活用いたしまして特に重点的に取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  41. 種田誠

    種田誠君 そこでちょっと、より具体的に伺いたいんですが、この総務庁指摘によりますと、実は霞ケ浦周辺の下水道関係の進捗率が極めて悪くて二八・一%で、目標達成はほぼ困難であると、このように残念ながら指摘を受けておるわけでありますが、これはどういうところに原因があって、今後どうしたらよろしいんでしょうか。
  42. 市川一朗

    説明員市川一朗君) ただいま霞ケ浦の普及率のお話が出たわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、こういった地域も含めまして、いわゆる地方都市における下水道が基本的に全般的におくれておるわけでございますので、霞ケ浦付近が低い普及率の段階になっておるということにつきましては、この地域特有の理由によって特におくれているというよりは、我が国の下水道の整備が大都市中心で進められてきておった結果であるというふうに私どもは基本的には認識しておるわけでございます。  霞ケ浦の水質保全の確保ということにつきましては極めて重要なテーマでございまして、ちょっと具体的に申し上げますと、その周辺に流域下水道が三つ行われております。霞ケ浦湖北流域下水道、霞ケ浦常南流域下水道、霞ケ浦水郷と三カ所で行われておりますので、この整備が進むに従いましてその成果は着々と上がってくるものと思っておりますが、なおこの流域につきましては、単独の公共下水道の整備促進することによりまして効果を十分上げていくことができるものと私どもは思っておるところでございます。
  43. 種田誠

    種田誠君 下水道をつくっていくということは、生活雑排水を湖沼に入れないということになるわけでありますが、いわゆる下水道の方の施設は、時間がちょっとかかるような場合もあります。  そういう中で、今とみに普及が大幅にふえているのが、いわゆる合併浄化槽というのがふえておるわけであります。もとより単独処理浄化槽の方が圧倒的な普及率になっているわけでありまして、合併浄化槽はまだまだ普及率は少ないんですが、厚生省などの努力によってかなり大幅な増加が今後望まれる、こういうものがあるわけでありますが、これも現実には単独の処理浄化槽が多分九八%以上ありまして、合併浄化槽の方が二%以下ぐらいの普及だということなんですね。合併浄化槽でないと生活雑排水の処理ができないわけでありますから、この霞ケ浦とか湖沼周辺において合併浄化槽の方の普及を早急に上げるということは可能なんでしょうか。
  44. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 従来からいわゆるトイレの水洗化というようなことを中心にいたしまして単独浄化槽が普及してきたわけでございますが、先生指摘のとおり、今の家庭からの雑排水、これが湖沼等の汚染の原因じゃないかというようなこともございまして、合併処理浄化槽というものを今進めておるわけでございます。  これはどういうものかといいますと、いわゆる台所だとかそれからおふろの水もトイレの水と一緒に処理するというものでございます。昭和六十二年から補助の対象にしておりまして、最初は補助金が一億円ということでございましたが、来年度は八十億円という要求をしておりまして、これからどんどんその普及を進めていこうと、かように考えておることでございます。
  45. 種田誠

    種田誠君 実は、単独処理浄化槽も合併浄化槽も、個人の負担は四十万なら四十万という同じ負担なんですね。同じ負担でありながらなぜ合併浄化槽の普及がおくれているのか、その点はどうでしょうか。
  46. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今まで単独の方がどっもかというと普及してきたというような経緯もございまして、合併の方は比較的新しい装置であるということでございます。それと国の補助の対象にしましたのが非常にまだ新しいわけでございます。  今先生がおっしゃいましたように、補助の方は単独と合併のその差額につきまして補助の対象にしておるわけでございます。そういうようなことで、新しいということ、それからまた少し大き目につくらにゃいかぬというようなこともございまして、敷地の問題だとかそういうようなこともございまして、まだそれほど普及していないということでございます。
  47. 種田誠

    種田誠君 そうしますと、単独浄化槽よりは合併浄化槽の方が目的を達成することは間違いないわけでありますので、早急なPR並びにその普及方をぜひ図っていただきたいと思うわけであります。  また、同じようにコミュニティープラント、この点についてはまだまだ湖沼周辺における普及が少ない状況でありますので、努力をしていただきたいと思います。  最後に、農水省の方に伺いたいんですが、この総務庁の御指摘で、農水省の農業集落排水関係の普及がやはりおくれていると、こういうふうな御指摘もあるわけなんですが、これはどういうことからでしょうか。
  48. 上田一美

    説明員上田一美君) 御説明申し上げます。  農業集落排水事業は農業振興地域内の農業集落を対象として実施しております。御案内のとおり、霞ケ浦につきましては湖沼水質保全特別措置法に基づき昭和六十年十二月に指定湖沼として指定され、昭和六十二年三月に湖沼水質保全計画が作成されておりますが、この湖沼水質保全計画のうち農業集落排水事業につきましては昭和六十一年度から平成二年度までの五年間に百四十五集落を対象として事業を実施することとしております。この計画に対しまして実績を見ますと、今年度までに五十二集落について事業着手しております。これは県の方から要望がありました集落すべてを採択しております。  この湖沼水質保全計画の対象百四十五集落に比しますと事業着手率がやや少ないという傾向がございますが、この原因としましてはいろいろとございますが、主なものとしましては、事業の実施に当たって地元関係者全員の同意が前提となることや、事業に対する啓蒙、普及が十分でなかったことなどが考えられております。  御案内のとおり、この農業集落排水事業は、集落が分散して存在します農村における汚水処理方式として経済的であり、かつ有効な処理水質が確保できるという特質を持っておりますので、公共用水域の水質保全にも極めて有効であることから、今後とも一層地元、県、市町村等関係機関と密接な連携を保ちながら積極的に推進していくこととしております。
  49. 種田誠

    種田誠君 終わります。
  50. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 西岡です。国土庁建設省、運輸省、環境庁、よろしくお願いいたします。  経済大国と言われ、働きバチのように働き続けてまいりました日本国民にとりましても、今日生活様式の多様化が進む中で、何とかして余暇活動ができる時代の到来をと願わない者はないと思っております。そうした観点からも、リゾート開発に関する国民の関心はなお高いものがあると認識をいたしております。  昨今の新聞、テレビなどマスコミにおきましても、さまざまな形でこのリゾート開発の諸問題が取り上げられております。リゾートというこの言葉自体、一面で大変やわらかい甘い響きを持って私たちに語りかけてくるかのようでございます。日本人の価値観が、若者を中心にレジャーとかリゾートとか、日常性の中でゆとりの時代へと向かっているとすれば、それは好ましいものとして否定すべきものではないことは言うまでもありません。しかし、今国民の多くは、このリゾートという言葉から、あるいはリゾート開発という言葉から、環境破壊、地価の上昇、不動産業者などの暗躍を連想するに至っているようでございます。こうしたリゾート開発は、第百八国会成立をいたしました総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法が引き金となり、以前にも増して拍車がかけられたためと言われております。  本日は、三年を経過いたしましたリゾート法と地域環境整備の問題点につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、八七年の六月、リゾート法と前後して閣議決定をされた第四次全国総合開発計画は国土の均衡ある発展を図り、二十一世紀への国土づくりのため多極分散型国土の形成を基本方針として八八年の六月に促進法を制定しております。この方針に基づき、公的な立場あるいは民間それぞれの連携を図り、具体の国土基盤投資を進めるとし、昭和六十一年度から十五年間の投資規模を一千兆円程度と想定をしております。四全総計画はリゾート開発にも触れており、地方圏における重点的プロジェクトの一つに挙げております。  そこでお伺いをしたいのですけれども、四全総が掲げております大規模なリゾート地域整備の意義は何でしょうか。また、四全総の目指す多極分散、地域活性化とどう結びつき位置づけられるでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  51. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 西岡先生にお答えいたします。  先生指摘の四全総では、国土政策上の重要課題は何かといいますと、全国各地域の活性化を通じまして国土の均衡ある発展を図ることでございまして、特定の地域への人口や諸機能の過度の集中のない多極分散型国土の形成を基本的目標としております。  そのためには三つのことを推進する必要があると思います。その一つ地域主導による地域づくりの推進、第二番目にはそのための基盤となります交通、情報・通信体系の整備、その次には地域間の交流機会の拡大を内容とする交流ネットワーク構想を推進することが大切だと思っております。  実は、このうち特にリゾート地域等につきましは二つの点に特に配慮する必要があると思っております。その一つは、余暇需要の量的、質的変に対応しました余暇活動空間の整備充実が必要であること、それからもう一つは、都市との広域的な交流を通じた農山漁村の活性化に大きな役割を有することから、地域の特色等を活用し、環境との調和を図りつつ整備を進めることに特に配慮が必要だ、このように考えております。
  52. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 そのとおりでございましょう。人、物、金、情報、さらには政府や民間企業政策決定過程の東京一極集中に対して、地方にも高度な都市機能を備えた極を形成しようという長期的で全国的な四全総であるというわけですけれども、大規模リゾート整備について、全国で何カ所程度が適当とめどを立てておられたのでしょうか、お伺いします。
  53. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) 総合保養地域整備法に基づく基本構想について、全国で今どのぐらいか、こういうことでございますが、本日現在、三重県等二十四道府県の基本構想が承認をされております。それから、あと滋賀県等七県が基本構想の承認申請を行っておるという状況でございます。  今のところ、そういう状況でございます。
  54. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 リゾート地域整備は、向こう十五年間の国土基盤投資規模一千兆円の中の戦略プロジェクトとされておりますけれども、この事業の占める割合ほどの程度と想定されておりますか。
  55. 長瀬要石

    説明員(長瀬要石君) ただいま御指摘がございましたように、四全総におきましては十五年間で国土基盤投資一千兆円、このような構想を掲げております。  この内容でございますが、先生御案内のように、政府固定資本形成、民間住宅投資、それから公共公益的な民間設備投資、これら全体をいわば総合いたしまして国土基盤投資と、このような概念を示しまして、その中で昭和五十五年価格により一千兆円、このような想定をしているところでございます。  したがいまして、どの分野についてどれだけというような一千兆円の内訳については私ども持ち合わせておりませんけれども、いずれにいたしまても、官民力を合わせてこれから二〇〇〇年までの間に国土の基盤をつくっていくことが重要である、このような認識のもとに四全総がつくられている、このように御理解を賜りたいと思います。
  56. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 官民力を合わせてとおっしゃいました。全国の総合開発行政を所掌する国土庁は、公的な構想、民間計画も含めてリゾート構想、計画の状況をどのように把握されておられますか。
  57. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) 先ほど申し上げましたように、今二十四の道府県の方から基本構想が出されております。  その計画の中身でございますけれども、主な施設について申し上げますと、例えばゴルフ場等でございますけれども、九ホール以上の新増設が百六十カ所ぐらいになっておる。それからまた、スキー場等につきましては新増設のものが百カ所程度、マリーナ等につきましては六十カ所程度、そういったような内容で現在基本構想を承認し、それに従って各道府県では推進をしておるという状況でございます。
  58. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 民間動向の把握は困難だということですか。難しいですか。民間動向は把握されていらっしゃいませんか。
  59. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) 一応こういう施設整備につきましては、この総合保養地域整備法の趣旨でございますが、民間の活力でやっていこうということでございますので、今申し上げました諸施設を主としては民間がやっていくということになろうかと思いますが、具体的に幾らという定量的な把握はちょっと今のところいたしておりません。
  60. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 リゾート法に基づくリゾート構想について、手続段階ごとの件数、そして面積をお尋ねしたいと思います。
  61. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) 先ほど申し上げましたように、現在二十四の道府県の基本構想を承認をいたしておるわけでございますが、その構想の外枠をなします特定地域ということになりますけれども、これが大体三百七十万ヘクタールということでございまして、国土面積の九・八%、約一割という状況でございます。  そこでまたその中でございますけれども、施設整備を行っていく重点地区でございますが、これが五十万ヘクタールということで、大体一・三%ということになっております。これが二十四道府県の部分でございますが、さらに現在、先ほど申し上げました基本構想のその調査、提出されておる部分が十六あるわけでございますけれども、それを含めますと、特定地域につきましては全部で六百三十万ヘクタールになりまして一六・六%、それから重点整備地区につきましては八十万ヘクタールで二・二%と、そういうことになるわけでございます。
  62. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 日本の国土面積は三千七百七十七万ヘクタールでございますよね。それに対してリゾート構想の対象面積は大体一六%ぐらいだと言われるわけですけれども、各県には複数のリゾート構想があるというふうに聞いております。この数字は入ってないんですよね、その中には。この上にさらに相当な面積に及ぶ民間のリゾート開発計画を加えますと、公的な分、民間の分、その構想、計画の総面積は恐らく全国土の二〇%を超えることが予想されると思うわけです。まさにリゾート列島、乱立するリゾート開発と言われる指摘もうなずけないわけではないと思います。  こうした事態は、当初からリゾート法の予定していたものなのでありましょうか、お伺いしたいと思います。
  63. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) もう一度申し上げさせていただきますけれども、ただいま私どもの方でリゾート法に基づいて基本構想を承認しておりますものが、各県一つずつでございますけれども二十四地区ありまして、それが先ほど申し上げましたように一六・六%になっておる、そういうことでございます。  そして、それ以外の、何といいますか、民間で独自に開発されているといったものがあろうかと思いますけれども、それはここで言うリゾート法とはちょっと関係のない部分でありますので、私どもとしてはそういう数字は把握はいたしていない、こういうことになるわけでございます。  いずれにいたしましても、各県でそれぞれリゾート開発を進めていこうではないかということでの積極的な推進方策がとられまして、現在そういう状況になっておるということを御理解いただきたいと思います。
  64. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 とにかく全国土の至るところリゾート構想だらけという感じを受けないではありません。これでは四全総計画の目指す国土の均衡ある整備、開発も何もあったものではないと思うんですね。全くめちゃくちゃではないかと思うんです。  ついでに言わせていただきますと、私、この夏にオーストラリアへ視察に行ったんです。超党派の国会視察団で行ったんですけれども、金余りの日本企業土地を買いあさりまして、ゴールドコーストなどでもマリーナなんかのリゾート施設をつくっているのを見てまいりました。閑古鳥が鳴いております。全く世界のひんしゅくを買うありさまだとしか私は思えないのです。  ところで、話を戻しますけれども、このリゾート開発は、良好な自然条件を備えた相当規模の地域を選定要件としていたのではなかったかと思うんですね。我が国は、経済の復興、そして成長、さらに高度成長という過程をたどって、大都市を中心に公害の問題、都市問題が今やクローズアップされてきております。今日まで幸いにも影響を免れてきた山や海、美しい天然自然に恵まれたふるさとの山河、地域が、今リゾート開発の対象地として次々とねらわれているわけですね。このようなリゾート開発は良好な自然環境を次の世代にと訴える四全総計画とも相入れない施策となりつつあると思いませんか。  私は改めて、国土庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  65. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  先生の御指摘のことで一番大切なことは、地域の活性化を図りながらどのようにして良好な自然環境を維持するかということが一番大きな問題だと、このように考えております。  総合保養地域を実施するに際して大切なことは、自然環境の保全に十分配慮しなければならないということでございます。このために、実は先生も御高承のとおりだと思いますが、基本構想の承認に当たっては環境庁長官と協議することとされておるとともに、基本方針においても特に自然環境の保全との調和に配慮すべき旨明記しており、総合保養地域整備に当たっては、自然環境の保全との調和に十分配慮して進めていくこととしているところでございます。  また、その整備に当たっては、自然環境に恵まれた地域における有効な地域振興策として、地域住民の期待に沿って推進されるべきものであり、自然環境の保全との調和を図りつつその整備を着実に推進することが農山漁村等の活性化にも資することと考えております。  もとより、関係者においてはこれらの点を十分理解の上、総合保養地域整備に取り組んでいただいているものと認識しておりますが、当庁としては、今後とも自然環境の保全との調和に十分配慮しつつ、総合保養地域整備が行われるよう関係者を強力に指導してまいりたい、このように考えております。
  66. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 もちろん、リゾート法制定の社会的背景一つに、地域の再整備、活性化が挙げられております。先ほどちょっと数字のことでお尋ねをいたしましたけれども、承認済みのリゾート構想を拝見いたしますと、特定地域は平均十六万ヘクタール、五、六から十余数の市町村がその中に含まれているわけですね。当初、その地域住民たちは、生活環境の再整備という点で非常に明るい期待を抱いていたと思うんです。しかし、それらの地域で行政手続に先駆けて暗躍を始めたのは大都市の不動産業者でございました。  民間活力の導入が特徴となっている手法ではありましょう。しかし、その場合でも、地元の業者を育成し、参加をさせる道を開かなければ地域の活性化にはつながらないと思うわけです。資金力と組織力で魔の触手を伸ばす企業、その機会を逃すまじと焦る地方自治体、もう結果は火を見るより明らかで、企業中心の開発になり、地域整備はおろか住民生活まで脅かされることになっております。「民間事業者の能力の活用に重点を置きつつ」と、このように規定しておりますリゾート法が招いた事態であると思われませんか。
  67. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今先生の御質問というのは、リゾート法の開発等につきまして、民活重視の姿勢についていろいろお話があった、こう思うんです。  実は、これは基本的な財政力その他の問題がございまして、地方ではなかなか対応しにくいということと、民活中心の場合は基本的に三つの点で大変プラスの点があると思います。一つは、各種の施設について従来から民間事業者が中心になって整備している例が多いということです。第二番目には、施設の性格上、創意工夫、機動性及び良質なサービスが要求されるが、この点において民間事業者の方がすぐれていると考えておるということです。それから三番目には、昨今の厳しい財政事情にかんがみ、各種の施設整備については、国及び地方公共団体による整備とあわせて民間事業者の活力を活用することが不可欠になっているということでございまして、この三つの点から民活中心考えるわけでございます。  国としては、民間活力の活用による総合保養地域整備促進するため、民間事業者が整備する特定民間施設に対して各種の支援措置を行うこととしており、また、国、地方公共団体においては、道路、下水道、公園等の公共施設の重点的、計画的な整備に努めることとしております。  なお、国としては、総合保養地域整備の基本構想の推進に当たっては、総合保養地域整備地域づくりであるとの認識のもとに、都道府県や関係市町村、関係事業者等から成る連絡推進体制の整備等を行うことにより、関係者間の相互の連携を密にし、地域の特性を生かした魅力ある総合保養地域が形成されるよう強力に指導を行っているところでございます。
  68. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 民間活力にのみ頼っていてはいけないということを私は申しているわけですけれども、リゾート整備が真に地域の活性化をもたらすために地場産業を育成し、そして参加をさせる必要があるということを私は重ねて申し上げるわけです。  それから、先ほど種田委員の方からも御質問がありましたけれども、不動産業者の暗躍が、本当に法の目をくぐりまして、リゾートに便乗して行われております。地元への大金のばらまき、それから土地投機、マネーゲームともあるいはリゾート錬金術とも映る様相でございます。その結果は、リゾート施設予定地、駅周辺はもちろんのこと、他の地域も含めた地価高騰を招いております。固定資産税、相続税にもはね返っていきます。住民はただただ愕然となるばかりです。また、自治体本来の公共用地の買収も困難になるのではございませんか。そればかりではないと思います。加えて住民の金銭感覚が麻痺してまいります。まともな労働、生活設計がばからしくなることですね。当然のことながら風紀が乱れてまいります。子供たちの教育にも悪影響を及ぼしかねないと思います。  このリゾート開発で、御存じかもわかりませんけれども、南フランスのリゾート地、ラングドック・ルシオンのことをもちろん御存じでございましょうね。ここが計画決定に先立って予定地の地価を完全に凍結して成功したと聞いております。そして、この地は非常に湿地帯であった。自然環境に恵まれた良好なところではなかったわけですね。そういうところを切り開いて活性化をさせ、リゾート開発をしている。これこそ本当に、まさに理想的なリゾート開発であると思うわけですね。  それから、地価対策のことでございますけれども、従来から政府の地価対策というのは本当に後手後手に回っているということで批判を受けております。地価公示額の上で上昇があらわれてからでは手おくれだと思うんです。国への基礎調査報告の段階で業者が動くわけですから、地価は上がってしまいます。この時点で、先ほどもお話が出ておりましたけれども国土利用計画法に基づく地価監視区域指定はできないものでしょうか。大都市の地価高騰地方に拡散させてはならないと思うのです。  土地担当大臣としての国土庁長官の御意見、御見解をお伺いしたいと思います。
  69. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、先ほど先生がおっしゃったラングドック・ルシオンの例については、まだ現地を見ておりませんが、大変参考にしたいと考えております。  実は、リゾート整備が進められる予定の地域につきましては、先生が御指摘の点、非常にあるものでございますから、一応指定する前に関係者にお話ししまして、でき得れば監視区域指定をお願いしたい、でき得れば監視区域の届け出面積を低くしたい、そんなことでございまして、地価抑制に努力しているわけでございます。現在は大半の地域におきまして多分監視区域指定がされている、このように理解しております。
  70. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 それでは、次に自然環境の破壊について話を進めてまいりたいと思います。  リゾート開発を進める上で環境保全との調整も大変大きな課題でございます。良好な自然条件を有する地が、リゾート開発の要件とされていることは先ほども申し上げました。しかし、自然の保全、保護と開発行為とはしょせん基本的に相反するものではないだろうかという気がしてなりません。それはなぜかと申しますと、山が崩され、緑が失われ、水が汚染され、海浜が損なわれた。こうした事例は、リゾート開発につきものと言っても言い過ぎではない状況が今や日本列島のあっちこっちに噴き出しております。  国の基本方針を見ますと、自然環境の保全との調和をリゾート構想に盛り込むように指示をされておりますね。それにもかかわらず、自然破壊は続いております。開発行為を伴う場合、自然環境に及ぼす影響の調査を義務づけ、それを住民に公表し、リゾート構想に反映させるべきではないかと思います。また、環境保全の実効を監視するため、環境庁長官もリゾート法の基本方針を定める主務大臣になるべきだと私は思います。  これらの事柄について、環境庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  71. 橋本善太郎

    説明員橋本善太郎君) 総合保養地域整備法に基づきますいわゆるリゾート開発につきましては、良好な自然環境を生かすべきリゾート地の整備、これが環境破壊につながらないよう、その実施に当たり自然環境の保全を初めとして環境の保全に十分配慮する必要があると考えております。  このような観点から、同法に基づきます総合保養地域整備に関する基本方針、これの策定に際しまして、環境庁として所要の協議を行いまして、その結果も踏まえ、自然環境の保全との調和、その他環境の保全に十分配慮すべき旨が基本方針に盛り込まれているというふうに理解しております。
  72. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 自然環境の保全との調和を十分に図っていかれるように努力をされていると伺いました。  私きょう、ちょっと具体例を申し上げたいわけですけれども、私の地元でございます高知県香美郡夜須町の大手の浜というところがございます。この手結マリーナ計画を例に出しまして少し話を進めてまいりたいと思うわけです。この件につきましては、既に今月初めの環境特別委員会で私どもの同僚議員の方から議題に上せておりますけれども。  まず、運輸省にお尋ねをしたいと思います。  高知県の大手の浜マリーナ計画は、運輸省港湾局が県及び夜須町とともに、マリンタウンプロジェクトの一環として推進していることは御承知のとおりでございますよね。運輸省に対して、去る十月三十日に財団法人日本自然保護協会から意見書が提出されております。内容についてしかるべき回答は行われましたでしょうか、お尋ねいたします。
  73. 堀井修身

    説明員(堀井修身君) 十月の末に、自然保護協会から手結港のマリンタウンプロジェクト、特にマリーナ開発につきまして御意見をいただきました。現在その中身につきまして検討中でございます。自然保護協会から私ども意見書をいただいたわけでありますが、特にそのときには私どもに手渡しをしていただいただけでありまして、もう少し御意見を聞いてみたいというふうに思っております。
  74. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私はこの十一月二十五日に現地へ行ってまいりました。私ごとですけれども、ここは幼少のころに何度か泳ぎに行った場所でもございます。よく承知をしておりますけれども、既に新外港の建設工事が始まっておりました。県立自然公園指定地域でもございますこの地域には、海側も陸地側も、絶滅の危機に瀕した貴重な生物種が生息しているということが指摘をされておりまして、取り返しのつかない結果になるのではないか、こういうことは地元のマスコミを初め識者の声も非常に高まっているわけでございます。実際に現地へ参りまして工事の現状を見てきたわけですけれども、この沿岸域は既に臨港道路が建設をされております。当局は生活道と言いますけれども、これはやはり臨港への、事業のための道路でありまして、事業の主体は運輸省港湾局に所属するものと思われます。  私、今写真を持っているわけですけれども、これですが、大きく引き伸ばしていないので非常にごらんになりにくいかもわかりませんけれども、もう惨たんたる状況で、がけが削り取られ、道路工事がブルドーザーで着々と進められておりますね。もう人は入れない、立入禁止というふうになっております。  ずっと周辺を歩いて、たくさんの海浜植物が生育していることも確かめてまいりました。そして、私はこの浜の貝殻をこんなにたくさん土地の方にいただき、私自身もこんなにたくさん拾ってまいりました。サクラガイのように非常にきれいな貝殻です。また、メランジェと呼ばれる非常に珍しい混在岩がございます。それから、船に乗りました。船に乗らなくてもすぐにこの海岸縁のところで造礁サンゴ、テーブルサンゴが見えるわけですけれども、船にも乗ってみたわけです。そして、ガラスの水中鏡で見ました。エンタクミドリイシというテーブルサンゴがもう一面に、何メートルも大きくあっちこっちに群生しております。これは確認してまいりました。少し海水が濁っておりますけれども、肉眼でもはっきり見えるんで  これらのサンゴがコンクリートで埋められて死滅をするおそれがあると地元の科学者や生物学者、いろんな人が調査をして、そしてもちろん自然保護協会の専門的な科学的な調査で指摘をされているわけですね。  これまでに二度、マリーナの建設位置を移動してほしい、マリーナを建設するならばこのサンゴを何とか死滅させないようにということで何度か要請をしました。そのたびに少しずつ移動して、二回移動しているようでございますけれども、それにもかかわらず、現在の建設予定地でも造礁サンゴとマリーナの共存共栄は不可能だと自然保護協会の現地調査に基づく報告書は警告を発しているわけですね。  これに対して、県の調査は潮流の計測をコンピューターで行って、実測ではない。実際の現地観測じゃなく年間の潮流のシミュレーションを出している。だから問題はないというふうに肯定をしているわけですけれども、それならば実際の観測に基づいた十分な科学的根拠を専門家の方のお名前と一緒にあわせて公表するべきではないか、こういうふうに言っているわけです。  大手の浜といわれているこの一帯の生態系の保全が危ないという自然保護協会の、そして地元の自然保護市民運動の人たちの声に対して、いま一度マリーナの全体計画が明らかにされるまで工事を中止するとか、慎重にこの際事に当たるべきではないかというふうに思うわけですけれども、いかがなものでしょうか。
  75. 堀井修身

    説明員(堀井修身君) この手結港の港と申しますのは、高知県が管理をいたします地方港湾でございますので、港湾に係ります計画でありますとかあるいはその整備につきましては、港湾管理者でありますところの高知県が実施をするというものでまずございます。  先ほど来から御指摘がございましたサンゴでありますとかあるいは植生でありますとか、こういった点につきましては高知県の方がいろいろと調査をいたしました。先生がおっしゃいました潮流の調査についてコンピューターでやっておるではないかということでございますけれども、潮流の現況については調査を現地でやっておるわけでありまして、評価についてはどうもコンピューターでやるというようなことでございまして、現地の調査をやっていないというわけではございません。  いずれにいたしましても、いろいろな点につきまして高知県の方で調査を行って、そして御指摘がございましたように、いろいろな観点から計画をローリングをさせまして、大手の浜をできるだけ守る、さらにはサンゴの群落があるわけでありますけれども、それもできるだけ埋めないようにするというようなことで、いわばマリーナ開発と環境保全と、こういった点について極力配慮をした計画というふうに高知県の方では考えておるようでございます。  私どもといたしましても、もう少し事情を聞いてみたいとは思っておりますけれども、高知県としては最大限の環境に対する調査をし評価をし、そして計画について環境と十分共存できるというような判断をしておられるというふうに聞いてございます。
  76. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 調査をしていただきたいと思います。環境庁長官が長良川を御視察をなさったように、ぜひとも現地へお運びをいただきたいと思います。  開発を推進されようとしている方々は、このすばらしい天然自然のものを、こんなものはどこにでもあると言っているんです。本当に大変な言葉だと思いますね。自然というのは一度失ったらもう取り返しがつかないんです。私が歩きました陸地側の保安林には県の立て札がかかっております。ずっと昔からかかっているわけです。「この保安林は私たち郷土の漁場、環境の保護に大変役立っています。 高知県」、そう書いてあります。そこをみすみすぶっ壊そうとしているわけですよね。  この保安林があるから、樹海があるから、魚つき保安林という立て札の名前のとおりお魚が寄ってきているわけです。漁業関係の方々は漁業補償をもらったかもしれない。しかし、私は本当にそれでいいのか、後悔のほぞをかむことはないのかと心配をするわけです。イセエビがとれます。イカがとれます。ウニも本当にもううようよするほどいますよ。たくさんのお魚がいっぱい泳いでいます。私は現実にこの目で、もう一度幼いときと同じように確かめてまいりました。これがコンクリートで埋め立てられていく。大変残念だと思います。何としても私はこの自然を守らなければいけないのではないかというその住民運動の方々の気持ちをもう一度大切にしてほしい。その方々は言っているわけです。自然が守られる形で、せめて方法を変えてほしい、適地を探してほしい、こう言っているわけです。  ここの場所は、本当に海辺の自然を楽しむという意味では、あるいは社会教育の場でも、あるいは生涯学習の場でもよろしいです。とにかくその最適の舞台でございます。本当に私、もうきょうこの名前を時間がまだありますから申し上げたらいいと思うんですけれども、ヤブムラサキという、ムラサキシキブという植物もございます。ハマヒサカキとかタブとか、それからヒメユズリハ、サンゴジュ、アゼトウナ、ノジギク、シオギク、タラ、それからツクシ、ハギ、ダンチク、もう本当に私自分でメモしてきたんですけれども、書き切れないんですよね。それがもうたくさんに群生している場ですね。これは珍しくも何ともないというこのせりふは、私は本当に暴言だと思うんです。  今、日本の自然が失われた地域に住んでいる子供たちは、こういうところへ行って学習をしたいと言っているんです。高知県で日本最後の清流と言われる四万十川へ修学旅行で、あるいは学校研修で、わざわざあの辺地へ、鉄道も第三セクターでしか通ってないですね、縦断道路もまだついておりません、そこへ本当にわざわざ来る。それぐらい今自然が大切なんですよ。そのことを私はもう一度お訴えをしたいと思います。  私がこんなに申し上げるまでもなく、これまで推進の立場でいろいろと町当局や県などと御一緒に来られた方々の中に、独自にいろいろな調査をされて、どうもこれは欠陥マリーナになるのではないかと。外洋ですからあらしが来ます。船はどうなる、ヨットはどうなる、陸に揚げなきゃいけないんです。膨大なお金がかかると思うんです。そして、あのマリーナというのは、そのヨットはだれが遊ぶんでしょうか。あそこの地域の素朴な漁民や農民やサラリーマンの人たちがヨット一台買えるほど私は所得があるとは思えません。地域の活性化なんて、本当にどういうところで言われているのかわかりません。  県全体の、県勢浮揚のためと言われますけれども、もしこれが失敗して赤字になったらどなたが責任をとるんでしょうか。そういうことも含めて私はいま一度検討していただきたい、拙速を避けていただきたい、そういうことを申し上げたいわけでございます。まだまだいろいろとお話をしなければならないことがたくさんございますけれども、時間がございませんので。  ただいままでは自然破壊、自然環境の破壊ということで私どもの地元の県を例にとって申し上げました。次に、生活環境の破壊についてちょっとお尋ねをしていきたいと思います。  大都市の近郊といいますか郊外では、リゾートマンションの建設が今問題を提起しております。リゾート構想に便乗した業者、投機の思惑も抱く買い手、物件がもう直ちに完売となるわけですね。あげくの果ては、周辺で日照権が奪われた、道路は車だらけ、ごみのはんらん、町の風紀が乱れてきた。こういった地域では本当にもうこのように生活までが脅かされる事態となるわけです。  また、郊外ではゴルフ場がやたらと造成されております。高知県も十数カ所というふうな話も持ち上がっておりますけれども、リゾートブームの中で、ゴルフ業者、会員権購入者、ともに確実性の高い投機のためだと思うわけです。平均百ヘクタールに及ぶゴルフ場の建設は周囲の環境を破壊いたします。自然の体系を変更していきます。さらに言えば、ゴルフ場の維持管理に使う大量の農薬が地下水、河川汚染、汚濁をしてまいります。リゾート法には、これらの事態を事前に規制する規定がございません。既存の法律によっても有効なチェックは期待できません。きめ細かな用途規制、開発規制を事業に先立って制度化することが焦眉の急であると思われます。  開発行政を担当される建設省の御見解を承りたいと思います。
  77. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 先ほどから西岡委員のリゾートに対するいろいろの御意見を聞いておりましたが、私自身ももう豪雪地帯の田舎に住んでおりますが、やはり最近は、地域の活性化ということでリゾートということが大変大きな起爆剤になって、私は多極分散型の国土のやはり一翼を担うような形に進んでおるのではないかと思います。  先ほど来のいろいろの御意見の中で、リゾートというのはやっちゃいけない、悪いというものでは私はないと思うんです。やっぱり地価対策なり環境保全なり、そういうものに留意してやれという私は御意見だと思うんですが、そういう意味におきまして私ども特に建設省は開発行政をやっております。開発は即自然破壊だということになりますと、これは何にもやるなということになるわけです。私どもはやはり自然のままにほっておけば災害が起こるというところにダムをつくって水を治めたり、いろんなことをして今日まできておるわけでありまして、私どもは自然と開発の共生ということがこれからの一番大きなテーマだと。したがいまして、リゾート開発につきましても、やはり開発と自然の共生、私はこれが一番大事な方向だと思いますので、政府といたしましても、当然そのようなことに留意をして進んでいくべきものだと考えております。  今御指摘のリゾート地域におけるいろいろの開発行為につきましては、これからも十分留意をしてやるつもりでございますが、日本国民の文化生活がさらに高まるにつけまして、やはりそれなりの対応というものが必要でございまして、例えば下水道を普及するということは一つの開発行為でありますが、それは即自然を守ることでもあるわけでありますし、道路をつけるということにつきましても、先生の高知県からもきのうは早く横断道路をつけろ、縦断道路をつけるとたくさん来ております。そういうことでやっぱり開発をしながら、自然を守りながら、みんな国民が高い生活を持っていく、これが私はこれからのあるべき姿だと思いますので、御指摘の点につきましては十分留意をしながら開発行政を進めていきたいというふうに考えております。
  78. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私は、リゾート開発に反対しているわけではありませんよ。それはよくわかっていただきたいと思いますね。  リゾート開発をしていくわけですけれども、その開発行為で直面するのが用地の問題だと思うわけです。用地の確保ですね。その際の既存の規制法の緩和規定がリゾート法に盛られております。施設の建設を請け負った民間業者が行政に対してこれは最も期待するものの一つでございます。リゾート法の規定は農地法による処分についての配慮、またこれは農地法とか農業振興法とか都市計画法がありますけれども、それから国有林野の活用についての配慮ですか、あるいは港湾に係る水域の利用についての配慮、さまざまございます。しかし、この規定は従来の公的な必要性からの規制を緩めるもので、乱開発、自然破壊に結びついていく危険が非常に大きいというふうに思われます。  規制の緩和は、民間エネルギーの導入で効果的に事業が遂行され、国民生活に寄与できて初めて是認されるのではないかと思うわけです。不動産業者の暗躍を誘発している現状は、全く業者迎合の方向と批判されてもやむを得ないと思います。現状を踏まえて早い時点での見直しが必要だと考えますが、各省庁及び国土庁の現状分析、御見解はいかがでございましょうか。
  79. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) まず最初に御理解いただきたいのでございますが、このリゾート法でございますけれども、先ほども申し上げましたが、リゾート地域というものを定めて、そしてその中で重点的に整備する地域を定めて、それについて私どもの方といたしまして基本構想を承認していく、その過程で関係各省いろいろ協議をいたしまして、そういう自然破壊につながらないように、そういうものを大事にしながら調和のある開発を進めていく、そういう段取りでやらせていただいておるわけでございます。  その中で、ただいまおっしゃいましたように、今法の十四条でも農地法等による処分等について適切な配慮をするということで、それぞれの法制度運用の中で規制の緩和を進めるに当たりましてもそういう所要の対応がなされておるわけでございまして、その中で、良好な自然環境が不可欠のものであり、その整備に当たりまして自然環境の保全に十分配慮していかなければならないということは言うまでもございません。  そこで、そういうそれぞれの規制法があるわけでございますが、その条件を解除していくという過程に当たりましても、主務大臣の定める基本方針の中で自然環境の保全との調和というものが特に配慮すべき重要事項として明記されておるわけでございまして、都道府県の作成する基本構想におきましても、ただいま申し上げましたようにそういうものを同じように定めるということになっておるわけでございます。そして、この基本構想の承認に当たっては環境庁長官と協議する、こういうふうに定めておるわけでございまして、その開発行為を進めるところはきちっと進めて、自然環境の破壊には注意しながら進める、そして守るべきところはずっと守っていく、そういう形でリゾート法の構想の承認を行っておるということを御理解いただきたいと思います。
  80. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 ぜひそのお気持ちで行政を進めていっていただきたいと思うわけですけれども、今リゾート計画を抱える地域では、先ほどずっと私が申し上げてまいりましたように、環境の問題、地価の問題をめぐってさまざまの問題が起こり、多くの意見が交わされているわけでございますね。  そうした中で、やはりリゾート構想というのは自治体住民の意思を踏まえて主体的につくり上げるものである。それはもちろん担当の皆様方の方からもそのようなお考えを述べられたわけですけれども自治体住民の意思を踏まえてそして主体的につくり上げていく、国はその構想を国の施策として位置づけながら側面から助成をしていく、これがリゾート法の予定する手続であるわけですね。しかし、私が先ほどずっと地元の例を出しましたように、リゾート構想が決められております過程で住民の意思を反映させる場がどれぐらいあるでしょうか。業者の内諾が構想承認の条件とされるために都合の悪い住民世論が抹殺されてしまう、かき消されてしまうのじゃないかと、そういう心配があるわけですね。  本来リゾート開発は、個人の生きがいの追求あるいはライフスタイルの見直し、そのための土壌、基盤づくりのはずでございました。同時に、地域振興を申しましょうか地域整備住民生活の向上に資するべきものでなければならなかったはずだと思います。ですから、住民不在というか、住民理解協力のないリゾート開発というのは無意味であり、私はこれではリゾート開発をやりたくても不可能になるのではないか、そういうふうに申し上げるわけでございます。  リゾート開発というのは、地元の高知県のあの香美郡の夜須町の人たちの中に、自分たちの暮らしが豊かになる、潤う、地域が活性化する、こういうふうに本当に小躍りするばかりに、言わせていただくと幻想ではないかと思うぐらいに思っている方も一部にはございます。本当に地元にとってリゾート開発というものは地域の活性化であり、地域の振興、地域整備そのものであるわけでございますよね。ですから、住民意思に沿ったリゾート構想の策定こそ何としても一番重点的に要請をされると私は思うわけです。  そこで、この主務官庁といたしましては、リゾート構想の承認に当たりまして、当該の地域住民意思を確認するために公聴会などをお開きになる、そういう機会を持ったりしたことはございますか。また、今後そういう予定、お考えはございませんか。お司いしたいと思います。
  81. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) ただいま御質問がございましたように、リゾートの整備というものは、それは確かに、おっしゃいますように、地域のためのものでなければならないということは、私どももそういうことで同感でございます。  そこで、総合保養地域整備法におきましては、この基本構想でございますが、都道府県が作成するということになっております。都道府県が作成するに当たりましては関係市町村と協議をしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。私どもといたしましては、総合保養地域整備の基本構想の作成に当たって、地元の市町村なり関係事業者等の地元関係者と十分話し合いを持つように都道府県を指導いたしておるところでございます。  また、基本構想の推進に当たりましては、県や関係市町村、関係事業者、関係団体等の連絡推進体制というものを十分に整備して、お互いの連携を図るようにも指導をいたしておるところでございます。この基本構想の推進に当たりましては、こうした連絡協議の場というものを十分に活用して、そして地元市町村等との連携を図って、自然環境の保全との調和等の問題に十分配慮した総合保養地域整備が進められますように、今後とも関係者を指導してまいりたいというふうに考えております。
  82. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私がこの決算委員会の場所をおかりいたしまして、地元の問題を出しながら自然環境の破壊について提起を行いたいということを県の方にちょっと耳に入れましたら、県勢発展のためにそれはどうかやめてほしいと言われました。県勢発展のために私は質問をするんですよね。どこにスタンスを置いているか。一人一人が本当に自分たちの住んでいるふるさとを、郷土を、国土を、地域を、この日本を愛しているから、だから取り返しのつかないことにならないように、一人一人の住民の意思を大切にしながら慎重にやっていきましょうということの問題提起をさせていただいているわけでございます。  今本当に、レーチェル・カーソン女史ではございませんけれども、一人一人がもう二度と私たちこの地球環境の自然を破壊したら取り返しがつかなくなるということの思いを深くしながら、リゾート開発にいたしましても地域振興計画にいたしましても進めていかなくてはならない。本当に真の豊かさを考えるならば、私は今一人一人が警鐘を乱打するときが来ている、そういうふうに思うわけでございますから、県の方には耳が痛かったかもわかりません、県の思惑でない質問をあえて私がしたということになるかもわかりませんけれども、私はきっと後になってこのことを、私が質問申し上げたということを感謝してもらえる日が来るということを確信しながら、少し時間が余っておりますけれども質問を終わらせていただきます。また機会を見て、このことについては質問の機会をいただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  83. 会田長栄

    ○会田長栄君 まずお聞きしたいことは、昭和六十二年度沖縄振興開発金融公庫に関する会計検査院の検査報告についてお伺いいたします。  マンション購入の資金の貸し付けを受けて購入したマンションの第三者への賃貸等の防止に関することでございます。会計検査院が実地調査した結果、どのような指摘をしたのか、お教え願いたいと思います。
  84. 山本正

    説明員(山本正君) 御説明いたします。  沖縄振興開発金融公庫では、民間業者が新築し、かつ公庫が定めた基準に該当するマンションを購入する者に対しまして、マンション購入資金の貸し付けを行っております。この場合の貸し付け条件は、貸し付けを受けた者がみずから居住するための住宅であるということになっておるわけでございます。しかし、本院が検査いたしました結果、購入した住宅を第三者に賃貸していたり、会社事務所等の非住宅用途利用しているものがあったりしておりまして、適切とは認められないものが合計八十件、貸付金額にして六億九千四百万円見受けられました。  このような事態の生じている理由でございますが、もちろん借入者の不誠実ということもございますが、公庫及び公庫から業務の委託を受けた金融機関におきまして、借入申込者がみずから居住するための住宅を必要としているか否かについての審査、これが十分でなかったり、貸し付け後のマンションの居住状況の把握をしていなかったこと、あるいは貸付契約の内容が借入者の不誠実な行為を十分抑制するものとなっていなかったことなどによるものと認められたわけであります。  このため、速やかに体制の整備、契約内容の変更などをして、第三者賃貸等の防止に努める要があるということを指摘いたしましたところ、公庫では、さきに述べました八十件の貸し付けにつきまして繰り上げ償還の措置を講ずるとともに、六十三年十月、受託金融機関あて「個人向融資に係る目的外使用の防止策について」等の通達を発するなどいたしまして、第三者賃貸等の防止を図るよう体制を整備し、契約の内容を変更するなどの措置を講じたという旨の報告でございます。
  85. 会田長栄

    ○会田長栄君 なぜこのようなことが起きたんでしょうか。今後対応考えてみると、ここははっきりしていた方がいいと思いますから、お聞かせください。
  86. 山本正

    説明員(山本正君) 発生原因ということでございますが、先ほどお話しいたしましたように、もともとこういう話でいきますと、借受者の不誠実ということがあろうかと思いますが、公庫及び受託金融機関が、借入申込者がみずから居住するための住宅を必要としているかどうか、このことについて十分な審査をしておれば、あるいは貸し付け後にマンションの居住状況についての把握をしておれば、こういう事態は生じなかったというふうに思われます。また、契約の中で、こういうような事態が生じないような、不誠実な行為を抑制するような条項があればまたよかったのではなかろうか。そういうもろもろのことが原因になっておると考えております。
  87. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、会計検査院から指摘された沖縄振興開発金融公庫はどのような改善措置をとられたか聞かせてください。
  88. 勝又博明

    参考人(勝又博明君) お答えいたします。  会計検査院の指摘を受けましたマンション購入貸し付けの融資条件の違反案件でございますが、ただいま検査院からも御答弁のとおり、八十件違反案件があると指摘を受けたわけでございますが、これにつきましては全件繰り上げ償還等の措置を講じております。  今後将来にわたりましてこのような違反事案が生じないための改善措置といたしまして幾つかの措置を私ども講じたところでございまして、それにつきまして簡単に申し上げますと、第一には、審査の適正化ということでございます。これは受託金融機関に対しまして、このたびの違反事例の分析に基づきます審査上の留意事項の周知徹底ということと、申込者に対します申し込み受け付けから融資の実行までの各段階における申込者本人の居住意思の確認の徹底ということを図っております。それから第二でございますが、これは融資後の管理の適正化でございまして、これは個人向け融資住宅実態調査要領というものを定めまして、受託金融機関に毎年実地調査を行わせることにいたしまして管理体制の整備強化を図っております。それから第三には、違反の未然防止のために違約金の制度を取り入れたわけでございます。  このような防止措置を講じることによりまして、今後このような違反が生じないよう努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  89. 会田長栄

    ○会田長栄君 違約金まで含めて今後も対応するということでありますが、私は、違約金を取ることに積極的であればいいなどという意見の持ち主ではございません。したがいまして、当初、違反の起きないように行政の手続が的確に行われればいい、こう思っているわけでございますから、その点、今後よろしくお願いしたい、こう思います。  次は、昭和六十二年度の決算で、北海道東北開発公庫の六十二年度末における貸付金のうち、弁済期限を六カ月以上経過したもの九十二億八千百万円あったと報告されております。  そこでお尋ねいたします。  その後どうなったのか。そして二番目には、どのような経済情勢の中で起きたことなのか。三つ目は、特に弁済期限が六カ月以上過ぎてもなおかつ容易でないという事業について、業種別、規模別に分けたら一体どのような状態なのか。そして四つ目、対応策はどんな手だてを講じましたか。これを聞かせていただきたいと思います。
  90. 三松弘志

    参考人(三松弘志君) お答えいたします。  今先生指摘のように、昭和六十二年度末の貸付金のうち返済期限が六カ月以上経過した延滞額は九十二億八千百八万円となっているわけでございます。北海道東北開発公庫地域開発を専担する政府金融機関といたしまして、北海道、東北地域の実情や会社の経営実態を十分検討した上でその延滞額の解消に鋭意努めているところでございます。なお、延滞の解消に当たりましては、地域活性化の観点から、会社の経営並びに地域の雇用問題、こういうものにも十分配慮しつつ対応しているところでございます。  それから、返済期限が六カ月以上経過したものの業種別、規模別内訳いかんというお尋ねに対してお答えしたいと思いますが、業種別に見ますと、延滞しております会社数では製造業、非製造業がそれぞれ半々ぐらいになっております。それから、延滞した金額の方ではおおむね四割が製造業、六割が非製造業というふうになっております。それらを企業の規模で見ますと、やはり資金調達力が相対的に弱い、あるいは景気変動の影響を非常に受けやすいという脆弱な中小企業がその大半を占めているという状況でございます。  それから、今後の対応でございますが、従来同様地域開発を専担する政府金融機関といたしまして、北海道、東北地域の実情とか会社の経営実態を十分踏まえながら延滞の解消に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  91. 会田長栄

    ○会田長栄君 東北、北海道は中小零細企業が大変多い。その意味では、日本の経済を支えている地域でもある。そういう中にあって大変労働条件は厳しい、人手は不足、あるいは仕事の量は多い、そして外圧には大変弱い、こういう状況でありますから、この六カ月返済期限、延滞したからといってそれはおかしいという意味で言っているのじゃございません。私は、東北、北海道の開発公庫といたしまして、こういう条件の中にあってなおかつ経営が容易でなく苦労を続けている人たちに対して、長期的に支援策というものを検討すべきではないのか。単なる事後対処方式ではいつまでたってもこの種の問題は私は消えないと思うから、その点よろしくお願いしておきます。  次は、会計検査院に関連をしてお尋ねいたします。  昭和六十一年度決算検査で、名古屋市で発覚した地下鉄工事の凝固剤注入の手抜きの際に、会計検査院の報告書に掲記されなかったと報道されております。これは事実でございますか。
  92. 山本正

    説明員(山本正君) 事実でございます。  当時名古屋の方でありました工事は、ちょっと急な質問でございますので資料が手元にございませんが、名古屋市から受託した工事だったと思います。当時の国鉄が名古屋市から受託した工事におきまして、薬液注入が不足していたというものだと思うんですが、この事態そのものが国鉄自身のものでなかったということ、それからその損害額は是正されたということ、そして私どものそのときの照会と申しますか、相手側に対する注意を行いましたが、それは守られるであろう、今後そういうことはないだろうということを考えまして当時としては取り上げなかったわけでございます。
  93. 会田長栄

    ○会田長栄君 内部口頭指導でこの問題を処理してきたということなんでしょう。  そこで、ことし一月のJR東北、上越新幹線、御徒町トンネルの陥没事故で明るみに出た凝固剤注入の手抜きによるごまかし額は工事総額の八〇%、六億九千万円に上っていることが会計検査院の調査で判明したと、これまた報道されております。ところが、会計検査院は、上野の労働基準監督署が現在調査中なので、これまた報告書には記載しないということになったと言われておりますが、これも事実でございますか。
  94. 山本正

    説明員(山本正君) 新聞報道でいろいろな金額が会計検査院の調査結果として出ていることは事実でございますが、私どもは、そのことについて何ら関知しているところではございません。先生お話しのように、労働基準監督署等が関係資料を押収しておりまして、実態としましては、私どもが本当の数字を確認し得る状況にないということで今日に至っているわけでございます。
  95. 会田長栄

    ○会田長栄君 私はなぜ名古屋と御徒町のトンネル工事の凝固剤注入問題でお尋ねしたかというと、こんな事件が日常茶飯事に国民の前に報道されるようになりますと、実は政治不信というのはこういうものから次々と拡大していく。総工事額の八〇%がおかしなものであったということは、大体計画実施そのものがおかしかったということになるわけでありまして、これは国民にとったら大変な心理的影響が出てまいりますよ。  そこで、上野の労働基準監督署が現在調査中だからというのでそれは待ちますが、私は、会計検査院が調査したその結果出た客観的なものについては何ら報告書に遠慮することはない、こう思うからお尋ねしたわけでございまして、その点、今後ともよろしくお願いをしておきたい、こう思います。  それでは、第二の問題に入ります。  これはまず道路整備の問題でございますから、道路整備を語ることなくして今日の生活や地方の活性化、発展というものを語ることができない時代に入ってきている。その意味では、建設省を初め大いに道路整備に御努力されていることについては、第一次の昭和二十九年以降敬意を表したい、こう思っております。  そこでお尋ねしたいのは、六十三年度から始まりました第十次道路整備五カ年計画の到達度を聞かせてもらいたい。
  96. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) お答えいたします。  先生指摘のように、第十次道路整備五カ年計画は六十三年度から平成四年度までの計画でございます。この中で交流ネットワークの強化という地域の活性化のための全国的なネットワーク、それからよりよい都市のための道路づくり、それから地方部の定住と交流を促進する道路づくり、そしてでき上がったものの利用水準を少しでも上げるためのいろいろな機能充実、こういうことで五十三兆円の総額でこの五カ年計画をつくらせていただいておりますが、ことし平成二年度までで三年目を迎えます。  そこにおきまして、一般道路及び有料道路、そして地方単独事業、こういう三つの事業からこの五カ年計画は成っておりますが、一般道路及び有料道路の計画額三十七兆八千億に対しましては三年目で五四・七%、地方単独事業を含めましてかつ調整費を含む総額五十三兆に対しましては五四・二%の進捗に相なっております。
  97. 会田長栄

    ○会田長栄君 もちろんこの第十次道路整備五カ年計画というのは、いわゆる四全総との整合性、それから地域社会の活性化への対応、あるいは進展する車社会、これと関連しての道路整備ということでございますから、五カ年計画到達度をお聞きしましたら、大体予定どおりいっている。したがって、平成三年度の概算要求についても予定どおり要求をしておる、あるいは完結年度を迎えれば一〇〇%この計画は達成されると、こういうことでございますね。
  98. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 第九次道路整備五カ年計画の三年目における達成率もおおむね公共事業の一般有料道路あるいは一般道路の合計で五四・四%が三年目の達成率でございました。今回五四・七%でございますから、この三年目までの状況では第九次と同様の進捗になっております。しかし、平成三年の概算要求におきましては御承知のようにゼロシーリングをベースにいたしまして、それに地域地方財政の強化ということから国庫補助率の改善、そしてそれに加えて生活関連事業を二千億円国全体として強化していく。こういう中で道路の平成三年度の概算要求もさせていただいているわけでございます。  そういうわけでございまして、さらに平成三年そして平成四年、この二年間を残している状況の中で、これから一〇〇%の達成ができるように頑張ってまいりたいというふうにお答えさせていただきたいと思います。
  99. 会田長栄

    ○会田長栄君 全国を歩きまして、この道路の整備状況というのは、大変進展しているところとなかなかこの道路整備がうまくいかないなというところと、いろいろあるようでございます。したがいまして、道路整備計画実行というのは、均衡ある国土発展ということを目指すなら、余りそういう格差があってはおかしいのではないかなという気持ちを持っている一人であります。  そういう意味で、とりわけこの東北地方にとりましては、今道路整備なくして東北地方の活性化がないと、こういうのが県民総意の声になっておりますし、四国に行っても同様、九州に行っても同様というように、何となく公平さを欠いているような気がしてなりません。そのために道路を整備してほしいという政府あるいは国会に対する、議員に対する陳情というのは物すごいのでございますね、大臣。むだと言ったのではおかしいですけれども、何とかあのエネルギーというものを別な方に使えないだろうか、こういう気がしてなりません。したがって、この道路整備十カ年計画を完了して次の第十一次五カ年計画計画するんだろうと思いますけれども、その際はぜひ四全総に基づいての道路整備というものをそれぞれのおくれている地域に重点配分をして整備させていくようなお考えというのは建設省で検討されているんでしょうか、その点お伺いいたします。
  100. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) まず、現在の第十次五カ年計画の発足のときには、四全総を十分踏まえてこの計画をつくらせていただきました。その第一の問題としましては、全国の地域が高速道路、高速交通体系、これは今や生鮮食品その他物流の中心になっております。またはリゾート交通の中心にもなっております。そういうものの達成がまだまだ十分でないということで、平成四年度、五カ年計画末には六千キロの高規格幹線道路網をつくっていきたいというふうに考えてこの計画をつくりました。  その内容は、東北縦貫自動車道あるいは東名、名神あるいは中国自動車道等縦貫自動車道がおおむね整備がされてまいりましたので、いよいよ日本海と太平洋の不便さをなくすための横断自動車道等を本格的に整備する、こういうことも含めた内容になっているわけでございます。  さらにもう一つの例を申し上げますと、地方部の定住と交流は、こういう高規格幹線道路と表裏一体をなしてつくらなければいけないネットワーク社会でございますので、地方部における交通混雑を解消し、そのもともとの道路に、お祭りができるようなそういう道づくりをするためにはバイパス整備をしなければいけない、あるいはテクノポリス、リゾート開発等々いろいろな地域が工夫して地域の活性化を図る、そのようなものに対して道路としてこれに対応しなければいけない、あるいは極めておくれているがゆえにいろいろな問題がございます山村、奥地等の振興、あるいはその活性化のための道路整備につきましても、これもフォローしなきゃいけない。このようなことを考えまして、例えば平成二年度におきましては地域の創意工夫を生かしたマイロード事業、道路を画一的につくるのではなくて、地域考え方をそのまま取り入れたマイロード事業等も含めたものもこの第十次五カ年計画の中に入れさせていただいております。  そこで、それだけではまだ先生指摘のようにいろいろと地方からの御要望がございます。ここのところをトンネルをつくれば二つの間が一時間、三十分かかったものが五分で通れるようになる。そうすれば子供たちももっと楽に通学ができるじゃないかとか、豪雪地帯において大きな防雪の施設をつくれば安全に通れるじゃないか、こういったような安全に対するいろいろな問題、それから時間、距離を縮めることによって解決できる地域活性化の問題、あるいはその他いろいろな問題がございます。そういうものを現在各地域においてまたいろいろと勉強を地域方々とさせていただいております。そういうものを踏まえて、いずれ長期計画というものを私どもはまとめてみたいと思っております。  それを踏まえて、その中からこの次の五カ年計画で事業ができるより具体的なものをまとめ上げた形の中で、十一次という言葉をあえて使わせていただくならば、第十一次の新しい五カ年計画内容をまとめさせていただいて、大勢の方々にお認めいただけたらありがたいということで、今一生懸命検討作業をさせていただいている状況でございます。
  101. 会田長栄

    ○会田長栄君 今のお答えに関連して、二つだけ具体的にお尋ね申し上げます。  大変お世話になっている常磐高速道、これは実は東京からいわきまで開通しております。そして、その次にいわきからいわき四倉というところまで、これは路線が発表になり、今工事にかかっております。  そこで、四倉から仙台までというのは、一体何年かかればでき上がるんですか。
  102. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 極めて具体的な御指摘でございますが、この常磐自動車道は、先生指摘のとおり、東北地方に幾つもの縦貫自動車道がございますが、まだ完全につながっていないものの一つがこの常磐自動車道でございます。東京を起点として、今まではいわき市まででございました。これを今回仙台に至る三百五十キロの路線に六十二年に延ばしました。そのうち埼玉県の三郷からいわき中央間百七十六キロは既に供用させていただいております。そして、いわき中央から四倉間の十三キロは、ことしの八月に道路公団に施行命令を建設大臣から出していただきまして、現在事業を進めているところでございます。  先生指摘の、新たに追加された百五十キロ区間のうち四倉から相馬間の七十五キロにつきましては、先般の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして基本計画を策定させていただきました。そして現在、地域の開発状況、交通事情等々いろいろと地元の方々と御相談しながら調査を進めておりまして、整備計画策定に必要な調査を実施しているところでございます。その中で、特に調査等の熟度が進みまして終わった四倉から富岡間三十キロにつきまして整備計画策定、整備計画が出ますと、次に、さらに精度のいい調査を若干加えまして施行命令を出す、こういう意味の整備計画策定の前提といたしまして、必要な環境影響評価手続を実施しているところでございます。  これは相馬から仙台につきましても現在さらに調査の熟度を上げていろいろと検討いたしておりますが、これは通称仙台東道路と言っておりますが、仙台における湾岸道路の役目をする道路、こういうものとの相互の整備効果あるいは採算性等等いろいろなものを勘案しながら調査の熟度を進めてまいりたいと思っております。  ただ、全体的に我が国の高規格幹線道路網一万四千キロの完成は二十一世紀初頭を前提に進めております。しかし、国費も相当必要となるものでございますので、そういう国の経済情勢等を踏まえながら、地域の活性化に一番役立つという認識のもとに一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  103. 会田長栄

    ○会田長栄君 わかりやすくお尋ねすると、常磐高速道の完成は、いま九年かかるということなんですね。
  104. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 今申し上げましたのは、いわき四倉から富岡間、この三十キロについては整備計画を出す前提の環境影響評価の手続もやっております。これができますと整備計画を出せる。そうすればその次のステップとしてさらにインターチェンジを決めるための細かい地域とのアクセスの計画だ、トンネルのより細かな地質調査だといったようなものを踏まえまして施行命令までの過程を通ります。次のものはまだそういう前の調査の段階でございます。道路の整備というのは、今まではいわゆる建設、言ってみれば工事に一番時間がかかりました。しかし現在は、調査とか地域との調整とか住民方々の御理解を得る、こういったソフトな部分に非常に時間がかかる時代になっております。これが私どもは一番大事だと思っております。  そこで、そういう地域の環境影響評価を含めたソフトの時間の読み方、この見通しが実は一番難しいわけでございます。ですから、何年ということをここでは申し上げることは差し控えさせていただきますが、私どもは、全体的に二十一世紀初頭までにはこういうものをつくらせていただきたいという中で、これから常磐自動車道の整備も、重要性は十分認識しておりますので、一生懸命やらせていただきたいという決意表明をさせていただいたわけでございます。
  105. 会田長栄

    ○会田長栄君 これからというところは反対する人はいませんから、相馬と双葉というのは一日も早い大歓迎というのが地権者でありますから、その点をひとり記憶していてください。  そこで、もう一つ例を聞きます。  磐越自動車道という高速道路が今着工されて一部開通しました。ただ、ここで結論だけ聞かせてもらいたいんですが、実はいわきから坂下までの路線というのは、発表になって大体全線工事着工という見通しになりました。ところが、坂下から新潟県の境の西会津町というところでは、なかなか希望を持てないという意見が数多く出ているんです。なぜ坂下と西会津、あの区間だけ今度の計画から残したんですか。一日も早く新潟に通じなければ、磐越自動車道というのはその効果は出てこないと、こう思うので、それを端的に聞かせてください。
  106. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 先生指摘のいわき新潟線、通称磐越自動車道、これは二百十三キロの路線でございまして、もう既に全線にわたって起点から終点二百十三キロ全部施行命令を出して、道路公団によって事業を実施いたしております。これが第一点でございます。そのうち郡山ジャンクションから磐梯熱海までの九キロはついこの十月の三十一日に供用いたしました。引き続き、この第十次五カ年計画期間内、平成四年までには会津坂下インターチェンジまでの間を供用する予定でございます。  先生指摘の、会津坂下インターチェンジから県の内側ですと西会津、新潟県側の一番近いところは津川というところでございますが、この津川インターチェンジの間、これは六十三年の一月に施行命令を出しました。そして現在何をやっているかと申し上げますと、道路公団によって設計協議、いろいろと細かい調査の内容が出てまいります。そうすると、トンネルであったりダイカットであったり、いろいろな山を削らなきゃいけませんから、そういうような意味で設計協議及び用地幅ぐいの設置等を今やらせていただいております。  ただ、この区間といいますのは、極めて大きなトンネル等がございます。そういうことで、かなり工程的に難しい地域でございましたので、今まで調査に時間が、他のところは比較的平面の道路でございましたがここはそういう意味でいろいろとたくさんの調査をしなければいけなかったこともありましてここまで延びました。この道路が全線開通することによって意味があるということは十分承知いたしております。ただ、でき上がったところはそのままいつまでも置いておくのは効果としてもったいないですから、でき上がったところから逐次開通させながら仕事をさせていただく。  そういう意味で、全線もう全部事業化をし、かつどんどん現地に入っていろいろなことをやっておりますので、先生指摘の坂下—西会津が白紙だなんということは絶対ございません。どんどんやらせていただいておりますので、ひとつ御指導いただきたいと思います。
  107. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、六十三年一月に施行命令は出たと、こういうことですな。
  108. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) はい。
  109. 会田長栄

    ○会田長栄君 そこで次にお尋ねしたいのは、道路整備の道路特定財源制度というのは、このまま維持存続されるように持っていくんですね。その点も簡潔にお聞かせいただきたい。
  110. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) この我が国の道路特定財源制度は、昭和二十九年以来、現在ずっと道路利用者の御協力によりまして、直接的に便益を得る自動車利用者が道路整備費を負担するということでこの財源制度ができ上がって現在まで至っております。  発足当初は、一般財源を道路整備にかなり投入させていただいておりましたが、現時点では、結果として特定財源中心として道路整備を行っております。やはり国の財政事情の中でこれから急いで道路整備をやっていくためには、特に質的にも量的にもおくれておりますので、この制度はさらに一層安定的は確保させていただくことが必要であろうと思っております。
  111. 会田長栄

    ○会田長栄君 次に、同じく関連をいたしまして、公共事業用地及び代替地の提供についての租税特別控除制度というものが現在あって、大体道路整備その他含めまして進行している。このことについて建設省は、従前どおり今の制度をそのまま維持存続させるということで今日取り組んでいるのでございましょうか。
  112. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) ただいま御指摘の公共用地を提供した場合の譲渡所得に対します特別控除でございますが、御承知のとおり最近公共用地の取得が大変難しくなっております。そこで、公共事業を積極的に推進して社会資本整備を図るという観点から、昨年一年限りの措置としまして三千万円から五千万円までに引き上げられたところでございます。さらに、ことしも一年間この適用期限が延長されまして、公共用地の取得の円滑化に大変大きな効果を上げているところでございます。そうしたことを踏まえまして、来年の税制改正要望におきましても、当然この措置を今後恒久化していただきたいという要望を行っているところでございます。  もう一つの、公共用地を取得する場合に代替地の問題というのが非常に大きな問題になっておりますことは、御指摘のとおりでございます。  そこで、代替地を提供した方々に対します譲渡所得の特別控除、現在千五百万円でございますが、これを三千万円にやはり引き上げていただきたいということを税制改正要望で提出しているところでございます。
  113. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、大蔵省にお尋ね申し上ます。  土地税制改革と相まって、実は今申し上げました控除制度という問題を見直さなければいけないんじゃないかということで一部検討されているやに聞くんですが、それはそのとおりでございますか。
  114. 神原寧

    説明員(神原寧君) 御案内のとおり、現行土地税制につきまして、土地政策上の観点等から各種の軽減税率、特別控除、課税の繰り延べ等の特例措置が設けられておるところでございますが、税制調査会におきまして土地税制の見直しの一環として、これらの特例措置あり方につきましても御審議をいただきまして、先般見直しの方向で御答申をいただいているところでございます。  すなわち、先般の十月の税制調査会の答申におきましては、こうした特例措置につきまして税負担の公平を確保する観点からの問題と、その効果が必ずしも明らかでなく、逆にその土地の資産としての有利性を高めてきた面があるといった問題もあることに留意しまして、整理合理化を図ることが必要ではないかといったような御意見をいただいておるわけでございます。特に、土地の譲渡益に対する課税の実態を見ますと、特別控除等の適用によりまして土地の譲渡益のかなりの部分が課税対象から脱落しておりまして、その規模が極めて大きなものになっております。税負担の公平を確保する観点から、こうした特例制度あり方も基本的に見直す必要があるのではないかといったようなことが答申でも指摘されておるわけでございます。  ただし、先生指摘のように土地政策という観点に配慮することは必要でございますので、先般の税制調査会の答申を踏まえまして、土地譲渡課税の見直しの一環として、特別控除を初めとする特例措置についても、関係省庁初め各方面の御意見を伺いながら具体的な対処案を詰めてまいりたいと、かように考えております。
  115. 会田長栄

    ○会田長栄君 道路を整備していく場合、どうしても欠くことのできない問題というのは土地買収問題であります。今日まで円満にその事業が促進できたのも、この制度が残っているからでございまして、やや土地税制と絡んで難しい議論も提起されているように聞いています。  そこで、租税の特別控除制度というのは大きな役割を果たしているし、今後も継続していかなきゃいかぬだろうと思っておりますが、こういう動きの中にあっての建設大臣の決意のほどを聞きたい。
  116. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) ただいま御指摘のように、公共用地の確保ということは建設行政の中で極めて重要な課題でございまして、これがスムーズにいくような制度として私どもはぜひこのような形で強化されることを望んでおる次第であります。
  117. 会田長栄

    ○会田長栄君 次にお聞きしたいのは、県道から国道に昇格させてほしいという地方の声が強い。その際、国道に昇格するための基準というのも幾つかの項目があります。建設省として、県道を国道に昇格させてほしいという地方の声があれば、これを積極的に受けとめて昇格できるようにぜひしてもらいたいと、こう思うんです。  特にこれは一つだけ例を出しますと、産業都市でありますところの常磐線のいわきから東北自動車道を通っている白河、この区間にいわき—石川線という県道があるんです。これは、昔交通の要衝だったんです。昔はこれしかなかったんです。四十九号線というのは海抜五百メートルのところを走っております。ところが、この県道いわき—石川線というのは、三百メートルのところを走っております。したがって、産業用自動車ですね、運送会社の大型自動車というのは、燃料節約という観点から非常にこの通りを通るんですね。物すごく交通が頻繁なんですよ。しかし、なかなか地方自治体財源不足というところから道路整備が進まない、交通事故も頻繁に起きる、こういうような事例がありまして、とりわけ平成六年に福島空港というのが開設されると、その中間点なんですね。そこで、こういう声が出ているわけであります。  これは一日も早く国道に昇格させてほしいという気持ちで質問をするわけでありますが、いかがなものでしょうか。
  118. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 地方道から一般国道への昇格につきましては、最近では五十七年の四月に五千五百四十八キロの追加指定をさせていただきました。その結果、現在四万六千八百キロほどの国道網がございます。  私ども昭和四十年代ではございますが、国道の我が国における規模というものはおよそ幾らぐらい必要かなと、こういう勉強をしたことがございます。その後国土のいろいろな利用状況等々が変わってまいっておりますので、その間いろいろな勉強はいたしておりますが、一般的に国道の要件といいますのは、御承知のように高速自動車国道と一緒になって全国的な幹線道路網を構成する、それがまず原点でございまして、そしてその中から国土を縦断し、横断し、あるいは循環する、あるいは県庁所在地等の重要な都市と連絡する、あるいは十万都市とその他の国道とを連絡するといったような細かい性格を道路法の第五条に規定いたしております。こういう性格をもとにいたしまして、かつその地域において極めて国がきちっと管理をしていく。基本的には国が目配っていく。そういう道路網が疎であるか密であるか、こういったようなものも考えていかなきゃならない。  国道網の疎密の程度、あるいはその地域のいろいろな開発に対する効果といいましょうか、そういうものも考えていくというようなことで、五十年の昇格のときには実は離島に国道網が初めて入ったというのもこのような考え方から入りました。それまでは離島に国道はございませんでした。あるいは五十六年の国道昇格のときには従来の山岳地域でなかなか国道網に読めなかったところもいろいろと検討いたしまして入れた。こういう時代的な社会の変革との間のものがございます。  現在、私ども八年も経過いたしておりますので、各地からの御要望が今や一万二千キロ以上ございます。そういう中でこれは勉強しようという大臣からの御指示がございまして、地方建設局や都道府県におきまして、こういう要望路線についての基礎的なデータをお出しいただいて今勉強していただいております。こういうものを持ち寄りながら、最終的にどのような形で今後の国道網をつくり上げるか、これを検討させていただきたいと思います。  その中で、今先生の御指摘の路線も検討させていただくことに相なろうかと思います。
  119. 会田長栄

    ○会田長栄君 よろしくお願いします。  それでは次に、交通安全施設等整備五カ年計画の問題と交通事故の問題について、二つ端的にお伺いいたします。  一つは、交通事故の十年間の推移を事故件数、負傷者、死亡者、これを例としてどういう特徴が出ているかということを教えていただきたい。  二つ目の問題は、この交通安全施設等整備五カ年計画というものの到達度、あるいはこの計画では間に合わないのではないかという危機感、そういうものに対する見解をお伺いしたい。
  120. 島田尚武

    説明員(島田尚武君) 最近十年間の交通事故の推移を見ますと、死亡事故につきましては、昭和五十四年が最近のボトム、最低の年でありまして、八千四百六十六人の死者、件数で申しますと八千四十八件であります。その後上昇に変わって、昨年は一万一千八十六人、一万五百七十件の死亡事故が発生いたしました。この十年間で、死者で見ますとおよそ三一%の増加、十五年ぶりに一万一千人を超えたということであります。また、負傷事故について同じく昭和五十四年と昨年を比較いたしますと、およそ三七%負傷者が増加している。年間およそ八十万人の方が交通事故でけがをしておるという状況であります。たまたま昨日までの状況で見ますと、昨日は二十四時間以内に全国で三十一人の方が亡くなっておられます。ことしに入りましてのトータルは九千九百六十八人ということで、ここ一両日中にまた一万人を超えようかという状況であります。  最近の交通事故の増加、ここ十年ぐらいを見まして大きな特徴は、いわゆる若者の週末における、特に夜間におけるスピードの出し過ぎ、ここら辺が大きな特徴であろうかと思います。そのような特徴のもとに考えますと、今後とも当分の間車両台数も免許人口も増加が続くものと考えられます。また、いわゆる生活の二十四時間化あるいは週休等の拡大、こういった社会構造の面での変化も続くものと思われます。さらに、若者等を中心にいわゆるスピード等を楽しもうとするこういった傾向等も拡大継続するものと思われます。  一方、信号機やガードレール等々安全施設の量的な不足、あるいは交通情勢に追いついていない性能の低さ等もいろいろテレビ等でも指摘されているところでありまして、量的、質的にまだまだ足りないというのが実態であろうかと思います。  このような情勢を考えますと、いわゆる第二次交通戦争と言われる現在の深刻な状況が引き続き継続するおそれがあるということで危惧される状況にあろうかと存じます。  安全施設の整備の問題について、長くなりますが続けて答弁させていただきます。  警察庁は、建設省と一体となりまして交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法に基づいて五カ年計画を策定して、警察の方では交通管制センター、信号機、道路標識・標示等のいわゆる交通安全施設の整備に努めているところであります。同法に基づきます交通安全施設の整備は、都道府県がその予算に基づいて行いますいわゆる地方単独事業と、国が全国的な観点から一定の補助をして行ういわゆる特定事業に分かれるところであります。現在、第四次の五カ年計画昭和六十一年度から今年度まで、今年度が最終年度でありますが、進めているところでありまして、国が補助をして行ういわゆる特定事業につきましては、全国ベースで、警察の場合、公安委員会分については調整費を除きまして千百五十億の計画に対して、今年度のところ一〇一・三%ということであります。なお、地方単独事業につきましては、計画額三千六百八十億のところ、九三・五%というような達成率の現状であります。  今後の問題でありますけれども、警察庁は特定財源を有しておりませんのでこの特定事業につきましては情勢が非常に厳しいわけでありますけれども、事は人命にかかわることであり、金を投入すれば事故をまだまだ減らせるというのが私どもの確信でありますので、必要な予算は確保さるべきものと考えておりまして、今後とも五カ年計画の拡大充実に努める必要があるというふうに認識しております。
  121. 会田長栄

    ○会田長栄君 欧米主要国と比較して、依然として歩行中、自転車乗車中という事故が多いということでありますから、この点の交通安全の施設整備計画というのは、どうも世の中が不景気になると事故件数が減る、景気がよくなると事故が多くなる、そういうように見えてなりません。したがいまして、この安全施設整備五カ年計画というものをどうしても、先取りしても、この事故の原因を追求して減らしていくということと同時に、歩いていく、自転車といういわゆる大衆の人たちの願いにこたえられるように整備促進してほしいという意見を申し上げておきたいと思います。  ここで終わろうと思いましたが、残っている時間、二つだけお聞きいたします。国土庁でございます。多極的分散型国土形成に対する具体的な取り組みというところで、考え方を二つだけ聞かせていただきます。  一つは、もちろんこの計画策定の意義あるいは新しい促進計画の課題というようなことで具体的に次のような二つのことが訴えられています。一つは、事務所、研究機関の積極的な受け入れをそれぞれ地方で図れということになっているわけであります。しかし私は、図れということと同時に、国土庁みずから積極的に地方に分散するという考え方を提起しなければ、この仕事はうまくいかないんだろう、こう思います。例えば東京管内にある西が丘競技場なんというのは、あの競技場をなくして今度はスポーツセンターをつくるというんでしょう。これは文部省の話ですよ。せっかく競技場があるものをつぶしてスポーツセンター、スポーツの競技競争力をつけるために科学的なスポーツセンターをつくる。何も西が丘につくらなくたって、いっぱいあるんじゃないですか。こういう意味からいうと、国土庁が積極的にこの考え方を打ち出さなければならないんじゃないかということが一つ。  もう一つは、栃木、茨城、福島で出したところのFIT構想というものについての所感をひとつお伺いしたい。
  122. 芦尾長司

    説明員芦尾長司君) まず、地方分散についての国土庁の態度でございますけれども、私どももちろん、ただいま御質問ございましたように、地方圏の重点的な整備というものはこれは東京一極集中を是正する上で重要な問題であるというふうに認識をいたしておりまして、先般制定されました多極分散型国土形成促進法等によりまして、地方圏の重点的な整備を図り、そしてそういう首都機能というものの受け入れを促進いたしまして地域の活性化を図っていくということが国土の均衡ある発展に役立つものであると認識をいたしております。そういう意味では、地方都市の整備地方都市のそういう諸機能というものを強化していかなければならない。また、農山漁村の多面的な役割というものを発揮させていかなければならない。さらには、ただいまも御議論ございましたが、高速道路や空港の整備によりまして全国一日交通圏の構築といったようなことに努めてまいらなければならないというふうに存じておるところでございます。  それから、もう一点でございますが、FIT構想についてでございますが、これは、FIT構想は、福島、茨城、栃木の三県にまたがる広域な地域において、二十一世紀における新たな地域社会づくりの先導的拠点の形成を目指して推進しておる構想であると聞いておりまして、国土庁といたしましても、昨年度、国土政策上の観点からも、このような三県の取り組みを踏まえまして、同地域東京への近接性でございますとか、豊富な土地、豊かな自然というものを活用した本地域の位置づけ、将来像等の検討のための調査を実施いたしたところでございまして、本年度、この構想の具体化を目指しまして、国土庁を含みます七省庁で北関東・南東北県際地域交流圏整備調査、こういうものを実施いたしておりまして、関係県との意見交換等を踏まえながらこのFIT構想の推進が図られるものと考えておるところでございます。
  123. 会田長栄

    ○会田長栄君 総務庁にお伺いしたいわけでありますが、国家公務員、そして自治省に関係する地方公務員の定員計画と、この定員計画の中における今出ている諸課題、とりわけ行革審の答申があって定員削減が行われてきて、実はこの行政の仕事というのは減るのでなくて多種多様になってふえている。こういうところで特徴的に出てきたのがいわゆる超勤というものと、臨時職員というものと、パートが著しくふえてきている傾向にある。そういうことで、ましてや超過勤務手当、これも一部をカットする、上限を決めてそれ以上働いたら手当はくれない、こういういろいろな矛盾した問題が出てきている。これは相当時間がかかりますので、きょうのところこれで終わりますが、どうぞ今後ともそういう課題についても検討していってほしいということをお願いして終わります。
  124. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後一時三分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  125. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十二年度決算外二件を議題とし、建設省総務庁北海道開発庁沖縄開発庁国土庁住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  126. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 私は、現在の我が国政の最重要課題でありますところの土地問題、土地対策の問題につきまして、国土庁並びに建設省にお尋ねを申し上げます。  まず第一点は、今回の地価高騰についてでございますが、これにつきましては昭和六十年を基準といたしまして、平成二年の住宅地、商業地の地価は全国平均でそれぞれ一・七倍、一・九倍、東京圏では二・三倍、一一・九倍、大阪圏では二・六倍、三・三倍に達していると言われておりますが、その後政府におきまする総合土地対策要綱、あるいは土地基本法の施行、融資規制、こういった一連の対策が講ぜられ、また自治体におきましても大部分の都道府県におきまして監視地域を設定して地価監視を行っておる、こういったこと等が漸次効を奏しまして、地価が鎮静化の動きにある、こういうことも言われておりますが、果たしてこの地価の現状につきましてどのような判断をしておられるのか。あるいはまた、今後の推移等につきまして国土庁の方で事務的に御検討をなさっておられると思いますが、まずそこをお伺いいたしたいと存じます。
  127. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 先生指摘のとおり、地価公示によりますと、昭和六十年を基準とした平成二年の住宅地、商業地の地価は、ただいまお述べになったとおりでございますが、最近の動向を見ましても、四月以降、それまでかなり急激に上昇した地域ではかなり鎮静化の傾向が認められます。しかしながら、大都市圏の外周部あるいは主要な地方都市ではなお上昇が続いておりまして、予断を許さないという状況かと思います。いずれにしましても、このような地価水準は、土地利用価値国民住宅取得能力等と比べまして、非常に高い水準であるというふうに認識しております。  私ども、せんだって土地政策審議会答申を受けて、それをさらに具体化推進していこうという考えでありますが、この答申の中でも、土地対策目標として、「地価については、まず、現下の地価高騰を早急に鎮静化すること、次いで土地利用価値に相応した適正な水準にまで引き下げる」ことが必要であると提言されております。私どももそのとおりだと考えております。特に住宅地につきましては、中堅勤労者が相応の負担、これは具体的には年収の五、六倍ということかと思いますが、そういった水準で良好な住宅確保し得る、そういう地価水準実現していくことが大切だと考えておる次第であります。
  128. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 我が国の地価高騰の問題でございます。  御案内のとおり、今回の地価高騰は三回目である。第一回目は昭和三十五、六年、いわゆる高度成長のころに大都市を中心にして地価高騰がございました。これに対しましては、当時我が国において初めての総合的な土地対策であると言われました宅地要綱、建設省におきまして宅地総合対策を策定されました。あるいはまた、都市計画法の全面改正でございますとか、土地収用法の改正でございますとか、都市再開発法の制定でございますとか、一連の措置が立法的にも講ぜられました。  二回目は昭和四十七、八年、いわゆる過剰流動性、列島改造論のときの狂乱地価。このときにおきましては、今日私どもが知っておりますような国土利用計画法の制定を初め、都市緑地保全法あるいは生産緑地法、公有地拡大推進法あるいは新都市基盤整備法、また国土庁の発足、こういったこと等で、累次の地価高騰のたびに、対策要綱から始まりまして一連の立法措置、あるいはまたそれに伴う税制上の措置金融措置等が講ぜられてきたところでございます。  このような各般措置が講ぜられてまいりましたにもかかわりませず、今度はまた東京都心部のいわゆる事務所用地の需要が加熱するというところから端を発して三度目の地価高騰ということでございまして、見ようによりますというと何かのど元過ぎるとまた忘れられて、それで周期的に十年置きぐらいにまたどかんと地価高騰が来ては大騒ぎをする。今度のときでもそういう感がなきにしもあらずでございます。  このように戦後二回の地価高騰という苦い経験を経ながら、またそれに対応する措置が講ぜられながら三たびこういった事態になったことにつきましては、執行当局、行政当局とされまして、この間において何らか反省あるいは教訓を得られた点があろうかと存じます。その点につきまして率直な御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  129. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 今回の地価高騰は三度目の高騰でございまして、過去二回の経験を十分生かし切れずこういう事態を招いたということは、私ども土地対策を担当する者として大変残念に思っております。  今回の地価高騰は、原因を振り返ってみますと、よく言われておりますように、東京の国際化、情報化、金融都市化が進む中で、事務所ビル需要が増大いたしまして需給が逼迫した、これが引き金になっておりますが、そういう都心のビル需給逼迫で周辺の住宅地における買いかえ需要の増大、さらにはそれらを見込んだ投機的取引の増大、こういったことが順次起こりまして、次いで将来の値上がり期待や節税目的による投資需要、また一たん地価が上昇いたしますとそれ自体が土地取得能力を増大させる、そういう循環構造も加わりまして、増幅されながら周辺部、大阪圏や名古屋圏、地方圏に次々に波及していったと考えております。  ただ、地価がこれほどの水準に達し、また全国的に波及したことにつきましては、金融緩和によって大量の資金土地市場に流れ込んだこと、これは四十年代後半も同じであったと思いますが、そういう金融情勢、さらにはこれらに支えられた法人投機などの土地市場における行動、こういったものも重要な要因になっておると思います。さらには、その背景といたしまして、資産としての土地の有利性を許した税制やあるいは土地の適正な利用を的確に促進するための計画制度等に不十分さもあった。そういったもろもろの要因が複合的に重なっておるのだというふうに解釈しております。  こういう今回の高騰に対しまして、これまでも昭和六十三年に総合土地対策要綱を閣議決定いたしまして、この要綱に基づきまして監視区域の的確な運用とか土地関連融資規制住宅宅地の供給促進土地有効高度利用促進、さらにはより根本的に需要を全国的に分散するため、東京から機能分散促進を図るための諸施策、そういったことも実施してきたわけであります。さらに、こうした対策が十分効果を上げるため、公共福祉優先といった理念を国民の共通認識として確立するために昨年末土地基本法を制定していただいたところでありまして、この基本法に基づいて先ごろ土地政策審議会からも答申をいただいております。こういう答申に基づいてさらに今後対策を強力に進めていかなければならない、そういうふうに考えております。
  130. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 いろいろとお答えをいただきましたが、前二回、今度ということで、やはりそれぞれに行政当局とされましても反省をせられ、今後に向かって四たびこういった地価高騰ということを招来しないように万全の措置を講じなければならない、そういった面でけさも金融の面におきましてはノンバンク規制の報道もございましたが、金融機関自身の大いなる自粛、そのための行政指導、こういったことも必要でございましょうし、また今お述べになられました土地を資産として持っておれば有利であるという、税制上の有利性というものを減殺するための税制改革もやってまいらなければならない。あるいはまた、土地の投機的取引に対する厳重な規制等も必要でございますが、私はやはり基本的に我が国における土地利用計画あるいはそれに基づきますところの都市計画なりあるいは土地区画整理なり、こういった面におきまして、これは建設省の方にお教えいただきたいのでありますが、大いに反省をし、また今後改善をすべき点が多いのではないだろうかと存じます。  その点につきましては、本来土地利用につきましてはそれぞれの市、自治体がみずからの自治体のあるべきビジョンというものを描きながらそれに対応した土地利用計画というものをつくり、それに基づいた詳細な地域地区の計画というものと、これに伴いましてこれを厳格に守っていくということが我が国の場合においてはやや寛大に過ぎておるのではないだろうか。  これは私の伝え聞きでございますが、アメリカのある自治体のごときは、三十幾つの地域地区の計画というものがあり規制があって、これが厳しいために住宅地の地価というものを抑制する効果がある、こういったことを教えられるのでございます。我が国の場合には、八つの地域規制あるいは地区規制と合わせて十六の地域地区の規制があるというふうに伺っておるのでございますが、やはり既得権をある程度守らなければならないという面もあったせいでございましょう、いわゆる住宅地の中におきまして工場なり店舗なりあるいはマンションなり、こういったものが混在をする、勢い企業、事業体の方が勢いが強いわけでございますので、住宅地の方が小さくなって、結局追い出されてしまう、あるいは価格の面で、つり上げられてしまう、こういったようなこと等が問題点として指摘をされておるわけでございます。  基本的には、やはりこの土地利用規制というものをもっと厳格に行わせるということが税、金融、こういった面とあわせて行われないというと、将来的に四たびこの面において地価高騰を許すことがあるいはあるかもしれない、こういう点が憂えられるのでございます。  このいわゆる土地利用計画あるいはそれに基づきまする都市計画の諸制度の厳格な運用ということにつきまして、何か御当局の方でお考えになっておられる点がございましたならば教えていただきたいと存じます。
  131. 市川一朗

    説明員市川一朗君) ただいま我が国の土地利用計画制度の基本的な物の考え方につきまして、大変御示唆に富む御指摘があったわけでございます。  ただいまも御指摘ございましたように、我が国の土地利用計画制度一つの代表的なものとして、用途地域制があるわけでございますが、それは我が国の場合は住居系、商業系、工業系合わせまして八種類でございまして、それに特別用途地区を組み合わせますと十六種類ぐらいになるわけでございます。  御指摘ありましたアメリカの場合とちょっと違いますのは、我が国の場合は例えば商業地域で容積率が何種類かに分かれておりますが、その場合でも数え方としては一種類の商業地域と数えておりますが、アメリカでは、用途地域が違うごとに一つ地域と数えておりますので、数の違いが必ずしも完全に種類の違いまでになっているというわけではない点だけはちょっと釈明させていただきたいと思いますけれども、しかしながら、基本的にこの用途地域あり方がこれでよろしいのかという問題点はいろいろ御指摘としてもございますし、私どもとしても持っておるわけでございます。  今回の地価高騰を分析してみますと、例えば第一種住居専用地域というものがございまして、ここでは低層住宅以外の用途は基本的には認められていないわけでございますが、その地域でも地価が上昇しておるといったような点もございまして、なかなか土地利用計画上の考え方としても難しい問題点をいろいろ含んでおるなというふうに思っておるわけでございます。しかしながら、一方で、先ほども指摘ございましたが、主として都心の周辺部、用途地域ですと住居地域という名前で塗られているところでございます。  住居専用地域と住居地域の違いは、住宅と商業の併存が許されているのが住居地域でございますが、そうした地域につきましては、今回特に都市の発展につれまして住宅が商業系の用途に変わってまいりまして、結果として、業務系、商業系の用途を期待した地価が形成されてきている。この辺が現実に出てまいっておりまして、例えばその際の用途地域あり方としてもう少し厳しい用途地域制をまず現実に塗っておけばそういった事態は免れられたのではないかとか、あるいはそもそも八種類の用途地域では種類が不足しておるのではないか、そういったような御指摘があるわけでございまして、私どもその点は一つの大きな検討課題というふうに受けとめておるわけでございます。  ただ、こういった土地利用計画につきましては、そういった種類の問題もございますが、あわせまして、そういった種類をある程度そろえましても、現実に都市計画決定という形で地域社会で地方公共団体レベルで決定できるかどうかといったような問題がございまして、そこはやはりそこに住む住民方々中心といたします市民の理解協力コンセンサス、そういったものが十分得られるような体制及び制度の仕組みといったようなことも大事な要因でございまして、そういった点も含めましていろいろと検討する必要があるというふうに基本的に認識しておるところでございます。
  132. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 土地基本法を制定をされまして、その中で四つの土地対策としての理念、哲学を明示されております。  その中の一つとして、ある意味においては当然のことでありますが、土地は公共の福祉優先、こういう哲学も打ち出されたわけでございますし、せっかくこれから二十一世紀に向けて私どもが私どもの子や孫に立派な国土というものを残していかなければならない、その一つとして、やはりこの町づくりの面におきまして整然たる町並みということが必要でございましょうし、今後、これは私の希望として申し上げておきますが、やはり土地利用計画が真に土地利用計画の名に値するような都市の将来ビジョンというものを含めての町づくり自治体に対して指導していただく。その中の一環としまして、今御指摘になりました住居系と商業系、こういったものの利用の区分というものははっきり立てられてこれを厳格にやらせる。  そうしますというと、私のこれは又聞きでありますから思い違いがあるかもしれませんが、アメリカの例等を伺いますと、その地域はもう住宅以外はつくれない、住宅以外には使えないということでありますから、これはやはり住宅用地としてのいわゆる利用価値というものに対応した地価しかもうつけようがない。そこにほかの用途のものが紛れ込んでくると、そっちの方につられて地価が上がる、こういう面もあるわけでございますので、その面での用途規制の厳密化ということを要望いたしまして次に移りたいと存じます。  この二十日から施行になりました都市計画法建築基準法の一部改正におきまして、これは住宅地の高度利用地区計画用途別容積率型地区計画遊休土地転換利用促進地区計画、この三つの制度が新設をされ動き出したわけでございますが、この中で、特に遊休土地転換利用促進地区計画、これにつきましては綿貫建設大臣が大変な力を入れられてこの制度の新設が見られたと伺っております。また私ども地方自治に関係をいたします者におきましても、この地区指定というのが市町村にゆだねられておるわけでございまして、これが市町村の手によって円滑に行われることによりまして、あるいは特別土地利用税等の対象として税の面からも土地の地区指定促進を図って利用促進を図っていく、こういったこと等もございまして、これの適切な運用ということに私も非常に大きな期待を寄せておるわけでございますが、いよいよ動き出した。  また、それにつきましては遊休地とか低・未利用地の詳細な基準等もお示しになったようでございますが、これの運用あるいは制度が円滑な成果を上げることにつきまして大臣もいろいろと御抱負をお持ちだろうと思いますので、御抱負の一端をお伺いできればありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
  133. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 実は、土地対策といたしまして、規制と供給ということで、供給面について私ども建設省土地基本法の趣旨を受けまして今日まで努力をしてきたところであります。特に大都市圏におきましての土地対策といたしまして、いまだ利用されていないところとかあるいは低・未利用地、こういうものをぜひ高度に利用させてもらいたい、こういうことから、今回遊休土地の転換を促進するような法律の改正をさせていただいたわけであります。  そして、これと並行して税制の裏打ちをしていただければより一層効果が出る。つまり、政策税制が一体であるべきであるという考えに基づきまして法律を改正させていただきましたが、ややもすると、低・未利用地とかそんなものは規定できないじゃないか、どうせざるみたいなもので崩れていくじゃないか、こういう御批判等々がございましたので、ぜひこの際きちっとした石垣を積んで、こういうものは未利用地です、あるいは遊休地ですと、こういう形のものをやらせていただきたいということで、先般来建設省で知恵を絞りまして、このたび一つの枠組みを示させていただいたところでございます。  このような形の中で、今後この低・未利用地、遊休地というものをぜひ高度に利用させていただければ住宅宅地供給を通じまして地価対策にも十分対応できると、このように考えてやったことでございます。
  134. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 与えられた時間が三十一分まででございますので、御通告申し上げておりました質問を大分はしょりまして、最後に、土地対策の一環といたしまして、大都市からの人口、産業の地方分散、特に東京一極集中の是正ということで、土地政策審議会答申等でも出されておるようでございますが、特に日本地価問題、土地問題の最大のネックの一つは、やはり東京に情報、金融等の、ある意味において世界都市東京としての役割に伴うものは別といたしまして、あえて東京になくてもいいと言っちゃ言い過ぎかもしれませんが、都市機能というものが東京に集中をしておる。  あるいは産業等につきましても地方分散を図っていく、そのためにせっかく四全総を初め歴代の全国総合開発計画におきましても、地方へ定住地域をつくっていく、定住促進を図っていく、そういうことで大都市に集中しております機能地方に分散し人口を分散していく、こういうことが言われてきながら、現実的には新幹線一つとりましてもなかなか延びない。あるいは通信、情報、こういった面の機能におきましてもなかなか地方分散が進んでおらないわけでございますが、この点。  さらにはまた、先般、多極分散促進法をおつくりになられまして、その中の一環として、東京に所在する七十六機関十一部隊、これを東京外に分散させるということも決定は見たようでございますが、その後の進捗状況はどういう状況になっておるのか。  さらには、先般国会におきまして、衆議院、参議院それぞれに国会移転の決議というものもなされました。こういったこと等も含めまして、首都機能の分散、こういったことにつきまして国土庁長官とされましてもいろいろ御検討を重ねておられることと存じますが、この点につきましての御決意のほどをお伺いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
  135. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 鎌田先生にお答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、地価対策につきましては先ほど土地局長が申し上げたとおりでございますが、東京地価が高くなって大阪が高くなり、それから名古屋が高くなって全国が高くなったと。その背景にはいろいろな理由がございますが、金融緩和の背景もあったということでございます。  そんなことでございまして、この地価を一体どうしたらいいかという対策一つに、これは長期的検討でございますが、一極集中排除をどうするか。現在、東京は人口は過密でございます。それから水、土地の問題が大変心配で、交通も同じです。そういうことの中に防災上の問題もあるというようなことでございまして、一極集中を排除したい、それが大きな土地対策一つということで現在実施されているわけでございます。  そんなことで、実は私たちが今考えております土地対策目標というのは、第一番に地価を安定する。高値が安定する、そして、どう下げるか。下げてしかる後に、先ほど先生指摘ございましたように、構造的に地価の上がらないような制度をどうしてつくるかということが大切というようなことでございまして、先ほどからも言っておりますような、昨年は土地基本法をつくった。それからまた土地対策関係閣僚会議におきまして、海部内閣の最重要課題で取り組んでいる。そういうことで、ことしは国土利用計画法を改正する。そういうことの中で土地政策審議会土地基本法を踏まえた土地政策あり方も検討いたしたというようなことで現在各論をやっておるわけでございます。  先般も、先生指摘の各党派の合意によりまして国会等の移転に関する決議がされたというのは実は大変心強い限りでございまして、国会が率先して一極集中是正のきっかけを与えていただいたものと理解しております。  国土庁としても、従前より東京一極集中是正、また四全総にございますような多極分散型国土の形成を図るため、国の行政機関等の移転等の施策を講じてきたところでございます。また私の私的懇談会でございますが、国土政策の面からの首都機能移転問題について検討を行っているところでございます。  ただ、この首都機能の移転問題というのは、四全総にもあるように、国民生活全体に大きな影響を与えるものでございますから、国民的規模での議論も必要とすると認識しております。そんなことでございまして、短期的長期的、それから基本的には先生が御指摘のようなことでございますが、宅地の供給とかあるいは有効利用促進土地利用計画土地対策関連融資の規制あるいは取引規制の問題、そういう形の中に四全総に言っておりますような豊かな地方都市づくりをやる、そういう形の中に長期的には一極集中排除ということで首都機能の移転等をやる、こんなことを含めて取り組んでおるということでございます。  それから、先ほど先生がおっしゃった七十六機関十一部隊は一体どうなっているかということでございますが、これは私が長官になりましてから、実はいつ移転するか期限を決めていなかったのですが、一応おおむね五年以内には移転を完了するというようなことで、現在二機関移転しておりますが、七十六機関十一部隊につきましては五年以内に移転を完了するように今国土庁全力を挙げてやっているわけでございます。  ただ、その場合に非常に大きな問題になるのは、首都機能移転の場合も同じでございますし、また行政機関の移転の場合も同じでございますが、環境整備というものが非常に大切だと思います。移るといっても住まい、特に教育の問題、いろいろございますが、住まいと教育、この問題が解決しないとなかなか進みにくいということがございまして、特にそのことにつきまして御理解と御後援をお願いしたい、こう思っているわけでございます。
  136. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 引き続いて、よろしくお願いいたします。  私は、治水事業につきまして建設省にお尋ねしたいと思っております。  ことしも、七月の二日でしたか梅雨前線豪雨を初め、その後も相次ぐ台風の襲来で、全国的に各地で激甚な水害が発生し、多くのとうとい生命と貴重な財産が失われたわけでございます。まことにお気の毒な限りでございますし、このような災害が毎年繰り返されているということに非常に遺憾な気がしてなりません。  一体、ことしの水害発生状況は、今現在どういうふうになっておるでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  137. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 本年は、六月末から七月初旬にかけまして九州地方を襲った梅雨前線豪雨及び八月中旬の台風十一号、また九月には台風十九号、二十号と連続して全国各地を襲いまして、大きな災害が発生いたしたわけであります。  十一月十五日現在の建設省所管公共土木施設の被害報告額では、直轄で千五百九十三カ所、その被害報告額は二千百七十五億円、補助関係で八万二千二百二十三カ所、六千七百五十六億円、合計で八千九百三十一億円となっております。これは過去五カ年間の中でも最も大きな額となっておりまして、昭和五十七年以来の最大のものでございます。
  138. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ところで、長良川の今年の出水及び被害状況はどういう状況でございましょうか。
  139. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 長良川におきましては、台風十九号によって出水を見たわけでございますが、台風十九号は過去の歴史上有名な台風とほぼ同一のコースをとっておりました。加えて、伊勢湾の西をかすめるようなコースで進むことが予想されまして、長良川など木曽川三川では大出水になる危険性が高かったわけでございますが、台風は上陸後時速四十キロと急に速度を上げたため、降雨時間が短く、幸いにして雨量が百ミリから二百ミリ程度と特段大きな降雨とはならなかったのが幸いでございました。しかしながら、警戒水位を十四時間以上上回るとともに、警戒洪水位まで一メートルに迫る洪水となり、約五千名の水防団が水防活動に従事を行ったわけでございます。  結果的には長良川本川では重大な被害は発生しませんでしたが、支派川では破堤等の被害を見まして、仮に台風の速度がこのように速くならずに降雨時間がもう少し長かった場合には大被害が発生したであろうと現地の住民方々も申しております。
  140. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 長良川が、ことしは幸いにも水防団の協力なんかを得て大事に至らなかったと伺ってほっとしているわけでございます。  こういうぐあいに私が長良川について心配しておるのは、沿岸の自治体の長や団体あるいは住民の人々から、長良川の治水事業を促進してほしい、つまりは長良川河口ぜきの建設を計画どおりに進めてほしい、こういう切実な願いが強いのを知っているからでございます。私も、河口ぜきが完了するまでは大きな水害が来ないでほしいというふうに祈っている一人であるからでございます。  そこで、地元の事業促進に対する要請がいろいろあるというふうに聞いておりますけれども、実情はどういうぐあいでございましょうか。
  141. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) おっしゃいますように、長良川は濃尾平野という全国のゼロメーター地帯の三分の一が存在するような大変低平な土地でございまして、一たん破堤しますと大被害になるところから、歴史的にも治水に極めて関心の多い地域でございます。古くは宝暦治水、明治改修等懸命な治水努力が行われておりますが、昭和三十年にも、三十四年、三十五年、三十六年と連続した大出水を見、また昭和五十一年には、御承知のとおり安八町で本川が破堤する等大きな被害を受けたわけでございます。  したがいまして、本川の流下能力を計画の七千五百トンにふやすべく種々検討した結果、大規模しゅんせつによって実施することが最も合理的な手法であるというところから、その前提として、塩水遡上をとめるための長良川河口ぜきを建設し、それにあわせて大規模しゅんせつをするという治水計画に基づいて、現在実施しているところでございます。  なお、これらの計画決定に当たりましては、地元住民地域団体と密接な連絡をとりながら環境問題等にも十分配慮して実施してきたところでございますが、それらの合意を得て昭和六十三年に着工した段階から、環境問題等の観点から一部に反対の声が出ているわけでございますが、関係地元はたびたびの水害を経験していることから、早期完成について強い要望があり、長良川沿川の一市七町一村の議会決議、沿川全市町村長及び議長から強い決議や要望、婦人会あるいは水防団体等八十五町村の地元商工会及び会議所、二百五十七団体より成る土地改良連合会等からの要望が数多くなされているところでございます。
  142. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私も、いろいろ新聞なんか目を通してみますと、大変地元では河口ぜき建設促進の要請の熱烈な気迫がこもった運動が起こっているというふうに見受けているわけでございます。  ここは考えてみますと、洪水の恐怖というかおそれにおののいてきた長い歴史のある地域でございますし、御存じのように、ここには自分たちの地域社会は自分で守ろうというような輪中も築いているし、あるいは庄屋は水屋をつくるし、各自では避難用の船を持っているというようなことでございます。非常にとうとい人命も失われてきたところでございます。そういうことで、ここの方々の治水事業を促進してもらいたい気持ちというのは、私は非常に大切にしてあげなきゃいかぬ、こういうふうに思うわけでございます。できるだけ早く治水をやって、安全に守る、あるいは安心した生活環境を整えるというようにしてあげていただきたい、こう願うわけでございます。  そうは言いましても、一方では自然保護団体等の方々が工事の中止を求めるとかあるいは反対を唱えておられるということも存じております。こういう方々にどうやって理解を求めていくかということは非常に大事なことだと思います。  そこで、先日、この「長良川河口堰について」という報告書を見せてもらったわけでございます。建設省の河川局とそれから水資源開発公団がことしの十月に出しておられまして、広く河口ぜきについての理解を求めようという趣旨の出版だと思っております。  中身は、河口ぜきの必要性、地元要望への対応とか、あるいは環境問題を含めた総合的な報告書になっております。過去三回にわたる自然環境調査の内容も取りまとめた形で公開してありますし、河口ぜき建設による環境への影響が少ないことがよく説明してあるわけでございます。河口ぜき建設への疑問によく答えている報告書じゃないかなと、私なりに評価しているところでございます。  そこで、せっかくこういう報告書をつくられたわけですけれども「どんなところにこれを配付して説明しておられるのか、その辺の状況をお聞かせいただきたいと思います。
  143. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) この事業は、先生もおっしゃいますように、もともと長良川沿川の住民の生命、財産を守り、またこの地域の発展に必要とする水資源を確保するというところから、極めて地域性の強い事業でございます。  ただ、この事業を進めるに当たりましては、漁業関係者や地域に住まわれる方の中に、一部内水の問題等に関心のある方もございまして、これらの問題については事業着手当時から密接な連絡をとり、内水問題については十分対応し、また水産業の問題については徹底的な調査を行って、その結果をその都度漁業関係者に説明しながら、十分な御納得を得ながら進めてきたわけでございまして、だからこそ十分な納得を得て六十三年の段階で地域の総意によって工事着工の運びとなったわけでございますが、それ以後このせきの問題についていろいろと疑問を投げかける方がございました。  それらについては、私どもの説明が十分でないか、あるいは県当局から説明しても十分理解していただけないかなという懸念もございまして、私どもの方では過去に説明してきた資料、またそれにつけ加えてその後得られた知見等を含めまして、今おっしゃいました「長良川河口堰について」という資料をつくり、あらゆる疑問に答えるべく取りまとめて県及び市町村あるいはその議会等に説明をしておるところでございます。  また、この資料は、同時にマスコミ関係にも公表し、理解を得るよう努めておりますし、いろいろ地域住民の方で疑問を持たれる方にはその都度説明する努力をしているところでございます。
  144. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 この報告書を読んでみて、私は長良川の洪水処理対策として実行可能な最善の方策というのは、川を深く掘って洪水を安全に流しやすくするというこの方法だということはよくわかるわけでございます。この基本のところを十分わかってもらう必要があると思うんですが、一体どういうふうに説明をしておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  145. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 普通、河川改修、治水の安全度を確保するためには、上流においてダムを建設すること、下流の川においては川幅を広げること、あるいは堤防を高くするということも一案としては考えられますが、まず上流のダムについては、過去にあるダム地点をちょっと内々発表したところ、大変地元で大きな反対があったという経緯がございまして、もともと上流ではダム予定地みたいなところが大変集落の多いところで、社会的条件からいうとダムが建設しにくいところでございました。したがって下流で拡幅る必要があるわけでございますが、下流につきましてはもともと輪中地帯で堤防の付近に多くの方が住んでおるという状況でございますから、川幅を広げることはもう無理であろうということは地域の皆さんは承知しておりまして、したがってしゅんせつについては関係県、市町村、十分御理解をいただいたところでございますが、その際に、河口ぜきの建設に関する問題につきましては、塩害問題その他についても関係機関を通じて十分住民の方に理解を得るよう努力しておるところでございます。
  146. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 しゅんせつによる方法が一番いいということはわかるわけですけれども、その場合にはどうしても海水もさかのぼってきやすくなる、塩水が上流まで今まで以上に上るようになって河川の真水が塩水に変わっていく、これに対する対策というものが必要になってくるわけでございます。  この報告書だけを読みますと、そのために河口ぜきが必要だということが書いてあるわけでございますけれども、その辺はほかの方法も比較検討されておると思うんですけれども、これについては書いてないので、ちょっと教えていただきたいと思います。
  147. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) この報告書にも一応部分的ではございますが示したつもりでございまして、幾つかの塩害対策として提案されたものがございます。  一つは、今河口から十五キロ地点にマウンドと称する河床の高い区間があって、そこで潮がとまっている、その潮をとめたまましゅんせつをしてはどうか。したがって、川の一部に出っ張りをつくるということでございますが、その問題につきましてはマウンドから下流をしゅんせつすることによって、今ごらんになっている図面のとおりでございますが、下流から塩分が非常に遡上しやすくなって、結局このマウンド部分で潮どめ機能はなくなってしまうということで、これは疑問がある。  それから、じゃ底をかえって高くして床どめをつくってはどうかということですが、これはむしろ洪水疎通を損なうようなさらに高い出っ張りをつくるということで、これはもともと諭外である。  それから、この報告書ではそういう意味では申し上げておりませんが、長良川から取水している用水の取水口を河川の上流に移してはどうかという案が考えられるわけでございます。その場合には、現在の河口ぜきと同規模の取水ぜきを上流に建設する必要がある。なおかつ、その取水ぜきから下流は水がなくなってしまいますので、そのための維持用水を確保する必要があって、結果的には上流に大規模なダムをつくって水源を確保する必要があるということから、これはもうもともと合理的でないということであえて説明には書きませんでしたが、そういう代替案は案としては考えられると思いますが、これは大変非合理的でございますので、各種の代替案の中では現在の河口ぜき及び大規模しゅんせつという案が最も適切だと考えております。
  148. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 当然検討された結果だと思っておりましたけれども、よくわかりました。この河口ぜきをつくると、治水目的のためにつくった河口ぜきが逆に治水上悪影響があるんじゃないかというような話もちょっと聞くわけでございますが、その点についてはこれを読むとよく書いてありますので理解しました。悪影響がないということがよくわかりましたので、それはちょっと飛ばします。  さて、この河口ぜきをつくりますと治水上どれくらい効果が上がるのか。例えば最近の洪水の場合、もしこの河口ぜきありせばどうなっているのか、ちょっとわかりやすい説明ができないです
  149. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 最近の長良川の破堤した大出水の事例では、昭和五十一年九月の洪水で安八町で破堤した事例がございますが、これは計画高水位まで達しない段階で破堤したということでいろいろと注目を浴びた事例でございます。これは警戒水位以上の継続時間が百時間を超え、計画高水位に三十センチから五十センチと、もう少しというところまで迫るというような大出水が長時間にわたって続いたわけでございます。  この結果、長良川全川至るところ、どこが破堤しても不思議ではない、堤防がぐずぐずになった状況でございまして、当時の水防団の方も大変悲壮な状況で対応したわけでございますが、そのいろいろな対応の中では比較的安心していた安八町で破堤したというふうに当時の人たちから聞いております。それだけ手が回らないほど全川ずたずたであったという状況だそうでございます。  仮に、この河口ぜきが完成して下流部のしゅんせつが行われていたとすれば、恐らくこの水位は一メーター以上低下をしたと思われますし、警戒水位以上の継続時間も六十時間程度となります。ちなみに、この水位が一メーター低いということは、堤防の構造上御存じだと思いますが、堤防の拡幅補強を四メーター分厚くしたのと同じ、相対的に水位が一メーター低くなると四メーター堤防が分厚くなったのと同じということでございまして、堤防補強同等の効果が出てくると言えるものと思っております。
  150. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 河口ぜきをつくると環境上いろんな問題があるということが心配されておるわけでございます。環境調査が不足ではないかというようなことが自然保護協会とかあるいは日本陸水学会等から指摘され、マスコミでもそういうふうな報道が行われているわけでございます。  しかし、このたびの報告書を見ると、決してそうではなくて、十分な調査がされておるのじゃないかなというふうな感じを私は持っておるわけでございます。しかし、わからぬ点が二、三ありますので、その点をちょっと確認させてもらいたいと思うんです。  まず第一点は、河口ぜき建設に伴ってブランケット工事を行っておられるわけでございますけれども、これが現状の河川を大きく改変してしまうのじゃないかというふうに心配されているわけでございます。これからどれくらいまだ改変するものが残っているのか、今までどれぐらい改変したのか、その辺をちょっと教えてください。
  151. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 長良川の水中の環境問題につきましては、先ほど言いましたように魚類等の調査を徹底的にやったということで御理解いただけると思いますが、陸上の部分につきましてはブランケット工事によって対応し、したがって自然の植生等が変化する可能性があるわけでございますが、現在植生が残っている部分は、長良川のいわゆる水面から出た部分では四百三十五ヘクタールであります。  このうち洪水流下に支障がある寄り州、中州等がございますが、これらは一たん洪水が出てしまうと流出してしまうものが三十九ヘクタールでございまして、したがって将来とも高水敷として残されるべき土地は三百九十六ヘクタールでございます。このうち今後改変することとしております土地は十四ヘクタールで、改変率はわずか三%ということになります。これはどういうことかといいますと、御承知のとおり長良川の河口ぜき周辺は隣が揖斐川でございまして、揖斐川と長良川の背割り堤ということになっておりますので、この部分は改変する予定はございません。  また、それから上流につきましては木曽川と長良川とが隣り合っておりまして背割り堤になっております。この背割り堤区間についても高水敷について改変する予定はございませんので、全体としては陸上における改変率は今申しましたように大変少なく、したがって陸上の動植物に与える生態系上の変化はほとんどないというふうに考えております。
  152. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 さらにちょっと確認させていただきたいんですが、自然環境が比較的よく残っているというのは木曽川と長良川の背割り堤部分なんです。そこについては改変の可能性が非常に少ないということを今おっしゃったように思うんですが、それでよろしいですか。非常に貴重種が残っているというふうな報告がありますので確認したいと思います。
  153. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) おっしゃるとおり、今回発表いたしました陸上の動植物、哺乳類とか爬虫類とか昆虫とかさまざまなものについて全面的に調査した結果、各種の、いろんな環境庁その他で貴重な種だと言われているものが幾つか発見されておりますが、これらはほとんどこの背割り堤付近で発見されたものでございまして、この背割り堤付近については先ほど言いましたように改変する予定がございませんので、結果としてこれらの生態系は与える影響はほとんどないと考えております。
  154. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 改変するブランケットの部分についても、アシやヨシを植えるというようなことで自然を回復しようということもこれに書いてあるんですけれども、その辺は自信がおありなわけですね。
  155. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) ブランケットとして造成した部分についても、これは長良川全体の河川環境管理計画というものを地元の市町村及び学識経験者で一体となって計画策定をし、その中で自然として保全すべき空間、それから運動場その他で利用を期待している空間等にゾーニングしたわけでございますが、とりわけ先ほど言いました背割り堤区間については基本的には保存する空間といたしましたし、それ以外の空間についても地元との協議の上、自然の状態で保存するべき空間として定めた区間がありまして、その区間についてはアシ、ヨシ等の復元を図ることとしております。これにつきましては既に植栽実験等を実施し、約八千四百平米について実施したところでございます。  ちなみに、これは他の例でございますが、琵琶湖開発事業においては湖岸堤工事で改変をいたしましたが、アシ、ヨシ帯の復元のため約三キロ区間の堤防延長地域にわたってアシ、ヨシの植栽を実施いたしましたところ、現在は工事着手以前よりもアシ、ヨシ帯が復元され、動植物の保存及び水保全にも大きな役割を果たしている事例がございます。
  156. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 それからここでアユとかサツキマス、これが大事な魚だということで呼び水式魚道を設置したり、あるいはまた上っている状況を見せるために水族館みたいな、水槽みたいなものをつくってやろうというようなことを聞いておるわけでございます。  私もずっと前シアトルで、あそこにはワシ、トン湖から外洋へ出る水位差が八メーターぐらいのチッテンデンロックというのがあるんですが、そこにそういう施設があったんですが、私は百聞は一見にしかずといいますか、やっぱりそういう状況を見せて安心させてあげるということが一番これは大事だと思います。そういう取り組みがこの河口ぜきで始まろうとしているということで、私は大いに期待しているわけですけれども、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  もう最後でございますけれども、この河口ぜきは冒頭申し上げましたように、治水に対する長年の悲願にこたえて早くつくってもらいたいということでございますし、また最近の中京地方というのは新しい時代に向けて飛躍的に発展しようとしているわけでございます。生活の面、地域開発の面、産業の面、いろんな面で構造的な変化を来そうとしている、そういう中でこの水需要というのが大きく伸びていくんじゃないかというふうに私は思うわけでございますが、そういった治水利水両面で非常に大事な役目を持つこの大事業、これをひとつ計画どおりといいますか、できるだけ早く促進していただきますように大臣に御要望申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。よろしくお願いいたします。
  157. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、きょうは建設省関係の問題を二つお伺いしたいと思います。  最初の問題は沖縄のプライベートビーチの問題、二番日の問題は北海道の二風谷ダム工事の問題であります。  まず最初の、沖縄のリゾートホテルによる海浜のプライベートビーチ化の問題についてお伺いします。  ここ数年、観光事業者による海浜の権限のない独占的利用が問題になっております。私は、四年前の昭和六十一年十日二十三日にこちらの法務委員会においてこの問題について建設省に善処方を要望して質問しました。しかし、その後建設省による何の改善策もとられないまま推移している。そして、我が国の海洋のうち有効利用し得る地域の良好な多くの部分が、企業によってプライべート化されるに至っています。  そこで、まず質問の前提的な問題として、海岸の所有、管理関係について建設省に確認しておきますが、海岸は国の所有に属する不動産であり、その国有地の管理責任は本来的には建設省にあると思いますが、いかがですか。
  158. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) お話のように、海岸につきましては、民有地に属するものは別でございますけれども、基本的には国の所有ということに相なります。そういった中で、この管理に関しては、災害の防止だとか国土の保全だとかいう観点から海岸法などの特別法が定められているところは先生も御案内のとおりでございますが、そういった特別の法律の適用のないいわゆる一般海岸、これにつきましては、国有財産法に基づきまして建設省が管理をいたしておるという現状でございます。  なお、管理に当たりましては、この具体の事務は都道府県に機関委任するということで、知事に対する機関委任事務として処理しているところでございます。
  159. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 沖縄県議会は去る十月十五日、全会派の一致をもってリゾートホテルの海浜独占を認めない、海浜の利用を自由にしようということを趣旨とする海浜を自由に使用するための条例を議決して、この条例は来年四月一日から施行されることになっております。  沖縄開発庁及び建設省はいずれもこの条例制定の事実を御存じだろうと思いますが、知っておられるかどうか。  また、どちらの省庁でも構いませんが、条例の内容の概要を知っていたら御説明ください。
  160. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) ただいま御指摘いただきましたような条例が制定されましたことを承知いたしております。  条例の概要でございますけれども、概要を申し上げれば四点あろうかと思います。  第一点は、海浜利用自由の原則と申しますか、海浜は国民共有の財産であって、自由に海浜に立ち入ることができるということ。それから、いわゆるホテル事業者等の事業者は、公衆が海浜に自由に立ち入ることができるように配慮しなければならないということが第二点。それから第三に、また利用者としても適正な保全が図られるように秩序ある利用に努めなければならない。第四点、最後でございますけれども、県あるいは知事、市町村等は海浜の自由な立ち入りが確保されるように必要な措置あるいは助言、勧告等を行うことができるという四点が骨子であろうかと存じます。
  161. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 建設省
  162. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 私どもも承知しております。
  163. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この県条例を制定するに際し、沖縄県として県下の五十三市町村に条例制定に関する意見を求めたわけですが、各市町村がこの条例に対してどのような意思表明をしたか御存じです
  164. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) 県から報告を受けたところによりますと、特に意見のないという市町村が多かったわけでございますけれども、その他意見を述べた市町村につきましては、総じて条例に対して好意的ないし賛成の意見であったように伺っております。
  165. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この条例の内容は今御説明いただきましたが、地方議会として、現時点においてなし得る最大限の住民に対する奉仕を内容とする条例だろうと思うんです。  沖縄県議会が県下の全市町村の意見を聞いてこの条例を制定するに至ったリゾートホテルの海浜独占の状況がどのような状況になっていたか、あるいは現在でもなっているかということについて、沖縄開発庁及び建設省はどのように事態を把握しておられましたか。
  166. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) 県から伺ったところによりますと、海浜地の背後地にリゾートホテルが建設されることに伴いまして、公衆がその海浜地に入ります際に、その入り口において施設使用料といった名目で料金を徴収されている例があるようでございます。平成二年六月の沖縄県の資料によりますと、本島主要ビーチ十八カ所のうち、駐車料以外の料金を取っているところが十カ所でございます。大人で二百円から千円というように伺っております。
  167. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 県の報告を求めて今のような内容がおわかりになったということですけれども、私としたら、沖縄開発庁は、こういうことを県が苦労してやる前になぜ御自分でおやりにならないんだろうかということが非常に疑問なんです。  要するに、沖縄全島に主要なリゾートホテルによる海浜独占数は十八カ所あるんです。これも主なものがです。主なホテルによる海浜の独占箇所が十八カ所ある。このうち施設使用料という名目で金を取っているところが十三カ所、施設使用料は取らないけれども、車で来た人は駐車場へ入れろという形で駐車料を取っているところが一カ所。海岸は自由に出入りして結構ですという無料のところは四カ所しかないんです。そして、今あなたがおっしゃったように、金額は二百円から千円ぐらい、各ホテルによって違います。  このような、先ほど申し上げましたように国有財産であり国民の共通の財産である海岸に入っていくのになぜ千円払わなければならぬか、なぜ五百円払わなきゃならぬか。こういう状況を私は先ほど申し上げたように四年前に建設省にも申し上げているんです。何ら手を打たない。沖縄県としてはもうこれではたまらぬということで、住民もたまらないし、観光に来た、沖縄の人から言わせればいわゆる本土の人ですけれども、本土の人も、せっかくきれいな海岸で泳ごう、遊ぼうということで来たのに、何で銭払わなければ海岸に入れないんだという不満の声が非常に高い。こういう状況を考えた上で県議会がこの条例を制定したんです。  国民の共有財産であり、しかも国民の生活環境としても最も重要だと考えられる海岸が、このように企業に独占されて、国民の自由な利用が妨害されているということについて、まず沖縄開発庁はどのようにお考えですか。長官はどのようにお考えですか。
  168. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) 御存じのとおり、こうした公共用財産の所管は建設省であり、それがまた機関委任事務とされまして県知事の所管になっているわけでございます。そうした背景の中で、沖縄県において、ただいま御指摘になりましたような条例を制定されたのだろうと理解しております。私どもとしても、いわゆるプライベートビーチ化によりましてこれまで自由使用に供されていた海岸が事実上特定の者が独占するということは決して好ましくないことでございます。  御案内のように、沖縄県は振興開発に基づく地域振興の一つの柱として観光なりリゾート開発に大変力を入れております。この条例は、このようなリゾート開発と海浜の自由使用との調整を行うための一つの試みであると理解をしております。
  169. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 開発庁に今御答弁いただきましたので、さらにお伺いいたします。  沖縄開発庁としては、「沖縄振興開発特別措置法に基づく沖縄振興開発計画の作成及びその作成のため必要な調査を行なうこと。」というのが所掌事務になっているわけです。沖縄振興開発計画を作成するために必要な調査を十分に行えば、海岸がこのような状況になっているということは何も私の質問を前提にして沖縄県庁にいろいろ問い合わせなくたって、本来的に沖縄開発庁の職務じゃありませんか。いかがですか。
  170. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) 沖縄開発振興計画を立てることは内閣総理大臣の職務になっております。しかし、個々の指導監督等につきましては原則として各省大臣が行うという建前でございます。  ただ、そういった法律の建前とは別に、やはり沖縄の問題につきましては全体として振興開発がうまくいくようにということは私どもの努めであろうと理解をしているわけでございます。
  171. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今あなたが答弁になられたのは、私が先ほど申し上げた沖縄振興開発計画作成のため必要な調査を行うことという中には、そんな海岸の状況の調査なんということは全然含まれていないという趣旨なんでしょうか。  私が理解する限りでは、確かに沖縄振興開発特別措置法によれば、振興開発計画を決定するのは内閣総理大臣ですけれども、内閣総理大臣が決定する前段階の問題として、沖縄開発庁沖縄開発庁設置法に基づいてまずこの特別措置法に基づく開発計画を作成する、そして内閣総理大臣は沖縄振興開発審議会の議を経るとともに、関係行政機関の長に協議して開発計画を決定するんです。まず、あなたのところが、開発庁が実態を調査し、こういう開発計画がいいだろうというふうな形での開発計画を作成することはおたくの所掌事務になっているんじゃありませんか。いかがですか。
  172. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) そういった意味で、全体的な計画を作成するために、全体的な諸般の調査を行うということは私どもの職務であろうと考えます。
  173. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 建設省いかがですか。私が先ほど御質問申し上げた、海岸がこのような企業によって独占されているということについての大臣の所見を伺います。
  174. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) ちょっと私から先に。  まず、国有の海浜地は国土保全等それぞれの土地が持つ公共の用に供する財産としてそれぞれ管理されているわけでございますが、その用途、また目的を妨げない範囲において一般の公衆の方が自由にこれを使用することができるものとしております。  一方、おっしゃいますように、プライベートビーチ化によりまして公道から海浜地への民有通路を閉鎖することにより、従前自由使用に供していた海浜を事実上特定の者が独占することは望ましくないと考えております。しかし、一般公衆の海浜の自由使用を確保するために隣接する民有地において通路開放等の義務を負わせることは、海岸法あるいは国有財産法の規定からいってその根拠を見出すことは困難なので、その対応についてはデリケートな問題があると存じます。  しかしながら、沖縄県の条例等を制定した実態を踏まえつつ、またその執行状況等を見守りながら今後検討してまいりたいと考えております。
  175. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 四年前に答弁したことと同じようなことをおっしゃっている。私はそんなことを言っているんじゃないんです。  国民の海浜の入浜権であるとかそういうことを抜きにして、国として国有財産を国民の利便に供するというためにもっと考える方法はあるんじゃありませんかということをこの前も申し上げたんです。  例えばこの前申し上げたのは、民法に基づく袋地所有者の囲繞地通行権という形をとった場合であっても自由にめぐりの私有地を通行し得る権利が国にはあるはずなんだ。国民の一人一人にはなくても国にはその権利があるんです。だから、その権利を行使して通路を開設して国民に自由に使わせたらどうだということを申し上げたけれども、全然検討もしないし今も同じことを言っておられる。  時間がないので会計検査院に伺いたい。  会計検査院も、このように海岸が国有財産である限り検査対象となると思いますが、いかがですか。これが一点。  それから、このように国有財産たる海岸が国民の自由な利用を妨げられている状況、このような状況について会計検査を実施したことがありますか。  以上二点。
  176. 川崎恒夫

    説明員(川崎恒夫君) お答え申し上げます。  会計検査院法の二十二条の規定によりまして、国有財産ももちろん会計検査院の検査を必要とするものとなっておりますので、国有財産である海岸は検査の対象となるものでございます。  次に、第二点でございますけれども、こういった検査の状況のお尋ねでございますけれども、御指摘の沖縄の海岸につきましては、従来から私ども海岸の防波堤ですとかそういった海岸構造物の工事の設計とか積算あるいは施工面での適否というような点に検査の重点を置いてきておりますので、国有財産である海岸の管理といった面につきましては、特に検査を行っていないのが実情でございます。
  177. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 会計検査院としては、大変少ない人数でいろんな仕事をしなければなりませんから、こんなところまで気は回らないし調査の手もいかぬということも私も十分に理解できるんです。しかし、沖縄はこういうリゾートホテルによる海岸独占の悪い方の例ですけれども、これは何も沖縄に限ったことではなくして全国的規模で行われているんです。そして、午前中にも質問があったろうと思いますが、リゾート法の適用によってさらにこれが促進される可能性が非常に大きい。  会計検査院として、今後このような、海岸の国民による自由利用が妨げられている状況等をも考慮した上での国有財産としての海岸の財産的検査というふうなことについて、どのようにお考えかお伺いしたいと思います。
  178. 川崎恒夫

    説明員(川崎恒夫君) お答え申し上げます。  沖縄以外の全国の海岸につきましても、特に海岸法で定める海岸保全区域内におきます堤防等の海岸保全施設の工事の実施につきましては、先ほど御説明いたしましたように重点的に検査を行っているわけでございますけれども、御指摘の、いわゆるプライベートビーチの状況については、全国の状況を特に把握はしてございません。  今後検査院といたしましては、国有財産である海岸の管理ということにつきましては、不法占有がないかどうか、関係法令にのっとった管理がなされているかどうかといった国有財産の管理の面から十分検査してまいりたいと考えているところでございます。
  179. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 まあ余計な仕事みたいなことをお願いするので申しわけないけれども、少し頑張っていろいろやってもらいたいと思います。  この問題に関して最後に建設大臣に、今申し上げたように全国的にこういうプライベートビーチ化が進行していることに対する取り組み方について、所見を伺いたいと思います。
  180. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今沖縄の条例の例をもってプライベートビーチの問題の御質問でございますが、確かにビーチというのは国土の一部でございまして、これをどのように活用するかということでございまして、今この沖縄の例等々も参考にさせていただきますが、私も基本的にはビーチというものは国有財産であるという基本理念に立って物を考えていくべきである、こう考えております。
  181. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 次の質問に移りたいと思います。  第二番目の質問は、建設省が現在北海道沙流川に建設中の二風谷ダムの建設工事を中止すべきであるという観点から行いたいと思います。  この二風谷ダムの建設工事の中止を求める理由は三つあります。  そのまず第一点は、二風谷ダムの建設は、その地域の先住少数民族であるアイヌの人々の権利を不当に侵害するものであるという点にあります。  この二風谷ダムの問題を考える前提として、北海道の過去の土地利用関係について簡単に申し述べさせていただきますと、皆様も御承知のとおり、アイヌ民族は遅くとも三、四千年前から東北地方、北海道、千島、樺太などに居住していた狩猟、漁労民族であって、いわゆる日本人、和人とは異なる言語、文化、宗教、生活様式を持つ独立の民族であります。鎌倉時代以降、和人のアイヌ民族に対する侵略、略奪、抑圧が強まってアイヌ民族との間に激しい闘いが行われ、結局明治時代に至り、和人の北海道、千島を含む北方領域の統合が成ってアイヌ民族は日本人の一部として取り組まれたという状況です。  そして大切なことは、明治十年北海道地券発行条例によって、明治政府が決めた一片のこの条例によってアイヌ民族が占有していた土地、すなわちアイヌ民族が狩りをする場としていた山村原野あるいは漁をする場所であった河川流域等が、すなわちアイヌの人々が生活のために利用、支配していた土地が一方的に無主の土地、要するに所有者のない土地として地券の交付をすべき土地にあらずということで国有地にされたんです。要するに、確かに日本人から見れば無主の土地であるかもしれぬけれども、アイヌの方から見ればおれたちの土地だということにもかかわらず、無主の土地として、地券交付をすべき土地にあらずということで国有にされてしまった。  建設大臣は、北海道のほとんどの土地がこのようないきさつによって明治十年に国有地になった、逆に言えばそれまでその土地で狩りをし漁をしていたアイヌは国有地に無断でうろちょろする人間だということにされてしまったという、この明治十年北海道地券発行条例のいきさつを御存じでしょうか。
  182. 平工剛郎

    説明員(平工剛郎君) 今御指摘のありました点につきましては、明治以降北海道の開拓が進みます中でアイヌの人たちの生活圏が次第に縮められてきたという事実があったことについては承知しております。
  183. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、今の問題を建設大臣北海道開発庁長官にじかに伺いたいんです。  なぜかといえば、今この沙流川に二風谷ダムをつくると言っているその土地は、もともとはアイヌの人のものだったんです。それを明治政府の一片の条例によって国のものにしただけなんです。そして、それを下付しただけのことなんです。そこのところが非常に重要であって、明治十年北海道地券発行条例というものの意義、内容を御存じかどうか北海道開発庁長官、建設、大臣両方にお伺いしたい。
  184. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 私は前に北海道開発庁長官もいたしておりましたから、アイヌという言葉を使うと差別用語でウタリという言葉を使わなきゃならぬ、こういうことですね、先生今アイヌとおっしゃいましたが。  ウタリの関係でございますが、昔は土人法というような名前の法律があったということで、差別だということで今大変問題にもなっておりますが、とにかく蝦夷のアイヌという一つの人種差別があったようでございますが、今は全くそういうことはなくなったわけでありまして、北海道開拓の歴史の中でやはりそういういろいろ地元の協力、そしてまた本土からの新しい開拓の力というものが一緒になって北海道の建設ができるようにということでいろいろと法律が立案されたり、今申し上げたような土地の問題等々につきましても今から見ると大変略奪的なように思えますが、当時としてはそれなりに一つの意義を持って北海道の開拓が進められた、私はそういうふうに理解をさせていただいております。
  185. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 北海道開発庁長官は。
  186. 木部佳昭

    国務大臣(木部佳昭君) 先ほど局長も答弁いたしましたが、私といたしましても、北海道の開拓が進む中でアイヌの方々の生活圏が次第に狭められていくというような事態であったことは承知をいたしております。
  187. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 建設大臣がただいま言われたアイヌという用語とウタリという用語の問題については、一時期アイヌという用語をやめてウタリという用語にしようというふうなことがありましたが、アイヌというのは人という意味で、ウタリというのは同胞、仲間という意味です。しかし現時点において、民族の自決権を高めようという意味において、むしろ現時点においてはアイヌということをアイヌの人は言っております。ですから、アイヌの方はアイヌ新法を制定せよと、こう言っておる。  いずれにせよ、この二風谷ダムの建設とアイヌ民族の関係をさらに詳細に申し上げますと、この水没する二風谷地区の人口五百人中アイヌの人が八〇%以上いるんです。買収対象地二百五十ヘクタールの地権者百五十三人中アイヌの人が八十五人、五六%なんです。私は、このような二風谷ダムの建設を計画し決定し実施する各段階において先住少数民族たるアイヌの人に対し、一般国民に対する意見聴取であるとかそういう手続とは別に特別に配慮をする、少数民族に対する特別の配慮の手続をとるべきだという考え方をいろいろ申し上げてきたんです。  なぜかというと、ダムをつくるのは公共の福祉だと言う。公共の福祉というのは大多数の利益ということなんです。しかし、質が同じ構成員によって構成されている社会においては多数決原理によって物事を決定することが正当であるけれども、異質の少数民族がいる場合に、これを抜きにして全く同じものとして数ですべてを決定されたら、多数決原理によって負けるから少数なんです。勝てば多数なんです。こういう少数民族は本来的に多数決原理でいったら負けることになっている。だから、単に多数決で道議会がどうしたとか、建設審議会がどうしたとかという問題じゃなくして、少数者の意見を伺ったらどうですかということを申し上げているんです。  私は、昭和六十三年十二月二十日付で政府に対して同じような質問主意書を出しているんです。これに対して当時の竹下内閣は、「一部の土地所有者」、これはアイヌのことを言っているんです。「一部の土地所有者等のみについて御指摘のような特別の手続が執られることはない。」という答弁書をよこしまして、要するに何ら特別の配慮をしなくていいんだ、こういうことなんです。  私が今申し上げた少数民族について、しかも先住少数民族に対して特別な配慮をするということについての相当性あるいは不当性について、北海道開発庁長官、建設大臣の意見を伺いたい。長官の意見を伺いたいんだ、私は。あなたの意見を聞いたってしようがない。
  188. 木部佳昭

    国務大臣(木部佳昭君) 私から。  ダムの問題の公共性とか、また地域の防災とか防除の問題とか、非常に多岐にわたる目的を持って、皆さん方から理解を得て建設を進めておるわけであります。そういう中にありまして、今御指摘になりましたような問題等も生ずるところも私はあると思います。しかし、今申し上げますような多目的のダムで、民生の安定とか防災の問題とか災害防除の問題とかというふうな大きな目的を持っていることも事実でございますし、またそうした地域について、そういう方々の固有の文化的な、何といいますか、いろんな保存をするとか、そういうふうなきめの細かい配慮はやはりしてあげなければならぬだろう、そういう気持ちでおるわけでございます。
  189. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 北海道開拓百年の歴史の中で、やはりアイヌという一種の、昔は差別でございましたが、そういう差別をなくして同化をしながら開拓をしようということで、内地から参りました者も現地の方も一体になって今日まで開拓をされ、今日の北海道の発展があるものだと思っております。  この二風谷ダムにつきましても、今人種差別的なことを持ち出すよりも、やはり開拓の歴史の流れに乗りまして、よく話し合いの中でこういう公共的な事業が整々と建設されればまことにいい方向だ、またそうあるべきであるというふうに私は考えております。
  190. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 綿貫建設大臣に何か盾突くようで申しわけないですけれども、今大臣がおっしゃったような同化政策、融和政策というのは、一一十年前の少数民族対策なんです。現時点においてはこのような同化政策をやめよう、融和政策をやめょう、そして各民族が大も小も併存して、共存していこうというのが現時における少数民族に対する世界的思潮であり傾向なんです。  時間がありませんから簡単に申し上げます。去る十一月十六日付の朝日新聞によると、サハリン先住少数民族の一つであるニブヒとサハリン州議会執行委員会との間で、九月二十九日付で、ニブヒが先祖以来居住しているオハ地区約百三十平方キロメートルがニブヒに返還される旨の協定が締結されたと報道されているんです。  この報道を北海道開発庁長官、読みましたか。
  191. 平工剛郎

    説明員(平工剛郎君) 今御指摘のような報道があったことは承知しております。
  192. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 さらに十月二十七日付の朝日新聞北海道版によれば、サハリン州知事というのはソ連の州知事ですけれども、サハリン州知事は現在北海道に居住するサハリン出身のアイヌの人々が旧居住地へ帰郷し、居住することについて全面的な調査を行い、アイヌ側とサハリン側の双方の同意及びサハリン州議会の承認のもとにこれを実現することを北海道ウタリ協会理事に約束した旨報道されています。  この報道についても御存じでしょうか。
  193. 平工剛郎

    説明員(平工剛郎君) 今御指摘の点につきましても、そういう報道があったことにつきまして承知しております。
  194. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 このように、ソ連においてもという言い方は失礼かもしれませんが、先住少数民族の権利回復は今や世界的な潮流なんです。このサハリンの問題だけでなくして、オーストラリアにおいても、あるいはアラスカにおいても、ニュージーランドにおいても、少数民族の権利を回復しようということは世界的潮流なんです。  それにもかかわらず、我が日本国は二風谷ダムの建設によってアイヌがずっと昔から居住し、生活していた聖地を水没化させる。そして、公共の福祉のためにそういうこともやむを得ないということでやっている。そして、回復不能の状態にさせてしまう。これは世界の少数民族、先住民族の権利回復の潮流と全く逆行するものと言わなければならない。  建設大臣、開発庁長官、両大臣それぞれ、私たちの子供や孫の代になってみて、私たちも立派な生きざまをしたんだと、私たちの父親も祖父も立派な生きざまをしたんだと言われるような意味において、二風谷ダムの建設について建設の中止もしくは廃止について、何らかの所見はございませんか。
  195. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 少数のそういう民族が独立して、対立していくのが世界の流れだと言われますが、私どもは世界を旅行しまして、一国の民族が何カ国語でも違った言葉で語らなきゃならぬ国なんかを見ますと、ああ日本一つ言葉で通じるいい国だなと、こう思いますが、今そういう世界の潮流と言われまして、私は、日本の国の方向はそうではないと思っております。  そういう意味におきまして、今申し上げましたように、二風谷のダムにつきましてもひとつ今までの開拓の歴史の中で学びました知恵を十分活用して、これを進めていくべきであるというふうに私は考えます。
  196. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 環境庁、せっかく来ていただきましたけれども、時間がありませんので質問を省略させていただきます。申しわけない。  私が二風谷ダムの建設を再考するべきだあるいは中止するべきだということの理由の第二点は、この二風谷ダムは昭和四十八年に計画が立てられて、五十八年に計画決定しているんです。政府の環境アセスメントの策定は五十九年ですから、それ以前の問題だということだからもう一度、環境庁として環境影響調査をするべきじゃないかという点を質問したかったし、そのような観点が、中止ないし再考を求める第二の理由だったんです。  第三の理由は、この二風谷ダムの工事目的がいろいろ掲げてありますけれども、そのどれ一つをとっても、現在においてどうしてもやらなきゃならぬという必然性というものが私には考えられない。水道用水あるいはかんがい用水、工業用水、洪水調節機能と、こういうふうなことをいろいろ言って計画したけれども、例えば水道用水にすれば、この水道によって一日五千三百五十立方メートルの取水を可能にすると言うけれども、この対象地域である平取町、門別町の人口は、昭和三十五年に比して平取町が五五・六%、門別町は七八・四%、どんどん減っているんです。減っているのに何でわざわざ水だけが必要なんだということも聞きたかったんですけれども、時間がありませんのでやむを得ず、以上で終わります。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、長良川河口ぜき問題で、環境問題と利水問題の二点を取り上げて質問します。  私、昨年十二月に質問主意書を出しましたし、八月の二十二日には鯨岡元環境庁長官、社会党の岩垂寿喜男代議士などとともに現地を見ましたし、岐阜市での国際シンポジウムにも参加しました。地球環境問題、今大問題になっていますけれども、その一つとして非常に大きな問題になっていることはよく御存じだと思うんです。超党派の「長良川河口堰問題を語る会」、ここで、建設省・水資源公団は建設工事一時中止、改めて環境アセスメントを行うとともに、地元関係者などと話し合いをすべきだと決議をいたしました。現在、この決議に二百五十名以上の議員が署名しています。  そういう世論も、各紙社説を出していますし、非常に大きな問題になっているということをよく受けとめて、建設省もああいう態度ではなくて、本当に世論に従う常識ある解決をしていただきたいというふうに思っているんです。  二十六日に北川環境庁長官が現地視察をされました。新聞を見ますと、五十分にわたって意見を聞き終えた長官は、「いまここで結論を下すことはできないが、みなさんの意見を整理して、環境庁としての立場を鮮明にしたい」と言われて、「来月早々にも環境庁としての見解を示す考えを表明した。」とあります。  環境庁、大体十二月早々には、鮮明な見解が出される予定と受け取ってよろしいでしょうか。
  198. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 今、先生指摘のとおり、去る十一月二十六日に環境庁長官が現地を視察したわけでございますが、その際に、先生おっしゃいますようなことを申し上げました。  我々といたしましても、従来からこの河口ぜき事業に伴う環境上の問題については、建設省の方と随時協議を重ねてきておるところでございますけれども、こうした結果も踏まえまして、大臣が申し上げた方向で対処していくべく現在検討しているところでございます。
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 長官ほど鮮明でないようですけれども綿貫大臣、もし環境庁からこの問題で見解が表明された場合、建設省としては当然尊重されると思いますけれども、いかがでしょう。
  200. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) まだ聞いていませんから、何とも申し上げられません。
  201. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうところに、時々閣議でもいろいろあるようですけれども、まあ閣僚間でも態度の違いがあるという世論の反映がここにもあると思うんですね。  それで、なぜこの河口ぜき建設問題が大問題になっているかというと、ダムのないあの美しい自然を保持している長良川の環境問題もありますけれども、やっぱり建設省の河川行政、開発行政の基本にかかわる問題になっているからだと思うんですね。一たん決めた開発計画は、どんなに経済情勢変わっても社会情勢が変わっても、あくまで押し通す。当時、環境アセスの閣議決定もない時代で、極めて不十分なものなのに、環境は大丈夫だということでやっていこうとする。しかも、データもちゃんと公表しないということ等々があるんですね。完成後に事業中止になった中海・宍道湖淡水化事業、この愚を繰り返す壮大なむだ遣いになりかねない。問題、非常に重大だと思うんですね。  まず、環境問題少し具体的に質問いたしたいと思います。  日本自然保護協会が建設大臣、水資源開発公団総裁あてに九月五日に意見書を出しています。第一は、いわゆるKST報告に関するもの、これは木曽三川河口資源調査報告書、これについて第一に、調査対象は魚介類のみだと、その他は何もやっていないじゃないかという点が第一点。第二点は、ブランケットを初めとする河口ぜき建設に伴う附帯施設工事が環境に与える影響については全く考慮されていない。第三、大署であるKST報告、これは五巻六千ページだというんですね、大著のKST報告の内容を取りまとめたKST結論報告の信憑性だと。内容が幾つかの項目で大きな食い違いを示した。例えばヤマトシジミに与える影響について、前者では河口ぜき建設に伴って塩分濃度が変化し、多大な影響を与えるとしているのに対して、後者では極めて過小評価されていると。  三点質問書が出されていますが、近藤局長いかがですか、この問題は。
  202. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 長良川の河口ぜきは、先生も御承知のとおり、長良川の沿川住民の生命、財産を守るために、従来から治水計画の一環として進めてまいりまして、その中の一環として計画されて実施しているところでございます。  そこで、この河口ぜき建設に当たりましては、魚介類等への影響が当然予想されましたので、この計画策定以前の昭和三十八年から、KSTと今おっしゃいました、木曽三川河口資源調査を実施いたしたわけでございます。  この調査に当たりましては、単に魚介だけではなくて、当然その魚のすんでいる水域の水質あるいは底質あるいはプランクトン、藻類、水生昆虫その他水域及び海域において全般的に調査をし、各年ごとにそれぞれの担当が取りまとめてはそれぞれの学者の方が中間報告を策定し、また、それら五年間の調査が終えた段階で結論報告を策定したものでございます。したがいまして、このKST調査は、魚介類というのは一つ目的としてはそういう意識はあったと思いますが、実態的には水生の中の環境、生態全体について調査をしたものでございます。  それから、結論において食い違いということが今御指摘がございましたが、中間報告を重ねるに従って知見が積み重ねられまして、結論の報告においては中間報告と若干違う表現が出てきたのもこれは当然のことだと思います。なおその後においても調査を繰り返しまして、またさらに進展した結論が得られたわけでございます。  なお、ブランケットにつきましては、これは陸上における植生等の改変に関係するものでございまして、これらについて自然保護協会の方がいろいろおっしゃっていますが、このうちの大部分のところは長良川と木曽川あるいは長良川と揖斐川の背割り堤部分でございまして、これは今改変する予定はございません。また、残された植生の中におきましても、今後改変する予定は三%と大変わずかでございますので、陸上の環境に与える影響も極めて少ないと考えておりまして、この点については十月十二日に我々が資料を発表いたしましたので、これを篤とごらんいただければ十分御理解いただけると思っております。
  203. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、結論報告と若干表現が違うと言われました。  十月二十七日にNHKの「中部 NOW 問われる出発点 検証・長良川河口堰」が放映されました。私もこのビデオを見ました。中間報告と結論報告との非常に重大な違いを中嶋太一記者がそれぞれの学者に会い、当時の建設省の担当者、あるいは現建設省課長に会って、実に詳細に追求した番組でした。  どういうことになっているかというと、例えばヤマトシジミとアユ、これを取り上げてあるんですけれども、中間報告では、「シジミ漁を堰堤の構築により不可能にするおそれ」と書いてある。結論報告は、「堰の下流部では変化はない」と。若干の表現の違いどころではありません。アユについては、現岐阜大学和田教授が当時実験をして、一一メートルのといから仔アユを流すわけですね。すると、百時間後には全滅する。結論報告は「落下水は次第に拡がって流速が減るので衝撃はさほど大きくはない。」と。百時間後に全滅するのに、衝撃は大きくないとなっている。  それで、この和田教授に中嶋記者が現に会って、和田教授はこう言っている。調査結果を大きくひん曲げられている部分があるのじゃないかというので、大変憤りを感じて、当時の保利建設大臣に抗議をしたと、文書にして。そういうことを述べている。  これ、裁判にもなって、調査団長の小泉清明氏の岐阜地裁での証言。「結論報告の前の段階の第一、第二報告書というものを木曽川の下流工事事務所へ送って、目を通してもらい」、送り返してもらった、「私の書いたものに手を加えられたところがあったので、非常に憤慨し、私は三カ月ぐらい返事をしなかったことが」あった。「私が執筆したものに対してもそうですし、それから班員の執筆したものに対しても手を加えた事実は明らかにあります」と。これ、裁判での証言なんですよ、団長の。  この指摘をした記者の質問に、建設省の開発課長は、「何とも答えようがない」と言って、番組でも黙り込んじゃって、何も言わない。  これに対して水資源開発公団の中部支社は、これ改ざんしたかのような放映だというので抗議をしていますね。NHK側は、何も改ざんと断定していない、調査事実を放映しただけだと、そういうコメントを発表しているわけです。  当然の疑問に対して抗議するというのもまことにおかしいけれども、こういう当時の調査、六千ページも書かれているものと、まとめた結論報告書は明らかに——ヤマトシジミとそれから長良川のアユというのは一番大事な資源でしょう。それに対してとんでもないことが書いてある。どう責任をとりますか。これに基づいて閣議決定が行われたんですよ、閣議決定の前提が壊れるじゃありませんか。
  204. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 先ほども申し上げましたように、中間報告の段階と結論の段階で表現の相違したこともございます。それらはその後の調査の前提の相違によって書かれたものでございます。例えばシジミの問題についても、せき下流における塩分の想定によって結論報告と中間報告とが相違しておりまして、その点について述べたものでございます。また、仔アユについても、落下するところの水深の想定が結論段階と中間報告段階で相違しておりましたから、表現について違っているのもやむを得ないことかと存じます。  それで、過日の放映については私は見ておりませんが、中間報告と結論報告とのニュアンスの相違について報道があったものと聞いております。  それで、小泉団長は、いろんな箇所でいろんな発言をしておるとは思いますが、最終的には、長良川河口ぜき建設差しとめ請求事件の口頭弁論記録で、作業の進め方については、その調査を直接担当した者の責任執筆で、翌年の班長会議とかシンポジウムで誤りがあれば直そうということで進んできた。また、結論報告については、各班ごとに満五カ年の調査結果報告を行い、非常に厳しい討議をしまして、そしてその班が内容を承諾したならば、調査団のメンバーが結論報告を責任を持って書いた。また、改ざんがあったかどうかについては、結論報告に他の者の手が加わることは許されなかった。建設省が勝手に手を加えることは言語道断です。だから結論報告には手を加えることは許しませんでした。建設省から、表現がまずいだの発表するのはやめてくれとの要求があったのかとの問いに対しては、まず私の班においては絶対にありませんし、仮にあったとしても私は拒否したでしょう。そんなことは絶対ありませんと証言されているように、結論報告は、小泉団長及び各班長の責任を持って取りまとめたものでございまして、KSTの最終的な報告書である結論報告の内容について建設省等が、改ざん等は一切なかったことは明白でございます。  なお、これらの要約の仕方について、事務所の職員の取りまとめ方について、いろいろ御議論があったことはあったのではないかと思いますし、放映の中でそんな事例があるいは紹介されたのかと思いますが、この中間報告及び結論報告についてはただいま申し上げたとおりでございます。
  205. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 本多勝一氏がこの問題についてさらに調査をしておられまして、私もその結果について知る機会がありました。  この結論報告書は三日間合宿して学者がつくったというんですけれども、その場に建設省の職員が参加していたんじゃありませんか。
  206. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) ただいまの突然のお尋ねですからわかりませんが、恐らく参加していたとしても不思議ではないと思います。
  207. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 学者が合宿して責任を持って書いたとあなたは答えられたけれども建設省が参加しているんですよ。で、表現についていろいろ注文があった。時にはデータも変えてくれぬかというようなことまであったというんです。よくあることですよね。学者に調査をさせて、さあそれをまとめると、学者は非常に厳密に学問的に書きますよ。そこはそれじゃ何とかかんとかってね、出ていると言うんですよ。黙って座っているわけじゃないんだよ。そういう証言があるそうです。  それから、あなた裁判記録での小泉団長の証言をそこで読み上げられた。しかしここで小泉さんは——その裁判記録、あなたそこだけごらんになったんでしょう。詳細に検討すると、いろいろなことをやっぱり言われているんです。調査団の出されたダイジェスト版には、明白に手を加えられたと何回も証言したと。局長も、報告書以外のさまざまのものには若干表現に、と言われたけれども、恐るべき手が加えられたということを何回も団長は証言している。裁判で、例えば「重大な影響がある」、そういう表現じゃ困るから「影響がある」というふうに直してくれませんかということがありませんでしたかという尋問に対して、団長は、そういうことは「ありました」と。重大な影響があるというのとただ影響があるとは違いますよ。その「重大な」を削ってくれと。そういうことがあったでしょうといって尋問されたら、ありましたということを、裁判記録でもこれはっきり残っているんですよ。もう一度裁判記録を見てごらんなさい。  それで、実は最近、この問題で一つ重要な論文が出たんです。  その前に、先ほどヤマトシジミのことを言われたけれども、例えば利根川の河口ぜきでシジミが物すごい被害を受けているんですよ。明らかですよ。八割近く漁業に被害と。もうこれは利根川の河口ぜきでも明らかになっている。  それで、最近出たものは、これは一番最近です。淡水魚保護協会の機関誌「淡水魚保護」という雑誌があります。その三号。九〇年十月、出たばかりです。これに二松学舎大学の君塚芳輝講師が、「河口堰の影響調査を読む」、そういう論文を発表されています。  それで、環境庁にちょっとお伺いしたい。  環境庁は、五年ごとの自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)の一環として一級河川の魚類相調査を行ったと。それで、「この中ではアユ・サクラマス・サケの溯河・降海に河川横断工作物、特に河口堰が多大の影響を与えている事実が明確に示された。」と、君塚さんはそのことを評価しているんです。「サツキマスを、レッドデータブックの絶滅危惧種に登載した環境庁の姿勢は高く評価される。」と褒めているんですけれども、環境庁どうですか、この緑の国勢調査で一級河川の魚類相調査、この中で河口ぜきが多大な影響をアユ、サクラマス、サケの遡河、降海に与えたと、この事実は明らかになったでしょう。
  208. 小林光

    説明員(小林光君) 環境庁では、緑の国勢調査と申しまして、全国の自然環境の調査をやっております。その中の河川調査のうちで、昭和六十年度に調査した部分でございますけれども、河口ぜきに言及したところは具体的にはありませんでした。  全国の一級河川の河川横断工作物について調べましたところ、全国で二千百八十九カ所あることがわかっております。そのうち魚道がつくられているのは約三〇%ほどでございまして、魚道がある河川横断工作物、せきとかダムのうちの約一一一%にあたる八十三カ所がいろいろな管理上の問題とかそういうことで機能していないことはわかっておりますが、河口ぜきそのものについての調査というものはしておりません。
  209. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だけれども、河口ぜきというのは横断工作物ですから、これはやっぱり横断工作物は影響あるんでしょう。それは確認されました
  210. 小林光

    説明員(小林光君) 工作物のうち、あるせきやダムについては魚が遡上できなくなっているところがあるということもわかっております。
  211. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この君塚講師は長良川河口ぜき問題で、KST調査、この五巻の膨大な本調査と、要約版というのはいっぱいあるんですって。「調査要旨集」、「要旨解説編」、「おもな結果」、「要録」、「総括報告」、「補足調査要旨解説編」、「結論報告」、七つあるというんですよ。これ全部読まれたと。  それで、例えば仔アユの降下に関する予測試験結果の項をとにかく見てみようと。本報告については、せきを落ちるもの、魚道を通るもの、その落下衝撃で五十時間経過すると八一%から九七%の個体がへい死する、死ぬと書いてあるというんですね。ところがこの要約については、五つの例が出ている。「距離三メートルを急激に落下させても影響皆無」、影響皆無ですよ。こういうことを書いている。「実験してみると三メートルを急に落下させてもそのしょうげきは皆無である」。実験してみたけれども、小規模な実験というのは余り意味がないというのもまたあります。それで、「落下水は次第に拡がって流速が減るので衝撃はさほど大きくはない。」等々。仔アユが五十時間でほとんど死ぬ、百時間でほとんど全部死ぬんですから。ところが、この七種類の要約版には、影響皆無等々と書いて、五つの例を挙げている。「要約版における上述のような事実関係の改変、仮説や推論への書変えの事例は、他の項目においても枚挙に暇がない。」と。これは驚くべきことですよ。「堰・魚道からの落下衝撃は致死的である。」、ところが、「何ら実験もせずに、「殆どのサツキマスが長良川河口堰を容易に遡上するものと考えられる」」、こういうことまであるんでは、先ほど局長の言われた、若干の表現上の問題にはとどまりません。これは問題になったので、学者が責任を持って七種類の要約物を六千ページの本報告と比べて、「枚挙に暇がない。」と言っているんですから。  こういうことになってくると、閣議決定のこれ前提なんですからね。NHKは改ざんと言わなかったけれども、この学者は改ざんと、改ざんという言葉は使っていないけれども、はっきり「改変」と書いていますよ。書きかえですよ。仮説や推論への書きかえ、枚挙にいとまがない。こういうものを理由にして、閣議決定で河口ぜき決定、とんでもない話です。  私は、環境庁にちょっと責任を持ってお答えいただきたいんだが、こういう大問題になってね、当時、環境アセス、閣議決定も何もない時期だ。しかもこういう問題点が明らかになっておる。しかも、利根川などの実例で、それから芦田川もありますわな。河口ぜきが完成すると恐るべき被害が与えられるということが事実幾つも明らかになっているわけでしょう。そうしますと、六〇年代の資料を使ったり、またその資料そのものが改変されている、それに基づいて何か推定しているというようなことでね、これ議論していてもしようがない。これだけ問題になっているんですから。やはり我々の会の二百五十名署名を集めたもの、あるいは各紙の社説もそうです。環境アセスを今の段階できっちりやって、そして客観的なデータを出す必要があると、そう思うんですね。  環境庁いかがですか、全体の経過を見て。当然環境アセス、世論を納得させるだけの資料を出すべきではないかと思いますが。まず、環境庁の見解を聞きたい。
  212. 的石淳一

    説明員(的石淳一君) 御説明いたします。  本事業につきましては、先生御案内のように、昭和五十九年の閣議決定、すなわち環境影響評価の実施についての閣議決定によります制度としての環境アセスメントの対象とはなっておりませんが、本件につきましては、環境保全上の重要性にかんがみまして、環境庁といたしましては、これまでも長良川河口ぜき事業に伴う環境上の問題につきまして、建設省と随時協議を重ねてまいっておりますほか、各方面の御意見や調査結果の把握にも努めているところでございまして、これらの結果を踏まえまして、この事業が環境に及ぼす影響について十分検討をいたしまして、環境庁として適切に対処してまいりたいと考えております。
  213. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 各報告書でいろいろ改ざんがあったのではないかというお話でございますが、それぞれの段階でそれぞれの用途に応じてまとめられたのだと思います。  例えば、先ほどの仔アユの問題につきましても、前提で、水深の浅いところで高いところから落とすという場合にかなりの死傷率がある、しかし水深を深くしていった段階では影響はなくなってくるであろう。あるいはさらに河口ぜきの今後のせきの運用におきまして、せきの上流から下流へ落下する水深を極めて低く抑えるということによって十分対応できるというようなことで、それぞれの前提において掲げられた表現が、単にその表現を比べますと大変違うということでおっしゃられたのだと思いますので、この点は御了解をいただきたいと思うわけであります。  それから水中の問題につきましては、先ほど小泉団長のお話がありましたように、中途の段階でいかがあろうとも、最終段階で十分に学者の皆さんが責任を持って書いていただいてこの問題はスタートしたわけでありますし、その上一番関心のある漁業関係者とこの報告書に基づいて十分議論を加え、さらにその後も追加の調査を行い、納得を得ていただくのに昭和四十三年から昭和六十三年着工に至るまで二十年の長きにわたって徹底的な議論を行った上で御了解を得て着工したものでございますし、その意味では十分なアセスメントの実質手続は行ってきたと考えております。  なお、陸上の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり改変率は三%ということで、ほとんど影響ないと我々は判断しておる次第でございます。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは言い抜けです。  条件の違いじゃないんです。片方は、例えば五十時間たつとへい死率は九七%。これは、一般の普通のところでは一〇%なんです、へい死率が。一〇%が九七%に上がるんです。六十時間で一〇〇%へい死の実験結果、データが出ている。それを皆無とは、条件のちょっとした違いじゃないですよ、これは改ざんです。ですから、まあ建設省はえらい頑張ってやろうとしているけれども、これは事実に忠実でないとだめですよ。私は、こういうとんでもない改ざんに基づく閣議決定を見直して、アセス工事も中止して、環境アセスをやり直すこと、これがやっぱり世論に忠実な態度だと思うんです。  さて、次に利水問題に移ります。  いかに建設省の態度がまじめでないかというのを私今度も体験しました。というのは、十月十八日の毎日新聞で宮崎記者が「記者の目」で大きな記事を書いています。これは中部地方建設局、「伊勢湾地域綜合開発 長良川河口ダムの構想」、六〇年一月の文書がある。これは専ら利水で書いてあるという記事なんです。私は早速これを読みたいと思って要求したんです。担当官は提出するといって、まず電話で答えていたんです。後になって、さまざまな検討途上の一案で、内部文書だから出せないと、今度は提出拒否ですよ。もう既に新聞で大きく取り上げられている。私、国会議員で、建設委員でもあるんです。一度出すと言った、それ出さないと。こういう秘密主義。まあ自信がないんでしょう。で、しようがないから、手に入れました。これがその文書です。「建設省中部地方建設局 企画室」とはっきり書いてある。  これ読んでみると、傑作ですよ。「はじめに 伊勢湾臨海工業地帯は〃若い工業地帯〃である。その前途は洋々としてひらかれており、日本のホープである。」、ここから始まるんですから。日本のホープの「伊勢湾臨海工業地帯の将来のために、ここに工業用水に対する根本的に最善の方策のひとつとして、長良川河口ダムによる伊勢湾臨海工業用水道の企画を提案するものである。」。それで、「特徴」として二十項目ぐらい挙がっていますよ。治水のことだとか何だのは一つもありません。全部日本のホープの伊勢湾臨海工業地帯に対して水をどうやるか。河口ぜきをつくれば塩水を淡水化できますからね。それで、しかもこう書いてあります。「河道浚渫で利用水位を下げることにより、せき上げ水位をあげることなく容易に貯水容量を大巾にまし、将来の大拡張と、流入量の減少に対応できる。」。つまり、しゅんせつというのも、水をとにかくいっぱいやれるからしゅんせつするんだとずばりと書いてある。  何でこういうものを私に出さないんですか。
  215. 近藤徹

    説明員(近藤徹君) 御指摘の長良川河口ダム構想が策定された当時は、中部圏の発展のためにいろんな企画が模索されたわけでございますし、建設省におきましても、建設省所管事業の河川、道路、治水事業その他を含め、あるいは建設省直接所管ではございませんが、都市用水等の事業もさまざまの部門でそれぞれが検討しておったわけでございますし、その研究の一環の中でそのダム構想というものが一枝術者としてまとめられたわけでございます。  しかしこれは、これが現在の河口ぜきと直接関係するものではなく、河口ぜき計画は再三申し上げますように、長良ダムの治水計画と利水計画の一環、両方兼ね備えた多目的ダムとして検討されたものでございます。  ちなみに、長良川は明治二十年に改修に着手いたしましたが、そのとき改修規模は十五万立方尺、四千百七十トン、その後昭和十一年改定されましたが、四千四百四十五トンと。基本的には伊勢湾台風が襲う直前の計画高水流量四千五百トン相当の治水計画は、明治二十年以来そのまま引き継がれてきたわけでございまして、そういう意味で当時から治水計画の検討については徹底的な検討をしておったわけでございますが、残念ながらそういう資料をまとめてレポートに書く技術者がいなかったので、ある意味では先生がおっしゃいますように、利水計画だけがあたかも検討されたかのごとく思われておるわけでございます。  その後この資料は、長良川河口ぜきの差しとめ裁判で、そういう前提の資料だということで提出したわけでございますが、マスコミ等の段階では、あたかも建設省がこの長良ダム構想によってこの河口ぜき計画計画していたかのごとく印象を持って語られており、我々は関係のあるところに再三お邪魔してはその実態を御理解願うように御説明しているわけでございますが、残念ながらしばしばそういうふうに喧伝されているわけでございまして、そういう意味では先生に誤解を招かれないようにということで、これは行政内部で意思決定する以前の一資料にすぎないということから、提出を差し控えたわけでございまして、その点については御理解願いたいと存じます。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長、あなたね、やっぱり社会経済情勢が大きく変化してきた、その中で、最初利水のためにつくったものがだめになってきて、今度は治水等々を出してきたというのが歴史的経過なんだから、そういうことを言ってもだめですよ。  大体、高度経済成長政策に突入した時期なんだから。鉄鋼、石油化学コンビナートの建設に向けて工業用水確保推進していた時期です。利根川河口ぜきは鹿島コンビナートの水源として六四年に政府が決定したんです。長良川河口ぜきは、さっき言ったように今度は六八年。七〇年は旧吉野川の河川ぜきも決定なんです。もう当時はそういう時代だったんですよ。だからこの文書もそうなっている。一個人といったって、企画室ですよ、中部地建の企画室が最初につくった文書なんだから。  建設省自身の文書もありますよ、建設省河川局開発課「長良川河口堰調査報告書」。これは幾らでも出せる。私はいっぱい調べてあるけれどももう時間がありません。これは六六年です。こう書いてある。「総合開発という観点から、利水の面も併せ考えると、木曽三川協議会で出されている長良川の新規利水二九トン毎秒をつくり出すためには河口堰を設置する以外に方法がなく、これによると、さらに現状の海水浸入までも止められる。」、六六年の建設省本省の河川局です。あなた局長でしょう。こういうのが六六年に出ている。  私は先ほど、環境問題をああいういいかげんな改ざんまでしたのは、これは利水のためにつくったものだから環境問題はもう眼中にないんですよ。突破しようというので、突破突破ですよ。だから学者を怒らせて、文書で保利建設大臣にまで意見書が出るような、怒らせて裁判にまでなるようなやり方をして突破してきたんですよ。ところがその後、御存じのように超高度成長ががくんとなって、もう水需要すっかり変わりました。水を利用する大きな重大産業ですな、そういうのがこう変わってくるわけですよ。水需要すっかり変わっちゃっているんです。  もう時間がございませんけれども、私は十二月十六日に質問主意書を出して、この質問主意書で、水需要の大きな変化によってもう過剰になっているじゃないかということを具体的に質問したんです。当初の予測は八五年までに毎秒百立方メートル。しかし今は毎秒六十五立方メートルじゃないですか。これはもう過剰になっているという質問をしたんです。政府の答弁書、一行です、「水道用水及び工業用水の需要の見通しは妥当であったと考えている。」と。私が具体的な数字を挙げて質問してもこの一行しか書けない。そういうことになった。  そこで私は、本当はきょうもう少し時間があったらと思って資料をお配りしたんですけれども、愛知県、三重県の具体的な水需要の問題で、詳細に愛知県と三重県が出しているデータに基づいて試算をいたしました。愛知県、三重県が出している試算そのものも見通しは過大です。私のお配りした資料の一ページの五番目にグラフがありますね。これの点線は実績に基づいて、実績に基づけば点線だ、ところが県はこういう過大な見通しをしているというグラフです。二ページ目は、愛知と三重の県それぞれについて、過大だと言われる県の需要そのものによっても、長良川河口ぜきの建設は要らないということが詳細に数字で明らかにしてあります。  今、この尾張地域の新規水源としては、長良川河口ぜきのほかに阿木川ダム、味曽川ダム、揖斐川の徳山ダム、三つつくっているんです。この三つは、西暦二〇〇〇年までに全部でき上がるんです。徳山ダムが九七年、味曽川ダムは九三年、阿木川ダムはことしできるんです。この三つのダムができ上がりますと、愛知及び三重の水はそれで十分間に合ってしまう。むしろ過剰になるんですよね。三重なんかの場合には、もう三重自身がもうとんでもないことになって、超先行投資になっちゃった長良川と言っているんで、だから利水問題としては長良川河口ぜきは全く要らないんです。全く要らない。一番の目的で始めた利水は水需要が変わって要らなくなっちゃったんだから、やめればいいんですよ。  自治省の通達があります。「平成二年度地方財政の運営について」、これにこう書いてある。「過大投資又は過度の先行投資となることのないように」「将来における需要が明確に見通せない場合においては、」「休止等を含め適切に対処する」。「特に、工業用水道事業について、」、これはもう本当に余っているところは全国に多いんですよ、「既着手の水源開発施設で将来の水需要が見込めないものにあっては他用途への転換を図ること。」と、この自治省の事務次官通達がことしの六月二十八日付で出ているんです。  そうしますとね、長良川河口ぜきダムは、つくらなければならないという理由はもう全くないんです。つくれば環境に物すごい影響を与える、被害を与える。利水については要らないんです。こういうものをつくろうとすると、事務次官通達に反することになる。  どうです大臣、やめたらどうですか。
  217. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 私はね、上田さん。あなたとは世界観が違うから、私の言うことはいつも理解してもらえないから余りしゃべらないようにしているけれども、きょうは名誉のために申し上げますよ。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうぞ。  環境の問題を言っているので世界観の話じゃない……
  219. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 先ほどから建設省に対してあなたはいろんなことをおっしゃいましたけれどもね。我々は国民の財産、生命を守るためにいろいろやっているんですよ。今長良川河口ぜきの問題はそこに一番大きな問題があるのを、あなたは視点を外して自然保護と利水計画だけに持っていかれておりますが、これは住民の生命、財産を守るということで、いかに賛成者がおるかということをあなたは御存じないんですか。あなたは反対の声だけ聞いているからです。一部の学者の人のことをとらえて、あなたは断定的にそういうことを言うということは全くけしからぬ。あなたは、いかにもそんなことをおっしゃっていますけれども、我々は国民の……
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあそんなに怒りなさんな。そう興奮したらだめですよ。
  221. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) あなたも長良川のふちに住んで、洪水が来るときに体験しながら言ってもらいたい。あそこでどれだけ洪水におびえておる人がおるかということをあなたは御存じあるのかどうか。  私は建設大臣として自分の所管のやっております問題に自信を持って申し上げておるわけでございまして、先ほどから前提条件はいろいろほかのものを加えて、閣議決定がおかしいとか建設省がおかしいとか、それはあなたの世界観かもしれませんが、我々はそんなことはとりません。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 世界観じゃない、事実を言ってるんだから。委員長委員長
  223. 及川一夫

    委員長及川一夫君) もう時間ですから。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間がないけれども、ちょっと待って。  世界観でこういう問題をやっているんじゃないですよ。学者の方だって何も共産党の方じゃないからね。それを世界観でと、建設大臣があんなに興奮してしまって、どうかしちゃいますな、これは。こういうことでは建設大臣の資格がむしろないということを、こういう人に長良川河口ぜきという大問題、国際シンポジウムまで開かれた問題を任せたら大変なことになるということを強調して終わります。
  225. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 私は共産党に任命されて建設大臣をやっておるのじゃありません。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 とんでもない話だな。  終わります。
  227. 高井和伸

    ○高井和伸君 私は、行政手続法制定に向けて、建設省総務庁国土庁に、簡潔に幾つかの質問をさせていただきます。あらかじめ資料はいただいておりますので、質問事項に対して簡潔にお願いいたします。  まず建設省に対しまして、侵害処分につきまして法律の本数、六十本規定されている法律があるということでございました、そのうちから実績のある二つの法律を選んでお尋ねします。  まず建設業法、これにつきまして建設業者に対するいろいろの侵害処分を行うという規定が多々あるんですが、その中身は、指示あるいは営業停止あるいは許可の取り消しというような手続でございますが、この事前手続などの規定の存否を含めてその実態、実際にはどのような手続でそういった処分が行われているのかをお尋ねします。
  228. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) ただいまお話のありました建設業法上の処分でございますが、御指摘のとおり、二十八条及び二十九条によりまして、指示、営業停止あるいは許可の取り消し等の監督処分を行っているところでございます。こうした処分を行う場合には、法律の規定三十二条によりまして、建設業者に対して聴問を行い、必要がある場合には参考人からも意見を聞くということになっております。また、実際の処分はもちろん文書により、かつ理由を付記して行っております。  それから、最近のこうした処分の件数でございますが、平成元年度では指示処分が百四十三件、営業停止が三十四件、それから許可の取り消しが七件ということになっております。
  229. 高井和伸

    ○高井和伸君 これは突然の質問で困惑されるかもしれませんが、例えば手抜き工事で、凝固剤を手抜きしておりました熊谷組などに対する処分があるとすると、この条項の発動ということになるんでしょうか。
  230. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) 監督処分の事由の一つといたしまして、建設業者が請負契約に関し不誠実な行為を行ったときということがございますので、当該事案がこうしたことに当たる場合には、この処分の対象になるということでございます。
  231. 高井和伸

    ○高井和伸君 続きまして宅建築法、宅地建物取引業法について、この取引業者に対する侵害処分としてある種の指示あるいは業務の停止、それから免許の取り消し処分、こういった処分における事前手続を含めた法律上の手続の運用あるいは実態はどうなっているのか、お尋ねします。
  232. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) 宅建業法上でございますが、御承知のとおり第六十五条に指示及び業務の停止、それから六十六条に免許の取り消しといった監督処分の規定が設けられております。そして、この規定に基づきまして建設大臣または都道府県知事が処分を行おうとする場合におきましては、あらかじめ当該業者の出頭を求めまして、釈明及び証拠の提出の機会を与えるために、公開による聴問を行わなければいけないということになっております。もちろん、この規定に従いまして、大臣または知事は一週間前までに業者に通知をいたしましてこうした処分を行っているところでございます。また、実際には、当然文書により理由を付記した処分を行っております。  件数でございますが、平成元年度一年間で指示処分が七十二件、それから業務の停止が八百四十三件、免許の取り消しが四十九件という実態になっております。
  233. 高井和伸

    ○高井和伸君 続きまして、やはり行政手続の中で行政指導というものがどのように行われているのかということで関心を持っております。あらかじめどんな行政指導が行われたかということを聞いておりまして、そのうち二つ質問する予定でしたけれども、時間がなくなるようなので、一つだけに絞らせていただきます。  宅地難物取引業者の投機的土地取引の抑制に係る行政指導、これはどんな趣旨で、文書で行われたのかどうか、理由はどのように示されたのか、あるいはこういったものに従わないときの制裁などの有無、そういったことについての実態をお尋ねします。
  234. 鈴木政徳

    説明員鈴木政徳君) ただいま御指摘の宅地建物取引業者に対します投機的土地取引につきましての通達は、本年四月二十五日に建設省経済局長名で出したものでございます。  この趣旨は、地価高騰を初めといたします土地問題が大変深刻化している、また土地基本法成立いたしまして 適正な土地利用等に関します事業者の責務が規定されたという事態を踏まえまして、不動産業界が投機的土地取引など国民の信頼を損なうような行為を行うことのないように、業界に対して強く要請したものでございます。  この指導は、関係業界団体に対します局長通達の形で文書により行っており、その理由といいますものも、先ほど趣旨のところで申しましたようなことを通達の中に示しているところでございます。  これは業界に対する要請でございますので、当然罰則等そういうものは含まれているものではございません。
  235. 高井和伸

    ○高井和伸君 続きまして総務庁にお尋ねします。  やはり行政手続法の制定の関係ではある意味では主管官庁というふうな理解もしておるわけですが、私のきょうの視点は、情報公開制度との関係で総務庁はどのような態度をおとりになっているのかという点でございます。  それで、まず、ことしの九月に情報公開問題研究会というところが「情報公開制度に関する主要検討課題についての中間的整理」という文書を出されました。この文書の性質をどのように解理したらよろしいんでしょうか。
  236. 増島俊之

    説明員(増島俊之君) 九月の十日でございますが、情報公開問題研究会の中間的整理という形で公表いたしました。六年数カ月の時間をかけていろいろ検討しました結果を公表したものでございます。  これは、情報公開の制度化をする場合にどういう問題点があるのか、制度上どういう克服しなければならない課題があるのかということについて体系的に提示といいますか、取りまとめた、そういうものでございます。この種のいろいろ指摘されました、取り上げました事項について、今後さらに検討していかなければならない、そういう課題の提示であるということでございます。
  237. 高井和伸

    ○高井和伸君 この文書の性質はわかりましたけれども、そういった問題点あるいは克服すべき問題のテーマは何かというようなことでございますが、そうしますと、総務庁自身はこの情報公開制度に対してはどういうスタンスで立ち向かわれるんでしょうか。そのときにこの文書はどのようにドッキングするんでしょうか。
  238. 増島俊之

    説明員(増島俊之君) 行政情報の公開につきましては、公正で民主的な行政運営を実現し、行政に対する国民の信頼を確保するという観点から、これは積極的に取り組まなければならない課題というふうに考えております。このために、これまで政府におきましても、まず本省庁あるいは出先機関ごとに文書閲覧窓口というものを置きまして、そして閲覧文書目録というものを整備いたしまして、これは逐年拡大しておりますが、国民の皆様のそういう御要請にこたえる、そういう行政情報の公開に努めてきているわけでございます。  それで、情報公開法の制定ということ、この制度化の問題につきましては、いろいろな課題があるわけでございます。我が国の行政制度としましても、全く新たな制度でございます。これにつきましては、制度化します場合にいろいろな諸課題、先ほど申し上げましたような克服しなければならない諸課題があるわけでございますが、そういう諸課題について、先回公表いたしました研究会の報告といいますものはいろいろと取り上げているわけでございます。  私どもは、それをこれから検討いたします場合は貴重な参考資料として活用していく、そういうことでございます。
  239. 高井和伸

    ○高井和伸君 あと一点ですが、特に情報公開の必要性、前向きにやるという視点があるわけですが、根本的な情報公開の必要性というか情報公開制度目的をどのように総務庁はお考えになっているのか。この報告書によれば、「行政の監視」だとか「行政への参加」だとか「国民の権利利益の救済」だとか「行政情報の有効活用」というような視点が述べられているわけですが、基本的に、総務庁ないしは内閣、政府がどこに視点を置いて立ち向かおうとなさっているのか、言えれば言っていただきたいと思います。
  240. 増島俊之

    説明員(増島俊之君) 行政情報の公開ということにつきましては、もうこれはいわば臨調答申以来、あるいはその前にもさかのぼるのかもしれませんけれども、政府の方針として、基本的に行政情報の公開というものを進めていく、そういうこれはもう基本の方針であるというふうに考えております。そのために行政運営上なすべきこと、あるいはいろんな制度上なすべきこと、いろんな諸課題というものがあり、実現すべきことは実現をしていくということでございます。  また、さらに検討すべきことは検討していく、そういうことであるというふうに理解しております。
  241. 高井和伸

    ○高井和伸君 今公開の具体的な目的についてまでは述べられませんでしたけれども、複合的な目的だろうと私は一応理解しておきます。  それで、私がこの決算委員会を通じまして、情報公開に関連する行政手続のことにつきまして、各省庁の侵害処分などに絡みまして、文書閲覧規定があるかないかということをずっとやってきたんですが、皆無に近い状況でございます。それから、事前手続においてもほとんどないのが多くて、先ほどの建設業法ないしは宅建業法はかなりしっかりした規定になっているというか、運用がきっちり行われているように思うわけですね。  そういうことが一つあるわけですが、他方、先ほどの情報公開における中間整理のレポートによりますと、その中に、情報公開制度と行政手続制度の関係についてはまず行政手続制度整備を先行させることが適当であると考えられる、この文章だけ読むと、わりかし私は今までやってきた立場からいうとうなずけるわけなんですね。非常に情報公開が、こういった個人の権利義務にかかわる文書すら閲覧されていないのに、さらにそれを上回るようなレベルで情報公開が行われるということは大変難儀なことだろうというふうに一応想像するわけなんですね。  そこらのことで、行政手続制度の制定と情報公開制度の確立というんですか、それとの関連性というか牽連性というか、それについては総務庁はどのようにお考えでございますか。
  242. 増島俊之

    説明員(増島俊之君) 行政手続制度と情報公開制度との関係ということでございますが、先ほど公表いたしました研究会の中でのいろいろな議論も、そういう問題について取り上げております。  それぞれの情報公開制度と行政手続制度といいますものの目的というのは、やはりそれぞれ違っているというふうに考えておりますけれども、行政手続制度は、非常にある意味で大ざっぱな言い方になるかもしれませんが、基本的に、処分基準の公表から始まりまして、そうして審査拒否をしましたときの理由の明示、理由付記。それから侵害処分をいたします場合、侵害処分の対象になります方にとりましては非常に防御権の行使に資するそういう諸手続。それを見ますと、全体としては行政のやり方というものを非常にオープンにしていく、透明にしていく、そういういわば性質というものがあるというふうに考えております。  それともう一つは、もう少し直接的といいますか、侵害処分をいたしましたときに、今検討しております一つの課題の中に、利害関係人に対して侵害処分をしましたときに、ある一定の段階でこの処分の根拠となる、そういう文書の開示請求、そういうものを認めるのか認めないのかというようなことも議論の素材としてございます。これはかなり関連のあることではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、両者の関係といいますのはいろいろな意味であるわけでございますが、研究会でいろいろ議論の中では行政手続制度と情報公開制度との関係というその項目といいますか、そういうことの中で日本の土壌というものを考えますと、こういう行政手続というものを確立する、そういうことの方がやはりいろいろな意味で必要なのではないか、そういう議論がなされております。現実にどう対応するかということにつきましては、これはいろいろ全くこれから判断しなければならないことでございますが、一応研究会の議論ではそういう議論がなされておりまして、それは一つの非常に貴重な意見であるというふうな理解をいたしております。
  243. 高井和伸

    ○高井和伸君 私の行政手続の中の侵害処分の世界から申し上げますと、侵害処分をするときに、やはり最大の争点は事実認定なんだろうと思うんですよ、前提となる。その事実認定にかかわる行政側がどんな事実認定をしたか、その手のうちを示さずに処分するのはいけないということになって文書を公開、それで事後における救済のところで見せていただかなきゃとても間尺に合わない。これが本来的な行政手続における情報公開ないし文書閲覧の世界だろうと思うわけですね。それと同じように、情報公開というのはもっと広くなっちゃいますのでちょっと私これ以上議論を進められませんけれども、行政手続においては、やはり事実認定という問題の前提事実の確立、それの公開、こういうことになるんだろうと私は思っております。  そこで、あと一つ意見だけ述べさせていただきますが、この情報公開に関する中間整理も時間がかかり過ぎておりますし、それからまだいろいろ問題点ばかり挙げられるにしろ、基礎調査段階にすぎないというようなイメージが非常に強力にありまして、目指す方向は情報公開制度をつくるんだということは決まっているんだとこうおっしゃるわけですけれども、その歩みは非常にのろいと、このように私はイメージとして持っております。また、情報公開の勉強会、問題研究会の方々と行政手続の研究の方々が大分ダブっておられまして、このダブっておられるということにおいてもスピードが鈍る理由じゃなかろうかと思ったりもしております。  続きまして、国土庁にお尋ねします。  今のような、前後してまことに失礼でございましたけれども、侵害処分のうちどんな規定がありますかということで国土庁に御質問しましたところ、十一の侵害処分規定があるという法律を御提示いただきました。  そのうちの一つ、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律ということにおいての、十条の制限施設の新設または増設の許可の取り消しということについての手続の実態をお尋いたします。
  244. 斎藤衛

    説明員(斎藤衛君) 先生今おっしゃられました第十条でございますが、その前提といたしまて、この工業等制限法は首都圏内での人口の過度の集中等を防止しようと、こういうことでございますので、工場とか大学等の立地を一応制限しているわけでございますが、その際に、当該許可を受けました者が、正当の理由がないのに一年以内に工場等の建設の工事に着手しない場合、こういうときには知事等はその許可を取り消すことができる、と書いてございます。これが十条でございます。  それからもう一つ十一条をおっしゃられましたが、それはまたその四条で許可をとれとしておりますが、その規定に違反をいたしまして工場等が建設された場合でございます。そのときに、知事等は、その違反を是正するのに必要な限度で、当該工場等の使用制限を命ずることができる、こう書いてあるわけでございます。  そして手続でございますが、これらの処分をするに当たりましては、相当な期間を置いて予告というものをまず入れてございます。そして、公開による聴聞というものを経なければならない旨を規定しております。  このようにいたしまして、処分の適正さの確保というものは手続的に図られているものというふうに理解しております。
  245. 高井和伸

    ○高井和伸君 簡潔に質問しますので。  続いて、行政指導について国土庁で幾つか最近行われたものを御指示いただきました。そのうちの一つ、不動産鑑定評価基準について行政指導をなさったということでございますが、その具体的な内容についてお尋ねします。
  246. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 国土庁地価公示法第十二条に基づいて土地鑑定委員会というのが設置されております。この委員会は、不動産の鑑定評価に関する重要事項を調査審議する等のための機関でございまして、委員は、衆参両院の同意を得て国土庁長官が任命しております。この委員会から去る十月二十六日、不動産鑑定評価基準の改訂に関する答申が行われまして、この答申を受けて十一月一日付で事務次官から、不動産の鑑定評価を行う際にこの新しい不動産鑑定評価基準によって行っていただきたい、そういった旨の通知を日本不動産鑑定協会等に行っております。
  247. 高井和伸

    ○高井和伸君 最後の質問にさせていただきます。  建設省、それから総務庁国土庁長官、各大臣おられまして、聞いていていただいたと思いますけれども、大変深まらない議論で大臣に質問するのも失礼かと思います。しかしながら、総務庁長官だけはもう事の本質上いろいろおわかりだと思いますので、一点だけ質問させていただきます。  情報公開制度に対する政府の今後の取り組みの方針についてお尋ねします。その一点です。
  248. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 先ほど増島行政管理局長が申したとおりでございます。やはり公正な民主的な行政を行うためには情報公開が必要だと思うわけでございますが、その範囲をどのように持っていくか。あるいは司法裁判所との関係、大変難しい問題に、私どもが議論しておりましても、もう先生の方がお気づきだと思いますが、そこにぶつかるわけでございます。その隘路を克服して、どのように情報公開法を制定して、今おっしゃいました行政手続の全段階におきますところの処分の事実認定の根基等のものについて、果たしてこれをどのように情報公開ができるか等までも含めてこれはよほど詳しく、また法律的に勉強していたいと、こんなふうに考えております。
  249. 高井和伸

    ○高井和伸君 ありがとうございました。  終わります。
  250. 諫山博

    ○諫山博君 委員長、さっきの上田質問に対する建設大臣の答弁……
  251. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それは理事会でやってください。あるなら理事会でやってください。
  252. 諫山博

    ○諫山博君 いや、建設大臣の答弁の態度はよくないですよ。
  253. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ですから、それはもう理事会で扱うことにしましょう。だめです。  他に御発言もないようですから建設省総務庁北海道開発庁沖縄開発庁国土庁住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十二月五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会