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1990-11-20 第119回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十一月二十日(火曜日)    午前十一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      庄司  中君     梶原 敬義君      三重野栄子君     渕上 貞雄君  十一月十九日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     篠崎 年子君      沓脱タケ子君     吉岡 吉典君      高崎 裕子君     諫山  博君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 福田 宏一君                 二木 秀夫君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 篠崎 年子君                 西岡瑠璃子君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 吉岡 吉典君                 高井 和伸君                 三治 重信君    国務大臣        外 務 大 臣  中山 太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  石川 要三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        内閣法制局第一        部長       大森 政輔君        防衛庁長官官房        長        日吉  章君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁経理局長  村田 直昭君        防衛庁装備局長  関   收君        防衛施設庁長官  児玉 良雄君        防衛施設庁施設        部長       大原 重信君        外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君        外務大臣官房審        議官       川島  裕君        外務大臣官房審        議官       河村 武和君        外務大臣官房外        務参事官     畠中  篤君        外務大臣官房領        事移住部長    久米 邦貞君        外務省北米局長  松浦晃一郎君        外務省経済局長  林  貞行君        外務省条約局長  柳井 俊二君        会計検査院事務        総局第一局長   安部  彪君        会計検査院事務        総局第二局長   澤井  泰君    参考人        国際協力事業団        理事       中村 順一君        海外経済協力基        金理事      笹沼 充弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十二年度政府関係機関決算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十七日、三重野栄子君及び庄司中君が委員辞任され、その補欠として渕上貞雄君及び梶原敬義君が選任されました。  また、昨日、沓脱タケ子君、高崎裕子君及び渕上貞雄君が委員辞任され、その補欠として吉岡吉典君、諫山博君及び篠崎年子君が選任されました。     ─────────────
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は外務省及び防衛庁決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 防衛庁外務省に対する決算事項に入る前に、一、二お尋ねをしたいと思います。  最初外務大臣、サダム・フセイン大統領が十八日に発表いたしましたが、クリスマスから向こう三カ月間に人質全員を釈放するというようなメッセージが伝わっております。一方では、報道がありましたように、二十万ともあるいは二十五万という兵力をクウェートに増兵する、こういうようなことが伝えられておりますが、外務大臣としてはこのような事態をどのように受けとめておられるか、最初に。
  8. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員から御指摘のございました、イラクの昨日十八日の声明につきましては、三月までに平和的な環境が維持されればという条件がついております。ということを考えますと、イラク政府考え方というものはなおこれから慎重にこの事態の真実を把握する必要があるというふうに私自身は考えておりまして、なおこのサウジに展開する軍の増強、またイラク軍クウェートに対しての軍の増強というものは、中東の緊迫感を一層高める状況が続いておる。しかし日本政府としては、国連決議に沿いまして、経済制裁を強化しながら平和的な解決への努力を引き続きやらなければならない、このような考え方でおります。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、今の海部内閣外交姿勢を見ておりますと、まさに自主性のない、アメリカ追随、いわばアメリカの意に沿わないことは一切やらない。特に外務大臣よりも総理大臣姿勢に、私は率直に言ってトップに立つ人の姿勢に問題があると見ておるんですが、これは私だけじゃなくてもう国民大多数がそのように受けとめておると思うんです。私は、平和的にあるいは政治的に解決することが結果的に世界のためになるというのなら、もっと勇気を持って平和的な政治的な解決をするために一歩踏み込むべきではないか。そのような政治姿勢総理大臣以下我が内閣に対しては感じられない。その点について強く要請をし、外務大臣の決意を伺いたいと思います。
  10. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今日本政府の対応のしぶりというものについて御指摘がございましたが、政府としては、この地域世界経済に大きな影響を与える原油の七〇%を占めているという、この地域で戦端が開かれるということになりますと、それが与える国際社会への影響というものははかり知れないものがあるわけでありまして、そういう観点からいたしますと、この地域に膨大な原油輸入先を持っている日本としては、この地域の平和的な解決というものが日本のみならず国際社会に極めて大きな関係がある、こういう観点から、日本政府としては、平和的な手段によって、安保理決議に従ってイラク軍クウェートから即時撤退をする、人質全面解放ということにあくまでも努力をしていかなければならない。  今御指摘のように、もっと積極的にやるべきだというお話がございます。政府としては、委員の御指摘も十分踏まえて今後とも一層努力をいたしたいと考えております。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 国連平和協力法の問題について余り多く、また蒸し返す必要はないと思うんですが、結果的には沖縄の知事選でもあのような結果が出ました。国民はあの大騒動に対して一体何だったのかと、こういう点で総理大臣あるいはこの法律の担当者外務大臣に対する見方というのはやはり非常に鋭いものがあると思うんですね。  総理大臣おられませんが、外務大臣総理大臣はやっぱり何らかの形で責任国民の前に明らかにする必要があるだろうと思うんですね。責任とり方あるいは責任を明らかにする仕方というのはこれはいろいろあると思うんですが、私は解散選挙もいいだろうし、あるいは内閣総辞職もいいだろうし、あるいは外務大臣が辞表を出すのもいいだろうし、私はやっぱり最もいいのは解散選挙が一番いいだろう、このように考えているんです。  まあ責任とり方にはいろいろあると思うんですが、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  12. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 国連平和協力法について、政府としてはどのような責任とり方をするかというお尋ねでございました。  まず第一に、今回の国連平和協力法なるものが、国会で御審議お願いするという経過が実はございました。米ソの対決が終わって世界に本当に平和な社会がやってくるということを考えたときに、突如として起こったこのイラクの武力によるクウェート制圧というものに対して、国際社会が、この地域の平和の回復と、国際法にのっとってこの地域の平和の維持をやる、こういう観点から、各国国連決議実効性を確保するために協力をしてこの地域の平和を追求したわけでありますけれども日本政府として、国際社会貢献するあり方として、今日まで地域の紛争についてあるいは難民援助についていろいろと協力をしてまいりましたが、今日のような経済的に非常に力のある国家になりました日本にとりましては、国際社会お金だけを出してあとは汗をかくことはやらないということについて、国際社会は決して日本に好意的な見方をしていないという認識を持っておりまして、そのために我々としてはまず民間方々お願いをして、いかに輸送協力あるいは医療協力というようなものをやっていくかという努力をいたしましたが、結果的にはなかなか所期の期待のとおりな結果を得ることはできませんでした。そういう意味では政府はまことに力がない、こういう認識から、もし政府が何らかの国際協力に人的な貢献をすることができるとすればどのような組織政府としての行政権限を持っているかといえば、それは組織として訓練されたものは自衛隊でありあるいは海上保安庁でありあるいは警察であり消防であり自治体あるいは政府一般行政職の職員、こういうふうな範囲に限られてくる。医療協力等につきましても、民間のボランタリーの方々お願いをいたしましたが、なかなか喜んでおれが行こうと言って、整理に困るというようなたくさんのお申し出は現実的にございませんでした。  こういう中で、どのようにしたらいいのかといういろいろな議論が闘わされました。我々が人的貢献をする場合に、憲法の厳しい枠の中で協力をやっていくということが前提であります。そういう中ででき得る範囲考え方整理して法案として御審議願いましたが、残念ながら国会では審議未了ということになったわけであります。幸いなことに、国際貢献を何らかの形でしなければならないということにつきましては与党も含め野党の各党も同じ考え方をお持ちでございまして、法案の最終の処理の段階におきまして、自民党、公明党、民社党の間で国際協力に対する三党の覚書がつくられたわけでございまして、このような状況の中で新しい国際社会貢献する日本あり方について各党間で御協議をいただき、単に三党だけでなく各党ともお話し合いをいただいて、我々の国が国際社会でどのような形で貢献できるか御協議をいただくことがこれからの日本にとって極めて重要であると私は考えている次第でございます。  責任とり方につきましてもいろいろあろうかと思いますが、国際社会貢献をするあり方につきましては、単に中東問題だけではなしに、近づいてまいりましたカンボジア和平後の停戦の監視あるいは選挙監視あるいは地域の復旧問題、防疫問題等を含めまして、日本が相当協力しなければならない場面が近く登場してまいると考えております。  聞くところによりますと、各国政府の中には二千名の人間を出すとかいろんな意見がそろそろ出始めておりまして、我々の国がどのような形で協力をしていくのかということも、来るべき国会でも御議論をいただかなければならないと考えておりますが、さしあたり政府といたしましては、できるだけ早い時期に民間の、代表される方々にお集まりをいただきまして、日本国際貢献に対するあり方について御協議をいただき、御意見をちょうだいする機会をぜひつくりたい。このような形でせっかく御議論をいただいた国際的な日本協力あり方について、国民の御理解をいただきながら政府としては次の国会各党の御協議の上で法案をぜひ提出させていただきたい。そのような形でこの問題に国民の合意が得られるように努力をしていくことが必要であるという認識を持っております。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 平和協力法をめぐりまして、最終的にやっぱり我が国の憲法の建前から認められるか認められないかという点になったと思うんですね。すなわち、憲法への挑戦であり憲法なし崩し憲法違反、私はこういう国会審議を通じての究極的な結論が出たし、国民もそのように思っていると思うんですね。この点は異議ないと思うんですよ。  先ほど言われましたように、最後の三党の形も、やっぱり今までのは憲法に違反していると、そういうことが暗黙の了解の上に立って事は進んでいると思うんですね。私はそれは否定できないと思います。否定するならされても結構です。  憲法第九十九条は「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と、こうなっているんですよ。天皇陛下もこの前、即位の礼に私も行っておりましたが、憲法を尊重し守っていくと、こう宣言されているじゃないですか。それを総理大臣以下がどんどん崩していく。憲法第九十九条にはこう明記してある。だから私はこれはほおかぶりして通れるものじゃない、責任があると思うんですよ、総理大臣以下。もう御答弁要りませんから、外務大臣、閣議でもっと真剣にその責任とり方についてはやっぱりまじめに受けとめて、茶化したような話ではなくて本当にまじめに受けとめて私は対処してほしい、このように思います。  次に、私は九州に帰っておりましたら、十一月十七日の毎日新聞朝刊の一面に、在韓国日本大使館参事官が、韓国業者の二人の社長からだまし取られた一千百万円の金を福岡宗像市の五十四歳になる社長さんが何とかしてほしいと大使館に泣き込んでいったら、警察庁から出向している四十四歳の参事官が中に入っていただいて、そして向こうの検事世話になったと、それで二百万円返ってきたうちの約四十万円を謝礼に、あるいは自分が使った経費の一部に出してくれと、こういう要請をした記事が載りました。それが地元ではまたその十七日の夕刊に一面あるいは社会面記事で載りました。きょうもまた非常に大きな記事朝刊に載っております。それからきのうは朝日新聞記事にも出ておりますが、外務省、一体これはどういうことなのか。
  14. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) ただいま梶原先生お取り上げいただきました事案につきましては、私ども新聞を見て承知いたしたわけであります。目下、事実関係につきまして本人から事情を聴取している状況でございまして、調査中であることを御報告申し上げたいと思います。  したがいまして、現在の段階におきましては御説明を差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 では、もう少し詳しく言いましょう。  事件の発端は、八九年十月、福岡市においてジェトロ主催韓国業者との商談会があった。そのときに、福岡県の宗像市内社長Aさん五十四歳が韓国人会社社長の二人から、韓国ではナマコ正月には高く売れるから、フィリピン物正月輸入するという話があり、それぞれ千百万円ずつ出資をしようということでその社長が応じたけれども、実際はナマコ輸入をされなかった。したがって、金は返ってこない。そこでいろいろと人を介して相談をして、九〇年の一月に参事官本人が会っている。紹介をされた。  この辺までは事実ですかどうですか。
  16. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 繰り返しの御答弁で恐縮でございますが、私ども、その全体の事実関係についてきちんとした掌握をしなければならない立場にございます。  先生が今御指摘になりました諸事実につきまして、報道において私ども承知をいたしておるわけでございますが、冒頭において御報告申し上げましたとおり、鋭意調査中であるということで御理解を賜りたいと思います。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは続けますが、そして九〇年の三月に参事官韓国警察関係者と思われる人が同席のもとで、韓国人社長はそこで八月末に五百万円、十一月末に六百万円を返済する約束をいたしましたけれども、そのとおりにはなりませんでしたが、九月五日に二百万円を送金をした。あとはまだそのままになっている。  そして、この二百万円が戻ってきた直後にこの参事官から、先ほど言いましたように福岡社長国際電話があって、戻ってきたお金の二割でいいということで、十月の十九日に在韓日本大使館の一階のどこか小さな部屋で、きょうの新聞にも載っていますが、部屋の位置も載っておりますが、そこで二百万ウォン、約四十万円を渡しておるわけですね。参事官接待費用として、参事官が、これは四十万ウォンは自分がもらう、そして残りの百六十万ウォンは検事に渡すと、こう言っているんですね。  この辺のところは、大体こういう筋書きは聞いておりますか。事実かどうかは別として。
  18. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 事柄の性格上、きちんとした事情を聴取し、事実関係を確認しなくてはならない事項だと思っております。したがいまして、ただいま先生指摘になりました諸点も含めまして、ただいま調査中であるということを御報告申し上げたいと思います。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 新聞報道で、今言ったところは報道されている。公に出ている内容です。この出ているということは知っているんですか。
  20. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 私どもも、報道においてどういう書き方をされているかということについては、そのこと自体は承知をいたしておるわけでございますが、何分事柄の性質上、きちんと調査をしなくてはならない事項だと思っておりますので、その点御理解をいただきたいと思います。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 では、さらに事実関係だけ私の方から言っておきますから、それで言ったことが違うというなら調べて、後で早急にまたこの場でひとつ、決算委員会の場でも結構ですから述べてもらいたい。  十一月の十六日に、毎日新聞の方から参事官本人にインタビューをしておりますね。そして、金銭の授受や韓国検事に対する接待、そこら辺までは認めているということですね。  それから、十一月十七日の毎日新聞朝刊に出る前に新聞記者調査現地に行って参事官に会っていますから、その十六日の夜と十七日に参事官から、この宗像社長Aさんに約四十分間にわたって、あなたしゃべったな、非常に事実と、もう非常に言ったこととぴしゃっと調査が正確だ、毎日新聞記者の言っておることは非常に詳しい、こういう内容。あるいは涙声での電話というのはこれはテープにおさまっているらしいんだけれども、そういうことがあった。それから十七日の毎日新聞夕刊には、「他にも仲介 手がけた」と、その他たくさん邦人のトラブルに彼が手をかしていたという記事が載っているんですね。それは福岡社長に話していることですが、二億四千万円のトラブルで債権が返ってこない人については一割で済んだ、ある一流企業の役員がキーセン料亭の女性に手を出して、その手切れをするための仲介をした、これは一銭も要らなかったとか。要するに自分が手がけた金は五億七千万円ぐらいに上る、中に入ってあっせんの世話をしたのがそのくらいに上る、こういうような記事も十七日に出ております。  この辺については、そういうことはあなたは、事実かどうかは別としてそういう記事が載っていたということは御存じですか。
  22. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) ただいま先生最後お触れになった報道については、私は承知をいたしておりません。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 今私が言いましたのは、十一月十七日の毎日新聞の、これは西部本社で出している三面記事ですかね、三面記事。これは見ていませんか。
  24. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 先生がただいまの御質問の最後お触れになった報道については、私は個人的には承知をしていなかったので、そのように御答弁を申し上げました。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後というのはどの部分。
  26. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 福岡新聞でございますか、いろいろ多くの事柄があったというような新聞記事というふうに私は受けとめましたが、その点は私は読んでおりません。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 あなたは、三面のこんな大きな記事で出ているのを、これは十七日の夕刊ですが、それ、見ていないんですか。あなた、こんな重要な問題で、この記事の一番最初に書いている、それを見ていないんですか。
  28. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) まことに恐縮でございますが、地方版記事につきましては、私ども必ずしも全部入手をしているわけではございません。  私の申し上げたかったことは、ただいま鋭意調査中でございますので、その状況を見ながら判断しなければならない事柄というふうに考えるわけでございます。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、こういう重要な問題で、外務省信頼関係がどうなるかという問題で、しかも現地報道されている内容調査すると言いながら、しかも三面のこういう大きなトップで書いている記事の一番前に書いているやつを、知らないとは一体どういうことですか。外務大臣、知らないで済みますか。
  30. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 外交の衝に当たる者が、不信感国民から持たれるということは極めて遺憾なことでございまして、外務省としてはこれを十分、できるだけ速やかに調査をし、機会を見て発表しなければならないと考えております。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 くどいようですがね、事実関係を調べる調べると、こう言っておりますが、私は、事実関係を調べるのはそれでいいからそれは何も言っていませんよ。しかし、少なくとも今ここまで報道されていれば、そういう内容については承知しているかと、こう聞いているんです。あなたは、そういうのは見ていると、こう言っている。そして今言いましたように、私が最後に言ったような問題についてはそれは承知していないと。そういうことは常識上信頼できない。普通、大体そういうことが一連の記事がどんどん出ていれば、ファクスでどんどん外務省に来るはずです。知らないで済まされますか、外務大臣
  32. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) ただいま先生から御指摘になりましたことも、十分私どもとしては心にとめなければならないと思いますけれども、ともかく、この事実関係について、きちんとした調査本人との間で行わなければならないのが先決であろうかと思っております。この点については御理解を賜りたいと思います。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 では、きょうの毎日新聞朝刊の一面に関係記事が載っておりますが、それは読みましたか。
  34. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 本日の報道について、登庁の前に読んでおります。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは聞きますがね。この福岡宗像市のAという社長は、本人に現金を渡すときに、やはりこういうことが世の中にあるのかなということで半信半疑でもあり、その席でテープでちょっと録音しているんですね。その録音の中に、非常に重大なことを言っておりますね。  「テープには「私の方のあれは? 検事に渡すやつ」「はい、一緒に」「全部、一緒?」(「ガサガサ」と封筒を開ける音)「これで全部で二百ですか」「よろしくお願いいたします」「えーと、私(の取り分)はいくらだっけ」「四十万ウォンを」「すると向こうに百六十万ですか」――というやりとりが録音されている。」と。  これは読みましたか。
  36. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 読んでおります。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 これはどういうようなことでこのようなことが――テープがあるということですからね、これは。事実関係調査も何もないです。これは声紋の調査をすればその本人かどうかというのはすぐわかりますよね。  だから、そういう点でこれは私は事実を否定することはできないと思うんですが、どうですか。
  38. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 私も、もちろんこの一連の報道でなされている事実関係というものが本当に事実であるとすれば、まことに遺憾な状況であろうかと思っております。  しかしながら、いずれにいたしましてもきちんとした事情調査ということは本人との間で行わなければならないものと申し上げざるを得ませんので、私どもとしては、先ほど外務大臣から御答弁もございましたように、急いで今調査をしているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 そのように言われますと、あなたにも責任ができるわけですよね。私は、事実かどうかと、テープがあると、こう言っている。テープが出てきたらあなた責任とりますか。事実の調査をするという、いつまでにやりますか。
  40. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 事柄の実態を早くつかまなければ物事の究明ができないということについては、先生から御指摘のあるとおりであろうかと思っております。したがいまして、本件の調査につきましては可及的速やかにやらなければならないというのが私どもの考えでございますし、またそのように外務大臣からの指示もいただいているわけであります。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 一応私は、外務大臣もいろいろ言っても、テープはあるし、これは動かしがたいことだと思うんですよ。だから、早急に調査をすると。  そして、私はこの参事官だけが悪いんじゃないと思うんですね。これはジェトロが中に入り、あるいはKOTRAも入り、話をして、そういうようなことがやっぱり日常茶飯事に起きるような状態というのは、もっと上から、外務省大使館も知ってるはずですよ。外務省も知ってるはずですよ。そういうような状況というのは。既に過去があったんですから。  相談に行って、とどのつまり、みんな逃げているから警察庁から行った剛腕の参事官のところへ持っていって、彼がやむなくそういうことをしたんでしょう。そういうような状況がありながらやっぱり放置している、この皆さんの指導性というのは問われると思うんですよ。その点いかがですか。
  42. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) どういう経緯に基づきまして今回の報道のような事案になったかどうかということも含めて、私どもとしては十分関係者の意見を聴取しなければならないと、かように考えているわけでございます。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣に聞いているんです。
  44. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今官房長から申し上げましたように、できるだけ速やかにこの事態の究明をいたしまして、国民の皆様方が外交に関する不信感を持っていただかないように、できるだけ速やかにその結果について公表いたしたい、このように考えております。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 この際、要請しておきますが、当の福岡宗像市の社長さんやあるいは関係記事をとった人というのは、やっぱり身辺がこれから非常に厳しくなると思うんですね。その点については政府の方も、万が一にも問題が起きないように十分手を尽くしていただきたい、そのことを要請したいと思います。  次に、決算事項に具体的に入ります。  あした運輸省、郵政省の関係で、運輸省に特に集中して質問をしたいと思っておるんですが、九州で、この前の夏の豪雨で、大分と熊本の間の豊肥線がもう鉄橋は幾つか崩れ、線路はずたずたになり、来年の十月までは復旧の見込みが立たない。その資金の総額が約四十五億円ぐらい。その金がないんです。JR九州もないしあるいは国も出す金がない。一部法律改正をしようとしている。非常にそういう意味では、我が国は繁栄をしているように見えますが、現地の過疎に悩む町村の住民というのは非常に深刻なんですね。  だから、私はあした質問をその辺に集中してしますが、それにしても外務省のODAに絡む予算の使い方、あるいは防衛庁のやはり予算の使い方に対しては、私はどうももう非常に不経済で問題がある、このように見ております。  会計検査院に最初にお伺いしますが、会計検査の六十二年、六十三年の報告書をざっと読みました。全体に対する検査率というのは非常に微々たるものですね。その検査項目に対する検査数の率でいったらまあまあ何ぼか出てきます。しかし、金額に対する調査の面から見ますと、まだパーセントが下がる。ごく一部しか調査をしていない。そういう中から毎年毎年会計検査の指摘事項があり、そして改善措置の要求が出ておる、こういうような状況があります。会計検査院にお伺いしますが、検査の全体の実数とそれから防衛庁に関する調査の率、外務省の特にODAに関する調査の率等わかれば教えてください。
  46. 安部彪

    説明員(安部彪君) 会計検査院が平成元年度におきまして検査した実績でございますけれども、書面検査につきましては六十三年度分の計算書二十三万余冊、それから証拠書類六千八百六十二万枚について検査を実施しております。  それから先生お尋ねの実地検査施行率でございますけれども昭和六十三年十一月から平成元年十月までの間に検査対象機関につきまして全体の八・五%につきまして検査しておるところでございます。ただ、重要な箇所につきましては四一%、それからこれに準ずる箇所につきましては九・三%、それからそのほか非常に数が多いわけでございますけれども、駅とか特定郵便局等につきましては〇・九%というような施行率で実地検査を実施してきているところでございます。
  47. 澤井泰

    説明員(澤井泰君) 防衛庁の検査に限りますと、会計検査院の検査の対象箇所というのは六百六十カ所ございます。それにつきまして百八十六カ所の検査を実施しております。それから施行率といたしましては二八%ほどになります。  以上でございます。
  48. 梶原敬義

    梶原敬義君 防衛庁長官、これは伝えられる新聞報道ですから、なかなか会計検査院もここでは言いにくいと思うので私が代弁をしたいと思うんですが、  「防衛」めぐり攻防会計検査院VS防衛庁 こういう見出しですが、  検査院はF15Jのほか、一隻三、四百億円する海上自衛隊の最新鋭護衛艦の値打ちを示す国有財産台帳の記載価格の誤りも指摘した。   今となって防衛庁指摘を認めるが、検査が始まった今年三月ごろは、巧みな抵抗戦術で調査官を悩ませた。護衛艦が装備している高性能二〇ミリ機関砲などハイテク武器システムは「CIWS」、安保条約に基づいて米国海軍省からFMS(対外軍事販売)調達という方法で購入した。調査官は、FMSに関する米軍の運用規定などの資料提出を求めた。   ところが、防衛庁の回答は皮肉たっぷり。「こちらには控えがない。必要な時は、そのつど横須賀(米軍)へ出かけて見せてもらっている。英語のまま理解できますから」。検査院側は「場合によっては外交ルートを使って入手してもいいのだが」と迫った。一カ月たってやっと、防衛庁から英文の書類が届いた。 このような記事が載っているんですね。  まあいろいろ言い分はあると思いますが、私は会計検査院に対するこれまでの、私も決算委員会過去四年やりましたが、協力のやり方というのは非常に不十分だと考えておるんですが、防衛庁長官姿勢を伺いたいと思います。
  49. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) 率直に私の所見を申し上げたいと思いますが、実は、大臣に就任いたしましてから決算委員会として防衛庁関係決算の御審査をいただくのは初めてでございまして、今の梶原委員のいろいろと詳細にわたるコメントにつきましても、正直のところ私は内容には熟知しておりません。しかし、今御指摘のような、防衛庁がもし検査院に対してほかの省庁に比べて非常に非協力的といいますか、そういうことであるとするならば、これは私は大変遺憾とするところでありまして、直ちにこの点についてはよく内容を私自身も勉強したい、そしてまた善処したい、こういうことは申し上げたいと思いますが、残念ながら熟知をしておりませんので、ひとつ御意見として私もこれを受けとめさせていただきたい、かように思います。  なお、詳細についてもし防衛庁の方からの何か一つの意見というか、弁明というと言葉はよくありませんが、何か言い分があるとするならば、担当の方からよくまたその点については答弁させたいと思いますが、一応一般的な意見として、御質問として今承りましたので、そのような所見を申し上げたわけでございます。
  50. 梶原敬義

    梶原敬義君 会計検査院はもう御承知のように、これは憲法で決まっておるんですが、九十条「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。」、こういうふうになって独立しているんですよね。だからその点については、事実がどうこうと言うといろいろ出るから、もうきょうは要請にとめますが、これは防衛庁、特にODAの関係もそうなんですが、特に防衛庁外務省の特にODAに関する問題については非常に非協力的だと私はもう前々から指摘をしてきているんです。防衛庁長官から決意がありましたから、ぜひ来年は少しよくなるようにしていただきたいと思います。  そこで、防衛庁にお伺いしますが、時間がありませんから簡単にいきますと、一つは、会計検査院から是正改善の処置を要求されました艦船の国有財産台帳価格が非常に不正確だという指摘がございましたね。それは改善をしておりますが、一方では、国有財産台帳には百三十四億円も高い金額で載っており、一方、物品管理簿には取得時のレートで載っている、それは同じものが違った価格で出ている、こういうようなことが改善要求をされておるんですが、一体どうしてこういうことが起こったんですかね。
  51. 関收

    説明員(関收君) 先生指摘のとおり、六十二年度の決算報告におきまして海上自衛隊艦船の国有財産台帳価格についての是正改善の御要求をいただきました。  具体的には、艦船に搭載いたします機器につきましてその一部を、FMSと申しておりますが、フォーリン・ミリタリー・セールスということでアメリカから防衛庁が直接購入いたしまして造船メーカーに官給をいたして備えつけていただくというものがございます。その艦船搭載機器につきまして、先生御案内のとおり当然のことながらアメリカに対してはドルで支払いをいたすわけでございます。それを、船が完成いたしました場合に国有財産台帳に記入いたします際、円貨で記載するわけでございますが、そのときのドルと円との為替レート、どの時点のものをとるかということについて、今回のようなケースが起こったと考えております。と申しますのは、国有財産台帳につきましては従来からアメリカお金を払いましたときの為替レート、これで記入をいたしておったものが多いわけでございます。それに対して、実際には物を取得した時期、その時期の為替レートで記入するのが正しい、それで統一すべきであるという御指摘をいただいたわけでございます。先生御案内のとおり、この当時は為替レートの変動は非常に激しい時期でございました。プラザ合意の後の為替レートの変動が激しい時期でございました。  そういうことで、こういう御指摘をいただいたものと考えておりますが、いずれにいたしましても国有財産台帳には適正な円貨で記入することが適切であると考えておりまして、私どもも御指摘をいただきました後、直ちに是正措置を講じ、また今後こういうことが起きませんように関係のところには通達をいたしたところでございます。
  52. 梶原敬義

    梶原敬義君 この報告書を見ますと、「本件三艦以外の艦船についても同様の事態があると思料されるので、生産明細書等を再調査のうえ国有財産台帳価格を修正すべきものと認められる。」、このように書かれておりますが、それに対する対応と状況はどのようであったのかお尋ねします。
  53. 関收

    説明員(関收君) 本件御指摘をいただきましたのは、六十二年に就役または改造いたしました三隻についての御指摘をいただきました。同様な問題があり得るものとして、六十一年度に就役をいたしました三隻と、それから改造修理をいたしました一隻、四隻が同様な対象になり得るものと考えておりまして、私どもではこの六十二年の三隻を含めまして、合計七隻につきまして国有財産台帳価格の修正を行ったところでございます。  なお、それ以降につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、取得時の為替レートで統一的に記入をするということになっておりますので、自後はそのような問題は生じていないものと理解をいたしておるところでございます。
  54. 梶原敬義

    梶原敬義君 防衛庁の内部監査制度、これがどうして物品管理簿と価格が違っておるような問題を発見できなかったのか。会計検査院が行かなきゃわからないのか。防衛庁の内部監査制度というのは一体どうなっているんですか。
  55. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) お尋ね防衛庁の監査システムでございますけれども、これは「防衛庁の会計監査に関する訓令」という訓令がございまして、防衛庁としましては、これによりまして内部監査制度を確立しております。会計経理についての実態の把握、それからこれが適正かつ効率的に行われるような是正指導、もって業務の改善及び能率の増進に寄与することを目的としておりまして、毎年度計画的に内部監査を実施することとしています。  体制としましては、内部部局、あるいは防大、防医大、防研、それから陸海空自衛隊、調達実施本部、技術研究本部、統合幕僚会議等それぞれの機関の長がそれぞれの監査に関する事務を統括する制度になっております。さらに、この監査を実施するための内部機構としまして、それぞれの機関に、例えば内局でありますと監査課、陸海空幕僚監部にはそれぞれ会計課、監査課、監理課というような担当課がある。その他の機関につきましてもそれぞれ独自の監査の機構を持って監査の実施に当たっているということでございます。  また、何をやっておるかということでございますが、内部監査につきましては実地に行う実地監査と、書類について書面で行う書面監査とを併用しておりまして、各駐屯地、大体各駐屯地とお考えいただきたいと思うんですが、四百七十一の機構を監査対象機関としております。これについて原則として毎年度一回ということで監査をしておるということでございますが、全般的にはまだ行き渡っておりませんで、現在の実施状況では四百七十一のうち四百二十六について元年度は実施をしておる。九〇・四%ほどの機関について実施をしている状況でございます。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 結構なことですが、そこまでやっていてどうして、先ほど言いましたように、会計検査院が外から出ていってわかって、内部でわからなかったのか。
  57. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 今まさに御指摘のとおり、この件についてはわからなかった。結果、会計検査院から御指摘をいただいたわけですが、そのほか先ほど申しましたように、内部的に経理の実態を把握して、適正、効率的に行われるように種々の是正指導をしておるということはございます。それは未然防止ということでいろいろな事項について実施をしておるわけでございます。
  58. 梶原敬義

    梶原敬義君 未然防止のためにやるのか、あるいはやった結果是正をやるのか、どっちですか。
  59. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) これはなかなか難しいわけでございますけれども、主として未然防止のためにいろいろと、こう見て直していく、直していくと言うと、既にそこで発生しているようなイメージもあるわけですけれども、いろいろな教育の機会等も通じまして、できるだけ未然に防止する。しかし中には、そういう事態が発生しかかったものについて是正をするというようなこともあるわけでございます。
  60. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういう内部監査制度というのはおかしいんじゃないかね。まだ総括質問がありますから、防衛庁長官、その内部監査のやり方について、今私、そんな話ではもう納得できませんから、何が一体未然防止で、何をしているのか。そして、内部でやった監査結果というのは一体どこに報告してだれが見るのか。長官が見るのか。そういうものをひっくるめて出していただきたい。委員長要請します。
  61. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) まず、今の何が未然防止かという点でございますが、この点につきましては、申し上げますと、例えば、他省庁を含めて会計検査の報告があるというようなことは、我が身にとっても反省事項でございますから、そういうようなものがいろいろ出ております。会計検査院から送付されます「決算検査報告」、「会計検査のあらまし」というような資料もございます。大蔵省の主計局司計課で作成されて総理府会計課を経由して通知されてくる、「会計検査院の指摘事項の周知徹底と適正な予算執行について」というような文書もございます。そういうような資料をもとにして、そういうものを配付することによって然の防止を図っていくというようなことを常々心がけておるわけでございます。  それから、お尋ねの報告でございますが、監査の結果でございますが、これは先ほど申し上げました訓令によりまして、監査官は監査をしますとその報告書を一定の書式により幕僚長等いわゆる総括監理官に報告するわけでございます。そして、幕僚長等は前項の報告を受けたときは概要を四半期ごとに取りまとめ、防衛庁長官に報告するようになっておるわけでございます。
  62. 梶原敬義

    梶原敬義君 あなたの言う、要するに内部監査のやり方というのは、会計検査院で指摘されると困るから、ちょっと妙なことをやっていても、それを途中で是正して外に出ないようにするというやり方のようにもとれるんですよ、実際問題として。  それで、報告は長官まで行くということを聞きましたから、一体長官、その内部監査の機能がどれだけ果たされておるのか、その点について長官いかがでしょうか。
  63. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) 率直に申し上げますけれども、中の内部監査システムというものも、非常に広範囲にわたってあるわけでありまして、かなり細部の、いろんな行政の細部の技術的なこともあろうかと思います。そういうようなことで、今、この内容についてどういうふうな見解をということで御質問されましたが、率直に言って、なかなか私も今直ちに適切なお答えを申し上げるほどの知識はございません。  ただ一言、私は防衛庁長官という立場でこの監査というものについて意見を申し上げるならば、先ほど梶原委員指摘されたように、防衛庁が何か検査院に対して非常に非協力的といいますか、聖域のような御質問をされたわけでございますが、そういうことではこれは絶対あってはいけない、かようにまず認識を持つわけであります。  と同時に、私も本日ここに参ります前に、関係局長からこういった点についていろいろと私自身尋ねまして意見を求めたんです。中には、検査院も防衛庁内容は非常にしっかりしているという、むしろ評価もあったということも一部聞いております。そこいらは一方的な報告でありますから、私も全面的にはそれを信じているわけじゃありません。しかし、いずれにしましても、防衛庁があえてそういうふうな特別な何か聖域扱いされているというふうなことは絶対ないというふうに私は思うわけでありますが、そういうことであってはいけない、かように思いまして、特にそういうことのないように今後も注意をしていかなければいけない、かように思います。  それと同時に、決算というものは一つのやはり国民に対して税金のむだ遣いのないように、そしてまたさらにそれが次の予算に対する大きな指針となる、そういうものでなければいけない、かように私は思いますので、殊さらやはり行政の姿勢を正すという意味からいっても、そういう認識でこれからも行政の指導をしてまいりたい、かように思っております。
  64. 梶原敬義

    梶原敬義君 気持ちはわかりますが、そういう防衛庁の内部監査の制度のあり方の問題について、後日で結構ですから、この委員会に一応説明をしていただきたい。要望いたします。  それで、会計検査院からよくやっているというお褒めがあったような御答弁ですが、戦闘機用のエンジンの主燃料ポンプのオーバーホールが非効率という指摘をされているのは御承知だろうと思う。航空自衛隊が定期交換を定めているファントム15要撃戦闘機用の主燃料ポンプ四十四個を取り外し、オーバーホールをするために石播重工業に預けていましたが、その間に定期交換すべき時間が延長され、オーバーホールする必要がなくなったのに約八千九百万円の契約が余分に結ばれておった。これについて、これも内部監査をしっかりしておけばもっと解決はこんな、それこそ外へ出ないで済むような話なんで、これは一体いかがなものでしょうか。その大要についてお尋ねしたいと思います。
  65. 関收

    説明員(関收君) 先生指摘のとおり、本件につきましては、会計検査院の決算報告におきまして、「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」ということで記載されておるわけでございます。  具体的な事案の概要を御説明申し上げますと、要撃戦闘機F15用のエンジンに燃料を供給いたします主燃料ポンプでございます。これにつきましては、飛行時間が何時間たったらオーバーホールをするということで、オーバーホールをすることになっております。それからもう一つは、実は、運用中にいろいろ改善をしなければならないというようなことで、メーカー等から指摘のある場合がございます。これは、エンジニアリング・チェンジ・プロポーザルと申しまして、時々運用上でここをこう直すべきだという御指摘をいただいて直すということでございまして、エンジンからこの主燃料ポンプを取り外しまして手当てをいたします事項は、一つはオーバーホール、もう一つはこのECPに基づく改善という二点でございます。  本件につきましては、実は何時間飛行した後にオーバーホールをすべきかというオーバーホール時間につきまして、六十一年の一月から六十一年の十二月にかけて短期間の間に二度その延長が行われたわけでございます。それで、実は今御指摘の四十四の主燃料ポンプにつきましては、当時は六百八十時間たちますとオーバーホール及び先ほど申し上げましたECPに基づく手当てを行うということで外しておったわけでございます。実は、外してメーカーに預けている間にオーバーホールをする間隔が千二百五十時間までふえた。その結果、事後的に見ますと、その間必ずしもオーバーホールしなくてもよかったではないかということになり得るという御指摘をいただいたものでございます。  これにつきまして航空自衛隊におきましてはどう処置するか、いろいろ、米軍の運用はどうなっておるか、あるいはメーカーの御意見等々も聞きまして考慮いたしたわけでございますが、例えば米軍においてはそういう場合にはもうオーバーホールと修理をやってしまうといったような情報も得て、この取り外した四十四基についてはオーバーホールとそのECPに基づく手当てを行ったものと理解をいたしております。  しかしながら、オーバーホールの時間がそのような形で延長された以上、再びエンジンに搭載して使用することも可能ではないかという御指摘をいただきましたので、六十三年の十一月二十四日に通達を改正いたしまして、自後、取り外した後、オーバーホール時間等が延長されました場合については再度そのオーバーホール時間の達するまで使うということで、各関係機関に通達をいたしたところでございます。
  66. 梶原敬義

    梶原敬義君 もういろいろ言うことないですが、関局長はこの間まで通産省の大臣官房審議官。もう防衛庁でえらい長い昔のことを知っているような御答弁であれですが、これ、ずっと前にやられたことですからね。僕は、こういうことはいっぱいある、氷山の一角と見ているんです。会計検査もそんなに目が届くわけではないし、これから全体を引き締めていっていただきたい、このように思います。  次に、外務省外務大臣お尋ねします。  我が国の政府開発援助、ODAについてですが、昨年度は実績額で八十九・七億ドルとなり、七十六・六億ドルのアメリカを抜いて初めて世界一の援助国になりました。一方、先ほど言いましたように、我が国の中にも非常に過疎で悩んで、もう本当に苦しい地方がいっぱいある。選挙されている先生方もいっぱいおりますから、地方の厳しさというのは、道路もできない、非常に厳しいことは承知だろうと思うんですが、そういうものも一方ではある。一方では、先ほど言いましたように、血管が切れてなおつながらぬで泣いている地域もある。そして国の財政は百六十四兆円のさらに赤字を抱えている。そういう中でODAは、やっぱり一方ではどんどん国際社会の中でやらなければならない、そのことも承知をして認めていることでございますが、そういう中でやるODAというのは、本当に相手国にとって、相手の民衆にとってプラスにならなきゃ何のことかわからない。あるいはそのODAの一部が我が国の利権に結びついてくるとかあるいは相手国のまた利権に結びつくとかいうのはよく言われているし、本も出ておるし、我々も幾つか承知をしていることです。フィリピンのマルコスもそうなんです。あの事件もそうです。だから、そういう非常に厳しい中でのODAというのは本当にしっかりしていただかなきゃいけないと思うんですね。  外務大臣の、ODAに関する理念をお伺いをしたいと思います。
  67. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員からお尋ねのODAに対する理念でございますが、我々もかつて敗戦後の発展過程におきましては、海外の国際金融機関等からも借り入れがございました。そのような中で、私ども国民の自助努力によって今日の繁栄を築くことができたわけであります。経済大国になりました日本も、発展途上国のために経済協力を行っていかなければならない、こういう一つの国際的な使命が我々の国家にあることと考えております。  OECDのODAに対する平均数値はGNPに対して〇・三五でございますが、日本の場合は〇・三二と、まだこのOECDの平均値に達成をいたしておりません。しかし一方では、金額的には百億ドルに近い拠出をするというようなことになってまいりまして、国民の納めていただいた税金を発展途上国の経済発展あるいは生活環境の改善のために使うわけでありますから、その地域の発展またその国の繁栄のために十分効果が発揮できるようなことでなければ目的には合わないという考え方を私自身持っております。  国会でもいろいろとODAについての問題点が御指摘をいただいている昨今でございまして、私自身も外務省の事務方に対しまして、ODAの執行に当たっては相手国の問題点、あるいは相手国との十分な協議をやって、日本の善意が相手国に十分生かされるように努力をするべきであるということを就任以来強く申し伝え、みずからにも言い聞かせているのでございます。
  68. 梶原敬義

    梶原敬義君 具体的なそういう外務大臣の気迫を受けまして、ちょっと幾つか聞きますが、会計検査院が指摘をしております国際協力事業団、これは外務省にもお尋ねしたいと思うんですが、航空運賃の支払い方法が不経済との事項指摘されておるのは御承知のとおりだと思うんです。  これはどういうことかといいますと、開発途上国との間で研修員の受け入れや専門家の派遣をしているが、その国際運賃の支払いの際に、支払い方法について明確な基準が定められていなかったことからもくるんですが、当時の円高が反映されない日本国内での支払いを選択しており、六億八千五百万円が不経済という指摘をされておるんですね。多分日本航空だと思うんですが、よそから来る研修員を、日本で買う高い運賃計算で受け入れて、六億八千五百万円不経済、この点について外務大臣、先ほどの決意もありましたが、いかがでしょうか。
  69. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 御指摘の会計検査院報告におけます指摘につきまして、国際協力事業団では、会計検査院の指摘も踏まえまして本件航空運賃の支払いに関し、原則といたしまして航空券購入時に第三国で購入する方式と日本で購入する方式のうちの経済的な方式を採用するという措置を六十四年一月から施行し、同年四月から導入したと承知しております。  外務省といたしましては、JICAの研修事業等が効率的かつ支障なく実施されることが重要と考えておりますが、今後ともかかる観点に立ちまして、また国際航空運賃に関する制度、外国為替相場の動向等も考慮しつつ、主管官庁といたしまして指導を行ってまいりたいと存じます。
  70. 梶原敬義

    梶原敬義君 協力事業団はいかがですか。
  71. 中村順一

    参考人(中村順一君) ただいま外務省の畠中参事官から御説明申し上げましたように、私ども昭和六十四年一月から、日本PTA方式と第三国PTA方式のうち経済的な方式を選ぶということ、それから長期専門家の帰国に関する航空運賃につきましても、同じく現地支払い方式の導入という措置を講じております。  私どもODAの実施機関といたしまして、外国から、途上国からの研修員をできるだけ確実に、かつスムーズに受け入れたいというのが私ども国際協力事業団の趣旨でございまして、それにできるだけ見合う形で、かつ経済的な合理的な形でそういった措置を講じていくというふうに心がけております。
  72. 梶原敬義

    梶原敬義君 協力事業団、やっぱりここまで指摘をされておる、常識で考えて、私はもう民間の貧乏会社で育ち、今貧乏ですが、国のお金というものはやっぱり大事な国民お金ですから、ここは頭を働かして、どうすればこの六億何ぼかをプラスになるとかならぬとか、そういうことを考えないでやる神経が私はもうぴんとこない。それに対するあなたの答弁の態度が全然反省の色がない。そういうことですか。いいんですか、それで。
  73. 中村順一

    参考人(中村順一君) 私ども、国費を使いましてそれを最も効果的、効率的に使わせていただくということが私どもの最大の問題意識でございまして、そのような観点から今回そういう措置をとらせていただいたわけでございます。
  74. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、これは六十三年度の決算報告を見ておりましたら、おっと驚くようなものがやっぱりあるんですね。今六十二年度の話ですが、六十三年度のにしても。  それはどういうことかといいますと、フィリピン。これは報告書には出ておりませんが、新聞にフィリピンと国が出ておる。通勤輸送強化事業について、車両の調達、駅の新設を日本政府開発援助で行い、――これは円借款ですね、車両修理基地の建設を相手国が行うことになっていた。しかし、相手国の内貨予算不足により――以下この相手国の事情により、車両修理基地が建設されず、せっかく調達した車両六十五両のうちの四十二両が故障で使用できないというものであった。報告では、車両修理基地は「平成二年完成見込み」となっておるが、現在一体どうなっているのか。  まあそのこともお聞きをしたいと思うんですが、要するに、私もこの質問するときに担当者に来ていただいて、一体こういう海外援助が相手国の要請主義に基づいて、恐らく要請主義に基づいてやるんでしょうが、どこでこのフィージビリティー調査をし、そして政府が検討して、その結果閣議にかけて、交換公文を結んでいく。そしてお金を払う。だから私は、そういう一連の経過、これについて全部出してほしい。そして受注段階においては基金がこれは全部知っているのか。どの企業とどの企業がこの貨車の発注に対する競争入札に参加をして、どこが受注したのか、それで一つ当たりの金額は何ぼか、全部出してくれと、こう言っているんですが、それはなかなか相手国の関係で出せないとか出せるとか、じゃ、会計検査院はどこまで踏み込めるのかと言ったって、それもはっきりしない、こういうような状況。一体どうしてこういうことが起きるのか。  こういうことが起きることは私は氷山の一角だと思う。だから、初めからおしまいまで、少なくとも済んだやつぐらいについては資料を、相手国もそう済んだことに対しては問題はありはしないと思う。なぜ最初からおしまいまで出せないのか、その点についても疑問があるし、この件について一体どういうことなのか。そして、後に私が言いました、もう少し、我々がこの決算委員会でこういう問題に取り組むときに、どこに問題がどうあるのかというところまで、我々に伏せるのではなくて、我々にわかるように説明していただきたい。その二点について。
  75. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) お答えいたします。  今御指摘になりました個別のケースにつきましては、御指摘のありましたとおり、先方の負担すべき部分の負担が十分にできませんで、所期の目的をしばらくの間達成できない状況がございました。  私ども、援助を実施してまいりますときに、まず先方政府から要請を受けて、その要請の背景、フィージビリティー、その他を調査してまいりますが、そのときに私ども日本が実施しておりますODA援助の中で非常に重要な一つの方針は、要請されましたプロジェクトならプロジェクトの経費を全部丸抱えで日本側で実施するということではなくて、やはり援助と申しますのはその国の自助努力を助けると、外からその国ができないところを補って開発を助けるという方針を非常に強く持っております。したがいまして、事前調査をいたしまして、その後政府間で協議いたしますときにどこの部分について日本から援助をするか、どこの部分については相手国政府自分責任において負担をするかという話し合いを十分にいたします。その合意を踏まえました上で日本からの援助の内容、額を決定しております。  しかしながら、先方政府との話し合いの過程において我々もその時点……
  76. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、具体的な車両の問題だ。
  77. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 車両の問題について申し上げますと、その後先方の、相手国の実施機関に対しましてできるだけ当初の合意どおりに事業を進捗するようにということをいろいろなルートで申しまして、また追加的な協力を行うといったようなことをいたしまして、今お話のありました車両修理基地につきましては本年三月完了しております。そしてまた、車両についても現在修理が進められております。
  78. 梶原敬義

    梶原敬義君 車両の納入業者というのはどこですか。
  79. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 先ほどお話にありましたその援助の資料につきましては、できるだけ公表できるものについては公表する方針でしておりますけれども、あるものにつきましては、相手国政府との関係あるいは契約そのものは私契約でございますので、そういう観点からお出しできないものもございます。
  80. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がなくなりましたから、もうあんまり多くは質問できない。  問題は、円借款といえども、有償の貸付資金といっても、七年ないし十年据え置き、そして返済期間が二十五年から三十年、平均金利が八九年で二・六九%、今我が国の予算に係っている金利負担というのは約二〇%係っているんですね。やっぱり先ほど言いましたように、非常に貴重な援助です。この貨車が一体何ぼで日本でできて何ぼで向こうに行っているぐらいは、我々はそういうお金を二十五年から三十年で据え置くというのは、もう本当に、ほぼそのころ日本の物価も上がっていますから、ただ同然でやるような内容に近い、常識的に。だから、少なくとも有効に使われているかどうかというのは、その貨車が幾らでできて幾らで納入されているぐらいは我々に知らしてくださいよ。どうですか。
  81. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) お答えいたします。  先ほどお話のありました資金の性格、金利、非常にソフトな金利で途上国に協力しております。しかし、これはいわゆる途上国のそういう資金不足に対して日本の援助の一つの形態として、できるだけソフトなお金協力するという方針で実施しております。そのお金のソフトさと、それからそれを使いまして入札をいたしてまいります。そのときの管理とは少し別の次元の話かと思われますけれども、入札の管理につきましても、OECFの方できちっと公平な入札が行われるように管理をいたしております。
  82. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がないですから関連して言いますと、私、予算委員会でもやりましたが、八八年に実施された債務救済無償援助、バングラデシュに対する救命ボートの調達に係る問題も非常に疑惑があるんですね。  これはどういうことかといいますと、債務救済無償援助五十二億のうちの二十五億を割いて救命ボートの調達をバングラデシュが結果的にはやったんですが、これは日本の企業だけが入札に参加をした。それで、日本の企業の一番札が金商又一という商社、これは一部上場の会社ですが、二十三億円、二番札の丸紅が五十九億円、その他数社は大体丸紅と前後しているんですね。そして、結果的に受注したのは丸紅が二・六倍の高さで受注をしているんですね。私は、金商又一やあるいは船をつくっている相談があった会社に、どういうことかと言ったら、できないことはないと言うんです、これで。やれるという自信を持って参加をした。結果的にはそのようになった。したがって、これに対してダッカの日本大使館の伊藤哲朗という公使が疑問を持って、丸紅の契約直後、八九年十二月二十日付でバングラデシュ政府に契約の経緯を問いただす異例の書簡を出している。このことも質問をいたしました。こういうことが起こる。  これとさっき言いました貨車というのは直接関係ないけれども、実際に貴重なODA、国から出すお金が一体どういうことになっているのか、非常に信頼ができない。だから会計検査院に対しては、バングラデシュの問題については会計検査院の疋田第一局長は、「このバングラデシュに対します債務救済無償援助につきましては、当局から詳しく御説明を伺いまして十分に検討してまいりたいと考えております。」と、こう私に答弁しているんですよね。検査院、その後やりましたか。
  83. 安部彪

    説明員(安部彪君) バングラデシュに対します債務救済無償資金協力につきましては、種々国会等におきましても御議論がございましたので、私どもといたしましても、外務省から現在事情をお聞きするなどいたしまして検討を行っている段階でございます。
  84. 梶原敬義

    梶原敬義君 外務大臣、もう時間がないですから個別のやつは省略いたしますが、先ほどからずっと言っていますように、本当にやっている中身を一々全部洗ったらいろんな問題が出てくるでしょうね。だから、少なくともバングラデシュのあの問題については、外務省としては検査院に全面的に協力をするということを外務大臣お願いしたいんですが、よろしいですか。
  85. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) ただいまお話しのバングラデシュに対します債務救済無償につきましては、この無償援助は通常の二国間のプロジェクト援助と違う方式で供与をしております。  申し上げますと、本来……
  86. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、そのことはもうわかっているんだ、内容は。予算委員会でもやったから。
  87. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) はい。  そういうことで、この件につきましては即効性を有するものである必要もありますために、具体的な調達の実施につきましては、すべてバングラ政府のやり方、ルールに従って調達することになっております。本件につきましては、照会いたしましたところ、救命ボートの調達は、バングラ政府関係機関の審査を経て、同国政府部内の手続に基づいて実施されたという回答をいただいております。
  88. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことを今言っているんじゃないんですよ。外務大臣に、会計検査院が検査をすると言うから、検討してほしいと今言っているんですよ。
  89. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 会計検査院の検査に対しては、外務省として十分協力をいたす方針であります。
  90. 梶原敬義

    梶原敬義君 あと少し残りましたが、終わります。
  91. 千葉景子

    ○千葉景子君 きょうは時間も限られておりますので、三点ばかりについてお尋ねしたいというふうに思います。  まず、防衛施設庁にお尋ねをいたします。  本年、平成二年ですけれども、六月上旬ごろに当たろうかと思いますが、「防衛庁が提出した文書等の取扱いについて」という依頼文書を一定の地方自治体に対して出されていらっしゃると思いますが、それについては十分御存じのところだと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) ことし自治体に、防衛施設局から文書をお出ししております。
  93. 千葉景子

    ○千葉景子君 その文書をいつ、どのような自治体に出されていらっしゃいますか。
  94. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 本年の五月から十月にかけまして、約百の関係地方公共団体に対して出しているところでございます。
  95. 千葉景子

    ○千葉景子君 この百というのは、全国の自治体からいえば一部の数でございますけれども、どういう自治体ですか。その分類としてはどういうことになりましょうか。
  96. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 防衛庁が非常に関係のある、つまり防衛庁の施設が当該市町村にあるといったようなことで関係のあるところ、そしてなお関係市町村等、関係地方公共団体において公開条例を定めておるところというようなことを勘案した、百余について選定をしたところであります。
  97. 千葉景子

    ○千葉景子君 この文書の内容ですけれども、一部私の手元にありますもので読ませていただきます。   平素から、防衛行政に格別の御高配を賜り、感謝申し上げております。   既に御承知のことと思いますが、防衛庁が提出した文書等の情報公開条例上の取扱いについて、現在、一部地方公共団体との間で問題となっております。   つきましては、防衛庁が提出した文書等について情報公開の請求がなされた場合には、秘密その他公開されることが必ずしも適当でないと考えられる内容が含まれていることもありますので、お手数でありますが、当該文書等を提出した機関にその旨、御連絡いただくとともに、当該機関の意見を聴取する機会がもうけられますよう、よろしく御理解・御協力の程お願い申し上げます。 と、ほぼこういうような内容ではなかろうかというふうに思いますが、これはすべてこういう内容で各自治体に依頼をなさったというふうに理解してよろしいですか。
  98. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 今先生がお読みになりましたとおりでございます。
  99. 千葉景子

    ○千葉景子君 これはなぜこういう文書を出すことになったんでしょうか。
  100. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 平成元年の九月に、那覇市が那覇の防衛施設局が提出した資料につきまして公開決定をしたということがございまして、その段階で、十分に防衛庁意見を申し述べる機会もないままそういう形になったということを契機としてでございます。  これは、那覇市のいわゆる対潜戦作戦センターというものの建設に係る事案でございました。
  101. 千葉景子

    ○千葉景子君 自治体が公開条例に基づいてみずからの判断で文書を公開する、当たり前のことですわね。それに対して防衛庁、防衛施設庁が、独自の判断に対してあたかも一定の制約を加えるごときこういう文書を出されるというのは、大変問題のあるところだというふうに思いますけれども、どう御認識なさっていますか。
  102. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) ただいま委員お読みいただきましたように、私どもで御要請申し上げましたのは、あくまでも理解協力お願いしたということでございまして、圧力をかけたというような性質のものではございません。
  103. 千葉景子

    ○千葉景子君 圧力をかけたらこれはとんでもない話でございまして、こういう文書によってやはり何らか一定の、やらなければならないかなということを地方自治体に考えさせてしまうというところにこの文書の問題があるというふうに思うんですね。  その後、この文書に基づいて協議がなされたり、あるいは防衛施設庁などに対して具申がなされているというような事例はございますのですか。
  104. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) ただいままでのところございません。
  105. 千葉景子

    ○千葉景子君 それでは、例えば今後問題が起こったときに自治体から相談がなかったというようなことがあっても、別に防衛施設庁としては、それに対してその後特別な何か抗議を出すとか文句を言うとか、そういうことはないわけですね。
  106. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 防衛施設庁ないし防衛庁関係しております関係地方公共団体との関係は非常に良好にいっておりますので、こういう御要請を申し上げればその趣旨をお酌み取りいただくものと期待しておりまして、そのような事態は考えておりません。
  107. 千葉景子

    ○千葉景子君 今のお話によりますと、期待をしているということですから、当然その協議があってしかるべきだというふうに御認識をされているということになるんじゃないかというふうに思うんですね。  やっぱりこれについては、私は自治体の自主的な判断というものをきちっと尊重する意味でもこういう文書の取り扱いは、撤回をしていただくとか、その独自の判断を尊重する旨のきちっとした防衛施設庁としての考え方を示されるべきだというふうに思います。  先ほどの御答弁では、むしろ当然来るものだ、来ない方がおかしいというような御認識に受け取れますけれども、いかがでしょうか。
  108. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 私どもも一般行政官庁と同じように、国民理解を得ますためには、できる範囲において極力資料は国民に公開すべきであるという立場に立っておりまして、日ごろからやはり公刊物、資料、統計その他によって国民に知らしめるということに鋭意努力をしているわけでございます。  したがいまして、公開条例というようなことで各地方公共団体の判断におきましてそういうことを公開するということが私どもにとって支障がない限りにおいては全く問題がないわけでございますが、他方また、御理解いただけると思いますけれども、防衛という問題につきましては事柄の性質上国の安全を保持するという観点から、どうしてもそこには公開されてはかえって困るという部分も含まれていることがかなり多いわけでございます。  したがいまして、そういうようなこともございますので、事前に連絡ないし意見を申し述べる機会を与えてほしいという程度のことをお願いしたわけでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  109. 千葉景子

    ○千葉景子君 この公開の問題につきましては、今後また国の面でもいろいろな問題がこれから出てこようかというふうに思いますけれども、少なくともこういう文書を出されることによって自治体が大変制約を受けるようなことがないように、まず今回は要請をしておきたいというふうに思います。  さて、昭和六十二年度の決算審議ということでございますけれども、私の選挙区でございます神奈川県は、大変基地を多く抱えているところでもございます。昭和六十二年度からどころではなくてそれ以前からの問題でございますけれども、特に横須賀、そしてそれに伴って厚木基地におけるミッドウェー艦載機の夜間離着陸訓練、NLPと言われておりますけれども、これによる騒音被害というものが大変激化している。そしてその状況は現在でも継続をしているということでございます。  そしてこのミッドウェーの艦載機の訓練につきましては、昭和三十八年には午後十時以降に及ぶ訓練の実施というのはやらないというふうに、厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置という形で日米で約束をされているということもあります。しかし、この夜間の、午後十時以降に及ぶ訓練も頻繁に行われている。そして眠れない夜を過ごす住民も多いということでございますが、まずもってこの訓練の軽減あるいは実施の中止、少なくとも夜間十時以降などの訓練については厳格に日本側からも対処をするというような姿勢が必要だと思います。  まず、基本的にこの夜間訓練についてその周辺の住民の被害等を含めてどう認識をなさっていらっしゃいますか、お聞きしたいと思います。
  110. 松浦晃一郎

    説明員松浦晃一郎君) 先生の御指摘のように、厚木におきましては空母艦載機の夜間着陸訓練、いわゆるNLPをやらせていただきまして、地元の方々にいろいろ御迷惑をおかけしていることは非常に恐縮に存じておりますが、ぜひ御理解を賜りたいと思います点は、このような夜間着陸訓練は、艦載機のパイロットの練度の維持向上のため、さらに言えば日米安保体制の効果的運用のために必要なものであるという点でございます。この点に関しましてはぜひ御理解を賜りたいというように思います。  しかしながら、先生指摘のようにいろいろ地元の方に御迷惑をおかけしているわけで、これはできるだけそういう点は最小限にとどめたいというふうに従来から考えておりまして、この騒音の点に関しましても安全の面に関しましても、しかりでございます。そういう見地からアメリカ側と話し合いをしてきておりますが、今先生が具体的に御指摘になりました、夜十時までとなっているけれども時には十時を過ぎるではないかという御指摘がございますけれども、十時以降全面的に禁止するということではございませんで、必要な場合には十時以降の場合もやむを得ないということになっておりまして、基本的には十時までということになっておりますけれども十時以降も運用上の必要に応じ緊急と認められる場合は行い得るというのが日米間の合意でございますので、その点に関しましてもぜひ御理解を賜りたいと思います。  いずれにいたしましても、平成元年の一月に、これは先生承知と思いますが、日米間で今後の硫黄島の利用に関しまして基本的な了解に達しておりますので、今後さらにできるだけ地元の方々に御迷惑をかけないような形でこのNLPを実施し、ひいては日米安保体制の効果的な運用を図るという見地から検討を進めてまいりたいと思っております。
  111. 千葉景子

    ○千葉景子君 御理解をいただきたい御理解をいただきたいと言いますけれども、もう理解する限界を超えているというのが実情でございます。少なくとももう訓練すること自体に大変な大きな被害が出ている。それに輪をかけて、必要があるとはいいますけれども、考えてみてください、普通の日常の生活で、十時過ぎてから飛行機のすさまじい爆音で生活が脅かされるという、そこの下で暮らしていただければ一番わかると思いますけれども、少なくともそういうことについてはやはりできる限り厳格なこちらからの要求というものも出していただきたいというふうに思います。  今お話に出ましたように、こういうことの緩和を図るという意味も含めて硫黄島へのNLPの移転の問題が今進展をしているところでございます。まず訓練施設建設などの進捗状況というのがどうなっているのか。これは九一年に一部ということでしょうか。移転というような話もこれまで出ているようですけれども、具体的に今どのような状況に置かれているのか、御説明をいただきたいと思います。
  112. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 厚木基地周辺におきます艦載機の着陸訓練の騒音の緩和に資するために、私どもの計画では平成元年度からおよそ四年間で硫黄島に所要の施設を整備することで今事業を進めているところでございます。  それで、現在の工事の推捗状況は、平成元年度、昨年度から始めました工事で、灯火施設など滑走路関連施設、それから給油施設などの施設の整備を進めておりまして、これらの施設はことしの暮れから今年度末にかけて完成する見込みでおります。
  113. 千葉景子

    ○千葉景子君 当然、こちらで訓練をするということになりますと宿舎の問題等があろうかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  114. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 今申し上げました工事は平成元年度から始めているものでございますが、平成二年度の分といたしまして、これに引き続いて隊舎、宿舎、倉庫、その他必要な施設の整備をすることにしております。
  115. 千葉景子

    ○千葉景子君 ほぼこの計画で、宿舎等もある程度整備がされてNLPが移転をする、訓練の実施が硫黄島でなされるというのはいつごろからになるんでしょうか。
  116. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 最終的には施設全部が完成する平成四年度末以降になるかと思いますが、平成二年度末までの工事におきまして、可能であれば、施設の整備の進捗状況などを踏まえまして、訓練の時期、内容につきましては米側と調整をする考えでおります。
  117. 千葉景子

    ○千葉景子君 ぜひこれについては促進をしていただくようにお願いしたいんですけれども、しかしながら、現在でも厚木基地だけではもう足りなくて、例えば一部は三沢であるとか岩国であるとかへ行って訓練をして、また厚木に帰ってくるというような状況もございます。それから、硫黄島の施設がどのような形で整備をなされるのかわかりませんけれども、どの程度が硫黄島で訓練ができるのか。あるいは一部はやはりまた厚木で訓練をする部分が残ってしまうのか。その辺の計画といいますか、あるいは先の見通しというのが全く私どもにわからないんですけれども、そのあたりはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  118. 松浦晃一郎

    説明員松浦晃一郎君) 先生御質問の、硫黄島の施設が完成すればNLPがどの程度そちらに移されるのかという点でございますけれども先生承知のように、硫黄島は厚木の飛行場から約千二百キロメートルとかなり距離が離れておりますし、そういう関係上、時間、経費、指揮等の面でも米軍から見ますといろいろ問題があるということでございますが、私どもは、もう先ほど来御説明しておりますように、この厚木飛行場の騒音軽減のために暫定的に硫黄島でNLPを実施してほしいということで施設の完成を急いでいるわけですが、その結果、相当程度の訓練がそちらに移されるということにはなると思いますけれども、NLP全体が全面的に移転されるということにはならないであろうと考えております。
  119. 千葉景子

    ○千葉景子君 これからぜひその点については十分に米側とも協議をいただいて、今の状態が悪化しないように、できる限り生活状況が改善されるように考えていただきたいと思うんです。確かにかなり距離がありますので、そこからもし厚木の方に毎日戻ってくるとか、あるいは一定の期間訓練をしたら戻ってくるというようなことになりますと、むしろ夜間の遅い時間にまた騒音が発生をするというような可能性も残されているわけですし、あるいは宿舎の整備などとも関連いたしますけれども、半分あるいは一部しかそちらに訓練を持っていくことができないということも予想されますし、やはり地元住民にとっては少なくとも大幅な改善というものが求められているだろうというふうに思います。ぜひその点についてこれから詰めていただきたいと思います。  そしてさらに、きょうは細かいことはお聞きできませんけれども、これも九一年、ミッドウェーにかわりましてインディペンデンスの配備というものも計画をされているようでございます。これはミッドウェーよりもさらに艦載機の数も現在は多いというふうに言われておりますし、そういう意味ではこれからかなり新しい問題も発生してこようかというふうに思いますが、この配備の変更、インディペンデンスの配備などとも関連して厚木基地の爆音被害の軽減、どうでしょうか、どのように予測といいますか、考えられていらっしゃるでしょうか。
  120. 松浦晃一郎

    説明員松浦晃一郎君) 先生が今言及されましたミッドウェーからインディペンデンスへの交代でございますけれども、私どもは、九一年の夏にこの交代が行われる予定であると承知しております。  先生まさに御指摘のように、インディペンデンスの方がミッドウェーよりも規模が一回り上でございまして、それに伴いまして搭載の航空機も数が多いわけでございますが、このこと自体は私どもは、アメリカの空母インディペンデンスという一回り上の空母が来るということは、アメリカの対日コミットメントを継続していくという意味で、アジア・太平洋におけるアメリカの前方展開戦略の一環として評価すべきものと考えておりますけれども、その結果として、先生指摘のようにいろいろなこともまた考えられるわけでございまして、先ほど来私ども、さらに防衛施設庁からもいろいろ御答弁申し上げましたように、この厚木の地元住民の方への影響ができるだけ最小限になるように、そのことを念頭に置いて米側とも話をしていきたいと思います。  それから、これは防衛施設庁の方の担当でございますけれども、住宅の防音工事等についてもさらに考えてまいりたい、こういうことでぜひ地元の方々の御理解を賜りたいと考えております。
  121. 千葉景子

    ○千葉景子君 もう時間が来ますので、細かい点はまた別な機会お尋ねしたいというふうに思うんですけれども外務大臣、こういう問題を含めて今世界で軍縮の流れというものはかなり大きいんですけれども、横須賀基地などを見ておりますと、むしろ日本周辺というのはかなりまた横須賀寄港の艦船なども増加をしているというような様相も見えます。その中にはかなり核搭載が疑惑視されるようなものも大変多いんですね。これまで一貫して、事前協議がない、だから大丈夫なんだというお話ですけれども、もうそれだけでは足りない状況になっている。その点について、今後もさらにみずから核疑惑を取り除くという努力、事前協議がないというだけではなくて、そういう姿勢をぜひこれから考えていただきたいというふうに思いますが、最後に一点、それを外務大臣にお聞きして終わりにしたいと思います。
  122. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員お尋ねの点につきましては、この地域方々の核に対する御心配があることも、私どもは今までの国会質疑等を通じて御意見を承っておりますが、艦船によるものも含めまして、核兵器の持ち込みが行われる場合にはすべて事前協議の対象となっておりますし、また、核持ち込みにつきましての事前協議が行われた場合には、政府として常にこれを拒否する所存でございます。  また、米国政府は核持ち込み問題に対する我が国の立場及び関心を最高首脳レベルを含めて十分に理解をしておりますし、政府といたしましては、核持ち込みの事前協議が行われない以上は、米国による核持ち込みがないことについては何ら疑いを有しておりません。  また、事前協議は、米国が装備における重要な変更等の行動をとろうとする場合には、事前に協議を我が国に対して行わなければならないことを義務づけたものでございまして、このような性格上、米側から提起することが建前と考えておりまして、私どもとしては、この日本の非核三原則という国民のコンセンサスを踏まえて、従来どおりの方針を堅持していかなければならないと考えております。
  123. 千葉景子

    ○千葉景子君 終わります。
  124. 会田長栄

    ○会田長栄君 百十八国会のときに、外務委員会におきまして実は平成二年度の外務省の予算について説明がございました。その際、我が国を取り巻く国際環境は大変急激な変貌を遂げている云々、そして我が国外交に課せられた使命はまさに重大であります。その使命を果たすためには云々ということが申し述べられております。  その点でお聞きいたします。簡潔にお答えいただきたいんですが、その際重点事項として説明されたことは、どのような内容でございましたでしょうか。
  125. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 外務省の予算についてのお尋ねでございますので、私から簡潔に御報告をさせていただきたいと思います。  私どもといたしましては、この変化の激しい国際情勢の中にありまして、平和国家である我が国が繁栄と安全を確保するために適切な外交的な対応をしていかなければならない、かようにまず考えておるわけであります。その関連で私どもが最も重点事項としてお願いをしておりますことは、幾つかございますけれども、ただいまのこの目的に合致する上で一つ二つ申し上げますと、いわゆる定員の増強でございますし、また外交の機能強化ということで、物的な面で足腰の強化ということをいたしていかなければならないというような点をいわゆる外交機能強化の考え方の中でお願いをしている次第でございます。
  126. 会田長栄

    ○会田長栄君 とりわけ三点を重点要求として説明をした。それから情報機能、海外同胞、この問題をひとつ大事にしてやっていきたいという説明があった。  そこで、私は一つに限って質問いたしますが、この情報機能の問題というのは、実はイラククウェート侵略、その対応をめぐりまして外務省あり方日本政府あり方というのは実は後手後手に回ったのではないかという国民の声が実はあります。その後、日本外交の対応というものは、中東問題に関する限り、アメリカのブッシュ大統領の要請にこたえるのみで、日本独自の外交というものはまさしく展開できなかったのではないかという意見もある。  そこでお伺いいたします。私は、この外務省外交方針を非常に重要視して、国際協力というものを日本のこれからの進路にしていきたいという、こういう考え方があるときに、情報収集、その情報の把握、この体制というのは実は世界各国に比べて弱いのではないか、ここがもう外交を進めていく場合に最も重要ではないのかという一点に絞りまして質問するわけでありますが、先進資本主義諸国は一体、外務省の在外公館も含めまして、どのような体制で臨んでいるかということについてまずお伺いします。簡潔にお答え願います。
  127. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 情報収集の機能強化という点でございますが、私どもこの分野におきましては、人的な面とそれから物的な面と両方あろうかと思います。ただいま先生お尋ねの件は、端的に申し上げれば、人的な面で象徴的に比較され得るものかというふうに受けとめるわけでございます。  私どもの平成二年度末におきます定員の数は、予算委員会で御審議いただきましたけれども、四千三百二十八名という定員の数をいただいているわけであります。これを諸外国、すなわち私ども外交政策と価値観をともにしております米、英、仏、西ドイツ、イタリア、カナダ等と比較いたしますと、定員の数におきまして非常に少ないということが言えるわけであります。  毎年度の予算要求におきまして、非常に厳しい財政状況の中で、私ども外務省の定員に対しては格段の御配慮をいただいているということについてはこの席でも申し上げなきゃいけないというふうに思いますが、ただいま申し上げました四千三百二十八名という数は、私どもとしても諸外国との比較におきましては満足できるかという御質問であるとすれば、なお一層御理解と御支援をいただく必要があろうかと思いますし、また我々自身も、この与えられた定数の中で省員の質の改善等を試み、私ども外交の任務に欠落を生じないように対応をしているところであります。また、その努力を一層これからも続けてまいりたい、かように考えております。
  128. 会田長栄

    ○会田長栄君 実は、主要国外務省職員数というのは、今お答えがあったとおり、一番多いのはアメリカでありまして一万五千九百、日本は残念ながら主要国では一番少なくて四千三百二十八名。この四千三百二十八名の方々が日夜物すごい勤務をしているわけでありますから、余裕ございません。したがって、日本外交というものが非常に大事だとするなら、私は、外交官、職員含めまして、財政が厳しいなどということを言っているときではないのではないか、こう思います。とりわけ中東湾岸危機に関してブッシュ大統領から要請があれば、十億ドル、二十億ドル、三十億ドル、四十億ドル、それでも足りなければもっとそれにもこたえなければいけないという雰囲気になってきている。しかしその基本はここですからね。中曽根さん時代に行政改革ということが強く主張されて、今日もろもろの問題を生んでいます。しかし、政府外交方針の重点課題にきちっと位置づけられているなら、どうぞここのところをちゃんとこれから力を入れてやってほしい、こう思います。  それから、次の問題に移りますが、外務大臣はさきに盧泰愚韓国大統領が訪れた際、同行した韓国外務大臣と日韓外相会談を行いました。その際、朝鮮人強制連行者の名簿の作成の協力要請されて、外務大臣は約束いたしました。この調査結果はまとまりましたか。
  129. 川島裕

    説明員(川島裕君) お答え申し上げます。  御質問の件につきましては、五月の日韓外相会談におきまして韓国側から、終戦前までに徴用された方々の名簿の入手について協力要請があったわけでございます。これを受けまして、内閣の官房を中心に政府部内で協議を行いました結果、労働省が中心となって名簿の調査を開始した次第でございます。  これは労働省の方から承ったことでございますけれども、労働本省、都道府県、公共職業安定所等々いろいろなところに調査を行いまして、その結果八月までに十七種類、約八万人の名簿の存在が確認されましたもので、その目録を韓国側に引き渡した、こういうことでございます。
  130. 会田長栄

    ○会田長栄君 この際約束したのは外務大臣調査を指示したのは労働省職業安定局庶務課長、各地方自治体に対してですね。そして報告しましたと。実際に私も、同僚議員と福島県内におけるこの種の問題について調査をいたしました。今段ボールに二箱あります。強制にわたらないで調査するようにしなさいという言葉が、実はこの調査のときに非常に影響いたしました。したがって、まだまだ調査をすればもっと明確になると思うんです。  そこで、この問題は後の委員会でもう少し詳しくやりたいと思いますが、これからも調査を続ける気持ちがございますか。これで終わりですか。
  131. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 本件に関しましては、さきにも政府委員からお話しをいたしましたように、日韓外相会談で行いましたが、その後、特にこの問題を早急に調査し、韓国側に引き渡すものは引き渡すというのが私の基本的な考え方でございまして、先般、九月の国連総会における日韓外相会談におきましても、政府は逐次手元に集まった資料を韓国側に渡すことを申し上げておりまして、そういう経過に沿ってやっております。  今後とも、そのような資料がございましたら、私どもとしては日韓関係の一層の改善のためにも資料を韓国側に渡す方向で努力をいたしたいと考えております。
  132. 会田長栄

    ○会田長栄君 どうぞよろしくお願いいたします。とりわけ今地方自治体というのは、定員削減の問題があって非常に仕事の量もふえている中にあって、厳しい。だから、この調査は実際は政府が地方自治体に特別調査の予算枠を講じて誠意を持ってやれば、もっと進むであろうということを申し上げておきます。  それでは、次に移ります。これは防衛庁関係でございます。  昭和四十年来、福島県の西郷村白河布引山演習場砲座地区の買収問題が今日なお争われていると思います。  そこでお伺いいたしますが、過日、仙台の高等裁判所において裁判所の方から和解してはどうかという御意見が出ました。これを承知していますか。
  133. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  承知いたしております。
  134. 会田長栄

    ○会田長栄君 承知しておる。  それでは、とにかく原告の方はどこまでも争っていくことは真意ではありませんと。このいきさつ、経過を申し上げますと、何人かの国会議員の方も今日まで関連して質問したようでございますが、原告は、防衛庁の施設部長と会って話し合えば問題は解決するのではなかろうか、こういう考えを持って、聞いてほしい、こういうことでございます。  そこで、話し合ってみるという意思はございますか。
  135. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  本件は、もう先生既に御案内のとおりでございますが、昭和二十九年六月から昭和三十三年三月の間に、四回に分けまして当庁が売買契約を締結いたしまして買収いたしたものでございますが、十一年を経過した後に先方様から苦情のお申し出がございました。昭和四十四年から五十六年まで、当庁はこの元所有者の求めに応じましてお話し合いをいたしたと申しますか、御苦情を聞いてまいった次第でございます。しかしながら、御納得がいただけないままに昭和五十六年十二月に御本人高橋氏から訴訟が提起されまして、六十二年十二月、一審判決で原告の請求は棄却となり、国側の勝訴となったものでございます。  原告の方はこれを不服とされまして控訴されまして、現在、仙台高等裁判所におきまして審理中でございまして、かかる係争中の案件でもございまして、御質問に対する御答弁は控えさせていただきたいと存じます。
  136. 会田長栄

    ○会田長栄君 仙台の高等裁判所から和解したらどうかということがあって、被告の代理人の方が承知しましたと答えているから私は質問しているんですよ。承知したというのは断ることですか。
  137. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  仙台高等裁判所の方に原告高橋氏の方から、和解してはどうかというお話があったということは承知しているわけでございますが、私の方に、被告の国側に対して、和解に応じたらどうかというお話をちょうだいしたわけではございません。
  138. 会田長栄

    ○会田長栄君 これも後ほどの問題にいたしますが、結局原告が、和解をしたいのでひとつ私の気持ちを裁判長読んでいただきましたかと言ったら、読みましたと。そこで被告の代理人の方に、原告がそういう気持ちでございますからひとつ和解の話をしてみたらどうですかということを言って、代理人が承知しましたと、こう言っているわけでありますから、そういうふうに、愛される自衛隊を目指すならこんな争いは私はやっぱりやめるべきだと思うんですよ。国民に愛されてなおかつ発展を遂げようとしているんでしょう。にもかかわらず、土地を売る買うというのに、それが話し合いでまとまらないなんということは私はないと思うからこれを言っているんですよ。どうぞその点よろしくお願い申し上げます。  時間がありませんから、もう二つだけ外務大臣防衛庁長官に所見をお伺いいたします。  閣僚経験者である石原慎太郎氏が米国雑誌とのインタビューで、南京虐殺は中国のでっち上げだなどと発言をし、国際的な反日感情を生み出しています。そこで外務大臣は、この重大発言について確認しているかどうか。そして、日本は南京虐殺を含めて中国に対する心からのおわびをして、再び戦争をしない日中平和条約というものを結んだのでしょう、それに対して一体この発言は、元閣僚でありますからね、外務大臣として中国にどのようにお話しになったのかならないのか、お聞きしたい。  それからもう一つは、戦後四十五年にわたるヨーロッパの東西分断と対立に昨日終止符を打ちました。戦争のない一つの欧州を目指す全欧安保協力会議が開かれました。そして、不戦宣言に調印をし、画期的な軍縮となる欧州通常戦力条約を締結した歴史的な日がきのうであります。アジアにおける日本の使命はいよいよ重大でございます。日本も軍縮への決意を改めて固めて、アジアの平和のために貢献しなければならないと私は思いますが、このような情勢につきまして、外務大臣防衛庁長官の所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  139. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員指摘の、石原議員の発言につきまして、この問題をどう思うかという御質問でございますが、さきの戦争において、中国の方々に多大の被害を与え御迷惑をかけたことは、政府はかねて心から遺憾に存じ、この新しい日中関係をさらに発展させるためにも、日本はこれからさらに努力をしていかなければならないと実は考えております。石原議員がどのようなお考えであるか、まだ御本人に確認をいたしておりませんが、私は、中国の方々に嫌な思いを再びさせてはならないというふうに、外務大臣としては心からそのように考えております。  なお、昨日のヨーロッパの軍備削減の合意ができたという歴史的なことについて、アジアはどういうふうにこれからやっていくかというお話でございますが、アジアはヨーロッパと宗教の面でもあるいは地政学的にもあるいは文化的にも歴史的にも大変大きな相違がございますが、ヨーロッパの大きな変化は、アジアにも現在及びつつございます。朝鮮半島の新しい平和への努力、またカンボジアにおける四派の和平への努力、あるいは周辺国の協力といったようなものも踏まえまして、私ども日本政府といたしましては、アジアの平和をこれからつくり上げていく大きな責任を持った国家の一つだと考えております。  そのような観点から、さきに東京でタイ国の政府協力をしてカンボジア和平協議の場を用意いたしましたし、またこの九月の二十七日には、アメリカのベーカー長官、ソ連のシェワルナゼ外相、あるいはベトナムのグエン・コ・タク外相を初めASEAN各国の外相と、オーストラリア、カナダの外相を日本外務大臣とインドネシアの外務大臣とが共同で夕食にお招きをし、国交のない国も含めまして、アジアがこれからいかにあるべきかという夕食会を催させていただき、私どもはアジアについて平和、さらに地域紛争がおさまった後、アジア・太平洋の繁栄のために平和と軍備の問題についてこれからそれぞれがお互いに協議をする時代がやってまいったと、私はそのように考えております。
  140. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) 第一点の、石原衆議院議員の発言でございますが、私はその内容については全く存知しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  第二点につきましては、今外務大臣からもいろいろとお話があったとおりでございますが、今回のCFEのいわゆる合意につきましては、私は大変すばらしいことだということで高く評価をしているわけでございますが、これが要するにアジアにも波及され、今外務大臣がおっしゃったような、アジアにも大きな平和の波がますます押し寄せて、そして平和が構築されるようなことを心から祈念をしているわけでございます。
  141. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時二十五分まで休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ─────・─────    午後二時二十五分開会
  142. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十二年度決算外二件を議題とし、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 きょうは最初に、昨年春からずっと、ボートに乗りまして中国からやってまいりました、いわゆる偽装難民の問題でお伺いしたいと思っております。  昨年あれほど大騒ぎいたしましたけれども、ことしは鎮静化したというようなこともあって、話題にも上らなくなっておりますけれども、私も当然全員中国へ帰られたんだろうと思っておりまして、長崎県大村の収容所で聞きましたら、まだ千四十八人の方が残っていらっしゃる。あれから既に一年以上たっているのに、その人たちがそこに残されていることを聞いて、ある意味ではびっくりいたしました。  状況を少し教えていただきましたら、ことしの九月二十二日の第五次の二百五十八人、これで全部で千七百七十八人の方が帰られたということを聞いておるんですけれども、なぜこんなにおくれているのか、その理由をまず明らかにしていただきたいと思います。
  144. 河村武和

    説明員(河村武和君) お答えいたします。  いわゆる偽装難民として現在本邦に在留中の者は、今先生指摘ございましたとおり千四十八名おりますところ、これらの者につきましては我が国は、中国に居住していた方でございますので、我が国の法に違反して不法入国したということでございますから、もとの居住地である中国へ帰っていただくべきである、こういうことで、全員の引き取りを従来から中国側に求めてきております。  他方、中国側との間でこれらの人々の身元につきまして最終的な確認がなかなか得られないということもございまして、現在まですべての方の送還が実現していないという状況でございます。  今後とも中国側と協力しつつ、本件問題の円満な解決に努めたい、このように考えております。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 具体的に中国政府とどのような交渉をずっとなさっているか、教えてください。
  146. 河村武和

    説明員(河村武和君) これまで我が方がこれらの偽装難民の方と話をいたしまして作成した名簿を中国側に手交した上で、早期に身柄を引き取るように外交ルートを通じて事務レベルで折衝してきております。中国側は、我々の作成いたしました名簿に基づきまして身元の確認作業を行っているということでございます。  これに加えまして、大臣レベルにおきましても数次にわたり身柄引き取りについて申し入れを行ってきている次第でございます。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 数次というのは何回のことですか。
  148. 河村武和

    説明員(河村武和君) 大臣レベルで申し入れした回数は、昨年問題が非常に大きくなりました九月に二件ございます。さらに今年に入りまして、七月からでございますけれども、七月から月まで四回大臣レベルの申し入れを行ってきている、こういうことでございます。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、一年前にも決算委員会でこの問題を取り上げさせていただきました。そのとき大臣は、いろんな問題があるけれども、できる限り早くこの問題は解決したいというふうにおっしゃってもおりました。私、日本語はよくわからないのですけれども、できるだけ早くというのは、一年以上もかかるのができるだけ早くなのかなというような気持ちにも正直言ってなります。  例えば、先日の即位の礼のときに中国の呉学謙副総理がお見えになりましたけれども、そのときにもこういう話は出ましたか。
  150. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 呉学謙副総理との会談では、この問題を協議する時間的な余裕がございませんでした。ほかの日中問題をいろいろと話しておりましてこの問題触れませんでしたが、その前に、九月の国連総会におきまして、銭其探外相との間に、本件につきまして正式に引き取りをお願いいたしております。  ただ問題は、残っておられる方のほとんどが中国に元来住んでおられた方ではない、ベトナムから中国に移住された後こちらに来られたということで、いわゆる原籍地の問題がございまして、引き取りに一つの大きな障害となっていることは事実でございます。政府といたしましては、できるだけ速やかにこの方々の本国への帰還というものに今後とも努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣、たしか昨年この問題が起きたとき、もちろん東京の難民収容所にも行かれましたけれども、長崎までわざわざ足を運ばれてレセプションセンターものぞかれた。そこで生活している人たちの状況を見て、非常に大変だなということをたしかおっしゃった記憶があるんです。  私も先日大村まで足を運んでまいりました。千四十一人がおられます。あそこの入国収容所は、実際の建物の定員が二百三十人ちょっとなんですね。プレハブでどうにか対応しているけれども、しかも収容所ということなので、レセプションセンターのときは家族で一緒にいることができたんです。収容所になったらどうなっているか。男女は一緒に置くことはできないんです。家族ばらばらのままずっとそういうところに閉じ込められたままなんですよ。ごらんになったとおり、例えば運動しようにも全然運動場がないんですよね。卓球台が四台ある、四台で千人どうやって運動するのかなということを本当につくづく思いましたし、状況をちょっと聞きましたら、今収容所のいわゆる医師が何人かいらっしゃるのですけれども、そこへの相談が一日百件を超えるようなときもあるというふうにして、非常にいら立ちが募っている。  私が行ったときも、本当は中まで入ってそういう人たちの話を聞きたかった。ところが収容所の方からとめられまして、異常な興奮状態である、日本のそういういわゆる役職を持った人が来たら、とにかく早く帰してくれということで殺到してくる、危険ですのでやめてください、そう言われて、窓越しに話をしただけで終わりましたけれども、非常にそういう意味じゃ精神的にもいら立っていますし、そういう状態というのは人道的な意味で本当にこれは大変な問題だなと思ったんです。  だから、日本というのは、どちらかというと新しい問題が起きてくるとそっちの方に目が行ってしまって、どうしてもそういう問題が置き去りにされがちだというふうに感じるんですよね。そういう意味じゃ確かにいろんな難しい問題はあるにしても、強力な形で何とかこの問題、例えば来年中にはきちんとめどつけます、もしくは今年度末ぐらいにはどうにかやりたいというようなことが、いらっしゃる方たちにもわかれば随分違うと思うんですよね。それが何にも見通しがつかないというところに彼らが抱える最大の問題があるんじゃないかなと私は思うんです。  その辺は、確かに言われたように問題あるわけですけれども、何とかいつまでにというようなめどが立たないのかどうか、それをぜひここで一言お伺いしておきたいなと思うのです。
  152. 河村武和

    説明員(河村武和君) 先ほど大臣からも申しましたとおり、今、本件偽装難民については、できる限り速やかにこれらの人々を中国側に引き取っていただくべく従来から交渉をやってきたわけでございますけれども、この交渉をさらに進めるために、近々北京におきまして事務レベルの協議を行う。十一月の末ということを現在中国側と折衝中でございますけれども、北京に参りまして一層協議を促進して、何とか早期帰還のめどをつけたい、このように考えております。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひそういうめどをつけていただきたい。  残された人たちは本当に大変でございますし、そういう問題で暴動でも起きたら、また今度は付近の問題にもなってきますし、日中関係の問題になりますし、ぜひともその点を強力に推し進めていただいて、この十一月末の事務レベルの会議のときにある一定程度のめどはぜひつけていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。  次はODAの問題で、非常に個別的な問題でございますけれども、インドのナルマダ川開発問題、特に日本のODAに係るナルマダ関連のサルダル・サロバル・ダムの融資について、SSPの問題なんですけれども、何点か確認させていただきたいと思います。  このダムについては、現地の反対運動が非常に激しくて、また環境と開発のあり方、ODAの調査あり方というように、一つの警鐘を打ち鳴らした問題でもございました。その意味で、外務省が中心になった日本政府が追加融資を中止したということを聞きまして、これについてはやっぱり一つの転換点だなと、そういう意味じゃ非常に評価するところでもございます。  ただ、新聞報道を見ておりましたら、中止であってみたり、中断であってみたり、停止であってみたり、言葉の使い方がさまざまでございまして、一体どういう状況になったのかというのがはっきりしないというところもございます。ですから、どういう状況になって今この状況を迎えているのか。例えば、インド政府から追加融資の要請があったけれども日本政府としてはこの追加融資については断ったというふうな状況なのか、これでもう一切今後やらないということなのか、それとも、今非常に事態が進行しいろんな問題が起きているので一たん中止するというふうに決められたのか、それをはっきりさせていただきたいと思います。
  154. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) お答えいたします。  本件計画に係ります住民の移転問題及び環境問題につきましては、インド政府より種々の対応、対策が講じられるべきことになっておりますが、ダム建設の実施をめぐりまして、先生今御指摘のとおり、現地で住民による反対運動が起こっていることは承知しております。  我が国といたしましても、本件計画の影響の大きさ等にかんがみまして、事実関係の把握も含めまして、今後慎重に対応することが必要であると考えております。
  155. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、追加融資の要請はインド政府からあったんですか。
  156. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) インド側におきまして、本件追加融資に対する期待があることは承知しております。しかし現時点では、インド側からは来年度の円借款に向けての要請はまだなされておりません。
  157. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、外務省認識としては、このナルマダ川の問題については、現在融資を中止している状況だとは判断していないわけですか。
  158. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) ただいま申し上げましたとおり、今後の検討に当たりましては、本件計画の影響の大きさにかんがみまして、現地状況その他を十分調査して慎重に対応を決めてまいる考えでございます。
  159. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、現状としては、インド政府からこの問題について具体的要請もあっていない、ただ別に融資どうのこうのという話までは至っていないというふうに外務省として判断しているということですか。
  160. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 今申し上げましたとおり、今融資を最終的に決めるという段階にはまだ至っておりません。
  161. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、これからそういう融資が起きてくるかもしれない、そういう融資の問題が起きた場合、日本政府としては事実関係をきちんと確認した上で慎重に対応をしたいということでよろしいんですか。
  162. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 本件実施につきましては、環境問題あるいは住民移転問題につきまして、現地の反対住民とインド政府との間の話し合いに大きな前進が見られ、解決に向けての十分合理的な見通しが得られることが重要だと考えております。
  163. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その重要だというのは、やっぱりそういうものを満たさない限り日本としては追加融資はできないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  164. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) その点も踏まえまして、今慎重に事実関係現地状況調査しております。
  165. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 調査しているというのは、実際に現地外務省の方から人をやられて、今何か現地調査されているということでしょうか。
  166. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 現在のところは、現地大使館あるいはその関係のオフィス等の情報収集をしております。
  167. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、現地住民に今どういう反対運動、動きがあるのかというのは、大使館を通じてだけは話を聞いているけれども、実際にどのようなことが起こっているかは、外務省としては掌握されていないということですか。
  168. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 私が申し上げましたのは、住民運動、反対運動が大変厳しい状況になっているということで、その進展といいますか、解決の方向を見定めるべく情報収集はしておりますけれども、私どもの判断では、今のところは余り大きな進展が見られないと判断しております。
  169. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 はっきりした情報じゃないですけれども、私が聞いていたのは、日本政府に一応二百五十億円の追加融資要請というのがインド政府からあった。額の問題は要請主義の問題ですから言えないにしても、一応要請があったけれども、この前の六月の会議がございましたね、そのとき日本政府としてはそれについては現状としては追加融資はできないというふうに判断された。その後もやはり大きなプロジェクトでございますから、要請についてはインド政府は強い希望がある、そういうふうに私は事実関係を漏れ伝え聞いておったんですけれども、そのことは間違いでしょうか。
  170. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 先方の要請が正式に出てまいります前に、いろいろ事務的な折衝がございます。その段階で私どもにインド側の、先ほど御説明しましたような強い期待というものは私ども承知はしておりますけれども、正式な要請の形ではまだ出ておりません。
  171. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 正式な要請として出ていないということは、先ほどの私が言ったことは違うということでよろしいわけですね。とにかくインド政府から追加融資の要請は、今のところ正式な形では出ていないということでございますね。
  172. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) そう御理解いただいて結構だと思います。
  173. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私の判断といたしましては、外務省としては、そういう正式要請が出る前にこの問題については一つの結論を出されて、現在現地が非常に混乱もしておりますし、環境の問題もございますし、そういったことを外務省としては検討した上で、環境面それから住民の移住ということをある意味では非常に念頭に置いてこの問題に対応された、それはすばらしいことだなと私は思っております。  ただ、形として今のところ正式に出ていないとおっしゃいましたので、そうすると、先ほどもちょっとお話しになりましたけれども、もし最終的に強い要請があり、正式な要請が出たとしても、そういう問題を重視なさっているならば、もし追加融資を決定するような場合は、現地住民、特に利害関係があります現地の住民の方々ですね、こういう方たちの意見をきちんと聞いた上で判断をしよう、そういう決意を外務省としてはなさっているというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  174. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 現地住民の間の意見の調整、利害の対立の調整につきましては、一義的にはインド政府側できちんと調整をしてもらうべき性質の問題だとは思いますけれども、仮に将来インド政府から正式な要請があった場合に、我々がそれを受けられるかどうかということを判断しますときには、先ほど申し上げましたように、その問題についての大きな前進が見られ、解決に向けての十分合理的な見通しが得られるまでは、なかなかそういう要請を受けるということは難しいのではないかと思っております。
  175. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 非常にそれは的確な判断だと思うんですけれども、ぜひそういう際に日本政府としても、外交上の問題があるんでしょうけれども現地の声を直接日本政府が、ある意味じゃそれは第三者に委託するかもしれませんけれども調査団としてきちんと聞くという作業がこの問題では大事じゃないかなと思うんですよ。それができなかったからこそ融資を始めて結局は今のような状況を迎えていると私は思うんです。  外務省として、この問題の再開というか、もし正式に要請があった場合には、最終決断を下す前に政府として独自に現地の人の声を聞くという調査団なり、やり方はいろいろあるでしょうけれども、それをぜひやっていただきたいと思うんですけれども、このことについて御見解を伺いたいと思います。
  176. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 本件につきましては、いろいろこれまでの経緯もございますし、最終的判断をいたします前には現地にも調査団を派遣いたしましていろいろな側面から調査、また実態を把握する必要があると思います。  ただ先ほど申し上げましたように、現地でのいろいろな意見がございます。その意見の調整は第一義的にはインド政府が行うべきものと考えております。
  177. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私もそのとおりだと思うんです。第一義的にはインド政府です。ただ、最終的な形の上で日本政府として行く気はありませんかと聞いているんですけれども、このことについてはどうですか。
  178. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 私、先ほど申し上げましたように、現地に参りましたミッションはいろいろな側面からやはりその全体のバランスを考えながら判断をしなければいけないとは思いますけれども現地意見と申しましても、こういう問題につきましてはいろいろな意見がございます。それを日本政府がみずから調整するというのはいかがなものかと思われますので、最終的な調整は先ほど申し上げましたようにインド政府がきちっと取り仕切って、その辺の解決のめどが立つという段階で我々としては要請を考えたい、そう思っております。
  179. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣、今こうやってこの問題を論議したんですけれども、予算委員会でも随分このナラマダの問題が出ましたし、私はもうちょっと外務省に踏み込んで答えていただきたかった部分もあるんですけれども、この問題の最大の問題としてやっぱりODAを援助するときの事前調査はどうあるべきかという問題が非常に浮き彫りにされたと思うんです。  環境についてのガイドラインも外務省はつくられたり、いろんな努力をなさっていることも事実なんですけれども、どうしても相手国政府ということがやっぱり一番大きな問題ですから、例えばガイドラインの問題にしても、一応投げる先は相手国政府ですよね、そこに書いてもらわなくちゃいけない。ところが、なかなか現地の声が届いてこないような部分があるのも事実なんですよね。これをどう酌み取っていくかが本当に役に立つ援助かどうかという決め手にもなると思うんです。  これは私の意見ですけれども大臣御自身は、このナルマダの問題を通しながら、方向性としては今非常に慎重に対応していこうということでやっていらっしゃいますけれども、何でこういう事態になったのか。実際に一回は融資をしているわけですから、二十八億。日本としては、それがどうしてこんなことになってしまったのか。どこに問題があったと大臣御自身は御認識になるのか。また、このナルマダの問題を特殊な例外と見ていらっしゃるのか。それとも一つの教訓として今後ODAの運営を進めるに当たってどういうふうにされていこうと思われるか。それをぜひお伺いしたいと思うんです。
  180. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 本件につきましては、世銀との協調融資ということで、本件実施に当たりましてはフィージビリティースタディーで調査団も出しておりまして、世銀の方もこの企画について同意をしておったという経過がございます。しかし、実際に現地では、住民の移転等の問題を踏まえまして住民の反対運動、これが大変盛んになってきているという段階で、日本政府としては、この国会の御審議を通じて日本政府のこの問題に対する考え方を改めて明らかにさせていただいたようなことでございます。  私は就任以来、ODAというものは国民の貴重な税金を使ってやる国際協力であるという観点から、慎重に相手国のいわゆるプロジェクトについての調査を行うことを初め、事後の評価、このようなものをきちっとやって政府国民の信頼を得るような形でODAを実施し、相手国からも喜ばれ歓迎されるということでなければならないという基本的な考え方を持っております。
  181. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つは、事後評価の問題をおっしゃいましたけれども、事前調査の問題なんです。  大臣、今これは世銀との協調融資だったと。このナルマダの問題のときにいつも出てくるのも、要するに世銀の方が融資額は大きいわけですから、そうすると、世銀が調査をきちんとした、日本政府としてはそれを信用するしかないじゃないか、それに基づいてやったんだと。ところが、この前の世銀の総会ですか、あのときに世銀総会の中でも、環境の問題について事前調査で世銀として十分に対応し切れなかった面があったというようなことを私この前新聞報道で読みましたけれども、そういった意味では、事前調査をどうやればいいかというのは、世銀自体も非常に今反省期に来て、直さなくてはいけないという認識に立っている。それならば、やはり我が国としても、これから本当に喜ばれるODAをやっていくためにも、事前にどれだけきちんとしたものができるか、環境の問題、先住民の問題を含めてできるかというのが最大のポイントになると思います。  私は、だからといって即座に世銀ほど調査体制を整えろというのは、今の倍増どころではないですわな、物すごい人数が必要だというのもよく理解していますけれども、例えば民間のNGOの皆さんもいらっしゃる、またこういうことを研究していらっしゃる民間方々もいらっしゃる、そういう力も取り入れて、何とかこの調査体制、これを充実する時期に来ているというのがこの問題が指摘した一番大きな問題だと思っております。  そういう意味では、これを契機にぜひODAに関する調査体制、これについては何としても充実してもらわなければまた同じ轍を踏むと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  182. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 御指摘のとおりでございまして、私は実は今年の国連総会における日本政府の代表演説で、日本国際協力の舞台で世界一のODA協力国になってきた、しかし国会で御審議をいただく過程で、いろいろと問題点の御指摘を耳にすることが多くなってきている。こういうことについて国連の場で、日本政府としては、やっぱり大きな国際社会がいわゆる被援助国の主権侵害にならないような形で評価するシステムあるいはフィージビリティースタディーをやるというようなことを今後検討していただきたいという旨の、趣旨を込めた演説を今年行ってきたところでございまして、私は、御指摘のとおり極めてこれから慎重にやらなければならない問題であると認識をいたしております。
  183. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 せっかく経済協力基金の方が来られていますので、先ほども何も発言がなかったみたいですから、私は一言聞いておきます。  インドネシアのコタバンジャンダムの問題です。新聞にも報道されましたけれども。八二年に十一億円かけて事前調査をやっていらっしゃいますね。その後、ことしの九月前半に現地に再調査に行かれたということでございましたけれども、何のために行って、どういう結果だったのか、簡潔にひとつお願いいたします。
  184. 笹沼充弘

    参考人(笹沼充弘君) お答え申し上げます。  先ほど御指摘にありました事前調査でございますが、これは一九八五年二月に借款協定を結びましたエンジニアリングサービス借款のもとでの詳細設計、これを指しておられることと思います。ここでは今申し上げました詳細設計のほかに、入札に係る書類の作成、それにあわせまして環境面では、本借款によりましてインドネシアのリアウ大学に委託をいたしまして、生態系、住民移転等の予想される環境への影響調査がなされております。しかし、この調査をいたしましたのはインドネシア政府ということになります。我々のいたしましたのは、この件に関しましては調査費の供与というのが我々の立場でございます。  それから、ことしの三月に我々が調査団を出しましたのは、実はこの詳細設計が終わりまして環境調査も終わったわけですから、それをもとにしまして先方から円借款の要請が出てまいりました。それに対して円借款をつけることが妥当かどうか、そのための調査という形で、うちの職員を派遣しております。
  185. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 外務大臣、お聞きになったように、これもやっぱり最初調査するときは相手国政府お金を出すだけなんですよね。本当にそういう意味では、何か悔しい気もするんです。  ただ、今回の再調査で私聞いておりますのは、ここがスマトラゾウの住んでいる地域である、しかも仏教遺跡であるということで、その点が最近になって明らかになって、きちんと調査する必要があるというので行かれたというふうに聞いているんですけれども、違いますか。
  186. 笹沼充弘

    参考人(笹沼充弘君) 御指摘のとおりでございます。
  187. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ただ、それでまた私が腑に落ちないのは何かというと、せっかく行かれたというのに、確かに象の調査はしてきた。遺跡の調査もしてきた。ただ、移転する住民もいるわけですよ。一万人超えますよね、十二分に。もっと多くの人間が移住しなくてはいけないかもしれない。そういう住民からの話はお聞きになりましたか。
  188. 笹沼充弘

    参考人(笹沼充弘君) 実は、この環境面の調査におきまして、住民の意向の調査というものの実際に行われております。我々が直接行いました調査というのは、実はこの調査の結果を確認するということでございまして、スマトラゾウの問題も内容確認した、それから移転に関しましても我々としては調査団を派遣してその問題についての確認をしております。
  189. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、今度行かれた調査団も、実際には現地へ入っていって現地状況は見られていないわけですかね。インドネシアに行って、政府から、そういうのがどうだったという書類を見ただけで終わっているんですか、調査は。
  190. 笹沼充弘

    参考人(笹沼充弘君) 今も申し上げましたように、我々が供与しました資金によりまして十分な調査が行われております。我々はその調査を確認したということで、間接的には現地の意向というものも十分に把握したというふうに考えております。直接乗り込んで前と同じようなことを全部の村、全部の住民について一々聞いて回ったということではございませんけれども、その調査内容は十分確認させていただいたというふうに考えております。
  191. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、実際には現地には行かれたんでしょう、一応。現地に足は踏み込んで、全員は聞けなくても一部の人ぐらいは、聞いていないんですか。全然現地に足を踏み込んでいないんですか、このダムの現地の住民たちがいるところには。
  192. 笹沼充弘

    参考人(笹沼充弘君) これは、現地には入っておりますけれども現地の人たちの意向を聞いて歩いたということではございません。先方政府内容を確認すること、それから出ておりましたその調査の結果というものを確認したというのが我々の調査内容でございます。
  193. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その辺が非常に、人数がいないのかもしれません、日数がないのかもしれません。ただ、もちろん相手国政府の言うことを信用しないということになれば、外交問題ですからそれは大変なことになるでしょうけれども、そういった作業もこれからは交換公文を結ぶに当たっては必要になってくるのではないかなと私には思えてならないんですよね。その辺、ぜひこの問題についても対応しないと、同じ問題がまた起きてしまったら取り返しがつかないということを指摘させていただきたいと思います。  ところで、このコタバンジャンダムについて、交換公文はいつ結ばれるんですか。
  194. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 本件プロジェクトに関しましては、今基金の方からも説明がありました、いろいろ調査をしておりますけれども、そういうものが明らかになりクリアになってくれば、両方の政府の話し合いで交換公文の締結という方向に向かって進展していくことになると思います。  先ほどのインドのケースは、私先ほど申し上げませんでしたが、世銀が最初に融資を決めますときに、インド政府と、住民の移転あるいは環境問題、いろんなことにつきまして、こういうことをするようにという条件がついておりました。それについてインド政府がいろいろしていかなければいけないことがございましたけれども、それが思うように進んでいないというのが現状でございます。  それに比べまして今度のインドネシアのコタバンジャンにつきましては、インドネシア側が環境配慮の面も含めまして種々の調査をし、象の移転その他についてもきちんと対応を進めていると我々は考えております。
  195. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、交換公文を結ぶに当たって、今のところもう障害はなくなっているという認識を持っているということでしょうか。
  196. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 今のところ、直ちに交換公文という段階ではございませんけれども、比較の問題といたしまして、環境配慮あるいは移転の問題につきましてもインドネシア政府の進め方というのはかなり進んでおりますので、こういう状況を踏まえまして、今後とも両政府間で話し合いを進めて交換公文の締結の方に向かって今協議を進める段階に来ているのではないかと思っております。
  197. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 残されたわずかな時間で、最後に、熱帯林破壊の問題で今世界的に注目を集めておりますマレーシアのサラワクの問題について何点かお伺いしたいと思います。  先日、ITTOの理事会が開かれまして、熱帯林破壊ということからサラワクを守ろうという立場でITTOの理事会が開かれたというふうにお聞きしております。どういう決定がなされたのか、簡単に御説明をしていただきたいと思います。
  198. 林貞行

    説明員(林貞行君) お答えいたします。  先生指摘のITTOの理事会は今月十六日から開会されておりまして、二十三日まで、今週末でございますが、討議を行うことになっております。この討議におきまして、熱帯林分野の世界的な有識者から成るITTOのサラワク調査団の報告が提出されております。この報告につきましては現在理事会で検討が始まったばかりでございまして、いまだ結論めいたものには至っておりませんが、私ども承知しておりますところ、基本的には各国ともこの調査団の報告を高く評価するという立場だろうと理解しております。
  199. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今言われたとおり、ITTOが初めてミッションを送ったところがサラワクというところでもございます。そして、報告を出されてきて、今からそういう対応を決めていこうと、今まで広がってきた熱帯林の破壊を防止するためのモデルケースというようなふうにもある意味では今見られております。  この問題に関しては、先日現地住民の方が日本にも来られまして、プナン族の方たちでございましたけれども、彼らが言っていることを聞いていると、本当にこういう生き方もあるんだなということを考えさせられざるを得ない。私たちは林の中に住み、そこで光から守られ、そこから落ちてくる実をとって、魚をとって、そこにある水を飲みながら、そうやって暮らしている。自然の中でそうやって暮らしていることが、知らないよその国の開発でできなくなってしまっている。どうして私たちは生きる権利まで奪われるんだろうか。そんなことをおっしゃったときは、非常にある意味で感銘もいたしました。  特にITTOの件に関しては、日本外務省さん中心になって誘致したという機関でもございますし、また先ほど言ったように、サラワクの問題がモデルケースになっているということであれば、ぜひ日本政府としてもこの問題に積極的に取り組むべきだと思うんですけれども、どう政府として取り組むつもりなのか、その点を簡潔に教えていただきたいと思います。
  200. 林貞行

    説明員(林貞行君) 先生指摘のとおり、このサラワクの問題は、熱帯雨林全体の問題からしても大変重要な問題でございます。私どもといたしましては、ITTOの活動を全面的に支援することによってこのサラワクの熱帯雨林の問題に対処をしたいと考えております。  先ほどお話のありましたITTOのサラワク調査団の報告におきましても、幾つかの勧告が出されております。その勧告に基づくまた幾つかのプロジェクトが今回の理事会に出されておりますので、いずれこの理事会中にそれらについて検討が行われ、何らかの結論が出るものと思っております。  そういう結論を踏まえまして、私どもとしてもそういうプロジェクトにどういう協力ができるか、真剣に検討していきたいと思っております。
  201. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、大臣にぜひ知ってほしいんですけれども、このサラワクの問題では、外務省さんと林野庁さんは非常に熱心でございまして、熱帯林を守っていこうという立場でさまざまな努力をなさっているんですよ。ところが、実際にこのサラワクの木の問題になると、輸出される半分が日本なんですよ。日本に来てしまう。それはどこがやっているかというと、商社がやる。持っていった木を何に使うかというと、さまざまな用途があるんですけれども、使う用途の一つの大きなやつが、ビルを建てるときの外のコンパネというあれに使われてしまうんですね。  そういった意味では、外務省さん、林野庁さんが一生懸命頑張っても、この輸入する側の問題、それから建設会社が今後どうしていくか、そういう建て方の問題で、そういった問題がどうしてもかかわってくる。ある意味では、今一生懸命やっている二省だけではなかなか解決できない問題だとも私は思うんです。ぜひ国内的にも、そういった商社になれば通産ですね、建設というような省庁の事務レベルまで巻き込んだ形で、この問題に日本を挙げて取り組んでいるんだよという姿が、私は本当に、わざわざITTOを日本に持ってきたわけですから、そういった意味合いにもつながってくると思うんです。それをやることが、逆に言えば世界に対して、日本は単に輸入しているだけじゃないですよ、そういうこともきちんと保全もやりながらやっているんですよということを証明することにもなると思うんです。そういった一つの、単に今の二省だけじゃなくて、ぜひ四省あたり巻き込んだ形のものをつくっていただきたいと念願しておるんですけれども、その点についての御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  202. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員指摘の、熱帯雨林の保護の問題につきましては、ITTOの日本誘致等についても今日まで努力をしてきてはおりますが、熱帯林保全問題は地球環境保全に関する関係閣僚会議、これでも取り上げられておりまして、今委員指摘のように、関係各省庁とも十分今後協力をして協議してまいりたいというふうに考えております。  問題は、相手国が原木の輸出をとめる、これが一番大きな問題だ。輸出をとめた場合に、付加価値の高い木製品にして輸出してくる傾向も随所に見られるわけでございまして、今後地球全体の熱帯雨林の保全の問題で各国協力しなければ、この問題というものはなかなか解決していかない大きな問題であろう。  しかし、日本政府としては、御趣旨を体して努力をいたしてまいりたいと考えております。
  203. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  204. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 さきの臨時国会では、国連平和協力法案が廃案になりました。同法案は、今武力行使も排除しないと四十万人の兵力派遣で攻撃態勢を整えつつある米軍の後方支援に自衛隊を派遣しようとするもので、憲法の平和主義の原則を踏みにじるものとして広範な国民の反対が起きました。政府は、廃案になったにもかかわらず多国籍軍への協力をあきらめず、自公民覚書に沿って新たな法案づくりを進めています。我々は、新規立法にはあくまで反対であります。憲法上許される国連の正当な活動への協力は新規立法の必要はないというのが私どもの考えであります。現行憲法上可能な協力は新規立法によるまでもなくやれるというのが我々の考えだからです。新規立法というのは、結局現行法規、現行憲法ではやれない協力というところへ行かざるを得ないというのがこの間廃案になった国連平和協力法案をめぐる問題であったと思います。  ところで、この協力法案の問題をめぐりまして、特に臨時国会に先立ち自民党の中では盛んに憲法解釈の変更、見直しということが論議になりました。その後の国会の論議も憲法の問題が大きく論議されましたが、私は今の時点で外務大臣及び防衛庁長官にお伺いしておきたいと思いますけれども憲法解釈を変更あるいは見直しする必要があるというお考えなのか、憲法の従来の考え方は引き継いでいくという考え方なのか、はっきりお答えを願いたいと思います。
  205. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 憲法に対する考え方は、憲法第九十九条の規定によりまして、国務大臣国会議員とともに憲法を遵守しなければならない義務を負っておりますから、この憲法解釈をめぐりましては従来の政府考え方に何らの変化はございません。
  206. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) まず、現時点においての憲法解釈の改正あるいは憲法改正等についての見解を求められましたが、私は現時点におきましては憲法の解釈の、あるいは憲法改正という考えは持っておりません。  また、自民党の中の憲法論議でございますが、民主主義の国家である限りはやはり大いに議論をすることは差し支えない、かように考えております。
  207. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今憲法の解釈変更ということは考えていないということでした。  国連平和協力法案との関係で特に論議になった憲法問題というのは、第九条と国連の武力制裁への協力の問題でありました。この問題は、臨時国会でも非常に大きい論点になりましたけれども、私が考えますのには、この問題は既に憲法制定議会で明確に答えが出されている問題だと思います。  例えば、昭和二十一年九月十三日の帝国憲法改正案特別委員会でこの問題が論議されており、幣原喜重郎国務大臣答弁をされております。私その速記録も持ってきておりますが、そこで大臣は、   何處カノ國ニ制裁ヲ加ヘルト云フノニ、協力ヲシナケレバナラヌト云フヤウナ命令ト云フカ、サウ云フ註文ヲ日本ニシテ來ル場合ガアリマスレバ、ソレハ到底出來ヌ、留保ニ依ツテソレハ出來ナイト云フヤウナ方針ヲ執ッテ行クノガ一番宜カラウ、我々ハ其ノ方針ヲ以テ進ンデ行キマス と、こう明確に答えております。  さらに、昭和二十一年十月五日、貴族院における、帝国憲法改正案特別委員会の安倍能成委員長が本会議で行った報告の中でも、   國際聯合憲章ノ規定スル自衞戰爭、共同防衞戰爭等トノ關係ハ、將來國際聯合ニ加入スルコトトナツタ場合ニ別個ニ考へルベキデハアルガ、寧ロ其ノ際ハ我ガ國トシテハ、兵力ノ提供義務ヲ留保スルト云フコトヲ考へルコトニナルデアラウ、 と、こう委員会の報告でも述べられております。この速記録も私ここに持ってきております。  つまり、国連の命令であろうと武力制裁には協力ができないんだということが既に憲法制定議会、昭和二十一年の今の憲法を制定する論議の中で明確にされ、本会議での報告でもそういうことが確認されておると、こういう問題であって、私は、今の憲法の出発点から非常にはっきりとされていると思います。  法制局、こういう答弁や本会議での委員会報告が行われているということは間違いないことと確認できますか。
  208. 大森政輔

    説明員大森政輔君) ただいまのお尋ねのうち、安倍能成委員長の本会議報告につきましては、私ちょっと準備しておりませんので確認できません。失礼いたしました。  それに対しまして、お尋ねの幣原国務大臣答弁の件に関しましては、ただいま御指摘のありましたような趣旨で発言がなされたことはそのとおりでありますが、誤解を避けるために幣原国務大臣の該当箇所だけ議事録に即して私ども認識している内容をここで報告いたしたいと思います。  先略の後、該当箇所は、   日本ハ如何ニモ武力ハ持ツテ居リマセヌ、ソレ故ニ若シ現實ノ問題トシテ、日本ガ國際聯合ニ加入スルト云フ問題ガ起ツテ參リマシタ時ハ、我々ハドウシテモ憲法ト云フモノノ適用、第九條ノ適用ト云フコトヲ申シテ、之ヲ留保シナケレバナラヌト思ヒマス、是デモ宜シイカト云フコトデアリマスレバ、國際聯合ノ趣旨目的ト云フモノハ實ハ我々ノ共鳴スル所ガ少クナイノデアル、大體ノ目的ハソレデ宜シイノデアリマスカラ、我々ハ協力スルケレドモ、併シ我々ノ憲法ノ第九條ガアル以上ハ、此ノ適用ニ付テハ我々ハ留保シナケレバナラナイ、即チ我々ノ中立ヲ破ツテ、サウシテ何處カノニ國制裁ヲ加ヘルト云フノニ、協力ヲシナケレバナラヌト云フヤウナ命令ト云フカ、 云々という前置きがございまして、ただいま御指摘になりましたような発言内容に続いていくということでございます。
  209. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 事前に通告しておりませんでしたけれども、安倍能成特別委員長の本会議での報告、これは貴族院ですけれども昭和二十一年十月五日に行われておるもので、特別委員会での論議を踏まえた委員長報告になっておるということを私はここで申し上げておきたいと思います。  国会憲法論議を調べたところでは、私はこの幣原国務大臣が行われた答弁はその後変更されていない、こういうふうに受け取っておりますが、それで間違いないでしょうか。
  210. 大森政輔

    説明員大森政輔君) 変更しているかどうかということに関連しまして、若干私ども考え方を申し上げたいと思います。  ただいま御紹介いたしましたような幣原国務大臣答弁内容と申しますのは、要するに憲法制定時においては、国連加盟に当たり兵力を提供するような形で協力を行うことは憲法九条との関係で問題を生ずるとの認識であったというふうに理解しているわけでございます。  またその後、現実の国連加盟時にどう考えたかということについて若干申し上げますと、国連憲章に基づく国連軍と憲法九条との関係につきましては、我が国の国連加盟時にも加盟の前提として議論が交わされたようでございます。その際には、国連憲章四十二条は、加盟国に兵力提供義務を確定的に負わせるものではなく、その協力内容は特別協定を締結することによって行われるものであるから、特別協定の締結に際し兵力の提供を行わないことにすれば憲法九条の問題は生じないということであったようでございます。  この議論の前提は、特別協定において兵力をも提供することとすれば、憲法九条との関係で問題を生ずるとの認識であった、当時はそういう認識であったと私ども理解しておりまして、その旨は憲法調査会の憲法運用の実際についての調査報告書、これは第三委員会担当部分のようでございますが、その憲法調査会の報告書にもその旨述べられているところでございます。  なお、国連憲章七章に基づく国連軍への我が国の関与の仕方、参加の態様につきましては、先般の衆議院の特別委員会の席上におきましても法制局長官からしばしば御答弁申し上げたところでございまして、その答弁内容の要旨を念のため申し上げておきますと、現在検討中であり、その結果をいまだ明確に申し上げる段階ではないということを前置きいたしまして、その実質的な内容を御紹介いたしますと、従来から我が国の憲法の解釈としては、一つ、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派遣は、一般に自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものであるから憲法上許されない。二つ、集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利について、我が国は国際法上このような権利を有していることは、主権国家である以上当然である。その権利を行使することは、憲法九条のもとで許容されている我が国を防衛するため必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されないということ。そうして三つ目といたしまして、国連の平和維持活動を行ういわゆる国連軍は、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、これに参加することは許されない。このようなことを従前述べてきておりまして、以上のような憲法第九条の解釈適用の積み重ねから推論すると、その任務が我が国を防衛するものとは言えない国連憲章上の国連軍に自衛隊を参加させることについては憲法上の問題が残る。他方国連憲章に基づく国連軍については、いまだ設けられたことはなく、その第四十三条の特別協定についてもいかなる内容になるか不明であるので、将来国連憲章第七章に基づく国連軍の編成が現実の問題となる場合にその時点で以上のことを総合して具体的な判断をすべきものと考えると、このように法制局長官から数回にわたって御答弁申し上げたところでございます。
  211. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今、憲法制定議会での答弁から始まって、その後の法制局、日本政府のこの問題についての幾つかの答弁が紹介されました。そのすべては、やはり日本憲法第九条というのは国連力の場合であろうと武力行使を伴うものについては相入れないという立場がそこに貫かれて今日に至っていると思います。つまり、日本憲法というのは憲法制定議会以来非常にこういう点明白にしていた。私は、憲法制定議会での政府答弁というのは、その後の解釈と違いまして、憲法についての基本的立場、日本憲法を考える場合の原点を示しているものだと、そう思います。そして、それは今も生きているということが今述べられた答弁でも私ははっきり言えると思います。  一つだけ、今法制局の答弁でも触れられました一九五二年の国連加盟時の問題、これは臨時国会でもいろいろな角度から論議されましたので、外務省に念のために確かめておきたいと思います。  今の答弁でも明らかなように、当時の西村条約局長憲法調査会での発言等もあります。同時に、昭和二十七年六月十六日に国連へ加盟申請して、この国際連合への加盟申請について承認を求めるの件というのが国会では論議されております。私その速記録を全部持ってまいりました。この速記録を読んでみますと、国連に加盟申請した、その国連加盟申請したことについての論議の中で、日本国は憲法第九条の関係で武力による国連の集団制裁への協力はできないということが繰り返し述べられ、また武力の協力を決して国連加盟の条件としていない、現にそういう例というのがあるということも具体的な事例を挙げて論議されております。  そして、これも本会議での委員長報告でもそういう論議が改めて確認されており、この国連加盟というのが、憲法制定議会の答弁と同じように、国連加盟後も日本が再軍備して武力による協力は行わないということを前提としたものであったということは、この加盟申請承認を求める件についての衆参両院の繰り返しの政府答弁等で明確になっていると思います。  臨時国会答弁では、あたかもそういう留保が全くないかのような印象を与える答弁も一部にはあったと私は思っています。そういう留保の法的手続をしたかどうかということを私はお伺いしたいのではなく、この国連への加盟申請というのは、それを受けての国会論議によって、単に西村条約局長憲法調査会の発言だけでなく、国会論議の中でもそういう武力行使を伴う協力は行わないということを前提としたものであったことが明らかになっていると思います。  外務省は、そういう論議というふうな経過というのは、私らよりも専門家ですからよく御存じだと思いますけれども、その国会論議の私が今受け取っているような受け取り方でいいかどうか、ちょっと念のためにお答え願います。
  212. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘の点でございますけれども、国連への加盟に当たりまして、憲法第九条との関係につきまして種々議論があったことは承知しております。また、国連加盟に当たりましてある種の宣言を付したという経緯もあるわけでございますが、この点は委員の御指摘のポイントではございませんけれども、いわゆる国際法上の留保をしたという性質のものではないということはこれまで何度か御答弁申し上げたとおりでございます。  いずれにいたしましても、一般に国連が憲章第四十二条に基づく軍事的強制措置を決定する場合におきましては、これに対する加盟国の協力の具体的内容は憲章第四十三条に基づく特別協定によって定められるということが想定されているわけでございまして、このような協力には兵力の提供のみならず援助その他の便益も含まれておりまして、憲章上加盟国は兵力提供を含め特定の協力を行う義務を負っているわけではないという点につきましては先ほど法制局の方から御答弁があったとおりでございます。  また、国連への加盟に当たりましての経緯につきましては、当時、軍備を持たない国が国連に加盟することが認められるかどうかというような議論もあったということも承知しておりますが、当時これも国会で何度か答弁があったと記憶しておりますけれども、国連の現加盟国の中に軍備を持たない国もあった。また、その後アイスランドのように軍備を持っていないことを明らかにした上で加盟が認められたという経緯もあったということもございまして、このような軍備を持たないということが国連への加盟を妨げることにはならないという趣旨の答弁政府からなされたということも承知しております。  なお、西村元局長憲法調査会での御答弁についてお触れになりましたが、多少長くなるといけませんので、憲法調査会の報告書の方から若干引用させていただきますと、確かに西村当時参考人は、先ほどお触れになりましたようなことにつきまして、この宣言の中に「「日本政府は国連憲章に含まれる義務を受諾し、日本の」――ここは英語でそのまま言っておられますが、「ディスポーザルにある一切の手段を以てその義務を遵守する」という趣旨を明らかにした。」ということが報告書に書いてございまして、しかもこの点につきまして当時西村氏は、「この文言により、直接に第九条を引用することなく、しかも日本のディスポーザルにない手段を必要とする義務は負わないこと、すなわち、軍事的協力の義務は留保するということを明確にしたものである」と述べておられます。ただ、同じくその後におきまして条約局長となられました下田武三氏は、「その後、朝鮮事変の際も現実に軍事的措置に参加した加盟国はきわめて少数であり、しかもそれら以外の加盟国が憲章上の義務に反するものではないという事態となつたので、この問題はアカデミックな問題として論議されたが、現実問題としては第九条のために国連加入が妨げられ、国連憲章上の義務を履行し得なくなるというような危ぐを政府が抱いたことはない、」というふうに述べられております。また、西村参考人御自身も、「当時は憲法施行後間もない時期であり、また、占領中でもあつたために、第九条についてきわめて神経過敏的に考えていたと述べている。」というふうに記録されている次第でございます。  以上、私ども承知しております当時の経過でございます。
  213. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今最後に引用されました、西村条約局長憲法九条に神経質だったということは、極めて神経質に、国連加盟申請に当たってもそれを踏まえてやったということだと私は思います。その何よりの証拠は、この国会の速記録を読んでみればいかに当時の日本政府答弁が九条に触れることを慎重に考えていたかということが、もう私、時間があれば幾らでも引用したいのですけれども、引用するまでもなく今条約局長もそういう論議があったという事実はお認めになっておりますので、私はそれは省略します。  いずれにせよ、憲法制定議会でもそれから国連加盟時も、また先ほど法制局の答弁にありましたようにその後の政府答弁でも、憲法九条というのは国連軍あるいは国連の名前がついた場合は例外だという見地に立ったものはなく、武力行使を伴うものはそれが国連であれどうであれ日本憲法は許さないのだということだと思います。  さて、その憲法九条の問題について、私は別の面からお伺いしておきたいと思います。  というのは、今のは国連との関係でお伺いしたわけですが、もう一つの問題というのは憲法九条が「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」「を放棄する。」ということをうたっているのは、これはその後創設された自衛隊であろうが、あるいは海上保安庁の組織であろうと警察組織であろうと、また国連平和協力隊という名前であろうと国連待機軍という名前であろうと、武力行使を伴う組織の海外出動というのは、憲法九条が認めないものだということですね。これは私は臨時国会でも法制局長官がお答えになったことでも認められていることだと思いますが、法制局に再度この点確かめておきたいと思います。
  214. 大森政輔

    説明員大森政輔君) お尋ねの件につきましての基本的な考え方というものを御説明いたしたいと思います。  従前から海外派兵の可否ということが議論になったわけでございますが、海外派兵につきましては次のように定義されました。  すなわち、一般的に言えば武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである、このように定義しました上、このような海外派遣は一般に自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないということをしばしば申し上げてきた次第でございます。  したがいまして、武力行使の目的を持って武装した部隊、これはあるいは組織あるいは集団と言った方がいいのかもしれませんが、このようなものを他国の領土、領海、領空に派遣することが憲法九条との関係で問題とされるわけでございまして、そのような実態を有するものであれば、自衛隊に限らずそれ以外の組織、集団がつくられたとしても、同様に憲法上許されないものであるというふうに解することができようかと思う次第でございます。
  215. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 国連と憲法九条との関係は、私は非常に明らかになったと思います。私は、政府のこれまでの憲法解釈、九条をめぐっても自衛隊は合憲だというような問題等、すべてを是認するものではありません。しかし、少なくとも今国民の最大の関心になってきた国連と憲法九条との関係についての政府答弁は明らかにされたと思います。  外務大臣、念のためにもう一度お伺いしておきたいと思いますけれども、今法制局の方から述べられたようなものとしてこの憲法の立場を守っていくということであり、この解釈は変更しないという最初答弁はこういうものを踏まえてのことだというふうにとってよろしいでしょうか。
  216. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) そのとおりでございます。
  217. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 そこで、防衛庁長官にお伺いしてもこの点については同じ答弁だと思いますのでこの答弁を求めることは略しますが、私は防衛庁長官に一つお伺いしておきたいことがあります。  その前に、防衛庁、どなたでも結構ですが、朝雲という新聞、これ、防衛庁は何部買い上げておられるのか。部数と金額を教えていただきたいと思います。
  218. 日吉章

    説明員(日吉章君) お答え申し上げます。  ただいま委員からお尋ねの朝雲という新聞でございますが、これは週刊紙でございまして、各種の防衛関係記事が掲載されておりますところから、防衛庁としましては広報活動などの用に資するということで必要な部数を購入しているところでございます。  お尋ねの購入部数でございますが、防衛庁としましては広報用としまして三千二百部購入いたしておりまして、これは金額にいたしまして年間で六百万円になります。それから、毎回ということではございませんが、募集に資するというような意味で二万部購入いたしております。防衛庁といたしまして購入しておりますのは、毎週購入しております三千二百部と募集等に資するために随時購入いたしております二万部でございます。  なお、防衛庁の共済組合が五万五千部購入いたしております。これは共済組合の活動として購入をいたしております。
  219. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 金額、年間総額。
  220. 日吉章

    説明員(日吉章君) 募集等の用に供しておりますものは年間千七百万でございます。それから、共済組合のものでございますが、これは一億ちょっと、こういう金額になります。
  221. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 それ、合計したものとして私が別途確かめたところでは、額にして一億二千六百四十万円、年間約三百五十万六千四百部の朝雲を防衛庁は買い取っておられる。  そのことを私がお尋ねしましたのは、この朝雲の最近号を二号続けて読んでみますと、二面のトップに「時の焦点」という論評記事が載っておりまして、八日付は憲法解釈の見直し急げ」というものですね。読んでみますと、日本の戦後の平和主義というものは異端であると書いてあるんですね。それで法制局先ほど答弁がありましたが、そういう法制局の答弁をこの間の臨時国会で海部総理が変更するはずだったけれども、変更することが期待されていたけれどもそうならなかったということで毒づいておりますね。そして、結論的に「現行憲法は、国際的視点からは、全く異端な存在でしかない。解釈の見直しは急務だ。」、こういうふうに書かれております。次の十五日号も、結論的には「戦後憲法やその解釈の冷厳な見直しが、避けて通れぬ政治課題である」というふうに述べられている。同じ二面のトップに載っている論評ですね。  法制局、先ほど一生懸命お答えいただきましたけれども、そういうのは変えなきゃいかぬと、異端者の論理だという論評なんですけれども、私は、一億何千万円もかけてこんな新聞買って防衛庁が広報活動なんかにいろいろ使っておられるというのは、今の憲法の解釈も変えないという答弁とをあわせて考えると、これは余りにも矛盾したことではないか。これは幾ら何でも言論の自由だということでは逃げられないことだと思いますが、防衛庁長官、こういう精神で教育ないしは広報活動やりたいんですか。
  222. 日吉章

    説明員(日吉章君) ただいまもお答え申し上げましたように、防衛庁が朝雲新聞を買い上げておりますのは、同紙が主として防衛問題や自衛隊に関する記事を掲載しているということから、自衛隊や防衛問題についての理解を得るための広報活動の一環として実施しているものでございます。ただ、同紙は民間企業である朝雲新聞社が発行するものでありまして、掲載内容は同社の独自の企画によるものでございます。  なお、ただいま御指摘記事でございますが、これは「時の焦点」という形で執筆者を、現在のところ六名というふうに承知いたしておりますが、言論界の方々に依頼いたしまして、輪番で執筆をしていただいているものだと理解いたしております。したがいまして、この記事は、安全保障問題に関しましてこれらの依頼執筆者の署名論文の形で紹介したものでございまして、たまたまただいま委員指摘のような記事があったのは事実でございますけれども、同紙の、同紙といいいますのは朝雲新聞社としての思想の表明といったものでないことはもちろんのこと、また防衛庁の、ましていわんや見解を示すというようなものでないことは御理解いただけると思います。  いずれにいたしましても、同紙は、朝雲新聞でございますが、防衛、安保問題の専門紙といたしまして、各般の識者の見解を紹介することに適したものでございますので、そういうようなことで購入いたしているということは、ある意味では自然なことではないかと考えております。その中にはいろいろな御意見が出てくることも事実でございますが、これはそれぞれ署名者の責任を持った署名論文という形で載っておりますので、そういう形で読者は御理解をいただければよろしいのではないかと思います。  なお、重ねて申し上げますけれども委員はただいま一億二千六百四十万という金額等をおっしゃられましたけれども、この中の大宗を占めますものは共済組合が購入しているものであるということを重ねてお断りさせていただきたいと思います。
  223. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) 今、日吉官房長が事実関係については詳しくお答えを申し上げたとおりでございますが、ただ私は大臣という立場でそれについてのコメントを申し上げたいと思います。  今防衛庁のいろんな仕事のPR、これを広報活動でやっているわけでございますが、できるだけ国民に防衛というものの内容、特に自衛隊の内容等についてもよく理解をしてもらいたい、こういう一環のためにこの新聞が購入されている、こういうふうに理解しております。  また、その内容につきましては、私もきょう慌てて今指摘された日付の内容を読んでみたわけですが、確かにそういう趣旨のことが書いてあることは事実でありますが、これは今も官房長が言ったように、一つの政治評論家としての意見をそこに掲載されている、こういうふうに私は理解をいたしました。ただ、現在は非常に我が国の国民というものは、言論の自由という中におきまして、いろんな新聞、雑誌あるいはその他の書籍等を通じまして、非常にこういう方面のことにつきましては、かなり私どもの目から見れば、国民はそれなりの自分の一つの意見というものを持ちながらいろんな右から左までの意見というものを読んでいると、こういうふうに私は理解をしておりまして、そういうようなことで、決してこれは一種の何か特別な目的のためにやっているわけじゃございませんし、十二分に読者としても、こういう新聞もあるし、また違う新聞もあるし、赤旗もあるしいろいろとある、こういうような中での私は一つの理解をされるのではなかろうか、こういうふうに理解しております。
  224. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 防衛庁は全く無関係だ、あるいは朝雲新聞社とも無関係だというような議論は、これに成り立ちませんよ。私も新聞を三十年やってきましたからね。新聞というのは、掲載した記事には全部責任ありますよ。評論家が書いたものであろうと掲載した責任新聞がとるわけですからね。だから、それは朝雲とも違うんだというわけにはまいりませんよ。それはたとえほかのものであれ、告訴の対象にも新聞は掲載した以上はなりますから、その点は僕は認識してもらいたい。  それから、たまたま書いたのなら別ですよ。連続キャンペーンですよ、八日にも十五日にも。現行憲法の平和主義は異端の論理だなどということを言っているものを連続載せているわけですよ。世界に通らない議論だということです。  我々は、今の憲法の平和主義というのは世界に誇るべきものだと思いますよ。その世界に誇るべきものを、この立場を貫くことが、私は、日本世界で信頼を獲得し、日本の権威を打ち立てる道だと思っております。それ、意見は違うからいいですよ。いろいろ意見があることはいいと思いますよ。しかしこの新聞は、連続キャンペーンやっているわけですよ、憲法攻撃の。それを防衛庁が買い取って広報紙として配れば、これはいろいろな選択をするということにはならない。私は、防衛庁としてもこういう憲法批判、攻撃の新聞を買い取って広報活動及びいろいろな教育活動に使うということは、これは言論の自由だとか新聞と無関係だというふうなことでは決して言い逃れできないと思います。こういうことはやっぱり、今後防衛庁が買い上げる、買い上げて内部の研究ならまだしも、ばらまくわけですからね。そういうものについては一定の神経を使うというぐらいは言われなければ、これは見過ごせませんよ。  大臣でも官房長でもいいんですけどね、これきちっとしてもらいたいと思います。
  225. 日吉章

    説明員(日吉章君) この新聞は、先ほども申しましたように、一般的に防衛に関するいろいろな紹介をしているのが主でございまして、ただいま御指摘の「時の焦点」というところは、その中の一部分に有名な識者の署名入りの記事を掲載しているということでございます。したがいまして、これをもって朝雲新聞が一つの意図を表明しているというようなことでもないと思いますし、私どもがこの新聞を広報用に利用したといたしましても、読者は、これは明らかに高名な評論家の署名入りの記事として載っているわけでございますから、こういうような御意見もあるというようなことでそしゃくして理解をされるものと、かように考えております。
  226. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 時間が来ましたから、私はここでこれ以上論争できませんからおきますけれども、一億二千何百万もかけてこういう新聞を買い取って、共済組合も含めてといってもいいですよ。それを読者は的確な判断をされましょうなどということは、これは通りませんよ。これが防衛庁と無関係に出ているものをみんなが読むのならそれは別ですよ。こういう朝雲を全部やめろとは私は言いませんよ。こういう憲法攻撃の論文が載っているものを、連続してこういうものを掲載しているものを、そういう議論成り立ちませんよ。  私は、改めて別のところでこれは論議したいと思います。時間が来ましたからこれで終わります。
  227. 三治重信

    ○三治重信君 まず、外務省お尋ねしますが、けさほど来同僚委員からODAの問題があちこちから議論されておりますが、若干重複するかもわかりませんけれども、これは現在日本世界への貢献といいますか、経済大国として世界一の金額になったし、日本としても国民の税金を出しているのだから、本当に真剣になってやってもらわにゃならぬという意味において、また重複を省みずお尋ねします。  これだけ大きくなったODAに対して、私は基本的にODAの計画や実行過程を再検討されるべきだと思うんです。実行は協力事業団が実際はやるにしても、政府としてのそういう実行過程に至るまでの計画や実行計画というものを、やはり余り海外協力事業団に計画を任すのは私はまずいんじゃないかと思うんです。やはり政府段階で、各省ともっと新しい機構なりなんなりつくって、各省も各方面についてのそういうふうな自分の専門的な知識を、国内の事業計画に準じて外務省が統括されるその案について、意見や計画について十分協議し、検討した上でやってもらいたいと思うんですが、そういうことについて、いかなる御意見をお持ちですか。
  228. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) 今お尋ねのODAの実施でございますが、ODAの実施はその形態に応じまして、若干異なってはおりますが、相手国の要請を途上国政府から外交ルートを通じてもらいまして、これを国内の、今委員指摘のような関係省庁で密接に協議いたします。そして、政府の決定の後それぞれの形態に応じまして関係の機関が実施に当たっております。    〔委員長退席、理事千葉景子君着席〕  具体的に申し上げますと、円借款につきましては経企庁、外務省、大蔵省、通産省の四省庁体制のもとで外務省が対外的窓口になりまして、海外経済協力基金を通じて実施しております。無償資金協力につきましては、国際協力事業団協力を得て外務省が実施しております。さらに技術協力につきましては、外務省案件ごとに、それぞれのノーハウを持っております関係省庁と協議をしまして、JICAを通じて実施しております。  このような経緯で実施をしておりますが、要請主義を我が国援助の基本原則とはしておりますが、そういう原則を守りつつも開発途上国のプロジェクトの発掘形成能力は必ずしも高くございません。そういうこともありまして、在外公館によります相手国政府との頻繁な接触、対話あるいはいろいろなミッションを出しまして途上国とも意見交換をいたしまして、優良な案件の発掘に努めております。  以上でございます。
  229. 三治重信

    ○三治重信君 まず最初に円借款の問題ですが、円借款、今四省庁と言われたですね。それに対して協議すると。そこなんですよ。これはやはり金の部面からの方が主力になっていて、具体的な事業計画なり、国民生活に密接に結びつく事業についてのものが――やはり僕は、とかく円借款とは、経済協力、初めはよかったかもしれないけれども経済協力の発電所をつくるとかビルをつくるとか、そういう経済協力なら今の四省庁ぐらいでもいいかもしれぬけれども、もう少し広げて、殊にアジアへ我々行ってみても、経済だけどんどこどんどこ発展してみても、水さえ飲めない。その国で一番いいホテルでも、水は飲んじゃいかぬ。生水を飲んじゃいかぬということになる。    〔理事千葉景子君退席、委員長着席〕  そういうふうなことや、それから伝染病なんかがはやるというのは、結局、都会の中でも水道の普及がないから伝染病なんかがはやる。  そういうことを考えると、僕はもっと厚生省なりそれから通信の郵政なり、そういう国民生活に密接する省庁を入れて、経済の発展ばかりじゃなくて、もう少しそういう国民経済の底辺を上げる、生活レベルを上げる方の円借款というものに重点を置かぬとまずいんじゃないかと思うんですが、それはひとつぜひ検討してもらいたい。
  230. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) ただいまのお話に関連いたしまして、円借款につきましては、今御説明いたしました四省庁体制というのがございますが、実は、円借款という資金協力をいたします前に事前の調査をいたします。個々のプロジェクトについて関係の省庁あるいは専門家を入れまして、いわゆるフィージビリティースタディーと申しますか、事前の調査をすることもございますし、さらにその前に、その国全体の経済開発についてどういう優先度を与えるべきか、国全体についての開発調査、そういったものも実施しております。その場合には、私が先ほども説明いたしました技術協力の分野にカテゴリーとしては入りますので、委員指摘のような関係省庁とも相談しながら専門家を入れて調査をいたしまして、その調査に基づいて上がってきました、資金を協力するかどうかという検討の段階で初めて四省庁体制というものがワークするわけでございます。
  231. 三治重信

    ○三治重信君 一応それでいいんですが、金額が大きくなったら、やはりもう少し各省庁もメンバーに入れた援助の計画なり調査なり各段階を、国民というのですか、我々にもわかりやすいようなODAの決定のプロセスを、体制を整えて、形を整えてもらいたいと思うんです。国内だとみんな新聞で、各省がどういう予算要求をしたとかなんとかいろいろ情報が出るものだから、国会の予算の審議でも大体のところはわかる。ところが、ODAの方のやつというのは、全体的にまだ情報が日本の国内でも非常に少ないですよね。だから、もう少し各省庁が具体的に応援体制なりそういう機構ができるように組織をつくると、その会議をやったり何かやるたびにマスコミにも広げられるわけだから、非常にいいと思うんです。ひとつぜひそういうことについて、私はやはり国内のもう少し広報体制というものもやって、政府の各省庁挙げてODAの問題に取り組んでいるんだということがもっと出るような姿勢を示してもらいたいと思います。  それで、その中で特にやはり、先ほどもちょっと言ったけれども、我々が東南アジアやほかのところへ行ってみても、本当に水を、一々大使館に頼んで特別の水を支給してもらわぬと危なくてしようがないというようなことは、ぜひ、少なくとも東南アジアの各国で大都会ぐらいではなくするようなことをやったらどれだけ喜ばれるかもわからぬと思う。  それから大変な通信の混雑。道路は、大都会は混雑になっちゃうからどうしようもないかもしれないけれども、とにかく生活の基盤的なものから再検討する。日本の国内でも、公共事業でも環境改善で変えろというふうに言っているわけだから、その点ODAの計画なり見方を、日本みたいに進んだところでも環境問題をもっと重点にした公共事業をやれとこう言っている、環境改善しようというぐらいに観点が変わってきているわけだから、そういうことを変えるような、何というか、そういう視点の変え方なんかももう少し、これは審議会か何かあるんですか。
  232. 畠中篤

    説明員(畠中篤君) お答えいたします。  ODAの予算そのものは、外務省についておりましたり、JICAについておりましたり、関係各省についておりますODA予算そのものは現在のところは大変小そうございますが、外務省の中にそれぞれの専門家がおるわけでもございませんし、それからJICAにもそれぞれの分野で専門家がいるわけではございません。予算はそこについておりますが、実施の段階におきましてはそれぞれの関係省庁の協力を得ることが絶対に必要でございまして、今後とも関係省庁の協力を得ながらODAを実施していく必要があると思っております。  委員指摘の、水とか医療とか基本的な社会サービス、そういうサービスに欠けている国が多いのも事実でございます。そういうこともございまして、我が国といたしましては、経済協力の理念ということでは今申し上げました人道的考慮というものはもう一つの理念でございます相互依存関係と並んで非常に基本的な理念でございまして、このような分野での、すなわち裨益いたします層、貧困層に直接結びつきますような水の供給、あるいは衛生、保健、教育、農業開発といったようないわゆる基礎的な分野での協力は、我が国の援助の中で最近毎年毎年ふえておりまして、ODAの全体の中では三〇%に近い比率を占めるようになっております。特に無償援助、無償資金協力と技術協力の中では六割程度を占めるようになっております。  先ほど委員御質問の諮問委員会というのは、既に対外経済協力特別審議会というのがございまして、各方面の先生方の御意見を踏まえながらこういう制度の改善そういうことに努めております。
  233. 三治重信

    ○三治重信君 次に、この前の国連平和協力隊の審議とは別に、純粋に、何というんですか、安全保障理事会の議決というものが、本当に各国加盟国との義務関係というんですか、責任関係というようなものを法的にどういうふうに考えておられるか。  どうもあれは、僕は委員になっていなかったけれども、いろいろ考えてみると、やはり非常に政府は議決議決ということをよく言われるんだけれども、法律的にはどうも安全保障理事会の議決と各国との関係というのは、そんなに法的な問題は余りないじゃないか。むしろ政治的な問題として、国際協力をどうするかという大所高所の議論でやっていかぬと、議決の法的効果とかなんとかということになってくると、議決の問題というのは国際法上そんなに各国を縛る問題じゃないような気がしているんですが、その点の法的な解釈。
  234. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘の点につきまして、お答え申し上げます。  御承知のとおり、国連憲章には第二十五条というのがございまして、ここにおきまして、短いので引用させていただきますが、「国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従つて受諾し且つ履行することに同意する。」というふうに規定しているわけでございます。  そこで、安全保障理事会が採択いたしましたいかなる決議、またはいかなる規定がここで言っております安保理の決定に該当するかという問題になるわけでございますが、この点は個々具体的な決議の規定に則して判断すべきものだというふうに考える次第でございます。ただ、あえて一般論として申し上げますならば、例えば憲章第四十一条というのがございますが、これはいわゆる非軍事的措置に関する規定でございますが、この規定に基づきまして安全保障理事会が決定したいわゆる経済制裁措置につきましては、国連加盟国はこのような決議を履行すべき国際法上の義務を有するというふうに解されております。他方、国連憲章上安全保障理事会決議は勧告を内容とする場合もございまして、このような場合につきましては、勧告でございますから加盟国に対していわゆる国際法上の拘束力を有するというものではないわけでございます。  端的に申しますと、安全保障理事会の決議には法的拘束力を有する決定とそのような拘束力を有しない勧告、すなわちそれを履行するかどうかは加盟国の判断に任されているものと、この二種類があるということが一般的に言えると思います。
  235. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、日本で一番武力行使の議論が非常に盛んだったわけなんだが、国連の安全保障理事会の決議によってこの湾岸軍は出したと、各国はそういうことで出したんだという理解か。それはそういう決議によって義務として出したのか、どういう姿勢で出したのか、その点の解釈はどうなんですか。
  236. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘の点は、国連平和協力法案に関する審議の際に種々議論された点の一つでございますが、このいわゆる多国籍軍と申しますのは、国連、特に安保理の決議に直接基づくというものであるよりは、イラクによるクウェートの侵略を認定して、これに対して経済制裁措置、その他の措置をいろいろ決めたわけでございますが、この一連の措置に実効性を与えるというために加盟国が、相当数に上るわけでございますが、加盟諸国が判断いたしまして、自国の軍隊を展開したというものでございます。いわば、一連の安保理決議を受けまして加盟国がその判断によって軍隊を展開いたしまして、これによって経済制裁措置等の安保理決議実効性を与えるという性格のものでございます。
  237. 三治重信

    ○三治重信君 防衛庁にお伺いしますが、そういうふうな安保理の決議で各国が独自の判断で軍隊を出したと、こういうことですよね。自衛隊が武力を持っていけば憲法違反だからやっちゃいかぬと。そんなら非武装で行くのはどうかというような議論になったわけなんだけれども、僕は、自衛隊そのものが武力集団であることは間違いないわけなんで、その自衛隊の武力集団が武力を持っていくと憲法違反だから武力を持たぬで行って貢献すべきだなんという議論は、防衛庁としては、僕は賛成できぬはずだと思うんですが、どうですか。
  238. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) 先般の廃案になりました協力法案の中身におきましての自衛隊としての参加は、先生も御承知のとおり、要するに平和協力隊員となって、そして国際平和協力貢献すると、そういう大きな任務。その中で実効性を追求するとやはり自衛隊としての組織、経験、ノーハウというものがどうしても必要だ。それがなければ実効性が上がらぬということから、自衛隊が要するに要請されて、しかも自衛隊の身分を持たなければ輸送等もできませんので、そういう身分を持ち、なおかつ隊員として入ったということでございますから、その点に非常にわかりにくい点もあったと思います。  しかし私は、やはり自衛隊というものの任務、第一義務的任務はやはり国土を防衛するという大きな仕事、これは当然武力の行使になるわけでありますが、しかしそのほかに第二義的というか、そういう面では災害の場合の出動等もあるわけでありまして、あるいはまた海外への派遣も現在行われているわけでありますから、そういう意味で、必ずしも武力行使を前提としない、いわゆる丸腰といいますか、そういう中でも活動できる部分があるわけですから、そういう面を通じての国際的な平和協力ということも、これから将来の問題としてはやはり考えることはできる、かように思うわけであります。
  239. 三治重信

    ○三治重信君 時間ですので、終わります。
  240. 高井和伸

    ○高井和伸君 外務省防衛庁、防衛施設庁にお尋ねいたしますが、私の関心を持っているのは、政府でも前向きに検討されております行政手続の一般規定の制定という側面から、特にそのうちの国民の権利義務に関与する侵害処分というところについてお尋ねしたいと思います。  まず、外務省でございますが、あらかじめお尋ねしておきましたところ、旅券法というのがあって、これがある意味では侵害処分に当たるだろうというふうなことで、資料をいただいております。そこで、旅券法の十三条、十九条に絞りましてお尋ねしますが十三条では一般旅券の発給、これを拒否する手続はどのようになっているのか。それから、十九条の旅券の返納命令、これはどのような手続で行われているのかという点の実態についてお尋ねしたいと思います。
  241. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) まず、御質問のありました十三条に係る旅券の発給等の拒否でございますけれども外務大臣または領事官は、この十三条の規定に従いまして、ここに列記された幾つかの要件に該当する場合には、一般旅券の発給または渡航先の追加をしないことができるという規定がございまして、それを受けて十四条に、そういう旅券の発給もしくは渡航先の追加をしないという決定をした場合には、外務大臣は、この決定を理由を付して直ちに旅券の申請名義人に対して書面で通報すべしという規定がございます。  十九条につきましても同様でございまして、十九条に掲げられております一定の要件に合致すると認められる場合には、旅券の名義人に対して期限をつけて旅券の返納を命ずることができるという規定になっておりまして、それを受けまして同条の三項におきまして、旅券の返納を命ずることを決定した場合には、これを速やかに理由を付した書面をもって名義人に対して通知しなければならないという規定ぶりになっております。
  242. 高井和伸

    ○高井和伸君 十三条の関連で、その発給しないときの理由として挙げられたうちの一項五号の、「日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」、こういった条項がある意味では抽象的な一般条項的なことで規定されているわけですが、こういったものの事実認定は、具体的にはどうなさるんですか。
  243. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) これは外務省が申請を受理いたしまして、それに基づきまして関係各省とも十分協議をし、慎重に審査をした上で決定いたします。
  244. 高井和伸

    ○高井和伸君 この五号の認定を受けた国民の立場からすれば、何でおれがこういうふうに旅券が発給されないんだろう、こういう疑念を持つ立場にあるわけですが、そういった当事者に対する事前手続、こうこうこういう理由であなたはふさわしくない、発給しませんよ、何か弁明あるなら言いなさいよというような手続はないとは思いますが、具体的に、実際には行われているんですか。
  245. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 旅券の発給を拒否いたします理由につきましては、冒頭申し上げましたとおり文書で理由を付して通知いたしておりますので、名義人に対してもその旨が明らかになっていると思います。  それから、それに対する異議の申し立てにつきましては、行政不服審査法の規定によりまして、六十日以内に異議を申し立てることができるということが、通知書の中にその旨を記してございます。
  246. 高井和伸

    ○高井和伸君 もう一つ。発給を拒否するときは理由を付すというわけでございますけれども、例えば先ほどの、十三条一項五号に該当するなんという、そういう単純な理由付記なんですか。それとも、あなたは過去こうこうこんなようなことでいろんな不穏なことをなさった、こういったことについてはやっぱりもう発給できないというようにかなり細かく書くのか。そこらは、実務はどのようになされているんでしょうか。
  247. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) これは、非常に詳細にわたる理由は挙げてございませんけれども、単に十三条一項第五号に該当するものであるということのみならず、その名義人の過去のいかなる行動がそれに当たるのかというところに言及した理由づけとなっております。
  248. 高井和伸

    ○高井和伸君 続いて、防衛庁お尋ねします。  自衛隊法の第百三条に、「防衛出動時における物資の収用等」ということで、せんだっての国連平和協力法案にもありましたように、かなりの面で国民の施設を使うことができるというような規定がございます。この中に、有事の際に診療所だとか病院だとかそういったところをまあ徴用するという言葉はちょっと当たるのかどうかわかりませんけれども、そういった規定が百三条にございます。この百三条がある意味では侵害処分の最たるものだろう、こう考えるわけですが、その事前手続というものがしっかりなされるかどうか。こんな緊急時にそんな手続をやっていられるかというようなこともまた一方にあるんですが、実際はどのように行おうとなさっているのか。現実的にはモデルケースなどいろいろお考えになってやっておられるんじゃないかと思いますが、まず、百三条の概要についてお尋ねします。
  249. 日吉章

    説明員(日吉章君) 委員ただいまお尋ねの自衛隊法百三条の概要でございますが、まず、これについてお答え申し上げます。  自衛隊法第百三条は、防衛出動時におきます物資の収用等について規定しているものでございます。これは第一項、第二項、第三項以下と分かれておりまして、第一項では防衛出動を命ぜられた自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合の物資の収用等の規定でございます。第二項では、同じく防衛出動の場合におきまして、同条第一項の地域以外の地域、すなわち当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域において自衛隊の任務遂行上特に必要があると認められる場合の物資の収用等の規定でございます。それから第三項以下でございますが、これはこれらの規定の実施のために必要な手続、補償等の規定、このような構成になってございます。
  250. 高井和伸

    ○高井和伸君 この中に、百三条の一項でこういったいろんなことをなす主体が書いてあるわけですが、その主体は、「都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き」いろいろするというふうな書き方をなされています。この「政令で定める者の要請」というこの政令が定まっているのかと聞きましたら、定まっていないというようなお話でございましたが、そこら辺の経緯をお尋ねします。
  251. 日吉章

    説明員(日吉章君) この自衛隊法第百三条につきましては、ただいま委員指摘の物資の収用、土地の収用等について知事に要請する者というものが政令に委任されておりますし、なおかつといいますか、それ以外にも要請に基づき知事が管理する施設や必要な手続、これらも政令で定めることとされております。しかしながら、これらの政令はいまだ制定されていないというのが実情でございます。  しからば、なぜ制定されていないのかということでございますが、この政令に関しましては、昭和五十六年四月の有事法制研究のうちの第一分類、これは防衛庁の所管の法令に関するものでございますが、それについての中間報告の中で詳細にわたってこの政令に盛り込むべき内容についての防衛庁における検討結果を報告したところでございます。しかしながら、これにつきましては、例えば管理する施設とか医療等に従事する者とか収用等の対象となる物資の範囲とか都道府県知事の職務などにつきまして、防衛庁限りではなくしてさらに関係省庁との調整、協議等をする必要がございます。こういうふうな調整をして検討を深めていくという必要がある点がございますので、今後諸般の情勢を踏まえながら検討してまいりたい、これらが政令を定めるに至っていない事情でございます。
  252. 高井和伸

    ○高井和伸君 私の興味は、行政手続がかっちりなされるかどうかというところが中心なものですから、こんな政令を定めていないのは行政責任があるんじゃなかろうかだとか、自衛隊法の存在そのものは別として、有事のときどうするんだというようなことに質問が展開するわけですが、それは私はいたしません。  私の興味、あと残りは、この損失補償というのは具体的には国民の権利義務、ある意味では施設を有事のために利用するわけですからそれなりの損失補償をするわけですけれども、これは大体どんな基準でどんなふうになされるのですか。
  253. 日吉章

    説明員(日吉章君) 第百三条の規定によります処分によって生じました損失の補償でございますけれども、これは憲法第二十九条に言います「正当な補償」を行わなければならないというこのことを基本として考えなければならないということは言うまでもないことでございます。  損失補償を行うに当たりましては、損失補償を受けようとする者から損失補償申請書の提出を受けた上で、都道府県知事あるいは防衛庁長官が損失の有無とか補償すべき損失があるときは補償額を決定して遅滞なくこれを申請者に通知し、その上で補償金を支払うことになると、こういうふうに思います。  なお、補償額の算定に当たりましては、通常生ずべき損失を補償するとの観点から行うべきものと、かように考えております。
  254. 高井和伸

    ○高井和伸君 有事の際に来援しました米軍が土地などを使う場合、この自衛隊法の百三条は適用されるのか。それとも別に百三条と同等な規定がどこかにあるのか、お尋ねします。
  255. 日吉章

    説明員(日吉章君) 自衛隊法第百三条の処分といいますのは、条文からもおわかりのように、自衛隊の任務遂行の必要があるときにのみ行われるものでございまして、これによって使用中の土地等を米軍に使わせるようなことは本条の趣旨とするところではございませんので、これの適用にはなっておりません。
  256. 高井和伸

    ○高井和伸君 米軍が日本の防衛のためにいろいろ日本の土地などを使いたいということは現実的にあろうかと思うのですが、それに対応する法制は存在するのでしょうか。
  257. 日吉章

    説明員(日吉章君) そもそも、自衛隊の防衛出動に関連いたしましたものにつきましても、政令等具体的なことは決定されていないところでございます。したがいまして、在日米軍のこれに類似する行為によります侵害行為に対する補償の問題等につきましても、別途検討すべき問題であろうと、かように考えております。  ただ、この場合にも、日米が共同いたしまして同じような目的のために対処するというようなことになろうと思いますので、まず自衛隊法百三条の規定の適用をどのようにするかというような研究が、在日米軍の際の研究の参考になることは事実であろうかと、かように考えております。
  258. 高井和伸

    ○高井和伸君 続きまして、在日米軍の使用する施設の民有地を使う場合の、どのように米軍のために民有地を使うようにするのか、その使用権限の取得の、その基本的な現行の政府のスタンスはどうなっているのか、お尋ねします。
  259. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 在日米軍の使用に供する施設の中にある民公有地の使用につきましては、土地所有者の理解協力を得て賃貸借契約を結ぶなど、双方の合意によって使用権限を取得することを基本にしております。
  260. 高井和伸

    ○高井和伸君 合意ができないときはどのようにするんですか。
  261. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  米軍の用に供する必要のある施設区域内の民公有地で、その所有者との合意により使用することができない土地につきましては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、いわゆる駐留軍用地特措法、そう申しておりますが、これに基づきまして、同法の定める手続に従いまして当該土地の使用権限を取得することといたしております。
  262. 高井和伸

    ○高井和伸君 あらかじめいただきました今の特措法の強制的に収用する手続は、行政手続法が本来持たなきゃいけない事前手続の規定がかなりしっかりしておりますし、さらに収用するときの理由の付記もきっちりしておりますし、さらに文書の閲覧についてもそれなりに規定がなされているというふうに理解しておりますが、そこらの内容を簡潔に述べていただけませんか。
  263. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  駐留軍用地特措法は、米軍の用に供する必要のある土地等の使用または収用手続を規定することを目的とした土地収用法の特別法でございまして、その手続は、申し上げますと、土地所有者等に対する意見照会に始まりまして、内閣総理大臣に対する使用または収用の認定の申請、内閣総理大臣の使用または収用の認定、収用委員会への裁決の申請、収用委員会における審理、収用委員会の裁決等の一連の手続から構成されております。  なお、収用委員会への裁決の申請以降の手続につきましては、土地収用法と同様の手続となってございます。
  264. 高井和伸

    ○高井和伸君 そこでお尋ねしますが、先ほどおっしゃられたいわゆる特別措置法の規定が非常に丁寧に規定されている反面、先ほどの自衛隊法百三条の有事の際のいろんな施設を使うという規定については今検討中であるというような回答で、非常にバランスの悪い政府の対応になっているのは、我々は何と理解したらよろしいのでしょうか。
  265. 日吉章

    説明員(日吉章君) 一般論としてお答えする立場にございませんけれども、有事法制の研究につきましては、私どもも、委員ただいま御指摘のように、喫緊の課題というように考えておりますけれども、いずれにいたしましても国民の権利義務等に深くかかわりのあるところでございますし、なおかつ、国民世論、国会におきます議論等を十分踏まえて慎重に検討すべき性格のものでございますので、そういう観点から鋭意検討を進めているということでございます。言うまでもなく、国民の権利義務が十分尊重されなければならないという点につきましては、私どもも全く同じ考え方を持っているつもりでございます。
  266. 高井和伸

    ○高井和伸君 防衛庁長官お尋ねしますけれども国連平和協力法のときにも多数の事項が政令委任でございました。先ほどの百三条の中も、かなりの面で政令委任という規定になっております。  湾岸危機の場面においては、政府としては国連平和協力隊は早急にそれなりに派遣される予定だっただろうと、そう思うわけでございますが、今のような有事の際の立法の防衛庁のスタンスから見て、あの法律ができたところで、とても国連平和協力隊は派遣できなかったんじゃないか。あちらこちらにいろいろ調整していたら、時間切れになってしまっていたんじゃないかと思わせるような、日本の有事の際の立法の中身がこんなにほってあるということは実に意外な感じを持ち、これで日本の防衛ができるのかしらと。いろいろ自衛隊法、憲法九条の問題ありますけれども、ちょっと下におりて、現実的な対応の面でのこの規定のありようについての御感想をお尋ねします。
  267. 石川要三

    国務大臣(石川要三君) 今先生指摘のことにつきまして私も全く同感でありまして、確かに我が国の危機管理体制というものにつきましては、十二分に反省をして積極的に整備をしていかないと、将来の大変な問題になるというふうな先生の今の御指摘につきましては私も全く同感で、はっきり言いますと、この協力隊一つ終わりましたけれども、これで終わったということでなくして、やはり今後引き続いてそういうことについての努力はさらに一層やっていかなければいけない、かように今私ども自身も反省をしているわけであります。
  268. 高井和伸

    ○高井和伸君 終わります。
  269. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ほかに御発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会