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説明員(
大森政輔君) 変更しているかどうかということに関連しまして、若干私
どもの
考え方を申し上げたいと思います。
ただいま御紹介いたしましたような幣原
国務大臣の
答弁内容と申しますのは、要するに
憲法制定時においては、国連加盟に当たり兵力を提供するような形で
協力を行うことは
憲法九条との
関係で問題を生ずるとの
認識であったというふうに
理解しているわけでございます。
またその後、現実の国連加盟時にどう考えたかということについて若干申し上げますと、国連憲章に基づく国連軍と
憲法九条との
関係につきましては、我が国の国連加盟時にも加盟の前提として
議論が交わされたようでございます。その際には、国連憲章四十二条は、加盟国に兵力提供義務を確定的に負わせるものではなく、その
協力の
内容は特別協定を締結することによって行われるものであるから、特別協定の締結に際し兵力の提供を行わないことにすれば
憲法九条の問題は生じないということであったようでございます。
この
議論の前提は、特別協定において兵力をも提供することとすれば、
憲法九条との
関係で問題を生ずるとの
認識であった、当時はそういう
認識であったと私
どもは
理解しておりまして、その旨は
憲法調査会の
憲法運用の実際についての
調査報告書、これは第三
委員会担当部分のようでございますが、その
憲法調査会の報告書にもその旨述べられているところでございます。
なお、国連憲章七章に基づく国連軍への我が国の関与の仕方、参加の態様につきましては、先般の衆議院の特別
委員会の席上におきましても法制
局長官からしばしば御
答弁申し上げたところでございまして、その
答弁内容の要旨を念のため申し上げておきますと、現在検討中であり、その結果をいまだ明確に申し上げる
段階ではないということを前置きいたしまして、その実質的な
内容を御紹介いたしますと、従来から我が国の
憲法の解釈としては、一つ、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派遣は、一般に自衛のための必要最小限度の
範囲を超えるものであるから
憲法上許されない。二つ、集団的自衛権、すなわち自国と密接な
関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利について、我が国は
国際法上このような権利を有していることは、主権国家である以上当然である。その権利を行使することは、
憲法九条のもとで許容されている我が国を防衛するため必要最小限度の
範囲を超えるものであって
憲法上許されないということ。そうして三つ目といたしまして、国連の平和維持活動を行ういわゆる国連軍は、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、これに参加することは許されない。このようなことを従前述べてきておりまして、以上のような
憲法第九条の解釈適用の積み重ねから推論すると、その任務が我が国を防衛するものとは言えない国連憲章上の国連軍に自衛隊を参加させることについては
憲法上の問題が残る。他方国連憲章に基づく国連軍については、いまだ設けられたことはなく、その第四十三条の特別協定についてもいかなる
内容になるか不明であるので、将来国連憲章第七章に基づく国連軍の編成が現実の問題となる場合にその時点で以上のことを総合して具体的な判断をすべきものと考えると、このように法制
局長官から数回にわたって御
答弁申し上げたところでございます。