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説明員(
井嶋一友君)
千葉委員には、いつも検事任官者
不足問題について御
理解のある御
質問をいただいておるわけでございますが、現状の
認識といたしまして、現に任官者が減少してきているのかという問題がまずあるわけでございます。確かに本年度は二十八名という史上最低の任官者でございました。そういった
意味で大きな問題になるわけでございますが、長い目で見ました場合にどうかというふうになりますと、実はその前の年は五十一名任官しているわけでございます。来年はもう少しふえるだろうと
考えておるわけでございますが、そういったことで必ずしも一時的な減少が減少傾向だと言えるのかどうかという点がまずあるわけでございます。しかし、総じて言えば
委員御
指摘のようにやっぱり減少傾向といいますか、そういったものがあるのかなというのは私
どもも
認識をしております。
そこで、その原因はさまざまであろうと思うわけでございますが、また大きな一つのインパクトといたしまして、
司法試験が非常に現状が悪くなってまいって、御
指摘のように非常に高年齢化したということから、検事任官を志望する者にとりましても平均三十歳前後がこの修習終了時期ということになるわけでございますので、やはり任官するということに対するいろいろな
障害が高年齢というところからくるという隘路があるわけでございまして、そういった
意味で
司法試験制度改革の一つの重要な動機になっておることは御
指摘のとおりでございます。
しかし、それだけではないこともまた
濱崎調査部長が御
説明したとおりでございますが、それはそれといたしまして、
司法試験の
改革は
改革として緒についておりますので、それを進めてまいるということでございますが、それ以外に
委員御
指摘のような待遇の改善も必要であることは私
どもも同じ
認識でございます。
そこで、どういう問題があるのかということでございますが、やはり検事、
検察官の職務というのは非常に
国民の
人権を直接的に扱う
仕事でございますから、その職務の重要性と申しますか緊張度といいますか、そういったものが日常要求される職種でございます。そういった
意味で、非常に何といいますか、
検察官としての心構えというものが今の若い人になかなかマッチしてこないという問題がまず一つございます。
それから、職務の性質上
全国を規模とした転勤を行う必要があるということからしばしば転勤をするわけでございますが、それに伴いまして、子女の教育問題あるいは両親の世話の問題といったようなものがやはり若い
人たちの隘路になって、任官をちゅうちょするというようなことにもなる。さらには、一番卑近な例になるわけでございますけれ
ども、同僚であった、同期であった弁護士の収入と検事の収入とにやはり格差がある、その辺をどう
考えるのか、こういったところが
指摘できる
問題点かと思っております。
したがって、私たちはそういった
問題点につきまして一つずつこれを排除していくということが検事任官者をふやすための重要な政策だというふうに
考えております。
そこで、例えば初任給調整手当といったようなものの増額を図ることによりまして弁護士との収入格差を埋める問題、あるいは庁舎、宿舎を整備いたしまして弁護士の生活と近似するような生活環境を整備してやるといったような問題、あるいは執務の環境をよりよくいたしまして、ロイヤーとしての
検察官の誇りを保持できるような環境に整備してやるといった問題、それからさらには研修、特に海外研修等を充実いたしまして
検察官としての能力、資質の向上を側面的に図っていくといったような問題、もろもろございますが、そういった任官の隘路になっておる
障害を一つ一つつぶしていこうという政策を総合的に進めておるわけでございます。
委員の御
指摘はいつもありがたく思っておるわけでございますが、そういったことにつきましては私
どももさらに努力を重ねてまいりたいと思っておりますので御支援をお願いしたいと思います。