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諫山博君 高梨氏は中労委の公益
委員であって、国鉄の不当
労働行為事件を現に担当しています。国鉄問題の解決を図るために中労委に設けられた三者懇談会の構成員でもあります。
問題になっている高梨
委員の講演を読みますと、でたらめで一方的で誤りに満ち満ちており、全く無責任な放言です。高梨氏は「
日本共産党の基本的な戦略戦術」を解説しています。
日本共産党が、「経営の効率が悪くなればなるほど社会主義革命の展望が開ける」とか、「
労働者が怠けて経営を破綻させればさせるほど展望は開ける」と主張していると、こんな言い方をしています。こんなばかげた主張が
日本共産党の理論や政策のどこにありますか。これは政党批判の域を越えた公党に対する許しがたいデマであり、誹謗、中傷です。
中労委に係属しているJR事件についての高梨発言も許しがたいものであります。高梨氏は、国鉄の赤字の原因は運賃値上げの決定権を国会が握っていたためだとうそをついています。国労が短期間に崩壊したのは、雇用保障に最大のポイントを置かなかったからだと言っています。これは、JR事件を担当している公益
委員としては絶対に口にしてはならない言葉です。今中労委の審問で最大の問題になっているのは、国鉄当局が国労の組合を切り崩したのではないか、こういうことです。ところが、高梨公益
委員は、国労が自分の誤りのために自壊したもののような言い方をしています。これが公益
委員です。
しかも、高梨氏は、中労委が不当
労働行為救済命令を出すことに原則的に否定的です。「命令で労使関係が正常化した事件はほとんどない」、こう言い切っています。JR事件に関して、「中労委(命令)が出たらJRの労使関係がよくなると思っていません」、「命令を中労委が出せるかどうかです」、「命令を出した場合の壁は余りに厚過ぎてマイナスの結果の方が多い」、こう言っています。現に不当
労働行為事件を担当している公益
委員です。これは不当
労働行為救済という
労働委員会の本来の役割を否定する発言です。公益
委員としての本来の任務を放棄するに等しい放言だと思います。
JR事件の和解についての発言も驚くべきものです。地労委命令に基づいたのでは和解はできないと言っています。和解担当の公益
委員が、地労委の救済命令の重みを考えずに、救済命令から離れて和解を勧める、こう言っています。さらに重大なのは、JR総連や鉄産労、連合などの意見を聞かなければJR問題は解決できないと発言しています。鉄産総連の組合員を前にして、鉄産労や連合などが国労組合員の職場復帰に反対をすれば、中労委はこれを考慮せざるを得ないと言っているわけです。国労組合員の職場復帰反対をけしかけているようなものであります。
出向不当
労働行為の事件についての高梨発言、これも事件担当の公益
委員にあるまじき内容です。高梨氏は、「ローテーションがすんで元に戻っているもの」は申し立ての利益がなくなっているから、取り下げるのが当然だと言っています。「いかに取り下げさせるかということが
一つのポイントであります」、こういう発言もあります。出向という形で行われた不当
労働行為、これは今中労委で現に
審査中です。この問題について、ローテーションが終わってもとの職場に戻れば不当
労働行為はなかったのと同じことだ、こういう言い方をしているわけですよ。こんな発言をする公益
委員に、不当出向事件についての公正な審問が期待できましょうか。
高梨氏は結びのところで、「国労の本部からお叱りを受けそうですけれ
ども」と断りながら、次のように言っています。「国労の中央本部は下部の組合に対する指導力、統率力を失っているのではないか」、これはそのままの引用です。国労と対立、競合の関係にある鉄産総連の
労働学校において、国労本部を中傷しているんです。中労委の公益
委員が、申し立て組合の指導部に何
一つ根拠も示すことなく、あからさまな非難を浴びせているのであります。これは公益
委員としての資格が根本的に問われる発言だと言わなければなりません。
以上のような高梨発言は、
労働者と
労働組合に非常に大きな驚きと憤りをもって受けとめられています。高梨
委員は責任をとって
辞任せよ、
政府は高梨
委員を罷免すべきだ、こういう声が上がっているのは当然です。
私は、この場で高梨問題をどう処理せよとは言いません。しかし、高梨発言で損なわれた中労委の信頼を、
労働省は何らかの方法で回復すべきであります。内閣総理
大臣には、中労委の「
委員に職務上の義務違反その他
委員たるに適しない非行がある」と認めたときには、これに措置をすべき権限が与えられています。
労働大臣は高梨問題に適正、妥当な何らかの措置を講ずることを検討すべきだと思います。高梨問題に対する
労働大臣の所見と
方針を伺います。