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1990-10-17 第119回国会 衆議院 本会議 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二年十月十七日(水曜日) ─────────────
議事日程
第三号
平成
二年十月十七日 午後二時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続) ───────────── ○本日の
会議
に付した
案件
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
臨時行政改革推進審議会委員任命
につき同意を求めるの件 午後二時二分
開議
櫻内義雄
1
○
議長
(
櫻内義雄
君) これより
会議
を開きます。 ────◇─────
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
櫻内義雄
2
○
議長
(
櫻内義雄
君) これより
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
を継続いたします。
上原康助
君。 〔
上原康助
君
登壇
〕
上原康助
3
○
上原康助
君 私は、
日本社会党
・
護憲共同
を代表し、
総理
並びに
関係大臣
に当面する
重要課題
について、
社会党
の
見解
を明らかにしつつお尋ねいたします。
総理
、あなたの
土井委員長
に対する昨日の御答弁は、中身に乏しい極めて残念なものでした。(
拍手
)そこで、事の
重要性
から、
土井委員長
の質問と重複する面もあることを承知で、
総理
の所信をただすものであります。 戦後四十五年、今
世界
は明らかによりよい方向に動きつつあります。
ソ連
において
ゴルバチョフ
氏の登場以後なされてきた新
思考外交
による数々の
平和攻勢
、
ブッシュ米大統領
によってとられた
対ソ封じ込め政策
の転換、三十年ぶりに行われた中
ソ首脳会談
、電撃的な韓国と
ソ連
の
国交樹立
、冷戦のシンボルと言われたベルリンの壁の崩壊、それに引き続く東西ドイツの
統一実現
、このように
国際政治
の基軸であった
冷戦構造
が音を立てて崩れ去り、新しい
国際秩序
が構築されつつあります。 このような冷戦の終結と人類が待望した
緊張緩和
と軍縮の新時代を迎えつつある
国際情勢
の
歴史過程
で、確かに
我が国
は
世界
の
経済大国
として発展してきました。しかし、冷戦の終結と
緊張緩和
の推進のために
我が国外交
が果たした役割と実績には見るべきものがありません。今度の
中東湾岸危機
に当たっても、
日本
の主体的な
和平工作
はほとんど見られない状況であります。(
拍手
)その主な原因は、戦後この方、
我が国外交
が
アメリカ一辺倒
の
外交
に終始してきたからであります。米国との
友好関係
を維持発展させることはもとより重要でございますが、そのことと主体性のない対
米追随外交
とは根本から異なるものであります。米国が常に賢明に行動するとは限らないし、
対外政策
において
ベトナム戦争
を初め多くの面で汚点を残しております。 長い冷戦の時代の責任が
ソ連
とともに米国にもあったことは否定できません。超大国だけにすべてを任せるのでなく、
日本
みずからが新しい
国際情勢
に立脚した
外交哲学
と
平和外交
の
基本方針
を確立すべきではないでしょうか。(
拍手
) 私は、
日本外交
の
基本姿勢
として忘れてならないことは、
日本
のかつての
侵略戦争
によって三百万人余の
我が国
民のとうとい生命と、二千万人余に及ぶ
アジア民衆
に多大の犠牲と苦痛を与えたという厳然たる歴史的事実があることであります。豊かな
国日本
として
国際的脚光
を浴びている今日こそ、
アジア近隣諸国
や第三
世界
の国々の国民の心を温かく受けとめ、その冷徹なまなざしにこたえていくことこそ、ODAを含む
日本外交
の原点でなければならないと思います。(
拍手
)激変している新しい
国際情勢
のもと、今や
日本
の
外交姿勢
と援助のあり方を根本的に転換すべきだと考えます。その視点で
中東湾岸危機
の
平和的解決
に対処していくべきであります。
総理
並びに
外務大臣
の御
見解
を求めます。 次に、
日ソ関係
についてお尋ねいたします。
ノーベル平和賞
を受賞した
ゴルバチョフ大統領
が来年四月に訪日することが確定したこともあって、
日ソ関係
は今重大な段階を迎えようとしております。この好機を最大限に活用して、北方領土問題を初めとする日ソの
懸案事項
を解決促進するため、衆知を結果すべきであります。
総理
も
所信表明
で、明年四月に予定されている
ゴルバチョフ大統領
の訪日に大きな期待を持って歓迎したいと述べておられます。 ところが、最近の
海部内閣
の
外交
に珍妙な現象が次々と露呈し、
総理官邸抜き
の
多元外交
が展開されております。在京のある
西側外交官
の指摘によると、どうして
日本
の
外交
には「元」ばかりつくのかと首をかしげているようであります。現実は全くそのとおりです。中国へは竹下元首相、東南
アジア
へは渡辺元
政調会長
、去る
自民党訪ソ議員団
の団長に予定されていたのも安倍元
幹事長
、
政治生命
をかけて朝鮮
民主主義
人民共和国と韓国へ乗り込んでいかれたのも金丸元副
総理
でありました。 私は、
与党首脳
の
議員外交
を頭から否定しようとは思いませんが、内閣と与党とが一元的であるべき
外交
が、二元どころか多元的になっていることに懸念を抱くものであります。ましてや、重要な
外交案件
が、
政府
・与党の
派閥次元
での思惑が先行するとすれば、国益上ゆゆしき問題と言わねばなりません。 とりわけ、国民の前に明らかにしていただきたいことがあります。安倍元
幹事長
が去る七日、
同派研修会
で明らかにした日
ソ平和条約締結
に向けての
基本原則
に関する協定の骨子案なるものは存在するのかしないのか。
日ソ間最大
の懸案であり、
国民的課題
である領土にかかわる
重要外交案件
が、一派閥の
研修会
で手柄話的に公表されてよい道理はないのであります。 さらに重大なのは、
ソ連側
が安倍氏発言を全く理解できないと全面的に否定していることであります。慎重の上にも慎重を期さねばならない日ソ間の最
重要外交案件
が
政府抜き
で表ざたとなり、 せっかく芽生えつつある日ソの
信頼関係
や今後の北方領土の
返還交渉
に
日本側
が不利になるようなことがあれば、その責任は重大であります。
総理
の決意のほどを伺っておきたいと存じます。(
拍手
) 次に、
国連平和協力法案
についてお尋ねいたします。
政府
の
法案提出
がおくれた一事をもってしても、
国連平和協力法案
なるものがいかに急ごしらえで
泥縄式
に策定されたかがわかるのであります。今後の
審議過程
でこの
法案
の本質、
政府
・与党の意図がより明らかになっていくと思うが、結論を先に言うと、これは
国連協力
に名をかりた
自衛隊
の
海外派兵
への道を切り開こうとする、
戦争協力
を目的とした
有事立法
の何物でもないということであります。(
拍手
)
土井委員長
も厳しく指摘されたように、
憲法
上も
自衛隊法
上も断じて容認できるものではありません。
法案策定作業
の経緯も二転三転、いや、七転八倒の
醜態ぶり
を演じ、首相の当初のアイデアとは似ても似つかぬ巨大な
お化け法案
に変質してしまっております。
海部総理
、
ブッシュ米大統領
の要請にこたえるポーズをとったとはいえ、首相の
国連平和協力構想
は、
憲法
の枠内で非武装の
民間人
を非軍事的な
後方支援活動
に充てる、小火器が必要となるような場所には行ってもらわないというのが基本的な考えだと述べ、八月二十九日、第一回目の
中東貢献策
を発表した
記者会見
でも、
自衛隊
を海外に
派遣
することは考えていないと明言されたではありませんか。(
拍手
)それが首相の
国連
、中東五カ国歴訪の留守中に、先ほど指摘いたしましたとおり大きく変わってしまいました。聞き捨てならないことは、
自衛隊
の
補給艦
や
輸送機
などが出動途中または
派遣地
で攻撃された場合は応戦することができるとか、多
国籍軍
への
自衛隊
の参加が可能であるなどと、
政府筋
の物騒な発言にまでエスカレートしてきていることであります。
総理
、あなたはこのような
法案策定経過
をどう見ておられるのか、なぜ
総理
の当初
構想どおり
の
法案仕上げ
ができなかったのか、明確にしていただきたいのであります。(
拍手
) 最近の
国連
の
平和維持活動
は、イラン・
イラク戦争
、
アフガニスタン紛争
などの解決に見られるように、その役割と
調停能力
は国際的に高く評価されており、今回の
イラク
の不当な
クウェート侵攻
に対しても、いち早く
国連安保理
が行動を起こしたことも周知のとおりであります。このように、
国連
は、冷戦の終えんという
国際政治
の変化に伴い、
平和維持活動
に関する議論は極めて活発化いたしております。既に、
国連
に
平和維持活動
に関する
特別委員会
が設置され、同
委員会
は、昨年六月及び本年七月に
報告書
をまとめております。 それによると、
国連
の
平和維持活動
とは、
紛争当事国
の合意に基づき、その行動は
安保理
の決定に基づいて
国連事務総長
が総括し、非武装または
国連
が武装を求める場合でも小火器に限られ、
政治的中立
を保つために、
紛争当事国
や超大国を除いた
中立国
により編成されることが原則となっております。提出された
法案
の第一条にも、
国連平和維持活動
について言及してありますが、
国連決定
の四つの原則には合致せず、
国連
の
平和維持活動
への参加を装い、多
国籍軍
すなわち
米国支援
のための
協力法案
であることは明らかであります。(
拍手
) さらに、次の諸点についてもただしたいと存じます。 その一つは、
自衛隊
の
海外派遣
は、
集団的自衛権
の行使を禁じた
憲法
第九条に違反しないのかということであります。しかも、
総理
は、
所信表明
で「自分の国土への現実の脅威がないからといって座視すること」はできないと述べ、
日本
以外の脅威に対しても積極的にかかわっていくために
平和協力法
が必要だと強調しておられます。
総理
、事の重大さを御認識の上でのことだとは思うが、この論旨は、
日本
と
関係
のある外国に対する有事に際しても、
自衛隊
を組織ごと
派遣
したいということにほかなりません。そのような事態を想定したものであれば、
憲法
の枠内で武力の行使及び威嚇を伴わない
派遣
だと言ってみたところで、
集団的自衛権
の
行使そのもの
であることは火を見るより明らかであります。(
拍手
)このことは、専守
防衛
を基軸にしたこれまでの
我が国
の
安全保障
、
防衛
の
基本政策
から大きく踏み出すことになります。
政府
は、従来の
憲法解釈
や長年積み上げてきた安保、
自衛隊
にかかわる
統一見解
などを変更する考えなのか、明確な答弁を求めます。 また、
総理
がこの
協力法案
の
検討過程
で、
国連
の
集団的安全保障措置
という新概念を持ち出して、
武力行使
を伴う場合でも
自衛隊
を
国連軍
に派兵することが可能であるとの
憲法解釈
をしようとしていることは事実かどうか、明らかにしていただきたいのであります。(
拍手
)本気でそんな
憲法解釈
ができるとお考えですか、はっきりとお答え願います。 その二つは、
自衛隊法
との
関係
についてであります。これまでの
政府見解
は、
自衛隊
の
海外派遣
は
憲法
上許されないわけではないがと詭弁を弄し、だが法律上、すなわち
自衛隊法
上、任務、権限が規定されていないので
派遣
はできないと繰り返し答弁してきました。
政府
は従来のこの
見解
を変えるのか。この法律が制定されると、
自衛隊本法
を無視して隊員の
海外派遣
を可能にしようというのか。余りにもこそくな手段と断ぜざるを得ません。 その三つは、
指揮権
を
本部長
・
総理
に一元化したとされるが、
自衛官
の身分を残した併任のままの
派遣
となれば、
自衛隊法
第八条との
関係
はどうなるのか。さらに、
自衛隊
が実際に海外に
派遣
された場合に、
国際法
上、併任で通用するのかどうか。
自衛官
は国際的には軍人であり、
自衛隊
は
武装集団
としての軍隊となり、
平和協力隊
ということでは通用しないと思われるが、どうか。 その四つは、
自衛隊派遣
の場合の武器の携帯及びその使用についてであります。武装した
補給艦
や
輸送機
などの
搭載武器
の扱い及び
武器使用
はどうなるのか。小火器の範囲をどう限定するのか。使用できるのはどのような事態においてか。 その五つは、この
法案
と
国連憲章
とのかかわりについてであります。
政府
が
派遣
しようとする
協力隊
は、
国連
においてどのような
位置づけ
がなされるのか不明確であります。 以上五点について、
総理
並びに
関係大臣
の明確な御答弁を求めるものであります。(
拍手
)
総理
、
日本
の
平和主義国家
としての理念は、単に
憲法
上の問題にとどまらず、
歴史的戦争体験
に基づく国是であり、国家としての不動の
基本方針
でなければなりません。
日本
が
国連平和協力隊
を設け、
派遣
するにしても、
国連
を窓口にして、あくまで非軍事的な分野に限定すべきであり、
協力隊
の組織は、
総理
の当初
構想どおり
、
国土防衛
を任務とする
自衛隊
とは明確に区分すべきであります。この理念をベースにすれば、
国民合意
が得られるであろうし、与野党の共通の土俵もつくられると考えます。(
拍手
) 我が党も、
国連平和協力機構設置大綱
を策定し、
中東湾岸危機
を含む
地域紛争
に対する
日本
の
支援策
の
対案づくり
に着手しているところであります。
総理
、国の進路の根幹にかかわり、国論を二分し、多くの疑問や反発を受けているこの重たい
法案
を、
対外公約
を優先する余り、拙速かつ短期間でごり押しするようなことがあれば、悔いを千載に残すことになります。
総理
の率直な御
見解
をお聞かせ願いたいと存じます。(
拍手
) 次に、軍縮、
防衛
問題についてお尋ねいたします。
総理
も
所信表明
で述べておられるように、欧州を中心とする劇的な変化を受けて、
アジア
・
太平洋地域
にも好ましい動きが及び始めております。ところが、
政府
は、
アジア
には
地域紛争
の要因があるとか、十年ぶりに防白から
ソ連
の
潜在的脅威
を表現上は削除したが、
対ソ脅威
の基調は変えずに、
防衛力整備
は継続して必要とか、相変わらず 木を見て森を見ない態度に終始しております。要するに、
世界
の
緊張緩和
、平和の配当を、
我が国
を含む
アジア
において創造していこうとする姿勢が見られないということであります。
総理
、なぜ
我が国
が率先して
アジア
における
緊張緩和
の
積極的推進
、徹底した軍縮のための行動を起こそうとしないのですか。例えば、現在の
軍事状況
を前提としても、直ちに着手できることの一つとして、
信頼醸成措置
が考えられます。
ソ連
の脅威を声高に宣伝するのでなしに、
ソ連軍
との
信頼醸成措置
を速やかに講ずる対話を
軍事面
でも開始すべきであります。 去る九月、
極東最大
の
軍港ウラジオストク
を訪問した
米海軍司令官
は、現地において、
ソビエト海軍
はもはや我々の敵ではない、今後、
リムパック
は縮小されると明言しております。これほど米ソの
関係
は
軍事面
でも急激に接近しているのです。しかるに、
日本
の
自衛隊
は
ソ連
からの
交流招待
さえ拒否し、蚊帳の外に置かれているではありませんか。 艦船の
相互訪問
を初め、
ソ連軍
と
自衛隊
のハイレベルの交流、演習の
事前通告
や
相互視察
など、お互いの
不信感
を取り払う
信頼醸成措置
を早急に実現すべきであります。
信頼醸成措置
に向けての地道な努力を積み重ねながら、
アジア
・
太平洋平和保障機構
の創設を
日本
のイニシアチブで提唱すべきであります。ヨーロッパにおける
全欧安保協力会議
が着実に成果を上げつつあるとき、
アジア
においても、この種の
機構創設
は必要不可欠であり、
信頼醸成
の推進、核兵器及び
通常戦力
の
大幅削減
、
非核地帯
の設置、
地域紛争
の
平和的解決
などなど、
日本
がやり得る課題は幾らでもあるじゃありませんか。(
拍手
)
総理
、なぜ
日本
は
アジア
の一員として、もっと
アジア
における平和の創造を実現するために積極的な対話と行動を起こそうとしないのですか。御
見解
を賜りたいと存じます。(
拍手
) 次に、
防衛
問題についてお尋ねいたします。 今や、軍縮、
国防費
の削減が
世界
の常識となっております。
米ソ欧
の
具体例
を挙げてみましょう。 今年六月に、米国の
チェイニー国防長官
は、今後五年間で軍隊を八十万人、
研究開発費
も二〇%以上削減していく新しい
戦略枠組み
を明らかにいたしました。
米議会
は、九一年度の
国防予算
を二百八十億ドル削減する
法案
を可決しております。内容的には、新
戦略爆撃機B
2の
新規調達
の中止、新
戦略ミサイル
の
近代化計画
の凍結、
SDI研究開発費
の
大幅削減
、
海外基地
の撤収、
整理縮小等
が含まれております。今後も米国の
国防費
は削減の一途をたどるでありましょう。また、
欧州各国
も、ドイツや英国を筆頭に、
国防費
の
大幅削減
に着手しつつあることは周知のとおりであります。一方、
日本
の
潜在的脅威
とされる
ソ連
も例外ではありません。既に兵力の五十万
削減計画
に着手し、九〇年以降の
国防費
を年率八%以上削減していくとのことであります。
極東地域
における
ソ連
の
軍事力
も、
質量とも
に減少していくことはだれの目にも明らかであります。
総理
、これがマルタ後の
米ソ両国
を初めとする
世界
の
主要国
の軍縮への努力であり、
国防費削減
の現実の姿なのです。しかも、この傾向は、加速はしても逆戻りすることはあり得ないのです。
日本
の
防衛構想
も、常識的に考えて、この
世界
の大きな潮流に呼応させた徹底した見直しか再検討がなされてしかるべきであります。(
拍手
) 残念なことに、
政府
・
自民党
の
防衛政策
は、旧態依然として
防衛
を
聖域扱い
にし、
軍備増強路線
を堅持していこうとしております。次
年度概算要求
で若干の抑制をしたとはいえ、なぜ、最も突出した五・八%、二千四百三十億円も上積みをしなければならないのか、納得しがたいのであります。増額どころか、むしろ減額か、せめて今年度の額で凍結すべきというのが
国際並み
であり、国民の常識でありましょう。(
拍手
) 特に、指摘しておかねばならないことは、
中期防衛力整備計画
は
最終年度
となっており、この計画の達成によって、
防衛計画大綱
に見積もられている
防衛力整備
の水準に
質量とも
に到達できるというのがこれまでの
政府
の説明であったはずであります。だとすれば、
冷戦終結
後の新しい
国際秩序
、
枠組み
をどう認識し、その上で、確かな
防衛哲学
に基づくビジョンを示した上で、
次期防
の可否を検討していくのが筋道であります。しかるに、
政府
は、
防衛費
だけ
概算要求
の形で先取りし、
次期防
の
初年度的位置づけ
をしようとしております。 一体、
次期防
は何を
基本理念
にして策定しようとしているのか。計画の全貌はおろか、その理念も骨格さえ明らかにされないまま、またもや二十三兆五千億円近い巨額の
防衛費支出
を長期にわたって固定化していこうとすることは、国際的な軍縮の潮流に全く逆行する
軍拡路線
だと断ぜざるを得ません。(
拍手
)
総理
、
自民党
内にさえ、来年度
防衛予算
の今年度
並み凍結
と
次期防策定
を先送りすべきだとの有力な提言があったことを忘れてはなりません。我が党は、一九九〇年代を軍縮十年と
位置づけ
、
防衛費
の凍結、削減を着実に実施していくべぎだと考えます。
政府
は、
次期防
の策定を思いとどまり、各種の新規重
装備取得計画
を取りやめ、
FSX
、
SDI
などの
共同開発
を再検討すべきであります。
総理
並びに
関係大臣
の所見を伺うものであります。 次に、
沖縄
問題はついて若干の質問をいたします。 一九七二年の五月に
沖縄
の
施政権
が返還されてから満十八年が経過いたしました。戦前、戦中、戦後と言語に絶する多くの苦痛と困難を乗り越えて、今日の
沖縄
は、
社会資本
の
整備拡充
を中心に本土との格差も是正されつつ一定の発展を遂げ、落ちつきを取り戻しつつあります。この間の
政府
の御配慮にも深い敬意を表するものであります。 しかしながら、太平洋戦争の惨禍と、戦後二十七年間の長さにわたって本土と分断され、
米軍支配下
にあったことから、今なお未収集の遺骨、大量の
不発弾
の埋没、
厚生年金
などの
格差是正
を初めとする戦後処理や、解決していかねばならない諸問題は山積いたしております。特に、
在日米軍専用基地
の七五%が狭い
沖縄
に集中し、県民は、基地の重圧に耐えながらの
日常生活
を余儀なくされている実情にあります。当然のことながら、広大な
米軍基地
の存在は、
沖縄
の
土地利用
、経済の
振興発展
に大きな障害となっております。
海部総理
は、本年六月二十三日、
現職総理大臣
として初めて
沖縄
県の慰霊の日に参列され、
戦没者
のみたまを慰められ、戦中戦後の苦難の歴史を歩んできた
沖縄県民
に、申しわけありませんでしたと肉声で述べてくださいました。私は、
総理
のこの真摯な態度に対し、心からの敬意を表するものであります。 そこで、次の諸点をお尋ねいたします。 その一つは、
沖縄
の現状からして、第二次振計に引き続き第三次振計は必要不可欠だと考えますが、
政府
の決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。 その二つは、米国も
沖縄
の基地の
整理縮小
を進めることを明らかにしており、去る六月十九日に、日米間でも相当規模の基地の返還、
縮小計画
が決定されました。これらの
具体化
がどうなっているのか。
那覇軍港
、
嘉手納マリーナ
、
読谷飛行場
など、今後の
沖縄
の
米軍基地
の抜本的な返還、縮小をどのように進めていかれるのか。 その三つは、返還後の
跡地利用
の促進、返還に伴う
労働者
の雇用の保障、
対策等
についても
政府
の責任ある施策が伴わねばならないと考えます。 その四つは、
沖縄
全
戦没者
の慰霊の日を県民の期待にこたえて
従前どおり
休日とするため、
地方自治法
を速やかに改正していただきたいことであります。
総理
並びに
関係大臣
の御
見解
を求めるものであります。(
拍手
) 以上、
総理
の
所信表明
とも関連させて、
外交
、
防衛
、
国連平和協力法案
を中心に質問を行ってまいりました。 終わりに当たって、
政府
並びに
自民党
内には、
中東湾岸
の
紛争地域
に金だけでなく人を、つまり
自衛隊
を送らなければ
国際世論
が納得しないとの声も強いようだが、そもそも
国際世論
とは何を指すのか。
世界
のどれだけの国々の人々が
日本
に
軍事的貢献
を本当に求めているのだろうか。どの国のだれが、いつ、どこで、
我が国
に中東の
湾岸地域
へ
日本
の
自衛隊
を
派遣
してくれと要請してきたのか、明らかにしていただきたいのであります。(
拍手
)
イラク
で人質になって苦しんでおられる邦人の皆さんも、
自衛隊派遣法
ができると帰国はますます難しくなると悲痛な叫びで訴えておられることを、
政府
は
御存じ
ないのですか。
総理
、内外の
マスコミ論調
を見てもわかるとおり、世論の動向は国際的にも国内的にも、
平和国家日本
の果たすべき
国際貢献
は、
自衛隊
の
組織的派遣
などではなく、あくまで
経済援助
を中心とする非
軍事的分野
に限定すべきというのが圧倒的であります。(
拍手
)そして、心すべきことは、中国、韓国、シンガポールなど
アジア
の諸国から出始めている
自衛隊
の
海外派遣
に対する強い
不快感
と懸念に、どうこたえていこうとするのかということであります。
政府
及び
自民党
内にも
協力法案
への
慎重論
が強いことを
御存じ
でしょう。特に注目に値するのは、与党の
閣僚経験
のある有力な方々が、
自衛隊
の
海外派兵
に道を開こうとしていることに強い懸念を示し、警鐘を乱打していることであります。(
拍手
)
総理
、あなたは
所信表明
で、
日本
は今戦後最大の試練に立たされていると強調されましたが、最大の試練に追い込まれているのは、
海部総理
御自身ではありませんか。(
拍手
)かつて
中曽根内閣時代
に、
文字どおり
みずからの名誉と職を賭して、ペルシャ湾への
自衛隊
の
掃海艇出動
を阻止した元
官房長官
の
政治家
としての気迫と勇気ある信念を見習うべきであります。(
拍手
)
海部総理
、国の命運を左右する重大な
政策決定
とみずからの
政権保持
を
てんびん
にかけることは、国民を不幸に追い込む政治の邪道と言わねばなりません。(
拍手
)ましていわんや、
海部総理
が師と仰ぎ、議会の父として
日本
の進路を誤らしめないために
政治家
として燃焼し切った三木元
総理
のまな弟子を
任ずる
ならば、
文字どおり
おのれを無にして不退転のリーダーシップを発揮すべきであります。その勇気と決断を強く求めて、私の質問を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣海部俊樹
君登壇〕
海部俊樹
4
○
内閣総理大臣
(
海部俊樹
君)
上原議員
にお答えを申し上げます。
東西対立
、
冷戦
を乗り越えて、
世界
が大きく変わりつつあるとおっしゃる
指摘
は、そのとおりだと思います。そうして今、体制の異なる
国々
がそれぞれ、自由と
民主主義
と
市場経済
を基礎として、新しい協調と
対話
による
世界平和構築
の流れが
現実
のものとなりつつあります。私は、そういう
世界
の新しい
秩序
を求めていこうとする
動き
の中で、
日本
は積極的にその
役割
に
参加
をしていかなければならないと
考え
ます。そういった時期に、新しい
過渡期
に特有の
不安定性
と不
確実性
を内包しておる、
イラク
の
クウェート侵攻
は、この典型であります。 私は、平和とは
国際社会
を構成しておる
各国
がそれぞれ力を結集して守っていくべきものであり、
平和国家
というのは平和を守る
責任
を果たす用意のある国であると
考え
ておりますから、平和を希求する
日本
としては、みずからの
責任
と
役割
を自覚をして、この
世界
平和に向かってでき得る限りの
努力
を続けていこうと
考え
ております。
我が国
の
アジア
に対する
援助
のあり方についてもお触れになりましたが、
我が国
の開発
援助
は、相互依存と人道的考慮という基本的な
考え
方に基づいて、開発途上国の
経済
発展
、飢餓と貧困の救済、
国民
生活の向上への貢献を目的とし、その自助
努力
を支援するために行っておるものであります。この開発途上国の民生の安定、福祉向上へ向けて支援を行うことは、
日本
を含む
世界
の平和と繁栄にも不可欠な問題であると
考え
ておりますから、今後とも心のこもった協力の実施に努めていきたいと
考え
ております。 いわゆる日ソ平和条約に関する
ソ連側
の案のことについてもいろいろ御
指摘
がありましたが、御
指摘
の
ソ連側
提案については、
外交
ルートにて
ソ連
外務省の立場を公式にただしましたところ、先方よりは、
日本側
にいかなる文書の案文も手渡されたことはないとの
ソ連
外務省の十月八日の
記者会見
での
発言
のとおりであり、これにつけ加えることはない旨の回答を得ております。
日ソ関係
については、明年四月に
ゴルバチョフ大統領
が訪日をされます。そのことは、シェワルナゼ
外務大臣
の先日の来日のときに、私との会談においても確認をしており、
政府
としては、
国民
世論
の一致した支援を背景にして、この訪日を
日ソ関係
の抜本的改善の重要な契機としたいと
考え
ております。
国連
平和協力法
については、
我が国
がその地位にふさわしい
責任
を果たしていくとの観点から、国際の平和及び安全の維持のために
国連
が行う決議を受けて行われる
国連
の
平和維持活動
その他の活動に対して、
平和協力隊
の
派遣
及び物資協力を行う体制を整備することを基本としておるものでありまして、
我が国
の国際的
責任
に見合った貢献を果たしていくために、その実施体制につき
政府
部内で慎重に熟慮し
検討
をした結果が提案をしたこの
協力法案
でございます。
平和協力隊
が行う平和協力業務の実施は、
武力
による威嚇または
武力
の
行使
に当たる行為は行わないという
憲法
の
基本原則
の枠内で行われることが前提でありまして、したがって、
国連
平和協力法
のもとで行われる
自衛隊
のいわゆる
海外派遣
というものは、
集団的自衛権
の
行使
を禁じた
憲法
に違反するといったものではないと
考え
ております。
集団的自衛権
に関する
憲法
の解釈及び
自衛隊
のいわゆる
海外派兵
に関する
政府見解
を変更することは
考え
ておりません。
国連憲章
第七章の措置に対する
国連
平和協力法
のもとで想定される態様以外の協力のあり方については、将来の問題として研究を行っておりますが、いずれにせよ、
集団的自衛権
に関する
憲法
の解釈の変更は
考え
ておりません。
国連平和協力隊
を
派遣
するにしても、
社会党
の
国連平和協力機構設置大綱
をという御
見解
であります。詳細を
検討
させていただこうと思いますが、国際の平和と安全のための活動に適切かつ迅速に協力するためには、
自衛隊
が長年にわたって蓄積してきた
組織
的な機能を活用して
平和協力隊
が行う平和協力業務に
参加
させることが適切であると
考え
、
参加
することができるようにしたものであります。 一般に、適切な
政治
的な環境が存在する地域において、例えば
アジア
・
太平洋平和保障機構
の
創設
の御提案もありましたが、
安全保障
や平和に対する国際機構をつくることは、その地域の平和と安定に資するものと私も認識をいたします。 ただ、
アジア
・
太平洋地域
は、朝鮮半島における南北の対峙、日ソ間における北方領土問題及びカンボジア問題等、依然として
政治
的対立、紛争が未
解決
であり、遺憾ながら、まだかかる機構を
創設
して包括的に討議を行っていく環境が整っているとは言えません。
我が国
としては、
アジア
の一員として、同地域との友好、協力
関係
の増進のため、まず個々の
政治
的対立や個々の紛争の
解決
に向かって
努力
していくことが重要であると
考え
ておりまして、先般のカンボジア東京
会議
の実現とか、今般の
国連
総会の際の
アジア
・太平洋外相会合の開催を初め、二国間及び
国連
など多数国間の
外交
努力
を続けてきたところでありますが、今後とも、
アジア
・
太平洋地域
の平和と安定を図る ため、できる限りの
努力
を行っていく方針でございます。
防衛力整備
についてお触れになりました。 現在
我が国
は、
防衛
計画
の大綱に従い
防衛力整備
を進めておりますが、この大綱は、
米ソ両国
の
関係
を
中心
に国際
関係
安定化のための
努力
が続けられているとの認識のもとに、
憲法
の許容する自衛のための必要最小限度の範囲内において、
我が国
が平時から保有すべき
防衛
力の水準を示したものであります。
平成
三年度以降の
防衛力整備
については、この点も考慮し、その具体的内容について、大綱の取り
扱い
を含め、
国際情勢
及び
経済
財政事情等を勘案しつつ、
安全保障
会議
を
中心
とする適切な文民統制のもとに逐次
検討
を続けてまいります。 いずれにしても、
憲法
及び専守
防衛
の基本的
防衛政策
に従うとともに、昭和五十一年の閣議
決定
の節度ある
防衛
力の整備を行うという精神を引き続き尊重することは言うまでもありません。
沖縄
県の問題にもお触れをいただきましたが、
沖縄
の
慰霊
の日を休日として存続するためのことですが、これは御意見の趣旨を踏まえて
検討
していこうと
考え
ております。
我が国
は、戦後、平和
憲法
のもと、他国に
脅威
を与えるような軍事
大国
にならないとの方針を堅持してきております。これは国際的にも広く受け入れられておると認識しております。したがって、
世界
のいずれの国からも
武力
の
行使
または
武力
による威嚇を伴うような
自衛隊派遣
を求めているとは、私も承知しておりません。
我が国
は
平和国家
として、
我が国
なりに平和のための国際
責任
を分担していく所存であります。 なお、
アジア
諸国
の
懸念
に対しては、これは十分に留意をし、
歴史
の反省に立って、二度と他国に
脅威
を与えるような軍事
大国
にはならないとの基本的な方針は変えておりません。したがって、今次
法案
の
検討
においても、
アジア
諸国
に対して何ら
懸念
を抱いていただくような
武力行使
を伴うような行為に
参加
しようとは思っておりません。しかも、平和を守らなければならぬという
国連
の意思に従って、
国連
の
安全保障
理事会の決議に従った
行動
に協力をするわけであります。この
国連
の
安全保障
理事会には
中国
も常任理事国として
参加
をし、
アジア
の代表も二カ国加わっての理事会の決議に従った
行動
でありますから、このことについてはあらゆるレベルで
アジア
の
国々
に十分説明をし、
懸念
を解いてもらうよう理解を求めていく
努力
をしていくつもりであります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
をいたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣
中山太郎君
登壇
〕
中山太郎
5
○
国務大臣
(中山太郎君)
上原議員
にお答えを申し上げます。 激変する
国際情勢
のもと、
日本
の
外交姿勢
を転換する時期にあると
考え
ている、この視点で
中東湾岸危機
の
平和的解決
のためにどのように対処していくかというお尋ねでございます。
世界
が
歴史
的な変革期に到達をしました。
国際社会
が新たな
秩序
を模索している
状況
のもとで行われた今回の
イラク
の
軍事力
によるクウェートの侵略というものは、明白な
国際法
の違反でございまして、
国際社会
への挑戦であり、
中東
地域の平和と安定、ひいては国際の平和と安定を破壊するものとして、容認できるものではありません。 本件問題の
解決
に当たりましては、第二次
世界
大戦後激しく対決をしてまいりました
米ソ
が、対立から
対話
、そして協力をするという
時代
になり、
国連
の
安全保障
理事会においては、すべての
参加
国がこの決議を満場一致決議をするという
事態
のもとで、
イラク
に対する
経済
制裁の実効性を確保することにより、
イラク
のクウェートからの撤退、クウェート正統
政府
の復帰及びすべての外国人の解放と自由な出国を実現することによる
事態
の公正かつ平和的な
解決
の道を粘り強く追求していくことが重要であると
考え
ております。平和を希求する
日本
としましても、このような方針のもとで、
湾岸地域
に真の平和が達成されるよう、
国連
を
中心
とする国際的
努力
を支持し、最善の
外交
努力
を行っていく所存であります。 次に、
平和協力隊
に
併任
となった
自衛隊
が
海外
に
派遣
された場合、国際的には
軍隊
なのだから、
平和協力隊
ということで他国の理解を得られるかというお尋ねであります。
国連
平和協力法
は、
我が国
がその地位にふさわしい
責任
を果たしていくとの観点から、国際の平和及び安全の維持のために
国連
が行う決議を受けて行われる
国連平和維持活動
そのほかの活動に対し、
国連平和協力隊
の
派遣
及び物資の協力を行う体制を整備することを基本目的とするものであります。 もとより、
自衛隊
の
海外派遣
といいましても、これは通信、医療、輸送といったような非戦闘部隊であり、また、
我が国
が
国際社会
において果たすべき国際的な
役割
の大きさにもかんがみ、何が現在求められているものであるかを慎重に考慮した結果、今回の
法案
のような内容となったものであります。 いずれにいたしましても、
国連
平和協力法
の趣旨を
アジア近隣諸国
に対し十分な説明を行い、理解を求めていくことが
日本
としては不可欠なことであると
考え
ております。 次に、
自衛隊
が
派遣
される場合、
武装
した
補給艦
や
輸送機
等の
武器
の
扱い
及び小
火器
の定義、さらにどのような場合に
使用
できるのかといったような基準を明確にすべきではないかというお尋ねでございます。
平和協力隊
が行う平和協力業務に
参加
して、
自衛隊
が船舶、航空機により輸送を行う際、若干の
武器
が装備されている場合に、これを取り外すことはないといたしましても、これらの船舶、航空機が攻撃を受けるようなことのないよう、その時点での
国際情勢
等を十分勘案して、輸送のための航路の選択等輸送態様については万全を期することになると理解をいたしております。(
発言
する者あり)
櫻内義雄
6
○
議長
(
櫻内義雄
君) 静粛に願います。
中山太郎
7
○
国務大臣
(中山太郎君)(続) 小
火器
といたしましても、けん銃及び小銃は想定されており、その
使用
は厳に自己または他人の
生命
または身体の防護のためやむを得ない場合に限られることが
国連平和協力法案
第二十七条に規定をされております。 次に、
平和協力隊
は
国連
においてどのような
位置づけ
がなされるのかというお尋ねでございます。 御
質問
の趣旨は必ずしも明らかではありませんが、例えば
平和協力隊
が
国連
の
平和維持活動
に
参加
する場合は、通常
国連
と
派遣
先国との間で行われる取り決め等において
国連
に与えられる待遇が
参加
する
平和協力隊
にも与えられることになると思われます。 次に、去る六月十九日に
決定
されました在日
米軍基地
縮小計画
の
具体化
はどうなっているのか、また
那覇軍港
、
嘉手納マリーナ
、
読谷飛行場
などの
沖縄
の
米軍基地
の抜本的な
返還
、
縮小
をどのように進めるのかというお尋ねでございます。
政府
といたしましては、
沖縄
県におきまして米軍施設、区域の密度が特に高いことは十分承知をいたしております。これまで
沖縄県民
の方々に大変御苦労をかけ、御理解と協力を得てまいりましたことは、
政府
といたしましても感謝をいたしております。 本年六月、西銘
沖縄
県知事がリゾート地域開発上強く
返還
を求めておられました施設を含む二十三の事案、面積でおおむね千ヘクタールについて、
返還
に向け
日米
双方が所要の調整手続を行っていくことが確認をされましたことは一歩前進であり、地元
県民
の方々の要望に相当程度こたえ得る成果を得ることができたものと
考え
ております。 本件
検討
結果の具体的実施に当たりましては、土地所有者の意向確認等、
返還
のための
関係
者間 の調整が必要となりますほか、各
案件
ごとに
日米
合同
委員会
における
返還
のための通常の手続を経て実施されることになります。今後とも、
沖縄
県におきます施設、区域の整理統合に対する
県民
の方々の御要望も踏まえ、引き続き米側と調整をしていく方針でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
石川要三君
登壇
〕
石川要三
8
○
国務大臣
(石川要三君) 私に対する御
質問
にお答えいたします。 まず、
国連平和協力法案
における
指揮権
についてでございます。
平和協力隊
が行う平和協力業務に
参加
する
自衛隊
の部隊等は、
自衛隊
の
組織
である以上、制度的には
防衛
庁長官の指揮下にございます。ただ、
国連平和協力法案
においては、
自衛隊
員の身分をあわせ有する
平和協力隊
員は、平和協力業務については
本部長
の指揮監督に服すると規定しております。したがいまして、この限りにおいて
本部長
のもとに
指揮権
の一元化が図られていることになると
考え
ております。 次に、日ソ間の
信頼醸成措置
についてでございますが、日ソ間における艦隊の
相互訪問
、演習への相互招待等については、現在のところ具体的な
検討
は行っておりません。ただ、一般論として申し上げれば、
ソ連
と欧米
諸国
間の
信頼醸成措置
については、長年にわたる
歴史
的な話し合いの積み重ねが存在しており、
政治
的な問題の
解決
が先行してまいりました。日ソ間の
信頼醸成措置
についても、このような観点を踏まえ、
日ソ関係
全体の中での
位置づけ
に留意しつつ、具体的な事案に即してその対応を
考え
ていくべきものと
考え
ております。 次に、
次期防
などの再
検討
に関連しての御
質問
にお答えいたしますが、まず、
防衛力整備
というものは、具体的な中期的見通しに立って
計画
的、継続的に進めていくことが合理的であると
考え
ております。
次期防
については、このような観点から、
国際情勢
、軍事技術の動向、
経済
財政事情等を勘案しつつ、
安全保障
会議
を
中心
とする適切な文民統制のもとに、遅くとも
平成
三年度の予算編成までに
決定
すべきものと
考え
ております。その際、
国際情勢
の流動性等も考慮した
計画
とすることが望ましいことは事実でありますが、いずれにせよ、
計画
の
策定
の中止については、
防衛
力の整備というものの性格上いかがなものかと思っております。
FSX
共同開発
につきましては、
日米
安保
体制の効果的運用に資するものであり、
日米
間の
共同開発
の試金石として、今後の
日米
の協力
関係
を
発展
させる観点から重要でございます。今後、
日米
間の密接な協力によって、
日米
双方のすぐれた技術を結集し、優秀な支援戦闘機が開発されることを
期待
しております。したがいまして、再
検討
する必要はないものと
考え
ております。
SDI
研究
計画
につきましては、その基本的な
考え
方は、軍備管理・
軍縮
交渉
努力
と並行しつつ、非核による高度の
防衛
システムについて研究を進め、究極的には核兵器を廃絶しようとするものであり、
我が国
の
平和国家
としての立場に合致するものであると認識をしております。この研究
計画
は、
日米
政府
間の協定に基づき、
我が国
の企業が自主的判断により
参加
しているものでありますが、
政府
としては、
我が国
の
SDI
研究
計画
への
参加
についての方針も再
検討
する必要はないものと
考え
ております。 最後に、
沖縄
県における米軍の施設、区域の整理統合
計画
の実施に当たりましても、その
基地
で働く従業員の雇用の安定につき、
最大
限の
努力
を今後していく所存であります。 以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣
木部佳昭君
登壇
〕
木部佳昭
9
○
国務大臣
(木部佳昭君)
上原議員
にお答えをいたします。
沖縄
開発庁は、
本土
復帰以来十八年にわたり一次、二次の振興開発
計画
に基づき、
本土
との
格差是正
と自律的
発展
を目指し、
沖縄
の振興開発を進めてまいりました。その結果、
社会資本
の整備などを
中心
にいたしまして大きく前進し、
本土
との
格差
は次第に
縮小
されるなど、
沖縄
の
経済
社会は総体として着実に
発展
してまいりました。しかしながら、水の確保の問題など、生活、産業基盤の面ではなお整備を必要とするものが多く見られるとともに、産業振興や雇用の問題など
解決
しなければならない多くの問題を抱えております。 二次振計は、残すところ一年
余り
になっていることから、二次振計後の
沖縄
開発のあり方について
検討
いたしていく必要があります。そのため、本年七月には、振興開発
計画
に基づきこれまでの十八年間に実施されました諸施策及び事業全般について総点検を実施いたしているところであります。さらに、
沖縄
振興開発審
議会
においても、現在、鋭意二次振計後の
沖縄
振興開発のあり方について総合的な
検討
を行っているところであります。 なお、次期
沖縄
振興開発
計画
の
策定
につきましては、今後
沖縄
県の意向、
沖縄
振興開発審
議会
の審議結果等を踏まえて判断いたしてまいる所存であります。 また、米軍施設、区域の
跡地利用
につきましては、二次振計において「産業の振興、生活環境の整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策を
推進
する。」とされております。
返還
跡地の有効利用を図るため、
沖縄
県において、市町村が地元住民や土地所有者の意見を十分しんしゃくの上、
跡地利用
計画
を
策定
することを積極的に指導していると聞いております。
沖縄
開発庁といたしましては、地元の
跡地利用
計画
が固められたものについて、従来から高率の国庫補助による土地区画整理事業や土地改良事業を導入してきたところであり、今後ともこれらの事業等を積極的に
推進
し、跡地の有効利用を図ってまいりたいと
考え
ております。 なお、今日まで
県民
の皆様がこの
沖縄
振興に対して御協力をいただいたことにつきまして心から感謝を申し上げ、
答弁
といたします。(
拍手
) ─────────────
櫻内義雄
10
○
議長
(
櫻内義雄
君) 不破哲三君。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 〔不破哲三君
登壇
〕
不破哲三
11
○不破哲三君 私は、
日本
共産党を代表し、
中東
情勢及びこれに対する
日本
の対応について
総理
に
質問
するものであります。
イラク
のフセイン政権のクウェートに対する侵攻と併合が、民族自決の権利と平和の諸
原則
を踏みにじった侵略行為であることは明白であります。さきの第二次
世界
大戦も、ヨーロッパではヒトラー・ドイツとイタリア・ファシズムの、
アジア
では
日本
軍国主義の隣国に対する侵略や併合から始まったことを、私たちは今思い起こす必要があります。しかも、
イラク
のフセイン政権は、侵略開始の瞬間にさまざまな理由で
イラク
及びクウェートに滞在していた諸外国の一般市民を人質とする、ここには今なお百七十大人の
日本
人が含まれていますが、こういう極めて野蛮な手段に訴えました。これも、人道と
国際法
に背く絶対に許すわけにいかない無法行為そのものであります。(
拍手
) この
イラク
の侵略をいかなる手段をもって打ち破り、問題の公正な
解決
をかち取るか、ここに、今日
世界
が直面している重大問題があります。 現在、
中東
では、化学、生物兵器を持ち、湾岸の油田すべてを破壊すると公言している約百万の
イラク
軍に対して、核
武装
を整えた米軍を
中心
に、便宜的に多
国籍軍
と呼ばれている
各国
数十万の
軍隊
が対峙しています。事が軍事的手段での
解決
という方向に進んだら、それが長期かつ大規模の戦争となることは避けられません。
中東
の全域が戦火で覆われ、無数の人命が犠牲になるばかりでなく、
経済
面での破局的な影響は全
世界
に及ぶでしょう。特に
日本
は、石油の七〇%近くを
中東
からの輸入に頼っている国であり、戦火に伴う被害が、七〇年代の二度にわたる石油危機などとは 比べ物にならない大きなものとなることは疑いありません。当時は、実際の原油の輸入量はほとんど減らなかったのに、便乗値上げを含む物価の高騰と物不足で
国民
生活が締め上げられたものでした。今度は、石油の値上がりに加えて、輸入の激減や
経済
の混乱が
日本
経済
を直撃することは必至であり、それは
国民
の暮らしの全体に重大な打撃を与えるものとなるでしょう。 今日、
世界
の平和のためにも、
日本
の
国民
の生活の
保障
のためにも、
世界
と
日本
の大多数の人々が願っているのは、大戦争につながるような軍事的
解決
への道を封じ、正義の
国際世論
で侵略者を大きく包囲しながら、問題の平和的な
解決
に全力を挙げることにあります。(
拍手
)この基本
態度
について
総理
の
見解
をまず伺いたいのであります。
国連
が
イラク
の侵略を直ちに糾弾するとともに、八月六日以来、貿易や
経済援助
の禁止など
イラク
への
経済
制裁の一連の措置を
決定
してきたことは、こうした意味からも極めて重要であります。大戦争への危険を回避するためには、この
経済
制裁の段階で侵略者を徹底して追い詰めることがかぎであります。(
拍手
) ところが、
現実
には、せっかく
国連
で決めた
経済
制裁の措置が十分な効果を発揮していません。
最大
の問題は、この
経済
制裁の実施に当たって大きな抜け穴があいていること、なかんずく、
国連
の
決定
に最も
責任
を負うべき諸
大国
がその抜け穴にかかわっていることであります。実際、
ソ連
が、今なお百数十人の軍事専門家を
イラク
に残して、
イラク
軍の軍事的な教育や訓練に当たり、五千人を超える
経済
技術
関係
者が、既に契約済みだからという理由で協力活動を続けていることは、
ソ連
の当局者自身が認めているところであります。 西側の
大国
についても、イギリスの新聞ファイナンシャル・タイムズは、サダム、つまりフセイン政権の陣地構築物を建設するイギリス企業の矛盾という記事を載せて、一連の英国企業がイギリス外務省の直接の指示のもとに、軍事的なプロジェクトの建設を含む
経済
活動に今なお従事していることを告発しました。アメリカの新聞ニューヨーク・タイムズも、ブラジル経由でアメリカの、ミサイル技術や核兵器情報が
イラク
に流れている事実を
指摘
して、こうした
関係
を断ち切らない限り、米政権は対
イラク
貿易、とりわけ兵器面でのかたい輸出禁止を
世界
に説得する資格がないと書きました。これらの内部告発が事実であるとすれば、さきの
ソ連
の
援助
継続行為と同様に、
国連安保理
事会の常任理事国である
大国
が、事実上の
イラク
援助
を続けて
経済
制裁の措置の有効な実行をみずから損なっているということにほかなりません。
総理
は、昨日来、
国連安保理
事会の
決定
の
重要性
を繰り返し強調しましたが、本当に
国連
の
決定
を尊重するのなら、相手がどのような
大国
であろうと、
国連
の措置を無効にするこのような脱法的な
行動
はやめさせて、
経済
制裁の
決定
を真に効果的なものにするために、当然積極的な
外交
的
努力
を払うべきだと思います。(
拍手
)
国連
の
演説
などを見ても、この面での
日本
政府
の
努力
は見られません。
政府
がこうした問題をどのように認識し、どのような
態度
をとってきたのか、
答弁
を求めるものであります。 今、
中東
と
世界
の平和にとって重大な問題は、
経済
制裁のこうした不徹底な状態が放置されたままで、軍事的な手段による問題の
解決
という方向が危険な底流として準備されつつあることであります。そして、私がまず
指摘
したいのは、
政府
がこの国会に提出した
国連平和協力法案
なるものは、
国連
が
決定
した
経済
制裁などに協力することを内容としたものではなく、
国連
のいかなる機関も
決定
していない大戦争の危険につながる軍事的
解決
の企てに協力することを内容としたものだということであります。(
拍手
)
政府
は、最初から多
国籍軍
への支援を
中東貢献策
の
中心
に据えてきました。この多
国籍軍
とはいかなる
軍隊
でしょうか。デクエヤル
国連事務総長
が明言しているように、これは
国連
の決議による
軍隊
でもなければ、
安保理
事会を初め
国連
のいかなる機関の指揮統制下にある
軍隊
でもありません。この区別を明確にすることは、今日、特別に重要であります。ところが、先日、公式のテレビ放送に出席した
政府
代表は、多
国籍軍
があたかも
国連
決議に基づく
軍隊
であり、
安保理
事会がその軍事
行動
を支持する
決定
を行ったかのような言明をしました。
国民
を偽るこのような無
責任
な
発言
はやめさせるべきではありませんか。
現実
には、多
国籍軍
の主力をなしているのは二十万を超えるアメリカ軍であって、ブッシュ大統領は、この米軍の
指揮権
はだれにも渡さないと断言しています。これは、アメリカの
政府
と軍部が必要と
考え
るならば、
国連
の
決定
や意思とは無
関係
に、いつでも
イラク
に対する攻撃的な軍事
行動
に打って出るつもりだとの意思表示にほかなりません。米軍が、サウジアラビアからの要請に基づくサウジ
防衛
という域を超えて
イラク
攻撃の作戦
計画
を立てていることは、現在では既に隠れもない事実であります。九月初め、米空軍の参謀総長が突如解任されるという衝撃的な事件がありました。それは、フセインとその家族がいるバクダッドの大統領府を爆撃する、この作戦
計画
、この軍事機密をマスコミに漏らしたという罪によるものでした。つまり、こういう
計画
は八月から既に立案済みなんです。この種の作戦
計画
が発動されたら、
国連
が
経済
制裁の徹底による平和
解決
の方向を幾ら追求しても、アメリカの
考え
一つ
で
世界
は軍事的衝突という最悪の
事態
に直面させられることになります。
総理
、
政府
はこの多
国籍軍
、実質は米軍の活動を無条件に支持する
態度
をとり、二十億ドル、
日本
円にして約二千六百億円という巨額の資金の提供を約束し、実行してきました。これは、多
国籍軍
がこれからどのような
行動
をとろうが、これを支持するという白紙委任状を与えたのと同じであります。一体、
政府
は、アメリカが
国連
の
決定
なしに攻撃的な軍事
行動
を起こし、それによって
中東
に大戦争の火がついたとしても、そのアメリカの
行動
を無条件に支持するという
態度
をとるのですか。そうだとしたら、それは
世界
に対しても
日本
の
国民
に対しても
余り
にも無
責任
な
態度
ではありませんか。 それとも
総理
は、米軍は
中東
で攻撃的な軍事
行動
は絶対しないという
保障
をお持ちなのでしょうか。先日、米軍の
中東
派遣
を求めた当のサウジアラビアの軍部が、攻撃的
行動
をとるときには事前協議が必要だと申し入れたが、米側は受け入れなかったとの報道がありました。当のサウジアラビアの
政府
さえ持ち得なかった特権的な
保障
を
日本
の
総理
が持っているというのなら、
国民
の前にそれをぜひ明らかにしてもらいたいと思うのであります。 しかも、今回の
国連
平和協力法
なるもので
政府
が実行しようとしているのは、多
国籍軍
への支援を大きく一歩進めて、
自衛隊
を中核とする
平和協力隊
なるものを
中東
に
派遣
するという問題であります。ここには
総理
に伺いたい多くの問題があります。 第一に、
総理
は、八月二十九日の
記者会見
で、初めて
国連
平和協力法
の構想を発表したとき、
自衛隊
の
海外派遣
は
考え
ていないと二度にわたって断言しました。また、訪米前の九月二十七日の
記者会見
では、攻撃を受けるような危険な地域に
協力隊
が行くことは全く想定していないと明言しました。ところが、今回の
法案
では、
自衛隊
は部隊として
武器
を持って
参加
するとされています。そして、外務省の条約局長は、攻撃を受けたら応戦するのは当然だと解説しているではありませんか。
総理
は、
国民
の前での公約ともいうべきみずからの、しかもつい最近の言明を踏みにじって、
自衛隊
海外派兵
法ともいうべき
法案
を国会に持ち出した
責任
をどうとるのか、また、この
法案
の準備の間に、アメリカ
政府
の側から
自衛隊派遣
の要 請を受けた事実があるのかないのか、明確な
答弁
を求めるものであります。(
拍手
) 第二に、
協力隊
が
中東
に
派遣
されたときに、多
国籍軍
、特に米軍とどのような具体的な
関係
を持つのか、明確な説明を要求いたします。 アメリカ
政府
は、既にいろいろな機会に、
日本
が編成する
協力隊
を事実上多
国籍軍
の後方支援部隊に組み込むという方針や
見解
を表明しています。あなた方は、輸送、通信、医療など
協力隊
の活動
分野
を挙げて、それが平和目的の部隊である証拠となるかのように主張していますが、こんな議論は成り立ち得ないものです。多
国籍軍
という
軍隊
と連携して活動する限り、輸送であれ、通信であれ、医療であれ、それが戦争
行動
の一部をなすし、相手側の攻撃対象ともなることは、今日の
国際社会
では当然のこととされています。
政府
が
協力隊
の
任務
として挙げているものの大部分は、アメリカの統合参謀本部が発行した「軍事関連用語辞典」によっても、兵たん支援という軍事作戦に属する活動ばかりではありませんか。そして、一たん多
国籍軍
の後方部隊として活動を開始したならば、戦争の論理の必然として、その戦争
行動
が他の
分野
へも次々と拡大していく危険があることは既に各方面から
指摘
されているではありませんか。それとも
政府
は、
協力隊
は多
国籍軍
の軍事
行動
とは全く無
関係
に活動する部隊だとでも言うのでしょうか。しかとした
答弁
を求めるのであります。(
拍手
) 第三は、
憲法
との
関係
という根本問題であります。
日本
共産党は、
自衛隊
の存在と活動を
憲法
違反とする立場を一貫してとっていますが、
政府
がこの点で別の
見解
に立っていることは、事実の問題として私も知っております。しかし、国際紛争の
解決
の手段として
武力
を
行使
することを禁止している
憲法
第九条のもとでは、
日本
自身が
武力
攻撃を受け、それに対抗して自衛の
行動
をとる場合以外に
武力
に訴えることが禁じられていることは、
自衛隊
合憲の立場をとる人たちを含めて
日本
の
憲法
学者の多数意見であり、
政府
もこれまでそのことを否定してきませんでした。 今回の
事態
は、
世界
平和の重大問題ではあっても、
日本
が
武力
攻撃を受けたわけではありません。一体、
政府
は、
自衛隊
を含む
協力隊
の
中東
への
派遣
と
日本
国
憲法
第九条とをいかなる根拠によって両立させようとするのか。従来、
自民党
政府
がとってきた立場からいっても、これは両立できるものではありません。だからこそ、
防衛
庁の事務次官としてつい先日まで
政府
側でこの問題に携わってきた当事者まで、
自衛隊
が
中東
に
派遣
されて衛生、輸送、通信などの後方活動に
参加
することはもちろん、多
国籍軍
への資金の提供も
憲法
違反になると
指摘
しているのであります。
武器
を持った
自衛隊
が部隊として
出動
しながら、これは
武力
の
行使
に当たらないから
派遣
であって派兵ではないなどと言うのは、
憲法
と
国民
の良識を
余り
にもないがしろにした言葉のもてあそびではありませんか。(
拍手
) 私は、
自民党
が結党以来、
自衛隊
の
海外派兵
を柱の
一つ
として自主
憲法
の制定を掲げてきたことをよく知っています。しかし、
日本
の
国民
は、あなた方のこの
計画
の実行を許さず、今日まで三十五年間、
憲法
の改悪をも、
自衛隊
の
海外派兵
の企てをも実現させないできたのです。
憲法
第九条の厳然たる壁を
イラク
問題のどさくさに突き崩してしまい、この機に乗じて
自民党
の年来の
計画
を実現しようなどとは、絶対に許すわけにいかない暴挙であります。これをあえて強行しようとすることは、
憲法
と
議会
制
民主主義
の体制のもとでの政権政党としての資格をみずから否定するものだと断ぜざるを得ないのであります。(
拍手
) 第四に、
国連憲章
による国際義務を持ち出して
自衛隊
海外派兵
を正当化しようとする議論に対しては、
国連
のいかなる機関も
中東
問題
解決
のための軍事的制裁を決めていないし、そのための協力を
各国
に求めてもいないということをまず
指摘
するものであります。
自衛隊
の
海外派兵
を求めているのは、アメリカなどごく一部の国の
政府
です。アメリカのブッシュ政権の要求を
国連
の
決定
と同一視することは許されません。
政府
が
自衛隊
の
海外派兵
を
国連協力
の名のもとに強行しようというのなら、一体
国連
のいかなる機関が、いつ
日本
政府
に対してそれを要請したのかを明確にする義務があります。(
拍手
) また、理論的に言えば、
国連
が侵略
行動
に直面して、兵力の
行使
を伴う軍事的な制裁の措置を
決定
することはあり得ることであります。しかし、その場合にも、
日本
は
憲法
第九条を持った国として
国連
に加盟している以上、
国連
の制裁活動への協力を非軍事的な
分野
、軍事とはかかわりのない
分野
に限定すべきことは当然であります。そのことは
政府
自身、
国連
加盟に当たって内外に明示したことではありませんか。 今、
政府
の側には、
国連
の集団
安全保障
機能を
憲法
前文の
理念
的な命題と結びつけるなどして、
国連軍
への
自衛隊
の
参加
も合憲だとする新理論の作成に熱中している向きがあるようですが、こうした議論は、
国連
加盟以来の三十余年の
歴史
さえ無視した全くの詭弁にほかなりません。
総理
は、このような詭弁にくみして、従来、国会でも
政府
自身が繰り返し確認してきた
憲法
上の制約を正面から覆すつもりなのか、きっぱりした
答弁
を求めるものであります。(
拍手
) 以上に見たように、
国連平和協力法案
なるものは、協力の相手は
国連
ではなく、米軍を
中心
とした多
国籍軍
であり、協力の手段は平和の手段ではなく、戦争
行動
への
自衛隊
の
参加
であるという、その看板とは全く正反対の内容のものであります。この内容を正確に表現するとすれば、米軍
戦争協力
法、特に
自衛隊
海外派兵
法と呼ぶべきでしょう。これは現
憲法
の平和
原則
を破壊すると同時に、
国連憲章
にも何らの根拠を持たないものであります。しかも、それが
現実
に果たす
役割
は、
経済
制裁を
中心
にした
国連
の平和
解決
への
努力
を無にして、大戦争の危険を冒しても
イラク
の軍事的制圧をねらうアメリカの
計画
に
日本
を全面的に引き込むことであります。 さらに、
総理
自身、
所信表明
の
演説
の中で、この
法案
が、
イラク
問題にとどまらない長期的な法体制づくりを目指したものであることを強調しました。つまり、今後、別の地域で別の問題が起きたときにも、アメリカの要請さえあれば、
国連協力
の名のもとに、
自衛隊
を
派遣
して米軍と共同
行動
をとる、そのための法体制づくりだということであります。現行の
安保
条約でさえ、
自衛隊
が米軍と共同
行動
をとるのは、「
日本
国の施政の下にある領域における、いずれか一方」、つまり、
日本
または
日本
にいる米軍が
武力
攻撃を受けたときだ けだと規定しています。
政府
の今回の
法案
は、その制限を一挙に取り払って、
日米
共同作戦を
世界
的な規模に拡大する道を開くものであり、
日米
軍事同盟の最も危険な再編成にほかならないのであります。(
拍手
)
日本
共産党は、
政府
に対して、この危険な
法案
を撤回すること、同時に、多
国籍軍
への支援、協力を
中心
とした従来の
中東貢献策
を根本から改めること、そして、第一に
国連
を主役とした問題の
平和的解決
、第二に
憲法
を厳守しての非軍事的な
分野
、軍事とかかわりない
分野
での
国連協力
という
二つ
の大
原則
を堅持した方策に転換することを強く要求するものであります。(
拍手
)
自衛隊
の
中東
派兵の報は、既に多くの
国々
に深い危惧と不安を呼び起こしています。
総理
は、このことをどう受けとめているのでしょうか。
世界
は
日本
の軍国主義を忘れてはいません。
日本
軍国主義が、第二次
世界
大戦で侵略者の
役割
を果たしたことへの真剣な反省の上に立って、
憲法
と
国連憲章
をかたく守り、
自衛隊
の派兵はもとより、多
国籍軍
に協力、加担する政策ときっぱり手を切ってこそ、
世界
の諸
国民
の真の信頼と共感を得られるんだということを、
日本
の
国民
、特に
政治
に携わる者は銘記すべきであります。(
拍手
) この立場に立つならば、
日本
には、冒頭に述べたように、
イラク
問題の
解決
のために果たすべき大きな
役割
があります。今、情勢は、ここで道を踏み誤るならば、
世界
の平和にとっても
日本
の前途にとっても、取り返しのつかない
事態
が起こりかねないという重大な分かれ道に立っています。私は、多
国籍軍
への無条件の協力、
自衛隊
の
海外派兵
という危険な企てを打ち破ることが、今
日本
の
国民
の前に提起されている緊急かつ重大な
課題
であることを最後に重ねて強調し、
日本
共産党が戦前戦後、反戦平和の立場を貫いてきた党としてその闘いの先頭に立つ
決意
であることを表明して、
質問
を終わるものであります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣海部俊樹
君
登壇
〕
海部俊樹
12
○
内閣総理大臣
(
海部俊樹
君) 不破議員にお答えをいたします。 現在の湾岸危機については、アメリカと
イラク
というところだけに問題をお絞りになったわけですけれども、そうではなくて、
国際社会
全体が、
安全保障
理事会の決議によって、これは平和の破壊である、ここに許されないものがあると決議をした、
国際社会
の大義を守り、平和を回復していかなきゃならぬというところに事件の根本的な問題があるということを私は申し上げたいのであります。そうして、
イラク
のクウェートからの撤退、クウェートの正統
政府
の復帰、そしてすべての外国人の解放を実現することによる
事態
の公正な、平和的な
解決
の道を粘り強く推し進めていくことが重要であると私は
考え
ております。
国連
の
経済
制裁徹底のため、
政府
は、
我が国
の
平和国家
としての生き方の中でどのようなことができるかということを
考え
て、速やかに
イラク
に対する包括的な
経済
制裁措置も
決定
をいたしましたし、
国際社会
は、
イラク
の不法な行為に一致団結して対抗していくとの共通の認識を持っております。この国際的
努力
を全面的に
我が国
は支持していかなければならぬと、こう
考え
ております。 いわゆる多
国籍軍
は、
国連安保理
決議六百六十及び六百六十一を受けて、
各国
が
イラク
による軍事
行動
の拡大の抑止及び対
イラク
経済
制裁の実効性確保のために
湾岸地域
に展開したものでありまして、
国際社会
全体の平和と安全の維持に積極的に貢献するものであると私どもは
考え
ております。
安保理
決議の六百六十五は、対
イラク
経済
制裁の厳格な実施確保のため、海上部隊を展開している
国連
加盟国に対し、
安保理
の権威のもとに必要とされる一定の措置をとることを要請した決議であることも御理解をいただきたいと思うのです。 仮定の
質問
にお答えすることは適当でないかもしれませんが、いずれにしろ、ブッシュ大統領は、
米国
として湾岸危機の
平和的解決
を求めていくとの
基本方針
を繰り返し述べておるところであります。
国際社会
が、今回の
事態
の公正かつ平和的な
解決
を粘り強く追求することが重要であると私も
考え
ております。 また、国際の平和と安全の維持のための活動に適切、迅速に協力していくためには、
政府
部内で慎重に熟慮、
検討
を重ねた結果、今般
国連平和協力法案
において示したような、
武力行使
を目的としない、
武力
による威嚇を伴わない
自衛隊
を
参加
させることができるようにしたものでありまして、これは
海外派兵
には当たらないと
考え
ております。 さらに、ブッシュ大統領から
自衛隊
を
派遣
しろと言われたかとおっしゃいますが、
自衛隊
をという具体的な要請を受けたことはございません。 また、
協力隊
が
中東
に
派遣
されたときとおっしゃいますが、今の段階で
協力隊
をどのような形で
中東
に
派遣
するというような具体的な想定はしておりませんが、一般論で申し上げますと、
平和協力法
のもとでは、輸送、医療などの自主的な判断での協力は業務
計画
として想定されておりますけれども、こういった協力は、
武力
による威嚇、
武力
の
行使
に当たる行為は行わないという
憲法
の枠内で行う前提でありますから、適切と認められる場合にも、多
国籍軍
との軍事的共同作戦というようなものは全く
考え
ておりません。
平和協力隊
の行う業務の実施に当たっては、その時点での
国際情勢
等を十分に勘案して、
派遣
先を含む
基本方針
につき、
関係
閣僚により構成される
国連
平和協力
会議
の諮問を経て、具体的な実施
計画
を閣議で
決定
するなど、慎重な対応を行うことにより、シビリアンコントロールの健全な作用を期していきたいと
考え
ております。 また、
国連平和協力隊
と
憲法
との
関係
をお触れになりましたが、国際の平和及び安全の維持のために
国連
が行う決議を受けて行われる
国連
の
平和維持活動
その他の活動に対する協力を
任務
とするものであり、その業務の実施は
憲法
九条が禁止する「
武力
による威嚇又は
武力
の
行使
」に当たるものであってはならないとの前提でありますから、これは
憲法
の枠内のもので、両立すると
考え
ております。
我が国
は、
国連
への加盟以来、一貫して
国連
を支持してまいりました。
国連
中心
の
外交
は、今後とも
姿勢
に
変化
はありません。
我が国
の
国連
に対する協力が
憲法
の枠内で行われてきたことも当然のことでありますし、
平和協力法
のもとでは、
国連憲章
七章の措置を含め、
国連
が行う決議を受けて行われる活動に対し
平和協力隊
の
派遣
等の協力を行うことを想定していますが、同法のもとでは、兵力の提供を行うことは全く
考え
られないことであります。第七章の措置に対するその他の対応、それ以外の協力のあり方というものについて は、将来の問題として研究を行っておりますが、いずれにせよ、
集団的自衛権
に関する
憲法
の解釈の変更は
考え
ておりません。
中東
の湾岸危機は、
世界
が新たな
国際秩序
を模索する
過渡期
に特有の不安定と不確実をはらんだ危険な
時代
を迎えたことを端的に示します。この
時代
における
国際社会
の平和を守る能力が試されている今日、
平和国家
とは、
国際社会
の一員として平和を守る
責任
を果たす用意のある国のことであり、そして平和とは、本来、
国際社会
を構成している
各国
が互いに力を合わせて協力しながら獲得し、また守っていくべきものと
考え
ております。私は、そういったような面で、今後とも
世界
の平和と安定のために積極的に協力していかなければならぬと
考え
ます。(
拍手
) 最後に、
自衛隊
の問題について、近隣
諸国
が
懸念
を表明しておるとおっしゃいました。私は、きょうまでの
日本
の
歴史
を振り返り、二度と再び戦争はしない、その深い反省に立っての戦後四十五年でありました。したがって、
国連
において、
世界
の平和と安定のために、これは
世界
の平和の破壊であるからと認定をし、平和の回復に
努力
をしようということは、
アジア
諸国
にもひとしく平和と安定のために必要なことではないのでしょうか。 また、
安全保障
理事会の決議に従って行われる今回の措置でありますが、
安全保障
理事会には、
中国
も、その他
アジア
の代表、非常任理事国も
参加
して、
世界
じゅうが一致団結して認めた問題でございますので、これに対して、
武力行使
を伴わない形での協力を行うという今度の
法案
の趣旨は、あらゆる段階を通じて十分に説明をし、理解をいただきたいと
考え
ております。(
拍手
) ─────────────
村山喜一
13
○副
議長
(村山喜一君) 大内啓伍君。 〔大内啓伍君
登壇
〕
大内啓伍
14
○大内啓伍君 私は、民社党を代表いたしまして、
総理
の
所信
演説
並びに当面の
重要課題
について、
政府
に
質問
いたします。 八月二日の
イラク
による
クウェート侵攻
という暴挙を契機にいたしまして、今、
世界
も
日本
も重大な岐路に立たされておると存じます。古来、天は人に
試練
を与えてそのものの心底を見きわめると言われますが、まさに私たちはそのような
事態
に直面していると思います。 戦後四十五年、
米ソ
の
冷戦終結
という新しい
事態
を迎え、
国連
は今初めて
大国
の拒否権から解放されて、新しい
世界
秩序
構築の
中心
的
役割
を担おうとしております。
イラク
問題で
米ソ
が初めて共同
行動
をとりつつあることは、まさにその象徴であります。これを定着させ、
国連
を
世界
の平和維持の
中心
的機構たらしめるために、
日本
は、その協力者になるのか、それともその破壊者、逃避者になるのか、今厳しく問われております。(
拍手
)
経済大国
、国際
国家
、
国連
中心
主義、さらにはその
国連
の
安保
常任理事国の地位まで求めている
日本
は、今こそ
国連
を強化する重大な
責任
を負っていると思うのであります。(
拍手
) イギリスの雑誌エコノミストのビル・エモット氏は、大
国日本
は、今や日が沈む
時代
に入り、平和に安住する快楽追求者の国になったと述べております。また、昨年、
世界
十一カ国で行われた青年の意識調査で、道に迷っている人を助けたり、社会のために役立とうという気持ちが、
世界
の中で
日本
が最低だという結果も出ております。
総理
、こうした自分のことだけしか
考え
ないという風潮は、青年だけではなくて、今の
日本
じゅうに蔓延しているのではありますまいか。まさに憂うべきことと言わなければなりません。
イラク
問題は、
日本
にとってその試金石と言えましょう。 かつて
日本
は、日英同盟の解消をスタートとして孤立化の道を歩み、やがて国際連盟から脱退し、同連盟破壊の一翼を担いました。そして、第二次大戦へと
国際秩序
の破壊者としての
役割
を演じた苦い経験を持っております。今、
国連
を
中心
に平和を求める国際的な共同
行動
がとられているときに、
日本
はみずからの理屈の中に閉じこもり、平和を金で買うという小切手
外交
で再び国際的孤立化の道を歩むのか、それとも
国連
中心
主義の国際
国家
としてそれにふさわしい
行動
をとるのかが問われていると思うのであります。(
拍手
)いずれの道を歩むのか、今こそ
国民
にしっかり問い直し、
日本
としての
進路
を決断せずして、どんな貢献策や小手先の政策を進めてもだめであります。
総理
、あなたは
日本
をどの道へ進めようとされるのか、この際、明快なる
答弁
を求めます。(
拍手
)
日本
は
憲法
の前文で「
国際社会
において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とうたい、また第九十八条で、締結した条約、確立された
国際法
規は誠実に遵守すると述べております。名誉ある地位とは、他国から信頼され、尊敬され、必要な
国家
だと思われる地位を確保することではありますまいか。(
拍手
)それは何よりも
国際法
規を誠実に守る
国家
でなければならないと存じます。
日本
は、昭和三十一年
国連
加盟を実現し、何の留保条件もつけずに
国連憲章
を受け入れました。そして、同憲章のその七章で、
国連
がとるべき
平和維持活動
を列記しております。
日本
は
憲法
上、そうした
国連
の
平和維持活動
に対してどのような
行動
をとることができるのか、また何ができないのか、この際、
憲法
上の限界を
国民
に明確に示すべきであります。(
拍手
) 具体的には、
国連憲章
第四十二条、四十三条に基づく
国連
の平和強制活動たる
国連軍
に
日本
は
参加
できるのか。それは
集団的自衛権
の
行使
に当たるのか当たらないのか。また、
武力行使
を目的としない
国連
の
平和維持活動
と言われる停戦監視、選挙監視、医療、通信、資材の提供などについては
憲法
の枠内で可能なのか。
政府
はそれらについてこの際、明確な
憲法解釈
を
国民
に示すよう要求いたします。(
拍手
) ところで、
政府
は、今回、
国連軍
への
参加
問題について、これまでの
国連軍
の目的、
任務
が
武力行使
を伴うものであれば
自衛隊
の
参加
は認められないと言ってきた
憲法解釈
を一転させ、
国連軍
への
自衛隊派遣
は、
国連憲章
の集団的
安全保障
への
参加
であって、
集団的自衛権
の
行使
とは異なるという新たな
憲法解釈
を打ち立て、
武力行使
を伴う
自衛隊
の
国連軍
参加
に道を開こうとしています。 しかし、
国連憲章
第四十三条で、加盟国がその兵力、
援助
、便益の提供を約束するときは特別協定を結ぶことになっており、
安保理
事会からの要請に自動的に従う義務を負っているわけではありません。特別協定は、まさに
各国
の実情を個別に勘案することを予定したものであります。
日本
は、
国連
加盟国として、将来
国連軍
に協力するとしても、その協力のあり方は
武力
の
行使
を伴わない ものというこれまでの大
原則
を踏まえ、特別協定を結ぶ段階ではっきり
日本
としてできること、できないことを明らかにし、
日本
の特徴を生かした協力を
考え
ることが
日本
のとるべき
姿勢
ではありますまいか。(
拍手
)
海部総理
の明快な
答弁
を求めます。 今、
日本
の
政治
に要求されているものはスピードと決断であります。
日本
政府
が
イラク
問題でとった措置は、残念ながらその双方において欠けるものがありました。最近、
日本
の新聞社が行った
中東
問題に関する
日米
世論
調査によれば、米
国民
の七七%がなお
日本
は貢献不十分と回答しております。
米国
のワシントン・ポストは、危険な砂漠で命をかけて平和を守るのは、なぜ
米国
の若者であって
日本
の若者ではないのかと
日本
を批判しています。
総理
はこれにどう答えるのか、お尋ねいたします。
政府
は、遅まきながら、今
国連平和協力隊
の
創設
を
検討
し、その中に
自衛官
をも含めて、
武力行使
を伴わない
国連
の
平和維持活動
の
分野
で
日本
としての人的協力態勢を整えようとしていることは、妥当な措置としてこれを評価いたします。また、
派遣
自衛官
並びに部隊
参加
については、これをすべて
協力隊
の構成員とし、
防衛
庁の独自
行動
を排し
総理
の
指揮権
下に一元化したことも妥当な措置だと
考え
ます。 しかし、この
自衛官
の
派遣
や
自衛隊
の部隊
参加
が
自衛隊
の
海外派兵
に道を開くという
懸念
が提起されていることは、
国民
の素朴な心配でもあり、決して軽視してはならないと存じます。派兵に対する明確な歯どめは、
自衛隊
の独走をチェックする
指揮権
のあり方とともに、その
派遣
に当たっては戦闘用兵器は携帯しないという非
武装
の
原則
を貫徹することが何よりも重要であると
考え
ます。この点は今後の立法に当たって十分手を尽くすべきであると思うが、
総理
の所見をお伺いをいたします。 同時に、私たちは
海外派兵
のいたずらな扇動にも乗ぜられてはならないと存じます。かつて一部の議論に、
日米
安保
条約を結べば
日本
はあすにも
米国
の戦争に巻き込まれ、
日本
は再び戦場になるとまことしやかに論じられたものでした。しかし、これが
国民
をいたずらに惑わすオオカミ論であったことは、今日の
日本
の
現実
が証明するところであります。(
拍手
)その論法をほうふつさせる
国連平和協力隊
をめぐる一部の
海外派兵
論は、第一に、
日本
が
国連
中心
主義に立つ
国家
であることの自覚を欠いているとともに、第二に、この国会を初め
海外派兵
をチェックし得る今日の広範な
国民
的機構の存在と
国民
の英知を信用しない議論と申さなければなりません。(
拍手
)
平和協力隊
に
政府
機関の構成員である
自衛官
や公務員を含めることは、
国家
としての
姿勢
と
責任
を示す上で不可欠であり、民間だけに依存してできることではありません。
自衛隊
は危ない地域には
派遣
できない、民間のボランティアの人々によろしく頼むと言って、
民間人
や民間団体がどうして納得して引き受けてくれるでしょうか。(
拍手
)私は、
国連平和協力隊
は、
自衛隊
とはっきり区別する意味からも、今後北欧四国やカナダ、オーストリア等でとられている
国連
待機部隊的な性格を持たせるべきだと
考え
ますが、いかがでしょうか。この辺について
海部総理
の
答弁
を求めます。 私は、貢献策もさることながら、より
日本
にとって重要な
課題
は、今回の
イラク
問題を一刻も早く終息させるために、
日本
は和平へのイニシアチブを
行動
をもって示すべきだと
考え
ます。
イラク
問題が軍事的対立の中にこのまま年を越すようなことになれば、
世界
的インフレと石油不足は深刻な
事態
を迎えることになりましょう。
日本
としても、これを何とか回避するための
行動
をとるべきであります。
日本
が国際的にいわゆる
政治
大国
としての真価を示すためにも、
日本
は、
米国
のいたずらな追随者ではなく、現在の
米国
の
行動
に対しても自制を求め、
イラク
、
米国
の双方に対して明確な提言を行うべきときが来つつあると
考え
ます。 また、
イラク
における
日本
人の人質と抑留者は、今や生活資金、食糧、医療等の面で深刻な
事態
に直面しているばかりでなく、それ以上にいつ解放されるか見通しが立たない精神面の不安は大変なものであろうと推察いたします。それは他国の方々も同様でありましょう。
政府
は、自国の
国民
の自由と人権を守る大きな
責任
を負っていることを厳しく自覚し、すべての人質の一刻も早い解放実現のためにこの際有効な手段を講ずべきであると
考え
ます。 以上の見地から、今こそ
海部総理
は、
イラク
和平工作
並びに人質解放に全力を挙げ、そのために直接
イラク
のフセイン大統領とも会談する
決意
を固めるべきであろうと思うが、
総理
の
決意
を伺いたいのであります。(
拍手
) 次に、
日ソ関係
について
質問
いたします。 来年春の
ゴルバチョフ大統領
来日が確定し、北方四島
返還
を含む日ソの新
時代
を築き得るか否か、今重大な局面を迎えようとしております。しかし、この時期に、北方領土の
返還
はまず三島からでいいとの声が
与党
の首脳から漏れてくるというのは、まことに憂慮すべきことであります。また、
ソ連
は、さきに
安倍
元
幹事長
へのメッセージを通じて、まず一九五六年の日ソ共同宣言の
原則
を確認して
基本原則
協定を結ぶことを提案してきていると聞いておりますが、
日本
として日ソ共同宣言を基礎として正常化交渉に入ることに賛成か否か。
周知
のように、共同宣言は、その後一九六〇年一月の対日覚書で宣言に盛られた領土問題の約束の実行を拒否された経緯があるが、領土問題については、
日本
が当時要求した四島で決着できなかったために平和条約に至らなかったことを
考え
るとき、今後の日ソ国交正常化は四島
返還
が不可欠であると思うが、
総理
の明確な
決意
を伺いたい。(
拍手
)また、四島
返還
と対ソ
経済
協力の問題は、いずれかが先行するのではなく、一括
解決
すべきだと思うが、
総理
の
見解
をあわせてお伺いいたします。 次に、日朝
関係
について
質問
いたします。 今回、日朝
関係
改善への
動き
が見られたことはまことに歓迎すべきであります。北朝鮮は十一月中にも
政府
間交渉の開始を求めてきておりますが、
政府
はこれに応ずるのか、また、応ずるとすれば、
韓国
が求めている事前協議は行うのか、特に
韓国
の盧泰愚大統領が最近示した五項目についてどう対処するのか、その基本的方針をまず明らかにしていただきたい。 先般、
与党
の首脳を初め
我が国
の
政治家
が北朝鮮に赴き、話し合いをされましたが、その中で、過去の賠償とは別に、戦後四十五年間の謝罪と償いを取り決め、また過去の賠償についても国交正常 化以前にそれを支払う中間賠償を約束してきたようでありますが、これは到底容認しがたい遺憾なことであります。戦後の南北朝鮮の分断、朝鮮戦争、さらには北朝鮮の共産化といった
事態
に
日本
がどうして
責任
を負わなければならないのでありましょうか。(
拍手
)こうした要求に
我が国
がもしこたえるならば、国際ルールに違反するだけではなくて、
韓国
はもとより、フィリピン、インドネシアなどの賠償再交渉にもこたえなければならなくなります。そしてそれには、何兆円もの
国民
の血税が使われることになるのであります。
総理
、日朝の
関係
改善に努めることは今日の重要な
課題
ではあるが、このような
国民
の立場をないがしろにした無
原則
なことは断じてやらないと断言していただきたいと思うのであります。(
拍手
)
韓国
の有力新聞は、
日本
の政界の実力者が平壌とソウルを行き交いながら、秋波を送ったり釈明したりする姿は、旧大韓帝国末期の
時代
を連想させる、
日本
の
政治家
は言動に一貫性がないと厳しく非難をいたしております。
総理
、公党たる
自民党
の名において行われた共同宣言について、あなたは
与党
の総裁としてどう
責任
をとろうとされるのか、承りたい。 また、今回、二人の船員が釈放されたことはまことに喜ぶべきことではありますが、これまで
日本
が一貫して不当な抑留と非難してきたことに対し、手のひらを返したように、寛大な措置に深い感謝の意を表するとは一体どういうことなのでありましょうか。ましてや、二人の船員の帰国後の言動を拘束するかのような約束をするということは、言論の自由を定めた
憲法
の根幹を揺るがすものと言わなければなりません。(
拍手
)これに対する
総理
の明快な
答弁
を求めます。 次に、消費税問題について
質問
いたします。 我々は、この国会を消費税処理国会にしなければならないと
考え
ております。野党の廃止
法案
と
政府
の見直し
法案
が相打ちになった今、現行の欠陥消費税が続くという最悪の
事態
を回避することは、
国民
に対する
政治
の重大な
責任
だと
考え
るからであります。
政府
税制調査会に提出された
政府
資料でも明らかなように、簡易課税制度によって、消費者の払った膨大な税金が業者の懐に残ってしまうという重大な欠陥を放置することはできません。また、高い免税点や限界控除制度も同様、税金がきちんと国庫に入らないことについて、
国民
は強い怒りを示しております。さらに、お米にも宝石にも一律課税する逆進的な消費税は、年金生活者、低所得者など社会的弱者の生活を大きく圧迫していることは
周知
のとおりであります。 将来的には高齢化、国際化社会にふさわしいよりよい間接税をつくり上げていく
努力
を傾注しなければなりませんが、少なくとも現行の消費税が持つ重大な矛盾、すなわち消費者の払った税金が国庫に入らないこと、逆進性が放置されていることなどの欠陥を早急に解消することが国会の
責任
、政党の
責任
であると確信いたします。今国会での消費税問題決着に対する
総理
の
決意
のほどをお伺いをいたします。 次に、ウルグアイ・ラウンドについて
質問
いたします。
米国
は、ウルグアイ・ラウンドを成功させるために
日本
の米の自由化が絶対必要だと強調し、みずからの国内では、上下両院でこの夏に九〇年農業法を可決し、徹底した農業保護政策を実行に移しながら、
日本
には米の自由化を迫るという全く矛盾した
姿勢
をとっております。そして、さきに訪米した武藤通産大臣に対しても、
日本
がガットに提出した農業保護
削減計画
の再提出を厳しく求めたと伝えられております。 その際、武藤通産大臣は、ベーカー国務長官に対して、年内にも
政治
決断し、米について何らかの譲歩をすることを約束したと報ぜられていますが、それは本当でしょうか。もし本当であれば、それは
海部総理
が再三にわたって
日本
の農民や
国民
に約束してきたことと全く相反するものであり、まさに農民をだますものと言わなければなりません。
海部総理
並びに武藤通産大臣の本音の
答弁
を求めます。 米の自給体制を確保することは、
日本
を支えている重要な農業を守る死活的問題であるだけでなく、
国土
保全や
日本
の文化を継承していく上でも重要な
課題
であります。それは
経済
的な損得勘定だけでは論じられない重要な
課題
を含んでおります。この段階で
政府
がとるべき政策は、
米国
の外圧に屈して
日本
の農業を破壊の方向に追い込むことではなく、農業を希望ある産業とするために、農業の将来ビジョンをまず
国民
に示すことが基本だと思いますが、いかがでしょうか。農業保護
削減計画
は再
検討
するのか、ウルグアイ・ラウンドの成功を願う
日本
として、しからばどのような決着を望んでいるのか、
海部総理
の所見を求めます。 次に、土地問題について
質問
いたします。 土地問題は、今や諸悪の根源になっております。一生まじめに働いても自分の家が持てない、そんな例が先進国に
一つ
でもあるでしょうか。それはまさに
政治
の貧困の証明と言わなければなりません。この現状を打開するため、早急に
政治
のエネルギーを総結集する必要があると
考え
ます。 そこで伺います。 第一に、土地高騰の大きな原因をつくり出した土地金融を今こそ厳しく規制すること。第二に、庶民の住宅や中小企業の事業用地を除き保有課税を厳正に行い、土地神話を崩すこと。
村山喜一
15
○副
議長
(村山喜一君) 大内君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
大内啓伍
16
○大内啓伍君(続) 第三に、土地の有効利用を大幅に高めるため、この際、都市
計画
法、建築基準法を再改正すること。第四に、東京一極集中を排除するため、この際、国会の地方移転を
決意
すること。以上の
諸点
について
政府
の
見解
を求めます。 最後に、来月に予定されている即位の礼及び大嘗祭について一言申し上げます。 我が党は、
日本
国の象徴であり、
日本
国民
統合の象徴である天皇の地位と、それを支えてきた皇室のよき
歴史
的伝統、文化を守り育てていくという観点から、即位の礼と大嘗祭がつつがなくとり行われることを切に希望するものでございます。(
拍手
) 以上、時間が参りましたので、
質問
をはしょりまして私の
質問
といたします。ありがとうございました。(
拍手
) 〔副
議長
退席、
議長
着席〕 〔
内閣総理大臣海部俊樹
君
登壇
〕
海部俊樹
17
○
内閣総理大臣
(
海部俊樹
君) 大内委員長にお答え申し上げます。 今、
世界
で
国連
を
中心
に平和を求める国際的な共同
行動
がとられているとき、平和をお金で買うという小切手
外交
で国際的孤立の道を歩むのか、それとも
国連
中心
主義の国際
国家
として、それにふさわしい
行動
をとるのかというお尋ねでありました。 私は、従来、ややもすると物とお金に頼りがちであった
我が国
の国際協調
行動
というものに、人も出て、汗も流して
日本
の立場を明らかにしていかなければならない、国際平和の中で
日本
の果たすべき
役割
というものをきちっと果たしていくべきであるという
考え
に立っておりますので、御
質問
の御趣旨を念頭に置きながら、これからも
努力
を続けてまいりたいと
考え
ております。
国連
平和協力法
のもとでは、国際の平和及び安全の維持のために
国連
が行う決議を受けて行われる
国連
の
平和維持活動
その他の活動に対して、
武力
による威嚇または
武力
の
行使
を伴わない
平和協力隊
の
派遣
等の協力を行うことを想定しておるものでありまして、同法のもとでは兵力の提供を行うことは
考え
ておりません。 第七章の措置に対する
国連
平和協力法
のもとで想定されておる態様以外の協力のあり方につきましては、将来の問題として研究を行っておりますが、いずれにせよ、
集団的自衛権
に関する
憲法
の解釈の変更は
考え
ておりません。 また、
我が国
はこれまでも、
国連
による
平和維持活動
に対しては、資金面での重要な協力を行うとともに、要員
派遣
面でも選挙監視要員、軍事監視団への政務官の
派遣
、パキスタン・アフガニスタン仲介ミッションなど、いろいろ
努力
をしてまいりましたが、
武力行使
を目的としない
国連
の
平和維持活動
に対して協力を行っておりますが、これは
憲法
の枠内で可能なことは当然でございます。 また、将来
国連軍
が
創設
される場合には、
我が国
が
国連
加盟国として
憲法
の枠内でこれにできる限り協力するのは当然と
考え
ておりまして、具体的な協力の内容については、御
指摘
のとおり、憲章の特別協定の締結の際に明確にすべき問題であると
考え
ております。 今回の
イラク
による
クウェート侵攻
とその一方的な併合は、明白な
国際法
違反であり、
日本
は人的貢献をしていないという批判についてのお触れがありましたが、
我が国
としては、この
湾岸地域
の平和と安定の回復には重大な
我が国
の国益もかかっておることを踏まえ、国際的
努力
に
我が国
としても積極的に貢献するという
考え
から、このたび
国連
平和協力法
を提出し、皆様方に審議をお願いをしておるところでございます。 また、
自衛隊
の
海外派兵
に対する明確な歯どめは、
自衛隊
の独走をチェックする
指揮権
のあり方とともに、戦闘用兵器は携帯しないという非
武装
の
原則
を貫徹することが重要であるとのお尋ねでございましたが、私はそれと全く同じ
考え
方を持っておりまして、
自衛隊
員は、
平和協力隊
が行う協力業務に従事し、
本部長
たる
内閣総理大臣
の指揮監督に服することとなっておりますし、なお、平和協力業務の実施に当たりましては、
基本方針
や
海外派遣
の可否等について
国連
平和協力
会議
の諮問を経るとともに、
海外派遣
の期間、規模、装備を含む実施
計画
を閣議で
決定
するなど、慎重に対処していく所存でございます。 また、
我が国
は
平和国家
として、ますます
重要性
の高まる
国連
を
中心
とする国際的な平和
努力
に対し積極的に協力していく必要があると
考え
、実効的で効果的な
平和協力隊
をつくるために、
我が国
の国際的な貢献への対応としてこの案の一日も早い成立を心から
期待
しておる次第であります。 なお、カナダ、オーストリア、北欧四カ国などのこれら似たような
国連
待機部隊的なものを参考にする必要があるではないかと仰せでありますが、
我が国
としていかなることを行うのがふさわしいかについて自主的に
検討
してまいりましたが、
各国
の
国連
平和活動への協力
状況
、要員の
派遣
体制等を
検討
し、北欧の
国連
待機軍制度などは今後も十分勉強させていただきたいと
考え
ております。 また、
イラク
における人質等抑留者の問題についてのお尋ねは、私も全く同感でございます。
イラク
が拘束している外国人の解放のためには、全
世界
が一丸となってこれが人道的、
国際法
上間違いであるということを厳しく言い続けると同時に、あらゆる
外交
チャネルを通じて働きかけもしなければなりません。私も、アンマンで
イラク
のラマダン副
首相
に直接、すべての外国人の自由解放を強く訴えました。同時にまた、今日のこの
事態
をつくったもとは
イラク
のクウェートに対する実力による侵入、併合でありますから、今この湾岸危機を局面を打開して
解決
をすることができるその立場と
責任
にあるものは
イラク
自身であるということも強く訴えて、私はその決断を迫ったわけであります。今後とも、
国連
の決議を
原則
として実行するために
国際社会
と力を合わせて
行動
をとると同時に、
我が国
としては、
事態
解決
のため
イラク
との
政治
対話
の道は閉ざすことなく、あらゆる機会を通じて粘り強く
外交
努力
を続けてまいる
決意
であります。 日ソ問題については、仰せのとおり、四島
返還
が不可欠であると
考え
ます。
政府
の立場に変わりはございません。先日、シェワルナゼ
外務大臣
の来日のときに会談をしましたが、
日ソ関係
が質的に新しい段階に入ることを強く
期待
をしております。明年四月の
ゴルバチョフ大統領
訪日を控え、日ソ交渉が大きな節目を迎える中で、四島
返還
の実現に向けてこれまで以上に強力かつ粘り強く交渉をしていく
考え
であります。そのためにも、皆様の一致した支援をお願いしたいのであります。 北朝鮮の問題につきましては、
政府
間交渉の提案は先方の対日政策の転換を意味しているものと認識をいたします。
我が国
はこれまで、北朝鮮
政府
に対して、前提条件なしの当局間の
対話
を呼びかけてまいりました。右交渉にできるだけ応じることとしたいのであります。かかる交渉は、朝鮮半島をめぐる情勢全体を視野に入れて、同半島の緊張の緩和、平和及び安定に資する形で、
韓国
、
米国
など
関係
諸国
とも緊密に連絡をしながら行っていく
考え
であり、なお、交渉に臨む具体的方針については現在
検討
中でありますけれども、今後、盧泰愚大統領より金丸元副
総理
に示された五項目にも留意しつつ、具体的な方針を固めていこうと
考え
ております。 なお、戦後四十五年間の償いの問題について、率直に申し上げて、日朝間の請求権問題が未
解決
のまま残っておりますことは
政府
としても認識をいたします。他方、戦後今日までの四十五年間については、日朝
関係
が疎遠ないし不正常な
関係
に あり、結果として請求権問題が話し合われてこなかったことも事実でございます。御
指摘
の中間賠償の問題については、共同宣言を読む限り、国交正常化前にも賠償を行うとの表現はございません。いずれにせよ、請求権の問題は、今後、日朝当局間で交渉を進める過程において誠意を持って
解決
をしていくべき問題と
考え
ております。 先般発表された
自民党
、
社会党
、朝鮮労働党の三党共同宣言は、政党間で署名された文書であるものでありまして、私としては、
自民党
の総裁として、可能な範囲でその内容が実現されるように
努力
を続けていく
考え
でおります。 また、富士山丸船員引き渡しに対する謝意の問題についてお触れになりましたが、第十八富士山丸問題については、日朝双方の立場がございますが、今般、北朝鮮の立場から見て人道主義的見地に立って大赦令を実施し、結果として二人の帰国が実現する運びとなったことに対し、人間としての自然な謝意を率直に述べられたものと理解をいたしております。 消費税問題については、税制改革で前国会での
法案
処理の結果を踏まえ、与野党がその
責任
を果たすとの立場から設けられた税制問題等に関する両院合同協
議会
において審議が重ねられております。
政府
としては、消費税の必要性を踏まえつつ、
国民
の全体的、長期的な利益といった高い次元から協議が行われ、一日も早く建設的な
合意
が得られることを心から
期待
をいたしております。武藤通産大臣の
発言
にお触れになりましたが、先日通産大臣から、ベーカー長官に対して伝えられているような米についての譲歩や
政治
的決断を行うといった
発言
を行った事実はないとの釈明を受けました。私は、誤解を受けるような
発言
は今後十分注意されたいと申し上げるとともに、
内閣
としては、今後とも国会における決議などを体し対処していくとの立場に変わりはないということにおいて一致をいたしました。もちろんのことであります。 農業を希望ある産業とするためには、農家の方々が将来を見通しつつ希望を持って農業を営める環境をつくることが大切であり、本年一月閣議
決定
をした農産物の需要と生産の長期見通し等を指針として、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、バイオテクノロジー等先端技術の開発普及など、諸般の施策を総合的に
推進
してまいります。また、道路、下水道などの生活環境の整備等によって、住みよい農村づくりに努めなければならないと
考え
ております。 また、先般、
我が国
は、米のような基礎的食糧及びガットの規定に基づく輸入制限品目は関税化が困難であることなどの従来の基本的立場を踏まえた
削減
案をガット事務局に提出したところであります。
我が国
としては、今後の交渉において、食糧輸入国としての
我が国
の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいる所存であり、保護措置の
削減
案の再提出は
考え
ておりません。ガット・ウルグアイ・ラウンドについては、その成功を心から願いながら、
政府
としては、それが成功裏に決着するように全力を傾注する所存でございます。 土地問題についてもお触れになりましたが、土地の金融を厳しく規制すること、庶民の住宅や中小企業の事業用地を除いて保有課税を厳正に行うこと、土地の有効利用のため都市
計画
法、建築基準法を再改正すること、東京一極集中を排除するため国会の地方移転を決めることの御趣旨の御
質問
でございました。 私は、土地の融資の問題については、その適正化をかねてから指導強化してきておるところでありますし、また、土地税制につきましては、有限で公共的な性格を
考え
、適正公平の確保を図るため、税制調査会においてただいま御議論中の保有課税並びにその他の総合的課税の問題を一日も早く答申をいただき、次期通常国会に
法案
を用意して提出することにいたしたいと
考え
ております。また、土地の有効利用については、適正な土地の有効高度利用の促進を図ることが重要であると
考え
ておりますし、東京の一極集中是正への基本的対応として国会移転の問題に触れられましたが、国会及び超党派の議員の皆さんによって構成されておる新首都問題懇談会などの場での御議論に
政府
としても注目をしておるところでございます。 最後に、十一月に行われる即位の礼は、国事行為として行うにふさわしい儀式であり、
憲法
の趣旨に沿い、皇室の伝統を尊重して行う所存であります。 また、大嘗祭は、皇位が世襲であることに伴う一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式と
考え
ており、
我が国
の
憲法
のもとにおいて、その儀式の挙行については可能な手だてを講ずることは当然のことであると
考え
ております。 残余の
質問
は、
関係大臣
から
答弁
をいたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣
武藤嘉文君
登壇
〕
武藤嘉文
18
○
国務大臣
(武藤嘉文君) 大内委員長にお答えをいたします。 ベーカー国務長官との間でいろいろお話をいたしましたが、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、何としてもこれはこれからの二十一世紀に向かって
世界
経済
、
世界
貿易のためには成功させなきゃいけない、こういうことで意見の一致を見ました。それに加えて、この七月にシンガポールにおきまして開かれましたAPECの会合におきます共同コミュニケの中で、それぞれ
各国
がウルグアイ・ラウンドの成功に向けてこれからお互いに
政治
的な柔軟性を示さなければいけない、こういう点につきましてもお互いに再確認いたしました。しかし、今も御
指摘
のございましたような、私が具体的に米で譲歩したというような
発言
は全くいたしておりません。 米の問題につきましては、今
総理
からもお話のございましたように、また委員長からも御
指摘
のありましたように、これは
日本
の食糧
安保
の
考え
方からまいりましても、また
日本
の文化に根差す長い
歴史
を持っておる米でございますし、また
国土
保全の点からも、これからとも国会の決議などの趣旨をよく体しまして、国内産で自給するという基本的方針を持って対処してまいります。(
拍手
)
櫻内義雄
19
○
議長
(
櫻内義雄
君) これにて
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
は終了いたしました。 ────◇─────
臨時行政改革推進審議会委員任命
につき同意 を求めるの件
櫻内義雄
20
○
議長
(
櫻内義雄
君) お諮りいたします。
内閣
から、臨時行政改革
推進
審
議会
委員に芦田甚之助君、磯村尚徳君、字野收君、小林陽太郎 君、鈴木永二君、高原須美子君、長岡實君、真柄栄吉君及び山本壮一郎君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
櫻内義雄
21
○
議長
(
櫻内義雄
君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。 ────◇─────
櫻内義雄
22
○
議長
(
櫻内義雄
君) 御報告いたすことがあります。 永年在職議員として表彰された元議員濱野淸吾君は、去る六月二十四日逝去されました。 永年在職議員として表彰された元議員天野公義君は、去る七月二十九日逝去されました。 永年在職議員として表彰された元議員坊秀男君は、去る八月八日逝去されました。 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。濱野淸吾君に対する弔詞は、去る七月二十五日、天野公義君に対する弔詞は、去る九月十一日、坊秀男君に対する弔詞は、去る八月十四日、
議長
においてそれぞれ贈呈いたしました。これを朗読いたします。 〔総員起立〕 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに文教委員長法務委員長決算委員長等の要職につき また再度
国務大臣
の重任にあたられた正三位勲一等濱野淸吾君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ………………………………… 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに商工委員長
内閣
委員長懲罰委員長の要職につき また
国務大臣
の重任にあたられた正三位勲一等天野公義君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ………………………………… 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され しばしば
国務大臣
の重任にあたられた正三位勲一等坊秀男君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ────◇─────
櫻内義雄
23
○
議長
(
櫻内義雄
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十三分散会