○石田幸四郎君 私は、公明党・
国民会議を代表して、
総理の
所信表明演説に対し、重点項目に絞って
質問を行うものであります。
今、
世界は、歴史的な転換期に直面し、
世界規模での
冷戦構造の清算と新しい
世界秩序の形成に向けて歩みを始めており、東西ドイツの
統一は、このことを象徴的に示すものであります。
こうした中、
平和憲法を持つ
経済大国日本に課せられた役割は、以前にも増して重要視され、これまでの経済優先や一国繁栄のみの古い発想から脱した新しい対応、新たな進路の構築が迫られているのであります。
今こそ
我が国は、
世界の平和と発展のために、
世界に
貢献する
日本を目指し、二十一
世紀を展望した取り組みが必要であります。同時に、経済的繁栄の過程で生まれた
我が国自身の
構造的諸
矛盾、不公正を見直し、
世界とともに歩む自由で公正な新しい
政治、経済を構築しなければなりません。歴史的転換期を迎えている今日の時代認識と
基本姿勢について、まず
総理に
見解を伺うものであります。
イラクの
クウェートへの侵攻と併合は、
国連憲章を初めとした
国際法に違反するだけでなく、その後、
人質を盾にとるなど、いかなる理由にせよ断じて容認できません。事件発生以来既に二カ月半を経過した現在も、
中東地域では緊迫した情勢が続いております。
今回の
中東危機は、平和のうちに
解決されることが何にも増して重要であり、軍事衝突は是が非でも避けるべきであります。
我が国の行うべき
最大の
貢献策は、平和的
解決への
貢献であると思うのであります。
総理は、
中東五カ国を訪問されたのでありますが、平和的
解決にいかなる努力をされたのか、平和的
解決の
可能性、見通しについていかなる御認識を持っておられるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
冷戦終結後に起こった初めての
イラクの不法な
行為に対し、
世界が、また
日本がどう対処し
解決するのか、
冷戦後の新しい国際平和秩序の形成に直接影響をもたらす重大な問題であります。
総理、
我が国の石油輸入の七割を依存している
地域での国際紛争に対し、
経済大国としての国際的地位にふさわしい
貢献は何か、国際平和秩序の形成にいかなる役割を果たしていくのか、
世界の中の
日本としての
あり方が問われているのであります。
一方、国際
紛争解決に
武力を
行使しないという
平和憲法の不戦の誓いは、第二次
世界大戦の惨劇を体験した
日本が、新たな生存の原理として
世界に表明したものであります。不戦こそ
日本の
世界平和論の原点であり、戦後約半
世紀にわたって営々として築き上げてきた
平和国家としての大切な平和原則を、今回の
中東危機に対する
貢献策と称して崩壊させるようなことは、断じて許されないことを肝に銘ずべきであります。(
拍手)
総理、今国政に求められているのは、この二つの議論に満足するような
貢献策を
考えることであります。私ども公明党は、その作業が可能であると確信をいたします。
公明党の
基本的な主張を要約して申し上げれば、今回の
中東危機に際して検討されている
我が国の
国連平和
協力については、
憲法厳守、
国連中心主義を原則とすべきであると
考えます。特に、
海外派兵並びに
集団的自衛権行使の禁止など、その平和原則を厳守すべきであります。
イラクの
クウェート侵攻、併合は突発的
事態であり、緊急な対応が迫られていることから、これは時限立法として処理すべきだと
考えます。そして、今後将来起こり得るかもしれない問題に対しては、これとは別に、中期的に十分な論議を行い、恒久立法として対処すべきであります。
政府が提出されようとしている
国連平和協力法案は、緊急に対処すべきものと、今後に想定されるものとを混同させております。
国連平和維持活動、今回のような多
国籍軍、そのいずれもが性格、対応が異なることを踏まえ、今回はこれを明確に分離し、次の段階として常設の
国連平和協力隊の本格的機構を創設すべきであります。
そこで、今回の
中東紛争に関しては、時限立法、
任務は
平和憲法の趣旨にのっとり非軍事に限定し、医療、輸送、通信、建設の分野とする、
難民救済については、これを積極的に行うなどとすべきであります。また、
自衛隊は組織としての参加、併任は認めるべきではなく、小火器の携行も認めないとするものであり、これが
憲法厳守の中で許されるぎりぎりの
貢献策であると私どもは確信をいたします。(
拍手)
総理、こうした公明党の
基本的立場から
政府の
考えを見まするに、極めて疑念の多いことを指摘せざるを得ません。
第一に、今回の
平和協力法案の
考え方が、
憲法で禁止されている
集団的自衛権の
行使と
海外派兵に道を開きかねないことであります。従来、
政府の
憲法解釈は、
集団的自衛権の
行使は、
憲法の容認する自衛の措置の限界を超えるものであって、許されない、また、
我が国が
武力行使を許されるのは、
我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られ、
他国に加えられた
武力を阻止することを
内容とするいわゆる
集団的自衛権の
行使は
憲法上許されないと、明確なものでありました。
ところが、
政府の
方針では、
協力隊に参加する輸送のための
自衛隊の艦船、航空機は通常の武装をしており、
武力行使はあり得ることになります。しかも、
武力行使と後方支援は、理論的には分けられても、
実態的には区分は困難であり、
武力衝突が起こった場合の後方支援は
集団的自衛権の
行使であるとの指摘を免れるものではありません。明らかに
集団的自衛権行使の
解釈を変更し、なし崩しにしようとするものと言わざるを得ませんが、
総理の
見解を求めます。
今回の措置は、
自衛隊の
海外派遣にとどまらず、
憲法で禁止している
海外派兵につながるおそれがあります。派遣と
派兵をどう分けておられるのか伺いたいのであります。さらに、
平和憲法に対して
総理はどう理解をしておられるのか。
自民党の一部には改憲論という議論があるのでございますけれども、どう
考えておられるか、あわせてお
考えを伺っておきたいと存じます。
第二に、この問題に対する
海部内閣のリーダーシップの欠如と原則のなさについて言及せざるを得ません。
総理は、八月二十九日の
記者会見において、
自衛隊の
海外派遣は
考えていないと表明し、九月二十九日には、
武力行使を伴わない非
軍事面での
貢献が
目的で、攻撃を受けるような場面に
協力隊が行くことは想定していないと述べ、十月八日には、
自衛隊に輸送手段を
協力隊が委託、要請する枠組みとすると述べるなど、国の
基本問題について最高
責任者である
総理の
方針が二転三転したのであります。しかも最終的には、これらの
総理の
見解とさらに異なるものになっております。これをどう説明されるのか、
責任ある
答弁を求めます。(
拍手)
第三に、具体的な問題についてお伺いします。
自衛隊の補給艦や輸送機は、
自衛隊法に基づく武装をし、輸送する途中で攻撃されたら応戦は可能とされております。
一、応戦という
事態になれば、派遣と
派兵の区別は全く困難であります。
派兵せずという
憲法上の原則はいかなる形で歯どめをされるのですか。
二、
出動する輸送のための自衛艦や輸送機は、平常から武器を装備しており、当初堅持していた非武装という趣旨は完全に変更したのか。
三、また、
自衛隊は、他の国々から見れば軍隊であります。今回の
自衛隊の派遣は、
平和協力隊であるとしても、その主力は
自衛隊であり、武器を装備して、しかも応戦可能としているのでは、他の国々から大きな危惧を持たれるのは必至であります。
アジアの
近隣諸国の危惧にどう対応されるのか伺いたいと
思います。
四、
平和協力隊と
自衛隊を併任することによって、
自衛隊を組織として紛争周辺
地域に直接派遣できるようになっております。
我が国は従来、
自衛隊の
海外派遣はしないという戦後の大
方針であったはずでありますが、この大
方針を変更されたのですか。
五、従来、どちらかといえば消極的態度をとってきた
国連平和維持活動には今後どんな
方針で対処されるのか。それぞれ明確なお答えを求めるものでございます。
第四に、
国連平和協力隊の性格と
目的について伺います。
平和協力隊の対象は、
国連平和維持活動やあるいは今回の
イラク問題におけるようないわゆる多
国籍軍への
協力が含まれていると解されます。しかし、この二つの活動は、その性格や
武力行使の有無など、対応は同一ではありません。
国連平和維持活動は、紛争終結後に、紛争当事国の要請を受けて、
国連決議に基づいて行われる活動であり、
国連により派遣される監視団や平和維持軍をいい、受け入れ国
政府の同意に基づいて現地に派遣され、紛争当事国に介在することによって、休戦や停戦の監視、当該
地域内の治安維持といった
任務を行うものであります。今回の場合の多
国籍軍は、
各国がそれぞれの判断で
出動、指揮権もそれぞれ
各国に属しております。
これら時間をかけて十分な議論をすべきものと緊急に対応を迫られているものを混同し、今回の
国連平和
協力法に定めるのは余りにも乱暴であります。
総理の明快な
見解を重ねて求めるものであります。
また、
国連平和協力隊は、国際の平和及び安全を維持するために
国連が行う
決議に基づき、またはその
決議の実効性を確保するために活動を行うとされております。しかし、
国連が行う
決議はさまざまでありますから、その
決議の実効性を確保するというだけでは、平和の活動と認める
基本的要件が余りにも不十分であります。これでは
政府の恣意的判断によって、
協力隊という名のもとに
自衛隊が
他国に派遣されかねません。
出動を決定する際の原理原則を明確にすべきことは当然であると
考えますが、
総理の御
見解を承りたいのであります。
我が党は、金と物だけでよしとする態度ではなく、さきに申し上げたように、今回の湾岸
危機は時限立法による緊急対策とし、中期的な対応については、十分な時間をかけ
国会で論議し、
国民の理解と
支持のもとに、法律の整備も含めて行うべきであることを改めて
提案をいたします。また、
国連中心主義の立場から、
武力行使を
目的とせず、休戦や停戦の監視、当該
地域内の治安維持といった
任務を行う
国連平和維持活動、いわゆるPKOについては、積極的に参加の方向で検討すべきであると
思います。
それぞれ、御
見解を承りたい。
次に、
自衛隊の
海外派兵について重ねて伺います。
昨日からきょうにかけて、
政府は、
国連憲章で言う
国連軍に対して
武力行使を前提とした
自衛隊が参加することは
憲法上許されるとする新しい
政府解釈、すなわち
集団的安全保障措置を検討していると
報道されているのであります。もしこれが事実だとすれば、これは
集団的自衛権に関する従来の
政府解釈の重大な変更であります。確たる
答弁を求めたいと存じます。将来の
国連軍の
内容が全く不明なままに、今直ちに
自衛隊の
海外派兵まで可能にしようとするのは、全くの行き過ぎであり、断じて私どもは容認をできません。(
拍手)多
国籍軍への支援の
あり方について、まだ十分な世論の
合意を得ていないときに、こういう重大な問題を持ち出すのはどういう意図なのか、
総理の確たる
見解を伺いたいと存じます。
さらに、次の諸点について伺いたい。
さきに
政府が
貢献策として定めた総額四十億ドルの支出についてでありますが、今後この四十億ドルを具体的にどのような
目的に、どのような手段で使用されるのか。また、その予算措置は、予備費でうやむやに支出するのではなく、財政民主主義の観点から、きちんと補正予算を組み、
国会にその適否について承認を求めるべきであると
考えますが、どう対処されますか。さらに、今後の
各国からの
経済援助、技術
援助の要請にどのように対応されようとしているのか、
方針を伺いたい。同時に、非
軍事面での
国際協力が
我が国の堅持すべき立場でありますが、それには国際世論を納得させるだけの哲学や
基本方針がなければなりません。あわせて
総理の
見解をお尋ねいたします。
今、
クウェート周辺では、
イラク侵攻によって多くの
人々が家や
財産を奪われ、食糧も十分確保できないまま難民生活を余儀なくされております。
我が国が
イラク問題での
貢献を
考えるとき、人道上の立場から、こうした難民の救済対策に真っ先に取り組み、
貢献策の
中心に据えて実施すべきであると
考えますが、
総理の所見を伺います。
また、
人質問題について、ラマダン・
イラク第一副首相に
人質解放を要請されたことは、その労を多といたします。しかし、現状は依然として好転をしておりません。
日本人を含む
人質の食糧、医療についての状況悪化が心配をされております。また、
イラクに在留する
人質以外の人
たちについても、生活費を含め同様の懸念が伝えられております。そこで、今後の見通しはどうなのか、どのような
可能性を探っておられるのか、しかと御
答弁を伺いたいと存じます。
日本の
中東貢献策に関連し、米国議会では在日
米軍の駐留経費の全額を
日本政府が
負担すべきだといった
決議が行われ、また、
ブッシュ大統領からも、さきの首脳会談で
日本側の
負担増を要請されたと聞いているのであります。我が党は、
米軍駐留費を
日本がある程度
負担することはやむを得ないと
考えておりますが、
中東貢献策の一環というのでは余りにも筋違いと言わざるを得ません。
総理の
見解をお伺いをいたします。
ヨーロッパから始まった東西のデタントがようやく
アジアにも波及し、
冷戦構造の転換と新しい枠組みづくりというデタントへの動きが見られます。
最後に残った唯一の分断国家となった南北朝鮮問題では、韓ソ国交正常化が
実現し、中韓
関係の改善、米朝対話など、緊張緩和と平和的
解決へ向けて目まぐるしい動きを示しております。
特に、過日、自社両党の代表団が
朝鮮民主主義人民共和国を訪問し、
日朝関係改善のために一定の成果を挙げられたことに敬意を表するものであります。また、懸案となっていた第十八
富士山丸の船長と機関長の釈放、帰国が
実現したことはまことに喜ばしいものであります。
総理は、今後予定される日朝国交正常化のための
政府間交渉についてどのような
方針で取り組まれるのか。また、南北
統一問題の
両国の努力に配慮しつつ、しかも、これまでの日韓友好
関係を損なうようなことがあってはなりません。自社両党と
朝鮮労働党の三党の
共同宣言の中で述べられている戦後の四十五年償いの問題は、理解に苦しむところであります。
総理はこの点をどう受けとめられているのか、伺いたいと
思います。
また、
我が国にとって大きな懸案である
日ソ関係の改善も、
ゴルバチョフ大統領の来春訪日によって大きな前進が期待されるのであります。
両国間のこのところの要人の往来は、その環境づくりに重大な役割を果たしております。私は、
政経不可分といったような態度はもはや
政府もとっていないと
思いますが、この点についてどう
考えておられるのか、ソ連の期待する
我が国の
経済協力についてはどういう
方針なのか、お伺いをいたしたいのであります。また、北方領土問題を含め、
日ソ首脳会談に対する
総理の決意とその対応をお伺いしたいと存じます。
イラクの
クウェート侵攻以来、原油価格が急騰を続け、最近ではスポット価格では一バレル三十五ドル、四十ドルが
現実のものになろうとしております。このような状況が続けば、
日本経済の先行きに大きな影響を及ぼすことは必至であります。特に物価への波及は避けられず、石油製品だけでなく諸物価の値上がりにもつながりかねないのであります。
政府は、原油価格の上昇に対して、便乗値上げの防止を言うだけではなりません。需要期を控え、これ以上の原油価格の上昇を防ぐために、米国やヨーロッパ
諸国と協調し、石油備蓄の放出や原油先物市場の投機的な売買に対する規制、さらには
途上国に対する支援などに取り組むべきであると私は
思います。
総理に、今後の原油需給の見通しとこれらに対する
見解をお尋ねするものであります。
八六年十一月以来拡大が続いてきた
我が国経済は、ここへ来て景気のマイナス要因が目立ち始めております。原油価格の上昇に加え、株の下落、金利の上昇、企業収益の鈍化など、一歩間違えば
日本経済は停滞と物価高の危険さえはらんでいると言っても過言ではありません。ここへ来ての円高・ドル安も、
世界経済から見ると楽観は許されないのであります。
総理は、経済の先行きをどのように認識し、どのような経済財政運営を進められようとしているのか。また、米国経済の低迷も必至でありますが、
日本経済及び
世界経済に与える影響について、あわせて
総理の認識をお伺いをいたします。
このような状況の中で、来年度予算編成が問われております。来年度の予算編成
方針についてどのような
考えをお持ちなのか、お示しをいただきたいと
思います。
消費税の問題についてお伺いをいたします。
来年度予算の歳入の大きな部分を占める
消費税については、その決着をめぐって現在
税制に関する
両院協議会で精力的に協議されているとはいえ、いまだに見通しがついておりません。我が党はかねてから、
消費税は白紙に戻し、
税制の再構築を行うよう主張しているものでありますが、
消費税問題の決着について
総理はどのように
考えておられるのか、
答弁を求めます。
今、国内
政治に問われていることは、
政治が
国民の信頼を取り戻して、ゆとりと豊かさを実感できる
国民生活の
実現のために総力を挙げることであります。ところが
現実には、
政治改革は一向に進まず、
国民生活は国や企業の強大な経済力にむしろ圧迫され続けています。
そこで、
総理に次の点をお尋ねしたいと
思います。
海部内閣は、発足当時、
政治改革を最重要課題として取り組むと
国民に公約し、また、この秋には
改革案を提示することになっておりましたが、何ら実行されておりません。
総理、選挙制度
改革に
内閣の命運をかけるとは、小選挙区比例代表並立制の導入に命運をかけるということでしょうか。
政治倫理の確立や
政治資金の
改革の問題はどうされるのか、また、
法案はいつ出されるのか、御決意のほどを伺います。
さらに、近年の異常な地価高騰の中で、土地対策は今
最大の内政課題であります。今、
政府税制調査会では、土地対策の重要な柱である
土地税制について最終の検討がなされていますけれども、ここで私が特に指摘したいのは、一つには、一定条件の法人を対象とする仮称新土地保有税を創設し、地価高騰の
最大の原因と言われる法人の投機的土地取引と土地買い占めを抑制して、土地の有効利用を促進することであります。
また、二つには、法人の土地譲渡益に、長期、短期を問わず、すべてに完全分離課税方式を導入すべきであるということであります。法人は土地の譲渡で利益を上げても、本来の事業で赤字が出れば相殺する損益通算が認められており、分離課税される個人と比べて不公平だとの指摘があります。この二点について
総理の御
見解を伺いたい。
さきの
平成三年度の
税制改革要求で、建設省は、昨年に引き続き家賃控除制度の創設を
要求をいたしております。賃貸住宅
生活者の過重な家賃
負担の軽減を図るために、我が党はかねてより、家賃控除と家賃手当を併用した家賃補助制度の創設を主張してきたところでありますが、
総理はこの家賃補助制度の創設についていかに
考えておられるか、お伺いをいたします。
最後に、梶山法務大臣の
人種差別発言、チェルノブイリ原発事故問題、水俣病訴訟の三点について伺います。
梶山法務大臣のいわゆる
人種差別発言は、多民族国家の
人権問題に極めて認識を欠いていたことが露呈されたものであり、こうした
発言が
我が国の国際国家としての品位を傷つけ、信用を失墜させることは見逃しにできない問題であります。しかも、職務上
人権を擁護すべき立場にある法務省の最高
責任者の
発言だけに、その
責任は重大であります。
総理はこのような
発言をどう受けとめ、どう対処されるのか、お尋ねするものであります。
チェルノブイリ原発事故による被害は、四年経過した現在でも広がっており憂慮されております。国際原子力機関や
世界保健機構等において放射線障害者の救援策が進められ、既に
世界数カ国が放射線障害者を受け入れ、治療や費用
負担などの救援を行っています。
我が国は、国際
貢献、人道的観点から、被爆国としての経験を生かし、放射線障害者の受け入れを初め、
資金援助、医療
協力、情報提供、専門家の派遣等積極的に
協力すべきだと
考えますが、
総理の
見解を承ります。
さらに、先般、水俣病東京訴訟と熊本訴訟において和解勧告が出され、熊本県とチッソ株式会社は受諾の意向を明らかにしましたが、国は拒否しています。この和解勧告に応じることは困難とした国の姿勢は、被害発生から既に三十四年を経過し、長い間苦しんできた被害者に対する措置として、果たして妥当なものと言えるでしょうか。長い年月をかけて審査して、なお和解の道が妥当とした司法の苦しみの判断を
政府は軽視すべきではありません。それにも増して、三十四年といえば三分の一
世紀、この間に苦しみ抜いてきた数多くの
人々に
政治は無力であっていいのか、一片の愛情すら示し得ない
政治があっていいのでしょうか。
総理、もはや決断しかございません。
見解をお伺いをいたし、以上をもって私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣海部俊樹君
登壇〕