○
中山(正)
委員 実は、この
陸戦ノ
法規慣例ニ関スル条約が条文になっているのがフランス
憲法でございます。外国の軍隊が国土の一部または全部を
占領している間の
法律改正は無効である。ですからそれは、サンフランシスコ平和
条約は
昭和二十六年、二十七年でございますか、それ以前の
昭和二十一年にできた
憲法は完全に
占領下でございますね。ですから、後でサンフランシスコ平和
条約が——またこれくしき因縁でございますが、そのときの全権団の中に我々の母親、
中山マサが参加させてもらった印象が非常にあります。この間、亡くなりました遺品の中、それを整理していましたら、そのときのサンフランシスコのベイブリッジの写真と、それから
講和条約で星島さんとか
吉田さんが座っていらっしゃるその前の席に座っている写真が出てまいりました。それから独立したのはわかりますけれ
ども。
法制
局長官、いかがでございますか。この間、将来できる
国連軍の中に今の自衛隊が参加することは
憲法に違反する疑いがある。そんな矛盾した話が出てくるんならば、これからの
日本というのは
世界の中で何をするのか。
日本の常識は
世界の非常識、
世界の常識は
日本の非常識と言われることわざがあります。
日本の常識と
世界の常識と私は合わせていかなければならないと思う。それではどっちに合わせばいいのかな、こんな狭い箱の中で首曲げて、こんなにして入っている
日本がいいのか、それとも、天井をぱんとあげて堂々と
世界と話し合えるような、特にそうでないと
日本の自衛隊も——どなたか知っておられたら、
日本自衛隊の建軍の精神というのは何か教えていただきたいと思います。ある人が言っていましたけれ
ども、国籍不明の船を停船を命じる訓練をした。そうしたら、あれは前へ一発撃って、後ろへ一発撃って、三発目は真ん中を撃つんですね。真ん中を撃とうとしたら自衛隊員が、どこの国かわからないやつ何で沈めるんですかと言ったというのですね。もう人道主義が徹底しているわけでございます。だから、何から何を守るかという自衛隊建軍の精神については一体何かな。誇りがないと制服なんか着ていられません、ばかばかしくて。
この間、サウジアラビアに行ってくれと言われたお医者様が、お
名前は避けますが、某大学の大教授、細菌学をやっていらっしゃる方でございます。私に何ておっしゃったか。
中山さん、サウジアラビアへ行ってくれないかと頼まれたけれ
ども、靖国神社に祭ってくれますかと聞いたら返事がなかったので断ったと言っていました。祭られても、野党の
皆さんも
反対をされますし、
総理大臣は参ってくれない、天皇陛下は参ってくださらない、当然のことながら。その辺が
日本って何か欠けているな、じっと見ていても真ん中の部分にブラックホールがあるなという、これが
日本の何か今の姿みたいな
感じです。
昔、共産党はいいことを言っていましたよ。
野坂參三さん、
国会に
憲法が提出されたとき何とおっしゃっているか。これは
憲法が
国会に出たときの速記録でございます。「一体此ノ
憲法草案ニ
戦争一般抛棄ト云フ形デナシニ、我々ハ之ヲ
侵略戦争ノ抛棄、斯ウスルノガモツト的確デハナイカ、此ノ問題ニ付テ我々共産党ハ斯ウ云フ風ニ主張シテ居ル、
日本国ハ総テノ平和愛好諸国ト緊密ニ
協力シ、」いいことを言っている。今の
国会に
来ていただきたいようなことをおっしゃっています。それから、「民主主義的国際平和機構ニ参加シ、如何ナル
侵略戦争ヲモ支持セズ、又之ニ参加シナイ、私ハ斯フ云ウ風ナ条項ガモツト的確デハナイカト思フ、」
憲法九条に
反対していらっしゃるのですね。それから、「一体
戦争ノ廃棄ト云フモノハ一片ノ宣言ダケデ、或ハ
憲法ノ条文ノ中ニ一項目入レルダケニ依ツテ実現サレルモノデハナイ、軍事的、
政治的、
経済的、思想的根因、此ノ根本原因ヲ廃滅スルコト、是ガ根本ダト思フ、」野坂議長の
演説でございます。結果はどうされたかというと、六人、社会党から二人共産党に同調しました。帆足計と穂積七郎、この二人が共産党と同調して
反対投票をいたしました。
それから、一番
最初に新
憲法をつくろうといって
改正案を出されたのは、
昭和二十四年、共産党でございます。これは軍隊のことは余りはっきり書いてありませんが、人民による軍隊は軍隊ではない。つまり、共産党の
世界になったらこれは徴兵制度ですから、いつでもつくれるわけですから、そのことは改めて書いてない。今の自衛隊はどうするんだということには、今の自衛隊は再
教育して、そしてやめさせる、こう書いてある。それはどういう
意味かというと、役に立つやつはとる、共産党に従わないやつは捨てる、こういう考え方があるわけでございます。——残念ですね、共産党に一番聞いていただきたいと思っていたのですけれ
ども。
ですから、法制
局長官、先ほどの
陸戦ノ
法規慣例ニ関スル条約で
日本は今こんなことになってしまったわけです。これだけ、何でここにいる
皆さんが一緒にやろうという気にならないのかなというのを、私は後ろで座っていて、ずっと聞いていてもう不思議でならないのです。もうテレビ見ていたらこんにゃく問答で、そして、昔ヘルメットをかぶっていたような連中がマスコミの中に、そのころ安保騒動で暴れまくったから就職できなくて、プロダクションに入ったり広告会社に入って、その連中が夜のテレビを独占していますから、みんなそれで頭がぼけてしまうのですね。情報のゼロの位置がない。情報のゼロの位置も失ってしまった。すべての誇りも失ってしまった。外国に対して顔向けできずに非常に生産性の低い
日本の
国会、こんな集中審議をするものすら生産性が低いようなことで、幾ら工業の生産性なんか、こんなもの上がったってガラスの城でございます。だれかが石一発投げたら、このガラスの城は崩壊します。そのもとが、いわゆるこの論議している枠からどうしても出れない。囲いの中に入っている。その囲いを、この間から法制
局長官、もうすぐ最高裁判所長官になっていただいた方がいいんじゃないかと思うほど明確な御答弁をいろいろされていますので、ひとつ一般常識として教えていただきたい。
陸戦ノ
法規慣例ニ関スル条約という古い古い立派な
条約がある。これは
世界全部に及ぶ、批准をした国に全部及ぶ
条約でございますから、みんながわかっているものでございます。
日本が突然、本当は今、現
憲法を廃棄してもいいのです、この
条約に従って。そのぐらいの値打ちのあるものでございますが、答弁していただいた方がいいのかな、このままやめた方がいいのかなという悩みを持ちながら今聞いているのでございますが、余り私の意に沿えないような
感じがするのなら、もうやめておきましょうか。
またいずれ、それでは
総理大臣に耳打ちをする役割をしていただくことに徹したいと思いますが、実に怪しげな戦後処理をやってきた。
国連の
敵国条項でも、それからこの
陸戦ノ
法規慣例ニ関スル条約でも、全部これは戦後処理をきちっとしてないのです。戦後処理をしてないうちに、さあ
世界の転換に遭った。
私、またここへ毛沢東語録を持ってきています。懐かしい赤い毛沢東語録。この中にちゃんと解説が書いてあります。
戦争と平和
戦争——それは私有財産と階級が発生してからはじまった階級と階級、民族と民族、
国家と
国家、
政治集団と
政治集団とのあいだの、一定の発展段階での矛盾を解決するためにとられる最高の闘争形態である。
「
戦争は
政治の継続である」、この点からいえば、
戦争とは
政治であり、
戦争そのものが
政治的性質をもった行動であって、昔から
政治性をおびない
戦争はなかった……
だが、
戦争にはその特殊性があり、この点からいえば、
戦争がそのまま
政治一般ではない。「
戦争は別の手段による
政治の継続である」。
政治が一定の段階にまで発展して、もうそれ以上従来どおりには前進できなくなると、
政治の途上によこたわる障害を一掃するために
戦争が勃発する。……障害が一掃され、
政治目的が達成されれば、
戦争は終わる。障害がすっかり一掃されないうちは、
目的をつらぬくために、
戦争は依然として継続されるべきである。……したがって、
政治は血を流さない
戦争であり、
戦争は血を流す
政治であるといえる。
それから、その
戦争に二つあるというのですね。正義が二つあるのですからね。それはサダム・フセインの正義と
日本の正義、
アメリカの正義と三つあるかもわかりません、今の世の中。本当は二つなんですけれ
ども。
歴史上の
戦争は二つの種類にわけられる。一つは正義の
戦争であり、もう一つは不正義の
戦争である。
さっき野坂さんが言っていたこととちょっと似ています。
すべて、進歩的な
戦争は正義のものであり、進歩をはばむ
戦争は不正義のものである。われわれ共産党員は、進歩をはばむすべての不正義の
戦争に
反対するが、進歩的な正義の
戦争には
反対しない。後者にたいしては、われわれ共産党員は
反対しないばかりか、積極的に参加する。
だから、共産主義が広まる
戦争は正義の
戦争で、それが縮まっていく、それを邪魔をする
戦争が不正義の
戦争だ。だから、あのヘルメットをかぶっておる連中が反戦と書いてありますけれ
ども、あれは
自分の
戦争をやって
相手の
戦争は
反対するという、うまいこと書いているものだと思いますが。
そういう感覚の中で今度のイラクとそれからクウェートの戦いですね。片一方は百万の軍隊、それから片一方は二万四千しかいませんでした。二万四千で金ばっかり持っている。特に、
戦争の原因というのは、いっぱい王族がいますから、それに全部小遣いをやらなきゃいけない。それじゃ石油をやろう。いわゆるプリンスオイルというやつですね。プリンスオイルをオランダへ行って売ったり、いろいろなところへ行って売って、それが収入になっていたというスポット市場に出てくる石油、それがいわゆるプリンスオイル。プリンスメロンぐらいだったらよかったのですが、プリンスオイルというのが
戦争の原因になってしまいました。この同じアラブ同士の戦いというのを
総理は、この間までイラクとイラン——イランは
ドイツ系、アーリア民族ですからアラブじゃありません。イラクとイラン、それからイラクとクウェートのこの争いというのをどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。