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国務大臣(
橋本龍太郎君)
消費税は従来の
我が国の
税制が抱えておりましたさまざまなゆがみの是正、あるいはサラリーマン層を中心とする重税感の解消、急速に進む
高齢化社会に備えた安定的な
税体系を構築する、こうした目的を持って行われました先般の
税制改革の中でその一つの柱として創設されたものでございます。
私たちは、この
改革によりまして
我が国経済社会の活力を維持し、
国際化に対応しながら豊かな長寿福祉社会をつくるという視点からふさわしい
税体系の構築が図られておりますと確信しておりまして、
消費税を含めて今回の
税制改革全般は正しい選択であった、そう考えております。
しかし、
消費税につきまして本当に
国民の中から非常にたくさんの御意見あるいは御
指摘をいただいたことも事実でありまして、
政府としては
消費税が一層定着してくれるようにと願いを込めながら、その御
指摘をいただきました点をすべて検討の対象とし、幅広い視野からさまざまな措置を盛り込んで今回
消費税の
見直しについての法律案を国会に御提案させていただきました。
今その中を長々と申し上げるつもりはありませんけれ
ども、確かに今御
指摘がありましたような
消費税の持つ
所得に対する逆進性の緩和、あるいは社会的
政策の配慮、こうしたものを充実するという視点から、
国民からの御
指摘を受けて、非課税範囲の拡大につきましても、
消費者の方々が日日購入される飲食料品すべてについて小売
段階を非課税とする、また卸売
段階までの税率をこれまでの半分の一・五%に
引き下げる特例措置を講じた、あるいは借家住まいの方々の
負担軽減のために住宅家賃を新たに非課税とする、また、人の生命というものに対する
国民感情に配慮する見地から出産費用、火葬料、埋葬料を非課税とする、さらに、学校教育に関して入学金あるいは施設
整備費や教科書などに非課税範囲を拡大する、こうした措置もとってきました。また、社会福祉の面から身体
障害者用の物品、老人福祉センター経営事業などの第二種社会福祉事業、ホームヘルパー等お年寄りに対する在宅サービスを非課税とする等の配慮を加えております。また、年金生活の方々に対しまして
所得税や住民税の分野において一層の減税も講ずることといたしました。
また、
消費者の立場としてよく御
指摘をいただいてまいりました面につきましても、その納税が年二回であるために大企業が納税までの間に
消費税相当額を運用できるのではないかといった御懸念に対し、一定規模を超える事業者の納税回数を年四回にふやす、あるいは企業の交際費などへの支出について特別の
負担を求めるために仕入れ額控除を認めないという措置を新たにとった。また、簡易課税
制度のみなし仕入れ率について、実態に合わせて速やかな対応ができますように政令事項とすることといたしております。
また、事業者免税点
制度、簡易課税
制度などの
あり方につきましては、
消費税の申告納付がこの五月いっぱいで一巡するわけでありますけれ
ども、その結果を受けましてこれらの
制度をどう見直すか十分検討することも明らかにいたしております。また、これは本当は厚生
大臣からでもお答えいただく方がいいんですが、
歳出面につきましても、
消費税の使途の明確化と同時に
高齢化に対応した公共福祉サービスの充実を図ってまいりました。
私
どもは、こうしたさまざまな視野から
見直してまいりました結果として国会に御提案をいたしておりますこの
見直し案というものは、現時点における最善の
努力を尽くしたものと考えておりまして、このが国会における御論議を十分いただきました上で一日も早く結論をお出しいただけますように、そしてこの内容、趣旨といったことについて
国民のより深い御
理解がいただけることを心から願い、そのために
全力を尽くすつもりであります。