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国務大臣(
山本富雄君)
総理の
答弁の前に私から申し上げたいと思います。
お米の問題が非常に最近難しい、厳しい、こういう意見が続いておるわけなんですけれ
ども、農林水産省としてはさまざまな問題がございます。もちろんお米もその一つなんですけれ
ども、もう一つの大きな問題は国有林問題なんです。
私、役所へ行きましてもう連日林野庁の幹部を呼んでいろいろ勉強しております。また、組合
関係の方にもむしろ積極的に会いまして、いろいろ現場の意向、従来のいきさつな
ども率直に聞いて、とも
ども何とかこの危機を打開しよう、こういうふうに言っているんですね。山を経営しようといったってそれが赤字になってパンクしちゃ何にもならないというふうなことでございます。
そこで、ちょっと前置きが長くなって恐縮でございますが、せっかくの機会でございますから、国民の皆様に知っていただく意味で次のように申し上げたいと思うんです。
国有林野事業は、昭和五十三年以降国有林野事業改善特別措置法による改善
計画を推進してきた。それを六十二年七月に改定をいたしまして、さらにこれを強化して今、改善
計画に基づいて事業を進めておる。四つございまして、その一つは事業運営の効率化、二つは要員規模の適正化、三つは組織、機構の簡素化、合理化、四つは自己収入の確保、これは当然ですけれ
ども一つ一つ極めて重要なんです、等の自主的改善努力を基本とし、あわせて所要の財政措置を講じつつ経営改善に努めているところであります。ところが、こういう努力を払っているにもかかわらず隘路がございまして、木材の収穫量は、戦中、戦後及び高度経済成長期における大量伐採による影響と、近年の自然保護の要請の高まりから減少せざるを得ない。
それから林野、土地の売り払いですね。物を売ればいいじゃないかということなんですけれ
ども、これは国公有地の公売見合わせなどから従来の手法では大幅な拡大は難しい。ただ売ればいいというものじゃない。
それから要員調整のこともございますが、これも十分やっぱり協議をしつつやらなければならない。支出の削減にもおのずから限度があるというふうなこと等がございまして、なかなか隘路ばかりなんだ、八方ふさがりの状態だ。これを金に換算いたしますと、
平成元年度におきましては利子償還金は二千七十一億円、支出全体の三六%になるということなんですね。これは会社で比較して考えると大変なことなんです。それから、人件費を除く事業支出は一千九十二億円、支出
予算の一九%にとどまっている。片方が三六%なのに、片方は一九%なんだ。これでバランスが合うわけはないんですよ。
平成元年度末債務残高は何と二兆円を超えるとともに、今後は毎年二千億円近くの債務が拡大するということでございますから、これは一般企業、会社で言えば倒産の状態だということは申し上げなくてもわかっている。国有林野事業の財政事情は本当に厳しいということがおわかりだと思います。
今後の経営改善の進め方につきましては、先ほど
委員の御
指摘のとおり行革審でも
指摘をされておりますし、またそれを受けまして、林政
審議会において国有林野事業の経営の健全性を確立するため総括的
対応策をお願いしたいということで鋭意検討していただいておりますけれ
ども、これは検討だけで済むことじゃないんです。毎日毎日利息がつくわけなんです。二兆円の大赤字ということでございますから、何としても
国会の与野党の先生方の御
理解も得ながら、国民の御
理解も得ながら、山を守っていくためにはこれは何とかしなくちゃならないということで必死にやってまいりたいという思いでございますので、ぜひ御指導と御
協力をお願いいたしたい、こう思っております。