○角田義一君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表し、ただいま
議題となりました
臨時行政改革推進審議会設置法案につき、
総理並びに
関係各
大臣に対し御
質問いたします。
昭和五十六年に
設置された臨時行政調査会、いわゆる第二臨調以来九年間の
行政改革最大の
目的は、
政府の肥大化を阻止し、ロッキード事件に象徴された行政の腐敗を一掃し、
国民のための清潔、公正な行政を確立することにありました。しかし、その臨調行革は、
国民のための清潔、公正な行政を確立するどころか、いわゆる中曽根民活に姿を変え、規制緩和に名をかりて政界、官界、財界を巻き込んだ戦後我が国
政治史上
最大の汚点であるリクルート疑獄という新たな
政治、行政腐敗を発生させたのであります。
特に、今国会においても深谷郵政
大臣にかかわる
政治献金等の疑惑解明のために、我が党は他の野党の皆さんとともに懸命の
努力を重ねてまいりました。その結果、林田
予算委員長は、去る六月七日、
予算委員会において、深谷郵政
大臣にかかわる
政治献金等の問題はいまだ十分な資料提出も行われておらず、深谷郵政
大臣の態度はまことに遺憾、同君並びに内閣に対して猛省を促し、国会に不正確な報告を行い、全容解明に
支障を来した
政治的道義的
責任をとることを求める。また、内閣
総理大臣は、
政治倫理綱領にのっとり、
政治不信を招く公私混交を絶ち、清廉を持し、かりそめにも
国民の非難を受けないよう
政治腐敗の根絶と
政治倫理の向上に努め、内閣としての
政治姿勢を明確にすべきであるとの異例の委員長
見解を述べられたのであります。
総理は、よもやこのことをお忘れになってはいないでありましょう。
そこで、まず
総理にお伺いしますが、この林田委員長
見解に基づき、
総理、あなたは内閣としていかなる
政治姿勢をとられるのか、また、どのような
政治的道義的
責任をとられる御所存か、明確に御説明願いたい。
昭和五十六年、第二臨調が
設置される際、当時の鈴木内閣は、第二臨調の期待として、
国民と行政、官業と民業、国と
地方の
関係などの
基本的問題の
あり方が解決されることが求められてきたのであります。また、当時の中曽根行政管理庁長官は、行革は政策形成
システムの民主化であるべきという我が党の主張に対し賛成の意を表明されるとともに、行政管理の効率化と清潔化という問題もあるとされたのであります。しかし、昭和五十六年以来今日までの九年間、第二臨調、旧行革審、そして新行革審がこうした行革の
課題にこたえてきたでありましょうか。
総理はどのような御
見解をお持ちか、お伺いしたいのであります。
まず第一は、第二臨調以来行革の
基本的姿勢であった増税なき
財政再建を
政府がいとも簡単に破り、消費税を導入したことであります。
「増税なき
財政再建」は、第二臨調発足以来の
行政改革のスローガンでありました。ところが
政府・自民党は、大型間接税は導入しないとの公約を踏みにじり、議会制民主主義のルールを無視した強行採決を乱発して、消費税の導入を強行したのであります。これに対して、
国民は昨年の参議院選挙で明確に消費税は廃止すべきとの意思表示を行い、当院は
国民の意思に基づく新しい構成のもとで消費税廃止
法案を可決いたしたのであります。
さらに、去る六月十日に行われた福岡における参議院補欠選挙において、我が党の三重野栄子さんが大勝させていただきました。私どもは、この勝利は単なる
日本社会党だけの勝利だとは思っておりません。消費税は何としても廃止してもらいたい、自民党の一党支配を何とか崩したいという福岡県民の良識の勝利であり、民の声、天の声だと思うのであります。
総理は、この結果をどう受けとめておられますか。この際、勇断を持って消費税問題に対処すべきであると存じますが、所信を承りたいと存じます。
ところで、新行革審は、増税なき
財政再建という公約を踏みにじる
政府・自民党の行為に対して何らの意思表明もせず、大蔵省の
財政再建至上主義に手をかしたのであります。御承知のとおり、国、
地方を合わせた租税
負担に
社会保障負担を加えた
国民負担率は、一九七五
年度の二五・八%から本
年度の九〇
年度には四〇・四%となり、この十五年間で実に一四・六%という猛烈なスピードで上昇し、
国民の
負担のみが増大の一途をたどっているのが実態であります。これは、消費税を初め
国民に大増税を押しつけ、
年金、
医療、
社会保険料等を引き上げてきた結果にほかなりません。
政府が
社会保障の全体像、具体的な
計画も示していないにもかかわらず、新行革審は、二〇二〇年における
国民負担率について五〇%を下回ることを
目標とするのみで、
政府の怠慢な姿勢について何ら言及していないことば、その実体が
政府の代弁機関であったと批判されても反論の余地はないでありましょう。
総理の御
見解を承りたい。
第二は、行革において防衛費を聖域扱いにしたことであります。
一九八〇
年度を一〇〇とした場合、防衛費はことしの九〇
年度では一八六と実に八六%も伸びているのであります。ところが、
社会保障関係費は四一%、文教及び科学技術振興費に至ってはわずか一三%の伸びにとどまり、中小企業
予算に至ってはマイナス二〇%、食糧管理費はマイナス五九%と激減しているのであります。これはまさに軍事優先、
国民生活軽視の
政府の姿勢を如実にあらわしたものと言えるのではないでしょうか。
今、
世界は、米ソ両超大国を中心に急激かつグローバルに緊張緩和、軍縮の
方向に大転換を遂げつつあります。このことは、一九八五年以降の米ソ両国首脳のたび重なる会談の成果もあって、戦後長く続いてきた東西対立の冷戦構造に終止符が打たれ、対話と協調を基調とする軍縮、平和の
時代へと新しい
世界秩序が創出されつつあることを意味するのであります。
世界のこのようなデタントへの大転換は、後戻りが許されない決定的な平和と軍縮の
時代の始まりであり、今や
体制のいかんを問わず、軍備の拡大より経済の
充実発展による人間
生活の豊かさとゆとりこそ人類共通の指標となりつつあります。
〔
議長退席、副
議長着席〕我が党は、このような新しい国際
社会の大変革に伴って、今後の我が国の安全保障と防衛力
整備の
あり方を再
検討しなければならないと
考えております。
この際、
政府が一貫して進めてきた対ソ脅威論を基調とした防衛力増強、日米の軍事協力
体制の強化などに徹底的なメスを入れ、国際的デタントに見合う新しい安全保障の
あり方を真剣に
検討すべきであります。残念ながら
政府には今日の新しい
時代に対応して我が国の安全保障の確立を図っていく姿勢がなく、旧態依然として対ソ脅威論にしがみつき、防衛力増強路線を堅持しようとしていることは極めて遺憾であります。今こそ、アジアにおける緊張緩和と軍縮の開始に率先して取り組むべきではないでしょうか。
そこで
お尋ねいたします。
一、国際的デタントに対応して我が国の安全保障政策の転換を図り、
関係諸国が参加するアジア・太平洋平和保障機構、アジア・太平洋軍縮
会議などの
設置の実現を目指すこと。
一、防衛力
整備の
水準を
現状でひとまず凍結し、防衛力全般について抜本的な再
検討をするとともに、防衛費の凍結、削減を進めること。
行
財政改革において聖域扱いしてきた防衛費並びに防衛庁の機構等の実態を総点検し、防衛の行
財政改革を断行すること。そのための第三者機関の
設置を行うことであります。
防衛庁は、従来の攻勢的な
戦略に基づいて既に次期防
策定に着手し、新たな正面の重装備の取得を
計画しております。これは、平和と軍縮への流れと
国民の期待に背くものであります。少なくとも空中警戒管制機、空中給油機、多連装ロケット
システム、イージス艦の追加建造などなどの新規装備の取得は取りやめることを求めます。
防衛庁は、ソ連のペレストロイカの行方を心配するのではなく、防衛庁自身のペレストロイカこそを
国民が強く求めていることを認識すべきであります。
総理並びに防衛庁長官の
見解を承りたい。
第三は、ODAの
基本姿勢についてお伺いいたします。
言うまでもなく、開発途上国に対する援助は被援助国の
国民生活の向上と民生の安定に寄与するものでなければなりません。かつて、我が国のフィリピンへの援助がマルコス前大統領の巨額の蓄財と民衆抑圧の独裁政権延命に手をかしたことは否定することばできないのであります。また、逆にマルコス前大統領からブラックマネーが
日本の国内に還流し、一部の
政治家に渡ったのではないかという疑惑が持たれたことは記憶に新しいところであります。
我が国の援助が発展途上国の深刻な
環境破壊や
住民生活破壊をもたらし、我が国の
政府開発援助の欠陥は既に内外から強く批判されてきたところであります。この際、我が国ODAの質的欠陥を是正して、その効果的運用を
確保するためには、まず経済援助
実施体制の抜本的改革が必要であります。
私は、途上国の
自立的発展と民主化、開放による共生を目指す援助理念を確立し、ODA縦割り行政を是正するとともに、
予算執行のプロセスを可能な限り明らかにして、個別プロジェクトに関して
環境保護の
視点を含む事前事後の評価を尽くし、
国民の理解と協力のもとに、効果的に途上国の
自立的発展に寄与するODA
基本法の制定を強く求めるものでありますが、
総理の所信を承ります。
次に、総務庁長官に伺います。
既に、百七十八の
地方自治体が情報公開
制度を
実施しているのであります。国としても一日も早い情報公開
制度を確立すべきだと
考えますが、一体、長官にこの
制度を確立するための情報公開法の制定を期する熱意があるのかどうか、私はお伺いしたいのであります。
次に、土地問題についてお伺いします。
かつて新行革審は、地価高騰の原因は、土地投機の先兵となった一部の不動産業者と、安易な不動産融資によりこれを助長する結果を招いた一部の金融機関の行動は、その本来の
社会的責務に照らし厳しく批判されなければならないとの答申を提出いたしました。私に言わせれば、第二臨調、旧行革審、そして新行革審こそが土地高騰の源流であったということであります。
つまり、中曽根元
総理は、
民間の
活力の導入、発揮をお題目に、土地に関する規制を緩和し、
国民の貴重な財産である国有地を払い下げ、放漫なる金融政策のもと、土地を投機の対象とさせてきたことは紛れもない事実であります。その結果、首都圏の地価、住宅価格が平均的サラリーマンの年収の十倍を超えるという異常事態をつくり出し、一方、地価高騰で利益を得た典型的企業がリクルートであり、そのリクルートから
政治献金や株券をもらったのが
政府・自民党の
政治家たちだったのではありませんか。これでは
国民が浮かばれません。
このまま土地政策の無策、不在を続けるならば、土地の高騰による持つ者と持たざる者との資産
格差はますます拡大し、健全な
国民の意識をゆがめ、人心の荒廃が進み、ひいては
政治そのものに対する信頼が根底から崩壊することを私は憂えるのであります。開発利益の
社会への還元、遊休地に対する課税の強化、土地評価の一元化を初め、土地
制度の抜本的改革に今すぐ待ったなしに取り組まなければならないと存じますが、
総理の所信を伺いたい。
最後に、最終答申によると市場開放が強く求められております。しかし、特に農業問題について言えば、これまで
政府は牛肉、オレンジ、乳製品など、外圧に圧倒されてこれら市場の開放をしてまいりました。そのために、我が国農業者の血と汗を無残にも切り捨ててきた悲しい過去があることを決して忘れてはならないのであります。農民の信頼を裏切り続けてきた罪は深いと言わざるを得ません。またもや最後には、我が国の生命線とも言うべき米の市場まで開放されるのではないかという農業者の不安と不信は募っております。国際化
時代にあって、産業として
自立し得る農業の確立が最終答申で求められておりますが、米の自由化との関連で農林水産
大臣の所信を承りたいと存じます。
以上、
総理並びに
関係大臣の御
見解と決意をお伺いいたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣海部俊樹君
登壇、
拍手〕