○北村哲男君 お
言葉ですが、にもかかわらず、これを担う弁護人に対する報酬が余りにも低過ぎるということは、制度として極めて不正常なものであると言ってよいと思いますが、それについても、日弁連から毎年、最高
裁判所を初め関係当局に対しまして国選弁護料の増額要求が行われておりますが、この要望に対して最高
裁判所も一定の
対応をされている、もちろんそれはわかります。しかし、先般、最高
裁判所関係の予算の
説明の際に、国選弁護料についての
説明をお伺いしたところ、前年度比四・二%増額をされたというふうな報告をされました。そして、その根拠というか、それに関連しまして、いわゆる人事院勧告の三・一一%増額と比較して、これは手厚い扱いがなされているという
説明もなされておりました。
しかし、その額を具体的に見ますと、国選弁護料、弁護人の弁護活動に対して昨年は一件当たり五万九千円であったものが、ことしは六万一千五百円、すなわち四・二%プラスなんですが、金額にするとわずか二千五百円ということになるわけです。この傾向はずっともうこの数年続いておりまして、この五、六年を見ましても、パーセントはともかくとしても、一年に大体二千円ずつぐらいの増額がなされているように見受けられます。一方、
日本弁護士連合会の弁護士報酬規程を見ますと、刑事
事件については着手金二十万そして報酬金二十万という、これは最低額なんですが、これはもうかなり前からの決められた額であります。
私は、このまま推移していきますと、被告人の基本的人権を擁護し、有効にして十分な弁護活動を保障することが次第に困難になりつつあるおそれが
現実のものになって、ひいては国選弁護人制度の健全な維持にも重大な支障を来すことになりかねないということを申し上げたいと思うわけです。
言うまでもなく、人権をいかに最大限に保障するかという国家の果たすべき役割は、今
日本が世界に問われていると言っても過言でないと思います。先日、盧泰愚大統領もお見えになりましたけれ
ども、その際にも、在日韓国並びに朝鮮人の人権の問題が大きく問題になろうとしておりますし、また、先ほどから問題になっております
外国人労働者の人権問題も大きくクローズアップされております。また、先日来というか、ちょっと前に問題になりました、また
法務大臣にも直接お伺いをしてお願いをした中国民航のハイジャック
事件についても、人権問題が大きく取り上げられました。
このように、
日本が人権国家として世界に認知されるかどうかということは今世界じゅうが注目しているところであるというふうに私は考えておりますけれ
ども、同様に、
日本の刑事被告人の人権保障は、
裁判所、
法務省も気を配っていただいていることはわかるんですが、刑事
裁判の現場で一被告人の立場に立ってこれを支えておるのは、まさに全国にたった一万四千人ぐらいしかいない弁護人、弁護士の集団の犠牲的な立場によって支えられてきているとも思います。
そこで、最高
裁判所は、この国選弁護人の報酬、そして訴訟の必要経費等の予算要求に関連して、毎年公務員給与についての人事院勧告の増額率を参考に、これを多少上回ることをもって
努力しているというふうに言っておられますけれ
ども、この人事院勧告の改定率を
基準とすることは、国選弁護人の憲法上の地位、すなわち国家的機能とその職務
内容との関係で相当なものであるかどうか、この点についてどうお考えかお聞きしたいと思います。