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最高裁判所長官代理者(今井功君)
お答えを申し上げます。
裁判の遅延の問題でございますが、最近におきます平均
審理期間でございますが、
資料を差し上げてございますが二十五ページにございます。例えば地方
裁判所で見てまいりますと、十年前の昭和五十三年には十三・九カ月ということであったのでありますけれ
ども、六十三年には十一・九カ月ということで、二カ月ということでございますが徐々に改善はされてきているというふうに
考えております。
ただ、そうは申しましても公害
事件あるいは医療過誤
事件というような複雑、困難な
事件におきましては最終的な解決が図られるまでには相当な時間がかかっておるということは御
指摘のとおりでございます。
その遅延、長期化の原因でございますが、今御
指摘ございましたとおりでございまして、いろいろございますけれ
ども、一つというわけにはいかないと思います。
一つの
理由としましては、
事件が御
指摘のように複雑、困難化しておるということが一つの
理由として挙げられようかと思います。また、これは民事訴訟でございますので、原告、被告双方の主張、立証活動によって訴訟が進むものでございます。当事者、原告、被告双方の準備という点にも一つの原因があろうかと思います。また、
裁判所におきましても訴訟の旧来の慣行というものがございまして、それが果たして現在の時勢に合っておるのかどうか、そういうような問題等が挙げられようかと思います。
そこで、それに対する対策はどうか、こういうことでございます。率直に申し上げまして、こういうことをやれば解決するというような即効薬というものはないだろうというふうに思います。今申し上げました遅延の原因それぞれに対しまして、きめ細かな
対応をしなければいけないだろうというふうに
考えております。この点で最近、各地の弁護士会におきましても民事訴訟の促進のためにいろいろな方策を積極的に提言をしていただいております。これは迅速な
裁判を求める
国民の要求が強まっておる、こういうことであろうかと思います。
裁判所におきましても、民事の
事件を担当する
裁判官の間におきまして、いわゆる口頭弁論というものが形骸化しておるのではないかということでございまして、そういうことがないように
裁判所において
審理のむだを省きまして、本当に必要なところだけを十分
調べよう、こういうようなために具体的な方策がいろいろ提案されております。既に一部ではその方策に従った運用もされておるということでございます。このような方策を一つ一つ積み上げることによりまして訴訟を適正迅速に解決していきたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。
それから最後に、第二弁護士会の仲裁センターの問題でございます。
この問題につきましては過日、
報道機関、
新聞記事等でこういうことができたんだということは承知しておりますけれ
ども、具体的な
内容についてはまだ十分承知をしておりませんので、その点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
それに関連しまして
裁判の長期化の問題でございますけれ
ども、先ほど言われましたように、古くから
裁判の遅延というのは
裁判の拒否に等しいんだという格言がございます。このように民事
裁判の促進ということはもう古くからの問題でございますけれ
ども、やはり私
どもとしてはこの点についているんな対策を講じていかなければいけないだろう、こういうふうに
考えておる次第でございます。