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山本正和君 去る一月十六日から十七日までの二日間、静岡県に
委員派遣が行われましたので、その
調査結果の
概要を御
報告申し上げます。
派遣委員は
柳川覺治委員長、
木宮和彦理事、
田沢智治理事、
粕谷照美理事、
狩野明男委員、
世耕政隆委員、
会田長栄委員、
小林正
委員、
西岡瑠璃子委員、森
暢子委員、
高木健太郎委員、
笹野貞子委員、
小西博行委員と私、
山本正和でございます。
初日は、まず三島市にある国立遺伝学研究所の視察から始めました。同研究所は、遺伝学の総合研究を行う中枢機関として昭和二十四年に設置されたものであります。現在では十五研究部門四研究施設を擁し、遺伝学の研究に実績を上げております。また、昨年の四月から総合研究大学院大学として遺伝学専攻の博士課程学生を九名受け入れ、人材の育成にも努めております。他大学の博士課程がなかなか定員を充足できないでいる
状況の中で定員を超える学生を受け入れられたのも、これまでの研究実績が高く評価されたものと言えるでしょう。
なお、研究所側から、一昨年より同研究所のDNAデータバンクが
日本を代表して米国と欧州のデータバンクとともにDNAデータベースを共同構築することになったため、その
整備充実は緊急の国際的
課題となっていると
指摘されました。
次に、
日本大学国際
関係学部を視察いたしました。同学部は昭和五十三年に
我が国で初めて設置された学部で、国際
関係学科と国際
文化学科が置かれております。両学科とも広い国際的視野と語学の教養を基礎とした国際
関係を深く理解できる人材の育成を
目的にしており、毎年、海外短期研修を実施しております。
大学の
概要説明の後、同学部が誇る視聴覚
教育センターを見せていただきました。ここでは、音声や映像を積極的に授業に取り入れるため
各種の視聴覚機器を設置して大きな
教育効果を上げているとのことでした。しかし、このセンターを有効活用していくためには、教授陣に、語学能力のほかに機器を使いこなす技能や授業に有効利用するための幅広い知識、ユーザーとしての改良意見をメーカーに伝えることのできる見識が求められており、今後ともこのような人材を育成していく必要があるとのことでした。
なお、同学部からは、現在、学問的に確立していないということから認められていない博士課程の設置をぜひ認めてもらいたいとの強い要望がありましたことをつけ加えておきたいと思います。
午後は静岡県庁を訪れまして、県勢と県の
教育行政の概況について説明を受けました。
同県は地理的に首都圏、中京圏及び関西圏と近く、紙・パルプ、楽器、オートバイ等の製造業、イチゴやメロン等を主要産物とする農業などが発達しているほか、遠洋漁業の水揚げ港を持つなど恵まれた環境の中にあります。
県の
教育行政は、国際化、情報化、高齢化が進展する中で生涯学習体系への移行に
努力しております。そこで、
平成七
年度までを目標とした静岡県
教育中期計画を昭和六十二年に策定し、現在この計画に従って、生涯学習推進本部と生涯学習推進協議会の設置、図書館の
整備促進、学校開放、単位制高校の建設計画、県立大学の
整備、外国人英語
指導講師の招致、県立美術館の
充実等の事業を行っているとのことであります。なお、県から、学級編制及び教職員定数の改善等三件の要望を受けました。
次いで、幼稚園から大学まで十二の学校を擁する常葉学園に赴きました。そこではまず常葉学園大学
教育学部附属橘小学校を訪れ、オープンスペースやパソコンを利用した授業風景の視察と、四年生、六年生のすばらしいオーケストラ演奏を聞かせていただきました。同校は情操
教育の一環として一学年から楽器演奏を授業の中に取り入れており、私たちは児童と教師たちの真剣な演奏の取り組みに感銘を受けた次第でございます。
その後、常葉学園大学の概況説明を受け、同学園の誇る研修センターを視察いたしました。同センターは、小学校から高校までの児童生徒を対象として、禅を取り入れた一泊から五泊の集団宿泊研修を行っております。私たち一行が視察したときは橘高校の生徒が座禅を組んでいるところでありました。変化の激しい現代
社会の中で心の静寂を修養することは、青少年の心の荒廃が叫ばれる折、非常に
教育効果の上がる方法の
一つではないかと感じました。
二日目は久能山東照宮を視察いたしました。ここは徳川家康を祭るため二代将軍秀忠が造営させたもので、日光東照宮に比べるとやや地味ではあるものの、桃山時代の技法をも取り入れた江戸時代初期の代表的建造物として国の重要
文化財に指定されております。また、同宮博物館では家康の遺品を初め同宮が所蔵する宝物を
展示しており、その中には貴重な多くの国の重要
文化財が含まれております。
次いで東海大学海洋科学博物館を視察いたしました。世界
最大のガラス海洋水槽、三百五十種二万匹の魚等を擁するこの博物館は、
我が国唯一の海洋科学をテーマにした水族館で、毎年五十三万人前後の来館者があり、
社会教育施設として好評を博しているとのことであります。
続いて県立静岡南部養護学校を訪れました。この学校は肢体不自由の児童生徒のための学校で、隣接する静岡医療福祉センター児童部の入所者及び島田病院と静岡地区の在宅の訪問
教育対象者が入学しております。
教育課程は障害の程度に応じて四種類編成されております。また、児童部に入所して医療・訓練を受けながらの
教育は、ともすれば人間
関係や生活
経験に幅の狭さや偏りが生じやすいことから、校外学習、
交流教育、合同養護訓練といった体験的な学習を重視しているとのことであります。
同校を後に、国の特別史跡である登呂遺跡と出土品を
展示した登呂博物館、県が生んだ染色の第一人者である芹沢ケイ介の作品とコレクションを
展示した芹沢ケイ介美術館の視察を最後に、派遣日程を終えました。
なお、本
報告で詳細に触れることのできなかった静岡県の要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただくようお願い申し上げます。
最後に、この場をかりまして、視察先の
関係者の方々の後労苦に感謝し、改めて御礼申し上げます。
以上で
報告を終わらせていただきます。