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国務大臣(
山本富雄君) 非常にうんちくの深い、しかも見識の高い
お話をるるいただきまして、本当に目が覚めるといいますか、目からうろこが落ちるというふうな気持ちでいっぱいであります。私は不敏でございまして、一夜漬けの勉強を今毎日続けておりますけれ
ども、農業関係の本その他を一生懸命読んだり、関係者の
お話を聞けば聞くほど農は国のもとであるということは間違いがない。これはもう百年の先を向いてもそのことが言えるんだと、もちろん二十一世紀に向かって
日本の農政というものが
日本の国の全産業、国運を支えるものだ、こういう
認識を日々強くしておるわけでございます。
その場合に、今
先生のおっしゃるとおり、越えなくちゃならない山がたくさんある。山また山だと思いますけれ
ども、しかしこれ、山を越えるのは人間が越えるわけでありまして、お互いが気持ちをそろえながら一山一山を越えて次の農業の展望を開いていこう、こういうさなかでございますが、そういう
観点から外を見ると、ウルグアイ・ラウンド問題、もうかねがね当然の主張を
我が国としては農業問題を初めとして続けてきた、なぜわかっていただけないのかな。これからいよいよ、まさに正念場に入るわけでございますから、私も満を持して言うべきことは言う、やるべきことはもちろんやってきたわけだから。その結果、今
先生のおっしゃったとおり、牛肉・オレンジ、来年自由化すれば、あとは十三
品目という極めて
日本の国としては大事なものが残った。加えて米でありますから、これは従来の歴史的な経過からしても、あるいは
アメリカであれヨーロッパであれ、どこの国であれ
食糧を守るということが国是の中心になってきたんですから、ひとり
日本だけの問題じゃないんだと。
日本のエゴでも何でもない。これが国際協調に反するはずがないというふうに私はかたく思っているわけでございます。
例えば、
先生のおっしゃった補助金一つ取り上げましても、輸出補助金と国内の補助金じゃもう全然それは違うわけでありまして、悪いのは私は輸出補助金だと思っております。国内の補助金というものは、特に
日本の場合を
考えてみれば、これはもう
日本の農業を守るというよりは農村を守るための地域開発のいわゆる投資なんだと。公共投資という言葉が先ほど出ましたけれ
ども、まさに公共投資だというふうに私は
考えておりますので、それは補助金一つ取り上げても
認識論を十分闘かわせなくちゃいけないなと思っております。
それから、米の問題につきましていろんな発言が相次いでおります。おりますけれ
ども、
日本がかねがね、少なくとも去年の十二月にウルグアイ・ラウンドに整理をして提案し、ことしまたそれを確認しながら今日まで来ておりますが、私は、提案を見れば見るほど
日本の主張がこの地球全体の農業の将来というものをきちんと示している一つの大きな主張だと、正しい主張だというふうに思っておりますので、この主張を通すことは
日本を守ることになり、地球を守ることになるというふうに私は
考えておる。
しかも、今
先生が最後にお触れになったこれから先の担い手、後継者の皆さんのことを
考えますときに、世の中変わってきましたから農業の形態も変わらざるを得ないので、ただ人数がどうこうということだけで私は論じてはならないと思いますが、しかし、農業後継者が激減していくというふうな
状態は、これは何としても憂慮にたえないわけでございますから、そのことを
考えた場合に、若い人が恐らく今度のウルグアイ・ラウンド交渉など、あるいは我々農業関係者、国会議員あるいは農林省、農林
大臣、どういう姿勢で行くんだろうということを皆さんが毎日見ているに違いがないと思う。
したがって、我々がおかしな態度をとれば、そのことだけが一方では国益にも反しますけれ
ども、一方では若い人たちが、ああやっぱり農業はだめなんだ、特に
日本の農業はだめなんだ、こういうことをその場で思い決めてしまうのじゃないかという心配もしておるんです。ウルグアイ・ラウンドで堂々と
日本の立場を主張しながら、
日本の農業というものはかくあるべしと、そして国内
対策はこういうふうにしているんですよということを内外に向かって鮮明にすることが、我々の使命だというふうに
考えておりますので、どうかひとつこれから先も、ぜひ御鞭撻を願いたい、こう思っております。