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1990-08-03 第118回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年八月三日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  八月二日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     清水嘉与子君      成瀬 守重君     須藤良太郎君      井上 哲夫君     山田耕三郎君  八月三日     辞任         補欠選任      上野 雄文君     小川 仁一君      山田耕三郎君     井上 哲夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川  博君     理 事                 青木 幹雄君                 北  修二君                 細谷 昭雄君                 村沢  牧君     委 員                 大浜 方栄君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 初村滝一郎君                 小川 仁一君                 大渕 絹子君                 三上 隆雄君                 猪熊 重二君                 刈田 貞子君                 林  紀子君                 山田耕三郎君                 星野 朋市君    国務大臣        農林水産大臣   山本 富雄君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        外務省経済局国        際機関第一課長  北島 信一君        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       川合 淳二君        食糧庁長官    浜口 義曠君        通商産業省通商        政策局経済協力        部長       川口 順子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件) ○理事補欠選任の件     ─────────────
  2. 吉川博

    委員長吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、熊谷太三郎君、成瀬守重君及び井上哲夫君が、また本日、上野雄文君が委員辞任され、その補欠として清水嘉与子君、須藤良太郎君、山田耕三郎君及び小川仁一君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉川博

    委員長吉川博君) 農林水産政策に関する調査議題といたします。  この際、五カ国農相会議交渉経過等について山本農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣
  4. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 先般開催せられました五カ国農業大臣会議への出席につきまして以下御報告を申し上げます。  先月末にアイルランドで開催されました第二回五カ国農業大臣会議出席いたしまして、一昨夕帰国いたしました。  この会議に先立ちまして、まずベルギーを訪れ、今回、議長を務められるマクシャリーEC農業委員にお目にかかり、さらに、先進輸入国として我が国と似通った状況にありながら、これまで余り交流のなかったオーストリアを訪れ、フィッシュラー農業大臣にお会いいたしました。  ブラッセルにおいては、マクシャリー委員ウルグアイ・ラウンドにつきまして、特にEC輸出補助金についての我が国基本的考え方を申し上げ、意見交換をいたしました。また、ウィーンにおきましては、フィッシュラー大臣と、ウルグアイ・ラウンドについて、特に非貿易的関心事項について共通認識を確かめ合うことができました。  次いで、アイルランドドロモランド城で七月二十九日から三十一日にかけて開かれました五カ国農業大臣会議出席いたしました。  会議は、前回のフロリダ会合同様、交渉をするためのものではなく、五カ国の農業大臣がそれぞれの考え方理解し合うためのものであり、国内農業政策農業貿易農村地域開発及び東欧問題の四つ議題について各国大臣と率直な意見交換ができたことは大変有意義でございました。  まず、私が最初に国内農業政策につきましてリードオフを行い、二十分にわたり、輸入国としての立場食糧安全保障重要性を強調しつつ、我が国農業に対する考え方を詳細に述べました。これが引き金となって各国の活発な議論が引き起こされました。  本年十二月にガットウルグアイ・ラウンドが終局を迎えるということもあり、全体といたしまして、国内農業政策及び農業貿易議題のもとでのウルグアイ・ラウンド関連議論中心でありました。  会議は、厳しい意見交換ではありましたけれども、さすがにお互い政治家であり、落ちついた雰囲気の中で進められました。各国とも、ウルグアイ・ラウンドにおける従来の考え方に基づきましての議論ではありましたが、大臣レベルで、直接顔を合わせての討論で、他の国の間の問題も含めて議論し、改めてお互いを知る上で有意義であったと思います。  この中で、特にアメリカEC間に輸出補助金中心として激しい応酬があり、米国農業法EC輸出補助金等をめぐる最近の動きについての非難を初め種々の議論が行われました。また、ECマクシャリー委員から、一九八六年から九六年までの期間に農業の支持・保護をAMSベースで三〇%削減するとの考え方が示されました。  この会議は、交渉の場ではありませんので、中身に入っての議論には至りませんでしたが、EC側からは九月に正式に提案するとの意向が示されたのであります。  我が国に関しましては、食糧安全保障の問題を説明いたしました。米側からは、従来の主張であります米も含めた関税化可能性を問われ、これに対しては、我が方からも従来の立場に立って詳細に反論いたしました。前回会合出席された鹿野前大臣に続き、各国大臣レベル方々に私の考え方を知っていただきましたことは大変よい機 会であったと思っております。  なお、次回の会合の開催についてでありますが、今年後半に開催する可能性を残しつつも、ウルグアイ・ラウンド関係会合日程が詰まっていることもあり、何ら具体的結論には至りませんでした。  最後になりますが、今後とも、我が国基本的考え方について各国理解が一層深まるよう引き続き精力的に努力してまいりたいと考えております。  以上、報告をいたします。
  5. 吉川博

    委員長吉川博君) これより本調査について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、暑いときに主要国の訪問そして五カ国農相会議大変御苦労さまでした。また、厳しい状況の中で農業交渉を続けている政府担当の皆さん、御苦労さんです。ただいま大臣から農相会議報告を受けたわけでありますが、農相会議において我が国立場主張を強調して、各国理解を得るように努力してきた山本農林水産大臣政治姿勢については敬意を表するものであります。  この会議は、お話があったように協議の場ではありませんけれども、各国主張を言い合って事実上は物別れに終わっている。そこで、今回の農相会議の意義、成果、今後の農業交渉課題について伺いたい。
  7. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) お答えをいたします。  ただいま先生指摘のとおり、また私が冒頭報告をした中にもございましたが、この五カ国の農相会議というものはいわゆるネゴシエーションの場ではない、ましてガットウルグアイ・ラウンドそのものではないわけでございます。第一回のアメリカ・フロリダで行われたときから、グローバルな形で、自国農業の問題と世界農業の問題についてさまざまなテーマに基づいて各国大臣意見を出し、それに対して討論し、そして世界全体の農業問題についての進展を図っていこう、こういう趣旨のものでございます。でありますから、まず顔を合わせること、そしてお互い意見を出し合うこと、その意見についていろいろ討論をした上で結論をどうしても出さなくてはならないというたぐいのことではございませんで、それぞれの意見の中から次の方向というものをお互いがおのずから見出す、こういうことに終始をするわけでございます。  私は今回初参加でございましたけれども、幸いなことに、四つテーマの中で、冒頭国内農業政策、これは非常に重要でございまして、この国内農業政策については我が国立場、すなわち食糧安全保障政策なるものを柱にいたしながら我が国農業事情、そして輸入国輸出国のバランスのとれた今後の世界農業状態展望というふうなものをるる申し上げる機会がございました。先ほど報告にも申し上げましたとおり四つテーマがございましたけれども、私の次にカナダの大臣がやりました農業貿易の問題、これはガットウルグアイ・ラウンドに直接関係があるわけでございまして、この二つテーマが実はこの会議の流れの中では大宗を占めまして、その二つ討論というか議論に終始をしたということでございます。  繰り返すようでございますけれども、それぞれの事情を持つ世界有数農業各国大臣がグローバルなことを頭に描きながら、また自国主張というものをお互いにわかってもらえる、あるいはもらおうというふうな意見の展開がございまして、その意味では、今後の世界農業の行方あるいはガットウルグアイ・ラウンド交渉そのものにいろんな形で影響を与えるということの効果があったんではないかというふうに思っております。  さらに、お尋ねの今後の展望でございますが、これから先もこの会合は続けていこうということでは同意をしているわけでございまして、もう早く、年内にもう一回というふうな話等もございました。ございましたが、ガットウルグアイ・ラウンド交渉が年末に向かってもう時間が非常に切迫しておる、そしてさまざまな作業を各国においてやらなければならない、アメリカなどでは選挙もあるというふうな事情もございまして、続けることは続けるんだけれども、どこの国でどういう時期にやろうかというふうなことの結論は出なかった。しかし、いずれにしても非常に有意義でございますので、この五大国会議というのは今後続けつつ、所期の目的を達成するように、さまざまな場面で会合議論を展開しよう、こういうことになっております。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の今の答弁の中から今後の農業交渉課題もおのずからわかってくるわけであります。  そこで、大臣は一昨日遅く帰国をされて、昨日は海部総理と会って経過報告をし、我が国態度について協議をしたということを聞いておりますが、今後の交渉に臨む政府方針について伺いたい。
  9. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) ちょうど総理が夏休みを兼ねまして群馬県の山奥に行っておりまして、先生の長野県のお隣でございますが、できたら直接話を聞きたい、電話では十分意が尽くせないと。私もそう思っておりましたので、きのう午後から東京を立ちまして、そして万座温泉においでになる総理のところへ参りました。  そこで、五カ国の交渉というよりは意見交換状況につきましてるる説明をいたしました。総理一つ一つについて非常に慎重に熱心に聞いておられました。終わった後、私のリードオフを含めて先ほどの御報告のくだりについてこれでよかったか、こういう話をいたしましたら、それで結構だった、それでは従来の方針どおりいくことでよろしゅうございますね、それでいきましょう、こういうことを確認し合ったわけでございます。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 五カ国農相会議の結果日本の米は一層苦しい立場に追い込まれた、戦術の見直しは必至などとマスコミは報道しておりますが、政府はいかなることがあっても米の市場開放には応じない、日本方針を転換するような政治的な決断をする考えはないと言えますか。農林水産大臣はもちろん、総理それからまた政府全体がその決意であるかどうか、そのことを確認いたしたい。重ねて答弁を求めます。
  11. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 変わりは一切ございません。それは私は会議の場でもヤイターさんに対してるる申し上げた中で、国会決議というものが衆参にわたって満場一致でされておる状態お話をいたしました。また、行政府といたしましてもこれを十分受けとめながら、内閣として閣議においてもこれは確認をされておることであるというふうなこともはっきり申し上げてあります。また、いろんなこと等が新聞報道でなされておりまして、それぞれの方々心配余りでしょうか、御発言があるようでございますが、例えば政府与党である自民党の場合は党見解というものも出ております。また、先般は総務会長談話というふうなものも出ておりまして、国内自給という従来の方針に変わりはないというふうになっております。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 国会決議についても今答弁がありましたが、国会決議についてもいろいろ論ぜられておるところであります。本院は、食糧自給率を高めること、米は国内生産による完全自給方針を堅持すること、自由化反対である、この国会決議を本会議そして当委員会で五回にわたって行っているところであります。政府国会決議を尊重することは当然であるけれども、政府が万一この国会決議を踏みにじるようなことがあったとするならば責任は重大であります。その覚悟を持っていますか。
  13. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) もちろん申し上げるまでもございませんで、今申し上げたとおりの姿勢で従来もまいりましたし、これから先もまいりたい。  まあ政府与党のことだけ申し上げましたが、各党の間でもこれまた心配余りだと思いますが、いろんな意見報道されておることも承知をして おりますが、これは少なくとも党としてお決めになっている筋を外れたものではない、すなわち国会決議に何の変更もないというふうに考えておりまして、これを重視して、そして内閣方針としての米自給ということははっきり貫いてまいりたい、こう考えております。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 以下、具体的な問題について質問を行いますが、今大臣から他の党もというお話がありましたので、この際日本社会党農業政策について改めて表明をしておきます。  我が党は昨年、食糧自給率向上、米の完全自給地域農業確立を柱とする新農業プランを発表し、この選挙公約もし、国民各層理解と評価もいただいているところであり、これからこのプラン制度化を目指して今準備をいたしておるところであります。  過日、超党派の訪米団に加わった我が党議員発言の一部が大げさに報道されまして誤解を招いたようでありますけれども、発言者真意が正確に伝えられておらないことはまことに遺憾であります。発言者はもとより、我が党は米の自由化反対方針は何ら変わりのないことを表明しておきます。  米問題について論議が高まっている中で、去る七月十九日の中央執行委員会で改めて次のような書記長見解を発表して我が党の態度内外に鮮明にしているところであります。すなわち、日本社会党は四月三日から五日に開催した第五十五回定期全国大会において、米の市場開放阻止に向けた取り組みを行うという方針を決定しており、また七月九日の全国書記長会議における書記長報告でも、党は米の市場開放は行わないとの国会決議に基づき、年末のガットウルグアイ・ラウンドに向けて国内外での活動を強化するという方針を再確認しています。ガット貿易交渉委員会を間近に控え農業交渉が重大な山場を迎えているとき、米の市場開放を阻止するという党の公約をあくまで堅持し、米の市場開放を阻止し穀物自給率向上に向けて努力することを改めて表明します。これが書記長見解であります。これが我が党の態度であります。  政府も米の市場開放には応じないという方針を今大臣がおっしゃったように決意を持っている。そして今後の交渉に当たろう、土俵に上ろうとするときに、一部の政治家やまた政党からこれに水を差すような発言がされております。特に国会決議があり、党の公約があるにもかかわらず、与党自民党有力者から自由化不可避論だとか、自由化容認論部分的自由化などというような発言が伝えられておることはまことに不見識であり、私は不愉快を覚えるものでありますが、今非常事態と言われる農林水産大臣はどのように感じ、今後いかなる対応をしようとされますか。
  15. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 先ほど来申し上げておりますように、内外の諸情勢の中からそれぞれの方々が御心配をされまして、そしてこういう方法もあるんじゃないか、ああいう方向もあるんではないかというふうな心配表明をされているのではないかというふうに私は受けとめております。  しかし、今先生と私と議論を交わしているように、これはもう国会決議もされており、内閣としての方針も決まっておることでありますし、また私は今回の五カ国の農相会議でもはっきり我が国立場というものを意思表明しておるというふうなことでもございます。結論的に言えば、どなたがどうお話しになりましょうとも、日本農政責任者は、不肖でございますが農林水産大臣である山本富雄である。私の考え方基本にして日本農政を、米問題を含めて進めさせていただきたいというふうに考えております。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 大臣決意政府方針を改めて私は確認をしておきます。  そこで、そういう中にあっても、アジア太平洋経済協力閣僚会議出席した中山外相武藤通産相は、米の市場開放について、国会決議見直しなどを含めて政治決着を必要とする、こういう趣旨発言をしたことが報道されていますが、外務大臣はまだ帰っていない、あるいは通産大臣はきょうは外交日程があって、ここへ出席を求めたけれどもどうしても出られないということでございますが、外務省通産省からこの大臣発言真意について聞きたい。
  17. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 外務省責任者が来ておるようですから後でお話があろうと思いますが、なかなか一課長さんではお答えがしにくかろうと思うわけでございます。  先生の御質問なさる真意も私よくわかっておりますけれども、私自身は実は記者団からも質問をきのう受けておりまして、それに対してこういうふうに申し上げております。報道としてお聞きをしております、しかし内閣方針が決まっている以上、そのような発言が公式な発言としてあり得るはずがない、私もそれは公式なコメントとしては聞いておらないというふうに申し上げて、記者団に御納得をいただいたということだけ申し上げておきます。
  18. 北島信一

    説明員北島信一君) 説明申し上げます。  村沢先生承知のとおり、ウルグアイ・ラウンド交渉は、ことし十二月のブラッセル閣僚会議交渉が終了するということで、今後交渉最終段階に入るわけですけれども、予定どおり十二月までに決着するためにまだ多くの解決すべき問題がある。このために各国農業分野を含み、各交渉分野で相当の努力をして交渉進展を図ることが必要であるという一般的な状況にあるわけです。  そこで中山外務大臣は、こうした状況を踏まえて、ウルグアイ・ラウンド年内終結必要性を強調するとともに、年内終結のためには各国とも政治レベルでの指導力が求められているという認識を有していることを一般的な形で述べられたというふうに承知しております。このような認識は、ちなみに先週ジュネーブで開かれました貿易交渉委員会、それからサミットにおいても各国の首脳ないし閣僚により示されたということだと思います。  なお、ウルグアイ・ラウンド農業交渉、なかんずく米の問題につきましての政府立場山本大臣から御説明のあったとおりでございますけれども、外務省としましても、ちなみに私、外務省担当課長でございますけれども、今週、農水大臣にお供をしまして五極農相会議での山本農水大臣の御活躍ぶりというものを私のこの目で見たわけですけれども、それに先駆けてのジュネーブでの一連の交渉に当たって、農水省の幹部の方と一緒に交渉に参加しておりますけれども、政府一体となって同じような考えに立って交渉を進めているということで、今後とも我が国立場を粘り強く主張してまいりたい、そういうふうに考えております。
  19. 川口順子

    説明員川口順子君) 七月の三十日と三十一日にシンガポールでアジア太平洋経済協力閣僚会議がございまして、その二日間の会議の終了後、随行の日本記者団に対しまして中山外務大臣及び武藤通商産業大臣記者会見がございまして、その席上で米に対する質問が出たわけでございまして、私、会議大臣に随行いたしまして行ってまいりまして、記者会見もずっとそばで聞いておりました。通産大臣記者団に対しての発言趣旨は、与野党間で現在、米について国際情勢を踏まえたさまざまな議論が行われているということを言及申したものでございます。  通産省といたしましては、今後とも国会決議趣旨を体しまして対応していくという立場に何ら変わりはございません。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 きょうは農林水産委員会でありますから、外務省通産省にはそれ以上申し上げませんが、武藤通産大臣農林水産大臣経験者です。私もこの場所で随分こうした問題についても議論をしたことがあります。しかし、通産大臣発言を聞いておると何かひっかかるものがあるんです。やっぱり閣議でもって、政府一体ならばその向きで対応してもらうように強く申し上げてください。  さてそこで、ウルグアイ・ラウンドを成功させなきゃいけない、農業交渉はその重要な分野であ る、このことは承知をいたしておりますが、農業交渉基本的な課題について政府見解を聞きたいと思うんです。  アメリカ日本に対する米の要求が非常に強いため、国内においてはウルグアイ・ラウンド関心は米に集中しがちでありますけれども、私はその最大の課題アメリカEC補助金つき農産物輸出競争にあるんだ、この補助金つき輸出世界農産物取引を混乱させて発展途上国を苦しめているだけでなくて、アメリカにとってもECにとっても大きな財政負担である。また、輸出を促進されるような、例えばアメリカの不足払い、こうしたことも問題であるわけです。こうしたことを縮小しなければ世界農産物交渉はいつまでたっても解決しない。我が国が百歩譲って米の市場開放を認めたとしても世界農産物問題が解決するわけではない。政府はどのように考えますか。簡潔にひとつ答弁いただきたい。
  21. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 先生指摘のように、このウルグアイ・ラウンドが始められました背景ということから申しますと、世界的な農産物の構造的な過剰を背景にいたしまして補助金つき輸出の増大などの輸出競争が激化したということがその背景にあると考えております。したがいまして、今回のウルグアイ・ラウンドでもそうした輸入アクセス、それから輸出競争影響を与えるすべての措置が交渉の対象となっているわけでございまして、御指摘の点はそのようなことであろうと考えております。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 アメリカECとの対立が予想以上に深刻だ、アメリカにとっては日本協力がどうしても必要である。特にEC共通農業政策を撤廃させる、そのために日本に米の市場を開放させ、日本も妥協したからECも譲れ、ECが譲歩しなくてラウンドが失敗したらその責任ECにあるんだ、こういうことを言われるんではないか。いわば米問題というのはアメリカにとっては現状を切り開く切り札である。これは曲解した見方と言えますか。
  23. 川合淳二

    説明員川合淳二君) アメリカの米に対する関心につきましてその真意は何かということはなかなか難しい問題だと思っております。ただECが現在ウルグアイ・ラウンドなどで主張しております輸出補助金などの主張を見ておりますと、EC共通農業政策にかかわる問題でもございますので、なかなかその主張は根強いものがあると思っております。したがいまして、日本の米の市場開放とその問題とを関連づけて考えるというのはむしろなかなか難しいのではないか。ECECなりの主張を持っているわけでございますので、この米の問題とそれを結びつけて考えるのは少し無理があるのではないかという感じさえいたします。逆に言いますと、EC日本がどういうふうに動いてもその政策をなかなか変更しないのではないかというような感じをもっております。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 こういう場所で農林水産省はしっくりした答弁はなかなかしにくいだろうというふうに思いますけれども、大臣、私の見方は決してうがった見方、間違った見方ではないというふうに思うのであります。日米関係はもちろん重要であります。しかし、日本アメリカの従属国ではないんです。我が国には我が国事情があるんです。国益を守るために毅然たる態度をとるべきでる。大臣決意を聞きたい。
  25. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 村沢先生と全く私、同意見でございますし、同じ感じをもっております。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、ウルグアイ・ラウンドの多国間交渉進展をしない場合に、日米の二国間で解決させようとする動きが強まるのではないかという懸念もされますが、政府の現状認識はどうか。私は、アメリカから二国間交渉を強硬に求められたとしても、それを拒否すべきだと思う。政府決意を聞きたい。
  27. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 現在ウルグアイ・ラウンド交渉がなされているわけでございます。これにつきましては、日米ともに米につきましてウルグアイ・ラウンドの場で交渉をするという基本的考え方を持っているわけでございまして、少なくともこのウルグアイ・ラウンドを成功させるために、両国はもちろんでございますが、各国が努力をしているわけでございまして、あくまでもこのラウンドの場で交渉が行われ、ここで解決を図っていかなければいけないというふうに考えております。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 二国間で話をしなさい、それを報告してくださいという、ドゼウ議長の見解にも若干出ていますけれども、日米二国間で米問題については交渉をする、そういうことに追い込まれるのではないですか。
  29. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今後の進展がどうなるかということは必ずしもつまびらかになりませんけれども、やはり多国間の交渉の場でございますので、基本は多国間にあるというふうに考えております。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 二国間で交渉してその結論を見出してウルグアイ・ラウンドの最終的決定のところへ持っていく、そういうことはしないということですか。はっきりいってください。
  31. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 先ほども申しましたように、現在はウルグアイ・ラウンド農業交渉につきましては、ある程度のスケジュールが決まっているわけでございます。したがいまして、この交渉がどのように進展していくかということにつきましては予測しがたい点がございますが、やはり多国間で交渉をする場でございますので、基本は多国間でやっていくということになるべきであるというふうに考えています。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 基本はそうだけれども、そういう場に追い込まれたとしても二国間で話をして結論を見出すことはしない、そのことを聞いているんです。
  33. 川合淳二

    説明員川合淳二君) あくまでも多国間の交渉に徹すべきだと考えております。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、米については日米二国間では決着しないということは、過去において日米の政府間で約束済みになっていることです。このことは昭和六十三年、第百十三回国会の当委員会で私もくどいように再三確認をし、当時の佐藤隆農林水産大臣の明快な答弁を得ているところであります。今後の交渉で二国間で話し合って妥協するというようなことが絶対あってはならない。大臣見解を伺います。
  35. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) ただいま過去の例をお引きになってお話がございました。承知をしておりますので、その方向で今後ともやってまいりたいと思っております。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 そのことも確認しておきましょう。  そこで、五カ国農相会議で、EC農業保護を三〇%削減する用意のあることを明らかにしたようでありますが、その内容、日本政府としての評価、今後の交渉にそのことがどういう影響を与えると思われますか。
  37. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今回の五カ国農業大臣会議で、ECがAMSの三〇%の削減につきましてマクシャリー委員から考え方が示されたというふうに聞いております。しかしながら、この内容については、事務的にはもちろん、内部の状況が十分に把握されるような形で主張されておりません。したがいまして、大臣会議でも確認されたようでございますが、ECの提案ということではございませんので、まだ私どもはこれにつきまして論評する段階にないというふうに考えているところでございます。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 論評する段階ではないけれども、大臣出席しておりましたが、そういう提案があったことは事実ですね。
  39. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) そういう提案があったことは事実です。ただ、非常に唐突にマクシャリー委員からその三〇%AMSの削減というのが出まして、私も非常に唐突だなという印象を受けましたし、アメリカなども、その他の国も非常に唐突だと、こういうふうに受けとめまして、したがいまして、アメリカからはそれに対するこれは提案ではないんだなというふうな念押しなどもございました。そこで、ECの方で若干協議をいた しまして、九月に中身を整理いたしまして、改めて提案という形で出し直したい、こういう意思表明があったわけであります。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 その問題はまだどういうことになるかわかりませんから、この程度にしておきたいというふうに思います。  さて、去る七月二十三日から開かれたガットウルグアイ・ラウンド農産物貿易交渉グループの会議は、難航の末、ドゼウ議長の提案に附帯意見をつけて貿易委員会報告するという妥協が成立したけれども、問題はすべて先送りになりました。また、五カ国農相会議は平行線のままで終わっておる。これから十二月まで精力的な交渉会議が進められるであろうけれども、今までのコミュニケや宣言に照らして、政府のとるべき態度について伺っておきたい。すなわち、食糧安保などの非貿易関心事項は考慮することが昨年四月のウルグアイ・ラウンドの中間報告で合意をされている。本年五月のOEC閣僚理事会では、非貿易的関心事項を考慮することがコミュニケで盛られている。七月のヒューストン・サミットでは、農業交渉は食糧安保についてその関心を考慮する、すなわち食糧安保を考慮することが宣言されているわけです。ところが、ドゼウ議長の報告アメリカ主張する関税化論を基調として、全体として輸出国立場に立ったものであり、輸入国立場を反映したものではない。しかも、その報告書は交渉を強化する手段として確認されたことは問題であります。我が国主張し、今までの交渉のコミュニケや宣言で確認されてきた食糧安保附帯意見に書き込まれているにすぎない。このような報告書を確認し、しかも交渉を強化する手段とする。我が国はこうした報告書になぜ合意をしたんですか。
  41. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今御指摘がございましたように、ドゼウ議長のテキスト案は輸出国寄りの面が多いことはそのとおりだと考えております。したがいまして、私どもはさきの農業交渉会合におきまして、詳細にこのテキストにつきます問題点を指摘したところでございます。御指摘の、交渉を強化する手段という表現は、サミット宣言の農業に関する部分に使われている表現でございますが、これは同テキスト案を交渉の基礎とするという意味ではなくて、したがって各国の従来からの立場を維持しながら今後の交渉に臨むことができるというふうにされている文言でございます。また、御指摘のように議長報告のカバーノートの中にも書いてございます。同時に、そのノートの中には食糧安全保障を含む非貿易的関心事項にも言及しているということでございます。  また、くどいようでございますが、それを受けて議長報告の締めくくり発言というものもございますが、この中でもこのテキストが合意に至らなかったということが明記してございますので、我々の主張は、こうした経過を踏まえまして今後とも続けていきたいというふうに考えております。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 食糧安保云々の文言は、形式は附帯文書である、しかし、附帯文書であるけれども、議長ペーパーと同列のものである、このように理解してよろしいですか。
  43. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 一体的なものと考えております。また、テキスト案の中でも、私どもが今までの考え方主張する論拠としての箇所もございますので、そうしたものを踏まえて今後の交渉に臨んでまいりたいと思っております。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 そうならばなおさら我が国主張を今後の交渉に生かしていかなきゃならない。大臣に伺います。
  45. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 先生、今、川合局長とやりとりがございましたけれども、いわゆるドゼウ・ペーパーなるものがございまして、それが難航いたしまして、その後二つの文書がついた形で辛うじてこのまとめの形がついたと。中身については、各国ともそれぞれいろんな意見を残して終結しておるというふうに考えておりますので、我が方の考え方、従来の主張、そういうものは先生指摘の非貿易的関心事項にいたしましても、あるいは食糧安保問題にいたしましても、その中で完全に残っておる、それを基礎にして主張し得るというふうに考えておりますので、この主張はしっかり貫いてまいりたい、こう考えております。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 大臣は、五カ国会議の前にオーストリア農相と会談をしたと先ほど報告があったわけでありますが、農産物輸入国であるオーストリアは、ウルグアイ・ラウンド農業交渉、またドゼウ・ペーパーにどのような見解を持っているんですか。また、オーストリアに限らず、韓国、スイスなどの輸入国アメリカの提案を基調としたこうした報告についてどういう意見を持っているんですか。
  47. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 大臣がお会いいただきましたオーストリアにつきましては、大臣から後ほど発言させていただきます。  ほかの輸入国考え方でございますが、スイス、韓国、北欧等、その他の輸入国につきましては、次のような見解を持っております。  農業が有する多面的機能、すなわち、食糧安全保障、国土環境保全、地域社会の維持などの非貿易的関心事項重要性につきましては、各国ともその重要性認識しておりまして、このために農業保護は必要であるということでございます。それからウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、このような非貿易的関心事項が適切に配慮される必要があるということも同様でございます。  ただ、やはりそれぞれの国の食糧あるいは農業をめぐる事情が違いますので、国内支持、国境措置等各分野について、具体的な考え方は若干ずつ違いがございます。韓国などは我が国と非常に近い考え方を持っておりますが、スイス、北欧等につきましては、例えば北欧につきましては国内支持について許容される政策についても予算の上限を設けるべきだというようなことを言っておりますし、関税化についても一部許容するような考え方を持っております。スイスにつきましては、御承知のような備蓄を中心とするような安全保障政策をとっておりますので、若干やはり違うような感じがございます。ただ、しかしながら農業の多目的な機能、それに基づく農業保護の必要性というところでは一致しているというふうに考えております。
  48. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 先ほど冒頭報告のところで、オーストリアのフィッシュラー大臣とお会いをした、そして特に非貿易的関心事項について共通認識を確かめ合った、こういうふうに報告をいたしました。  せっかくのお尋ねでございますので、若干詳しく申し上げますと……
  49. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、時間がございません。簡単で結構でございます。
  50. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) はい、わかりました。それじゃ、要点だけ申し上げましょう。  非常に私どもの行くのを待っておりました。そして、国土が狭いということ、それから食糧輸入国として日本と同じ立場だ、こういうことを指摘しまして、そして農業というものが国土とか地下水、景観、生態系等々の維持の問題で非常に重要だということの強調をいたしまして、先ほど来話の出たドゼウ・ペーパー、これには自分が主張しているような観点が十分盛り込まれておらない、非常に不満だ、こういうことも率直に言っておりました。さらに、今後日本立場を支持する。したがって、今後ガットウルグアイ・ラウンド交渉がさまざまな形で展開するが、その都度定期的に協議をしていただければ、できる限り我々は輸入国立場として協力をしたい、こういう意思表明がございました。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 アメリカやあるいはケアンズ・グループは農産物輸出国である。したがって輸入国の苦しみはわからない。だから食糧安保は理解するが完全自給にはつながらないんだと言うんです。日本世界最大の農産物輸入国。この輸入国の利益、立場を守るために日本はリーダーシップを発揮すべきだと思う。大臣、どうですか。
  52. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 御説のとおりだと思っております。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 さて、アメリカはあゆる保護措置を関税化に置きかえて、十年後には関税をゼロにしようと提案をしております。基礎的食糧の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講ずるためにも関税化は受け入れることができないと私は思います。政府見解を聞きたい。
  54. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 一言で申し上げますと、お米のような基礎的な食糧に関しましては、その格別の重要性にかんがみまして関税化は困難だ、こういうふうに従来主張してまいりましたし、五カ国の場でもその点をしっかり強調してまいりました。また、農産物全体についてすべてを関税化するという考え方は現実的対応ではないのではないかというふうな指摘等もいたしました。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 そういう立場があっても、農業交渉グループの会議において我が国関税化提案に対しては、今お話があったように困難だ、こういうことはしたものの、関税化に当たって一定の条件が認められればドゼウ・ペーパーを拒否するんではない、こういうふうに表明されたことも報道されておるんです。このことは、関税化拒否から条件闘争に入ったんですか。一定の条件とは何か。また、関税化議論に乗るということは、米の関税化試算まで示して日本に迫ってくるという状況下では、米の関税化について妥協を強いられるおそれがあるんではないか。さらに、関税化の土俵に上っても米の完全自給方針は貫徹できる、こういう判断があってのことですか。
  56. 川合淳二

    説明員川合淳二君) テキストにつきまして明確化ペーパーというのを提出しております。このペーパーにおきましては、関税化は困難であるということをはっきりと言明しております。その上で、この関税化につきましては、先生承知のように、かなり不明確な点が多く、その考え方が必ずしもつまびらかでないということがございます。例えば国際価格の変動をどう扱うかというような技術面につきましてもなかなかわかりにくい点がございますので、そうしたことの明確化につきましての指摘を行ったことは事実でございます。  国際交渉の場におきましては、それぞれの国の立場を変えないということを前提といたしまして、こうした技術的な面のコメントを行うことは通常なされているということでございまして、その線に沿ったことでございます。したがいまして、今回のそうしたことが関税化を受け入れるということにつながるということではございません。  いずれにいたしましても、私どもとしては基礎的食糧、それからガット上の規定に基づきまして輸入制限品目については関税化は困難であるということを主張し、かつその提案をしておりますので、これに基づいて今後の交渉に臨んでいきたいと思っております。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 関税化基本的に、また現実的にも困難だと。そうだとするならば技術的にもやっぱり困難だと思いますね。だから今話があったような、技術的な問題についてさらに深めていくというそんな土俵にのる必要はないじゃないですか。どうですか。
  58. 川合淳二

    説明員川合淳二君) いろいろな提案が出されております。そしてその提案についての明確化という作業が行われております。これにつきましてはマルチの会議の場でございますので、各国からいろんな議論が出される。その議論に参加しているということでございまして、先ほど申しましたように我が国関税化は困難であるということを明確に言明しておりまして、その上でのいろいろな議論でございますので、先生の御心配のようなことはないと思っております。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 五カ国農相会議において山本大臣は、農産物輸入国にとっての保護政策の重要性を強調しながらも、新たにアグリミニマム、こういう考え方を認めるように主張したということが報道されておるわけであります。このアグリミニマムの考え方は従来の日本主張には明示されていなかったというふうに思うんですけれども、こうした考え方を特に主張した理由は何か。その背景は何があるんですか。
  60. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 我が国農産物輸入は近年急速に拡大してきております。そういう意味では世界最大の純輸入国というふうになっているわけでございますが、こうした中で、一方農産物輸出国サイドからはミニマムアクセス論を初めといたしまして、アクセス改善論があるわけでございます。こうした改善論に対しまして、輸入国サイドとしてこれ以上農業生産を縮小することができないという水準、こういうものをも主張し得るというのがアグリミニマムの考え方でございます。  ただ、このアグリミニマムという言葉は、確かに最近言われていること、あるいは私どもが言ったことではございますが、食糧輸入国の基礎的食糧については所要の国内生産の水準の維持を図る、また農業が持つ国土環境の保全等の多様な役割が十分配慮される、農業は地域の安定、定住条件を維持いたしまして、社会基盤の安定に寄与しているというようなことを認識すべきだというような議論を束ねた形で輸入国基本立場として述べたものでございます。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 そういうことをまたいろいろうがった見方をすれば、最低限の生産さえ確保できれば輸入を認める、こういう考え方に直結してくるんではないか、こういう心配もあるわけですね。  いずれにしても、いろいろなことを言っているけれども、やっぱり日本は米を関税化の対象にしない、国境保護措置を講ずる、このことを貫き通すための発言であり手段である、そういうふうに理解してよろしいですか。
  62. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 私どもは先生の御指摘のように、最低限の生産さえ確保されれば輸入を認めていいということのためにといいますか、そうした議論を生み出すためにこの主張をしているわけではございません。むしろ、こうした最低限の生産といいますか、そういうものについては、国内市場あるいは国境保護の両面にわたって相当の保護を行ってもいいんだという主張の論拠としてこの考え方を出したということでございます。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 ドゼウ議長の報告の附帯意見がこれは一体的なものだという答弁もあった。そうだとするならば、今まで答弁があったような交渉あるいは協議確認によってこれから各国農業保護削減の個別リストを提出しなければならない。我が国はこのリストを提出する場合、ただいま確認をした内容、我が国主張に基づいて米の関税化に応ずることができないこと、このことはもちろんのこと、部分的自由化もできないことを明確にするものでなければならない、どうですか。
  64. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 議長テキスト案に附帯します議長の締めくくり発言、先ほどの一体的になっております三部作の一つでございますが、ここには、国別表はオファーリストではなくデータの提出である旨、それから国別表は各国交渉立場を害するものではなくて各国交渉においてその立場主張できる旨が記載されております。  この国別表の中身その他につきましてはなお議論があろうかと思いますが、我が国といたしましてはこの提出に当たっても、現在行っております主張が反映できるようなそうした内容にすべく検討を開始しているところでございます。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 これから検討することではあるけれども、私が申し上げましたように、個別リスト、ペーパーを提出する場合、関税化に応ずることができないんだ、もとより部分的自由化もできない、このことをやっぱり明確にする、そのことをはっきり答弁してください。
  66. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 私どもが現在行っている主張に沿ってこの国別表を提出したいというふうに考えております。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 答弁が回りくどいですね。私が質問したとおり率直に答弁してくれればいいんですよ。もう一回答弁してください。
  68. 川合淳二

    説明員川合淳二君) これからの検討でございます。  なお、国別表につきましてはいろいろとまだわからない点がございまして、そうした検討がこれから八月以降進められるわけでございますので、私どもといたしましては、私どもの主張立場を害さないようにやっていきたいと思っております。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 そのことを確認しておきます。  さて、米問題は専ら外圧によって揺り動かされており、ある面ではマスコミによって世論が形成されようとしていると申しても過言でないというふうに思いますが、一体米を自由化したらどうなるのか。今こそ国益を守るために真剣に考え、国民の合意を得るために政府として積極的に取りくまなければならない。一部の政治家や、またある政党は、一部開放に応ずべきである、そのことによって日本の米がまもられる、そういうことを言われる者もありますけれども、一部でも市場開放すれば将来拡大することは必至であると思う。一部開放してそれを歯どめにするという保証がありますか。政府に聞きたい。
  70. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 米の問題に関しまして、これまで公的な場で、一定量の輸入を行えばそれ以上の輸入アクセスを認めなくても容認できるという立場を明らかにした国はありませんで、輸出国はいずれも全面的な自由化を求めております。また、一たん輸入枠の設定を行えばその後は枠拡大が求められることも想定されます。いずれにいたしましても、米については今後とも国内産で自給するとの基本的な方針のもとで最大限の努力を傾注してまいる考えであります。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 今答弁があったように、一部分でも許せばそれによって日本の米は守れる、そういう保証はない、今までそういう例がない、そのことも聞いておきましょう。  それでだれかが言ったように、五%あるいは一〇%を輸入するならば、そういうことを言った人がおりますね。そうしたならば、我が国の生産調整及び穀物自給率、カロリー自給率にどのような影響を与えると思いますか。
  72. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 仮にということだと思いますけれども、減反面積は増加し、自給率はそれぞれ低下すると思います。ただ、私ども、基礎的食糧であります米につきましては、先ほど来申し上げていますように、今後とも国内で自給するとの方針のもとに交渉に臨んでいるところでございまして、お尋ねのような米の輸入を前提とした試算というのはやっておりません。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 やっておらない、そういう答弁だろうと思いまして、こういうことを聞くからひとつ数字を出してほしいと言ってあるんですね。言えませんか。どうして言えないんですか。五%輸入を拡大したら、今の条件の中で生産調整はどのように拡大していくのか、自給率はどうなるのか、言えないことはないでしょう。仮りにですよ、それは仮定の問題を言っているんだ。
  74. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 単なる掛け算割り算の話じゃなくて、そういう事態になったときにどういうことが想定されるかというようなことを見通して想定する必要があろうかと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、基本的には米につきましては国内で自給するとの方針のもとに交渉に臨んでおりますので、具体的な数字について試算したり御説明するということは必ずしも適切ではないんではないかというふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 政府として適切でないから皆さんは言わない。私の計算で申し上げましょう。五%削減すれば減反面積は十万ヘクタール増加する。穀物自給率は一ポイント下がって二九%になる、カロリー自給率は大体一・三%ぐらい下がる。これはあながち間違った私の見解ではないと思いますが、どうですか。
  76. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 先ほど申し上げましたように、穀物自給率あるいはカロリー自給率あるいは減反面積にいたしましても、ほかの要件がどういうふうに推移するのかによって変わってくることでございますし、もうベテランの先生の御指摘でございますのであるいはそういうこともあろうかと思いますけれども、私どもとしましては何とも申し上げられるようなことではございませんので、これ以上お許し願いたいと思います。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 私の試算したことを申し上げた。しかしこの試算の数字は別として、自給率は下がる、減反面積は拡大しなければならない。このことは今官房長から答弁になったことだと思う。しかし、五%と日本政治家が言ったら、ヤイターはそんなのだめだ、もっとふやせと言ったというふうに言われていますね。  そこで、我が国は、御承知のように米の消費減退が続く一方で、稲作の生産性向上が進んで需給不均衡が顕在化をし、昭和四十年半ば以降、生産者の協力によって水田面積は三〇%、八十三万ヘクタールの生産調整を行っておるんです。転作作物も容易に定着しない。荒廃した水田が今目立っておるんです。これに加えてよしんば五%、そのことが十万ヘクタールに影響するとするならば、一体我が国農業はどうなっちゃうんだ。崩壊してしまうんじゃありませんか。  また、農政批判が高まっている中で、当委員会でも論議をし、決議もいたしましたけれども、農水省は十年後の農政展望して重要農産物の需要と供給の長期見通しを明らかにした。現在でも穀物自給率は三〇%、世界百六十四カ国のうちで百四十五番目の低さ。先進諸国最低の自給率。しかもこれがまたこれ以下になっちゃうんですよ。長期展望も大幅に狂ってくる。このことを考えても、部分的輸入であろうと輸入は認めない。大臣、どうですか。
  78. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) いわゆる部分自由化論、一部自由化論、こういうことを公式の場で言った方はどなたもおらないんです。アメリカもありません。その他もございません。ですから、こちらからそういう声も上がっておらない。例えば、この間ヤイターさんが会議の席上で指摘しましたのは、関税化の例示としてアメリカが試算をすれば七〇〇%という数字が出る、こういう話はございましたけれども、今先生のおっしゃっているとおり、何%自由化すればみたいな話は一切出ておらない。すなわち一部自由化論というのはないんで、これは完全自由化論とでも言うんでしょうか、自由化の場合には例外はない、こういうふうに私どもは受けとめております。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 公式に言った人はないけれども、今求められるならば完全自由化だと。完全自由化したらどうなると思う。日本の水田面積は五割減っちゃうんですよ。あるいは三割になってしまうと言う人もある。ますます日本農業は成り立たないじゃないですか。  そこで、内外価格差を是正することは大事である。しかし、毎年保証価格が引き下げられる中にあっても、農民は生産コストを低くするために精いっぱい努力している。しかし、稲作面積についてだけみても、アメリカ日本を比較してみると、日本は一戸当たり〇・六ヘクタール、アメリカは百から百十ヘクタール。このことが示しておりますように、規模において生産条件で競争ができない。努力はするけれども内外価格差は解消することは私はできないと思うんです。農水省、どうですか。
  80. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先生指摘のように、例えば大陸的な稲作といったようなものにつきまして我が図における土地条件のもとでの競争条件は、やはりその間の格差を生産者の方々の努力で埋められることはできようかもしれませんが、完全な意味での競争条件というものができるというふうには考えられないところでございます。  現実に農産物価格につきましての為替レートあるいは国際価格の変動、品質格差等客観的に国際比較を行うことは困難でありますけれども、先生指摘のように、米についての内外価格差が存在することも事実でございます。このような内外価格差は近年の大幅な円高の進行によるところが大きいわけでございますが、御指摘のとおり、経営規模の生産条件の相違によるところが大きいというふうに考えているところでございます。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 さらにいろいろな意見があります。 米を自由化すれば消費者価格は安くなるという意見もありますが、我が国の複雑な流通機構の中で一体どの程度安くなるのかその保証はありません。  今、国民一人当たりの米の消費価格は、先日当委員会で食糧庁が答弁したように一日五十円弱、生計費に占める米の価格は大きいものじゃない。国民は、価格よりも安全でうまい米を望んでいるんです。  また、我が国は、世界一の農産物輸入国であります。先進諸国の中でも最も農産物市場開放をしている。アメリカの対日貿易赤字は四百九十億ドルと言われていますけれども、仮に五%という数字が出たので五%全部アメリカから輸入したとしたって、その輸出額は一・五億ドル程度にすぎない。貿易不均衡の是正にはほとんど寄与しない。完全自給方針は堅持しなければならないけれども、しかし現在日本だって五万トン余の米の輸入はしているんです。  このように、具体的事実を挙げれば幾らでもあるんですね。こうした我が国として米の輸入に踏み切ることは、農業、食糧政策だけじゃなくて国土保全、環境問題、地域経済を破壊する、こういうことになるわけですから、この政策を絶対とってはならない。まあ、大臣もとらないと言っていますけれども、だから市場開放には応ずることができないんだという政府の統一見解を示して、もっと内外に向けてPRを最大限に努力すべきだと思う。率直に言ってその努力が足らない、不足だと思いますが、大臣いかがですか。
  82. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 大変な御激励をいただいているわけでございますけれども、まあ歴代、随分一生懸命PRにも努めてまいりました。しかし、こういう状況下でもございますから、あらゆる場面でできる限り日本立場農業事情、米事情というものは徹底して各国に申し上げなくちゃならない。今度の五カ国もそうでございますし、その前の行脚もそうでございましたし、また農林水産省へひっきりなしに外国のお客様がお見えになりまして、その都度必ず日本の食糧安保論を中心にいたしました考え方というものは御披露をしておるということでございます。  せっかくの御激励でございますから、これから先もしっかりやってまいりたい、こう思っております。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 外国の人たちに言うのは当然だけれども、国内の国民の合意を得るためにもやっぱり農水省のそうしたPRというか真意をわかってもらうように努力をしなければならないと思う。  そこで、米の自由化をしてはならないという声が各地に上がっておりますけれども、県を初め多くの市町村議会が自由化反対の決議をしておると思いますが、その状況は把握しておりますか。
  84. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 最近の事例に関連いたしまして私ども食糧庁の食糧事務所を通じまして把握した数字がございます。六十二年からこの方、今日におきます各地域の都道府県議会あるいは市町村議会の数字でございまして、これ必ずしも十分であるかどうかわかりませんが、その数字を申し上げてみますと、既に米輸入自由化反対に関する決議といたしまして四十都道府県議会、千百六十市町村でございます。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 四十七都道府県のうち四十の都道府県が米を自由化しちゃいけませんよという決議をしているんですね。これは率直に耳を傾けなければいけない。  そこで、最後に大臣大臣は米を自由化しないという決意を持っている、農水省の諸君もそうだと。しかし、そういう決意を持っておっても、牛肉・オレンジのときのように最終的には折れてしまうんではないか、妥協してしまうんではないか、こういう不安があることは事実なんですよ。牛肉・オレンジのときだって米だけは絶対守りますからと何回も皆さん答弁していますね。米がそんなことになったらそれこそ政治不信だと。先ほど申しましたように内閣として責任をとらなければならない。ですから、米についてまで期待を裏切って日本農業の将来を誤らすことがあっては絶対ならない。  私も国会へ出てから十三年、ほとんど農林水産委員会に所属をして日本農業を守るために頑張ってきたつもりであります。  大臣、今、日本農業にとってまさに正念場。あなたの決意は聞いていますけれども、あなたの政治生命をかけても頑張っていく、そのことを要請して、答弁を求めて私の質問を終わります。
  86. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 終始大変な御熱意で米問題を中心に御激励を賜りまして、本当にありがとうございました。不退転の決意でこれから先も従来の方針を一貫してやり抜いてまいりたいと思っておりますので、ぜひともども闘っていただきたい、こう思っております。
  87. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 内外の米たたきの大変厳しい環境の中で、今回先進五カ国農相会議交渉大変御苦労さまでございました。心から御慰労を申し上げたいと思います。  今回の先進五カ国農相会議ウルグアイ・ラウンド農業交渉の一連の報道におきまして、私は、マスコミの論調というものが米の自由化の外圧が極めて強くて日本主張が極めて劣勢であるということ、食糧安保論の孤立化などを特に強調しながら、何か農業交渉で米の自由化を受け入れることが日本の工業製品輸出そのものが生き延びる道であるかのように、そんな意図がマスコミに感じられてなりません。日本主張を認めさせる方向交渉を展開するためには、正しく日本農業の現状、世界一の食糧輸入国である、すなわち世界最大の農産物市場開放状況というものを内外にPRをし、大臣が提起した国土保全、すなわち環境保全に果たす農業の役割というものを精力的にPRをしながら正しい理解というものを得る努力が必要であることは言うまでもございません。  そこで大臣にお伺いしたいと思いますのは、日本農業、米、食糧安保論に対する日本の内と外の世論というものをどう把握されておられたか。交渉の場に臨まれた山本大臣の率直な感想を含めましてお伺いをしたいと思います。
  88. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今回の五カ国農業大臣会議先ほど報告いたしましたが、私が国内農業政策についてスピーチをいたしました後、ヤイターさんの方からさまざまな御指摘がございました。  そのときに、一つは外交辞令もあるでしょうけれども、日本の長年にわたっての貿易自由化に対する努力は評価する、牛肉・かんきつを挙げましてそういうくだりがまずありました。それから今度は御自分の主張に入りまして例の七〇〇%問題、あるいはこれさえも一考に値しないというのなら自分はキャピタルに行って説明ができないとかさまざまなくだりがございまして、最後に、山本大臣、そのリードオフの中でやはり農業というのは長い伝統と歴史がある、そしてそれは各国の国民によって支えられてきたものだと世論支持のことをお訴えなすった、私もそう思っている、しかし日本の最近の米に対する世論というものは大きく変わってきているのではないか、こういう御指摘があったんですよ。  私は、結論として世論の大宗は変わっておらないというふうに受けとめておりますと。そして食糧安保論、輸入国立場というのを繰り返し、先ほど村沢先生からもありました長年にわたる努力によって世界一のオープンマーケットができ、そして世界一の食糧輸入国になり、その結果自給率がもうこれ以上低下したら大変だと国民全体が思うようなところまで来てしまった、その危機意識というものは数字にあらわれないもっと大きなものなんだ、これは底流にあるんだと。例えば、先ほどヤイターさんのおっしゃったような牛肉・かんきつのときにしても、お米だけはそんなことはないんでしょうねという切なる気持ちが日本国民の間に満ち満ちておったということを申し上げたいというふうな話もいたしまして、世論というんだけれどもアンケートをとる場合には設問の仕方もいろいろある。同じように見えるものを二つ並べて、こっちが高くてこっちが安い、あんたはどっちがいいですか、どっちを買いますかと言っ たら、どんなへそ曲がりの人でも安い方がいいと言うに決まっているんじゃないかと。しかしその中身が問題でしょうと。いいものか悪いものか、お米で言えば安全であるか安全でないか、うまいかまずいか、そういう問題が前提としてあるんじゃないですかと。そういうことなどを世論の中で見きわめると、日本の国民は日本農業日本のお米に対して非常に大きな信頼感を持っておる、すなわち世論の大宗は変わっておらないということを私はるる説明をした次第でございます。
  89. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 今大臣からお話がございましたこの七月三十日のヤイター農務長官の発言は、三十一日の毎日新聞にも報ぜられております。問題は、一体何をもとにこうしたヤイター長官等が物を言っておるのか。今大臣お話しになりました、設問をどういう形でどうするかという点でも大変影響されておるわけであります。  ここに主婦連合会が昭和四十六年から毎年一回実施をして、ことしで第十九回目のアンケートがあります。このアンケートによりますと、米の自由化をすべきであるかどうかという市場開放問題について質問した回答の四二・二%が反対でトップである。これは前回調査の三八・五%よりも三・七%も自由化反対がふえておる。もうこういう点でそれぞれの消費者、国民の中にも次第次第にそういうふうないわゆる安全の問題、食糧安保という問題が理解されつつあるというふうにも思えるわけであります。そういう努力をすることによって世論というのは変わってくる、このように思うわけでございます。  問題は、今国内世論を一本化しなければならないというこの非常に大事なときに、何か国内世論、特に自民党の大幹部と言われる方々の中でさまざまなことを発言する。私たちは雑音と思っているんです。ないしは政党の中でもそういう米の自由化論議というのが出てくる。こういうふうな背景というものがこのヤイター長官の背景になっておるのではないか、こんなふうに恐れるわけでありまして、特に政権を担う自民党責任というのは非常に重大だと思うわけであります。  お互いに国難とも言うべき現在の外交交渉状況の中で、国論を統一して、国運をかけて当たるべきであるというふうに思うんですが、農水大臣はこうした政権党である自民党の内部の雑音に対してどういうふうにお考えでしょうか。
  90. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 先ほども村沢先生にもお答えをしたんでございますけれども、片言隻句という言葉がございますが、どうも発言した全部とか書いた全部をとらえないで、その前後の脈絡を全部カットしてそこだけ強調して出されるというふうな向きが一般的に今までも政治家発言をとらえる場合に大いにあったんじゃないかなと、こういう気がいたしております。  しかし、それにいたしましても、最近のいろんな発言、私は非常に内外状況心配して御発言なすっているんだと、こういうふうに受けとめてはおりますけれども、これは一般の方や評論家がおっしゃるのならともかくといたしまして、一国の政治家、特に政府与党方々の言ともなるとこれは影響するところはまことに大きいというふうにも思っております。  しかし、自民党でいうならば、先ほど申しあげましたとおり、党議でもはっきり決まっております。党の見解というものも出ております。それから、先般来の一連の発言につきましては総務会長談話というのを出しまして、一個人の見解であろうが間違いは間違いである、撤回をすべきであるというふうなかなり厳しい総務会長見解というふうなものも出しておるというふうにも思っておるわけでございます。  先ほど村沢先生から大臣発言についてお話がございましたが、恐らく先ほどの冒頭の片言隻句、あるいはウルグアイ・ラウンド交渉全体の問題の中で言葉をとらえられているのではないかというふうに私は解釈をしております。しかし、いずれにしても国内世論が一枚岩でなくて何で闘えるかということでございますので、実は昨日の朝も自民党では緊急に総合農政調査会というのをいたしまして、農林関係の水産も含めました合同の部会をいたしまして、その場で党議に対する再確認をしておるというふうな状況などもございます。  また、余分なことでございますが、国会は与党だけで運営をしているわけではございませんで、参議院を見れば野党の勢力の方が大きいわけでございますから国会決議等を考えれば野党の責任もまことに重い。そのことに思いをいたしながら今後ともお互いに国論を一にしていく、こういう大事な時期に大事な事柄についてお互い背馳のないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  91. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 私どもの党も含めまして今野党の責任ということも言及されましたけれども、私は、やっぱり内閣官房等でももっともっとマスコミ対策ということを厳重にやるべきではないか、こういうふうに思うんです。  いろいろ超党派の農業訪欧・訪米団に参加された我が党の同僚のお話を聞きますと、どうも向こうで議論をしたのと、その翌日にすぐ日本の新聞が出るそうでありますが、それを見ますと、向こうでやってきたのを、実際の統一案をみますと全然違うことを書いているというのですよ。どこが違うのかというと、一つのマスコミが設計をする、もう自由化すべきであるという一定の方向づけをしながら、つまりそれに当てはまるような、それを促すような発言の言葉じりをとらえてちりばめておる、そうして記事を構成して送ってくる、このような印象を非常に強く受けるというふうに異口同音に言っているわけであります。けしからぬ話なんです。  こういうふうな非常に大事な外交交渉の場で国民の正しい認識を誤らせる、これはマスコミの責任だと思うんです。私は、やっぱり内閣官房が、そして各省、特に農水大臣が、それぞれの関係のマスコミに強く抗議を申し込むべきだと思うんです。正しい報道、その正しい報道の中からしか正しい世論というのは生まれてきません。そういう意味で私は強くその点を、そういういわばマスコミの穴にはまり込まないという私どもの反省も含めまして、今後の政府の本当に厳正なマスコミ対策を強く要望するものでございます。  次に、私は関係各国協力関係について質問したいと思いますが、ガットウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして各国それぞれの置かれておる立場事情というものがそれぞれございます。これは当然でございますけれども。  そこで、お伺いしたいと思いますのは、我が国主張理解し支持を期待することのできる立場や国際的な共通主張を持つ国はあるはずなんです。こうしたパートナーになるべき相手国というものをどういうふうに考え、その対策をどうされておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  92. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今お話がございましたように、我が国農産物輸入国立場ということで主張をしてきております。こうした立場は、例えば北欧、韓国、オーストリア、スイスというようなところも同じわけでございまして、今までにもこうした国々と会合を持ちまして、農業交渉グループの会合やいわゆる貿易委員会、TNC会合などが開催されるときにその都度意見交換を行い、また私どもが単独で輸出国グループとのいろいろな会合に出たときの状況などをそうした国々にお知らせする、そして意見を聞くというようなことをやってきております。これはウルグアイ・ラウンドが始まった段階からやってきておりまして、最近ではその頻度を増しているという状況でございまして、今後ともこうした形を深めていくということを考えているところでございます。
  93. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 七月二十三日の貿易交渉委員会等における我が国の遠藤大使ほか六人の代表の発言を見ますと、それぞれの東南アジアの代表とか、中南米諸国代表とか、アフリカ代表のタンザニア、それからパキスタン、こういう国々がこもごも交渉の展開について大変な不満を漏らしておる。それで、今お話がありましたとおり、我が国と本来はパートナーを組むべき国があるにもかか わらず、それでは我が国がどれだけそれらの国々に接触を持ちそして提携をし協力を求めてきたのかといいますと、私は残念ながらまだまだその努力が足りないというふうに思うわけでございます。  例えば、特に私が感じますことは、発展途上国に対する我が国の大変な外交上の冷遇といいますか、冷ややかな態度についてであります。例えば熱帯産品の分野というのはガット交渉の中でも途上国が直接の恩恵を受ける数少ない分野でありますけれども、いわば先進国が交渉の際に切り札に使い得る極めて有効な戦略になれるものだと思うわけであります。日本の途上国軽視は大変に歴然たるものでありまして、三月十五日までに日本が提出いたしました関税引き下げ案の中でこの熱帯産品の関税引き下げはわずか二品目であります。これに対しましてECは何と三百品目余りの関税引き下げ案を出したのであります。そういうEC指摘に慌てて七月二十三日の貿易交渉会議を前に七十品目のいわば引き下げ案の追加を提示したということによっても、この途上国軽視というのはこれはもう大変な問題でございます。  そこで私は、途上国にこの有効に作用する切り札を使うということが我が国関係国間の協力関係におきましても国際的にも大変大きな力になり得るというふうに思うわけでございまして、この発展途上国に対する戦略的ないわば変更というのが今極めて重要な時期にあるんではないか、こんなふうに思います。戦略的ないわゆる軸足を、今までのように米国一辺倒という形で米国に押されっぱなしという形よりも、発展途上国の、ないしは環境保全なり農業のそういういわゆる非関税的な分野で重視をする国に軸足をこれは移すべきじゃないのか、こんなふうに思うんですが、いかがでしよつか。
  94. 川合淳二

    説明員川合淳二君) ガットウルグアイ・ラウンド交渉の発足に当たりまして、途上国にとっての例えば熱帯産品貿易の重要性にかんがみまして、熱帯産品につきましては早期成果あるいは早期実施ということが合意されまして、我が国といたしましては一九八八年十二月、中間時点でございますモントリオール中間レビューにおきまして約百八十品目、うち農産物は百四十品目でございますけれども、これにわたります熱帯産品の関税引き下げなどのオファーを行いまして、八九年四月からある意味では前倒しに実施しております。その後、途上国のさらなる関税引き下げ要求を受けまして、ことしに入りまして熱帯産品交渉グループにおける交渉手続が合意され、三月に今御指摘がございました米、ECが相当程度の関税引き下げオファーの追加を行う一方、我が国も工業品を中心ではございますが、追加オファーを行ったところでございます。  ところで、御指摘の点でございますウルグアイ・ラウンド農業問題は、先ほども御議論がございましたように、輸出競争というようなことを発端といたしまして、それを背景といたしまして始まったというような経緯もございます。こうした輸出国考え方が色濃く出ているのは今までも議論のあったところでございます。そうした中で途上国の問題をどういうふうに考えていくか、そして我が国立場我が国主張をどういうふうに受け入れて実現すべく努力していくかという問題になろうかと思います。  端的に申しまして、熱帯産品につきましても、その関税引き下げが我が国の農産品に影響を与えるものもございますし、また先ほど来先生指摘のように、戦略的に農業交渉グループにおける交渉とどういうふうに関係づけていくかという問題もあろうかと思います。今後の農業交渉グループの推移を見詰めつつそうした戦略的観点も十分踏まえながら検討し、対応していかなければいけないというふうに考えております。
  95. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 ぜひそういう意味の途上国についての配慮を続けていただきたい、こんなことを要望したいと思うわけであります。  最後に、この交渉の問題で一つだけ具体的な問題についてお伺いしたいと思うんです。  それは、ドゼウ・ペーパーの中で、特に国境調整の点については強調されておるわけでありますが、私はそれと同様、むしろそれ以上重要なものが国内支持の問題じゃないのか、こんなふうに思っております。この国内支持の問題では特にアメリカが要求しております圃場整備に対する政府補助撤廃、自治体の補助の撤廃、それから農業融資に対する利子補給の撤廃、さらには機械、設備等の補助制度の撤廃、こういったものを含むわけでございまして、これをやめましたら、もう今でさえも日本農業が大変な時代に到底これは生き抜くことができない、こういうふうに思うわけでございます。  しかし、これに対して国内のマスコミ等では故意かどうかわかりませんが、米の自由化と比べましてほとんど報道されておらない。一般の農民も、農協でさえも余りよくわかっておらないという状況でございまして、非常に私は心配しておるわけであります。これに対する大臣のお考え、そしてこれをもっと的確に国民にひとつ正確に報道してもらうという努力を続けるべきじゃないか、こんなふうに思うわけでございまして、この点について質問をしてこの項については終わりたいと思います。
  96. 川合淳二

    説明員川合淳二君) いわゆる国内支持問題につきましては、ドゼウ・ペーパーでは相当程度の削減を行うということが書かれております。しかしながらこれにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、この案自体が採択されたものではございませんし、これから議論に付すわけでございます。我が国といたしましては、従来からこの削減の対象とすべき国内政策は限定すべきであるという主張をしております。会議の中でどうした施策がこれに当たるかという具体的なところまでまだ議論は進んでおりませんけれども、いずれにいたしましても、輸入国立場というのは輸出国と違うはずでございますので、そうした立場を踏まえて私どもはこの問題にも対処していかなければいけないと思っております。  御指摘のようにこの問題についての関心と申しますか、報道を含めましてやや知られていない面がございますので、その辺につきましては私どもも十分注意をしてまいりたいと思っております。
  97. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今経済局長からお答えを申し上げましたが、この点はドゼウ・ペーパーの中でやはり非常に問題でございまして、言うなれば最終的には言葉として、交渉を強化するための手段として位置づけられたと。大変わかりにくい言葉なんですけれども、非常に灰色になったんですね。各国立場は今後どれだけ強力に主張し得るかということが残るわけですけれども、今先生お話のとおり、国内の支持政策というのは、我が国農業の今後の興亡ににかかわる問題だということを私もよく承知しておりますので、これから先の作業の中で心得て、まあ各国交渉がございましてなかなか難しい問題もあろうと思いますが、できる限り努力をいたしたいと、こう考えております。
  98. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 次に、私は残りの十五分の時間を使いまして、自主流通米の価格形成の場の設置についてお伺いしたいと思うわけでございます。  第一に、八月の末に設置したいとしている価格形成の場については、我が党の立場を申し上げますと、これは食管法の改正につながるんじゃないかという問題、国会の論議の外で行政措置によって米価の変動を促していく。政府米の数量確保の歯どめが全く保証されず、部分管理、ひいては食管法の崩壊につながるおそれがあるという考え方から基本的には反対であります。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 その立場から幾つかの問題について農水省の考えをただしながら、少しでも我々の危惧が最小限にとどめることができるような質問をしたい、こういうふうに思います。  その第一は、組織と運営についてでございます。  運営主体というものを運営委員会で行うというふうに言われておりますが、これは何名構成で しょうか。
  99. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) ただいま細谷先生が自主流通米価格形成の場についての御質問をされたわけでございます。この席におきましても再三私ども申し上げておりますが、今回の自主流通米の価格形成の場の検討会報告等をめぐって私どもが準備に入っております部分については、既に平成元年の六月に農政審議会においての米の管理等に関する提言という形の中で緊急に対応すべき項目の一つとして掲げられたところでございます。  先生ただいまの御質問の中でもお話しになりましたけれども、この農政審議会の「今後の米政策及び米管理の方向」においては二つの前提が掲げられているわけでございます。それは、米の我が国の食生活や農業に占める格別の重要性から国内自給基本とする、それが一点でございます。それから、米の需給と価格の安定を図るという食糧管理制度の基本的役割は維持する。そのもとでの議論でございます。
  100. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 もっと簡潔に、もう時間ありませんから。今聞いているのは何名かということですよ。そんなのはわかっています。
  101. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 今先生が御指摘の点について申し上げますと、現在の自主流通協議会の中で価格形成がされておりますが、これにかわるところにおきまして、私ども現在考えている組織は、第三者機関を置く。それの中核的な機関といたしまして運営委員会を置こう。その運営委員会は、私どもの考え方はこれは業務の基本的なことについての方向づけをするということで……
  102. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 わかっている。何名か。
  103. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) この数字を今具体的に決めているわけじゃございませんが、大体この数字の上においては直接的な関係者というもののお集まりをいただくということを前提にして十名前後の簡素なものでございまして、そういうことを考えております。
  104. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 あともう十分しかありませんよ。私の聞いたことだけお答えください、もうみんなわかっていますから。  この十名の内訳、売り手、買い手、それに準ずる人というふうになっておりますが、具体的に何名ずつというふうになっていますか、十名中。
  105. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) この点については、最終的にまだ具体的には決めておりません。  ただ、今申し上げましたように、大体十名程度のうちで、直接的売り手、買い手というものを大体中心考えていこうということでございまして、例えばその中で三名ないし四名の売り手の方、三名ないし四名の買い手の方ということを頭に置いてはどうかと今の段階では考えております。したがいまして、それを除きますと、会長等々を頭に置いて考えますと、十名前後という形になりますと、売り手、買い手以外の方はいわば少数の方になろうというふうに考えております。この運営委員会という性格から、例えば米価審議会といったような形で、いわゆる中立委員の方、学者先生といったような方を中心考えるものではないというふうに考えているところでございます。
  106. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 問題は、例えば売り手が四名、買い手が四名ということになりますと、あと二名でしょう。この二名を消費者代表で選ぶかどうかということだと思うんですよ。はっきり言ってこの運営委員会は、今までは売り手市場でありました自主流通米を今度は買い手市場に変えるのではないかというふうに我々は危惧するわけですよ。そういうへんぱな構成にしないということをきちっと言えますか。
  107. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先生指摘の売り手市場、買い手市場の点については、私は今の御質問の中からはっきり理解ができないわけでございますが、この運営委員会は先ほどから何度も申し上げておりますが、言うならば直接流通に関連する人を主体に構成をすべきだというふうに思っております。  それで、今御指摘の消費者の代表の方ということも、先ほどの数字からおわかりのように、たくさん入れるということじゃございませんで、その十人前後の中に一人等のところではないかというふうに考えているところでございます。
  108. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 どうもわかりにくい。私は時間がないので端的に聞いているんですよ。  理事会の構成と機能は何でしょう、短く。
  109. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) これは、この第三者機関が運営するに当たって、十分関係者の意見を聞く場、重要な方向について方向づけをしていこう、あくまでもこの団体は値決めをする業務の団体でございます。そういう意味で、その重要な業務についての関係者の意見を聞いていこうというのがこの任務でございます。
  110. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 何名ですか。
  111. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) この理事会でございますが、理事会におきましてもやはりこの機関が価格形成の場の透明性といったようなものを担っていくというようなことで、私どもは、この前申し上げましたのは、直接専任される方は数名でどうであろうかというふうに思っております。具体的にその内容については、会長以下直近の者、専任の者として数名ということは大体四名程度。ただしこの場合において、非常勤の方で先ほどのような関係者の方もこの理事会の中に入れていくということも考えていく必要があろうと思っておりますが、直接的な専任の方はなるべく簡素化して、東京、大阪というのを置きますからやはり数名、四、五名の方はどうしても必要であろうというふうにえております。
  112. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 あと五分しかありませんので端的に答えてください。説明は要りません、私の方でみんなわかっていますから。  次に、取り扱いの回数、数量、価格、これについて伺いたいと思います。  まず最初、東京、大阪の市場で毎月一回というふうに書かれておりますけれども、年十二回開催いたしますか、イエスかノーか。
  113. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 研究会の報告で「例えば月一回」というふうに書いておりますが、私ども月一回というふうに決めたわけじゃありません。それで、これについては指標価格というものができる程度のものということで、この前の拡大委員会のところでは、節目は少なくとも私どもの考えているところは四回はあるだろうと。農家の方々といったようなものでその中で定期的に行うということがどうしても必要だということを申し上げているということでございます。
  114. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 もう一回確認しますよ。この回数はいわゆる研究会のあれでは年一回と書いておるけれども、現在、準備室では年四回というふうに考えていますね。
  115. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 両方とも必ずしも正確じゃありません。研究会の方は「定期的に相当な回数」とはっきり書いてあるわけです。「例えば月一回程度」という表現の仕方です。後者の方、四回というふうに私ども決めてはおりません。最終的にはやはりことしと来年とは違うかもしれませんが、過渡的なことしにおいて四回程度というものよりは、もう少し多い方が私どもはいいだろうと。四回というのは、先ほど私が答えました節目という意味では、米の流れは節目はあります。だけれども、その間を押さえて定期的にやる必要はあると思います。
  116. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 わかりました。私どもの党の意見としては、これは少なくとも五回以内にとどめるべきだということを要望したいと思います。  それから数量の点ですが、これは百万トンの上限というのは守るべきだというのが我が党の立場ですが、どうですか。
  117. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 研究会報告においてもこれは「例えば百万トン程度」という例示がございますが、「当面は指標価格を形成するために必要な相当量」ということで現実に任せているわけでございます。私ども、現実に協議会が行っておりますのは二十万トンでございますから、それから一挙に大きくやっていこうということはございませんが、全体の流通量が四百万トンでございます。このうち二、三割程度といったようなものは頭に置いていけというのが研究会の思想だと思い ますので、十分この点については慎重に対応して、指標価格ができる数量を計上していただこうと、こういうふうに考えております。
  118. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 私どもはこの百万トンがなぜ上限かといいますと、これ以上ふえますと当然、これは今お話のありましたとおり、米取引所の復活につながっていくということなんです。したがって、これは百万トンを絶対に上回らないように歯どめをかけるべきだというのが我が党の要望でありますので、ひとつお含みおき願いたいと思います。  次に、指標価格を透明にするためにこの設置をするというふうに言われておりますが、これは建て値の形成をどこでするのか。プラス・マイナス五%というふうに書かれておりますけれども、政府米価格よりも下がる場合の歯どめも含めまして、端的にお伺いしたいと思います。
  119. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 建て値の制限についてはこの前もお答えいたしましたように、年間を通じましてやはり前後一〇%程度、それから前回のものに対して五%程度ということを一応今の段階で考えております。
  120. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 最後に、これは非常に重要な行政措置と考えておりますので、次のことを要求したいと思います。  まず、これは仕上げの段階、この八月の末に設置するというふうに言われておりますが、この仕上げの段階で、省令、政令、これを公布する事前に国会へ提出をしてください。省政令ですよ。それで、関係団体の意見も公布前に徴すべきであるというのが我が党の基本的な要求でありますが、これについていかがですか。
  121. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) この前の御答弁のときに政省令ということを申し上げましたけれども、基本的に省令でということも申し上げました。その後、こ十七日から私ども鋭意詰めておる段階で、現行の政令において指定法人とそれから二次集荷業者ともに両立という形になっております。したがいまして、今の段階で私どもは政令は改正する必要はないだろうというふうに考えております。  それから、今事前にというお話がございましたから申し上げますと、やはりこの省令の部分でございますが、この点については価格形成の場を開設する公益法人を農林水産大臣が指定すること、価格形成の場への上場数量を自主流通計画に定めることとすること、それから価格形成の場の創設に関連して、指定法人への売り渡しの委託について所要の見直しをすること、その点に中心を置きまして省令の改正を行う必要があるというふうに思っております。  そういう意味で私ども考えておりますが、具体的には先生指摘のように、この業務がうまくいくかということは、一つは今まで行ってまいりました協議会、そういったものの実績を踏まえて対応する、かつまた関係者と十分相談して行うということだと思います。  先生指摘の点についてはそのように対応していきたいというふうに思っております。
  122. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 わかりました。終わります。
  123. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 質問させていただきます。  先ほどからお話を伺っておりまして、きょうは大臣、少し元気がないのと違うかなと思って聞いていました。いつもより声に張りがなく、お疲れなのかなと思ってみたり、大変御苦労があったのかなと思ってみたりいたしておるところでございます。  後で大臣には伺いますが、先ほど村沢同僚委員の方からお話がありました細かい課題の中で確認をさせていただきたいことが幾つかありますので、それについてまず伺います。  私のところからは、まずECAMSベースでの三〇%保護削減を提案しているという、これは突如出てきた話のように思われるんですが、これは今後この交渉の場の流れを考えるについてどういう意味を持ってくるのか。先ほど伺いますと、農相会議というのは何か政策を話し合うところではないから細かくは提案がなかったし、また九月に入っていろいろ細かく出されてくるであろうからというような御答弁でございましたけれども、これが出された意味合い、それが今後の交渉の流れにどんな変化を与えるのか、この問題についてまず伺います。
  124. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今御指摘ございましたように、この考え方大臣からお聞きいたしますと非常に突然出たようでございます。したがいまして、各国ともこれは正式の提案とは受け止めていないようでございます。そういう旨のお話会議で出たようでございます。  ECからは、したがいまして今御指摘のように、提案の基礎となるデータを含めまして、EC内部の手続もあるようでございまして、これを経た上で九月に正式に提案するという意向が示されております。  したがいまして、率直に申し上げまして今の段階でこの案がどのようなものであるかということを正確に把握できませんので、そうした提案がなされた段階で私ども検討、論議をすべきものだというふうに考えておるところでございます。
  125. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 新聞でだけ読んで私ども情報はわかるわけですけれども、ヤイターさんの発言なんかでは輸出補助金がどのぐらい減るんだか見ものだみたいなことを何か言ってるようでございます。しかし、いずれにしても八六年ですか、にさかのぼっての十年間ということでしょう。だから、その三〇%保護削減ということがどんな数字になって出てくるか。それがもたらす影響というのはどの程度なのかといういろいろ考えを持っておりますものですから今お伺いしたわけです。今後に関心を持ちます。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  それからもう一つは、これも同僚委員の方から出ました今回日本が提案なさったあのアグリミニマムの問題についての考え方ですけれども、その背景についてはさっき御説明がございましたので了解するとして、このアグリミニマムの話を出されて各国の反応がどんなふうだったのかということを一つお伺いするのと、このアグリミニマムという考え方ガット条項の中に盛り込むことができるのかどうなのか。つまり、これは今交渉の場とはいうものの、新ルールづくりにもつながっていくわけでございますから、今後こういう考え方が条項の中に盛り込めるか込めないのか、こういうことについて。
  126. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 私ども、我が国のアグリミニマムを主張いたしまして、それに対しまして五カ国の大臣会議におきましては、アメリカからはすかさず輸入国サイドの措置を現状で凍結するためにアグリミニマムの考え方を用いるのは適切でないという反論意見があったようでございます。  これはこれといたしまして、私どもといたしましては、この考え方は今まで私どもが提案しております基礎的食糧の問題あるいは数量規制の問題等につきましての理論的根拠と申しますか、それとして提出したものでございまして、この考え方が直ちにルールに反映するというものではない、私どもがかねがね主張してきたものの理論を補強するものであるというふうに考えております。
  127. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それはだから、もちろん計量化ということもできないわけですね。それならば、このアグリミニマムという考え方は米市場開放を阻止する根拠にはなり得ますか。
  128. 川合淳二

    説明員川合淳二君) この考え方は、食糧輸出国市場開放要求に対しまして、輸入国としてこれ以上生産を減少することができない限界というものがある。この限界を守るためには国境措置等につきまして相当の保護が必要であるということを主張するという考え方でございますので、歯どめをかける根拠となり得るというふうに考えております。
  129. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、前にこのアグリミニマム構想ですか、こういう論拠を持った論文を読んだことがあります。その論文は、このアグリミニマムとあわせてインダスマキシマムというものを併用して、そして提案している論文なんで、かつて読んで、ああおもしろいなと思って、実は言ってい たことがあるんですが、今後これが米市場開放を阻止し得る論拠になるということであるのならば、難しいだろうけれどもこれの計量化みたいなものも考える必要があるんじゃないかなと思ったりしている者の一人です。  ただ、一般論からいいますと、先ほど村沢同僚委員の方からお話が出ましたように、最低限これなんだということ、じゃそれだけ守ればいいのかという逆手にとられる条件にもなり得るという余地を与えないために何か考えなきゃいけないんじゃないか、こんなふうにも実は思うんですが、これはいかがでしょうか。
  130. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 先ほど申しましたように、私どもといたしましては、こうしたある種の水準というのを守るためにはやはりそれなりの農業保護、これは国内支持あるいは国境措置を含めまして、相当程度の保護措置というものが必要であるという論拠にいたしたいというふうに考えているわけでございます。  今、計量化というお話がありましたけれども、先ほど若干御説明いたしましたように、この考え方背景には経済的側面以外の生態的側面、あるいは社会的、文化的役割というようなものを含めた農業の役割というものをこの論拠の一つの根拠といたしておりますので、それを計量化するということは非常に難しいのではないかというふうに考えております。そうした計量化がある意味で説得力があるということは私もわかりますけれども、そういう形だけではなかなか論拠として説明しにくい面もございますので、今後研究させていただきたいと思っております。
  131. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、これも出たお話なんですが、二国間交渉の問題でございます。二国間交渉には持ち込まないということで先ほど決意を伺ったわけですが、八月の三週目にはヤイター農務長官もまた来日されるというようなことを私ども新聞記事で読むわけですけれども、何しに来るんですかというのもおかしいことですが、言ってみれば、何か二国間交渉の環境づくりというか土壌づくりというか、そういうことに専念しておられるような気がいたしますが、その辺のところはどうなのかということが一つです。  先ほど同僚委員の方からお話がありましたようこ、ドゼウ・ペーパーでもそういう余地がある。なお書きのところで、「いくつかの産品について存在する特別の状況に応じ、個別の解決策を交渉することを妨げない。」というなお書きの部分がありますでしょう。この部分のところなんかで、今後この米交渉は二国間交渉にゆだねられる可能性が十分あるのではなかろうかというふうに思うんですが、この辺についてお伺いします。
  132. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 私から申し上げます。  まず二国間交渉でございますが、これは先ほど来経済局長がお話しのとおり、我が方としては、今多国間交渉が進行中でございまして、これにすべてをかけておるということでございますから、二国間交渉のことは考えておらない、こういうことでございます。  ヤイターさんでございますが、これは私の承知している範囲では次のようなことでございます。  彼は、かねがね日本にプライベートで来たいと。肉親がこちらにおりまして、大変かわいがっているお嬢さん並びにお婿さんでございますが、これにぜひ会いたいと。私に会ったときもそのことを盛んに言っておりました。行くけれども、大臣、バカンスの最中かねというふうな切り出しでございます。およそ二国間交渉などということの雰囲気ではない。今のところスケジュールはよくわかりませんが、おいでになりまして半分以上はプライベートの日程、またあとの残ったうちの半分ぐらいは東南アジアの方へおいでになる。そして帰って来られまして、せっかく来るんですから農林大臣その他、私だけじゃございませんで一通り会ってみたいと。例えば通産大臣とか外務大臣とか、まだわかりませんけれども、そういうふうなことを考えておられるようでございます。  私どもは、お話をしたときに、またいつでもお会いしてフランクに意見交換はいたしましょうね、けんかばかりしているのは能じゃありませんとは言いませんでしたけれども、フランクに意見交換はいつでもしましょう、こういうことでございますから、日本へおいでになったときにその機会があればお話し合いは意見交換という形ではすることを私ども拒む必要はない。ただ、住々にしてこういうことは、今先生がおっしゃったとおり報道などによるとどうも二国間交渉に移行するのではないか、二カ国農業大臣会議、バイの交渉というふうなことにあっという間に飛躍する可能性もあるわけでございますので、きのうも私は記者団に対しましてそのことはあえてしっかり申し上げておきました。
  133. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、リストの問題も先ほど出たわけでございますけれども、これもまだ向こうから確たるものが来ていないのでというお話もありましたわけですが、十月一日までに出さなければならない国別リスト、それから十五日までのオファーリスト、こんなものも含めて、このリストの提出が今後の交渉にどういう意味を持つようになるのか、つまりかなり今度は各論に入ってくるんだろうというふうに思うんですけれども、この持つ意味はどうなのか。  このオファーリストのことでさらに立ち入って伺いますと、これに米を載せますか、載せませんか。
  134. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 十月一日までと言われております国別表の提出は、単なる事実情報の提供ということにはなっておりますが、今後の交渉における基礎資料となるものでございますので、我が国交渉ポジションを踏まえた適切なものとする必要があると考えております。  それから、スケジュール的に申しますと、十五日にオファーリストというものを提出ということになっております。こういうスケジュールがいろいろ決まっているわけでございますので、その面では十二月のブラッセルでの閣僚会合までに本アクセス交渉を終結させるということを考えますと、スケジュール的には相当の重みを持つスケジュールになっているということは言えるかと思います。  なお、米についてどういうふうにやっていくかということは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、この国別表自体につきまして今後どういうふうな実質的内容を求められるかというようなことと絡んできますので現在の段階では申し上げられませんけれども、先ほど申しましたように私どもの今までの主張というものを踏まえてしかるべき対応をしなければいけないというふうに考えております。
  135. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 新聞等では既に、農水省筋ではということで、米は載せない、その他の品目も含めて載せないものをつくるというふうなことが書かれておるわけでございますね。その辺のところは、マスコミの方にはこちょこちょとささやくんだけれども、こういう場ではなかなか答弁できないということになるのかどうかわかりませんが、いかがですか。
  136. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 載せないということではございません。例えば、もし今までの主張どおりのことを書くとしても、それはむしろ載せた方がいいということもあり得るわけでございますので、そういうことを含めましてまだ、先ほども申しましたようにスケジュールはいろいろ決まってはおりますが、八月以降の実質的な議論というものは、交渉での議論というものを踏まえてこうしたものに対応したいということを申し上げているわけでございます。
  137. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大変な夏休みの宿題になるんではなかろうかというふうに思います。  次は、私どもはいろいろなものが新聞でしかわからないので、大変恐縮なんですけれども、アメリカの一九九〇年農業法の問題ですが、これが上院を通過したというようなことを私どもは読むわけでございます。ヤイターさんはあっちでもこっちでもいろいろぼやくみたいで、こんなものは大統領権限で引っ込めるんだというようなことを言っておられますけれども、こういうことも含め てアメリカ自身がたくさんの国内事情を持っているなということを実は私どもは察するわけです。  それと同時に、現実にアメリカでは農業保護政策というものは、ウエーバーなんかに象徴されるものはいっぱいあるわけですね。これは毎度の国際交渉の中で日本は積極的にこういうことを追及すべきであるということを私どもはこういうところでも申し上げてまいりましたけれども、今回の農相会議について言えば、日本ECはすごく頑張った、特に日本は強気であったというようなことが新聞には論評としてされておりますけれども、こういうことを言っておられるのかどうなのか。  ただ私は、これは全く個人的な考え方なんですけれども、アメリカ事情の中に、ガット政府筋は加入というのですか、認めておるけれども、議会はこれを承認していないという事実があるんでしょう。そうすると、この九〇年農業法というのも私どもから言わせれば可能性が相当ある、選挙もあるし、こんなことでこれを見ておるわけですけれども、こういうふうなこと、アメリカ国内事情をめぐって何か反論の材料をいっぱいつくっていってほしい、こういうことで申し上げているんです。
  138. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 米国の九〇年農業法案につきましては、御指摘のように私どもも非常にわかりにくい感じを持っております。昨日までで上下両院ともそれぞれの法案を可決したようでございます。これらの二法案につきましては、追って両院協議会での調整を得て一本化に向けての努力がなされるようでございまして、どうもその時期は九月以降というふうにうかがわれます。  私どもといたしましても、いろんな機会に米国のこの農業法の動きとガットにおきます米国提案との大きな矛盾につきまして指摘してきております。アメリカは、これにつきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉については、授権法によりまして議会での修正を許さない一括審議の方式、ファーストトラックと言っておりますが、これをとることになっていますので、それによって九〇年農業法をガットの成果を踏まえて改正すればいいんで矛盾はないんだという説明をしておりますが、事実上と申しますか、現実的に考えまして、余り説得力のある説明ではないというふうに私どもも感じております。  ただ、米国政府も財政上の理由からこれをそのまま採用することについてはかなり抵抗感もあるようでございますので、今後どういうふうになるか私ども何ともわかりませんけれども、いずれにいたしましても、アメリカの提案とこの農業法案との間のギャップというのは非常に大きいものがございますので、私どもは交渉でこの点は十分私どもの立場、あるいはアメリカ真意というものを聞きただし、かつ交渉の、言葉は悪いんですが、武器にさせていただきたいというふうに考えております。
  139. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 全面保護措置の撤廃というようなことをガットの場では柱として一番強力に打ちげているアメリカ国内事情はそういう事情にるということは、私どもよりは、むしろそういう状況農業を具体的にやっている現場の人たちが聞いたら大変に矛盾を感じるだろうというふうに思うんですね。だから、その辺はやっぱり交渉の場でしかと指摘をしていただいて、なおこの九〇年農業法の行く末についてしっかりと私どももチェックをしていってみたい、こんなふうに思います。  それから、大変恐縮なんですが、これはけさの新聞で見ましたものですからそちらには出ていないかと思うのでございますが、ガット報告書の問題でちょっとお伺いをしてみたいんです。  対日審査報告書が出されたということで、これは農業交渉の問題だけでなく総括されておりますようですが、前段では、農業問題についていえば日本はかなりの努力をしてきておるということがうたわれておりますね。ただ後段では、世界貿易に占める日本の役割から見て健全な多角的貿易体制を維持する責任があるということが言われておるわけでございます。ガット交渉の場の成功というようなことはサミット宣言でもうたわれて、そしてここでも成功裏に導くための日本責任というものが私は問われているんだろうと思うんですが、ガットが成功するということは日本にとってはどういう現実を創出することになるのでしょうか。ガットの成功とはどういうことにつながるんでしょうか。
  140. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今御指摘がありました報告書でございますが、これは貿易政策のレビューという形で定期的に各国について行われているものでございます。  今御指摘ございましたように、このレビューは比較的客観的に書かれておりまして、我が国が努力した点もそれなりに評価して書いてございますし、今御指摘のような農業保護についての現実につきましても非常にクールにと申しますか冷静に書かれていると思っております。  それから、後段の御質問でございますが、ガットが成功するということは、結局、ガットのこのウルグアイ・ラウンドにつきましてのある種の合意と言ったらよろしいかと思いますが、合意がなされるということがその成果と申しますか結果であろうと思っております。
  141. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これ、十五部門にわたっての課題がいろいろあるようでございますので、なお私自身も要約でなくしっかりしたものをちょうだいして読んでみたいというふうに思います。  次の質問は、これは大臣への質問になるのかと思いますけれども、いずれにしても、この報告書等にもうたわれるように、日本の米というのは今世界じゅうが見ていることだけは確かです。そこで、こうした米をめぐって我が国でもより多くの人から理解される土地利用型農業としての生産性向上と、そしてまたコスト引き下げでしょうか、あるいは規模拡大でしょうか、構造政策としてやらなきゃならないことがたくさんあるというふうに思うんです。今後はかなり緊急にこういう問題に手をかけていかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  ただ、さっきの話ではありませんけれども、こうした構造政策を進めていくための助成等に対してもガットの場では制限が加わっていくのかというような話もありますけれども、私はこれは本当の公共事業としてしっかりとやっていかなきゃ今後大変なことになるんだろうというふうに思います。  そこで、構造政策等推進のための予算をしっかりとっていただくこと、それからまた、こうしたことを通じて日本の努力の過程をしっかりと国際社会に示していくこと、こんなことを含めて大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  142. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) これは私のリードオフの中でも、構造政策問題というものは非常に農業進展のために基本的に大事だ、そして機械的に一律に国内情勢の中でこういうものまで抑え込んでしまうということでは、例えば日本農業などについてはこれから足腰を強くしていくことができないという趣旨発言も、中でしっかりしておきました。  今、先生の御指摘のとおり、特にこういう時代でもございます。日本農業はさまざまな、時に試行錯誤もあったと思いますけれども、私は五カ国のときには、大変な痛みを伴うこともあったけれどもある意味では革命的とも言えるような急転回をしてきておる、今後も生産性を上げていく、そしてコストを抑えていくというふうなことには死に物狂いで努力します、こういう言い方をしてきておるわけでございます。  これは文字どおり言葉だけではなくて実質的にやっていかなくちゃならぬということを考えますと、やはり構造政策推進のための予算の確保ということは緊急至上命令であるというふうに考えておりまして、その予算の獲得は従来もやっておりますけれども、構造政策推進のための、あるいは土地利用型農業を進めていくための予算確保には全力を挙げていきたいというふうに考えておることを申し上げます。  いろんな政策はございますが、それらを含めまして、結局は予算でございます。また、この予算を今度は外側で抑えられてしまったら何にもなりませんので、外側では、米ではありませんけれども、これらはひとつ認めてほしい、そして内側ではこの予算確保をすることを大蔵側にも強く要望しながら、これはただ単なる農業だけの問題ではなくて、日本の国を守っていく、日本の農村を守っていく、山村、漁村を守っていく予算だ、こういうふうに位置づけて今後ともせっかく努力をしてまいりたい、こう考えております。
  143. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 日米構造協議の中で公共事業費四百三十兆などというのが出てきたんだけれども、あんなあたりからもらってきて少し頑張った方がいいと思うんですよね。  それで、最後に申し上げておきますが、私どもも五カ国農相会議あるいはまたウルグアイ・ラウンド交渉状況、あるいはまたサミットにおける農業問題の発言等、我が国立場をしっかりと見ていきながら、農業のあるべき姿がどんなふうに今後なっていくのか、特に米がどうなっていくのかということについては、実は胃が痛くなるほど真剣に私どもも取り組んでおるところでございます。このことを明言いたしまして、質問を終わります。
  144. 林紀子

    ○林紀子君 五カ国農相会議への大臣の御出席、御奮闘、御苦労さまでございました。  今回の五カ国農相会議の結果概要につきましては農水省から資料をいただきましたが、これによりますと、アメリカのヤイター農務長官は日本の世論の動向について、日本の世論も変わりつつある、また日本の世論調査について完全自給の支持は下がっているのではないか、このように二回も発言しておりますね。これに対して大臣は、世論調査については、そのやり方にもよるが農業を守っていくという国民の考え方に変わりはないと反論していらっしゃいます。確かに最近相次いで発表された世論調査を見ますと、先ほどの同僚委員発言にもありましたように、米の輸入自由化反対する意見がふえ、安全な農産物への関心と要求の高まりが示されております。  しかし、ヤイター農務長官の言う世論というのにはもう一つあるのではないかと思うわけですね。大臣を初め農水省の担当方々ジュネーブアイルランド国会決議に基づく米の完全自給を堅持しようと努力しているときに、特にヒューストン・サミット以降、米の一部輸入自由化を容認する発言が国民から選ばれた国会議員の中から、一部野党にとどまらず元首相や自民党責任ある幹部の方々からも出され、さらには現職の外務大臣通産大臣まで米問題で柔軟姿勢報道されるような発言をしています。こうした言動も世論の一つとするならば、日本の世論は変わりつつあるというヤイター農務長官に対して大臣はどのように反論し理解を求められたのでしょうか。  また、現職の外務大臣通産大臣発言については、先ほど公式な発言としてはあり得るはずがないとお答えをいただきましたけれども、まさに閣僚の一員として重大な発言です。農水大臣が直接真意をただすなど大臣みずから何らかの行動をとるべきではないかと思いますが、これについてもお答えいただきたいと思います。
  145. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) ヤイターさんとのやりとりの中で、日本の世論の動向が最近大きく変わりつつあるというふうなことをかなり力説しておいでになりました。これも先ほど来私お答えを他の先生方にも申し上げているとおりでございまして、例を挙げながらお話をいたしました。  例えば、これは直接申し上げなかったんですけれども、食糧の自給率が現実に穀物の場合に三〇%を切っている、三〇%すれすれだというふうなこと、あるいは食糧全体で言えばカロリー自給率で五〇%を切って四九%になっているというふうなこれも数字は出しているわけですけれども、そういうことを設問の中に入れて、こんなに自給率が下がっちゃって、そして世界の百六十幾つかの国のなかで一番おしりの方の百四十五番目だというふうな状態の中で、日本の主食である米を皆さんもっと減らしちゃっていいんでしょうかというふうなことをもし問いかけるとすれば、そういう質問があるとすれば、これに向かって、もっと減らしちゃった方がいいよ、お金を出して外国から買えばいいですよ、そして安全であるかどうかわからない米も、こういうことには僕はならないというふうに率直に思っておるわけでございます。  また、この主張は今後とも正しい主張としてあらゆる角度から、今のは食糧安保を基礎にしてやったわけですけれども、国土を維持するとか環境を保全するとか、国土維持というのは日本のことですけれども、環境保全というのは日本だけじゃないんですね。輸入国である日本だけじゃなくて、輸出国あるいは世界全体に及ぶ問題ですから、そういうことなども含めて主張していくべきではないか。十分理屈は私どもにある。  それからいろんな方の御発言の問題、これも先ほど来申し上げておりますが、いろいろの御配慮があって御発言があったんじゃないか、しかもその部分だけ取り上げて報道されるということは間々ありますから、その前後の真意が十分伝えられていない向きもあるんではないかというふうな考え方も私はしております。  それから例の二人の大臣発言でございますけれども、ガットウルグアイ・ラウンド交渉を成功させようということは私どもも一致して言っていることでございます。先ほど刈田先生からガット交渉の成功というものは日本に対してどれだけ利があるかというふうな御質問もございましたが、新しいガットのルールづくりというものは、これは世界の自由貿易体制を維持していくために非常に大事だ、発展させていくために大事だ、こういう認識がありますから、そういうことの中でお二方は発言をなすったんであって、農業問題、特に米の問題を直接言葉として言及をしているものではないというふうに私は理解をしておるわけでごさいます。
  146. 林紀子

    ○林紀子君 七月二十六日付の毎日新聞に福島支局の記者が「コメは一粒も入れるな」と題してこのように書いております。大部分の零細兼業農家は安い米が入ってくれば米づくりをやめるだろうし、専業農家が規模拡大してコストダウンを図っても、やる気を失って、肝心の後継者がいなくなれば広大な田んぼをだれが耕すのか、こういうふうに書いているわけですね。  私たち日本共産党国会議員団は六月の中旬から七月の末まで全国十の道府県を訪れまして米調査を行いましたが、全く同じ思いでした。米が一部でも輸入自由化されたらそれはすぐ減反につながる、また野菜や果樹や花卉を複合経営している農家も、輸入自由化されましたら、米があるからこういうものと複合経営をして農業経営が成り立っているから、米がつくれなくなったら農業そのものをもうやめてしまう、このように特に後継青年という方たちが訴えられているのが大変印象的でした。米は一部でも自由化してはならない、このことを強く感じたということをここで指摘しておきたいと思います。  次に、外務省にお聞きしたいと思いますが、我が国が米輸入自由化を受け入れなければ日本は国際的に孤立すると考えておいででしょうか。国際的な孤立とは、アメリカから非難され、アメリカから孤立する、それがそのまま国際的な孤立だという認識を持っていらっしゃるのではないでしょうか。  七月十三日付の各新聞の朝刊には、米市場開放問題で外務省首脳、これは栗山事務次官だと思うのですけれども、ウルグアイ・ラウンドの成功に向け日本の国益を考えた場合考え直す必要があるのではないかと述べて、政府内で米問題で再検討する必要を明らかにしたのは同首脳が初めて、このように報道されておりますが、これはどういうことでしょうか。  また、七月二十九日の朝日新聞には、「外務省は「日米関係重要性に配慮する立場から、米・EC間の妥協が成立する前に、日本がコメ市場開放を決断し、農業保護の大幅削減を唱える米国の主張に手を貸すべきだ」という判断である。」と 報道されています。  米問題に対する外務省基本姿勢、同僚委員から質問もありましたけれども、大変重要な問題ですので再度確認をしておきたいと思います。
  147. 北島信一

    説明員北島信一君) ただいまの先生の御質問に御説明申し上げます。  まず第一点目の、日本の米開放に対する態度のとりようが国際的な孤立を意味するかどうかという点でございますけれども、これはあくまでも交渉車でございます。百カ国近い国がジュネーブで行っている交渉の中ですので、その交渉の中ではあくまでもどの国であってもみずからの国益を追求するということですので、国際的な孤立云々という言葉は必ずしもなじまないのではないかという気がいたします。  先ほど来、山本農水大臣、ほかの方から御説明があったわけですけれども、日本世界最大の農産物の純輸入国であるということについての国際的な理解はございますし、それから先ほどはガットのTPRMと私ども申し上げていますけれども、日本の貿易政策についてのガットが出した報告書の中でも、日本が近年農産物市場においても非常な市場開放を進めてきているということについての国際的な認識も存在するわけですから、そういうことを踏まえて我が国としては食糧安全保障重要性ということを今後ともジュネーブ交渉の場で強調して、その結果十分な成果を得たいということでございまして、それは必ずしも国際的な孤立を意味するものではないと考えます。  先生の第二点目の御質問外務省の首脳発言の件でございます。  これは七月十三日に各紙で報道されたものでございますけれども、その際の外務省首脳の発言は、今後とも日本主張を行っていくけれども、この主張が国際的に受け入れられるか否かについては情勢が厳しくなってきているという認識を述べたということであって、これまでの日本主張見直しといったものを述べたものではないというふうに理解しております。  先生の第三番目の御質問、米、ECの妥協の前に日本が例えば米国の主張に手をかすべきだ云々、そういう発言があったのかどうかは私残念なことに存じ上げませんけれども、いずれにしましても主要国の間の動静を見ることは必要だと思いますけれども、日本日本立場があるわけですから、あくまでもそれを踏まえて交渉していくということではないかというふうに考えております。
  148. 林紀子

    ○林紀子君 それでは、昨年十一月、ウルグアイ・ラウンド農業交渉日本が提案しました食糧安全保障等の観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するための必要な国境調整措置がガット上認められるべき、こういう立場外務省の方も変更をすることではないとういうことを確認してよろしいわけですね。
  149. 北島信一

    説明員北島信一君) さようでございます。
  150. 林紀子

    ○林紀子君 次に、農水省の元経済局長で直接日米交渉に当たった吉岡裕さんは雑誌「緑のサイクル」という中でこういうふうにおっしゃっております。  大臣にお伺いしたいと思いますが、「私も東大法科出身で安保条約についても一応の知識を持っているつもりであった。ところが牛肉交渉日本側が何をいってもアメリカ側は受け付けない。アメリカ日本を軍事的に防衛してやっている。だから経済問題でアメリカの要求をのむのが当然だという態度でした。私は、日米安保条約は軍事的のみならず経済的にも日本をがんじがらめにしばりつけていることをつくづく感じた」、こういうふうに書いていらっしゃるわけですが、山本大臣は、これまでの交渉の中で同じように感じられたことがありますでしょうか。
  151. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 私から答えさせていただきます。  私どもの先輩の書かれた文章を引用されましたが、私その文章を読んでおりませんので正確なお答えをすることはできないと思いますが、今御指摘になりました先輩は、私どもは今考えてみますと、牛肉・かんきつに直接携わった以前に役所をやめられているのではないかと思いますので、直接携わった感想ではないと思います。したがいまて、それにつきまして役所として答えることは差し控えさせていただきたいと思っております。  なお、今御引用の文章については、私ども一度読ませていただきたいと思っております。
  152. 林紀子

    ○林紀子君 これにつきましては、それでは私もいつの時点でこういうことを、これは一九八五年八月の雑誌の中で書いていらっしゃるわけですけれども、私ももう一度直接携わったかどうかということについては確認をしたいと思います。  最後に、これは大臣お答えいただきたいと思いますけれども、米の輸入自由化を断固阻止する立場から、私たち日本共産党は米問題をガット協議から除外するようにと要求しておりますけれども、これから最大の山場となる十月以降、十二月最終合意に向け、国会決議を守り、選挙公約実現に向けて、労働者、農民そして消費者の皆さんと力を合わせて米自由化を絶対許さないために全力を挙げて闘う決意表明すると同時に、十一月のアメリカ中間選挙を控えて、ますます日本に対しての米自由化の圧力が強まると思いますけれど、今後の交渉に臨む大臣決意を伺いたいと思います。
  153. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今後の交渉、これからずっと続くわけでございますけれども、従来どおりの姿勢で、すなわち米に関しましては国内産で自給をするということの姿勢で貫いてまいりたいということでございます。
  154. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 この暑い中を、特にお米の問題で関係の皆様方のお疲れでありますことを承知の上で、またお尋ねをさせていただきます。  農産物自由化、わけても米に関する重要な会議、例えばヒューストンにおける日米首脳会談及びアイルランドにおける五カ国農相会議等における各国代表の発言や討議に関する政府よりの情報はマスコミを通じているもの以外は全くありません。事態の理解が極めて困難でありますけれども、ウルグアイ・ラウンド最終段階を迎え、我が国の食糧の完全自給の維持が極めて困難なように推察をされますので、時期既に遅いのではないかとの懸念を持ちながらも、牛肉・オレンジの轍を踏まないためにも疑問点を指摘し、真相をお聞かせいただきたいと思います。  まず第一点は、五カ国農相会議では、農産物貿易をゆがめるものはすべて廃止をすべきとする米国の立場と、米国の主張する自由競争だけでは強者必勝であり、競争力の零細な農家、自然条件の悪い農家は守られるべきであり、そのためには共通農業政策を維持することを主張するいわばECさらには日本、このような立場に分かれておると理解をいたしております。  本日、農林水産大臣報告もありましたように、米を守る我が国立場からは、米国とECの攻防が続く限り、一見したところ好都合のようではありますが、しかしまた、日本ECとは守ろうとするものが微妙なところで食い違っておるとも言われております。すなわち、米の自由化につながる関税化は絶対避けたいとする日本と、共通農業政策の根幹は輸出補助金とするECとでは立場の相違があるということです。そのことはきょうも論議の中に出てまいりました。  会議中にEC委員より、なぜかしら八六年を基準に九六年までにEC農業保護を三〇%程度削減したいと突然の発言があった旨の報道がございました。すなわち、ECは補助金により輸出を可能にしており、輸出補助金の大幅な削減は受け入れないことを意味するのではないかと思われます。だとすると、残るものは市場障壁の面で、非関税障壁を関税化に置きかえての妥協は当然考えられるところでありますが、五カ国農相会議出席をされ、直接論議の中に加わってこられました大臣の感触からして、究極はEC日本との立場も一致するものではないと感じてこられましたかどうか。また、そのように感じてこられましたとすれば、EC頼みに望みを託するということは危険だと考えられるのですけれども、その辺のとこ ろをた承りたいと思います。
  155. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 私が先ほど冒頭報告書でも申し上げましたが、議長がマクシャリーさんでございますので、その議長に表敬の意味も持ちましてブラッセルEC本部に最初にお伺いいたしました。表敬の意味合いも、儀礼を込めて申し上げた後、日本立場というものを申し上げながら、現在ECがとっておる輸出補助金につきましては、私どもは認めがたいということもはっきり申し上げておきました。それは、ややもいたしますと、こういう交渉事にはつきものなのだそうでありますが、三つあると、その三つのうち二つどこかが組む、組みそうになると慌てて次の組み合わせを考える、いわゆる取引とでも言うんでしょうか、作戦とでも言うんでしょうか、戦術とでも言うんでしょうか、そういうことも間々あるわけでございます。  私は、アメリカとこの輸出補助金問題については言葉を一にしているかもしれないけれども、アメリカに頼まれて言っているわけじゃない、ましてやアメリカと組んで言っているわけじゃないというふうなことなども例に引きながら、日本輸出国としての立場の中から、今一番ぐあいが悪いのは輸出補助金だ、世界農産物市場を歪曲させているのは輸出補助金だということをしっかりと述べまして、そして、これわかったかどうかわかりませんが、日本の言葉で漁夫の利というのがある、相手をけんかさせてこっちだけ得する、今先生がちょっと指摘されたようなことでございますが、そういうことは我が日本や私はとらない、正々堂々とやりますと。  また、EC協力しなくちゃならない面があれば十分協力もし合うと。例えば農業が長い長い伝統をもって今日まである、アメリカの歴史は非常に新しいというふうなこと、あるいはアメリカのあの広大なものとEC日本ではまたそれぞれ中身も異にする、異にしながらも同一点もあるわけで、そこはよく話し合ってやっていきましょうという趣旨のことなども申し上げたわけでございます。  これは、マクシャリーさんはEC輸出補助金については自分の立場考え方EC方針と決して我が方とは一致していないわけでありますから、平行の議論を、彼らの見解を述べまして、それはそれでお互いガット交渉の場でやりましょうということにしたわけでございます。  本番の五カ国へ参りましたときにも、やはりこういうオープンな会議、あるいは飯を食いながら五人だけでほかを入れないでやる会議、もう一人ずつつきまして、トップの会議、ワーキングランチというんですけれども、飯を食いながらやるというところなどでも非常に激しくアメリカECが、片や輸出補助金問題、片や農業保護の問題、あれはどうなっているんだというふうなことから随分激しくやり合っておるということでございまして、これは日本は何か作戦的にどちらかと組んでやるようなことをすべきではないし、またやったとしてもそんなことは通用する状況ではないというふうに私は率直に思いまして、今までの日本ウルグアイ・ラウンドにおける提案というものを軸にいたしまして、今後ともそれを貫くべく日本主張が評価されるように、認められるように日本として努力をしていく以外にないというふうに感じた次第であります。
  156. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次は、この間の五カ国農相会議でヤイター米農務長官は、日本の米市場開放問題について、将来の完全自由化につながる関税化の対象にするよう要求されております。先ほどの御答弁の中で、以前からこの要求はありましたとのことでございますけれども、この発言は国際会議の場では初めての公式表明であるともまた言われております。さらに、ヒューストン・サミットの経済宣言に盛り込まれた食糧安全保障への配慮は米の完全自給を容認するものではないとの認識表明して日本の米自由化を強く迫ったようであります。  アメリカ側は従来より農産物全体を対象にした関税化主張しており、日本側は米は例外と反論をしてきておいでになります。サミット経済発表では日本主張がある程度受け入れられたとの見方も生じておったときの発言でありますだけにやっぱり厳しさが感じられますのと、あまつさえ米国の試算で関税化した場合の米の関税率は七〇〇%となり、これでも関税化できないと言われますなれば我々は議会に報告のしようがないと強い不満を表明されたとのことでございます。  これに対して大臣は、食糧安全保障を論拠とした米の自給論を展開され、さらに輸出国の高水準の保護政策による農産物の過剰生産問題や国内農業生産の最低確保水準の考え方を認めるよう丁寧に主張されたと報じています。  総じて従来の主張を展開されたと聞くのですけれども、果たしてそうでありましたのかどうかを確認いたしたいと存じますのと、もしそうであったとすれば、相手方の攻め方のうまさがちょっと目立ち過ぎるように思いますのと、日本側の論理の説得力がやや弱いのではないか、このような状態で果たして勝算があるのかどうか、その辺の論拠を生産農民にわかるようにひとつお答えをいただけたらと思いましてお尋ねをいたします。
  157. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) せっかくの先生の御指摘でございまして、少しお言葉を返すようで恐縮でございますけれども、私は十分私どもの意見は理があるところであると。従来から繰り返されたからといって、新しいものが出ないからヤイターさんは七〇〇%と出したから、その方がはるかに新味があって説得力があるのではないか、先生そうおっしゃっているんではないと思いますが、などということであるとすれば、それは全然違うんだと。  私は幸いなことにと先ほど申し上げましたのは、国内農業政策というものを最初三十分やりましたときに、ほとんど意を尽くして日本農業政策の中で食糧安保とかあるいは環境保全、国土維持というふうなものを柱に並べながらずっと説明をしていったわけでございます。それが終わったところでヤイターさんが立ちまして、日本の私の主張に対する批判を兼ねてやったのが七〇〇%。これも先ほど申し上げましたが、その前に、これはさすがに私は言わざるを得なかったのじゃないかと思いますが、日本の多年にわたる自由化の努力を多といたします、こういうことを、ただ単なる外交辞令ではない、日本の実績なのですから、牛肉・かんきつに至るまでの努力を多といたしますということでございまして、繰り返して申し上げるようですけれども、世界一の農産物の純輸入国だという実績とか、そして実際に食糧安保と自給の問題とは違うのだとヤイターさんはおっしゃっていますけれども、それは明らかに連動しておりまして、日本はつくれるものをつくらずに主食を生産調整して、そして自給率が言うなれば先進国では世界最低というところまで来たというふうなこと、もちろん時間の関係等もございましたし、あるいはヤイターさんは自己の主張を出せばそれでいいのかなと思ったかもしれませんが、私が二十分のリードオフのほかにヤイターさんの御主張の倍も時間をかけて一つ一つやりましたが、それに対する再反論は一切ありません。  私は、新聞記者の皆さんに後で申し上げましたけれども、皆さん方はヤイターさんの主張ばかり書いて山本の反論は書かない、まことに遺憾であるという話をいたしましたけれども、それは何となく向こう様の意見に飛びつきたがっているなという印象を持ちました。しかし、私どもは七〇〇%などという数字に入る前に、米は別ですと、本来、関税化で全体いこうということ自体に無理があるんですと、現実的じゃありません、特に米についてはそんなこと全然考えておりませんという主張もはっきり申し上げたわけでありまして、私はこの主張は正しいと同時に、通らないはずはないというふうに考えております。  また、生産者や国民の皆さん方にもっとPRせよという御激励なら、これはもうそのとおりだと思いますので、しっかりこれからもやっていきたいと思いますが、何かこれからしばしばヤイターさんを含めましてお互いがこの問題で堂々の闘い をしなくちゃなりますまいが、いいお知恵がございましたら先生からもお聞かせをいただければ大変ありがたい、こう思っております。
  158. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 お聞きくださいましたように、五カ国農相会議並みに丁寧にお答えをいただきました。いただきました時間が過ぎますので、問題を残しながら終わらせていただきます。
  159. 吉川博

    委員長吉川博君) 本調査に関する質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  160. 吉川博

    委員長吉川博君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山田耕三郎君が委員辞任され、その補欠として井上哲夫君が選任されました。     ─────────────
  161. 吉川博

    委員長吉川博君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 吉川博

    委員長吉川博君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に井上哲夫君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会