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国務大臣(
石川要三君) 先ほどの米ソ首脳会談というものが、さらに最近のヨーロッパにおけるいろいろとSTARTなどの交渉で一段とそれが確認された。そういう
意味からいっても大変私は好ましいことでもあるし、さらにそれが終わってから韓ソ会談もあったり、いろんな面から見ても今
先生が言われたように軍縮の方向に着々と前進をしている、このように評価して、大変いい傾向である、このように思っているわけであります。
しかし、その中で
我が国だけが軍拡路線をばく進しているというような御説でございますが、これは見解の差で、どうも幾ら説明してもなかなか御
理解いただけないこともあろうかと思いますけれ
ども、少なくとも
我が国の
防衛大綱に到達をするという、そういう
一つのプロセスの中で今日まで
努力をしてきたわけでございまして、結果的にそれが確かにいろんな外国の、特に米ソの最近の
軍事費の伸び率などに比べれば
我が国の数字がいささか違う、こういうふうなことにもなっているかもしれませんけれ
ども、私はあくまでも軍拡路線を進んでいるというふうには
認識をしていないわけでございます。
それからもう
一つ、ざっくばらんに言わせてもらえば、
我が国の
防衛というものも
先生御
承知のとおり五十一年のときにつくられた
防衛大綱、これの水準を確保するために今日まで来たわけでありますが、考えてみれば私
どもはやはり当時のあの国際情勢、それから今日の国際情勢、確かに現象面では大いに違っておりますけれ
ども、やはり基本的な
考え方、もうこれ以上東西の激突したそういうものはないだろう、それからもう
一つは、日本の安保体制というものによって
我が国の
防衛をやることの選択がいい、こういうことで今日まで私は平和が構築されてきた、こういう面もあろうかと思います。いささか
言葉を拡大的に使わせていただければ、むしろ先見の明があったと言っても私は間違いではなかろう、こんなふうに思っております。
特に、今日、米ソがあのような会談をしてお互いに合意された点は何かといえば、いわゆる核の削減であります。考えてみれば、
税金でもって核をつくり過ぎて、また
税金でもってこれを少なくしていくなんということは、全くこれは考えようによれば愚かなことでもあろう。人間というものは大変理知的でもあるし利口な面もあるけれ
ども、見方によれば
税金でつくったものをまた
税金でこれを廃止していくのだというようなことから見れば、
我が国の
防衛政策というものは決してそういうものを持たなかった、もちろん平和憲法というものの中から来るわけでありますが、今日までの四十年間の日本の
防衛の基本的な政策というもの、選択というものは必ずしも私は間違っていない、このように
認識をしているわけでございます。
しかし、いずれにしましてもこれから世界はますますデタントに向かっていくことを好ましく思うし、またそのようにいくであろう、こういうふうに期待をしておりますので、そういう方向にさらなる一層の、私
どもの
防衛政策もさらにその
努力をしなければいけない、かようなことは当然私も
認識しているわけでございます。