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山口哲夫君 世の中の情勢に従ってそういうふうに変わってきたというんですけれ
ども、世の中の情勢というのはむしろ緑を守っていこう、はげ山にしないでいこう、いい木をきちっとやっぱり山に植えていこう、そして五十年、六十年後、我我の子孫にいい財産を残していこう、それが私たちの役目だと思うんです。そうしますと、自然保護の
関係で天然林に任せておけばいいというのは私は詭弁に聞こえるんですね。
最初に、一九六九年に林野庁みずからがつくったのが、人工林施業というのはやっぱり四七%くらいは必要なんだというふうに書かれたということは、今私が申し上げたような気持ちがあったから書いたと思う。ところが、だんだんやっていくうちに人は減らされる、民間に出しても民間も人手が足りない。そういう中で、日本の林業行政というのがだんだん後退していったから、それに合わせてこういった縮小をせざるを私は得なくなったと思う。こういった道に詳しい方は、大体私の言っていることは正しいとおっしゃっています。林野庁は、世の中の情勢に、変化に対応してと言うけれ
ども、悪い方の変化に合わせているだけにすぎないんじゃないかなと思うんです。
国有林
事業の経営改善というのはそこに働く
職員の削減だけではないと思う。機構の削減も伴ってきているわけです。私たち日本社会党が国政
調査ということで全国各地を回りました。その中で、例えば高知県の馬路村というのがあるんですけれ
ども、ここでは営林署の廃止によりまして人口が何と二八・五%も減っている。小中学校が複式化になったり郵便局の廃止まで言われている。
政府はふるさと創生ということを大変熱心にやられている。一億円を市町村にばらまかれている。それ自体は私は結構だと思う。ふるさと創生というのは非常に大事なことだと思う。しかし、一億円を出したからといって、ふるさとが創生されるとは私は思わない。ふるさとと呼ばれる町村の多くは農業で生計を立て、林業で生計を立て、漁業で生計を立てている。第一次産業を本当に真剣に守ってこそ私は日本のふるさと創生というものができてくると思う。その一番大事な第一次産業を手抜きしているということは、これはふるさと創生、政府が掲げている方針にも私は反するんでないだろうか、そう思う。そういう点で、山を守るということは目先の利益にとらわれてはできることではないと思う。ぜひひとつ政府としてそういうことの御認識を私はいただきたい、考えていただきたいと思う。
それで、もう少し経営内容について調べてみますと、
我が国の林業の利回りというのは一・七%台というふうに非常に低いんです。公定歩合が二・五%でありながら林業の利回りが一・七%なんですから、これだったら林業なんというのはやらない方が得なんです。
民間の方には造林
事業に特別融資制度があって、三・五%といって政府の方で利子補給をしているんですね。それでも大変だと思うんですよ。ところが、国有林の
事業を見ますと六・三三%と利率が非常に高い。民間にさえ三・五%の利率で利子補給をしているのに、国有林の経営に対しては六・三三%という高い利子を払わせて林野行政をやりなさいといっても、私はここには無理があると思う。当然政府として林野
事業に対して、特別会計に対して利子補給をみずから行うと同時に、もっとやっぱり一般会計で大幅に特別会計に対する
支出をしなければ日本の山は将来大変なことになる、私はそう感ぜざるを得ないわけですけれ
ども、どうお考えでしょうか。