○星川
保松君 そういうことで今度私が
天皇になりましたという
即位の礼をやる。その
即位の礼が、王権神授の明治
憲法までの
天皇の場合はこれはあくまでも皇祖皇宗の方に向かって御報告をするという
儀式が当然だと思うんですね。皇祖というのはアマテラスオオミカミで、皇宗は歴代の
天皇ということなわけですね。ですから、
即位の礼の際は皇祖皇宗の方に向かって報告をするというのが
即位の礼のあり方だったと思うんです。
ところが、今の
平成天皇は神から
天皇の地位を授かったわけじゃないんですから、あくまでも新
憲法によって
天皇につかれたわけでして、あくまでも
国民の統合の
象徴なわけです。そうならば、私が今度
天皇になりました、よろしく願いますということならば、これは皇祖皇宗の方に向かっちゃいけないと思うんですね。これはやはり国内外の皆さんに対して向かわなくちゃいけないと思うんです。ですから、
儀式もそういう
儀式でないと、どうもまた
国民もそれから海外の皆さんも、おかしいな、こう思ってしまうおそれがあると思うんです。
ですから、今回はかなりの国費を使ってこういう
儀式をやるわけですけれ
ども、お披露目の
儀式をにぎやかにやる、皆さんに喜んでもらうということはこれは結構だと思うんです。ただそのやり方が、
伝統が大事だということで皇祖皇宗の方に向かっちゃいけないと思うんですね。皇祖皇宗の方に向かって盛大にやるということは、これは今の新しい
憲法下の
天皇ではなくなってしまうわけです。そういう印象を当然皆さんが受けるわけですね。ですから、もっと
国民とそれから外国の皆さんも含めてそっちの方に向かって、そして
天皇の地位についたということを皆さんに喜んでもらう、そういう
儀式に持っていかなければいけないんじゃないかと思うわけですね。
ですから、そういう面から見ますと、やはりこの高御座という高い台の上にお着きになって、それは天にいらっしゃる皇祖皇宗の方に近いから高いところに上るのかどうか知りませんけれ
ども、それから今度は
大嘗祭ということで
天皇がたった一人ですか、奥の方に入ってまいりまして、そして皇祖皇宗の方に向かって
即位の
儀式をするというのはちょっと方向が違うんじゃないだろうか。そうじゃなくて、
国民の皆さんそれから外国の皆さんに向かって、こっちに向かって皆さんに喜んでもらえるような、拍手を浴びるようなそういう
儀式が本当のあり方ではないか、こういうふうに思うんですけれ
ども、どうでしょうか。