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説明員(小宮和夫君)
先生のお
言葉のとおり、
郵政事業は
国民の信頼の上に成り立っているからこその国営
事業であるというふうに常々肝に銘じているところでございます。
郵政事業において犯罪は
国民の信頼を損なう最たるものでありまして、この絶滅に常に
努力しているところでございますが、例年一定数の犯罪が発生しておりまして、また、その一部は部内者によるものであるということはまことに残念でございますし、申しわけなく思っているところでございます。今後とも、その根絶に
努力してまいる所存でございます。
それで、その犯罪の数、態様ということでございますけれども、いわゆる
郵政犯罪は、最近十年間ほどの傾向を見ますと、部内、部外のものを合わせまして年間大体三千件程度は発生しております。そのうち、年によって違いますが、九二、三%ないし九五%程度は外部の者による犯罪という形になっております。
犯罪の態様等につきまして簡単に申し上げますと、まず部内について申し上げますと、年々大体百三十人程度が部内者として犯罪を犯しているという実態でございます。そのうち本務者が大体百十人程度という状況でございます。
それから、犯罪の中身でございますけれども、これは十年来余り変わっておりませんで、例えば
郵便では
郵便物を盗むとか、それから配達の途中で嫌になって
郵便物を捨てるとか、非常勤がこの場合多いわけでございますが、そのほかに
貯金や
保険につきましては預入金あるいは貸付金、
保険料、
保険金、こういったものを着服するという形でほぼ同じような態様でございます。
それから、部外の方による犯罪でございますが、これも基本的には態様は変わっておりませんが、簡単に申し上げますと、
郵便ではやはり
郵便物をとるという形、これは受け箱荒らしという形が多うございます。それから
貯金では、通帳やカードを盗みまして
郵便局へ行って人の金をおろすという形。それから
保険では、病気を隠して
保険に加入するというような態様、あるいは
保険に入りましてからわざと交通事故を起こしまして傷害
保険金をとるというような形が多うございます。そのほかに
郵便局の強盗、それから夜間の侵入、要するに泥棒でございますが、そういった形が主たるものでございます。
それからもう一つ。これは経済的な欲求でやるんでないのでまた困るわけでございますが、
郵便につきましてはポストに火を入れる、火のついたマッチを入れるというような、酔っぱらってというようなことらしゅうございますが、結構多うございまして、年間二百五十件ぐらいあるということで、非常に
国民の皆様に御迷惑をかけているという実態が一つございます。
そこで、今部外、大体変わらないと申し上げましたけれども、最近の世の中というか、生活態様の変化が多少反映されているのかなと思うようなケースをごく簡単に一、二申し上げさせていただきますと、先ほど
貯金で通帳とカードと申し上げましたが、以前は通帳を盗んで窓口へ来てとるということがほとんどでございましたが、最近はどちらかというと、カードを盗みまして、番号がそこに御丁寧に書いてあったなんていうケースもあるわけでございますが、カードによる犯罪というのが
貯金の詐取ではだんだんふえてきているという傾向がございます。
それから、これはまだそうたくさんございませんが、先日捕まえた犯人の例でございますけれども、やはり受け箱で、
郵便局が御不在のときは不在配達通知書などお知らせを入れますけれども、それをとりまして、そして身分証明書なども偽造いたしまして、
郵便局の窓口へ来てその
郵便物をまず詐取する。そのねらいは実はカードの
郵便物をねらうわけでございまして、その中のカードをとりまして、物を買うケースもありますが、どちらかというと、このごろ非常にふえてまいりました端末機でお金を引き出すという形。これを東京都内かなり広い範囲でやっていたというケースがございます。数は少ないけれども、不在が多いとかカード
時代とか、こういったものに対応したといいますか、そういう犯罪が出てきているなと、つい最近も感じたところでございます。なお、その本人は、警察の話では空き巣の常習者だったようですが、この方が安全で効率がいいとか、そういうことを言っていたそうでございます。
それから、犯罪の対策でございますけれども、部内に対してはこれという決め手というのは正直ございません。地道な対策を今までもやってまいりましたし、これからも進めていくつもりでございますが、簡単に申し上げますと、何といっても職員一人一人の防犯意識の高揚、これが大事でございます。それから
仕事も防犯ということも考えて手続を決めておりますので、この正規の取り扱いというものを今後とも徹底させていきたい。それから内部のお互いの牽制措置といいますか、監査の体制というものもございますけれども、これがいざ犯罪が起こってみますと、やはり手が抜けていたというケースが決して珍しくございませんので、こういったことも努めてまいりたいと思っております。そのために防犯だけのための会議というものもやっておりますし、それから
郵政局などが主催いたします
事業のための会議などでも必ず防犯の項目を入れてやっていただくようにということをしております。
そのほかにも、年に一回、地方に時期は任しておりますけれども、
郵政事業防犯強調運動月間というようなものを設定し、さらに防犯の意識を強めるというようなことも考えてやっているところでございます。
それから、部外に対してでございますけれども、これはいわばあちらから来るわけでございますので、なかなか難しいわけですけれども、例えば一番多い
貯金の犯罪というようなことにつきましても、それを成功させないために職員が、例えば正当な預金者であるか、あるいは
郵便で言えば正当な受取人であるかということの確認というものも常々訓練をしているところでございますし、それから強盗対策というようなものにつきましては、警察の協力も得まして、しばしば訓練と申しますか、そういう形のものもやっているところでございます。それから、これは人の面でございますが、そのほかに設備の面といたしまして防犯設備、防犯カメラとかその他いろいろございますが、そういったものも
郵便局に整えるようにしてございます。
それから、特定局でございますけれども、これも今まで申し上げたことでほとんど尽きるわけでございますが、小
人数ということでもございますので、いわば集団でよく勉強してもらうということで、特定
局長の連絡会であるとか部会であるとか、そういった集まりのときに特に重点的にやってもらうというようなことをいたしております。なお、先ほどの防犯設備でございますが、これは特定局をできるだけ優先してやる、おおむねそのような形でやっております。