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1990-03-29 第118回国会 参議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月二十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   委員氏名     委員長         青木 薪次君     理 事         岡野  裕君     理 事         永田 良雄君     理 事         松前 達郎君     理 事         磯村  修君                 長田 裕二君                 陣内 孝雄君                 長谷川 信君                 平井 卓志君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 及川 一夫君                 大森  昭君                 國弘 正雄君                 山田 健一君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 足立 良平君                 沢田 一精君                 平野  清君     ─────────────    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      山田 健一君     栗村 和夫君  三月二十七日     辞任         補欠選任      栗村 和夫君     山田 健一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 岡野  裕君                 永田 良雄君                 松前 達郎君                 磯村  修君     委 員                 長田 裕二君                 陣内 孝雄君                 平井 卓志君                 平野  清君                 守住 有信君                 及川 一夫君                 大森  昭君                 國弘 正雄君                 山田 健一君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 足立 良平君                 沢田 一精君    国務大臣        郵 政 大 臣  深谷 隆司君    政府委員        郵政政務次官   川崎 二郎君        郵政大臣官房経        理部長      木下 昌浩君        郵政省通信政策        局長       中村 泰三君        郵政省電気通信        局長       森本 哲夫君        郵政省放送行政        局長       大瀧 泰郎君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      松尾 邦弘君        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        井戸 敏三君    参考人        日本放送協会会        長        島  桂次君        日本放送協会技        師長・専務理事  中村 好郎君        日本放送協会専        務理事      植田  豊君        日本放送協会理        事        高橋 雄亮君        日本放送協会理        事        遠藤 利男君        日本放送協会理        事        青木 賢児君        日本放送協会理        事        尾畑 雅美君        日本放送協会総        合企画室局長   郷治 光義君        日本放送協会予        算部長      中野 正彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件の審査、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項の調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 青木薪次

    委員長青木薪次君) この際、深谷郵政大臣及び川崎郵政政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。深谷郵政大臣
  7. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 逓信委員会皆様方に謹んでごあいさつを申し上げます。  去る二月二十八日、郵政大臣を拝命いたしました深谷隆司でございます。  逓信委員会皆様には、郵政行政の適切な運営につきまして、格別の御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。  このたび国民生活と極めて密接なかかわりを持つ郵政行政を所管いたすことになり、責任の重大さに身が引き締まる思いがいたします。  もとより微力ではありますが、諸先生方の御指導と御助言を賜りながら、今後所管行政の推進に向け、渾身の力を傾注してまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、電気通信放送分野につきましては、国際社会産業経済地域社会国民生活等それぞれの領域における情報化進展に対応し適時適切な諸施策を推進するとともに、情報通信分野での先端的、独創的な技術開発に重点を置いて取り組んでまいる所存でございます。  また、郵便為替貯金簡易保険郵便年金事業につきましては、金融の自由化国際化長寿社会進展等に対応するとともに、地域社会活性化にも貢献すべく、サービス改善充実に努めてまいりたいと考えております。本日は、補正予算関連法案である通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案及びNHKの平成二年度収支予算等の二件につきまして委員会を開会していただき、御審議をいただけることに深く感謝申し上げているところであります。  どうかよろしく御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げますとともに、今後とも委員各位格別の御指導と御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  8. 青木薪次

  9. 川崎二郎

    政府委員川崎二郎君) 去る二月二十八日、郵政政務次官を拝命いたしました川崎二郎でございます。  青木委員長を初め委員の諸先生方の御指導をいただきながら、全力を挙げて深谷郵政大臣を補佐してまいる所存でございます。  どうぞよろしくお願い申し上げます。     ─────────────
  10. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。深谷郵政大臣
  11. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  我が国放送衛星は、地形その他の自然的条件等から従来放送を視聴できなかった難視聴地域解消を主目的として、開発、実用化されてきたところであります。しかしながら、難視聴地域における衛星放送視聴者は当初の計画より少なく、このまま放置すれば、衛星放送の主目的であります難視聴解消目的の達成が困難となるばかりでなく、近年著しく発達している放送の受信できる地域との情報格差はますます拡大していくこととなります。そこで、通信放送衛星機構が、難視聴地域における衛星放送受信対策のために一般会計からの出資を受けて行う助成業務に関し所要規定を整備しようとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  通信放送衛星機構は、従来の業務のほか、難視聴地域において日本放送協会衛星放送を受信することができる受信設備を設置する者に対し、助成金を交付する業務等を行うこととし、その業務に必要な経費の財源をその運用によって得るため、通信放送衛星機構衛星放送受信対策基金を設けることとしております。  その他所要規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  12. 青木薪次

    委員長青木薪次君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 深谷郵政大臣、御就任されてから参議院の逓信委員会としては初めてお会いをするということであります。それだけに、郵政事業はもとより、電気通信事業情報産業全般にわたって所信をお聞きして、そしてこれからの郵政大臣としての対応についていかなるものであるかということを確かめた上で個別の問題に入りたい、そんな気持ちで実はいっぱいなんであります。  しかし、国会運営がこういうことになっておりますから、それはかなわないのでありますけれども、ただ、一、二どうしても緊急的にお聞きしておきたい、また私の意見を申し上げておきたい、こういうことがございますので、やや本題から外れるかもしれませんけれども郵政大臣は、我々逓信委員会ということからいえば郵政大臣自身指導力のことに関係をしてまいりますから、そういう意味でお聞きをし、また御意見も申し上げておきたいというふうに思うのであります。  その一つは、塩谷事務次官が渡米されております。これは新聞報道によれば、電気通信分野の市場開放問題ということが主題のようでございますが、海部総理大臣ブッシュ大統領との間でこれが会談の内容として入っておる入ってないということが報道され、それは入ってないということが一つの結論のようでありますけれども、いろいろ協議は自由にやられているんでしょうが、どんな目的で何を役割として事務次官は渡米されたんでしょうか。そういったことから聞いておきたいと思います。
  14. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 塩谷事務次官のこのたびの訪米は、アメリカ政府要人との直接意見交換を行い、現在アメリカ側が提起しております諸問題について我が国考え方を説明して十分な理解を得るためでございます。アメリカ側が提起している主な問題といいますのは、ディジタル端末機接続装置、DSUでございますが、それを利用者が自分のところで設置できるようにせよということ。これに対しまして我が国では、国際的な勧告に従ってディジタル端末機接続装置電気通信事業者が設置することが適切である、こう申しているわけでございますが、この相互接続性の確保について十分な議論が必要であることなどを主張してきておりまして、この点についてのアメリカ理解を得るように努める、そういう考え方でございます。  なお、これ以外に電気通信事業法を再度見直すべきではないか等の指摘がなされる可能性がありますが、今日まで法改正を必要とする個別具体的な問題提起はなされていないところでございますから、そのような立場に立って話し合いをするように考えての出発でございました。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 ということは、従来、事務次官派遣をされたり、その上で郵政大臣が行かれ一つの物事について相手国と約束をする、妥協を含めて、ということが従来我々が体験をしてきたことなんでありますが、そういう事態は今回の場合はない、こう理解してよろしゅうございますか。
  16. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今回の場合、特別そういうような前提で出かけたわけではありません。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。なぜこんなことを申し上げるかというと、従来、電気通信機器にかかわる問題あるいは電気通信行政にかかわる問題で、日本の国内では、端的な言い方をすれば絶対に妥協しない、こう言いながら、やはりその発言とは違った方向にいつでも結論づけられる、何かしら裏切られたような気持ちになる、そういったことが少なくなかった、こういうことがあるものですからその目的役割についてお尋ねをしたんですが、今大臣の方からそういう態度の表明がございましたので、安心して事態を見守りながら我々もどう対応するかについていろいろ考えたい、こう申し上げておきたいと思います。  そこで、郵政大臣の実は政治姿勢の問題についてお尋ねをしたいというふうに思うんですが、私も何代かの郵政大臣といろいろ意見交換をやっておるんですが、深谷郵政大臣は若手と言っていいんだろうと私は思うんです。したがって郵政大臣に御就任になったときにはある意味では論議ができることを非常に楽しみにしておりました。そしてまた、歯切れのいい御答弁も出てくるだろうし、その言動に沿った行動あるいは行政上の執行ということがなされるだろうという期待を込めて実は私はうれしく思っておったわけであります。労働省政務次官のときに労働省主催パーティーでお会いしたのが一度きりなんでありますけれども、なかなかやり手だな、そんな感じもいたしておったものですから、郵政大臣として我々の先頭に立つというのは大変結構なことだというふうに実は思っておったわけであります。それだけに、巷間言われるようなリクルート疑惑という問題が今取りざたされている、非常に残念だな、私なりにショックなんであります。  私は疑惑問題というのはただ一人深谷郵政大臣の問題とは思っていません。ただ一つ政党自民党だけの問題だと実は思っていないわけです。むしろ政治家全体の問題として最終的には問われる問題であるだけに、政治家にそういった疑惑が出るということはうれしいことでは決してないのであります。しかも、お互い日本人ですから、よりよき政治をどう展開するか、こういう意味合いから見ても、一人の政治家がそういう疑惑に包まれることを喜びとするような政治家であってはならない、こう思っています。  そして、深谷郵政大臣行動自体についても、二つの著書を読ませていただきました。テレホンサービスをやっておられることも知っておりますし、またお聞きもいたしております。  このテレホンサービスも今週で何かお休みになると。なぜですかと問いたいくらいなんですが、いろいろ言われて有権者の皆さんには御迷惑をかけています、弁解はいたしませんと、まとめてそのうちに明確にいたしますと、こういうお答えをされながら、郵政大臣というのは大変重い仕事である、私の言葉が、私の行動政治に直接反映をする、大変せわしい仕事だと思っています、責任も重大だと思っています、したがってテレホンサービスの方はお休みというふうにつづられておりましたけれども、三十秒ほど実は時間を残して終わっておられるんです。わかります、気持ちは。それだけに、ぜひこの逓信委員会論議をする際にもそういった疑惑がないでやりたい、そうあってほしい、こう実は思っているわけであります。  国会においては、内閣総理大臣を含めまして、我が党の安恒議員質問の中で、四月四日には調査をした上で報告し、内閣としての明確な回答を出される、こうなっておるわけですから、一つ一つ追及していくなどという立場には私は立ちません。ただ、今前段で申し上げましたような意味で、郵政大臣、今日時点におけるお気持ちと四日に向けて疑惑を晴らすという意味での御決意のほどをお伺いしたいというのが一つであります。
  18. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 及川委員の誠実な御質問の仕方にまず敬意を表します。  私は政治家として今日まで区議会議員を皮切りに二十七年歩んできました。そして、政治家の使命というのは、国家、国民のためにどう奉仕するか、この一点にかかっていると思いまして、しっかり勉強をして行動してまいったつもりであります。これからも、非常に複雑多岐な時代、しかも世界の中の日本ですから、よほど勉強しながら、行政主導ではなくて政治主導の、つまり政治家主導政治を進めていくことに全力を挙げなければならない、そのように思っております。  今回の問題に関して官房長官報告する時期のタイミングが外れまして甚だしく誤解を招いていることは遺憾であります。しかし、私としては格別やましいことを行ったわけではありませんので、そういう意味ではきちんと処理をして明確に発表するような形で対処したい。そして、その点に関しては、既にただいま及川委員指摘のとおり四月四日までということに相なっておりますので、それに向けて誠実に官房長官にも詳細を既に御報告いたしておるところであります。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 基本的な態度としてお伺いしておきます。ということは、当然のこととして、消極的な立場で問題に処するのではなくて、進んで要するに疑惑解明する、こういう立場に立ってなされるのだろうと思うのであります。したがって私は、この通信機構の問題にかかわって質問をする前提として次のことだけは確認をしておきたいし、次のことだけは申し添えておきたい。  郵政大臣としてお答えになるかどうかは、これはきょうの時点ですから御選択はお任せいたしますけれども、まず、これまで郵政大臣予算委員会あるいは記者会見等で述べられてきました発言内容というのは、六十年から六十三年七月の期間に後援会会費とかパーティー券を購入してもらうとか、要するに含めて一千二百三十六万円の献金であったということが一つ。それから二つ目に、六十三年七月以降の後援会会費、手違いということが前提になって、振り込まれておったので返却をしたということが二つ三つ目には、リクルート社からの社員派遣については、六十三年七月で退社をしたので、深谷事務所としては優秀な人材であるので採用した、こうおっしゃっております。そして四月四日、暫定予算審議の際までに調査をして公表すると。この大きくくくって四点だというふうに理解してよろしいですか。
  20. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 結構でございます。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 そこで、ここから先の答弁選択をしていただいて結構なんですけれども、まず疑惑を晴らすという前提に立ちますと、私どもから考えても、郵政大臣これは本当にそうなんですかということをお聞きしたい点がやっぱり幾つか出てくるんです。  その一つは、六十年前は全くパーティー券とか献金とかそういうものはなかったのだろうかと。郵政大臣労働省政務次官になられたのは五十五年七月から五十六年十二月まででしょうか、政務次官をやられております。そしてまた、これは労働省とは関係ないんですけれども内閣委員会理事をやられていたときに、五十九年二月、リクルート社の接待を受けたという話が別の裁判の証言というか供述というか、そういう中で出てきておるわけです。  そう考えてまいりますと、何といってもリクルート社労働省とのかかわり、文部省とのかかわりが事件全体を見ると大きかったわけですから、本当に六十年前にリクルート社とのかかわり、具体的な資金の供与というものはなかったのだろうかどうだろうか、これが一つの疑問なんです。もちろん、政治資金規正法は三年間自治省として保存しておけば後は結構ということになっていますから、自治省ではそれを保管しているかどうかわかりませんが、どうしてもその辺がぬぐい切れないという問題が一つです。  それから二つ目には、リクルート社社員派遣という問題なのでありますが、本当に当初からリクルート社社員であったのだろうかどうだろうか、これが一つ。それから、いつからそれならば派遣をされたとされるのか。さらには、退社したというふうに言いますが、これはリクルート社の都合なのか深谷先生判断なのか、あるいは後援会事務所皆さん判断なのか。そういったことがどうしてもぬぐい切れない疑問としてあるのであります。  派遣にしろ、あるいはボランティア研修というにしろ、この点、私から言えば、おおむね七年間、こう言われているんですが、いずれにしても数年間、労働基準法上からいえば、二カ月間以上雇った場合には労働者、つまり短期雇用ではない中期、長期雇用にしなければいけない、原則ですがね。そういう理解からいっても一体どうなんだろうか。その場合の賃金というのはどのぐらいの高さであろうか。報道によれば十九万という数字が振り込まれておったということになるわけでありますが、そうしますと、五年間でも一千百五十万になるし、七年間ということになれば一千六百十万、十年ということになれば二千三百万ということになるわけです。しかし、そういったものが政治資金規正法の問題として報告されているんだろうかどうだろうか。六十三年七月からさかのぼって三年間、政治資金規正法に基づく報告書の中にそういった事態はどうもなさそうなんだが一体どういうことなのだろうかということが実は疑問として残るわけであります。これらの問題が解明をされないと疑惑が晴れたということにならないんじゃないか、これは我々の主体的な立場ですが、というふうに実は理解をしているのであります。  さらにもう一つあるんですが、六十四年一月という時点は、長谷川さんとか原田さん、大臣がおやめになった。我々から言えば、金額にすると、やめる原因となったのは会費の十六万、会費の五万、一人だけ二百万の献金があったということが理由になって、六十三年七月以降はという意味でおやめになった。こういうもの等を考えますと、やはり問題の内容を具体的に解明されないと同じような事態になってしまうのじゃないか。非常に残念な事態だというふうに実は思うのであります。  以上のことを疑問として持っているのでありますが、ぜひこれは解明をしていただきたいというふうに思っていることを申し上げます。いかがでしょうか。
  22. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私がこのほど申し上げました千二百三十六万円の件は、帳簿によって調査ができる六十年以降のものとしてまとめたものでございます。それ以前の問題については、帳簿その他は格別ございませんので、明確にわからないということであります。  それから、社員の問題については、数年前から嘱託職員であった者が、正式に朝から晩まで決まった時間ということではなしに、ボランティアのような形で手伝ってくれていたようでございます。そしてリクルート問題が顕在化した際に、リクルート社関係をきちんとするということで七月で同社を退社して、その後正式に秘書として勤めていると事務局からの報告を受けております。  それから、他の大臣の件につきましては、恐縮ですがコメントは差し控えたいと思います。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 この問題はこれで一応終わりたいと思うんですが、ただ、私どもも問題を重視しておりますので、自治省の方がおいでになっていると思いますが、政治資金規正法に基づいて、それ相当の物品が入ってもそれを金額に換算して、それで報告しなければならないものがあるという意味法律上書かれていると思うんですが、それは何条で、一体どういうことなんでしょうか。
  24. 井戸敏三

    説明員(井戸敏三君) お答えをさせていただきます。  政治資金規正法に基づきます寄附に当たります場合におきまして、お尋ねのような物品等の現物によります寄附に該当するということになります場合に、それが政治団体に対して行われました場合には政治資金規正法の九条の規定におきまして、金銭以外の財産上の利益につきましては時価に見積もった金額を記載するという規定が定められておりまして、この規定に基づきまして帳簿に記入していただくということに相なっております。  ただ、申し添えさせていただきますと、政治家個人に対してなされました寄附の場合には収支報告等の対象は金銭または有価証券によるものに限られているところでございます。
  25. 及川一夫

    及川一夫君 それと、検察庁の方にも一言教えていただきたいのですが、規正法の二十四条の規定で、今言われたようなことに違反をしてうその報告をしたとか、そういうものに基づいて告訴、告発をされ、検察に送致されたというケースはこれまでありましたでしょうか。
  26. 松尾邦弘

    説明員(松尾邦弘君) 先生お尋ねの虚偽報告等の政治資金規正法違反の個別の罪種ごとの報告は徴しておりませんので、統計はございません。  ただ、政治資金規正法違反で受理した件数については統計がございますので、それを申し上げることにいたしますが、昭和六十年以降検察庁が政治資金規正法違反で受理しました人数を申し上げますと、昭和六十年が五名、六十一年が九名、六十二年が二名、六十三年がゼロでございます。このうち起訴人員は昭和六十年に一名あるのみでございます。ただ、平成元年度の統計はいまだ集計ができておりませんので、昭和六十三年度までということになります。
  27. 及川一夫

    及川一夫君 郵政大臣の先ほどお答えもいただきました。ただ帳簿がないからわからないというだけじゃなかなか疑惑解明にならないという感想だけ述べさせていただきますが、いずれにしても、冒頭申し上げましたように、何とかひとつ能動的、積極的に疑惑を晴らして、この委員会でもせいせいした気持ちでさまざまな問題の論議ができるように、それこそ環境整備を行ってもらいたいということをこの問題の終わりにつけ加えさせていただきます。  それでは、難視聴問題解消策としての今回の機構法改正問題について質問させていただきます。  まず、この難視聴という問題について、どうも私から言うと、NHKが放送を始めた、あるいはテレビ放送も始めた、そういう時代でいう難視聴と、今日この難視聴といわれる問題に対する理解と、それに対応する郵政省あるいはNHKの対応というものについて、何となく違いを実は感じるわけです。したがって、古いか新しいかはともかくとして、今日時点におけるこの難視聴という問題をどう定義づけるのか、具体的な事例を挙げてひとつ見解を示してもらいたい。
  28. 中村好郎

    参考人中村好郎君) お答えいたします。  辺地の難視聴についてでございますけれども、受信地点での放送電波が弱くて通常の装置、通常の装置と申しますのは一般家庭用受信アンテナでありますとか受信機等でございますけれども、通常の装置ではテレビジョン放送を良好な画質で受信することができない状態を辺地の難視聴というように定義づけてございます。  それで、今先生の御質問でございますが、二、三例を挙げてみると、こういうことでございますが、私どものただいま難視聴という地域何カ所かあるわけでございますけれども、例えば東京都の八丈支庁青ケ島村という、青ケ島ございますが、この島の一部でございますけれども、八丈島の南約七十キロの離島でございますが、ここに約七十世帯ある。それから二番目の例といたしましては、長野県の下伊那郡、伊那谷でございますけれども、泰阜村栃城というところでございますが、ここは谷合いでございまして、長さ二キロメートルぐらいにわたりまして六世帯が点在している。それから三番目の例といたしましては、岩手県岩手郡雫石町切留というところがございますが、ここも長さ二キロメートルにわたりまして七世帯が点在しておる。  こういうのが代表的な例かと存じます。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 今具体的なケースというか地域を示していただいたわけですね。そうすると、今回の機構法の改正の中では難視聴は十万世帯、こう書かれています、知らされている。十万世帯全部を書けというのは大変かもしれませんけれども、十万世帯というのは全国的に見るとどういう分布になっているのか。そして各地方別に、例えばこういう地域ですよ、そして何世帯がいますよというようなことを明らかにすることはできないんでしょうか。
  30. 中村好郎

    参考人中村好郎君) ただいま先生お話しの十万世帯ということでございますけれども、この調査は六十年度の郵政省による実態調査の結果わかったものでございますけれども、地元の共同受信施設や性能のよい受信設備等の設置によりましてほぼ良好な画質で受信している世帯がかなりあるということがわかってまいりまして、結局不満足な画質で受信している世帯は約十万、昭和六十年度の調査でございます。
  31. 及川一夫

    及川一夫君 実態調査に基づいてということになると、要するに実態調査内容をひもとけばわかるということになるわけですが、例えば私なら私が、どこどこの県ではどことどこが要するに難視聴区域になっていると、我々から見てそう判断できるというようなことを郵政省にお聞きをすればわかる、また教えるのは当然と、こういうぐあいになりますか。
  32. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) いわゆる難視聴ということでございますが、これはNHKのサービスエリアと申しますか、電界強度図というのがございますけれども、それによりましてNHKのサービスエリアというものがきちっとわかるわけでございます。さらにまた共同受信施設というのがございますけれども、これも整備状況というのはわかります。ですから、どの辺が難視聴地域であるということは私どもはしっかり把握しているわけでございます。  しかしながら、個々の特定の世帯というようなことになりますと、散在しておるものでございますから、その点の把握ということが現在のところでは非常に難しいのでございますけれども、今後この法案が成案化されまして実際に行うというような場合においてはきちっとした調査を行いまして、特定の地域というものも詳細にわかるようにやってまいりたいと思っております。
  33. 及川一夫

    及川一夫君 ちょっとくどいようだけれども、正直申し上げまして、これからずっと問題を整理していきますが、難視聴問題でもって仮にそれぞれ先生方が選挙区を回ったときに、テレビの映りが悪くて困った、何とかならぬものですかねという話が出るときがあるわけですよ。そのときに我々の立場として、今度機構法で基金があって一億五千万補助が出ることを含めて、だから、あなたちょっと衛星のチューナーをつけてアンテナをつけられたらどうですかという話になると思うんです。ただ、それを聞かれたらやるか。あなたのところ何でテレビの映りが悪いんだ、こんなことがあるんだがどうだねといって、議員の世話やき活動というんですか、そういう能動的にこれをむしろ推進することも決して悪いことじゃないんだと思うのです。  ですから、そういう意味のことを考えますと、これは共通したみんなの問題ですから、むしろ公平、不公平なんという議論が出ないように、この際難視聴というのはこういう点でこういう地域であるということを何か一冊のもので出された方がいいんじゃないかという感じがするんですが、ちょっと議論が横道にそれてしまったけれども、いかがですか。それはやっぱりだめですか。
  34. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この制度は、地方公共団体と一緒になって国が四分の一の助成をする、同時にまた市町村、県というようなところがそれの四分の一を補助するという共同した助成措置でございますから、地域の実態というものを市町村レベルではかなり知っておるわけでございます。さらにまた、先ほど申し上げましたようにNHKも実態は把握しておりますので、そういう点でどこの地域というようなことのPRは今後積極的にやってまいりたいと思いますし、ぜひそういう点で私どもも一生懸命やってまいりたいと考えておるわけでございます。
  35. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  それで、ちょっと前に戻るのですけれども、難視聴という問題は、今言われたような、言葉は悪いんだけれども俗に言う過疎地という感じで受けとめられるわけです。あるいは地域的な条件が悪いから、そういう意味での過疎地であるかもしれません。しかし、最近難視聴という問題は地方に出ているというよりも都市部で出ていることが多いんじゃないでしょうか。例えば郵政大臣の選挙区でも、たしか江戸川区も選挙区――違いましたか、お隣ですか。江戸川区では都市型難視聴問題解決のために自治体が、あるいはそれぞれそのことに賛成する人たちが金を出し合って解決の糸口をきちっとつくったわけです。  ですから、難視聴という問題は何か過疎地だけだというような発想では私はぬぐい切れないものがあるし、これからも難視聴問題というのは想像できない形で近代化によって新たなものが生まれてくるんじゃないか、私はそういう気がしてならないんです。したがって、この難視聴問題をとらえる視点というものをそういうところまで幅を広げて行政上考えていかないと問題がありはせぬかというふうに申し上げたいんですが、いかがですか。
  36. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 全く御指摘のとおりでございまして、最近は都市における難視聴というものが年々増大をしております。それらは高層建築物等による場合がほとんどでございますが、そういうような場合には原因者負担というようなことで現在行われておるわけでございます。  しかしながら、自然難視といいますいわゆる山間地帯の難視というものに関しましては、従来は中継局の設置とそれから共同受信設備の設置というようなことでやってまいったわけでございます。その原因者と申しますのもやっぱり自然でございますものですから、そういう意味で今回の受信対策の基金によりますこの助成措置と申しますのは自然難視ということでやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。  しかしながら、この都市難視というものは重要な問題でございますので、我々も積極的にやってまいりたいと考えているわけでございます。
  37. 及川一夫

    及川一夫君 難視聴問題をそれぞれ幾つかのケースに分けておかなければいけない、また対応も違うだろうという点では私も理解はできるんです。ただ、ブラウン管を見たときに難視聴だということは同じではないかということになってくれば、そういうことが多くなればなるほど行政上の問題から出発して一体国の助成はというふうになりかねないと思うんです。  ですから、そういう意味でもこの自然難視という問題について、それならなぜ補助をしなければならないのかという問題もこれは逆に出てくるわけですよ。これまでは難視聴地域であったんだけれども、みずからの経済力でチューナーをつけて衛星放送を見たら解決したというところもあるわけです。同じ条件にありながら、一方は補助を受けないでみずから解決をした。しかし一方はつけてないからということで、どうですかというお話で二万五千円、自治体から二万五千円、五万円の補助を受ける。なぜそうしなければいけないのかというと、ずばり言えば一体そういう人たちはどういう経済的な立場に立っているのかということを考えて、だから補助をするんだという発想になるんだろうと思うんです。  ただやみくもに解消解消だ、もうとにかくあなたのところは二万五千円やるからこれでつけたらどうだ、そういうやみくもではないと思うんだけれども、この難視聴の補助をするという物の考え方が国としては初めてだけに、その辺の考え方をちょっと聞いておきたいんです。
  38. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) NHKは、いわゆる放送を全国あまねく普及させる、そういう義務があるわけでございまして、過去におきましても中継局等を積極的に設置いたしまして、現在、総合、教育、両方のチャンネルのテレビジョン放送におきましては六千九百局程度の中継局を設置しているわけでございます。さらにまた共同受信設備というのもあるということでございます。  しかしながら、だんだん中継局を設置していきますればいきますほど適用すべき地域というものが山間地になってまいりまして散在化してまいります。それからまた、いわゆる世帯数も非常に少なくなってまいります。そういうことで解消効率と申しますか、そういうものが非常に低下してまいったわけでございます。したがいまして、五十九年度以降はそれらを放送衛星サービスでやろうではないかということになりまして、以後は主として放送衛星サービスでそれらをやっているわけでございます。  ところが、昨年から本放送になりまして有料化というのも行ったわけでございます。受信料をいわゆるいただくということになったわけでございますが、そういうような原因であるとか、あるいは放送衛星の事故と申しますか、ふぐあい、それらもありまして、いろいろ過疎地と申しますか、難視聴地域におけるこれらの受信機の普及というものが予想よりも非常に低調であるというのが現実なのでございます。  したがいまして、私どもはそれらに何らかの助成をして、この難視聴というものを解消するために放送衛星というものもあるわけでございますので、それらに適宜対応できるような措置をやっていかなきゃならないということから助成をして難視聴地域における受信機の普及というものを図ってまいりたい、このように考えたわけでございます。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 聞いているとすらすらと入るような気もするんだけれども、一方で疑問ががばがば出てくるんですよ。  というのは、もっと根本的なことを放送行政局長はどうもお忘れじゃないかなというふうに私は思うんですが、ちょっと角度を変えてお聞きしますけれども、今までの難視聴の解消策というのは放送局をつくる、あるいは共同の受信施設をつくる、それで技術指導をやってきた、そういうやり方でこれまで対応されてきたと思うんです。そして財政的には約百二十二億ほど投資をしている。その中でおおむね九億四千万ほど国がこの部分に補助金を出している、こういうことでずっと来ているんです。ところが、五十八年においてこの共同受信施設方式による難視聴解消というのはやめているわけです、予算上。全然予算が、金がついていない。だからやめたということだと思う。その理由は、今局長が言ったように、空から飛ばすからいいだろう、こうなっているわけです。  NHKの予算も五十八年で、そこから先というのは、それまでは四十数億置局計画において投資しておったものが、五十九年から二年までのものをトータルすると七億七千万ぐらいの財政規模に要するに変わっているわけです。ということは、難視聴解消というお仕事が物すごい縮まってしまって、極端に言えば衛星が飛んだからもう難視聴問題というのはない、解消した、もうそういう発想でいこうじゃないかということを、会議で決めたか決めないか私はわかりませんが、予算の経過から見ていくとそう思われる。そして十万人世帯です、こうなっている。五十九年のときにはもっとあったと思う。しかし衛星によって解決された。チューナーを買ってアンテナをつけて解決された。どうしても今難視聴というふうに言われるのが十万人と。とことんまで来たということなんですが、数が思ったより少ないという意味で郵政当局もNHKもこの際もういいではないかということを考えられて今日まで来たんじゃないかというふうに私はむしろ頭の中で結んでいるわけです。これは違いますか。
  40. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 先生の御指摘のとおり、昭和四十四年度から五十三年度まで中継局の設置のためにNHKは四百六十六億円の建設費を出資といいますか出費しておるわけでございますし、さらに五十四年度から五十八年度までは百十五億円というような経費を投入しているわけでございます。  一方、御指摘のように、昭和五十四年度からはテレビ放送共同受信施設設置費補助金制度というようなことで九億四千万円の経費により難視聴解消の促進を国として行ったわけでございます。その後、昭和五十九年度以降におきましては、衛星放送の実施によりまして解消を図ってまいりたいということで、昭和五十九年に打ち上げられましたBS2a、さらには昭和六十一年に打ち上げられました2bによりまして難視聴解消を行っているわけでございます。  しかしながら、一方では混信対策というような意味で、非常に小規模ではございますが毎年中継局の設置というものも行っておりまして、それが御指摘の約七億円ということになっているわけであります。  そういうことでございますので、現在では原則といたしましては放送衛星で難視聴解消というものをやってまいりたいというように方向を転換しているのが事実でございます。
  41. 及川一夫

    及川一夫君 それでは、NHKにお伺いしたいんですが、平成元年の難視聴解消策の予算というのは二千万ですね。今郵政当局がお話しされたようなものは平成元年にはないわけです。要するに予算に補助金がないわけです。今回これを決めて初めて補助金的なものができ上がるわけです。しかし、平成元年というものだけをとらえて考えると、当局の方も、それからNHKの方は二千万、こうなっているが、一体二千万で何ができるだろうと。難視聴解消ということに対してあまねく公平という意味合いで対応したのかしないのかということになると、対応してないんじゃないかと。そこはもう十分、これでオーケーというふうに思ったのではないかというふうに考えるんですけれども、NHKは二千万しか昨年予算を組まなかった。私たちも気がつかなかったということがあるんですけれども、一体どんなことをされているんですか。
  42. 中村好郎

    参考人中村好郎君) ただいま放送行政局長から御説明がございましたけれども、NHKといたしましてもこの辺地の難視聴について大変重大な関心を持っておるわけでございますけれども、これが散在しておるということ、あるいは狭域化しているということから、この解消に当たりましては大変多額の経費を必要とする、あるいは対策に長期間を必要とするということから、昭和五十九年以降は放送衛星により一挙に解消していこうということで決めてきておるわけでございますが、先ほども御説明がありましたけれども、大規模な宅地造成でありますとか、あるいは外国電波混信等に対して、既設の局に大変大きな妨害があって画面が相当乱れてくるというようなところは対策をせざるを得ませんので、これを補完的にやってきているわけでございます。五十九年から六十三年にわたりまして約七億の経費を使ったというのは、そういうところを対象にして使ったわけでございます。  平成元年二千万につきましては、ただいま検討中でありますけれども一つの候補としては大分にあります局が、Eスポと言っておりますけれども、スポラディックE層ということで、ある期間テレビの画面が大変乱れるという現象がございますので、この混信対策を今計画しておるわけでございます。これに要する経費が約二千万ということで予算に計上させていただいておるところでございます。
  43. 及川一夫

    及川一夫君 そうすると、難視聴問題に対する取り組みの姿勢は変えませんと。これまでも変えてきたつもりはありませんと。金額は少なくとも思いは同じですと、こういうことをおっしゃっているわけですか。
  44. 中村好郎

    参考人中村好郎君) NHKといたしましては、あまねく電波を受信者にお届けするというのが私どもの役目でございますから、残された十万に対しては何らかの手だてで一刻も早く解消を図っていきたいという思いは従来から現在も変わっておりません。
  45. 及川一夫

    及川一夫君 郵政省の場合には三十億で、運用利益約一億五千万というものを想定しながら難視聴解消をやっていく、こう言われております。十万人いるわけですから、どっちにしても計算をすれば一億五千万を前提にすると一年に六千世帯だし、それを前提にして計算していけば、算術計算だけれども十六年もかかる、こういうような内容に実はなっているわけですよ。それならば、とにかく十万世帯というものがなくならない限り難視聴問題というのは存在するんだと、そういう前提で取り組んでいくんですという態度の表明にもなるわけですか。
  46. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 私どもは、現在十万世帯の方々が難視聴であるという現実をできるだけ早期に解決していくべきであるということからこの発想を出してまいったわけでございますが、ではこれがいつになったら解消できるのかという御指摘でございます。  私どもは、できる限り早期にやってまいりたい、そういう考えでやるわけでございますが、御指摘のとおり、毎年行いますものは六千世帯程度ということにならざるを得ないわけでございます。しかしながら、この放送衛星のチューナーとかアンテナ等も年々コストが下がってまいりますし、そういう点なども考慮いたしまして、単純に毎年が六千世帯ということにはならないんではないか、そういうふうに期待をしております。できるだけ早期に、十年以内をめどにやってまいりたいというのが私どもの考えでございます。
  47. 及川一夫

    及川一夫君 私の心配するのは、こういう施策が思いつきでぱかぱかやられるということについて非常に心配をするわけです。だから、十万世帯のうち一世帯残ってもそうかなんというようなことを観念的に言うつもりはないんだけれども、どうも今度の施策というものが極端に言えば何となく原資的なものが見えたから、この際、本予算では要求をしたのかしないのか私はわかりませんが、しないものでもこういう問題解決のためにひとつ法律を改正して、財源を確保してやろうじゃないかというような形で国策というのが運用されていくことに対して実は批判を持つものですから今御質問申し上げたつもりなんです。しかし、いずれにしても十年めどにということを言われていますから、私はそれを受けとめて十年以内には少なくともここで言う自然難視という問題については解決をされるように強く希望をしておきたい、こういうふうに思います。  次に、ちょっと郵政大臣にお聞きしたいんだけれども、先ほど提案の理由を述べられましたが、この中には緊急性という言葉は一つも実は入っていない。形の上では補正予算ということになりますから、二十九条から出発して政策的なものであるとか、そういうものは入れないで、あったとしても緊急性のあるものというように我々は理解しているわけです。提案の中には全く緊急性というものがないし、そしてまた、計算をすれば十六年間もかかるような話が前提になっているのに、なぜその補正予算でこれをやらなければならないのか。いや、私は賛成の立場に立っているんです。しかし疑問は解かなきゃいかぬから、そういう意味でこの問題提起責任者である郵政大臣の見解を聞いておきたい。
  48. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 難視聴対策でさまざまな努力を郵政省としては尽くしてまいったのでありますが、地域によっては地上のテレビではどうしても解決できないという見通しが出てまいったものですから、五十九年を境にいたしまして衛星放送でそれを解消していこうという方向を打ち出したわけであります。  ところで、平成元年度の予算編成後に我々が期待をしていたほど加入者が伸びない。それはなぜかというと、一つには衛星放送の有料化というのがその後に起こったり、あるいは思わぬ故障といったような事態が起こったものでありますから、それと設備が、費用が高過ぎる、そういうような問題、もろもろから私たちが予想している半分にもいかないという状態になってまいったものでありますから、これは急いで対応しなければならないとまず考えたわけであります。  同時に、今後新しい事業者も加わりまして本格的な放送衛星時代が到来する。NHKの加入者がふえる時期というのもございますから、そういう時期に合わせて一刻も早く対応しなければならない。しかも、基金の予算を立てましても、それを実際に行うまでに時間的な経緯もございますので、そういうこと等を考えますと緊急を要すると私ども判断いたし、したがいまして財政法の二十九条に抵触しないという判断で基金として計上させていただいたわけです。
  49. 及川一夫

    及川一夫君 一つの説ですからお聞きしてはおきますが、多少やっぱり無理があると思います。  それなら平成元年の予算要求の際にこういった基金でか、あるいは直接経費でか、いずれにしても難視聴解消のための予算要求というものをやられたのでしょうか。やった上で大蔵省との折衝で予算にのせることができなかったということなんでしょうか。
  50. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 平成元年度当初予算で要求したかという御質問でございますが、この点については要求いたしておりません。しかし、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、平成元年度予算編成後にもろもろの事情が生じまして、今回補正で組ませていただいたという次第でございます。
  51. 及川一夫

    及川一夫君 本当に郵政大臣がおっしゃるように緊急性があれば、当時深谷大臣大臣でなかったけれども、前大臣がそういったものを要求されていたのではないでしょうか。と同時に、平成二年の今、本予算がこれからかかってくるんですが、平成二年度予算要求の際にこれは大蔵省に要求されたんですか。
  52. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 平成二年度予算では要求いたしておりません。補正予算を組みましたのは、同時並行的に平成二年度予算の要求と並行してやってまいりましたので補正予算で組ませていただいたということでございます。
  53. 及川一夫

    及川一夫君 平成元年でも二年でも要求をされないということは、郵政省としてはそういう意思はなかったということにこれはどうしても理解せざるを得ないですね。要求する意思がなかったものを、また要求してないものを補正の際にということでぱっと出してくるというのは、これはやっぱり基本政策の一つであるだけに、私はそう理解するから、要するにこの提案の態度というか政策を立てて行政を執行していく基本の問題だと思うから多少くどいようだけれども食いついているわけです。  これは僕はわかります、予算全体でシーリングがあったりいろんなことをしていますから、余計なものを出すと余計なものまで取られてしまう、そういう発想もあるだろうからいろいろ工夫しているのはわかるんですよ。わかるんですが、しかし、それならそれらしくなぜやれないのかということを私は、やっぱり政治に対して疑念を持たれないように、何か知らぬけれども銭があれば何でもできるんだみたいなそういう意味国民から理解をされますと政治全体に対してマイナスだ、こういうふうに私は思うものですからね。要求もしない、だけれども補正が出てきたからこの際緊急性があると断定をしてそうしてがたがたと理屈を並べられる、それは僕はちょっといかさないんじゃないかと。でき上がったことはでき上がったことなんですから正直に言って、それでとにかくこれは国民のためになるならなるということを確認して、お互いに補正であってもやろうじゃないかと、こうしたらいいと僕は思っているんですよ。それを何かやっぱり提案の立場があるものだから無理無理に並べられると、こっちも賛成するのが反対に回ってしまうというような気持ちになってしまうわけですよ、筋が通らないということで。しかし、筋では飯は食えないからこの際乗っかるという話にはなるんだけれども。どうですか大臣、これからのこともあるんですから、この辺はもう少しきちっとした態度をひとつ表明してくれませんか。
  54. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 及川委員の誠意のあるお気持ちはよく理解いたしました。どちらにいたしましても難視聴解消ということは緊急の課題であることに間違いありませんので、何とかこの機構法を通させていただいて一刻も早くこの解消に努めたいと思っているところであります。
  55. 及川一夫

    及川一夫君 大臣は私に対しては誠実に誠意がある態度だと、あなたはちっとも誠実、誠意がないじゃないですか。そういうことはちょっと――まずいな、僕は一番先のを取りかえなきゃいかぬかなとも思ったりなんかするんだけれども、限界はあるんでしょう、提案者だから。それはわかりますけれども、こういうことはぜひ僕はやめてほしいと、筋のあるやっぱり対応の仕方をしてほしいということをきつくひとつ申し上げておきたいというふうに思うのであります。  次の問題として、同じような問題だと思うんだけれども、この通信放送衛星機構本来の役割と任務というのは何なんでしょうか。
  56. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この通信放送衛星機構の本来の任務ということでございますが、これは通信衛星と放送衛星の位置であるとかあるいは姿勢というものを制御し管制するということ、それから人工衛星に搭載された無線設備を開設いたしまして、この設備を提供しますというようなことでございます。そういうふうなことでございますので、目的としましては、宇宙における無線通信の普及発達と電波の有効利用ということからこの通信放送衛星機構というものが設置されているわけでございます。
  57. 及川一夫

    及川一夫君 私は、一口に言って通信放送衛星機構というのは、衛星にかかわる管理業務といいますか、もっとずばり言うなら、あの通信放送衛星機構に技術屋と事務屋というものが存在するとすれば、技術屋さんが主であって事務屋さんは技術屋さんの人件費とか健康管理とか福利厚生とか、そういうものを主体にしながら衛星の管理について責任者を配置して安全確実に飛ばすように仕事をするところだと理解をするんです。そういう理解はまず間違いですか。
  58. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この通信放送衛星機構は、衛星の管理、管制、制御というようなことを従来から行っておったわけでございます。そういう意味で技術的な面と申しますか、そういうふうな仕事が多いという先生の御指摘はそのとおりであろうと思いますが、機構自体はいわゆる衛星通信衛星放送の普及発達ということを図るために設けられたものであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  59. 及川一夫

    及川一夫君 受信をする人たちの機械とか設備とか、そういうものが通信機構に全くかかわりがないというふうに言い切るつもりはありません。広い意味では、衛星を飛ばして管理して制御して安定的に電波が供給され、自然な形でテレビブラウン管に映っていくと、またそれを保証するという意味ではそれは関係はあるでしょう。だけれども、それは通信放送衛星機構そのものがそこまで業務として考えろとは実はあれのどこをどう読んでもなってないというふうに思うんです。  ですから、ずばり申し上げて、この通信放送衛星機構に基金を持ち込んで運用をさせるということはえらい奇異な感じが実はする。それは法律を改正すれば何でもできるのかもしれませんけれども、しかし体系的に見ても仕事の実態を見ても、そこに三十億という基金を持ち込んで運用して、そこから生み出したものを二万五千円ずつ補助するなんというようなことが果たして――この通信放送衛星機構という一つの体系立ったものを逆に混乱させることになりゃせぬかということの方が私は心配なんですよ。なぜこの通信放送衛星機構法律を改正して、そこへ銀行屋を相手にしなければならぬような仕事を持ち込むのか、僕にはちょっと理解できないんだが、いかがですか。
  60. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 今回のこの施策は、難視聴地域における衛星放送受信設備を助成してその地域における衛星放送の普及発達を受信サイドから図ろう、こういうことでございまして、この通信放送衛星機構放送衛星の普及発達を図るということ、そういう目的の趣旨でございます。そういう機構の目的の趣旨に沿っているものというふうに私は考えておるわけでございます。しかも、このような今回の業務は臨時暫定的と申しますか、ずっとやっていくということでもございませんし、そういう意味で新しい法人を設置するというのも現在の状況から考えましても非常に難しいことでございます。そういう意味で、宇宙通信の普及発達という機構の趣旨というものに私どもは沿うような施策を今回御提案申し上げているところでございます。
  61. 及川一夫

    及川一夫君 僕は非常に具体的に問題を指摘しているつもりですが、あなたの方は何となく定義的に、観念的にお答えになっているわけで、非常に僕はわかりにくいんです。  私が言いたいのは、この三十億を使って運用してそれを受信者に完全に映るように手だてをすること自体を別に反対と、こう言っているわけじゃないですよ。それは大いにやりましょうと。基金であってもやりましょうと。しかし、その仕事をなぜ通信放送衛星機構の方に持っていかなきゃならぬのですかと。なぜ郵政省というところでできないんだろうと。あるいはもっとそれにかなうようなところがあるとすれば、そういったところでむしろやってもいいんじゃないのかなと。どちらにしても郵政省という立場から推進されるんでしょうから、どうしても通信放送衛星機構の方に持っていかなければならぬ理由がわからないわけですよ。  もしあなた方が言うとすれば、恐らく附帯決議をとらえられるんじゃないですか。附帯決議では通信放送衛星機構の何か業務を大いに拡大せよみたいなことがあるんですね。しかし、これをとらえて業務の拡大と言うにはこじつけ過ぎるじゃないかと。もっともっとやり場があるじゃないかというふうに私は思う。だから、もうずばり郵政省省内で、例えば放送行政局長のところでこういうのができないのですかということをお聞きしたい。
  62. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この提案をしております施策は、国民に対して直接助成金というものを交付することでございますので、私どもの郵政省がやるということにはなじみにくいものではないかと思いまして、宇宙通信関係仕事をやっておりますところの通信放送衛星機構にその仕事をゆだねることがこういうような仕事が順調に行われる方法ではないか、このように考えておるわけでございます。
  63. 及川一夫

    及川一夫君 しかし、局長はそうおっしゃるけれども、三十億の運用先はどこですか、これ。法律に何か書いていますね。ほとんどが郵政省関係になるんじゃないんですか。ほかの銀行がだめだとは言ってないけれども、あれは何ですか。
  64. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 今回の改正案の条文の中にも明記しておるわけでございますが、元本が保証できるような金銭信託であるとかあるいは大口の定期預金であるとか、非常に利率のよいもので運用をしてまいりたいと考えているわけでございまして、郵政省のものだけでやろうということではございません。何しろ利率を高利率で運用してまいりたい。そうしませんと運用益を十分にとることができませんので、そういう趣旨でやってまいりたいと思っておるわけでございます。
  65. 及川一夫

    及川一夫君 いや、そういう意味で言うなら貯金、保険の自主運用だって同じじゃないですか。郵政大臣の承認というか認可というか、そういうものがなければならないような仕組みになっていますよ。たまたま通信放送衛星機構の方で三十億持たされて運用しろというだけの話なんですよ、あれは。だから、僕は何かその辺は、別に縄張りを争っているわけじゃないんだろうけれども、なぜ郵政省内で、貯金、保険とか自主運用をやっているところがあるでしょう、運用自体だけはそういったところでやれないんだろうかと。今の法律でやれないというなら法律を変えればいいだけの話で、そうした後あなたがおっしゃる個別の受信者にどういう手続でどんなことをやるかというのは、これは自治体との関係もありますから、郵政の本省がやるというわけにいかないでしょう。何らかの工夫は加えなきゃいかぬのだけれども、そういう意味で言ったら機構だって同じじゃないかと。だから、どうも郵政省の中でできないという理由は僕は成り立たないんじゃないかなというふうに率直に言って思いますよ。だけれども恐らく変えようとしないでしょう、せっかく提案しているんだから。しかし私は、何かへ理屈でも理屈さえつけばどんどん何でもやれるというやり方は、後で混乱をするもとになるので余り賛成できないなというふうに思います。  細かくなりますけれども、この機構に基金を持っていって運用するというふうに言うんですが、現在の要員でやられるんですか。
  66. 中村泰三

    政府委員中村泰三君) 今回追加になります助成業務を行うためには、機構の総務部に新たに調査役を一名増員する予定になっております。
  67. 及川一夫

    及川一夫君 要員が一名ふえるというわけですね。
  68. 中村泰三

    政府委員中村泰三君) そうです。
  69. 及川一夫

    及川一夫君 これは立ち至って恐縮だけれども、プロパーの人が配置されるのですか、それとも郵政省から行くんですか、それともその他の団体と言ったらおかしいけれども、行かれるんですか。
  70. 中村泰三

    政府委員中村泰三君) 具体的な人事につきましては、この法律の施行を待ちまして放送衛星機構において適切に措置されるものと考えております。
  71. 及川一夫

    及川一夫君 恐らく郵政省の体験された方が行かれるんだろうというふうに考えますと、どういう経歴の方がどのぐらいの勤続でどのぐらいの年齢で行かれるかによって、ああ何のために持っていったのかなというようなことの憶測が要するに出てくることに今日の世間ではなるんだろうと僕は思うんです。ですから、まさかそういう意味合いでやられるというふうには思わないんだけれども、どちらにしても我々から見れば、この通信放送衛星機構にかかわる今回の措置というものについて賛成はいたしますが、余りきれいな筋立てをしてなったものではないなというふうに思うんです。  むしろ私は、緊急性ということを強調されるよりは、本来基本政策の中でこの種問題はとらえるべきである。しかし、そう考えたが、これまでの対応の中では実現できなかったと。したがって、難視聴の解消はいずれにしてもできるだけ早く、できるだけ多く解決をした方がいいという意味で、郵政省として補正の段階でチャンスがあったのでこの問題をとらえて一助にしたいという意味だと言われれば私は私なりにすんなりわかるわけです。しかし、いずれも否定をされておりますから、それはそれとして確認はしておきますけれども、ぜひとも筋道の立った対応をお願いしたい。  それから二つ目には、難視聴問題の位置づけの問題なんでありますけれども、これから難視聴問題は自然難視聴だけではなしに都市における難視聴という問題が相当数出てくるというふうに思います。地方自治体あるいは都市部の国民が裕福であればあったなりの解決の仕方もあるのでしょうが、国民の生活のためによくなる、プラスになる、こういう前提で郵政省もやられるんでしょうから、やはり行政という面から見て問題の解決に全く耳をかさないということであってはならないというふうに思います。したがって私も都市部における難視聴問題はもっと多角的に、もっと積極的にとらえていきたい、そういう立場から今回の難視聴問題に対する提案については賛成をしたいというふうに思いますが、最後に郵政大臣、難視聴という問題は小さいようで大変でかいわけであります。郵政大臣の地元でも今度は起きてくるはずでありますから、ぜひ最後に郵政大臣の見解を求めて終わりたいと思います。
  72. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 及川委員が御指摘のように、難視聴の問題は今の対策としてはどちらかいうと地方に的が絞られておりますが、現実的にはもう都会において急激な近代化、ビルの建設によって大きな問題になっておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、今回の難視聴解消のための政策努力にあわせながら、都市における難視聴対策にも必死で取り組んでいかなければならないと思っております。  そういう意味で貴重な御意見でもございますので、どうぞ今後とも御支援くださいますようお願いいたします。
  73. 及川一夫

    及川一夫君 終わります。
  74. 磯村修

    磯村修君 質問が重複しないように、しかも時間を貴重に使っていくためにも簡潔にお尋ねしたいと思っております。  先ほどの難視聴地域十万世帯ということでございますけれども、いろいろな調査の結果こういうふうな数字が推定されたということでございますが、この難視聴地域の数字、NHKの会長のかつての発言の中に、いわばこの十万世帯より少ないと、五、六万ではないかというふうな発言もあるわけなんです。郵政の今回の数字とNHKの会長があるときに発言した数字とちょっと隔たりがあるんですけれども、その辺どういうふうにお考えですか。
  75. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 私ども、この昭和五十九年から六十年度に実施いたしましたテレビジョンの辺地難視聴実態調査という結果から十万世帯と推定しておるわけでございます。そういうことでございますので、五十九年度以降は、先ほどNHKの方からも御説明がありましたけれども、混信対策とか非常に小規模な中継局の設置ということだけしかやっておりません。地上波による難視聴の解消のための施策というものは昭和五十九年度からは大規模なものは行われていないわけでございます。したがいまして、私ども昭和五十九年度から六十年度に実施したこの実態調査というものが、現在においても地上波の電波を受信できないものというような意味合いでは、この数字が推定ではございますが正しいものであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  76. 磯村修

    磯村修君 NHK会長の発言の難視聴世帯というのは平成元年の正月に行われているんですけれども、五十九年、六十年の辺地実態調査というふうなことですが、この難視聴世帯のいわばNHKのとらえている数字の認定基準というものと郵政がとらえている難視聴世帯の認定基準、何かその辺は違った面から見ているということもあるんでしょうか。
  77. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この難視聴地域ということでの認定の基準でございますが、これは郵政省とNHKとで差があるということではないわけでございます。  すなわち、NHKの放送局から電波の強さが一定のレベルに達しない地域というわけでございます。この一定のレベルというのは何かといえば、VHFの放送局の場合には〇・五ミリボルト・パー・メーター、それからUHFの放送局では三・〇ミリボルト・パー・メーターというような電界強度によりましてサービスエリアというものが規定されておりますし、さらにはまた共同受信設備というものが設置されておりまして、それ以上にもサービスエリアが若干大きくなっているというところもありますし、サービスエリアの中におきましてもやはり受信状況が悪い地域というものがございます。そういうところをさらにこの共同受信設備というようなもので補っているというのが実態でございます。  結果的にこの難視聴というものを判定する場合に五段階評価というのがございますが、五段階評価の五というものは大変いい画像が受かるということですが、それが難視聴ということになりますと評価が二か一かということで、実用上非常に受信が不可能というようなのを難視聴と我々は定義をしておるわけでございます。その点に関しましては郵政省もNHKも同じでございます。
  78. 磯村修

    磯村修君 この難視聴の実態調査というのは何年間ごとだったでしょうか。
  79. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 昭和五十一年から五十二年度にかけて全国的にこの難視聴の実態調査というのを行ったわけでございます。
  80. 磯村修

    磯村修君 話を進めます。  ともあれ難視聴世帯があることは現実なんですけれども放送法でも難視聴解消、全国あまねく放送の普及ということがNHKに課せられている大きな使命でもあるわけです。今度国が通信放送衛星機構法という法律を改正して三十億というお金を一般会計から捻出して基金をつくって十万世帯の難視聴解消に取り組む、こういうふうなことでございますけども、難視聴解消というのは基本的に放送法と照らしてNHKにあるのか国にあるのか、その辺ひとつ明確に御答弁願いたいと思うのです。
  81. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) NHKは放送の全国普及等を目指して設立された法人でございまして、テレビジョン放送等があまねく全国において受信できるように措置することが求められているところであります。NHKはこういう放送法規定を受けて中継局の配置とかそういうことを積極的に推進してきたわけでございますが、難視聴地域が非常に散在化する、狭められてくるといったようなことに伴って難視聴解消の動きは、その効率は極端に低下していったわけであります。そこで、五十九年度以降衛星放送で難視聴解消目的とした放送を行うことでNHKのテレビジョン放送があまねく全国において受信できるように措置をいたしました。これによって一応NHKとしては放送上の義務は果たしたというふうに言えるのではないかと私は思うのであります。  しかし、難視聴地域における衛星放送受信設備の普及は予想外に低調でございまして、このまま放置しますと難視聴解消を主目的として進めている私ども国の衛星放送政策の実効性の確保が非常に困難な状態になってまいります。そこで今回の助成措置をとりまして、全国民放送の効用が享受できるような実効的な状態を促進するために国の予算でこれを措置していこう、こう考えたものであります。
  82. 磯村修

    磯村修君 この基金の運用益によって解消していくということなんですけれども、先ほどもお話がありましたように、算術的には解消に十年以上かかるんではなかろうかというような計算もできるわけです。そうしますと余りにも先がほど遠いというふうな感じさえして、今回の補正予算の中の緊急性という問題については一つの疑問も出てくるわけなんです。  これは私の本当に単純な考えかもわかりませんけれども、合理的にこういう難視聴解消ということをやっていくのには、わざわざ何も基金をつくる必要はないんじゃないかというふうな感じさえするわけなんです。例えば全国各都道府県にはNHKの放送局がございまして日常業務を推進しているわけなんですけれども、地方の局が確実に難視聴地域を把握していると思うんです。そういう地方の局と自治体が連携をとり合って、それぞれの各都道府県の難視聴地域というものを国に申請して、そして国の予算によって、これだけのお金があるんでしたら補助金を出して一度に解決した方が早道ではないかというふうな感じさえもするんです。そういう意味においてはわざわざ基金をつくる必要はないんじゃないか、こういう考えも出てくるんですけれども、いかがでしょうか。
  83. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 辺地等におけるテレビジョン放送の難視聴解消というのは可能な限り早期に達成されることを私どもも強く望んでいるところでございます。しかしながら、今回やります措置は、衛星放送受信設備の設置者から申請を受けて、それを待って措置するというものでございますし、それからまた郵政省の予算の枠というものもございまして、平成元年度の予算でいきますと一般会計予算二百五十六億と極めて僅少な予算の枠でございまして、そういうことから今回三十億円の規模の基金をつくって、そのことによって安定的、継続的にひとつ助成が実施できるのではないかということで御提案申し上げているところでございます。  したがって、若干の期間は要するわけでございますが、私どもとしてこれをできるだけ早く解消していくために早急にこれに着手をしようということでお願いしているところでございます。また、今後受信設備が普及するに従いまして単価も低下していくのではないかと思われますので、より早期に難視聴解消が達成されるのではないかというふうに期待をしておるところでございます。
  84. 磯村修

    磯村修君 実際この基金が運用できるのはいつごろからですか。
  85. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) これはこの法案が成立いたしまして施行するということになりましたならば直ちに運用を開始するということでございます。
  86. 磯村修

    磯村修君 それはわかるんですけれども、実際にお金が使えるのはいつごろからかということです。
  87. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 一般的に言いまして、運用益でございますので、その中から引き出してやっていくことになるわけですが、若干調査というのも必要でございますし、申請を受けましてから審査をして助成をするということでございますので、そういう点での日数というものが必要でございます。その間の運用益というのも私どもも利用させていただきたいと思っておるわけでございます。
  88. 磯村修

    磯村修君 局長自身がお考えになるのは大体いつごろから運用できそうだということをお考えになっていますか。
  89. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) これは申請を受け付けるということでございますので、できるだけ早くやってまいりたいと思っておるわけでございます。
  90. 磯村修

    磯村修君 とにかくせっかくやる以上は早い時点でもって運用できるように御努力願いたいと思うのです。  時間がありませんので急いでお尋ねしたいんですけれども提案理由の中に、難視聴地域における衛星放送視聴者は当初の計画より少ないというふうに書かれているんですけれども、当初はどのくらい見込んでおったんですか。
  91. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 今年度末と申しますか、三月末で約一万四千世帯が目標でございました。ところが、昨年の九月末では約八千世帯と推定されておりまして、このままの経過でいきますと本年度末には約九千五百世帯程度かと思いますので、そういう点を考えますと、目標よりは四千五百世帯ほど今年度末でも低いというふうに推定できるのでございます。
  92. 磯村修

    磯村修君 当初よりも普及がおくれているというのはどの辺に理由があるのでしょうか。
  93. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 先ほど大臣からもいろいろ御説明がございましたけれども、経費がかさむという点がまず第一だと思いますし、何と申しましても衛星放送が行われまして有料化されたという点もございます。それから、どうしてもそれぞれの地域での受けるための指導と申しますか受信指導というようなことも不十分であったと思いますし、私どもも今後ともそういう点を十分に技術的な指導についてもやってまいりたいと考えているわけでございます。
  94. 磯村修

    磯村修君 最後にお願いしておきましょう、時間が来てしまいましたので。  都市型の難視聴地域を含めまして、受信者の皆さんが納得できるような状態の中での一刻も早い解消を要望して私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  95. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 質問がダブりますけれども御勘弁いただきたいと思います。  最初に郵政省にお伺いしますが、衛星放送放送法第九条五項ですか、先ほどもお話がありましたが、テレビジョン放送があまねく全国において受信できる措置をする、こういう規定によって難視聴地域解消目的にNHKは放送衛星の星を打ち上げたわけでございます。郵政省は五十四年から五十八年度まで辺地の難視聴解消のために中継局をつくり、また共同通信施設、CATVの設置に補助金の交付もしてきたわけでございます。その結果、全国で五十四年当時は五十一万世帯だと、こう言われた地域難視聴世帯が現在約十万、こういうふうに減少してきたわけでありますけれども、予算もなくなった。先ほどからお話があるように、地域難視聴は早急に解決しなきゃならない。これとは矛盾するんですけれども、そういう十万世帯になった。そこで、この地域難視聴は一応解決した、こういうこととして、衛星放送の将来の問題としてハイビジョン放送衛星放送のいわゆる独自番組、こういう方へ発展してきたのだ、こういうふうに思われてならないんですけれども、郵政省はこの点についてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  96. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 御指摘のとおり、BS2が打ち上げられた後では、これまでの難視聴対策にかえまして地上の総合放送それから教育放送の番組を放送衛星を利用して放送するというふうに変えていったわけでございます。これによりましてNHKの放送が全国的に受信が可能となったわけでございます。地上放送の難視聴世帯におきますところの放送衛星の受信が非常におくれているというのは、先ほどからも申し上げましたけれども、そういうことでありますので、この受信対策の基金というものを創設いたしたいという御提案をしているわけでございます。  現在、衛星第二テレビジョン放送によりまして、地上の番組から国民の社会生活にかかわりの深い報道であるとか教養、教育あるいは娯楽番組というものを総合的に編集いたしまして放送を行っているわけでございます。  そういうことでございますので、難視聴解消という目的を損なわない範囲で一部独自編成やら、あるいは一日一時間のハイビジョンの実験放送も行うということを私どもは認めているわけでございまして、NHKにおいてこの趣旨に沿った運用を行うことを期待しているわけでございます。
  97. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 そうすると、今までもこの委員会で、きょうだけではなくて難視聴解消の問題については私もずっと言い続けてきたんですけれども、今回は一方で財政法二十九条に抵触するんではないかなという疑問はありますけれども、難視聴解消の問題については継続して一生懸命それに取り組む、こういう姿勢できた、こういうふうに私は解釈するんですけれども、それにしても、先ほど及川先生の方から話があったように、平成元年でも予算要求をしない、平成二年度も予算要求をしていないということは、現実的に難視聴解消に取り組む姿勢が非常に後退したんじゃないか、こういうふうに思われてならないんですが、そういうことではないということですか。もう一回説明していただけますか。
  98. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 御指摘のとおり、私どもは難視聴解消というものを積極的にやらなければならないという大方針のもとにこの衛星放送受信対策基金というものも創設させていただきたいというお願いを申し上げているわけでございますし、衛星放送も今後とも難視聴対策というこの大きな目的を損なわないように番組編成をやっていただけるように私どもはNHKに対してお願いをしているところでございます。
  99. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 そうすると、今言いましたように、全国あまねく放送がされるということと、そちらでも趣旨説明の中で言っているように、近年著しく発達している放送の受信できる地域とのいわゆる情報格差、これがますます拡大していく、こういうことは非常に困ることであるわけです。そういうことでこの雑視聴解消の基金をつくるということは一歩前進と受けとめて私はよろしいと思うんですけれども、この法律の中で、当分の間、従来の業務のほか、難視聴地域において日本放送協会衛星放送を受信する云々とありますけれども、この「当分の間」というのは、そちらでは期間としてどのぐらいを考えているんですか。
  100. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 先ほどもこのいわゆる難視聴対策というものがいつ完成するのかというような御指摘がございましたが、私どもはできるだけ早期に解決をいたしたいと考えておるわけですが、時間的には十年以内というものを一応のめどにいたしたいということでございます。そういうことから、この条文にあります「当分の間」というのはおおむね十年以内ということを一応の目途にしているわけでございます。
  101. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 数字も出ましたけれども、細かく計算すると、五%の運用益、こういうことでございますけれども、三十億の五%で一億五千万ですね。一億五千万というと六千世帯と。そうすると、単純計算すると十六年、こうなるわけです。十年ということになると八%の運用利益でなければならないわけです。先ほど局長答弁ではチューナーもパラボラアンテナも安くなるだろう、そういう希望的観測ですか、それで十年に縮められるだろう、こういうことです。局長は電機メーカーじゃないからそれはわからないでしょうけれども、恐らくそういうふうになるのを希望的観測のもとに十年ぐらいと、こういうふうにおっしゃっておられるんでしょうけれども、十年というと計算からいくと八%もの運用益がないとこれはできないわけです。これは数字的にはちょっと納得がいかないんですけれども、どうなんですか。
  102. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 確かに、数字的に御指摘を受けますとそういうことに相なるわけでございますけれども、私どもも電気製品の値段というものがかなり急速に低下するという実績等も踏まえまして、今後アンテナであるとかチューナーの値段ができる限り安くなっていくことを期待しておるわけでございまして、そういう意味で十年以内ということを私は一応のめどにしているわけでございます。
  103. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 これも細かいことですけれども、今磯村さんからお話があったように、これは運用益でやる、こういうことですね。そうすると、申請があって、それから審査もするでしょうし、それで決定すれば二万五千円、国から、地方自治体から二万五千円、こういうことになるんですけれども、厳密に言って、運用益ですから運用益が出るのは来年ですが、それを取り崩してやるんですか。最初は原資を取り崩してしまってそれで始めてしまうんですか、すぐ申請があった場合には。
  104. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この運用益の運用方法に対しましては、大口の定期であるとかいろいろな組み合わせをするわけでございます。金銭信託であるとかあるいは郵便貯金に預けるとかというようなことでございますので、取り崩して行うということは私どもはやる予定はありません。あくまでもこの運用益を利用してやってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  105. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 ちょっと私はわからないんですけれども、運用益でやるというんですから運用益が出なければやらないということじゃないですか。
  106. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この運用益はいろいろないわゆる元本を保証された運用を組み合わせてやるわけです。その中で一日ごとに利息がつくものもございますし、長期にきちっと預けなければできないものもあるということで、当初はそういうようなことでございますから少額でございますので、それらが徐々に軌道に乗ってくるいわゆる段階におきまして相当額の金額が必要となるということでございます。したがいまして、この運用益というものは組み合わせによってやってまいりたいと思っておりますので、そういう点の御理解をいただきたいと思っております。
  107. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 しつこくなりますけれども、その組み合わせはよくわかるんですけれども、いつからそれじゃやるんですか。
  108. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 一カ月以上とかという単位とか一日単位とかいろいろなものがございますので、そういう点は実態に合わせてその運用益を活用させていきたいと思っております。
  109. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 三十億の膨大な金ですから運用益はすぐ出るでしょうから、それはそれとしてわかりました。  難視聴の解消というのは、これも先ほど出ましたけれども、これは大切な問題であります。今いわゆる自然による難視聴地域、これは全国で十万世帯だと、一応こう言われているわけです。しかし、この都市の受信障害世帯は推定で六十三年度末これは統計でいくと約六十七万世帯、こういうふうに言われておるんですけれども、こちらの方面についての助成金を出すならばまたこれは非常に公平だと思うんですけれども、こちらの方にも出す考えはあるのかないのか、今どう考えているのか、この点はいかがですか。
  110. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 鶴岡委員の御指摘のように、都市における難視聴問題というのはこれから非常に深刻になってまいります。私自身も都会出身の議員でありますから、私の地域でも現実に起こっております。今までは都市型のCATVであるとかあるいはSHF放送などを利用して難視聴解消の促進を図っていたんですけれども、どうやらこれではとても賄い切れない。やがては衛星放送を利用しての難視聴解消ということになっていくと思うのでありますが、それも現段階では、例えばパラボラアンテナをつけましても角度によってはビルが非常に切迫していたり高いと二重、三重に映って、これだという決め手に欠けております。したがいまして、具体的にどのような都会における難視聴対策が可能かということも含めて、これから早急に検討していかなければならないと思うのであります。  したがいまして、助成問題というのはそれと絡めながら前向きに検討していく、そういう考え方でございます。
  111. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 その点は今大臣から御答弁ありましたので了承はするんですけれども、原因者負担だということだけでこれは解決できない問題があると思うのです。  このビルが建ったからここが見えなくなったというならば、これははっきりしているわけですから原因者負担ということで原因者に対して金を出させるということは、これは当たり前かもしれませんけれども、そうではなくて、原因者がわからないいわゆる難視聴のところが、これからますますビルが乱立してくると、一カ所のビルじゃなくて二カ所あるからこちらが見えなくなった、こういう状況が出てくることと思いますので、その辺は助成するかどうかということをあわせて検討していただきたい、こういうふうに思いますので、それを要望して私の質問を終わらせていただきます。
  112. 山中郁子

    山中郁子君 もともと大変限られた時間でありますが、大臣郵政大臣としてその任に当たられる間は、私ども逓信委員会郵政事業電気通信事業電波事業、それらの行政に関しての重要な審議を進めるわけでありますので、どうしても避けて通れない問題として私はごく簡潔に三点に絞ってまず深谷郵政大臣政治姿勢についてお尋ねいたします。  第一は、私は去る三月七日の本会議代表質問で、第二次海部内閣がリクルート議員を排除したクリーン内閣だということを売り物にしながらリクルート事件関係者が七名もいるということを批判いたしました。これはその前日、つまり三月六日に総理自身が御自分のことも含めて発表された、認めたところであります。そのときに総理は私の質問に対して、各閣僚がリクルート事件が社会問題になる以前のものについて自主的に調査し、自発的に申告したものについては自民党の見解に照らして問題はないと考えるという答弁をされました。こういう趣旨の、このけじめなるものですね、いわゆる自民党の見解、これも国民の批判にさらされているものであるということで私ども意見を持っておりますし、とんでもないけじめであると考えていますけれども、今これは横に置きます。だけれども、その後あなたの名前も出てきたわけです。その中にはあなたの名前は出てなかったんです。出てきてからあなた自身もそれをお認めになりました。  私がまず端的にお伺いしたいのは、なぜ自主的に調査をし自発的に申告されなかったのか、その点のあなたの御見解を伺います。
  113. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私としましては、リクルートに何か頼まれたり、リクルートに何かしてあげたというようなことがございませんでしたので、同社との間に何か特別な関係があるような意識が全くなかったという点であります。しかし、自分の不明から、一部の報道をなされてから徹底して調査をした結果、具体的な事実についてそれが判明するまで総理に報告していなかったということについて申しわけなかったと思っております。
  114. 山中郁子

    山中郁子君 あなたは今までも、そして今も、今までお使いになった言葉ではやましいところを意識していなかったと言っていらっしゃる。だけれども、やましいところがなかったとあなたがおっしゃるのは、じゃ他の人たちはやましいところがあったからみずから調査して申告したということになるんですよ、あなたのおっしゃることは。よくおわかりになっているんだろうか。これはまさに今までリクルート事件を通じて、それからさらにその他多くのスキャンダル、汚職問題、腐敗問題を通じて常に国民からの批判にさらされている、ばれるまでは言わない、ばれたら秘書だとか妻だとか、最近は事務所だとか、こういうことになってきているわけですけれども、そういうもののせいにするといって永田町の論理というふうに批判されているそういうもの以外の何物でもないではないか。  私は、ここであなたにお考えを聞きたいし、問題の本質はそういうものなんですよということを申し上げたいのは、あなたがみずから進んで事実を明らかにしないでそして隠してきたために海部総理は国会国民を欺いたことになったわけでしょう。そして、これだけだと言ったこと自体の信憑性、そのことだって疑わしいものになってきたということはだれも否定できないんです。私は代表質問でも、それだけなのかそれ以上ないのかと聞きました。それ以上ないと海部総理は言った。だけれども実際にはそうじゃなかったでしょう。やはり海部内閣自体が国会国民を欺いたということの生き証人としてあなたが出てきたのです。この点についてはどう考えていらっしゃるか、そしてまたどのような責任をおとりになる御所存かお伺いしたい。
  115. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私の気持ちの中には隠したという気持ちはありません。認識において若干違ったものでありますから、その点については遺憾に思っております。
  116. 山中郁子

    山中郁子君 責任をどういうふうにおとりになるかということについての御所存があれば伺いたい。
  117. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 報告についての時間的な誤差その他については遺憾に思っております。しかし、私自身が格別やましいことをしたという意識は持っておりません。
  118. 山中郁子

    山中郁子君 そういう開き直りがどういうツケとなってあなたのところに戻ってくるかということは、今までの政治への国民の審判が示してきているところだということをよくよくお考えにならなきゃいけないということを私は指摘しておきます。  さらに、リクルート裁判の労働省ルート公判で名前が出た、つまり三月十四日を前後してあなたのこの問題に関する発言は実に目まぐるしくくるくる変わっているんです。簡単に言えば、リクルートとは一切関係ない、それから接待も、それから頼まれたこともない、今もおっしゃったけれども、だからやましいことはない、名前が出ていたんでびっくりしている。その次には記憶にないと言い出された、そしてその次には調査をすると言い出された、そして献金などがありました、そのほかにもいろいろ出てきた、そういうふうにぐるぐる変わっていく。そういうこと自体が、あなたは何か隠しているというふうに国民が考えたってしようがないでしょう。  私は、事実あなたはいろんなことを隠されていると思いますけれども、裁判で証拠として採用されている問題、細かい中身を申し上げる今時間はないけれども一つだけ言うならば、大沢リクルート元専務調書での五十九年あるいは六十一年のあなたに対する二回にわたる接待、その中には労働省幹部が同席している、あるいはリクルート関係者が、当時の役員が同席している、さらには元労働事務次官の、問題の加藤孝氏も同席している、そういうことが証拠として採用されているんでしょう。この点についてあなたは記憶にないというふうに言っていらっしゃるけれども、事実がなかったというふうに断言がそれじゃできるのか。そして、事実がなかったと断言するということは、裁判で証拠として採用された中身についてあなたが事実を認めないことになるという大変大きな問題になるんですよということも事前に申し上げつつ、事実がなかったということをあなたが断言なさるのか、ちょっとお伺いします。
  119. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私は政治家として、例えばかかわりのあった役所、あるいは私が役職上知り得た同僚その他もろもろの人々と常に勉強もやってまいりましたし、食事をしたことも何回もございます。御理解いただけないかもしれませんが、私ども下町の議員は毎晩五カ所、六カ所とさまざまな会合に出ましていろんな方々とお会いしております。したがって、何月何日にだれと会ったかというふうなそういう明確な記憶はありません。しかし、少なくとも私の意識の中に御接待を受けたというそんな思いはありません。
  120. 山中郁子

    山中郁子君 では事実がなかったというのではなくて、あくまでも記憶がないということであって、あったかもしれないという余地があるということですね。そのどっちなのかはっきりさせてほしい、とりあえずきょうのところは。
  121. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今の御質問にどうお答えしていいかちょっとちゅうちょいたしておりますが、さまざまな会合、さまざまな食事の機会というのはこの何年かの間に教え切れないほどございますから、私にとって明確にお答えのしようがありません。
  122. 山中郁子

    山中郁子君 では事実がなかったというふうには断言できないという御答弁でありました。  そこで私は、そういうことは、裁判所の証拠調べで検察官の提出したいわゆる大沢調書、この調書を被告、弁護側も同意したということは、その調書に書かれてある事実を関係者がみんな認めたということなんですよ。この事実をあなただけがもし仮に記憶がないとかそういうことでごまかしたとしても、それはもちろん筋が通らないだけではなく、ごまかし続けようとすれば関係者に証人として国会に来てもらい、また事実を述べてもらう、あなた自身も証人として国会国民に真実を述べる義務がある、そういう性格のものだということを私はここで強く申し上げておきます。事実がわからない、調査をしているとおっしゃるならば、今私が申し上げました観点をめぐって早急にその事実を、調査の結果を私並びに当委員会報告されるようお約束をいただきたい。
  123. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 何回も申し上げますように、いろんな会合、いろんな食事の機会がございますから、私どもとしてはそれ以上の調査のしようもありません。ただ、何回も申しますように、私の意識の中に接待を受けたという思いがない。むしろ、私自身の性格からいえば、ほとんどの会合は私の方がごちそうする機会の方が多いくらいでございます。その一つ一つの会合について全部明確に出すこともちょっと私にはできないことであります。
  124. 山中郁子

    山中郁子君 政治資金規正法や公選法やさまざまな今大きな問題になっているそういうものに全部抵触するような、あなたは毎晩毎晩どこかへ行っていろんな人から接待を受けて飲み食いを一緒にしているということで、その中に何があるかわからないなんて、そういう姿勢であなたはよく大臣をお受けしましたね。大臣だけじゃない、政治家としての資格が疑われても仕方がないでしょう。きちんとした調査をするとあなたは言って、官房長官に出したとか出さないとか、そういうことを言っていらっしゃるんだから、問題になっているそういうことを、裁判の中でも証拠として採用しているそういう採用されたものをちゃんと責任を持って明らかにする、そういう義務がある。そのことをしなければ、あなたの政治家としての、いわんや大臣としての責任が問われるものだということを私は強く重ねて申し上げます。  次に、既に幾つかの点については法案に関してもう御議論がありました。それで、私は一点だけこの際明らかにできるならば明らかにし、要望としても受けとめていただきたいというふうに思うことがあります。  それは、今までの議論の中に、質疑の中にもあったことですけれども、難視世帯というものをどういうふうに線引きするかという問題なんです。基本的に言えばそういうことなんです。難視だという届け出があればそういうふうに調査をするのか、その場合にはどういうところが基準になるのかということなんです。具体的に言うならば、なぜそういうことを私が伺うかというと、郵政省の資料によっても、また調査室が調査してくださった資料によっても難視世帯のうち約八千世帯が独自に衛星放送受信設備を設置していると推定されていると。しかし特別契約数は千五百七十五件というわけです。八千世帯のうちの千五百七十五件がつまり衛星契約だけの特別契約。そうすると、その残りのほかの方たちは、考えられるのは、やっぱり地上波を受けて地上波を見ている、難視だけれども地上波を見ているということが考えられるんです。その辺の状況はどうなのか。  もしそうだとすれば、そういう方たちは大変見にくいものであるにもかかわらず地上波で見ていて、そして受信料を払う。それからまた、衛星放送についてもそういう契約をもう既にしてきているそういう人たちについては、この法律ができて、この問題は基金の問題その他ほかにも問題いろいろありますけれども、私たちもその問題点の認識はしておりますけれども、もう既に御議論があったのでこれは今は省略します。  いずれにいたしましても、今後この法律が成立して運用をされるとなると、今までに既に、かなり初期ですから金額自体も大変大きいわけですが、そういうものを負担されてきた方たちについては何らかの手だてが工夫できるのか、援助というんでしょうか。それと、今私が申し上げましたいわゆる地上波を受信していて受信料を払っていても実際は難視世帯になっているわけだから非常に見にくいものを見ていらっしゃるということになるんじゃないか。そういうようなことについてはどういうところで線引きをして、どういうところで郵政省として把握されるようにしているのか、そのことをお尋ねいたします。
  125. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 実際の家庭の中での難視の実態と申しますと、先ほども御説明申し上げましたけれども評価というものがございまして、画像評価と申しますか、五段階評価で二とか一とか言われるそういう評価をせざるを得ないような場合にはこれは難視であるというふうに規定をするわけでございますが、それでもやはり評価が二というような状況でもごらんになっておられる方もあろうかと思います、確かに。全然見えないよりはいいというようなことですね。評価一ということになったらもうほとんど見えないわけでございます。しかしながら私どもは、評価三以上のものをテレビを見ておられる方々というふうに解釈しているわけでございます。  それからまた、契約の世帯数というのが非常に少ないじゃないかというような御指摘がございました。確かに特別契約というのはいわゆる衛星放送だけしか見られないという方々に対して割引料金制度というのを設けているわけであります。したがいまして、この契約というものはNHKが積極的に契約をしていただけるように努力をしているわけでございますが、現実的には全数を契約という形に結びつけることが難しいのが現状でございます。一般的に現在二百二十七万世帯が衛星放送をごらんになっていると推定されておりますが、契約に結びついておりますのはそのうち百六万世帯というのが実態でございます。これらにつきましては、できる限り最大限の努力をして契約数を上げるようにということを私ども指導しておりますし、NHK自身も最大限の努力をしておるわけでございます。  それから、法律が施行された後でないとこの助成措置というのができないわけでございますが、それ以前におつけになっていた方々に対して不公平だろうということで、全くそういう点も私自身納得いたしますものですから、いわゆる耐用年数が過ぎてもう一度更新するというような場合にはこの助成措置を適用してさしあげたらどうかというふうに考えております。しかしながら、そういう場合でも一回だけというふうに限らせていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  126. 山中郁子

    山中郁子君 一点だけ要望します。  そのことはわかりましたが、それでよしとするのではなくて、最初に早くそういうことでお金もかけて、そしてそういう受信をするという人たちは、ある言い方をすればこういうものに協力的に進めてきたわけです。そういう人たちの負担は大きいのに、いずれもう少し何かあるだろうと待っていらっしゃった方々の方が実際には補助も受けられるということは、あなたもおっしゃったとおり、やはりある面から考えれば不公平だなという、不公平感というのがどうしても出てくるんです。今おっしゃったようなことだけでなくて、さかのぼって何らかの配慮ある措置をとることができないものなのかどうかということはさらにぜひ本気で積極的にお考えいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  127. 足立良平

    足立良平君 一応最後になりましたけれども、ほとんど本件に関しましての質問なり問題点は出てきておりますから、私の方は端的に二、三質問いたしたい、こう思います。  それで、その前提で申し上げておきたいと思いますけれども、既に提起されましたように、この二十九条からいたしまして本件がいわゆる緊急性があるかどうかということ、これはいいか悪いかということはちょっと別ですけれども、緊急性があるのかどうなのかということについては、これはいささか私の方としては問題があるのではないか、こういう気持ちが今までの答弁の中からも消えていないことをまず申し上げておきたいと思うわけでございます。  さて、その上に立ってでございますけれども、先ほどもちょっと前の委員の方から質問が出ていたわけでございますが、放送衛星に関しましては試験放送が昭和六十一年から実施をされているわけです。そうしますと、現実的にこの元年度の補正予算の中に、実際的には既に四年ないし五年間は試験放送が行われているわけでありますから、こういういわゆる放送衛星に基づいて難視聴対策を進めていくという基本的な理念からいたしますと、突如としてこれが出てくるというのは、今まで試験放送をやっていたという前提に立って考えてみますと、先ほど及川委員からも御指摘があったわけですけれども、ちょっと私は理解というものがなかなかできにくい、今までの経過からいたしますと。そういう点を考えるわけであります。  それと同時にもう一点、本件を提案されております中で、これはちょっと言葉じりをとらまえるような感じで私は余り好きな質問ではないわけでございますが、難視聴地域における衛星放送視聴者が当初の計画よりも少なかった、先ほども大臣が御答弁になっております。当初の計画よりも少なかったからそれでは補助をいたしましょう、今回この法律でやりましょう、こういうふうに提案の理由がなっておりますし、大臣答弁としてはされているわけです。そうすると、本来計画どおり進んでいたとするならば補助はいたしませんよ、こういうことになるわけです、裏返して言いますと。ちょっと言葉じりをつかまえたような感じでまことに恐縮なんですけれども。  私は、そういう面からすると、本来的に今までからずっとおっしゃっておりますように、例えば中継局をつくったりあるいは共同受信施設をつくったり、そういうことでずっと難視聴対策をやってきて、そしていよいよその効率が悪いからこの衛星でやりましょう、こういう流れを持ってきて、そういう流れにあるにもかかわらず、この大臣の御答弁というのはいささか論理的におかしいのではないか、こんな感じを受けるんですけれども、いかがでしょうか。
  128. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) ただいまの御質問でございますが、大臣答弁申し上げましたように、平成元年度予算を作成した後に生じた事由によりまして普及が予想外に低調であったということでございまして、平成元年度予算では確かに今の本予算では要求をしていないのでございますけれども、その後生じた事態によって緊急に対処する必要があるということで予算措置を補正予算で組ませていただいたものでございます。
  129. 足立良平

    足立良平君 後段の問題はどうでしょう、大臣
  130. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) これらのいわゆる難視聴対策というのは従来からも十分に行っていかなければならなかったわけでございますし、放送衛星にもそれを期待したわけでございます。しかしながら、昨年の三月末の状況では普及の世帯数というのが約六千五百世帯と言われております。九月末では八千世帯と推定されておるわけでございます。しかも、今年度末と申しますか、ことしの三月末、もう今々でございますけれども、この場合には九千五百世帯と推定をされているわけでございまして、そういうふうなことから考えますと、我々が期待していたほど増加していないということでございます。  五十九年度から昨年の三月末までは六千世帯だけだということは、本当に微々たる普及の程度であったわけで、元年度になってからかなり上向きにはなってきましたけれども非常に少ないというのが実態だったわけでございます。
  131. 足立良平

    足立良平君 私が申し上げているのは全然違うことでございまして、多分お答えにくいんだろうと思いますからこれ以上は今ここで余り詰めません。論理的なり流れからするとこの理由のつけ方はいささかおかしい。先ほども委員皆さん方で、要は、問題はその理屈では飯食えぬという話がございました。私も全く同じ考え方でございますからこれ以上は詰めませんけれども、やはりその辺もう少し今までの流れと、そして今も山中先生から御指摘がありましたけれども、やはり国民がひとしく公平感を持つような状態できちんとやっていかないとおかしくなってくるんじゃないか、このように私は思いますから、これを申し上げておきたいと思います。  それで、もう少し話を進めたいと思うんですけれども、今もちょっと触れましたが、この難視聴対策、従来の経過をずっと見ておりますと、いわゆる中継局の設置あるいはまた共同受信施設の設置、今回は基金制度を創設、こういう一つの流れがございます。そうしますと、この中継局の設置なり、あるいはまた共同受信施設の設置というものは全額NHKが負担をいたしているわけです。それから五十四年から五十八年にかけましての共同受信施設の設置につきましては今度は自治体と国と、そして受益者といいますか住民団体が三分の一ずつ考え方としては負担をしている。そして今回の基金というのは国が四分の一、自治体が四分の一、個人の受益者負担が二分の一、こういうふうに、従来のこの放送法に基づく、国民がひとしく電波というものを享受していこうという概念、いわゆる義務規定的な概念というものは不変であるにもかかわらず、実際的にその難視聴地域解消していこうとする解消の仕方が時系列的に見ますと大変変化をしてきているのではないか、このように思えてならないわけです。法の概念というものが同じである、不変であるにもかかわらず、そのやり方が変わってきている、これは一体どのような思想の変化といいますか、考え方の変化があってこういうふうになってきたのか、この点についてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  132. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) NHKは送信をするということで受信サービスが十分できるように措置をしておるわけでございます。したがいまして、地上波が届いていないという地域におきましては、中継局を設置するとか、あるいは共同受信設備というものを設置するということで措置をしておったわけであります。ただ、今回の場合には、宇宙から電波は発信されておりますものですから、全国的にまんべんなく電波としては届いているわけでございます。受信設備を設置すればおのずと受けられる、そういう状況になっているわけでございます。したがいまして、NHKあるいは一般放送事業者という放送事業者は、そういう点では受信設備にまで助成をするとかあるいは全額助成するとかというようなことはできない仕組みでございますので、今回のとは若干見方が違っているというふうに御理解をいただければと思います。
  133. 足立良平

    足立良平君 それでは次に、ちょっと問題を整理していきたいと思いますが、先ほどもこれは出ていたわけでございますが、三十億円、これは実際的に理屈があるようなないような、ちょっと私はわからないんですけれども、これは可及的速やかに、局長の方は先ほどの答弁で約十年以内云々という話でございますけれども、この基金をもう少し大きくすれば本当はもっと早くできるわけです、考え方としては。ですから、三十億円という金額が出てきたその根拠というのは一体どの辺にあるんだろうかなという感じが一ついたします。  それから、これは私がいろんなところを調べてみますと、アンテナを含めまして、これはもう現在既に商店によりましては七万円台で販売されているように私は承知をいたしております。そうすると、考え方としては、先ほどちょっと触れました国の四分の一、地方自治体の四分の一、それから残り二分の一は個人負担というこの概念は金額がずっと下がってきたときにも全く変わらない、このように理解をしてよろしいんでしょうか。
  134. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この三十億円の基金の総額でございますが、これは先生御指摘のとおり、私どももできる限り多い基金を創設したいということで努力はいたしましたけれども、いろいろな事情によりまして三十億ということでの構想がまとまったわけでございます。しかし、これらを十二分に活用いたしまして積極的に助成措置というのをやってまいりたいと思います。  それから、四分の一という枠組みでございますが、これはやはりできるだけ数多くの方々にそういう助成をしてまいりたい、そういう考えでございますので、コストが下がっていけばそれなりに多くの方々に助成の恩恵に浴していただけるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  135. 足立良平

    足立良平君 もう時間が参りましたから最後に一点だけお聞きをしておきたいと思いますけれども、今四分の一、四分の一というふうに自治体と国との関係を申し上げていますけれども、実際的にはこれは自治体に交付するわけですから、ある面におきましては自治体に対するいわゆる交付金といいますか援助といいますか、形としてはそうなるんではないかというふうに思うんですけれども、一体具体的にどういう形になってくるのかということが一点目。  それから、同時に自治体の方がその気になりませんと実際的にはこれは交付できないわけでありますので、現在の段階で自治体として既に大体どういう計画を今持っているのか、郵政省として把握されておるところを最後にお聞きをしておきたいと思います。
  136. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この交付する仕組みでございますけれども、これは自治体に対して国が交付するというのじゃなくて、この場合には直接個人に交付する。その前提として地方自治体でも四分の一を直接交付するということでごさいます。  それから、どこがということでございますが、これも申請を受け付けましてやるわけでございますので、どこがと特定の世帯を指定することがなかなか困難でございますが、先ほどNHKの方からも御指摘がありましたように、一部のところではできるだけ早くやってくれという御希望もございます。それから、従来難視聴対策のお金というものを各自治体で準備して、いろいろ中継局の設置であるとか、そういうことをやっていただいております。ですから、そういう経費の中からこの受信対策の場合にもお使いになるという場合と、改めて予算として組んでやっていくというような場合がそれぞれございます。いずれにしましても早急にこれらの対策を地方自治体におきましてもやっていただけるように、我々最大限の努力をいたしたいと思っております。
  137. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、直ちに採決に入ります。  通信放送衛星機構法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  140. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。深谷郵政大臣
  141. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ただいま議題となりました日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  受信料につきましては、今後五カ年の経営計画のもとに、現行のカラー契約月額千七十円を千三百七十円に、普通契約月額七百円を八百九十円に、衛星カラー契約月額二千円を二千三百円にそれぞれ改定するなどとしております。  一般勘定事業収支におきましては、事業収入は四千八百四十五億九千万円、事業支出は四千四百八十億四千万円となっており、事業収支差金三百六十五億五千万円は、百五十億九千万円を資本支出に充当し、二百十四億六千万円を翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることとしております。  一般勘定資本収支におきましては、資本収入、資本支出とも八百六十一億七千万円となっており、建設費六百二十八億円等を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、全国あまねく受信できるよう、テレビジョンにおいては、衛星放送設備の整備を進め、ラジオにおいては、中波放送局及びFM放送局の建設を行うこと、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、国際放送について、番組の充実刷新を行い、受信の改善に努めること、新受信料額の定着と受信者の把握に努め、受信契約の増加と受信料の確実な収納を図ること等となっており、業務の推進に当たっては、経営全般にわたり抜本的な見直しを行い、一層創造的で能率的な運営を目指すこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、平成二年度の事業運営に当たって特に配意すべき五点の事項を示した上で、おおむね適当なものと認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願い申し上げます。
  142. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。島日本放送協会会長。
  143. 島桂次

    参考人(島桂次君) ただいま議題となっております日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  平成二年度の事業運営に当たりましては、高度情報社会における視聴者の多様な要望にこたえて、地上放送の充実刷新、海外への情報提供の強化、衛星放送の一層の普及促進に努めることにしております。  しかし、財政的には収入の増加及び経費の節減などの経営努力を図ってもなお極めて厳しい状況にあります。  こうした状況を打開するため、協会は、経営全般にわたり抜本的な見直しを行い、さらに、広く視聴者の意向を吸収するとともに、外部有識者による提言をも踏まえ、一層創造的で能率的な運営を目指すことを基本にして、平成二年度から五カ年間の経営計画を策定いたしましたが、新しい放送の時代における公共放送としての使命を果たすためには、やむを得ず、平成二年度から受信料の改定をお願いしなければならないことになりました。  新しい受信料額は、訪問集金において、カラー契約は千三百七十円に、普通契約は八百九十円に、衛星カラー契約は二千三百円とさせていただきます。また、口座振替につきましては、従来どおり訪問集金から五十円減額いたします。  なお、沖縄県につきましては、特例措置を継続して、本土に対し、百五十円を軽減することにいたしております。  次に、平成二年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、衛星放送設備の整備を進めるとともに、放送番組充実のための機器の整備を行うほか、老朽の著しい放送設備等の取りかえを実施することにいたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、国民生活に必要不可欠な情報など多様な番組を編成するとともに、特別編成を随時、機動的かつ集中的に実施するなど、公共放送の使命達成に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めてまいります。  また、衛星放送につきましては、国際情報を中心に魅力ある番組を編成して、一層の普及促進に努めます。  一方、諸外国の日本に対する正しい理解を促進するため、海外への映像情報の提供を拡充することにいたしております。  国際放送におきましては、ニュース・インフォメーション番組や各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与するとともに、海外中継を拡充し、効率的な受信の改善を行います。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、新受信料額の早期定着と受信者の把握に努めるとともに、営業活動の刷新と事務の効率化をさらに推進し、受信契約の増加と受信料の確実な収納を図ることにいたしております。  調査研究につきましては、番組視聴状況等の番組調査と、新しい放送分野技術開発研究、放送技術発展のための基礎研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することにいたしております。  以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり、業務の効率的な運営を一層徹底し、要員につきましては、年度内二百八十人の純減を行い、給与につきましては、適正な水準を維持することにいたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支で収入総額四千八百四十五億九千万円を計上し、このうち、受信料については、四千六百九十九億円を予定しております。これは有料契約総数において、三十三万件の増加を見込んだものでございます。  また、副次収入など受信料以外の収入につきましても、その増加に努めることにいたしております。  これに対し、支出は、極力圧縮に努め、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など、総額四千四百八十億四千万円を計上しております。  事業収支差金三百六十五億五千万円につきましては、このうち、百五十億九千万円を債務償還に充て、二百十四億六千万円を翌年度以降の財政安定のため、繰り越すことにいたしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十八億円、放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行う法人等への出資に四億四千万円、放送債券の償還等に二百二十九億三千万円、総額八百六十一億七千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、減価償却資金放送債券及び借入金など、合わせて総額八百六十一億七千万円を計上しております。  なお、受託業務等特別勘定においては、収入五億二千万円、支出四億三千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の事業視聴者の負担する受信料により運営されていることを深く認識して、一層効率的経営を目指すとともに、すぐれた放送を実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  144. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  145. 山田健一

    山田健一君 ただいま日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画の概要の御説明をいただいたわけでございますが、ちょうど私の持ち時間百二十分ということでございますので、ひとついろんな角度からお伺いをしてみたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  きのう衆議院でこのNHK予算が終わりまして、きょう参議院という形になっておるわけでありますが、NHKのいわゆる予算、これの国会審議のあり方といいますか、そこら辺について若干前もってお尋ねをいたしたいというふうに思っております。  放送法規定に基づいて毎年郵政大臣に予算書が出される、そしてまたそれを国会で承認していく、こういう段取りになっているわけでありますけれども、例年でいきますと大体二月の中旬ぐらいに出されるわけであります。三月にかけて審議をされて三月の年度末で処理をされていく、こういう形になっているわけでありますが、今回の場合は出されたのが三月二十日であります。きょうが二十九日でありまして、年度末まで約十日間、こういうことで今審議に入っているわけでありますけれども、三月二十日にこの予算関連が国会に出された、大変おくれておるわけでありますが、一体どうしてこんなにおくれたのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  146. 尾畑雅美

    参考人(尾畑雅美君) お答えします。  NHKの平成二年度予算の国会提出がおくれましたことはまことに申しわけなく思っております。まずもって、昨年平成元年度のNHKの予算を御承認いただくに際しまして、本委員会で附帯決議でもって長期の計画をみずから立てなさいという御指示を受けまして、これをNHKとしては大変重く受けとめまして、一万五千人の協会の歴史にないぐらいの真剣な討議を行いました。これもそれもNHKがかつてない難しい時代に入っているからでございます。  多メディア時代、それから国際化時代の中で今までの経営のあり方ではやっていけないというところまでぎりぎり追い込まれておりまして、そのために真剣な討議を行いました。その後、去年の七月から外部の十八人から成る先生方の御審議をいただきました。長期計画審議会でございますが、ここには学者、地方の代表、主婦連、それから労働界の代表等々も入れまして、国民の各界各層の方々の御意見を伺いました。全部の方の審議は難しいものですから、小委員会を設けて審議をしていただきました。二月二十二日に御答申をいただきまして、これを受けてNHKで長期計画の審議をまたやりまして、それで三月十四日に郵政大臣にようやく提案できたというものでございます。  非常に難しい時代の経営計画でございましたし、今回は国民に御負担をお願いするという理論的な根拠、実質的な根拠、事業内容等も詰めなければいけないということで時間に手間取りまして、まことに申しわけないと思っておりますが、何とぞその辺を御賢察いただきたくお願い申し上げます。
  147. 山田健一

    山田健一君 それなりにNHKとして努力をされたことはわかるのでありますが、特に今の御答弁にもありましたように、今回はいわゆる値上げ絡みということもありまして、御存じのように国会で今いろいろ議論が、あるいはまた国民の間で議論がなされているわけでありますけれども、お話がありました長期展望に関する審議会、これが去年の七月に設置をされて、当初言われておったのは、大体十二月には答申が出される、それに基づいて経営計画を立て予算を決定していく、そういう運びに大体なっていたはずであります。  小委員会も設けて審議をされたということでありますけれども、要するに二月二十二日ですか、審議会からNHKにこの提言が出された。それを受けて、三月十四日とおっしゃいましたね、郵政大臣に出した、こういう運びになっておるわけであります。  先ほど言いましたように、当初は十二月には答申が出される、そういうような一つの方向づけというものがなされていたというふうに判断をしておるわけでありますが、それが二月にずれ込んだ。御存じのように途中総選挙があったことも事実であります。先ほども言いましたように、今回は確かに値上げを含んでいるわけであります。そしてまたNHKそのものの置かれておる状況、いろんな放送環境が変化をしていく中で、これから二十一世紀に向けてどうNHKは対応していくのか。五年間の計画を含めて真剣に審議をしなきゃならぬし、とりわけ国民皆さんの今回の提案に対する理解なりあるいは視聴者皆様方気持ちというものをどう酌み取ってこれからやっていくのか、ニーズにこたえていくのか、そういうことが問われているこういう時代に、しかも先ほど言いましたように三月二十日にやっと出てきた。わずか十日間で民意をそれなりに受けて議員が国会の中で議論をしていく。あの審議会の答申の出し方というものを考えてみれば、その後の日程を考えれば、現実的に国会の中でしっかり国民の目によく見えるような形で議論をしていくということは到底できない相談だというふうに思っておるんです。  この審議会の運びの状況、これはNHKの方でありますが、NHKが結局設置をしてやったわけでありますから、NHKとしてこのずれをどういうふうに国民に、言ってみれば今回値上げ絡みであるだけに、国民からの批判、そういったものをかわしていく、そういうねらいも一方ではあったのではないかということも私は感じているわけでありまして、そうした意味でNHKとしてこの審議会のそういった審議の運び、こういうものについてどのように認識をされているのか、お尋ねをいたします。
  148. 尾畑雅美

    参考人(尾畑雅美君) 先生の御指摘は大変我々経営一同重く受けとめております。  ただ、審議会の先生方もこの多メディア時代、つまりNHKの置かれた放送界の実情と申しますのは、この前の五十九年度から六十一年度までのNHKの前の計画に比べますと、まさに状況が一変しております。我々の放送だけではなくて、CATVですとか通信衛星を使った放送も参加しておりますし、メディア間の競争ということだけではなく、世界的に公共放送が大変追い込まれた状態になっているというようなことも含めまして、いろいろ各面から御審議いただきました。  それで、全体の会議は四回でございますけれども、その後これを実質上審議する小委員会が年をまたがりましたことも先生の御指摘のとおりでございます。その間、先生方がお忙しい先生方でありますので、私どもも個別に伺いまして、これが百四十三時間ぐらいになっておりますけれども、小委員会を六回開いていただきました。非常に実質的な各面各界にわたる討議をいただきましたので時間がかかりましたけれども、これは大変日本の英知を集めた先生方でありますけれども、問題が余りにも複雑多岐に過ぎるということもございまして、大変鋭い指摘、鋭い分析もやっていただきました。時間がかかりましたことは私たち重々責任を感じておりますけれども、そういう事情があったということをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  149. 山田健一

    山田健一君 今お話がありました十八名のメンバーがここに載っておるわけでありますが、この審議会で実際にやられたのは四回、小委員会六回、こういうふうにお話しになっているわけでありますが、この名簿を見ましても、座長平岩外四さん初め大変な名立たる方が入っていらっしゃるわけであります。確かに大変多忙な、また一方ではいろんな仕事を抱えておられる方ばかりである。それなりに一つの見識もお持ちの方であろうと思います。しかし、今お話がありましたように、なかなか一堂に会してやれないというようなことも今申されておりましたけれども、一体どういうメンバーの選定基準で十八名の方をお選びになったのか。  そしてまた、先ほど私は値上げを含んだ今回の提案であるだけに国民の幅広い議論なりあるいは国民意見をしっかり受けとめてやっていく必要があるということを申し上げました。  それの関連で言いますと、NHKが去年の九月に行ったNHK自身についての世論調査で、いわゆる料金の認知、一カ月当たり何ぼかという調査をされて、訪問集金で一カ月千七十円、カラーの場合であります、これを知らなかったといって答えておられる方が三八%あるわけです。料金について、あるいは衛星料金の認知についても、これは両方合わせてやると二千円ということでありますが、知らなかったという方が四〇%ある。そこへもってきて今回値上げということでしょう。今自分たちが見ておるNHKの料金すら知らなかったという方が三割から四割近くいらっしゃる。そういう中で今回またこの値上げが提案をされているわけであります。  私が言っておるのは、それだけに国民気持ち、あるいは視聴者国民理解、そういうものをしっかり求めていく必要があるのではないか。そのよしあしは別にして、NHKが今置かれておる状況を含めてあるのではないか。それだけにもっともっと幅広い突っ込んだ議論がなされるべきではなかったのかということを申し上げているわけでありますが、先ほど言いました、今回この十八名のメンバーを選ばれて審議会で審議が重ねられてきたということでありますが、一体この十八名を選ばれた基準はどこで判断をされたんでしょうか、お尋ねいたします。
  150. 島桂次

    参考人(島桂次君) この審議会をつくるに当たりましては、先ほど尾畑理事が説明したとおり、放送の恐らく戦後初めての転換期を迎えて、なおかつ、その中で公共放送はいかにあるべきかという極めて難しい問題、極めて困難な問題を審議していただく委員会でございますから、私ども各界各層の方々からそれぞれ意見を聞きまして、あらゆる分野を代表するメンバーの決定は最終的には私がいたしました。  それで、先生御指摘のようにNHKを取り巻く環境は非常に困難であり、なおかつ、このNHKの受信料制度そのものについてもなかなか国民皆さん方の全般的な理解に欠けるところがあるということは、各種世論調査その他いろいろの声を聞きまして我々も十分認識しております。今平成二年度予算の提出に当たりましても、郵政大臣の方からも、提出に当たった際に、国民理解と協力、NHKは一体何をやっているのか、それを知らさなければいかぬという趣旨を強調されましたけれども、まさに私どもは、きょうの国会審議、この審議だけではなくて、これから先我々が公共放送として何をやっていくのか、そのやっていくことについての理解国民から得なければ到底私ども仕事はやっていけるわけがないということは深く認識しているつもりでございます。
  151. 山田健一

    山田健一君 気持ちはよくわかるのでありますが、それだけに十分審議をする期間も一方では必要ではないかということを実は私たちは感じているわけでありますから、そのことも申し添えさせていただきたいと思いますし、ただいまお話のありました長期展望に関する審議会のいわゆる提言がなされているわけであります。これは約三十ページばかりのものでありますが、私も読ませていただきました。これは具体的にNHKとしてどのようにこの提言を受けてその内容を経営計画なりそういうものに反映されたんですか。そこら辺をちょっとお尋ねしたいと思います。
  152. 尾畑雅美

    参考人(尾畑雅美君) 先生方のお手元にございますこの大部のNHKの長期展望に関する提言でございますけれども、これは我々の置かれている新しい時代の中の公共放送というのはいかにあるべきか、どういう事業運営をしていけばいいのか、それはどういう方法があるのかということを分析していただきましてこういう提言をいただきました。  その審議会の提言のうち、これは全部申し上げるのはなかなか時間がかかりますのでなんですが、一番大事なところは、いわゆる多メディア時代、情報がはんらんする時代の中で新しい公共放送が存在する意義というものはどういうところにあるのか。それから新しい公共放送が果たすべき役割は何なのかというところが一番大きいと思います。それから、そういう大きな枠の中で公共放送の今後の事業運営のあり方はどんなものをやっていけばいいのかということも指示を受けております。それから、そういう事業運営を展開するに当たって財政はいかにあるべきか、経営基盤の確立についても触れていただいております。こういった点については、私どもがつくりました五カ年計画の中に十分反映させていただきました。  審議会は公共放送の新しい時代の中でのあり方というものが中心でありまして、それには非常に先生御指摘のように難しい時代でありますだけに時間がかかりましたけれども、この提言は我々にとって非常に重みのある提言でございますし、非常に多岐にわたったあり方を示していただいておりますので、これを十分経営計画の中に反映させていただき、今回皆様方にお願いした財政の基盤を整えるための料金引き上げのものにもその結果つながっているということでございまして、我々公共放送が新しい時代にどういうことをやるべきかということがここに基本として示してあるというのが一番重要な点でございます。
  153. 山田健一

    山田健一君 いろいろ書かれていることは事実であります。ただ問題は、私は中身のことを言っておるのでありまして、どうもこれを読んでみますと、言われたように多くのメディアが存在をする。その中でNHKが公共放送として一体どういう役割を果たしていくのかということが問われていることも事実であります。ではそれにこたえて具体的にこれからNHKはこういう形でいくんですよという一つの将来像といいますか、そういうものがどうもこれを読んでもぴたっと我々の気持ちにこない、わからない、見えない、こういう一つのもどかしさというものをここで感じております。  確かに保有メディアの関係等につきましてもちょっと触れられてはおりますけれども、もうここ二、三年かなり議論がなされてきているわけでありまして、やはりこういった問題についてももっと踏み込んだ一つの方向が示されるかなということを実は考えておったわけでありますが、全くそういうこともない。こういうようなことで、どうもいま一イメージとしてこれからNHKがどういう役割を果たしていくのか。一言にといってもこれは難しいと思いますが、いろんなメディアが発達をしていく中で公共放送としてNHKはこれから五カ年の経営計画を立ててどういう姿を目指しておられるのか。なかなか難しいと思いますが、一言で言えばどうなりますか。
  154. 島桂次

    参考人(島桂次君) ただいま先生のお話によって具体的にお話しした方がわかりやすいと思いますけれども、例えばNHKの規模ですね、この問題につきましても一般論的にはこの審議会の答申が出ているわけでございますけれども、私はこの五カ年計画を遂行する間はかなり放送をめぐる社会的環境というのが変わってくるだろう、特に衛星放送がどういうテンポでどういうふうに普及していくかということが一つの大きな問題点であると思っております。もとよりNHK、公共放送が巨大化するということは、これは民主主義国家においては認められるはずがございません。やはり適正規模があるというふうに考えているわけでございます。その適正規模が何かということにつきましては、当面五カ年計画を遂行する間は今現在持っております波、主なものを申し上げますと、地上波二波、衛星二波、それから音声三波、それに国際放送、こういったものを中心にやっていく。その間に情報化社会というのは刻々変化していきますからいろいろのメディアもたくさんこれから出てくるでしょうし、特に先ほど申し上げましたように衛星放送の普及その他がございますので、私の見通しでは五年たったころにはその時点において果たしてNHKの規模が適当かどうかということをひとつやっぱり考えなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。当面、少なくともこの五年間は現在保有するメディアのまま進んでいきたい。その中において我々の質のいい番組をできるだけ聴視者の負担を軽くしてやっていくということを今のところ考えているわけでございます。
  155. 山田健一

    山田健一君 これはまた別の機会にいろいろ議論をしたいと思っておりますが、今ちょうどこの審議会の関係で少しお話をさせていただきましたので触れさせていただいたような次第であります。今回も結局この審議会が一定の値上げやむなし、こういう一つの値上げの方向を是認していく、こういう一つの方向づけをされておる。  振り返ってみれば、前回の五十九年の値上げのとき、そして五十五年のときもそうでありますが、同様に値上げ前には審議会が設置をされているわけであります。審議会を設置していろんな角度から検討していくということそのことについては私も否定はいたしませんけれども、今までの経過を見る限り、昭和五十九年は経営計画に関する審議会、その前が五十五年、基本問題調査会。名前こそ審議会、調査会となっておりますが、いずれにしてもその審議会の答申を踏まえて値上げに踏み切っていく。逆に言えば審議会が値上げに対する一つのお墨つきといいますか、値上げをしていく一つ理由づけに使われてきたんではないかという国民のサイドからしてみれば率直な疑問があるわけであります。これが毎度同じパターンで今回までやってこられた。どのようにそうした疑問にお答えになりますか。
  156. 島桂次

    参考人(島桂次君) 料金改定の前に審議会的なものをいつも設けているではないかと申しますけれども、確かに今度もこの審議会の答申をいただきました。ただ、今までと違うところは、私は会長に就任して以来大変な困難な公共放送のこの時期をどういうふうに今後やっていくかということにつきまして、一万五千人全員のそれぞれの職場での討議を何十回か全部いろいろやらせました。その意見を最終的に役員会に集約し、さらにそれをまたもう一度やり直してもらうということを何遍か去年の夏以来やっております。中央放送番組審議会以下各地方にはそれぞれ番組審議会もございます。視聴者会議という視聴者の代表に集まってもらう会議も全国各地でいろいろやっております。営業問題を中心とする懇談会みたいなものも各地でそれぞれ開いております。  こういったいろいろの会合に参加した方はかなりの数に上りましたし、回数にしましても全部合わせますと恐らく二千二百回ぐらいに及ぶいろいろな会合もやりまして、そういったものを並行させながら審議会の答申を得て最終的に我々の五カ年計画を固めたということでございまして、こういったことは今までの料金改定のときにはなかったことで、それで十分かと言われると決して十分とは思っておりませんけれども、可能な限り私としての手段は尽くしたというつもりでおります。
  157. 山田健一

    山田健一君 かなりいろんな角度から、またいろんな場で、また局内外を含めて随分協議がなされてきた、できるだけの手段は尽くしたというふうにおっしゃっているわけでありますが、外には全然これが見えてこないという部分があることも事実であります。それから、先ほど言いましたように審議会、これが設置されて値上げを認めていく、そしてその答申を受けてNHKが経営計画に反映をしていく、値上げをしていく、こういうパターンが繰り返されてきた。  事実、七月に審議会が設置をされて結局答申が出されたのは二月ですよ、先ほどありましたように二月二十二日に出される。そのはるか前、去年の十一月二十四日に「NHK長期展望答申骨子固まる」、「受信料値上げ是認」、こういう報道が実はなされているわけです、もう既に十一月の段階で。それからいろいろ審議をされたというふうにおっしゃっておりましたが、もう既に十一月段階で値上げの方針が是認をされておる、こういうことでしょう。まず最初に値上げありき、こういうふうに見られてもしょうがないじゃないですか。これはどうなんですか、このことは事実ですかどうですか。
  158. 島桂次

    参考人(島桂次君) 十一月の末段階で朝日新聞の記事云々のことを先生言われましたけれども、これは一部の委員の方々が恐らくそういう話をされたのかもしれませんけれども、それはあくまで中間的な段階の話による推測記事でございまして、あくまで私どもとしてはまだまだいろいろな意見が出ていて集約し切れない状態にその十一月下旬はあったということでございます。
  159. 山田健一

    山田健一君 しかし、これは読まれたと思いますが、かなり詳しく書いてあります。出てきた、先ほど申し上げました長期展望の提言とほとんど変わっていないです、中身、内容的にも。そして、この段階では十二月に提出をされる予定であった、十二月に提出される審議会答申をもとにNHKはやるんだ、こういうことが十一月段階です。それが二月まで実はこの審議会が引き延ばしをされてきた、そういうふうに私たちは勘ぐりたくなるわけであります。  いずれにしても、こういう形で既に最初に受信料の値上げがもう決まっていて、それを結果的に今の審議会が追認していく、あるいはまた審議会がそういう一つの答えを出す、そして値上げの理由づけを審議会という一つの、隠れみのというふうな言い方は悪いかもしれませんが、場を通じて答えを出していくことによってNHKが堂々と値上げに踏み切っていける、こういう環境が整備をされていったんではないかなというふうにこれはやっぱり常識的に考えるんじゃないかと思うのです。  そこで、一体この出された一つの、先ほど言いました、今度はNHKとすれば経営委員会ですね、ここで経営方針なり経営計画あるいは予算、そういうものが決定されたというふうに理解しておるわけですが、提言を受けて経営委員会としては予算なり事業計画、そういうものをどういうふうに決定されたんですかお尋ねをいたします。
  160. 島桂次

    参考人(島桂次君) その前に一つ。この審議会につきまして、私は夏ごろの記者会見で、その当時の私の気持ちとしてはぜひ年内に審議会の答申を得たいという私の見通しを述べたことがございます。したがって、そのことが新聞記者諸君の中でもう十二月に出るものだと思った思い込みがあったんじゃないか。しかしそれは、先ほど来るる私どもが説明申し上げておりますように、非常に審議がおくれて結果的には国会に御迷惑をかけることになったということは申しわけございません。そういう事情があったということをまず申し上げておきます。  それから、この答申を受けて我々はもう鋭意徹夜に近い状態で五カ年計画の原案をまとめました。まとめまして、これを恐らく三回ぐらいにわたって経営委員会にかけ、いろいろ活発な御意見をいただきました。中には私どもが最終的に考えた案とある部分では違う意見を申される経営委員もかなりございましたけれども、若干経営委員会皆さん方の御趣旨を体した形で最終的に訂正した箇所も何カ所かあるわけでございます。そして最終的に経営委員会の議決をいただいた後郵政大臣に提出したということで、この経営委員会審議も、私も四十年近くNHKにおりますけれども、今までにない活発な我々の計画に対するいろいろの審議があったというふうに私は感じております。
  161. 山田健一

    山田健一君 今回の場合、そういった意味では大変国民にとっても、また私たちにとってもそうでありますが、値上げに至る経過の中で審議会の果たしてきた役割を含めてどうだったのかなという疑問を抱かざるを得ないような経過があったことも私は事実だと思っておりますし、また一方では、皆さんが先ほどからお話になりましたように、それなりに局の内部あるいは外部を含めて大変な努力を今回は特別やられたというようなことも、またそれも事実だろうというふうに思っております。ただ、できればそういうことが国民の目に見える形で国会でもしっかり審議をやられる、そういう期間も十分ある、そういう形で出てきてほしかったなということを申し添えておきたいと思っております。  そして、経営委員会が一応取りまとめをされて郵政大臣の方に出された、それを受けて郵政大臣の方が平成二年度予算について郵政大臣意見というのを述べられているわけであります。「受信料額の改定については、協会の財政基盤の安定を図り、公共放送として求められる社会的使命を果たすためには、この際、やむを得ないものと考える。」、こういう大臣意見がついているわけであります。  どういう理由でやむを得ないとされたのか書かれていないのでありますが、一体どういうわけですか。
  162. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私は、受信料の値上げというのはできるだけ抑制すべきだともともと考えております。今回の改定につきましては、先ほども話に出ました外部の有識者による長期展望審議会というところの御提言も踏まえて慎重に検討された経営計画を踏まえて出されているという点、それから合理化と効率化を徹底してもなお不足する収入を補うためであるという点、テレビジョン受信機の普及状況などから見て今後受信契約の大幅な伸びは望みがたい、そういう点などなどからやむを得ない値上げである、そのように理解いたしました。
  163. 山田健一

    山田健一君 これは毎年NHKが出される場合に大臣意見がつけられるわけです。その後に「記」として一から五項目目までこういうふうにやりなさいということが書いてあるわけですが、これはワンパターンで例年大体同じですね。今回も協会としていろんな効率化をやれあれをやれ、こういうことが書いてあるわけなのでありますが、これはもっときめ細かいといいますか、具体的にここの部分はこうした方がいいんじゃないかというような、これはまさに官僚的文章といいますか、余り温かみのない、毎年同じようなパターンでこういうものが出されているんです。この辺はNHKに対して郵政省としてきちっと今後こうあるべきだという意見も踏まえて、もっとわかりやすいというか、具体的な指摘をされてはどうかなと、これはちょっと意見として申し上げておきますので、感想がありましたらお願いします。
  164. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 書類として付記いたしました私ども意見はかような次第でございますが、そのほかにこの予算書を島会長が御提出なさった折に幾つかの問題について私は御提言をいたしました。その中には、例えばNHKがふだんどんなふうな合理化とか効率化を図っているか、一生懸命努力しているという姿を国民利用者理解していただく、そして納得していただくということが非常に大事でありますから、せっかくメディアを持っているわけでございますので、折々に、あらゆる機会にどんなふうに努力しているか、どんな経営状態であるか伝えるように特に留意して、それを行動に生かしてほしいというようなことを申し添えたりいたしました。  そして、いずれにしても議決から国会提出までの期間というのは短うございますから、なかなかその期間だけで国民皆さん理解していただくのは難しい。特に今回のようにおくれた場合にはなおさらでございますので、常々そういう努力というものは非常に大事であるということは強く申し入れたつもりでおります。
  165. 山田健一

    山田健一君 一つの形式というものもあるでしょうから、ぜひこれは要望として申し上げておきたいと思いますが、こういうワンパターンなものじゃなしに、もっと血が通うといいますか、そういう一つの形式にぜひしていただきたい。  今いみじくも申されましたけれども、「合理化、効率化の実施状況を含む経営の概況を受信者に対して随時明らかにすること。」、これが五項目目に入っておるわけですが、これは大事なことだろうと思っております。NHKはこれを受けてどうされますか。
  166. 島桂次

    参考人(島桂次君) 深谷大臣からは、予算案を私が提出したときに、これまた私の記憶では、今までにないいろいろ具体的な大臣独自の見解を私いろいろお聞かせ願いました。早速私はもう既に放送局長に対してそういった、つまりNHKが何をやりどういうことをやっているのかということをNHKの番組を通じて定期的にこれから番組をつくる具体的な案を早速つくれということで指示しましたので、これからは今までと違いまして、かなりNHKのそういう今先生が御指摘のような状態をまず第一義的には絶えず聴視者の皆さん方に知ってもらうNHKの番組をつくって、それを通してやりたい、こう考えております。
  167. 山田健一

    山田健一君 テレビ等を通じて国民皆さんにこういうあれですよというのを流していかれる、こういうことですか。
  168. 島桂次

    参考人(島桂次君) そのとおりでございます。それ以外にも、NHKが出版している印刷物もございます。場合によっては我々、新聞、週刊誌その他にいろいろ企業的な広告みたいなものを載せている場合もありますけれども、そういうあらゆる手段を使ってもっと密接にやっていこう、こういうことでございます。
  169. 山田健一

    山田健一君 それでは、次に移りたいと思います。  経営計画に関連いたしまして若干お尋ねをしたいと思うんですが、昨年もちょうど島会長は逓信委員会で、大変な今放送を取り巻く環境はここ数年で革命的な一つの変化だというふうに言われておりました。今回NHKとしての一つの見通し、経営計画を立てられたわけであります。五年間の計画ということですが、一応先ほど保有メディアはこのままでいくんだということをおっしゃいましたが、バックグラウンドというか背景、これからの見通しといいますか、放送を取り巻く環境をどのように見てこの経営計画をつくられたのかお尋ねいたしたいと思います。
  170. 島桂次

    参考人(島桂次君) 基本的には、情報化社会、ニューメディア時代というものが本格的に展開されるだろう。国内的に見ますと、衛星放送につきましてはもう既に日本衛星放送が、ことしの夏に打ち上げるBS3、これが上がりますと早速新しい民間衛星放送会社もできるわけでございます。それから、ケーブルテレビジョンとかパッケージメディアとか、あらゆるニューメディアがかなりこの五カ年間に日本国内においてもいろいろ普及発展していくんじゃないか。  もちろん、もっと重要なことは、全世界的に今展開されている一種の情報革命ですね、これはアメリカ、ヨーロッパを中心に物すごいスピードで進んでおります。もう衛星放送につきましても既にヨーロッパでは始めておりますし、アメリカでもかなり大規模な計画がどんどん今進められてきております。アメリカは当然のことながらケーブルテレビその他につきましては日本よりかはるかに進んできております。この傾向というのは社会主義国にもかなり波及していくんじゃなかろうか。ベルリンの壁はまさに電波であいたと言われますけれども、そういう意味での放送のインターナショナル化といいますか国際化といいますか、そういうものが著しく変わってくる。まさにそういう意味で言うと放送というものがいわゆる革命的な時代を迎えてきているんじゃないか、そういうことを前提に置きながら日本のNHK、日本ではただいまNHKと民間放送が共存しているわけでございますけれども、そういう時代のもとでの新しい公共放送をどう構築したら言葉は悪いですけれどもNHKが生き残れるかということを念頭に置きながらこの五カ年計画をつくったつもりでございます。
  171. 山田健一

    山田健一君 おっしゃるように、大変なこれから予測しがたいような状況も含めて世界全体も速いテンポで動いていくという一方の状況もありますし、それを可能にさせておる情報の持つ力というものも今回改めて私たちは再認識いたしておるわけですが、そういった中での一つの公共放送の使命というものをやっぱり考えていかなきゃならぬ。こういう時代でありますだけに、先ほど出ました今回の受信料の改定問題を含めてもっともっとNHKのあり方というものが国民的な一つのレベルで広範な議論がされていくということを大いに期待しているわけでありますけれども、今回はそういう形で値上げの案が今出されております。  予算の方へ入りますけれども、カラーで三百円、二八%、こういうことでありますが、このままいけばずっと構造的に赤字がどんどん膨らんでいくんだということを言われておりますけれども、いわゆる三百円の値上げをしなきゃならなかったその根拠というものをお示しいただきたいと思います。
  172. 尾畑雅美

    参考人(尾畑雅美君) 我々の財政計画の根拠は、先生御承知のように長期計画、経営計画であります。その経営計画を今回は五年というふうにさせていただきました。これは長期計画審議会その他の御意見を入れて国会の附帯決議に沿ったものでございます。その中で五年間にやっていくべき事業をまず決めて、それに伴う財政と、こういう順番でございます。  それで、五年間にやるべき事業をやるにつきましても、とうとい受信料をいただくわけでございますので、現行の受信料の枠内でどのぐらいの努力ができるのかということがまず最初にございます。そこで、その現行の受信料の枠内で向こう五年間に八百十六億の増収をぎりぎり頑張ろうということを立てております。その次に、それでは経費の節減はこの五年間でどのぐらいやるかと。これはもう当然でございます。これにつきましては、要員の効率化それから営業関係の経費の削減、一般運営費の削減等で千百億円ぐらいの節減を果たします。合計二千億近くの増収、それから節減をいたします。  次に、それでは向こう五カ年間に公共放送としてこれだけはやらなきゃいかぬ事業は何かという計画を立てました。その一つは、まず放送の充実でございます。先見性のある、先を見越した大型の企画、内外のいい番組、そういうものを我々はやらなければいけませんし、まず何よりも情報過多の中にあって信頼できるニュース、報道番組の充実というものがあります。それから我が国の状況を短波やそれから映像等で知らせる事業も今回芽出しをさせていただくということになりました。それから衛星放送、ハイビジョンの充実はもちろんでございます。こういったものも含めて五カ年間で足りない分が二千八百億ということになりました。  一方、NHKの給与はこのところずっと低く抑えてきておりますので、新聞社やもちろん民放より低うございますけれども、相当の乖離ができている。それで、人材の確保が難しくなっておりますので、ある一定限のこの給与水準も上げなければいけません。それから全国に七千七百カ所ございますテレビやラジオの放送所、これも老朽化が進んでおりますので、放送施設の保持という面からある程度の設備投資をしなければいけないということがございます。そういったものの設備投資のための減価償却費の増というものもある程度ございます。そういったものが五カ年間で不足が二千九百億ございます。  そのほかに、平成元年度の収支で財政上五十二億の純粋な赤字とそれから土地の売却、これを合わせまして二百億の赤字が出ているんですが、これを五カ年間この財政の赤字は基礎として埋めなきゃいけませんので、これが千二百億ございまして、そういったどうしてもぎりぎり事業運営をやっていっても足りない分と増収の努力とみずから節約する分とを差し引きましてぎりぎり五千五十億ぐらいの赤字となりまして、これをNHKは受信料で成り立っているものでございますので、埋めさせていただくと三百円の値上げをどうしてもお願いしなければならないということになったわけでございます。五カ年間の計画の結果こういうことになりました。ぜひともお願いしたいということでございます。
  173. 山田健一

    山田健一君 今御説明を聞きまして、五カ年間の事業を決めてできるだけその中でやらなきゃいけないものはやる、削減をしなきゃならないものはすると、こういうことでいろいろ努めていって結果五千四十八億円、こういう一つの試算がNHKの資料で出されているわけであります。それで三百円ということに実はなったんだろうというふうに思うのでありますが、これはことしの三月ですが、新聞なんかを読みますと、この報道が正しいのかどうなのかちょっと確認したいんですが、当初NHKは五年間は値上げはできぬので四百円ぐらいの値上げを望んでおった。ところが、郵政省、国会筋に打診をしたところ、それでは高過ぎる、三百円台にという意見が出たため三百円に落ちついた、こういうような記事があるのでありますが、これは間違いですか。
  174. 島桂次

    参考人(島桂次君) 最終的なこの五カ年計画をつくるに当たりましてどの程度の資金量を必要とするかという問題につきまして、我々NHK内部では幾通りか案があったことは事実でございます。しかし、今新聞記事にあるように、それを最終的に決定いたしましたのは私でございまして、それを郵政大臣のところへ提出したわけでございます。
  175. 山田健一

    山田健一君 私が言っておるのは、要するに五年間のこれからの事業計画を立ててこれだけ足らない、だからそれを計算すれば、ならしていこうとすればどうしても三百円の値上げが必要であるという立場でこられたのか。それは事業計画ですからいろいろやれば切りがない。それとも最初四百円でいきたい、それでいろいろ抵抗があるので三百円にした、そして三百円に合わせて計画が立てられたんではないかという、逆に裏返してみればそういう気持ちもあるわけです。したがって、最初にまず四百円から三百円があったのか、あるいは事業計画をきちっと立ててみてその上ではじき出されたものなのかどうなのかということをお伺いしておるわけであります。
  176. 島桂次

    参考人(島桂次君) もとより、五カ年計画を立てるに当たりまして、どれをどれだけやるか、こういう問題につきましてもかなり部内でいろいろの考え方があったわけでございます。したがって、これをやればこういう形になるし、これをやればこういう形になる、そういうものが二通りか三通りあったことは事実でございます。これは金額を幾らという問題の前に、例えば事業として何と何と何をやるか、あるいはこれはちょっとやる必要はないんじゃないかとか、同じやるにしてもこれはやや規模を縮小してやるべきだというような、つまり事業量全体についての考え方が幾通りかあって、当然その事業量についての予算的な裏づけをしなければいけませんから、総資金の需要量といいますか必要な量はそれぞれ違った形で出てきた案が二つか三つあったことは事実であると、こういう意味で申し上げているのでございます。
  177. 山田健一

    山田健一君 実は、出されております収支見通し、これを見ますと、いろんな経過はあったにせよ、平成六年度できちっと収支の過不足の累計がゼロ、こういう形でつくられております。確かにこれで見れば、ははあなるほど平成六年度でちょうどこれは全部今までのあれもなくなるんだなということになるわけでありますが、こういう予算をつくるがために衛星収支が出されております。これは去年我々が委員会審議をしたときと今回と見通しが大分変えられておるわけです。やっぱりこの収支に合わすように形ができ上がっているわけであります。  去年私たちが委員会審議をしたときは、例えば衛星収支の問題を言いますけれども衛星放送関係で言えば、去年は平成六年度で普及台数八百五十万、こういう一つの見通しが出されておったわけです。ところが、今回見ると平成六年度で一千万世帯。前回は平成六年度で八百五十万台の普及の時点でほぼ衛星の収支は累積の赤字を含めて解消する、こうなっておったんです。八百五十万台で解消するのであれば、今回はこれでいきますと平成五年度には八百四十万台、これでもう本当なら衛星の収支は累積が解消されていなきゃいけないんです。ところが、今回は平成六年度でちゃらにしなきゃいけないということで、こういう形で今度は台数が物すごくふえたわけです。平成六年度で普及を一千万、こう見ておられるわけであります。  しかし、ことしもあと何とか目標にこぎつけるのに大変だ、普及させるだけでも大変だ、ましてや契約をとろうと思えば大変だ。百万、二百万とるのに随分苦労されておるのに、簡単に一年間で八百五十万から一千万台に実は普及台数がふやされているんです。こういったところはかなりNHKとすれば強気の見通しですね。衛星放送そのものを取り巻く状況というのは先ほどもお話がありました。去年も衛星放送付加料金が上げられた。そしてまた、これから民間の衛星放送も始まる。そういう状況の中で、衛星がどんどん普及をしていく中で、一千万世帯に普及をさせていって六年度にこの累積赤字を含めて解消していく。そのためには一千万台、これをやれますか。
  178. 島桂次

    参考人(島桂次君) 衛星の普及を予測するということは、これはかなり現時点では難しい問題でございます。去年は去年なりに私ども電子工業会とかあるいはいろいろのところ、有識者の話、いろいろの統計上のあれを参考にしながらはじいたわけでございますけれども、その後の状況この一年間見てみますと我々が予想したよりも普及のスピードはやや上回るということがはっきりしてきましたので、この衛星の目標、これは恐らく来年も再来年もある程度変えていかなければいかぬ要素というのがあるんじゃなかろうか。これは何せこれから新しくやっていく事業でございますから、なかなか霧がかかっていて見通せませんけれども、いずれにしましても、先生御指摘の去年とことしの計画がかなり変わってきているじゃないか、これは事実でございまして、現時点での予測をもう一度やり直してみますとそういう結果になったということでございます。  もう一点は、それならば普及台数がふえているのだから六年目の最後は黒字になってどんどんいくべきじゃないかとおっしゃいますけれども衛星放送は御存じのように、例えばワールドニュースというものを集めます、これは外国の放送局とか、いろいろそういうところからの提供を受けているわけでございます。当然のことながら、そのために代償、金を支払わなければいけません、放送料を。これが例えば百万のときと二百万のときと三百万のときとそれぞれ二倍、三倍以上のペースで上がっていくわけでございます。これは放送業界の世界的な常識でございます。したがって、台数がふえればふえるほど提供されるニュースとか放送素材が高くなってくるということもございますので、台数がふえてくるということが必ずしも財政上の最終的な数字とは連動してこないという特殊な事情もございますので、その辺を十分御勘案願いたいと考えております。
  179. 山田健一

    山田健一君 これは恐らく五年間のタームで切っていますから、恐らくことし来年ぐらいはそうでもないでしょうが、平成二年度は百十七億ですか、立ち上がりということもありますが、またこれはいずれ多少のずれが五年間の経営計画ですから出てくるんじゃないか。これはやむを得ぬ部分があるだろうと思います。また、そういった状況をにらみながら随時ひとつその辺は議論をしてまいりたいというふうに思っております。  何といいましても今回一番求められているのは、最初から私が申し上げておりますように、こういう状況の中で今回値上げをしなきゃならぬという一つの状況を国民皆さんにどう理解してもらうか、これがやはりNHKにとって一番大事な点だというふうに思うわけであります。それでなくてもNHKに対していろんな風当たりが強いことも事実であります。いろいろ私たちもNHKに対する意見、批判、こういうものを耳にしておることも事実であります。  御存じのように、去年は消費税の問題がありました、世論調査を没にしたと。あるいはまた、今回の総選挙の前に資料が出て、週刊誌には出るわ、いろいろそれぞれ使われた、こういうようなことがある。こういうふうな状況の中でいわゆる公共放送としての使命を果たしていかなきゃならぬ。一連のそういう出来事がかなりNHKの場合、去年からことしにかけてあったと思います。会長として一体どういうふうにこれを受けとめられておるのかお尋ねしたいと思います。
  180. 島桂次

    参考人(島桂次君) 先生御指摘のような事実、一部はちょっと誤解もあるとは思うんですけれども、例えば選挙の世論調査が我々の管理の手落ち、不手際からこれが外部に出てしまい、あげくの果ては週刊誌にまで取り上げられるというような不手際をいたしたという点については、もちろん御指摘のとおり公共放送の信頼を失う、これはもう重要な問題であると思って深く反省もし、おわびしているわけでございます。  ただ、一言だけ申し上げたいのは、世論調査の扱い方などにつきましては、私が編集権を委託し ているそれぞれの現場の責任者が最終的に決める問題でございまして、その間に現場でいろいろな意見があるということはこれはジャーナリズムの特有の形で、これはそれぞれそれでいいんじゃないかと思います。ただ、最終的な編集責任者が決めたことに対して、自分がやろうと思ったんだけれどもそれはやれなかったということ、また私の監督不行き届きで一部それが不満みたいな形で外へ出ていくというような現象があったということは、これはまことに私としても、職員の規律と申しますか、そういう面につきましてもっとこれは厳正にしなきゃいかぬな、こう考えているわけでございます。
  181. 山田健一

    山田健一君 どこでどういう経過があったのか、内部的な事情というのは私たちは関知しませんけれども、いろいろやっぱり世間として、今の一連の出来事といいますか、そういうものを受けとめる限りは、一体NHKはどうなっておるのか、そういう気持ちを持って見ておる国民というのは多いと思うんですよ。そういう状況の中で今回値上げの問題を含めて出てきておるわけでしょう。国民理解を求めながらやるということになれば、よほどNHKとしても本当にある意味で言えば腹をくくってやらなきゃできないと思うんです。  いろいろ前回のときも私は言いました。受信料に対しても、契約を拒否したりしておる人も随分いる。NHKの番組に対する批判等もある。さらに、私が先ほど申し上げましたようにNHK自身がなさった世論調査でも受信料の問題について極めて無関心層がある。そういう中で値上げがされていこうとしておる。大変国民生活にかかわる重大な問題でありますだけに、学者なり国民理解をどう得ていくのか。一連のそういう出来事の中でNHKが果たしていかなきゃいけない役割、また会長としてその責任というものは極めて重い、そういうふうに私は今思っております。したがって、監督不行き届きということもありますけれども、二度とそういう形で、どうなっておるのかというようなことがないように、ぜひひとつこれからの運営を含めて会長の取り組み、お願いを申し上げたいと思っております。  今回いろいろ値上げ報道が既にマスコミ等から先ほども言いましたように随分出されております。直接NHKの方へこういったものに対する国民の批判なり世論なり苦情なりが寄せられた、そういうものが何件かありますか。あればどういう内容ですか。
  182. 遠藤利男

    参考人(遠藤利男君) 御質問の件でございますが、私どもいろんな形でもって視聴者皆さんの御意見をいただいております。毎日毎日放送の中でいろいろ放送に対する御意見もありますし、経営に対する御意見も、一つは電話でいただく、一つは投書でいただく、それからもう一つにはNHKに直接ではなくても新聞等への投書もございます。そういうようなものを勘案いたしますと、今回の値上げにつきましては好意的な御意見も多数ございます。もちろん批判的な御意見もございますが、批判的な御意見は私どもが想像していたよりは少ないというふうに思っております。
  183. 山田健一

    山田健一君 直接NHKにあててということですから、そういう実態なのかもしれません。ただ、御存じのように、昨年来消費税の問題これあり、あるいはまた、この四月から一連の公共料金の引き上げの問題これあり、こういう状況の中で、少なくともどんどんNHK値上げをしてやれ、そういう感覚を持っておられる方というのは庶民の中には恐らくないだろう、そんな気持ちでNHKの今回の受信料値上げというのを見ておられる方というのは私は少ないんではないかなと、このように思っております。  問題は、これにも書いてあるんですが、この値上げについて、NHKとすれば印刷物等により周知に努めます、こう書いてある。具体的にはどのようなことを考えておられるんですか。
  184. 高橋雄亮

    参考人(高橋雄亮君) 高橋でございます。お尋ねお答えいたします。  先ほど会長の答弁の中にもございましたけれども、私どもが持っておりますメディアを使いまして、まず一般向きには積極的にやってまいりたいと思っております。特に、当然御承認をいただきましたら、新年度のスタートに当たって会長が総合テレビジョンを通じまして視聴者皆さん方に御理解と御支持を訴えるというようなことをやってまいりたい。そのほか、総合テレビジョンでは「テレマップ」とか、放送の合間にスポット時間がかなりございますので、そういうところを使いまして今回の料額改定の趣旨を御説明しながら御理解を求めていきたいというふうに思っております。  そのほか、四月九日からは新聞を通じまして広告を出しながら、これは中央紙五紙だけではなくてブロックそれから地方紙、四十九紙地方紙がございます。そういったところを通じて全国の視聴者の目に触れるような格好で今回の値上げの趣旨を御理解を求めてまいりたいと思います。それ以外に、通常番組のほかにもPR用の新しい番組をつくることで今計画を進めております。そのほか、週刊誌とか雑誌を通じまして一般の方たちに対しては御理解を求めてまいりたいと思っております。それから、NHKはNHKの経営につきまして広報紙を出しておりますけれども、そういうところも利用して訴えてまいりたい。  それ以外に、NHKは全国で各放送局ごとに有識者の方たちに集まっていただく視聴者会議というのがございますし、営業現場が各地域で懇談会を時々やりますが、こういったものを積極的に活用して周知徹底を図りながら御理解を求めたいと思っております。そのほか、料額改定でございますから、一番料額改定分についても御理解をいただかなければなりませんので、営業活動を通しながら営業は営業の立場からチラシとかそういったものをつくりながら御理解を求めて早い機会にこの料額改定が定着する方向で万全の対応をしたい。当面の期間は五月末までをこの周知期間として徹底的にやりたいというふうに考えております。
  185. 山田健一

    山田健一君 営業現場、ここが一番視聴者国民との接点でありますから、今回の値上げに対してかなりいろんな意見が出されるだろうし、実質それはそうですね、徴収すれば二カ月ですから四月、五月分でしょう。今度はカラーで衛星、こうなれば二千三百円で二カ月分ですから四千六百円つなぐわけですから、やはりいろんな意味でこの反響というものが出てくるだろうというふうに私は思っております。  そこで、営業の現場の関係なんであります。特に、今NHKもそうであります、コストをとにかく切り下げなきゃならぬ。こういうようなことで見ますと、かなり受信契約あたりも去年まで四十五万件、これを平成二年度は三十三万件ぐらいに見ておられるんですが、これはやはり受信料の値上げ、そういうものが若干織り込まれてそのことの影響を見ておられるのかなという気もしないでもないんです。  問題は、受信契約の内訳を見ますと、いわゆる訪問集金、これを今どんどん経営戦略にのっとって営業経費を削減していくということで減して、いわゆる口座振替、こっちの方をどんどんふやしていく、こういう方針で今臨まれているわけであります。  ただ、それは口座で落としてもらうということにしましても、実際に当たるのはいわゆる現場の人たちであるわけであります。委託集金人の方もいらっしゃいますし、こういった方々が現実には今どんどん削減をされてきております。一方で現場でのそういった営業活動が非常に大事なんだと。今この計画でいきますと約八割近くが口座でしょう。あとの二割をどう皆さんから、歩いて、何軒か受け持って、一日に一回行ってそこですぐもらえるわけでない、日に何回か行かなきゃいけない。一軒の家に十回行った、二十回行ったという話もあります。そういう状況の中で、大変な苦労をされながらこの受信料の徴収に当たっておられるわけであります。どんどん一方でそれを切り下げていく、委託の人たちも減らしていく、そういうことで営業活動がその分だけ落とされていけば元も子もないわけです。いわゆる視聴者国民との接点で、第一線で一番NHKの状況を話をしながら説得をしていく、そういうことも今求められているわけですが、一方ではそういう人たちを削減する、場合によってはパートに置きかえていく、こういう方針が出されておりますが、NHKとして責任を持って営業現場でしっかりNHKの状況を理解していただく、そういう中で営業活動を展開していくという一つの体制が保障されていかないと、ある意味では、あなた方が今おっしゃるように、これからNHKは値上げをやる、実際の現場で大変苦労されるでしょう。しかも営業成績は上がってこないということになれば元も子もないわけでありますけれども、新営業構想を三年前につくって進められておりますが、そういった部分の営業にかかるコストはある意味では必要経費、こういう見方をして、ここら辺のしっかりした充実した体制をつくっていかなければいけないのではないかというふうに思うんですが、NHK、その辺はどうですか。
  186. 高橋雄亮

    参考人(高橋雄亮君) 先生御指摘のとおり、現在営業経費の約八割が人件費でございます。営業の経費率の引き下げということもこれは厳しく指摘されております。  ただ、私どもはいたずらに経費を下げるのではなくて、先生御指摘のように、やはり営業現場というのは視聴者と直接接しているNHKのいわゆる窓口でございますので、家庭の主婦と対話しながら視聴者の意向を吸収できる、こういう役割も果たしているわけであります。また、NHKの考え方理解してもらう先兵でもありますので、そういうようなことで集金とかそういう現場に当たる者については絶えずNHKの事業内容というものを教育しながら、十分番組のよさとか経営の考え方とか、そういうものを説明させながら理解を求めていくということでございます。  ただ、一方では営業経費率が高ければいいということではなくて、全体の経営の効率的な運営の中でやはり省けるものは省いていなかければならないだろうと思います。したがいまして、先生御指摘のような大きな観点に立ちながら、整理すべきものは整理して効率的な営業活動というものを進めようということで、既に六十三年度からこれに着手しておるということでございます。
  187. 山田健一

    山田健一君 ぜひ今お答えになりましたように、必要なものは必要なものでやるということでこれからもそういったところの充実した体制、こういうものはNHKにとってもここは一番大事なところですから、そのつもりで、何でもとにかく経費を引き下げればいいというものでもありませんので、そこら辺をしっかり踏まえて対応していただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  次に、少し衛星放送関係しましてお尋ねをしたいと思います。  これからNHK自身の衛星放送にかける大変な意気込みというのは理解をしておるわけでありますが、番組制作費を見ますと、ことしは五十六億円ぐらいですか、元年度予算で上げられておるということであります。地上波との関係あるいはまた公共放送としての役割、こういうものを踏まえながら衛星放送の番組制作、ここら辺はどこに重点を置いてどういう視点でこれから進められようとしているのか、この点についてまずお尋ねをいたします。
  188. 遠藤利男

    参考人(遠藤利男君) 衛星放送の番組編成の方針でございますが、まず基本的には衛星第一テレビジョンは総合的な情報波に成長させていきたいというふうに思っております。目下はワールドニュースを中心としまして、ワールド ニュース プラス スポーツということで行っております。それを次第次第に総合的な情報波に成長させたい。平成二年度につきましてはそのワールドニュースの充実をまずやりたい。現在はヨーロッパ、アメリカを中心とした海外のニュースを放送することを中心に置いておりますけれども、さらにアジアの情報、あるいはヨーロッパ、アメリカ以外、そのときそのとき話題になっている地域、例えば現在私どもはリトアニアのニュースというものを放送しております。そういうふうに世界的に今注目を浴びている地域放送の充実を随時行っていきたいというふうに思っております。  それから、もう一つは経済情報でございます。世界的に経済の情報というのは非常に求められております。そういう意味で、現在も行っておりますけれども、さらにニューヨーク、ロンドンからじかにアメリカあるいはヨーロッパの経済情報を入れる。それから日本の経済情報をそれと交換に世界に送り出すということもやりたいというふうに思っております。  情報というのは今多様に求められております。趣味それから生活の実用的なもの、いろいろな情報が求められております。そういう面でも充実したい。それからもう一つは、ワールドニュースというものを、ただ私どもが送るだけではなくて、そういう情報を一体どう読み取るか。世界でいろんなことが起こっております。そういう起こっていることを、一体その裏には何があるのか、これから一体どういう方向に進展するのか、ワールドニュースの読み方というような形でまた情報を強化したいというふうに思っております。  衛星第二放送は、当然難視聴解消ということを目的としているわけでございます。それをもとにしながら、なおかつ独自番組の充実を行って少しでも視聴者の拡大ということに尽くしていきたいというふうに思っております。難視聴解消というのは、非常に我々も大事に思っておりまして、朝昼夜のニュース、情報番組の主要な点はきちっと放送していきたいと思っておりますし、御要望の多い連続テレビ小説あるいは大河ドラマ、あるいはのど自慢、そういうものと、あるいは教育放送の重要な部分をいろいろ組み合わせまして難視聴解消に役立てたいと思っております。また、地域によっては気象情報の充実というようなこともたくさん望まれておりますので、そういうことも衛星第一、第二を通じまして行っていきたいというふうに思います。  独自放送の方でございますが、これはさらに映画を中心としましてビッグなエンターテインメント、劇場からのいろいろな舞台中継、高品質の音楽会の中継、そういうものを含めまして質を充実させていきたいというふうに思っております。
  189. 山田健一

    山田健一君 大体の方向づけというのを今お伺いしたわけでありますが、衛星第二の関係で難視聴の問題に今触れられました。午前中も衛星放送機構法でこの問題はいろいろ取り上げられていましたので若干重複する面がありますけれどもお尋ねをしたいと思っております。  午前中も放送行政局長ですか、お答えになっておりましたが、難視聴の衛星放送普及の見通しですが、平成元年度末で一万四千世帯を目指した。元年の九月で八千世帯、そして元年度末、今その末を迎えておりますが、約九千五百、こういう数字をお示しになりました。実際の契約については三千の契約を目指したということに対して結果的には今私が持っておる資料では千五百五十七件、半分ということです。その千五百五十七件のうち、小笠原、大東島、これが千百七十四件、契約をされた中ではこの小笠原、大東島がほとんどで、あとは実はほとんど契約が進んでいない、これは一体どういう理由ですか。
  190. 高橋雄亮

    参考人(高橋雄亮君) NHKは平成元年度、難視地域においては本土で千五百世帯、離島関係で千五百世帯の契約に結びつけるということで計画を立てておりますが、御指摘のように、離島関係では高い率で契約が進んでおりますが、本土では二月末現在四百十四ということで、計画に対しまして大変低い数字になっております。これは特別契約ということでございますので、私どもの営業関係の技術者が現地を訪れまして種々認定して特別契約に本当にふさわしいのかどうか、本当に難視なのかどうかというようなことを認定する中でかなり作業の方に手間取るということと、その地域が山間僻地だというようなこともございまして計画どおり進んでいないということでございます。  今最終的に確認できたところからは本人の意思を確認しながら衛星の特別契約をお願いするという格好で準備をさらに進めておるということでございますので、若干計画どおりには進んでいないということでございます。
  191. 山田健一

    山田健一君 ですから、それはもう皆最初からわかっておることです、現地に行ってやるというのは。それで三千の目標を立てられたわけでしょうから。それが現実にはほとんど前に向いて進んでいない、いろんな要因があろうかと思います。  ただ、これはもう午前中とあれになりますから、これから衛星放送機構の方でそういった意味での助成をどんどんしていくということで、そこら辺の普及あるいは契約の伸び、こういうものがどうなっていくのか注目をしていきたいと思っております。やっぱりある程度の難視聴解消というものをきちっとNHKとしても、あるいはまた郵政もそうでありますが、午前中ありましたように、基本的な命題に据えて進めていくということをやらないと、一方で先般民放の方からもいろんな注文がついておりますね。そういう状況でありますだけに、衛星第二をやったけれどもほとんど結果的にはモアチャンネル化しただけだ、NHKのいわゆるメディアがふえただけだ、こういうような受けとめ方をされる可能性が強いわけですから、そういう点は十分配慮をされながらひとつ難視聴解消に向けての取り組みを進めていただきたい、こういうふうに思っております。  それから、これは会長に、どういう決意というか責任を感じておられるのか、お尋ねをしたいと思うんですが、先般のBS2X、これが打ち上げ失敗。今回の予算書を見れば、元年度の予算で処理されることになった、結果的には二十七億円で済んだというようなことを言われておりますが、いずれにしても、それでなくても構造的に赤字体質を持っておるNHK、その財政の悪化にさらに拍車をかけたことは事実であります。あるいはまた去年から衛星放送付加料金がつけられた。そういう中で一体それじゃ衛星放送に対しての信頼をこれから十分持ち得るのかどうなのか、そういったところに対する国民の不安、あるいはこれからどうなるんだろうか、先行き不透明、こういうような状況があるわけでありまして、私は、ある意味では極めて会長としての責任というものは重い、こういうふうに思っているのでありますが、どのように責任を感じていらっしゃるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  192. 島桂次

    参考人(島桂次君) 私は、御存じのように衛星放送を本放送にしまして衛星料金をいただくようになってから、ぜひこれは、今の科学技術水準からいえば衛星のバックアップ体制といいますか、予備的なものを同時にやっぱりそろえる必要があるということを考えているわけでございます。  そこで、今のところBS2bは順調に運用されておりまして、来年一月までこの衛星が順調に作動することを私は疑っておりませんけれども、とにかくこれが故障すれば大変な事態を招きかねないということはあるわけでございます。そのために私は、政府あるいは国会皆様方にぜひお願い、陳情して2Xなるものを至急打ち上げる計画を立てたところ、残念ながらあれだけ信頼性の高いアリアンロケットが失敗いたしまして、協会財政に影響を与えたということについての責任は深く感じております。  しかし、私は依然としてそういう補完体制といいますか、そういうものが今後必要であるという考え方は別に変えておるわけではございません。今現在、この夏に3aが打ち上げられる予定でございますけれども、これまた今の衛星技術の面からいえば一〇〇%可能ということでもございません。したがって、私は可能な限り、日本国内はもちろんでございますけれども、世界各国に2Xと同じような、補完するようなものがあるかどうか今一生懸命探しているわけでございます。  ただ、この問題は私たちNHKが勝手に計画して勝手に上げるというわけではございません。当然郵政省なり政府あるいは国会皆さん方と相談してオーケーということでなければ上げられないわけで、それがあるかどうか、今一生懸命やっておるところでございますので、いずれそういうものがまとまりましたら一度ぜひ御相談したい、こう考えておるわけでございます。
  193. 山田健一

    山田健一君 前段の部分はNHKとしてもかなり信頼をしておっただけに大変なショックもあったろうし、責任を感じておるというお話でありました。後段の部分は、何とかやっぱり補完機、バックアップの体制が必要だということで今探しておるんだというような報告がなされたわけであります。  いずれにいたしましても、当面は今の2bが来年の一月まで、ことしの八月には3aが行きます。これが打ち上げられても実際に可能なのは十一月からということでしょう。そうやって見ますと、要するに、今から3aの機能が実際に発揮できるようになるまで、十一月までですね、さらには、来年この2bが一月で寿命が切れるというような話も聞いておりますので、それ以降の体制はどうなるのか、こういうことにもなってまいりますし、今探しておるということなのでありますが、ここら辺はどう対応されるんだろうか。  今の2b、とにかくこれを安定運用させていくということに全力を挙げるというようなことを言われておるわけでありますが、具体的には手の施しようがないというのもまた事実だろうと思います。これはもう神に祈るしかない。事故が起きないようにということしか今のところないだろうというふうに思うんです。ここら辺、今手を尽くして探しておるということですが、今後そういった補完体制を含めてどのように対応されようとするのか。基本的な考え方をもう一度お願いいたします。
  194. 島桂次

    参考人(島桂次君) 私といたしましては、本放送を始めた以上、一日たりといえどもこの放送が中断というようなことは絶対あってはいけないことだと思っております。ただ、2bにつきましては、後で必要であれば技師長の方から答弁させますけれども、ここまで安定的に来ますと、これは一月まで安定的に運用されることはほぼ間違いないんじゃなかろうか。  問題は、具体的に申しますと、3aが仮に打ち上げ失敗というようなことになったときが一番大きな問題じゃなかろうか。これが順調に上がれば問題は何もないのでございますけれども、ただ、これまた失敗のない衛星というのは今までありません。したがって当然のことながら、そういう場合にも備えて、これはすぐ秋葉原へ行って買ってくるという性質のものではございません。ですから、今のうちにその補完体制というものを一日も早くつくらなければいかぬということで、NHKとしては今鋭意一生懸命になってやっているというところでございます。
  195. 山田健一

    山田健一君 国会なり郵政の方にもあれば相談をするということですね。だからNHKとすれば補完機はどうしてもやるという基本的な考え方のもとにきておるわけでしょう。そうであるならば、せめて、予算措置はできないにしても、経営計画なり具体的事業計画の中にそういうものを今回のこの予算提出に当たってお示しになるのが本当ではないかと思うんです。具体的に予算の措置等を含めて今全く白紙の状況になっておるんじゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。
  196. 中村好郎

    参考人中村好郎君) 今先生おっしゃいましたように、平成二年度の衛星収支の中で補完衛星についての予算を組んでいないわけでございます。そういうことでございますので、先ほどから会長が申し上げておりますように、具体的にそういうような衛星なりロケットがあった場合に平成二年度の中でどう処理していくかということも含めて御相談をしてまいりたいというように思っておるところでございます。
  197. 山田健一

    山田健一君 いずれにしても、大変国民の間に、せっかく衛星放送をつけろと言うからつけたと、やってみたらまだ一機でどうなるかわからぬ、こういう形で不安なり動揺なりを与えておることは事実であります。そういう状況の中で、NHKとしての今後の対応というものが今問われているわけであります。これは3aがあるいは打ち上げ失敗ということになるかもしれないし、どうなるかわからない。一月までは絶対大丈夫という先ほど島会長のお話がありましたが、それじゃもし仮に今どこかが故障して見えなくなったということになったらNHKはどういうふうに補償措置をとられるんですか。
  198. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) そういうような本当に不幸な事態にはならないように私も心から希望しておるわけでございますが、現在、昨年度から衛星料金、これをいただくことになったわけですが、その際に、そういう不幸な事態になった場合には料金はいただかないというような規定をこしらえてありまして、そして現在の衛星でカラーの料金というものは地上の料金と衛星の料金と両方を含んだ形でいただいておるわけでございますので、衛星放送がもし中断されたら地上の料金だけをいただくということに相なるわけでございます。
  199. 山田健一

    山田健一君 それは料金はそうでしょう。そうでなきゃ、そういう人までいただいたらえらいことになります。料金はそうでありますが、いろんな設備を買われた人もいるわけです。そういう人たちはどうなるんですか。
  200. 島桂次

    参考人(島桂次君) 私は衛星放送をもう既に始めた公共放送責任者として、そういう事態がもし生ずれば、これはもう死んでも死に切れないというふうに考えておりますけれども、当面は2bというのが来年一月まではかなりの確度をもって、これはもう九十何%かの確度をもって2bが一月まで運用されるということを私は技術者から聞いて信じておりますので、全くないかといえばそういうことはないかもしれませんけれども、万一のことがあったらこれは放送事業者として大変なことだという、つまり法律を超えた非常な道義的な責任ということをかねがね私は考えております。
  201. 山田健一

    山田健一君 それは気持ちはわかりますし、私もそのように、ほとんどそういう危険性はないという、一〇〇%に近い確信と自信を持って今会長が決意を申されたというふうに受けとめさせていただきたいと思います。  次に、今度は若干国際放送関係についてお尋ねをしたいと思います。  まず、国の交付金の関係でありますけれども、これはいろいろ従来から言われてきておるわけであります。平成二年度で見ますと、予算措置とすれば二千万円ふえておるだけということになっておるんですが、できるだけ交付金をふやしてやるべきだという参議院で、衆議院もそうだろうと思いますが、国会の附帯決議を含めてあるわけでありますが、郵政省は一体今回はどのような努力をされてきたのか、対応をされてきたのか、そこら辺ちょっとお尋ねしたいと思います。
  202. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この交付金に関しましては、毎年大変シーリングなどの厳しい財政事情の中で国際放送の交付金の確保に努力をしてまいってきているところでございます。現在、平成二年度の予算案には対前年度比二千万円増の十四億九千七百万円を計上しているところでございます。  この国際放送の交付金は、五十五年度を一〇〇といたしますと、この平成二年度では一五九でございまして、郵政省の一般会計予算の総体が一一二であるのに比較いたしますと、かなり一生懸命に交付金の増額に努力をしているわけでございます。そういう意味で私どもも今後とも精いっぱいの努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  203. 山田健一

    山田健一君 昭和五十五年を一〇〇とすると一五九ぐらいの交付金になっておる。全体が膨らんできておるわけでありますから全体的には額としてはふえてきております。ただ、国際放送経費そのものが範囲が広がっておるわけですから、交付金の占める比率というのは昭和六十年が二五・七%、平成二年度の予算では二〇・一%。二五・七に対して今度は二〇・一という形に実はなっておりまして、その分結果的にNHKが五十九億三千万、これだけ払う。その減る分だけ今度は逆にNHKの負担になってくるわけでありますから、どんどん比率からいえば減ってきておるわけでありますが、今後これはどういうふうに郵政として対応されていかれますか。取り組む方向、そういうものをぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  204. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 過去のことではございますけれども、国際交流基金等から御援助をいただいたという例もございます。私どもは、そういう御援助を当てにしてやっていくというようなことは大変郵政省といたしましても恥ずかしいことでございますので、極力私どもの予算の中から増額を進めてまいりたいと思いますけれども、やはりこういう国際交流基金等からの御援助というものも増額というような形でできれば大変結構ではないかと私は考えているんですが、なかなかその辺のことが期待できないのが現状でございます。
  205. 山田健一

    山田健一君 基本的には郵政がということですね。ただ、そうは言ってもということで、あれはたしか国際交流基金から三カ年で、もう今はないということでありますが、国際放送そのものの持っておる性格、そういうものからしても、ある意味では外務省なりあるいはまた教育的な配慮を考えれば文部省を含めてそうでありますが、やっぱり政府全体としてここら辺のことは考えていかなきゃならぬのじゃないかというふうに思っております。今なかなかそうもいかないということでありますが、これから郵政としてもいろいろそういった意味での折衝なり対応なりを場合によってはやられるだろうと思うんですが、そこら辺はどういう方向で取り組んでいかれますか。
  206. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 最近は、いわゆる映像メディアに対する期待というのは非常に大きいものがございます。国際放送も短波放送でやっておりますけれども、今後は映像の情報としての提供が期待されるのではないかということで、私ども郵政省では外務省と共同いたしまして、放送番組の海外提供促進に関する調査研究会というのを催しておりまして、先般報告書がまとめられました。報告書の提言いろいろございますので、そういうものを十分に踏まえながら今後ともこれらの面にわたりまして努力をしてまいりたいと存じております。
  207. 山田健一

    山田健一君 あわせてちょっとNHKの方にお尋ねをしたいと思います。  国際放送の充実強化ということに向けていろいろ努力をされておられるわけでありまして、放送時間の延長だとか、あるいは今度南西アジア、この辺の受信状況を改善するためにスリランカの方に中継を開始する、そういう姿勢が打ち出されておるわけでありますけれども、今後の国際放送の課題、そういうものをどのようにNHKとして受けとめておられますか。
  208. 遠藤利男

    参考人(遠藤利男君) 国際放送の充実は、先生御指摘のように今情報のグローバリゼーションが急速に進んでおり、なおかつ国際関係の中での日本立場というものがますます重要になってきている中で、これは非常に私どもも重点的に充実していきたいというふうに思っております。私どもとしては、日本の実情を諸外国の人々に正しく理解していただく、そして相互理解と国際交流に貢献するというのが国際放送の第一の使命だというふうに思っております。  もう一つには、年々海外に在留し、あるいは旅行する日本人が大変ふえております。これは年間一千万人を超すと言われておりますが、その方々に的確に毎日毎日の日本の情報を送り、あるいは居留する方々に、日本の伝統や文化についてその子女の人たちに理解していただくような放送をしていくということもやっぱり国際放送の重要な使命であるというふうに思っております。  そして、御指摘のように、まずは放送時間の充実ということが大事であると思っております。平成二年度は、まずは一時間半増強いたしますが、スリランカの中継所を来年一月から借りられるようになると思いますが、そうなりましたら、平成元年度には四十三時間でしたのを四十七時間の放送時間に延長して南西アジアあるいは中近東への情報の伝達に努めたいというふうに思っております。  それからもう一つには、先ほど申しましたようなことで、今後のことを考えますと、さらに海外中継所を借りるというようなことを拡充して、今聞こえにくい地域がまだまだあります。例えばヨーロッパの中部等に対する電波の到達状況は必ずしも良好とは言いがたい。そういうようなことを含めまして、送信の機能を整備していく、あるいは八俣送信所の整備を行う。これは経営五カ年計画の中で送信機を増強していきたいというふうに思っております。そして、全体とすれば、現在世界の国際放送の中では、言語数あるいは放送時間で言いますと二十位ぐらいの立場にございますが、それを五カ年の中で十位ぐらい、放送時間にすれば六十時間近くにいたしまして、フランス並みの国際放送の充実が行えればというふうに思っております。これも私どもの今の五カ年計画が国会でお認めいただけましたらという前提でございます。  そういうぐあいで、放送内容も今までの内容にさらに経済、科学、技術という日本の得意とする分野の情報を海外に送り出すということも含め、また、もっと聞きやすい楽しい放送をつくるということも含めまして増強を図っていきたいというふうに思っております。
  209. 山田健一

    山田健一君 かなり積極的な姿勢につきましては評価したいと思っております。  先ほどもちょっとお話があったわけでありますが、国際化の時代、国際交流も進めていかなきゃならぬという観点から、映像をパッケージで送るというような話もありました。あるいはまた通信衛星を利用した映像を提供していくというような方針も出されておるようであります。長期展望でも指摘をされておったと思うんですけれども、今経営期間中にこうした国際映像サービスの拡充のために、いわゆる資金調達を含めた新しい実施体制、これを検討しなさいというようなことが触れられておるんですが、これは第三セクターということになるんでしょうが、ここら辺はどのようにお考えになって、どう取り組まれようとされておるのか、そこら辺ちょっと見解をお尋ねしたいと思います。
  210. 青木賢児

    参考人青木賢児君) お答えいたします。  国際情報につきましては近年急速に映像化が進んでおりまして、欧米先進国ではこういった国際情報の映像化に大変力を尽くしておるところでございます。NHKといたしましても、こういった流れの中で積極的に日本並びにアジアの情報を世界に発信していきたいということで現在取り組んでおりますが、現在、毎日二十五分のテレビジョンのニュースでございますけれども、「トゥデイズ・ジャパン」というNHKの衛星放送のニュースをアメリカとカナダに連日放送しておりますが、これはアメリカの公共放送のネットワークによりまして全米二十二の都市で放送されております。カナダではCBSという公共放送を通じましてカナダで受信することができるというふうなことになっております。また、四月からは「ジャパン・サテライト・テレビジョン」というヨーロッパにありますアストラ衛星を使いまして日本の番組を、これは日本語でございますけれども放送することになっておりまして、現在実験放送を行っておりますが、一日二時間ずつこれは放送することになっております。さらに「アジア・ナウ」というアジア地域のウイークリーの番組をことしの七月からアメリカ放送するように現在試作を続けておる段階でございます。  こういったニュースに並びまして、番組面でも、いろんな番組を日本から出していくという必要がございますが、現在NHKでは世界に向けてさまざまな協力協定を結びまして、番組の交換ベース、こういったことで提供する、あるいは公的資金を使いまして開発途上国に提供していく、さらに先進国に対しましてはNHKの番組をビジネスベースで販売していくというふうなことをやっております。現在四千本程度を世界に向けて出しているという段階でございますが、お尋ねのこれから五カ年の中でこれを一万本程度にふやしていく、さらにニュースについては積極的に世界に流通させていくというふうに準備を進めております。これは言葉の問題でありますとか、あるいは衛星回線の問題でありますとか、さまざまな経費がかかりますが、これから五年間にNHKとしてはおよそ百億円の予算を考えておりますが、さしあたって平成二年度にはこういった問題に対しまして十億円の予算を計上して取り組んでいくというふうに考えております。  しかしながら、こういう国際映像サービスについては莫大な資金が必要になってまいりますので、これだけの資金ではとても将来賄うことができないということで、公的資金はもとよりでありますけれども、国際的に進出しておられる企業あるいは団体、あるいはそういった外国に対して積極的に影響力を持つ団体の協力を得まして国際映像サービスというようなものをやるための第三セクターを設立していくように関係機関に働きかけていきたいというふうに考えておるところでございます。
  211. 山田健一

    山田健一君 わかりました。映像の分野資金調達を含めてかなり大変だということで、第三セクター化に向けて取り組んでいくという方向づけを今お伺いしました。こういった意味でも、国際化の時代で、国際放送のあるべき姿というものを追求していく中で、やはりやむを得ないかなという気もいたしております。  いずれにしても、そういう形でしっかりしたバックアップの体制をつくってこういうものを進めていくということが結果的に国際交流に寄与していくということにもなろうかというふうに思いますので、今後のひとつ取り組み方をよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後になりますが、今回値上げがされる、その大前提として、やはり番組がしっかり充実されなきゃならぬ、こういう前提があるわけでありますが、かなり今NHK自身も、番組の制作に当たっては外部機能の活用あるいはまた外部委託、こういうようなことでいろいろ進められております。確かに、NHKならではという一つの質の高い番組、これがまさにNHKの命でなくちゃならぬというふうに思うわけでありますけれども、どんどん外部委託といいますか、おろしていくという一方で、NHK本体のいわゆる番組制作能力、そういうものが低下をしてはならぬ、こういった気持ちでいるわけであります。番組の制作に当たっていろいろ外部委託等を含めてされておりますが、NHK本体のそういった本来の機能を発揮していくということを考えれば、おのずからそこに一定の限界、量の限度というものがあってしかるべきだというふうに思うんですが、ここら辺についてはどのような考えを持っておられますか。
  212. 島桂次

    参考人(島桂次君) もとより、先生御指摘の点はまことにNHKにとって重大でございます。ただ、私どもが今まで本当に質のいい番組を本当に最小限度の費用でやっているかどうかということについて徹底的に我々は見直さなきゃいかぬということで、いろいろの形を今考え、あるいは一部関連会社に制作させ、あるいは委託ということもやっているわけでございますけれども、基本的には、NHK本体の質的な番組向上、これがなければ公共放送は成り立たないということは十分自覚しておりますので、十分な節度を持ってそういうことをやりたい、こう考えております。
  213. 山田健一

    山田健一君 何か具体的なそこら辺の目標といいますか、大体何割ぐらい、何%ぐらいというような一定の基準、そういうものはお考えになっていないですか。
  214. 遠藤利男

    参考人(遠藤利男君) その歯どめということでございますが、これは委託をして制作を依頼する会社の側の能力の成熟とかその大きさとか、そういうものと、もう一つには、先生御指摘のように、NHK内部の自主的な制作能力、ノーハウの継承あるいは質の保持ということとのバランスの中で考えていきたいというふうに思っておりまして、会長の発言のように、NHKの中が空洞化することが絶対ないように私どもとしては配慮していくということで、目下数字ということを挙げて考えているということではございません。
  215. 山田健一

    山田健一君 具体的に歯どめをこのぐらいでということは今考えていないということでありますが、こういった番組編成等を含めて、確かに御発言されましたように、一定のやっぱり歯どめといいますか、そういうものをNHKは内部的にでもぜひきちっと確立して進めていかれないと会長がおっしゃられたような一つの形になりますので、元も子もないということになりますので、ぜひそこら辺の検討方をお願い申し上げたいと思っております。  それから、今ちょっとお触れになりましたが、いわゆる関連団体の再編を含めて、いろんな業務委託との関係もあるでしょう、あるいはNHKそのものがいろんなメディアを抱える中で、やはり一方でそういう関連団体の整理をしながら、再編をされながらその機能を発揮していくということについて、御存じのように先般「NHKのあり方に関する見解」が民放連の方から出されておりまして、総体で見れば大変なNHKコングロマリット化というような表現がされているわけであります。ここら辺の批判に対してNHKはどうお答えになるのか、ひとつお願いしたいと思います。
  216. 青木賢児

    参考人青木賢児君) お答えいたします。  民放連から出されました「NHKのあり方に関する見解」という中で、NHKの関連事業の推進についていろいろと御心配をされているということでございますが、これにつきましては、我々の関連事業目的というものは、あくまでも公共放送の使命を全うするための補完あるいは支援ということにこの関連事業目的は限られておるというふうに考えております。これは放送法並びに放送法施行令によってこの出資のあり方については厳しく規定されておりまして、我々はその規定に基づきまして、郵政大臣の許可を得てこの会社をつくっているというふうなことでございます。そういうことでありますから、これらの会社は営利追求ということが目的ではなくて、あくまでも公共放送の支援ということに限られているということでございます。  しかしながら、NHKの番組制作あるいはNHKが持っております番組並びに技術的なノーハウを外部に提供することによって利益が上がってくるということも事実でございますが、こういったものはすべて受信者の負担の軽減ということに還元すべきだというふうな考え方で、これの運営に当たっては節度ある事業運営をやるというのが我々の考え方でございます。  そこで、民放連では再編成によって一段と商業化が進むのではないかというふうに御心配されているわけですが、我々がこの再編成をこの一年やってまいりました目的は、今までともすれば関連団体のあり方が必ずしもそういった法令の目的に沿っていない部分があるということで、資本についてもきちんとNHKが出資して、人的にもNHKのその目的をきちんと体した者がこの経営に当たるという形でNHKのそういった考え方がその関連団体全部にきちんと行き渡るというふうな体制をつくるためにこの再編成を進めておるということでございますので、商業化が進むというのとは逆の方向に我々はきちんと整理をしているというふうに考えております。そういった点では民放連にも御説明申し上げて、この点については御理解をいただくように努力したいというふうに考えております。
  217. 山田健一

    山田健一君 終わります。
  218. 及川一夫

    及川一夫君 まず、私は郵政省の方にお伺いしたいんですが、NHK予算の審議の扱いの問題でお聞きをしたいと思います。  先ほど山田議員の方からは、提案をした時期が遅い、国会運営も絡んで結果的に一日半程度の議論で終わってしまう、問題ではないか、こういう立場でいろいろと話がございました。  私は、そのこともふだん起き得る問題ですから気を配ってほしいというふうに思いますが、それ以上に、このNHKの予算に受信料の値上げが入っているという場合の扱いは、単に予算が提起をされて一年のNHKの運営が決まるということとは趣が大分違うのではないか、こういう気持ちなんであります。しかも、先行き必ず、三年後、四年後、五年後、刻み方いかんによってNHKの受信料の値上げが提起をされてくる、こういうことは十分予想されるわけですから、そういう問題を含んだNHK予算の場合の扱いは従前どおりでいいのかどうかということを非常に私は疑問に実は思うわけです。今回などは特に審議をする期間という意味で、長期計画というものがある、その長期計画というのは五年後のNHKのあり方を論じているんですから、五年後一体NHKはどこに、どこまで、どういう事業として発展をして、それが国民生活にどう享受されるのかということなどは大変大きな私は問題だと思うんです。  それと、先ほど回答がございましたけれども、民放との関係でそれとなくNHKに対して巨大性の問題であるとか、あるいは商業化しているという批判であるとかいろんなことが言われておるだけに、そういうものとの兼ね合いでも解明すべき問題がかなりある。一言で言うならば、これだけでも一日とっていただいてNHKのあり方論というか、さまざま出ている批判についてお答えをしていく、我々自身もそれを熟読玩味して、NHKさんほどはやれないかもしれぬけれども、少なくとも世間のそういう批判に答えられるようなものをむしろ身につけなきゃいかぬのじゃないかという気持ちすら実はしているのであります。そうしませんとどうも公共放送のあり方が、何といっても受信料オンリーで運営をしていくわけですから、税金ではない、サービスに対する対価でもない、要すれば中立、公平、そして放送していく、そのためにかかった金についてぜひ負担をしていただきたいということの受信料であることを考えますと、私はやはり受信料の値上げについてはかなり計画そのもの、予算全体というものに対して慎重に論議をさせていただきたいものだというふうに思うことが一つ。  それから二つ目には、NHKも大変困ると思うんです。確かに昨年の暮れ受信料の値上げという方針を決めたとか、いや三百六十円の原案があったとか、それが三百円に決まったが政権与党と相談をしないうちにぽんと出てしまったとか、いろんなことが出ていますから、その限りにおいてNHKは今度は受信料の値上げをするんだなということは世間一般はわかっているんですよ。しかし、それは結論だけでありまして、なぜ、何のためにというのがわかっていないわけですから、ある意味ではひとり歩きをしている。そこはNHKとしては私は歯がゆいところだと思うんです。その辺からひとつ国民に対して知らせておきたい、知っていただいた上で決めてもらおう、これが一番理想なんですよ。三月三十一日までの間に要すれば国会で受信料の値上げを含めた予算が決められなければ三百円の受信料の値上げについてああだこうだと周知徹底を図ることはできないわけです。したがって、国民のサイドから見れば、何か知らぬけれども一日半で決めてしまって、それで四月一日から直ちに実施だ。二カ月まとめて取るものだから三百円が六百円になってしまう、えらい値上がりだな、こういうぐあいに私は受けとめられるような気がしてならない。  ですから、こういう問題が入っているときには、郵便料の値上げではないが、あるいは電気通信にかかわる諸料金の値下げではないが、実施時期の問題について何で四月一日でなければいけないんだろう。五月ではだめなんだろうか、六月は、七月は。予算全体の問題として、仮に一カ月削れば確かに七十八億ぐらいの収入が減る、二カ月であれば百六十億ぐらいの収入が減るという問題は出てくるが、要は五カ年全体の問題を考えれば克服できない財源じゃないように私はお見受けしているんです。そういうことがあるだけに、長期計画的なものが常に加わってくるだけに、私はこの予算の提案の仕方としてそういうことも一工夫してみたらどうだ、工夫されるべきではないかというふうに実は思っているわけです。  以上のことについてNHKの方はどうお感じなのか、さらには、郵政当局の場合は何といっても閣議了解とか承認とかいうものを支えてあげなければ実際には論議にならないわけですから、そういう意味でもやっぱり郵政省の皆さんが、監督官庁である郵政省がどういうふうにこの辺考えられるかお聞きしたい、こういうふうに思います。
  219. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 先生御指摘のように、ことしは大幅な値上げということで私どももいろいろな意味国民皆様方に十分な御理解を得なければならないという認識は先生と同じように十分に持っておるわけでございます。昨年の大臣意見書の中でも、長期計画を十分に考えて財政の立て直しと申しますか、そういうようなものをしっかりやれということを申し上げ、それに基づきましてNHKでは長期計画をお立てになったわけでございます。それらを吟味いたしますと、大変なやはり赤字体質というものを持っている。現実に百四十八億円の土地売却益というようなものを入れますと実質的には本年度が四百億円の赤字であるというような事実もあるわけでございます。そういうようなことから、私ども大幅な値上げでありますけれども国民皆様方にも御理解をいただいて、この値上げを認めざるを得ないなということで、大臣意見を付させていただきまして提案させていただいたわけでございます。  また、実施時期等の御指摘でございますが、五月あるいは六月というような御指摘がございました。NHKは報道機関として独立したいわゆる公共放送でございます。そういう意味で赤字体質をこれ以上どんどん広げていくということはいかがなものか、私どもはそういう認識を持っているわけでございます。したがいまして、周知徹底に関しましてはことしの大臣意見にもしっかりと述べさせてもらいまして、NHKもその線に沿ってアピールをしたいということを申しておりますので、できる限り四月一日からの値上げをお認め願えればと、かように存じておる次第でございます。
  220. 及川一夫

    及川一夫君 私は、ことしの問題をずばりそうやりなさいという提案をしているつもりはない。要するに、今後もあり得ることだと、受信料の値上げが入るような予算審議という場合にはその辺を配慮された方がむしろ国民から信頼を得るんじゃないかと。つまり、今回のものは形の上で言えばもう決めてしまうわけですから、もう四月からいただいてしまうわけです。四月からいただくんだけれども、何のためだということがわからないうちに取られるというような結果になってしまいます。それで一体いいのかなと。  我々は、今このNHK予算に対して抜本的、根本的に反対しようとしているんじゃない。受信料の値上げの問題にしても頭から反対などと思っていません、必要だと思っています。しかし、値上げの幅とか額とかいうものは少なくとも、大臣も高いということを考えればというふうに言われました、いろんな工夫はせにゃいかぬというふうにおっしゃられた。それだけに、私たちの立場から言えば、よく説明をしてという気持ちになるし、我々自体は今の時点では局長が言われたように、二百億の赤字がありますよ、去年、おととしと大体三年前にやらなきゃならなかったものをこれまで引っ張ってきたんだということはみんなわかっているわけです。その限りでは説明はできると思う。しかし、高いがゆえに今まで三年、三年、三年とやってきたものを五年にしてでっかくして、別にわからなくなるようにしたとは言いませんが、話をでっかくして、そして料金の値上げの幅と率というものを決められるということは、それはあって悪いとは言いません。しかし、説明をして理解を得て何とかひとつ値上げを認めていただこう、そういう姿勢があるかないかということは非常に大事じゃないですか。  ですから、ことしの問題はことしの問題として我々も厳しく受けとめますけれども、先行きの問題として、料金の値上げという問題が含まれている際のNHK予算の扱いというものについては私は一考あってしかるべきだと。もちろん、皆さん方に考えろと言って我々は勝手なことを、あぐらをかいているつもりはありません。我々も当該の皆さんと相談をして、こういうふうにできないものだろうかと。やることがNHKの経営に大変な影響を与えないと。少なくとも経営としては安定的にやっていけると。そういうことを我々も配慮しながらやり方というものを検討してみてもいいんじゃないか、こういうふうに思っているわけです。  ですから郵政大臣、五年後まで郵政大臣でおられるかどうか私はわかりませんけれども、どうですか、ひとつ政府の代表としてこの辺の扱いのこと、国民との関係のことについてどんなお考えお持ちですか、ひとつお聞かせください。
  221. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 公共放送として放送料金だけを頼りにしているのが今日のNHKであります。一方では、いわゆる民放はさまざまな営業活動ができて成り立っていて、この体制を共存共栄させていくということが最も基本的な立場でございますが、それをずっとつなげていくと、NHKとしてはかなり厳しい財政状態が続くものと思われます。しかし、そうはいってももっと効率化とか合理化できないだろうか。このたゆまぬ努力はNHKに求め続けていかなければならぬと思うのであります。  同時に、例えば今たくさんのメディアを持っておりますが、そんなにたくさん要るのだろうかというような見直しも含めて、一つのスリム化も検討の対象にしていかなければならない。そういうさまざまな工夫や努力というものが国民皆様にふだんでも伝わるようなそういうPRもやっていかなきやならない、そういうことを含めてNHKにはかなり今回注文はつけたつもりでおりますし、またお手伝いする部分については積極的に協力しながら、今及川先生のおっしゃったようなことを大事にこれからの行政に生かしてまいりたい、そう思っております。
  222. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  それで、民放との共存共栄、これはもう当然我々も考えているところでありますから間違いはないんですけれども、今大臣がおっしゃった後ですからちょっと会長、物が言いにくいかもしらぬけれども、意のあるところはおわかりですか、会長さん、ちょっとお答え願います。
  223. 島桂次

    参考人(島桂次君) いろいろ今回の五カ年計画については難しい面もありましたけれども、結局はNHKがこの計画を取りまとめることがおくれまして、郵政省とか国会に御迷惑をかけたということについては反省しております。これからはこういうことのないように、いろいろ工夫をしたいというふうに考えております。
  224. 及川一夫

    及川一夫君 会長、全然すれ違ってしまったんだけれども、これ以上答弁を求めません、その問題では。  大臣の話の中でスリム化という話がぴょっと出ましたね。それから一体NHKはどこまで仕事をやるんだと、商業化の問題の批判との兼ね合いも含めておっしゃったんだと思うんだけれども、それだって今回長期計画には出てるんですからね。この長期計画でいいのか悪いのかということは、本当はかなり議論しなきゃならぬ問題なんですよ。  少し算術的な言い方で悪いけれども、三年計画で考えた場合の料金の高さと、五年、つまりいろんなのが入ってくるんですから、三年目にはないものだって入ってくるでしょう四年目には。四年目にないものも五年目に入ってくるかもしらぬ、予算というのはちゃんとそうなっている。そういうものを仮にやめておこう、今回はと。従来も三年でやってきたんだから三年でとどめておこうといった場合に、一体この三百円という料金は高くなるんですか安くなるんですか、こういう問題だってあるんです。だから長期計画というものを本当の意味で議論していかなきゃいかぬ。そうすると、郵政大臣がおっしゃったように、NHKはどこまでだという話まで将来展望を考えるとやっぱり出ていくんだと思うんです。受信料の値上げという問題は、今の予算上の仕組みからいえば何年か後には必ず出てくる問題だと思っています。そういう制度でいいのかどうかということも率直に言ってあるわけです。ですから、私としては今回の問題については今回の問題として対応いたしますが、郵政大臣がおっしゃった意味を含めてぜひひとつ郵政当局の方でもお考えいただきたい。我々も委員の一人として考えてみたいということで申し上げておきたいと思います。  それから二つ目の問題なんですが、会長、ちょっと聞き苦しい点があるかもしれませんけれども、しかし会長自身の発言だとされているものですから、それと経営の責任者としての姿勢について実はお伺いしたいというふうに思うんです。  まず、今ちょっと長期計画全体についてそれとなく触れながら論議がありましたけれども、今度の五カ年計画というのは二兆四千億を超える長期計画なんですね。ですから大変なことだと思うんです。そのほかに二千五百五十二億という衛星収支というものが出されているわけでして、これも成功するかしないか、死んでも死に切れないと、こう会長は先ほどおっしゃられたけれども、大変な問題を抱えているんです。それこそ二兆六千九百億という数字ですから二兆七千億ですよ。これを島会長を頂点にしてこれからひとつ頑張っていかれようとしているんだが、一体あなたのこれに対応する決意はいかにと、言葉で言うとそういうことになるんですが、まずそれをお聞かせ願いたいと思います。
  225. 島桂次

    参考人(島桂次君) 及川先生御指摘のように、大変な課題を我々はしょっているということを深く感じております。  公共放送というのはとにかく今激動期にございます。NHKを取り巻く全世界的な、あるいは国内的な環境というものは情報化社会、技術の進展に伴って大きく転換してきております。そういう中にあって、これだけの国民皆さん方に御負担をかけながら公共放送としての使命を全うすべくできるだけ質のいい豊かな番組をできるだけ効率よく伝えていくということは大変難しい事業であり、まさにNHKの存亡がかかっているということを私は痛感しております。
  226. 及川一夫

    及川一夫君 存亡をかけるということはある意味では政治生命をかけるという意味にも通じていくわけでして、私はそのように受けとめたいと思います。それほどのまた決意がなかったら私はこれは大変なことだと実は思っているわけなんです。しかも、すべてがと私はあえて申し上げたいが、受信料ということになるわけですから、ぜひともひとつそういう感覚を持って対応してもらいたいという気持ちなんです。  ただ、そのお気持ちは本気かということで、ここから先は言葉は悪いんだが、私のげすの勘ぐりになるかもしれませんけれども、しかし現実に会長の発言として存在していますので、その真意を聞いておきたいというふうに思うのであります。  それは、「諸君!」という雑誌のことしの一月号で、対談なのかインタビューなのか、やっておられます。その中で、「NHKははめられた」という題字になっていまして、何でそんなことになるんだろう、一体だれにはめられたんだろうかというようなことで読んでまいりますと、島会長が御発言をされておられるわけです。真意はどこにあるのかということが問題になるんでしょうけれども、私が気になるのは、質問者が、難視聴解消のためだったのが、衛星がですね、それがニューメディアのために変わってきた。受信料の流用だという批判があるが、会長さんいかがですか。こういう質問に対して答えていることなんです。「それは批判はあるでしょうね。私の前のNHKの経営者のやったこと、ならびに国がやったことについて、あえて否定はしませんが、私もあなた同様に、非常に困ったことをやってくれたという感じがしますよ。」。前段と言えば前段にも聞こえるんですが、しかし、こんな気持ちでやっておられるのかなということ。「難視聴解消といったって、衛星放送は全国一円に見せるものでしょう。それでローカル放送が難視聴解消になりますか。こんなもの初めからナンセンスなんだ。それを無理やりやったのは、」云々と、要するにこうなっている。  これは、私は会長を知っていますからね、あの人の性格だからということを含めて考えれば、まあけんけんごうごう言われるのかもしれませんけれども、不特定多数の人が読んでいるということになると、しかも衛星という問題に対して受信料でやられている、何で衛星を成功させるために受信料が使われているか、そういうようなこと等いろいろあることを考えますと、もしこれがインタビューをした記者の人の目的意識的な要するに話の内容だというふうにするならそれはけしからぬと思いますよ。だけれども、少なくとも雑誌で結構読まれている本ですから、そんなばかげたことをするはずはないとは思うんですけれども、この辺いかがでしょうか。会長、ひとつ真意を聞かせていただきたい。
  227. 島桂次

    参考人(島桂次君) 私の記憶によりますと、この「諸君!」という雑誌、恐らくこれは文芸春秋社の発行のものだと思いますけれども、そのインタビューをやった覚えはございません。したがって、ここに書かれている内容については責任を持つわけにはいきませんし、この記事が出たことは広報室長から私は知らされまして、「諸君!」の雑誌の編集長に対して抗議を申し込みました。
  228. 及川一夫

    及川一夫君 抗議を申し入れたから私はそんなことを言ってない、こういうことなんでしょう。  ではどういう意味でおっしゃられたのですかというふうにお聞きしておきたい。
  229. 島桂次

    参考人(島桂次君) この「諸君!」の記者とインタビューした覚えも私はございませんし、したがってこの事実はないということを私は抗議を申し上げているわけでございます、相手側に対して。
  230. 及川一夫

    及川一夫君 これは私も取り上げるからにはそれなりの責任を感じながらやっているわけです。皆さんの方で一生懸命国会へ来られていろいろ聞かれますよ、僕も。結構なことだと思う。だからそれには答えてあるんですよ、こんなこと本当かと言って。本当にこんなことを会長言ったのかいなと。しかし、その中で私はインタビューに応じたことはないという話は一回も出てこなかったです。もしそういうことがあるなら、私はその事実を確認した上でなければこういうことをやりませんよ。本当にインタビューされたことはないんですか。  ないのならないで、抗議したことはわかりましたけれども、これは告訴すべき名誉棄損だと思います、それが事実だとするならば。そういう手段を講ずべきじゃないでしょうか。いかがですか。
  231. 島桂次

    参考人(島桂次君) 私はこの「諸君!」の記者とインタビューしたことは本当にございません。  ただ、私ファクスをとってまいりましたのですけれども、この記事の内容によりますと、「「週刊朝日」(八八年九月三十日号)のインタビューで」という引用がどこまで続いているのか、この文章の構成上わかりませんけれども、この「週刊朝日」とのインタビューを恐らく見ながら書いたのであって、私自身が「諸君!」の記者とは一度も会ったということは、本当にこれは全くございません。
  232. 及川一夫

    及川一夫君 それなら「朝日」の方の記事はこうなっていますか。
  233. 島桂次

    参考人(島桂次君) 「朝日」の記事のこの八八年九月三十日号に出たインタビューというのは今ここに具体的に持っておりませんけれども、私の記憶によりますと、島さんは長い間NHKにいると。特に数年前から私はニューメディア関係責任者をやっていた。そのときに、この衛星放送をいよいよ難視聴解消だけではなくて試験的にほかのモアサービス、それを始める。その結果が昨年八月からの本放送になったわけでございますけれども、そういう段階で当時の川原会長と私の間にかなりいろいろ激論があったことは事実でございます。その際に私は、その際にですよ、二、三年前ですよ、二、三年前に、当時の私はもうちょっとこの衛星技術の開発というのを見届けた方がいいんじゃないかという立場をとっておりました。そういう話をした覚えはございます。しかし、これは当時の川原会長の裁断でモアサービスが始まり、しかもニューメディア推進の私は責任者でございますからその先頭に立って、それからモアサービスになり、引き続いて本放送になりということで一生懸命やっているんだというような趣旨のやりとりをやった覚えはございます。
  234. 及川一夫

    及川一夫君 そうしますと、まず「朝日」とはお話しになられたというわけだから、その内容、そのときに話したことを前提にして先ほど私が読み上げたような記事になっています、まとめになっていますということについては、これはどうなんですか。同じというか、そうだというふうになるのかならないのか。
  235. 島桂次

    参考人(島桂次君) ですから私は、この「諸君!」という雑誌の一月号に出た問題につきましては、これは簡単に見過ごせないということで、この記事に対しては「諸君!」の編集長あてに厳重な抗議を広報室長を通じてやらせているわけでございます。
  236. 及川一夫

    及川一夫君 いや、抗議したことはわかりました。だから「諸君!」という雑誌とのインタビューはないということは私ども確認します。ただ、「週刊朝日」に出された内容が仮に援用されたものだとしても、先ほど読み上げられたことを「週刊朝日」とのインタビューで言ったということになるのかならないのかということをお聞きしているんですよ。
  237. 島桂次

    参考人(島桂次君) ですから、私が先ほど申し上げましたとおり、「週刊朝日」とのインタビューの趣旨と、総体としてここに「NHKははめられた」というような表現で書いてある記事の内容が著しく違いますから私は抗議を申し込んでおるわけでございます。
  238. 及川一夫

    及川一夫君 抗議をして当然だと思います。ただ、抗議だけで終わっていいのかどうかということが一つ残ります。しかし、時間の関係もありますからそれ自身は問わないことにしましょう。  ただ、私は副会長時代とあるいは専務であった時代と会長になった時代では違うと思うんです。違わなきゃならぬと思うんです。なった以上、会長である限り全責任を負ってやろうとする決意を持ってやるわけですから、過去にどんなことがあろうと今やろうとしていることに対していささかでも疑問を持つような形で会長がやっているとするならば、これは大変なことだと思います。  だから私は最初に、会長いかがですかと、二兆七千億のお仕事をやられるんですよ、二兆数千億とはいいながら死んでも死に切れないという問題を含めての話ですよ、決意はいかにと聞いたのはそのためなんですよ。誤解を受けるような発言というのは、私もそうなんですが、なさるべきではないでしょう、慎まなきゃならぬと思います。このことだけは私は明快に申し上げておきたいと思うんです。  もう一つ本当はあるんです。これは会長というよりもNHKの理事者の中でも苦しくなってしまって苦し紛れに言われたことに同調する発言がやっぱりあちこちで見られるんです。私は非常に残念だと思う、これほどの仕事をしようとするのに。そういう意味合いで私は申し上げましたので、ぜひ会長以下気持ちを新たにして先ほど申し述べられたような決意でもって経営に当たっていただきたいということを強く要請しておきたいというふうに思います。よろしいですか。
  239. 島桂次

    参考人(島桂次君) こういう国会の重要な場所でそういう及川先生の御指摘を受けること自体がNHK会長として甚だ申しわけなく思っております。これからはこういう誤解をいささかも生まないような形で対処したいというふうに考えております。
  240. 及川一夫

    及川一夫君 失礼に当たる言葉もあったかもしれませんが、頑張っていただきたいと思います。  そこで、長期計画の問題についてお聞きしたいというふうに思うのであります。  まず、長期計画のねらいと特徴は一体何だろうということをお聞きしたいんです。というのは、私は経営委員長は当然出席されるものだと実は思っておったんです。というのは、五十八年までは経営委員長は出ているんです。五十九年からどういうわけか逓信委員会には予算審議の際であっても何でも要するに出てこない。郵政当局の皆さんにお聞きすると、それは本人の判断によると、こうなっているわけです。これは大臣よく聞いていてください。しかし昭和三十四年には会長さんも経営委員会のメンバーなんです。ところが、経営委員会役割と、実際に執行、実行していく、こういう意味の会長とでは責任の負い方あるいは役割が違うんじゃないか。ごちゃごちゃになってはいかぬからこの際分けようということで執行面の最高責任者は会長にして、経営全体についてどういう方向で進めていくかという点での責任といいますか役割を担うのは委員長と、こういうふうに決められた経緯があるということを私は聞いているんです。まだ速記録まで調べておりませんけれども、時間がなかったものですから。  ということになりますと、会長さんがおいでになるのは当然なんだけれども、経営委員長だって長期計画を示している限り能動的な意味でここで論戦に加わる、あるいは問題を提起していただいていろいろと言っていただく。さらには、それは我々素人ですからわからないことはいっぱいありますよ。しかし、その中には正論というものが間々出てくることが多いし、ちょっと理屈上おかしいなと思っても、そういうものを取り上げなければ公共放送としての役割を果たすことができないという問題も出てくるであろうし、少なくとも経営委員長としてはそういうものを聞くぐらいの態度があるならば、参考人としてはNHKの皆さんをお呼びするということに理事会でなっているわけですから、当然出ておいでになっているんじゃないかと思ったらおいでになっていないのであります。  もちろん、明日出てこいといっても、それは早くから言ってなきゃ、お忙しい人でしょうからさらりとは出てこられないでしょう。非常に残念だと私は思います。ひとつ経営委員長と話をしてほしいんです。今のところ郵政省としては本人の判断、自由意思にお任せしてありますという立場のようですから、ぜひ会長、このことを、そのうち僕はお会いしに行こうと思っているんです、いろいろお話もお聞きしたいし言いたいことがございますので。この点、会長いかがですか、むちゃな要求ですか。
  241. 島桂次

    参考人(島桂次君) 天野歓三さんは御存じのように朝日新聞出身のジャーナリストの方でございますから、当然国会審議の重要性ということは御認識されていると思います。きょうの先生のその趣旨はしかと私から委員長に伝えておきたいと思います。
  242. 及川一夫

    及川一夫君 それでは、会長の立場で結構ですが、長期計画のねらいと特徴、こういうことを要するに長期計画の中では訴えたいし言いたいし、これをやりたいんだということをひとつ端的に指摘していただきたいと思います。
  243. 島桂次

    参考人(島桂次君) 何と申しましても、たびたび申し上げておりますけれども、今放送を取り巻く環境というのは、ラジオの時代からテレビジョンに昭和二十年代の後半移りましたけれども、それの数倍、数十倍の大きな変革期にあると思います。我々も長い間ラジオあるいは地上波をやってきたわけでございますけれども、今や衛星放送だけではなくて、ハイビジョン、ケーブルテレビ、もろもろの技術革新が行われてまいりまして、極端に申しますと、特定多数を対象にする通信事業と、不特定多数を対象とする放送事業の境目まで考え方によってはなくなるような、まさに情報化時代が本格的に進み出しているわけでございます。その中で、今先生御存じのように日本放送というのは公共放送であるNHKと民間放送が併存しておりまして、お互いに競い合ってやっている、これは世界で最もすぐれている私はシステムではないかというふうに考えております。  しかし、いずれにしましても、こういった激動の時期の公共放送、これから先五年、十年NHKが日本で公共放送として国民の信頼にこたえるようなあり方を本当に続けられるかどうか、まさに根本的に見直さなければいかぬということで、今度の五カ年計画をつくるに当たっては、今まで我々が戦後四十年間続けてきました番組のつくり方とか金の集め方とかすべての面について、これ は一遍白紙に返してもう一度組み立て直さなければいかぬ、そのぐらいの必要性があるということで一万五千人の全職員の総討議、これから先のNHKをどうするかということを懸命にやったのもそういう危機感を私は持っているからやったわけでございます。そういうことを背景に私ども真剣にこれから五カ年間どうすべきかということをいろいろ考えて、最終的に経営委員会の議決を得た後、郵政大臣に提出したのが今度の五カ年計画でございます。  この中の一番やっぱり特徴的なことは、今までは日本においてはNHKと五つのキーステーションの民放しかなかったわけです。ところが、そこへ衛星放送だけでも八つもチャンネルの割り当てがある、どういうふうに将来なるか別としまして。それから、パッケージメディアも御存じのようにどんどん普及してきております。CATVもこれから恐らく日本ではアメリカのようにだんだん普及してくると思います。そういうふうに一つのテレビの受像機の中でいろいろなものが見られるという時代になってきますと、よほど今までの数倍、数十倍の努力を我々はしませんと今の聴視料制度は維持できない。それならば一体どうするかということは、これはもう我々にとって非常に難しいことではありますけれども、それでもなおかつ聴視料を払って公共放送を存続させてくれるだけの質の高い番組をどうしてもこれ出さなきゃいかぬということで、いろいろ具体的にはこれから順を追って説明申し上げますけれども、幾つか大きな項目を立ててやっていくことにしたわけでございます。  基本的なことを一つだけ申し上げておきますけれども、ちょっと先ほど先生の話も出ましたけれども、我々は当面、これから五年後どんな状態になっていくか、さっき言ったようなニューメディアの状態が。これはなかなか想定しづらいので、現在のところは最小限度五年間は現在の放送規模、テレビの持っているチャンネル、音声波のチャンネル、今の仕事をベースにしていきまして、それで特に衛星放送の普及とかハイビジョンの進展のぐあいによってはNHKの適正規模というものを我々NHK自身もこれは考えなきゃいかぬ。もちろん、この問題については国会議員の皆さん方、郵政省その他でもいろいろ議論があるところはよく私も承っておりますけれども、そういうことも我々は考えつつ、私は一年ごと一年ごとに、いろいろそれまで進展した、先ほど衛星放送の普及問題でもありましたけれども政府あるいは国会皆さん方と相談しながらこれからやっていかなければいかぬなと。  いずれにしましても、五カ年計画というのをまとめましたのは、たびたびここ二、三年間、国会皆さん方の附帯決議として、NHKはできるだけ長期にわたってひとつデッサンを描けという御指示がありましたので、私どもとしては今まで三年ごとの云々ということを改めまして、本当は七年、十年先のあれも見通したかったのでございますけれども、とてもそんな先のことはわからぬ、最小限度五年間のことについてやろうということが今度の五カ年計画のプリンシプルといいますか基本的な考え方になっているわけでございます。
  244. 及川一夫

    及川一夫君 そうしますと、今のお話を事例でずばりと言いますと、とにかく衛星放送というものを基軸にして定着をさせてハイビジョンというものの実施に、それからそれが商業化されることになっていくんでしょうが、そこにNHKの何か今後の運命をかけるというか、そういうことを描いて今の長期ビジョン、十分ではないけれども、そういう道筋の中の五年間である、こう受けとめてよろしいですか。
  245. 島桂次

    参考人(島桂次君) ハイビジョンという技術は、これはまさに放送にとって画期的な技術でございまして、モノクロテレビからカラーテレビになった数倍以上のインパクトを持つメディアでございます。したがって私は、これはいつごろになるかまだ見通しついておりませんけれども、十年、二十年という単位で考えれば、モノクロテレビからカラーテレビに移ったように、いずれハイビジョン時代というのは本格的に来るというふうに考えております。ただ当面は、このハイビジョンというのは放送だけではございません、このシステムの利用できる範囲は映画制作とか印刷とか、あらゆる分野にこれは利用できます。そういったことと並行させながら、少なくともこの五年間は、ただいまやっております衛星を通じて、一時間実験放送をやっておりますけれども、そういうものを通じましてハイビジョンのまずソフトづくりの本格的な態勢に入っていきたい。  つまり、番組制作というのは一日でできませんから、これはかなりの期間が、これはもう人間がつくる仕事でございますから要りますので、放送面ではそういうものを積み重ねる準備期間である。将来もし本格的なハイビジョン時代が来れば、それに対応することは当然のことながら我々考えなければいかぬ。そういう意味では、今及川先生いみじくも準備期間と言いましたけれども、ハイビジョンについてはそういうつもりで今いろいろ取り組もう、こう考えておるわけでございます。
  246. 及川一夫

    及川一夫君 確かに、ハイビジョンの問題は放送だけではありません、会長のおっしゃるとおり大変なインパクトを与える技術だというふうに私ども思っています。それこそ兵器の技術にまで発展をしていくわけですから、応用されていくわけですから大変です。だから、NHKがヨーロッパで、あるいはアメリカでハイビジョンはぜひともNHKのものをと、こう呼びかけましても、ヨーロッパでも気がついたしアメリカでも気がついて、おれのところで自主的にやると。ソ連まで気がついたのかどうか知らぬけれども、ソ連はうまくいきそうだったけれども、うまくいきませんでしたね。これから長い道のりですから、外交は多角的にそれこそ粘り強くやらなきゃいかぬので、いつかはそういう時代も来るのだろう、こう思っております。それだけに、国内でもハイビジョンという言葉を聞いただけでNHKはやり過ぎじゃないかと。技術の開発はいいけれども、一体どこからどこまで占有するつもりだというふうに、ここから飛躍するんです。私は飛躍だと思っている。だけれども、警告を発するときには飛躍的に物を言うた方が警告になるんです、という意味で現状を私は受けとめています。  そういう意味合いで一つ考えてまいりますと、衛星放送運営では五年間で五百九十四億、二年に三百六億であったものが五百九十四億になるというふうに資料で示されています。ところが、僕が見逃がしたのかどうか知りませんけれども、幾ら探してもハイビジョンの五年間というのは出てこないんです。要するに元年が五十五億で、二年が八十八億八千万だというのは見えるんだけれども、五年後一体ハイビジョンにどのぐらいお金をかけるのかということについてはどうも僕は見当たらなかったので、もしあったら教えてください。
  247. 尾畑雅美

    参考人(尾畑雅美君) 会長の発言を補足いたします。  今後の五年計画の中では、やはり三千万以上の地上放送の受信者が一番多くて、衛星放送、ハイビジョンはまだ普及発達の段階でございますから、地上放送の充実刷新に一番お金をかけさせていただきます。これについては項目が必要とあれば私から御説明いたします。  ハイビジョンについてどのくらいかけるかという金額を申し上げます。  今後の五カ年間の中でハイビジョンにかけるお金は四百八十七億円でございます。今お願いしている平成二年度予算の中では六十二億円かけるということでございます。
  248. 島桂次

    参考人(島桂次君) 関連してちょっと補足説明させていただきます。  ただいま尾畑理事が申し上げました数字は一応聴視料の中から予定している財源でございますけれども、先生御存じのように、ハイビジョンは映画制作とかもろもろのことで共同研究をしたり共同開発をしたり共同利用することによってかなりのある種の金がNHKの中に入ってくるという側面もございます。したがって、これは最大限という、聴視料から一応何もなかった場合にこれだけということでございますから、実際にはもうちょっと少なくて済むんじゃないかという感じで今おります。
  249. 及川一夫

    及川一夫君 ここから先の議論というのはなかなか難しいんだけれども、ただ、長期計画が立てられていますから、一体行き着く先はどんな形なんだろうなということをやっぱり考えさせられるのですね、NHKのあり方の問題を含めて。  例えばということで出すんですけれどもアメリカの場合に、放送衛星を飛ばさないでおいて、通信衛星はありますから、あれを使って要するにテレビ放送をやっているわけです。州によって違うけれども、多いところでは七十二チャンネルなんというのがあるわけです。少なく見ても三十チャンネルぐらいあるんじゃないでしょうか。どれがどこの放送かわけがわからぬ、我々が行ったのでは。それほどチャンネル数が多いということなんです。先ほどの会長の発言の中に、せっかく八チャンネルもらったのだ、衛星ということで、今は2bだと、あるいは3a上げても3b上げても二チャンネルは二チャンネルだと、あるいは三チャンネルは三チャンネルだということになるわけですが、その八チャンネル、あるいは今使っている衛星だって出そうと思えば地上でチャンネルの多数化というのができるんじゃないか、そういう技術を持っているんじゃないかというふうに僕は聞いているわけです。  ですから、日本でもアメリカのように七十チャンネルとか三十チャンネルというふうに技術的にやろうと思えばできるということになってくると、ますます一体日本列島全体を対象にしての放送という問題、放送にもいろいろあるけれども、そんなような状態にまで我が国は変わるのだろうかというようなことがちょっと頭に浮かぶわけです。  ところが、ヨーロッパの方へ行きますと、チャンネル数は我が国よりも少ないんです。放送時間も限られています。ましてや二十四時間放送などというのはごくごく少ないんじゃないでしょうか。そういう状況から言うと、アメリカとヨーロッパでは大分違う。じゃ我が国はどういう選択を、長期的に見て行き着く先ということなんですが、するのか、この辺は余り責任ある答弁というのはできないと思う。しかし何かお考えがあったら聞かせてくれませんか。
  250. 島桂次

    参考人(島桂次君) 今のアメリカにおける現状は、もう先生御指摘のとおりですが、さらにつけ加えますと、最近は放送衛星の計画もどんどんできつつあります。したがって、アメリカはさらに多メディア時代になっていきます。それからヨーロッパも、これは伝統的にテレビというものに対する見方が今までは日本アメリカと違いまして、スポーツでもあるいはエンターテインメントでも現場に行って見るというような傾向が非常に強かったので、西側のヨーロッパでもチャンネル数が少なかったわけでございますけれども、今やマードックとかマックスウェルとか世界的な放送事業家がヨーロッパへ乗り込んで、これはやがてアメリカと同じ様相になってくるんじゃないか、現在アメリカよりはおくれておりますけれども。  したがって日本もそういう時代になってくる。つまり簡単に言いますと、今までは我々が放送をつくりまして、こういうものを皆さん方に見てください、これがいい番組です、これがいいニュースですと一方的に見せたわけです。ところが、多メディア時代というのは、受け取る側、つまり聴視者の側が必要な情報をいつでも好きな時間に見られる。スポーツであろうがニュースであろうがエンターテインメントであろうが、エンターテインメントは映画を見たければ映画、劇場中継を見たければ劇場中継というわけで、限りなく専門波化していくという時代になってくる。日本の場合、これが十年後か二十年後か三十年後か、にわかにわかりませんけれども、大きな流れとしてはそういう方向に向かっていくんじゃないかという、これは私個人の見解でございます。
  251. 及川一夫

    及川一夫君 できる技術というものを野放しにして何でもやろうやということになったらそうでしょうね。私も認めます。しかし、今度は政治の問題、政策の問題、国民生活の問題としていずれにしても考えなきゃならぬことですから、それでいいということにはなかなかならぬだろうと私は思っているんです。しかし、これから先は先の先の話ですから。  いずれにしても、そういう問題というものが含まれて、またそういう議論があってこの長期計画というものは、ただ単にちょっかいを出しただけのものもあれば、準備段階というふうに大きく言えるものもあれば、もう実用化しているというものもあればということで長期計画が組まれているというふうに私は理解して、これから先も勉強して間違いのないようにしていきたいものだというふうに思っております。  それだけに、会長にお願いしておきたいのは、技術的には可能だからといってどんどこどんどこね、それから出てくる陰の要素があるわけでしょう、マイナス要素。生活にこう影響する、産業にこう影響する、しかし生産性は上がる。陰の部分を全然手当てをしないうちにぼんとやってしまうと後でふき掃除が大変だということになりかねない問題ですから、随時この計画を執行していく中で問題を感ずれば問題を提供してもらう。いろんなNHKが発行している資料あるいはまた雑誌みたいなものがありますね、そういうものを通じてでもいいし、場合によれば逓信委員会の機会にでも、こうなりますよ、こういう問題点がありますよということで会長から示唆をしてもらってもいいんじゃないか、こういうふうに思っておりますから、ぜひそういう角度で長期計画を執行していく上に当たってはお考え願いたいということを要請しておきたいと思います。  次は、ハイビジョンが、あるいは衛星放送が象徴的なんですけれども、どちらにしても研究費がかかっていますね。それで、NHKが使う研究費というのはやはり受信料と、こういうことになってまいるわけであります。ただ、私の見た感じでは百億以内の研究費のように見えるんです。その限りではそう大きくないのかなと思ってみたりするんですが、しかし、受信料だけで研究をする、そしてでき上がったそれこそ技術あるいは実用化に向けての一つのハードの面、そういうものとかソフトといわれるものが今度は民間活用ということになっていくわけです。そのときに一体どうなのかなと。受信料でやって応用するのは俗に言う民間だというようなお話になるわけだけれども、別にただとっているとは思わないが、受信料じゃなくてむしろ研究段階に民間だって金を出してもいいじゃないかと。当然、今現在もやってはいるんだろうけれども、どの程度なのかということを含めて現状についてお知らせ願いたいと思います。
  252. 島桂次

    参考人(島桂次君) 実際のところ、もちろんつい数年前までは我々は公共放送として放送法の命ずる技術開発、そういう形で我々が研究したものはほとんど公開に近い形でやっていたわけでございます。  ところが、ハイビジョン、こういうものの開発というような時代になってきますと、かなり研究費もかかってきますし、単にほかの、それを利用する方の一方的な利益にだけなってしまうということは、これは避けなければいかぬということで、取り得る最小限度の特許料的なものは、これを取る方針に切りかえてきております。現に、日本国内でもアメリカにでも、ハイビジョンにつきまして我々はある種の特許権の申請を既に行っております。  そういうものを利用される方からはやはり利益還元をいただかなければいかぬと。それは聴視料の方へ還元してくるというシステムを我々は考えて今既にもう実行しておりますので、これから開発する技術については、これは商業ベースではなくて、やはり聴視者の金で開発したものは聴視者に返すという範囲の中で、これもまたある種の節度が必要でございますけれども、その節度の中でそういうことを今既に実施しているわけでございます。
  253. 及川一夫

    及川一夫君 この点、放送局長、同じお考えですか。
  254. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 最近はNHKも技術の指導料であるとかいうような形、特許料であるとかいうような形で技術開発の成果を国民に還元する、世界にも還元すると申しますか、そういうふうな姿勢でやっておられますし、我々もそれは歓迎すべきではないかと思っております。
  255. 及川一夫

    及川一夫君 にわかに法律の話になって恐縮だけれども法律上は問題ないんですか、放送法関係
  256. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) それは、受信料で賄っておりますのが収入の九七%でございます。ですから、今会長さんがおっしゃいましたのも現時点では非常に微々たるものでございます。その副次収入というもののあり方といいますのは、大変これもまた重要なことでございます。しかしながら、根本は受信料を中心にした財源でもって賄っていかなきゃならない、これは申すまでもないことでございます。先ほども会長さんの方からお話がございましたように、やはり受信料をもとにして研究開発をした成果でございますし、それらを還元するという意味では大変結構なことではないかと思います。
  257. 及川一夫

    及川一夫君 考え方はわかりました。  そこで、山田委員の方からも出ましたが、民放連のNHKの商業化についていろいろ申し上げました。どうなんですか、郵政省という立場から見て、NHKと民放というのがあるけれども、民放の皆さんはNHKの商業化ということについて非常に問題にされる、これをどっちにひいきするじゃなしに公平に見て、NHKの今の行き方というものは郵政省としては肯定できる、だから民放の皆さんもう少し落ちついてもらいたい、かくかくしかじかではないかというような立場に立っておられるのか、それとも問題意識を持っておられるのか、そこを聞きたい。
  258. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) この民放連の見解でございますけれども、まず第一には、NHKと民放の並存体制、これは堅持していただきたいということでございますし、我々は、これは大変重要なことでございますし、今後とも堅持していただきたいと思っております。  それから、事業の範囲と申しますか、メディアの見直しというようなことも含まれた見解が述べられております。これは私どももメディアの見直しということで今後とも早急に検討を進めてまいりたいと思っております。この点では一致しているわけでございます。  さらにまた、商業主義へ走るなというようなことでございますが、これは節度のあるということが大事ではないかと思っております。NHKと民放が共存していく、いわゆる併存体制と申しますか、そういうものは大事なことである、そういうふうに我々は理解をしているわけでございます。
  259. 及川一夫

    及川一夫君 私は、批判があるということは非常にいいことだと思っています。その限りでNHKなどに常に批判の目があるということは一つの活力になりますからいいことだと思うんですが、しかし、誤解と誤解がぶつかり合って、それで何となくメディアの食い争いみたいな形になることは好ましくないと私は思っております。そういう点で私なりに物を考えなきゃいかぬと思いますが、NHKも大変な今事態だと思っておりますから、郵政省もその点を重視されて対応されるようにお願いしておきたいと思います。  次に、長期計画に基づく収支予算という観点に立つんですが、五年間総括をしてみますと、三年間はいずれにしても黒ということで計算されております。そして四年目、五年目が赤字だけれども、ため込んだものをそこへ持っていくから五年後はプラス・マイナス・ゼロだと、こうなっているわけです。  これを我々検討するといっても、資料がいっぱいあるわけじゃないから、いいとか悪いとかいってもしようがないとは思うんだが、ただ、私なりにちょっと素人くさい分析をしてみますと、収入の面で見るなら、当然元年から見て平成二年は新料金でいくんですから八百三億ぐらいぼわっと大きく収入は入ってくる。二年目、三年目になるとそれが五分の一ぐらいに落ちて百八十三億ぐらいのふえ方になる。三年、四年、五年、六年と、こういきますと大体六十億、六十三億、六十億、これが増収の部分になってまいるわけです。契約数がどのぐらいになるかということを想定してのものですから、八百三億を見ておかしいじゃないかなんというようなことは言いません。  これに対して支出の方を見てみますと、元年から二年には三百七十六億支出がふえる、こうなっています。そして二年から三年は三百二十億、次は二百五十三億、二百三十六億、二百六十九億、こうなっているわけです。それを今度はふえていく増収部分、それとの比較をやってみますと、収入よりも支出の方のふえが多くなっていると。どういうことなのかなというふうに感ずるわけですよ。皆さんの方が計算されているんだから別に作為はないんだろうと思うけれども、この辺、とりわけ最後の六年度、それに五年度、ここが赤になっていく、そして今までため込んだやつを全部そこにつぎ込む、こういう計算になっていることについて一体どうなんだろうと。  もちろん、そうなっておっても一年ごとに節約目標を立てたり、あるいは効率を上げるための目標を掲げてやるんでしょうが、二百四十億予定しておっても、それが三百五十億ぐらい残るかもしらぬという点も現実の問題としてはあり得ると思うんですけれども、とんとんにしているんですから、何か私から言うと少しラフがあるんじゃないかというふうな感じがするんですが、どうですか。
  260. 尾畑雅美

    参考人(尾畑雅美君) 先生御案内のように、NHKの長期計画または三年計画というものはその期間内に収支を相償する、つまりとんとんの計画を立てます。私どもは、そういう事業支出それから事業収入の計画を立てました。  これにつきましては、理由はたくさんございますが、一番大きなのは、もちろん物価それから放送のソフトの値上がりというものが、これが非常に大変なものでございます。内外のソフトが三〇%から物によっては三倍とか五倍とか年々上がってまいります。そういったものにつきましてはNHKはいろいろな仕組みを講じてこれは克服してまいります。それは一概に申せませんけれども、いろいろな仕組みをやっていきます。それから、今まで六年間聴視料を抑えてまいりましたので、設備の更新が非常におくれております。日本の各企業が設備投資をやっておりますけれども、七千七百カ所の放送所の設備が老朽化、陳腐化しております。そのものについても更新しなければなりません。それから人件費も抑えてきておりますから他の主な企業に比べて差がだんだん広がってきております。そういったものもやりますと、支出につきましては平均六・七%、五カ年の伸びは平均六・七%伸びていきます。  ところが収入の方は、これはテレビの受信世帯がほぼ行き着くところまで行き着いておりますから、これから相当もう我が社はこの受信者の伸びについては経営を挙げて努力してまいります。全力を挙げて努力してまいりますが、平均〇・七%の伸びということを見込まざるを得ないという現状でございます。  その中で、先先が御指摘のように、この計画はこういうふうに立てさせてもらいますけれども、実情に応じて毎年見直しをしていきます。そして毎年詳細にその内容につきましては御報告いたしますし、経営努力についても詳細に御報告をいたします。それは郵政大臣と会長から御説明したとおりでございます。そういったことをやってまいりますので、御理解をいただきたいと思います。
  261. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  では次に移ります。先ほども山田委員が問題にしたんですが、衛星の安定化の問題です。何遍も言うようで恐縮だが、会長もそれは死に物狂いの気持ちでしょう。またそうならなきゃおかしいですね、どう見ても。現実には今2b一機が遊泳しているわけですから、他の機械はないという現状の中でなかなかこれは大丈夫だと言い切るのは難しいんですが、しかし先ほど会長は、まず来年一月までは大丈夫だと、こう確信を述べられました。ですから、それ自体については触れません。  ただ、危ないという意味合いを含めて言えば、2Xを購入して打ち上げということをしたわけですが失敗しました。もちろんこれは会長の技術的な責任があるなどということは言うわけにいきません、会社の問題ですから。しかし、そう言いながらも、二十七億とは言いながらということが前提になって、一体どうなんだろうと。これは無理があったのと違うかと。私は百四十五億の衛星を購入してくるという議論に参加していますから、そしてあの機械はちょっと安過ぎるんじゃないかと。昔から安物買いの銭失いという言葉がある、どうなんだろうということで、盛んに会長に食い下がった経過がございました。  それで、いや絶対大丈夫、こう言われたんだが、実は2Xには私は物すごいこだわりがあったんです、口では言えない。ある意味では神がかったかなというふうなぐらいに思っておった。それでなかなか打ち上がらない。何でだと聞いたら、いやNHKだけの機械じゃない、ほかの民放がもう一機くっつけて打ち上げるんだ、その民間関係通信機械が作動しない、だから打ち上げられないんだ、我が方は大丈夫なんだと。こういう説明があったから、しようがないなと思っていたけれども、なかなか宣言をされたとおりに上がらない。やっと二月二十三日打ち上げという御報告がございました。そのときに私は、冗談紛れなんですけれども、上がるんですかと聞いた。いや絶対大丈夫、こう言われたわけです。上がることは上がるけれども、ドドーンと落ちるんじゃないですか、こういうふうに言ったらそのとおりになってしまった。だから冗談もこれは言えないな、そういう気持ちであの事態を実は受けとめたわけです。  さて、会長さんはどうなさるのだろうというふうに思っておりましたら、これはうわさですから、記者会見で早速探してまた打ち上げるというお話をされたというんだけれども、えらいむちゃなことを言うな、どこから金を持ってくるんだろうと。なるほど百億ぐらいは残りましたね、保険を引けば、あるいは成功報酬というものを除けば百億ぐらい確かに残っていますよ。しかし、これは百億で買えるわけがないですよ。しかも、やると言ってみても今どこにあるんですか、世界じゅう探して。つくらせると言っても一年そこそこでできるんですか、一カ月でぱっとできるんですかということを言ったら、会長もそんなのはできないとおっしゃったでしょう。  だから原則的には2bにかけざるを得ないというのが現状ですね。ここのところは僕はもうやむを得ない選択だと思うんですよ。我々も議論に参加しているんですから、道義的という言葉がついたとしても、やっぱり有料をやっているんですから責任を感じます。だから思いは同じなんです。  そこで、今後どうするかの問題なんですけれども、3bというのは前に持ってくることはできるんですかできないんですか、これを聞いておきたい。
  262. 島桂次

    参考人(島桂次君) ただいまの先生の御発言の中で若干誤解されておる面があるのでちょっと釈明させていただきますけれども、何か安過ぎるから悪かったということは、これはそういうものではございませんので、ロケットというのは国産に比べて大体三分の一の価格で上がるわけでございます。したがって、あのアリアンの値段というのは、これは世界的に常識になっている値段で、決して安く値切って云々ということではありません。  私は、やはり基本的には放送事業者として仮に、一〇〇%近く私はBS2bは大丈夫だと思っています。思っていますけれども、例えばことしの夏に上げる3aだってこれは危険があるわけです。ですから、3aが上がらなかった場合に、先生がおっしゃるように3bを何とか繰り上げられないかということで、これはNECと、アメリカ側との共同でやるわけでございますけれども、これも随分NECの社長を私は追いかけ回しているんです、一日でも繰り上がらぬかと。ですけれども、これはなかなかその当該責任者、日米両方とも3bを大幅に繰り上げるということは現在のところ不可能なような感じがいたします。そうしますと、やはり2Xにかわる補完的な何かがなければ、私ども放送事業者として責任ある衛星放送の展開ができないという考え方は2Xの失敗前と現在と変わっていない、そういう趣旨のことを2Xの失敗後私は記者会見で申し上げたわけです。  しからばそういうことが可能なのかということで、今中村技師長と技術担当の大川理事アメリカ、ヨーロッパに交代で行ってもらって、今から一年後ぐらいに上げられるものがあるかどうか、それを至急今調査している最中でございます。もし仮にあった場合は、これまた郵政省初め政府当局と国会皆さん方にお諮りして、こういうものがあったけれどもいかがするかという御相談もやってみたい、こういう気持ちで今いるということでございますので、何とぞ御理解のほどをお願いしたいと思っております。
  263. 及川一夫

    及川一夫君 一番しまいの方はともかくとして、本当に可能なんですか、ここが僕はわからないわけです。仮に一年後で3aのほかに、2X的なものがあったとしても、要するに三月でしょう。2bは一月で寿命、こう一応原則的になっているわけで、3aが上がってもなおかつ二カ月ぐらいは単独でやらなきゃいかぬという事態であることは間違いないんです。  本当にこの問題、2bが一〇〇%いいとおっしゃるんだが、じゃ言い切ったがだめだったということになったときには、どちらにしても衛星放送はストップするわけでしょう。ストップしたという事態を考えたときに一体どうする気なのか。これはNHKだけの問題じゃない。政府だって一つの見解というか、踏み切りというか、そういうものを想定せざるを得ないでしょう。私はそうあってほしくない、あなたもそうでしょう。しかし相手は機械ですから、何ぼコンピューターが立派だといってもやっぱり障害は起きているんですよ。NTTが何ぼやってみてもやっぱり障害を起こしています。だから、機械であるだけに僕は一〇〇%なんということは本当は言えないはずだと思うが、しかし、まあいいですよ、会長がおっしゃられたんだから、その限りにおいて信頼をします。  しかし、これがとまったときのことを想像すると、ある意味ではパニックみたいな状況になりはせぬか。そのときのことを考えてどうするんだということは我々自体だって何か考えておかなきゃならないのじゃないかというような気がしてしようがない。だから、その打ち上げることを考えることもいいんだけれども、それこそそのときには衛星放送事業の根本まで問われかねない、そういう事態が必ず出てくるわけですから、それに対して我々がどういう見解を持つかということも非常に私は大事な問題だと思うんです。今、いつ上がるかという、機械のいじりっこじゃないんですね。衛星放送が、会長がおっしゃられるようにNHKの死命を制すというものになっていることも事実だし、これがあるからNHKはやっぱり構造的な赤字なんだというふうに言われているんじゃないですか。  先ほど衛星は百四十五億、安くない、立派なものだ、こうおっしゃる。結構ですよ。だけれども、そう言われてしまうと、今度我々素人の場合には、何で国内で七百八十五億もかかるんだと。今まで七百億という数字以下で打ち上げた衛星なんてないじゃないか。それはもう時代におくれているから高いんだと言われてしまえばそれまでだけれども、それならもう国内ではやめてしまって全部アメリカ製品、ヨーロッパ製品でやったらどうだなんというような議論が必ず出てきます。だから、百四十五億が悪いんじゃなしに、余り急ぎ過ぎると、それで、あったからそれっというふうなぐあいでいいのかどうか。アメリカでは安いの安いの結構だけれども、しかし間々あったんですよ。あれも経過があるんじゃないですか、会長。あれは別にNHKのためにつくったんじゃないんです、あの衛星は。どこかに売ろうとして、契約も成り立って、それがちょっとした理由で契約が破棄されてたまたま残っておったものでしょう。機械が悪いとは言いませんよ。しかし、そういう経過をずっと整理してみますと、やはり我々は衛星という問題に対して真剣に取り組んでいかなきゃならぬことは事実だけれども、何か考えるところがないのかなと、反省するところがないのかなということを実は私は感じているわけです。責めるつもりはありませんけれども、慎重に対応すべきじゃないでしょうか。
  264. 中村好郎

    参考人中村好郎君) 先ほどから2bの安定度の問題が話題になっておりますので、私の立場から若干技術的な問題で恐縮でございますけれども、ちょっと御説明しておきたいと思います。  2bは来年の一月に寿命が切れるわけでありますけれども、これはあくまで予定でございますけれども、ほぼそのころだろうというように機構の方から連絡を受けております。それで、なぜ大丈夫かということでありますけれども、先生御存じのとおり、2bは打ち上げましてから約四年たっておりますけれども、その間いろいろな故障が起きてまいりました。しかし、今現時点ではこれらの故障もほぼ出尽くしたというように、毎日のデータかち大体そういう感じで我々は今受け取っております。  それから、特にこの2bが弱かったのは、衛星の状態を知らせてくるテレメトリーと言っておりますが、テレメトリーの回路が非常に不安定でありましたけれども、もしこれが不幸にしてダウンしたときに一体どういう運用ができるのかということについても、今までの五年のデータの蓄積によって、あるいは地上電波の受信状況によってこれを、言葉は悪いんですけれども何もない状態で運転をするような方策を今機構とNHKとの間でいろいろシミュレーションをやっておる、こういう状況でございます。そういう意味では、この2bの絶対安定に向けてまずできる範囲のことを、できる範囲の方策をいろいろな手だてを考えて、こう起きた場合にはこうしよう、こういうときにはこうしようというようなことは一方では万全の対策としていろいろ今考えておるところでございます。  そういうことをベースにして、あと、食と言っておりますけれども、現在食に入っておりますけれども、食期間中も極めて安定に働いておりますし、食は今度は秋の食、これをもって最後になるわけでありますけれども、そういう経過はありますが、そういうことでほぼ満足に寿命を全うしてくれるだろうというように思っておるところでございます。  それから、先ほどから補完衛星を探しておるという話が出ておりますけれども、これについては確かに新規に設計を始めますと最低一年半から二年かかるわけでございます。したがいまして、まず現在いろんな衛星メーカーで持っておるものの中で日本の規格に改修可能なものがあるかどうかという観点でいろいろ調査を進めておるところでございます。  それから、あわせてロケットにつきましても一つ問題があるわけでございまして、これもアリアンロケットあるいはアメリカ等のロケットについていろいろ検討しておるということでございますが、結果がまた具体的なものとして出次第、先ほどから会長が申し上げておりますように御報告をしてまいりたいというように思っております。
  265. 及川一夫

    及川一夫君 2bの状況はわかりましたが、これは一応来年の一月寿命と、こういっても一月何日が来たらぱたっととまるわけじゃないんでしょう。そういう意味では、うまくいけば半年とか、あるいは三カ月ぐらい延びて使えることもあり得るわけです、今一〇〇%と言っているんだから。そういうふうに僕は理解してよろしいですか。  それともう一つは、3aは予定どおり八月に上げて十一月から運用と、この線は変わりないですか、作業が間違いなく進んでいますか。
  266. 中村好郎

    参考人中村好郎君) まず、2bの寿命の問題でございますけれども、これは先生が今おっしゃられたとおり、寿命が来たからすぐどこかへ行ってしまうということではありませんので、自然の流れの中に沿ってこう浮いておるわけでございますから、若干その周辺における電波の強さ、例えば北海道でありますとか小笠原でありますとか、そのままほうっておきますと少し電波が弱くなっていくという状況は当然出てくるわけであります。それを今強制的に姿勢制御しているわけでありますけれども、これが燃料がなくなりますから自然にだんだん周辺から悪くなっていく。これは、2aが既におととしに寿命が来ておりまして、寿命が切れた後のいろんな電波の強さ等をはかっておりますが、そういうことからいいますと、日本のほとんどの範囲をカバーするのに約二カ月くらいは大丈夫だろうというようなデータが2aでは得られております。  それから、3aのスケジュールにつきましては、私の方が機構を通じてNASDAの情報として得ておるところでは、ただいまのところ八月打ち上げのスケジュールでいっておるというように聞いております。
  267. 及川一夫

    及川一夫君 そういう御説明があると2bに対して確信めいたものがじわじわと出てくるわけです。会長からもそういう話があると疑いばかりかけぬで要するに済んだわけですよ。どちらにしても、会長だって素人なんだから、素人同士の議論だからある意味じゃおもしろいといえばおもしろいんだろうけれども、非常に現状一生懸命やられていることは認めます。ないよりはあった方がいいわけでしょう。しかし、そちらの方でいろいろなものを探してくるのもいいけれども、技術者の英知を使って今の2bをどうやって長生きさせていくか、補完させていくかということを3aとの関係でも考えるというぐらいのことがやっぱりなければいけないと思ったら、当然お考えになっているということなので、一応この問題は理解できましたからやめますけれども、ぜひ不幸な事態にならないように一層ひとつ努力していただきたいということを申し上げます。  本日の最後になろうかと思いますが、労使関係の問題についてお尋ねをしたいと思います。  私も一言一句きちっと読めばいいのかもしれませんけれども、この長期計画の中には私の感じではどうも労使関係の問題とか働く労働者のことについて触れているところはないように実はお見受けしたんですが、会長、これはいかがですか。
  268. 植田豊

    参考人(植田豊君) 先ほど来御説明いたしておりますように、NHKの経営努力、各面にわたって努力をいたす決意でございます。中でも要員にかかわる経営努力が相当重要な要素をなしておるわけでございますが、あるいは組織、業務体制を見直してなるべく効率的な業務体制をとっていく、この辺も極めて重要な経営努力の一環でございます。これらにつきまして労働組合の理解と協力なしにできないことは申すまでもございません。従来とも昭和五十五年にスタートをいたしましておよそ二千人の要員の削減を実施してまいりましたが、すべて毎年労働組合と十分協議しながら今日に至っておるところでございます。今後とも労働組合と十分協議しながらこの経営努力を進めてまいりたい、かように考えてございます。
  269. 及川一夫

    及川一夫君 それはいいんですけれども、長期計画の中で字にして何か書いてありますかということを聞いているんです。
  270. 植田豊

    参考人(植田豊君) 職員の処遇に関しましてNHKとしては十分努力をしてまいりたい、経営計画の中で、さように考えてございます。
  271. 及川一夫

    及川一夫君 どうもあなたのお気持ちだけ出て、書いているか書いてないかということについてお答えがないのでちょっと困るんだけれども、会長が提案した中には三行半ぐらい書いてあるんです。  それはそれでいいんですが、私がなぜそんなことを言うかというと、やっぱり長期計画というものについては、ある意味では労使が気持ちを合われてやりませんとなかなか成功しないんです。ましてや効率化の問題なんというのはいろんな問題が出てくるわけですから、そういう意味ではどうしても話し合いというものを基調にして、それで事業運営していくというふうにいたしませんと絶対に成功しない、こういう気持ちなんです。  それと同時に、経営者の皆さんが盛んに効率の問題に触れられているんだけれども、それはそれで結構です。  ただ、NHKの現状というのが飛びはねて要員が多いのか、賃金も高いのか、労働時間はどうなっているんだろう、端的な例でやってみますと、少なくとも日本民間放送年鑑とか、あるいはまた民放連の研究所発表の営業収入伸び率などの見込みとか、そういったものを並べてみますと、そんなに不当なことをやっているわけではないんですね。むしろ数字だけ言うなら少な目なんです。それで収入の方は別になっていますね。だから私は、言うべきことはきちっと言って対応しないと、労働者はみずからの生活の糧を求めて働いていることは間違いないし、もちろん技術屋は技術屋、営業屋は営業屋として仕事に誇りを持って一生懸命やろうとしていることは間違いないわけですから、家族を含めての話ですから、何かNHKの労使関係だけ一生懸命削減することだけ考えておるなんというのは大体おかしいんですよ。  そういう意味でも、例の女優さんとか俳優さんとかの出演料というのがありますね。あれなんかも、三分の一だとか二分の一だというようなことを私見ました、だから改定しなきゃいかぬということは。それも賛成ですよ。NHKは公共放送だから何もかも控え目にしなきゃいかぬというものではないと思うんです。私はやはり国民に対する見返りとの関係で、その辺はいいか悪いかという判断をされるんだと思うんです。その辺はきちっとやはり自信を持ってやるべきではないのかというふうに思っているんです。これは会長が言えばきれいな言葉が返ってくるはずだと思うけれども、どうですか、お考えを聞かせてください。
  272. 島桂次

    参考人(島桂次君) 先生御指摘の問題については、この五カ年計画をめぐりまして労働組合とは密接な連絡も協議も何回か重ねてきております。その結果合意に達した計画でございまして、具体的には今植田専務の方から説明申し上げます。
  273. 植田豊

    参考人(植田豊君) 一言補足をお許しいただきたいと思います。  従来ですと、この種の計画をつくります際には、経営としてまとめまして結果について労働組合に相談をする、協議をするということ、そういう形をとってまいりましたが、今回は昨年の秋以来労働組合と今後のNHKのありようについて協議をしてまいっておるという事実がございます。  それからもう一つ、先生御指摘のように、NHKの仕事はまさに人材によって支えられている、機械をつくる会社ではございませんので。その意味で私どもは、今回の全体の計画の中で、創造性というものを大事にしよう、一方能率性を大事にしよう、両面相伴って初めて今後のNHKを支えるんだ、かような覚悟で取り組んでまいりたいと思います。
  274. 及川一夫

    及川一夫君 現場の人の姿勢としては僕はそれはそれでいいと思うんです。ただ、私が一番先に触れましたように、この長期計画の中で労使関係がとらえられないというのは情けないことだと思うんです。この辺になってくると特に僕は経営委員長に言いたいんです。私は経営委員長で、そんな下々のことは関係ないなんというような、そういう経営委員長では私は非常に困ると思うんです。我々の目の前にあらわれるのは、何といっても長期計画が出てきているんだから、その中でどういう位置づけをしているんだろうと、労使関係の問題は。それが全然ないという、歯牙にもかけない、書いてあるのはみんな効率ばかりだと。そんな姿で働けと言っても、民放の人たちだって頭にくるんじゃないですか。僕はそういうものだと思うんです。  ですから私は、経営委員に十二名の方がおられるそうですが、そういう方々もそういう感覚を持たなければ事業経営というのはやっぱり成功しないんだということを私はぜひわかってもらいたいと思うんです。恐らく個別の話やったら、そうだそうだと言うに違いない。だって間違っていないもの。現場は関係ないと、私らが勝手に決めればいいんだ、そんな発想でできるはずがないんですから。そういう点、これは別に会長に責任があるとかそういう意味じゃないんです。経営委員会皆さんがその点に気づいて、またそういう感覚を持ちながらこういう長期計画というものを立てたのか立てないのかということを私は声を大にして言いたいんですね。議論としてありましたか、ありませんでしたか。
  275. 島桂次

    参考人(島桂次君) ただいま御指摘の点は極めて重要な問題でございまして、放送というのはやはり人間、これを確保しなければできないわけでございますし、先生御存じのように、NHKの給与がほかの民放、新聞社に比べて甚だ低いという現状もございます。したがって、この五カ年計画の中では、少なくとも民放の平均的な給与を受けられるようにやはりしなければいかぬということで、それで具体的な計画をいろいろ今既に立てているところでございます。  ただ一つ、私が組合の皆さん方に申し上げているのは、やはり公共事業といいますか、これにありがちな効率の悪さというものをできるだけやっぱり排除しなければいかぬと。十人でやる仕事を七人でできる工夫はないかと。  それからもう一つの点は、技術が非常に発達してきますと人間に置きかえられる部分というのはかなり出てきておりますし、現に今NHKのニュースセンター、これは世界に誇る設備を持っているわけでございますけれども、かなり今までの人間と数が違った形で運用できると。そういうことで、実質的にはある程度数を減らすということは当然考えております。しかし、その減った分、数を減らすだけではなくて、その仕事をする人の給与を上げていくということもこれは同時になければ当然いけないわけでございます。したがって、具体的な数字は後でまた説明申し上げさせてもいいんですけれども、最終的にはこの五カ年の間に民間放送、新聞社その他との給与が余り差がないように持っていこうということできちっと組会側とも話し合いができているわけでございます。
  276. 及川一夫

    及川一夫君 それ以上のことはよろしいでしょう。ぜひ労使間で話し合っていただければいいと思うし、また経営委員会でも一つの話題にすべきだというふうに私は思います。  特に、会長が触れられました受信料という体質からくる効率とか、そういう観念の薄さという問題、これは郵政大臣、僕はNTTでも感じているんです。大体NTTというのは三十万人ぐらいおったはずだと。そのときの仕事に対して見合った数字が三十万だとすれば三十万要るはずだと、仕事はふえているのか減っているのかと言ったら、ふえている。それなら三十万が三十三万になってもいいじゃないか、理屈を言うとそうなる。ところが、どういうわけか仕事がふえても要員は減らしていっているわけですよ。俗に言う効率です、それでやれて別にサービスはダウンしていない、サービスを上げているわけだ。これを考えますと、一体何でだろうということになるんです。大体NTTの要員なんというのはNTTが勝手にいって大蔵省と折衝してぱんとできるものじゃないんです。仕組みとして、郵政省と協議をして、郵政省の承認のもとに大蔵折衝をやりながら、最終決定をいただいて、郵政大臣のもとに閣議決定をしていただいて国会に提案する、こういうやり方でしょう。その権威ある要員が民間化されたらどんどん減っていっているわけです。行革ではこのことが私は言われているような気がしてしようがない。民間になればそうなる、公社職員ならそうならない、ふえるばかりだと、ここなんですよ。だから私は、今までやってきたことがいいとか悪いとか、そういうことを言うつもりはないんですけれども、会長がいみじくも言われた点、確かにこれは非常に大事な点ですから十分労使間で話し合って、この五カ年計画を成功させるためにやっぱりやるべきだというふうに思っているわけであります。  私は、途中であれすると面倒になりますから、きょうはこれでやめさせていただきます。
  277. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 以上で本日の質疑は終了 いたしました。  次回は明三十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会