○
参考人(島
桂次君) ただいま議題となっております
日本放送協会の
平成二年度収支予算、
事業計画及び
資金計画につきまして、御説明申し上げます。
平成二年度の
事業運営に当たりましては、高度情報社会における
視聴者の多様な要望にこたえて、地上
放送の充実刷新、海外への情報提供の強化、
衛星放送の一層の普及促進に努めることにしております。
しかし、財政的には収入の増加及び経費の節減などの経営努力を図ってもなお極めて厳しい状況にあります。
こうした状況を打開するため、協会は、経営全般にわたり抜本的な見直しを行い、さらに、広く
視聴者の意向を吸収するとともに、外部有識者による提言をも踏まえ、一層創造的で能率的な
運営を目指すことを基本にして、
平成二年度から五カ年間の経営計画を策定いたしましたが、新しい
放送の時代における公共
放送としての使命を果たすためには、やむを得ず、
平成二年度から受信料の改定をお願いしなければならないことになりました。
新しい受信料額は、訪問集金において、カラー契約は千三百七十円に、普通契約は八百九十円に、衛星カラー契約は二千三百円とさせていただきます。また、口座振替につきましては、従来どおり訪問集金から五十円減額いたします。
なお、沖縄県につきましては、特例措置を継続して、本土に対し、百五十円を軽減することにいたしております。
次に、
平成二年度の主な
事業計画について、御説明申し上げます。
まず、建設計画につきましては、
衛星放送設備の整備を進めるとともに、
放送番組充実のための機器の整備を行うほか、老朽の著しい
放送設備等の取りかえを実施することにいたしております。
次に、
事業運営計画について申し上げます。
国内
放送におきましては、
国民生活に必要不可欠な情報など多様な番組を編成するとともに、特別編成を随時、機動的かつ集中的に実施するなど、公共
放送の使命達成に徹し、公正な
報道と豊かな
放送番組の提供に努めてまいります。
また、
衛星放送につきましては、国際情報を中心に魅力ある番組を編成して、一層の普及促進に努めます。
一方、諸外国の
日本に対する正しい
理解を促進するため、海外への映像情報の提供を拡充することにいたしております。
国際
放送におきましては、ニュース・インフォメーション番組や各
地域の特殊性に即した番組を編成し、
放送を通じて国際間の
理解と親善に寄与するとともに、海外中継を拡充し、効率的な受信の改善を行います。
契約収納
業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、新受信料額の早期定着と受信者の把握に努めるとともに、営業活動の刷新と事務の効率化をさらに推進し、受信契約の増加と受信料の確実な収納を図ることにいたしております。
調査研究につきましては、番組視聴状況等の番組
調査と、新しい
放送分野の
技術開発研究、
放送技術発展のための基礎研究を推進し、その成果を
放送に生かすとともに、広く一般にも公開することにいたしております。
以上の
事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり、
業務の効率的な
運営を一層徹底し、要員につきましては、年度内二百八十人の純減を行い、給与につきましては、適正な水準を維持することにいたしております。
これらの
事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、
事業収支で収入総額四千八百四十五億九千万円を計上し、このうち、受信料については、四千六百九十九億円を予定しております。これは有料契約総数において、三十三万件の増加を見込んだものでございます。
また、副次収入など受信料以外の収入につきましても、その増加に努めることにいたしております。
これに対し、支出は、極力圧縮に努め、国内
放送費などの
事業運営費、減価償却費、支払い利息など、総額四千四百八十億四千万円を計上しております。
事業収支差金三百六十五億五千万円につきましては、このうち、百五十億九千万円を債務償還に充て、二百十四億六千万円を翌年度以降の財政安定のため、繰り越すことにいたしております。
次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十八億円、
放送及びその受信の進歩発達に必要な
調査研究を行う法人等への出資に四億四千万円、
放送債券の償還等に二百二十九億三千万円、総額八百六十一億七千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、減価償却
資金、
放送債券及び借入金など、合わせて総額八百六十一億七千万円を計上しております。
なお、受託
業務等特別勘定においては、収入五億二千万円、支出四億三千万円を計上しております。
最後に、
資金計画につきましては、収支予算及び
事業計画に基づいて、
資金の需要及び調達を見込んだものでございます。
以上、
日本放送協会の
平成二年度収支予算、
事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の
事業運営に当たりましては、協会の
事業が
視聴者の負担する受信料により
運営されていることを深く認識して、一層効率的経営を目指すとともに、すぐれた
放送を実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める
所存でございます。
委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御
審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。