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国務大臣(
奥田敬和君) 今日の
状況、
現状認識においては、各
省庁の皆さんも含めまして
認識は全く一致しておりました。それはこのままでは大変なことになる、
都市機能は麻痺寸前であるという
現状認識においては全く一致しておるということであります。そして
試案が発表されて、いろいろな形での反響があったように聞いております。ただし、これだけははっきり言っておきますけれ
ども、私のところには
業界も含めて
反対の
意見はありませんでした。それは
現状認識があって、あいつのところへ
反対に行ってもどっちみちだめだろうというような
認識であったのかもしれません。しかし、本当にそういった
意見はありませんでした。
ただ私は、この
法案は非常に各面において痛みを感ずるであろう、
現状において車庫なし青空
駐車が大変多いという実態事実、そして
駐車違反を取り締まってもそのほとんどが、八割以上がいわゆる公的に言えば違反状態である。しかもそのうちの三〇%近くが車庫なしという、いわゆる中間
調査ではそういった実態が出ておるという
現状。そして昭和三十七年にこの
車庫法がつくられてから二十数年間、これは幾ら御批判されてもいいです、
行政の対応がおくれておったという事実。昭和三十七年当時に軽
自動車はたかだか百万台、それが今日時点では十五倍、一千五百万台という実態に至るまで、この軽
自動車に関しては、いわゆる一
自動車一車庫という原則は当然車を持つ人の基本
認識にあるべきでありましたろうけれ
ども、現実にここまでふえてきたという実態。しかもその間軽
自動車に関しては野放し状態であった、法的には。こういったことを思うときに、それぞれ痛みを感ずる問題だな。つくった方が悪いとか売った方が悪いとか、売った方が共犯でこういった青空
駐車というものをやったといういろいろな批判がございます。
しかし、現実に今持っておる者、車庫を持とうにも持てなくて、そういった苛責に苦しみながらも現在の
車社会の
利便性、それだけに現実に持っておる
人たち、こういったこと等々を
考えるときに、これはみんなが痛みを感じている大変大きな問題だな。今度の
法案もあるべき理想的な
車社会秩序に向かっていくべき第一歩のスタートではあると思っております。ですけれ
ども、急に法だけで取り締まる形だけで果たしてそういうモラル改革、秩序改革ができるだろうかということも悩みました。そして、
業界も含めて、いわゆる乗っておるドライバーも含めて一
自動車一車庫という形の基本
認識を徹底させていく、そういった方向に向かっていく第一段にしなきゃいかぬ。
そのためには今日の
道路管理を持っておる、あるいは建築基準を担当している建設省なんかに積極的に参画してもらって、そしてこういった附置義務を含めての見直し、あるいは
道路の一部を
駐車施設に持っていくというような形のいわゆる法的
整備、あるいは先ほど御指摘がありましたように、運輸省が所管している
公共交通の
充実、公営
駐車場を含めての
公共駐車場のいわゆるパーキング、こういった
施策が総合的に一体化されていく
過程の中で、車庫なし車というのを、今度から新規購入されるときにはきちんとした対応をしてもらわぬと困る、社会的
責任というものもきちっと持つような形の中でやっていってほしい。
こういったいわゆる激変を緩和して、なおかつ将来に向けての
実効ある
車社会の秩序形成に向かっていくという形には、まあ
最初なまぬるいという御批判はあるかもしれませんけれ
ども、特に
東京、大阪という
大都市部の、全部が非常に厳しい情勢にあることはわかっておりますけれ
ども、特に
大都市部におけるこの問題から手をつけてひとつスタートを切るという形の中で、
国民の共感と
理解を深めていくことが大切ではなかろうか。
そういった点で、御批判を受けるような形になったかもしれませんけれ
ども、お互いに痛みを感ずる形だけに、そうかといって警察庁の取り締まりだけではとても私
たちの思っているそれはできるものじゃありません。各
行政庁の危機
認識に立った総合的な
行政の対応が必要である。そうすると、これから各
省庁もそれぞれの分野において
交通安全を含めて、
駐車場対策も含め
車社会の秩序形成の中にそれぞれ大きな
責任分担、応分の役割を
行政的に対応してもらえるだろう、スタート点でこういった形になったということをぜひ御
理解賜りたいと思うわけであります。