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政府委員(湯浅利夫君) 特別土地保有税につきましては、御指摘のとおり十分機能していないのではないかという御
論議がございます。昭和四十八年にこの特別土地保有税ができましたときには、もう先生御案内のとおり非常な全国的な土地狂乱ということで地価が上がり相当全国的に高騰した時代でございまして、この地価を何とか抑制しようということでできたのがこの特別土地保有税でございます。この際には、昭和四十四年以降に取得した土地については一定面積以上はこの保有税を課税するということで、これはその後に仮に有効利用いたしましてももうずっと永久に税金をいただく、非課税以外のものについては永久にこの特別土地保有税を課税する、こういう制度で発足したわけでございますけれども、昭和五十年代に入りまして地価が鎮静化してきたというようなこともございまして、昭和五十三年には免除制度という制度を新しく入れたわけでございます。
これによりまして、最初は特別土地保有税を課税されていても途中で土地の有効利用をした場合にはそこでこの保有課税を打ち切るという制度が、五十三
年度にできたわけでございます。その結果、途中で例えば建物を建てる、そういう建物を建てるような有効利用である場合はいいわけでございますけれども、よく最近の例にも出されます駐車場にするとかあるいは資材置き場にするというようなものが有効利用として認定されて、それが結果的に特別土地保有税の課税の免除につながってしまっているということが最近指摘されているわけでございます。もちろんこの駐車場にいたしましても資材置き場にいたしましても、これを恒常的に使う、あるいは恒久的な施設をそこに置きながらそれを使用しなければそれを認定しては困るという一般的な御指導はしたわけでございますが、具体的な認定は、これは市町村ごとに置かれます特別土地保有税
審議会というのをそれぞれの市町村に設置いたしまして、そこで有効利用しているかしていないかの認定をしてもらっているわけでございます。
その認定によりまして、これが有効利用だと認定された場合には特別土地保有税を免除する、こういう仕組みになっておりまして、今御指摘のような問題は、その認定の
段階で駐車場だとかあるいは資材置き場というようなそういうようなものが安易に認定されているんではないか、こういう
議論が最近非常に出ているわけでございます。建物をきちっと建てて有効利用しているというものが非常に大半ではございますけれども、中にはそういうものがある、それが非常に目につく、こういうような御批判を受けているということは事実でございます。そういうことを考えますと、この特別土地保有税というものを今回の土地税制の総合見直しの中で、そういう御批判というものにもやはりたえるような税制にしていかなきゃいかぬのじゃないかという
感じもいたします。
それから昭和五十七
年度の税制改革では、従来はこの特別土地保有税はある
意味では永久的に、一たん課税して有効利用しないと永久的に課税したものでございますが、これを昭和五十七
年度におきまして、十年間課税をしたらそれで課税は終わりにしようという
制度改正をしたわけでございます。これも、当時の地価の鎮静化の状況から考えますと、永久に特別土地保有税を課税するというのはまことに酷ではないかというような
議論が当時は非常にございまして、それを受けてそういうことをやったというこういう問題も、現在の
段階でこの土地の高騰の時期を迎えますと果たしてこれがよかったのかなという
感じもいたします。他の省庁からもこの十年課税をもうやめてくれないかというような話も既に
意見としては出ているところでございます。
逆にミニ保有税というような、首都圏におきます土地については面積は小さくても今度は課税しようという制度も昭和五十七
年度にはつくったわけでございますけれども、そういう
強化する面とそれからある
意味では緩和すると申しますか、そういう見直しが昭和五十年代において数次にわたりまして行われたという、そういう結果が
数字としては徴収猶予が多くなる、あるいは免除額が多くなるという
一つの原因になっているということは否めない事実だと思います。この点はそういう事実を踏まえて総合土地対策の中で、税制の総合的な見直しの中でよく御
議論をしていただくべき問題だろうというふうに考えます。