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政府委員(
尾崎護君)
所得税本法の
考え方といたしましては、長期譲渡所得いわゆる二分の一課税という
考え方がとられておりまして、譲渡による
収入の二分の一を総合して課税するという
考え方をとっているわけでございます。
そういう点からいいますと、今最高税率が
所得税で言いますと五〇%でございますが、長期譲渡所得四千万円以上の税率二五%ということでありまして、もともと二分の一課税という点からいいますと、いわば最高税率にそこは合わせてあるということで、
負担率を計算いたしますと、若干ではありますが、
所得税本法よりか分離の長期譲渡の方がやや税
負担が重いということになっているわけでございます。二分の一課税ということを前提にいたしますと、ややちょっと重目になっているわけでございます。しかしながら、この
負担水準がどうかということは、四月からまた土地
税制につきまして抜本的な検討を
税制調査会でしていただくわけでございますが、これは議論がいろいろ分かれるところではないかなと実は
考えております。
今回の土地問題につきまして、私
どもは
税制が補完的であるということを従来言っておりまして、大臣は、これは重要ではあるけれ
ども、わき役だという表現でおっしゃっておられるわけでございます。つまり、例えば保有を重くして譲渡を軽くするという形で土地の供給を
促進するようにというような意見がよく聞かれるわけでございますけれ
ども、他面におきまして、その譲渡所得を非常に軽くするということは、やはり土地というのは資産として持っていて、いざ鎌倉のときにそれを売ると非常に有利になる、逆に土地は非常に有利な資産だという土地神話みたいなものをさらに強めてしまうのではないかというような意見もございます。
こういうようなところ、保有課税の水準とあわせて譲渡をどうするかというのは、結局のところ、何を目的にするのか、土地の供給
促進を目的にするとか、土地の有効利用を目的にするとか、つまり導きの星を何にするかによって手段としての
税制が変わってくるわけでございまして、再々わき役であると言っておりますのは、その本体としての
政策をどういう方向にとるのかというのをはっきり決めるということが一番大切なことで、それは税の議論からは決まってこない。土地
政策全般、土地基本法をどのように具体化していくかという基本的な土地
政策の
考えで決まるというように私
どもは
考えておるわけでございます。
そこのところをしっかり決めていただきまして、それに合うような形で保有と譲渡の税率の水準等についてもまた改めて議論をしてみたいというように
考えているところでございます。