○沓脱タケ子君
大臣、今おっしゃった大変脆弱性を持っていることに対して対応するために、いろいろとあの手この手をお打ちになってこられた、このことが全部よくないと私申し上げてないんです。いろいろと御苦心を、御苦労をされておるということについてはよくわかるけれ
ども、新たな
制度をやるたびに国の支出が減るようなことがぐあいが悪いんじゃないか。せっかくいろいろ知恵を働かすんなら、もうちょっと金の方もちゃんとしてくれたらよかったのになということなんです。
というのは事実が示しているんですよ。例えば、
国民健康保険財政に占める
保険料等の割合というところを見てみますと、例えば五十八年は
国庫支出金は五六・一%であったのがどんどん減って六十三年度は三九・五%になっている。そして逆に
保険料は三六・〇%が三九・九%になっている。そして都道府県支出金、一般会計繰り入れ等が、これは三・七%が六・一%になっている。いろいろな施策をおやりになってきたけれ
ども、結果としてふえているのは
保険料という
国民の
保険料負担と
地方団体なんです。
政府の
国庫支出金というのは文字どおり減っているというところに問題がある。私はせっかく御苦労されたんだから、せめてこんなことにならないようなやり方というのが大事ではなかったかと思って御
指摘を申し上げているわけです。
ですから、時間余りありませんから多くを論じることはできませんが、そういうことになってまいりますと、例えば
地方団体とか
国民にはどういう
影響が出ているかということのほんの一、二の例を申し上げたいと思うんですよ。例えば
国保運営上の問題で、これはやっぱり
政府がこの間の
責任を負わねばならないであろうと思いますが、その
一つに、代表的なのは
退職者医療制度創設のときの
国保財政への
影響の問題でございますね。あのときに
加入者の見込み違いやということで大問題になって、そういうことの結果、五十九年度からどかんと赤字団体が急増したというのは、もう皆さんも御
指摘のとおり、
数字も示されております。
例えば、私、大阪府の資料をたまたま見せてもらいましたが、これによりますと、六十二年度には
国保特別
交付金で見込み違いの差額の全額を、全国で一千八億円を補てんするというてなさったんですよ。ところが、それまでの累積の、例えば大阪府の集計によりますと、
影響残高というのが二百十五億円なんです。全部始末しますと言われた一千八億円の大阪分というのはわずかに六十四億ですよ。こういう
影響というのが出ているわけですね。ですから、こういう被害というのは実際黙って辛抱しておるわけですよ。
また、今
安定化計画の中で
地方自治体がどのようなことになっているかというのをちょっと申し上げておきたい。その
一つに大阪府下の門真市というのがあります。これは元年度
安定化計画の指定市です。ことしもそうなったのかもわかりませんね。ここの町というのは非常に低
所得層が多くて、
所得百五十万までが五〇%、三百万までが七七・八%なんですね。しかも
医療費の水準が非常に高いために
保険料は六十二年度の大阪府の平均よりも三〇%高い。これは私、
前回にも一遍触れたところのある市でござますけれ
ども、あのときのデータを見ますと、最高限度額の支払いをしている世帯というのは約四分の一ある。そういう
状況になっておるわけで、
保険料の収納率が悪いわけです。
昭和五十二年に九〇%を下回った。それ以来ずっと八〇%台しか収納率を上げることができない。そこで、どういうことをやっているかといったら、これは
厚生省の御指導だと思いますけれ
ども、夜間、日曜に大変な徴収
努力をしておられます。
やっているデータの一部を
大臣にも持ってもらったらと思ってお見せいたしましたが、これは昨年の三月四日の日曜日、一日だけのをちょっととって申し上げてみますと、三十八班、これは
国保や年金課だけでは間に合わないので、各課の管理職、そういう方々を先頭にして三十八の班をつくって、訪問件数一日で千三百七十六件回った。面談できたのが五百七軒、留守やその他で五百七件しか会えなくて、そして滞納処分をしたのが百十四件で、動いた人たちの一班
当たり二百二十四万六千四十円集めてきた。一班
当たりの徴収金額というのは五万九千百六円。こういう涙ぐましい
努力をしているわけです。これは門真市だけではありません、東大阪市でもやっています。
そこで、行ってみて、管理職先頭に行ってますから
状況がよくわかるので、面談した世帯を色分けして感想をまとめた。納付不可能と思われるという家庭がそのうち一九%。一部ぐらいは納付できるなと思えるのが四九%。それを合わせたら六八%は支払い困難だ、こういうことが明らかになっておるわけです。それは納付力があると思うけれ
ども、納付をしないというのも約三〇%ありますからね。しかし、ここまで来ているというのが
状況です。
こんなに血の出るような苦労をしながら必至になって徴収をする。
医療費を押し下げるためにということでレセプトは全部外注をする。
医療費通知は年に四回やる。一生懸命にやっても、どないも格好つかぬというふうな
状況まで来ている。何でこんなにかんかんになってやるかというたら、
厚生省の通達によって、大体
保険料の収納率によって普通
調整交付金が左右されるわけですね。ここは一般被
保険者五万人以上の町でありますから、八・〇%台というんだから、大体一〇%ぐらい減額される。だから一%でも稼ぎたいということでかんかんになってやるという事態が起こってきている。
これは私、時間があれば多くのことをこれに関連して申し上げたいですけれ
ども、時間がありません。だから、
関係者は
国保の問題では対
政府との関係、大阪府との関係で、特にこの指定された
市町村では本当に死に物狂いという
状況になっているわけです。かんかんになって集めに来られるものだから、市民にとっては日曜日も夜間も安心しておられないんですね。いつ集めに飛び込んで来るかわからぬという
状況まで来ているんですよね。それで、納めなかったら
保険証はもらえないから、病気になっても病院へ行けない、それはまあひどいことになっていますわな。役人が見て徴収不能と思うのが全部それじゃ
安定化計画で減免対象になっているかといったら、なってないんですよ。これはまあ言う暇ないから、なってないということだけ申し上げておきましょう。
もう
一つ考えなきゃならないのは
国民の動向です。現在、任意
給付というのがありますな。これも時間の都合があるのでたくさん申し上げられないのは残念でございますが、任意
給付に助産費、葬祭費、傷病手当金というのがありますね。健康
保険の場合はこれが出ている、全部ね。ところが、これと同じようにやっている
国民健康保険というのは全国皆無じゃないかと思います。あったら言ってください。これは助産費だって健康
保険、
政管健保でも最低が二十万。葬祭費が十万でしょう。
国民健康保険は葬祭費は一万から三万五千円ぐらい、それで助産費が十万余りでしょう。傷病手当金が非常に強い要求がある。傷病手当金は難しい言うてお出しにならない。
そこで、私はせめて、少々問題があろうとも入院に限って傷病手当を出す必要がありはしないかというふうに思うんです。
財政的にそんな余裕はございませんという返事が来るであろうと思います。もう返事聞きませんけれ
ども、そういう
状況だから、
国民はみずから自衛をせざるを得ないというところへ来ているんですよ、そのことを申し上げたい。
実は、生命
保険に関する全国実態調査結果の概要、生命
保険文化センターの一九八八年十月、これの資料を拝見しまして驚きました。大体入院した場合の保障というのは、世帯主が入院した場合、差額ベッド、付添看護、それから交通費、健康
保険診療の範囲外の費用として必要な資金は月額二十六・二万円要るというのが一番多いというわけですね。それで世帯主が入院したときに大夫丈か不安かというのをとっているんですね。
〔
委員長退席、理事
糸久八重子君着席〕
不安感を抱いている世帯が七割近く。その結果どうなっているかというと、生命
保険の入院
給付の契約件数というのが何と恐ろしくふえていますね。
昭和五十四年、疾病の入院
給付のついた
保険に入っている人が二千三百一万人ですわ。それが六十三年度は四千七百九十七万人、二倍にふえておる。私、この
数字見てびっくりしましたよ。細かく申し上げられないのは残念ですけれ
ども、これ
大臣どう思いますか。私はこんなもの、基本的には公的保障に対する不十分さの結果、これは
国民の不安感、自衛策、こういうことだと見なきゃならないんじゃないでしょうか。
大臣、御見解いかがですか。