○
参考人(
加藤真代君) 座ったまま失礼いたします。主婦連合会の
加藤真代でございます。
私ども主婦連合会というのは、四ツ谷の駅の前に昔婦人たちが、私どもの先輩が
自分たちのお金を持ち寄って会館をつくりまして、そこに事務局を置いております。創設は昭和二十三年、ここの参議院議員を昔しておりました奥むめおが呼びかけて、台所の声を政治にということでスタートした、
消費者、婦人、平和問題を取り扱っているボランティア
団体でございます。
私がきょう私の会からこちらに出るようになりましたのは、恐らく、私
自身地域の
消費者グループの活動をずっとこの十七、八年やっております中で、昭和五十四年から五十八年、地元の埼玉県の小市の商工会で、先ほど
菊地参考人からお話の出ました
商業活動調整協議会の
委員をさしていただきまして、昭和六十一年からこの大店法の、東京都二十三区の商調協の
消費者委員としてお役を務めさしていただいているからではないかと存じます。
お
手元に、先ほど
菊地参考人が簡単に御
説明くださいました調整
制度の仕組みの流れのうち、これがまた大変複雑で商工業者の皆さんも非常に悩んでいらっしゃる、わずか二十一条の大店法に対してもう大変通達が多い、その中のごく一部、これは
一つの東京の場合の大型一種の店舗の場合の仕組みでございますが、これはもっと時間をたくさんとって
実態を先生方に知っていただければと思って、とりあえずお流しだけいたしました。
先ほど
山本参考人の方からも、調整法で許可、認可ではないという
言葉がありました。それから、いろいろと新聞やなんかでこの大店法は許認可業務のような書かれ方をしている記事なども見まして、私は
消費者の立場でずっとこの大店法に対し
て、
消費者団体というのは本当にたくあんから原発までと言われるほど生活を守るためにいろんなテーマと取り組んでいるわけですが、この大店法に関しては、お
手元に簡単なレジュメを差し上げましたが、法の第一条の
目的を読みますと、
消費者の利益を確保するということも書いてあるわけですね。こういうことから見ると、なぜ
消費者利益になるか。
消費者利益
消費者利益ということが非常にいろいろなところで言われるんですが、じゃ
消費者利益とは一体何なのかということになってくるわけですが、この大店法に関する限り、
消費者の利益について業者さんが配慮してくれるということになるわけですね。じゃ、
消費者は商調協に出て
意見を言えばいいし、あるいは不服があった場合は、商調協の前のところの事前
説明というのがあるんですけれども、この事前
説明のところが非常に長くなっているようで、それは地元の
小売業者さんたちに対して出店御希望の
大型店さんがいろいろと交渉事をするわけですが、そこのところに
消費者というのは入っていないわけですね。だから、結局
消費者利益といいましても、法のところでいくと、
大型店もできる、それから昔からの非常に親切でフェース・ツー・フェースでゆっくり会話のある地元の商店さんも生きていくという形で、
消費者がこの自由主義経済の中であちらこちら
自分の好みに応じて、多少高くてもあのおじさんの顔を見たいから行くという店が
消費者にとってはあってもいいし、ただやたらと安かろう悪かろう、あるいは安かろうよかろうのお店が大きいところであれば、それはそれでまたいいというふうに、選択の自由、選択の幅が確保されるということでこの法律の
目的というんですか、第一条が書かれていると思うんですね。
ですから、もし
大型店が来ることによってこの程度の人口のところでは小さいお店はみんなつぶれてしまうんじゃないかというふうな心配が出てきた場合は七条で、大店審と私どもは通称言っていますが、そこのところで大店審が地元の商工会なんかの
意見を聞いて勧告することになっているわけですね。そのときに、法律の中では商調協という
言葉は全然出てきてないものなんですね。
本当は、大店法というのは、素直に読めばもっと行政庁がきちんと仕事をするべき法律なんですよ。それを、まあ悪口を言ってはいけないですが、ここはざっくばらんにお話ししていいという先生方からのお勧めがあったのでざっくばらんに申し上げますと、行政庁が少し横着をなすって、それはよく言えば民間の活力にゆだねるということかもしれないけれども、地元の商工会や商工会議所にこの事務を委託してしまっているわけですね。そこで、大店法がありながら、一方で外にもう
一つの調整の仕組みができてしまって、そこが力を持ってしまっているわけです。
ですから、私ども
消費者がそこでかかわる場合は、商調協という商工会議所の中に設けられた仕組みの中に行って物を言いましても、結局業者さんの
意見の中に吸収されてしまうわけですね。本当に
消費者も一人前に、出店者や地元の前からいらっしゃるお店屋さんたちと平等のテーブルで論じられる場というものはないわけですね。そこにも書きましたけれども、書類が出てくる前に事前
説明というのが地元との間で、出店
説明の
段階でいろいろ利害の調整がおありらしいが、そういうことは私たちには知らされないわけですね。大店法は、本来ならば一種の
競争政策としての行政庁の公平な関与があって
消費者の利益が確保されるというふうに、素直に読めばそう読める法律なんですね。ですけれども、いつの間にか外れたところで、商調協あるいはそれ以前の事前
説明、出店
説明というのでしょうか、そこのもみ合いのところで既に
実態ができてしまうというところに大きな問題があるんじゃないかと思うんですね。
そのときに地元の
消費者というのはどうしているかというと、蚊帳の外ですから白けている。たまたま婦人会の中に商工業者の方の奥様なんかがいれば情報を漏れ聞くという感じなわけですね。ですけれども、
日本全国広いものですから商調協の運営については非常に
実態がばらばらです。
私はたまたまこの東京でかかわらせていただいているわけですが、私の主婦連合会で地方の
委員さんなんかしていらっしゃる方たちとよくいろいろな情報交換をするわけですが、例えばこういうことで商調協の場に行きましても、もう既に業者間の同意書が見せられているのだからそこで何を言っても
消費者の声というのは生かされないので非常にむなしいとか、それからこんな大きなお店ができるんだから駐車場はどうなんですかなんて言うと、もう非常にあんた非常識なという顔を地元の商工業者さんからも出店者側からもされる。それはなぜかというと、例の調整四項目にはないわけですね、車の問題は。しかし、地域に住む人間にとっては、大きなお店ができて車が出入りするということは、子供を連れて出入りしたり足の悪いお年寄りが出入りするについては非常に大きな関心事だから、そういうことは聞きたいわけですね。しかし、調整四項目には入っていないから相手にされないんです。
しかし、東京の場合はそういうことは非常に紳士的に、駐車場や時間延長による労働者、特に私どもは婦人の立場でパートの人の労働シフトの問題なんかも聞きますと、できるだけ好意的にあるいは前進的に出店者側も努力するというようなことを言ったり、またそのように答えさせるように商工会議所の方も答えが、答えというか質問をちゃんと生かしてくれますが、地方によってはもうそういう
意見すら出させてもらえないという商調協の
実態もあるわけです。あるいはすべてのことが終わってから商工業者から、例えばここにお店ができるというのにうんと向こうの小さな商店街の人から内部告発の電話が
消費者の代表のところにあって、あのときはお金取り過ぎだったよ、お金と言ってごめんなさい、何か取り過ぎだったよというような電話が入ることもあるというんですね。そうすると、共存共栄の
実態というものは一体何だったのかというような疑問を
消費者としては持つわけです。
大型店ができて周りがつぶれちゃったり、あるいは周りで残ってもその方たちが殿様商売になってしまったという地方の場合もあるわけです。それは明らかに既存店が商売を投げやったんだというふうなことが見えるときもあるんです。
消費者が支える限りやはり小さなお店はずっと頑張ってもらいたいというようなこともあるわけです。ですから、必ずしも
消費者が冷たくするばかりではなく、業者さんの方も勝手に
消費者を時にはそでにすることもあるという
実態は知っていただきたいわけです。
それで、その商調協の
委員では
消費者代表とか学識者の代表というのも出てくるわけですが、その中身というものも時々疑問を感じることがあるわけですね。例えばある地方では、老人会の代表で、これは高齢化社会の
消費者の一群だからということで出されるけれども、その方はタクシー会社の社長さんでほとんど買い物なんかなさらないような方だったり、随分昔ですけれども、
消費者だからといって行政マンであるところの
消費者センターの
所長が
消費者代表になっていたといったような。ですから、やっぱり大店法の今の運用の
実態というものをもっとつまびらかに大勢の方たちが見ていただきたい、地域ごとにどんなふうであったか。それからどうすればいいかということになっていくんじゃないかと思うんです。
私
自身、公正な判断をする材料づくりに少しでもお役に立てば、それはいい業者が伸び、私たちもそれによる利便をこうむるのでと思って、地域の
消費者の皆さんのお役に立てばと思って参加さしていただきましたけれども、先ほどから申し上げましたように、業者間調整の場に第三者の
消費者が出ていっても余り影響力が持てません。例えば東京の場合、二十三区という非常に広域でもって
一つの商調協が構成されていますから、いわゆるローカル調整という
言葉で言っていますが、さっきの出店
説明のところですね、商調協に上がってくる前のところで、東京都の場合だったら労働経済局の
流通産業振興課が所管していらっ
しゃるのですが、そこにおいて事前
説明に地元の
消費者をかかわらせてはいないわけですね。
それでは、せめて
消費者行政の方の
意見なども聞いてあげてくれているか。我々の代弁をしてくれる弁護士的存在という感じで
消費者行政、これも延々とした婦人たちの長い運動の結果、昭和四十三年にやっと
日本でできた
消費者保護基本法という法律ですが、この法律によって
消費者保護をする範囲というのは決まっていて、大店法に関しては
消費者保護の行政官庁が出る幕がないわけですね。ですから、東京の場合でもこのローカル調整の場に
消費者の声は出ていないわけです。この流れ図の中では、一応地元
小売業者や地元
消費者が
意見を出すことができるようにはなっていますけれども、実際問題、例えば出店したいという業者があるエリアにおいてその
意見表明が地元のどなたにでも、
消費者でも
小売屋さんでも卸屋さんでもみんなが見えるようになって、それがいいか悪いかという公論ですね、みんなの世論が起きて、そしてそれが商調協で審議されるというような仕組みにはなっていないということを非常に不満としているわけです。
先ほど申しましたけれども、調整四項目でカバーし切れない点が非常に多いので、そこのところも、私たちただ買い物人間として地域に存在しているだけじゃなくて、やっぱり
商業家庭の人とともに、それはもう長い御近所のつき合いもありますから
商業家庭の人々とも共存したいし、それから私たちの夫たちが
スーパーに勤めさせてもらっていることもあるし、主婦連といいましても仲間は別に専業主婦だけの集まりじゃない、昼間働いている人も大勢いますし、そんなことでパートに出る御婦人も私たちの仲間、
消費者ですから、そういう方たちが、いろいろな
形態の人が十分満足のできるように、地域が非常に平和的に住める、そしてこの町は私たちの町だという、安心して子供が育てられて年寄りが生きていかれる町の中で私たちがこういう
商業状態がいいねとみんなが納得するような、もっと透明度のある法の運用になっていってもらいたいと思うんです。
そのためには、先ほども申しましたように、商工会議所や商工会さんは非常に御努力をなすって
消費者の
意見を聞くように努力していらっしゃるかもしれないけれども、まだまだ
消費者から見ると、まだまだというよりはそれはむしろ無理なこと、
消費者も平等の参加をさせていただくには無理な場だというふうに思いまして、やはりもう一度大店法を素直に読んで、その法の運用を行政庁が努力の中でやっていく。例えば
商業集積の
実態と人口動態、それで現在の見きわめをし、将来像を見てこういう
数字はどうですかというふうに、だれが見ても客観性を帯びた出店が認められる、認められない、それがもっと本当に明るくみんながわかるところでやっていってもらいたいものだ、そんなふうに思うわけです。
そのことは行政官庁、はっきり言ってしまえば通産局と、それから余り利害が生々しくない、地元の市町村というよりは大きな県単位ぐらいですね、そこのあたりがきちんとした客観的データ、このごろは先ほどの
小山先生みたいな学者さんもたくさんいらっしゃるわけですから、いろんな
数字を客観的に出せる方法はあると思うんですね。そういうところと、それから先ほど申しました、私たちがみんな住みやすい地域をつくっていくというための環境づくりと活発な市場と、そういう多面的な検討の場を改めてやっていっていただきたい、そんなふうに思うわけです。
まあこんなことはないと思いますが、くぎを刺す
意味でお願いしておきたいのは、今の商調協をもし法律の中に位置づけてしまうと大店法の変質につながる。それは今よりもむしろ規制の強化になったり、あるいは客観的判断から考えられるのではなくて、地元と出店者の調整をする法律になってしまって、今でもおかしいと
外国がもし言うならば、そういうものが政府のお墨つきになってしまう。そういう
意味で、そこのところだけはぜひ私ども
消費者としてはしてもらいたくないと思うわけです。
消費者の利益というのはお題目にやたらと使われては困る。むしろ実質的に本当に
消費者利益というのは何なのかということを考えていただきたいわけです。私たちはやはり、反射的に大業者さん、小業者さん、お役人が考えてくださる結果として得べき
消費者の利益ではなく、
消費者もそこに参加させていただいて、自律的に獲得させていただく利益というふうに持っていっていただきたい、それをお願いするわけでございます。
何か大変私どもの声は生活レベルで具体的なものですから、ちょっと失礼なことがあったら
菊地さんにも
山本さんにもお許しいただきたいんでございますが、そんなふうに考えております。よろしくお願いいたします。