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1990-07-31 第118回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年七月三十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤 三吾君     野別 隆俊君      近藤 忠孝君     林  紀子君  七月九日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     勝木 健司君  七月十六日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     橋本孝一郎君  七月二十六日     辞任         補欠選任      野別 隆俊君     梶原 敬義君  七月三十日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     田渕 哲也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         糸久八重子君     理 事                 陣内 孝雄君                 竹山  裕君                 山口 哲夫君                 常松 克安君     委 員                大河原太一郎君                 鈴木 貞敏君                 西田 吉宏君                 守住 有信君                 青木 薪次君                 梶原 敬義君                 村沢  牧君                 渡辺 四郎君                 林  紀子君                 井上 哲夫君                 田渕 哲也君                 秋山  肇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  佐藤 守良君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        防衛庁防衛局運        用課長      宝槻 吉昭君        防衛庁教育訓練        局衛生課長    南澤 孝夫君        国土庁防災局長  鹿島 尚武君        外務省経済協力        局技術協力課長  飯村  豊君        国税庁徴収部徴        収課長      山本 智譽君        厚生省社会局施        設課長      松本 省藏君        農林水産大臣官        房参事官     長良 恭行君        林野庁指導部治        山課長      弘中 義夫君        水産庁漁政部協        同組合課長    森永 正彬君        中小企業庁計画        部計画課地域中        小企業振興室長  小林 憲明君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部監理課改革推        進企画官     藤井 章治君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部保安課長    高重 尚文君        郵政省電気通信        局電波部基幹通        信課長      清水 英雄君        建設省河川局河        川計画課長    定道 成美君        建設省河川局治        水課長      日野 峻栄君        建設省河川局開        発課長      豊田 高司君        建設省河川局防        災課長      佐々木賢一君        建設省河川局砂        防部砂防課長   松下 忠洋君        建設省住宅局民        間住宅課長    小川 忠男君        自治大臣官房参        事官       長澤 純一君        自治省税務局府        県税課長     中里 清敏君        消防庁消防課長  中川 浩明君        消防庁防災課長  神林 章元君    参考人        日本電信電話株        式会社常務取締        役電話事業サ        ポート本部長   寺西  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (平成二年六月二十八日から七月三日にかけての梅雨前線豪雨による災害に関する件)  (九州豪雨災害対策に関する件)  (国際防災協力に関する件)  (消防団活性化対策に関する件)     ─────────────
  2. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、去る六月二十八日から七月三日にかけて発生いたしました九州地方豪雨災害により亡くなられました方々に対して、御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷をお願いいたします。    〔総員起立黙祷
  3. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 黙祷を終わります。御着席を願います。     ─────────────
  4. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 委員異動について御報告いたします。  去る六月二十七日、佐藤三吾君及び近藤忠孝君が委員辞任され、その補欠として野別隆俊君及び林紀子君が選任されました。  また、去る二十六日、野別隆俊君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。  また、昨三十日、橋本孝一郎君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     ─────────────
  5. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会日本電信電話株式会社常務取締役電話事業サポート本部長寺西昇君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。竹山君。
  8. 竹山裕

    竹山裕君 去る七月十二日と十三日の二日間、糸久委員長常松理事守住野別渡辺、林、勝木秋山の各委員及び私、竹山の九名は、九州地方豪雨災害の実情を調査してまいりましたので、以下、その概要を御報告申し上げます。なお、田代、沢田、梶原、中野の各議員現地で御参加されました。  まず、大分竹田市に入り、大分県副知事竹田市長等から被害概況等を聴取した後、竹田市の被災地を視察し、次いで、熊本阿蘇町、一の宮町の被災地を視察した後、熊本県庁で副知事より被害概況等を聴取いたしました。翌日は、福岡高田町において、福岡県知事高田町長等から、被害概況等を聴取した後、同市内及び山川町の被災地を視察いたし、次いで佐賀県庁知事より被害概況等を聴取した後、北方町、武雄市、鹿島市の各被災地を視察いたしました。  六月二十八日ごろから七月三日にかけて九州付近を通る梅雨前線活動が活発になり、九州及び四国地方大雨となりましたが、特に七月二日の夜明け前から昼過ぎにかけて、九州中北部各地で四百ミリを超える局地的な集中豪雨となり、甚大な被害発生したものであります。  大分県におきましては、死者五名、重軽傷者三十七名、住家全壊六十棟、半壊七十九棟、床上浸水五百八十五棟、床下浸水四百六十四棟に上り、また、施設関係被害額は、公共土木施設二百四十三億円、農地農業用施設百二十八億円、商工関係百六億円等、総額五百七十五億円となっておりますが、被害竹田市周辺に集中しております。  また、熊本県におきましても、死者十六名、重軽傷者二十八名、住家全壊百一棟、半壊百二十三棟、床上浸水三千二百棟、床下浸水四千三百六十三棟に上り、施設関係被害額は、公共土木施設三百四十三億円、農地農業用施設百四十一億円等、総額七百十四億円となっておりますが、被害阿蘇地方に集中しております。  さらに、福岡県におきましては、県南部中心被害発生し、死者四名、重軽傷者十九名、住家全壊十六棟、半壊等百四十四棟、床上浸水千三百七十棟、床下浸水六千六百七十四棟に上り、施設関係被害額は、公共土木施設七十二億円、農地農業用施設六十三億円等、総額百七十八億円となっております。  また、佐賀県におきましても、佐賀白石平野の低地帯中心県内各地被害発生し、死者二名、重軽傷者十四名、住家全壊十五棟、半壊十五棟、床上浸水四千六百六十七棟、床下浸水二万千百二棟を数え、施設関係被害額は、公共土木施設百三十三億円、農地農業用施設二百十四億円等、総額五百二十五億円に上っております。  なお、被害額はいずれも調査時点での数字であり、今後、調査が進むに従って増加する見込みとのことでありました。  次に、視察いたしました主な被災地状況について申し上げます。  大分竹田市では、六月二十九日から七月二日までの連続雨量が四百五十七ミリと、昭和五十七年の三百二十八ミリを超える記録的な豪雨となり、市街地を流れている稲葉川と玉来川がはんらんし、濁流とともに流れ出した流木で橋や家屋が壊され、道路も寸断され、孤立状態となったとのことであります。今回はんらんした稲葉川は、八年前にもはんらんし大きな被害を出し、改修工事中だったとのことでありますが、進捗率が一五%程度と進んでおらず、現在調査中の稲葉ダム早期建設とあわせて、早急な河川改修が強く要望されておりました。一方、玉来川につきましてははんらんしたものの、ショートカットの工事が行われていたため被害が軽減できたとのことでありました。再度災害を防止するためにも、激甚災害対策特別緊急事業による両河川の抜本的な改修工事促進必要性を改めて痛感した次第であります。  今回の災害では流木による被害が目立っており、橋にひっかかってダムのような状態になり、鉄橋が流失したり住宅が押し流されたりしておりました。流木家財等災害により発生したごみ処理が深刻な問題となっており、早急に対策検討する必要があると考えます。  次に、熊本一の宮町では、七月二日午前十時ごろ町内を流れる古恵川がはんらんし、同町坂梨地区等が大量の泥と流木に飲み込まれ、死者十一名を出したのであります。同地区では、七、八十戸のうち二十戸近くが跡形もなく流され、残りの家も流木につぶされるなど大半が全半壊しておりました。道路には火山灰まじりの黒い泥が二、三十センチもたまっており、流失家屋等の整理が行われておりましたが、家屋を貫通している大きな流木が残されており、流木による惨事の大きさを物語っておりました。また、山肌がむき出しになった阿蘇外輪山地すべり跡地が多数見受けられ、火山地帯における防災対策の難しさを示しておりました。  さらに、大量の土砂流木が流れ込んだ水田やハウスなどは惨たんたる状況を呈しており、農業被害の大きさをまざまざと示しておりましたが、火山灰を含んだ土砂排除は極めて困難であり、今後の復旧計画に大きな課題を残すこととなっております。  今回の土石流は、昨日春から活動が活発化した阿蘇中岳第一火口が噴出した大量の火山灰と、かつてない大量の雨による複合災害との見方が地元関係者から出ており、杉を中心とした植林のあり方の見直しを含めて、火山灰を含んだ泥流についての対策が急務となっております。  次に、福岡高田町原地区では、七月二日午前十時半ごろ農業藤木さん方の裏山が崩れ、祖父と孫二人が押し流され、遺体で発見されるという痛ましい災害発生しております。今回崩壊した箇所はこれまでそう危険な箇所であるとは考えられていなかったとのことで、今回の豪雨が異常であったことを感ずるとともに、危険箇所の総点検の徹底必要性を痛感いたしました。  また、山川町では、飯江川等の決壊による水田の流出やがけ崩れによるミカン畑流失等住民生活基盤が大きな打撃を受けており、天災融資法発動被害を受けた農家に対する共済金早期支払いとともに、緊急治山事業農地災害復旧事業等による農家救済策が強く要望されておりました。  次に、佐賀北方町では、床上一・五メートルもの浸水となり、短時間に町の中心平たん地一帯冠水状態となったとのことであり、NTTの電話も全面的に不通となる等、大きな被害発生しており、河川激甚災害対策特別緊急事業による六角川の一日も早い抜本的な改修内水排除機能の強化が切望されておりました。  また、武雄市でもかつて経験したことのない大量の雨で床上浸水に見舞われた家屋が多く、家財道具を全部水にぬらしてしまって処分せざるを得ない家庭や、家財を日干しにしなければならないなど二階住まいを余儀なくされている家庭が軒並みで、排出された家財等ごみ処理に頭を痛めているとのことでありました。  次に、今回の視察を通じて関係者から多くの要望が出されましたが、今後国が対策を進めていく上で特に留意すべき事項を若干申し述べます。  第一は、現地でこぞって強く要望されておりました激甚災害指定についてであります。  激甚災指定には基準があり、早急に被害額調査を行う必要がありますが、被災市町村の多くは過疎地域財政力の極めて脆弱な市町村であり、年間予算額を超える被害を出しており、自治体の力では復旧事業を進めるにも限界があることを十分に考慮して早急に指定措置を講ずるべきであると考えます。さらに、普通交付税の繰り上げ交付特別交付税交付地方債増額配分等被災市町村に対する財政援助措置を講ずる必要があると考えます。  第二は、被災箇所についての早期査定早期着工及び改良復旧必要性についてであります。  現在、被災箇所については、応急的な措置によってとりあえず対処されておりますが、今後さらに台風等による二次災害発生のおそれもあり、一日も早い本格的な復旧に向けて必要な措置を急ぐ必要があります。また、その際には再度災害を防止するという観点から、原形復旧にとらわれることなく、思い切った改良を加えた復旧がぜひ必要であると考えます。さらに復旧事業の進度についても最近は高められているところでありますが、関係省庁の今後の一層の努力要望するものであります。  また、今回の水害の特徴である流木による被害火山灰を含んだ泥流による被害に対する対策についても、関係省庁間で検討を急ぎ、万全の措置を講ずるよう望むものであります。  第三は、河川改修事業促進についてであります。  我が国の河川改修事業はいまだ立ちおくれており、大河川でようやく六割、中小河川では三割という状況であります。今回の災害でも中小河川改修のおくれに起因すると考えられるものが多く、格段の努力をもって河川改修を大幅に促進する必要があると考えます。  第四は、土砂災害対策についてであります。  今回の災害では、記録的な集中豪雨によるとはいえ、山崩れ、がけ崩れ土石流等により多くの人命と財産が失われました。政府昭和六十三年に土砂災害対策推進要綱を策定しておりますが、現在二割にすぎない土砂災害防止施設整備推進はもとより、住民への危険箇所周知徹底土砂災害の予測・警報システム整備警戒避難体制整備等を含めた総合的な土砂災害対策を強力に推進する必要があります。  その他、災害救助法適用基準弾力的運用救助内容の改善、災害関連緊急各種事業採択水防活動に対する助成、都市下水路整備促進中小企業者に対する低利融資災害廃棄物処理事業等採択基準の引き下げ、社会福祉施設公立学校施設災害復旧早期実施JR豊肥本線早期復旧等多くの要望を受けてまいりましたが、これらについても政府において適切に対処されることを要望いたします。  以上が調査概要でありますが、最後に、被災地の一日も早い復興を心より祈念いたしますとともに、今回の調査に御協力いただいた関係者皆様方お礼を申し述べまして、報告を終わります。
  9. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  次に、平成二年六月二十八日から七月三日にかけての梅雨前線豪雨による災害について、政府より報告を聴取いたします。鹿島国土庁防災局長
  10. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) お手元に配付申し上げております資料に基づきまして、平成二年六月二十八日から七月三日にかけての梅雨前線豪雨による災害について御説明申し上げます。  まず、Iの気象概況について要約して申し上げます。  九州付近を通る梅雨前線活動が六月二十八日ごろから活発になり、九州及び四国地方におきまして、多いところでは六日間の総雨量が六百ミリを超える大雨となりました。特に七月二日の夜明け前から昼過ぎにかけては、梅雨前線上の低気圧の接近に伴い、九州地方中心に非常な豪雨となったわけであります。  次に、IIの被害状況等についてでございますが、一般被害につきましては、七月三十日現在の調べで、人的被害として、死者が二十七名、負傷者が百一名となっております。また、住宅被害としては、全壊二百十九棟、半壊二百七十七棟、一部破損六百八十七棟、床上浸水九千九百六十七棟、床下浸水三万五千四十棟となっております。さらに、道路で九千九百五十カ所、橋梁で百三十二カ所、河川で七千六百十二カ所において被害が生じており、三千七十八カ所においてがけ崩れが、十二カ所において鉄道不通発生しました。  施設等関係被害につきましては、現在、関係機関等において鋭意調査中でございます。  資料の二パージをお開きください。  建設省関係では、公共土木施設など約千五百六十一億円、農林水産省関係では、公共土木施設関係で約四百五億円、農林水産業関係で約九百八十四億円、合計約一千三百八十九億円、また文部省関係では、公立学校施設公立社会教育施設など約二十億円の被害報告されております。  次に、資料三ページをお開きください。  厚生省関係では、保育所等社会福祉施設水道施設廃棄物処理施設医療施設などで約八億円、通産省関係では中小企業関係で約二百四十億円の被害報告されております。  次に交通関係につきまして、鉄道関係ではJR九州、西鉄、松浦鉄道島原鉄道熊本電気鉄道等橋脚流失築堤崩壊などの被害が生じましたが、七月七日までにJR九州豊肥本線の一部を除き復旧いたしました。豊肥本線不通箇所については七月十六日よりバスによる代行輸送を行っておりますとともに、現地復旧工事事務所を、明日八月一日でございますが、設置する等、復旧に努めております。  道路関係については、九州地方中北部を中心に、全国における一般県道以上の全面通行どめの箇所が約四百六十カ所に達しましたが、復旧作業の結果、七月二十六日現在四十一カ所となっております。  電力関係については、九州電力管内で約八万八千戸の停電が発生しました。復旧作業に努めた結果、七月三日に復旧を完了いたしました。また、発電所等設備被害が生じており、復旧作業中であります。  次に、資料四ページをお開きください。  通信関係では、佐賀北方地区熊本阿蘇一の宮地区大分竹田地区の三地区中心に、電話交換設備浸水ケーブル流失等により約一万八千の電話不通あるいは市外通話不通となる被害が生じましたが、臨時公衆電話を設置するとともに、復旧作業に努めた結果、倒壊、流失した家屋を除き、七月七日すべて回復をいたしました。  次に、IIIの講じました措置等についてでございます。  災害対策本部は、福岡佐賀長崎熊本大分の各県と延べ百二十七の市町村において設置されました。また、災害救助法は、福岡佐賀熊本大分の各県の二十三の市町村に適用されております。政府といたしましても、災害対策関係省庁連絡会議災害発生直後の七月三日に直ちに開催をいたしまして、応急対策に万全を期するため重点的に実施していく事項について申し合わせをいたしました。  次に、資料五ページをお開きください。  さらに七月十六日、第二回の同会議を開催いたしまして、現地調査結果及び地元からの要望等を踏まえ、引き続き各般の対策に万全を期するため重点的に実施していく事項について申し合わせをいたしました。また、現地派遣につきましては、多数の被害が生じました熊本県、大分県に災害発生直後、関係省庁担当官を派遣いたしますとともに、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県に七月五日、国土庁長官を団長とし、十二省庁から成る政府調査団を派遣いたしました。また、建設省では、福岡県立花町に大規模地すべりに対する応急対策等指導のため、七月五日から六日まで防災アドバイザーを派遣いたしました。さらに農林水産省では、学識経験者による阿蘇竹田災害対策調査検討委員会を七月五日に設置し、災害発生実態調査等について七月十日から十三日にかけて現地調査を行いました。  次に、資料の六ページをお開きください。  財政金融上の措置でございます。住宅金融公庫は、住宅被災者に対し七月九日から災害復興住宅資金融資申し込みの受付を開始いたしました。また、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県に対し、七月六日付で政府系中小企業金融機関災害復旧貸し付け発動を行いました。さらに、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県の八十市町村に対し、七月二十日付で普通交付税の九月定例交付額の一部繰り上げを行いました。  以上でございますが、今後とも関係省庁と密接な連絡をとりつつ対策に万全を期したいと考えております。  以上で報告を終わらせていただきます。
  11. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 以上で政府からの報告の聴取は終わります。  それでは、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 まず私は、七月二日をピークにした九州の五県にわたる局地的な集中豪雨被害状況調査のためにいち早く現地を訪れていただきました大臣初め十二省庁関係皆さん、そして本委員会調査団皆さんに、被災地出身議員として心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。  実は福岡では、お話によれば、その後七日の日でございましたか、被災がありました専業農家の四十七歳の方が子供さん三人を残して自殺をされました。お話によりますと、今後の日本農業について、あるいは自分の農業経営について見通しを立て切れないということを嘆いておったというお話を聞きましたが、これはやっぱり今の日本農業実態を私は物語っておるのじゃないかという気がしてならないという感じがいたしました。  しかし、多くの被災者の中には同じ思いの方々もたくさんおられると思うんです。しかし、地域や親戚の方々の多くの支援の中で、今必死の復旧作業に取り組んでおるのが現状です。  そこで、大臣にお伺いをいたしますが、七月十二日の衆議院の災害特別委員会の中で、同僚議員質問に対して、質問内容被災者被災地がひとしく念願している激甚災害指定を一日も早くとの要望を含めたお願いの質問で、大臣から、現時点で把握をしておる被害状況からすると、前年の例から見ても激甚災害としての指定基準を超える見込みは高い、今後精査を急ぎ、各省庁との協議を進めたいとの答弁がなされております。ちょうど私ら参議院調査団がこの日現地に入っておりまして、熊本で実は事情をお聞きしておるときにこの夕刊を見せてもらいました。私らもそれから被災地皆さんも非常に実は喜びまして、大きな期待も寄せて帰ってきたわけです。  その後、精査も進んでまいりまして、例えば農地あるいは農業施設関係だけでも七百六十億以上の被害が出ておるという調査も進んでおるようですが、この時点激甚災害指定についての大臣の御所見をいま一度お伺いをしたいと思います。
  13. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 渡辺先生にお答えします。  まず冒頭に、今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。また、先ほど先生から御丁重な言葉、大変恐縮しております。  実は、私の正確な気持ちを申し上げたいのでございますが、今回の九州豪雨によります被害状況については、災害発生後、鋭意関係地方公共団体、関係省庁において調査が進められ、ほぼ確定的な数字もまとまりつつあるようだと思います。現段階で受けておる報告等から見まして、農地等の災害復旧事業被害額約七百億円程度については激甚災害としての指定見込みは高い、このように考えております。  国土庁としても、この数字がまとまり次第激甚災害指定のための手続を急ぎ進めてまいりたい、このように考えております。
  14. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ぜひひとつ大臣の御努力をお願い申し上げておきたいと思います。  きょうはわずかな時間しかありませんから、次に入っていきたいと思うんですが、まず自治省はお見えでしょうか。  被災地の自治体は、御承知のとおり災害発生と同時に対策本部を設置して、特に被害の大きいところについては災害救助法を二十三自治体に発動し、被災者の衣食住を初め生活用水や、あるいは生活道路の確保等の応急措置を初め二次災害防止のための地すべり等の対策の防止等も次々にやってまいりました。特に、特定の地域では地域皆さんたちの炊き出し等を求めながら人命救助に当たってきた箇所も幾つかあるようです。そういう状況の中で、大変な努力の中で今一応の仮住まいをしながら生活を送り、被害者の皆さんも一応気持ちは落ち着いたところのようです。  そこで、お願いをいたしておきたいと思いますが、既に交付税も繰り上げで交付をしていただいておるようですが、各被災地自治体では今日までもたくさんの金を実は使ってきておるわけです。ある町長さんも言っておりましたが、役場の建てかえの建設計画がありました。しかし、ここの予算が年間二十億程度、しかし被害額は四十億を超しておる、ついに役場の建設もあきらめなければいけないというお話を聞きました。そういう自治体、特に先ほど報告もありましたように過疎地域が集中しておるものですから、ぜひひとつ災害復旧に要する起債の枠の拡大やあるいは特別交付税等を含めて、自治省として財政援助を最大限お願いをしたいと思いますが、まず御見解をお伺いしたいと思います。
  15. 長澤純一

    説明員(長澤純一君) このたびの災害によりまして被害を受けられました地方公共団体におきましては、お話のありましたように災害復旧事業を初め多くの財政負担が現に生じておりますし、これからも生じるであろうと思われます。したがいまして、私どもといたしましてもできるだけの配慮をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、お話のありましたように去る七月の二十日には普通交付税を繰り上げ交付いたしました。さらに、財政状況被害状況等を十分調査いたしまして、地方債、地方交付税の配分を通じまして適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  16. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私は、今から特に大分熊本にまたがっておりますJR豊肥線問題について中心的にひとつお聞きをしてみたいと思うんですが、先ほど御報告もありましたように、今回の九州地方を襲った集中豪雨の特徴というのは、特に局地的にしかも短時間、二、三時間という時間の中に集中的な豪雨があったために、特にそれが山間部に集中したということで、気象統計上にもあらわれないような水かさが増したり、あるいは大小の山崩れが発生をして山腹の、普通でいえばちょっとしたくぼ地でございますが、そこらが濁流となって、そこに生えておりましたあるいは植林しておりました杉を初め根こそぎにそれを倒して押し流してきた。こういう状況の中で、それが土石流と一体となってああいう大変な災害を巻き起こしたというのが今度の九州地方災害の特徴ではないか。同時に、河川関係でも先ほど報告がありましたように、河川改修がされた部分については非常に被害を最小限に食いとめておる。しかし、中小河川あるいは未改修河川のはんらんというのは大変な想像もしないようなはんらんが起きまして被害を増幅させておるという一つの現象があらわれたと思うんです。  そこで、私は国鉄分割・民営化の審議に実は参加をいたしました。ここにもその当時の私の質問書も持ってまいりました。私が国鉄分割・民営化の当時に一番心配したのが、私らは民営化についてはやむを得ぬだろう、全国一本ネットでやったらどうかということを社会党案として政府案に対峙をしながら実は審議を願ったところですが、受け入れられずに政府案が通りました。  その当時の心配というのが、私が申し上げましたのは、特に九州、北海道それから四国の三社というのは非常に経営基盤が弱い。その上、九州と四国というのは台風の常襲地帯だと、北海道は雪害が常にある。九州はその上に四本の火山帯が走っている。だから大きい災害が襲来するとか、あるいは阿蘇とか霧島という大きな火山が爆発をした場合に、とてもJR九州会社だけでは災害復旧はできないんじゃないか。特にローカル線についてはその当時切り捨て問題があっておったものですから、地域皆さんはそのことによって、災害復旧ができないということで切り捨て食らうんじゃないか、実はこういう心配等もありまして、この部分について実は大変な心配がありましたからいろいろと質問を申し上げてまいりました。  ところが、今回の集中豪雨JR九州全体の被害額は約五十一億円というふうに言われております。その中で、先ほど申し上げました豊肥本線宮地駅から緒方駅間の四十七キロが四十五億円以上の実は被害を受けておる。これは大正時代から着工いたしまして、全線開通が昭和三年というふうにお聞きをしている。その後こういう被害はなかったわけですから、先ほどから申し上げますように今度の災害がいかに大きかったか、あるいは雨量が多かったかということを実は物語っておると思うんです。  そこで、この豊肥本線は年間七百五十万人の生活路線、通勤者あるいは通学者を運んでおる生活路線であるわけです。七百五十万人といいますと、一日に二万人以上なんです。それが今の状況では、JR九州の石井社長の二十五日の記者会見の談話をお聞きしますと、今年度中は復旧の見通しが立たないというのが実態のようです。そして、現在は大変苦しい経営の中でバスによる代行をやっておるというのがJR九州会社の実態でもあるわけです。  昨年の九州会社の決算を見てみますと、幾らか計算の違いが後からわかったようですが、わずかな経常利益しか出てないわけです。こういう状況の中で四十五億以上もの災害復旧費がかかる。これが旧国鉄時代であれば、運輸省の方で施設災害復旧費が組まれておる。ですから、国鉄とそれから運輸省の施設災害復旧費と一緒になって国鉄の復旧事業をやってきたわけです。  ところが、JRはもう民間になりましたから、このままいけばJRだけでやらなければいけないという現状になっておる。ですから、私はちょっときのう運輸省の方にお聞きをしましたけれども、まだJRの持っておる旧国鉄の財産は国有財産じゃないのかというような実は質問をしてみました。確かに今JR各社に譲り渡しておりますが、本当言えば国民の財産であるわけですけれども、そういう国有財産が被害に遭ったんですから、私は原則としてまず公共事業として施設災害復旧費としてやっぱりやるべきではないかというふうに実は感じておったところですが、まずこの点建設省にお伺いしたいと思います。
  17. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) 河川改修でこういうJR橋梁を改築する場合に必要となります費用負担につきましては、昭和六十三年の十二月に建設省と……
  18. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それは後から聞きますけれどもね。原則として公共事業でやるべきじゃないか。  ちょっと済みません、私の質問がまずかったかもしれません。先ほど言いましたように、国有財産であれば運輸省ということになりましょうけれども、運輸省にお聞きしましたら、いやJRという民間に払い下げをしておりますからと。ですから、これは山でもそうですし、国有地がやられた場合の災害復旧というのは原則として建設省中心にいわゆる公共事業として実施をすべきではないか、こういう質問をしたところです。
  19. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) 先生御指摘のいわゆる旧国有鉄道の財産でございますが、従来から建設省所管の公共土木施設の範疇には入っておりませんので建設省所管の災害復旧ではないと考えております。
  20. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 いや、それはわかっておりますけれども、以前は国有鉄道であったわけですね。それが民間に譲渡されたわけですけれども、そういう状況の中で私らはやっぱり国有財産じゃないかという気がいまだにしておるわけです。ですから、こんなに災害を受けた場合には、いわゆる建設省だけじゃなくて建設省中心にしたところで公共事業として災害復旧事業をやるべきではないかということを実はお尋ねしたわけです。  そこで、今ちょっとお話がありましたこの豊肥本線で三本の鉄橋が流れておりますね。これはお聞きをしましたところ、二つの橋梁については何か河川改修の計画の中に入っておるというお話現地でちょっと聞きましたが、あとの一本の方は入ってないというお話を聞きました。しかし、先ほどから報告にもありました、私も申し上げましたが、全く気象統計上も出てこないような大きな雨量、そういう中で発生した災害であるものですから、これはやっぱり河川管理の責任者としての問題もあると思うんです。しかし、これは言いますように、間違ったというふうに言っておるんじゃなくて、想像もしないような雨量なりあるいはそういう土石流の流出があったからこういう災害を起こしたと思うんですが、そこで今お話がありましたように、六十三年の十二月二十八日の建設省と運輸省の協定に基づいて、河川改修の一環としてこの三本ともを私はぜひ協議をして実施してもらいたいということをまず第一点お聞きをしてみたいと思うんです。
  21. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) 先ほどお話が出ておりますJR橋梁についてでございますが、この協定は、河川工事に起因いたしましてJR橋梁を改築する際に必要となる費用負担を取り決めたものでございます。この協定の中の費用負担の基本的な考え方でございますが、洪水の流下にとって支障となるJR橋梁を河川管理者からの要請によって改築する、そういう場合でございまして、既存施設の財産価値の減耗分を控除いたしました額につきまして河川管理者で負担する、そういうものでございます。  今回のJR豊肥本線で落橋をいたしました橋梁につきましては、橋梁のほとんどがもう流失をいたしておりますので、この協定を適用して河川工事でJR橋梁の改築の費用を負担することは基本的にはできないというふうに考えております。
  22. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 できないということだけ明確に言っているようですけれども、私は先ほどから言いますように本院の国鉄分割法案審議の段階のあの十三項目の附帯決議の第二項に、災害復旧についての部分についても配慮しなさいということが附帯決議に入っておるわけなんです。ここに持っておりますから、後から読んでもらってもいいんです。  それで、今私が申し上げたのは、三本のうちの二本は河川改修工事の計画の中に入っておる箇所であったというお話を聞きました。今おっしゃったのは、線路が流れて一緒に流れたんだから、だから河川改修とは関係なく流れていったんだから費用負担は考えていないというお話ですけれども、もともと災害がなければ当然かけかえをするわけでしょう、あるいは改修するわけでしょう。鉄橋が流れたというのは、河川のいわゆる流れについて何かの支障があったから流れたわけです。例えば橋脚数が多かったために材木がひっかかって流れたとか。そうすれば当然河川改修計画の中で、例えば鉄橋の橋脚の本数を四本あったのを二本にするとか、あるいはスパン一本で渡してしまって橋脚をなくしていくというような河川改修計画が必要になってきはしないか。今のいわゆる土木工学あるいは鉄橋工学からいってもそれくらいのことはできると思うんです。  そうすれば、河川改修工事としてこの豊肥線の三本の鉄橋のかけかえについては、これは運輸省の方は建設省にお願いせにゃいかぬわけですが、あるいはJRと一緒になってそういうことで建設省の方でもぜひひとつ考慮してもらいたい。でないと、先ほどから言いますように年間七、八億ぐらいしか経常利益の出ない九州会社で鉄橋三本もかけかえしようといったら、それだけで一年間の黒字は吹っ飛んでしまうような経営の実態です。だから、そこらはひとつぜひ大臣建設省の方にも大臣の方からも要請していただいて、そしてこの豊肥本線復旧に一日も早く、これがないと見通しが立たないわけですね。工事事務所はつくるというふうに言っておりますけれども、金の見通しがつかないものですから、なかなかやっぱり石井社長が言うように年度内復旧は見通しがつかないという実態だろうと思うんです。せっかくのこういう協定がありますから、運建協定に基づいて私は最低でもこれでやってもらいたいということを強く実は申し上げておきたいと思うんです。  もう一回、さっきのできませんということは取り消してくれませんか。
  23. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) この協定の基本的な考え方は公共補償の基準にのっとってやっておりますので、なかなか現物がないとできないという基本的な考え方になっておりますので、御了承お願いします。
  24. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大臣、今言ったとおり、私が一番心配なのは、河川改修計画があっても、災害に遭っていなければ現物は残っておるわけです。それをかけかえあるいは改修する場合には、この協定に基づいて建設省中心にたくさんのお金を出してもらって、JRはわずかしか出さなくていい。災害で流失した場合、現物がないからできませんというふうに言っておるわけです、この協定の内容からいけば。確かに内容はそうなっております。だから、私が一番心配しておるのはそこなんですよ。逆に言ったら、金がかからなくていいわけでしょう。既存の橋梁があった場合は取り壊ししなきゃいけない。その手間が、天災で持っていかれておるわけですから除去費なんかかからなくてかえって安く済むわけでしょう。だから、あったというふうに認定をしてやっていただかなければ、大臣の方からそのことについてのひとつ決意をお聞かせ願いたいと思うんです。
  25. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 今、渡辺先生がおっしゃることはある程度理解できるんです。私も五日に竹田市に行きまして、豊肥線が確かに大分九州の大動脈であることはよく理解して、陳情を受けて帰ったわけでございまして、帰りましてすぐ六日の日に各閣僚にそのことをよくお願いしたわけですが、ただ、今の制度からいけば課長の答えたとおりだと思いますが、私としても、地域住民の足としての豊肥線の一日も早い復旧のため、いろいろと勉強をしまして可能な限りの努力をしてみたい、このように考えております。
  26. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 可能な限りという、それは限界があることもわかっております。  国鉄分割・民営化の審議の段階の附帯決議の十三項目の中の第二項に、「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと。」、これは各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社と、分割後のことを指したわけですから、その中でも私らこういうことを想定しておったわけですよ。非常に経営基盤が厳しいという中で大きな災害が出た場合一体どうするのか、そのことによって廃止線がふえてくるんじゃないかと。そうしますと、熊本あるいは大分のこの豊肥本線が通っております地域一帯というのは非常に過疎が急速に進んでくる可能性があるわけです、もしもこれが不通になれば。そういうことが地元のやっぱり一番大きな心配であるわけですね。そして、七百五十万人も年間運んでおる生活路線ですから、国土開発の一環からも私はやっぱり国が金を出してでもJRに早急に復旧してもらうというような、国としての政策としても私はやるべきじゃないかという気がしてならないわけです。  先ほど言いましたように、大臣努力していただくようですけれども、最低この両省間の協定でやる。それで、将来これは改修計画で例えばかけかえするのかあるいは改築するのか私は知りませんけれども、それが今度の災害で流れたわけですから、あったものというふうにみなしてやっぱりかけかえを、線路の位置がどう変わるかわからぬわけでしょう、河川改修計画で。一部変更があるかもしれぬと思うんです。あるいは河川改修計画が今できておりますけれども、これそのものを少し見直す部分が出てきたわけでしょう、あの一の宮の役場の付近なんかを中心にした部分なんかは。若干の河川計画の見直しをやらなきゃいかぬ箇所だってあると思うんですよね。そういう中で、ひとつぜひこの三本の鉄橋は、運建協定と言いますけれども、この協定に基づいてぜひひとつ建設省の方で、JRを助けるという立場で運輸省と一緒にお願いに行ってもらいますから、これは運輸省なりJRだけのお願いでなくて、九州各県出身の地元議員団としてもぜひひとつこれはお願いをしたいと思うんです。石井社長がおっしゃった後、地元では、今年度いっぱい見通しが立たないというそういう記者会見の談話だけで、これによって廃止されるんじゃないかという心配が先走ったわけですよ。現にそういう声がやっぱり出てきつつあるものですから、特に自治体の首長、議会を初めたくさんの要請の連絡も私らに来ております。あるいはJRに働く労働者の皆さんたちからも、ぜひひとつこれは守ってもらいたい、そして早急に災害復旧をやってもらいたいという強い要請が実は来ておるわけです。ぜひひとつそこはお願いをしたいと思いますが、もう一度ひとつ大臣、すきっと……。
  27. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 渡辺先生のおっしゃるお気持ちとお言葉はある程度理解できるわけですが、今回の災害の事態につきましては、JR九州に助成を行うことは特に民営化している状況もあり非常に難しいものだと思っています。そんなこともございまして、先ほど言ったようなことですが、私も豊肥線の重要性はよくわかりますし、地元民のお気持ちもよくわかるものですから、ひとつ可能な限りの努力をしたい、このように考えております。御理解のほどよろしくお願いする次第でございます。
  28. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私はもう時間が余りないものですから、これは国鉄が民営化されて初めての大災害であるものですから、これはひとつ国土庁が中心になりまして、運輸省なり建設省を含めて、やっぱり将来的な問題もありますから、ぜひこういう状況の中での問題としてはどう対応するかという基本方針を私はやっぱりつくるべきではないか、これを最後に要望しておきたいと思うんです。  次に林野庁にお尋ねいたしますが、先ほどからいろいろお話がありましたように、今度の災害の特徴の中で、先ほど私が申し上げましたが、山間のくぼ地みたいなところが大きな濁流の川になってしまって、そこに植林しておる杉が根こそぎに実は持っていかれる。ところが私は行ってみましたら、杉だけじゃない、これは大きな広葉樹だって根こそぎに流れてきておるのをたくさん一の宮でも見ました。ですから、特に一の宮の場合は阿蘇火山灰が堆積をしておるという状況等もありまして、表土からいえばやっぱり八十センチぐらいにいわゆる火山灰の堆積土がたまっておる。そういう状況の中ですから、何を言おうとも根はやっぱり浅く基盤と堆積工の間をはうと思うものですから、そこらはやっぱり抜本的に今後の災害の防止についての方法を考えなきゃいけないと思うんです。  そこでお聞きをしたいわけですが、今申し上げました豊肥線の左右両方にたくさんの大小の山崩れがあるわけですね。それをいわゆる昔であれば鉄道保安林ということで鉄道の敷地の部分だけ、あるいは危険箇所は保安林指定をしておったようですが、きのうお聞きをしましたら、鉄道保安林という制度はなくなった。しかし、人命を預かって輸送する機関ですから安全性を確保しなきゃいけない。そうすれば、やっぱり一定程度の施業制限をお願いしてでも保安林としての整備をしなきゃいけないんじゃないか、あるいは事業をしなきゃいけないんじゃないか。そういう点から見まして、十分これはJRあるいは地元との協議も要ると思うんです。今度の豊肥線の周辺部分で緊急治山事業として災害復旧される部分もたくさんあると思うんですが、将来の保安林の指定について私はかなり広域的に、部分的に災害復旧をやった部分だけを保安林に指定するというんじゃなくて、かなり面積を広くとるような保安林の指定も必要になってくるんじゃないかと思うんです。  お尋ねしたいのは、緊急災害復旧としてやられる災害復旧事業、それから地方自治体から負担をしてもらってやる山地の崩壊復旧事業ですか、そういう部分とあわして保安林の問題もどういうふうに指定をしていく考えがあるのか、あるいは方針があるのか、あったらお聞かせ願いたいと思います。
  29. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 今回の梅雨前線豪雨により発生しました林地崩壊箇所につきましては、JR豊肥線との関係以外のところを含めまして現在現地調査をしまして、再度災害のおそれのあるところ等緊急なところにつきましては災害関連緊急治山事業等により早急に復旧を図ることとしておりまして、既に第一次分としまして関係七県等から申請のありましたものについて、七月二十三日に関係機関と打ち合わせの上事業実施の決定をしております。しかしながら、JR豊肥線に関係する林地崩壊箇所災害復旧につきましては、極めて交通の便が悪い等ございまして、現在、関係県とJR九州におきまして現地調査等が行われているところであります。この調査の結果を待ちまして、治山事業での対応が可能な箇所については、関係機関とも協議しまして災害関連緊急治山事業等により早急に復旧整備を図っていくこととしたいと考えております。  また、保安林の指定の問題につきましては、これは全国的に保安林整備臨時措置法に基づきまして現在計画的に保安林の整備を進めているところでございますが、今回の災害箇所につきまして保安林以外のところについて治山事業をやる場合には、当然治山事業の実施とあわせまして保安林、保安施設地区指定をしてまいるわけでございますが、広域的な問題になりますと土地の所有者等との問題もございますので、現地状況等をよく把握した上で検討してまいりたいと考えております。
  30. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大きなのを私の方から要望しておきたいと思うんですが、さっき建設省にも、モットーはわかりながらJRの経営の実態から見て実は大臣にもお願いをしたわけですが、従来から国有鉄道鉄道用地といいますか路線のいわゆるのり切りの面と、それからこっちの方の路肩の下までが鉄道用地だ。今度の災害を見てみますと、こっちの方の山腹の方の土どめの石垣なんかが上の方から崩れてきました。山腹の崩壊によってその土どめの石垣が崩壊をする、あるいは線路が流失をするという状況被害等があるわけであります。そういう少し規模の大きいような山腹崩壊については、何もJRの路線の土どめということでなく、緊急治山事業という大きな見地からそこら付近までひとつぜひJRと協議をしながら林野庁の方で公共事業として面倒を見てくれないかというのが実は本音のお願いであるわけです。ぜひひとつ私の意を体していただいて、やっていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  最後に大臣、これはきょう通告はしてなかったわけですが、いろいろお話し申し上げましたように、今度の災害みたいに予期もしない、災害というのはいわゆる行政庁の所管とは関係なくやってきて被害を起こすわけですから、そうしますと特に被災者皆さんというのは、これから上が建設省だ、これから下が運輸省でこれから下が林野庁だ農水省だというふうなことについては、もう全くこれは無関係というのは大変言葉が悪いわけですが、そういうこととは関係なく一日も早い災害復旧を望んでおられます。そうしますと、私はやっぱり議会としても行政と一体となって一日も早い災害復旧を実施するのが被災者皆さんに対してのせめてものお手伝いではないかという気がしてなりません。  そういう点から、先ほどから言いましたが、例えば鉄橋一本の問題についても建設省と運輸省とのそういう協定がある、それにJRが入ってくる、あるいはこっちの山が国有林であれば林野庁、民有林であれば林野庁プラス都道府県、そして下が村道であれば村ですが国道であれば建設省と、いろいろと各省ごとのつながりがあるものですから、ああいうふうに規模的に、しかも局地的に大被害が出た場合はひとつ国土庁がその中心になりまして、そして災害復旧計画を大変今努力していただいておりますけれども、国土庁が中心になって、ここの省は早くでき上がったけれども、ここの省庁はおくれたということのないように、ぜひひとつ長官が旗を振っていただいて頑張っていただきたいとお願いをしておきたいと思うんですが、ひとつ御意見をお伺いしたい。
  31. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 今先生のおっしゃることはある程度理解できます。九州JRが経営が余りよくないと、私も衆議院で民営化のときの特別委員会の理事をやっておりましてあの委員会に参画したものですからよくわかるので、九州JRが黒字になったのでびっくりしたぐらいです。そんなことの中で、九州JR苦しいからということで国の可能な制度の中で何とかそれでうまい方法できぬだろうか、率直に言いますとそれがきょうのお話の趣旨だと思いますが、ただ私は制度としましてはやっぱりJRは民営化しましたし、なかなか難しい点はありますけれども、先ほど言ったように可能な限り国土庁を中心にしまして、いろいろなことについて災害復旧の一日も早からんために最大の努力をしたい、このように考えております。よろしくお願いします。
  32. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ありがとうございました。終わります。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は大分県の出身ですが、本委員会委員長初め委員派遣をいただき調査をしていただきまして、本当にありがとうございました。また、国土庁長官初め政府関係各省、速やかに現地に入っていただきまして調査あるいは対応をしていただいておりますことにつきまして、大分県民は大変喜んでおります。心から敬意を表します。  今回の大分県に関する災害は、五十七年のあの水害に引き続いて二回目でございまして、最初にぜひこの原因と将来の対応について政府のお考えを伺いたいと思います。
  34. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 先ほど被害状況について御報告を申し上げました際にも、具体的に報告をさせていただきました。私ども今次の災害が大変激甚なものであったということにかんがみまして、災害発生後直ちに各省の連絡会議を開催いたしました。そしてまた、現地担当官の派遣、そしてまた佐藤国土庁長官を団長といたします政府調査団の派遣等を踏まえまして、現地の御意見も十分承りました。これを持ち帰りまして、早速また申し上げましたとおり各省の連絡会を再度開催いたしまして、それぞれ持ち場持ち場でこの災害に対する対策を十分に行おうということで、現在実施をいたしておるところでございます。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 具体的にお尋ねしますが、激甚災害の早期指定をぜひやっていただきたい。そのためには県の被害調査関係各省の被害査定、これについて一体いつごろになる見込みか、おおよその見通しを明らかにしていただきたい。また、指定自体のその見通しについてはいかがなものか、お尋ねいたします。
  36. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 現段階で報告を受けております被害額等から見てまいりますと、農地等の災害復旧事業につきまして激甚災害として指定をする見込みが大変高いというふうに考えております。確定した数字がまとまり次第、指定のための手続を急ぎ進めてまいりたいと考えております。具体的には、中央防災会議の議を経て、そしてまた政令を閣議で決めるというような手続を要するわけでございます。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、その見通しを聞きたいのです、大体のその日程。
  38. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) とにかく急いでこの数字をまとめること、手続を急ぎたいというふうに考えておりますが、九月中には何とかというような感じかと思います。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、九月中と、まだあと八月もある。お盆前ぐらいに大体対応していただきたいのですが、いかがでしょうか。
  40. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 今局長がお答えしたとおりでございますが、できる限り急がしておりますということでございます。その辺よろしくお願いします。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 激甚災害指定について適用される事項、公共土木、農地天災融資法の特例、森林災害、中小企業融資の特例云々とこうありますが、どの事項が適用されるという見込みなのか、おおよその見通しでもいいんですが、お聞きします。
  42. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 先生仰せられました幾つかの中の現在見込みとして高いと私考えますのは、農業の関係でございます。農地等の災害復旧事業関係でございます。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことになりますと、それぞれ企業の皆さんや土木関係とかいろいろあるわけですが、少し以下聞いてまいりたいと思います。  自治省におかれましては、七月二十日に一般交付税の繰り上げ交付を実施したということを今お聞きをしましたが、その内容についてお知らせをしていただきたい。なお、私は四十分の持ち時間ですから、たくさんありますから要点だけ簡潔に御答弁ください。
  44. 長澤純一

    説明員(長澤純一君) 今回の梅雨前線豪雨によります災害は広範囲に及んでおりますが、特に公共施設等の被害額が多大でありました福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県下の八十市町村に対しまして、去る七月二十日付で普通交付税の九月定例交付額の一部百二十五億二千七百万円を繰り上げて交付したところでございます。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 具体的な中身については、きょうはもういいですから、また後で地域別、県別にお知らせしてください。後でいいです。  次に、被災地に対する特別交付税交付に対しての見通しをお聞きします。
  46. 長澤純一

    説明員(長澤純一君) 特別交付税につきましては、災害復旧事業費や被災世帯数、農作物被害面積などを指標といたしましてこの算定を行いまして、財政運営上支障のないように措置をしてまいりたいというふうに考えます。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 その時期はいつですか。
  48. 長澤純一

    説明員(長澤純一君) 特別交付税につきましては、これは全部一律に十二月ないし三月というふうになります。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 自治省、ぜひ今回この交付税額は思い切った措置をしていただきたいと思います。  次に、公共施設の災害復旧事業にかかわる起債枠の確保についてどのような措置を講ずるつもりか、お尋ねします。
  50. 長澤純一

    説明員(長澤純一君) 地方債についてのお尋ねでございますけれども、地方債につきましてもそれぞれの災害復旧事業等が適切に行われますように、これにつきましても十分適切な配分を行ってまいりたいというふうに考えております。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に建設省ですが、道路河川等の災害復旧工事の実施に当たっては、私も稲葉川や玉来川を前回見てまいりまして、そして今回また見てまいりましたが、原形復旧だけではなくて、これは二度とそういう事態が起きても対応できるような大幅な改良工事を実施すべきだとこのように思いますが、この点についてどのように取り組むおつもりか、お尋ねします。
  52. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) 先生御指摘のとおりだと思います。建設省としては常々再度災害防止ということを第一の目標といたしまして、いわゆる改良復旧というものを積極的にやっております。  今回の災害につきましても、大変激甚であったということを我々強く感じております。原形復旧だけでは事業効果が限定されるような地域につきましては、未災箇所を含んだ一連の施設について改良復旧事業を行うということで県並びに市町村指導してまいりたいと考えております。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、公共土木の災害復旧事業の対象外となっております一件当たり六十万円以下の小規模の災害というのがたくさん出ておりますが、この復旧工事に対する助成、これは何らかの形で対応していただきたいのですが、この点いかがでしょうか。――じゃ、これ私が終わる時間までで結構ですから用意をしておいてください。  次に農産物被害に対する問題でございますが、農業共済金の支払いの見通し、また林産物被害に対する措置、この点についてお尋ねいたします。
  54. 長良恭行

    説明員(長良恭行君) 今回の梅雨前線豪雨によりまして農作物被害発生しておりますけれども、その中心は水稲でございます。御案内のように、ほとんどの水稲農家の方は農業共済に加入しておられるわけでございますが、現在、農業共済団体におきましてその被害状況調査しておるところでございます。  通常、農業共済金の支払いは刈り取り、収穫の時期に損害評価をいたしまして、その上に立って支払いが行われるわけですが、今回特に土砂等の災害によりまして全損に近いような状況もある、こういうことを考慮いたしまして、こういう地域におきましては収穫期を待たずに早期に適切な損害評価をいたしまして共済金を支払うように現在共済団体を指導しておるところでございまして、今後さらに共済団体の事務処理を督励したい、このように考えております。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 大野川流域は随分田畑が河原のようになったり、あるいは表土がはがれてしまったりしておりますが、この地域の減反扱いですね、この点についてぜひやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  56. 長良恭行

    説明員(長良恭行君) 今のお話は、水稲を植えつけました水田災害に遭ったとき転作の扱いはどうなるかということでございますが、今申し上げましたように、もう既に水稲は作付けられておりますし、水稲の共済金も評価しまして出る、こういうことでございますので、これを直ちに転作扱いというわけにはまいらないわけでございますが、ただ、来年災害復旧がなお水稲を植えつけるような状況にならない場合には転作田扱いといいますか、カウントする、そういうことはあり得ることではないか、こういうふうに考えております。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 その点はそのとおりでございまして、大体二、三年ですね、本当に復旧するまではやっぱり二年ないし三年かかる。現地でそういう強い要請を受けましたから、来年度以降の分についてぜひそのように対応していただきたいと思います。  次に通産省の関係ですが、私もよく知っている人が大分県の玉来というところで製材工場をやっているんですが、行ってみましたら、約三千万円の材木が全部流されまして、そして製材工場の機械は全部泥をかぶって、非常に小さな企業ですが、恐らく一億円ぐらいの被害に達するだろうと非常に悲嘆に暮れておりましたが、これは一つの例ですが、たくさんいろんな例がありますが省略いたします。したがって、商工業者に対する商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫の低利融資をする、このように踏み切ったことの報告がありましたが、その内容についてはいかがなものか、説明をしてください。
  58. 小林憲明

    説明員(小林憲明君) 先生今御指摘のございました、今回の豪雨により被害を受けられました中小企業者への対策といたしまして、七月六日付で、先生御指摘のありました政府系中小企業金融機関機関に対しまして災害復旧貸し付け発動を指示いたしまして、現在実施しているところでございます。  これの内容でございますけれども、災害被害を受けられました中小企業者に対しまして貸付限度額の引き上げ、貸付期間の延長、据置期間の延長などの条件を緩和させていただきまして、簡易迅速な融資を行うこととしております。また、既往貸付金がございます場合には、例えば償還猶予といったようなことで、個々の被災中小企業者の実情に応じまして弾力的に取り扱いを行っているところでございます。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 その場合に抵当権物件、担保物件がないと金を貸さない、こういうような条件がついたり、あるいは低利といっても六、七%台の金利だったら非常にこれは困るわけで、ですから据置期間と低金利、抵当権物件、こういう障害を超えた弾力的な対応をお願いしたいと思います。いかがでしょうか、簡単に。
  60. 小林憲明

    説明員(小林憲明君) 先生御指摘のとおりでございます。  私どもも、担保の問題がございますけれども、なかなか被災を受けられた中小企業者は担保の供出が難しいということは十分承知しております。先ほどお答え申し上げましたように、一連の貸付限度額の引き上げといったようなこととともに、担保の取り扱いにつきましても弾力的に対応していきたいというふうに考えております。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土庁、農業関係部分に見通しとしては本激甚と。あとについては局地激甚の措置をしていただきたい、このように思うんですが、その点いかがでしょうか。
  62. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 先生お話しのとおり、広域的に激甚災害指定というのをどうするかということを先ほど申し上げたわけでございます。地域的に限られた範囲の災害でありますけれども程度が大変大きいというようなものがございますと局地激甚という制度もあるわけでございまして、その手当ての可能性につきましては、これから被害状況等を詰めまして検討させていただきたいというふうに思います。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひそこはきめ細かく現実的な対応をしていただきたいと思います。  次に住宅金融公庫、家を流されたりあるいはもう使い物にならなくなった、住宅金融公庫による災害住宅融資の見通しについてお尋ねします。
  64. 小川忠男

    説明員(小川忠男君) 災害に伴います被災住宅の金融公庫の融資でございますけれども、災害復興住宅資金の貸し付けというふうなことで、一般の貸し付けよりは金利でございますとかあるいは融資額、償還方法等々で有利な制度がございます。今回の災害に際しましても、既に七月九日から受け付けを開始させていただいております。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうもその点は速やかな対応をしていただいて本当によかったと思います。  次に、豊後水道等は大変な流倒木のごみが流れ込んで、漁船が出ましてそれぞれ自衛の立場で片づけをしたんですが、このごみ処理に対する国の援助があるのかないのか、その点については私きのうちょっと言っておらなかったものですから、後でまた終わりごろにお答えを願いたいと思います。  それから大蔵省にお尋ねしますが、被災者に対する税金問題、国税あるいは自治省の関係する地方税の減免措置について、これは一体どのように対応するのか。
  66. 山本智譽

    説明員(山本智譽君) ただいま御質問にございました被災納税者の救済措置につきましては、大別して三つのものがございます。  第一点が申告納付等の期限の延長という制度でございます。これは災害によりまして納税者が申告あるいは申請、請求、届け出その他書類の提出とかあるいは納付または徴収をその期限までに行うことができないというような場合につきましては、災害がやんだ日から二カ月以内に限りまして期日を指定しまして申告納付等の期限を延長するというものでございます。この措置には地域指定と個別指定がございます。地域指定といいますのは、これは被災地域が広範囲にわたっておりまして、その地域内の納税者等の相当部分が被害を受けている場合に、国税庁告示でもって地域及び期日を指定しまして期限を延長するというものでございます。個別指定につきましては、これは納税者の申請に基づきまして国税局長あるいは税務署長が期日を指定しまして期限を延長するというものでございます。なお、地域指定を行うかどうかは、当該地域被災状況等を勘案いたしまして決めております。個別指定を行うかどうかにつきましては、申請者の個々の事情を考慮して決定をするということになっております。  それから第二番目の制度でございますが、これは納税の猶予でございます。災害によりまして財産に相当の損失を受けた納税者、これは全財産の二〇%というような数字がございますが、それと、災害を受けたために国税を一時に納付することができないと認められる納税者につきましては、その申請に基づきまして被害の程度を考慮しまして原則として一年以内の期間を限りましてその国税の全部または一部の納税を猶予するというものでございます。  第三点目に、これは租税の軽減、免除という制度がございます。これは、災害によりまして住宅家財、事業用資産等に損害を受けた納税者につきましては、その申請に基づきまして被害の程度を考慮しまして租税の軽減、免除、あるいは徴収猶予あるいは雑損控除を行うというものでございます。  これらの納税者に対する周知につきましてですが、これらの措置あるいは手続につきましては、被災地を管轄します国税局におきましてはチラシを配布したり、あるいは新聞、テレビ、ラジオ等を通じて周知を図っているところでございます。
  67. 中里清敏

    説明員(中里清敏君) 災害被害者に対します地方税の減免措置でございますが、昭和三十九年の通達によりまして地方団体に対して基本的な事項を示しているところでございます。この通達におきましては、災害発生した場合の措置といたしまして、ただいま国税の方からお話がありましたような期限の延長ですとか徴収の猶予さらには減免がございますので、「それぞれの制度の趣旨を考慮のうえ、それぞれの事態に対応して、これらの措置を講ずること」としてございます。今回の九州地方豪雨によります被害につきましては、被害状況を見きわめまして国税の取り扱いも勘案しながら地方団体を適切に指導してまいりたいと考えております。
  68. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土庁長官、今大蔵省から長々何かよくわからなかったんですが話があり、自治省の話は少しわかりました。大臣、責任を持ってこの国税と地方税の関係については地元の要請にこたえて対応していただきますように御指導願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  69. 山本智譽

    説明員(山本智譽君) 今の申し上げました救済制度、これ三点ございますのですが、まず申告納付等の期限の延長につきましては個別指定ということになっておりまして、その旨PRをしていきたいと考えております。  それから租税の軽減、免除でございますが、これは先ほどの繰り返しになりますが、個別申請等が必要となっておりますので、同じようにPRに努めていきたいと考えております。
  70. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 今大蔵省答えたとおりですが、梶原先生にお答えしますが、二つともできるということでありますから、最大限意に沿いたい、こう思っております。
  71. 梶原敬義

    梶原敬義君 よろしくお願いします。  次に、具体的な話に入りますが、一つは農用地の問題です。  地元の新聞を持っておりますが、少し読んでみますと、大分県の緒方町で農業をやっている七十五歳のおばあちゃんですが、こう書いてある。「水害の後、牛二頭を売りました。大野川のはんらんで、田んぼや飼料畑がダメになった。牛を飼うのに必要な飼料も稲ワラもない。米もできないし、もう農業を続ける気力がなくなりました」、ちょっと中を略しまして、「八年前の水害のとき」、これは五十七年水害ですが、「のときも被害を受けた。田んぼを元のようにするには、お金がかかる。元通りにしても、今の川のままでは、またいつか水害が襲ってくる。作った米は安いし、減反もあるし、米作りはやめようと家族で話し合った」。この人は、改良事業をやってまだやっと支払いを始めたばかりで、そしてそこにどばっと一町何反かやられたわけでして、大変厳しい状況なんです。結局、希望がないというのは、河川の堤防とかあるいは護岸を前と同じ原形復旧ではまたいつやってくるかわからないという非常に心配もありますし、同時に本当に米ができるまではやっぱり五、六年かかる、そういう状況の中で非常に悩んでおられるわけであります。  ですから、私は今まで改良事業で個人の負担になっております返済金の猶予といいますか、少しそれを延期してもらうとか、そういうような対応が一つ。それからもう一つは、原形復旧だけでは大野川の沿川の人たちというのはこれはまたやられる。したがって、河川改良等の際に少々のことがあってもこれは大丈夫だというところまで現地皆さんと相談をして対応していただきたいと思うんですが、それが第一点。これだけ先にお聞きします。
  72. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) 先ほどお答えいたしましたように、建設省といたしましては再度災害防止ということを第一に考えております。大野川につきましても、幾つか県の方で既に改良復旧について検討しております。我々としても、再度災害防止のためにどのように役に立つか十分に検討、また県の方を指導してまいりたいと考えております。
  73. 梶原敬義

    梶原敬義君 よろしくお願いします。  次に、大分県の竹田市の稲葉川と玉来川復旧計画について、それが一つ。それからダム稲葉ダム、あるいは玉来川にもやはりこの際ダムをつくる必要があると思うんですが、これは五十七年の災害に引き続いて大きな災害が起こっておりますから、この点についてあわせてお聞きをし、対応していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  74. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) まず、河川改修の分から先にお答えさせていただきます。  稲葉川につきましては、中小河川改修事業で今改修を鋭意進めておりまして、掘削、護岸等を行ってきております。また玉来川につきましても、局部改良、あるいは最近では小規模河川改修事業改修を進めてきております。掘削、護岸等を鋭意進めているところでございます。玉来川のショートカット部分につきましては、これまでに用地買収が完了できておりますので、橋梁の新設とか掘削あるいは護岸等を行ってきておりまして、今年度一応の通水をする予定にしております。いずれにいたしましても、大きな出水でございましたので、今回のこの被害にかんがみまして県とも十分協議をいたしまして、再度災害防止のための対策検討しているところでございます。
  75. 梶原敬義

    梶原敬義君 稲葉川のダムはもう早急に計画を早めて対応していただきたいんですが、この点はいかがでしょうか。
  76. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 大野川水系の稲葉川の洪水調節を目的といたしまして治水ダムを、大分県におきまして稲葉ダムというものを昭和六十年度から実施計画調査に入っております。本年度は九千万円をもちまして地質調査等を実施中でございますが、このたびの大野川水系の稲葉川の災害にかんがみまして、できるだけ早期に建設に着手するよう県を指導してまいりたい、建設省の方もそのように考えております。  また、稲葉川だけではなくて、そのほかの玉来川を初め上流域では、現在県が具体的にダム計画を持っておるわけではありませんが、これもこの災害を契機といたしまして、ダムによる洪水調節に着目いたしまして早急に検討するよう県を指導してまいりたい、かように思っております。
  77. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひよろしくお願いをいたします。  なお、農林省がやっております大蘇ダム、これはかんがいダムですが、計画だけは早く着手しているんですが、これは時間がかかってしようがない。だから、できればもう多目的ダムとして建設省、農水省も全体が一緒になって何らかの形で、その場所がいいかどうかは別として、地質の問題やあるいは規模の問題であの地が問題ではあると私は考えておりますが、これはもう答弁要りませんが、大臣、少し総合的に検討をしていただきたいと思います。  最後にJRの問題でございますが、渡辺委員からずっと質問がありまして答弁を聞いておりました。非常に私は答弁を聞いて残念な面があるんです。鉄道軌道整備法の適用して、何とか早期に豊肥線が開通できるように努力をしていただきたいと思います。JR豊肥線の完全復旧というか汽車が通り始めるまでの見通しとしては、社長の話もありましたが、一体政府はどのように見ておられるか。
  78. 高重尚文

    説明員(高重尚文君) 豊肥線は今月二日の集中豪雨によりまして被害総額四十五億円と推定される甚大な被害を受けておりまして、特に宮地駅と緒方駅間の四十七キロの間は、橋梁の流失とかあるいは築堤の崩壊とか非常に被害を受けて現在も不通になっております。JR九州は七月四日に本社に復旧対策本部を設けまして関係機関と協議を進めており、また八月一日にはこの宮地地区及び竹田地区復旧工事事務所を設けまして復旧に努めております。  しかしながら、この地域には山崩れ等が数多く発生しておりまして、鉄道側のみでは復旧に取りかかれないというような箇所も多数ありまして、線路施設を含めた広域的防災対策を講じる必要があるというふうに考えておりまして、JR九州関係機関と協議を進めておりますが、復旧にはまだ相当長期間を必要とする見込みでございまして、年度内の復旧は困難というふうに聞いております。
  79. 梶原敬義

    梶原敬義君 いつまでか目標を定めて対応していただかないと、現地の人は過疎に悩む、鉄道が廃止されますとさらに過疎が進んでくる、非常に寂しい不安な気持ちでいっぱいなんです。関係省庁との関係もあるでしょうが、国土庁としてはもっと早目にやるような調整をしていただきたいんですが、大臣いかがでしょうか。
  80. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 梶原先生にお答えしますが、私は、先ほど申し上げましたが七月五日の日に現地に行きまして、竹田に行きまして豊肥線の重要性を篤と実は理解したわけでございます。そんなことでございまして、地域住民の足としての豊肥線の一日も早い復旧のためにいろいろと勉強しまして、そして可能な限りの努力をしてみたいと、そのように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  81. 梶原敬義

    梶原敬義君 引き続いて大臣に要請をいたしますが、今のように運輸省は運輸省、建設省建設省でばらばらになっておりますから、国土庁がこの復旧についてはまとめ役になって連絡調整をとって、早目に対応していただきたい、このことを重ねて要請をいたします。  そこで、このJR九州という会社に対して復旧補助の法的根拠はないのかあるのか。私は、鉄道軌道整備法から見ても復旧に対する国の補助の法的根拠はある、このように見ているんですが、この点いかがでしょうか。
  82. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) ただいまの助成措置に対する法的な根拠でございますが、御指摘のように、鉄道軌道整備法におきまして鉄道災害復旧事業につきましての助成措置はあるわけでございます。しかしながら、同法の八条におきまして、政府が助成する場合の要件が書かれておるわけでございまして、それには「鉄道事業者がその資力のみによっては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」という極めて限定的な要件となっております。そこで、今回の災害につきまして、JR九州の経営規模あるいは修繕費、工事費、こういった総額を考えますと、豊肥本線のこれまでの概算額でございます四十五億円の資力につきましては、対応は一応可能ではなかろうかというふうに想定をいたしておるところでございます。  さはさりながら、これまでにない大規模な災害でございますので、今後私どもといたしまして、豊肥本線の早期復旧に向けて運輸省として何らかの具体的な支援策がないかどうか、さらにJR九州とも相談しつつ今後十分検討してまいりたいと思っております。
  83. 梶原敬義

    梶原敬義君 JRの経営安定基金は幾らでしたかね。私が調べておりますが、三千八百九十七億円ですね。ことしの三月の決算で黒字が三十八億円。三千八百九十七億円というのは、五%の金利を見ても百九十八億円ぐらいはその安定基金から持ち込んで、実質は私の方で今ざっと計算して百五十億ぐらいの多分赤字になっている。そういう状況の中で、わずかな経営安定基金を頼りにして黒字計上しているような状況というのは、これは私ども分割・民営化するときに一番心配したことなんです。分割してしまうとこれはもう何もやれなくなるぞと、こういうことを心配をしたんです。そういうような状況に立ち至った。そこで、約五十一億円近くを今出してやるだけの余力があるかないか、議論が分かれるところです。私は、運輸省の今の言い分についてはもう少し勉強していただきたい。  私も民間企業の出身ですが、民間企業になった以上は赤字は絶対に出さない、そのためにどうするか、弱いところにしわ寄せする、あるいはこういう工事のときにはこれはやっぱりいつまでたっても条件のそろうまでやらない、時間がかかる。地域住民は一体どうする。我が国の国是としては、国土の均衡ある発展というのがちゃんとうたわれている。国土庁長官、この点から見ても、しゃにむに分割してしまった運輸省、国の責任というのは非常に大きい。こういうときにこそ鉄道軌道整備法を適用するなり、もう少し何らか、何の対応と何の対応ができるのか明らかにしていただきたい。
  84. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) 先ほど申し上げましたように、現行の鉄道軌道整備法につきましては適用がなかなか苦しい面もございます。私どもとして一応念頭に置いております支援策といたしましては、現在、鉄道防災事業費補助という予算措置に基づく補助制度があるわけでございますが、これの適用は可能かどうか、これは被災箇所一件一件につきまして現在JR九州と調整をいたしております。しかし、この防災事業費補助制度の趣旨からいたしまして、鉄道本体の復旧工事への助成というのはなかなか難しい面がございます。今回の災害が例を見ないものでございまして、分割・民営化が先生御指摘のように失敗ではなかったかというようなそしりを受けないように、私どもとしても適切な対応をしてまいりたいと思っております。  なお、このほかに資金的な面でございましたら、日本開発銀行の融資といったような面につきましても、これはまだJR九州からは具体的な要請はございませんけれども、そういった方途はあることはございます。
  85. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間が来ましたからもう最後になりますが、来年度、平成三年度の予算にこれは何らかの形で、運輸省、やっぱり今言われたようなことを計上していただきたい、それが一つ。それから、法改正をひっくるめて、こういうふうな場合に分割・民営化のときの参議院の附帯項目の第二番目に指摘している面も十分考えていただいて、法的な面で改正をすべきだと思いますし、その点についてこれから十分な検討をしていただきたい、このことを大臣にお願いをし、運輸省にも要請をいたしまして質問を終わりたいと思います。最後に大臣
  86. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 今の豊肥線の問題は大変大切な問題でございまして、先ほどの先生の熱意に押されて藤井企画官もやや前向きの答弁をしたような感じがするわけでございます。そんなことでございまして、いろいろ勉強しまして何とか期待にこたえるように努力してみたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。
  87. 長澤純一

    説明員(長澤純一君) 先ほどの小災害特例債についての御質問にお答えいたしたいと思います。  激甚災害指定がありますと、一定の要件のもとに小災害特例債の発行が可能となります。これは起債の元利償還金の交付税算入が有利となるものでございます。この小災害特例債の対象範囲についてでございますが、一般市町村の場合を例にとりますと、公共土木施設災害債の場合は一カ所の工事の費用が十五万円以上三十万円未満、農地、農業用施設、林道小災害債の場合には一カ所の工事の費用が十万円以上三十万円未満のものというふうになってございます。
  88. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 初めに、このたびの災害に対しまして、国土庁長官を初め政府関係皆様方、そして当委員会から委員長を初め委員の先生方、被災地を御視察いただきまして、被災地佐賀県から出ております私としても心から感謝申し上げたいと思います。県民は復興のために一生懸命頑張っております。ありがとうございました。  早速質問に入らせていただきます。  今年七月の九州北部地方の梅雨前線豪雨は、ところによってはかつて未曾有の大水害をもたらした昭和二十八年の豪雨に匹敵したのではないか、こういうふうに聞いております。それにもかかわらず、今回の豪雨では総じて見ますと被害が二十八年の災害よりは少なくて済んだというのは、その後の治山治水事業が進み、災害に対する備えが強化されたことだろうというふうに考えるわけであります。災害を防ぐには、何といっても治山治水施設の整備促進していくことが基本的には重要であると思うわけでございます。私は、今回の災害を契機に、これから二十一世紀までの十年間の間に治山治水への公共投資を十分に行い、安心で定全な国民生活を実現していかなければならない、かように痛感したわけでございます。そのために、政治と行政がこぞってこの問題に取り組むことこそ今回の被災者に対する誠意のあらわし方でもあろうかと思うわけでございます。  そこでまず、治水施設の整備が今回の洪水被害の軽減にどのように役立ったかを確かめるために、具体的な例でお伺いしたいと思います。  筑後川に下筌、松原ダムというのがございますが、これの洪水調節の状況をお聞かせ願いたいと思います。
  89. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 本年七月の梅雨前線に伴います豪雨につきましては、松原ダム上流域で平均総雨量約五百六十ミリでございました。したがいまして、松原ダムの最大流入量は、計画洪水流量毎秒二千七百七十立方メートルに対しまして千九百九十立方メートルでございました。一方、下筌ダムの平均総雨量は約六百十ミリでございまして、最大流入量は、計画洪水流量の毎秒千七百立方メートルに対しましてこれを上回る千八百四十立方メートルでございました。松原ダムでは、最大流入量の約五〇%を調節いたしまして九百五十立方メートルを放流いたしました。また下筌ダムでは、最大流入量の約八〇%を調節いたしまして三百五十トンを放流いたしました。この結果、両ダム合わせまして最大流入量三千八百立方メートルのうち実に二千五百三十立方メートルの洪水を調節いたしまして、下流地域に多大な効果が発揮されたものと考えております。
  90. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 あそこに筑後川大ぜきというのがあるわけですが、あれの評価は今回どのようにお考えになっておられますか。
  91. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 筑後川大ぜきに関連いたしまして河道整備をいたしました結果、これにつきましても水位低下が著しいものがあったと考えております。
  92. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 今お話を伺っていますと、これらの施設は今回の洪水において災害を防ぐ意味で大変な効果があったと思うわけでございます。しかし、振り返ってみますと、これらの施設をつくるためには地元の協力を得るために非常な努力を払われたことも事実でございます。ぜひこれからもそういう努力を重ねながら、ひとつ未然の災害防止のために御尽力いただきたいと思うわけでございます。  それに関連しまして、今回被災を受けた河川で同じようにダムをつくっておられると思うわけでございますが、その辺の進捗状況といいますか課題といいますか、そういうのがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  93. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 今回の災害昭和二十八年以来の広域的な大洪水であったわけであります。建設省所管の管理中の約三十ダムがこの地域にございまして、ここで合計一万一千トンの流入量がございまして、このうち五三%の毎秒五千九百立方メートルを調節いたしました。この地方で現在建設省所管のダム事業は、直轄、水資源開発公団、各県が実施しております補助事業を合わせまして四十九ダムがございます。本年度のこの梅雨前線による豪雨被災を受けました河川では、六角川、菊池川等八河川で八事業を実施中でございます。  国土保全の重要性にかんがみまして、ダム事業は早期に完成し、洪水調節効果の発揮が必要でございますが、工事着手から完成までの平均工期は、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリング以来長期化の傾向にございます。しかし、災害を受けました河川はもちろんのこと、全国、災害対策の緊急性にかんがみまして国民生活安定のために早期に治水効果を発揮できますよう、財源確保を含めましてダム事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
  94. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ダムを計画的にあるいは効率的に進めるためには、余り着手してから長くかかったのでは困るわけでございますし、またダムをつくられる地域にとりましては、地域の再建といいますか生活再建のためにもこれは適当な期間でつくり上げてもらわなければ困る。やっぱりその際一番問題になるのは財源の確保だろうと思います。ゼロシーリングの中でとかく事業が延びがちになっているようでございますが、ようやく赤字公債も発行が今年度限りということになるわけでございますので、ぜひひとつ心してこの問題について取り組んでいただきたい、これは要望でございます。お願いいたします。  次に、河川事業についてお尋ねしたいと思います。  今回の災害を見ますと、河川改修の重要性がはっきりとしてくるわけでございます。そこで、治水施設の整備がこれまでどういうぐあいに進んできたのか、そしてまたこれからどういうぐあいに進みそうか、この辺についての経過なり見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  95. 定道成美

    説明員(定道成美君) 現在、河川整備につきましては目標を定めております。これは、時間雨量五十ミリ相当の強度につきまして河川改修を進めておるところでございますけれども、例えば二十年前の河川整備率と申しましょうか、はんらん防御区域の面積、はんらんを防止できる面積、二十年前はどの程度であったかと申しますと、大体二〇%でございました。現在、昭和六十三年末で、これは換算でございますが四一%まで参っております。このまま十年後にどうなるか、二十一世紀でどうなるかということでございますけれども、単純にこの場合、予算がゼロシーリングなんという形で続いたら五〇%までは達しないであろうというようには考えております。そのためにもぜひ、この低い整備率の状況にあります国土保全施設の整備につきまして今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。
  96. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 過去二十年間に二〇%整備率が上がった、これから十年間に一〇%ぐらい上がるかもしれないということのようでございます。しかし、一〇%上がったとしましてもまだ整備率が五〇%だということでは大変心もとない限りだと思うわけでございます。  来年度の概算要求の基準を見ますと、公共事業についてもシーリングがかかって前年同額だということでございまして、その中で生活関連事業の整備につきましては日米構造協議のこともあって二千億程度上積みするということでございます。私は、こういう状況がこれから十年間、この十年間というのは日本が社会資本の整備をやれる最後の大事な十年間ではなかろうかと思うわけでございますが、その中でゼロシーリングで治水事業はいくということに仮になりますと、そしてその結果が整備率が五〇%でとどまるということになると、これは大変なことになるのじゃないか。今回の災害も、突き詰めてみれば、もう少し河川改修ダムの進捗があったならば被害を軽減できたんじゃないかと思うと本当に残念でならないわけでございます。そういう意味では、ゼロシーリングというようなことにこだわらずに、やっぱり治水というのは国政の基本だと私は思うわけでございますので、ひとつ大いに頑張っていただきたい、政治もそのために一生懸命取り組まなければいけないと思うわけでございます。  今度の災害は、そういう意味では生活を直撃した災害である。特に佐賀みたいにすっぽりと水につかっていく、死者は不幸にして二名出ましたけれども、大体において水がじわっと上がってきて床上浸水が起こるというようなところでは、営々として蓄えた資産、こういうものが一瞬のうちにごみになってしまう。そのごみ処理するために大変な努力がこのたびの災害では払われたわけでございますが、本当にもったいないことだと思うのでございます。そういう意味では生活直撃型になってきたこの災害について、建設省としては一体どういうぐあいに取り組んでいこうと考えておられるのか、その考えをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) 治水事業は、先生先ほどおっしゃいましたとおり、国民の生活そのものを支えているものだというふうに我々も考えておりまして、極めて重要な生活の基幹的な事業だというふうに考えております。このために、災害の予防に備えるべく十分な治水予算確保がなされますように財政再建の厳しい状況の中にありましても従前より努力をしてきたところでございますが、今後とも予算の確保を含めまして河川改修促進に努めてまいりたいというふうに考えておりますす。
  98. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 災害が起こるたびに再度災害を防止してもらいたいという声が高まるわけでございますが、その声を受けての施策として大変重宝がられている制度に河川の激特事業というのがあるわけでございます。これについて現状をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  99. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) 河川激甚災害対策特別緊急事業、通称激特事業と申しておりますが、これは先生御案内のとおり、洪水や高潮等によりまして激甚な一般災害発生した地域におきまして、再度災害の防止を図ることを目的にいたしまして河川改修事業を緊急に実施するための制度として昭和五十一年に発足をしております。  平成元年度までにどれだけの事業が行われてきているかと申しますと、直轄事業で四十三河川、補助事業で百十二河川採択され、実施をされてきております。ただ、予算につきましては、河川改修事業費の枠の中で緊急的、重点的に行っているものでございます。
  100. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 今お話の中にありました激特事業が河川改修費の枠の中で行われているという、そこがやっぱり問題だと私は思うわけでございます。災害が起こった川は、お見舞いを兼ねて急行券といいますか、とにかく早く再度災害を防ぐようにこの激特制度を活用して手当てをしていただく、これはもう非常にありがたい限りでございますが、その分どこかの川が改修がおくれていくわけでございまして、しかもそれがゼロシーリングの中でそういうことが行われておるとすれば、これは大変ゆゆしき問題だと私は思うわけでございます。ぜひ全体的に治水事業の整備が図られるような、そういう取り組み方がこの際なされなきゃいかぬ。そのためには、例えば災害関連事業、これは予備費とか補正予算で行われているわけでございますが、改修につきましてももっとこういう制度を導入するとか、あるいはゼロシーリングの枠の外に入れていただくとか、そういう思い切った取り組みがこれからなされなければならないと私は思うわけでございます。  それに関連して申し上げますと、今回の構造協議の中で治水が生活関連の中に入っているのかどうか私は大変心配しているわけでございます。アメリカは広大な土地でございますので、はんらんの起こるようなところには余り人様が住まないというような事情がございまして、私たちの治水に対する考え方、実情をアメリカとしてどの程度考えてもらっているのか私は心配でございます。  仮に数字で申し上げますと、日本の場合ははんらん区域というのが国土の一〇%ぐらいあるわけでございますが、そこに人口の五二%、資産の七五%があるということでございます。まことに生活を直撃する、あるいは生命を脅かす理由はそこにあるわけでございます。それに比べてアメリカは、はんらん区域は国土の七%ということで、本当に広大な土地にあるアメリカの立場をうらやましく思うわけでございますが、そういうことからして、日本の治水というのがアメリカの場合と違った位置づけであるということを非常に認識していただきたい、そのために生活関連という形での推進も怠りなく努力してもらいたいと思うわけでございます。これは要望としてお願いしておきます。  それから、時間がございませんので最後になりますけれども、ひとつ国土庁長官にお願いを申し上げたいと思うのでございます。  今まで申し上げましたように、災害を未然に防止するということが一番大事だろうと思います。そのためには治山治水の施設の整備促進していかなければならない、これはもうはっきりしているわけでございます。しかも、それができるのはこれから二十一世紀までの十年間ぐらいではなかろうかという心配もございます。どうか長官におかれましては、治水治山事業というのが国土の保全という面でも大事でございますけれども、それ以上に民生の安定、そして福祉の増進のために欠かせない施策であるという御認識のもとに、これまで以上のお力を賜りますよう心からお願い申し上げまして大臣のお考えを伺わしていただきたい、これをもって質問を終わりたいと思います。
  101. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 陣内先生にお答えします。  私も今回の九州豪雨災害につきまして、七月五日にみずから政府調査の団長として四県の被災地を、佐賀県では先生に御案内していただきまして回りましたが、改めて災害のすさまじさ、恐ろしさを痛感するとともに、先生御指摘のような治山治水事業、国土保全事業の大切さをひしひしと感じたわけでございます。  そんなことでございまして、防災行政を担当する私としても、治山治水事業について必要な予算措置が行われるよう関係省庁と十分連絡をとりながら鋭意努力してまいりたい、このように考えております。
  102. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ありがとうございました。終わります。
  103. 守住有信

    守住有信君 私もこの間の参議院の調査団の一員として、四県でございますが、今回視察させていただきました。その前にいち早く佐藤長官以下十二の省庁が御一緒にヘリコプターでずっと緊急にお回りいただきまして、本当に住民に成りかわりまして御礼を申し上げるわけでございます。  この前のこの災害対策特別委員会で、阿蘇山の火山灰農業被害という問題をいろんな角度から政府側に注意を喚起した次第でございますけれども、あの最後のところで私も、もしこのヨナ、ヨナと熊本弁で申しますが、ヨナ、火山灰の泥土と豪雨と一緒になったらどうなるだろうかと言って、一例を立野の防災ダム、まださっぱり進んでおりません。予算はついておりますけれども、やっぱり予算だけではない、地元の地権者の問題、これがあるわけでございまして、大多数の、これは熊本を主体としますが、六十万市民の今お話も出ましたような生活、生命、財産を守る問題でも、予算はつきましても地権者説得というのがなかなか進まない。  そこで、これは余談でございますが、私はちょっと檄文を物しまして、県知事、市長、市会議員、関係する県会議員以下マスコミに対しまして、平成の加藤清正になってほしいと。熊本は加藤清正が治山治水をかつて何百年も前にやってくれたわけで、その後のいわゆる都市化現象ということで今お話も出ましたような国土保全の問題が、河川はんらんが直接に生活被害に結びつく状況だというふうに認識しておったところでございます。私も視察はその後大分にも重ねて参りました。  それからもう一つが、話題に出ておりませんけれども、同じ熊本県の北部地域、菊池川の水系、いわゆる山鹿市とか鹿本郡とか玉名市とか玉名郡も、実は福岡県の南部も視察いたしましたけれども、これと同じような状況であるわけでございますので、政府方々は御視察は直接なさいませんけれども、私は漏れた地域の問題を冒頭に皆さん方の御認識とか、県からも報告が上がっておりますでしょうけれども、数字だけでなくて、本当に目で見て手で握った実感というものが非常に防災行政では大切ではないか、このように思っておりますので、あえて冒頭一言申し上げるわけでございます。  それから、今、諸先生の方から激甚災害指定の見通し等につきましてはお話が出ておりました。この点につきましても、四県下、長崎の方もあると思いますけれども、この問題は県、市町村、非常に関係者は切望いたしておりますので、九月というお話でございましたが、大臣御答弁にありましたように、これは一日も早く、手続が要ることは承知しております、データも詳しくチェックせにゃいけません。しかし、御苦労でございますけれども、まことにこの御関係の方は夏休み返上、私どもも夏休み返上いたしておりますが、お取り組みいただきまして、その閣議に向かってより早く、そして人心の安心ということを自治行政等々に対してもお与えいただきますように、これは重ねての要望で、もう既に御答弁あっておりますから省略させていただきます。  それから、今回の阿蘇あるいは竹田市、その両側、阿蘇のいわゆる根子岳の山ろく、外輪山の内側の急斜面、あるいはまた外輪山の外側、これが大分と結びつくわけでございますが、長い間火山岩の岩盤の上にヨナ泥の土が形成されておりますが、私も見まして、何であのような急斜面、沢に一律の杉、私は林業政策、農業政策、非常に一律的なやり方に対して正直申しますと憤激を感じておるものでございます。あのような急斜面には、広葉樹とかそういうものとの復層林といいますか、まぜ合わせて層を多層化していくとか、そういうやり方につきまして、林野庁は学者グループで早速御調査になりましたようですけれども、あの新聞報道見ておりましても、住民の諸君たちも非常に納得できない、こういう感じを持っております。その関係について林野庁の方はどう受けとめ、戦後の植林政策というものをどのように見直していかれようとするのか、ここのところをお伺いしたいと思うわけでございます。
  104. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 今回の集中豪雨によりましてかなりの林地崩壊あるいは渓岸浸食が発生いたしまして、これに伴い倒木の流出が発生してございます。これの原因につきましては、先生のお話にもございましたように、現在、学識経験者等による調査検討委員会を設置いたしまして現地調査をしたところでございます。そういう結果を見まして長期的な対策を考えていかなければいけないと考えておりますが、その調査団報告等を踏まえましても、今回の流れ木、流木発生した原因につきましては、梅雨前線の北上に伴います記録的な豪雨によりまして林地の表土層が飽水状態となり、根系の土壌緊縛力等、森林の持つ林地保全能力を超えたために発生したもの、そういうふうに考えております。  一般に林地崩壊が人工林、天然林等の林種の差異によって起因するという御指摘もございますが、むしろそういう林種の差異よりも、林地を被覆しております地表植生の状況や地形、地質あるいは降水量等、各種の要因が複合して発生するものと考えられております。杉の根系の土壌緊縛力は広葉樹に比して劣ってはいないという研究報告もございます。しかしながら、土砂とともに流出した流木被害をもたらしたということは事実でございます。  このため、災害復旧事業等に努めているわけでございますが、先生御指摘のありましたような複層林施業あるいは育成天然林施業というようなきめ細かな施業を実施することによりまして、災害に強い健全な森林の整備を行うことが重要であると考えてございますが、さらには、今回のような異常豪雨の場合には森林の機能だけで対応することが困難でございますので、そういう林地を保全するための治山事業というものもあわせて推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  105. 守住有信

    守住有信君 もちろん私も杉だけとは思っておりませんけれども、私もアマチュアでございますので、いろんな山林関係の人とかいろんなあれから聞いておりますけれども、いろんな手だてが要るなと。ちょうど農業が今の時代適地通作、米ばかりという一律のあれでございましたが、同じように戦後三十年で、私なんかこう曲解したんですよ。三十年で杉は成長して売れますね。一番早い、成長率も高いと知っております。広葉樹等は五十年とか八十年とか、物によっては百年。それで戦後の植林政策は非常によかったんですけれども、山を守るということで荒れ地を防ぎました。ただ、その後が杉ばかりというようなことで、立地条件ということを余りお考えにならなかったんじゃないか。ごらんになったと思いますが、あの外輪山の急斜面で、しかも沢になるようなところまで杉がずっと上から下まで、何で複層林とかあるいはいろんな種類で――今後の問題でございますけれども、一般論としては、学者グループが御発表になっておられますが、この地域はどうだというふうな御判断も、今後の荒廃した後の復旧に対しまして、やはり災いをもって福となすというふうな物の考え方で、林野庁としてもいろんな専門の学者方と御一諸にきめ細かい植林政策、復旧政策というか、特にそれをまず第一にお願いをしておく次第でございます。  それから、後の始末でございますが、産業廃棄物という言葉はございますが、災害廃棄物という言葉を使い出しましたけれども、自衛隊以下、チェーンソーで切りまして国道にあるやつはみんな処理してくれましたが、流木は燃えるから一部では燃やしております。問題はこのヨナ泥という火山灰の泥土でございまして、道路の上、国道、県道、町道、屋敷の中と同時に、今度はそれが田畑の上に二十センチも積もっておるわけでございまして、これをどうやって除去するか、こういうことで私は県の農政部長、土木部長ともその後もやっておりますけれども、どういうふうにこの流木とヨナ泥を始末して、阿蘇なら阿蘇大分竹田市周辺、それぞれの地域がございますけれども、ヨナ泥があるのはその両方だけでございますので、これについてどういうふうな新しい対策、知恵があるだろうかということで、始末するのはどこか知りませんが、それは道路の上は道路関係、こういうことになると思います、田畑の上だったらやっぱり農林関係かなというふうに思うわけでございますが、いろいろ県側とも打ち合わせだと思いますけれども、どういう方式で――あの阿蘇町、一の宮町の二十センチも積もった田んぼの上の泥土、もう稲穂が見えておりません。  佐賀の場合は、私も見てまいりましたが、非常に大量な一メートル五十、二メートルというような床上浸水でございますが、その後行きましたら田んぼは青々といたしておりました。商品その他いろんな家の中、商店街あるいは工場、自動車の完成品までだめになったわけでございますが、しかし田んぼの方は青々といたしておりました。阿蘇の方は黒々たる田畑がずっと広がっておるわけでございますので、そういう思いを込めて、何かいい知恵を、どういう方法論をお考えか、我々も知恵を出さなきゃいかぬと思っておりますので、その辺のところをよろしくお願いいたします。
  106. 長良恭行

    説明員(長良恭行君) 今お話ございました災害によりまして農地等に堆積しました土砂、特に火山灰等をどうするかというお話でございますが、どこへ捨てるかという問題につきましては、現地地元市町村なり県とよく相談させていただきまして問題がないようにしたいと考えておりますが、堆積状況にもよりますけれども、農地復旧に当たりまして流入した土砂を耕土のもとに埋め込む天地返しという工法もございます。それから耕土に混合する混合工法という工法もございますが、こういう技術的な問題もございますので、こういう方法も含めましてあわせて検討しているところでございます。  いずれにしましても、災害復旧事業の一環としてどのような方法が可能か、あるいは外へ捨てる場合にはどういう方法が適切かどうか、地元とよく相談させていただきまして問題がないようにしたいというふうに考えております。
  107. 守住有信

    守住有信君 私も熊本県の農政部長とやっておりましたら、上と下をひっくり返す。しかし、相当ひっくり返さないと、この間も御質問しましたように、ヨナ泥は酸性土壌でございますから農作物の今後の成長に影響する。もう五、六千万トンですか、石灰を役所の方から買いまして農協は一生懸命石灰をまきおったところでございますが、そういうこともある。本当なら農業土木で表土を取りまして、外輪山の外に何カ所も大穴掘って地球に房せということ、ただそのコストはかかります。ひっくり返す場合よりも私はかかると思うし、ひっくり返した場合、その後の農産物の成長に影響を受けないだろうか、こういう疑問を持っております。まあ、それは現地が一番あれでございますが、県あるいは市町村、農協、そこらと私も進めてまいりますので、よろしく御指導のほどを。  そして、特にそういうのにはコスト、特別の費用がかかりますので、ちょっとよその地域災害と違いますので、この流木とヨナ泥だけは違うということを十分御判断して査定等いろいろなさっていると思いますけれども、十分御配慮をいただきたいということをお願い申し上げておきます。  それから、視察の後で気がついたんですが、実は菊池水系、白川水系の川水が有明海に注ぎまして、それでアサリが死滅をした。そして稚魚まで死んだ。相当な被害だ。これは私は調査した後で知ったわけでございますが、海の方の被害、これについて、水産庁だと思いますけれども、どのように把握してどのような対策を考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  108. 森永正彬

    説明員(森永正彬君) 御指摘のように、私どもも県から報告を受けておりまして、今回の災害によりまして大量の土砂がアサリの漁場に流入をいたしまして、まだ堆積をしている状況でございます。現在のところ、県で調査した被害状況でございますが、量として六千百二十八トン程度、額にしまして二十億九千万円程度の被害であろうというふうに見られておるわけでございます。  これに対する対策でございますけれども、とりあえず、このアサリで生活をしている漁民の方もございますので、漁獲収入の減少、漁業経営の維持というような問題も起こる可能性がございまして、こういった方々に対しましては、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金でございますとか、さらにそのアサリの稚貝を手当てする、またそれをまく資金につきましても、公庫の資金、それから漁業近代化資金、こういったものの活用を検討してまいりたい。また、被害状況なり漁民の皆様方の御要望等を踏まえまして、こういった適切な融資対応を今後検討していかなきゃいけないというふうに認識をしているところでございます。  また、先ほど来ございましたように、火山灰中心としますヘドロといいますか泥土が相当堆積をしておりまして、この復旧の問題もございますが、これも県の方で現在調査していただいておりますが、こういった結果も踏まえまして、適切な事業が適用されるかどうか、災害復旧についても万全の対策をとれるかどうか検討しているところでございます。
  109. 守住有信

    守住有信君 ちょっと角度を変えまして、いろいろ災害時の場合の緊急通信と申しますか電話網、私の知っておりますのは、阿蘇の交換局がせっかくディジタルの最新鋭の交換機を入れまして一週間後ぐらいですか、水につかってみんな通信回線が途絶をした後、佐賀の方もゼロメートル地帯でございますからダウンしたということで、それに対する復旧のやり方ですね。  実は、電電公社からNTTになりましたから、その関係復旧なり手の打ち方が余り県の災害対策本部で知られていないんじゃなかろうか、あるいは政府に置かれる災害対策本部にもそういう状況なり手の打ち方なりその後の状況復旧が余り知られていないんじゃなかろうかと思いましたものですから、北方町では一人だけあの町長さんが時間を割いて説明がありましたものですから、ある片りんだけはそのときの手の打ち方がよくわかったわけでございますが、もう一遍、国土庁長官以下皆さんいらっしゃいますので、よろしくその辺のところを、どういうふうにNTTとしては被害を受け、かつそれの迅速な復旧にどういうふうな方法で手を打ったか、実例でも挙げてお話しをいただければありがたいと思います。
  110. 寺西昇

    参考人寺西昇君) 御説明申し上げます。  今回の九州地区集中豪雨に伴います電話関係被害でございますが、先ほど先生からお話ございました佐賀県の武雄の近くにあります北方という地区が一ヵ所と、それから先ほど来お話が出ております熊本県の阿蘇一の宮地域、それからあそこからちょっと離れました大分県の竹田地域、この大体三カ所で大きな被害を受けました。  それで、北方にあります電話交換局と、それから阿蘇一の宮にあります電話交換局、これはいずれも無人の交換局でございますが、これが大体四十五センチないし三十九センチでございますが床上浸水いたしまして、交換機がストップしました。これが七月二日でございます。それから河川のはんらんと橋梁の流失に伴いましてケーブルが橋と一緒に流されてしまったというところが三カ所ございました。これは主として竹田地域でございます。そういうことで、トータル一万八千のお客様の電話不通になったというのが被害状況でございます。  それで、私どもの九州支社の中に災害対策本部というのをつくりまして、それから全国各地で協力態勢をとりまして全社挙げまして復旧に当たったわけでございまして、阿蘇一の宮の方は、先ほど先生がおっしゃいました、これは昔のいわゆるアナログの電話交換機からディジタルの交換機にかえて間もなくて水につかったということでございますが、幸い下の方だけだったものでございますから、そこはパネルを取りかえまして、これは三日ないし四日ごろにかけまして復旧をしたわけでございます。北方の方は約三千名のお客様が収容されておりましたが、これは福岡から移動用の応急の電子交換機、災害復旧用のトレーラー型のやつを持ってまいりまして、これに全部収容がえしたということでございまして、大体復旧が終わりましたのが土曜日、七月七日の夜八時十八分だったと思います。こういうことで五日間ですべて切りかえをしたということで、この間非常に御迷惑をおかけしたわけでございますが、地元としてはかなりそういう意味では我々から見ますと順調なやり方といいますか手際よく復旧をしてもらったというふうに我々認識しております。  ただ、この間非常にお客様に御迷惑をかけたということで、臨時の公衆電話をトータルで約百五十台置きまして、それから携帯電話等も使えるものは使っていただくということでやりまして、それから電話ではどうしてもだめなところは伝言取り継ぎサービスといいましてメッセージを我々が運ぶというふうなやり方、これは大体千五百通ぐらい御利用があったわけでございますが、そんなようなことでありまして、何とか一週間以内に復旧を完了したというのが実態でございます。  以上御報告申し上げました。
  111. 守住有信

    守住有信君 そういう問題、いわゆる電話の大衆利用というか、関連いたしまして無線系の携帯電話というのもございますし、一方では自治省は防災無線ということで各県あるいはあらゆる市町村で防災無線の推進をなさっておられるわけですが、これがこの間参りましたときも町村の防災電話が一波しかない。県との間は三波あるが、わずか一波である。そして、その一波が何か多重というか共同利用というか、そういう利用ができないだろうか。また、それは役場の中にまでしか来ない。あとは端末の防災行政無線がありますけれども、あれは集落の中に電柱のような小さいのが立っておって、小型マイクが四つばかりついておるというやつで、一方的なお知らせでございますから、現地の新聞記者と同じようなものですからね、最初どのような状況が起こったか。各部落は無数にあります。それの情報というものをすかさずとる、そしてまた伝える、こういう意味でいろいろ行政無線は行政無線、特に防災無線は絶対必要だと思うのです。  それとNTTの携帯電話、これを私は、意見でございますが、地方自治団体あるいは災害が多いような地域は都会地の市役所だけではなくて、市町村の自動車電話だけではなくて、市役所の職員あるいは消防団にも、市役所で絶えず日常の自治行政事務で使っておって、いざというときはそれを消防団その他区長さん方にもお渡しして、災害災害のときのような利用の仕方をする。災害だけだとコストの負担とかいろいろ考えますと、日常から地方自治行政の中で使っておって、エマージェンシーのときはエマージェンシーのような使い方をする。また一方では、NTTは、無人のところではだめですけれども、有人の窓口のところで携帯電話をエマージェンシーのときは自分のところのやつを貸与するというか、そういう組み合わせで、片や自治省の防災無線、片や携帯電話、そしてまた無線系ですから有線系交換機がダウンしても無線系と有線系交換機と切り離すようなシステムをNTTも構築される、携帯電話の無線系と有線系の普通の電話の交換局と切り離すような方式もおとりになるというふうなことで、それぞれが有無相通じて情報というものを、末端の状況、指令その他をいろいろエマージェンシーのときに対応できるような方式を日ごろからつくっておられたらいかがだろうか。  時間が余りございませんので十分御説明ができませんが、これは私の考え方でございますが、そういうふうな方法を郵政省としてもまた考えるべきではないか、このように思っておりますが、まず冒頭は、一波しかとれぬということを町村から盛んに聞きました。県からは三波あるとか聞きましたので、そこらのあたりからひとつ実情とお取り組みの姿勢というか、それをお聞かせいただければありがたいと思います。
  112. 清水英雄

    説明員(清水英雄君) 守住委員御指摘のとおり、防災行政無線というものを現在地方自治体に対して、台風ですとかあるいは災害時のために非常災害用に運用するということで免許しているところでございます。大分いろんな県で御利用いただきまして、例えば平成二年六月末でございますけれども、四十七都道府県のうち四十三都道府県がこれらを整備しているところでございますし、また市町村の段階におきましても約七四%の市町村がそれぞれ防災行政無線を整備してきているところでございます。  これらの防災行政無線は、先ほどお話のございましたように、非常に有線に比べまして災害には強いという特性を持っておりますが、実はある意味では無線というものの宿命でございますけれども、どうしても周波数の有限性から、混信等の問題から、割り当ては防災通信を遂行するために必要な範囲内で免許しているところでございます。このため、災害時におきましても、またある意味では平常時に御利用いただく場合にも回線数の不足の問題というものが出てまいっております。  そこで、郵政省の方といたしましても、防災行政無線の利用の促進を図ることが防災行政無線の整備促進にも役立ちますし、またいろんな面での市町村方々への有効な機能ということがございますので、本年の五月の段階におきまして都道府県の固定系の回線、これが今まで単一の回線でございましたので、一つのところが使っておりますとその波を使われておりますので他の人が使いたくても使えない。先ほどのお話のように非常に混雑するというところがございましたので、この面につきまして市町村、防災関係機関などの端末系まで多重回線の導入を可能とするように方針変更するとともに、別の周波数帯でも御希望があればその周波数割り当て増を含むというような制度的な改善を行ったところでございます。  防災行政無線というものの利用が促進されていきますように、私どもといたしましても今後も引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  113. 寺西昇

    参考人寺西昇君) 関連しまして。  それからもう一つ、携帯電話お話いただきましたけれども、これは私どもNTTが御提供申し上げているわけでございまして、これは自動車電話のエリアと携帯電話というのは同じエリアでございますので、自動車電話をお使いになれるところは携帯電話もお使いになれるということでありまして、今回、佐賀北方のエリアでは自動車電話のサービスエリアに入っておりましたので、私どもにたまたま二台ございましたので、これは行政当局にお使いいただいて非常に御好評をいただいたということでございます。これからもそういうふうなケースがございましたら、私どもも積極的に御当局には協力をして提供してまいりたい、かように考えております。
  114. 神林章元

    説明員(神林章元君) ただいま先生御指摘のとおり、非常災害時には通信メディアの多様化、多重化というものが非常に必要だと考えております。今回、各県におきます運用実績を見ましても、都道府県防災行政無線の多重化あるいは回線増等によりまして、より高度な機能を持つことが有効であろうと思います。また、御指摘の市町村防災行政無線につきましても、消防庁といたしましてもみずから持っております補助制度あるいは起債制度を活用いたしますほか、関係省庁の力をおかりしまして、一斉同報とそれから携帯用の移動系を含めて整備促進しているわけでございますけれども、これを補完します各種の通信メディアについても並行して整備することが望ましいと考えているわけでございます。  なお、これらを活用しました情報の収集伝達の体制整備、また情報に対応した防災活動の展開につきましても、今回非常に避難がスムーズにいったという事例の報告を私ども受けて心強く思っておるわけでございますけれども、今後ともより実践的な防災に努めますよう、なお一層市町村指導してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  115. 守住有信

    守住有信君 今それぞれお答えがありましたとおり、と同時に、自治省、郵政省、NTTが絶えず連携しながら役割分担をする。そしてかつ、私はNTTに申し上げたいけれども、ああいう過去に何メートルまで来たという前例もある。豪雨でもうそれ以上になるかもしれない。そうしたら交換機のところはみんな高くコンクリートで上へぐっと上げる。人間は平地だけれども、営業マンは平地だけれども、みんな高く上げてもらう。  それから、場合によりては携帯電話のシステムで、有線系はこれはケーブルが切れるから橋が流れればこれはだめになるわけだから、そういう無線系の携帯電話、自動車電話、エリアが狭いことはわかっています。佐賀の方は一円聞こえるけれども、阿蘇へ行きますと、阿蘇町は聞こえるけれども一の宮のちょっと上、外輪山のそばまで行くともう聞こえぬ。私は自分で使っているからようわかっておりますが、そのエリアも拡張なさる。と同時に、交換機を有線系と別にするような仕組み。  それで、私はいずれは五、六年先は衛星通信から移動系の通信系になっていくとこう見ておるわけですから、それを待っておって地上系のを広げない、どうせ衛星系に六、七年先はなるからといってそれじゃいけませんよ、NTTは。やっぱり自動車用の携帯電話のエリアを広げながら、そして従来の電話の交換機をうんとかさ上げをする。それでも橋が流れたときは、あそこの橋のところにケーブルはひっついておりますから一緒に流れるわけだから、そのときには無線系の利用、そしてこれも日常から市町村は自治団体として広い地域を持っておられます、過疎地域になればなるほど広い地域。大都会の方はいろんな会社の電話を使ったり公衆電話があるわけです。ところが過疎地域はそうじゃないんだ。だから、何も私は町長さんが自動車電話を持てということを言っておるんじゃなくて、役場の人たちが携帯電話、幸い十万円の分だけは民間と違って要らぬようでございますから、そういう利用法も日常の自治行政の中で御活用になって、エマージェンシーのときも使う。NTT側は、有線系はケーブルでダウンしても無線系の方は大丈夫だというふうなシステム構築というか、それを三者で協議して詰めて進めていっていただきたいということを最後にお願い申し上げるわけでございます。  それから、先ほどからの豊肥線の問題ですが、片や大分、片や熊本でございまして、私は民営・分割のときの附帯決議の第二項ですか、これだけは覚えております。そして私もそれなりに勉強してみました。これは運輸省の方来ておられますが、鉄道防災事業費補助金、これは鉄道そのものでなくて、その沿線の民家、道路等を守るための法制でございまして、工事費の二分の一補助。予算を見ますと、平成二年度十五億六千万円、こういうあれでございます。それから今出ておりました鉄道軌道整備法、これも八条でございますか、今御説明のように会社が復旧の能力がないとき、つぶれる寸前みたいな島原鉄道とかそういうものに対するこれは立法趣旨でございまして、それも災害の二〇%補助でございます。  私は前から、新幹線問題も同じでございますが、鉄道、鉄路、これは道路でございますよ。上にレールがあって電気機関車が走っておるわけだ。私は運輸省の姿勢を前から疑問に思っておる。港湾は船会社が負担しておるわけじゃありません。飛行場も航空会社が負担しておるわけじゃありません。公共事業としてやっておる。なぜ鉄路、鉄道だけが、同じ道路だけれども、それがなぜ社会資本として、公共事業として運輸省は長い間お取り組みにならなかったのか。しかもなお、民営・分割というときにも災害に対する備えというものを法制度的にも余りお備えになっておられぬようだ。  ところが一方、きょうの新聞でございますが、「整備新幹線など財源管理 特殊法人を設立 大蔵・運輸両省」、中を見ますと、「同機構の補助対象としては、整備新幹線建設費のほか、大都市圏の地下鉄、常磐新線など通勤新線、JR東日本の三鷹―立川間(中央線)の複々線化工事など大規模改良工事などを予定している。」。なぜこの中に、今回は九州でございますけれども、九州の豊肥線の公共事業的な性格の補助を、そういう発想を、予算折衝の前でございます、どうか国土庁長官も、今御答弁では可能な限りと。その中で、こういう一方では整備新幹線問題を公共事業として、あれは鉄道、鉄路ではないか、こういう思いで私どもいろんな先生方と御一緒になってやっておるわけでございます。  九州は博多まで来て、あとは来ておりません。青森の方々も盛岡まで来て、あとは青森まで行っておりません。私の気持ちは正直言いますと、広島まで来ておるのはまだいい。九州福岡まで来てあとが来ておらぬ。長崎方々もいらっしゃいます。そういう気持ちでおる問題でございます。  その中に発想として、この災害補助というテーマを運輸省みずからが立てるべきである。要求なきところに査定なし。そして国土庁が調整推進官庁、国土の保全の推進官庁として、国土庁長官以下防災局長以下も加勢してもらう、こういうのが大きな道筋ではないかと思うんです。お帰りになりましたら、ひとつ林次官以下、よろしく大臣へも、ぜひともこれを、これはチャンスなんだ。しかも、最大の被害を受けたJR九州や北海道、前から論議があったと。何も党派の差じゃございません、こういう問題は。そういうことじゃないんだよ。そうして七百五十万人の通勤、通学路、観光の鉄道でもあります。そしてもう一つ言うなら、あの高森線の高森トンネルがだめになりました、水脈ぶち当てて。だから宮崎県のあっちともつながっておらぬのですよ。これが東九州と西九州を結ぶ唯一の幹線なんです。そういう角度、地域住民の思い、通学、通勤、観光、大分知事も観光だ、熊本知事も観光でございますと、そういうのが結び合う、こういうわけです。  だから、あなたは若くして代表でおられるけれども、会議録でも十分見せていただいて、大野大臣以下、林次官以下に、これひとつチャンスなんだから、これには防災が入っておらぬ。整備新幹線とかJR東日本の複々線化とか、こういう都会地で一極集中と言いながら、四全総と言いながら、こういうのに何で発想が入ってこないんだろうか。あえて私のアイデアというか構想を申し上げますが、いかがか。なかなか言いにくいかもしれぬが、ひとつ。
  116. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) お答えいたします。  ただいま守住先生初め各先生から、豊肥本線災害復旧に対する国家的な支援ということについていろいろ厳しい御意見を賜ったわけでございます。私どもといたしましても、同本線の早期復旧ということが使命と心得ております。したがいまして、このような鉄道軌道整備法という現行の法制度の枠内ではなかなか困難なものにつきまして、これをどう解決していくかという問題は、制度全般を先生おっしゃるように見直さないとこれは解決できないものだと深く考えております。したがいまして、そういう面も含めまして今後十分当委員会での御議論を踏まえまして検討してまいりたい、このように考えております。
  117. 守住有信

    守住有信君 終わります。
  118. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ─────・─────    午後一時四十分開会
  119. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  120. 常松克安

    常松克安君 前置きは割愛させていただきまして、なおかつ午前中の先輩議員先生方の質問と重複いたしまするところは前段割愛させていただきます。  端的に質問を申し上げます。国土庁といたしまして会議をなさいました。中部電力社長と国土庁長官平成二年四月一日、中央防災無線局開設についての協定を結ばれ、災害に対応する宇宙衛星との協定文であろうかと思いますが、この効果についての御説明をまず願いたいと思います。
  121. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 災害対策、特に災害応急復旧対策を進めるに当たりまして、まずもって迅速かつ的確な防災情報の収集伝達が不可欠でございます。そこで、国土庁といたしまして、これまで指定行政機関指定公共機関等を結ぶ中央防災無線網の整備充実を図ってまいったところでございます。東京以外の地方の防災関係機関との情報収集伝達に関しましては、まずもって東海地震防災対策強化の一環といたしまして、ただいま先生仰せられました中部電力の御協力もちょうだいいたしまして一応つくらせていただいたわけでございます。今後、これによりまして情報の伝達の強化にさらに拡充を加えていきたいというふうに考えております。
  122. 常松克安

    常松克安君 午前中もありましたけれども、無線だとかいろいろなケーブルにつきましては、非常に時代にかなった面もあればまた不足する面もございます。よって、こういうふうな大きなことを以前から提言申し上げてきたものでありまするが、中部地方防災、これはやはり全国ネットにこういうふうなものをこれから推進していかれること、すなわち言葉だけのやりとりの被害状況把握ではなくして、すぐさまそこから映像が同時放送できる、これによってまた的確な救助態勢がとれ得るものとこう考えますので、なおこれについては格段の全国ネットへの御尽力をお願いいたしておきたいと思います。  第二番。九州災害におきまして、いろいろな角度からの各関係所管の御尽力はさることながら、自衛隊の救援態勢、この辺のところについて少しお伺いいたします。  まず一つは、何日何時ごろ、だれから要請を受けて、そしてどれだけの陣容で、電話で要請を受けて何時ごろそれが具体的に現地に到着されたか、あるいはまたその延べ人員、これをお知らせ願いたいと思います。
  123. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) お答えいたします。  今回の九州豪雨災害に対する自衛隊の災害派遣につきましては、佐賀県、大分県、福岡県、熊本県の四県の知事から、七月二日から三日にかけまして合計八本の災害派遣の要請を受けております。  その内容につきまして御説明いたしますと、まず佐賀県につきましては、七月二日十時に、これは牛津町におきます河川溢水の応急措置に関する要請を受けております。それから二つ目が、同日十時半でございますが、鹿島市、塩田町における床上浸水家屋三百戸の救助、さらに同日十六時でございますが、多久市における給水支援、合計三つの要請を受けております。  これに対しまして自衛隊といたしましては、第四特科連隊長命でそれぞれの三つの要請にこたえるべく第四特科連隊を派遣しております。現地への到着でございますが、牛津町につきましては七月二日の十四時に、人員九十五名、車両十四両を第一次に派遣しております。それから鹿島市、塩田町につきましては、七月二日十四時三十五分に、人員三十二名、車両四両、ボート九隻、それから多久市につきましては、七月二日二十時五十四分に、人員十二名、車両六両、以上がとりあえず現地に到着したものでございます。最終的には、佐賀県に関しまして七月三日から五日までそれぞれ活動いたしまして、合計、人員といたしましては約八百名、車両につきましては百数十両の派遣をいたしております。  それから大分県につきましては、七月二日十一時五十五分に、竹田市における床上浸水による孤立者の救助の要請を受けております。  これに対しまして、第三特科群長の命令で第三特科群を竹田市に派遣しております。竹田市総合庁舎地区の人命救助活動の実施を命令しております。現地の到着でございますが、七月二日の十九時三十五分に、人員三百十一名、車両五十三両、ボート二隻が現地に第一次に到着しております。最終的には、七月六日まで活動いたしまして、延べ人員約千百名、車両約二百両等々というふうになっております。  それから福岡県に関しましては三つございまして、七月二日十一時五十六分に高田町におけるがけ崩れによる埋没者の救助、それから二日十二時十一分、三橋町における河川溢水の応急措置、さらに同日十三時三十六分に久留米市における河川溢水の応急措置の三つの要請を受けております。  これに対しまして、第四師団長からの命令で第四特科連隊の派遣を命令しております。それぞれの地域における災害の救助という内容でございます。これら地域におきます到着でございますが、七月二日、高田町におきましては十六時に、人員百六十二名、車両十四両、それから三橋町におきましては同日十六時十五分、人員百十七名、車両十五両、さらに久留米市につきましては同日十四時三十分、人員六十一名、車両十両という派遣をしております。これらの福岡県につきまして最終的な規模でございますが、人員が約三百数十名、車両が四十両近くになっています。  それから熊本県でございますが、七月三日の午前三時三十分、一の宮町における行方不明者の捜索、孤立者の救助、給水支援といった要請を受けております。  これに対しましては、第八師団長命で第四二普通科連隊に派遣命令を発しております。一の宮地区災害救助という命令の内容になっております。現地到着でございますが、七月三日午前五時四分、人員六百七十一名、車両百三十二両が現地に到着しておりまして、最終的には七月十二日に撤収したわけですが、合計、人員約三千二百名、車両が約六百数十両といった内容になっております。  以上が概要でございます。
  124. 常松克安

    常松克安君 質問したのが一分で答えるのが六分かかっておるんですが、もうちょっと短くしてください。延べトータル五千四百二十三名、車両が一千三十四両、中型へり三機、ボート十三隻、要請を受けて四時間三十分以内で大体現場へ到着しております、これでいいんですよ、答弁は。  そういうふうに、非常にノーハウをもって本当に御苦労さまでございました。スコップで遺体捜索だとか、いろんな流木を切って人命救助のために活躍されたこと、心よりこれは感謝を申し上げておきます。  なおかつ、端的にお答えください、言うなら医療、災害医療の要請はございませんでしたか。
  125. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 災害医療といいますか、防疫活動とか給水支援といったものの要請は来ております。
  126. 常松克安

    常松克安君 今度は厚生省に聞きます。  ある町では体育館にお集まりになった六百名の方に、七月二日に災害が起きまして、七月六日に日赤の医師二名及び総婦長二名、看護婦二名でそこへ到着されました。これは、いつどこから要請を受けて、そして何日何時に到着されましたか、お伺いします。
  127. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。  日赤の関係の救護班の派遣状況について御報告を申し上げたいと思います。日赤につきましては、日赤の本来の業務といたしまして災害緊急時において傷病者の救護を行う、これはみずからの業務になっているわけでございます。もちろん、災害救助法等に基づきまして都道府県知事の出動要請を受けて出動するという場合もあるわけでございますが、今回のケースを県に確認いたしましたところ、日赤自身の判断として熊本県そして佐賀県におきまして救護班を派遣したということでございます。  もう少し具体的に申しますと、熊本県のケースで、先生御指摘のように平成二年七月六日に救護班を構成いたしまして派遣をいたしておる。具体的な時間等については、恐縮でございますが把握しておりません。
  128. 常松克安

    常松克安君 日赤の方々の自発的、能動的な判断、これも敬意に値するものであります。  これはひとつ局長もよくお聞きとどめ願っておきたいと思うんですが、どうしても災害ということになってきますと、いろいろございましょうけれども、激甚災害のときは災害救助というものに対する医療団が自動的にそれに対応できる、こうあった方が人命尊重の上からいってもいいのではなかろうか。災害が起こっておりましたら非常に気が張っておりますからいいのでありますけれども、一の宮町の町長さんに聞いたら、きょうはもう何曜日かわかりません、徹夜徹夜でかれこれもう十日間不眠不休で復旧の心配事に当たっておりますと。非常に気の張っておるときはいいですけれども、終わってから後の治療というもの、災害医療といいますのは早くやってあげた方がいい。あるいはそういうふうに住民のいろんな不安というものが、電気は消えておる、どこはつぶれておる、どうなっているかわからない、そこへもってきて少々頭が痛いとかそんなことは大したことなかろう、そういうふうな考え方じゃなく、激甚災害のときの自動的なシステムづくりというものはやはりなされた方がいいのではなかろうか。そうでなくても東海大地震、東京、関東に直下型というのを考えますと、今から一事が万事、そういう小さなときにシステムづくりというものが大切でなかろうかと思います。  もうしばらく防衛庁に聞きます。  今、防衛医大は年間四百二十名のお医者さん、男性看護士約百二十名、それから女性看護婦六十名が毎年卒業して、人材を養成して確保していらっしゃいます。こういう方がそういうふうな有事に対して即決にすぐ災害医療を要請した場合、今申し上げました本隊は四時間三十分以内に皆着いているんです。これはなかなかできるものじゃありません。同じように医療という問題についてもそれが可能かどうか。もう人材の確保はあるわけでありますから、そのことについてお伺いいたします。
  129. 南澤孝夫

    説明員南澤孝夫君) 先生御指摘のとおり、防衛庁といたしまして従来からもそういうことを行ってきておりますし、今後ともそういう必要が生じました場合には的確に派遣を行ってまいりたいというふうに考えております。
  130. 常松克安

    常松克安君 的確に派遣するということは、これから要請があったらすぐやるということと確認いたしておきますが、それでよろしいでしょうな。
  131. 南澤孝夫

    説明員南澤孝夫君) はい。
  132. 常松克安

    常松克安君 もしもその救護班が動いた場合は、治療費は無料でしょうな。有料ですか、保険点数の要求はあるんですか。
  133. 南澤孝夫

    説明員南澤孝夫君) そういう災害時は自衛隊の経費で行っておりますので、一応無料ということになると思います。
  134. 常松克安

    常松克安君 厚生省にお伺いします。そういう災害のときに日赤の方が行かれたときは、これは無料ですか有料ですか。
  135. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。  災害救助法に基づく救護活動というのは、非常に現場での応急手当て的なものになるわけでございます。災害救助法に基づく、すなわち都道府県知事から出動要請を受けて日赤の救護班が行った場合には、災害救助法に基づく費用負担が行われます。それから、先ほど私が熊本県のケースで申しましたように、日赤が自発的に出動した、派遣をしたという場合には日赤の費用負担で行われる。いずれにしろ、本人負担はないということでございます。  それから、非常に童篤な傷害を受けたという場合が現実に生じ得るわけでございますが、これは現地での臨時応急の処置というのはなかなか難しくて、通例の場合には近隣の病院等に移送いたしましてそこで治療を受けるというケースがあるわけでございます。この場合には、一般の医療といたしましていわゆる診療報酬で措置をするという形になっているわけでございます。
  136. 常松克安

    常松克安君 付言申し上げておきます。  九州災害の件に関しましては、河川改修を一日も早く地域住民の生活安定のために進めていただくことをここで要望いたしておきます。  なおかつ、先ほど重複は避けたいとは申しましたものの、JR九州災害復旧に関して別の角度から言わせていただきますと、JRが民間会社になって経過は何年なんですか。わずか三年。言うなれば、一般論からいきましても企業は五年間は赤字覚悟の上。そういうような経営が非常にシビアで苦しい状況の中にあるわけであります。そういうふうな中にありまして、そちらとしては経営不安の状況の法律を出されましたけれども、こっちが読んでおりますと、基本的な法律では自然災害についてはきちんとその憂いを取り除くべきである、こうなっておるわけでありますから、こういうふうな問題について法改正というふうな抜本的な国家的な言質をおっしゃったわけでありますから、それに準じて御検討願うとして、JRじゃなくても、第三セクターの場所ではもう困っておるわけです。これが一律にやられるともうだめです。  例えば、三重県でいきますと伊勢鉄道というのが第三セクター。JRは、そんなものは赤字で要りませんと、だれも引き受け手がない。仕方がないから県知事中心になってやりました。全国至るところにこれはあるわけであります。集中豪雨ではないけれども、もう二千万でどうしても補修せぬと列車がとまらにゃならぬ、こういうような状況で、知事の名において民間会社が二千万借金してこれをする、赤字になった。こういうふうな状況が頻繁にあちらこちらに起きてくるわけでありまするから、これはもう政治的な課題としてこれから予算委員会での問題にも発展するような一つの基本ベースの問題でありまするから、この考えをあわせて藤井さんに申し上げておきます。
  137. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) 私ども、今回の豊肥本線の問題のみならず、民鉄、JR共通でございますが、こういう大規模な災害につきまして国としての支援策はどうあるべきかという観点から広く総合的に検討してまいりたい、このように考えております。
  138. 常松克安

    常松克安君 方向を変えまして、外務省を中心にいたしまして、フィリピン並びにイランへの海外援助、これに関しまして少しお話を進めたいと思います。  まず一つ。イランの方でありまするが、非常に難しく、その日の閣議決定の前に直行便が出て、そして救助隊の面々はロンドン経由でぐるっと回ってやって現場に着いた。三十三時間。それから災害地へまた派遣というふうに非常に時間がかかっております。これがまず一つ。  第二番目。イラン大使館、中でも河村公使、お見事であります。その救援救助隊の先頭に立ってテント村に四泊五日、ともにテント村に泊って一緒に現場の救助、イランの国の要請に応じて活躍なされた。これは非常に大きな反響を呼んでおる、こういうふうなことを伺ったわけであります。あるいはまたフィリピン、ここに行かれましたのは、これは直行便ということはとれたようでありますけれども、残念なことに外務省の方が予算がないから、なるたけ機材を軽うしてくれ、それもあかぬこれもあかぬ、一キロで何千円も航空運賃が要るからと。たしかこれは十億円を予算化していらっしゃるはずです。こんなことはたびたびやってもらっては困るわけでありまするが、ここにまず一つのネックがある。行かれましたときに、これはもう外務省中心の緊急救援隊というものは非常に大きく報道されまして、その現場の飛島建設とか日本技研あるいは白雲山荘、それ以外の日本人の方々も日本の救援隊が来たということで全部総力挙げて協力体制を結ばれた。非常にまた大きな効果をあらわしているかに思います。  この二つの教訓を通しまして言えますのは、どうしてもそれだけの善意を、早く行きたい、専用機のこれは何とかならないか、こういうことでございます。これについてお答え願いたい。
  139. 飯村豊

    説明員(飯村豊君) 先生今御指摘の輸送の問題でございますが、私ども国際緊急援助隊の派遣のための航空機ということにつきましては、現在、御指摘のとおり専用機は有しておりません。したがいまして、現在行っておりますのは、チャーター便の利用もしくは商業機の利用を行っております。チャーター便につきましては、本年に入りましてから三回ほどチャーター便を利用して、主としてこれはアフリカでございますが、緊急物資の支援を行っている次第でございます。  それから政府専用機の問題は、今総理府を中心に使途について検討中ということを承っておりますので、外務省の所管でございませんので、この際コメントを差し控えさしていただきたいと思います。  それから予算の問題でございますが、商業機を利用いたしますと、まさに先生御指摘のとおりやはりネックといいますか、大量の物は運べないという状況は出てまいります。この前フィリピンに緊急援助隊を派遣した際は、約五トンの荷物を航空会社の協力を得て運びまして、必要不可欠の機材を運ぶことができました。ただ、先生御指摘のとおり、もっとより多くの必要な機材を送るような体制というのは必要ではないか、さらに迅速に送る体制は必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  140. 常松克安

    常松克安君 もう一つ角度を変えまして、今度イランに行きましたときに、イギリスは宇宙衛星を使って本国との連絡のアンテナをきちんと持ち込んでおります。それを見てとって警備隊が本庁に連絡しようとして三時間待たされております。それをイギリスは電話でどんどん宇宙衛星で本国との連携対策をやっておる。そしてNHKもそれを見て、ちょっと貸してもらえぬか、あなた民間やから有料やと。それを見て、そんなもの借りれるかどうかと思いましたけれども、警察庁や消防庁の職員がちょっと本国の連絡や、あなたのところはガバメントや、政府機関。ではただでどうぞ。はしなくもその宇宙衛星を借りて三十秒でつながった。  こういうふうな第一線の声からしても、これからそういうふうな海外援助だとかいろんなところには、何といいましても情報が大事であります。外務省の方は職員も総出で毎日のようにやられるわけですから、その情報を、本国から被害状況や行動を教えるとそればかり請求してくるけれども、連絡のしようがない。こういうふうなことからして、現場の最先端では空回りが行われる。このアンテナ、宇宙衛星、わずかなんです、二百四、五十万で買えるんですが、いかがですか。
  141. 飯村豊

    説明員(飯村豊君) 緊急援助隊の派遣と申しますのは、御承知のとおり六十二年に援助隊法が成立いたしまして本格的に実施体制をとっておるわけでございますけれども、今先生御指摘のとおり、実際にやってみますといろいろな問題点がございます。私ども常に派遣の後には反省会、勉強会をやりまして、こういう点を改善すればもっと世界の中できちっと評価される緊急援助隊になるだろうということで日夜いろいろ工夫をしたいというふうに考えているわけでございます。  その中の問題点といたしまして、先ほど先生御指摘になった輸送の問題、これはさらに改善してより迅速にやっていきたいと思っておりますし、それから通信衛星の方は、イランの山岳地帯の中で地震があったわけでございますが、多数の緊急援助隊が各国から派遣される中で、先生が御指摘になられたような通信衛星を活用していた部隊が二つございまして、一つがフランスの部隊、もう一つがイギリスの部隊でございます。これは、こういった通信手段がない被災地においては非常に有益ということでございますので、現在、関係方面と協議中でございまして、できる限り前向きにやっていきたいと思っております。
  142. 常松克安

    常松克安君 専用機は、それはなかなか時間も食うことでありましょう。しかしながら、専用機となりますと、機長がまだそんな行ってないところへそら飛べと言ったってすぐ行かれないですから、これもまたいろいろな問題提起。しかし、いかなることがありましてもこのチャーター便の確保だけはもう断じてこれは確保すると、こういうふうな姿勢であっていただかないと、せっかく善意というもので、その国の威信をかけて行くわけですから、これは効果が出ないということになります。  いま一点質問しておきます。フィリピンへ行かれました警察庁、消防庁、これは公務出張です。医療団が、大阪府立の千里救命救急センターの太田先生が先頭で行かれました。看護婦さんが四人行かれました。その内容は、三名はきちっと仕事という扱い、一名は気の毒に、そこまであんたが要請受けて行きたいというならば欠勤扱いですよ、そうして有給休暇を使って行きなさい、こういう一名が入っていらっしゃいます。  第二点。警察庁、消防庁にはいろいろ手当はありますが、こういう方は国家公務員じゃないんです。少なくとも聖域と自負していらっしゃる医療団なんです。この方の処遇に対して、それはボランティアやないか、ボランティアはただが当然やと、そんな感覚で今現実に動くとしたらこれは大変なことであります。こういう方の金額を、じゃ査定の基準をどこに置いておるのか。聞けば驚くびっくりこくです。ここに法制局からもらった基準がございますけれども、例えば中近東で六千二百円。現実は金額は抜きにして、そんなことはおっしゃいませんが、少なくともそういう人の日当がこういうふうな状況であるということは、後に続いてくる方がいなくなってしまう。それが証拠に、今まで七年前は八百名自主的にそういう救援隊の中にくみした自発的、能動的なお医者さんがいた。昨年は三百二十名、なぜ減っているんですか。  それはそうでしょう。行って帰ったら職場もありません、行って帰って領収書書くときゼロ、まんじゅう一つ落としたんと違うかと。お金の問題じゃないんです、ヒューマニティーで行っていらっしゃるんです。しかし、その扱いというものを少し考えないことには、行っていらっしゃるお医者さんがおっしゃる。日本で患者を治療するより倍のエネルギーをして日本の国の名において助けにゃいかぬ。ここまで来たからには日本の国全体の責任を負って仕事しているんだと、こういうお気持ちで働いてお帰りになる。これが本当の気持ちです。その人たちがそういうふうに、報われないとは私は申しておりません、常識論からいっても少しそれは外れているんじゃなかろうかなと。今後大至急検討に値する問題だと思いますが、いかがでしょうか。
  143. 飯村豊

    説明員(飯村豊君) 先生御指摘のまず第一点のチャーター便の使用でございますが、チャーター便の使用は迅速に行える場合、それから目的地にもよりますけれども、非常に有効な場合はそれを使いたい、かつ必要な場合は、商業機で行った方が早い場合はそれを使うということで、ケース・バイ・ケースで検討していきたいというふうに考えております。  それからもう一つ、医療チームの扱いにつきましては、現在、看護婦さん、お医者さんに現地に行っていただいて大変に活躍していただいているわけでございますが、その方々の扱いは、国際協力事業団JICAの専門家、短期に派遣されます専門家並みの処遇になっております。したがいまして、日当、宿泊、旅費は各省庁皆さんが行かれるのと同じ額のものを出しておりますほか、特別技術手当ということでそれに若干加算をして出させていただいておりますす。
  144. 常松克安

    常松克安君 次回の委員会できちっと金額も、そういうふうに答弁なされることと内容が全然違うということを証明してみせます。そのときにまた論議を展開しましょう。  いずれにしてもチャーター便にしてください。民間というと三十三時間、また繰り返しが始まるんです、乗っている乗客を降ろすわけにはいかないんですから。その辺のところをよく判断して、国を挙げての救助であるということ。  最後に長官にお尋ねしたいと思うんですが、せんだって、こういうふうな災害がイランで起こりフィリピンで起こり、ちょっと日本にプレートが近づいてきているんじゃなかろうかと、地震大国のサミット会議を提唱いたしましたが、その後どういうふうな御決意のほどのお計らいになっていらっしゃるんでありましょうか、それが一点。  時間がないので、局長の方に結論だけ申し上げておきます。先ほど自衛隊の医療について、ノーハウから機動力から抜群なものを持っているんです。にもかかわりませず、ここにあります南関東地域震災応急対策活動要綱、この本文の対策の中には入っておりますよ、自衛隊は。しかし、細目についてはわざわざなぜ自衛隊という字が全部カットされているんですか。具体的に申し上げておきます、答弁要りません。こういう問題について二十二ページ及び二十三ページ、防疫活動、広域後方医療設備の選定あるいはまた広域後方医療活動の基本的な役割分担、国の役割、こういうふうな項目からは、前段にはきちっと入っているんです、自衛隊の救援隊は。しかし、後段については抜かれておるんです。何か意図があるんですかということを含めて後ほどまたお知らせ願えれば結構です。  大臣の答弁の方が大事ですから、大臣の答弁をお伺いして質問を終わりたいと思います。お願いします。
  145. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 常松先生にお答えしますが、簡単にお答えします。  前回の委員会で先生から地震サミットの御提案をいただいたところであり、早速事務当局に検討を命じました。そんなことでございまして、今後関係省庁と十分協議し、検討を進めてまいりたい、こんなふうに考えておりますから、前向きで検討していきますということを申し上げておきます。
  146. 常松克安

    常松克安君 ひとつ前向きの前向きで、八月の重要政策の中の一環にも入れていただいたかのようにも聞きましたので、早急に、これは大事なことでありますので、なお一層の御尽力をお願いしまして質問を終わります。以上です。
  147. 林紀子

    林紀子君 私は、今回の災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からまず初めにお見舞いを申し上げたいと思います。  まず、国土庁長官にお伺いいたします。  建設省では、これまで二回全国の河川を総点検しておりますね。一回目は昭和四十九年で、このときは河川の管理施設と工作物が対象で、建設省が予算委員会に提出した資料によりますと、対策を必要とする箇所数は合計九千百四十三カ所、このうち昭和六十三年度までに対策を実施した箇所数は六千三百六十五、およそ十五年たっても改修率はおよそ七〇%というところです。また、二回目は昭和五十一年で、このときは河川の堤防危険箇所が対象で、対策を必要とする箇所は千九十九箇所。そのうち、昭和六十三年度までに対策を実施した箇所数は六百四十三カ所で、これも十年以上たっても改修率は五八%程度です。  今、政府は来年度予算の概算要求基準、いわゆるシーリングづくりをしておりますけれども、日米構造協議の中で、今後十年間におよそ四百三十兆円の公共投資を約束いたしましたけれども、空港整備や港湾、高速道路など大型プロジェクト優先というのではなく、ぜひとも整備がおくれている河川改修など、防災関連の公共事業を大幅にふやして災害に強い国土づくりを進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  148. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 林先生にお答えします。  今先生の御質問は、河川改修など防災関連の公共事業をふやしまして、災害に強い国土づくりをやったらどうかという御質問だと思います。私も今回の九州豪雨災害について、七月五日にみずから政府調査団の団長として四県の被災地を回りました。改めて災害のすさまじさ、恐ろしさを痛感しますとともに、治山治水事業等、国土保全事業の大切さをしみじみ感じたわけでございます。  御指摘のように、防災行政を担当する私どもとしても、治山治水事業について必要な予算措置が行われるよう、関係省庁連携を十分とりながら鋭意努力してまいりたい、このように考えております。
  149. 林紀子

    林紀子君 今回の災害では、佐賀県の小城町の六角川水系の晴気川では堤防が被堤しました。この箇所は、県の水防計画書には危険度評価基準Aランク、すなわち水防上特に重要な箇所で、予想される主な事態という欄には、まさに破堤ということが書いてありました。水防計画書に書いているとおりに災害が起こったわけです。わかっていながら災害が起こった。これは対策がおくれていた結果によるもので、こうしたことが二度と起きないように、防災関連の公共事業予算についてはぜひとも大幅な増加を要求したいと思います。  次に、来年度予算との関連で、地方の公共事業への国の補助率を昭和五十九年度に復元すべきではないかと思います。補助率の引き下げは、治水事業や治山事業といった防災関連の補助事業にも及んでおります。河川激甚災害対策特別緊急事業、この激特といった補助事業にまで補助率の引き下げがなされてきたということは本当にひどいことだと思うわけです。この補助率の引き下げで地方公共団体に対してカットされた額といいますのは、建設省や農水省が予算委員会に提出した資料によりますと、治水事業で昭和六十一年度からこの五年間だけでもおよそ八千五百億円、治山事業ではおよそ一千五百億円、合計一兆円にも及んでおります。こうした補助率引き下げによる地方へのしわ寄せが対策のおくれを招いているのではないでしょうか。自治省では補助率を昭和五十九年度ベースに戻すよう強く求めていると聞いておりますけれども、防災に対して責任を負っている国土庁長官としても、ぜひ補助率を昭和五十九年度ベースに復元するよう働きかけるべきだと思いますけれども、その点についても長官からお答えいただきたいと思います。
  150. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 補助率カットの問題でございます。国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律によりまして、現行の補助負担率につきましては平成二年度まで暫定措置が講ぜられたことは先生仰せられたとおりでございます。  公共事業等の補助率の復元につきまして、平成三年度予算の概算要求基準、先ごろ二十七日閣議で了解されたものでございますが、これによりますと、その取り扱いを予算編成過程において検討をいたしますと、ただとりあえず概算要求の段階では昭和六十一年度ベースまで復元をするということで要求をいたすこととなったわけでございます。この問題につきましては、年末の予算の編成に向けまして引き続き関係省庁間で検討が進められるということになってございますが、国土庁といたしましても、防災関係の公共事業を初め各種公共事業の積極的実施を図るという観点から、関係省庁に働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。
  151. 林紀子

    林紀子君 六十一年度でとどまるのではなくて、五十九年度までのベースに引き戻せということをぜひ強力に御主張いただきたいと思います。  こうした補助率の引き下げによる対策のおくれが原因で、佐賀市ではその三分の一、およそ四千八百ヘクタールが水没したのではないかと思うわけです。佐賀市は、昭和五十五年にも市内のおよそ五千五百ヘクタールが水没するという災害に見舞われまして、再度このような災害を防止するために、河川激特事業で佐賀江川の改修と毎秒六十トン放出のポンプ場を整備しました。しかし、今回の災害では、記録的な降雨量に見舞われたことや、佐賀市が海面より低い平地に位置するという地理的条件もあって、この河川激特事業の効果は余り見られずに、昭和四十八年度から進められている嘉瀬川など中小河川改修が、今申し上げました補助率の引き下げもありまして、進捗率は四〇%程度と極めておくれておりました。今回の佐賀市の水没は、佐賀江川に流れ込む中小河川整備が極めておくれていたのが原因ではないかと思います。  建設省にお伺いしたいと思いますが、県都の佐賀市の水没を再び起こさないために、中小河川改修を速やかに進めるとともに、上流からの流水を考慮に入れた計面水量の見直しなど、抜本的な対策を講ずるべきではないかと思います。また、今回災害をもたらした佐賀県内の六角川、塩田川、牛津川及び佐賀市内の中小河川は、有明海の干満の差が激しいことから、今回のような雨量があると内水の排除どころか逆流が起こってポンプ場まで浸水していると聞きました。佐賀低平地の特殊性とはいえ、各河川の拡幅、堤防のかさ上げ、それから河床の潟の排除など、こうした河道の整備を進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) お答えをいたします。  まず、佐賀市内の中小河川改修についてでございますが、佐賀市内の中小河川改修、今、佐賀江川、これには八田江とか新川とか巨勢川も含まれますが、その佐賀江川、それから本庄江、これも中小河川改修事業でやってございます。それから巨勢川上流とかそれから焼原川の改修を小規模河川改修事業でやっております。それから三間川、これを都市小河川改修事業によってやっております。  このようにたくさんの事業をやっているわけでございますが、昭和五十五年に先生御指摘の災害がございまして、佐賀江川につきまして激甚災害対策特別緊急事業を五十五年から六十一年までかけて実施してきております。そういうことで改修事業をどんどん進めてきているわけでございますが、その後、六角川等につきましても五十五年にやはり水害がございまして、その後の対策として河川改修を鋭意今進めているところでございまして、今後とも引き続き築堤とか護岸とか進めていきたいというふうに考えております。
  153. 林紀子

    林紀子君 次に、災害救助法との関連で厚生省にお伺いしたいと思います。  まず第一に、ごみの話は午前中もございましたけれども、災害によって膨大なごみやまたし尿くみ取りの必要性が出てきております。例えば佐賀県の北方町では、処理場がパンク状態になったために海洋投棄をしていたり、また焼却用地を臨時に借り上げているところもあります。  災害救助法の解説書を読みますと、ごみと汚物の概念に入るものは一般的には廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定によって除去されるべきであるが、汚物が生活上著しい障害となっている場合には本法の救助として取り扱うこともあると、こういうふうにされておりますね。  ごみやし尿など汚物の収集、運搬、処理費などは全額補助対象にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  154. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。  災害救助法の中で、いわゆる障害物の除去というのが災害救助法の応急措置事項に入っているわけで、その障害物の除去の中でし尿あるいはごみ処理というようなものが行えないかという御質問かと思います。障害物の除去と申しますのは、家屋半壊した、あるいは床上浸水被害があったという場合に、その障害物が運び込まれました状態が日常生活を営むのに支障を来しているもの、もうちょっと具体的に申しますと、家屋内の居室とか、あるいは玄関とか、あるいは台所とか、そういうようなところに障害物が入ってきたというようなものを除去をするというのが当面の課題になるわけでございまして、災害救助法の障害物の除去と申しますのはそういうことを考えております。その障害物の中身がたまたま汚物であったということもあり得るわけで、そういうケースにつきましては、まさしく日常生活を営む上で著しい障害を伴っているという場合になるわけでございますけれども、一般的な意味でし尿、ごみ等の汚物の概念に入るものにつきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、こちらの方で処理がなされているということでございます。
  155. 林紀子

    林紀子君 そうしますと、これは補助の対象にはならないということですね。
  156. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 災害救助法の対象にはならない、したがって災害救助法に基づく補助の対象にはならないということでございまして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の方で公的な補助がなされるわけでございます。
  157. 林紀子

    林紀子君 次に、災害救助法の適用があり、被害を受けた世帯に対して災害援護資金の貸し付けというのがあるわけですけれども、私も実際に行ったときにはもう水は引いておりましたので現場は見ませんでしたけれども、写真で拝見いたしましたら、もう車が屋根までつかっているというような状況も見たわけですが、農機具や自家用車などは貸し付けの対象として適用できないものか、ぜひしていただきたいということで御質問いたします。
  158. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 災害援護資金でございますけれども、世帯主の方が負傷を負った、あるいは住居とか家財などに相当程度の被害をこうむった、こういう世帯に対して、一定の要件がございますけれども、災害援護資金の貸し付けを行うわけでございます。そういう要件に該当いたしました世帯の方が災害援護資金を借りるわけでございますが、具体的に何に使うかというような使途の限定というのは基本的にないわけでございます。  その趣旨というのは、被災者の世帯の生活の立て直しに役立てるということでございますが、先生御質問の趣旨のような農機具、これはまさしくそういうのに該当するわけでございますし、一般的に自家用車というのもその一環になろうかと思いますので、貸し付けの対象から除外されるということはないということでございます。
  159. 林紀子

    林紀子君 最後に、災害救助法内容を知らないために被災者の要求に対して迅速に対応できない市町村があるということを私各地で伺っているわけですけれども、そこでお願いですが、土砂災害については、毎年六月に土砂災害防止月間というのを設けていろいろな啓蒙活動を進めていらっしゃるわけですね。この七月、八月にかけましては、毎年集中豪雨災害、こういうものがあるわけですので、そこに合わせて土砂災害のように月間なり週間などを設けて災害対策基本法とともに災害救助法内容を行政当局など関係者に対して指導、教育の徹底を図って啓蒙活動をする、そういうこともぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  160. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 災害発生いたしました場合に迅速かつ的確に対応していく、これは最も重要なことだろうと思っております。私どもといたしましては、毎年度全国の民生主管部長会議、これは災害救助法を所管しているセクションでございます、あるいは災害救助の担当者の係長会議、これをブロック会議と申しましてブロック別に招集をいたしまして、その都度災害救助の具体的な対応の内容、手続、手順、そういうようなものについての周知徹底を図っているところでございます。県あるいは市町村の担当者も現実にはかわったりするわけでございますので、私どもとしては、先生の御趣旨も踏まえまして、今後ともそういうことでできるだけ指導内容について徹底を図るように努力をしてまいりたいと考えております。
  161. 林紀子

    林紀子君 終わります。
  162. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 では、私の方からお尋ねをいたします。  その前に、今回の災害被害を受けられた方に心からお見舞いを申し上げます。関係者皆さん復旧事業への御努力に対しては、今後もよろしくお願いを申し上げたいと思います。  質問の通告の件で御迷惑をおかけしたこともおわびをいたしながら、まず午前中質問されました渡辺議員質問に関連して、ちょっと私自身納得できなかったのでお尋ねをしたいと思います。  それは、豊肥線が現在まだ不通になっていて年度内の開通の見込みがないというふうなお話で、しかも橋梁が流失をしてその回復に多額の費用が要る。しかしJR九州の方では大変な多額な復旧費で頭を悩ましておる。一方では、たまたま橋梁流失の河川河川改修計画がある。そうとすれば、その改修計画の河川で今回の災害で橋梁が流失されたのであれば河川改修工事で負担を何らかの形でできないのか、そういう質問であったと理解しておりますが、それに対して建設省の方のお答えでは、私の理解では、橋梁自体が流失してしまってない、したがって物がないのでいかんともしがたい、こういう御答弁があったと思うんです。その御答弁の中には言葉足らずのこともあって私が理解がおぼつかなかったのかもしれませんが、過疎地における鉄道の長い間の不通、開通が見込めないということは、ますます被害に遭った当該の住民から見れば、被害に遭ってさらに汽車もなかなか開通してくれないということになると踏んだりけったりというふうな感じを持つことは否めないと思うので、いま一度その点について御説明をお願いしたいと思います。
  163. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) JRの橋梁の流失についてでございますが、先生御指摘のように豊肥線の場合は流失をしてしまっておりまして、いわゆるJRに関する運輸省と建設省との協定がございますが、その協定と申しますのは、公共補償基準要綱というのがございますが、これは閣議決定をしておりますけれども、それをもとに定めております。したがいまして、この公共補償基準要綱といいますのは、もう御案内のとおりだと思いますが、現在財産価値があってしかも所期の機能を果たしている公共施設等に対する補償ということでございますので、既に流失し所期の機能を果たしていない橋梁等につきましては、費用負担はこの協定ではできないということでございます。
  164. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 ないからできないということにやはり尽きるということでございますが、次に、私の方から、今回の災害に直接的なものではないかもしれませんが、消防団のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の災害では残念ながら二十七名の方がお亡くなりになった、あるいは百名に上る多くの方がけがをされた、財産的な損害も非常に大きなものがあるということでございますが、私も最近の新聞を読んでおりますと、市町村における消防団組織といいますか消防団実態は、ここにも高齢化が始まったか、あるいはなかなか緊急時に飛び出していける余裕のある方が構成の中に少なくなっている、つまり弱体化するおそれがあるんではないか。一方、消防組織法で見ますと、消防職員と消防団といいますかボランティアのそういう人たちのいわゆる仕事というのは車の両輪である、決してどちらが主でどちらが従とも言い切れないぐらい極めて重大な職責を担っているんだというふうなことが前提になっておる。そういうことを考えますと、非常にこれからの災害防止あるいは予防に、今回は恐らく九州被災地では消防団の方は大変なたくさんの犠牲を払って救出、復旧に従事されたと思いますが、それでもなお実態がそうであるということを考えますと、一体この先どうなるかと少し心配です。  そこでお尋ねをしたいんですが、聞くところによりますと、活性化対策事業というふうなことで消防庁の方も一昨年からいろんな側面からこの消防団の強化に取り組んでおられるんだというお話を伺いました。例えば、団員の処遇の問題あるいは装備の充実の問題、さらに一般地域住民を含めての国民への啓発の問題、そして少ない予算という言葉は不適当かもしれませんが、予算の中でやりくりをしているんだというお話を伺いましたが、その具体的な内容についてお聞かせを願えませんでしょうか。
  165. 中川浩明

    説明員(中川浩明君) お答えをいたします。  消防団は、御指摘のように常備消防と並びまして地域社会の消防防災の中核をなしているわけでございます。消火活動のみならず、大規模な災害時におきます出動もたびたび行っているわけでございます。今回の梅雨前線災害におきましても消防団は出動いたしまして、殉職者を一名出すというような事態にもなっているわけでございます。  ただ、消防団につきましては非常に多くの強い期待があるにもかかわらずいろいろな問題を抱えているのもまた事実でございまして、ただいま御指摘のように、高齢化であるとか、あるいは団員数の減少がなかなかとめられないというふうな問題もございます。  このため、消防団の活性化を推進する必要があるということで、消防庁におきましては昭和六十三年二月に消防団活性化総合計画策定要綱を定めまして、各市町村におきます消防団活性化対策を総合的、計画的に推進するように指導をいたしているところでございます。  平成二年におきましては、ただいま御指摘の消防団関係の施設整備につきましては、消防団活性化総合整備事業というものを準備いたしまして、市町村の行います消防団整備活性化対策に対しまして、施設、装備等の整備の国庫補助制度を実施をいたしているところでございます。  また、団員の処遇につきましては、これは主として地方交付税上の措置をとっているわけでございますが、報酬及び出動手当等の算入額を引き上げる、あるいは公務災害補償におきます補償基礎額等の引き上げを行って、その改善に努めているところでございます。  また、国民に対します啓発につきましては、テレビ等の政府広報、関係団体の協力によりますポスターなどを通じまして努めてまいりますとともに、地域住民消防団に対する理解と認識を深め消防団活動に対します積極的な協力を得るために、市町村が実施します啓発事業等に対しましても必要な助成事業を行っているところでございます。  今後とも消防団を中核とした地域の消防防災体制の強化を図っていくため、団員の処遇の改善を一層進め、消防団の活性化の施策を実施してまいる考えでございます。
  166. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 今のお話の中にも、今回の災害時に殉職をされた方がお一人おられる。もちろん災害で直接亡くなられた方の命もとうといことですけれども、救助に向かって命をなくされたというのは大変なことだと思います。  それで、装備の近代化あるいは消防団の若返りを図るということも大事なことですが、実際にとかく見過ごされがちな日の目を見ないようなそういうボランティア、先ほど常松理事も出されましたが、看護婦さんが有休で出ていく、それの事実はまだ確かではございませんが。あるいは聞くところによると、消防団員が緊急時に出る際に、なかなか今の人手不足の中で企業なり職場から離脱することが困難だと。それに対して市町村は、それらの企業、事業主体に何分よろしくというあいさつを行っている程度だと聞いておりまして、よろしくというあいさつで本当に企業、事業体が、直ちに出動というそういう災害時に自分の職場の貴重な労働力が抜けていくことに関して本当にできるだろうかということを考えますと、何か抜本的な対策を考えなければならないのではないか。その辺の点について、今そちらで考えておられるようなことがあればもう一度御説明を願いたいと思います。
  167. 中川浩明

    説明員(中川浩明君) 消防団に関します問題点のうち、ただいま御指摘のように、消防団員に占める雇用者、サラリーマの割合が増加していることがございます。数字で申し上げれば、昭和四十三年に二六・五%であった雇用者の率が、昭和六十一年度には七五・七%にも上っている状態でございます。このように、地域社会におきます就業形態の変化が消防団に大きな影響を与えているわけでございまして、また一方では、居住地と勤務地が遠く離れているという問題もございます。  このような実態の中で、消防団をどのように活用していく方法があるのかということは、御指摘のように大変重要な課題であると考えております。既に、昭和四十八年には通商産業省とも協議をいたしまして、必要な通達を出して事業者に対して協力要請をいたしているわけでございますが、現実の問題としてさまざまな問題があることは御指摘のとおりでございます。今後、この通達の趣旨を徹底することはもちろんでございますけれども、事業所の勤務者である消防団員が消防団活動に円滑に従事できる具体的な方法につきまして、雇用者、事業主に対してどのように働きかけていくのか等を含めまして検討をしていきたいというふうに考えております。
  168. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 最後に、長官にお尋ねをというよりも御所見を伺いたいのでございますが、今回の災害で、復旧のためにできることは何でもしようという、そういうことは十分伺いました。今お話が出ましたように殉職をされた方もいるということは、これは本当に大切なといいますか、とうとい犠牲であるというふうなことで、このことを踏まえて、長官の方でも消防団についてこれもできることは何でもやっていただきたい。そういう点で最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  169. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 御殉職された方についてはまことにお気の毒で、御冥福を心からお祈りいたす次第でございますが、先ほど消防庁から御答弁したようなことでございますが、一遍篤とよく実情を確かめまして、今先生の御趣旨もございますので、十分ひとつ措置したい、このように考えております。
  170. 田渕哲也

    田渕哲也君 集中豪雨による九州における災害によりまして、交通関係におきましても、JR九州を初めとしまして、西鉄、松浦鉄道島原鉄道熊本電気鉄道等、広範囲にわたって被害が出たわけであります。そのうち、JR九州豊肥本線の一部を除いて復旧したというふうに伺っておりますが、問題はこの豊肥本線復旧であります。豊肥本線についてはどういう方法で復旧するのか、その方針が決まっておるのかどうか、その点についてまず運輸省にお伺いしたいと思います。
  171. 高重尚文

    説明員(高重尚文君) お答えいたします。  七月二日の集中豪雨によるJR九州鉄道被害は、先生御指摘のように豊肥線ほか十一線区におきまして築堤崩壊とか橋梁流失とかが発生しまして、現在の試算では五十一億円の被害が出ておるという報告を受けております。特に豊肥線につきましては、橋梁流失が三カ所、あるいは築堤崩壊の大きなものでも七カ所というような壊滅的な被害を受けておりまして、現在も宮地―緒方間の約四十七キロが不通状態にございます。この地域の早期の復旧を図るために、JR九州鉄道総合技術研究所の専門家の現地調査を依頼し、その意見を聞くとともに、河川とかあるいは山林とかそういうことを管轄されております関係機関と調整を行うなどして、現在具体的な復旧方法について検討しているというふうに聞いております。
  172. 田渕哲也

    田渕哲也君 復旧方法について検討中ということでありますけれども、必ず復旧するという方針は変わらないわけですね。もうやめてしまうということはないですね。
  173. 高重尚文

    説明員(高重尚文君) そういう報告は受けておりません。
  174. 田渕哲也

    田渕哲也君 この復旧の時期についても、この年度内は困難だろうというような見通しが先ほどから語られておりますけれども、こんな長期間こういうものが放置されておるというのは好ましいことではないと思うんです。それからまた、JRだけでは対応できない問題がたくさんあるわけですね。やっぱり線路周辺の抜本的な治山治水事業と一体でないと復旧ができない。したがって、復旧の問題は単にJR九州だけの問題ではなくて、やはり関係省庁とも連携をとりながら進めていかないとなかなかスムーズにはいかないと思うんです。そのためのやっぱり調整機関というようなものが必要だと思いますけれども、これはどのようになっておりますか。
  175. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) まず、一般論として申し上げさせていただきますと、政府といたしましては、大規模な災害時におきまして、災害対策に関する関係行政機関相互の密接な連携と協力のもとに各般の施策の連絡調整及び推進を図るため、まずもって災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしてまいっております。  今回の災害におきましても、災害直後の七月三日でございますが、同会議を開催いたしますとともに、早速政府調査団現地に派遣いたしまして、その調査結果や地元要望等を踏まえまして、七月十六日に第二回の同会議を開催いたしました。住民生活の安定のための各般の施策に万全を期するということで、被災者の救済措置被災施設の早期復旧等の当面重点的に実施していく事項について申し合わせをいたしておるわけでございます。  具体例で、ただいま鉄道お話もございました。政府部内において一応事務担当が鉄道と申しますと実ははっきりいたしております。第一義的には当該省におきまして処理をしていただく必要があろうかというふうに思うわけでございます。
  176. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、JR九州は民営化して以来経営内容も上向いてきておるとは言われておりますけれども、しかし平成元年度の営業損益では二百八十七億円の赤字であります。それを経営安定基金のおかげで何とか三十八億円の経常利益を出しておるわけでありますが、このような状況で、被害の額が豊肥本線だけでも四十五億、五十億近いと言われ五十億以上と言われておる災害復旧費のすべてを負担させるというのはなかなか困難ではないかと思います。  それから、この災害額、これは復旧に要する額の見積もりでありますが、これ以外に経営に及ぼすマイナス面もあると思いますね。豊肥本線は年間七百五十万人乗っておりますが、これが長期にわたってとまるということはそれの収入が減るわけでありまして、そういう影響をどう見ておられますか。
  177. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) JR九州からの報告によりますただいまのところでの概算額ということで御理解をいただきたいと思いますが、本年度中の豊肥本線の一部運休ということを前提といたしますと、今期の災害に対します減収額、これはおよそ十億円程度というふうに見積もっております。
  178. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうしますと、災害による直接の被害と減収額と合わせましても、経費の方はそんなに減らないと思いますからこれは大体損になると見ていいんですけれども、そうすると六十億というようなことになるわけでありまして、これは一年間の経常利益をやっと三十億そこそこ出しておる会社にとっては非常に重大なことではないかと思うんです。先ほどの論議でも、鉄道災害復旧を決めた鉄道軌道整備法に基づく補助制度、これは恐らく適用が難しいだろうというお話がございましたけれども、こういう大規模の災害であるのになぜこれが適用できないのか、その理由をお伺いしたいと思います。
  179. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) 鉄道軌道整備法におきましては、その助成の対象とします要件といたしまして同法の三条及び八条に規定があるわけでございますが、要点を申し上げますと、「鉄道事業者がその資力のみによっては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」というふうな規定があるわけでございます。  そこで、今般の九州災害につきましてこれを当てはめてみましたときに、先ほど申し上げましたような豊肥本線の四十五億程度の復旧費用、これにつきまして、JR九州が「その資力のみによつては」云々のところにつきましては、資力性につきましては私どもJR九州におきましてはあるものというふうに断ぜざるを得ないという状況にあるため適用が困難であると申し上げているところでございます。
  180. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは基準とかそういうものは決まっておるわけですか。あるいは大ざっぱな判断で、それは勘でやるわけですか。いかがですか。
  181. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) この鉄道軌道整備法につきましては、もともと国鉄改革前におきましては地方鉄道のみが適用になっておりまして、国鉄の改革によりましてJRともども一本化されたという経緯があるわけでございます。これまでの私どものこの法律の運用方針におきまして、この第八条の先ほど申し上げた規定の運用の中で、この「資力」という意味につきましては、借入金とかあるいは増資とか社債による調達とか、ありとあらゆる会社の資力の努力をした上で、なおかつ復旧事業の施行が困難というような、大変いわば厳しい運用をこれまでもしてまいっておりまして、民間のこれまでの災害適用事例につきましてもわずか二例しかないといったような過去のこともございます。そういうような民間との均衡もございまして、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
  182. 田渕哲也

    田渕哲也君 JR発足当初、国会において、この民営化によってやっぱり災害の場合の懸念というのがいろいろ質疑の中で行われておるわけでありますが、これに対して、参議院の特別委員会で当時の橋本運輸大臣が次のように答えられております。国鉄における過去数年間の災害復旧費の実績に基づいて災害復旧に要する費用を織り込んで会社の収支を積算している。したがって、過去の平均的な実績規模の災害に対する備えというものは経費の中に盛り込んである。したがって、災害によって路線の廃止が行われるようなことはないと私は考えております。このように答弁されておるわけです。過去数年間の実績に基づいてとか、平均的な災害ならこれでいいと思うんですけれども、今回は、昭和三年線路ができて以来初めてというような、六十年に一遍という大災害ですね。したがって、こういう考え方だけでは処理し切れないのではないかと思うんです。  先ほどからも、運輸省から新しいこの仕組みについて前向きの御答弁があるわけでありますけれども、既存の鉄道軌道整備法でもなかなかこれは処理し切れない。特にJRの場合は、従来の国鉄と全く違った、こういうものを違った仕組みで処理しなければならない。それに対しては、従来の地方鉄道軌道整備法をそのまま名前変えただけというようなことではやっぱり対処し切れないのではないかと思うんです。やはり、こういう大災害の場合にどうするかというようなことがはっきり決まらないまま今日に来て、そしてこのような災害を迎えたわけでありますから、これからの全国規模のJRの災害に対する政府としての対処の方法としてはやっぱり一つの試金石ではないか。これを契機に何か合理的な仕組みを――もっとも民営鉄道でありますから国鉄時代と同じようなわけにはいきませんけれども、その中でなし得る一つの災害復旧に対する助成策なりそういうものをぜひこの際つくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 藤井章治

    説明員(藤井章治君) 御指摘のように、今回の豊肥本線の事例も踏まえまして、先ほど来答弁をいたしてまいりましたけれども、私ども運輸省として、地域鉄道を維持させていくという観点から、当省として何らかの支援策を講じ得るかどうかの総合的な検討を十分してまいりたい、このように考えております。
  184. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、先ほどから問題になっております河川改修と鉄橋との関係の問題ですけれども、これはもう既に玉来川におきましては改修計画が採択されておる、大野川におきましても計画が進んでおるところだと言われております。これは改修計画が進んでくれば、当然鉄橋のかけかえをやらないといかぬ。その場合、費用は大部分は公共事業費として河川側で負担するということでありますが、たまたまこの橋が流されたからそれは全く負担しなくてもいいんだというのはもうひとつはっきり割り切れないんですね。法の建前からいうとそういうことになるかもしれませんが、ただ橋を撤去するのが、本来は工事する場合に工事側が撤去するわけでありますから、それを補償する。今回は自然災害で流されたわけですからしなくてもいいということになるかもわかりませんが、しかし自然災害の分は鉄道が負担するということなら、もとの鉄橋だけ負担すればいいということになるわけで、当然今度かけかえる場合に、川も改修されるわけですから、例えば幅が広くなるとか、いろいろな条件が変わってくると思うのですね。そういう場合、果たして全部鉄道側の負担だということで割り切れるものかどうか疑問に思うんですが、いかがでしょう。
  185. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) 先ほど来お答えいたしておりますとおりでございまして、この協定というのが公共補償基準要綱をもとにして定めたものでございますので、なかなか物がないとこの協定にのせるのは基本的には難しいんじゃないかというふうに考えております。
  186. 田渕哲也

    田渕哲也君 もともとこの協定はこういう災害を想定した協定じゃないわけですから、当然そういうふうになると思いますが、私は今回のようなケースの場合、何か特別な運用方法というか特別な処理方法というものを考えていただかないといかぬと思うのです。これは閣議決定ですか。閣議決定とするならば、閣議で一遍相談してもらって、今回のようなケースはどうすればいいかということをひとつ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  187. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 田渕先生にお答えしますけれども、先ほどから法制の問題が議論になっているわけですが、基本的にはJR九州というのが交通輸送の責任者をやっているわけで、どんな状態でも彼らは責任を持って復旧しなくちゃいかぬのです。これは財源じゃないんです。赤字だって何だってやらなきゃいかぬわけです。その決意をまず持つ必要があると思います。その形の中に、藤井さんが今お答えしていますが、それから治水課長も答えていますが、いろいろな対策を考えておるんですがここで答弁しにくいわけなんですね。  ということで、恐らくいろいろなメニューを考えてやるつもりです。だから、私は基本的にはやはり九州JRが他力本願じゃなくて自分がどうしてやるかということを考える、本当に利用者に利便を与えると、この決意を持つことが解決の大きな道ではないかとこう考えておりまして、いろいろな点につきまして、恐らく私は先生方の御質問要望に十分こたえられるような形になるとこう思っていますから、どうかよろしくお願いします。
  188. 田渕哲也

    田渕哲也君 質問を終わります。
  189. 秋山肇

    秋山肇君 私も七月十二、十三の二日間、調査団の一員として現地を視察してまいりました。何点かについて質問をいたしたいと思いますが、最後に行ったのが佐賀県の鹿島市であります。そこでがけ崩れがありまして、御両親を亡くされた御遺族の方が我々の一行を出迎えておられまして、本当に胸の痛む思いであったわけです。そこのがけ崩れを見ますと、自然林のところからざあっと全部表土が流されてきて、また、たまたまその流された家の上に大きな岩がありまして、そこで流れが二つになって、二軒並んでいる家の一軒が流されて一軒の方は助かるというような、運命という、何かその岩のおかげで助かる家と亡くなられた家があるということを見てまいりました。  いろいろの議論があるわけですが、まず流木についてお聞きをしたいと思います。  流木被害についてですが、これまでいろいろの場におきまして今回の被害の原因を聞いておりますと、人工林の杉、ヒノキは根が浅い。山腹崩壊を招きやすいので、崩壊防止には根の深いコナラ、クヌギを植える方がいいという意見もありましたし、先日見ておりましたテレビの特集でも、キャスターの方が、容易な人工林化が被害を大きくしたのではないかとおっしゃっていましたが、果たしてそうなんですかどうか。崩壊防止機能と密接に関連する抜根抵抗力を比較した調査報告もありましたし、現時点においては針葉樹林と広葉樹林のいずれが崩壊防止の機能にすぐれているか一般的に判断することはできないと思いますが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  190. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 今回の災害が安易な人工林化が原因で被害を大きくしたのではないかという御指摘でございますが、今回の集中豪雨により相当程度の林地崩壊あるいは渓岸の浸食が発生しまして、それに伴い倒木が流出していっております。これらの最大の原因は、今回の記録的な豪雨、総雨量で六百五十ミリを超すというそういう豪雨により林地の表土層の部分が飽水状態、水がいっぱいになっているという意味でございますが、飽水状態となっておりまして、根系の土壌緊縛力等、森林の持つ林地保全能力を超えたために発生したものと考えております。  一般に、林地崩壊は人工林、天然林等の林種の差異に起因するというより、むしろ林地を被覆しております地表植生の状況とか、地形、地質あるいは降水量等の各種の要因が複合して発生するものと考えております。特に、降水量が三百ミリから四百ミリを超すような集中豪雨の場合には、樹種のいかんにかかわらず急激にその木の根の持っております抜根抵抗力というものが下がっていくということが一般に言われております。また、樹種による抜根抵抗力につきましても、必ずしも杉、ヒノキが広葉樹に劣っているということではなく、樹齢といいましょうか木の年齢とかそういうものもまた関係しておりますし、樹種によりましては針葉樹が広葉樹よりもすぐれているという研究報告もございます。また、杉、ヒノキの人工林は一般に成長が早く、根系も決して短い方ではなく、特に杉は深根性の樹種というふうに言われております。そういう意味で土壌の緊縛力や水の浸透機能もすぐれておりまして、林地保全上有効な樹種であると考えております。  しかしながら、林野庁といたしましても、地域の立地条件等適地適木を旨としまして樹種の選定を行い、災害に強い健全な森林の整備を行うとともに、森林だけではカバーできませんそういう部分につきましては、林地保全のための治山事業をあわせて推進するということで対処してまいりたいというふうに考えております。
  191. 秋山肇

    秋山肇君 今回の豪雨による山腹崩壊については、人工林に限らず天然林や原野等の無立木地においても多く発生しているわけですけれども、今回の豪雨による人工林、天然林、原野別被災状況をまとめられておられたら、その説明をお願いいたします。
  192. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 非常に広範囲な災害でございますので、全地域についての調査はまだ完了してございませんが、林地荒廃箇所が約二千三百カ所に現在及んでおります。このうち、ある程度人工林、天然林、無立木地別に調査が進んでおります一例といたしまして、今回被害の大きかった熊本阿蘇一の宮町における内訳を全体にかわるものとして御説明させていただきたいと思います。  熊本県等からの現時点での報告によりますと、一の宮町全体の山腹崩壊箇所が二百六十五カ所で、二百七十四ヘクタールとなっております。このうち、人工林内が八十五カ所の九十九ヘクタール、天然林内が七十二カ所の七十六ヘクタール、無立木地等、原野や草地でございますが、こういうものが百八カ所の九十九ヘクタールとなっております。この被災面積を一の宮町全体の人工林、天然林等の樹種別面積に占める割合ということで比較してみますと、人工林の被災率は四・三%、天然林は一四・八%、無立木地等の原野では三・七%となっておりまして、それぞれ人工林、天然林の所在しております箇所の地形、地質が異なりますので一概に結論を出すことは難しゅうございますが、必ずしも人工林の被害が大きいとは言えないという状況になってございます。
  193. 秋山肇

    秋山肇君 今のお答えが全部とは言えませんけれども、今回の被災状況を見ましても、決して杉の人工林が被災を拡大した原因とは言いにくいと私は思うんです。私は別に林野庁の肩を持っているわけじゃありませんけれども、災害が起きた場合考えなければいけないのは、まず被災者に対する救援対策が第一と思います。その上で、被害が起きた原因がどこにあったのか、それを正確に把握した上で、二度とそのようなことがないよう対策を早急に講じることが必要ではないかと思います。  ある意味では、一部のマスコミが取り上げたように、杉人工林が流木として流れた映像を見せて国の林野政策を批判する方がたやすいのかもしれません。しかし、樹木の根が持つ土壌緊縛力にも限度があるわけですし、阿蘇周辺一帯の土壌の特殊性もあるわけで、そういったものを総合的にとらえた上で原因を探り対策を立てなければ片手落ちになるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  194. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 先生御指摘のとおり、今回の災害の大きな原因といたしまして阿蘇地域の土壌の特殊性という点がございまして、阿蘇地域一帯は、非常に透水性の悪い火山土壌の上に透水性がいい土壌といいましょうか軽石だとか火山灰土壌、そういうものが乗っかっている地帯でございます。したがって、その透水性のいいところと悪いところの間に、上部が水が飽和状態になりますとその間を水が流れて上の飽和状態になった部分が落ちていくということが山腹崩壊の一番大きな原因でございます。  これを防止するためには、その上に乗っております森林の機能を高めていくということが一つ必要になってくるわけでございますが、もう一つ、今回の原因の一つといたしましては、人工林だけでなく原野も含めまして、土砂を含めた崩壊が土石流として渓流を流れまして、渓流を流れたものが、渓岸浸食と申しておりますが、木の立っている林地の横から土を削っていって、その上に立っている木が倒れる、そういう現象が多く見られます。そういう渓岸浸食によって発生したものと、先ほど言いました山腹崩壊によって発生したものとがあるわけでございます。  特に、渓岸浸食によって発生したものに対する対応といたしましては、森林の機能を高めるだけでなく、渓間工等の治山工事を積極的に実施していくことが必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  195. 秋山肇

    秋山肇君 次に、建設省の担当になると思うんですが、今のお答えにもありましたけれども、植林すれば防災がすぐ可能であるというふうに考えておる嫌いもあるんですが、今度の災害を見ておりますと、渓流砂防を強化することが必要ではないかと思います。山崩れでも一番被害が大きくなるのは渓流に直結する山崩れであり、渓流砂防によってかなりの防止効果が期待できると思います。この点について防止対策上どのようにお考えですか。
  196. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 今回のような山地の崩壊によります流出土砂流木による災害でございますけれども、こういうものから下流域の安全を図るためには、山地の保全とともに渓流砂防と申しますか、渓流による砂防工事の対応が非常に重要であるというふうに考えております。建設省におきましても、これまでにも砂防ダムや流路工等を施工するいわゆる渓流工事中心にした砂防工事をやってまいりましたけれども、今後も土砂災害の防止対策についてもなお一層進めていきたいというふうに考えているところであります。
  197. 秋山肇

    秋山肇君 六月十三日の災対の委員会で、私は土砂災害危険箇所整備強化について建設省に要請したわけですが、それから一カ月もたたないうちにこのような災害に遭ってしまったので、何とも割り切れない気持ちでいっぱいなんです。  砂防面から見た今回の被災状況についてお伺いしますが、古恵川流域においてはたしか昭和七年ごろから砂防事業が取り組まれ始めたと聞いておりますし、既に砂防ダムや床固め工等が設置されていると聞いておりますが、今回の災害に対し、その砂防ダム等の効果は具体的にどのようなものだったんでしょうか。
  198. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 御説明申し上げます。  砂防ダムの機能ということでございますけれども、一般的にダムの上流に土砂をためることによりまして山脚部を固定するということがございます。それから、上流からの流出土砂量を貯砂調節するという機能がございます。それから、河床勾配を緩めまして河道の浸食を防止するという機能がございますが、古恵川はお話しのとおり昭和七年から砂防事業を進めてまいりました。九基の砂防ダムと十四基の床固め工群が設置されておったわけであります。  今回の災害によりまして、土砂の流出によりまして最上流部の砂防ダムで約三万立米の土石流を貯砂しております。それから、下流の八基の砂防ダムと床固め工群によりまして、土石流として流れてまいりました大きな岩石類というものをとらえておりまして、下流へこういったものが流れていくというものを防いでおります。一応、災害がございましたあの道路から約一・一キロぐらい上流のところで大きな石はほとんどとまっておりまして、被災地の方には泥流と立木が流れてきたというようなことでございます。このように、完璧ということではございませんけれども、古恵川の砂防ダムとしての機能、床固め工群としての働きはそれなりにあったというふうに考えております。
  199. 秋山肇

    秋山肇君 よく災害対策の視察に行きますと、間伐材が今までは血を流した原因等になっていたわけです。今のお話の砂防ダムの効果の中で、今回物すごい大きな立木がそのまま流れてきているんですが、流木どめというのを砂防ダムに工夫をされているということですけれども、今回のその効果、今後の流木対策についてお考えをお聞きいたします。
  200. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 御説明申し上げます。  今回の災害に見られますように、最近の土砂災害におきましては立木の流出が災害の一因となっているという例が見受けられております。これらの流木によります災害を防除する、このためにこれまでにも砂防ダムに鋼製、鉄製でございますけれども、流木どめを設置した流木対策を実施してきたところでありますけれども、今回の災害にかんがみまして、今回、建設省の中に学識経験者によります流木対策検討委員会というものを発足させまして、より効果的かつ具体的な流木対策検討して実行していかなきゃいかぬだろうというふうに思っております。今後も、こういった検討会の提言をもとに積極的に流木対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  201. 秋山肇

    秋山肇君 最後に大臣にお伺いいたしますが、今回の災害は、既に何度も言われておりますように、予想を上回る降雨量によって引き起こされたわけであります。人的被害を初め、農産物、住居、教育、福祉施設等、生活全般にわたる面に被害が出ているわけであります。まず、何よりも早急にこの被害を受けた方々への対策に取り組みつつ、地域の実情に合った災害復旧事業をしていただきたいと思いますが、国土庁長官の御決意をお聞きして質問を終わりたいと思います。
  202. 佐藤守良

    ○国務大臣佐藤守良君) 秋山先生にお答えいたしますが、先生の御指摘のとおりでございまして、七月五日に私自身調査団を編成しまして現地へお伺いしました。現地をつぶさに視察し、関係市町村あるいは知事等を初め、地元の方からつぶさに詳細な被災状況要望を伺いました。実は、帰りまして六日の日に私自身が個々の閣僚に全部陳情書を渡してお願いいたしました。それからまた、政府においては既に災害対策関係省庁連絡会議を二回開催し、被災者に対する適切な救済、被災施設の早期復旧等、当面の重要事項について申し合わせ、所要の対策推進に鋭意努めてまいったわけでございますが、今後とも関係省庁地元の地方公共団体と密接な連携をとりながら、政府として対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  203. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時二十二分散会