○
上田耕一郎君 今回の
制度は、今の経過はある
程度わかりましたけれ
ども、
地区整備計画で敷地面積の最小限度を決めて条例化することが要件の
一つなわけですね。そうすると、最小限度決まっているので、零細な
住宅所有者は自分の
住宅を建てかえようとしてもこの一・五倍のボーナスは受けられない。むしろ
地区計画で排除されてしまうので、メリットを受けるのは最小限度以上の
地域をまとめられる人なんです。そうすると、地上げの支援になりかねない結果が生まれるんですね。だから、中間報告のときの個別の建築
計画で許可
制度という
考え方じゃなくて、一律にしますと一定限度の面積が決まりますから、それ以上の人しか受けられない、地上げの
促進になるという危険が現実には生まれると思う。
そういうふうに、今ある業者が地上げをしてボーナスを使ってオフィスビルの上に
住宅をつけるということでどうなるかというと、我々はひとつ家賃を調べたんです。サンコーエステートというところで、ビルディング・アンド・オフィス・レント・データというのがあるんですよ。そこで調べましたら、都心五区でオフィスビルの平均の賃料、坪当たり一番安いところで一万八千円、大体二万円以上。六本木ぐらいになると約三万円ぐらいなんですね。坪当たり二万五千円ぐらいのところ、これは飯田橋、人形町、千駄ケ谷あたりなんですが、容積率一・五倍でこれに見合う家賃を考えると、坪当たり一万七千円ぐらいになる。二十坪で三十四万円となるんですね。これは、ボーナスつきの容積率緩和があっても、ちょっと一般の勤労者の
住宅には到底この
地域ではやっぱり無理だということであります。
それは
一つの問題点として
指摘しておきますけれ
ども、この二つの
制度とも
地区計画、これが
一つかなめの地位を占めてくるので、この
地区計画問題について少し
具体的な問題を取り上げて質問したいと思う。
七五年の
改正で、この
地区計画については立案過程に住民が参加できるということになって、住民参加の点では前進がある
制度に法令上なっているんですね。実際には、いいのもあるでしょうけれ
ども、ちょっと驚くべき実例が出ている。むしろ、住民に被害を与える規制緩和の手段に
地区計画が
利用されているという
ケースがあるんですね。
これは、府中市の日本製鋼所跡地の問題です。インテリジェントビルなど九棟をつくる。高さ最高八十一メートル。日本製鋼所、三井不動産株式会社、三鋼都市
開発株式会社、これら三社が
主体になってやるわけです。今問題になっているのは、その中のB1ビルです。資料ありますけれ
ども、これは研修所だそうですね。最高高さ四十九メートル。西側の団地の日照に影響があるというので住民が反対運動をやっている。都の
用途地域見直しの
都市計画決定に対する都民の
意見書は六千通あるんですけれ
ども、そのうち二千通以上は府中市にかかわるというので、どうも府中というのは市側にもかなり問題があるように思うんですね。きょうはこのこと自体の論議をする時間が余りないんですけれ
ども、二つの点を
指摘したいんです。
〔
委員長退席、理事小川仁一君着席〕
一つは、この
地区計画決定が極めて非民主的に進められて住民不在になっているということ。ここはもともと工業
地域で建ぺい率六〇%、容積率二〇〇%だった。今度は準工業
地域にして容積率三〇〇%に変えた。それで、府中市は、素案を発表して住民説明会したときは、容積率がこんなに変わるなんていう話は一切していないんです。変更ないと言っている。ところが、
開発業者が
計画案を出して素案の変更を口頭で言ったんです。そうしたら、住民説明会の後変更したものは住民説明の義務がないというのが市の態度で、変更を含む府中市の案を市の都計審に提出して承認させてしまった。この容積率三〇〇%というのは府中市にほかにないんですよ。ほかの準工業
地域はいずれも二〇〇%で、高さ
指定、日影規制もある。ここは容積率三〇〇%で高さ
指定も日影規制もない。東京都は、この
地区計画については
周辺地域も含めろという
指導をした。ところが、業者は
周辺と一緒にやる気が全くないからというので、
工場跡地だけを市は範囲にして
地区計画をつくっちゃったんですよ。だから
周辺住民は
意見を結局何も言えないと。そこへ四十九メートルのものがぼんと建って、朝なんかの日影は大変ひどいわけです、影響が。
それからもう
一つの問題は、容積率の抜け穴がある。これも我々もなるほどと思ったんですけれ
ども、吹き抜けをうんとつくったビルなんですね。ここに図もありますけれ
ども、一階から十一階まで吹き抜けなんですよ、大きな吹き抜けがある。今はやりのアトリウム建築というんだそうです。こうすると、容積率というのは床面積ですからね、床面積は確かに容積率の範囲内だけれ
ども、吹き抜けがあるから
建物の大きさは物すごく大きくなっちゃう。これはちょっと
建築基準法の制限として新しい抜け道が出ている。日影規制でいろいろ容積率を制限しても、吹き抜け込みのでっかい
建物を建てると床面積だけは大丈夫だということになると、これは何らかの規制が必要になっているんじゃないかと思うんですけれ
ども、以上二つの問題点についてお答えお願いします。