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1990-06-14 第118回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十三日     辞任         補欠選任      松本 英一君     赤桐  操君      広中和歌子君     白浜 一良君  六月十四日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     松本 英一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         対馬 孝且君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉川  博君                 小川 仁一君                 山田  勇君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 石渡 清元君                 遠藤  要君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 赤桐  操君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 野別 隆俊君                 及川 順郎君                 白浜 一良君                 上田耕一郎君                 新坂 一雄君    国務大臣        建 設 大 臣  綿貫 民輔君    政府委員        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     福本 英三君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  真嶋 一男君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    参考人        住宅都市整備        公団理事     片山 正夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十三日、松本英一君及び広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として赤桐操君及び白浜一良君が選任されました。     ─────────────
  3. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案、以上両案の審査のため、本日、住宅都市整備公団理事片山正夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  前回、両案に対する趣旨説明は聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 種田誠

    種田誠君 私は、ただいま議題になっております大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、質問をしていきたいと思います。  法律制定するに当たっては、その立法趣旨というものが極めて重要ではないかと思うわけであります。長い名称の法律でありますから大都市法と以下呼ばせていただきますが、大都市法昭和五十年七月に制定になりまして、ほぼ十五年を経ているわけでありますが、この法律制定に至った立法趣旨がどういうところにあったのか、そして何を目標にしてきたのか、このようなことを十二分に顧みながら法律改正をしていく、このような態度が必要なのではないだろうかと思うわけであります。  今日、まさに昭和五十年当時と同じような状況がこの日本において発生していると言っても過言ではないと思います。昭和四十八年、四十九年、列島改造論に基づいて地価の高騰が激しく起こりました。その後の昭和五十年にこの大都市法制定されたわけであります。当時の参議院における建設委員会議事録などを拝見いたしますと、そのような背景をもとにこの大都市圏において大量の住宅供給して、しかもいわゆる住宅供給する方の権利との調整を図った上で目的を達成していくんだと、このような経過があったことがその議事録にはつぶさに載っているわけであります。そして、当時先輩諸議員の方々質問に対して、この委員会において吉田局長も明快にその立法趣旨目的などについても答えてきております。  そういう中で私が気になるのは、この五十年の当時において当初目的とされておったのが、この大都市圏において七万ヘクタールの土地供給に向けての着手をしたい、そして六十年までにおいては四万ヘクタールの宅地供給を完成したい、最終的には宅地としては二万ヘクタールが六十年ごろには完成しているだろう、住宅として百二十万戸ぐらいが供給されているはずだと、このようなことを明言しているわけであります。そしてさらには、街区における区画整理の成功によって三千ヘクタールほどの土地着手がなされまして、同じく十三万戸分くらいの土地がいわゆる再開発によって供給されるだろう。このような予測のもとに当時この法案がつくられてきたわけであります。  そのような過去を顧みまして、担当の方においてこの法律立法趣旨、そしてまた目標などについて御見解をいただきたいと思います。
  7. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 昭和五十年七月にこの法律制定されたときに、ひとつ新しい手法として農家意欲を中心にした区画整理方式を取り入れる、そこにさらに場所によっては住宅を建てていくという方式をお認めいただいたわけでございます。そのときは非常に私どもも、もちろん不確定のものではございますけれども目標として今委員がお述べになりました数値を頭に置いてスタートしたのでございますが、実際上は実はなかなかそのようにまいらなかったというところがございまして、そのところのかなり数字の差があることは事実でございます。このことを反省と申しますか、その後の土地事情変化等もございまして、今回の法律改正をさらに事業を進めるために御提案を申し上げたところでございます。  この事業が伸びなかった理由として私どもが考えておりますのは、まず土地区画整理促進区域という方式でございますが、これにつきましては、住宅市街地として整備開発を行うべきものとして想定されます市街化区域内農地を取り込んで、土地区画整理事業を実施して計画的な宅地供給を行うことを目的とするものでございますが、実は市街化区域内の農地実情を見ますと、近年非常に細分化が目立ってきております。大都市圏におきまして私どもが調べましたところでございますと、五ヘクタール以上の土地は四十九年度では三万七千二百十ヘクタールございましたものが、六十三年には一万九千百二十ヘクタールと四八%も減少しているというような状況がございまして、この小規模化した農地を取り込んだ形でこの土地区画整理事業を推進するということが必要になってきたために、今回その対象規模の引き下げをお願いするということを新しく御提案申し上げたところでございます。  また、住宅街整備促進区域につきましても、その成果は当初予定したことよりも相当に低い水準にございますが、現状を見ますと、良好な中高層住宅街区として積極的に整備を図るべきと考えられる区域を見ますと、幹線道路沿道等住居地域として指定されるところが多いという実情にございます。また、三大都市圏市街化区域内農地用途別の割合を見てみますと、現行のこの制度は第一種住居専用地域対象としておるのでございますが、第二種住居専用地域はその用途の中で二一・六%を占めているにすぎませんのに対しまして、住居地域は三〇%を占めておるのでございまして、今日における大都市地域の著しい住宅不足状況にかんがみまして、こういう住居地域につきましても対象とするということが必要であろうということでこの改正案を提出させていただいたものでございます。
  8. 種田誠

    種田誠君 今丁寧に説明をしていただいたわけでありますが、これからこの法律をどのように活用していくかということも極めて重要なわけでありますが、多分、今局長が述べたような視点に立って五十年六月の十七日、十九日の参議院のこの委員会で当時の吉田局長さんも述べておったと思うんですね。しかしながら、その結果はこの十五年間でどうであったかということについて、まず数字を述べていただきたいと思います。
  9. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) お答えいたします。  初めに、特定土地区画整理事業でございますが、これは昭和六十三年度末までに全国で百六十地区九千百六十ヘクタールについて事業認可がなされまして、そのうち四十七地区千五百四十四ヘクタールが完了しております。また、住宅街整備事業は現在までに全国で七地区五十・八ヘクタールについて事業認可がなされ、そのうち四地区十七・九ヘクタールが完了しているところでございます。
  10. 種田誠

    種田誠君 そうしますと、今局長が述べられた事業実績、当時の吉田局長法制定立法趣旨との関係において目標として述べた数字とはどの程度かけ離れがありますか。
  11. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 当時の御答弁申し上げた数字は、昭和六十年度までにおおむね七万ヘクタールぐらい着手して四万ヘクタールを完了したいというふうに土地区画整理事業で考えておりましたので、着手ベースでいきまして大体七分の一程度でございます。また住宅街区の方は、これは六十年までに三千ヘクタールに着手してということで考えておりましたが、これがどうも五十ヘクタール程度で、非常に少ない。六十年で五十・八ヘクタールでございますが、少ない数字になっております。
  12. 種田誠

    種田誠君 当時の議事録を拝見しておりますと、五十年六月の質疑において、この法律は十年後には私たちを含めた多くの住宅を希望するサラリーマンに対して夢と希望を与えるものとして、いろいろな角度からの討議がなされてつくられてきたと思うんですね。多分、当時の吉田局長においては、間違いのない立派な法律だと、これは事業法として十二分にやっていけると、そういう御自信があったと思うのです。にもかかわらず、十五年たった今日、今述べたような惨たんたる結果になったというのは幾つかの原因があろうと思いますが、率直な御意見をいただきたいと思います。
  13. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 当時は、私ども部内会議での試算だということで答弁をさせていただいているのでございますが、この法律制度相当農家にとりましても魅力ある事業であるというふうに考えておりまして、その内容を十分周知徹底すれば相当成果が期待できるということで一応部内会議試算したものということでまず先ほど委員がお述べになりました数字を申し上げたわけでございますが、現実は相当その数値の開きがございます。  私どもも内部で、何がその原因だったかということを議論いたしました。それで、これらの二つの事業は、これまで地権者意向とかいうことをほかの事業よりもっと十分に尊重した上で施行するということにいたしております。そして、基本的には農家の方の宅地化への意向というものが我々の期待しているほどこの法律によって前向きにならなかったということがあるだろう。それから、住宅建設とか賃貸住宅経営等ということについても、これも事業意欲という点で少し乏しいところがあったのではないか。それからさらに、先ほどちょっと申し上げましたが、現在の農地細分化の傾向の中で、五ヘクタールという規模があるいは、あるいはというよりは大き過ぎていたということもあるだろう。それから、対象地域住宅街整備の方にございますと第二種の住居専用地域に限られていたというようなことも大きく影響しているというふうなことを議論いたしておりました。
  14. 種田誠

    種田誠君 私は、今局長が述べられた原因ですね、これが正確に把握できればこれからの対策がそれだけ正確にできるということにもつながると思うんですね。ですから、まさに今反省点原因として述べられた点については、はっきりと明確にこれを認識していただきたいと思うわけなんです。  それで、今述べられた理由として三つほどあったと思いますが、地権者意向を尊重するという姿勢が少し足りなかったんではないだろうかと今述べられましたね。当時の吉田局長の発言を見てこられたと思うんですが、あそこの五十年六月の十七、十九の参議院委員会質疑された中で、果たして地権者に対して今局長が言われたような尊重する態度がなかったかどうか、私はそうではなかったんではないだろうかなとも思うわけであります。そしてまた、事業意欲がわかなかったんではないだろうかと。これは事業意欲というと市町村なり区画整理で行う場合のいわゆる組合関係方々事業意欲だと思いますけれども、そのことについても当時の委員会で十二分に配慮するような答弁がなされていると思うんですね。そこまでやった上で、さらに今述べたようなことも原因だったとすれば、一体どのようにこれから対応したら今回の改正目的が達成されるようなことに至るのかという、その辺のことについてはどうでしょうか。
  15. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) まず、ソフトの面で申し上げますと、この制度農家にとって事業意欲をかき立てるということについて、十分に今後とも周知徹底と申しますか、よくPRをしていくということは怠ってはいけないと思ってさらに進めていきたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたような客観点的な情勢、端的に申しますと、この大都市圏におきまして市街化区域内農地規模細分化が進んでいるということで、これで現在の大都市法の持っております五ヘクタールという規模では対応することが、つまり動けなくなってきているということがハードの面では一番大きな原因だろうというふうなことではないかということを考えまして、今回の規模基準を下げたいという改正案を御提出申し上げたわけでございます。  また、住宅街整備事業対象地域を第二種住居専用地域に限って運用してきたところでございますが、実行上振り返ってみますと、これを住居地域に広げることによってかなりの活用が期待されるのではないかというようなことで、今回改正をお願いします二件が改正され、この仕組みについて農家方々の御理解をさらに得るように努力することによって前進するものというふうに期待をしているところでございます。
  16. 種田誠

    種田誠君 問題は、先ほどあった反省点の中で、やる気がわかなかったことではないだろうかという言葉があったと思うのですね。では、なぜやる気が起こらないのだろうか。これは面積が広過ぎたからでしょうか、住居地が入っていなかったからでしょうか。果たして、五ヘクタールを二ヘクタールに変えることによって、住居地を入れることによってやる気は起こりますか。
  17. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 今申し上げました客観的な情勢は、やる気があるということが前提になっているというふうに、やる気のある方がやろうとしても今の条件がこうだからやれないよというときにのみ働いてくるということはあろうと思いますが、なぜやる気が起こらないかということにつきましては、結局は農家方々資産保有農地に対する意欲とか、そういう問題にもつながってくるんだろうというふうに私どもは考えており、これはこれでまた別の政策手段ということも考えていかなければならないということもございます。
  18. 種田誠

    種田誠君 何ぼいろいろな技術的な施策を考えても、本当に今述べたように、よしそれじゃその施策に協力していこうじゃないか、その方がメリットもあるとか、また自分たちにとってその方が最終的に資産としてもよくなるんだとか、そういう何か打算的なものが率直にないと、やはりやる気というのは起こらないのじゃないかというのが一つあるんです。  それともう一つは、その方向に向けての強い、規制という言葉は問題だとしても、後押しとならざるを得ないような背景をつくっていかなきゃならないんじゃないかと思うわけなんですが、その辺のところはどうでしょうか。
  19. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 一つには、これまでも私ども政策手段の中で、毎年少しずつこれらの事業が円滑にいくような補助を充実するような努力もしてまいりました。にもかかわらず大きな飛曜がなかったことも事実でございますが、現在、これはこの制度のみの問題でなく、市街化区域内農地全体について宅地化するものであれば、どうやってこれを宅地化していくかということを総合的に、建設省の持っている政策手段だけでなく、率直に申し上げますと税制その他を絡めて議論をし、それでよってあるべき姿に持っていくということが必要であろうという認識は持っております。
  20. 種田誠

    種田誠君 税制などの点については後ほどまた伺いたいと思いますが、この大都市法は今議論をしてきましたように一つ事業目的を達成する事業法であるわけであります。答えにくいことかとは思いますが、五十年六月の委員会でも吉田局長は答えておりますから、今回の法改正で一体どのぐらいの土地対象として供給しようとして、何年間でどのぐらい宅地供給をし家を建てていくのか。特定土地区画整理事業、街区整備事業に分けてこの点でもはっきり述べておいてもらいたいと思うわけです。
  21. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回の大都市法を骨格としまして大都市地域におきます住宅宅地供給政策を進めるわけですが、その際に、私ども四全総を初めとします将来の必要な宅地開発戸数あるいは住宅建設戸数があるわけでございますが、それを踏まえましてどのくらいどういう場所宅地住宅供給すれば供給促進策として有効であるかと、こういうことで試算をいたしました。具体的には、この法律ができました後、関係公共団体いろいろ話をしながら最終的に供給方針で決定をするということでございますので、最終の数字がこうなるかどうかはわかりませんけれども、今現在での数字でございます。  東京圏につきましては、対象地域は一都四県の五十ないし六十キロ圏でございます。そして、既存住宅地の建てかえ等々によりまして約二百万戸新規に建設されるということでございます。それから低・未利用地国公有地でありますとか工場跡地とか、そういうものが現在二万八千ヘクタールあるわけでございますが、これを二〇〇〇年までの十カ年間に約八千ヘクタールほどを供給対象といたしまして、この数字は、ほかの項目も同じでございますけれども、今現在の開発のスピードを政策効果によって相当に早めた数字になっておりますが、それで百十万戸、それから市街化区域内農地が三万四千ヘクタールございますが、そのうち八千ヘクタールを供給対象としまして七十万戸、新市街地ニュータウン系統でございますが、これで宅地供給が一万三千ヘクタールで五十万戸ということで、総合計は宅地供給につきましては二万九千ヘクタール、住宅建設が二百三十万戸ということでございます。したがいまして、先ほどの建てかえ分、既存宅地分の二百万戸と二百三十万戸を足しまして四百三十万戸という供給可能量試算いたしております。  同様にあと、ちょっと省略しますが、近畿圏につきましては宅地供給可能量としては一万三千ヘクタール、住宅建設供給量としては百九十万戸。それから中部圏につきましては、宅地供給量が九千ヘクタール、住宅建設供給量が九十万戸ということで、それぞれ四全総フレーム、あるいは首都圏近畿圏中部圏基本計画等々のフレームで決められております必要量を踏まえた、それを若干上回る供給可能量試算しているところでございます。  したがいまして、先生今言われましたように、これらの地域で各事業種別にそれでは未利用地はどういう手法でどのぐらい供給するか、住宅建設はどうなるかというお話でございますが、これはこの法律体系でいきますと、それぞれ供給計画の中で今度は重点供給地域なるものを決めまして、それを具体的に都市計画の場に移して、さらにそれが個々の事業主体がそこに入りまして、あるいは地主さんがそこで住宅を建設する際にプロジェクトを組んで次第に明らかになるものでございまして、今時点で手法的にこれをどうするこうするということを私ども試算としてもやっておらないところでございます。
  22. 種田誠

    種田誠君 今のお答えにもありましたように、最終的に四百三十万戸の住宅目標にしていくということでありますが、過去の五十年から六十年に予定された目標の数倍の戸数を確保しようとするわけでありますから、私は大変だなと率直なところ思うわけであります。やはり、区画整理事業はいろいろ利害が絡んでなかなか進まない。この区画整理事業そのもののあり方に関しても果たしてこのままでいいんだろうかというようなことも検討しなきゃならないだろうし、そして先ほどお話がありましたように税制上の問題点もこれをフォローする形としてつくっていかなきゃならないだろう。と同時に、あわせて都市計画などの新しい形態もつくり上げていかなければならないだろう。そういうことが全部総合的に功を奏して初めてできることではないだろうかなと、こう思うわけでありますが、そのことに関して一言だけ御認識を伺いたいと思います。
  23. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど委員の方から具体の事業手法をめぐって、その成果実績等についての御質問、点検の後のおただしがございましたように、またその中で私ども答弁申し上げているように、率直に言いまして事業手法の面での問題点も多々ございますという反省の上に立って今回御提案しているわけです。しかし、より根源的には今委員御指摘のようなもろもろにわたる問題を総合的、一体的に展開しなければならぬ、こういったことは当然のように私ども受けとめております。したがいまして、今般こういった法案を御提案させていただいておりますが、先ほどもちょっと出ていますように、税制等の問題あるいは金融あるいはその他もろもろ施策について総合的、一体的な施策展開というものを我々前提にして考えさしていただいているところでございます。
  24. 種田誠

    種田誠君 ぜひとも目的が達成できるように御努力をお願いしたいと思います。  そこで、今回の大都市法に私は異質な条項が入ったなと、このように率直に思っているわけであります。と申すのも、先ほど議論しておりますように、大都市法区画整理特別法のような位置づけのもとに大都市における促進を図るための事業法であったわけでありますが、今般、第二章に「住宅及び住宅地供給に関する基本方針等」という項が入ったわけであります。率直に言いまして、この条項はいわゆる計画法的な意味づけを持つ条項ではないだろうか、こう思うわけであります。事業法の中に突如供給計画法が入るということに関しての法体系としての若干の異質さをまた感じているところでもあります。この供給基本方針について、そう思いながら質問をさせていただきたいと思います。  問題は、今回の供給基本方針に係る対象土地というのは、今までの大都市法市街化区域内の土地に対して区画整理を行っていく、そういうふうな手法だったと思うんです。ところが、この供給に関する第二章以下を読んでみますと、これは市街化区域土地ばかりでなくて調整区域土地も含めて基本計画をつくっていく、こういうふうになっているように感ずるわけなんですが、それは間違いないんでしょうか。
  25. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) まさしく委員御指摘のように、今までどちらかというとこの法律事業法的な色彩が強く内容としてあったわけでございますが、もう申し上げるまでもありませんが、この法律の命題からしましても、また同時に今日の私ども現実に抱えている住宅問題の厳しさあるいはその背景にあるもろもろの現実というものを考えたときに、事業手法事業法的なものだけで足りる現実ではない。先ほど委員御指摘のことも同じことと思いますが、そういった中で基本に大事なことの一つに、やはり東京圏大都市地域での宅地問題に対応していくためには広域的な取り組みが必要である。この広域的な取り組みというものを具体的に供給基本方針という格好で整理さしていただいておりますが、これはもう内容は繰り返しませんけれども、国と関係公共団体が一体になって共通の土俵で一つの方向を目指した政策の道筋を決めよう、それに沿って関係者は努力していこう、こういったものであるわけでございます。  その際に私ども、今おっしゃったように、どちらかというと従前は市街化区域あるいは市街化区域に編入することを前提にしての施策というものが中心であったわけでございますが、広域的な方針を考え、施策努力をしていく方向としては市街化区域に必ずしも限らず、将来的にはもちろん市街化区域への編入ということは想定するわけでございますが、直接的に調整区域対象の中に、視野に入れて私どもとしては宅地供給施策を展開していきたい、こういうふうに内容を改めさしていただいたところでございます。
  26. 種田誠

    種田誠君 そういう認識に立って、それではこの第二章の供給基本方針は、他の住宅供給する幾つかの法律があるわけであります、住宅建設計画法などは典型的な法律でありますが、その法律とこの条項はどういうふうな関係になるんでしょうか。
  27. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) まさしく法案の三条の二の四項にそのことを明記さしていただきましたが、広域的なこの供給方針というものを定めるに当たりましては、いろいろと関連の制度、計画、これとの調整が不可欠でございます。私ども、そういった意味で端的に言いますと、全国総合開発計画以下首都圏計画等々との調整も当然図るということになっておりますが、あわせて今の御指摘の地方住宅建設計画、これとの関係は当然調整すべき重要なポイントでございます。  ただ、物事の考え方でございますが、供給方針は当面この法律に基づいて十年なら十年先をにらんでの方針をつくります。住宅建設計画法によります五カ年計画というのは言うなればそのことと機軸を一にした方向でつくられるものという側面も出てくるわけでございますが、いずれにしても両計画についてのそごは来さないようにということは基本に据えて考えておるところでございます。
  28. 種田誠

    種田誠君 この第二章には基本方針の拘束期間のようなものは書いてないわけなんですが、今局長述べられたように、住宅建設計画法の方はまさに五年に一度ずつ見直しがなされ、供給すべき住宅の量、質、そしてそれがどのような種類の住宅なのかすべて決められていく手法になっております。今回のこの供給基本方針は、今ちょっと向こう十年ぐらいというような言葉があったんですけれども、一体何年先ぐらいの住居に関して目標を定めてこれを維持していこうとするのか、その場合に五カ年計画とはどうなるのか、それをちょっと伺いたいと思います。
  29. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回のこの大都市法は、都府県といろいろと協議をいたしまして、種々の宅地開発プロジェクトあるいは住宅開発プロジェクトが都市計画の体系の中で活動できる形で円滑に供給できるようにということで、即地的な計画に結びつく格好になっております。したがいまして、相当の年月をかけませんとその効果は出てこないということが一方にあろうかと思います。  それからもう一つは、今回のこの法律はやはり大都市圏の現下の住宅問題、特に一般勤労者の住宅確保が非常に困難になっておるということを前提といたしまして、できるだけ早期に効果を発現する必要があるという、両様の兼ね合いからおおむね十年ぐらいを考えてその必要な供給目標量というようなものを共通の認識として決めまして、お互いに一致協力してやっていくというふうにおおむね十年ぐらいではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  もう一つは、先ほど委員御指摘のように、現行の住宅建設五カ年計画が五カ年計画となっておりますけれども、この場合もやはりその下敷きは長期の住宅需給の見通しに立って五カ年計画を決めるということが住宅建設計画法の中に書かれておりますので、私どもいつも下敷きとしましては十年ぐらいの先を見通してその手前の五年間、こういうことで計画をつくらせていただいております。したがいまして、そういう考え方ともこれは合うということで十年を目標にいたしたところでございます。  それから、今お話しのように五カ年計画との関係でございますが、法律上は調和は保たれる、このように規定をいたしております。というのは、やはり対象地域とか対象期間、十年といいましても若干ずれる場合もありましょうけれども住宅供給に関して住宅供給目標量等同種のものを決めておりますので、当然調和が必要だということでございます。そして、住宅五カ年計画の方は、先生今言われましたように、公営、公団といった供給主体別にいわば五カ年間のノルマを決めておるわけでございますが、それが地域別には地方別、都道府県別といった形でマクロで規定されておりまして、具体的にそれがどういう地域でどういう事業手法でどういうふうに住宅供給されるかというところまではないわけでございます。したがいまして、今回のものはそれは大まかではご ざいますけれども即地的な観点を入れておりますので、それは相互に相助け合いながら大都市地域住宅宅地対策を目的とする今回の法律が効果を発揮する、こういうふうに私どもは考えているところでございます。
  30. 種田誠

    種田誠君 何回も繰り返して恐縮なんですが、この五十年六月の委員会においても、当時の沢田委員が、都市の再開発住宅供給に関する法律がいかにたくさんあるものか、そしてそれらの法律がほとんど実績を上げていない、ゼロに近い法律もあるではないかと、何か教えたらば当時十個ぐらいあったように議事録には書いてあります。  今回もまた一つ供給方針というものがこういう形で出されるわけでありますが、何かひとつ焦るところが、たくさんこういうふうな形での法律をつくってみたい、そしてニーズにこたえようというのはわかるんですが、逆に今大事なことは、住宅供給などに関しては全体の体系をしっかりと押さえて、そして大都市部と地方部、そしてまた各層のそれぞれの所得などに応じてそれぞれの質に合った住居をつくるとか、また高齢化社会に相応した供給をどう図るかとか、そういう一つの基本をつくって整理していく方向にむしろ歩まなければならないんじゃないだろうかと私は思うわけであります。そういう中で、新たにまた今般このような供給方針という形で出されるんですが、何かこれが空回りしてしまうんじゃないかな、そういうふうな危惧を持つのですが、その点いかがでしょうか。
  31. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 率直に申しまして、住宅宅地問題というのに具体的に切り込んでいくにはいろいろの手法整備も大事でございますが、私どもやっぱり基本的には関係者、言うなれば関係公共団体、国、これがいかに同じような意識を持ちながら取り組むか、この辺の体制が欠落している中ではなかなか困難である、こういうふうに受けとめております。  私ども、今先生から厳しい御指摘ございますが、おっしゃるとおり、いわゆる事業手法に関する制度というものはかなり整備されていると思います。しかし、これをどうやって具体的に進めていくか、バックアップしていくか、支援していくか、こういったことはやはり国、公共団体が本当にこの住宅問題、宅地問題についての認識を同じくするところから出発しないことにはなかなかいろんな問題に逢着して進まなくなる、これを何とかひとつ道筋をつけたい、これがまた急がれる、こういった認識で今般この広域方針を御提案させていただいております。私どもこれをつくることによって、本当にこの大都市圏住宅問題の厳しさというものを共通の土俵の中で真剣に議論する中で、具体的に取り組むこの体制をつくることの意味は非常に重要だ、こう考えているところでございます。
  32. 種田誠

    種田誠君 あえて今この大都市法において供給基本方針を定め、供給計画をつくり、住宅市街地開発整備の方針を出していくということに大きな意義があるとすれば、今局長の発言の中にあった、実際これを実行していく地方自治体との関係においていかに共通の認識を持って共同歩調がとれるかということだと思うんです。そうした場合、最も大切なものは何だと思いますか。
  33. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 例えば東京圏住宅宅地問題一つを考えた場合でも、現実を申し上げさせていただきますと、この問題は東京都だけで、その行政区域だけで解決できないものであるということは、これはもう大体皆明白なことだと思います。ただ、これを受けとめる対策をどう考えるかというときに、言ってしまえば、周辺の県からするとどちらかというとしわ寄せだけ受けるというふうな格好で物事に取り組んでいく姿勢と、いや、首都圏一体の問題としてこの住宅問題を、いろいろなそれぞれの地域実情、問題はございましょうけれども、こういった現実の中で今後の方向、道筋はこうあるべきであるという関係者の合意でやっていくということの中で大分違うと思うんです。  私どもとしては、それをつくり上げていく上では、おっしゃるとおりそう簡単にいかない面も幾つかあろうかと思いますが、ここのところはひとつ私どもは基本認識の確立と同時に、これから具体的にお互いの行政体がどう取り組むかという率直な議論、意見の積み上げというものをぜひやりたい、こう思っておりまして、そういった意味でこの広域方針というのは何も国が一方的につくって足りるものと思っておりません。関係公共団体との十分なる連絡協調、これが一番大事だと思っております。
  34. 種田誠

    種田誠君 まさに今局長述べられた共通の認識を持つことがまず大事だと思うんです。しかしながら、具体的にこの計画を実行に移させるということが、先ほどの前半の質疑の中でありましたように、そういう方向に向けさせる、気を起こさせる、これが大事なところになってくるわけです。今まで共通の認識をつくろうということでかなり努力をしてきたと思うんです。いろいろな法律はすべてそういう認識のもとにつくられていると思うんです。問題は、それを実行に向けさせていく手だてにおいて私は欠落しておる部分があったから、前半述べたような惨たんたる結果の事業実績しか出ていなかったのじゃないかとも思うわけです。  今般、第三条の中に、土地供給させるような方向への税制上の措置などもうたわれているようであります。さらには第三条の五で、助言、指導などの援助などもうたわれておるようであります。私はここが一番大事だと思うんです。結局、地方自治体が共通の認識を持ってそれを実行に移させる、また土地を現実に供給してもらう。そのためには、まさにそこでの財源的な、いわゆるお金の問題ですね、率直に言って。これは土地を出す人もそうだと思うんですが、市町村においてもそうだと思うんですが、この財源を、お金をどうするかという問題をもっと嫌がらないで真正面に出していかないと計画の実効性というのは図れないと思うんです。この辺に関して三条ないし三条の五は抽象的に触れられているにすぎないわけでありまして、実際どのようなことを考えておられるか、明確に述べておいていただきたいと思うんです。
  35. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 御指摘のとおり、三条の五、あるいはそのほかにも三条の第一項あるいは三条の六等にも同様の「その他の援助」というような規定がございます。これらの規定の趣旨には私どもは財政上の援助は含まれるというふうに解しておりまして、その条項によりまして非常に意味合いが少しずつ違っております。三条の一項の方は国の一般の責務を決めておりまして、一般的な責務でございますので、大都市法をうまくやっていく上の全体での国の責務ということで「その他の必要な措置」というふうに書かれておるかと存じます。三条の四の第一項は、国が相当規模供給事業者に対して事業促進を図る意味でいろいろと助言、指導をする、その場合にその他必要な措置を講ずるということでございまして、具体的な事業者の事業実施に際しての供給計画達成のための国の責務ということになろうかと思います。  それから第三条の五でございますが、これは国から都府県、市町村に対しまして、同様に供給基本方針供給計画達成のために計画的な住宅宅地供給に関する必要な助言、指導その他の援助ということでございまして、公共団体に対する国の責務ということでございます。  それから三条の六の第三項でございますが、これは国及び地方公共団体は具体的な開発整備の方針に従いまして、重点地区における良好な住宅市街地開発整備促進するために、即地的に、非常に具体的な場所での必要となる公共施設の整備その他の必要な措置ということで、もろもろ法律上の予算措置等々につきまして、ここは具体的な措置を指しておるというふうに解しております。  今どういう事業があるかというお話でございますが、これは今現在も非常に都市計画法建築基準法上のいろんな制度もございますし、それから公共事業関係のいろんな法律、例えば公営住宅法とか公団法とかございます。さらには、それに合わせまして予算上のいろんな事業援助があるわけでございます。  非常に大きな関係がありそうなところを拾ってざっと御披露いたしますと、平成二年度予算から例えば大都市地域住宅供給方針供給促進計画をつくるわけでございますが、その際の計画の策定費に対する補助も当然予算計上をいたしております。それから大都市地域の中で重点供給地域を定めてまいりますが、その際に、特に集合住宅供給するという意味合いから、大都市優良住宅供給促進事業あるいは大都市農地活用住宅供給整備促進事業といった大きな二つの新しい予算補助事業を創設しておりますし、既存の特定住宅市街地総合整備促進事業でありますとか、都市居住更新事業でありますとか、もろもろ事業がございますが、これらにつきましても、重点供給地域については特別な採択要件の緩和等の措置を講じて、今回の大都市地域供給促進できるようにということで制度改正をいたしております。さらには、金融公庫につきましても、分譲住宅購入資金の特別加算等々の制度をやっておりますし、私ども、今回の大都市法の方向に向けて、今後ともこういう援助関係の措置につきましてより拡充に努めたいというふうに考えているところでございます。
  36. 種田誠

    種田誠君 今、大都市を中心にして土地の高騰は大変な状況に至っているわけであります。そういう中で、あえて大都市において住宅供給を図ろうということは、かなり厳しい状況に立ち向かっていく、そう言っても言い過ぎではないと思うわけでありますが、その場合にまさに土地の価格の問題、そしてまた基盤整備をするにしてもその価格の極めて膨大な金額、事業を行う事業主体にとっても、またそれを援助する市町村にとっても極めて大きな財政的な負担になると思うんですね。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  今局長の方から十分援助はしていくというような発言があったわけでありますが、もう少し、こういう手当てでもってやっていくから間違いなくできるんですよというのが示されないと、結局は今の答弁は五十年六月の委員会答弁と同じなんですね。国庫補助の率を上げてとか、その他もろもろの財政援助をと言っておりますが、もう少し具体的に、この事業を確実にやっていくためにはこういう手だてを私たちは財政上考えておりますというのを述べていただけませんか。
  37. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 包括的には住宅局長答弁申し上げた中に入るわけでございますが、特に即地的なことといいましょうか、ハードの面でちょっと補足させていただきますと、この新しい市街地開発宅地供給するということになりますと、先生御指摘のように大変地元公共団体にとってはいろんな面でのインパクトが出てまいります。これについてどう対応していくかということはそれぞれの公共団体においても大変重要な問題である、これはもう私ども国においても地方においても同様の認識をしなきゃならないわけでございます。そういった中で特に申し上げたいことは、例えば大規模宅地開発等を行う場合には、それに関連しての周辺整備をどうしていくか、あるいは関連する基盤をどうするかというような問題をまず公共団体としては一つの課題として受けとめると思います。また同時に、その宅地開発を進める上でもまたいろいろの公共施設等の整備が必要になる、こういったことが当然のように課題になってまいります。  こういったことにつきまして、私ども建設省の立場でまず申し上げさせていただきますと、やはり所管公共事業については重点的にバックアップしていこう。あるいは御案内のとおりの、いわゆる関公と我々は言っておりますけれども住宅宅地関連の公共施設整備事業費を相当額計上させていただいておりますが、こういったものを有機的、重点的に投入するということなども地域の振興という側面とも相まって公共団体にとっては積極的に受けとめていただけるもの、またそういった中で我々はこの政策を具体化していく具体の一つの支援策にしていきたい。支援という言葉は適切でないかもしれませんが、要するに国も公共団体も一体となってやると言うからには、その辺についてはしっかりとした姿勢で臨んでまいりたいと思っているところであります。
  38. 種田誠

    種田誠君 この財政的な裏づけを検討する場合には必ず税制との関係が絡むわけでありますので、今税制の方はいろいろ審議会において審議されている最中でありますから、この時点でより具体的な答弁というのは難しいかとも思われますので、ぜひとも今の認識に立って確かな財政的な支えをつくっていただきたいと思います。やはり、過去十五年間の先ほど申し上げた失敗は、そこの点において配慮が足りなかったことも大きな原因ではないだろうかと思うわけでありますから、ぜひお願いしたいと思います。  問題は、住宅宅地供給方針ができて、さらには自治体において供給計画がつくられ、そしてそれをもとに市街地開発整備の方向が生まれてきて、実際それが区画整理の方法で実行される。こうなった場合、一つ心配になるのは、いわゆる地価がまた値上がりしてしまうような方向が生まれてしまうのではないだろうかというのが一つあるわけであります。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 それからもう一つは、果たして大量に住宅供給された場合、その供給された住宅が地価対策になり得ながら、今住宅を必要とするいわゆる一般的なサラリーマンの方にとって借りられたり取得できるようなものとして供給されてくるのだろうか、そういうふうな心配が現実にあるわけであります。  この供給計画の中には、実際に供給されていく過程の中でその土地がどのように評価され、どのような形で取得されるかということに関しては全く書かれていないわけでありますが、その辺のことについて今どのような御認識を持っておられるでしょうか。
  39. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 私の方からは住宅サイドから一般的なお話を申し上げて、さらに別な話になれば他の局長からお願いしたいと思います。  今回のこの法律は、先ほど申しました供給可能量等々の考え方というのは、やはり大都市住宅地住宅価格の安定を図るために、私どもとしては供給促進ということをやり、そしてそれによって安定を図りたいというのを基本にしたいというふうに考えているわけでございます。したがいまして、住宅に利用されるに適した土地ができるだけ住宅という用途に向けて動くような仕組みをつくりたいということで、先ほど来申し上げていますように、国と公共団体が公益的な観点から同一の認識のもとに同一の方針、計画に基づいて仕事をしていく、その際に自分のところの関係事業主体もそれに従ってやっていく、こういう全体の体制をつくると同時に、やはり住宅に利用される場合に、当然ながら住宅対策として私どもはいろいろ先ほど申しましたような手法を持っておりますが、この手法をできるだけ活用していただきたいということで、インセンティブと申しておりますけれども、いろんなインセンティブを用意したわけでございます。  その際に、例えば都市計画手法、建築基準手法、いろいろと三つぐらい今度新しい制度も設けておりますが、容積率の緩和というような方式を通じて、あるいはいろんな補助金を出しますが、補助金の際の補助の条件、それから低利融資をする場合の融資の条件等々、いろんな手法を使いまして、公共的なイニシアチブといいましょうか、地方公共団体あるいは国の関係の機関のイニシアチブというものを活用しながら、最終的には、例えば公営住宅は公営住宅層に対する住宅供給、公団は公団対象層に対する住宅供給という形で、それぞれの施策目的に沿ったふさわしい住宅を、つまり居住水準上も問題がなく価格も対象層に適正なものをできるだけ供給していくという形で、最終的に一般勤労者が住宅確保できるようにと、こういう全体の流れを考えているわけでございます。  したがいまして、その際に、まずは国と公共団体が同一の認識に立つという全体の基本方針をつくる際に、今回のこういういろんな措置は一般勤労者のためにやるんだ、それに非常に重点を向けなきゃならないよということをまず共通の認識にする必要があるだろうと思いますと同時に、都市計画あるいは住宅対策でいろんな措置をとる場合に、やはりその土地土地土地柄といいますか、社会的、経済的な条件等を十分に吟味しまして、一般勤労者が住宅確保できるようなそういう場所、立地を最重点でできるだけ今回のこのシステムに乗せていく。それと同時に、先ほど言いましたようないろんな対策措置によりまして最終的に目的が達せられるように、そういう流れで私ども考えておるところでございます。
  40. 種田誠

    種田誠君 今局長の方から、一般の勤労者の方が居住できるような住宅供給を可能にしていきたい、このようなお答えがあったわけでありますが、まさにその視点に立った場合、勤労者というのは率直に言いまして月々の給料が生活の糧であるわけでありますから、その給料で借りられる、取得できるというものでなければならないわけですね。問題は、その場合果たして大量の土地供給するということだけではその保証は確保できないんではないだろうかと思うわけであります。今の点を確保する手だてとしてはどのような方法を考えておりますか。
  41. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 仰せのとおり、住宅供給のために宅地をいかに供給に結びつけるか、宅地をいかに確保するかということが根源的な課題でございます。本当に大胆な言い方で恐縮でございますが、私ども今回の法案で御提案申し上げている一連の施策というものは、必ずしもそれはすべて公的機関が土地を取得し供給するというものばかりではもちろんないわけでございまして、言うなれば、例えば市街化区域内の農地などが端的に申し上げられますけれども、地主さんの土地保有志向が強いというこの現実と、それを踏まえながらいかにして住宅供給に結びつけるかという、言うなればその辺の施策というものについてかなり重視しているところであります。  そういった意味で、まず土地所有者みずからの供給をしやすい環境整備という意味で、都市計画法等の一部改正案を御提案させていただいている一連の施策があるわけでございますが、いずれにしても、土地供給するということについて申し上げさせていただきますと、市街化調整区域あるいは市街化区域の中の新市街地の場合もそうでございますが、基本的には私どもやっぱり区画整理手法というものが主軸になるものと、こう考えております。そういった観点から、関係権利者の言うなれば理解も得やすい仕組みとして、また同時に公的な機関がリードする場としても大変大きな分野、こういった認識で、一つにはしたがって区画整理事業による供給のための土地の取得、これがありますが、先ほど申しましたようにもう一つの大きな柱には、土地所有者自身による住宅供給、どちらかというとこれは賃貸住宅中心になろうかと思いますが、そういった中で、今仰せのような中堅勤労者向けの、手の届く住宅供給に結びつける手だてというものに最大限の目を向けていきたい、こういう構えでございます。
  42. 種田誠

    種田誠君 私は、今の局長の考え方をまさに実行していこうとするのが第三条の四の二項ではないだろうかなという気持ちを持っておるんですが、第三条の四で、住宅都市整備公団、関係地方住宅供給公社、関係土地開発公社及び日本勤労者住宅協会という団体がここに責務として書かれてくるわけですね。ということは、この法律の中に国、地方自治体以外のものとして出てくる事業主体として位置づけられるのは、今述べたような団体のような気がするわけですね。ということは、この第三条の四の二項がこの供給計画の中でどのように位置づけられていくんでしょうか。
  43. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど来申しておりますように、供給方針の中では、物の考え方といいましょうか共通の理念を書くわけでございます。したがいまして、例えば一般勤労者の住宅確保に重点を置くというような問題もそこに当然書かれるかと思いますが、それとあわせて、国、公共団体の関係住宅供給あるいは住宅地供給を行っている機関、ここに挙がっているような機関になるわけでございますが、それらの事業も当然ながらその中核となるわけでございますので、その責務をその中で確認するということになろうかと思います。  ただ、具体的に事業量ということになりますと、これは即地的に、例えば住宅公団がどういう土地をいつまでにどれだけ確保するというようなことは、なかなか場所的にも決めることは難しゅうございますので、これは別途住宅五カ年計画の中で、例えば住宅公団がどれだけの戸数をどの期間に供給するというようなことでノルマを課して、具体の土地を国、公共団体、公団が協力をして求めていく、こういうことに相なろうかと思います。したがいまして、今回の体系の中で各事業主体別に土地はどれだけ取得し何戸と書くということは先ほど来申しているように難しいことではないかというふうに考えていまして、そこまでは考えていないところでございます。
  44. 種田誠

    種田誠君 今局長は考えていないと言いましたけれども、この条文の最後の方を読んでもらいますと、住宅供給の達成に資することとなるように、「住宅又は住宅地供給に関する事業を実施するよう努めなければならない。」というふうに書いてあるわけですね。ということは、これらの団体がいわゆる事業主体になるということが予定されているんだと思うんですね。私は結構だと思うんですよ。ということは、それだけ公的資金を使っている団体でありますから、国の指導、助言などが十二分に配慮されると思うわけであります。  問題は、その中に、一般の勤労者の方が取得できるような形での事業を実施せいというような形のものをどこかに入れておかないといけないと思うんです。それはどういうふうなところに入りますか。
  45. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 国で決めます供給基本方針で、まずそういう一般勤労者向けの住宅住宅地供給が非常に重要であるということを当然ここで確認をすることになろうかと思います。それから供給計画の中に、住宅及び住宅地供給に関する方針ということで、ちょうど基本方針におきます基本的事項みたいな、多分これはダブるようなことになると思いますが、さらにはその地域地域、各都府県におきますそれぞれの地域の特性に応じた基本的な事項が加わると思いますが、そういう形でこの場所に一般勤労者向けの住宅住宅地供給に重点を置くべきだということが書かれることになろうと思います。それを担保する非常に大きなウエートを持った事業主体として、この三条の四の二項でございますか、の各事業主体がこの法律に基づいて努力をする、こういうことに相なろうと思います。
  46. 種田誠

    種田誠君 それから、建設省の方もこの法律をつくるに当たってやっぱり気になったんだろうと思うんですが、第三条の七が入っておるわけですね。まさに監視区域については国土利用計画法があるわけですから、何もここに三条の七を殊さら入れなくても国土利用計画法を適用していけばいいわけです。三条の七をここにあえて入れたというのはどういうことからでしょうか。
  47. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 特にこの法案におきまして、私ども基本方針から始まって重点地区という概念を導入いたしております。この重点地区というのは必ずしも図面にぴしっと入るものと今想定しておりませんが、おおむねのエリアというかゾーンというか、そういったところを浮き彫りにしようという構えで今考えておりますが、ともあれそういった重点地区という概念が出てくるときに、ともするとそういったところに心なき不動産事業者等々あるいは不動産事業者に限らない人たちのいわば投機的取引あるいは土地の心ない買収等々が進むということは、我々が目指す一連の施策を進める上でかなりそごがある、これは言うまでもないことでございます。  そういった中で、土地問題についての視点というものが大変重要であるということから、私どもこういった条文をあえて入れさせていただいておりますが、この監視区域は当然のように国土利用計画法でできるのじゃないかという御指摘かと思いますが、やはりそこのところは一体としてやるんだという強い姿勢を法律の上で示す、これは大変大事なことだと思います。  同時に申し上げたいことは、ちょっと補足的で恐縮でございますが、私ども例えば不動産事業者に対するいわば投機的取引の抑制指導というものも今具体的に進めておりますけれども、先般来通達を発出いたしまして、国土利用計画法の監視区域等が定められているところについて申しますと、そのときの届け出面積、例えば二百平米とか三百平米とかいうきめの細かい届け出基準がそれぞれの公共団体の御努力の中で決められつつありますし、今後ともそういう方向を目指しているわけですが、それに則した規模以上のものは建設大臣に届けていただくというような実行上の施策も具体的に進めている中でございまして、そういったものとの連動の中でごらんいただければと思いますが、ともあれこの監視区域をしっかりとやっていくという努力義務の規定というものは大変重いものとして私どもはあえてここで書かしていただいておりますし、またそれを担保する政策努力をしたい、こういう構えでございます。
  48. 種田誠

    種田誠君 今局長が述べられた中で、監視区域のより合理的な適用を今いろいろな政策の中で考えておるということで、ぜひともその辺のところを推し進めて、監視区域を設けた趣旨が今後も生かされるようにしていただきたいと思うわけであります。  国土庁、またお願いいたします。  この監視区域の指定は国土利用計画法に存在しているわけでありますが、国土利用計画法における監視区域というと面的にかなり広い地域がある程度予定されているように思うわけであります。今般、大都市法三条の七に、いわゆる土地供給方針を立てて自治体が具体的に供給計画をつくる、そして宅地供給事業を行う、そういう場合にやはり地価高騰のおそれがあり得る、またあった場合に、速やかに適切な措置をとるためにこの規定を設けたということでありますが、一つには監視区域の合理的運用という点に関して、国土利用計画法の二十七条の二の一項の基準と、このような地区計画が実行されるに当たっての監視区域の適用の場合における微妙な運用上の差というものですかね、そういうものは何らかの形で求めることは可能でしょうか。
  49. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 本法の三条の七の規定に基づいて今後指定されることとなります監視区域の指定基準、それはやはり国土利用計画法二十七条の二の指定基準によって指定されていくことになると思います。現在、随分多くの公共団体で監視区域が運用されております。区域につきましては、広いところでは市町村全域にわたって指定しているところもございますし、またその中で市街化区域の範囲に限定しているところもございます。さらには、狭いところでは再開発予定地区のような事業計画が予定されている地域に比較的狭く限定して指定しているところもあるわけでございます。そういうことですので、指定する区域についてはいろいろ多様な対応ができるんじゃないか、そういうふうに考えております。  ただ、要件としましては、「地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがある」、そういう要件は当然この大都市法の監視区域運用に当たっても満たされなければならない、そういうふうに考えております。
  50. 種田誠

    種田誠君 今局長が述べられたように、国土利用計画法とここに書かれている三条は七の条件は全く同じなわけでありますが、問題は、この大都市法の場合、供給計画がつくられるわけですね。そして、場合によっては重点的に図るべき地域というのが特定されて、その地域における具体的な計画なども発表されてくるわけですね。そうなった場合、今の東京周辺の地価はかなり上がってしまったわけでありますが、その時点で上昇するおそれがありというふうな認識というのは持つことができるんでしょうか。
  51. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) つい先日も監視区域制度に対する運用指針をおくればせながら定めさしていただいたわけですが、その中でも、特に大規模開発プロジェクト、リゾート整備等につきましては、そういう開発整備が予定されている地域において地価上昇の可能性が高いと考えられますので、事業計画や区域の決定等に先立ち、必ず監視区域の指定について検討されたい、そういうふうな指針を定めたわけでございまして、この大都市法に基づきますいろいろ供給計画を定め事業を推進していかれる際、やはり広い意味では土地の需給均衡を確保する観点から非常に地価対策、土地対策に資するわけですが、供給の過程で地価を上昇させる懸念もあるわけでございますので、そういうプロジェクト予定地一般に予想される懸念、そういう懸念に対応して先行的に指定していただく、そういうことがいいんじゃないかというふうに考えております。
  52. 種田誠

    種田誠君 地価が急激に上昇しちゃってからではやはりまたいつものように後追いだと言われますので、上昇するおそれがありということの概念の中に、今日的には今局長が述べられたような、いわゆる住宅地区計画の実行のような新たな手だてなどもぜひ考慮していただいて、早目に都道府県知事等に対しての適切な指示の上に御配慮を願いたいと思います。  そういう形で監視区域の指定がなされるようにも伺ったわけでありますが、この条文の中で、そうであるならば、三条の七の末尾ですね、「監視区域として指定するよう努めるものとする。」という「努めるものとする。」ということなんですが、今般の国土利用計画法においても、その条文の字句の訂正が過日なされているわけですね。それは、やはりこのように「行うものとする」というような言葉が、すべて「行うことができる」とかそういう強い言葉改正がなされたわけなんです。この三条の七も、少なくとも「努めるものとする」じゃなくて、国土利用計画法の字句改正がなされたような言葉に沿って改める御意思はございませんか。
  53. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 実は私ども、「行うことができる」よりも「努めるものとする」の方が強い気持ちを込めているものと認識してこういう条文にさせていただいておるところでございます。
  54. 種田誠

    種田誠君 その点は、国土利用計画法の過日の改正があった中に字句の修正などがあったと思いますので、後ほど見ていただければと思うんです。今の点は後ほどで結構でございますので。  いずれにしろ、地価高騰がさらに起こってしまうようでは非常に困るわけでありますから、地価対策に関しては万全を尽くしていただきたいと思います。  それで、もう一つ地価対策で重要なのは、私もう何回もこの委員会でも申し述べているんですが、土地供給だけでは決して地価対策にはならないんだ、土地供給が計画的に都市計画の中でなされることによって初めて土地の適正な供給がなされるのだ、そういうふうに私重ねて申し述べてきているわけであります。今般も、せっかく大都市において適正な住宅地供給しようとするわけでありますから、供給された土地をどう受けとめるか、その辺の都市計画上の新たな手だてというかフォロー体制というのをぜひともつくっていただきたいと思うんです。いわゆるこれはヨーロッパなどでいうところのマスタープランというものですね、その辺の考えはどうでしょうか。
  55. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 今回の改正の中で生み出されてくる住宅地は、言ってみれば新たな住宅地というふうに考えてよろしいものでございますから、これまでも方針としてそうであったのでございますが、そういう新たな住宅地につきましては、できるだけ住宅地として使われるということを都市計画上考えていくべきだということで、第一種の住居専用地域または第二種の住居専用地域というものの指定を行っていくこととしたいというふうに考えております。もちろん、すべてがそういうことでやれるわけではございませんけれども住宅供給のためには今委員御指摘のような考え方も極めて重要なことだと思っておりますので、今回の法律関係ないことをちょっと言わせていただきますと、全体的に既に用途が混在してしまっているところ、そういうところではなかなか住居専用の用途地域を指定するというと、これは既存の店舗、事務所等の建てかえが不可能になってしまうというような問題もございまして、少し土地所有者に酷になるというような点がございます。こういうものにつきましては、それはそれとしてやむを得ないというふうに考えておりますが、これからは地区計画制度ということで地域住民の合意形成を図りながら、あるブロックについてはその用途住宅に純化していくというようなことも総合的に考えているところでございます。
  56. 種田誠

    種田誠君 時間がなくなってまいりましたので、簡単に伺っていきたいと思います。  第四条に宅地開発協議会というのがまた存在していくことになったわけでありますが、宅地開発協議会の過去の実績を見ますと、残念ながら過去に開催された回数も、三圏合同が一回、幹事会が首都圏で六回、近畿圏で一回、中部圏で一回だったと、このように報告されているわけであります。この宅地開発協議会を、もう少しこの協議会が機能的に活動ができるような運営機関と位置づけて、積極的に活動をさせることが必要ではないだろうかと思うわけであります。過去の大都市法の中では、今私が述べたような形でしか運用がされなかったことについては、どのような原因があって、またそれでよかったのか、ちょっと伺いたいと思います。
  57. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 委員お示しのように、これまでの協議会の開催状況は率直に言って余り活発ではございません。特に昭和五十年代の後半中ごろ以降はほとんど開いていないという現実でございますが、これは率直に言いまして、なぜこういうふうな状況であるかという点、やっぱり宅地開発はどちらかというと大規模なニュータウンというイメージでの協議会運営が基本になっているわけでございますけれども、そういった中では、具体の事業をめぐってのいろいろの立場立場での言うなればコンセンサスができにくい現状の中で、そういう協議会を開くことによる解決の道筋というものがなかなか見つかりにくいという現実が幾つか経過としてございます。  そういった中で、個別具体の事案の処理については、地元関係公共団体との協議を濃密にやっていこうという格好の中で開発事業が進められてきているわけでございますが、今般私ども先ほど来御説明申し上げていますように、この宅地開発住宅供給というものをひとつ広域的な視点から一緒になってやっていこうという、広域方針をつくるということからスタートしようという新しい仕掛けの中でございますので、今後、この宅地開発協議会の運営のあり方というものは従前とは少しく変わったものとして考えていく必要があると思っています。当然のように、事務レベルでの濃密な協議というものも支えとしてございます。それはもう法文には書いてございませんが、当然のように私どもこういった支えの中でやっていきたいと考えているところでございます。
  58. 種田誠

    種田誠君 今まさに局長が述べられたように、せっかく設ける広域的な協議会でありますから、ここが事務的に積極的に機能しないと、せっかく立派な計画を立てょうと思ってもそれが現実の地域性に合わないとか、それから実行するに当たっても地域の特性を踏まえることができないとかということになりがちだと思うんですね。これがむしろ積極的に機能しなかったことも私は実績不振を生んだ原因ではないだろうかとも思うわけでありますから、ぜひとも今述べたような視点で今後は活用のほどをお願いしたいと思います。  時間がもうありませんので最後に、都市計画法における遊休土地転換利用促進地区の設定、そしてまたその促進の手だて、さらに建築基準法改正が私は一層進めていかなければならない施策だと思うわけであります。問題は、ただいま申し述べてきた大都市法にしても、今申し上げました都市計画法上の遊休地の点に関しても、要は一つには私はこれからどのような税制土地に対して盛っていくかということが極めて重要になってくるだろうと思うわけであります。今税制審議会の方で、建設省の方の提言などを受けてさらに進めているところでございますが、何としてもこれらの施策を実行するためには、宅地並み課税の実施、そして特別土地保有税の強化、そして新土地保有税の制定、こういうことが確実になされないとまたこの三つの政策は失敗に終わってしまうのではないだろうかと危惧をするわけであります。そういう意味で、これらの法律が今般ここで改正をされて、十年後に、私たちがあのときあの法律をつくってよかった、見事に東京都の住宅問題はいい方向に解決が進んだと、そのためにもこの三つの税制に関してしっかりと皆さん方の方からも各省庁に要請をしていただいて確実に裏づけをとっていただきたいと思うわけであります。これをお願いいたしまして、最後に大臣の御決意のほどなどを伺って終わりにしたいと思います。
  59. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 先ほどからいろいろの御指摘をいただいておりますが、今回提出させていただいております法律等々をぜひ成立させていただき、今御指摘の税制の裏打ちによりまして実効が上がるように全力を挙げていきたいと考えております。
  60. 種田誠

    種田誠君 お願いします。
  61. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十一分休憩      ─────・─────    午後零時三十三分開会
  62. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 赤桐操

    赤桐操君 今日まで、先ほどの同僚議員の質問にもございましたように、大変たくさんの住宅宅地問題に関する関連立法がなされてきているわけであります。そしてまた、種々の施策も講ぜられてきておると思います。しかし、その上に立って今回さらにこうした法改正を行うということでありまするから、これはこれなりのよほどの対策を、あるいはまた決意を込めたものでなければ、また今までのように竜頭蛇尾に終わる結果を招来することになる。したがって、相当の決意と相当の裏づけを持った中での御提案だろうと思いますが、その辺のところをひとつまず最初に伺っておきたいと思います。
  64. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 住宅宅地問題につきましては、現下の政治経済情勢の中で最も重要な問題であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、今国会におきましても、海部総理みずからがこの問題に真剣に取り組むという決意を表明しておられるわけであります。私どもといたしましても、今まで住宅宅地対策には取り組んできたつもりでございますが、今回はさらに広域的また抜本的にこの問題に真剣に取り組むために、今回ただいま御審議いただくような法案を提出させていただいた次第でございます。
  65. 赤桐操

    赤桐操君 海部さんが大変意気込んでいろいろ花火を上げておられるわけでありますが、それを裏づけるためのただの法律であってはこれはうまくないわけでありまして、本当に実のある結果を招来するような法律改正なり作成でなければこれは意味がないと思うんですね。そういう意味合いから、どうも私たちがこの法律案を手にして一番先に懸念したことは、これまた再び大都市集中、一極集中の現象を発生させるのではないんだろうか。聞くところによると、大変大量の供給をやろう、こういうことでありますから、もう大体関係の業界ではこの法律制定を見守って、次はどうしたらよいかという対策を先に考えているんじゃないかと思うんですね。そういう中でこれが行われることになるのでありますけれども、一極集中なり大都市集中なりのそういう現象を再び発生させることにはならないか。その結果、もう一遍大きな地価の上昇なりそうした変化というものをもたらすのではないだろうか、こういうように私は懸念するのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  66. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今、住宅宅地問題と申しますと、地価の問題が一番大きな問題になっております。特に大都市圏を中心にいたしまして地価が高騰しておるというような現象をおさめるためにも、規制のみならず供給面からもこれに対処する必要があるということを考えておるわけでございまして、今回は住宅宅地供給という目的のほかにそのような地価対策というものもあると考えておるわけでございます。今御指摘の東京あるいは大都市圏一極集中ということがないようにするということは、これは四全総も示しておるところでございまして、私どもはこの点も考え合わせ、多極分散型の国家をつくる基盤整備、あるいは公共事業の投資というものもあわせて行っていかなければならないというふうに考えております。
  67. 赤桐操

    赤桐操君 さらにまた懸念されることは、そうした中で土地の買い占めなり、あるいはいろいろ思惑を持った投機的な現象が発生していくのではないか、果たしてこれが阻止できるだろうか、こういうように私は大変大きな疑念を持っております。先ほど種田委員からもいろいろと過去十年ないし十五年間にわたった経過の質問がありましたけれども、私全く同感であるのです。  そういう意味で見ておるというと、政府は鳴り物入りでもっていろいろやっておるようでありますけれども、逆にそれが今のような結果をもたらすんじゃないだろうか、こういうようにどうも思えて仕方がないんですが、今の大臣の御説明程度では私はそういう結果になるだろうと思うんです、その程度の御説明では。どうですか、これは。
  68. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今の対策につきましては、税制というものの裏打ちがぜひ必要だというふうに私どもは考えております。従来、ややもすると土地税制とか、あるいはそういうそれらの関連の税制というものは補完的なものであるというようなことを言われてまいりましたけれども、そういうことを踏まえまして、私どもは今回このようなフレームをつくりまして、この中に土地税制というものを強力に押し込んでもらうことによってその実効があらわれるというふうに考えておるわけでございまして、それらもあわせてこの法律が強力な住宅宅地供給策にプラスできるというふうに考えて御提出を申し上げたようなことでございます。
  69. 赤桐操

    赤桐操君 例えばこの法律に基づいて東京なら東京周辺で大量の土地の確保を行って、そこに住宅の建設を行って供給をする。こうしてみたところで、先ほどの話にもありましたように、結局手の届かないものになればこれは国民の手に届くものではないんですから、これによってこの法律の今のような目的を果たすことはできないと思うんですね。そういう裏づけが何か総合的にあるというなら話は別ですけれども、どうも先ほど来の御提案なりあるいはまた説明の中では到底そういうふうに私には理解できない。そういう意味で、いささかどうも大臣の御答弁では納得できないんですがね。
  70. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) これは昨年の土地基本法、これは与野党で成立させていただいたわけでございますが、その精神を受けてただいま私ども供給策について御提案を申し上げておるわけでございます。  土地の高騰等、あるいは先ほど土地を転がして歩くというようないわゆる投機の対象にするというようなことにつきましては、金融面からもある程度の抑制策も今講じていただいておりますが、さらに強力なる政策を講じてもらえると確信をいたしております。なお、土地騰貴の原因になっております短期の転がし等々については既に規制の法律もでき上がっておるわけでございますし、規制、供給両面を通じて今回は総合的にこの問題に対処していきたいということを考えておるわけでございます。
  71. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろの対策を講じておられるようでありますから、それはそれなりにひとつ大きく進めていかなきゃならぬことでありましょうが、私はいろいろ別な角度から少し御質問申し上げてみたいと思うのであります。  私は、去る三月六日に政府演説に対する代表質問の中で、勤労者住宅問題の解決のためにはフランスにおいて現在行われておる一%住宅制度などのこうした西欧各国における勤労者住宅制度を参考にすべきではないかと、こういうことを申し上げたところでありますが、これに対しまして建設大臣の御答弁では、直ちにこれを導入するということについては問題があろうけれども、十分検討させてもらいたい、こういう御答弁でございました。この御答弁に基づいてその後どのような検討がなされているのか、具体的にどういうものが出てきているのか、これをひとつまず最初に伺っておきたいと思うんです。
  72. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) フランスのこの一%住宅制度は非常に古い制度でございます。実は、私自身も五十一年ごろこの制度を調べるためにフランスに行ったことがございます。その当時の考え方というのは、建設省としては、大都市地域へ集中してメリットを享受しておる企業に大都市住宅対策費の一部を負担してもらうということはいかがであろうか、そういう方向がいいのではないか、抑制とそれから居住水準の向上、両方に役立つではないか、こういう発想だったわけでございます。その当時、大都市事業所税構想、あるいは住宅局から具体的に出しましたものとしては、この大都市事業所税が地方税としてでき上がった後、住宅団地建設促進臨時特別税構想というのがございまして、通常の補助事業で採択する公共施設以下のいわゆるちまちま関公と言っておりますが、こういう関公施設の整備に充てるために大都市の企業に負担をしてもらってはどうかという構想を出したわけでございます。そういうふうにつながってきておるわけでございます。  ですから、この流れとしては、やはり今土地税制でいろいろ議論されていますような都市整備財源あるいは大都市住宅宅地供給のための整備財源として何か考えられるのではないか。これだけ土地が値上がりしたところで、その整備財源に充てるような税金が構成できないかというような発想につながっておりまして、建設省としてもその方向で検討をひとつ進めているところでございます。  それからもう一つの方向は、フランスの制度はこちらに近いと思うんですけれども、勤労者の住宅を充実するために企業も負担をしてはどうか、こういう発想でございまして、日本で言うと社宅が一番ぴったりでございまして、外国には余りないというふうに聞いております。  それから、これはドイツの制度をまねしてつくったものでございますが、勤労者財産形成促進制度というのが、労働省と建設省も一部入りまして共管でございますが、ございます。これらの考えは、フランスの一%に通ずるものでございます。  私ども、今回の大都市住宅対策を考えるときに、現行の社宅制度というものをもう一回見直しをして、大都市特有の住宅問題として企業にもう少し責任を持ってもらえないだろうかというような観点でこれまた検討をいたしておるところでございます。  いずれにしましても、先生御提案のこの考え方というのは非常に重要な示唆を含むものでございまして、今住宅宅地審議会でそれらを含めて検討しておりますので、答申をいただいてさらに引き続き研究をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  73. 赤桐操

    赤桐操君 ヨーロッパでいろいろ用いられている手法がございますけれども、私もこれは現実にその視察のために二回にわたってこれを見てきております。西独における状況やフランスにおける状況やあるいは英国における状況等もつぶさに見ておりますが、基本的な考え方に大分違いがありまして、我が国における企業に社宅を持たせるということは、そういう措置の講ぜられる企業であるならばそれはできると思うんです。ところが、それができない企業がたくさんあるわけですね。そういうところに働いている労働者もたくさんおるわけです。そういう人に対しては、我が国の今のような考え方でいったのではそういう目的を果たすことができなくなる。  ところが、フランスや西独なんかで今日まで行われてきた基本的な考え方は、社会全体でその問題は解決すべきだと。日本のように、企業的な立場で解決しようということじゃない、あるいはその能力によって解決されるという問題じゃない。社会全体で解決しようというところに基本があると思うんですね。その点で私は、この一%住宅制度の基本的なものから考えてみたときに、日本には全然ないと思うんですよ、こういう考え方のものは。そこに私は大変大きな差があるように思うんです。この点はどのようにお考えになっていますか。
  74. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) おっしゃいますように、確かにフランスの制度は、戦後フランスが非常に住宅不足のときに企業がそれぞれ協力し合ってお互いの勤労者のための住宅をつくろうではないかということから発足しているわけでございます。日本の場合には、傾斜生産的な社宅といいましょうか、産労住宅とかなんとか、そういった形で傾斜生産の中で必要なところに社宅をつくっていくという政策から始まったわけでございます。今現在の社宅関連施策というのは、やはり全くそういう社会的な視点というのがないわけではございませんで、例えば大企業がつくる社宅に対する融資と中小企業の社宅に対する融資と非常に金利等の条件について差をつけているというのが若干ございます。  先生おっしゃいますように、社会全体で全部のものを見ようではないかということで一貫したものはないと思いますが、そういう形で日本にはそういうものがございますので、現にあるものを前提としてそういう社会的な解決をするためにどういうことがより公平であり効果的であるかというふうに考えていかないと、今のものをなくすわけにいかないものですから、そういうことを前提として私どもは検討しておるところでございます。
  75. 赤桐操

    赤桐操君 例えば、パリの周辺に五つの衛星都市が紀元二〇〇〇年を目標にして五十万都市として今つくられつつあるようでありますが、その状況を見ましても、これは事業主体はフランス政府とパリ市ですよ。民間の企業が中心になってやっているわけではないんです。完全にこれはフランス政府とパリ市の共同で行っている、そういう事業の展開なのであります。  だから、そういう意味で考えてみると、そこに私は日本であったならばそういう手法をとらないと思うんですね、今までの手法でいけば。必ず企業が前面に出てくると思うんです。この辺のところが、同じ企業から一%住宅として出させたと仮定しても結果的に使い道が変わってきてしまう、そういうように私は思うんですね。だから、いわゆる社会的に保障しようという、そういう思想で行っているものとそうでないものでは大変大きな違いが出てくると思います。こういうことを指摘したいと思います。  これはそういうことで大体御理解になっていると思いますから、もうこれ以上申し上げませんが、新しい角度に立ってひとつこの一%住宅制度の問題についても御検討願いたい、こういうことをひとつ提起しておきたいと思います。  それから続いて、大都市地域において地価高騰によって住宅の価格が上昇する、特に東京圏の十キロから二十キロ圏内では、マンションでも勤労者の平均年収の大体十一倍ぐらいになっている、これが相場であるようであります。海部さんも土地住宅対策を内政の最重要課題として位置づけておられるようでありますが、東京通勤圏で今後十年間に勤労者住宅を百万戸供給しよう、こういうことでキャッチフレーズを上げておられるようでありますが、これも私は代表質問の中でお尋ねしておりますけれども、これを実現するためには宅地供給促進宅地原価の軽減がなければ不可能だと思うんです。特に宅地原価、分譲価格等を引き下げることができなくてはこれは話にならない。その引き下げることが勤労世帯に適正な価格の住宅賃貸住宅供給するための絶対的な条件になる、こういうふうに考えざるを得ないと思うのであります。  そのためには三つあると思うんです。一つは、開発者に拠出が強制されているところの公共施設、こういう公共用の施設の用地を国が買い取る。要するに、開発者負担と称して課せられておりますけれども、それは実際には受益者負担であります。これは私も何回もこのことを各委員会ごとに言ってきておるのでありますが、これが一つ。それからもう二つ目は、関連公共整備費等についてこれをもっと拡大すべきではないか、現状よりも。そして開発者の負担軽減、受益者負担と称するものをなくしていく方向をとる、これが二つ目の課題だと思います。三つ目は、何といってもこれは金利だと思うんです。金利を大幅に引き下げない限りにおいてはこれは軽減することはできないだろう、こういうふうに実は考えるわけでありますが、大臣のお考えはいかがですか。
  76. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ちょっと事務的なことも含めさしていただきたいと思いますので、御答弁さしていただきます。  要するに、宅地住宅供給価格をいかにして低廉化するかということになりますと、基本的には今先生お示しのことなどは大変重要なことだと全く同様に考えておるところでございます。  なお、あわせて私どももう一つだけ言わしていただきますと、土地の価格をいかにして床価格により低く反映するような施策を講ずるかということもこれまた大事な施策であろう、こんなふうに思っていますが、とりわけ今宅地の点で御指摘ありましたような、言うなれば公共公益施設に関する負担を開発者にかぶせているという問題、第一点ございました。これについては、仰せのとおりまことに現実はいわゆるデベロッパーの負担に課せられているという格好の中で、最終的には消費者、エンドユーザーに宅地処分価格という格好で全部転嫁されているという実情にございますが、この公共公益施設の負担のあり方という点については、これは先生前々から御指摘いただいている点でございますけれども、基本的に私ども基幹的な公共公益施設については公が負担するというのはこれは原則であろう。ただ、いわゆる足元施設的なもの、言うなれば宅地なら宅地の品位を向上させ保つための施設、どちらかというと狭い道路等々についてはこれはやはり開発者負担ということもある程度合理性があるのじゃないか、こういうふうな考え方で臨んでおりますが、いずれにしましても現実はそれよりもなおより多く開発者に負担が課せられているということ等もあります。そういった中でいわゆる関連公共事業費、こういったものの施策を推進させていただいている中でございますが、おっしゃったような問題点が残っていることはまた認識しているところでございます。  またさらに、いわゆる開発者、公的機関あるいは民間も含めてでございますが、この調達金利をいかに下げるかということが大変大事な問題でございます。現在、いわゆる宅地の処分価格のうち、宅地原価のうち二割くらいを金利が占めておる現実がございますので、こういったものについてどう対応するかということでございますが、私ども例えば住宅公団等については毎年毎年のよう政府資金での措置をウエートアップさしていただいているという格好で金利の低廉化をしていたり、あるいは民間事業についても金融公庫での融資について融資率の引き上げ等を行って改善の努力をさしていただいております。  何よりも基本的に大事なことにもう一つ申し上げさしていただきますと、金利の問題というのは、事業の懐妊期間と申しましょうか、期間が大変長引いておる。現在私ども調査しておる中では、平均的に見て事業着手から処分までに八年と五カ月かかっておる。大きな団地になるともっと二十年以上かかっているというのが現実でございます。こういった現実は挙げていろんな事情ございますけれども公共団体との調整問題などなども背景にございまして、そういった意味でこの期間のできるだけ短縮化を目指すということも含めて金利負担の軽減化ということが大事な課題だ、こう認識して取り組ましていただいておるところでございます。
  77. 赤桐操

    赤桐操君 この私が今申し上げた三つが大体価格を引き下げていく、あるいは現在の価格を大きく変えて勤労者に適正な供給をする原則になると私は思うんですね。最も大きな問題点だと思う。これが裏づけられなくては、今度の大都市法がいかに実施されて、かつそれぞれの地方に目標なり計画なりが求められてつくられてみたところで果たしてねらったものになるだろうか、こういうふうに私は疑念を持っているんです。先ほどから実は、果たしてこの大都市法のねらいがうまくいくんだろうか、むしろ逆な現象を発生するんじゃないかということを申し上げてきているのはそういう意味です。本来やらなきゃならないことを国で行わないでおいてそれを地方に任したりあるいは受益者に負担させるというやり方をとれば、当然そこには逆な現象が発生するんです。  この三点が解決されないままに、裏づけられないままに、あるいは規制やあるいは財政の裏づけやそうしたものが裏づけられない中でこの大都市法の推進がなされていくということになると、これはむしろ逆なことになりゃしませんか。大臣も大変先ほども意気込んで御答弁なさっておりまして、決意のほどはわかりましたけれども、それとは逆な現象が発生しはしないか。  今日、勤労者の手には届かない住宅となっている。勤労者のかすかな夢がなくなってしまった、こういうように各労働組合の大会やあるいはまた多くの集会などでは必ず訴えられている。それほどもう遠いものになってしまった。住宅というものは夢ではなくなってしまった。十五年前にいろいろ打ち上げられた当時の、法律作成当時の夢ではもう今日何にもないですよ。その中で、さらに今のような形でもって従来の延長でやるだけのことでしょう、これは。そうすれば、そこに出てくるものはもっとひどい現象が発生する。金のある者は買えるけれども金のない者は買えない、こういう現象が発生するだけであって、果たしてこの大都市法のねらいは実現できるだろうか、このように私は大変大きな疑念を持つんですがね。
  78. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 大変厳しいお話を承りましたけれども、私どもはこの厳しい現実に対処していくためにどのように取り組むかという根源的なお話と受けとめました。言うまでもなく私ども大都市法、ここに書いてある条文の事柄だけですべてが解決するというほど事柄は安易に受けとめておりません。問題は、午前中の御議論でもやりとりさしていただきましたけれども一つの取り組みの構えとそれを軸にした具体の施策をさらにつけ加えて、そういった方向に向けて関係者があらゆる施策を講ずる、こういった一つの具体のよりどころとしてこの法案を御提案さしていただいている側面がございます。  今先生のおっしゃったもろもろ問題点、具体的に宅地価格をいかにして総体的に下げるかという問題等々は、当然私どももこの法律を運用、執行していく上で重要な課題として受けとめさしていただいて、今後とも具体的な取り組みに努めさしていただきたいと思います。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 そういう決意でお取り組みになるというならば、もう一遍私はひとつ伺っていきたいと思うんです。  宅地開発に伴って必要になる今申し上げてきたような関連公共施設等の用地の比率でありますけれども、これは今もお話がありましたとおり開発規模によって大分違っております。最近開発されたものの中での平均的な住宅団地における関連公共施設の用地率、これは今どのぐらいになっておりますか。それからまた、五年ないしは十年前と比較してみてそれはどういう推移になっておるのか。この点ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  80. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 私ども四、五年ごとにいわゆる関連公共公益施設の実態調査をさしていただいております。これはごく大胆に申しまして十六ヘクタール以上の規模宅地開発対象にいたしまして調べているものでございますが、それによりますと、最新の昭和六十三年のもので言いますと、住宅用地率は四八%でございます。公共施設用地率と公益施設用地率を両方足しましたものが四八%、同じでございます。同様に見まして五十八年、五年前でございますが、住宅用地率四五%、公共公益施設用地率が五二%、さらにその四年前、五十四年は住宅用地率が四八%、公共公益施設用地率が四八%、こういったことでございまして、ごく大ざっぱに申し上げまして四五から五〇%程度住宅用地率である、こういう状況になっております。
  81. 赤桐操

    赤桐操君 十六ヘクタール以上ということが平均のようでありますが、これが大型のものになってまいりますというと、さらにもっと住宅用地率は下がってくるように思います。そして公共用地率の方が上がっていく、こういうのが大体の傾向のように見えるんです。事実そういうようになっているようであります。  結局、こういう状況でいる中でそのまま延長されてこの大都市法の施行ということになってくると、余り変わらないんじゃないですか。この点についても今大胆に取り組まれているというならば、もっと思い切った施策を考えるかどうかですね。用地率やあるいはまた公共公益施設等の比率については下げることはできないというならば、何らかのそれに対する裏づけになる対策はとれるのかとれないのか、こういう点についてひとつ伺っておきたいと思います。今までのとおりだとすれば一つも改善されてきてないわけでありますから、これはそのままの延長でいくということになりまして、この法律もざるになりますよ。この点はどうでしょう。
  82. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるとおり、先ほどは平均で申し上げましたが、実態的にさらに精査して見ますると、大規模宅地開発ほど公共公益施設の用地率が高まってくるという傾向にございます。これはいろんな事情があろうと思いますけれども一つにはやっぱり大規模開発に対する公共団体が求める条件というものが、具体的には指導要綱というような格好等々も含めてかなり本格的な環境整備というものを迫ってくるという経過もあるわけでございまして、私どもこのこと自体はある意味で非常に重要な問題だと思っております。というのは、小規模開発ほど宅地供給事業者からすると効率性がいい、こういうことになるわけでございまして、これはある意味では一つ問題点をはらんでいます。  私ども、そういった意味でこの俗に言う指導要綱にかかわることが大変大きゅうございますけれども、まず公共施設の整備水準をどのレベルまで求めるかということについての一つのあり方というものは今までも指導させていただいていますし、今後とも行き過ぎたものについては是正を努力していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから、今申しましたのは用地率の話でございますけれども、当然のように私どもとしてはこういった問題がそのままで結構であるという基本認識は持っていないわけでございまして、先ほど委員御指摘のような基本的な考え方を踏まえながら、私どもも大きな課題だと受けとめているところでございます。
  83. 赤桐操

    赤桐操君 そういうように御認識になっていらっしゃると思いますけれども、問題は地方自治体の宅地開発指導要綱なんかが今日まででき上がってきた経過があるわけです。それは結局大団地がつくられる、いろいろ町はきれいになって結構なんですけれども、自治体側に言わせますというと、そのために地方自治体がいろんな問題をかぶってくる。そんなにはとてもできません、したがってもうありとあらゆる条件をひとつつけていこうじゃないか、それでよかったらいらっしゃいということなんです。積極的に地方に分散させて一極集中を排除して、そして特定の地域だけが値上がりするようなことのないようにする、そういう地価対策にも通ずる基本的な考え方と相反する形を今の地方自治体はやらざるを得ないわけですね。現在の地方自治体の財政状況その他から見ていったならば、到底これは負担し切れないものをかぶせられることになりますから、当然そうなります。  そういう状況にあるわけであって、この問題の基本を解決しながら指導要綱の改正をさせるという指導が裏づけられなければ、今回のこの例えば千葉県に何戸、茨城県に何戸、東京はどれだけ、神奈川は幾つと、こういう形の東京圏に割り当てをし計画を立てようとしても、計画自体から成り立たぬのではないか、画餅に帰するのではないか。だから、それぞれの地域の受け入れ体制はできるんだろうか、それを裏づける財政的な措置その他については果たして決意をお持ちになっているんですか、そういう対策をお持ちになっておりますかと、こういうことなんです、結論は。  要するに、この宅地開発指導要綱を、さあいらっしゃいと、こういうようなものにまでつくり上げさせていく、改正させていく、助言や援助や協力というそういう趣旨に基づく指導要綱にしていかなければならないと思うんですけれども、そういう点についてはお考えはありますか。
  84. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御指摘のように、指導要綱というものがなぜ今日こういう格好で定着しているかという背景は、今委員御指摘のとおりの事情だと思っております。言ってしまえば、一方的に行き過ぎである、けしからぬということだけで解決しない実態というものが背景にあるということを私ども認識させていただいています。  そこで、今回御提案申し上げている法律制度の大きな柱に、基本方針を広域的につくらしていただく、関係団体と一緒になってつくらせていただくという施策を盛らせていただいていますが、これは今お話しのように単に県別にフレームを分けるというだけで済む話とは思っておりません。それらの施策を具体的に進めるために、地方地方の地域実情というものを踏まえたかなり切実な注文というか事柄というものがあろうかと我々当然受けとめております。そういったものについて私ども国レベルでもいかにして対応するかということも大変重要な課題として踏まえながら広域方針をつくらせていただきたいと思っておりますが、同時に、例えば指導要綱等につきましても残念ながら余りにも行き過ぎているというものがあるのも現実でございまして、そういったことについての是正方の御理解を深めることもこれも大事なことではなかろうか。  そういった両方が同じ目標に向かっての取り組む基本姿勢というものを確認するということが広域方針の最大のポイントでございますし、今回の法律の大きな目玉の一つでございますので、私どもその趣旨、精神は十分体しながらの取り組みが非常に大事だと、こう認識をしているところでございます。
  85. 赤桐操

    赤桐操君 用地問題で今伺ったのでありますけれども、同時にまた公共施設整備費をめぐる問題が大変ございます。これについてひとつ伺っていきたいと思うのでありますが、現在行われております公共施設の整備についての特別の予算の枠がございますね。これは昭和五十三年度に創設されたいわゆる関公費です。この項目がつくられて十年余になります今日、これについて一体どんなふうにお考えになっておりますか。
  86. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 御指摘のとおり、関公促進費は五十三年に創設されまして、いわゆる通常事業の枠外ということでプールをいたしまして、住宅団地や住宅地の造成に際して必要となります建設省所管の補助対象事業というものをスムーズに整備をしていくという趣旨でつくられたものでございます。  以後、予算もふえまして、現在は国費で千七十億円でございますが、非常に大きい役割をしてきておるということをちょっとお話ししますと、この事業は、住宅宅地を所管しております部局とそれから本来の公共事業を所管しております部局が相談をしながらやっていくわけでございます。したがいまして、本来事業でこの団地、この宅地造成にどのくらいこういう施設が欲しいんだ、どうしても本来事業、通常事業でできないときに関公促進費を使っていく、こういうことで住宅宅地サイドの自由度を非常に増したわけでございます。  それと同時に、通常事業の協力が得られる体制ができ上がっているわけでございます。したがいまして、今千七十億と申し上げましたが、これを事業費ベースで見ますと二千億を超えますけれども、それに倍する、倍以上の通常事業がこれにくっついてきておるということでございまして、関連の公共施設整備上非常に大きい役割をし、良好な住宅地供給促進に貸したというふうに私ども評価しておるところでございます。
  87. 赤桐操

    赤桐操君 局長の御答弁でも国費一千七十億円がついているということでございます。これちょっと予算を見ますと、この千七十億というのは去年と同じなんですね、前年度と同額であります。今お話しのように、これから大都市地域における住宅供給に際してはこの役割が大きな役割を果たすということを明らかにされているわけでありますが、非常に効果が上がっている促進事業としては予算の額が据え置きになったままで今日に至っているというふうに私は見ているんですが、この点はどういうことになるんでしょうか。  実は、平成二年度の経済局の関係予算総括表を見ましたところが、住宅宅地関連公共施設整備促進事業というのが一千七十億になっていますが、住宅対策費計上については四百六十億、それから道路整備特別会計として計上されているものが六百十億、合計で一千七十億、こういうことになっているようでありますね。これが前年度と同じだと。  そこで、これはどういうことかなと思いまして、五十三年度以降の状況を一応調べてみたのでありますが、これを見まするというと、促進費が五十三年度に三百億、五十四年度でもう三百億上積みされて六百億、五十五年度で九百億になっております。そこまでは三百億ずつふえているわけです。五十六年度以降一千億でこれがとめられて、五十九年度まで一千億であります。六十年度になりましたところが、俄然これが四百五十億に切り下げられております。六十一年度も同じく、六十二年度も同じく、六十三年度も同じく四百五十億、平成元年度で四百六十億になり、平成二年度が前年度並み、こういうことになっているということがわかりました。さらに、住宅関連の方のいろいろ道路特会から出ている金を見まするというと、昭和六十年度から六百億ずつこれにつけられております。これを合わせて一千七十億なんだと、こういうように言われているわけなんです。  これは、私はこういうふうになっているとは思わなかったんです。昨年の質問の中でも明らかにされておりましたが、一千億を超えましたと言うから一応その線で来ているのかなと思っておりましたところが、よくよく調べてみるというと、この促進事業の項目は昭和六十年度から切り下げられているんです。これを補てんするために住宅関連の方のいわゆる道路特会の方から六百億ずつ出ていると、こういう勘定になるんです。道路特会は、これは目的税ですよ。道路の関係、ガソリン税でしょう、言うなれば。そういうものの中から一応借りてきて入れているわけです。  どういうやりくりでこうなったか私にはよくわからぬけれども、いずれにしても少なくとも昭和五十三年度に設定された当時の大蔵省と建設省の申し合わせの中では、これは私も確認しておりますが、項目として第一年度は三百億にすぎないけれども、毎年三百億ずつプラスをしてまいります、したがって要求された三千億程度にはやがてなることには間違いありません、こういうことまで私は回答を得ているんです。私は三百億というのは零が一つ足らぬのじゃないか、それではいささかこれからの需要に供することはできないであろう、こういうふうに主張したところが、最初の項目から三千億はつきません、まず三百億あたりからスタートするとしても大変大きなこれは額でございますと、こういう説明である。やがて三百億ずつ毎年積み上げるから御心配なく、こういう申し添えまであったんです。そうか、それじゃそれでいくほかないなと、必要によって、これが多額に必要なときにはまた五百億ぐらいに伸ばしてもいいだろうという話までしてこれは終わりにしているんです。これは長谷川四郎大臣と私が話し合ったんです、率直に申し上げまして。あのときの住宅局長さんは私ちょっと忘れましたけれども、長谷川さんとはそういう話し合いをしております。  そういう状況の中でこれは積み上げられてつくられたものです、この三百億というのは。この三百億が切られてしまう、これはちょうど六十年度です。これは中曽根さんのゼロシーリングが出てからですよ。それで九百億、一千億というものはとどめたようだなと、こう思っていましたところが、やはり切られておるんです。それで、六百億を道路特会から出して大体格好をつけたと、こういうことになっていると思うのでありますけれども、この経過は一体どういう経過なんですか。今まで明らかにされなかったじゃないですか。この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。
  88. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今の一つのお尋ねは、一般会計と道路特会に分かれて計上している経緯について説明しろと、こういうことだと思います。  道路とか街路とかに従来関公促進費から配分していましたのは、やはり一番の要望の多い事業でございまして、ほぼ毎年毎年促進費から道路、街路に回る分というのは比率は一定しているわけでございます。あと河川とか下水とかになりますと、例えば砂防のごとく地域によって非常に要るところと要らないところがございますので、どこで促進事業が要るかによって全くそのウエートが変わってくるというような問題がございます。そういう事業の性格が一点あったということ。  それからもう一つは、これは先生今いみじくも言われましたように、全体の財政が非常に厳しくなりまして、シーリングが厳しい中での役人的な措置としてあるんじゃないかと、こういうふうに想像して指摘されたにおいもなきにしもあらずでございますが、私どもは全体の事業費の確保ということが大目的でございまして、したがいまして道路事業費の中に住宅宅地関連公共施設整備促進事業費補助という費目を設けまして、一般会計に計上したものと一体として使う費目だと、こういうことで道路事業費の中に計上させていただいたものでございます。それぞれに分かれておりますが、それぞれの道路特会の中、一般会計の中で毎年毎年の促進費の要望需要動向に応じて、できるだけその事業費確保に努力をしているところでございます。
  89. 赤桐操

    赤桐操君 昨年、越智大臣に私このことを、もっとふやしたらどうなんだと、大体中曽根さんもおやめになったし、状況が変わってきたのだから少しこの方の促進をしたらどうですかと、こう言ったところが、大分そっけないあいさつをしておったことを私記憶に残っております。  よくこれを見てみますると、その当時はまだあるいは赤字国債から脱却していなかったからいろんな理屈は言えたかもしれぬけれども、もう今は赤字国債脱却しているんですよ。大臣いかがですか、赤字国債もうないんですよ。だから、当然当初の趣旨に基づく復活がなされるべきだと私は思うんです。  なぜ私がこんなに強くこれにこだわっているかというと、これを伸ばしていかなければ具体的に勤労者の手の届くような住宅はできない、こういうように私は考えているから言っておるわけです。この点、越智さんと違うから、時も違っておりますから、そういうそっけないあいさつをしないと思いますが、あなたはどうお考えになっていますか。
  90. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今御指摘のように、財政再建ということでいろいろと苦しい財政を続けてまいったわけでございますが、赤字公債脱却ということで一つの新しい展開を今しようとしておるところでございまして、いよいよ来年度から始まります五カ年計画とか来年度の予算要求ということにつきまして、建設省の所管いたします公共事業全般につきまして前広に今後はいろいろの要求をしていきたいと考えておるわけでございますが、今御指摘になっております関公促進費もその中の非常に重要な費目の一つであるというふうに認識をいたしております。
  91. 赤桐操

    赤桐操君 これを復活させるような方向での御努力はなさいますか。
  92. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 最大限の努力をいたします。
  93. 赤桐操

    赤桐操君 御努力を願うべき筋合いだと思います。これだけの法律を提案しながら裏づけがない、そういうことであっては私は無責任だと思う。この点はひとつ私から厳しくお願いをしておきたいと思うんです。  大臣が先頭に立つべきですよ。自治大臣が一〇%カットを食ったときのあの高率補助のときに、ここにいらっしゃるかな、私らと一諸にやった方は。自民党の方にはいらっしゃらないかもしれぬが。高率補助の一〇%カットを中曽根内閣のときやられたんです。七十五項目にわたって補助金を一〇%全部切られた。そのときに最大の影響を受けたのは建設予算ですよ、そうでしょう。そのときの現象だと思うんです、これが切られたのは。これ減っておるでしょう、さっき申し上げた四百五十億になっておるのは。私はこれを二カ月にわたって横になって反対したんだけれども、とうとう多勢に無勢でやられちゃった。残念ながら私も旗をおろしたんだけれども、それで結局は一〇%全部切られた。そうしますと、これはもう建設関係とそれから地方行政が相当大きな影響を受けている。その問題を取り上げて、去年もう既に自治大臣はかなりの勢いで復活要求を迫ったはずですね。そのときに私が越智大臣に、あなたどうですかと言ったら、そっけないあいさつをしたと、こういうことなんですよ。  だから、私はやはりそういうことではなくて、責任ある措置を大臣としておとりになるべきだと思うんですよ。これはあなたの責任ですよ、こういうふうな問題は。官僚の方々の責任でもあるかもしれぬけれども、ないとは言わぬが、それは大臣が全責任を負って双肩に担わなければ建設予算の増大なんかできませんよ、枠の拡大は。あなたの政治力にかかっていると思いますから、これはひとつ頑張っていただきたいと思いますね。(「同感」と呼ぶ者あり)大分御声援いただいて恐縮でございます。  それから、促進費についての対象の問題があると思うんですね。大変細かな話になってきますが、これは大変大きな額としてエンドユーザーにはね返っていますから、このことを私もひとつ厳しく指摘をしたいと思いますが、建設省の関連公共施設費のとらえ方、指導の仕方については、これはちょっといささか限度をつくり過ぎているのではないか、狭過ぎるのではないか、このように実は考えるんです。要するに関連公共施設費の補助対象となっている対象事業の範囲、これについて少し御説明願いたいと思います。
  94. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 対象施設は、先ほど建設省所管の公共施設で申し上げましたが、道路、街路、公園、下水道、河川、砂防でございます。  考え方としましては、促進事業と同種の公共施設の整備、例えば道路ですと道路事業ということでございますが、道路事業の採択基準に適合し、かつ当該施設の整備により住宅宅地事業促進に効果のあるものということになっておりまして、いわゆる採択基準は通常事業と同じレベルになっております。したがいまして、例えば街路ですと、都市計画街路で幅員が十二メートル以上でありますとか、特定土地区画整理事業等による土地区画街路につきましては八メートル以上とか、公園につきましては児童公園標準〇・二五ヘクタールでありますとか、そういうふうに事細かに通常の採択基準と同様の基準を決めております。
  95. 赤桐操

    赤桐操君 次に、今宅地開発事業が行われておる中で、開発の総コストとそれから宅地原価に占める公共公益施設整備費の割合の問題でありますが、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  96. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) これも昭和六十三年に調べた調査の結果で御報告させていただきますが、いわゆる宅地原価に占める関連公共公益施設整備費の負担割合、これは約三九%となっております。四割弱です。また宅地開発総コスト、この中に占める割合は公共公益施設両方合わせまして六六%という状況になっております。
  97. 赤桐操

    赤桐操君 さらに、私の手元にあります調査表によりますというと、通常の国庫補助採択事業では三二・一%、これが大体関連公共施設整備費の負担実態の中の一つであります。それから関公促進費による国庫補助事業、これが二五・九%、補助採択基準適合施設の開発者単独事業、これが一一・五%、補助対象にならない開発者の単独事業が三〇・五%になっておりますね。補助採択の基準に適合する施設でありながら開発事業者が全額費用を負担して整備している事業、これが一一・五%もあるんですけれども、これは一体どういうわけなのか。
  98. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど来申し上げている調査の結果で、今先生御指摘のような結果が出ております。言うなれば、採択基準に適合する施設でありながら開発者が負担している事業というのが一一・五%あるわけでございますが、これはやはり補助事業という性格から来る一つの制約みたいなものがありまして、その事業を具体的に行う地方公共団体の物の考え方、それからもう一つはその公共団体の人的あるいは資金的な面を含めての執行能力、こういったことが相当影響していると、こう考えられるところでございます。  いずれにしましても、そういったことは、先ほどお話しのような事柄を今後具体的に進めていく上ではこれは大事なやっぱり改善を図るべき問題であろう、こういうふうに私ども認識しているところでございます。
  99. 赤桐操

    赤桐操君 さらに、採択基準適合事業については、これはもう無条件で私は補助するのは当然だと思うんですが、これにいろいろな条件をつけて結果的にこういうものが出てしまうということについては、指導上に問題があると思いますけれども、この点はいかがですか。
  100. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 御指摘の点、確かに問題であると思います。従来から積極的に関公促進事業を活用していただいて実施するように指導しているところでございますが、今後ともそういう方向で努力を重ねてまいりたいと存じます。
  101. 赤桐操

    赤桐操君 さらに、手続上の問題で自治体の意向を私も聞いているんですけれども、大変煩雑で手数がかかるそうですね、この促進費をもらうのには。それで、そのためには随分人の配置もしなきゃならないし手数もかかりますと、なるべくなら何とか勘弁してもらえないかというような自治体もかなりあるんですよ、現実に。そのために相当の人を使わなきゃならない、こう言っているんです。今、地方自治体もいろいろ人件費の関係その他でなかなか難しい状況にあるんですね。そういう中で、こうしたものにまで大変な煩わしい仕事に人を割かれるということについては大変困るという意向を示している自治体もかなりあります。だから、私はそういうようなことも原因一つじゃないかと思うんですけれども、この点についてはどうですか。
  102. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先生御承知のように、関公促進費というのは通常事業の外枠ということになっておりまして、通常事業として事業を行うということになっておるわけでございますから、通常事業体系の手続と、それから関公促進費が住宅宅地供給に資するということで住宅宅地部局が審査をする流れと、両方ダブるわけでございます。したがいまして、おのずと手続は通常事業だけよりも複雑になることは事柄の性格によるわけでございまして、私どもできるだけ書類面で簡素化できないかということで六十一年には努力もいたしたところでございますが、今先生御指摘のような御意見がまだまだあるようでございますので、私どもそういうものを調査をし、努力をしてみたいと考えております。
  103. 赤桐操

    赤桐操君 それから続いて、今それぞれの内訳を申し上げた中で、採択基準に適合しない事業が三〇・五%もある。この点は私は大変問題があると思うんですよ。なるべくこういうような形が出ないように努力するならわかるけれども、出たものに対しては、厳正な検討は結構でありますが、温かくこれの相談に乗ってやったり協力したり助成をするということではないのでありまして、むしろ非常に厳しくこれに対する対策をとっていくような形になりますというと三割、三〇%を超える、こういう結果が出るんだろうと思うんです。ですから、すべて適合されるような状態に指導をすべきだと思うんです。この点が例えばフランスやあるいは西独なんかのやり方、ヨーロッパ各国で行っております住宅政策なんかとは全く違いがあるように私は思う。先ほどの一%住宅制度の問題についても、日本に入ってきたらもうがらっと変わっちゃうんです、これを仮に入れようとしても。  ところが、もう今日の状態では我々日本におきましても国際社会になるわけですから、外国人もどんどん入ってくるでしょうし、こういうことが果たして納得してもらえるでしょうか、現実の問題として。補助事業としての不適格事業、これが三分の一もふえているということについては、これはこれからも大きな問題としてやっていただきたいと思うわけです。適合されているものであってできないもの、単独事業でやっているもの、それから不適格だと言われているもの、そういうものは遠慮なく排除していく、一番いいやつだけ補助を与える、これではいわゆる官僚的な物のやり方です。そういうやり方は本当の住宅政策ではない。そういう点で改善していく腹があるのかないのか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
  104. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど冒頭の御質問の際に、住宅団地建設促進臨時特別税構想というのが昔あったということをちょっとお話し申し上げましたが、そのときの問題意識も、今先生おっしゃいましたように通常の補助事業ではできないような、いわゆるちまちま関公と申しましょうか、基準に合わない規模の公園であったり街路であったりというものでございます。したがいまして、私ども問題意識としては常に持ってきております。それを前提として申し上げまして、先ほど申しましたように関公促進費は通常の公共事業と同等の採択基準になっております。したがいまして、住宅宅地供給の一層の促進を図る観点からしますと、比較的小規模な公共施設、このレベルを下げていくということも非常に検討する必要があるというふうに私ども考えております。  ただ、これは通常事業のそれぞれの所管局の考え方もありますので、そこら辺の兼ね合いが大変いろいろと問題があろうかと思いますけれども、私ども先ほど申しましたような背景からぜひこれを検討を重ねていきたいと思っているわけでございます。  もう一方、団地の規模要件というのがございまして、六十二年度から百戸以上または五ヘクタール以上の団地を対象にということで適用をしておるわけでございますが、これも見直す必要があるんではないかというふうに思います。  そういったいろいろな面で、今まで取り上げられなかったところまでこの関公促進費を活用して促進するということは非常に重要だと思いますので、検討を進めてまいりたいと思います。
  105. 赤桐操

    赤桐操君 今のお話のように、今までの段階ではかなり規模なものはたくさんできたんです。これからそうできないと思うんです。ですから、新しい角度に立った見直しをやっぱりやるべきだと思います。そういうことを一つ提起しておきたいと思うんです。  それからどうでしょう、大臣、この関公費については思い切って倍額増額ぐらいのことはできませんか、一千億ではなくて。そのくらいのものが今必要になっているんじゃないですか、これだけの大規模のものをやろうとするならば。これは皆さん笑い事じゃないですよ。結局はざるになりますよ。何もできないで法律だけが残っていくことになりますよ、この十五年間と同じように。私は、やはり今私が一つ一つ指摘申し上げたようなことが解決されるためには、関公促進費を思い切って増額をする、そして対象範囲も拡大をしていく、こういうことでなきゃならぬと思うんです。  例えば、都市計画法やその他のいろいろ審査の中では、オーケーになって開発に入りますね。ところが、いよいよその関公費の促進費を受けようと思うというと、十二メーター以上じゃなきゃだめだ、こう言っておるんですね。それから、生活道路として団地内で動くようなそういうものに使われる道路であってはこれはならない、こういうことなんでしょう。しかし、開発の認可の基準は六メーター以上じゃなきゃ認可しませんよ。そうすると、六メーター以上、八メーター以上のこういう認可を条件としていながら、なぜこれを促進費の対象にできないのか、こういうことですよ。  こうしたものがみんな受益者負担で回っていくことになる。それは表向き格好のいい促進費ではなくて、本当に内実きちっと受益者に対して行き届いたものでなければならないだろうと思うんですが、四メーターとか二メーターとかというのはこれまた問題があるかもしれぬけれども、そうではなくて、六メーター以上を原則とすることで今の都市計画法やあるいは開発認可の基準が行われているはずであります。そうだとするならば、当然そういうものまで含めて対象の範囲に入れるべきだ。そうでなければ、諸外国におけるところのいわゆる関公費については全部これは税金で賄うべきものだ。私どもが外国のそういう人たちと会って話したときに、受益者負担なんということを説明しても理解できないんです。だんだん説明してわかるというと、それは何のために税金を納めているんだ、こういう答えが返ってくる。これが現状ですよ。だから、私は今言ったような対象の範囲の拡大、もっと徹底した施策に転換する、こういう角度に立って関公費の促進費の見直しをすべきだと思いますが、この点いかがですか。
  106. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生から大分基本的な問題提起を含んだ御発言、御質問をいただいたわけでございますが、その中で都市計画開発許可基準とあわせて直ちに補助対象にしろという御趣旨の点、これは私ども伺いながら一つのお考えとしては受けとめさせていただいたわけでございますが、率直に申しまして、この都市計画の許可基準というのは、もうこれは先生には言うまでもありませんけれども開発を行うために必要となる最低の基準という観点からの許可基準であるわけでございまして、それはイコール直ちに例えば道路なら道路について市あるいは町の公的な道路として移管するしないというものと必ずしも結びついていない面があると思います。それと同時にもう一つは、片方で大事なのは区画整理事業についてどうしているかという問題も私ども常に考えなきゃいかぬところでございまして、御案内のとおり区画整理の場合にはその程度の道路、その程度という言い方はどうか知りませんが、いずれにしても六メートル前後の道路というのは、いうところの公共減歩によって賄っておるというこういった一つのシステムもあるわけでして、そういった意味で私ども決して今のままがすべてだとは申しませんけれども、直ちに今先生が御指摘のことについてその方向で私どもぜひやらせていただきたいというふうにはちょっとまだためらいがあるという感じがします。  いずれにしましても、関公促進費、先生先ほど来御発言されていますように、私ども真剣に受けとめさせていただきますが、大変重要なテーマであるという認識は再々新たにいたしまして、今後とも具体的に改善の方向での努力をさせていただきたいと思っております。
  107. 赤桐操

    赤桐操君 そういう形に持っていくことになると、財源が求められると思うんです。財源については先ほど私も要望しておきましたけれども、私もこの財源については提起しているんです。少なくとも今度事業所税を創設する場合においては、これは事業所を持つ企業に対して支払い給与額の一%を課する、こういう新しい事業所税をつくるということにするならば一応これで賄うことができるのではないかということも私は申し上げている。これは必ずしもこのとおりでなくてもよろしいと思いますけれども、一方においては新しい税制度の検討も加えているようでありますが、具体的に言うとどういうことなんですか。
  108. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 建設省といたしましては、大都市地域における住宅宅地供給促進を実効あらしめるために関連公共施設整備などの財源を充実させるということが非常に大事なことだと考えておるわけでございます。そして、そういう財源を、現在土地税制の見直しが進められておりますが、その中に組み込んで考えていけないかというようにも考えておるところでございます。土地税制の総合的な見直しについては、現在、政府税制調査会などにおいて審議中でございますので、私どもといたしましては、その審議の推移を見ながらその財源の確保を中心とした新たな方策についても今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  109. 赤桐操

    赤桐操君 次に、今日米構造協議が行われており、この中で公共投資十カ年計画ということで日本側の方でも盛り込みを考えているようでありますが、問題は、いろいろ米国の要求という形でもってこの問題が取り上げられるよりも、本来なれば、我々がずっと言ってきていることでありますから、もうとうに取り上げられていなきゃならなかったはずでありますけれども、今になってこういうような形が出てきておる。これは大変我々としても不本意でございますが、場合によるというと、情勢見ていると内政干渉にも等しいような物の言い方も出ておるようでありますが、そういうものについては断固反論すべきだと思うけれども、しかし同時にこの十カ年計画をもっと本格的なものにしていく必要があると思うんです、日本の場合においても。そういう意味でこの大都市法なんかも出されていると思いますが、十年間で仮に今公共投資を計算するとするならば、この大都市法によって行うとするならばどのくらいの公共投資を見込まなければならぬのか。今三百兆とか五百兆とか言われておりますが、建設省の立場に立ったこの関連公共施設費等々を中心とした投資額を計算するならば、一体どのくらいのものが必要になるのか、この点ひとつ御説明願いたいと思います。
  110. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 今先生御指摘のとおり、日米構造協議の中間報告におきましては新しい総合的な公共投資計画を策定するということになっておるわけでございます。そして、その総額は過去の十年間の水準よりも大幅に拡充されることになるともされておるわけでございます。しかしながら、今先生の御質問にありましたように、十カ年計画におきましては具体的な住宅とかあるいは関連公共施設の投資額という部門別のものを明示するということにはなっていないわけでございます。しかし、私どもといたしましては、今言いましたようなそういう拡充の方向をというようなこともございますので、その方向にも沿いながら、そういった住宅宅地供給促進するために、関連公共施設の整備などの増額につきましても今後とも努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  111. 赤桐操

    赤桐操君 次に、今度は金利の負担の問題で少し御質問申し上げたいと思うのでありますが、大体ヨーロッパの金利についてはもう御承知になっていると思いますが、私ども認識をもって申し上げるというと、西独あるいはフランス等では一ないし三%、これが住宅建設に使われている金利である、このように考えています。ところで、日本の状況を見るというと大体六%から八%ぐらいのところへ行っている、こういう大変な差があるわけです。  一番公的住宅の大宗をなしているいわゆる住都公団の関係になりますが、この公団の負担金利というものはどのくらいになっておりますか。
  112. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 住都公団を例に引いてということでございますが、御案内のとおり住都公団の場合には政府の資金運用部資金のお金を使っております。それで土地を買いまして、それを持っておる期間、保有期間でございますが、保有期間のコストはこの財投金利と同じでございまして六・七でございます。宅地造成につきましては、造成工事も建設利息としてはこの六・七に相なります。それから賃貸住宅は、政策家賃として最後にいろいろと配慮しなければいけないものですから、そういう政策的な要請もございまして、建設利息は団地中層では六・〇、団地高層では五・五となっています。それから民間の賃貸住宅を建てる、いわゆる賃貸用特定分譲住宅でございますが、これは七・五五と建設利息は高うございます。それから分譲住宅につきましては六・二ということで、その中間に相なっております。  それから今度は、賃貸住宅でございますのでその資金を回収しなければならないわけでございますが、回収コストというのはまた別に定めております。これは政策的に低めてその分を家賃のコストとして計上し、回収するわけでございます。したがいまして、当初十年までの間、それから十一年から二十年までの間、二十一年目以降ということで段階的に金利を引き上げることにしておりまして、当初十年が四・〇、二十年までが五・〇、二十一年目以降が六・〇ということで建設利息にすりつける格好になっております。今のは団地中層でございますが、それから団地高層についてはさらに低く、十年間は三・五、十一年から二十年までは四・五、それから二十一年目以降は五・五というふうになっております。そういうことで、建設利息と償還利息を分けて考えておりまして、具体的に借入金コストとの差を利子補給しているということでございます。
  113. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、公団の賃貸住宅の場合ですが、仮に一%金利を下げると家賃はどのくらい下がりますか。
  114. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) いろんなモデルがあろうかと思いますが、今手元に持っておりますものでまいりますと、とりあえず建設利息を先生御指摘のとおり一%下げた、こういたします。例えば土地取得からその上物を発注するまで平均三十九カ月とか、それから発注から竣工まで十八カ月とか、こういった平均的な期間をとりましてコストを計算するわけでございます。それを建設原価として計上し家賃を計算している、こうなりますが、そうしますと初年度の家賃は本来ですと月十万九千百円のものが十万七千四百円ということで千七百円、一・六%減。ですから、建設コストを一%下げるのは余り要するに効かないということでございまして、一・六%の減に相なります。さらに先ほど説明しました家賃算定上の償還コスト、今ですと当初の十年間は四・〇というのをこれから三・〇に一%下げる、こういうことでやりますと、今申しました十万九千百円の家賃がここでは建設コスト一%、償還コスト一%と両方下げますと九万一千二百円に相なります。したがいまして当初の十万九千百円からの差し引きでまいりますと一万七千九百円、一六・四%引き下がるという試算に相なります。
  115. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  そうすると、家賃の安い、コストの低下を図るためにはやはり金利が今の段階で一番大きなものになっているように思いますね。例えばそれをもう一%ふやせば三万五千円の差になるわけですよ、言ってみれば。今申し上げたような関連公共、こういったものを公団も大分使っているようでありますが、ことしもかなりのものを使っているようでありますけれども、その使い方にも問題ありますけれども、それと、さらにこの金利の低下を図るということになれば、今例えば十万円の家賃だって大幅に下げることはできるでしょう。関連公共の方でもっと大幅な補助を行い、そして金利の大幅なダウンを図るということになるならば、私はかなりの家賃の引き下げが図ることができると思う。  そこでお伺いしたいのでありますが、住都公団が仮にヨーロッパ並みの金利を採用する、こういうことにする。そして今そういうことにするというと、つまり三%引き下げることになると思いますが、これでいくというとどのくらい下がるかと、こうなりますね。これは一万七千円の三倍と考えていいですか、ちょっともう一遍伺いたいと思います。
  116. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 計算上は仰せのとおりでございます。
  117. 赤桐操

    赤桐操君 大臣に腹を据えてひとつやってもらいたいと思うんですが、この三%ダウンを図ることはできませんか。住宅・都市公団の金利の問題、ヨーロッパ並み、国際並みの金利に落とすことはできないか。民間のデベロッパーがやる仕事ではないんです。国がやっておる仕事です。いわば建設省が諸計画を立てている、政府のその計画を実施している大きな部隊、これにやらしておるわけです。これを三%ダウン、国際並みの金利、こういうことにすることはできませんか。
  118. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今仰せの、公団につきましてヨーロッパ並みの金利負担にしていく、つまり建設コストも一ないし三%、それから償還コストも一ないし三%ということでやっていけば一般勤労者が入居できるような家賃になるのではないかというお話でございます。今の公団の建設コストあるいは償還コストの金利というのは、住宅対策全体の体系の中で決まっているものでございます。そしてさらに私どもそれに付加をしまして、例えば公営住宅なんかでは高額家賃の場合には特別に利子補給をするというような形で高家賃対策もやってきております。  しかしながら、最近におきます高地価のもとでこういった公共賃貸住宅が果たしてその対象としております勤労者入居層の負担に耐え得るかという問題は、再々先生方からの御指摘にありますように大きな問題になっているわけでございます。しかし、これは地価の高いところにおきます地域的な問題でございまして、全国的な例えば公営住宅の建設コストをどうするという話ではないというふうに思っております。  したがいまして、私ども大都市におきます一般勤労者が入居できるような家賃にするためにはどういう対策があり得るかということで、広い範囲からの検討を今進めておりまして、住宅宅地審議会の答申も今月末には出てまいりますが、そういうことも踏まえまして来年度以降、大都市対策を進める際に施策の中身を充実したいと考えております。したがいまして、先生が御指摘になりました建設コストを下げる、あるいは償還コストを下げるというのは一つの大きな手だてでございます。それから関公促進費も大きな手だてでございますが、そういうものも含めまして検討の視野の中に入れて来年度以降の施策に生かしていきたいというふうに考えております。
  119. 赤桐操

    赤桐操君 それで、重ねてちょっとしつこくて申しわけないが、今の金利を下げていくことと並行して、関公費の使い方についてもっと公団に幅を広げてやるんですよ。例えば、私も現実に行ってみたけれども、生活道路と称する公団の敷地の中にある道路というのは四メーターないんですよね。三メーターくらいの道路です。あるいは四メーターくらいに最近しているかどうか。そういうものは入ってないと思うんです。あの中を抜けるものしかないんです。そうではなくて、もっと言うなれば用地についても公共的な用地として考えられるもの、すなわち言いかえてみれば入居者がみずから入っている建物以外のものについては、これはもう生産原価の中に入れない、挙げてこれはもう国が持つ、こういうことにするのが私は建前だと思うんです。民間のデベロッパーがやっているものに対してのことは問題が若干あるかもしれぬけれども、少なくとも公団のやっていることや地方の住宅供給公社や公的機関が行っておるものに対してそういう措置をとるということは当たり前だと思うんです、今日の段階では。それをやらなければ本当の庶民のための住宅はできないと思うんです。そういう形のものを併用することにするならば、私は今の公団の住宅で庶民は十分に満足してもらえるだろう、こういうふうに思うんですが、この点はいかがですか。
  120. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 最終の目的は、公団が目的としております施策対象層に適正な家賃となるかどうかということだと思います。したがいまして、具体のプロジェクトの中でこの建設費、この土地はどこが持つというようなことの理屈上の問題は別途あろうかと思いますが、そこら辺をどういうふうに整理するかということと、それからだれに持たせた方が公平であるかというようなこともございます。したがいまして、私どもは、最終の目標が当初に申し上げましたように適正な家賃ということに向けてどういう施策があり得るか、それが最も理屈にかなっているかあるいは公平であるかという観点で全体の体系を構成したいということで検討をいたしたいと思います。
  121. 赤桐操

    赤桐操君 これは建設省の今年度の住宅建設計画戸数でありますが、これを見まするというと公営住宅が五万二千戸、前年度並み、それから改良住宅が五千戸、公庫住宅が五十五万戸ですよ。公団住宅が二万五千ですよ。特定賃貸住宅が二万三千三百十と、こうなっておるんです。合計で六十五万五千三百十という数字が出ておりますが、これはいずれも前年並み。しかも今度は六十五万五千戸のうちの五十五万戸、これが言うなれば持ち家、公庫住宅ですね。この十数年間にわたって、多年にわたって国全体が挙げて持ち家志向、次々とひとつ新しい住宅を求めなさい、こういうことでやってきたその経過、結果がこういう結果になっているんです。公庫の住宅が五十五万戸で、それは民間の自力建設ですよ。政府施策といったって、これはまやかしだ、はっきり申し上げて。これは民間の自力建設、国民の懐を当てにした建設です。  それで、本当の国の政策は、公団住宅あるいはまた公営住宅、こういうものになってくると思うんですね。その公団住宅が二万五千戸しかないんですよ。これは私はおかしいと思うんだな。少なくともこの六十五万戸の中の半分ぐらいは公団住宅が受け持っておる、公営住宅が受け持っておる、あとの半分は民間の自力建設、補助事業として行っている、政府施策もちろん結構、それが持ち家でよろしい、そういう方向に行っているというなら話はわかるけれども、六十五万五千戸の計画の中で一〇%しかないんですよ、公営関係住宅は。その中で公団住宅はわずか二万五千ですよ。私はこういうことでは話にならないと思うんです。しかも公団住宅だって空き家ができれば殺到するじゃありませんか。それほど国民の皆さん困っている。  まず私は、三大都市圏で行うべきものは公団住宅によって、すなわち県境も何も全部越えて行うことのできる公団住宅によって行うこういう建設事業を、この際思い切って促進すべきだと思うんです。そのためには、今申し上げたような金利の大幅ダウン、関連公共施設に対するこれはもう思い切った補助、こういうことを行って家賃を現在の価格より半分くらい落とす、これは可能だと思うんです。そういうような形にこれを持っていくことが今日の住宅建設の使命である、住宅事情打開の使命である、このように思うんです。これが社会的に勤労者に対して、国民に対して住宅を保障するということではないんですか。  さらにまた、今土地価格の問題で大分いろいろ難渋をきわめておりますけれども、このような状態で国あるいはまた地方自治体の行う公営住宅が次々と建てられていって、これによって需要と供給のバランスがとれて、しかも公団住宅等の例で言うなれば三ないし五%くらいの余裕を持つ、空き家がある、こういうことになるならば、住みかえも自由になるであろうし、あるいはそれぞれの三大都市圏はもとよりでありますが、全国からのいろいろ勤労者の移動があってもこの住宅で住まいの問題だけは解決することができる、こういうことになると思うんです。  そういうようにするならば、争って土地を買うという必要はない、争って家を建てようとする者はない。五十代も半ばになった、定年が近づいてきた、この辺で老後のことを考えようということになったときに初めて私は持ち家の問題を具体的に考えたって遅くはないと思うんです。それまでの間は、子供の教育もあるだろうし、あるいはまたいろいろの家庭内全体の生活の豊かさを味わうための各種教養的な問題もあるだろうし、そうしたものを十分にやっていくことができるだろうと思うんですね。今のように二時間も三時間も遠いところへ家を求めて、そこに高い土地を買って住宅を建てる、そのローンで追われている、そして自分だけでは働き切れないので女房を働かせる、家庭がお留守になる、こういう状況の中でこの住宅問題を解決しよう、土地問題を解決しようとしても私は無理だと思うんですね。  この大都市法の施行をもし本気になっておやりになるとするならば、私が今提起したような形のものを具体的にお考えになっていただけないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  122. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) きょうは赤桐先生から関公促進費の拡充とかあるいは公団の負担金利の低減とか、いろんなことを含めて、大都市圏におきます住宅問題あるいはまた低廉な公団住宅の建設、それらについての御提言やらまた応援、示唆とか、いろいろのお話を伺いまして、私どもが今回この法案を提出いたしておりますのも、まさにこの大都市圏におきます住宅問題を解決したいという念願で出させていただいておるわけでございまして、今までの御意見等々も含めまして御趣旨に沿うように今後全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。
  123. 赤桐操

    赤桐操君 重ねて最後一つ私はお願いしておきたいと思うのですが、土地の値上がりを抑制するあるいはまた土地問題を解決するということは、今言ったような都市のこうした住宅事情の解消がなければ私は解決できないと思うのですよ。そういう今回の趣旨に基づく大都市法の施行が行われていく、しかも十分に裏づけを持ってこうした公共的な住宅の方に比重を置いた、民間の自力建設に重点を置いたものではなくて、四百万戸あるいは七百万戸といってもその大半が今まで行われてきたような民間自力建設にまつものではなくて、公的住宅建設に重点を置いたものでなければ私はこれからのこの大都市法の施行については成功はおぼつかないと思いますね。失敗すると思いますよ。それを本当に成功させるならば、土地の問題も解決できると思う。そういう角度でひとつこの問題については真剣に腹を据えて大臣がリーダーシップをとって御検討いただきたいとお願いを申し上げて、終わりにしたいと思います。
  124. 及川順郎

    ○及川順郎君 最初に、建設大臣にお伺いをいたします。  この大都市法制定されましてもうかれこれ十五年になります。五十年の七月十六日に制定されまして、十一月一日から施行された。以来、政府は政府なりに住宅土地に関して特に大都市圏における各般の施策を講じてこられたと思います。それはそれなりの努力ということは私どもも十分承知しておりますが、現実には地価の異常な高騰によりまして、今同僚委員からも御指摘がございましたように住宅の確保が困難になってきた。社会的にも資産格差、さらにはまた社会的不公平が増大する中で、国民の不満が非常に増大しているというのが現状であるわけでございます。  この大都市法改正案の提案理由説明でも述べられておりましたけれども、「多極分散型国土の形成を目指し」「諸機能の分散を推進」という一項目が提案理由説明の中にも述べられておりました。しかし、結果的には大都市とりわけ東京一極集中ということが、何とか分散しようと思ってもこれが確定的、決定的な処方せんが見当たらないという状況ですね。私はそういう状況の中で、今回、大都市圏における住宅確保、それにまつわる諸事項の整備ということも大事でございますが、あわせて地方都市の基盤整備も非常に大事である、こういうことを感じながら、しかし現実にこの大都市圏における住宅問題をどうするのかということは、私もやっぱり同じように悩んでいる。国民の一人として、あるいは政治に携わる一人として悩んでいるものでございますけれども、今回のこの改正がそうした問題解決の処方せんになり得るや否や、もう絶対してみせるという確信はおありでしょうけれども、具体的に今回の改正で少なくともこの点は期待できる、こういう点に対しての大臣の御所見をまず最初に承りたいと思います。
  125. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 多極分散型の国家をつくるというのは四全総に示されておるところでございまして、各地方都市の再整備とかあるいは地方の基盤整備というものに今後とも建設省は力点を置いていくつもりでございます。  ただ、先ほどからも申し上げておりますように、ただいま住宅宅地問題ということでございますが、地価の高騰というのが支障になりまして大変大きな資産格差を生んだり、いろいろな問題を提起しております。その原点はやはり大都市圏でありまして、大都市圏の地価高騰あるいは住宅不足、こういう問題が非常に大きな問題だと思います。これを解決するために、供給面から、昨年の土地基本法の趣旨を受けまして、大都市圏における住宅宅地供給を充実させようということから今回この法律を提出させていただいておるわけであります。  この法律とともに、ただいま税制調査会で御脇議をいただこうとしております土地税制の裏づけをしていただくことによりまして、今までやろうとしてできなかったいろいろの諸問題につきまして、ここにメスを入れていただくことによって画期的な住宅土地対策が講ぜられるというふうに私どもは考えております。  これによりまして、住宅宅地供給策をもとに地価対策あるいは資産の所得に対する不公平感等々の解消に資していきたいと考えておるわけであります。
  126. 及川順郎

    ○及川順郎君 大臣、ぜひリーダーシップをとって、これは至難の仕事でございますけれども、頑張っていただきたい、こういう思いです。  法案改正の細かな問題になりますけれども、若干その周辺についてこれから質問してまいりますのでお答えをいただきたいわけでございます。  まず、法律の題名の変更の中で「住宅地等」というのを「住宅及び住宅地」に改めた理由はとりわけございますでしょうか。
  127. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 従来の題名の「住宅地等」の中には当然住宅が入っておったわけでございます。ただ、今回の改正大都市地域における住宅宅地問題解決の緊急性にかんがみまして行うわけでございますけれども住宅住宅地に関します国レベルの方針あるいは都府県レベルの計画の策定ということで、住宅に関しましても特別措置が増加をしたわけでございます。したがいまして、いずれも方針や計画の中で住宅住宅地の双方に関してそれぞれ方針や計画をつくる、こういうふうになっておりますので、法律の題名もこれにふさわしく住宅を独立さした、こういうことでございます。
  128. 及川順郎

    ○及川順郎君 深い他意はないということでございますね。
  129. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) そういうことでございます。
  130. 及川順郎

    ○及川順郎君 第一条の目的につきましてお伺いいたしますけれども、「住宅市街地開発に関し、宅地開発協議会の制度を設ける」、これを「住宅及び住宅地供給促進するため、住宅及び住宅地供給に関する基本方針等について定める」、こういうぐあいに改められておりますけれども、これも今の題名の趣旨ということで理解してよろしいでしょうか。
  131. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 御指摘のとおりでございます。
  132. 及川順郎

    ○及川順郎君 現行法で見ますと、宅地開発協議会に第二章のすべてを当てていたわけですが、ましてや目的の中でもその協議会の設置について触れられておるわけでございますが、改正案では第四条のみの形になっております。これには何か深い意味がございますか。
  133. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今般御提案申し上げている法案では、もう言うまでもありませんけれども、いわゆる広域的な基本方針をつくるということを大変重視しているわけでございます。そういった関連の章を起こさしていただきましたが、今御指摘の宅地開発協議会、これにつきましては、率直に言いまして、この広域方針そのものを協議するということよりもむしろ事業の具体化をめぐる段階でのもろもろの具体事象をめぐっての協議を重点に考えたいということで位置づけておるところでございまして、そういった意味で基本方針等の章には入れておりますが、業務としては四条に記載のような実務に当たらしていただく、こういうものでございます。
  134. 及川順郎

    ○及川順郎君 この宅地開発協議会についてでございますが、これまでも指摘されておりましたが、丸十四年ずっと活動を検証してみますと、余り成果があったという評価はできないのが実態ではないか。その原因は何だったのか、今回の法改正によってこれらの点が改められるという確証があれば、その具体的な裏づけをひとつ御説明いただきたいと思います。
  135. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今回の改正で協議会に住宅都市整備公団を加えるという部分がございますが、それはともかくとして、この協議会そのものは従前からあったわけでございます。ただ、御指摘のように機能はなかなか円滑に十分になされなかったということは率直に言って認めざるを得ません。それはどういうことであったろうかということでございますけれども、やはりこの協議会は、どちらかというと事業を具体的に取り上げまして、それをどう具体的に取り組み進めていくかということが主軸となっている協議会であったために、構成メンバーが全員相集ってやるということよりも、むしろ個別具体の公共団体間の、あるいは国と公団との関係の協議というものの方がむしろ主軸になっていたという側面がございます。  もちろん、今後ともそういったことは非常に重要だと思っておりますが、今回こういった協議会をさらに位置づけましたのは、広域的な取り組みをやろうという関係の中で広域方針をつくる、これは建設大臣がつくらせていただきますけれども、それをつくる過程で関係公共団体あるいは関係省庁と十二分の連絡協議をするという仕掛けをさせていただいている次第でございまして、そういった一つのシステムを構築した中で今後は具体の事業促進方を協議していく、こういう仕掛けになりますので、今後は従前と違った機能が十分期待できると私どもは考えておるところでございます。
  136. 及川順郎

    ○及川順郎君 今お話が出ました住宅都市整備公団が宅地開発協議会に加わった、このことによって特段際立った期待感を持っているというようなことはございますか。
  137. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) やはり首都圏大都市圏の現実を見ますると、ここでの広域的な供給の大変大きな主役といいましょうか事業主体として住宅都市整備公団の果たすべき役割はますます重くなければならないと思っております。公団がこういった協議会に入って現実の問題提起をし関係者の協議に付するということは、協議会の一員として参画するわけでございますので、大変私はそういった意味で問題解決を具体的に進める上では有為なことである、むしろ公団が入るということの重みは大変重いというふうに考えておるところでございます。
  138. 及川順郎

    ○及川順郎君 公団の理事さんおいでになっておりますか。――ただいま公団の今回の協議会に入る位置づけ、目的、そしてまた期待感、こういうことを述べられましたが、公団側としてはこの事態をどのように見ていますか。
  139. 片山正夫

    参考人片山正夫君) ただいま建設省の方からお話がありましたように、現下の住宅供給宅地開発におきます公団の役割はますます重くなっております。したがいまして、そういう観点からは、ああいう協議会がさらに円滑に運営されることは公団としても大いに期待するところであります。
  140. 及川順郎

    ○及川順郎君 参考人、どうぞお座りになっていてください、何点かございますので。  今までの協議会の会合をちょっと見てみたんですけれども、三圏合同の協議会が今まで一回ですね。首都圏は六回、近畿と中部で一回ずつというぐあいに会合そのものは非常に少ないのでございますが、これは何か理由があってのことなんでしょうか。それとも、この程度会議で十分間に合っている、こういうぐあいに理解されているのでしょうか。今後の方向で、もし改善する考えがあるならばお示しいただきたいと思います。
  141. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 率直に申しまして、開かなくても間に合っているというほどすばらしいことではないわけでして、私ども本来もっともっと開かれた方がよかったという反省を込めていることは事実でございます。  これが開かれなかったのはなぜかということでございますが、五十一年から五十四年にかけて、例えば首都圏の場合で言いますならば割合と幹事会レベルの会議は精力的に行われております。ただ、そのころはともかくとして、五十五年度以降といいますか五十年代の後半以降になりますと、新規の宅地開発のエネルギーといいましょうか、取り組みの具体のプロジェクトについて総体的に鎮静化してきたといういろいろの事情の中で、そういった経過もありますけれども、何よりも宅地開発という基本的な問題をめぐりましての共通認識というものが必ずしも広域圏の中になかったという面が率直に言ってあろうと思います。言うなれば、関係者が、宅地開発住宅供給というものを広域的なエリアの中で知事さんあるいは関係行政機関が一体に取り組むという機運ができていなかった中での協議会という、そういったある意味では制約があったために基本的な問題が取り組まれなかったと、こういうふうに思っておるところでございます。  そういった反省も込めまして、今回広域方針等の体系をあわせてつくる、その中においてこの協議会を活性化したいということが先ほど来申していることでございます。
  142. 及川順郎

    ○及川順郎君 やはり地方自治体の認識、そしてまた協力というのはこれは非常に大事になってくるわけでございますが、今回のこの法律改正、そして過去の十四年間丸々の実施の期間に要するに住宅地として供給された実績、それとあわせまして、今後どこまでというようなこういう目標がそれぞれ設定されておると思うんです。私は宅地供給量の推移の資料をちょうだいいたしましたが、あわせまして、この数字の実態をもとにいたしまして今後の宅地供給努力に向けての目標と、そして地方自治体と具体的に協力関係でこの宅地供給をしていくためのそういう特段の協議事項あるいはまた話し合い等が計画されているかどうか、この点もあわせて伺っておきたいと思います。
  143. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 五十年代以降の供給動向を見てまいりましても、これは全国的にもあるいは三大都市圏でも首都圏でも共通に言えますことでございますが、言うなれば四十八、九年に比べて今日はその半分の水準になってきているという全体の傾向がございます。  その中でも、三大都市圏について申し上げますと、昭和六十三年で五千百ヘクタール、首都圏でそのおおむね半分弱の二千三百ヘクタールの供給ということに相なっているわけでございますが、この辺の数字は実は私どもが六十一年に策定いたしました第二次宅地需給長期見通し、これは現行の住宅建設五カ年計画と裏腹の関係にある見通しでございますが、そのときに想定しましたレベルと比べましても大体二割近く見込みよりも下回っているという現実がございます。言うなれば、そういったことなども背景になって今日の厳しい宅地事情というものが起こっているという側面もございますが、ともあれ、こういったことで傾向として非常に厳しくなっているということは否めないところでございまして、これに今後どう取り組むかということにつきましては、先般来るるこういった場で御説明させていただいていますが、私ども西暦二〇〇〇年をにらんで住宅宅地供給を進めるためには宅地供給が大変重要である、おおむね首都圏で言いますならば二万ヘクタールの供給が必要であるという認識に立っております。  これを具体的にどういうふうに進めるかという点が今の御指摘の点でございますが、もちろんこれはいわゆるニュータウン開発もありましょうし、あるいは土地所有者、農地所有者による宅地供給、現実には住宅供給という格好での宅地利用転換というものがありましょうし、あるいは遊休地の問題もありますが、いずれにしましてもそこらのことをめぐって、基本的に国のみならず関係公共団体が一緒に考え、同じ方向、同一の課題意識、問題意識を持っての取り組みというものが非常に重要であるというふうに考えておるところでございまして、私ども、国がっくります基本方針、広域的な基本方針の中でもそこらの議論を詰めながらこの方針をつくる。言うなれば、方針をつくる過程での十分のその辺のコンセンサス形成をまず急ぎたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  144. 及川順郎

    ○及川順郎君 問題は、その二割少ないというのが、今回の法改正によっても今後の目標、これを確保するというのはなかなか難しいだろうという感じがするわけでございますが、特段のウルトラCになるような手法は何かお持ちでございますか。ありましたらお示しいただきたいと思います。
  145. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お答えする前に、私今二万ヘクタールと申し上げたようでございますが、宅地供給首都圏で言うと二万九千ヘクタールを私ども見込ませていただいております。訂正させていただきます。  さて、そこで宅地供給のウルトラCという大変ずばりの御質問でございまして、率直に言いまして私どもそれをこうだと言い切れるほど現実は甘くないと思っております。ただ、何としてもこの問題の現実を直視したときに、本当に先ほど来言っているように、国のみならず関係公共団体一緒に取り組みたいという思いを制度に翻訳したいというのが今回の法案でございます。そういった中で、今回都市計画法等の一部改正で御提案させていただいています例えば遊休土地転換利用促進地区制度だとか、あるいは市街化区域内農地におきます住宅地高度利用地区計画制度だとかいう、こういったものはある意味では土地所有者がその住宅供給に積極的に目を向けようということにとっては非常に有為な私どもシステムと考えておりまして、こういったいわばある意味では地味な制度、これも含めて私どもは、ウルトラCではございませんが、着実な進展を図りたいという構えでございます。  もとより、ニュータウン開発等については従前どおりの施策をさらに力強く進めたいと思いますが、ただ、くどいようでございますが、これらの施策を有効的確に進めるためには、先ほど来御議論もありますように、今回の一連の制度の創設だけでは限界があるわけでございまして、当然のように関連土地税制等整備改善、これが是が非でも必要であるし、また建設省としてもこれは一生懸命力強く御要望し、実現に向けて努力したいと考えているところでございます。
  146. 及川順郎

    ○及川順郎君 関連しまして片山参考人にお伺いしたいんですが、ニュータウン計画、現在住宅都市整備公団として町づくりを進めている、これを二十一世紀に向けて少なくともこの十年間にどのぐらいのというような目標計画というのはございますか。ありましたらお示しいただきたいと思います。考え方でも結構でございます。
  147. 片山正夫

    参考人片山正夫君) 最初にお断り申し上げますが、大変恐縮でありますけれども、私宅地担当の理事では直接ございませんものですから、きょうその具体の数値は持ち合わせてございませんものですから、後ほどまた資料を届ける等の措置をとらせていただきます。
  148. 及川順郎

    ○及川順郎君 それじゃ後ほどよろしくお願いいたします。  次にお伺いいたしますのは、特定土地区画整理事業がございますけれども、これも今までお話の中で出ておりましたが、この事業実績を見ますと、私も資料をちょうだいいたしましたが、若干進捗状況が少ないような気がするんですが、この目標の当初見込みとこの目標に向けての具体的な取り組みについて何か原因があったのか、それとも今回の改正を機に反省すべき点があったのか、この点お示しをいただきたいと思っておるわけでございます。
  149. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 特定区画整理事業につきましては、当初私どもが願っていたよりもかなり実績の方が下回っているという実情にございます。それで、これについて私ども制度としては随分苦心した制度で、法律改正もお願いしたにもかかわらずこの程度の実績であるのはなぜかということについて随分検討をいたしてまいりました。  それで、一つには地権者方々宅地化ということについての意欲がそう強くなかったのではないかとか、あるいは住宅を建設し、賃貸住宅を経営するということについての事業意欲というものも乏しかったのではないかということが一つのソフト的な方の原因であろうというふうに考えたのでございます。  さらに、客観的情勢の変化といたしましては、市街化区域内農地が次第に所有形態が細分化されてきているので、現在の基準ではやろうと思っても動かない。つまり、もっと基準を下げないと動かないということもあるだろうということで、適用対象を五ヘクタールから二ヘクタールに下げさせていただいたらどうかということと、それからこの同じ仲間でございます住宅街整備事業につきましても、適用対象区域を二種住専のみならず住居地域まで広げるというようなことによって今後発展と申しますか利用度が上がってくるのではないかということで、今度の改正によりましておおむね適用対象区域が二倍以上になるものでございますから、そういうところに期待をしているところでございます。
  150. 及川順郎

    ○及川順郎君 事業認可に対して完了したものは、ちょうだいしました資料に基づきますと、百六十地区のうち四十七地区、二九・三%、それから九千百六十ヘクタールのうち千五百四十四ヘクタールで一六・九%、これが完了ということで、非常に少ないわけですが、この事業認可要件を今回の改正で五ヘクタール以上から二ヘクタール以上に引き下げたという、こういう状況事業の拡大を期待していると思うんでございますけれども、このような改正で今までの反省を含めた改善を期待できるかどうか、その見通しについて伺っておきたいと思います。
  151. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 今回の改正によりまして事業の施行が可能になる区域が二倍以上に拡大するということで、事業の量もこれにつれて相当程度増加するものというふうに期待しているところでございますが、さらに今回お願いしております法改正によりまして、建設大臣、都道府県知事による住宅等に係る供給計画の策定などの大都市圏住宅宅地供給の総合的な取り組みが推進されます中で、これら事業についての地方公共団体の指導とか、あるいはこれら事業に助成制度の活用を図ることによってこの事業の拡大がされることに向けて努力をしたいと思っております。
  152. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから、同じように同法に基づく事業住宅街整備事業がございます。この実績を伺おうと思ったんですが、いただいた資料を見ますと、非常に少ない。四地区が完了して、事業中は三地区の実績という非常に少ない状況数字的には示されておりますが、特に首都圏では埼玉県の草加市の一件のみ、こういう状況になっているんですが、この点については今までの事業実態を総括して今後に向けての改善にどのような期待を寄せているんでしょうか。
  153. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 住宅街整備事業でございますが、現在まで全国で七地区、五十・八ヘクタールについて事業認可がなされ、そのうち四地区、十七・九ヘクタールが完了しております。七地区の内訳を見ますると、首都圏では今御指摘のございました草加市を昭和五十八年度で採択、六十年度で計画認可をいたしまして、目下事業中でございますが、たしかここ一カ所のみでございます。  この事業をせっかく法律の中に組み込んでいただきながらうまくいかない理由は、一つには、市街化区域内の農地の中で第二種の住居専用地域に限ってこの手法の適用を認めてきたわけでございますけれども、実態で見ますと、この事業が行われます地区幹線道路沿いというところがやはり適しているというようなところもございますし、そういうところは用途地域としては住居地域が多うございます。それからまた、市街化区域内の農地一般を見ましても、第二種住居専用地域の方が面積が広うございますので、ここに当てはめていくということにすることによってこの事業の拡大を図っていきたいと考えて改正をお願いしたものでございます。
  154. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一つこれに関連いたしまして、二十四条の住宅街整備促進区域に関する都市計画において、「第二種住居専用地域内で、」というのに対して、今回の改正案では「第二種住居専用地域内又は第二種住居専用地域及び住居地域内で、」、こういうぐあいに改正されておるわけでございますが、この辺にひとつ事業の発展という点の期待感があると思うんですけれども、この改正案でこのようにした理由と、今後の事業計画の中でどのような改善が期待されるか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  155. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 今回の二十四条の改正案におきましては、適用対象地域を第二種住居専用地域のみにこれまで限っておりましたものを、住居地域を含むものにということでお願いをしているわけでございます。  その改正理由につきましては、この住宅街整備促進区域の運用の実態、それからこれまでの都市の形成の現状を見ますと、良好な中高層の住宅街区として積極的に整備を図るべきと考えられる区域についても、幹線道路沿道等に現在の用途地域住居地域であるということで指定されているものが現状として多いということが一つございます。  それからもう一つは、三大都市圏内の市街化区域内の農地用途別の割合をちょっと数字で申し上げますと、第二種の住居専用地域が二一・六%を占めておりますが、住居地域は三〇%ということでございまして、どうもこれは第二種住居専用地域に限るというのは適用対象を狭くし過ぎているんじゃないかということで、今日の大都市地域の著しい住宅不足状況にかんがみまして、これらの地域につきましても公共施設の整備とあわせて良好な中高層の住宅街区を整備することが必要であるというふうに考えまして、この適用範囲を住居地域まで広げるように改正をお願いしたいというものであります。
  156. 及川順郎

    ○及川順郎君 細かな質問をしたために細かに答弁があったんじゃないかと思うんですけれども、よくわからないんですが、結局この改正によってかなり適用地域が拡大できるということですね。
  157. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) はい、そうでございます。
  158. 及川順郎

    ○及川順郎君 わかりました。  大都市法の八章で罰則が設けられておりまして、今回の改正で見る限り、かなり罰則規定が強化されているように見えるのでございますけれども、今まで足かけ十五年経過しておるわけですが、この罰則適用件数はどのぐらいあったんでしょうか。また、罰則を強化した効用といいますか、この点をどのように認識されておられるのか、この二点を伺いたいと思います。
  159. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 罰則関係でございますが、大都市法の罰則規定におきます罰金及び過料の額につきましては、昭和五十年の法制定のときから一度も改正が行われておりません。その後の物価の上昇率、経済変動により、現在の時点で考えますと適当な水準とは言えない金額になっているために、所要の見直しを行いたいということでこのようにさしていただいたものでございます。  具体的には、法制定時において住宅街整備事業に係る罰金及び過料の額については、その手法等が類似しております土地区画整理事業に係る罰金及び過料の額と同一水準に設定いたしたところでございますが、今回の改正においては、昭和六十三年土地区画整理法の改正によってその際に罰金及び過料の額を変えましたが、それを勘案しながら適正な額に引き上げるというものでございます。  なお、今回の都市計画法改正において、贈賄罪の罰金額の上限を二百万以下に引き上げることとしておりますが、大都市法改正に当たっては、今申し上げましたような土地区画整理等の同種の罰則規定と同一水準に設定するという方針、それから刑法の適用がございます地方公共団体、住宅都市整備公団及び地方住宅供給公社の職員等に対する贈賄は、刑法の規定により百万円以下の罰金に処せられているところでございまして、個人施行者、組合の職員等に対する贈賄について百万円を超える罰金刑に処するということにすればそれは均衡を失することになるということから、この改正案においては贈賄罪に係る罰金の上限を百万円ということで土地区画整理法等の並びで定めたというものでございます。
  160. 及川順郎

    ○及川順郎君 私が伺おうとしましたのはそういうことではなくて、この罰則が緩かなために、要するに大まかなために法をくぐって悪徳業者が横行する、こういう事態があって、それに対して歯どめが必要だ、こういうような何か理由があったのかなと、こういう点の確認をしたかったわけですけれども、この点はどうですか。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕
  161. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 実は罰則の本来の趣旨は、やはり罪を抑制する効果にあるわけでございまして、この規定についての適用例については申しわけございませんが今手元に資料がございません。ただ、一般的にこういう法改正のときにはおおむね類似の法律と並んだ形で改正が行われるということが通常でございますので、そちらの面からの理由と申しますか、そういうことでここで一つの水準訂正をさせていただきたいというふうなことが主たる動機でございます。
  162. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう細かなことをやめまして、それでは大まかな基本のところだけ何点かあと伺いたいと思いますが、建設大臣の定める基本方針、それから関係都府県が定める供給計画というのがございますが、この調整の責任と基準をどこへ置くのかという点についてはいかがでしょう。
  163. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 最初の、供給基本方針をつくる責任は建設大臣でございます。立場は、都府県の境界を越えて住宅宅地供給をするということでございますので、その広域的な調整ということで建設大臣が責任を持って行うということでございます。したがいまして、それを行う場合に、できるだけ公共団体の意見を徴して円満に各都府県、国との間で全部意見が合うということが本来望ましいことでございますが、最終権限はやはり建設大臣にありますので、微調整といいましょうか、最後の決は建設大臣の判断にあるのではないかと思います。  それから供給計画をつくる場合には、当然にこの供給方針に沿ってつくらなければなりませんので、その面ではコントロールがあるわけでございますけれども、責任はそれぞれの都府県が当然自分のところの事務としてやるわけでございまして、その際に建設大臣は助言を行うことになっているわけでございます。
  164. 及川順郎

    ○及川順郎君 国土庁おいでになっておりますね。  大都市地域の指定を現行のように定めたこの規定の根拠は何だったんでしょうが。それで、今後この地域指定の見直し等の可能性はあるのかどうなのか。この二点について、まず確認をさせていただきたいと思います。
  165. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 例えば首都圏で申しますと、首都圏整備法に基づきます既成市街地や近郊整備地帯の制度に基づきまして指定を行っているわけでございます。首都圏整備法におきます近郊整備地帯は、「既成市街地の近郊で、その無秩序な市街地化を防止するため、計画的に市街地整備し、あわせて緑地を保全する必要がある区域」、それを位置づけておるわけでございます。  それからこの指定についてでございますが、近郊整備地帯や既成市街地、都市開発区域、これは都市政策区域と称しておりますが、この三つの区域の指定につきましては、地域に置かれた状況や将来構想を踏まえつつ、制度趣旨に即したものとなりますように関係の地方公共団体等の意見も聞きながら逐次必要な見直しを検討する、こういう方針でございます。
  166. 及川順郎

    ○及川順郎君 私は、今回の法改正一つ懸念になっているものの中に、住宅建設に伴う道路それから上下水道、学校その他公共施設の費用負担、これはやはり地方自治体に負うことになるのかなと、こういう感じを強くしておるわけです。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 そうなりますと地方自治体の財源負担が増すことになる。そういう状況の中で、国はどの程度まで責任を負うという考え方でいるのか、こういうことを懸念するわけでございますが、これら財政措置に対する国の責任の範囲、地方自治体に対する協力の具体的な手法、これについてお述べいただきたいと思います。
  167. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回の法案の中で申しますと、三条の六で具体的に住宅市街地開発整備の方針が定まってまいりますが、その際にその三項で、国及び地方公共団体は、この開発整備の方針に従いまして具体の即地でのいろんな都市計画の決定、住宅市街地開発整備に関する事業の実施、良好な住宅市街地開発整備に関連して必要となる公共の用に供する施設の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない、こういうふうになっておりまして、ここで関連公共が出てくるわけでございます。したがいまして、ここで義務づけられた国の措置というのは、現行制度では通常事業、例えば道路とか河川とかの通常事業を計画的にこの地域へ投入するということもありますが、その枠の外で現行住宅宅地関連公共施設整備促進事業、こういうものがございますので、この事業等を活用いたしまして、道路、下水、公園等の公共施設の整備を十分に行いたいということでございます。  その際に、考え方としては、したがいまして通常の事業での国庫負担は当然に国が責任を持って負担をする。しかしその裏負担と申しましょうか、地方公共団体の負担分につきましては、この関連公共施設整備関係につきましてはいろいろと地方債その他の措置を講じて、地方負担でございますけれどもその負担の緩和に現行制度でできるようになっておりますが、さらにそういう制度を活用して財政負担の軽減に努めたいと、こういうことでございます。  具体のその土地を利用して住宅プロジェクトが行われるわけでございますが、その際には既存の公営、公団といった事業主体別のいろんな施策もございますし、さらには特定住宅市街地総合整備促進事業でありますとか農地所有者等とか、いろんな住宅プロジェクトに対する支援措置がございますので、そういう面でできるだけ公共団体の負担を軽減する格好で支援をしてまいりたいということでございます。
  168. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひ地方自治体に必要以上の負担増にならないように格段の配慮をお願いしたい、このように思っております。  それから土地高騰が非常に、こういういろんな措置を講じておりましても、今はようやく少し下火になったという状況は伝えられておりますが、それでも高値安定じゃありませんけれどもこの土地高騰というものは特に大都市圏においては変わらない傾向にある。こういう状況の中で、住宅地の高度利用地区計画、これによりまして建築制限の緩和が言われるわけでございますけれども、これが結果的に地域の新たな地価高騰に拍車をかける、そういう状況にならない、かなという懸念がございますけれども、この点に対する見通しはいかがでしょうか。また、その点に対する懸念に対してはこういう考え方を持っているということがありましたら、その点も含めてお述べいただきたいと思います。
  169. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 高度利用地区計画の容積率の緩和が地価の上昇等をもたらすではないかという御懸念でございますが、住宅地の高度利用地区計画は、私どもは運用上はその農地等の土地所有者が、地価の顕在化をもたらすような不動産業者等への転売という形ではなくて、みずから土地を有効利用して住宅供給する場合に活用されることを典型的には期待しているというものでございまして、税、財政上の支援措置を充実することによってそういう方向での活用を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  170. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一つ大都市地域における土地の買い占めや投機的取引、これも一つの要因になっておるわけでございますが、今回の法改正においてそのような行為に対して効果があると、このように認識されておられますか。
  171. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御指摘の御趣旨は、今回のような制度をつくると、いわゆる不動産事業を営む者その他もろもろ方々土地の投機的取引に走るんじゃないか、それが地価を高騰させるんじゃないかという御指摘と思いますが、私ども基本的には同じようなことについて十分な意識をさせていただいております。  問題は、特に重点地区という考え方を新しい制度で入れさせていただいておりますが、こういったものはとかく今御指摘のような方向に走る可能性こそあっても逆に向くものではないと思いますだけに、我々言うなれば投機的取引の抑制に対する姿勢というものについてはいろいろと考えさせていただいていまして、直接的には、この法案でも準備させていただきましたけれども、重点地区については国土利用計画法の監視区域を機動的にやるようにという努力義務を入れさせていただいたところでございます。  これは、言うまでもないことでございますが、国土利用計画法による監視区域を導入するということは、ただ監視区域に指定するというだけでなくて、取引の最低規模要件等もきめ細かく決めるということも当然私ども期待しているわけでございますが、同時にそういったものをめぐって、私ども建設省の立場で申し上げさせていただきますと、いわゆる不動産業者等々がそういった行為に及ばないようにという指導は一層今強めていかなきゃならぬと思っております。  今までもいわゆる投機的取引の抑制についてはしばしば指導をさせていただいておりますが、特に今般こういう法案を提出させていただくことも契機といたしまして、あるいはもっと言えば昨年暮れの土地基本法の制定等も受けまして、私ども、ことしの春には、いわゆる建設大臣の許可した業者、これを対象にしておりますけれども、今後監視区域等の網のかぶったところで土地取引を行った場合には半年ごとに建設大臣に報告を提出するようにというようなことも今指導に入っているところでございまして、率直に言いましてずばり禁止するというようなことは私どもの念頭には今ないというか、仕掛けとしてできないところでございますけれども、あらゆる可能な範囲で努力をさせていただきたい、こういう構えでおるところでございます。
  172. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひひとつ監視指導体制を怠りないようにお願いしたいと思います。  焦点を変えまして、法案の周辺ということでお答えをいただければと思うのでございますが、高齢化社会に向けまして住宅政策の質的変化が求められている時代に入ってきておるわけでございます。そういう中で大事なことは、三世代住宅、お年寄りが一緒に同居できるような公的住宅を期待する声が強くなってきている、こういう状況がございますが、今後、建設省所管の住宅政策の中で、こうした三世代住宅、お年寄りの住める、あるいは年金生活者が居住できるような公的住宅に対しての考え方、それから取り組み、今後の具体的な実施方法等がありましたらお答えをいただきたいと思います。
  173. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 委員の御意見のとおり、高齢者がゆとりや生きがいを実感しながら安定した生活を営むことができるようにするということがやはり大事でございまして、住宅政策もその面で大きな役割を持っているものと認識しております。したがいまして、可能な限り家庭や住みなれた地域で生活をしていく、ノーマライゼーションというようなことがあるようでございますが、そういうような施策を推進していくことが重要であると考えております。同居とか隣居とか近居とか、いろんな多様な住まい方があるわけでございます。できるだけ三世代一緒にという話もあるわけでございますが、そういうものはやはりそれぞれの世帯のニーズによるものだと思います。したがいまして、そういうニーズに十分こたえていける条件を整備するということかと存じます。  したがいまして、例えば持ち家関係でまいりますれば、金融公庫融資について高齢者を含む世帯に対する割り増し貸し付けでありますとか、親孝行ローンとかといったような現在の施策を推進することが重要ではないかと思います。それから、今御指摘の公共住宅につきましても、そういった家族構成に応じた住まい方ができるような大型の住宅、施設の整備された住宅というものをこれから供給をしていくことが重要だと考えております。その際に、私どもやはり公共団体がそれぞれの地域の中で老人を含んだ世帯がどういう形で住宅の需要があるかということを的確に押さえていくことが非常に重要だと思っておりまして、その中で特に低額所得者層で生活にお困りの方々には老人世帯向け特定目的公営住宅というのがございますが、こういうものをベースとして的確に供給をしていくということが非常に重要になってくるというふうに考えております。
  174. 及川順郎

    ○及川順郎君 片山参考人に御質問いたしますけれども住宅都市整備公団で多摩ニュータウンに老人等が同居可能な大型住宅を提供している、実験的にこれをやっているというのは御承知だと思いますけれども、このような内容を今後充実していく方向にぜひしていただきたいということとあわせまして、生涯居住できる高齢者向け賃貸住宅の建設ということで、民間の生命保険会社の一時払いの終身年金に加入しますと、生命保険会社がお年寄りにかわって生涯、年金を家賃として住宅都市整備公団に納めるという構想を検討中である、このように承ったことがございますが、これが具体的にもし検討しておられるならばその骨格を御説明いただきたいのと、今後の実施に向けてどのような展望をお持ちであるか、お答えをいただきたいと思います。
  175. 片山正夫

    参考人片山正夫君) 最初に、高齢者住宅対策についての考え方をお話し申し上げますが、高齢者用の住宅につきましては、まずハードの面といたしましてその仕様について配慮をいたしておりまして、手すりを各所に設置するでありますとか、床段差の解消、あるいは最近の試みとしましては滑らない床仕様、コルク状のものを使うというようなそういうことを考えましたり、あるいはまたごく最近の試みでは、浴槽へ入りますときに一度腰かけてから浴槽へ入るというような、そういう新しいタイプの浴槽も開発して設置を始めております。このようなハードの面の促進を推進いたしますとともに、特に平成二年度には予算で単価上の措置も一千戸講じていただけましたので、量的充実も図ってまいりたいと考えております。 さらにソフトの面では、高齢者を含む世帯には抽せんの場合の倍率優遇をそれぞれ講じましたり、あるいは近居をします場合にはさらにまた倍率優遇する、そういう措置も講じております。  それから、後段の御質問の中にありました、いわゆる高齢者の収入あるいは資産状況に対応した新しい家賃の支払い方法の一つとしまして、現在既にあります生命保険の一時払い終身年金保険、これを活用することで、一度一時金を納めれば生涯家賃を払わなくても済むというような仕組みが考えられないかどうかということを最近検討してまいりました。  なお、平成二年度におきましては、建設省の方でシニア住宅推進事業による調査費というのが計上されましたので、その調査費の中でもそういうことを含めまして検討することができますので、その調査費をいただきましてさらに取り組んでまいりたいと考えております。
  176. 及川順郎

    ○及川順郎君 実施のめどは述べられませんか。
  177. 片山正夫

    参考人片山正夫君) 家賃の額をどの程度に設定するかとか、あるいは家賃はやはり予測できない値上がりも間々あるかもしれませんし、そういうことを考えたときに、現在の終身年金保険の制度をそのまま活用することでいいのかどうか、あるいはまた今の終身年金保険には高齢制限の打ち切りがございますから、その辺はどう扱ったらよろしいのかという問題点もございますので、そういうことを一度クリアしませんと即制度化というのは難しゅうございますが、できるだけ早期にこういう制度が成立できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  178. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひ御尽力をお願いしたいと思います。  特に、公団の住居につきましては、非常に倍率が高いのとお値段が高いのとでなかなか入るのが大変だという声も伺います。したがいまして、本当に高齢者の方あるいは年金者の方でも入れるようなそういうシステムを何とか知恵を絞っていただきまして具体化できるようにお願いしたいと思うわけでございます。  建設省の方にこれに関連しましてお伺いしたいわけですけれども、東京都の江戸川区や江東区で家賃の新旧差額の直接補助を始めたということも聞いておりますし、あるいはまた豊島区では高齢者用住宅を今後三年間に五棟百世帯分をつくる、こういうことで年金生活者やあるいはまた身障者の方々も住みなれたところに定住できるように、あるいは豊島区なんかの場合には立ち退きを迫られても、希望すればその近くのところの公的住宅に入ってもらえるように、都内の過疎化防止とあわせて高齢化時代に向けましてお年寄りも一緒にその地域で生涯を送れるような工夫がなされてきている。自治体でのこういう努力というものが目立ってきておるわけでございますが、こういう自治体の事業に対して国としてこれをバックアップしていくというような具体的なお考え、これがございましたならばお述べいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  179. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど申しましたように、それぞれの地域で高齢者がどういう今現在住まい方をされておって、将来、高齢者の場合には転勤とかそういうものは少のうございましょうが、例えば土地利用転換が非常に進んで立ち退きを要求されそうな地域にどのぐらい世帯がいるというような実情をよく公共団体の方でつかんでいただいて、それに従いまして低額所得者に対しましては高齢者用の公営住宅をつくるというのがベース、基本だと考えております。これに加えまして、さらに周辺で公共団体がその地域地域実情に応じて、今人口をできるだけそこに残しておきたいというようなお話もありましたが、そういった地域のいろんな実情に応じていろんな施策を打たれるということは私ども大変結構なことではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、大都市地域、特に中心地域におきまして高齢者世帯は単身世帯それから老夫婦世帯というものを含めまして非常に割合として高うございまして、それも借家居住が高うございます。そういうことで、今後高齢化社会に向かいましてなかなか大変な問題になることは私ども十分に認識をしております。したがいまして、そういった公共団体のいろんな施策の中身も調べさせていただきながら、ただいま住宅宅地審議会で討議をいただいております。したがいまして、その答申を踏まえまして今後対策を検討していきたいと考えておるところでございます。
  180. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから、お年寄りだけではなくて、一般勤労者の方々住宅問題に対しては大変深刻でございまして、特に大都市圏のサラリーマンは一生働いても住宅を持つことが困難な状況になってきている。  私は先日、労働組合の連合の担当の方々の御要望を聞いたわけでございますが、組合員の方々意向の中でやはり持ち家志向は強い。そういう状況の中で、大体どのぐらいの目安で持ち家を考えておられるのかということを伺いましたところ、年収六百万で五年間分、つまり三千万ですね、このぐらいをめどに何とか持ち家をという希望が寄せられている。これを聞きますと、実際現状との隔たりは非常に大きいという、こういう感じを強くしまして、今のままではこれは絶望的な状況である。しかし、少なくともこうした切実な願いを持っている前線の方々の、まじめに働いている人たちの心情を思いますときに、やはりこれにこたえる道というのは、公共住宅の果たすべき責任と役割は非常に重くなってくるのではないか、こういう感じを強くしながら政策要望を承ったわけでございます。  今回のこの大都市法関連の法改正に基づきまして、大都市圏においてこうした勤労者の要望に、一〇〇%とまでいかないにしても、これにこたえられるような活路を開けるかどうか、その見通しについてどのような考え方を持っておられるか、またこういう要望に対してこたえるために具体的にどのような取り組みをしていきたい、このような展望がございましたらお示しいただきたいと思うのでございます。
  181. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 東京圏を例に挙げまして御説明申し上げますと、先ほど東京圏で今後十年間に四百三十万戸程度住宅建設が必要であると申し上げましたが、その中で新規宅地に立地をいたします新規建設が二百三十万戸と私ども見込んでおります。これは、人口、世帯等、四全総の需要想定を若干上回る供給量になろうかと思います。そういう見込みを通じて対策を考えているわけでございますが、その際に、今御指摘の一般勤労者層で子供を持つ世帯、これが一番社宅から持ち家に住みかえる、あるいは狭い賃貸住宅から広い賃貸住宅に住まいたいというような需要層でございまして、住宅問題が大都市圏で一番深刻な階層だろうと思います。  先生が今御指摘になりました六百万の収入で五倍程度というお話も、そういった自己負担を頭に置いてのお話だと思いますが、私どももそこが一番問題だと考えております。この世帯層の需要が大体百万戸ぐらいございますので、全体としては四百三十万戸、新規の宅地のところで二百三十万戸を供給するわけですが、その中で百万戸はできるだけそういった一般勤労者世帯が手の届く価格あるいは支払える家賃ということを念頭に置いて対策を講ずべきだということで今回の大都市法の運用に当たっていきたいと考えております。  その際に、当初申し上げましたように四百三十万戸というのはあくまでも供給可能の目標でございますが、それを実現する努力をすることによって需給が安定をする、つまり一般世帯向けの住宅というところで十分の量の供給がなされて全体の価格が安定をしていくだろう、その中で住宅価格と収入とのバランスも回復をしていくということを期待しているわけでございます。  そのときに、今回の体系は、住宅を新規に供給する上で非常に戦略的な地域というのがあるだろう。低・未利用地でございますとか市街化区域内農地でございますとか、それから木賃の密集地帯でありますとか、いろいろあるわけでございますが、そういう地帯を住宅地供給の観点から重点供給地域ということで戦略的な地域に指定して、そこに都市計画、建築基準上のいろんな制度を活用して住宅立地を誘導する、住宅の高度利用を誘導するとともに、関公促進費を初めとします公共施設整備を重点的に投入をする。さらには住宅プロジェクトについてのいろんな事業手法がございます。予算上の補助もございますが、そういうものを駆使していくという形で先ほど申しましたような百万戸を何とか確保したいと考えております。  その際に、公営でございますとか公団でございますとか、公共主体の役割は今まで以上に増すであろうということは想像にかたくないわけでございますが、私ども、何と申しましても事業の能力というものがこれから先非常に大変だろう、土地を取得するのは大変だろう、こう踏んでおりまして、今までの住宅事業のやり方自体を相当変えていく。例えば借り上げでありますとか借地でありますとか、そういうものも大いに活用すべきだろうと思っておりまして、そういうものを含めて何とか公共主体による供給、あるいは公的な資金による供給というもののウエートを増して、その中でできるだけ先ほど申しましたような一般勤労者の手の届く住宅を確保したいと考えているところでございます。
  182. 及川順郎

    ○及川順郎君 今の要望は、同僚の新坂先生初め小川先生、私たちみんなで伺いました。ですから、やはりそういう状況、質量ともに非常に難しい点はあると思いますが、やってくれたなという、こういう感じが出るようなそういう努力を期待したいと思いますし、ぜひこれは実行していただきたい。このことを重ねて要望させていただきたいと思います。  次に、先日、私予算質問の準備のために、最近問題になっております廃棄物処理の取材に各地方自治体に行っておりまして、東京を初めといたしまして東京周辺の大都市圏のその事業につきましていろいろ現場の声を伺いました。その中で、どこへ行っても出ておりましたのが、一般廃棄物に区分されております建設廃材の増大でございます。これは地方自治体の責任で処理する事業にはなっておるんですけれども、やはり国に応分の責任を持っていただかないと、地方自治体ではもうお手上げの状況である、こういう声が非常に強うございました。こういう点を踏まえまして、建設省としましてこの建設廃材についてはどのような認識を持っておられるのか、この点をまず承りたいと思います。  あわせて、建設残土、これは全く法的にはその性格が定かになっておりません。しかも責任の所在も明らかになっていない。これは廃棄物として見るべきなのか、いやそうではない、価値あるものとして見るものなのか、この点も法的な基準ははっきりしておらない。廃棄物の処理というのはやはり事業者が最終的には責任を持つべきものですが、公共事業等がこれから増大していく中で、建設省のかかわりというのはこれは無関係では済まされないと思うのでございますが、この建設廃材、建設残土についての現状とその認識をまず伺っておきたいと思います。
  183. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お説のように、建設廃棄物あるいは建設残土、いずれにつきましても建設事業が非常に活況を呈していく中で率直に言いましてこの処分のあり方というものは大変重要な問題となっております。私ども今後の建設事業というものを的確に進めていく上においては、この辺の問題に対する対策、対処というものが大変重要であるということを建設省としても十二分に認識させていただいております。  まず、建設廃棄物の方で申し上げさせていただきますと、これは所管がどこであるかというようなことはともかくといたしまして、これを適切にとにかく処理するということが基本であるという認識に立ちまして、私ども昭和六十年でございますけれども市街地土木工事公衆災害防止対策要綱という要綱を改正いたしまして、この処理について施行業者と発注者を具体的に指導させていただいております。とりわけ直轄事業におきましては、この処理方法等の施行条件を明示して発注するというようなこともやらせていただいておりますが、ともかく問題は捨て場の問題、これが大変に御指摘のように深刻でございます。そういった中で、厚生省におきましても先般、五月三十一日でございましたけれども、廃棄物を適正に処理するための具体的な処理手続等を決めました処理ガイドラインというのを決めました。これを決める過程におきましては、建設業界も参画させていただいております。そういう中で、ガイドラインのこれからの周知徹底ということが大変大事になってまいります。  いずれにしても、この問題は、業者、業界の皆さんが直接どういう責任管理体制をとるかということが基本でありますけれども、やはりそういった中では処分地の確保あるいはそのための中間処理の仕方、あるいはその他の用地の確保などがいろいろと問題山積している中でございまして、民間のレベルにおきましても、建設業界あるいは廃棄物処理業界ともども一緒になりまして、先般イージェックという関係の会社もつくって積極的に取り組もうという機運が出てまいっております。現在まだ具体の最終処分地の確保等が地元関係当局との調整が済んでおりませんけれども、いずれにしてもそういう取り組みが出てきたということは大変重要な芽でございまして、私ども建設省としてもこういった動きを十分支援してまいりたい、またもろもろの指導についても厚生省と連携を図りながら努めてまいりたい、こんなように考えているところでございます。  それからもう一つ、建設残土でございますけれども、これは今先生おっしゃいましたが、率直に言いまして私どもこれはいわゆる廃棄物と基本的に違うという認識は持っております。ただ、これもいわばどこかで処分するということになりますと、受け入れる地域からすると言うなれば捨てるものじゃないか、こういったふうな現実の対応の姿がありまして、これをめぐっていろいろとおっしゃるような問題点がございます。  ただ、この問題は、私ども今後やっぱり建築工事の活性化あるいは地下利用等々を考えますと、大都市中心にますますふえていくということも間違いないわけでございますし、処分地も羽田の沖合展開等も来年度で終わるということになりますと、その辺の問題でまた改めて大きな課題になると思っておりますが、基本的には私ども建設残土については資源であるという認識のもとで、有効利用あるいは少量化というふうな方向、現地での活用、こういったようなこと等をやっぱり多面的に組み合わせていくことが必要だろう、こういうことで今私ども省内でも研究会をつくったりしまして取り組んでいるさなかでございます。いずれにしても、この問題は私ども決して軽くない問題と思って重視してまいるつもりでございます。
  184. 及川順郎

    ○及川順郎君 今、今回の法改正の問題と懸念される部分、それからその周辺について若干伺いましたが、いずれにしても大都市圏における住宅確保等はやはり総合的に、これはもう政府、国一体になって、議員も一体になって取り細まなきゃならない、そういう状況でございます。  最後に大臣に、私たち、今まで住宅確保のためのまず住宅基本政策の必要性を強く感じまして、今までも何点か関係法案の提出を試みてまいった、そういう経緯もございます。この住宅基本法の制定は、こうした今回の法改正だけではなくて、今日的な課題として非常に重要な意味を持つ時期に来ているのではないかと思いますが、この制定に向けて大臣の所見を承りまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  185. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) これまで社会党からは住宅保障法案、公明党さんからは住宅基本法案が提案されておりますことは私ども承知いたしております。この住宅基本法案につきましては、国民及び各政党間のコンセンサスが得られることが最も大事だと、こういうふうに考えておるわけでございまして、私どもも皆さん方の論議が深まってコンセンサスが得られますようにひとつ期待をいたしておるわけでございます。     ─────────────
  186. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) この際、委員異動について御報告いたします。  赤桐操君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     ─────────────
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この改正案の元法は今から十五年前の七五年に制定されまして、当時、日本共産党は反対をいたしました。私、十六年この建設委員を勤めさせていただいておりますので、そのときに質問をしております。議事録を引っ張り出して読んでみたのですが、当時私ども態度は、この法律案区画整理、それから住宅街整備、二つの促進区域を定めて、それで結局市街化区域内の農地の面的開発を強要しようとするものだということで反対をしたわけです。私も三点挙げまして、一、市街化区域農地つぶし、二、何とか大都市の緑地を残そうとしている自治体の政策と努力を無視している、三番目はやり方が強権的である、主にこの三つの問題を挙げております。  今回の改正案について、元法に反対していただけに我々はかなり慎重に検討をしました。元法に関する点では、区画整理促進区域などについて現行五ヘクタールを二ヘクタールという要件緩和がありますが、これは実態を調べますと、事実上補助のかさ上げに活用するということがねらいと異なって行われておりました。その点で、このかさ上げについてもあえて反対する必要はないという結論であります。新法的要素を持っております今度の改正の主な内容、これについては大都市圏勤労者の住宅需要に対して政府が住宅供給の方針並びに計画を持つことはやっぱり当然だというので、今回は賛成の方向で審議に臨んでおります。以下、幾つかの問題点をただしたいと思います。  まず、政策の基本問題です。我々は政府の住宅政策が特に地価暴騰で破綻している、大きな曲がり角に来ているということをたびたび指摘してまいりましたが、これは私たちだけの指摘、主張ではなくて、かなり広くこの問題が指摘され始めております。  ここに四月に発表されました東京都住宅政策懇談会の最終報告、「生活の豊かさを実感できる住まいをめざして」という最終報告がありますが、ここでもこう書いてあります。「今や東京では、戦後の住宅政策の枠組みが適切に機能しにくくなり、住宅問題が深刻の度を増している。」、私どももちろん最終報告の中身には評価できる点もありますけれども、いろいろ批判の点もありますが、とにかく戦後の住宅政策の枠組みが少なくとも東京では適切に機能をしなくなっているということが書かれている状況になっています。  それからエコノミストの五月二十九日号、土地住宅問題の専門家としても有名な本間毎日新聞編集委員が、「新しい住宅政策はどうあるべきかトップダウンからボトムアップの意思決定へ」というなかなか風味ある論文を書いている。この論文は、この法案についても触れています。本間さんの議論に私ども全部賛成するわけじゃありませんけれども、政府の三本柱、この住宅政策はもう破綻しているということを本間さんも指摘しています。  すなわち国は戦後四〇年余、住宅金融公庫による持ち家推進策、住宅都市整備公団による公団住宅と自治体による公営住宅供給という三本柱によって住宅政策を進めてきたのであったが、地価暴騰の結果、もはや一般勤労者が持ち家を取得することは一生かかっても不可能なことがはっきりし、また公団、公営住宅も用地取得が困難になり、従来のように供給を行うことが不可能になった。 だから、三本柱はもう効かなくなったという判定ですね。  それで、本間さんは、この東京都の最終報告やそれから世田谷区の住宅条例等々、やっぱり地方自治体がこういう破綻の結果ユニークな新しい政策探求を始めているということを指摘しているんですね。これまでも公害政策だとかあるいは福祉政策、あるいは消費者保護政策など、地方自治体が、特に革新自治体は国より先に新しい政策的イニシアチブをこれまでもとってきたと思うんですけれども住宅問題についてもここまでくると、東京などの大都市圏の地方自治体はやっぱり住民の要望にこたえようとしてさまざまなことを始めているんですね。そういう段階に今あると思う。本間さんはこう言っているんですね。   いずれにしても戦後住宅政策を支えてきた三本柱が崩壊してしまった結果、これまでの延長線上における住宅建設計画をそこに盛り込むのは不可能になってしまっている。建設省はなおもその三本柱に固執して大都市法など住宅関連二法の改正案を軸に、市街化区域内農地宅地転換や低・未利用地の有効利用などによって宅地供給を増やすことにより、持ち家推進策や公・団住宅建設の余地をつくろうとしている。 だから破綻した、僕が言っているんじゃないですよ、本間さんも言っている、崩壊した三本柱に依然として固執してこういう法案を出しているというのが本間さんのこの法案に対する評価なんですね。  綿貫大臣どうですか、この三本柱の破綻、崩壊とか、この新法もそれに固執しているんだという指摘や批判、責任を持ってこれをお出しになっているんだから、これについてどういうふうにお考えになっていますか、まずお伺いします。
  188. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 公営住宅、公団住宅、金融公庫法はやはりその時代の背景を背負って法律ができ、誕生したものではございます。しかしながら、時代の変化に応じてその中身を充実しながら社会経済情勢の変化に対応してきたと思っております。ただ、今回の地価高騰に起因します大都市圏での住宅問題というのは、今までですと三年ないし四年ぐらいで例えば新規に供給されますマンションの価格と収入のバランスというのはもとに回復する、さらには今まで以上に買いやすくなるというような時期もあったわけでございますが、御指摘のとおり非常に深刻でございまして、放置しておりますと十年ターム以上の長期にわたってそういう状況が続く可能性も十分あるということでございます。  したがいまして、政府としましては、土地対策を含めて総合的な住宅宅地の対策を立てようではないかということで、先般来、総合土地対策要綱を閣議決定し、さらには地価対策関係閣僚会議で方向を決めたところでございます。私どもはその中で、住宅地供給に関しまして大きな対策として今回の法律改正をお願いしたわけでございます。その中で住宅の三本柱がどうなるかということでございますが、私どもは、例えば広域的な住宅供給する直接供給主体としては公団しか今ございませんから、したがいまして私どもはやはりこの公団という主体を活用するという方針は変えておりませんが、そこで公団が使いますいろいろな事業手法と申しましょうか手だてにつきましては、十分新しい時代に即応した大都市地域住宅問題を解決できるような形の道具を持たせるということで立ち向かいたいと考えております。  したがいまして、例えば東京都の懇談会でもありますように、公営住宅と公団住宅の間で新しい都民住宅というようなことが要る。そうすると、都民住宅の場合には広い概念でございまして、民間の住宅をも動員しながら広く一般勤労者のための住宅として供給できないだろうかと、こういう発想だろうと思います。私ども公団や公社住宅につきましても同様な発想で検討いたしておりまして、住宅宅地審議会の答申を踏まえて、今後新しい装いをもって臨みたいと考えておるところでございます。
  189. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 こういう非常に変化する状況なので、なるべく保守的、官僚的発想から脱却して努力してほしいと思うんです。以下、東京圏を中心に幾つか質問したいと思うんです。  現在、政府が定めている東京圏住宅宅地供給目標、その中の各都県の内訳、民間、公共の分担はどうなっているでしょうか。
  190. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今現在の計画という御質問でございますが、そうしますと第五期の住宅建設五カ年計画の系統で東京圏がどうなっておるか、こういうことだと思います。  第五期の地方住宅建設五カ年計画によりますと、関東地方で六十一年度以降五カ年間の住宅建設の見込みとして二百五十二万戸でございます。その中で公営住宅、金融公庫の融資する住宅、それから公団住宅、その他政府資金が入っております住宅を合計いたしまして百十一万六千戸というものを公的資金住宅として計画をしておるところでございます。それぞれの計画が今現在どういうふうに進捗をし、関東地方の定義の中でどういう実績を上げているかというのは、手持ちにちょっとございませんので申し上げられません。申しわけございません。
  191. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 宅地に関しまして先生の御質問に十分答え切れるかどうかちょっと疑問がありますけれども、六十三年度について首都圏での供給の動向を御説明させていただきます。  六十三年度宅地供給量は全体で二千三百ヘクタールでございますが、公的供給と民間供給に大きく分けまして、そのうち公的については八百ヘクタール、民間が千五百でございます。その公的供給八百ヘクタールのうち、公団、公共団体、供給公社によります一般宅地開発事業、これによるものが二百ヘクタール、残りの六百ヘクタールは公団あるいは公共団体施行の土地区画整理事業ということになっております。民間の千五百ヘクタールのうち、千百ヘクタールは開発許可でございます。残りの四百ヘクタールは個人施行、共同によります組合施行の土地区画整理事業、こういう状況でございます。
  192. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど実績の方がないと申し上げましたが、ちょっと手持ちにある資料で、先ほどは関東地方一本で申し上げましたが、関東臨海ということで東京を含めました一都三県に、ですから先ほどの関東地方の内数になるわけでございますけれども、これで申し上げますと、現行の五カ年計画は関東地域で二百一万五千戸というのが建設見込みでございます。これは官民含めて全体の見込みでございますが、それに対しまして六十一年四月から平成二年三月つまり平成元年度まで、平成二年度はまだ入っておりません、したがって五カ年計画の最終年度の戸数はわかっておりませんが、二百二十二万五千戸、一年を残して二百二十二万五千戸でございまして、達成率は一一〇・四%でございます。ただしこれは、その二百二十二万五千戸のうち百三十六万七千戸が賃貸系でございます。賃貸住宅と給与住宅、ほとんどが賃貸系でございますが、これが非常に多うございまして、実際にはワンルームマンション的な、居住水準の向上に一部は資しますけれども全体として資し得ない供給戸数相当含まれている。と同時に、持ち家系におきましても価格の高騰を反映して居住水準を犠牲にしている部分が相当あるというふうに考えております。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東京圏、大体一都三県と考えていいんですが、今の答弁を見ましても、第五次の五計で年間やっぱり四、五十万戸が目標になっているんですね。実績で見ても、東京圏住宅建設実績で言うと八九年度が新築住宅着工が全国百六十七万戸で、三分の一が一都三県の分で、これは五十万戸ぐらいなんですね。東京圏で五十万戸、大体今まで目標にいろいろ波はあるでしょうけれども建っているわけですから、今後も例えば十年間で五百万戸というのはこのままいっても大体いくだろうという状況だと思うんですね。  さて、この法案供給方針というのが打ち出されているんですけれども供給方針、例えば東京圏については一体何を基準にどういう目標で、また都県別にはどういう基準で立てていこうとすることになりますか。
  194. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回の供給方針で定めを予定をしておりますものはおおむね十カ年を目途としておりますので、そうしますと四全総で、二〇〇〇年までの十五年間に首都圏の人口を抑制しながら、趨勢よりも相当抑制しながら三百万人現状よりもふえる、抑制した後のふえ方でございますが、それを前提にして五百七十万戸の住宅供給を見込んでおります。したがいまして、私どもはこれを十カ年ベースに直しまして三百八十万戸というふうになろうかと思いますが、その三百八十万戸の必要量に対して、低・未利用地でございますとか市街化区域農地でございますとか国公有地でありますとか、そういった供給可能な土地を見込みまして、新規供給として四百三十万戸程度供給可能ではないかと、こう推計をいたしているわけでございます。  したがいまして、今後、四全総前提としているとはいえ、関係都県と国で相談をしてこのとおりでいいかどうかという議論をしまして、そしてこれを各県に割り振ると言ったら語弊がございますけれども、各県でそれぞれ分担をするという協議が続いて各県の計画が決まってくるということになろうかと思います。  その際に、それは四百三十万戸は総量の話でございます。総量の話はそれぞれの人口、世帯の動向、それから建てかえの動向を踏まえますと、各県の割り振り、分担はそう難しい問題ではないと思いますが、そのうちの新規供給の二百三十万戸を具体にどういうふうに各県に割り振るか、それをさらにどこの事業主体が受け持つか、持ち家、借家はどうするか、そういうお話をきちっとしなきゃいかぬじゃないかというお話かと思いますが、これは具体の土地が、関係都県と国との間で協議が進んで供給方針が決まり、各県が供給計画をつくり、そしてそこで初めて視点が明らかになってまいりまして、さらに都市計画開発整備、保全の方針で具体の地域を受けていく。そこは戦略地域になるわけでございますが、そういう具体の手続、運営を経て決まってまいりますので、今段階で、あるいは供給方針をつくる段階で詳細までは決まらない、こういうことかと思います。  したがいまして、これと並行して住宅建設計画法に基づきます五カ年計画を策定せにゃいかぬわけでございますが、これは国全体、それから大都市圏、地方の圏域別あるいは都府県別に人口、世帯をベースにして、大都市圏につきましては全体の世帯の構成であるとか、所得であるとか、それから建てかえの動向であるとか、そういういろんな状況を把握いたしまして必要な住宅建設戸数をはじきまして、そしてそれの公営、公団、公庫住宅の割り振り、分担のノルマを課するわけでございます。そういう中でその分担が決まってまいりますので、そのノルマを課した上に、かつ具体の土地に結びつくところは、先ほど申しましたように大都市法関係供給計画が定まった後に次第に決まってくる、こういうシステムでございます。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、今、供給主体別、例えば公団、公社、公営などの目標も具体的な協議、調査の中で決めていくというふうに言われました。私、前回も取り上げたんですけれども、総務庁の行政監察局の「住宅に関する行政監察結果報告書」、五月に出たばかりですけれども、その中に、十六ページですが、この五カ年計画に触れながら、国において中長期の面から広域的な供給計画の策定、住宅供給促進すべき地域の設定が必要となることを言いながら、「公的事業主体にあっては供給主体別の地域別、地区別の供給計画の策定も必要である。」、こう書いてあるんですね。  そうすると、今の局長お話もそう考えますと、供給方針の中には目標としては公共分の目標住宅の建設の目標の中でそのうち公共分としてどのぐらい建てるか、それから公団、公社、公営それぞれどのぐらい建てるかという主体別の目標も協議の結果具体的に決まっていく、そう理解してよろしいですか。
  196. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 地域別に事業主体別に戸数と申しますと、今の体系からいけば住宅建設五カ年計画の体系の中で決まってまいりまして、国全体それから地方別、都府県別に公的資金住宅、公営、公団、公庫の種類別に戸数ノルマが課せられますので、その中で明らかになるということで、そしてその場合に、これは当然ながら供給計画をつくる際にも調和を保たなきゃならないというふうに法律に書いてございます。したがいまして、そこでの公的資金住宅背景となっております住宅供給量、総供給量でございますが、これは当然に整合性を持ってこなきゃならぬという意味で今回の大都市法の体系とはつながってまいりますが、大都市法の体系の中で住宅建設五カ年計画と同じように事業主体別にきちっと何県は幾らということは今のところ決める予定はいたしておりません。ただ考え方は、きちっと国と都府県と意見を一致させて同一の認識に立って住宅宅地対策を進めようということで、考え方はその中で示すことにいたしたいと考えております。  したがいまして、一般勤労者向けの住宅に重点配慮するとか、その中で公共的な主体の住宅の役割を十分重視するとか、例えばの話でございますが、そういうような考え方は供給方針あるいは供給計画の中で書くことはあり得るというふうに考えております。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも少しあやふやになってきちゃって、考え方としては書くのだが、供給方針それからそれを受けた都府県の供給計画の中に公団、公社、公営の目標を一体書くのか書かないのか、どうも書くような書かないような、結局今のところ書かないようなお返事なんですけれども、ここは一番大事なかなめだと思うんですね。というのは、特に東京圏ではもう持ち家から公共の賃貸住宅、これの建設に転換することが迫られているという状況なんです。これはもう買いたくても持ち家は手が届かない状況になっておりますから、良質の公共賃貸住宅をどれだけ大量に供給するかというのが東京圏住宅政策の中心だと思うんです。  この数字をずっと見てみますと、公的資金住宅建設戸数とそれ以外の住宅建設戸数、これは前は公的の方が高かった。八二年には公的資金住宅が五九・九%、六〇%だった。民間自力建設が四〇%ですね。それが八四年に逆転しちゃったんです。八八年の見込みでは公的資金住宅が三六・七%、ついに四〇%を割ったと。民間自力建設が六三・三%ということになっております。  だから、今後、大都市圏東京圏住宅問題ではその逆転状況をどう変えていくか、良質の公的賃貸住宅をどれだけ建てていくかということが中心問題になってくる。一都三県の公営住宅の計画戸数は五次五計で四万七千六百戸だと。これは四次計画より約二〇%、一万一千六百戸減っちゃったんです。公団の賃貸住宅が七一年度五万九千戸から八八年度は七千六百八十二戸、もう分譲住宅よりも賃貸住宅の方が公団の場合少なくなっている。ピーク時の一三%ですからね。もう本当に公団も賃貸住宅については極めて少なくなって、東京圏ではわずか四千七百三十三戸という非常に惨めな状況に落ち込んでしまっているんです。建設省一番よく御存じの状況ですね。だからここを抜本的に切りかえないと、公的住宅目標の総量だけ示す、あとは具体的にやっていくんだということでは、目標数掲げただけでは、本当に勤労者の住宅要求を満たすことはやっぱりできないと思うんですね。  だから、せっかくこういう法改正をおやりになって、供給方針供給計画、これを決めることになるのなら、公的賃貸住宅目標東京圏で、東京都で、あるいは埼玉で、神奈川でどれだけという目標を決めないと絵にかいたもちになってしまうのではないかと思うので、この点、国の果たす責任をよく自覚されて、そういう方向をもう一歩進めてほしいと思うんですが、局長いかがでしょうか。
  198. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 法律の体系から申し上げますと、住宅建設計画法では事業の量をきちっと計画で定めるということになっておりまして、したがいまして先ほど言いましたようにブロック別あるいは都府県別に各事業別の建設戸数を定めておるわけでございます。  一方、大都市法の方は、それと調和をとりながら具体に戦略的な土地を選定する作業と言ったらおかしいんですけれども、そういう土地の条件を整備するという全体の体系になっておりまして、当然に調和を保つわけでございますから、その戸数前提にした住宅地供給するということを貫いて手当てをしていくということになろうかと思います。したがいまして、法律上、同様の事業量を大都市法できちっと提示をするという形式にはなっておりませんが、実質は表裏の関係にあると私ども思っておりますので、その結果は先生が御指摘のような同じ実質効果があらわれるというふうに私ども思っておりますが、そのように御理解を賜りたいと思う次第です。
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間がなくなってまいりましたので、あともう一つの問題、地方自治体との関係の問題に移りたいと思います。  供給方針の策定、供給計画をつくる点でこの新しい制度で一番問題なのは、地域実情に基づく地方公共団体の自主的計画に対して国の計画を押しつけることにならないかということなんです。先ほど申し上げたように、東京都でも必ずしも全部賛成じゃありませんけれどもいろんなことをやっていますし、住宅条例を世田谷でもつくり、そのほかの地区でも、あるいは神奈川県なんかでもそういう住宅問題でいろんな動きが出ているわけですね。それだけむしろ地方自治体の方が先に進もうとしているので、それを国がこれをやれということで、それを進めるんじゃなくてむしろブレーキをかける、上に従わせるというのではまずいんですね。本間義人編集委員先ほどの論文の題も「トップダウンからボトムアップ」というのはそこのところを言ったんで、やっぱり下からの、住民や地方自治体からのそういうイニシアチブをよく生かしていくということが大事な時代になっているということだと思うんですね。  東京の場合一番問題なのは、午前中同僚議員も問題にしましたけれども、東京一極集中の抑制がどこまで進むかという問題が実は住宅問題でも一番の重要問題の一つになっていることは御存じのとおりです。  東京都企画審議室が、業務機能の分散可能性に関する調査報告書というのをこの三月に出しております。二十三区に本社がある千七百七十六社のアンケートで、もう一々申し上げませんけれども、このアンケート調査の結果を見ても、もう東京重視の企業が非常に強いです。これも結論として、「東京の求心力は依然強く、業務機能の集中傾向は今後も持続すると思われる。」というのがアンケートの結果です。移転先というのはどこだというと、「新宿と東京テレポートタウンに支持が集中し、その他の副都心や業務核都市などの支持率は非常に低い。」ということで、もう集中しているんですね。だから、少々の刺激を与えたぐらいではこの企業の東京集中、これは薄まらないと思うんですね。だから、本当にこういうものをどういうふうに分散させるかということを本気に考えないと、住宅供給の政策もやっぱり絵にかいたもちになってしまうと思うんです。  私、もう一つ中間報告、これは五月に出たばかりですが、産業構造審議会の中間報告、九〇年代政策部会地域振興と環境政策小委員会の中間報告で、この産業構造審議会でさえ東京への一極集中問題についてはかなり厳しく見て、かなりのことをやらないと無理だと言っているんですな。東京圏における民間総固定資本形成、これももう東京圏以外と格差はふえている、それから行政投資も東京圏はどんどんふえている、だから公共投資、民間投資両方見てもこれ何とかしないとだめだというんですね。「東京圏における公共投資については、生活環境改善のための投資により重点を置くことが必要」、公共投資も生活環境改善に重点を置くと。それから産業基盤整備のための社会資本投資、この拡大は一極集中を加速する、民間の投資も考えると。だから「業務ビル等のさらなる一極集中を促進する可能性があるものについては、国の支援措置について一定の歯止めを検討すべき」だと。それから産業界でさえ国はこういうものについて歯どめを考えろということを言わざるを得ない状況になってきていると思うんですね。  我々は、この東京問題というものの一番の問題は、大企業の、また金融機関の、外国からもそうですけれども、東京集中だと思うんです。これを何とかしなければすべての問題は悪化するばかりだということを強調して、大規模開発プロジェクトの抑制とか再検討、業務機能の立地制限、進出企業への負担金制度等々、やっぱり抜本的な措置を要求してきたと思うんです。ですから、きょうはもう時間も参りましたが、ずっと追い続けていたし皆さん方も認識しているはずのこの問題にどう手をつけるのか。これに手をつけないと、この大都市法の新たな改正もまた絵にかいたもちに終わりかねないというふうに思いますので、この点について最後に建設大臣のお考えを承って質問を終わりたいと思います。
  200. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 東京一極集中の問題につきましては、国会の中でもいろいろ御論議のあるところでございまして、この国会に遷都の決定、国会決議がなされるということも聞いております。これは政府のみならず国会の皆さん方と一緒に考えていかなければならない大きな問題でございまして、建設省も皆様方の意見をお聞きしながら一生懸命やっていきたいと思っております。
  201. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 連合参議院の新坂一雄でございます。連合参議院は、非常に平たい言葉で言いますと、サラリーマンの代表という形で会派をつくって政治改革を進めている集団でございます。  そこで、今回の法案は、印象としては、大臣、非常にやる気が感じられる法案であるなという気がいたします。と申しますのは、やはり一番の政治不信でありました土地住宅、これに対する一定のビジョンといいますか、これが与えられている法案であるということで、やはり経験豊かな綿貫建設大臣に負うところが、これから財政面等を控えまして非常に期待するところが大になってくると思います。そういうことから、サラリーマンにとってはやってくれるかなという期待感のある法律案であるとともに、それじゃもう少し具体的に、自分が実際にこの十年間のうちに持ち家が持てるのか、あるいはどういったところの賃貸住宅に入れるかというような具体的な実像といいますか、そういうものがあらわれてくるとさらにサラリーマンにとっては本当にこれは建設行政やってくれるんじゃないかなということがはっきりと浮いてくると思います。  そういう意味からいうといろんな施策をしなくちゃいけないということでございますが、もう一つは、いわゆる住宅を大量に供給するという意味とともに、これからの社会がやはり高度情報社会といいますか、いろいろ複雑な状況の中でのサラリーマンの生活、住宅を保障していくという意味合いからいいますと、かなりいろんな面の要素が入った住宅、あるいは住宅環境、アメニティーと申しますか、あるいは感性にこたえるような住宅というようなことも含めて、ただ戸数だけをたくさんつくっていったらいいという意味合いとともに、そういった環境に合わせた住宅づくりというのが必要になってくるんじゃないかというふうに思っております。  したがって、質問でございますが、時間の中で、連合参議院のこの住宅法案に対するスタンスと、それからどうやったら供給がスムーズにいけるか、そういうシステムづくりを若干確認していきたいというふうに思っております。  まず最初に、この法案の基本になっております、首都圏あるいは近畿圏中部圏という三つの大きなグループがございますが、これは具体的に言いますと何県が入っているかということのまず範囲の設定でございますが、この三つの圏における対象県、これはどこであるかということを教えていただきたいと思っております。
  202. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今回御提案申し上げています大都市法に基づく一連の施策を講じようとするエリアを申し上げさせていただきますと、首都圏につきましては、既成市街地、近郊整備地帯、それからそれに連続するおおむね五、六十キロ圏の圏域、こういったところを範囲に対策を講じようとしているものでございますが、この関係のエリアは、東京都はもとよりでございますが、埼玉県、神奈川県、それから千葉県、茨城県の南部、こういったふうな地域になります。同じように近畿圏につきましても、既成都市区域あるいは近郊整備区域、さらにそれに隣接する地域というような概念でおりますが、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、この一連の地域、こんなふうなエリアで考えております。中部圏につきましてもほぼ同様でございますが、愛知県、三重県の区域、この一部地域ということに考えておるところでございます。いずれにしましても、通勤時間圏の範囲内というエリアを対象にして考えておるところでございます。
  203. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 今お挙げになりました対象の府県でございますが、実際に世の中はどんどん交通事情に伴いましてサラリーマンの居住も大変変化してきております。例えば新幹線を利用して静岡から東京に通う人、あるいは群馬の高崎あたりから実際に新幹線のパスをもらって通う人というような形がどんどん広がっておりますね。  これはもちろん土地の問題あるいは環境問題も入ってくるのでございますが、例えば首都圏で申しますと、これはちょっとこういうような行政でもって仕分けすることもどうかなというふうには思いますが、例えば群馬それから静岡の東京寄りというのはサラリーマンにとっては、これは行政の縄張りというか圏域というか、それを超えて自分は東京の首都圏のサラリーマンだという意識を持っているのでありまして、また近畿圏につきましても、京都、大阪、兵庫、奈良という四つの自治体をお挙げになりましたけれども、例えば和歌山県が入っていません。これは、例えば関西新空港が開港することによってその近くの臨空タウンというのは大変人口の密集する、企業の本部といいますか、いわゆる会社の本体がそこに構える、その店開きをすることによって本当にすぐ近くの和歌山から通うサラリーマンというのがたくさんふえてくると思います。  こういったサラリーマンの実態に合わせた宅地供給ということが対象になってこなくちゃいけないと思うんですけれども、これは今お挙げになった自治体以外のところはオミットしていくというような形になるんですか。
  204. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御指摘のとおり、そういった通勤実態、言いかえればそういったところでの住宅の確保という現実がサラリーマンの中にふえつつあるということは率直に言って私ども認識いたしております。ただ、例えば首都圏で申し上げさせていただきますと、現在、新幹線通勤の方々というのは、三本の新幹線を利用して通勤している方でございますが、六十三年度現在で大体六千人弱というふうに数字を承知しておりますが、住宅で言えば六千戸の住宅がそういう関係でできたかなというのがマキシマムの数字かと思います。  私ども、この法案を御提案申し上げている背景あるいはねらい目等々はるる申し上げさせていただいていますが、要するに二〇〇〇年に向けて相当程度厳しい供給努力するという中では、正直に言いまして数千戸のオーダーというものについてどれだけ重視していくかという問題があります。もちろん通勤新幹線等々の能力アップ等々のことによってその辺の可能性はさらにふえるという見通しはあり得るところでございますが、私どもいろいろと運輸省等とも打ち合わせをしている中では、率直に言いましてこれが数万人のオーダーでふえるということはちょっと考えられないという状況でございます。  何よりもそういったこと以前に、今回の政策が、先ほど来出ておりますけれども、いうところの多極分散政策との関係でどう考えるかというような問題も基本的にはあります。私ども基本的には、そういった通勤エリアというものを拡大することによって一極集中をさらに積極的に進めるような政策をこの法案の政策の主軸として考えていくことについてはいかがなものかと、通勤新幹線の利用実態のことも踏まえながらそんな考え方でおりまして、現在は先ほど申し上げたようなエリアで考えたいと思っております。
  205. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 今、新幹線を利用しておるサラリーマンの実態というのは六千人弱が利用している、その人たちだけのために住宅供給をするんじゃないという、そこだけの部分をお話しになりましたけれども先ほど私が指摘しましたように、例えば和歌山県の和歌山市の方で関西新空港と本当に何十分という通勤圏も出てくる予定でございますし、それから現実に、私奈良県の選挙区ですけれども、例えば奈良よりもっと先の三重県の名張あたりから近鉄に乗って大阪に通勤している、したがって名張に大変な団地ができているというふうな実態でございます。したがって、行政の方の区分けとしては三重県というところは中部圏に入るというふうな形になってしまいますが、実際にサラリーマンの実態としてはそういうふうに、例えば三重県の大阪寄りというのは大阪通勤圏といいますか近畿圏に属している人たちで、この人たちは六千とか一万とかという単位じゃなくて何十万という単位でこれから住宅がふえて、そこから大阪へ通っているという実態でございます。これは事実でございますから、今までの、いわゆる近畿圏と言うとここだというようなことじゃなくて、実態に合わせて供給も考えていかないと、何かサラリーマンの実態と一部ずれてくるのじゃないかという危惧がありますから御指摘している次第でございます。  それから次でございますが、フレームワークはわかるのでございますが、実体として映像が見えてくる、先ほど申しましたようにサラリーマンがどのぐらいのどういうところに入れるかというふうな、言ってみれば商品見本的なものがなかなか浮かんでこないということでお尋ねします。  住宅宅地供給、これに対して事業主体あるいは公共、民間住宅、こういう割り振りはどのくらいの割り振りでやろうとしている計画なのか。それから賃貸と持ち家、先ほどの同僚議員の話もありましたように、分譲住宅とかあるいは持ち家じゃなくて、実際は賃貸住宅をメーンにこれから計画していくんだということだと思いますが、その供給目標の量というのは原案としてはどうなっておるのでございましょうか。
  206. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回の大都市法は、この法律の中で住宅対策の全部の姿が浮かび上がってそれを計画するという形にはなっておりませんで、御案内のとおり、供給方針供給計画をつくり、重点供給地域住宅市街地開発整備の方針で定めるというところで、住宅としての土地利用、高度利用を促進するというところまでの法律の体系になっておりまして、その際に、国、公共団体の義務規定を置きましてそれぞれの住宅のプロジェクトを進めなさいとか、そのための財政措置をキープしなさいとか、こういうことでほかの法律につながっているわけでございます。  したがいまして、住宅対策上の今おっしゃいましたような非常に大事なポイントであります民間、公共の部門別の分けでありますとか、供給主体別の分類でございますとか、それからどのくらいの負担にするとか、どういう政策をとるとかというような話というのは住宅建設五カ年計画の体系の中で明らかにする体系になっております。したがいまして、今回の供給方針供給計画の中では、物の考え方としてはっきり国と公共団体が意見を一致させて認識として同一のもので臨みましょうというところで明記をするということはあり得ますけれども、事、具体に数字で示す、つまり住宅建設五カ年計画の体系のような数字で示すということは法律上は予定をしていないということでございます。
  207. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 この法律の中に具体的にうたうのでなくて、原案として例えば首都圏でサラリーマン住宅を百万戸建てるという目標があったら、その百万戸というのは具体的にどういう積み立てで百万戸にするかというものがばらした形で原案がないと、ただ百万戸百万戸とこれは一声運動みたいになってしまいますから、そういう意味では事業主体といいますか地方自治体が何をどのくらいするのか、あるいは公共、民間住宅はどのくらいの割合でやるのか、賃貸と持ち家は六、四のあれでいくのかというようなもとのピクチャーがないと、要するに土俵だけつくりましたというだけでは、もとのものがあって積み上げた形でやりたいということならわかりますけれども、とにかくつくるのだというだけじゃ、これはサラリーマンにとってはちょっとわかりにくい話になりませんか。
  208. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 当然ながら住宅建設五カ年計画の体系の中では、それぞれのブロック別それから都府県別の人口、世帯それから住宅事情の動向を踏まえまして総建設コストあるいは公的資金の事業量というのは決めることになっております。これと今回の大都市法の体系とは調和を保つということになっておりますから、そこでつながっていると申しましょうか、国と都府県の討議の場には当然ながら住宅建設五カ年計画でのいろんな考え方、国の考え方、都府県の考え方が出されて討議されるものと思います。  したがいまして、今先生具体的におっしゃいました例えば一般勤労者向けに百万戸の住宅供給すべきだ、それはよかろうという話になりますれば、当然ながらそれはどの県のどの地域で持つかというような話が当然に話題になってくるかと思いますが、その際には議論の下敷きとしては出てくると思いますけれども、最終的に供給方針供給計画の中できちっと百万戸の分担を事業主体別で云々、数字で数量を示すということはない、したがって実質そういう議論の中で担保されてくるというふうに考えております。
  209. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 もちろん、ボトムアップといいますか、要するに実際に実務の段階におろした段階で、これはおれのところはこのぐらいはできる、このぐらいはできるということで積み上げていって百万戸にする方法と、具体的にビジョンが百万というのがあって、それを割り振っていって、これは実現可能かどうかはまた別の論議として、一応原案、プランとしてあってしかるべき相談をするというのが基本的に今政治に対する一般のサラリーマンの期待でございます。したがって、今までの手法で現場におろして現場がこうだから結果的にこうなりましてというすり合わせじゃなくて、上からといいますか、まず最初にこういうピクチャーを描いて、これを実施していきたいんだというところが今の政治の原点じゃないかと思います。それがないと後手後手になるということは今までの政策そのものでございますから、やる気があるなと私が思っているのは、そういうところをはっきり一つの原案を明示していただきたいというのが原点でございます。だから、これは今すぐなければ後でもいいですけれども、具体的に出していただきたいというのが一点でございます。  それからもう一つは、やはり何というんですか、国のやることはかた過ぎてよくわからないというのが現実的に庶民にとってのイメージであると思います。したがって、今度のこの住宅の建設については、ひとつ本当に不動産屋と同じぐらいメニューをつくりまして、五千万円の住宅は何戸、あるいは三千万円の住宅は幾ら、あるいは五万円の賃貸は何万戸、十万円のちょっと高級なのは何戸というような、よく不動産屋さんが具体的に何戸何戸とありますね、そのぐらい具体的なものがあって初めてサラリーマンにとっては、あ、おれはここのところだったら入れるなとか、そういうものが具体的に浮んでこないと、何となく同僚議員も言っていましたように絵そらごと的な感じとしてしか受けとれない。それはもちろん一生懸命やられるということは基本的に敬意を表しますけれども、そこまでおろした形でひとつ案を練っていただけないか。  だから、今統計にありますように、年収の七倍なんというのは具体的に都心では持ち家は不可能でございます。三千万円や三千五百万のいわゆるローンを借りたとしても実際に建たない。しかも、その三千万といってもいわゆる退職したときの一時金で、もうそれで終わったらあと第二の人生というのは何もないような、そういったサラリーマンの嘆きというふうなことがひしひしとやっぱり現実にあるわけですね。そういうところをどこがどうだということの人生設計ができるような、十年間にかかわってやる計画でございますから、その辺のところをやっぱり出していただきたいと思いますが、これは一応住宅価格、家賃水準というふうなところは具体的に出せますかどうですか、お聞きします。
  210. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど来同様の議論でございますが、百万戸を含めまして具体の姿というものを国民に示し、希望を持たせ、そして事業の実施に協力させるというその態度といいましょうか姿勢というのは非常に重要だと私は思います。  ただ、責任ある行政の立場として、それでは具体的にどの土地でどういうふうになるかということを前もって示すということはこれは極めて難しゅうございまして、具体のプロジェクトというのは地主がその気になって、重点供給地域を指定しましても地主さんがその気になるのは二年後になるのか三年後になるかわかりませんし、それは国としては、公共団体としては一生懸命今すぐにでも借家を建ててもらいたいということでいろいろとPRをし、インセンティブを示しながら誘導すると思いますけれども、具体にそれがいつ出てくるかというのはなかなかそれはわからない話でございますので、したがいまして私どもはその百万戸あるいはそのバックになっている考え方、どういう土地柄のところでどのくらい供給するとか、それから目標として一般勤労者の収入に対してどのくらいの倍率の住宅価格にするとか、それから家賃はどのくらいの負担率にするとかというようなことは、こういうことを念頭に置いて仕事をしますということは言えると思いますけれども、それを具体的に地域に即地的におろして、どういう地域でどのくらい、何戸いつまでにというようなことはとてもできないと思います。  したがいまして、姿勢は十分私は理解をいたしますし大事だと思いますので、その姿勢の方向に沿うような形で最大の努力をいたしますが、この供給方針供給計画の中できちっと示すということはとてもできないだろうというふうに考えております。
  211. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 責任ある行政は示せないというお話でございました。行政のレベルでなく、政治レベルで綿貫大臣にお伺いいたします。いかがでございましょうか。
  212. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今、行政レベルではなかなか難しいというお答えをしましたが、政治レベルということでございますが、今のおっしゃるような方向づけができればまことに理想的だと私も思います。政治は理想を求めていくものでございますから、そういう理想に沿うようにいろいろと考えていきたいと思います。
  213. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 政治のお墨つきがございます。行政の皆さんもしっかりやっていただきたいと思います。  さて、社会福祉といいますか、高齢化社会を迎えます。それからもう一つは、やっぱり車社会ということが現実にあります。したがって、居住水準の問題でございますが、いわゆる普通の住宅戸数を考えるということとともに、やはり付加価値といいますか、先ほど上田議員もお話しになったように高齢者対策もあります。それから障害者の皆さんと一緒に入れるような住宅、もう当然含まれてくると思います。  それからもう一つは、やはり車社会の中で、実際に平たく言えば世帯が一つあれば一つ車があるというふうに考えてもいいぐらいの車社会でございますから、本当に百万戸建つということは要するに百万個の車が入れる車庫、駐車場がないとあふれちゃって近所迷惑この上ないことでございまして、数日前ですか、交通関係の方が来られて、一生懸命朝から晩までお巡りさん額に汗してやっているけれども追いつかないというような現状でございます。したがって、要するにキャパシティーとしてそういうものが入るということをやはり必要要素としてこれから建てていかなくちゃいけないと思いますが、その辺を含めましてひとつお願いしたいと思います。
  214. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) まず、高齢福祉社会に向けて高齢者とか障害者用の住宅の確保の問題でございます。  私ども住宅対策全体の中で非常に重要な問題であるというふうに認識しております。したがいまして、大都市地域の今回の法律の体系を駆使して具体の住宅プロジェクトを立てる場合に、公共団体が高齢者や障害者の住宅事情というものを十分把握をして、将来に向けてどういうふうにして整備していくかということを十分認識しながらプロジェクトを立てていくということが非常に重要だろうと思っております。  その供給基本方針供給計画の中にどういうふうに書き込むかということになりますと、ここのところは非常に大きな重要な問題でございますので、当然公共団体サイドからいろんな御意見が出ると思います。したがいまして、そういう御意見が出た場合には、その共通の認識として一致をすれば基本的な考えを書くことになろうと思いますが、法律として当然には予定をしていない、住宅対策の中で考えているところでございます。  それから二点目の車の駐車場の問題でございますが、これは現在の体系からまいりますと、各事業主体が団地をつくったり住宅プロジェクトを進める際に駐車場をどのくらい用意するかということでございます。したがいまして、その事業主体が建設基準と申しますかそういう中で、駐車場についての十分な認識と用意をすべきものであると考えておりまして、今現在そういう全体の考え方の整理といいますか、そういうものを今進めておるところでございます。したがいまして、それは各事業主体の中で今後住宅プロジェクトを進める際に、我が事業主体はどのくらい整備をしようというようなことで方針を決めていくことになろうかと思います。  今回の大都市法の体系の中で公共団体といろいろと議論する際にこの問題がどのぐらい出てくるかちょっと予想できませんが、もしもそこでこれからつくる二百三十万戸については云々ということで議論が出て、それで各公共団体も国も合意をすれば基本的な考え方として書き込むこともあり得るかと思いますが、これも先ほどと同じでございまして、現法律で当然には予定はしていないということでございます。
  215. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 これからの町づくりで家をつくる場合に、計画する場合に一番大切なのは、やはり住民参加という基本的な民主主義の原則を踏まえて住民のあらゆる層を代表する人たちが集まって知恵を出し合ってつくっていくというのも一つのあり方になってくると思います。そういうところで、例えば車の今の話でございますが、車庫をつくらないと周辺住民が迷惑するということで、地域住民が参加していわゆる町づくりをやる、土地利用計画を策定するというところでこれからかかってくる問題だと思います。  ただ、ともすれば町づくりの住民の集会といいますと、いわゆる地元の商店街の人々あるいはデベロッパーといいますか商売をやっている人たちの意見が通って、いわゆる住民の代表という形がなかなか参加しにくいんじゃないかなという気がいたしますが、その地域各層住民の参加を、必ず入らなくちゃいけないというようなことは特別配慮しなくても現在の法律でやっていけるというふうに思われているかどうか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  216. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 町づくりの基本となります都市計画の決定の手順でございますけれども、何よりもまず都市計画の案を作成しようとする場合においては、「公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」ことということで都市計画法十六条で定めております。  例えば、東京都におきましては、都市計画案につきまして地元への説明会ということをかなりの頻度でやっておりまして、具体的には、例えば道路の隅切りというような小さなことにつきましてはこれは説明会をやらずに権利者への御説明だけで済ませているようでございますが、一般的には地元住民への周知を図るための説明会をきめ細かくやるように努めておりまして、平成元年度におきましてはこの説明会を七十三回開催しておりまして、こういうことで、今は東京都の例でございますが、各公共団体とも都市計画案の作成について住民の意見の反映について努力をしているところでございます。  そのほか、次のステップでございます案の公告についての公衆の縦覧とか、それからこの縦覧に対する住民、利害関係人の意見書の提出、それから提出された意見書が都市計画地方審議会に提出されるとか、さらに決定に当たっては、学識経験者等から構成される都市計画地方審議会の議を経て決定するというような手順といたしているところでございまして、これらの手続を経て特定の人々の意見に偏ることのないようなことをこれまでも努めてきたところでございますが、今後もそういうことで住民の方々の意見が幅広く公平に反映されるということで、良好な住環境の町づくりが行われるように制度運用に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  217. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 今までのそういう住民の集会といいますか公聴会といいますか、評判が余り芳しくない。したがって、これから新しいせっかくの住宅をつくっていくに対してはもう少し何か工夫が必要ではないかなという観点から質問しております。  それから、ちょっと細かくなりますけれども、財政措置を国及び関係地方公共団体の責務ということで、この法案には「国及び関係地方公共団体は、」「供給に関する事業を行う者に対する助言、指導等の援助」、こういう説明でございますが、この「指導等の援助」というのは、助言とか指導とかといういわゆるアドバイスということだけじゃなくて、実際に口も出せば金も出すという形の財政もつけ加えた形の措置をするということに切りかえていかないと、ただ口だけ出してやれやれと言っても先立つ物がない場合がありますので、この辺のところの財政措置も含めたアドバイスをしていくという形はいかがでございましょうか。
  218. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) その他の援助措置というような表現があちこちございます。第三条第一項、それから第三条の四第一項、第三条の五あるいは第三条の六第三項にございます。  今先生が御指摘になりましたのは三条の五でございますが、いずれにしましても、私どもごく一般的な法律の解釈としまして、財政援助を当然に含むというふうにいずれも考えております。そして、全体のこの体系はそれぞれ第三条第一項が広く一般的な国の義務を定めておりまして、次第に相手事業主体でありますとか相手の公共団体でありますとかということで次第に細かくなりまして、最後に三条の六で、住宅市街地開発整備の方針に従って重点地区整備をする場合というふうにして、だんだんと細かく具体の即地的なところまでおりていくという全体の法の体系になっておりまして、私ども当然に財政措置も、口を出すが金も出すということを含んでいるというふうに考えております。
  219. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 もしそういう意味合いであれば、財政等というのも入った形の文言を入れてしかるべきじゃないか。要するに、とれるかもわからぬ、とれないかもわからないという形のものじゃなくて、はっきりそれは法案の中につけた形で当然含まれるということを明記してもらいたいという考えでございます。  それから、財政的な措置はとにかく必要である。それで、国土庁の方で特別土地保有税という形で側面からバックアップするという、いわゆる供給に対して特別に財源措置を持っていかないとなかなかできない、大変なビッグプロジェクトじゃないかという気がいたします。そういう面では、いろいろな面で、財政的あるいは金融面でもバックアップしなきゃいけないと思いますが、いわゆる公共投資十カ年計画という策定計画がございますが、その中でやはり、午前中も同僚議員が言いましたように、特に下水道、公園とかという割合目に見えないというか、余り投資してももうけが少ないというようなところ、あるいは下水道のように下にもぐっちゃってわからないというようなところのものをどんどん引かざるを得なくなってくる。そのことは、やはり引けば引くほど自治体あるいは供給の主体者の方が持ち出しになってくるという形にこれは算術上そうなるわけでございまして、その辺のところを手厚くバックアップしていかないと、なかなか家あって実体が伴わないということになると思います。  したがって、下水道、公園、こういうところの社会資本整備、こういうものを充実するためには、公共投資十カ年計画の中で住宅関連社会資本の整備をやっぱり優先してもらいたいということでございます。だから、財源の重点配分をこういうところに力を入れていただきたい。そういう意味では、特にこれから住宅関係関係閣僚会議も多々行われることと思います、綿貫建設大臣の発言、指導力にすべてかかってくると思います。御決意をお願いいたします。
  220. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今のは下水道とか公園とかというものについての財源を特別につくれというようなお話だと思いますが、今回、公共事業全般につきまして、建設省所管のものにつきましても今までのゼロシーリングというようなものから外れて拡大傾向に今度は持っていきたいというふうに考えておりますので、その中で財源というものも多角的に考えていくべきものだというふうに考えております。
  221. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 これも先ほどの同僚議員の言っているように、常にやはり首都圏移転というものが前提にあって、その上に宅地供給ということが行われるということで、宅地供給だけやって、例えば各省庁の一局、これを地方に移転しようということで今具体的に国土庁の方で進めているそうでございますけれども、そういう基本的なところが進まないと、宅地だけをつくろうという考えも一方の話だけになってしまいますから、常にそういう一極集中を排除するという基本的な全国総合計画の上にのっとった一つのものであるという基本は常に忘れないでやっていっていただきたいなということをお願いして、私の質問を終わります。
  222. 山田勇

    ○山田勇君 我が国の土地住宅関連の法律は約百二十本、これに関連する施行令、施行規則は二百五十本とも言われております。最近ですと、記憶に新しいところでは新住宅整備法案なんかそのうちの一つです。これだけの法律を持ちながら現在の土地価格の高騰、住宅の取得難を招いたことは、先手を打った土地住宅対策がとられてなかったということではないでしょうか。後手後手に回った土地住宅対策について、率直な反省の弁をお聞きしたいと思います。
  223. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 土地対策につきましては、昭和三十年代からいろいろな対策を講じてきております。御案内のとおり、諸機能の地方分散、住宅宅地供給促進土地取引規制とか金融機関に対する指導、あるいは土地税制の活用等でございますが、しかしながら遺憾ながら現在のような地価高騰を招いておるわけでございまして、必ずしも十分な効果を上げてきたとは言いがたいわけでございます。  このために、昨年末、土地基本法の制定もしていただきまして、この法律に基づいて、今後、基本理念や施策展開方向に沿ってさらに抜本的な対策を講じていく必要があると思っております。その際、やはり施策が後手にならないようにすることはもとよりでございますが、国、公共団体ともこの基本理念、施策の展開方向に沿った総合的な、より突っ込んだ対策をこれからさらに考えていかなければならないと思いますし、また事業者、国民の方にもこの土地に関する基本理念を十分御理解いただいて、国、公共団体の施策に協力していただく、こういうことも必要かと存じております。
  224. 山田勇

    ○山田勇君 土地対策の二本柱として、税制の適正化と土地の有効利用促進が考えられますが、既に昭和四十三年に、政府税調が固定資産税評価額の適正化、低・未利用地への課税強化として答申がなされておりますが、この二十二年間、これが生かされなかったと申しても過言ではないと思います。  地価が上がれば上がるほど、企業はその保有地の資産価値が上がります。ひいては政府にも税収がふえるという恩恵があります。結果的に、平成二年度赤字国債発行ゼロの達成にも寄与したという見解もあります。しかしながら、一方では、地価高騰の結果、一般サラリーマンはマイホーム取得は高根の花となり、極端に言えば、国と企業は栄えて民は泣くという図式になっているんではないでしょうか。  総理の諮問機関であります土地政策審議会の問題について先般も触れたと思いますが、この審議会に対する期待は、利害の絡み合う土地問題に対して百年の大計と申しますか、将来を見据えた誤りのない大胆な改革案を示してほしいということだと考えます。国土庁としては、この点についてどのような認識をお持ちでしょうか。
  225. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 御指摘のとおり、土地政策審議会は土地基本法によって新たに設置された審議会でございまして、内閣総理大臣の諮問機関として、土地に関する総合的かつ基本的な施策、さらには国土の利用に関する基本的な事項等を調査、審議するという非常に重要な審議会だと認識しております。  五月二十四日に第一回会議を開催いたしまして、総理から早速、土地基本法を踏まえた今後の土地政策についてのあり方を諮問されたわけであります。この諮問を迅速に調査、審議するために審議会の下に企画部会が設けられまして、審議事項の整理を含めて昨日から検討を開始しております。私どもは、まさに基本法の目的等を実現するためにより基本的な問題についてできるだけ早く審議を進めていただき、御答申をいただきたいと考えております。
  226. 山田勇

    ○山田勇君 今申し上げましたとおり、四十三年に建設省、国土庁が四十九年というふうに土地に対する税制の問題をいろいろ提案なさいましたが、まだ実現に至らなかったということでございます。  韓国では、ことし三月から土地は公のものという土地公概念による新土地法が施行されていますが、その一つであります開発利益遠収法では、民間のデベロッパーは開発利益の五〇%を税として納めることとしているようですが、韓国の土地制度開発制度の違いはあるにしても、開発利益の社会還元という視点は十分検討に値するのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  227. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) ただいま先生おっしゃいましたとおり、韓国では公概念関連法といたしまして開発利益還収に関する法律、超過利得税法、これを本年一月一日から施行しておりますし、また宅地上限に関する法律も三月から施行されていると承知しております。  ただ、我が国と韓国ではやはり社会経済情勢かなり相違している点もございまして、この制度を直ちに日本に導入するというのは困難じゃないかというふうな気がしますが、土地問題の厳しい点では韓国も日本も非常に類似したところがございます。そういう意味で、韓国の取り組み姿勢については十分評価しておりますし、また、これらの法制度の進捗状況等についても今後十分注目していきたいと考えております。  日本でも、基本法におきまして、価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担を求めるというのが基本理念の一つになってございますし、現在、政府で進めております今後の土地対策の重点実施方針におきましても、外部的な要因によって生じた利益等については適切に負担していただく、そういうふうな方向で施策を推進しておるところであります。また、先ほど土地政策審議会の諮問に際しましても、事務局として考えられる課題の一つとして土地に関する負担のあり方があるということを説明さしていただいたわけであります。そういう意味で、今後そういう場におきましても、韓国の制度一つの重要な参考資料として検討さしていただきたいと考えております。
  228. 山田勇

    ○山田勇君 改正法第三条に「投機的取引を抑制して」とありますが、この場合の抑制ということはどのような措置を講じることとしているんでしょうか。また、投機的取引についてこれをどのように把握するのか、この点について関係省庁との連携はどうなっていくのか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  229. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 私ども、今般の法案を御提案申し上げている際に、やはり御指摘のような投機的取引という事例が活発化することについては極めて神経をとがらしているところでございます。そういった認識の中で、御指摘の三条の二項あるいは三条の七というふうな条文を置かしていただいておりますが、率直に現行法で言いますならば、国土利用計画法に基づく監視区域制度、これを積極的かつ濃密に講じていただくということがまず一つございます。  そういった意味で、国土庁との連携は当然のように私どももお願いするところでございますが、あわせまして、やはりこういった行為を行う者の中にしばしば言われますような不動産業を営む者が相当おるんじゃないかという御指摘や御批判もある中でございまして、私ども宅建業者を指導監督する立場にあるわけでございまして、そういった中で個別業界に対する指導というものも強めてまいりたい。  とりわけ今般の法案で、言うなれば市街地開発制度保全の方針という、都市計画の手続の中で重点的に施策を講ずべきいわゆる戦略ゾーンを方向づけすることになっておりますが、こういったところ等については国土法の的確な運用をやっていただくということの論議もお願いしておると同時に、今申しましたように業界に対する指導というものは十分やっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  230. 山田勇

    ○山田勇君 今局長申し上げましたとおり、宅建法とか、国の試験がございますから、そういう中にもこういう新しい法律をどんどんとテスト的に入れられて、少しでも宅建業者がこういう新しい法案に対する理解を示すようにぜひPRをお願いしておきたいと思います。  住宅宅地供給に当たっては、建設大臣が供給基本方針を定めるものとしております。そして、この基本方針に基づいて、東京都、大阪府などで住宅宅地供給計画を決めるものとしていますが、その住宅宅地供給量については具体的に各都府県別に数字を示すのでしょうか。戸数などは明確に示してもらいたいと思いますし、また住宅宅地の価格についても示してもらいたいと思います。少なくとも、平均的な勤労者が手に入れることのできる価格になるよう努力すべきであります。それに、大都市地域内では低廉な公共賃貸住宅供給もあわせて努力すべきだと考えますが、いかがですか。  この点につきましては、先ほど住宅局長の方から、大筋はできますが価格とかその地域とかというのは非常に今の段階では申しにくい、しかしながらその目標に対して努力をするということですから、この辺の御答弁はどうぞ省略していただいて結構でございます。
  231. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 法律の三条の二の二項で、建設大臣が定めます供給基本方針大都市地域全域の供給目標量を示す、つまり新規供給あるいは建てかえも含めて、首都圏で例えば四百三十万戸というような総量を示すことになるとともに、あわせてこの二項の二号でございますが、都府県に係る区域別の目標量を盛り込むこととされています。したがいまして、決めなければならないということでございます。これを受けて、供給計画におきましても供給目標量を今度は都府県に係る区域における地域別にまた定めるというふうに細分化をしていくことになることを予定をいたしております。  それから、今回のこの大都市法改正の大きな目的が、一般の勤労者が手の届くような価格あるいは家賃の住宅供給するということが最大の目的でございますので、その姿勢をどこまではっきり国民に示せるかということにつきましては、先ほど答弁しましたように最大の努力をいたしたいと考えております。
  232. 山田勇

    ○山田勇君 東京圏での住宅の大量供給は現在国民の望む重要な政策課題でありますが、一方では、東京圏への人口集中を抑制するという課題もあります。これは第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総の中での人口増加のフレームにおさめるということになるでしょうか。また、宅地開発協議会に関してのことも質疑したいんですが、まずこの問題についてはどうお考えになっておられますか。
  233. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回の大都市住宅宅地供給対策も、当然ながら四全総が予定しております多極分散型の国土形成政策の中の一環でございます。したがいまして、四全総が予定をしております人口フレームの中で必要な住宅建設量を定めたいということで、お尋ねの件はその中にきちっとおさまっておるということでございます。
  234. 山田勇

    ○山田勇君 宅地開発協議会に関してですが、第四条を若干修正することとしていますが、これまでのこの協議会の運営状況はどうなっていたんでしょうか。うまくいかなかったとすれば、これはどこに原因があったんですか。先ほども同僚議員がいろいろ質疑をしておりました。開かれた回数も十五年間で十何回というようなことなんですが、その点の御答弁と、新たに住宅都市整備公団を加えることになっていますが、そのねらいというのはどういうところにあるんでしょうか。
  235. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) これまでの宅地開発協議会の開催状況はまことにそう積極、活発でなかったということは先ほども御答弁申し上げたような次第でございますが、この事情、理由背景は何かということになりますと、やはり宅地開発問題についての関係公共団体間あるいは関係者の共通認識というものがなかなか醸成されにくかったという経緯が率直にあったと思います。  私ども今般、この辺のところを十分に点検さしていただきながら、今先生御指摘のように第二章という格好で、広域的な供給基本方針を国が関係公共団体と一緒になって十分相談しながらつくるという一つの仕組みを入れさせていただきましたが、やはりこの問題、基本はこのことが非常に大事であるというふうに考えております。要するに、首都圏で言うならば一都四県のエリアについてどうするかということを、関係公共団体が同一のテーブルの上で同じ問題認識の中でもって将来を見据えて十分な協議をするという仕掛けがどうしても必要である、それを引っ張っていく立場として建設大臣が広域方針をつくらしていただくということになるわけですが、こういった基本的な仕組みの中で、今後この協議会は共通的な目標、意識というものを確立することによって活性化するものと私ども思っております。  とりわけ、この協議会は、個別具体の事業展開に当たって非常に重要な意味を持つものでございます。そういった意味で今申しましたような背景整備さしていただいたわけでございますが、同時にその中に、今般、住宅都市整備公団をメンバーとして入れさしていただいております。  これはもう申し上げるまでもありませんが、本当に中堅サラリーマンのためにという大きな政策目標に向けて、最も広域的な主要な供給主体としての住宅都市整備公団が果たすべき役割はますます重い、こういう認識に立っているわけでございまして、公団が積極的に協議会メンバーに入っていただくということの重要性というものを踏まえたものでございます。  なお、この協議会におきまして私ども具体的には個別事業の推進のための協議、推進のために必要な、また解決すべきもろもろの問題の協議ということになりますが、いずれにしても目標の推進に向けての取り組みと、さらに具体の供給促進のための協議というものをしっかりとこの場を通じてやってまいりたいと思っております。
  236. 山田勇

    ○山田勇君 これまで住宅団地や宅地供給が阻害されてきた原因に、都市基盤整備のための財源不足があったと思うんですが、これがまた宅地開発等指導要綱によるいろんな負担要求になっていたと考えます。建設省としては財源措置をどのように考えていますか、また財政当局との調整はどうなっていますか、その点をお聞きいたします。
  237. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先生御指摘のとおり、住宅を建てます場合に、その基盤となります公共施設というものはぜひとも必要でございます。かつ、土地を高度利用いたそうと思いますとなおさらのこと、基盤整備をしっかりしなきゃならぬわけでございます。従来から、こういうことのために通常事業をできるだけしっかりと施行していただくということに加えまして、別枠で補助を行います住宅宅地関連公共施設整備促進事業あるいは宅地開発事業者による立てかえ施行制度等を整備いたしまして、これを活用して地方公共団体の負担をできるだけ軽減するということで努力をしてきたところでございます。  今回、この大都市法改正によりましてこれから住宅地供給促進しようということでございますので、これまで以上にこの関連公共施設の整備というものが重要になってくると思います。私ども、今財政当局と調整状況いかんということでございますが、大都市法の成立がお願いされました後には、当然のことながらその必要量をしっかりと関公促進費で確保いたしまして、財政当局と腰を据えて頑張ってまいりたいと存じます。
  238. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。局長の力強いお言葉でございました。  大都市地域住宅宅地供給については、ほかにも大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法とか、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法といった法制度があるわけですが、これらによる効果はどうなっていますか。
  239. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 首都圏大都市地域での宅地供給、とりわけ大規模なといいましょうか計画的なニュータウン整備ということを主軸に念頭に置かしていただきました関係法として、今先生御指摘のように一昨年にいわゆる優良法、これをお認めいただきました。これにつきましては、ほぼ二年間たっているわけでございますが、私どもこれを裏づけするような関連税制整備あるいは住宅金融公庫の融資条件の改善、さらにはまた関連公共施設の整備あるいは開発強化についての関係公共団体に対する指導、協調、こういったことを積み上げながら現在までに十八事業、面積にして千百十三ヘクタールの事業について大臣認定を行わしていただいております。率直に言いまして、二年の期間割合と順調に進んでいるなという感想を持ちながらこの促進に当たっているところでございます。  それからもう一つ、いわゆる常磐新線を念頭に置きました宅地開発と鉄道整備一体の関係法でございますが、これは昨年の九月から施行されております。このことについては関係公共団体、とりわけ茨城県、千葉県、埼玉県等の県当局あるいは関係市町におきまして用地の先行取得のための予算措置あるいは具体の買収、こういったことを基金等を置きながらそれぞれ進められております。できるだけこういった地域区画整理手法によってやるということでございますので、先買い的な土地の手当てが非常に大事でございまして、その関係での税制面の手当てあるいは金融公庫の融資等の手当ても私どもさしていただいておりますが、基本の第三セクターといいましょうかいわゆる鉄道整備主体、この設置については残念ながら今現在もまだ明確に答えが出ておりません。  ただ、これについてはいろいろの約余曲折を経ておりますが、現在、関係公共団体と運輸省の間で精力的に詰めが行われております。遠からずこの辺も決着がつけられるものと私ども期待しながら、ともあれ用地の先行取得について公共団体の積極的な姿勢についていろいろと御支援させていただきたいと考えているところでございます。
  240. 山田勇

    ○山田勇君 最後の質疑をさしていただきます。  時間がようけ余っているやないかと思われるでしょうが、なるべく重複を避けて随分原稿をこちらへ移したら、もう最後にこれだけが残りました。そういうことでございます。  最後の質疑でございます。  三大都市圏について住宅宅地供給の基本方針がこの法改正で策定されるわけですが、これま・で自治体主導で行われてきた住宅供給について、国が供給目標値を示すなど、国の責務が明確になるわけでございます。今度こそという大臣の決意をお聞かせいただきまして、私の質疑を終わります。
  241. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 大都市地域住宅問題の解決のためには、都府県の区域を越えた広域的な観点からの取り組みが必要だというふうに考えております。このためには、国が関係地方公共団体などと一体となって大都市地域において住宅宅地供給促進を図ることが重要であると考えております。建設大臣が供給基本方針を定めることとし、国が主導的役割を持つことに明確に今回はいたしたものでございまして、今後、法案の成立を待ちまして早急に供給基本方針及び供給計画を策定し、これらの達成のため住宅宅地供給事業の実施、関連公共施設の整備等、必要な措置を積極的に講じてまいる所存でございます。
  242. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会