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上田耕一郎君 いや、私がさっき出したのは、つまり六千円実際にはもらっているのに
調査には六千円より低く出るんです、この土工の場合。そのまことに低い
調査であなた方は三省協定賃金なるものを決めて、それで設計労務単価を決めちゃうわけでしょう。そのために、予定価格は実際より乖離しちゃうんですよ。その実態を、あなたは
局長なんだから口でそういう基本的になどと言うんじゃなくて、そのために今公共
事業の赤字というのがふえているんだから、公共
事業のレベルが下がったら
国民全体の問題なんですから、そこをやっぱりもっと真剣に、私にどううまく答弁しようかとかいうんじゃなくて、この事実に対して
建設省としてどういうふうに取り組むかということが問題なんです。
それで、実際低いもので予定価格が決まるでしょう。ところが、それからその次の大問題が起きるのは、これは重層下請構造ですよ。中建審の今度の第三次答申もこの元請下請構造、この構造改善を最大のテーマとして書かれていますわな。だから、元請が受注して下請にやっていくわけでしょう。ところが、一次、二次と重層でいくでしょう。どういうことになるか。下請
契約は普通材工込みというので行われて、材料費それから工賃、
経費、これが込みなんですよ。それで、型枠の場合は平米当たりとか鉄筋の場合はトン当たりとかいって、それで単価が決まるわけでしょう。それを下請におろしていきますから、つまり賃金と
経費が込みなんですよ。賃金がこのうち幾らなんというので下へおりていくわけじゃないわけだ、賃金と
経費が込みで行くわけだ。それで、利潤なんていうのは計算してありませんから、それでだんだん下へ行くたびに中間マージンは取っていきますわね。
そこで問題になるのは
経費率の問題、
経費率というのがやっぱり実態と非常に違っているということであります。ある雑誌に、「
建設政策」というさっき言った研究所が出し始めた雑誌ですけれども、「私はゼネコンの
建設現場におります」という岡本さんという方が実態を言っている。一般管理費として払う金は一六%、しかし下請からの報告では四〇%、私のこれまでの経験では大体三五から三六%かかる。だから
経費率二〇%なんて言われているんだが、実際には三五、六%、四〇%かかっているケースが多いというんです。これは福利厚生費なんか入っていますからね。
ところが、
経費と労賃込みで受けているわけだから、そうすると
経費が実際に上がると労賃を削るしかないわけですよ。労働
強化やらすか労賃削るかですよ。だから、重層下請構造でもともとさっき言ったように実勢価格より低い労賃の単価で決められたものを受けて、それを下請でやっていくと、中間マージン取っていきますから、実際に
経費率が高いと労賃を削るわけですよ。だから、大体このゼネコンの
建設現場の方は、私が見るところでは元請の
契約単価の六、七割で労働者に支払われているようですと。重層下請の問題がある。二次、三次下請の労働者は、中間マージンを取られて、手に渡るのは六割から七割の労賃だということになっていくんですね。
建設一般の
北海道の労働組合が
調査した数字がありますけれども、これは一般土工の場合で千三百六十一名調べて、加重平均八時間で七千四百九十円、これは男です。女性の場合には五千三百九十三円。三省協定賃金の軽作業員の六千二百円よりも八百円まだ安い。実際には、本当にそういう低賃金で働かされているような
状況がやっぱり生まれていくんですね。
ですから、この第三次答申に重層下請構造にどう取り組むかと書いてあるんだが、やっぱりこの問題点を考えなければならない。労賃と
経費の込みで、しかも下請へだんだんおりていくと、利潤なんて考えてない。それが結局労働者にかぶさっってくるという、三省協定賃金が実行されていくプロセスで、
建設業の特別な仕組みからこういう驚くべき
状況になっている実態、これを御存じかどうか。ここをどう改善するかという根本問題が今出されていると思うんですけれども、その点
局長どうお考えになりますか。