○
上田耕一郎君 このアエラには、澄田前日銀総裁のインタビューが載っている。「後の二回は、私の決心が大きな要因だったとはいえる。」、澄田前日銀総裁は余り相談しないで一人でやったと。それで
質問は「八七年二月の五回目の利下げは宮沢蔵相から要請があったのですか。」、どう答えているか。「宮沢氏が利下げを強く希望していた、ということは私も知っていた。それ以上は言えないが。宮沢氏は、四回目の時も五回目の時も、これ以上の円高が進むのは食い止めなければいけないと強く思っていて、公定歩合引き下げを強く望んでいるという空気は私も察していた。」というんです。
つまり、宮澤大蔵
大臣と澄田前日銀総裁のツーカーの
関係で強く知っていたので、彼の決心でやったんですよ。その結果、あの金融の緩和が超金融緩和
政策で猛烈な
地価暴騰の資金がどんどん出ていったんですよ。そうすると、これは日銀だけの問題じゃなくて、当時の
大蔵省、宮澤
大臣に
責任がある。
なぜ宮澤さんはそういうことをやったのか。八五年九月のプラザ合意のツケですよ。八五年九月のプラザ合意でアメリカがぱっと
政策転換して、ドル安円高に切りかわった。あの猛烈な円高が日本で進んだじゃありませんか。それで、余り円高が進むので
大蔵省はドル買いに出るわけだ、日銀に言って。日銀は猛烈なドル買いをやったんですよ。
もう時間もありませんから、詳しく言いません。前にもちょっと引用したことがありますけれ
ども、東経大の宮崎義一教授の岩波新書「ドルと円」が詳細にこの経過を分析している。アメリカ側ベーカー財務
長官による口先介入、口先でドル安でいいと言うと、ぽんぽん円高になるわけです。アメリカは口先介入でいいけれ
ども、こっちは日銀の介入ですよ。八六年だけで日銀の外為特別会計の支払い超過分が四兆三千五百十億円に達した。この円資金の流出が当然マネーサプライを一・四%分上昇させた。こういうものが大企業の投機熱や、転売によって
利益をねらう
地上げ屋の横行につながっていったということを宮崎教授は詳細に分析しているんです。
こういうことになりますと、結局八五年九月、これは竹下蔵相だ、アメリカの言いなりになってプラザ合意をやって、二百四十円が何と百五十円までぴゃっと行くんですから。円高でどれだけ日本の輸出関連中小企業やなんかがひどい目に遭ったか、これはもう皆さん御存じだ。ところが、それに目を奪われている間に、日銀が主導して大企業の持っておるドルを外為特別会計を使って買う。そうすると円資金が、どんどん
過剰流動性があふれ返って、それで超金融緩和
政策でしょう。これはもう大変なことになって、世界で日本だけの
地価暴騰が起きるんですよ。こういう原因がなければ、世界で
東京でだけ
地価暴騰が起きるわけないじゃないか。あのプラザ合意のツケを、輸出関連の中小企業や機械中小企業、下請企業だけでなくて、特に
東京の都民が、また中小企業が全部
地価暴騰という形でかぶせられたんですよ。それが今、日本全国に広がっているんだから。
だから、やっぱりこういう大問題――日本共産党はすぐ日米軍事同盟を持ち出すと言うけれ
ども、こういうとんでもないことをやらされるのは、これはアメリカの第五十一州のような安保に基づく従属
関係があるからなんですよ。だから、金融的従属もやる、機関投資家がドルを売れば今度は日銀が出ていく。日銀が出るについて日銀で討議もしないで、大蔵
大臣に言われたんだかツーカーだか知らぬけれ
ども、総裁個人の決心で二回もやったというんですよ。それ以来、二・五%の公定歩合がずっと続いていくわけでしょう。
だから、斎藤さんが、自民党の議員だけれ
ども、泥棒が逃げてから縄をなってもしようがないじゃないかということを
委員会でおっしゃったんだけれ
ども、そういうまことに恥ずかしい日本の金融
政策の大失敗、
土地政策の大失敗が国家的規模で起きたんです。だから、そういう問題を本当にみんなで追及して、これを直させなければ
地価問題は手がつかないんですよ。
だから、私は
政府の
責任を追及したいんだけれ
ども、ここには総理
大臣もいないし大蔵
大臣もいないので、日銀に対しては、これは融資規制を
徹底するために、
土地融資、
土地投機の
実態の公表、ノンバンクに対する規制のための法
改正、日銀の窓口規制の
強化、投機資金の回収、
土地担保の制限、こういうものにもやっぱり踏み切っていくイニシアチブを発揮しなければこれまでの誤りの
責任をとったことにならぬと思うんですが、いかがでしょうか。