○大浜
方栄君 次に、私は厚生省に対して、せんだって発表になりました
昭和六十三
年度の社会保障給付費の件について御
質問を申し上げます。
発表によると四十二兆二千七百七十七億円になっておりまして、その特徴は本
年度初めて年金が五〇%超えたということでありまして、医療が三九・一%、その他の部分が一〇・七%でございます。このその他の部分というのが欧米先進諸国、特に北欧等に比べて最も低いとされている、いわゆる公共福祉サービスの部門でございます。ちなみに各先進諸国におけるその他の社会保障の部分を比較してみますと、いずれの部分でも二倍三倍、こういうぐあいになっているのは御高承のとおりであります。医療と年金は二倍になっておって、その他の部分は十倍である。私は、
日本の医療保障は世界のトップレベルをいっている、こういうぐあいに
認識をしております。しかしながら、その他の部分、いわゆる老人ホームとか障害者の施設とか失業手当、児童手当、生活
保護等をひっくるめた公共福祉サービスがどうしてもおくれているのだと。私がそれを申し上げるのは、私は一九六四年からほとんど毎年のようにアメリカ、ヨーロッパ、北欧等を回っておりまして、先月も北欧を回ってみましたけれ
ども、エコノミックアニマルと言われるぐらい経済力は持っていながら、医療保障もトップのレベルにありながら、こういう公共福祉サービスが劣っているということを私は痛切に感じているのでございますが、今後の
日本の医療保障に次いで今言った公共福祉サービスを上げるには、どうしてもその部分を充実しなければいけない。言ってみると
日本の社会保障の新たなる方向づけのときに来ている、私はこういうぐあいに思っております。
それで、厚生省、津島厚生大臣を初め皆さん方、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランに向かって精魂を傾けておられますけれ
ども、このゴールドプランができるかできないかということは、私はもう一にかかってスリーM、スリーMというのはマンパワー、マネー、それからマインド、この三つのことを言いますけれ
ども、この三つをどういうぐあいに予算配分をしていくか、力を入れていくか、こういうぐあいに思っております。
それで、私が厚生省にお伺いしたいことの一つは、この中でも特にマンパワーの問題をきょうは重点的に御
質問をさせていただきたいのでございます。
私は、一九六七年に初めてデンマークのエージドタウンを見た。それからまた一九七四年にも行きまして、その後も行っておりますけれ
ども、少なくとも十年ぐらい前から北欧ではスリーMのうちツーM、マネーはいいんだ、マインドもいいんだ、これから先問題になるのはマンパワーだということを言っておりましたけれ
ども、やっぱり私は、
日本も金はどうにかなるだろう、こう思います。それからマインドの方もどうにかなると思うけれ
ども、マンパワーというのはなかなかうまくいかないんじゃないか、こう思っておりまして、その一つの例として、看護婦問題が今大きな問題になっていますけれ
ども、北欧と比べてみますと、今厚生省は訪問看護を充実しよう、在宅ケアを充実しよう、こういうことをやっておられますけれ
ども、訪問看護婦の力は
日本の三十八倍あるんですね。そうすると、ホームヘルパーが
日本の十五倍向こうはある、そういうような
状況で看護婦問題の現状を考えてみると、非常に憂慮にたえないものがある。もう私が気づいてからでも二、三十年来看護婦不足の問題を言っていながら、なかなか実を上げていないというのが現状でございます。
それで看護婦問題を論ずる場合に、私は結局、厚生省の現在の政策のあり方をそのものずばりで言わせていただくならば、とにかく規制緩和の一語に尽きる。世界はもうすべてボーダーレスエコノミーとかいろんなことを言われる。国境がないのにまだ看護婦
問題等では行政の中ではいろんな規制が厳しいという一語に尽きる。例えて申し上げると、校舎等の設備、実習施設の規制がなかなか厳しくて従来どおりで、世の中が変わっているのにこの規制は同じような状態。母性実習の実習病院、これが年間二百五十例以上ないといかぬと言われているけれ
ども、今の子供を少なく産む時代に、年間二百五十例上げているという産婦人科の病院というのはないんです。私は沖縄の那覇市ですけれ
ども、那覇市で調べたところ、一カ所あるかないかという状態で、これは私のところに言うてきていますけれ
ども、そういう状態である。それから、数え上げればたくさんあるんですが、看護学校をつくった場合の体育施設、大都会の真ん中でこういう土地の高いところで体育館なんかつくれない。体育館をつくれなければどこかよそを借りてもいいよということになっておるんですね。なっておるけれ
ども、これもまた学校と体育館との距離の問題、時間の問題があるから、そういう規制も緩和をしていただきたい。
それからもう一つは、補助金をもっと出してもらわにゃいかぬ。運営補助金。これは私の記憶では、正看が今国立が七〇%から七五%ぐらいですかね。民間の医療
機関がつくっているのが二〇%から二五%。准看護婦のごときは七五%から八〇%で、全部私的医療
機関あるいは医師会等でつくっていながら、この生徒一人当たりの運営補助金が国立の場合には十六万二千六百五十円、それから私立その他の場合には二万七千二百円で二割にも足らない、こういうような状態なんですよね。それで、私はぜひそういった規制緩和の問題、それから運営補助金の
問題等をひとつこの際考えていただきたいということが一つ。それからもう一つは、准看護婦から正看への道を開くべきである。むやみやたらに開くんじゃなくて、一定の教育を施して、そしてカリキュラムをきちっと終えた者に対しては国家試験を受けるという資格を与えるということですからね、こういうことでもやっていくべきである。
こういうぐあいに思っておりますので、ぜひ今の三つの問題に対して厚生大臣の御意見をお聞かせいただきたいと、こう思うわけでございます。