○高桑栄松君 今の
お話を伺いながら私
一つ思い出したのですが、さっき申し上げたもう三十年くらい前にアメリカへ留学したときに、ジョンズホプキンス大学に行ったのですが、そこの大学院の
先生をしておられたドクター・アンナという女性でございましたが、この人が私に自分の
実験を見せてくれたわけです。
私は別な
意味で大変感激をしたんですが、一九五五年の話ですか、この人は六価クロムの発がん性
実験を、鼻中隔に穴があきますよね、四年間やってとうとうがんはできなかった、私は四年間やってマイナスの
データを出したと。それで、しかしよくやったなと。やっている方は出た方がおもしろい。おもしろいと言ってはおかしいが、アピールするわけだ。マイナスというのはアピールしませんからね。それでよくこのドクターはやったなと思ったんです。ついここ数年来
我が国でも六価クロムの肺がんというのが非常に問題になってきて、今やもうそれはみんなが認めているわけです。そういう
状況で、六価クロムの訴訟のときアメリカからこのドクター・アンナさんが
日本に来まして、私もお会いしました。女性でございます。なかなか美人でございまして、年輩になっておられましたが大変きれいなお方で私は好意を持ってお会いをしたわけでございますが、今、世界の六価クロムがんの大家になっておられます。
だから、がんというのは四年の年月をかけてもがんにはならないが十年たったらなるかもしれない。ですから、肺の中にそういう病変を起こしたということは、私はこれは前から
指摘はしてあるんですけれ
ども、窒素酸化物にしても浮遊
粉じんにしても、肺に何らかの
影響が与えられるようなものは将来慢性的な
経過をたどってやはりがんというものに行き着くのではなかろうか、今までの
経過が大体そうでありますから。私はだからこれはやっぱり大変なことだと思うんです。
ですから、因果関係がはっきり証明されなくても疑わしきは罰するという
環境庁の環境行政の方針があるわけです。犯罪なら疑わしきは罰しないでしょう。環境行政は疑わしきは罰しなきゃだめなわけだ。罰するという言い方は悪いですが、排除する。ということで、私は肺の
線維化が進んでいるということはやっぱりその
内容がベンツピレン等の発がん物質がある。それから珪素も入っているんですね。だから
線維化も進むはずです。だからじん肺にもなり得るわけです。
そういう
データを
考えますと、今回
環境庁がこの
法律を出されるに当たって根拠となったのはやはり健康保護である。私は予防医学を専攻してきた一人としましても、これはむしろ非常にはっきりした
データだと思うんです。経済的な効果ではないと思う。これはもうはっきり健康障害に対してどう予防するかということだという
意味で、私は
全面禁止を主張したいんです。やっぱり混在をしていてはいけない。安全の上からも
スパイクと
スタッドレスが混在してはいけない。今は、ですからこの
法律は
全面禁止への
一つのステップだと私は見ています。そうでなければいけないと思うんです。ですから、
法律が通ったから安心する、
環境庁はほっとなさらないで、やっぱりできるだけ早く
全面禁止に持っていくということが必要ではないかと思うんです。それである人は、この
法律は中身を見ると胸を張って倫理を主張している宣言
立法ではないか、効果のほどはどうなんだろうかというふうなことまで言って欠点を
指摘する人もいるわけです。でも私はワンステップだと思っていいと思っています。
ですから、今申し上げたように、私は
全面禁止へのワンステップだと思っておりますが、大臣はこれについてどのような熱意を持って取り組んでいただけるか、それをお伺いして私の
質問を終わらせていただきたいと思います。