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1990-04-25 第118回国会 参議院 環境特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二年四月二十五日(水曜日) 午前十一時開会 ─────────────
委員
の
異動
三月六日
辞任
補欠選任
石井 一二君
森山
眞弓
君 四月十三日
辞任
補欠選任
久保田真苗
君
本岡
昭次
君 四月十六日
辞任
補欠選任
本岡
昭次
君
久保田真苗
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
大森
昭君 理 事 松浦 孝治君
森山
眞弓
君
清水
澄子
君
広中和歌子
君 委 員 井上 章平君 石川 弘君 石渡 清元君 山東 昭子君
須藤良太郎
君 原 文兵衛君 山崎 竜男君
久保田真苗
君 國弘 正雄君 篠崎 年子君 沓脱タケ子君 中村 鋭一君 山田 勇君
国務大臣
国 務 大 臣 (
環境庁長官
)
北川
石松
君
政府委員
公害等調整委員
会委員長
勝見
嘉美
君
公害等調整委員
会事務局長
高島 弘君
環境政務次官
木宮 和彦君
環境庁長官官房
長
渡辺
修君
環境庁長官官房
審議官
高橋 光男君
環境庁長官官房
会計課長
梅沢 泉君
環境庁企画調整
局長
安原
正君
環境庁企画調整
局環境保健部長
三橋 昭男君
環境庁自然保護
局長
山内 豊徳君
環境庁水質保全
局長
安橋
隆雄君
事務局側
第二
特別調査室
長 宅間
圭輔君
───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する
調査
(
公害対策
及び
環境保全
の
基本施策
に関する件) (
平成
二年度
環境庁関係予算
に関する件) (
平成
二年度各
省庁
の
環境保全関係予算
に関する件) (
公害等調整委員会
の
事務概要等
に関する件) ─────────────
大森昭
1
○
委員長
(
大森昭
君) ただいまから
環境特別委員会
を開会いたします。 まず、
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い現在
理事
が二名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大森昭
2
○
委員長
(
大森昭
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
森山眞弓
君及び
清水澄子
君を指名いたします。 ─────────────
大森昭
3
○
委員長
(
大森昭
君)
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。
公害対策
及び
環境保全
の
基本施策
について、
北川環境庁長官
から
所信
を聴取いたします。
北川環境庁長官
。
北川石松
4
○
国務大臣
(
北川石松
君) 二月二十八日付で
環境庁長官
及び
地球環境問題担当大臣
を拝命いたしました
北川石松
でございます。 第百十八回
国会
における
参議院環境特別委員会
の御
審議
に先立ち、
環境行政
に関する私の
所信
を述べ、
委員各位
の御理解と御
協力
をお願いいたしたいと存じます。 最近の
内外
の
状況
を見ますと、二十一
世紀
を目前にいたしまして、
世界
全体が大きな転換期に直面し、新たな価値と
行動
の模索が始まっております。 特に、近年、
オゾン層
の破壊、
地球
の
温暖化
、
熱帯林
の
減少等
の例に見られるように、
人類
にとってかけがえのない
地球
が病んでいる
状況
にあります。
地球環境
問題は、全
人類
の
生存基盤
にかかわる重大問題であり、国は異なれども
地球
は一つの
考え方
に立って、
国際社会
の
構成員全員
が一致して取り組むべき緊要な
課題
となっております。 一方、国内の
環境
問題に目を転じてみますと、
窒素酸化物
による
大気汚染
、
生活排水
による
水質汚濁等
の問題は
改善
がはかばかしくなく、また、さまざまな
有害化学物質
による
環境汚染等
の問題も広がりを見せております。 さらに、余暇時間の増大や
国民
の意識の
変化
に伴い、自然との
触れ合い
や快適な
生活環境
の
形成
の面でもさまざまな
課題
が生じてきております。
我が国
が高度な
経済活動
を営み、
世界経済
が
相互依存
を深めていく中で、
国民
一人一人の
生活
は
地域
のみならず
地球
の
環境
に大きなかかわりを持つに至っており、
地球的規模
で考え
地域
から
行動
をとの
考え方
に立って、
地域
の
レベル
から
地球
の
レベル
に至るさまざまな
環境
問題に対し、一貫した包括的な
環境政策
が求められております。 以上の認識を踏まえ、私は、次の
重点施策
の実現に邁進してまいりたいと存じております。 第一に、
地球環境保全
のための積極的な
役割
の発揮であります。
地球環境保全
に関する
関係閣僚会議
で明らかにされた
基本方針
を踏まえ、
我が国
の
国際社会
に占める地位に応じた積極的な
役割
を果たしてまいりたいと存じます。 このため、
地球温暖化等
に関する国際的な
対策
の
枠組みづくり
に積極的に取り組む
所存
であり、先日、アメリカで開かれました
ホワイトハウス会議
でも、
日本政府
を代表して
地球環境
の問題に対する
政策対応
、さらに
調査研究等
を含めた国際的な
協力
のあり方について
所信
を述べ、今後の
方向
についての
合意形成
のため積極的な
役割
を果たしたところでございます。 また、
地球環境
に関する学際的、国際的な
調査研究等
を
強化
するため、
政府
全体の
総合推進計画
その他
内外
の
研究動向
を踏まえつつ
地球環境研究計画
を
策定
し、これに基づき
所要
の
研究費
を配分して総合的な
研究
を
推進
いたします。 さらに、
オゾン層保護対策等
を積極的に
推進
するとともに、
熱帯林
の
保護等開発途上国
への
支援
の拡充に努めてまいります。 これらにあわせて、
地球環境
問題についての
総合調整機能
を
強化
するため
環境庁企画調整局
に
地球環境部
を新設するとともに、
国立公害研究所
を
国立環境研究所
に改組し
地球環境研究センター
を新設するなど、
地球環境保全施策
を総合的かつ強力に進めるための
組織体制
の
整備
を
推進
してまいります。 第二に、
自然環境
の
保全
と適正な
利用
の
推進
であります。
日光国立公園尾瀬地区
など
自然環境
がすぐれ、
利用者
が集中する
地域
についての
国立公園管理
の
充実
を図ってまいります。また、自然との
触れ合い
の増進のため、
野生生物
の観察など体験型の
自然利用
の
推進
を図るとともに、
東北自然歩道
の
整備
を開始するなど
自然公園施設等
の
計画的整備
を積極的に
推進
します。 また、
野生生物
の
保護
、
生態系
の
保全
などの
施策
を体系的かつ強力に
推進
してまいります。 この一環として今
国会
に
自然環境保全法等
の一部を改正する
法律案
を提出させていただいておりますので、速やかなる御
審議
をよろしくお願いいたします。 第三に、
都市環境保全対策
の
推進
であります。まず、
大都市地域
における
窒素酸化物
による
大気汚染
の
改善
を図るため、
ディーゼル車
から排出される
窒素酸化物
について
規制
の
強化
を図るとともに、低
公害車
の
普及
、
最新規制適合車
への
代替促進等
に努めます。 また、家庭からの
生活排水
が
水質
の
汚濁原因
の大きな比重を占めるに至っており、総合的な
生活排水対策
の
実施
が急務となっております。このため、今
国会
に
水質汚濁防止法等
の一部を改正する
法律案
を提出させていただいておりますので、速やかな御
審議
をよろしくお願い申し上げます。 さらに、
都市生態系
の
再生
・
保全
に向けた
施策
の
展開
を図るなど、
都市地域
における
環境資源
の
計画的管理
を
推進
いたします。 第四に、多角的な
環境保全施策
の
積極的推進
であります。
我が国
の
社会経済構造
や
国民
のライフスタイルを
環境
への負荷の少ない
地球
にやさしいものへと改め、
地球時代
にふさわしい
環境倫理
の確立を図るため、
環境教育
を初めとする諸
事業
の効果的な
推進
に努めるとともに、
平成
元
年度補正予算
に基づく
助成
を受けて
全国
の
都道府県
及び
政令指定都市
に
設置
された
地域環境保全基金
による
地方公共団体
の
施策
と連携しまして、
国民
的な
環境保全活動
の
全国
的な
展開
に努めたいと存じております。 また、
公害防止計画
、
地域環境管理
、
環境影響評価
、
公害防止事業団事業等
の多角的な
環境保全手法
を積極的に活用したいと存じます。 第五に、
公害防止施策
の
推進
であります。安全で良好な
環境
の確保のため、
有害化学物質等
による新たな態様の
環境汚染
の
未然防止
を図るとともに、
環境基準
の達成に向けての
各種公害対策
を強力に
推進
いたします。
大気汚染対策
のうち、
スパイクタイヤ対策
については、
スパイクタイヤ粉じん
の
発生
の
防止
のための
措置
を法制化すべく
政府
内で鋭意検討を進めているところであります。 また、
アスベスト対策
、
浮遊粒子状物質対策等
についても一層の
推進
を図る
所存
であります。
水質保全対策
につきましては、
東京湾等
の
水質総量規制
を積極的に
推進
するとともに、海域における
富栄養化対策
、
湖沼水質保全対策
を進め、さらに、内海の
保全
と
利用
についての
国際会議
を開催するなど、
閉鎖性水域
の
環境保全施策
の
推進
に努めてまいります。 第六に、
環境保健施策
の
推進
であります。
大気汚染
の
影響
による
健康被害
を
未然
に
防止
するため、
健康被害予防事業
の
推進
や
大気汚染
と健康との継続的な
監視体制づくり
などの総合的な
環境保健施策
に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 また、
健康被害
の
救済
にも引き続き万全を期してまいります。特に、
水俣病対策
につきましては、
認定業務
の一層の
促進等
に努めてまいります。 以上、
環境行政
の主要な
課題
と今後の
取り組み
の
基本的方向
について
所信
を申し述べさせていただきました。
環境
がますます重要となっている今日、この
日本
と
地球
の
環境資源
を私
たち
の
世代
で使い切ることなく、美しく住みよいものとして私
たち
の子孫に引き継いでいくことが
環境行政
に与えられた重大な使命であります。私は、来るべき二十一
世紀
に向けて、次の
世代
に誇り得る
環境行政
の
推進
に心がけ、
各界各層
の
国民
と手を携えて最大限の努力をいたしてまいる
所存
でございます。 何とぞ、本
委員会
及び
委員各位
におかれましては、
環境行政
の一層の
推進
のため、今後とも御
支援
、御
協力
を賜りますようお願い申し上げます。
大森昭
5
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、
平成
二年度
環境庁関係予算
及び
平成
二年度各
省庁
の
環境保全関係予算
について、順次
説明
を聴取いたします。
渡辺官房長
。
渡辺修
6
○
政府委員
(
渡辺修
君)
平成
二年度の
環境庁関係予算案
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。
平成
二年度
総理府所管一般会計歳出予算要求額
のうち、
環境庁予算要求額
は四百九十六億八千四百二十二万円であり、これを前年度の当初
予算額
四百八十四億五百九十二万円と比較すると十二億七千八百三十万円、二・六%の
増額
となっております。
予算要求額
の主要な
項目
について御
説明
申し上げます。 第一に、
環境保全
の
企画調整等
については、
地球温暖化
を初めとして
地球環境
に関する学際的、国際的な
研究等
を計画的に
推進
するための
地球環境研究計画等
の
策定
及び
開発途上国
の
環境援助促進
のための
基盤整備等国際協力
の積極的な
推進
に努めるほか、
国民各界各層
に対する
環境教育
の
強化
、
都市生態系
の
再生
や快適な
町づくり
の
促進
を図るとともに、
環境影響評価
及び
公害防止計画
の
策定
の
推進
に必要な
経費
など、合わせて七億七千七百三十二万円を計上しているところであります。 なお、これらとあわせて、
地球環境
問題についての
総合調整機能
を
強化
するため、庁内の
関係事務
を一元化し
企画調整局
に
地球環境部
を新設することとしております。 第二に、
公害
による
健康被害者
の
救済等
については、従来に引き続き、
公害健康被害補償制度
の適正かつ円滑な
実施
を図るとともに、
公害健康被害補償予防協会
に設けられている
基金
を活用した
健康被害予防事業
や総合的な
環境保健施策
を
推進
するほか、
水俣病
の
認定業務
を一層
推進
することとし、これらの
経費
として二百二十七億七千五十二万円を計上しております。 第三に、
大気汚染等
の
防止
については、
窒素酸化物対策
として、
自動車排出ガス
の
規制
、低
公害車
の
普及推進等
を進めるほか、
オゾン層保護対策
として、
フロンガス等
の
監視
及び
調査研究
の
推進等
、
酸性雨対策
として
監視測定体制
の
整備
に努めるとともに、
アスベスト対策
及び未
規制大気汚染物質対策
の
推進
を図ることとしております。 また、
騒音
、振動及び
悪臭対策
についても一層の
推進
を図ることとし、これらの
経費
として七億九千四百二十二万円を計上しております。 第四に、
水質汚濁
の
防止
については、
生活雑排水対策
及び
地下水質
の
保全対策
を
推進
するほか、
東京湾
の
環境保全
、
水質総量規制
の
推進
、
汚濁河川対策
、
湖沼水質
の
保全等
の
対策
を
推進
するための
経費
として七億九千八百十四万円を計上しております。 このほか、
地盤沈下防止
及び
廃棄物対策費
として一億千百七十九万円、
土壌汚染防止
及び
農薬対策費
として一億五千四百十一万円をそれぞれ計上しております。 第五に、
公害防止事業団
については、
事業団
の
事業運営
に必要な
事務費等
の
助成費
として三十六億三千八百十五万円を計上しております。 第六に、
公害監視等設備
の
整備
については、
地方公共団体
の
監視測定体制等
の
整備
を
助成
するために必要な
経費
として七億六千九百四十四万円を計上しております。 第七に、
環境保全
に関する
調査研究
の
推進
のための
経費
については、
総額
四十三億千七百七十五万円を計上しております。 この
内訳
としては、まず、
国立試験研究機関等
の
公害防止等試験研究費
として十九億二千八百四万円を
環境庁
において一括計上するとともに、
環境保全総合調査研究促進調整費
として一億七千五百万円を計上し、
関係省庁
が所管する
各種
の
環境保全
に関する
調査研究
の
総合的調整
を行うほか、新たに
地球環境研究総合推進費
として十二億円を計上し、
関係省庁
の所管する
国立試験研究機関等
が行う
各種
の
地球環境保全
に関する
調査研究
の
総合的推進
を図ることとしております。 また、
地球観測衛星ADEOS
に搭載する
成層圏オゾン等
の
観測機器
の
開発
、
光化学スモッグ
や
公害
による
健康被害
の解明、その他
大気汚染
、
水質汚濁
、
自然保護等
に関する
調査研究費
についても十億千四百七十一万円を計上し、必要な
調査研究
を進めることとしております。 第八に、
自然環境
の
保全対策
及び
施設整備
について申し上げます。 まず、
自然環境
の
保全対策
及び
自然公園等
の
維持管理等
については、
自然環境保全基礎調査
を初めとする
調査研究
を
実施
するとともに、
国立公園等
の
保護管理
の
強化
を図ることとしております。 また、
野生生物
の
保護対策
については、絶滅のおそれのある
野生生物種
の
監視調査等
を
実施
するとともに、
国設鳥獣保護
区の
管理強化等
を図ることとしております。 これらに必要な
経費
として、合わせて十六億四千四百七十一万円を計上しているところであります。 次に、
自然公園等
の
施設
の
整備
については、
国立
・
国定公園
の
利用施設
や
長距離自然歩道等
の
整備
に必要な
経費
として二十九億七千四百六十二万円を計上しております。 第九に、
国立公害研究所
については、
地球環境問題等環境全般
にわたる
研究
の一層の
推進
を図るため、
地球環境研究センター
の
設置
など
体制
の
強化
を図り、
国立環境研究所
に改組するとともに、
環境
に関する
研究
と
研修
の緊密な連携の
観点
から
公害研修所
を統合する等
機能
の
充実強化
を図ることとし、これらに必要な
経費
として四十四億七千九十一万円を計上しております。 また、
国立水俣病研究センター
の
運営等
に必要な
経費
として四億二千八百五十七万円を計上しております。 以上、
平成
二年度
環境庁関係予算案
の
概要
につきまして御
説明
申し上げました。
大森昭
7
○
委員長
(
大森昭
君)
安原企画調整局長
。
安原正
8
○
政府委員
(
安原正
君) 各
省庁
の
平成
二年度
環境保全経費等
の
概要
について御
説明
いたします。 まず、
歳出予算
について御
説明
いたします。
平成
二年度における
環境保全経費
の
総額
は一兆三千四百二億円であり、前年度の当初
予算
に比べ百八億円、〇・八%の増となっております。 これを
事項別
に見ますと、
各種基準等
の設定のために十億円、
監視取り締まり
の
強化
のために六十億円、
公害防止事業助成
のために七十二億円、
公害防止関係公共事業等
の
推進
のために一兆千百三十四億円、
公害防止調査研究
の
推進
のために二百六十七億円、
公害被害者保護対策等
の
充実
のために二百四十三億円、
自然保護対策
の
推進
のために一千四百八十九億円、その他として百二十七億円が計上されています。 主要な
項目
については、次のようになっています。 まず、
環境保全経費
全体の八三%を占める
公害防止関係公共事業等
のうちでは、
建設省等
に計上されている
下水道事業費
八千二百三十八億円、
公共用飛行場周辺
及び
防衛施設周辺
における
騒音防止対策等
の
経費
として
運輸省
、防衛
施設
庁に一千三百三十七億円、さらには、厚生省、
運輸省等
に計上されている
廃棄物処理施設整備費
八百六十八億円などがあります。 また、
公害被害者保護対策等
のうちでは、
環境庁
の
公害健康被害補償対策等経費
二百二十八億円、
自然保護対策
のうちでは、
建設省等
の
公園事業費
一千八十七億円、
環境庁
の
自然公園等施設整備賢
三十億円などがあります。 なお、近年の
地球環境
問題に対する
取り組み
の
重要性
にかんがみ、
環境保全経費
とは別に、
環境庁
において各
省庁
の
地球環境保全関係予算
を取りまとめたところでありますが、これによると、
平成
二年度における
総額
は四千五百二十三億円であり、前年度の当初
予算
に比べ二百六十七億円、六・三%の増となっております。 これを
事項別
に見ますと、
地球環境保全関係一般経費
として六百億円、
衛星等研究開発関係費
として二百十九億円、
エネルギー対策関係費
として三千六百九十三億円、その他
関連経費
として十億円となっています。 特に、
国際機関等
への拠出、
調査研究等
を
内容
とする
地球環境保全関係一般経費
は、
新規施策
が多く盛り込まれるとともに、対前年度比三五・九%の高い伸びとなっています。 次に、
公害防止関係財政投融資
の
概要
について御
説明
いたします。
平成
二年度における
公害防止関係財政投融資
は、
貸し付け規模等
において
総額
一兆六千六百八十億円を予定しており、前年度の当初
計画額
に比べ八十四億円の増となっております。
機関別
の主な
内訳
としては、
公害防止事業団
が
事業規模
で七百四十億円、
日本
開発
銀行が
貸し付け規模
で六百億円を予定しているなどのほか、
地方公共団体
の
下水道整備
、
廃棄物処理等
の
事業
を
推進
するため、
地方債計画
において一兆四千九百十三億円を予定しております。 このほか、
中小企業金融公庫
、
環境
衛生金融公庫、
北海道東北開発公庫
、
中小企業事業団等
において
産業公害防止対策等所要
の融資を引き続き行うこととしております。 最後に、
環境保全関係
の
税制改正措置
について御
説明
申し上げます。
大都市
を中心とした
窒素酸化物汚染
に対し効果的に対処するため、五十四年
規制
以前の古い
ディーゼルトラック
、バスの廃車を前提とした
最新規制適合車
への買いかえを
促進
するための
税制措置
などの新設や
メタノール車
への
特例措置
の
延長
などの
措置
をとることとしております。 また、
野生動植物
の
保護繁殖
を目的とする
公益信託
についての税の
特例措置
を新設することとしております。 このほか、
公害防止用設備
に係る
特例措置
の
延長
、
公害防止事業団
の
事業
に対する
特例措置
の
延長
など、
所要
の
税制
上の
措置
をとることとしております。 以上をもちまして
平成
二年度の各
省庁
の
環境保全経費等
の
説明
を終わります。
大森昭
9
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、
公害等調整委員会
の
事務
の
概要
などについて
説明
を聴取いたします。
勝見公害等調整委員会委員長
。
勝見嘉美
10
○
政府委員
(
勝見嘉美
君)
公害等調整委員会
が
平成元年
中に行った
公害紛争
の
処理
に関する
事務
及び
平成
二年度
総理府所管一般会計公害等調整委員会予算案
について御
説明
申し上げます。 まず、
公害紛争
の
処理
に関する
事務
の
概要
について御
説明
申し上げます。 第一に、
平成元年
中に当
委員会
に
係属
した
公害紛争事件
は、
水俣病損害賠償調停事件
、
仙台湾
における
養殖海苔被害等調停事件
、大阪市における
新幹線騒音被害等調停事件
、
長野
県及び
北海道
における
スパイクタイヤ使用禁止等調停事件
、
東京
都
世田谷
区
上馬
における
道路騒音等被害責任裁定事件
、長崎県壱岐における
養殖真珠被害原因裁定事件等合計
二十三件であります。 なお、以上のほか
水俣病損害賠償調停事件
については、
調停条項
の中に、将来
申請人
の症状に
慰謝料等
の
金額
の
増額
を相当とするような
変化
が生じたときは、
申請人
は、
調停委員会
に対し、
金額
の
変更
を
申請
することができるという
条項
があり、この
調停条項
に基づいてなされた
水俣病慰謝料額等変更申請事件
が二十三件あります。 これらの
係属事件
のうち、
平成元年
中に
事件
が終結したものは、
長野
県及び
北海道在住
の
申請人
らがそれぞれ国を
相手方
として、
スパイクタイヤ
の
使用
によって生ずる
道路粉じん
が住民の生命や健康に
被害
を
発生
させるのを
防止
するため、
スパイクタイヤ
の製造、輸入、販売、
使用
を全面的に禁止する等の適切な
措置
を講ずるよう求めた
申請
につき、
公害紛争処理法
第二十五条の規定により、
長野県知事
及び
北海道公害審査会
にそれぞれ移送することとした
スパイクタイヤ使用禁止等調停事件
、
水俣病
と認定された
患者
と
チッソ株式会社
との間で
患者個々人ごと
に具体的な
損害賠償額
を定める
調停
を成立させた
水俣病
に関する
調停事件
、
自動車
の走行によって生ずる
騒音等
の
被害
について、
東京
都
世田谷
区
上馬交差点周辺地区
に居住する
申請人
らから
国等
を
相手方
として
申請
されていた
責任裁定事件
を職権により
調停
に付し、
防音壁
の
設置
、
特殊舗装
の
試験的実施
などを
内容
とする
調停
を成立させた
道路騒音等被害責任裁定事件等合計
十九件であります。 なお、
平成元年
中に
処理
した
水俣病慰謝料額等変更申請事件
は十五件であります。 現在
係属
中の
事件
につきましては、適切な
解決
が図られるよう努力してまいる
所存
であります。 第二に、
平成元年
中に
都道府県公害審査会
に
係属
した
公害紛争事件
は六十五件であり、工場、
工事現場
及び近隣の
騒音
に係る
事件
及び
道路
、
廃棄物処理場
の
建設反対
に見られる将来の
被害
の
発生防止
を求める
事件
が多くなっております。 これらのうち、
平成元年
中に
事件
が終結したものは二十七件であり、その多くが
防音工事
その他
発生源
となっている
施設
の
改善
、
作業方法
の
変更等
を
内容
とする
発生源対策
及び
損害賠償
の支払いにより
解決
を見ております。
公害紛争処理法
においては、当
委員会
と
都道府県公害審査会
とはそれぞれが独立の
機関
として職務を遂行することとなっておりますが、当
委員会
としては、
公害紛争
の迅速かつ適正な
処理
という
観点
から
全国
の
公害審査会
をバックアップするため、
審査会
との間の
情報交換
、
連絡協議
に努めるとともに、参考となる
情報
、資料の提供を積極的に行っているところであります。 第三に、
全国
の
公害苦情
の実態について御
説明
申し上げます。 当
委員会
の
調査
によれば、昭和六十三年度において
全国
の
地方公共団体
に寄せられた
公害
に関する
苦情
は約七万三千件となっており、これを対前年度比で見ると約三千件の増加となっております。
苦情
件数は、四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少傾向を示したものの、五十八年度から再び増加傾向を示しております。 これを
苦情
の種類別に見ると、いわゆる典型七
公害
に関する
苦情
では、
騒音
に関する
苦情
が最も多く、全
苦情
の二八%となっており、悪臭一六%、
大気汚染
一二%、
水質汚濁
一〇%等の順となっております。また、廃棄物に関する
苦情
等これら典型七
公害
に分類できない
苦情
は約二九%となっており、年々増加してきております。
公害苦情
を迅速かつ適正に
処理
することは、
公害紛争
を
未然
に
防止
し、
地域
における良好な
生活環境
の実現を確保する上で不可欠なものであります。 この
公害苦情
につきましては、
都道府県
または市区町村がその
処理
に当たっておりますが、ただいま申し上げましたところにかんがみ、当
委員会
としては、これらの
地方公共団体
に対し、職員に対する
研修
の
実施
、
苦情
処理
に必要な
情報
の提供、あるいは個別の事案についての指導、助言等を積極的に行っているところであります。 続きまして、
平成
二年度
公害等調整委員会
予算
案について、その
概要
を御
説明
申し上げます。
平成
二年度
総理府所管一般会計歳出予算要求額
のうち、
公害等調整委員会
の
予算要求額
は四億六千二百万円であり、これを前年度の当初
予算額
四億五千百万円と比較いたしますと、二・四%、一千百万円の
増額
となっております。 次に、その
内訳
について御
説明
申し上げます。 第一に、当
委員会
に
係属
する
公害紛争
事案の審理
経費
、
公害
の因果関係の解明に必要な
調査
経費
、職員基本給等の人件費を含む一般
事務
処理
経費
として四億三千三百万円を計上しております。 第二に、
公害紛争
の
処理
を担当する
都道府県公害審査会
委員
及びその
事務
を担当する職員との
情報交換
、
連絡協議
のための
経費
及び
公害苦情
処理
を担当する
地方公共団体
の職員に対する
研修
、
情報
提供、指導並びに
公害苦情
の実態
調査
を
実施
するための
経費
として二千九百万円を計上しております。 以上が
平成元年
中に
公害等調整委員会
が行った
公害紛争
の
処理
に関する
事務
の
概要
及び
平成
二年度
公害等調整委員会
予算
案の
概要
であります。 よろしくお願い申し上げます。
大森昭
11
○
委員長
(
大森昭
君) 以上で
所信
及び
説明
の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ─────────────
大森昭
12
○
委員長
(
大森昭
君) この際、木宮
環境政務次官
から発言を求められておりますので、これを許します。木宮
環境政務次官
。
木宮和彦
13
○
政府委員
(木宮和彦君) 本年二月二十八日付で
環境政務次官
に就任いたしました木宮和彦でございます。 ただいま大臣から
所信
表明が行われたところでございますが、
環境行政
には重要な
課題
が山積しているわけでございます。私は、これまで主に教育の分野でいろいろと勉強させていただきました。その経験を生かしつつ、
北川
長官を補佐しながら
環境行政
の
推進
に邁進してまいる
所存
でございます。
委員長
を初め、
委員
の皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げましてごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いします。
大森昭
14
○
委員長
(
大森昭
君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十二分散会