○国務大臣(中山太郎君) 大変難しい問題だと思いますけれ
ども、科学者は絶えず未知なる神秘の探求をしていくというのは基本的な科学者の姿勢だと思います。しかし、それなりに未知なるものを開発していく、探求していく中には、それが社会にどういう
影響を与えるかということについても、それについて何といいますか、評価をする、こういう二面性がないと自然科学の開発というのは絶えず危険が伴うものと私は考えておりまして、ここはちょうど
政府と議会との
関係のようなものではないかと思います。評価するシステムを持っていなければ非常に危険性が伴うことは現実の問題として幾つかあると思います。
そういう意味で、私は例えば今回の条約を
締結して六ケ所村に再
処理の
工場をつくるというようなときにも、結局住民の方々が国民の代表を通じてこの問題がいかなるものか、またそれがどういう
影響を地域の住民に与える
可能性があるかということを御
議論いただいているのが今日の姿ではないかと思います。
先ほどから
委員大変厳しく
政府に対して追及をしておられますけれ
ども、私当然のことだと思うんですね。ただ、
政府は
政府で情報を集める、議会は議会で情報を集めると、情報量の違いというものが確かにあることは否めない事実だと思うんです。それはやはり
政府の方も相当情報を集めますけれ
ども、議会は議会で独自に、例えば科学技術
委員会の調査室が積極的にその
資料の分析を行っているのも、それが議会で活動される
先生方に対する情報提供のための一つの議会の機能だというふうに私は思っておりますが、私は、今肝臓の話をされましたが、肝臓だけではなしにいろんなやっぱり自然科学の問題について、
日本の議会と
政府の
関係というものの中に、議会はどうしてもそういうものに対する情報の入手が難しいというのは否めない事実であると思います。
しかし、その点はアメリカなどへ行かれると、御存じのように、オフィス・オブ・テクノロジー・アセスメントという組織がございまして、あそこは上下両院でこれを管理する
委員会を持っています。そして百五十人ぐらいのスタッフを全く議会と
関係のないところに持って、しかも総勢六百人ぐらいの専門職のコンサルタントを擁しています。そこでは臓器移植にとどまらずありとあらゆる自然科学の分野について、いかなるものが国民のために必要か、それに対する問題点が何かという評価を絶えず議会にレポートとして送っているわけです。そういうシステムが
日本にないために、なかなかこういうふうな問題についての
政府
側の説明あるいは
政府側の提供する情報と議会側の情報と認識との食い違いが起こってくる。ここに
日本の議会のこれから反省すべき問題点が一つあると思います。
私も議会に議席を持つ人間として前からこの問題を主張しておりました。しかし、この問題について理解しないんです、ほとんどの国会議員が。(「僕らの責任ですか、それは」と呼ぶ者あり)そうですよ。いや、私は本当にこの臓器移植の問題でも、自分が超党派の議員連盟をつくってやって、なかなか議会の同意が得られない。そのために私は議員立法で、
政府も怖がってこの法案を出さなかった。私が野党の公明党と民社党の
先生方と相談をし、最終的には各党の合意をいただいて共同でこの国会に議員立法でこの法案を提出して、今日脳死臨調というものが現実に国民のために国民の代表によって公正な立場で
議論されるように法律が整備されていると、こういう努力をやっぱり
政府と与党と双方でやっていくということがこれからの科学技術を進めていく上に大変大事だと、私はそういうふうな認識を持って政治家として働いております。