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説明員(中澤佐市君) お答え申し上げます。
総合
エネルギー調査会は昨年六月審議を開始いただきまして、約一年間で審議がまとまったわけでございます。今回の審議のポイントは三点あったわけでございます。
一つは
我が国の
エネルギー需要が今後どうなっていくだろうかという点。二番目が
資源制約の問題。三番目が地球温暖化等地球環境問題でございます。
まず
我が国の
エネルギー事情でありますけれ
ども、御案内のとおり
我が国は世界でも一人当たりの
エネルギー消費量におきましてはOECD各国平均の約六割強という、過去の省エネ
努力等もございましてそういう
状況でございます。
それから特に家庭部門でありますが、一世帯当たりの
エネルギー消費量は欧米先進国、例えばドイツ、英国、
フランス等々の約三分の二、
アメリカの約三分の一と、これは気候の違いを考慮してもそういう
状況でございます。そういう
状況の中で今
我が国の
エネルギー需要は伸びているわけでございますが、その
一つの大きな原因として、まさに
国民の皆さんが
生活の向上という形でより広い
住宅に住みたい、そしてその
住宅はより快適なものでありたい、これは暖冷房とか給湯とかいろんな問題が出てまいります。それから、大変恐縮なんですが、女性の社会進出に伴いましていろいろな便利な機器とかなんかのニーズもふえております。こういう
状況の中で、このままいきますとかなりの省エネ
努力を行えないならば
相当程度需要がふえそうだということ。
そしてもう
一つの産業界でありますが、これも御案内のとおりだと思いますが、第一次オイルショック以降、もう一回オイルショックございましたけれ
ども、世界のトップレベルの省エネを
実施してきております。OECD諸国の平均をはるかに上回る省エネをやってきております。したがいまして、省エネの余地が減ってきております。そういう中で
エネルギー需要がふえていくであろうと。それじゃどうしたらいいか。
第二点目の
資源制約でございます。これも御案内のところであると思いますが、発展途上国、これがまさに民生向上あるいは
経済発展のちょうど飛躍の時期に来ておりまして、ここの需要増大を中心に世界の
エネルギー需要が石油を中心にふえております。そして他方、石油供給の方はOECD地域、これは北米とか北海でございますが、そこでの石油供給力は減退をしてきております。したがいまして、
資源制約、石油需給の逼迫化が
懸念されております。
三点目が地球環境であります。御案内のとおり、地球温暖化問題は温室効果ガスによる温室効果の問題でありますが、その約半分がCO2、残りはフロンとか亜酸化窒素とかメタンとかいろんなものがあるわけでございますが、半分がCO2と言われておりまして、その半分のCO2の約八割が化石
エネルギーの燃焼によって出ているということでございます。したがいまして、
我が国の事情を
考えますと
エネルギー需要はふえていく。それも国際的に見てもある程度やむを得ないし、省エネ
努力等もあってそれは安定している。しかしながら、
エネルギー需要がふえるということは
資源制約とか地球温暖化問題のためにはよくないことでございまして、これがまさに一番のポイントだったわけでございます。
その結果、審議をいろいろと行いまして、先ほど
委員御
指摘の需給見通しでありますが、まさに大きなポイントは二つでございます。できる限りの省エネ
努力をやってみようではないか。で、今回の需給見通しでは、いわゆる
エネルギー消費のGDP原単位というのがございます。GDP一億円をつくるのにどれだけの
エネルギー消費をするかということでありますが、これを二〇一〇年までの二十二年間に三六%改善しようという大変高い
目標を設定しております。ちなみにこの三六%と申しますのは、一九七三年、第一次オイルショック直前から今まで十五年間、二回のオイルショックがあったわけであります。しかもこの間に石油価格は三倍、四倍というのが二回起こったわけでございますが、その間の改善率と同じだけの省エネをやろうではないかということが
一つ。
そうやって需要を極力増大を抑制いたしまして、それにどういう
エネルギーで供給していくべきであろうか。従来でしたら
資源制約ということでありますれば石油代替
エネルギーということだけでよかったわけであります。しかしながら、今度は温暖化に対応しなくてはいけません。したがいまして、石油代替
エネルギーの中でこの議論の中では非化石
エネルギー、よく国際的にも言われておりますが新
エネルギーとか水力、地熱、
原子力、これがいわゆる非化石
燃料と言われておりますが、これへの依存をできるだけ高めていこうというのが今回の需給見通しの特徴でございます。
まさにそのように、
委員御
指摘になりましたようは、今回の
エネルギー政策の見直しあるいはその中での需給見通しは、大きな
目的として地球温暖化にどう対応していくのか、今のような
状況の中でということであったわけでございます。したがいまして、今回そのような需要面あるいは供給面での
努力によりましてあの需給見通しができたわけでございます。ちなみにあの需給見通しの中にも書いてございますように、その結果いろいろの
努力はしておりますが、
我が国の人口は二〇〇〇年まで約七%ふえるというのが厚生省の予測の中位ケースでございます。それから需要面、供給面の対策ともこれは長いリードタイムが必要でございます。したがいまして、今回の需給見通しの結果出てきておりますCO2の総排出量というのは二〇〇〇年までは一六%程度ふえざるを得ない、そしてそれ以降ほぼ安定化するということを、需要、供給両面の対策をとることによって実現しようというものでございます。
ただ、御案内のとおり
我が国は、先ほど申し上げましたように、省エネ等の
努力の結果一人当たりの
エネルギー消費量は少ないということがございますので、当然のことながら一人当たりのCO2排出量というのも国際的には低うございます。先ほどのような総排出量のもとでも
我が国の一人当たりの排出量は二〇一〇年におきまして二・五四トン年間
燃料消費によって出るということになっておりまして、現在のOECD諸国の平均は三トンを超えております。そのような形で、今回の需給見通しあるいは
エネルギー政策の中で、地球温暖化対策に向けてとり得ることをできるだけ取り込んで
検討を行ったということでございます。
長くなって恐縮でございました。