○庄司中君 ありがとうございました。その決意でこれからもぜひやっていただきたい。私たちもいろんな議論をしますけれ
ども、その方向をぜひ積極的に
推進をしてまいりたいというふうに思っております。
時間の
関係もございますので次の問題に移りたいというふうに思います。
昨今、大きな問題になっておりますのは
地球環境の問題、それからもう
一つは
地球環境に
関係する問題として、
我が国の場合には国際的な貢献の
一つとしてODA援助の問題があるだろうと私は思います。これは、四省庁が連絡をして決めているが、決して四省庁だけの問題じゃなくて
我が国全体の問題だろうというふうに思います。ODAが持っている、国際援助が持っているいろんな側面に各省庁が
関係を持っているというふうに思うわけであります。
特に、このODAの援助の中で私が非常に心配をしておりますのは、援助には大体
三つぐらいの区分けがあるようであります。人道的な援助とか
経済的な援助とか政治的な援助とかあるようでありますけれ
ども、私が心配をしておりますのは
経済的な援助の面、つまりインフラであるとか工業のプロジェクト、工場を建てるとかそういうふうな点で実は
科学技術に
関係をする、つまり
科学技術の面からのアプローチも必要なんじゃないかというふうな問題点が出ているように思います。
例えば今国会でも議論をされましたように、参議院の
予算委員会ではフィリピンのレイテの電源
開発であるとか港湾
開発とか、あるいは製錬ですね、主としてあそこでは銅です。この結果、この点が出ております。それから、既にもうかなり有名でありますけれ
どもブラジルの大カラジャス計画、アマゾンの流域を大きく
開発をしていく、いわば六百億ドルとか七百億ドルの膨大な計画でございます。そのときに、最近明らかになってきておりますのは、こういった
開発計画がほとんど環境の事前
調査がなされていないという面がやっぱり大きな問題になっているということであります。つまり、公害を直接出していくとか、そういう問題が実は出てきております。
私たちが
考えますと、いわば工場をつくる、工業のプロジェクトを現地へ持っていくということは、
科学技術の立場からいきますと、ある意味では海外への
技術移転になるわけです。現地で所得がふえる、雇用がふえるのと同じように、
一つの
技術がそこで物にされる、つまり移転をされるという側面を持っているわけなんです。そうしますと、つまり
技術移転の性格の問題がここでは
一つ大きな問題になるということになります。私が
考えますのは、こういった環境問題、つまり現地の生態系を壊していくとか、原住民の人を強制的に排除していくとかという問題については、
技術移転の
技術と性格の問題、その
理解の仕方に実は問題があるんじゃないだろうか。つまり、現地の生態系とか人間の生活とかに無
関係にといいますか、こういう工場をつくれば所得はふえるんだよ、あるいは雇用がふえるんだよ、
技術が習得できるんだよというふうに、いわば狭い工業
技術の体系の中で問題を処理しているんじゃないだろうか、こういうふうに
考えざるを得ないわけでございます。
これから国際的な貢献をしていく、そしてODAが
一つの大きな柱になっていくとすれば、私たちはこの
技術の政策の吟味をやっていかなきゃならない。環境の事前
調査をやるのと同じように環境の事前
調査の中の
技術の
役割ということをやっぱり
考えていかざるを得ない。つまり、狭い科学とか
技術じゃなくて、もっとそれを広げた、現地に合った――
先ほども
局長がお答えになりましたけれ
ども、
一つの工場をつくるというのは、これはレディーメードじゃないわけです。オーダーメードでやらなきゃいけない。
技術の
考え方もやっぱり広くとっていかなきゃならない。つまり、今までの工業
技術をストレートに狭く解釈して適用したら、環境破壊とか生態系の破壊とか、そういうものが起こるのは当たり前であります。そういう点では、この
技術というものを環境の事前
調査の中で広く解釈をする、
技術というものをもう少し視野を広げて解釈をしていくという必要があるんじゃないだろうか。
例えば工業
技術だけじゃなくて、あるいは現地の植物であるとか生物であるとか、あるいは農学であるとか、さらに社学科学系統の
社会学であるとか、あるいは文化人類学であるとか、そういうものを含んだ
技術、そういう体系としての
技術を
科学技術を担当する
科学技術庁としては持っていなきゃならない。ODA、海外援助についてそういう
科学技術を広く
理解をする、そういうノーハウを
開発して、いわばそれを
推進していかないと、ODAは税金でありますから、あるいは借款にしましてもこれは厚生年金と国民年金から出してきているわけでありますから、その善意が実は逆な目になって返ってくる。
日本はひどいことをしている、環境を壊してしまう、こういうふうにならないように、
科学技術の立場から
技術の概念を変えていく、広くしていく。これから
科学技術政策大綱の諮問もそう遠くないという
お話でございますので、その点をぜひ御留意なさっていただきたい、こういうことを強く要請いたしたいというふうに思います。