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谷本巍君
沖縄県のこのリゾート化、いろいろ問題があるような気がするのでありまして、
一つの問題は過剰投資にならぬか。それからもう
一つは、
県民生活の向上に結びつくのかどうか、多くの疑問があるということ。そしてまた、自然環境保全との絡みがどうなるのかといったような問題点とかございまして、順次伺っていきたいと存じます。
まず初めに、過剰投資にならないのかどうかということであります。
リゾートブームを生んだ背景は何かといえば、まあ端的に申し上げるならば、
日本の大都市がほとんどコンクリートジャングルの町となり、自然との断絶の中の暮らしになってきた。そして、そういう大都市で暮らされる
皆さんというのが
国民の中で半数以上を占める時代に入ってきた。こうした問題とともに、都市住民の三分の二はふるさとを持たない二代目以降の
皆さんになってきた。こういったような
関係がふるさと志向の強まりになったと言ってよかろうと存じます。
沖縄の場合で見てみますというと、
平成元年の入り込み客数が二百七十万人でございました。
本土復帰時の約七倍ということでありまして、
沖縄の場合は突出したリゾートブームになってきているというふうに言ってよかろうと存じます。
こうした
状況が
沖縄の場合に生まれてまいりましたのは、
県民の
皆さんや
沖縄に行かれた
皆さんなどの話を聞きますというと、やはり何といっても、
一つには青い海とサンゴ礁など、多様なイメージがある。さらにはまた、
沖縄には長い歴史と独自の文化が色濃く残っており、そうした未知なるものへの魅力というのが
沖縄に若い人も含めて引きつけられたのではないかというふうに言われておるところであります。
ところが、四全総が描きましたデッサン、そして今県が
計画中のものを見てみますというと、かなりの問題があるように思われてなりません。
まず
一つの点は、民間活力引き出しということで、画一化に近い
施設型リゾートが
中心になりつつあるわけでありまして、そして、そういうリゾート化を進めるに当たって
沖縄のイメージに乗った海洋型、
施設型、大型化、これを進めていくというような形になりつつあります。言うなれば、これはありきたりのものなのであります。ふるさと志向を満たすというものとは似て非なるものなのであります。こういうところに大きな問題の
一つがあるのではないか。
さらに
二つ目の問題としましては、海外旅行に比べて割高感が否めないということであります。
最近、
日本の若い
皆さんが香港や台湾やグァム島などへ行かれる方がふえておりますが、こうした
皆さんは割引料金で行かれる方が多いようでありまして、こうした
皆さんからしますというと、
沖縄よりは安いよという話が割と多い。これは運賃問題だけではないでありましょう。
バカンス旅行ということで見てみますというと、親子四人、一週間のバカンス旅行であれば、イギリスや西ドイツやフランスの場合は約十万円だという、一日当たり一人三、四千円というところですね。ところが、
日本の場合はどの程度かかるかというと、四十九万円という数字が出ておる。約五倍であります。
沖縄のリゾート化が進む中で、滞在費がどの程度になるか、やっぱり
沖縄の場合はこうしたことの例外であるはずはありません。
こうして見てみますというと、外人客はほとんど来ないでしょう。それから、また行ける
皆さんがどういうことになってくるかというと、結局独身貴族が主流とならざるを得ない。したがって、おのずと限界が生じざるを得ないという要因が私はそこにあると思われてならないのであります。
ところが、
現地を見てみますというと、各
市町村ごとが競い合うという
状況が生まれており、
本土からも資本が乗り込んでいるというような
状況になっておるのであります。こうした事態をこのままにしておきますというと、必ず過剰投資ということになっていくのではないでしょうか。過剰投資になった後に責められなきゃならぬのは国土庁ということになってまいりますね、最初のデッサンを描いたのは国土庁なのでありますから。この政治的責任というのは免れようがないわけであります。
したがいまして、
開発庁長官にお願いを申し上げたいのは、こうした
現地をきちっと
調査していただきながら、過剰投資にならぬようにひとつ国土庁との話し合いも進めていただきたいのであります。
計画が出てしまってからでは、これはなかなか手直しはできないというようなことにもなってくるわけでありまして、やはり今の
段階からそうした問題について、所管官庁として国土庁の長官の方からも
現地側と
意見交換をお願いを申し上げておきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。