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1990-05-30 第118回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月三十日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      高井 和伸君     古川太三郎君  五月二十九日     辞任         補欠選任      古川太三郎君     高井 和伸君  五月三十日     辞任         補欠選任      岩本 政光君     石渡 清元君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田代由紀男君     理 事                 大城 眞順君                 北  修二君                 竹村 泰子君                 及川 順郎君                 市川 正一君     委 員                 伊江 朝雄君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 大木  浩君                 大鷹 淑子君                 岡田  広君                 鈴木 和美君                 谷本  巍君                 肥田美代子君                 深田  肇君                 村田 誠醇君                 高井 和伸君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  塩崎  潤君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       砂田 重民君    政府委員        総務政務次官   虎島 和夫君        防衛施設庁施設        部長       大原 重信君        沖縄開発庁総務        局長       藤田 康夫君        沖縄開発庁振興        局長       水谷 文彦君    事務局側        第一特別調査室        長        荻本 雄三君    説明員        防衛施設庁労務        部労務企画課長  涌田作次郎君        国土庁地方振興        局総務課長    岩崎 忠夫君        外務大臣官房審        議官       時野谷 敦君        外務大臣官房外        務参事官     大塚清一郎君        大蔵省銀行局銀        行課長      小山 嘉昭君        林野庁指導部治        山課長      弘中 義夫君        運輸省地域交通        局海上交通課長  小山 正宣君        運輸省海上技術        安全局検査測度        課長       山本 圭吾君        運輸省海上技術        安全局船員部労        働基準課長    松本  修君        労働省職業安定        局業務調整課長  初谷  勉君    参考人        沖縄振興開発金        融公庫理事長   藤仲 貞一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査  (平成二年度沖縄及び北方問題に関しての施策について) ○参考人出席要求に関する件 ○沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査議題とし、平成二年度沖縄及び北方問題に関しての施策について、本日は塩崎総務庁長官から所信を聴取いたします。塩崎総務庁長官
  3. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) このたび総務庁長官を拝命し、北方対策本部長として国民的重要課題である北方領土問題の解決促進に取り組むこととなりました塩崎潤でございます。  まず、北方領土問題について、所信の一端を申し述べたいと存じます。  我が国固有の領土である北方領土が、戦後四十五年を経た今日もなおソ連占拠下に置かれ、いまだに返還の日を迎えないことはまことに遺憾なことであり、この問題を国民の総意に基づき解決することは、国家の基本にもかかわる重要な課題であります。  最近、日ソ外相間定期協議の場で北方領土問題が議論され、北方領土問題を含め日ソの対話を継続発展させていくことについては双方の意見が一致しており、また、ゴルバチョフ大統領の訪日も予定されております。しかし、北方領土問題に対するソ連態度は依然として厳しく、このような状況の中では、北方領土返還を求める国民世論を結集することが従来にも増して重要になってきていると考えております。  去る二月七日の北方領土の日には、北方領土返還要求全国大会政府、国会、民間団体等代表を初め多数の方々出席もとに開催されたほか、この日を中心に前都道府県において多彩な行事が繰り広げられました。また、北方領土返還を求める国民の署名が五千万人を超えたことにより、この大会において新たに六千万人を目標とすることが決議されました。全国に展開されているこの北方領土返還要求運動のさらに一層の推進を図るとともに、次代を担う青少年を含め積極的な啓発を進めていくことが極めて重要であると考えております。  このような観点から、平成二年度予算においては、前年度に引き続き北方領土問題をわかりやすく解説したビデオを作成、配布するほか、新たに「北方領土ふれあいひろば」の開催を計画するなど、各種啓発活動充実強化を図ることとしております。  また、北方領土隣接地域振興等基金造成については、依然として厳しい財政事情もとではありますが、十億円の補助金を計上いたしております。  私は、北方対策本部長として北方領土問題等解決促進を図るための基本方針に基づき、今後とも国民世論啓発、元居住者に対する援護隣接地域振興等施策を鋭意推進してまいる所存であります。委員長を初め委員皆様方の御理解と御協力をお願いする次第であります。  ありがとうございました。
  4. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 以上で塩崎総務庁長官所信表明は終わりました。  どうぞ御退席いただいて結構でございます。  中山外務大臣所信は、後日これを聴取いたしたいと存じます。また、本件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  この際、虎島総務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。虎島総務政務次官
  5. 虎島和夫

    政府委員虎島和夫君) このたび総務政務次官を拝命いたしました虎島和夫でございます。  北方領土問題の解決国民的重要課題でありますので、塩崎長官もと、誠心誠意努力してまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。  ありがとうございました。
  6. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) どうぞ御退席いただいて結構でございます。  速記をとめて。    〔午前十時五分速記中止〕    〔午前十時三十五分速記開始
  7. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 速記を起こしてください。  次に、参考人出席要求についてお諮りいたします。沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として沖縄振興開発金融公庫理事長藤仲貞一君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明は前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 谷本巍

    谷本巍君 沖縄本土復帰が実現されましてからあと二年で二十年の節目を迎えようとしております。そういうときに米ソ冷戦時代が終わりを告げて、沖縄軍事基地の一部返還が俎上にのってまいりました。  そこで、跡地利用とそれからまたこれから大きな課題になってまいります沖縄の第三次振興計画などの問題をめぐって伺いたいと存じます。  初めに基地返還の現状がどんな状況になっておるのかについて伺いたいと存じます。  御承知のように、日米合同委員会下部機関施設特別委員会施設調整部会の中で日本とアメリカの事務折衝が行われております。新聞報道によりますと、早ければ六月にも一部返還が実現するだろうということが言われておるのでありますが、基地返還の状態がどんなふうになっていくのか、その見通しについて簡潔に伺いたいと存じます。
  11. 時野谷敦

    説明員時野谷敦君) お答え申し上げます。  ただいま御提起になりました沖縄におきますところの施設区域整理統合の問題に関しましては、日米合同委員会の枠組みの中で日米安保協議委員会で了承されました施設区域整理統合計画のうち、まだ実施されていないものについての実施上の問題あるいは沖縄県知事米国政府に対して行われました施設区域返還要望、そういうものの実現可能性等につきまして検討を行っている次第でございます。  六月という先生お話がございましたが、現段階におきまして時期あるいは具体的内容、今後の見通しについてはっきりしたことを申し上げる段階にございません。私どもはできる限り早く具体的成果を出すべく努力をいたしておる次第でございます。
  12. 谷本巍

    谷本巍君 突如としてこれこれこうだということにならぬように、できるだけ事前に、こんなぐあいになりそうだといった予測的なものを含めてでも早目にそれが明らかになるように努力をお願いしておきたいと存じます。  続きまして、跡地利用の問題について若干伺いたいと存じます。  返還軍用地利用の問題でありますけれども、その一つは、米軍基地は縮小されたが自衛隊がその肩がわり使用をするというようなことがあっては、沖縄県民もとより日本国民の期待を裏切るということになるのでありまして、そういうふうになる可能性があるのかないのか、これが一つ。  それからもう一つの点は、軍事基地返還されたが、後からまた詳しく伺いたいと思うのでありますが、本土の大企業がリゾート開発でもってもう沖縄にたくさん今押しかけておるところでありまして、返還された基地リゾート開発の名による土地投機利権あさりなどにならぬようにしていかなきゃならぬわけでありまして、こうした点については早目にひとつ政府方針態度をきちっと固めておいてもらわなきゃならぬのでありまして、その点についてどんな考え方であるか、簡潔に伺いたいと存じます。
  13. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  御指摘いただきました前段の部分自衛隊が引き続き使用するかどうかという点でございますが、私ども、現在沖縄県に所在いたします施設区域が非常に密度が高く、その整理統合必要性があるということにつきましては十分認識いたしているところでございます。  そこで、当庁といたしましては、整理統合について早期に具体的な成果を得るべく日米合同委員会において鋭意検討を行っているところでございますが、これにつきましては、特に自衛隊使用を念頭に置いて行っているものではないということを申し上げたいと存じます。
  14. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 米軍施設区域返還について日米合同委員会結論ができるだけ早い時期に出ることを沖縄開発庁としては期待しているところでございますが、跡地利用の問題につきましては、沖縄県で市町村地元住民土地所有者等意見十分しんしゃくの上跡地利用計画を策定いたしますことを県が積極的に指導をもう開始していると聞いておるところでございます。やはり地方自治の本旨よりいたしましても、まず市町村中心でこの利用計画はお進めになるべきものと考えております。県知事及び軍用地等の所在する市町村長をもって構成しております沖縄軍用地転用促進基地問題協議会におきましても、県、市町村間の連絡、協調を密にしながら跡地の利転用計画策定促進を図っていると聞いております。  開発庁といたしましては、地元跡地利用計画が固められたものにつきまして、従来からもそうでございましたけれども、特別措置法に基づきます高率の国庫補助による土地区画整理事業でございますとか土地改良事業等を導入してきたところでございますが、今後ともこれらの事業等を積極的に推進して跡地有効利用について県、市町村を支援してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  15. 谷本巍

    谷本巍君 跡地利用をめぐって沖縄県民がどう考えているかという問題でありますが、去る五月十五日の琉球新報に稲嶺沖縄経済同友会代表幹事が次のように述べております。「私個人としては、県全体で再利用計画を総合的に練り直すべきだと思う。まとまった土地に、農業、二次産業、観光、住宅地などをどう配置するか総合的に考え、きちんと線引きするべきだ。ゴルフ場造成が盛んだが、産業構造のバランスへの配慮が必要だ。一次、二次産業を強化し、経済自立を図らないと、本当の意味の発言力、プライドを持てない。」というふうに語っておりまして、またさらに、「思い切ったゾーニングが必要だ。容積率を思い切って引き上げ、同時に駐車場や緑を確保するよう制約も設けたらよい。沖縄は東京に比べ、住みよい。サラリーマンに家が持て、通勤も楽だ。この住みよさを壊すような計画は、どれほど経済を発展させるものでも、採用すべきではない。」というふうに述べておるのであります。  この稲嶺さんのお話の中で私は特に強く感じましたのは、沖縄県の経済自立化を図っていくのには第一次産業、第二次産業を強めていかなきゃならぬということです。そしてさらに、どれほど経済を発展させる計画であっても、沖縄県民沖縄県での住みよさを壊すような計画は採用すべきではないということなのであります。この点について開発庁長官はどのようにお考えになるか、所見を承りたいのであります。
  16. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 今お読みになりました沖縄経済同友会会長の御発言の要旨は基本的には私も同感だという気持ちがいたします。これは県当局市町村当局も通じて同じような考え方を持っていると思います。  二次産業振興等の具体的な問題は政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。
  17. 谷本巍

    谷本巍君 ちょっと待ってください。その関係はまた三次振計の中でいろいろ伺いますので、先へ進ませてもらって、後で伺うことにしましょう。  続きまして、跡地利用補償問題について伺いたいと存じます。  地主への返還に当たってどういう補償をされるかということであります。例えば以前水田であったところではどんなふうな補償になっていくのか、例えば以前住宅地であったところについてはどんな補償になってくるのか、この点について簡潔にお答えをいただきたいと存じます。
  18. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  返還補償は、返還されます民公有財産につきまして使用期間中における形質変更状況を詳細に調査の上、土地建物等賃貸借契約に基づく所有者の請求により損壊部分の補修、除去財産の復旧、付加財産除去等原状回復するために必要な費用並びにその工事に通常要する期間管理費補償しております。  農地についてでございますが、農地原状回復は、返還土地国有財産建物工作物等がございます場合には国みずからこれを撤去し、その後に形質変更状況を詳細に現地調査し、例えば当該土地砂利等が敷き込まれています場合には砂利等を撤去の上埋め戻しまして、さらに農地としての原状に回復するため必要な措置を講ずるために所有者協議の上補償することになります。  宅地の場合は、特に農地の場合と考え方として異なるわけではございませんで、所有者の方と協議の上補償することになります。
  19. 谷本巍

    谷本巍君 今のお話を伺ってみますというと、詰めて言うなら、民事上の契約だから、したがって契約に基づいて処理するといった考え方と受け取ることができます。果たしてそれでよいのでしょうか。  例えば水田の場合でしたら、もとの姿に戻すまでかなりの期間がかかります。その間の生活は一体どうすればいいのでしょうか。民事上の契約といっても、この貸借でもって貸し手の生活、それから地域経済まであり方が大きく変えられてしまったのです。問題はそれだけじゃないでしょう。書類上は確かに合意形式になっております。書類上は合意形式だが、米軍占領下強制収用の継続でしかない。つまり自由意思に基づく対等な関係もとでの契約ではなかったということなのです。私もこの契約文を手に入れて読んでおりますけれども、例えば返還といったら、一カ月前に通告すればいい。通常の対等な民事上の契約だったらこういうものは出てきますか。そうじゃないでしょう。そういう特殊なものなのでありますから、したがって跡地利用のめどがつくまで暮らしが立つように何らかの補償をすべきなんじゃないですか。その責任が全く国にはないと言っていいんですか。その点どうなんですか。
  20. 大原重信

    政府委員大原重信君) 国といたしましては、当庁が担当いたします契約についてお答えいたしますが、駐留軍の用に供する目的を持ちまして土地等賃貸借契約を締結いたしまして、この契約に基づきまして賃借料を支払うものでございます。駐留軍から返還される土地等賃貸借契約は、国が地主に対し解約を申し入れた後三十日を経過したときに終了いたします。先生御指摘のとおりでございます。また、返還された土地等につきまして国は、原状回復のため土地所有者使用できない期間について貸借料相当額補償しています。国は米軍から返還された土地等につきまして、賃貸借契約終了後、原状回復に要する期間について賃借料相当額補償するのは今申し上げたとおりでございますが、その後の地主等跡地利用までの間の賃借料につきましては、賃借人立場の国としてこれを補償することは不可能でございます。
  21. 谷本巍

    谷本巍君 どうも私は納得いかないのでありまして、そういうふうなやり方で果たして道義的に、人道的に許されるものなのかどうか。この辺の点は基地返還が進むに従ってかなり大きな政治的な問題にもなってくるだろうと存じます。開発庁長官担当大臣としてどのようにお考えでございましょうか。
  22. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 実は日米合同委員会が六月ぐらいには少なくとも一応の中間報告を出すということを伺いまして、私も委員と同じ心配を持ったわけであります。今まで、かつて返還の例がございまして、その跡地利用等についてどういう時期、段取りで防衛施設局が進めてくださったか、防衛施設庁にお願いをいたしまして、現地防衛施設局の今までの実例を実は伺ったところでございます。返還ということが正式に決定をいたします時期も問題だと思います。そこから起算して、今施設庁からお話のありました何日と何日ということでございますから、したがって防衛施設庁スタンスとしては、返還を決定いたしますのに、地元の各機関土地所有者米側から返還意向が示された段階から協議に入って、御相談をした上で結論を得て返還の日にちというものが決定される、それが防衛施設庁スタンスと伺っておりますけれども、この問題は、果たして先生が御心配になりますようにすき間なしにいけるかどうか、開発庁長官として私も心配なところでございますので、ひとつ防衛施設庁協議をさせていただきたい、こう考えているところでございます。
  23. 谷本巍

    谷本巍君 私がお願い申し上げている点は、事務的、手続上の問題というよりもむしろ政治的な見地に立って解決しなけりゃならぬ問題だろうと思いますので、特に担当大臣としての開発庁長官に御要請申し上げておきたいと存じます。  次に、基地返還に伴う従業員の解雇問題について伺いたいと存じます。  基地で働いておる皆さんが人数にして七千八百人、さらに基地関連業者皆さんが約三千人、家族を含めますというと三万人とされております。沖縄ローカル紙などを読んでみますというと、関係者皆さんが語っておられることは次の二つに要約することができます。  一つの点は、基地の重圧にさらされているという県民立場からすれば、基地返還は歓迎すべきことだということであります。同時に、そう言いながらも、基地削減計画による日本人の雇用は一体どうなっていくのか。働いている間にひとつ早目職業訓練をやってもらうことができないか。さらにはまた、転職するための雇用創出について関係官庁積極的にひとつやっていただくことはできないかといったような要望が強いのでありますが、防衛施設庁、それからまた労働省関係皆さん、どのようにお考えであるか伺いたいと存じます。
  24. 涌田作次郎

    説明員涌田作次郎君) お答え申し上げます。  先ほど来当庁の施設部長から答弁ございましたように、沖縄県に所在する施設区域整理統合につきましては、現在日米合同委員会の場で鋭意検討中でございます。したがいまして、現在のところこれら米軍施設区域在日米軍従業員雇用にどのような影響を及ぼすかということにつきましては、現時点では具体的にお答え申し上げる状況にはないということでございます。  しかし、いずれにしましても、在日米軍従業員雇用主たる当庁といたしましては、従来からその雇用の安定に鋭意努めてきているところでございまして、今後とも引き続きこれら従業員雇用の安定の維持に鋭意努めてまいりたい、かように考えております。ただいま先生からお話がありましたように、いわゆる離職前の職業訓練等につきましても、できるだけ多くの機会を従業員に与えるなどしまして万全を期していきたい、かように考えております。
  25. 初谷勉

    説明員初谷勉君) 駐留軍関係離職者の問題につきましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び雇用対策法という二つ法律を通じまして、離職者に対しましてはその就職を容易にし、かつ生活の安定を図るための就職促進手当というようなものを支給しておりますし、それから離職後の職業訓練受講の場合につきましては訓練手当を支給するというようなことで援護を申し上げております。あわせまして、こういう駐留軍関係離職者などを雇用する事業主につきましては、雇用開発助成金という形で採用後一定期間の賃金の一部を助成するというような援護措置も講じているわけでございます。今回の従業員方々の動向につきましては、今の段階では明らかではございませんが、もし離職者発生というようなことがございましたら、こういう援助措置とあわせまして、綿密な職業相談とか職業紹介というものを通じまして早期就職に努めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  26. 谷本巍

    谷本巍君 この問題について若干要望しておきたいのでありますが、御承知のように、沖縄失業率本土の約二倍であります。それだけに、基地返還に伴う失業率が高くなってくるのではないかといった不安が非常に大きいわけであります。ところが、この種の問題の場合、基地返還の場合でありますけれども、新聞に出てから現地で大騒ぎが起こる、そして行政の方の対応というのがそれからしばらくたって役所が動き出すといったような例がこれまでにも多く見られたことでありました。したがいまして、できるだけ施設庁と外務省との話の中で基地返還問題についての一定見通しを立てるということと同時に、今すぐやってもらわなきゃならぬのは基地関係者皆さん意向調査、これを急いでもらわなきゃなりません。そして、意向調査と同時に職業訓練、これをやっぱり早目に着手することができるようにひとつしていただきたいのであります。この点を強く要望申し上げながら、次の質問に入らしていただきたいと存じます。  次に御質問申し上げたいと存じますのは、第二次振興計画の総点検報告と国の特別措置の継続の問題についてであります。  国が策定いたしました第二次沖縄振興開発計画はあと二年で終わります。四月二十日でありましたか、沖縄県が第二次振計総点検報告書なるものを発表しております。これが第三次振計のたたき台になっていくわけでありますが、この報告書の中で述べられていることの一つは、第二次振計によって社会資本の整備が進んだということ、そして、それと同時に第二の点として強く指摘をしておりますのは、本土との格差が依然として各分野で存在をしているということでありまして、こうした現状指摘とともに、第三次振計への期待といたしまして、本土との格差是正、そして沖縄経済自立的発展を遂げていくための基礎整備といたしまして、地域特性を生かした国際化への対応を行っていきたいということが強調されております。  そこで、開発庁長官に伺いたいのでありますが、基本目標である自立的発展の達成のためには引き続き沖縄振興特別措置法に基づく国の特別措置、これを積極的にやっていくことが大事だと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  27. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 沖縄県が策定をいたしました二次振計の総点検、承知をいたしております。県が地方公共団体というその立場で総点検の作業をなさいました。ただいま沖縄県の振興開発審議会で御審議になっていると承知をいたしております。  一方、私どもの沖縄開発庁といたしましても、沖縄の振興開発の現状と課題を明らかにして、ポスト二次振計をどう考えていくかということについて検討を始めているわけでございまして、振興開発計画に基づいてこれまで実施されてきた諸施策、事業について、現在その総点検作業中でございます。夏ごろまでには開発庁自身が取り組んでおります総点検作業が終わりますので、これもまた私どもの沖縄振興開発の審議会に協議を求めまして審議会の御意見も伺っていきたい、かように考えているところでございます。  今先生御指摘の三次振計という言葉をお使いになりましたけれども、政府としてはまだ沖縄振興開発の三次振計というものは日程に上がってきていないわけでございます。まだ平成二年度予算を御審議いただいている段階でもございます。振興開発計画の第九年目に懸命に取り組んでいるわけでございますから、そしてまた、この振興開発計画の原案提出者、国に対する提出者は沖縄県知事でございますから、県の総点検による御審議の結果がどうなるか、ある意味では国としては、政府としては受け身の立場でもございますので、私ども自身で取り組んでおります総点検結果、それに基づいての審議会の御意見等を伺った上で、ポスト二次振計にどう取り組むかということを決定してまいることになろうと存じます。  開発庁長官としての気持ちはどうだと個人的見解を尋ねられれば、極めて積極的でございますとお答えだけはしておきたいと思います。
  28. 谷本巍

    谷本巍君 ありがとうございました。  三次振計のあらましのデッサン的なものというのは二次振計の総点検報告を読めば大体見当はつくのでありますが、そこの論議に入る前にリゾート問題について若干伺いたいのであります。  第四次全国総合開発計画の中では、沖縄のリゾート問題について次のように述べております。「優れた自然特性を最大限活用した海洋性の余暇活動空間を整備し、これらをネットワーク化することにより、国際的規模の観光・保養地域の形成を図る」。沖縄県はリゾート法の適用を受けるために、現在、リゾート沖縄マスタープランづくりとこれに基づくトロピカルリゾート構想の策定を進めておるところでございます。それによりますと、リゾート地域は重点地域が九地域、そして対象面積が何と二十二万五千ヘクタールで、ほとんどの市町村が網羅されております。言うなれば沖縄県総リゾート化と、こんなふうに言っても差し支えない印象を受けるところであります。そしてまた、このリゾート化については、ハワイとオーストラリアのゴールドコーストを結ぶ三角形の一つの頂点としての発展がうたわれておるわけでございます。大変壮大な構想ということになってくるのであります。  そこで、国土庁の方に伺いたいと思いますのは、国際的規模のリゾートと位置づけたが、外人客などもかなり当て込んでのことなのかどうなのか。さらにはまた、これだけ思い切ったものを出すに当たっては、太平洋に面したリゾート地域というのは何もオーストラリアのゴールドコーストとハワイだけじゃないのでありまして、アジア地域にもかなりそうしたリゾート化の開発が進み始めておるという状況があるわけでありますから、そうした調査なども十分した上でこうした構想を示されたものと私は想像するのでありますが、その点どうなのか。さらにはまた、ハワイやゴールドコーストと比べてどんな特徴を持つリゾート構想なのか、その点について伺いたいと存じます。
  29. 岩崎忠夫

    説明員(岩崎忠夫君) 沖縄県からは、現在総合地域整備法に基づきます基本構想の前提となる基礎調査の結果が国土庁初め主務六省庁に提出されているところでございまして、現在主務六省庁としまして、ヒアリング等を通じて沖縄県とその内容について協議検討を行っているところであります。  そこで、ただいま御案内のとおり、沖縄県につきましては、四全総におきまして、「国際的規模の観光・保養地域の形成を図る」ということとされておりまして、これを受けて県としても全県域を対象とした国際的規模のリゾート地域の形成を目指しているものということであります。  ただいま先生から国際的というのはどういう意味のことなのかと。例えば外人客を当て込んでのことなのか、アジア地域のほかのリゾート地との関係はどうなのか、どんなような構想を持っておるのかということでございますが、全体としてただいま基礎調査の結果に基づきまして主務六省庁と沖縄県との間で構想の検討を行っているところでございまして、その細部については、今後協議検討の末いろいろと変わってくることもあり得るかと思うわけでございますが、お答えを申し上げたいその国際的ということでございますが、一つは、沖縄県というのは我が国最西南端に位置するという地理的な条件ということがございまして、これが東南アジア諸国を初めとする海外に開かれた地域でございまして、沖縄県の海外交流という歴史的体験とか、あるいは独自の伝統文化を持っている、国際交流としての場の可能性を持つというようなことが国際的な意味合いの一つに挙げられているかと思うわけであります。  もう一つが、先生御案内のとおりでございますが、我が国で唯一の亜熱帯地域に位置するわけでございまして、海洋性リゾートとしてすぐれた自然特性を備えているわけでございまして、沖縄県におきましては、御案内のとおり、ハワイやオーストラリアのゴールドコーストなどと並ぶ国際的なリゾート地域となる可能性を秘めているという点を言っておるわけであります。  また、沖縄県におきましては、これまでも人的、物的な国際交流の拠点づくりに努力しているというようなこともあるわけでございまして、これらの点から、沖縄県はその自然的条件や社会的、文化的条件等におきまして国際的なリゾート地域になる可能性を秘めた地域だとしているわけでありまして、国際的と呼ぶにふさわしいリゾート地域だと考えているようであります。こういうようなことで国際的規模のリゾートというようなことを言っていると思うわけでありまして、必ずしも端的にただ外人客を当て込んだから国際的というようなことで言っているのではないというように私ども承知しているわけであります。  ただいま申し上げました沖縄県の自立的発展に資するために県土全域を特定地域に指定するという構想でありますが、ただいま構想の中身については主務六省庁との間でいろいろ検討がなされているところでございます。  以上でございます。
  30. 谷本巍

    谷本巍君 沖縄県のこのリゾート化、いろいろ問題があるような気がするのでありまして、一つの問題は過剰投資にならぬか。それからもう一つは、県民生活の向上に結びつくのかどうか、多くの疑問があるということ。そしてまた、自然環境保全との絡みがどうなるのかといったような問題点とかございまして、順次伺っていきたいと存じます。  まず初めに、過剰投資にならないのかどうかということであります。  リゾートブームを生んだ背景は何かといえば、まあ端的に申し上げるならば、日本の大都市がほとんどコンクリートジャングルの町となり、自然との断絶の中の暮らしになってきた。そして、そういう大都市で暮らされる皆さんというのが国民の中で半数以上を占める時代に入ってきた。こうした問題とともに、都市住民の三分の二はふるさとを持たない二代目以降の皆さんになってきた。こういったような関係がふるさと志向の強まりになったと言ってよかろうと存じます。  沖縄の場合で見てみますというと、平成元年の入り込み客数が二百七十万人でございました。本土復帰時の約七倍ということでありまして、沖縄の場合は突出したリゾートブームになってきているというふうに言ってよかろうと存じます。  こうした状況沖縄の場合に生まれてまいりましたのは、県民皆さん沖縄に行かれた皆さんなどの話を聞きますというと、やはり何といっても、一つには青い海とサンゴ礁など、多様なイメージがある。さらにはまた、沖縄には長い歴史と独自の文化が色濃く残っており、そうした未知なるものへの魅力というのが沖縄に若い人も含めて引きつけられたのではないかというふうに言われておるところであります。  ところが、四全総が描きましたデッサン、そして今県が計画中のものを見てみますというと、かなりの問題があるように思われてなりません。  まず一つの点は、民間活力引き出しということで、画一化に近い施設型リゾートが中心になりつつあるわけでありまして、そして、そういうリゾート化を進めるに当たって沖縄のイメージに乗った海洋型、施設型、大型化、これを進めていくというような形になりつつあります。言うなれば、これはありきたりのものなのであります。ふるさと志向を満たすというものとは似て非なるものなのであります。こういうところに大きな問題の一つがあるのではないか。  さらに二つ目の問題としましては、海外旅行に比べて割高感が否めないということであります。  最近、日本の若い皆さんが香港や台湾やグァム島などへ行かれる方がふえておりますが、こうした皆さんは割引料金で行かれる方が多いようでありまして、こうした皆さんからしますというと、沖縄よりは安いよという話が割と多い。これは運賃問題だけではないでありましょう。  バカンス旅行ということで見てみますというと、親子四人、一週間のバカンス旅行であれば、イギリスや西ドイツやフランスの場合は約十万円だという、一日当たり一人三、四千円というところですね。ところが、日本の場合はどの程度かかるかというと、四十九万円という数字が出ておる。約五倍であります。沖縄のリゾート化が進む中で、滞在費がどの程度になるか、やっぱり沖縄の場合はこうしたことの例外であるはずはありません。  こうして見てみますというと、外人客はほとんど来ないでしょう。それから、また行ける皆さんがどういうことになってくるかというと、結局独身貴族が主流とならざるを得ない。したがって、おのずと限界が生じざるを得ないという要因が私はそこにあると思われてならないのであります。  ところが、現地を見てみますというと、各市町村ごとが競い合うという状況が生まれており、本土からも資本が乗り込んでいるというような状況になっておるのであります。こうした事態をこのままにしておきますというと、必ず過剰投資ということになっていくのではないでしょうか。過剰投資になった後に責められなきゃならぬのは国土庁ということになってまいりますね、最初のデッサンを描いたのは国土庁なのでありますから。この政治的責任というのは免れようがないわけであります。  したがいまして、開発庁長官にお願いを申し上げたいのは、こうした現地をきちっと調査していただきながら、過剰投資にならぬようにひとつ国土庁との話し合いも進めていただきたいのであります。計画が出てしまってからでは、これはなかなか手直しはできないというようなことにもなってくるわけでありまして、やはり今の段階からそうした問題について、所管官庁として国土庁の長官の方からも現地側と意見交換をお願いを申し上げておきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  31. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 先生から二点特に御指摘があったかと思います。  第一点は、これからリゾートを求めていくのは、ふるさと志向というか、ふるさとのない方がふるさとへ戻ったような感覚を持たれるような世界をいろいろ創設することが必要ではないか。これは最初のお話ではなかったかと思います。それともう一つは、秩序あるリゾートの建設が要るんじゃないか。今のまま進んだら過剰になって、かつての海洋博後かなりホテル等が倒産した経験も沖縄県は持っております。そのあたりの調整も要るんじゃないか、こういうお話かと思います。  先生のまさしくおっしゃるとおりでございまして、国際的な評価にたえるリゾートと申しておりますが、沖縄県がこれから目指すのは長期滞在型のリゾートも入れていかなきゃならない、こういう時期に来ておるかと思います。その場合に、現状の高いホテル料金で長期滞在できるかといったらいろいろ問題があろうかと思います。そういうようないろいろな試みをこのリゾート構想の中で考えていく。これは必要があることは沖縄県自身も認めておりますし、私らもそういう形でいろいろ助言はしてまいりたいと考えておるところでございます。  また、施設が過剰かどうかと、こういう問題が一つございます。  これは施設自体を規制するのは、総量規制というのはなかなか難しい面もございますが、やはり秩序立ったリゾートの建設というのが必要なことは沖縄県も承知しておりまして、リゾートマスタープラン等をつくっておりますのもそのせいでございます。  現在、先ほど国土庁から御答弁ございましたように、総合保養地域整備法に基づく基本構想につきまして事前協議段階と伺っております。私どもも重大な関心を持ってこの問題に対応しておりまして、六省庁とも十分協議しながら、先生の御危惧の点、そんなことのないようにやはりいろいろ助言はしてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、開発庁といたしまして一番大きな仕事は、やはりリゾートをやっていきます場合にインフラの整備というのが大きな仕事になっている点もございます。こういった点につきましては、例えば道路、空港、港湾といったような交通施設、あるいは先ほど先生お話にございました沖縄独特の伝統文化というような点もございます。こういったものは現在首里城、これはリゾートのためにつくるわけじゃございませんけれども、沖縄一つの伝統文化の象徴でございます首里城を復元しようと、こういうこともやってございます。また海洋博覧会の跡地の国営公園等、こういった整備も進めておりまして、沖縄が国際リゾートとして成り立っていくようにいろいろお手伝いさせていただきたい、かように考えているところでございます。
  32. 谷本巍

    谷本巍君 次に伺いたいと存じますのは、このリゾート計画なるものが果たして沖縄県民の幸せにうまくつながるのかどうかということでございます。  企業型リゾートが進められた場合の経済効果といたしましては、一つには用地買収と土地造成と建築工事などの波及効果があるとされております。それから二つ目の問題としましては、雇用創出と地場産物の需要創出ということがございます。そして三つ目には、観光客による買い物と交通利用。そして最後の四番目としましては、地価の上昇による資産評価の上昇、つまり税収の上昇と、それから企業からの税収の増収といったようなこと等が挙げられております。  ところで、八六年、これは開発庁の出先機関ということになるのでしょうか、沖縄総合事務局というのがございますね、これが調査いたしました大規模リゾート施設進出に伴う周辺地域の経済社会調査、これを見てみますというと、大変残念な結果しか出ておらぬのであります。  調査いたしましたのは、先ほど申し上げました第二点の雇用と消費物資の需要を中心とした調査でありますが、雇用で見てみるならば、採用された人員のうち県内出身が七五%とされております。これは大変結構なのでありますが、どういう採用形態なのか、これが不明であります。ただ、県内採用県外採用を含めて全体の九割近くがパート、季節労働ということであります。それから見ますというと、県内採用の大部分はパートであるとか、あるいはまた臨時的な季節雇用だなという見当がつきます。  それからもう一つの消費物資の需要の方の関係でありますが、豚肉で言うと八〇%から一〇〇%の県内調達、鳥肉が一五%から一〇〇%県内調達ということなのでありますが、野菜であるとかあるいは果物、牛肉、卵等々、他の物はほとんど県外調達というのが主流になっておるのであります。  こうした例はほんの一例なのでありまして、本土の大きな資本が建てる季節型のリゾート化ということになってきますと、空港へ降りたお客さんをバスでホテルまで案内する。じゃホテルに着きましたら、遊ぶ施設はどんなことになってくるかというと、例えばホテルと直結されたビーチパークゾーン、それからホテルのプールであるとか、あるいはホテルが直営しているかあるいは提携しているゴルフ場、そしてまたテニスコート、そしてまたバカンス村などにしましても、大体同じ企業の系列の中ということになっているわけでありまして、そしてお土産の買い物というのはおおむねホテルの中で済ますというような形になるのが多いんですね。こうなりますというと、県経済の浮揚ということにさっぱりつながらないじゃないかという議論が出てまいります。そればかりか、リゾート化で那覇市内の都市型ホテル、客を奪われて倒産したという例がぼつぼつ出始めておる状況であります。  こうして見てみますというと、このリゾート化で果たして沖縄経済の浮揚につながるのか、沖縄県民の幸せにつながるのか、疑問なしとしない。ハワイで見てみますというと、レジャー施設地元業者がやり、そしてお土産はホテルの外で買ってもらうというような仕組みができ上がっているわけですね。やり方はいろいろ工夫すればあるわけでありまして、そうした点についてどのようにお考えになっているか伺いたいのであります。
  33. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 先生から二点ばかり御指摘があったかと存じます。一つ雇用の問題でどうつながっているのか、こういう点が一つでございます。それともう一つは、地元企業との、特に農水産物を中心にどういうふうにつながっているのか、そういう御質問ではなかったかと存じております。  第一点の地元雇用の問題でございますが、これは二点の問題があろうかと思います。  一つは、できるだけ地元の方を採用していただくという問題と、もう一つは、先生たまたまお話ございましたパートの方が多いじゃないかというような趣旨の、基幹的なホテルマンがどれぐらいおられるのか、こういう御危惧もあったかと存じておりますが、そういう人に対する教育の問題と、二点あろうかと考えておるところでございます。  沖縄リゾート開発に際しましては、立地企業と市町村の間で従業員地元採用を条件とする協定がぼつぼつ結びかけられておるところでございます。できる限り地域住民の雇用の確保を図る施策を講ずることはもとより必要であると考えておるところでございまして、こういう形が順次広がっていくことを期待しておるところでございます。  問題はその採用された方々がどういう形で雇用されるかという問題でございます。特にリゾート等の観光産業のニーズに合った人材育成がぜひとも必要であるわけでございます。現在、沖縄県では県内の高等学校とか専修学校等で所要の養成が行われていることは事実でございまして、県の教育委員会も必要に応じてこういったものを考えてまいりたいと、こう言っているところでございまして、こういった面における雇用対策が円滑に行われることを期待しておるところでございます。  それからもう一つは、こういったような観光産業、リゾート産業の進展が、その産業の中だけじゃなくて、先生御指摘がございました農水産業あるいは伝統工芸産業、サービス業とか、多くの関連産業に広がっていく、これがぜひとも必要なところではございますが、残念ながら先生御指摘がございましたような現状は否めないことかと考えております。  なお、この点につきましてもいろいろ問題がございまして、例えば魚でございますと、ああいうところでございますので一度に同じ形のものが大量に得にくいとか、そういったいろいろ困難な問題もございます。こういった問題は、いろいろ地元漁協とホテルとで協議を重ねていく必要もあろうかと考えておりまして、おいおいそういった点について努力も続けられるものと期待をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、地域の産業の振興が十分図られるよう先生の提言も十分腹に入れまして沖縄県にアドバイスしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  34. 谷本巍

    谷本巍君 続いてリゾート化と自然破壊の問題について伺いたいのであります。  最近県民皆さんから伺う話で、青い海が失われる、サンゴが死滅の危機にさらされ始めたという声が多いのであります。これまで言われてまいりました汚染源の赤土流出で言いますというと、米軍の演習によるもの、あるいは一部土地改良によるもの、また生活排水によるもの、原因はいろいろ言われてきておったのでありますが、最近はリゾート開発での汚染がひどくなり始めたという声が強いのであります。  例えば昨年の五月十八日でしたか、大雨が降ってゴルフ場の建設現場から赤土が流出して海が一キロメートルにわたって汚染されたといったような新聞記事が出たことがございました。島じゅうゴルフ場だらけの計画なんです。ゴルフ場で申し上げますというと、現在二十四、造成中のものが九、計画中のものが二十、五十三です。現在の二倍を超えますね。沖縄の中はもうゴルフ場だらけということです。つまり、汚染源だらけということになってきやしないでしょうか。こんなふうになっていきますというと、漁業への打撃も出てまいります。さらにはまた、リゾート栄えて山海川なしというようなことになってしまうおそれが十分あるのでありまして、リゾート化問題と自然を守るということ、この辺についてひとつ積極的な行政指導をお願い申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 水谷文彦

    政府委員(水谷文彦君) ただいまお話がございましたように、リゾート開発を進めるに当たりましてはいろいろな制約要件があるのだろうと思います。例えば水の問題、交通アスセスの問題。そうした中で、御指摘ございましたように、大きな制約要因が環境問題だと思います。とりわけ沖縄には、御指摘いただきましたように、特殊な土壌がございますので、開発行為によりまして赤土問題といったものが生じてきております。この赤土問題につきましては影響するところが非常に広範でございます。かつ原因者も非常に広範でございますので、いわば全県的な取り組みが必要ではないかと考えております。  そうした中で国もいろいろ開発行為をやっておりますので、国の立場から考えるべきこともございます。  それは二つございまして、一つはダムあるいは道路等の工事をやっておりますけれども、そういったところにつきましては、赤土を初めとした環境問題を生じないように私ども細心の注意を払ってやっております。雨が降ればその都度点検をするとか、工事に際しましては特殊な沈砂池をつくるとか、あるいは植樹、植林をするとか各般の細かい保全行為をいたしております。  それからいま一つは、赤土の挙動というのは、実を申しますと本当によくわからないところがあるわけでございます。赤土の発生の経緯とか、あるいは一たん発生しましたものがどうしたら回収できるかとか、あるいはそもそも赤土の発生しないような工法はどんなものがあるかとか、そういったことが本当に解明し尽くされておりませんので、それらにつきましては、総合事務局の中にも特別の専門的な検討会を設けまして研究をいたしております。それが私ども国としての取り組みでございます。  県におきましては、別途非常に高いレベルで、つまり副知事をキャップとして関係部長で構成します連絡協議会のようなものをつくりましていろいろ指導に当たられております。また、県土保全条例といったものもございます。あるいは昨年の秋でございましたけれども、農業の土地利用につきましてこれまで規則を持っておられましたけれども、それを何年かぶりに改定して強化するといったことで、取り組みの姿勢としましてはかなり前向きに本腰が入ってきたように思います。  ただ、何分にも申しましたように、赤土問題というのは非常に広範であり、かつ原因が必ずしも十分解明し切れていないという問題がございますので、御指摘いただきましたように、ゴルフ場の建設、リゾート開発等、これから進めなければいけないわけですけれども、進めるに際しましては本当に細心の注意を払ってやっていかなければならない、このように考えております。
  36. 谷本巍

    谷本巍君 リゾート化は進めてみたが、雇用は臨時やパートばかりで、そしてまた消費物資の地元での需要もふえない、観光客の買い物にもうまく結びつかなかった、加えて自然破壊というようなことになったら県民は目も当てられないのであります。その上騒音公害や交通渋滞、地価の高騰、ビーチパークからの住民締め出しといったような問題等々も起こってくる可能性が十分あるのでありまして、したがいましてこのリゾート開発に絡んで特段の関係省庁と大臣の指導方をお願い申し上げておきたいと存じます。  私、沖縄経済自立化問題について最後にいろいろ伺いたかったのでありますが、時間が既になくなってしまいましたので、その点については三次振計絡みで後日また伺うことにさせてもらうことにしまして、最後に若干水問題についてお伺いを申し上げたいと存じます。  例えば、今度のリゾート計画の中にある部瀬名岬のリゾート開発、これは一万室の施設だというんです。使う水の量はどのぐらいか、一日四万トンだというんです。沖縄本島の一割相当の水を使うというような計画があるわけであります。こういうふうな状況の中で沖縄の水問題をどう解決するのかという問題が大きな課題であります。この点につきましては県当局もいろいろと工夫をしておられるようでありまして、例えば下水道の再利用であるとか、あるいはまた海水の淡水化問題とか、いろいろな問題について検討をしておるところであります。  ところが、この検討は私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのであります。肝心の水をどうつくるかという構想がさっぱり出てこない。ここが弱い。つまり、林業問題がないということなのであります。  御承知のように、水をつくるところは森林なのでありまして、雨水で言うならば、裸地の七倍を山はためてくれる。そして、川下の町を水害から救うと同時にわき水としてこれを流してくれる。でありますから、日本が明治維新に入ったときには、どう工業化を進めるかの前に一番力を入れたのは山の整備でしたね。第二次世界大戦後も一番力を入れてきたことの一つは、第二次世界大戦ではげ山になった山をどう整備するかということでありました。そういう中で水がたくさんつくられるようになって日本の工業化が成功したといったような経過もあったわけであります。  沖縄県で見てみますというと、第二次世界大戦前わき水でもって部落がこれを共同利用するという例は結構あったのです。もともと水が少ないというわけではなかったのです。ところが、戦争で山が焼けてしまった。そして、占領下で植林が立ちおくれてしまった。さらにまた米軍の演習で山が破壊されてしまった、山の火事が多くなったというようなことの中で、いわゆる山がつくる水の生産量が停滞的状況に陥ったということであります。沖縄開発庁の予算を見てみますと、造林、林道予算などで一括計上をして県が作業をしてもらうというようなことになっておりますが、そういうことになっておるとはいえ、山の荒廃化は日本で恐らく一番でありましょう。そして水対策はどうかというと、ダムづくりが中心になっている。やっぱり山の整備に力を入れなきゃどうにもならぬわけでありまして、その点について開発庁並びに農林水産省の御意見を承りたいのであります。
  37. 水谷文彦

    政府委員(水谷文彦君) ただいまお示しになりましたように、沖縄におきまして一つの重要な課題が水の確保の問題でございます。  御案内のように、沖縄県というのは総量としては本土よりたくさんの雨が降りますけれども、人口密度が、本島で見ますと、本土の平均よりもかなり多うございますので、一人当たりの水ということになりますと、本土よりかなり少ない水準になります。六割ぐらいの水準になるんではないかと思います。そうした中で、別途特殊な地形でございますので、河川とかあるいは山岳等において保水能力が非常に小さいといったことで、水資源の開発というのは大変重要な問題でございます。そうした中で、やはりまずもって安定的な水供給をするためには、これまで河川水、地下水等に依存する割合が多かったわけですけれども、やはりダムによって水をためて年間安定的に供給をしたいということで、ダムづくりをこれまでずっと進めてまいりました。北部に五つのダムをつくりまして、大体二十五万トンくらい、したがって年間の総需要量の半分くらいはダムによる供給になっております。さらに現在三つの大きなダムをつくっておりまして、さらにことしから一つ新しく着工したいと考えております。ただ、お示しになりましたように、ダムの建設だけじゃなくて、沖縄の水というのは大変深刻でございますので、ダムだけというわけにはまいりませんで、例えば地下水の開発をするとか、あるいは海水の淡水化をするとか、そういったいろんな手法を凝らしましてやっております。  また、節水対策ということも本土以上にやっておりまして、昨年の秋からことしの冬にかけましてはかなり大きなキャンペーン等もやりまして、どうして把握するのかちょっと県にも詳細尋ねておりまして……
  38. 谷本巍

    谷本巍君 時間がなくなってきておりますので、端的にお願いします。
  39. 水谷文彦

    政府委員(水谷文彦君) そうですか、はい。  そうした中で、お示しになりましたように、ダムの開発だけじゃなくて、もとのところ、つまり水源涵養が大事ではないかというお話だったと思います。それにつきましては、おっしゃいますように、沖縄県の林野率あるいは人工林率等は非常に少のうございます。それからまた保安林の中でも水源涵養保安林というのが少のうございますので、やはりダムの開発とともに、もとのところの保水力を高めるということが大変重要でございますので、全体の公共事業費の中で造林事業費は必ずしも多いものではございませんけれども、やはりそうした中でもできるだけ力を入れていかなければならない問題であると考えております。
  40. 谷本巍

    谷本巍君 ちょっと時間がないので、あともう一つ聞きたいことがあるので簡潔に願います。
  41. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 林野庁でございますが、御指摘のとおり、森林は水源の涵養、洪水の防止という非常に大きな公益的機能を持っているわけでございます。そういう森林を整備していくということの必要性については十分認識してございまして、これまでも治山事業あるいは造林事業で森林の整備に努めてきたところでございます。特に沖縄の北部におきましては沖縄の水源地として重要でございますので、これまでも東村や国頭村におきまして重要水源山地整備治山事業を実施してきているところでございます。また、昭和六十二年度からは大宜味村におきまして水資源の確保上重要なダム等の上流の水源地域を対象とした水源地域緊急整備事業を実施しているところでございますが、森林の整備あるいはダムへの土砂の流出を防止するという観点から、これからも総合的に緑のダムとしての水源林の整備に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  42. 谷本巍

    谷本巍君 本当の最大の水源地というのは沖縄の北部なんですね。御存じのように、ここには五つの国営ダムがあります。そのうち四つが米軍の演習訓練地内ということになっております。米軍の演習地内ということになりますというと、射撃などをやるとしょっちゅう山火事が頻発しますし、それからまた、同時に山の荒廃がひどい。何といいましても水源涵養保安林に指定をしてきちんと整備をしていかなきゃ、これはどうにもなりません。それをやることができるのかどうなのか。結局、基地縮小問題が今出ているわけでありますから、この機会に開発庁長官ひとつ音頭をとっていただいて、防衛庁それから防衛施設庁、そして林野庁などと協議をしながら、この地域の水源涵養保安林指定、そして水の生産量をより多くすることができるようにやっていただくことはできぬものでしょうか、いかがでしょうか、大臣。
  43. 水谷文彦

    政府委員(水谷文彦君) 保安林の指定につきましては林野庁の方でお願いをしているわけでございますけれども、やはり地元の方の合意とかあるいはただいまお話のありましたような米軍との関係、いろいろ出てまいろうかと思いますけれども、基本的に私どもやはり水源涵養保安林というのは整備が必要だというように考えておりますので、その辺のところ関係省庁と連絡をとりながら林野庁にもお願いをしてまいりたいと考えております。
  44. 谷本巍

    谷本巍君 米軍との関係も絡みますからね、ひとつ大臣にこの点お答えいただけませんか。
  45. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 沖縄の水を確保いたします問題、大変重要な問題でございまして、先ほどの委員お話にございました二次振計の後にやはり残っていく問題だと考えております。それだけに水源地周辺の問題等心いたしまして関係官庁ともよく協議を進めてまいりたい、かように考えます。
  46. 谷本巍

    谷本巍君 ありがとうございました。
  47. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 この金融公庫法の一部改正をする法律案についてお聞きしたいんですが、日本開発銀行等を含みます七つの国の政策金融機関沖縄で一元的に実施する機関、こういうふうに聞いておりますけれども、今回の改正についてお聞きいたしましたら、本来日本開発銀行法が改正されたときに一緒に直しておけばよかったやつを時期的に少しずらしたと、こういうことでございますが、本来一元的に行う公庫であれば、自動的というんでしょうか、同じ時期に直してよかったんじゃないかと思うんですけれども、これだけおくれて提案された理由は一体どこにあるのか、ひとつお聞きしたい。
  48. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄公庫でございますが、先生御指摘のとおり、政策金融の面から沖縄経済の振興あるいは社会開発を図ることを目的として本土政府関係機関一銀行五公庫の業務に相当する業務を一元的に行っておるところでございまして、したがいまして、従来から本土公庫等に設けられた新しい融資制度につきましては、沖縄公庫の業務範囲に対応するものについては同様の措置を講じてきたところでございます。  ところで、今回法改正をお願いしております二つの融資制度、これは昭和六十二年度及び平成元年度に日本開発銀行で創設された制度でございます。当時いずれも沖縄におきまして資金需要が具体化といいますか、蓋然性が少なかったものでございまして、制度化、創設を見送ってまいったところでございます。  ところで、最近相次いで、例えば立ち上がり支援資金でございますと、民活法対象の事業やリゾート法の対象事業が具体化してまいりました。また、研究開発資金につきましても情報処理システム化の動き等も出てきてまいっておりますので、こういった動きにおくれることのないようにということで、今回法改正をお願いいたしておるものでございます。
  49. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 開発庁より金融公庫の実情といいましょうか、パンフレットをいただきましていろいろ勉強させていただいたんですが、その中で融資の計画、これは本年度の予算案にものっておるわけですけれども、その中で出資の計画、企業に対する出資というのが三億円計上されているわけですけれども、これは予算書を見ましても、今回の説明を聞いても、どこに何に使うのかというものが何もないわけですね。予算額だけしか計上されていない。一体これは何の目的でどのように使うのか、ちょっとそれを御説明いただきたい。
  50. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄公庫の出資業務についてでございます。この出資業務といいますのは、適切な民間資本を誘導することによりまして中核的な企業の育成を図りまして沖縄産業振興開発、ひいては沖縄経済自立的発展に資することを目的といたしまして、昭和五十三年の法改正によりまして従来の融資業務に加えて行うことができることとしたものでございます。  ところで、その融資対象でございますが、一つには産業の振興開発促進上意義が大きい事業であ ること、あるいは二番目といたしましては地方公共団体の出資が見込まれるような公共的意義の大きいもの、それから三番目には速やかに採算には乗りがたいが将来自立できる見込みがあること、それから公庫の出資によりまして民間資本の導入が促進される、こういったことを要件として出資を行う事業を決定いたしておるところでございます。  このために、沖縄公庫におきましては地方公共団体、民間企業と協調いたしまして出資の対象になるプロジェクトの発掘に努力をいたしておるところでございまして、その進捗状況等も勘案しながら毎年度これらのプロジェクトに対応できる適正な規模の予算を要求してきたところでございます。平成二年度につきましても、関係地方公共団体等と連絡をとりまして元年度と同額、三億円の出資枠を確保させていただいておる、こういうことでございます。  今後とも、こういう事業でございますので、積極的に公庫でプロジェクトの発掘に努力をいたしまして、こういったプロジェクトの進捗状況も十分把握し、関係公共団体、民間企業とも十分連携をとりながら地元の期待にこたえるよう対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  51. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 出資の実績を見てみましたら、五十八年に三千万、六十二年に五千万、平成元年に三億円、合計で今まで株式会社沖縄北部地域開発研究センターなどを含めて五件、合計三億八千万円、こういうふうになっているわけですね。  そこで、私がお聞きをしたいのは、三億八千万の予算を使っているんだ、あるいは出資しているんだけれども、これに対する資料なりあるいはどういう実績が上がっているのか。もっと逆の言い方からしますと、私ども議員がこれを審議するときに出てきている数字は、ただ出資額幾らだけですという金額しか出てこない。この金額が妥当であるかどうか、あるいは足りないのかどうか、あるいは目的がきちっと合致しているかどうか、これに見合う資料といいますか、数字というのが添付されてこないわけですね。ですから、我々は、ただこの数字がいいか悪いかということだけの審議しかできない。ある意味でいえば、我々議員が審議するのは、予算が出てきただけで裏打ちになる資料なり数字が伴ってきませんと、実質的な審議というのはなかなかできない。ですから、全部出せというんでは予算書も膨大になるでしょうけれども、少なくともこれだけの金を投資したんだ、どこにどういうふうに投資して現状はどうなっているのかというぐらいな資料はできるならば出していただきたい。これは別に沖縄開発庁だけじゃなくてすべての予算に通じていることでありまして、ただ金額だけが出てきてこれを審議しろと、こう言われても、裏打ちになる資料がないということについては、我々にとっては大変手足をもがれた以上のものでございますので、これについてできる限りひとつ報告あるいはそういう資料を出していただきたいということでちょっと御質問したい。
  52. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 先生から御質問がございましたが、現在五件、三億八千万の出資をいたしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、五十三年度に宮古空港ターミナルに一億、それから五十四年度に沖縄共同サイロで八千万、それから五十四年度、これは沖縄県離島海運振興で一億二千万、それから五十八年度で宮古食肉センター三千万。六十二年度で、先ほど先生お話しございました沖縄北部地域開発研究センターで五千万、合計三億八千万ということになっておるところでございます。  こういった事業につきまして出資業務をどう対応しているのかと、こういう御質問もあるいはあったかと伺ったわけでございますが、政府関係機関でございます沖縄公庫あるいは地方団体がこれは株式取得という形で出資をいたしますので、株主という立場から業務の適正な運営を図っているところでございまして、出資制度の運営が適正に行われるようなお私どもとしても沖縄公庫を指導してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  53. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今の数字をちょっと確認したいんですが、金融公庫の出資の累計というんですか、残高というんですか、三億八千万でよろしいんですか。
  54. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) はい。
  55. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 五十八年、六十二年、元年度の三億八千万のほかに、今五十二年度と言いましたか、五十三年度といいましたか……
  56. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 六十二年……
  57. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 一番最初のやつです。
  58. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 五十三年度でございます。
  59. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 五十三年度に一億円あるんですか。
  60. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) はい。
  61. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると四億八千万になるんですか、それともその金は戻ってきたということなんですか。
  62. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 平成二年度の予算に三億計上しておりますが、それぞれの年度で出資の枠をとってございます。それで五十三年度で貸したものが一億あるというものの実績を申し上げたわけでございまして、平成二年度の予算はそういうものを貸し付ける枠として三億あるんだと、こういうことではないかと考えております。
  63. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 余りやってもしようがないんですけれども、五十三年度に一億円出資をしている。五十八年度に三千万出資をしたと。六十二年度に五千万出資したと。平成元年度の予算で三億円は枠なんですか、出資したんですか。
  64. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 枠でございます。
  65. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると、出資したのは一億八千万、出資した累計額は。
  66. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) もう一度申し上げますと、これは出資した実績を申し上げております。五十三年度で一億、五十四年度で八千万、五十四年度、同じ年でございますが、一億二千万。それから五十八年度で三千万、それから六十二年度で五千万、合計で三億八千万になってございます。これはもう既に出資した額でございます。  先生お話しの三億というお金は、これからそういうような対象事業が発掘された場合に三億の中から出資できる、こういう形の予算、こう御認識をいただきたいと思うわけでございます。
  67. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 わかりました。  ただ、長官にもこれはお願いでございますが、先ほど言いましたように、審議をするに際して数字だけ出されても、適切であるかどうかということの判断はできかねますので、ひとつその点についての資料なりなんなりの配付をお願いしたいと思います。  続いて沖縄産業開発、これは当然リゾート、観光ということが中心になってくるだろうと思うわけです。そこで、いろいろ運輸省の方にお願いをいたしまして資料を出していただきました。沖縄全国で二番目の観光潜水船というのが運航しているわけでございまして、人気を博しているということでございますけれども、まず第一に、長官にちょっと個人的にお尋ねしたいんですけれども、観光潜水船、まあ人が乗っかって海に潜るやつですから乗ってみたいなという気もありますが、安全性については、長官はどのような個人的な感じをお持ちなのか。
  68. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) まさに個人的にしかお答えができないわけでありますけれども、大変好評を博している、お客様も多い水中船だと伺っております。安全であることはもう第一条件でございますから、運輸省でいろんな規定を設けて安全確保に努めていてくださると思いますけれども、好評であればあるほど安全を確保していただきたい、かように考えます。
  69. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そこでお聞きしたいんですが、いろいろ資料をいただきまして、潜水船特殊基準の一部改正というのをいただきました。これを見てまずわからないんですが、この観光潜水船というのは、ここで書いてある通常一般でいう潜水船をうのか、母船式潜水船を指すのか、ちょっとそこのところ確認をしたいんです。
  70. 山本圭吾

    説明員(山本圭吾君) 先生お手元の資料は一般的な基準でございまして、特に母船式あるいは単独で運航するということを前提に書いているものでございませんで、一般的に潜水船という基準でございます。
  71. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 明らかに二つ違う定義をしているんだけれども、そんなことはいいです。  それでお聞きしたいのは、いただいたこの資料は奄美大島でやっているやつなのか沖縄の恩納村でやっているやつなのかちょっとわかりませんが、多分沖縄の恩納村でやっているやつのパンフレットだとは思うんですが、まず単純なことでいくと、ここで総トン数二十三トンと書いてあるんですけれども、これはトン数が違うんじゃないんですか。八十七トンと、もっと大きいやつじゃないかと思うんですが、その点が一つ。  それともう一つ、現に奄美大島でやっているのは、三カ月間で二千人が利用している。一人九千円ずつ取ってやっていると。これは四十五人乗りで百六トン。平成二年度は、ここの会社の目標は約四万人をこの船でやろうということですね。そうすると、大変大きな人数、観光の人が乗る。乗るのはいいんですが、先ほど言いましたように、安全対策というのは一体どうなっているのだと。特に海の底に潜るわけでございますから、その点について運輸省の方の方針指導は一体どうなっているのか、ちょっとお聞きしたいんです。
  72. 山本圭吾

    説明員(山本圭吾君) 一般的には船舶の構造、設備につきましては、人命の安全を確保する観点から、船舶安全法の規定に基づきまして技術基準を定め、国によります定期的な検査を義務づけてございます。特に観光潜水船につきましては、多数の旅客を搭載し潜水、浮上するという特殊な運航形態をとりますことから、その特殊性に対応した安全対策を通常の船舶に対して要求してございます技術基準に追加して要求しておりますとともに、毎年行われる検査の際に、これらの技術基準の適合性について確認をしてございます。  一例を挙げますと、他船やあるいは海底との衝突を防止するために、他船や海底の障害物などを事前に余裕を持って感知できるためのソナー、つまり音響水中探知装置でございますけれども、こういったものの備えつけ義務を課してございます。
  73. 小山正宣

    説明員小山正宣君) ただいまの御答弁に追加いたしまして運航管理面でもお答えしたいと思いますが、観光潜水船につきましては、一般船舶と異なっておりまして、潜水と水中航行、浮上といった特殊な運航形態をとるということでございますので、潜水船のほかに水面上で追跡、監視等を行います支援船、それから発着場との間を旅客輸送いたします送迎船、それから運航管理を統括いたします基地、これらを一体といたしましたトータルシステムのもとで運航されております。  この中で最も重要な役割を果たします支援船は、潜水船の潜水海域の海上におきまして、潜水船が浮上する際に他船との衝突を防止するということから、常時厳重な見張りを行うということが一点。さらに潜水船を追跡、監視いたしまして、潜水船との間で常時連絡をとり合うこととなっております。また、事故に備えまして支援船には常時ダイバー二名が待機するということになっておりますとともに、万が一潜水船の浮上システムが故障した場合におきましても、これをつり上げることのできますクレーンを装備しております。  そのほか、営業開始前には乗組員に十分な教育訓練を行うとともに、営業開始後におきましても、風速が八メートル以上の場合とか波高が〇・八メートル以上の場合等々におきましては運航を中止するというようなことで、安全の確保に努めているところでございます。
  74. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 先ほど長官に潜水艦は安全かと聞いたんですけれども、多分艦名を言えばどういう事故が起こったかというのはわかると思うんですけれども、「なだしお」は当然おわかりだと思うんですが、パコーチャ号というのは御存じでしょうか、潜水艦パコーチャ号。わかりませんか。簡単です。日本の遠洋漁船第八共和丸とペルー沖でぶつかった、そして沈没したペルー海軍の潜水艦です。これは潜っていたんです。  だから、潜水艦だから安全だろうと言うけれども、実は多数の事故が起こっているわけです。確かに支援船が水上にいて見張ってはいるけれども、安全を確保するというのは大変難しいわけです。  そこで、海上自衛隊といえども潜水艦の事故についてはいろいろな安全対策を講じているわけです。しかも潜水艦というのは非常に厄介でございまして、海上自衛隊の元一等海佐の方が潜水艦からの脱出法というのを書いているんですが、そこにおもしろいことを書いているんです。飛行機というのは、事故が起こったら人間社会の方に落っこってくるというんです。だから、まだ助かる可能性はあるかもしれない。しかし、潜水艦というのは、好むと好まざるとにかかわらず、人間社会と反対の方向に行く。つまり海の底に、地球の中心部にどんどん行ってしまって助けることがなかなかできないんですよと。したがって、安全装置が二重三重四重にかけてあるのが潜水艦であるということになっているわけです。  ですから、先ほど言われたように、浮上してくるときの壊れた場合はどうするか。それから、いかに今度は船の中から出てくるかという、閉じ込められちゃってどうしようもできない、浮上できなくなったときは外からやるということになるわけですけれども、この観光船は、説明を聞くと、もし浮上できなくなった場合はクレーンでもってつり上げるんだと、こういう安全装置なんですね。つり上げるだけしかないわけですよ。普通の潜水艦というのは、これは訓練を受けていますから、潜水艦に乗っている人たちが自力で出てくる、あるいは出られるように助けるという幾つかの方式があるんですけれども、これはその方式はない。私は大変不安に思うんです。  特に、先ほど言いましたように、もう平成二年度で目標四万人の人をここに乗せよう、しかも恩納村のやつは三菱重工と日本交通公社、日本航空が出資した日本海中観光という会社ですかがやっている。交通公社と日本航空がどんどんどんどんと人を送り込んできて、この船に乗っけてやる。大変人気を博すと同時に、一面において、全くアクアラングなりそういう潜ったあるいはそういう空気、酸素を呼吸する機械を扱ったことのない人間が多数海中にいる。しかも最大潜水深度五十メートルまで潜れるそうですね。つり上げる装置が何らかの形で動かなくなった、故障したという場合には、ほかに方法がないわけですから、どういうような方法が考えられているのか、対応をするのか、この点についてちょっとお聞きしたい。
  75. 山本圭吾

    説明員(山本圭吾君) お答え申し上げます。  その前に、先生先ほど御指摘いただきました八十トンということでございますけれども、これは排水量トン数のことだと思います。総トン数につきましては二十三トンというふうに私ども承知しております。  それからただいま御質問の点でございますけれども、まず万が一事故が起こった場合ということでございますけれども、観光潜水船の非常時の対策としましては、まず第一に浮上することを最優先としております。そのために、通常時の浮力タンクのほかに、重量調整タンク、さらにドロップウエート投棄装置、こういったものを備えつけておりまして、いずれか一つが故障した場合も緊急浮上が可能でございます。さらにこういった装置も全部故障してしまったという場合には、さらに緊急ブイといったものを備えつけておりまして、これを水中から浮上させることによりまして、支援船にその位置を知らせ、支援船のつり上げ用クレーンを用いてつり上げることとしております。
  76. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 この会社はレスキューチェンバーとか、そういう安全装置は持っているんですか。
  77. 山本圭吾

    説明員(山本圭吾君) この会社は持ってございません。私どもとしましては、一般的にこういうような装置を使うということは、言葉は悪いですけれども、素人の方がこういったものを使うことはかえって危険であるという観点から、持っておりません。
  78. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それ以上は、まだ運航したばかりですから余り聞いてもしようがないんですが、努めて人命の安全ということについては十二分に配慮をしていただきたい。しかも、人の手の届かないところで事故が起こったということになると、なれてない人ですよね。要するに自衛隊のように訓練を受けた者であればしばらくそこで、二十時間なりなんなり密閉の状態の中で頑張るということはできるんですけれども、そういう訓練を受けてない人間が四十人も乗っかるということになると、これはかなり混乱が起こるわけです。しかも、会社としてはこのクレーンで引っ張り上げる以外に方法がないんだとしますと、当然周りの市町村なりあるいは海上自衛隊に頼んで引っ張り上げてもらう、もしくはレスキューチェンバーを使って救助してもらう。そういう救助体制整備ができていないところで運航しているわけですから、くれぐれも会社の方に救助訓練なり、こういう練習を繰り返しやっていただくということを強く指導していただきたいということをお願いします。
  79. 松本修

    説明員(松本修君) 若干蛇足になるかもしれませんが、船員の訓練の関係について一言だけつけ加えて申し上げます。  こういったふうな旅客船につきましては、乗組員の教育訓練について船員法でいろいろその操練等に関する規定がございまして、それが適用されておりまして、今回の観光潜水船につきましても、そういった規定に従いまして、例えば防水のための訓練、それから防火のための訓練、それから特に潜水船でございますので、緊急浮上の訓練とか、それから万が一の浮上不能という事態を想定いたしました支援船によります実際のつり上げの訓練等を定期的に行っているというふうに承知いたしております。
  80. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、安全の確保だけを強くお願いをいたしまして、ちょっと先ほど谷本議員の方からも触れました基地返還について改めて二、三確認をさせていただきたいんです。  先ほどの御答弁ですと、沖縄の知事が返還を要請した部分と、それに約十八カ所を足した施設が合計、ダブっているから約二十三カ所の施設が現在返還検討しているとかいうような御説明でしたが、それでよろしいんでしょうか。
  81. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございます。
  82. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そのうち知事が要請した部分、これちょっとダブッていますけれども除きまして、既に第十五回、十六回の日米安全保障協議委員会においてその施設については返還するという合意ができていていまだに実現していない箇所じゃないんですか。我々からすれば、返すよと言っているやつをもう一度改めてやるのか、それともこれ以外の施設返還しろ、あるいは返還すると、そういう打ち合わせをしている、こういうふうに理解していいんですか。
  83. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  第十五回、十六回安全保障協議委員会で返還合意されました事案、それから沖縄県知事が二度にわたりまして米国に行かれました折に御要請になりました事案、これらをあわせまして今検討しているところでございます。
  84. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 返還合意されたもので、まだ実現していない十八カ所、これはどういう理由で返還がおくれているんですか、そのことについての御説明をいただきたい。
  85. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  当庁といたしましては、施設区域の密度が高い沖縄県の実情にかんがみまして、この整備等は大変重要だということを認識しておりまして、従来から安保協議委員会で了承されました施設区域整理統合計画の実施には努めてきたところでございます。しかしながら、整理統合につきましては、移設先の選定に困難を伴っているもの、あるいはまた土地所有者意向にも配慮する必要があるもの等がございまして、計画の遂行は停滞している状況でございます。
  86. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 これは沖縄開発庁にお聞きしたいんですけれども、既に返還された地域によっては細切れに返されて、今まで返還された面積の約六%は未利用だというふうな数字が報道されておりますけれども、その点の実態についてはどうなんでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  87. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 米軍施設区域返還跡地の利用の実態でございますが、これは沖縄県の調査でございますが、三十六年から六十三年まで、返還されたところが一万百六十二ヘクタールございます。これは森林地域等でそのまま森林等として利用されているものを含めまして八八%が利用されているところでございます。先生六%という御指摘がございました。残り六%は公共事業が計画中でございまして、さらに約六%、これは地権者との調整難や利用不適地等のために遊休地となっているものでございます。
  88. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 もう一度ちょっと確認をしたいんですが、この安保脇で合意に達している十八カ所と、それから知事が要求している部分を含めて合計二十三カ所が現在返還を前提条件に交渉している。その中間報告が、あるいは中間報告というか何らかの合意が六月中に出る、こういうふうに報道されていますけれども、これは政府の方は間違いございませんでしょうか。
  89. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  返還可能性あるいはそういった問題につきまして検討いたしております。返還を前提にということになりますと、当庁及び外務省が中心になりながらそれを前提として米側とは交渉しているわけでございますが、米側が必ずしもそれを前提として交渉しているかどうかということについては定かではございません。  それから六月発表かという問題でございますが、当庁といたしましては、できるだけ早期具体的成果を出すべく努力しているところでございますが、日米間の交渉事でもございまして、時期については確約することはできかねるので御理解いただきたいと存じます。
  90. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 この第二次沖縄振興開発計画によりますと、「土地利用上大きな制約となっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業の振興、生活環境の整備に資するよう跡地有効利用を図るための施策を推進する。」と、こう書いておりますので、ひとつ長官の方にも、基地を返していただくんであれば、細切れに返してもらってもこれはもらう方は使い道がないわけですから、できる限り広く、そしてまとまって返していただく、これが沖縄にとって大変プラスであるという認識でぜひ関係各省と協議をして、沖縄産業の振興の役に立つような形で実現していただくということを強くお願いをしたいと思います。  そこで最後に、時間がありませんのでちょっとお聞きしたいのは、沖縄だけで現在行われておりますFTZ、自由貿易地域についてお聞きをしたいと思います。  八八年にこれができ上がりまして、現在いろいろな問題点が指摘されていると思います。これは沖縄だけに認められている制度でございまして、これのまねをしようというか、あるいは見習おうというのか、全国の各地の自治体においても研究をなさっているところもあると思いますし、当然開発庁なり沖縄県の方に実態を聞いたり相談に来られていると思いますので、現状がどうなっているのか。それから、いろいろな報道によりますと、かなりいろんな問題点もあると。初めてのケースでございますので、やってみたらこんな問題点があったということがあると思いますので、ひとつその現状と問題点をどのように把握しているのか御報告いただきたいと思います。
  91. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄県の日本で初めて設置を見ました自由貿易地域那覇地区でございますが、これは先生御案内のとおり、昭和六十三年六月に二十七社の立地企業が選定となりまして、その後各企業が順次専用施設等設置を行いまして、平成元年の六月に至り全社がそろって操業を開始した、こういう状況にございます。全社がそろって操業いたしまして一年と日が浅うございまして、現時点で操業の実績がこうだからと即断するのは早計であろうかと思いますが、いろいろ問題点が指摘されておることも事実でございます。  例えば、規模が狭隘であるといったような問題あるいは展示施設の拡大の必要性があるというようなこと、あるいは水産物質の原材料の確保の問題と、こういったような点について認定企業からいろいろ希望が出ておることも事実でございます。初めての試みでございますので、いろいろ試行錯誤をしながら、沖縄産業振興の核にしていく、こういうことは必要かと考えておりまして、その円滑な運営を図りますために、現地沖縄開発庁の総合事務局あるいは大蔵省の地区税関あるいは沖縄県、それから進出しております協同組合沖縄フリー・トレード・ゾーンの四者で構成を見ます沖縄自由貿易地域運営に関する四者協議会、こういうのを設けておりまして、その中でいろいろ問題点を検討していただいておるのが現状でございます。  例えば、先ほどお話をいたしました水産物質の原材料の確保につきまして、これは特に農水省等にお願いをいたしまして、例えば魚介類であるとか、イカ等に輸入割り当てを新たに認めていただいた、こういう努力もいたしておりますし、例えば展示施設が狭いというような問題、これは沖縄県において専用の展示施設拡大のための予算措置をしておる、こういったように一歩一歩努力していることも事実でございます。  開発庁といたしましても、今後とも自由貿易地域の那覇地区の運用状況、これは十分関心を持って見守っていきたい。そして、沖縄県等関係者意向等も踏まえましてその円滑な運営に努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  92. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 沖縄というのを地図で見てみますと、かなり長い距離にわたってというんですか、島が点在しているという、そういう中では沖縄の本島に行くよりも、場所によっては台湾に行った方がはるかに距離的にも時間的にも近いというところがあるわけですね。そういう立地条件にある与那国でこのFTZを指定してほしいというか、そういう動きがあるということで、特に今言いましたように日用品を買ってくるのに、まあ運んでくるのも、沖縄本島から持ってくるよりも台湾のものを輸入した方がはるかに安い、それから簡便に手に入るということで、国境地域の地区の人たち、与那国の人たちは振興を図るためにいろいろなことを考えているんだけれども、国の施設、特に検疫だとか出入国の事務所だとか、そういう国の施設が自分たちの近くにはない。ないためになかなかそういう交流というんでしょうか、貿易というんでしょうか、貿易が不自由。一々沖縄本島もしくは石垣の方でやらなければいけないという問題があると思うんですが、そういった国の機関の配置等について、もうちょっと国境地帯のこういう与那国等の人たちに簡便な方式が、簡便なというか、そういう便宜的なことができないのかどうか、ちょっと長官の御意見を最初にお聞きしたい。
  93. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 与那国町、日本の最西端の島でございまして、先生御案内のとおり、台湾までもう百キロ程度と非常に近い地域にございます。現在、ボーダーがある時代からボーダーレス時代だということも言われていることも事実でございます。与那国ではいろいろ試験的に日用品を入れたり、そういう実験もやっているようでございます。そういった具体的にどういうことをしてほしいのか、具体的に私の方まで上がってまいっておりませんが、いろいろ地元関係機関の協力も得ながらそういう努力をしていることも事実でございます。  私どもといたしましても、与那国町が置かれている地理的特性、こういったものを生かした地域活性化方策がいろいろな芽出しをしていくことは重要であると考えておりまして、今後ともそういった構想がどういう形になっていくのか十分見守ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  94. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 最後に、これは私も実態を完全に把握しているわけじゃないので、もし間違えておれば訂正をしていただきたいんですが、今言いましたように、与那国とか八重山、宮古の方は昔から経済圏でいけばどうしても台湾の方との交流が強いということがあって、それは単に物流だけじゃなくて、人の交流もかなり前から行われていたわけでございますね。  そこでお聞きをしたいんですけれども、いろいろ報道等によると、一部台湾の人たちなりフィリピンの人たちがこれらの地域に来て働いておる、農作業に従事していたり製造工程に入ってくるということが多々あるというふうに私は聞いているわけです。一番心配するのは六月一日から施行されます改正入管法、厳格に適用しようとすれば、ここらの人たちにも全部歯どめがかかって難しい問題が出てくるでしょう。しかし、沖縄本島から働く人を連れてくるということはほとんど不可能です、逆のケースはありますけれども。そうすると、適用についてかなり弾力的といいましょうか、そういう措置を講じないと、この地域の経済にかなり悪影響を与えるのではないか。個々の企業ということじゃなくて、全体として労働力が不足をするということが起こってくる。そういう意味で、大変ゆゆしい問題じゃないかと思うんですよ。しかし、片一方では法律があるわけですから、このとおりやれということも当然でしょう。しかし、片一方でそれをやったら、地域経済が成り立つのかどうかということもあるわけです。したがって、その辺について地域経済のそういう特殊事情等を考慮の上、開発庁の方で実態を把握して地域経済に大変な影響が出ないように関係各方面と十分打ち合わせをしていただいて、あるいは何らかの特別な手だてを講じられることを期待すると同時に、一体この地域におけるそういった問題あるいはそういう従事している人たちの実態がどんなふうになっているのか、庁としてどの程度の把握をしているのか、ちょっと質問したいんです。
  95. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 八重山地域のいわゆるキビ刈りの時期の外国人労働者等についてのお尋ねかと思います。  先生お話がございましたように、八重山地域は戦前あるいは本土復帰前には台湾あるいは時期によっては韓国等から人事交流の歴史がございまして、いろいろな歴史もございまして、台湾等からの移住者も八重山地域は大変多いと伺っております。沖縄のキビ、パイン労働力の確保につきましては、復帰前、台湾から約千六百人から千七百人の労働者が入っていた、こう聞いておるところでございますが、沖縄の復帰対策要項によりまして、本土復帰後五年間は外国人労働者の季節的な受け入れができるよう措置されたところでございますが、この措置は五十三年三月三十一日限りで廃止になってございます。だから、現在は本土と全く同じ状態になっておるわけでございます。  法務省に、入管の問題でございますので、どういう状態になっているんだと聞きましたら、平成元年度におきまして、沖縄の開港しております三港から入国いたしました外国人の数は九万四千六百十五人、石垣に限りますと、石垣港からは入国者が二百九十九人、大体こういう状況でございます。これらのほとんどが観光などの短期在留資格で入国をしておる、こういうことでございまして、その入国者がその後どのようであるのかということについては、法務省でも不明であるというお返事でございました。  キビ刈り、パインの収穫、いろいろ季節的な労働であることも事実でございまして、そういった問題につきましても十分確保されることが必要かと考えております。実態は私つまびらかでございませんが、そういったことに遺憾のないようにしていく必要はあるんじゃないかと一般論として申し上げさせていただきたいと思います。
  96. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 私の真意は取り締まれということじゃなくて、地域の実情に合わせてぜひ法の弾力的な運用をしていただきたいということでございますので、私の質問をきっかけに厳しくするというふうにやられては困りますので、その点だけは誤解のないように。  それで、これはどこでも皆さん労働力不足の地域は大変でございます。一つの案でございますけれども、鹿児島などではこれは鹿児島県が受け入れ団体をつくりまして、そして技術研修生を受け入れているんです。要するに単純労働じゃなくて、県が、要するに公的な機関が受け入れをする。そしてそれぞれの関係するところに人を配置する、こういうようなやり方をやっています。これは埼玉県でも一部やっております。ですから、こういう形で公的なものが受け皿になって労働力を受け入れる、そういうような方法もぜひ大臣のお力をもってやっていただいて、この地域で支障を来さないようにお願いをしたい。そのことの簡単な決意だけを聞いて私の質問を終わらせていただきます。
  97. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 村田委員の御意見をよく承りました。  沖縄県におきましては、失業率が高いということと人手不足ということは併存している状態でございます。今御指摘の地域の台湾との交流が大変活発化してきている。沖縄県知事も最近台湾へ御自分でも行かれて、なお一層交流を深めたいという活動をしていることを承っておりますけれども、この地域への外国人労働力というものをどう導入してくるか、その働く基盤は何かというようなことがまだ具体化されたようには伺っておりません。よく県等の御意向も承りまして、今御心配のようなことが、例えば新しい改正入管法がこの地域の労働力確保の邪魔にだけなるということのないように関係機関協議をしてまいりたい、かように存じます。
  98. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ─────・─────    午後二時一分開会
  99. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 大城眞順

    ○大城眞順君 議題となっております沖縄振興開発金融公庫法の改正につきまして、まず沖縄開発庁にお尋ねいたしたいと思います。  先ほどもありましたように、沖縄公庫は本土におきます一つの銀行、五つの公庫等の相当業務を沖縄においては一元化して総合公庫として沖縄産業振興のためにいろいろな融資を通じまして貢献してこられたわけでございます。しかしながら、資本蓄積の弱い沖縄において、今回の改正も当面において非常に期待をいたしておるところでございます。  この制度の趣旨、内容につきましていろいろ御説明をちょうだいいたしたわけでございますけれども、もう少し具体的に、例えば二つの柱から成っておると思いますけれども、一つの柱といたしまして立ち上がり支援資金の融資対象となる事業は主務大臣が定めることとされておりますけれども、一体現段階でどのような事業というものが頭の中にあられるのか、その事業はどういった事業を考えておるのか。そしてまたもう一つの柱は、研究開発にも金を出そうじゃないかということで、研究開発と申しましても幅が非常に広うございまして、どういった研究開発を描いておられるのか。さらには、融資制度の創設というものは沖縄産業開発に具体的にどのように役立つのか。言いかえるならば、沖縄にこれらの融資制度の適用を受けられるような事業があるのか、あるとすればどのぐらいあるのか。この三つの点につきまして、例示をしていただけばはっきり理解できると思います。  例えば、立ち上がりにも融資をすることができるということでございますけれども、この立ち上がり支援資金融資制度、いろいろと先ほどもリゾートの問題が出ておりましたし、そのほかに、例えばリゾートの問題の場合には大きなリゾートというものは県が音頭を取ってやっていこうとする部瀬名リゾート開発が目の前にあるわけですけれども、こういったものにもお貸しできるのか。あるいはまた、沖縄には言われておりますテレトピア事業等、こういったものについて、立ち上がるまではいろいろと人件費、賃借料等につきまして援助できるのか。あるいはまた、もう一つの研究開発にもお金を貸そうということでございますけれども、これは言われております、例えば泡瀬の埋立地跡に立地しようと県が考えておりますいわゆる頭脳立地センターみたいな、こういったものも研究開発の一つの融資制度の中に範疇として入るのか。あるいはまた、今沖縄が国際化時代の中における一つのその特殊性を活用した形でのマングローブの研究を沖縄でやる、そのセンターを沖縄につくるということを決定しているわけですけれども、このマングローブの事業が始まりますと、そういったところにも一つの研究開発としての援助ができるのかどうか。まずその辺について例示をしていただければすぐ理解できると思いますので、よろしくお願いします。
  101. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 具体的に立ち上がり支援資金あるいは研究開発資金についての大城先生からのお尋ねかと思います。  立ち上がり支援資金の融資対象は、先生も御指摘ございましたように、主務大臣が定めることとされておりまして、現段階では民活法、リゾート法、テレトピア事業、こういったものが対象となるということは先生お話しのとおりでございます。  具体的にどんな事業か例示をとのお話がございました。例えばターミナル整備等の臨海開発、それからリゾート法の適用はまだ現在国土六省庁で協議中でございますが、そういったリゾート法の適用が決まりますと、リゾート開発事業などが対象になるかと思っております。また、トロピカルテクノセンター等のお話もございました。事業としては特定事業集積促進事業というものの中の一つかと思いますが、対象としては立ち上がり支援資金の対象になり得ると、こういうことでございます。  それから、研究開発についていろいろお話がございます。バイオテクノロジーとかエレクトロニクスとか、情報処理等の技術革新の進展に即応した社会的効果、経済的意義のある技術を考えてございます。具体的にはいろいろ沖縄でもそういった動きがございます。あるいは情報処理の動きもございます。具体的な新技術の内容を見ながら適切に対応していくべきものと、かように考えておるところでございます。
  102. 大城眞順

    ○大城眞順君 よくわかりました。  この沖縄公庫というものは、沖縄本土復帰以来、金融面からの施策を徹底的に続けてまいりました。おかげさまをもちまして、中小企業を初めとした産業の育成あるいはまた住宅の取得等に大きな役割を果たしてきたと評価されているわけでございます。  今回の法律案につきましても、産業の振興開発をさらに促進するため公庫法の改正を行うとの提案理由の説明がございましたけれども、最近の沖縄公庫の業務運営の状況について、例えば平成元年の実績、そして今度また平成二年度における目玉はどういったものがあるのか、農業とかあるいは製造業とか、その項目別に、そんなに細かくじゃなくても結構です、ある程度資金別に見た状況についてひとつお伺いをいたしたいと思います。これは理事長の藤仲さんですか、よろしくお願いします。
  103. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) お答え申し上げます。  大城先生承知のとおり、沖縄経済も最近非常に順調に推移しておりまして、そういう中で当公庫の業務の運営もおかげさまで至極順調にまいっております。  お尋ねの平成元年度の業務運営の状況いかんということについてお答え申し上げますと、元年度の貸付実績は、産業開発資金におきまして三百六十六億円、中小企業等資金におきまして四百二十四億円、住宅資金におきまして六百七十五億円、農林漁業資金におきまして五十二億円、医療資金におきまして三十八億円、環境衛生資金におきまして二十三億円、以上合計いたしまして千五百七十八億円となっております。これは六十三年度に比べまして二百六十八億円、二〇・五%という大変大幅な増加でございまして、この増加の要因は主として産業開発資金、それから住宅資金の伸長によるものでございますが、その他の資金につきましてもおおむね好調な実績となっております。この結果、公庫創立以来の出融資額の累計は平成二年三月末におきまして一兆八千九百億円、出融資の残高は九千二百三十七億円に達しました。  次に、平成二年度におきましても、元年度に引き続きまして好調な資金需要の持続が見込まれるというぐあいに私ども考えておりますが、電力等の産業及び生活基盤整備や都市開発、リゾート開発などを中心にしました地域ニーズというものを踏まえまして、元年度当初予算に比べまして百十三億円、八・三%の増の千四百七十八億円の事業計画を予定しておるところでございます。  これを資金別に申し上げますと、産業開発資金三百五十五億円、中小企業等資金四百四十五億円、住宅資金五百四十億円、農林漁業資金九十億円、医療資金二十五億円、環境衛生資金二十億円となっております。  私どもは、本年度におきましても、この事業計画が達成できますよう鋭意努力する所存でございます。
  104. 大城眞順

    ○大城眞順君 時間が限られておりますので、早速次の質問に移らせていただきます。  次の質問は砂田長官にお答えをいただきたいわけでございますけれども、砂田長官におきましては、沖縄本土復帰をスムーズに遂行するために大変な御尽力をいただきまして、当時の沖縄復帰の立て役者と、我々はこのように考えておりますし、また今回、先ほど来御質問もありますように、いろいろグローバルな動きの中で沖縄基地問題も論議され、そしてまた三次振計についての問題も提起される中で、いわば変革期であります。再びこのような変革期の中で、沖縄を一番よく知っておられる長官にそのキャリアの中でまた御苦労をお願いするわけでございますけれども、長官の沖縄に対する愛情とこれからのまた御活躍を大きく期待している一人といたしまして質問をさせていただきたいと思います。  一年十二月の中で一番憂うつな月が私は六月であります。ということは、六月二十三日は沖縄の戦争の終結した日でございまして、毎年慰霊祭を行っておるわけでございます。沖縄は唯一の陸上戦を戦ったところでございまして、二十万余の犠牲をこうむりました。そういった中で、四十数年毎年行われている全戦没者追悼会にまだ総理大臣がいらっしゃったことがない。一方広島、長崎、原爆の投下で大変な犠牲をこうむったわけでございますけれども、それにおこたえいたしまして総理大臣が毎年交互に参列いたしまして犠牲者の冥福を祈っていただいているわけでございますけれども、沖縄も二十万余の犠牲者を出しておりますし、原爆という大変な極悪非道な武器によって亡くなった方々もたくさんおられますけれども、やはり人間の命を絶つということは、どんな武器であれこれは同じこと、死んでしまったら同じことでございますので、やっぱり沖縄の犠牲者に対しても冥福を祈ると同時に、また残された遺族、県民に対しての励ましの言葉をちょうだいしなくちゃならぬというのは、これは当然な沖縄県民の感情だと、こう私は思うわけでございまして、実は竹下元総理にも、そして当時の小渕官房長官にも、それからまた海部総理になりまして海部総理大臣にも、それから森山前官房長官、そして砂田長官にもいろいろとお話を申し上げ、その後大島官房副長官等々、私はお一人ずつ回りましていろいろとお願いをして回ったわけでございます。今こそ沖縄のこの変革期にぜひひとつ県民頑張れというような形でこういった慰霊祭の機会をかりまして総理大臣が訪沖されることは非常に私は意義あるものだと思いますし、沖縄県民の感情というものをほぐし、あるいはまたこれからの二十一世紀への県民沖縄発展の一つの大きな励みになる、このように受けとめております。砂田長官にも大変な御苦労を願ったと思います。  そういうことでお尋ねしますけれども、何か六月二十三日は、報道によりますと、土曜日でもありますし、総理大臣の訪沖が何とか可能であるというようなところまでいっているということを聞いておりますけれども、たまたまその日は安保の三十周年という記念日に当たるようでございます。私は、この点を考えた場合に、本当に偶然であるかもしれませんけれども、因縁の強さというものを感ずるわけであります。今、米軍基地の七五%は沖縄にあるわけでございまして、これもやはり安保からきたものでございますから、ますます総理大臣は行ってもらわなければ困る。今、電話するという話もありますけれども、何かブッシュ大統領とそういったセレモニーがもしあるとするならば、むしろ沖縄からやってこそ私は安保に対する大きな意義があるのではないか、このように考えまして、私はこれは絶好のチャンスではなかろうかと、このように考えておりますけれども、今日まで総理の御意向、そしてまた大臣も一生懸命にこのことにつきましてはやっていただいているということを私も聞いておりますけれども、いかがなものでしょう、もう一度総理大臣、どんなことがあってもひとつ沖縄へ行ってくださいとお願いをし、そしてまた大臣としてもこれは大事なことであると、この受けとめ方をもう一度その決意のほどをここでお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  105. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 大城委員からどうも身に余るお言葉をちょうだいいたしました。私は別にそんなすぐれた人間ではありません。普通の人間でございます。普通の人間であればあるほど沖縄の過去の大変悲惨な歴史を顧みましたときに、沖縄の発展のためにお力添えをしたいと、もう単純にそう思うのは当然のことでございます。そういう角度でお手伝いを、これからも努力をしてまいりたいと決意をいたしております。  ただいまお尋ねの海部総理の六月二十三日の沖縄慰霊の日、沖縄全戦没者追悼式への参列のことにつきましては、大城委員が総理に直接会われまして非常に強く要請なさいましたことを総理から私も伺っております。私からも同様の趣旨のことを総理にお願いを申し上げました。総理は参列したい意欲十分と御理解をいただきたいと思います。今お話がありました、総理大臣のスケジュールというのはいろいろございましょうけれども、六月二十三日の政治的に一番大きな意義のあるお仕事はやはりこの慰霊祭に参列されることである、そういう認識に立って強い要請を続けております。  ただ、公式に決めたとまだ申せませんのは、六月二十三日というのは、閉庁日の土曜日には当たりますけれども、今国会の期末を迎える時期でございますので、国会スケジュールとの調整がどうなるかということだけが残されている問題であると御理解をいただきたいと思うんです。ぜひとも当委員会の委員先生方の御支援もちょうだいをいたしまして、国会からもお許しが出ますようにお願いを申し上げ、ぜひとも海部総理にはこの追悼式に参列をしていただきますよう引き続いて私も努力を続けてまいります。
  106. 大城眞順

    ○大城眞順君 大変ありがとうございました。  二十三日に第四土曜日でございまして、土曜閉庁の日でございます。沖縄のこういった県民にこたえる総理の訪沖でございますので、ほかの国会議員もこれに反対される人は一人もいらっしゃらないと思いますので、ぜひひとつあと一歩この実現方に対しまして御努力をちょうだいいたしたいと思います。ありがとうございます。  それでは次に、例のキャンプ・ハンセンの恩納地域で行われております都市型戦闘訓練施設における訓練の問題、あるいはこれにまつわるいろいろな出来事が昨今起きてきておりますので、詳しく御質問を申し上げたいわけでございますが、何しろ時間がございません。十六、十七、それから何日でしたか、四日間既に実弾射撃訓練をしたわけでございますけれども、これの始まったきっかけが、長い間これを阻止しておりましたけれども、恩納村や県や米軍そして防衛施設局、四者の合意で、この二年以内にこれをどこかに移設するから演習をさせてくれないかという合意もとでやっているようでございますけれども、これは文書の合意なのか、そしてまたどういったプロセスでこの合意はできたのか、あるいはどのぐらいの拘束力があるのか、あるいはその内容は、ぶっ続けでまず最初の質問にお答えを願いたいと思います。
  107. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  知事及び地元から移設の要望が示されているということにつきましては承知しているところでございますが、今後の措置につきましては、地元の理解が得られるように検討努力してまいりたいと考えております。  今御指摘の文書とかそういったものはございません。
  108. 大城眞順

    ○大城眞順君 この辺がどうもあいまいでございまして、そのあいまいさが非常に混乱を招いておるんです。私たちにもいろいろとこういうふうな合意ができておりますのでひとつ御協力を願いたいというお話がありましたけれども、その後十六日、十七日になりまして、しかもヘリで兵隊を運んでこの都市型訓練施設におきまして実弾射撃演習をした。恩納村長は非常にこれに抗議をいたしておるところでございまして、柔軟に対応して実力阻止をしないという合意だったようでございますけれども、それがこの都市型施設を使っての演習は絶対許さない、再三再四演習反対を表明しておるわけでございます。たまたま二、三日前に村議会が五回目、県議会が五回目の抗議反対決議をして今ちょうど政府の方に県議会の代表団が来ているところでございます。これは一体全体合意事項なのか、合意だったけれども破られているのか、その辺をもう少し詳しくやらないと県民は納得いかないと思いますよ。一体内容は何ですか。もう一度お願いします。
  109. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  地元での話し合いの中で、あの場所はリゾート地域に非常に近い、あるいは安全性という点から見てふぐあいであるという御意見が強うございまして、移設してはどうかという御希望が出ていたものでございます。また米軍サイドといたしましても、その機能を果たせるならば必ずしも移設に反対するものではないという意向を持っていると承知しております。  今後当庁といたしましては、地元の理解が得られるということが一番でありますが、全般的なこのような問題も念頭に置きながら安全な訓練の実施に努力してまいりたい、かように考えております。
  110. 大城眞順

    ○大城眞順君 時間があったらなと思うんですけれども、ヘリコプターで現地に運んでおるんです、兵隊を。輸送しておるんです。二年以内に移すから訓練を阻止しないという合意が成り立っておるならば、何もヘリコプターで運ぶ必要はないでしょう。車で来るはずですよ。トラックで来るはずですよ。その辺に何か相当矛盾があって四者合意というものは今幻になっているわけですね。きょうはそこまで触れるわけにいきませんけれども、今後私はこれは問題になると思いますよ、非常に得手勝手な防衛庁サイドの勘違いした合意ではなかろうかと。そして水源地の問題等も話し合われたらしいんだけれども、それらについても、これは恩納村は今リゾートの問題もありますし、この訓練施設のすぐそばにそこの住民が飲む飲料水の水源地があるんですよ。こういったものも今後どうなるか非常に心配なわけであります。時間がございませんで大変残念ですけれども、私は、もしこれが移転するという合意事項であるならば、火に油を注ぐような結果になると思います。移転する先があり得るはずがないんです、こんな危険なものを。  デタントについてもいろいろ論議がありますけれども、デタントは終わっていないという論もあることはあるんですけれども、やはり常識としていわゆるグローバルな範囲で今民主化運動が起こって、そしてヨーロッパにおいても軍縮がどんどん進んでいる。しかしアジアは進んでいないんだ。だから、デタントは終わりじゃないんだというようなことを言っております。そういった論議は別にいたしましても、何で今ごろこういった都市型戦闘訓練をやらなくちゃならぬのか、何を一体想定しているのか、私には時代逆行じゃないかというような感じがするんですね。どこの都市型で戦闘するというような想定でこれが必要なのか、この辺についてなぜ必要なのかということ。  それから、これは何か聞くところによりますと、移設は思いやり予算でやると。私は思いやり予算の対象にならないと思うんです。余りにも合理性に欠けていると思うんです。思いやり予算というものは宿舎とかそういった後方をやるべきであって、実弾で訓練する、実弾射撃をやる、本当に最前線の訓練施設に対して我が政府が思いやり予算でやるというのは、ちょっとこれは筋違いじゃないか。それよりも、私がさっき申し上げましたように、実弾射撃、都市型ゲリラの訓練の域はもう世界の情勢から私は過ぎておると思うんですよ。だから、むしろこれを撤去する方向に政府は動いていただきたい、こういうことでございます。  その辺についての一括したひとつお答えを願いたいと思います。
  111. 時野谷敦

    説明員時野谷敦君) お答えを申し上げます。  いわゆる都市型戦闘訓練施設がなぜ必要かというお尋ねの点についてお答えを申し上げますが、私どもが承知しておりますのは、この施設は市街戦を想定しまして、敵によって占領された建物等を小火器を使用して奪還する訓練に必要な施設であるというふうに承知をいたしております。  私どもはそういうことでございますが、米軍がその練度を維持し、抑止の機能を維持していく上で必要とします訓練は基地の中においてこれを行うことができるということについて御理解をちょうだいいたしたいというふうに考えている次第でございます。  その次の思いやり予算の点につきましては、防衛施設庁よりお答え申し上げます。
  112. 大城眞順

    ○大城眞順君 簡単に、一言で。
  113. 大原重信

    政府委員大原重信君) お答え申し上げます。  具体的に移設することについて最終的な結論を得ているわけではございませんので、予算上の問題についての答弁は差し控えさせていただきます。
  114. 大城眞順

    ○大城眞順君 この問題については再度また機会を見つけてやりたいと思いますので、もう一度じっくりこれは討論しないと沖縄へ帰れなくなる。これほど県民挙げて反対しておる運動はないんです。国防というのは、私はもちろん安保賛成論者です、国の安寧秩序はやっぱり国防に頼る、これはもう本筋ですから、これに対して私はいささかも反対するあれは持っておりません。しかし、国防のあり方というものについては多種多様な論議があってもいいと思います。例えばこのように沖縄全体が反対し、恩納村、県議会のみならず、ほとんど全市町村がこれに反対、抗議決議をしている中で、一体国防というものは何なのかということを考えざるを得ない。これぐらいの訓練を強行するのが国防のためになるのか。それとも県全体のコンセンサスを得て協力してもらうのが国防のためになるのか。このいわゆるバランス、このはかり方をよく考えないと国防を誤ります、はっきり言って。しかも、申し上げましたように、時勢がこの種の訓練施設はもう私は必要としないんじゃないか。今もお話ありましたけれども、アメリカが必要としているからと。皆さんは予算を使ってこれの移設費も出そうとしている。そういった中で国民の税金を、アメリカが必要と言っていますから金を出すでは余りにも、日米協力という意味からもやっぱり言うべきで、何でこれが必要なんですか。それは必要ないんじゃないかというぐらいの一つの議論を持ってやらないと、アメリカが必要としておりますから金を出します、 どうぞつくってくださいではこれはおかしいと思いますよ。この件についてはまた引き続き機会を見つけてやりたいと思います。  最後に、B52の問題が絶えてから久しくなりますけれども、六月十六日に、もうすぐですけれども、グアムのB52基地が、基地がなくなるんじゃなくてB52が撤退していく。どこに行くかわかりませんけれどもB52がいなくなる。後はどうなるのか。まさかグアムのあの基地がなくなるわけはない。新しい機種の爆撃機かあるいはほかの機種が入ってくるでありましょう。そうした場合において、今までのように台風が来ればB52が沖縄の嘉手納基地に飛来してきた。B52がなくなったらどうなるのか。新しい飛行機が台風が来たらまた沖縄に台風避難で飛んでくるのかどうか。B52のときも私は何回も言いました、アメリカの司令官に。これは決して台風避難ではないはずだ、台風避難に名をかりたこれは訓練でしょうと。なぜかと申しますと、あんな大きな戦略爆撃機B52、あの大きな爆撃機が三、四十メーターの台風で逃げてくるのか。うちのテレビアンテナは四十メーター、五十メーターの台風でもびくともしない。こんな大きなB52でありながら、これで戦争できるのかと僕は笑った、冗談を言ったことがあります。したがって、これは私は台風避難だけとは思っておりません。相当の距離がありますから一つの飛行訓練の目的を持って来るんだと。そういたしますと、次はB52にかわって何が入るかわかりませんけれども、グアムのアンダーソン基地は私はなくなると思っておりません。したがって、どんな飛行機が来るのか。外務省は、六月十六日は目の前ですけれども、外務省の言ったことですから、今どうなっているのか、その辺を含めて。  それともう一つは、いわゆるフィリピンのクラーク基地との関係がグアムとの間で出てくるのかどうか。もしフィリピンがクラーク基地は要らない、アメリカに貸さないということになると、いわゆる極東の戦略上の立場から沖縄に来るのか、あるいはまたグアムのアンダーソン基地関係が出てくるのか、その辺全般についてひとつ外務省からお聞きしたいと思います。
  115. 時野谷敦

    説明員時野谷敦君) まずお尋ねのグアムのB52の件につきましてお答えを申し上げます。  仰せのとおり、当初B52の撤退は六月ということでございましたが、実は同基地に配備されておりましたB52は三月二十七日をもってすべて撤退いたしたものと承知をいたしております。そういうことでございますので、従来ございましたような台風避難のためにグアムから嘉手納飛行場に飛来するということはなくなった、あるいは今後ないであろうというふうに理解をいたしております。  なお、かわりにどういう飛行機があり得るかというお尋ねでございますが、現時点におきまして私どもが承知しておりますのは、B52にかわる航空機がアンダーソン空軍基地に配備される計画は現時点ではないということでございます。  それから、米比の基地交渉につきましては、アジア局参事官からお答え申し上げますが、現時点におきましてその交渉の行方いかんによってどういう影響がアンダーソン基地にあり得るかという点は、ちょっと申し上げる材料が目下のところはないのではないかというふうに思いますが、いずれにしてもアジア局からお答え申し上げます。
  116. 大塚清一郎

    説明員大塚清一郎君) 先ほどの在フィリピンの米軍基地の関連でございますが、アメリカとフィリピンの間におきましては予備協議がことしの五月の中旬マニラで開催されまして、これは今までアメリカによる基地使用見返り援助の履行という問題が最大の争点でございましたけれども、今回これがアメリカからの追加援助の供与ということで一応決着いたしました。今後はさらに本格交渉に向けて、アメリカとフィリピン両国が新たな取り決めの締結を含む将来の米比関係について話し合っていくということで合意しておりますので、今後さらに交渉が継続されるということであろうと思います。  ただ、その交渉がこれからいつ始まるのか、それからどうなるのかということにつきましては、現時点ではまだわかっておりません。
  117. 及川順郎

    ○及川順郎君 今回の沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、先ほど公庫の運用につきましては極めて順調という御答弁がございましたが、今回の改正で新たに立ち上がり資金と研究開発の資金貸し付けが創設されるということでございますが、その事業内容につきましては先ほどの御答弁にもございました。そこで現在、融資は一件当たりどの程度の規模というものを想定しておられるのか、この点をお伺いいたしたいと思いますことと、あわせまして、地元の企業に特段の配慮を行うべきではないか、今回の趣旨からそういうことが考えられるわけでございますが、この二点についてどのようなお考えでおられるか、御答弁をお願いします。
  118. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 先生から立ち上がり支援資金等について大体一件どの程度の貸付金額になるのか、こういう御質問かと思いますが、これは具体的な事例が出てまいりまして、どれぐらいの貸し付け希望があるのか、それによって対応すべき問題ではないかと考えております。立ち上がり支援資金制度につきましては、対象事業を先ほど申し上げました、あるいは融資の時期、開業後の五年間とか、あるいは対象の資金、例えば人件費とか建物賃借料、保険料等あるいは貸付期間、こういうものを定めておりますが、どのぐらいの金額になるかという点につきましては、それぞれ具体的な事案が出てまいりましたことによりまして判断させていただきたい、かように考えておるところでございます。
  119. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) お答えをいたします。  沖縄産業の振興を図ります上において、地元企業の育成は最大の課題であると、さように私どもは考えております。  そういうことから、従来地元企業の育成ということに努めてきたつもりでございますが、今回導入される新制度につきましても、地元企業の育成という点に十分配意をいたしまして適切な運営を図ってまいりたいと、かように考えております。
  120. 及川順郎

    ○及川順郎君 本土の企業に融資を行う場合もこれはあり得るんではないかと、こういうことが想定されますが、地元の発展に役立つようという、こういう具体的な条件といいますか、何か基準を設けておられるか、もしございましたらお示しいただきたいと思います。
  121. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 今御指摘のように、当公庫の場合は沖縄県の区域内で行われる事業であり、かつまたそれが沖縄産業の振興あるいは社会の開発に寄与するものであるという限りにおきましては、本土企業にも融資しておるのが実情でございます。ただ、融資の実績は、これは産業開発資金で見ますると、金額的には一割に満たないというのが現状でございます。
  122. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一点は、今回主務大臣が定める事業としてこの規定があるわけでございますけれども、開銀法に倣っていわゆるNTTのCタイプの民活事業、これなどを政令で定めるという予定に伺っておりますけれども、制度上は沖縄における産業の振興に寄与する事業であれば、他の事業でもこれは政令に書くことができるんではないかと、こういう考え方もできるわけでございまして、言いかえますと、主務大臣が沖縄における産業振興に寄与する事業というぐあいに判断すればということで、間口は相当広くなるように受けとめられるんでございますけれども、この対象事業に対する考え方、どのような基準をもちまして主務大臣の判定が行われるのかお伺いしたいと思います。
  123. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 今回の立ち上がり支援資金でございますが、日本開発銀行法の改正が平成元年度に行われまして、それに倣って今回導入しようとするものでございます。  そもそもの趣旨でございますが、やはり先行投資の負担が重く、開業後相当低稼働が余儀なくされるような社会資本整備事業、あるいは公共性の高い低採算施設を抱えている、こういう社会資本整備事業を考えてございまして、現在、開発銀行法に基づく定めも先生お話ございましたNTT・Cタイプ事業を定めておりますので、今回の私どももこの公庫法の改正におきましては同様の事業を考えておる、こういうことでございます。
  124. 及川順郎

    ○及川順郎君 主務大臣の定める事業というこの考え方の中に、やはり地元意向を、私の質問の趣旨は、地元意向が的確に反映されるような仕組み、これが法的にもやはり整合性を持っていなければならない、こういう感じがするわけです。したがいまして、主務大臣に対して地元意向がどういう手続を経て、どういう判断の基準で反映されるようなスタイルになっているのか、その点を伺いたいわけであります。
  125. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 公庫の運営につきまして、県民意向をどう反映するかというお尋ねかと考えるところでございます。沖縄公庫につきましては、沖縄県各界の代表あるいは関係官庁の方々、これは一銀行五公庫等の相当広範な業務を一括して行っておりますために、公庫の円滑な運営を図るためにそうした意向を十分反映させることを目的といたしまして沖縄振興開発金融公庫運営協議会というのを設けてございます。これは法律が制定されたときに附帯決議もございまして、できるだけ県民意向を十分反映させると、こういうことがございまして設けられたものでございます。この本協議会には沖縄県知事沖縄県議会の議長あるいは沖縄県の各界の代表者、学識経験者等も含んでおるところでございまして、年度予算とか四半期ごとの事業計画、その他公庫の運営に関する重要事項について審議をしていただいて御意見をいただいておる、こういうことでございます。こういった運営協議会の意見を通じて十分県民意見が公庫の運営に反映させられるように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  126. 及川順郎

    ○及川順郎君 今回の改正案の中で、「産業の振興開発に寄与する高度で新しい技術の研究開発若しくはその利用に必要な長期資金」と、こうなっておりますけれども、この新しい技術の研究開発というので、具体的なテーマ、対象になっておられる事業がございましたらお示しいただきたいのですが。
  127. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 研究開発資金の融資対象でございます。これはバイオテクノロジーとかエレクトロニクスとか情報処理等の技術革新の進展に対応した社会的な効果、経済的意義ある技術と考えておるところでございます。こういったものについては既に設備資金の対象にはなっておるわけでございますが、今回こういったような高度で新しい技術の研究開発、あるいは情報処理システムの開発等に当たりましては、企業の利益に直結しない企業化開発の段階におきまして、開発のための設備資金のほかに研究開発費あるいは技術導入費等の多額の非設備資金を要することから極めてリスクも大きいと、こういうことでそれを対象にしようと、こういう趣旨のものでございます。  具体的なものはどういうものがあるのかと、こういうことでございます。  技術開発あるいは情報化促進を支援する観点から、従来の資金に加えて、先ほど申し上げておりますように、必要な研究者の人件費、試験材料費あるいは技術導入費などの非設備資金が対象になるわけでございますが、沖縄の場合どういうものがあるんだろうかと、こういう趣旨も御質問の趣旨にあったかと思っておりますが、具体的な融資対象になるような事業といいますのは、情報処理のシステム化の動きとかあるいはいろいろ新技術の開発の芽生えもあるようでございます。そういったものに備える意味で今回融資制度を設けさせていただいたと、こういうことでございます。
  128. 及川順郎

    ○及川順郎君 地元へ参りまして、亜熱帯性の花卉を初めとしてさまざまなバイオの部分から言いますと、そういう点での意欲的な取り組みも見られますし、ただいまのような情報ということもございますが、いずれにしても沖縄において産業の振興開発に寄与する事業という、こういう網がかかっていますから、そういう点から考えますと、おのずから地域性に基づいた事業内容というものは特定されてくるのではないかと、こういう感じがあるわけでございますが、今そういう面での特定されたものはございますか。
  129. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 先生から重ねて具体的な融資対象になるような特定されたような技術があるのかと、こういうお話でございます。  先ほどから繰り返しになりますが、情報処理のシステム化とか、いろいろそういった動きがあることは事実でございますが、沖縄の技術革新はまだまだこれからでございまして、そういったいろいろな先生おっしゃるような趣旨にのっとった新しい技術開発の促進も図っていかなきゃならないわけでございまして、そういったものに備えるという意味で、今回融資制度を用意させていただいておるものでございまして、そういった意味で御理解を賜りたい、かように考えておるところでございます。
  130. 及川順郎

    ○及川順郎君 今回の制度の改正でやはりまだ特定された事項がない、これから内容を吟味してということが筋のようでございますけれども、貸し付けもその返済期間もかなり長期にかかわるものですから、ましてや沖縄の、この中にも示されておりますように経済基盤、資本基盤が非常に脆弱であるという状況から考えますと、非常に心配されますのは、貸し出しをした研究開発あるいはまた事業、この活動が思うようにいかなくて焦げつき等が出てくることも、これを考えの中に入れて運用していかなければならない、こういう感じがするわけでございますが、先ほど運用面では極めて順調というお話の中で、これまでの貸付実績の中で、実際に事業がうまく軌道に乗らなくて焦げつきになって返済になっていないというような、こういう事例がございますかどうか、その実態についてまずお答えいただきたいと思います。
  131. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 私どもも金融機関でございますので、貸し付けをいたします際には十分審査をしているつもりでございますが、やはりこれは経済環境の変化であるとか、あるいは何と申しますか経営者側の放漫経営であるとか、そういうようなことによりまして今お尋ねのように延滞になっておるもの、そういうものもございます。最近はおかげさまで延滞の比率というのは逐次低下しつつある状況ではございますが、やはり延滞が生ずるものが皆無というぐあいにまいれば理想的でございますけれども、なかなかそうはいかないというのが実情でございます。
  132. 及川順郎

    ○及川順郎君 公庫の性格から、余り神経質にやりますと事業促進ということができない。こういう点から考えますと、ある程度のところは、これは覚悟しながらも推進していかなければならぬという面があると思いますけれども、何せ長期にわたるものですから、事前の見通し、審査、これに対してはぜひ十分な検討を踏まえて事業運営をしていただくようにこれは御要望をさせていただきたいと思います。  あわせまして、特に沖縄の民間金融機関の実情とこの関連につきまして、現在の状況、運用面で順調に機能しておられるかどうか、その点の見通しをもう一点お伺いしたいと思います。
  133. 小山嘉昭

    説明員小山嘉昭君) お答えいたします。  沖縄県の民間金融機関の概要でございますけれども、まず沖縄県に本店を有する民間金融機関の数、これは地方銀行が二行ございます。それから、私ども第二地銀と言っておりますが、正確に言いますと第二地銀協加盟行が一行ございます。信用金庫が二庫ございます。このほかに都市銀行として第一勧業銀行が一支店を有しております。  そこで、資金、貸出金の状況でございますけれども、以上の沖縄県に本店を有する金融機関の資金量、これは元年三月末現在で二兆円ほどございます。全国に占めるシェアが〇・八%。また貸出金でございますが、これは一兆六千億円ほどございます。全国比で〇・九%ということでございます。  なお、沖縄県の特殊性といたしましては、沖縄県の地方銀行二行につきましては、復帰後も引き続き信託業務の兼営を行うことが特例措置として認められているわけでございます。  現在の状況ですけれども、例えば今申し上げました地方銀行が二行あるわけですが、これは全国で六十四行でございますので、地方銀行というのは一県に一行ちょっとという感じでございます。それに比べますと、沖縄状況はやや銀行の数が多くて、それの意味するところは競争が激しいと。大蔵省の銀行行政といたしましては、金融機関を常に競争状態に置く、それによって地域住民へのサービスというものを図るという意味合いでは、かなり良質な競争、良質なサービスが行われているというふうに認識いたしております。  以上でございます。
  134. 及川順郎

    ○及川順郎君 最後に、最近現地からいろいろ伺う中でリゾート開発、つまり開発と保全というはざまの中で大変苦慮している場面、地域等の問題提起が耳に入ってくるわけでございますが、今回のこの公庫の事業拡大の中におきまして、立ち上がり資金という名目のもとにそういう開発に力点が置かれて、やはりどうしても地元における保全を含めたバランスのとれた沖縄産業、地域開発の振興という点を懸念する声を若干耳にする嫌いがございます。  そういう意味におきまして、今回の法改正によりましてこの開発と地域の調和のとれた保全、こういう点での事前審査に当たっての事業判定について、やはりそういう視点を持って取り組んでいただくということが大切ではないか、それが沖縄県民のためにもなる、このように思うわけでございますけれども、その点についての御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  135. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 融資を行うに当たりましての個々の案件の審査につきましては、私どもも現地市町村等とも十分連絡を保ってまいるつもりでございますので、そういう御懸念がないように運用してまいりたい、かように考えております。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 法案審議に先立ちまして、振興開発計画について伺いたいんです。  現在、二次、十八年間にわたる振興計画が進められておりますが、本土との格差是正という目標は、例えば一人当たりの県民所得、失業率等々、数々の指標において依然として達成されておりません。県当局が先日発表した第二次振の総点検報告書も多くの問題点を指摘しているところであります。  長官にお伺いいたしますが、この実態及びこの原因をどう認識されているのか、まずお伺いしたい。
  137. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 市川委員御指摘のように、復帰後十八年を経過したわけでございます。この間、県民皆さんの大変なたゆまざる御努力と多額の国費を投入してまいりました。二次にわたります振興開発計画、二次振の本年がもう九年目になっているわけでございます。学校教育施設でありますとか、道路、空港、港湾等の交通通信施設、あるいは上下水道等、生活環境施設の整備は復帰のときと比べますと随分前進をしてくることができたわけでございます。本土との格差は次第に縮小をしてきていると総体的には申せますし、沖縄経済社会は着実に発展してきた、さように認識をいたしております。しかしながら、水の確保の問題、あるいは全国平均の県民所得との格差の問題、失業率本土の平均の倍も高いというような各様の問題が残っておりますことも御指摘のとおりでございます。沖縄産業振興や雇用の問題など、大きな課題を抱えておりますので、開発庁といたしましては、第二次振興計画の完全な実行を確保いたしますのと同時に、ポスト二次振計のことを念頭に置きながら、今までの二次振計の進み方等の具体的な実情の調査に着手しているところでございます。
  138. 市川正一

    ○市川正一君 私は、その実態と原因と両方をお聞きしたんですが、後者の面については残念ながら今お触れになりませんでした。しかし、改めて問いかける時間の余裕が残念ながらありませんので、私の方から率直に申し上げますが、私はその原因の最大の問題として、先ほど大城理事もお触れになりました、日本全土の米軍基地の七五%、そして沖縄本島の約二〇%を占拠する強大な米軍基地の存在、これを何人も私は否定することはできぬと思うんです。  昨日、那覇市が提訴しました軍用地違憲訴訟に対して不当な判決が下されました。誤解のないように私申し上げますが、ここで私はその判決の是非を論ずるつもりはさらさらありません。しかし、現実の問題としてこの米軍基地が蟠拠していることが、日米安保条約の賛否を別として、大城理事もおっしゃいました、安保がいいか悪いかは別として、沖縄県民生活、市民生活に及ぼす被害、産業振興に及ぼす影響、都市計画上の障害等々、まさにおくれの主要な原因になっているということは事実だと思うんですが、長官、いかがですか。
  139. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 日米安保条約に基づきます地位協定というものの現実を認識しつつも、沖縄開発庁の長官といたしましては、ただいまのような基地の高密度な状態が沖縄の振興開発のために大変な問題をたくさん抱えておる現実は、これまた現実として認めているところでございます。二次振興計画の中にこれの整理縮小につきましても願っておりますところを明文化しておりますのも、さような認識の上に立っているからでございます。基地縮小の実現を一日も早かれと、日米合同委員会の好ましい結果を待っているところでございます。
  140. 市川正一

    ○市川正一君 米軍基地の縮小でなしに撤去、これが沖縄の振興発展を願う県民の声であり、文字どおり党派を超えての世論であるというふうに私は思います。  県民はそうした逆境にも屈せずに、沖縄振興のために努力を続けていらっしゃいます。その中で、今日一つの問題として第三次産業が大きなウエートを占めてきているという問題があると思うんです。もちろん、観光は沖縄県にとって発展させるべき大事な産業です。しかし、沖縄県のつり合いのとれた経済の発展という場合に、一次産業である農業はもとよりでありますが、落ち込みの激しい二次産業、特に沖縄の伝統産業や地理的、自然的、文化的特性を生かしたところの、長官も御存じのああいった製造業の振興が必要だと私は思います。今長官もお触れになったポスト二次振、あるいはまだ三次振までとはおっしゃっていませんが、そういうことも展望して、こういう沖縄産業構造についての考え方をお伺いいたしたいと思います。
  141. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄経済でございますが、市川先生御指摘のとおり、依然として物的生産部門が弱い構造になってございまして、このため経常的に移輸入が移輸出を上回り、財政支出に大きく依存をしておる、こういう構造になっておるわけでございます。失業率も、先ほど大臣から御答弁がございましたように、全国の二倍という高率になっていることも事実でございます。  このような状況を踏まえまして、沖縄経済自立的発展を図り、特に就業の場を確保いたしますためには、産業の振興が最も基本的な課題であると認識しておりまして、これまでも二次にわたる沖縄振興開発計画に基づきまして、産業のうち特に脆弱な製造業について、既存企業の振興、あるいはお話ございました伝統工芸産業の振興、あるいはできれば新規企業の展開、こういったような観点から、例えば糸満市等十一市町村に工業開発の指定を行う、あるいは糸満に工業団地を造成する、あるいは中城湾に新港地区の団地造成を行う等々、産業基盤の整備を行ってきたところでございます。また、特に沖縄に多い中小企業等につきましては、沖振法等に基づきまして中小企業近代化計画を策定いたしまして、同計画に基づきまして中小企業の設備の近代化……
  142. 市川正一

    ○市川正一君 藤田さん、大きい構想でよろしいから、もう。
  143. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) はい。  等々施策を推進してきたところでございまして、一昨年度になりましたが、百億の補助を沖縄県に行いまして産業振興基金を設置いたしまして、その運用益を活用いたしまして、戦略産業の育成とか人材育成のための事業を行っているところでございまして、今後ともこういった二次振計の基本方針に従いまして、社会資本を地域産業あるいは経済の活性化に結びつくように整備するなど、自立的な経済発展が図られるよう全力を傾けてまいりたい、かように考えております。
  144. 市川正一

    ○市川正一君 私は長官レベルのスケールの大きい話を聞いたつもりやけれども、もう前へ行きます。  それで、以下法案に即して入っていきますけれども、先ほど来幾つか御質問もありましたが、今回の法改正によって新たな融資の対象になり得るプロジェクトにはどんなものが何件ぐらいあるのか、また、その資金需要はどれぐらいと予想しているのかという点を、これは簡潔に要項的にまとめてきちっと答えてください。これは長官でなくて結構です。
  145. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 二つの資金がございますが、例えば立ち上がり支援資金でございますと、臨海開発等の事業あるいはリゾート関係事業等がいろいろ候補に挙がっていることも事実でございます。それから研究開発資金につきましても、技術開発あるいは情報処理のいろいろな事業も挙がって、そういうような動きはございますが、具体的にこういう事業であるというのを現在で特定するわけにできない状況でございます。  したがいまして、資金枠でございますが、どれぐらい要るのかと、これは具体的に事業が出てまいりまして、これぐらいが必要だ、こういう要請があって決まるものではございますが、現在産発資金の中でいろいろ対応するということになっておりますので、その中で必要額を対応させていただきたい、かように考えておるところでございます。
  146. 市川正一

    ○市川正一君 今度はまた漠とした話になるんですが、そこでちょっとはっきりさせたいのは、今沖縄では御承知のようにリゾート開発構想がまさにメジロ押しです。今でも土地の買い占めが横行しております。農業や畜産が成り立たぬようになってきております。地価の高騰が進んでおります。そして開発によって赤土が海に流れ込んでサンゴが死滅しております。そういう環境破壊に加えて水不足は深刻です。そして、本土の観光大資本が進出、ばっこして地元の業者は駆逐されて打撃を受けておりますね。  例えば、もう一つ一つ申しませんけれども、国頭村では補助施策がとられておる山原第一畜産基地にまで本土の開発業者が手を伸ばしてはるのは知ってまっしゃろ。八重山では牧場が本土企業に次々買収されて、このままでは島がのうなってしまうとさえ言われております。糸満では、農業振興地域の四十二万坪の農地にホテルを備えたゴルフ場の計画が起きております。融資がこういう開発にシフトすれば、生活関連への融資が圧迫されて県民生活に影響を与えることは明白であります。  先ほど大城理事も触れられた恩納村では、集落の近くまでリゾート開発が押し寄せて、村の住宅地の地価が今まで三万円やった、それが二十倍、三十倍はね上がって百万円で売り買いされている、そういう実態であります。開発庁の説明にもありました部瀬名岬リゾートの計画は、用地費を除いても三千九百五十五億の総事業費になっているわけですね。  この一件だけでもこういうスケールですから、それぞれの構想が具体化すればどれだけの資金需要が発生するかまさに予測もつかぬのです。とすれば、公庫の産業開発資金の枠ではとても対応できぬということになりかねぬのです。とすれば、ほかの枠である、例えば中小企業等資金あるいは住宅資金あるいは農林漁業資金、こういう県民生活に密接に関連する分野への融資を圧迫することは避けられないと思いますが、この点の歯どめはあるんですか。
  147. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄公庫の事業予算でございますが、先生御案内のとおり、産業開発資金とか中小企業等資金あるいは住宅資金、農林漁業資金などというように資金別に計上されてございまして、その執行におきましても四半期ごとに各資金の中で事業計画を策定して対応することを原則としているところでございます。  今回の法改正によりまして、産業資金に立ち上がり支援資金あるいは研究開発資金融資制度を創設することになるわけでございますが、これによりまして直接他の資金枠を圧迫するという仕組みにはなっておらないところでございます。特に今回導入いたします立ち上がり支援資金、研究開発資金、いずれも設備資金を補完する意味の限定的な、これは運転資金一般ではないわけでございまして、限定的に行うものでございまして、現在のところ他の資金需要を圧迫するほどの規模になることは想定していないところでございます。したがいまして、これらの融資制度の創設が他の資金枠に影響を与えることは心配がないものと考えておるところでございます。
  148. 市川正一

    ○市川正一君 では今の答弁をしかと確認をいたします。長官よろしゅうございますね。  次に、産業開発資金の融資を利用できる事業者は、本土であれ県内であれ、とにかく県内で事業を行う事業者はそれを利用できるということになっております。としますと、これまでの融資実績で見た場合に、本土企業と県内企業との融資比率はどうなっているんですか。
  149. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 制度の仕組みは先生御指摘のとおりでございます。  融資実績についてのみお答え申し上げます。  本土企業というその定義がなかなか難しいわけでございますが、ここに私どもは当該企業の資本の五〇%以上を本土企業が保有する企業というものを一応本土企業というぐあいに考えまして申し上げます。  昭和六十年度から平成元年度までの五カ年間の産業開発資金の融資実績でこの状況を見ますると、総額九百五十四億円のうち、今申し上げましたような定義のもとにおける本土企業に対する公庫融資は八十九億円でございます。これは先ほど申し上げました総額の中で九・三%のウエートを占める、こういう状況になっております。
  150. 市川正一

    ○市川正一君 あらかじめ資料がちょうだいできませんでしたので今お伺いをしたわけですが、私はどこで線を引くかということは別途またいろいろ研究をさせていただきますが、多く見られるケースは、公庫の資金を使ってはいるが建設業者は本土から連れてくる、そして運営は本土から要員を連れてきてやっている、その事業で上げた収益は本社のある東京へ持って帰る、こういういわゆる本土企業がかなりあるんですね。これでは沖縄県民経済の発展に本当に役立っているとは言えないと思うんです。  したがって、私は今後融資に際してはこういう観点から計画全体を検討し、そして評価する必要があると思うんです。例えば同種の計画本土企業と県内企業とが競合するような場合には県内企業を優先するという、そういう一つの原則、ルールを確立すべきであると思いますが、この点いかがでしょうか。
  151. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) そういうケースというのも私理事長就任以来余り承知しておりませんが、そういう場合、市川先生のようなお考えもこれは十分私ども参考にせにゃならぬと思いますが、要は沖縄産業振興あるいは社会開発にいずれがより多く寄与するであろうかということもこれは一つの観点であろうかと存じます。ただ、御指摘の点は、地元産業の育成に公庫は力を入れるべきでないかということは仰せのとおりである、そういうぐあいに考えております。
  152. 市川正一

    ○市川正一君 御存じないというのは不思議な思いがいたしますが、先ほど例に挙げた一連の問題というのは、まさに沖縄が買い占められているような事態が起こっておるんです。これはお認めになると思うんですが、そういうところへ融資をすることが本来の沖縄の振興に役に立つのかどうかというこの視点で御検討願いたいと思うんです。  時間が追ってまいりましたので、次に私は長官にお聞きしたいのは、さきに日米構造協議中間報告が発表されました。その中に、「系列関係」という項目がありますが、こう述べています。「日本開発銀行及び沖縄公庫による外国企業及び外資系企業のみを」——「のみ」に御注目願いたいのであります。「を対象とした低利の融資制度を抜本的に拡充する」という記載がありますが、現行制度はどうなっているのか。また、この中間報告を受けて新しい対応をなさることになるのか。長官、いかがでしょうか。
  153. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 先生お話ございましたさきに合意を見ました日米構造問題協議に関する日本側の措置についての中で、対日直接投資の促進に関連いたしまして、現行の沖縄公庫による外国企業及び外資系企業を対象とした融資制度が拡充されることになったことは御指摘のとおりでございます。しかし、本措置でございますが、我が国への外国企業あるいは外資系企業の直接投資を促進するためにとられた措置でございまして、これは先生いろいろ御議論あろうかと思いますが、沖縄県だけを除外すべき性質のものではないと考えてございます。しかしながら、いずれにいたしましても、具体的案件の処理に当たっては地元中小企業等の調和について十分配慮していくべきものと、かように考えておるところでございます。
  154. 市川正一

    ○市川正一君 冒頭に私が指摘したように、沖縄は、大臣に最後にもう一度お聞きしますが、アメリカが広大な米軍基地を持っているんですね。そのために、県の振興開発はもとより社会資本の整備にも大きな障害を与えており、県民生活が犠牲になっているという、こういう沖縄の特殊事情があります。その中で、沖縄県民が残された地域で社会資本の整備を進めようとしているそのときに、そこまでもアメリカ企業に、いわば建設市場の開放が今進んでいるさなかですから、低利の融資など優遇措置をとるということは、これは筋の通らぬ話、言うならば理不尽な要求だというふうに私は思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  155. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 日米構造協議中間報告の中に一項目あったことでございます。最終的な取りまとめはこれからでございますけれども、実態に即して申し上げますと、これは全国についての措置ではございますけれども、沖縄には大して必要ないんじゃないかという気持ちで私はおります。
  156. 市川正一

    ○市川正一君 もう時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、今長官がきっぱりおっしゃったこの態度はさすがであります。  私は、今度の融資制度の運用に当たっては、アメリカ企業よりは日本企業、また本土企業よりは県内企業を優先する、こういう姿勢に立って沖縄経済の発展に寄与するという姿勢を確立していただくことを強く希望いたし、この点の決意をもし伺えるならば幸いであるということを申し述べて、質問を終わらせていただきます。
  157. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほども御質問にお答えを申し上げたわけでございますが、第二次振興開発計画があと残すところ二年足らずになってまいりました。復帰の当時に政府としても決意をいたしました沖縄自立的な繁栄、それを確保いたしますためにも、今なお公共事業等についても残された問題点がございます。今市川委員がお述べになりましたような御趣旨でひとつ取り組ましていただきたい、かように決意を新たにいたすものでございます。
  158. 市川正一

    ○市川正一君 どうもありがとうございました。
  159. 高井和伸

    高井和伸君 沖縄公庫の理事長さんからお尋ねいたしますが、今までのお話を聞いておりますと、今回の法改正によりまして新たに貸し出しを行ういわゆる立ち上がり支援資金、研究開発資金の貸し付けに当たっては従前の枠よりはリスクの大きい貸し付けになるんじゃなかろうか、こう思うわけですが、現場を預かる身としてはどのような対応をなされるのか、お尋ねいたします。
  160. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 私も具体的な個別の内容をまだ承知しておる段階ではございませんが、私が承知しておる限りにおきましても、ただいま先生御指摘のとおり、一般にリスクの大きい事業が少なくないんではなかろうか、かように考えております。また、そういうものであるからこそ、今回、従来の制度では融資できないような資金を融資しましてそういう事業の円滑な発展を期する、こういう制度が導入されたのであろう、かように考えております。
  161. 高井和伸

    高井和伸君 六十三年度の沖縄公庫の決算書を見ますと、貸付金償却が六億九千七百万余りというような数字が出ております。殊さらこの数字がまた大きくなるのもやむを得ないという事情を今理事長さんがおっしゃったんだろうと思うんですが、それはそれなりに経済は生き物でございますから論評は差し控えますけれども、健全な貸し出しをお願いしたいということが一つでございます。  それから二つ目にお尋ねしたいことは、平成二年度及びその前の年の各資金別の融資状況など御報告がありましたけれども、この沖縄県における沖縄公庫の貸し付けのシェアというんですか、純貸付残高のシェアというのは、手元にあります資料によりますと、昭和六十一年のころでは三〇・四%、このようになっておりましたけれども、現在の一番新しいデータではどのぐらいのシェアを占めておられるのか、お尋ねいたします。
  162. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 最初に、高井先生のお許しをいただきまして、先ほどの御質問に対してちょっと補足をさせていただきます。  リスクが大きい事業であるからやはり延滞率の高いことも予想しているんではなかろうかというようなお言葉がございましたが、私どもは、そういう事業であるからこそ、新しい支援を今回お認めいただければ、この制度を使いましてそういう事業が健全に発展するように今おっしゃいましたような御趣旨に沿って運用をしていきたい、かように考えていることを御了承いただきたいと思います。  それから、ただいまお尋ねの沖縄公庫のシェアがどのくらいになっておるか、こういうお話でございますのでお答えを申し上げますが、県内の融資残高に占めます公庫のシェアにつきましては、これはやや昔にさかのぼって申し上げますと、公庫設立当初の昭和四十七年度末におきましては一四・四%でございました。これが逐年大きくなりまして、昭和五十五年度末には三四・九%に至りましたが、これをピークといたしましてその後漸減いたしております。平成元年度末におきましては二六・九%となっておるのが現状でございます。こういうぐあいに公庫のシェアが落ちてきたということは、最近の金融状況の変化等に伴いまして民間金融機関の融資が著しく伸長した、こういう結果でございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、最近五年間を見ますると、公庫の融資の拡大はおかげさまで非常に順調にいっております。
  163. 高井和伸

    高井和伸君 沖縄公庫の設立は、この改正法案のもと法律の第一条にも書いてございますとおり、沖縄に対する特別の支援というふうに位置づけられていると思います。そういう意味で、この沖縄公庫の決算書の中身を見ますと、逆ざやを埋める、さらに人件費に充てる、さらに物件費として建物だとか、そういう店舗の諸機材を国庫が負担するというような方向になっているんだろう、このように考えております。国からの補給金だとか、それから一般会計からのお金というような感じでとらえられると思いますが、現実的な補給金、平成二年度の予算書を見ますと、百三十六億一千四百八十四万円余りが一般会計から公庫に入るというふうな予算書になっております。この使途は先ほど言った逆ざや補てん、それから人件費、物件費というようなことじゃなかろうかと考えますが、その主な使途は、当てはまらぬところもあるかとも思いますけれども、沖縄に特別になされている制度だから余計聞きたいんですが、ちょっと具体的に内訳を教えてください。
  164. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 私今ちょっと決算の資料を持ち合わせておりませんので、恐縮でございますが、平成元年度の予算についての資料でお答え申し上げます。大体のことを御理解いただけると思います。  この収支差額を補てんするため国からいただいております補給金でございますが、平成元年度予算では百三十三億六千六百万円ございました。 この収支差額の主なものを申し上げますと、貸付金利と調達金利との差額、いわゆる逆ざや分でございます、これが百七億円ございます。ほとんど大半が逆ざや分の補てんであるというぐあいにお考えいただければよろしいかと思いますが、その他、代理店に支払います業務委託手数料でございますとか、あるいは公庫運営に必要な事務費がございまして、これからマイナスする要因といたしまして住宅資金貸付手数料収入等がございまして、これらを差し引きいたしましてただいま申し上げました百三十三億六千六百万円というのが平成元年度の予算でございました。  また、決算につきましてのあれは後刻資料をお届けしたいと存じます。
  165. 高井和伸

    高井和伸君 具体的なイメージをわかす意味で、沖縄公庫が設立された理由としては、本土にある既存の政策機関、金融機関あるいは政府機関というものよりは使う方にとってより有利な融資条件で貸し出すのが制度目的だろうと、このように承知しております。  そこでお尋ねしますが、今もお話のような逆ざやで百七億円の年間補給が必要だというようなお話もございました。一般的な典型的な融資で結構でございますが、産業開発資金でも結構ですが、大体沖縄公庫は幾らで資金調達をして年利幾らで貸し出して、大体何年で返済を受けるかというような、おおよその典型的な事例で結構ですから、本土の場合と違ってこれだけ力点を入れてやっているから百七億も要るのだというようなところの具体的な話のちょっと素人っぽいところで御解説を願います。
  166. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) これも後で資料をお届けいたしたいと思いますが、大ざっぱに私から申し上げますと、現在の融資残高の中の資金別の比率を見ますると、五九%が住宅資金でございます。この住宅資金は、御承知のように、住宅公庫の分ももちろん低利長期でございますが、私どもの方は住宅公庫のその基本資金よりも〇・三%貸付金利が低いわけでございます。そういうことから、これは財投金利、たしか借入金利を幾ら下回っておりましたか今ここに手持ちの資料がございませんですが、これが非常にやっぱり大きなウエートを占めておる。それから融資残高におけるウエートは小さいのでございますが、農林漁業資金がこれがまた非常に低利になっておりまして、財投金利との間では相当な逆ざやになっております。後で資料をお持ちしまして御説明を申し上げたいと存じます。
  167. 高井和伸

    高井和伸君 〇・三%というような数字が積もり重なって年間百七億というような数字になるというようなことで、沖縄に対するある意味では国の姿勢があらわれているのだろうというふうに理解をしております。  それで、今度はちょっと沖縄開発庁の方にお尋ねしますが、今度の法改正で案文を見ておりますと非常にわかりにくい条文にますますなってしまうような書き方をしてありますのですが、先ほど総務局長さんのお話でも、今回のこういった立ち上がり支援資金、研究開発資金の貸し出しはリスクが大きいと、このようなこともおっしゃっておられました。他方、沖縄公庫の理事長さんのお話ですと、沖縄経済は順調にいっている。沖縄経済が順調にいっていれば、政府のこういった特別措置もだんだん逆に言って小さくなっていっていいのじゃないかと、そういうような感じもするわけでございますが、日本開発銀行の法改正に合わせた側面もあるというお話も聞いております。今回のこの法改正の理由、表面的にはいろいろ言われて聞いておりますけれども、基本的に改正の必要な理由は何だったのですか。
  168. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 立ち上がり支援資金と研究開発資金、二つの資金を今回創設したところでございますが、まず立ち上がり支援資金につきましては、先ほどから繰り返し御答弁させていただいておるところでございますが、例えば民活法対象事業、リゾート法対象事業、テレトピア事業、こういったような社会資本整備事業、これはあるものは先行投資が非常に重くて開業後相当期間低稼働を余儀なくされることが多い、あるいは公共性の高い低採算施設を抱えている、こういうような事情もございまして、事業が軌道に乗るまでには人件費とか設備の賃借料等の固定的事業資金を賄うに足る十分な収入を得ることが困難である、多額の資金需要が発生する事例が多い、こういうことで、これを支援する意味におきまして、従来設備資金は既に貸し付けることができておるわけでございますが、今回これらの非設備資金の融資制度を創設しようと、こういう趣旨によるものでございます。  それから研究開発資金につきましては、融資対象はバイオテクノロジーとかエレクトロニクスとか情報処理等の技術革新の進展に即応いたしました社会的な効果あるいは経済的意義ある技術の開発を目的とするものでございますが、こういったものの開発あるいは情報処理システムの開発に当たりましては、企業利益に直結しない企業化の開発段階におきまして、開発のための設備資金のほか、これは設備資金は従来から貸せるわけでございますが、そのほかに研究開発費あるいは技術導入費等の多額な非設備資金を要することになる、こういうものでございますので、これを支援する意味から、従来の設備資金に加えまして、これらに必要な研究者の人件費とか試験材料費、技術導入の費用などの非設備資金の融資制度を設けよう、こういうものであるわけでございます。
  169. 高井和伸

    高井和伸君 そうしますと、これはちょっと先取り的な法改正なのか、もう既にあるので後追い的な法改正なのかと聞きますと、どうやら先取り的な法改正のようにうかがえますが、そのとおりですか。
  170. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 今回の改正は、本土におきましては既に昭和六十年度あるいは平成元年度から日本開発銀行法の改正によりまして既に実施済みの制度でございます。沖縄振興開発金融公庫におきまして今回お願いをしておりますのは、例えばターミナル施設等の臨海開発とかあるいはリゾート開発事業等の動きがございまして、そういったものを備える意味でございまして、単に先行的にお願いしておる、そういうものではないわけでございます。
  171. 高井和伸

    高井和伸君 予想される需要があって先取り的にやっていると、このように理解してよろしいかと考えております。  そこで、こんなことをお聞きしたのは、今度の法改正、ある意味では条文だけの部分の中身を見ますと、長期資金のところでは「関連する当該事業に必要な長期資金を含む。」と。これは立ち上がり資金のところの表現がこのような法案の条文になってくるものですから、とても素人がぱっと条文を見たときにさっぱりわからないような表現になっているわけですね。  さらに今度は研究開発の方でいきますと、今度は限定的に絞り込むというようなことで、前の括弧書きは広げる表現、後の括弧書きは絞る表現で、素人さんが一回読んでこれではわからないという、大変立法技術上わけのわからぬ——よく読めばわかりますけれども、私は弁護士だからわかるんですが、一般国民が読んでさっぱりわからぬ法改正をなさる。  他方では、立ち上がり資金なんというようなよくわかる言葉でなさいますが、条文を見ると、どこを読むかというと、「取得等に関連する当該事業に必要な」というようなところに、こういう表現をするというわけでしょう。これはとても理解しにくい。国民代表者としての私としては、こんな立法は本当は困る。もうちょっと箇条書き的に並びかえるとかしてもらわないと、とても日本の国は六法全書がでかくなるだけで、しかも解釈が必要になるようなことになって困ると思うのですね。  私が先ほど聞いた理由は、こういった広げる方向の括弧書きであったり、狭める方の括弧書きであったりするような立法、かなり慎重な立法をなさっているわけですよ。だけれども、こんな経済の問題をやるときにある程度枠組みは広くやっていただかないと現場が困るんじゃないか。沖縄公 庫の方がこんな立法をされて非常に融資条件が限定的にされ過ぎているのは、先ほどから聞いているように、本土よりうんといい条件で融資するから、その枠組みも限定的にしよう、こういう話なんだろうと思うんですが、沖縄振興というところの論点からいうと、この法改正は何か厳し過ぎて窮屈過ぎて沖縄公庫さんが非常にお困りのような雰囲気の改正というふうに承るわけですが、それを含めて、今後とも沖縄に対する対応——私も実は昔郵政省に勤めておりまして、方向転換する前は沖縄復帰の定員通達を書いて私郵政省をやめたという思い出がありまして、沖縄がもう十七年たってもまだこのようなことになっているという状況は、政府としてはどう考えているのかということ、大臣に最後にお尋ねしたいんですが、いろいろ事情があってこうなっているということはわかりますし、十七年でもまだ足らないんだということだろうと思いますが、日本経済力からいったらある程度もう少し迫力のある沖縄復帰、早く本土並みにするというか、そういった施策をやっていただきたい。そういう意味で、私は先ほど沖縄公庫の方から聞きましたら、シェアがだんだん落ちてきている、こういう話ですし、沖縄経済は順調に伸びているということでございます。  本土沖縄県の落差解消の早からんその一致点を見つけ出すように祈る立場から、そこで沖縄公庫の理事長さんには、今後公庫の役割はどうなっていくのか、本日の案件である公庫法の改正を含めて、おおよその見込みと公庫の役割の変化などについてお尋ねいたしたいし、大臣には、特にこういった制度がなくなることがより望ましい状況だろう、そこへ向けての今私が述べたような、何か少し窮屈な立法じゃなかろうかと思ったりする点について、御意見があれば伺いたいと思います。
  172. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 立法技術の問題について、私から一言先生お答えさせていただきたいと存じます。  先生から御指摘ございましたように、大変抽象的な表現の多い条文となってございます。これは今回の改正が、先ほどから御説明させていただいておりますが、平成元年あるいは昭和六十年に改正された日本開発銀行法と全く同じ趣旨の融資制度を導入しようということで、法文等も開発銀行法の当該資金の規定と同文としたものでございまして、決して沖縄公庫の自由度を縛り、融資を窮屈にする、そういう趣旨のものでないことについて御理解を賜りたいと、かように考えておるところでございます。
  173. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 沖縄の振興開発計画一つの目的でございます沖縄経済自立的発展ということを考えますと、これから沖縄産業の振興というのがますます私は重要になるんではなかろうかと、さように考えております。  それからまた、御議論がいろいろございましたように、地元の企業は小規模零細なものが多く、経営の近代化もおくれているというものも多いそうでございまして、本土企業に比べると収支、財政の基盤も弱い、そういうぐあいに承知いたしております。  そういうことで、私どもはこういう地元企業の経営基盤の強化ももちろんあわせまして沖縄産業の振興のために一層努力する必要があるんではなかろうかと思っておりますし、また、私自身は今後公庫の役割というのは一層高まるものと確信をいたしております。  そういうことから、私は部内の職員には、今こそ公庫の経営の基盤を強化して今後の発展に寄与すべきときであると、そういうことを常に訓示しておるところでございますので、さらに一層の努力をする所存でございますので、どうぞ先生方にも御支援、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  174. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 高井委員お答えをいたしますが、沖縄が持っております過去、現在の各様の特殊事情、社会経済の各方面でやはり本土と著しい格差が生じております。十八年間にわたりまして振興開発計画を立てて、特別措置法に基づく格段の努力政府も続けてまいったところでございますが、今なお問題が残っているわけでございます。  沖縄開発金融公庫の果たします役割も、まだまだこれから活躍をしていっていただかなければならない事情にございます。真に自立する沖縄県建設を目指しまして特段の努力をこれからも続けてまいりたい、かように決意を新たにいたすものでございます。
  175. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖縄開発の目標には三つの柱があるわけでありますが、一つは平和の沖縄二つは豊かな沖縄、三つは活力ある沖縄、こうあるわけですが、私は時間の都合上、特にきょうの委員会の目的にも照らして豊かな沖縄という一点に絞って二、三お尋ねいたしたいと思います。  まず第一点は、昭和六十三年の六月に開設されました自由貿易地域の問題につきまして、その現況、そしてその課題と今後の見通し、今後どう発展されるべきであるかということについて御見解をまず承りたいと思います。
  176. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖振法に基づきます自由貿易地域、那覇地区でございますが、先生お話ございました昭和六十三年六月に二十七社が立地企業として選定を受けまして、その後各企業が順次、上屋等については国庫補助をいたしまして県で建てたものでございますが、中の施業設備等の設置をいたしまして、平成元年の六月に至りまして全社そろって操業を開始したと、こういう状況にあるわけでございます。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 全社そろいまして操業後一年とまだ日浅うございます。現時点で操業の実績等を判断するのはあるいは早計であろうかと考えておりますが、いろいろ問題点、課題を抱えておることも先生御指摘のとおりでございます。  例えば施設が狭隘である、狭いところに二十七社が入ってございますので狭隘であるといったような問題、あるいは展示施設の拡大の必要があるんじゃないかと、こういう要望も出てございます。あるいは水産物の原材料の確保の問題なんか等についても入居企業から要請が出ておるところでございます。  そこで、自由貿易地域、これは新しい試みでございますので、いろいろ工夫をしていかなきゃならぬ問題であることは事実でございますので、その円滑な運営を図りますために、沖縄開発庁現地の総合事務局、それと保税地域でございますので、大蔵省の沖縄地区税関、それと管理をしております沖縄県、さらにはそこに入居しております企業の協同組合であります協同組合沖縄フリー・トレード・ゾーンの四者で構成をいたしております沖縄自由貿易地域運営に関する四者協議会を設けましてこれらの問題点の検討をいたしておるところでございますが、これまでには、例えば水産物の原材料の確保の問題につきましては、魚介類とかイカ等について輸入割り当てを新たに認めていただいた。これは農水省等の大変なお骨折りで認めていただいた。あるいは沖縄県においては、専用展示施設の拡大のための予算措置をしておる。こういういろいろ努力はさせていただいておるわけでございます。  それで、開発庁といたしましても、今後の自由貿易地域、那覇地区の運営状況、これはもう十分関心を持って見守っていきたい。さらには沖縄県あるいは関係者意向を踏まえまして、ポスト二次振計の検討の中で十分検討をさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
  177. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ所期の目的が達成しますよう御努力を願います。  次に第二点として、沖縄県の産業構造は、全国に比べて特に第二次産業、なかんずく製造業の比重が極めて低い状況にある。これも御承知のとおりであります。それで、沖縄県で第二次産業がなかなか育たない理由はどこにあると見ておられるか、またその対策はどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  178. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄産業構造でございますが、先生御指摘のとおり、全国と比べまして二次産業とりわけ製造業の比率が極めて低く、第三次産業の比率が高いことが特徴になってございまして、移輸入が移輸出を上回りまして財政支出に大きく依存する経済体質になっておるわけでございます。  特に沖縄の製造業の比率が低い原因はどこにあるのかということでございますが、いろいろ原因があろうかと思いますが、全般的に経営基盤も脆弱でございまして、技術水準も全国水準から比べればやはり弱い点がある、こういうこと。あるいは本土から遠隔の地にございますので、どうしても県内だけでは市場規模は極めて小さい、こういった問題もございます。また、工場適地の価格にいたしましても、全国で高いクラスに入っておる。こういういろいろな不利な条件下にあることは事実でございます。  こういった条件を打破するにはどうしたらいいかということでございます。先ほどから申し上げておりますように、沖縄経済自立的発展を図りまして就業の場を確保するためには、何をおいても産業の振興開発が基本課題であることは私ともも十分認識をしておるところでございまして、これまで二次にわたります振興開発計画に基づきまして、二次産業のうちの特に製造業につきまして、既存産業の振興とか新規企業の展開のためにいろいろ施策をやってきたことも事実でございます。例えば糸満市等十一市町村に工業開発地区の指定を行いまして進出企業に税制上のメリットを与えるとか、そういったこともございますし、あるいは現実に糸満工業団地あるいは中城湾港新港地区団地の造成といったような産業基盤の整備も行ってきておりますし、工業用水等のインフラの整備も進めてきておることも事実でございます。また、特に沖縄の中小企業、これが大きな割合を占めておること、中小企業が大部分であることは事実でございますので、その近代化を図りますために、沖振法に基づきまして中小企業近代化計画を策定いたしまして、設備の近代化とか経営の合理化を進めて企業体質の強化を図る、それと技術力、経営力の開発、向上を図ってきたところでございます。とりわけ一昨年でございましたか、百億円の御議決をいただきました補助金沖縄県に出しまして、産業振興基金を設置いたしまして、その運用益を活用いたしましていろいろ戦略産業の育成とか人材育成のための事業、そういうことも行っておるわけでございます。今後とも二次振計の基本方向に沿いまして、社会資本を地域産業あるいは経済の活性化に結びつくように整備するなど、自立経済発展が図られるよう沖縄の振興開発に全力を傾けてまいりたい、かように考えているところでございます。
  179. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いかなることでもアンバランスのままでは本当の豊かな沖縄に結びつかぬわけでありますので、この点ひとつ一層の御検討をお願いいたします。  それで次に、今のお話ともつながりますが、平成元年三月十四日と覚えておりますが、沖縄産業振興基金が造成された。その運用状況は現在どのようになっているのか、報告してもらいたい。
  180. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 沖縄産業振興基金でございますが、沖縄県におきます産業振興の緊要性にかんがみまして、百億円の国庫補助をもちまして沖縄県に設置をいたしておるものでございます。  沖縄県は、平成元年度におきまして四億八千万の基金運用益を活用いたしまして、情報産業とかリゾート等の戦略産業の育成、支援あるいはエネルギー基盤安定のための助成、あるいはとりわけ沖縄でこれから求められております人材育成のための事業等を実施しているところでございます。現在、平成二年度の実施事業については沖縄県で準備を進めておる、こう伺っておるところでございます。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  繰り返しになって恐縮でございますが、沖縄県の産業とりわけ製造業は全国に比して極めて脆弱な基盤に立っておることは先生御指摘のとおりでございまして、開発庁といたしましても、この基金の活用によりまして戦略産業を育成する等、沖縄の振興開発、産業の振興に資する役割を大変期待しておる、こういうような段階でございます。
  181. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が気になりますのは、こういった沖縄の特殊事情を踏まえて計画してもらわぬと、本土の物差しをそのまま当てるというところにいつまでたっても沖縄がアンバランスのままに進んでいく以外にない、こういうことを私は言いたいんです。  次に、第二次振計も残り二年足らずになりますが、平成三年の目標年次となりますが、その進捗率はどうなっておるのであろうか。恐らく目標の達成は難しいのではないかと私は思っております。そこで、目標と達成率との間のそごの主な原因はどういうところにあると考えておられるのであるかお聞きしたい。
  182. 藤田康夫

    政府委員(藤田康夫君) 二次振計の目的達成との関係で難しいのではないか、その原因はどこにあるのか、こういう先生の御質問かと思います。  沖縄県が本土に復帰して以来十八年を経過したところでございますが、この間二兆九千億円余りの国費の投入と県民のたゆまざる努力によりまして、学校教育施設を初め道路、空港、港湾等の交通通信施設あるいは上下水道といったような生活関連施設の整備は大きく前進をしたところでございまして、本土との格差も次第に縮小しておる。これは事実でございまして、沖縄県の経済社会総体としては着実に進展してきておるということは言えるのではないかと考えておるところでございます。  それで、目標年次でございます平成三年度、これは例えば人口をとりますと百二十万を超えると見込まれたところでございますが、県の総人口は平成元年度で百二十二万人となっておりまして、この点は既に目標を上回っておるわけでございますが、問題は、一人当たりの県民所得の例えば全国対比、こういったような問題でございまして、復帰の当時は六〇%でございましたのが、六十二年度には七五・二%と改善されていますものの、依然全国格差が大きく、全国最下位に位置している状況にあることは事実でございます。その原因を一義的にどういうことでそうなったのかというと、なかなか難しゅうございますが、あえて申し上げさせていただきますならば、沖縄県は唯一の地上戦が戦われたところでございまして資産が喪失したといったようなこと、あるいは二十七年間に及び施政権下に置かれておったわけでありまして、その間我が国経済の高度成長に支えられた発展から取り残された、こういった事実があったことも事実でございまして、また先ほどから御議論がございますが、広大な米軍基地の存在というのは他県にはないところでございまして、こういったような大きな環境条件があることも事実でございます。加えて本土から遠隔性、島嶼性、台風常襲地帯という不利な要素はいろいろ抱えておるわけでございまして、そういった中で今日の沖縄の置かれておる経済状況先生から御指摘ございますように製造業が低いという、物的生産部門が弱いという、こういう産業構造になっておるわけでございます。こういったところに原因があるんではないかと、あえて申し上げさせていただきますと、そういうことではないかと考えておるところでございます。  こういったものをどうしていくかという問題が次のこととしてあろうかと思います。現在、私ども、先ほどから大臣から御答弁させていただいておりますように、一次、二次とやってまいっております沖縄振興開発計画の事業の総点検をさせていただいております。そういった中で十分検討し、その結果をもちまして、あるいは沖縄県の方が既に検討しておりますし、沖縄県の意見もあろうかと思います。あるいは審議会の審議の結果、そういったものを踏まえていろいろ判断させていただきたい、かように考えておるところでございます。     ─────────────
  183. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、岩本政光君が委員辞任され、その補欠として石渡清元君が選任されました。     ─────────────
  184. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今の問題に触れまして、私が本土の物差しを当て過ぎると困りますと言いたい気持ちは、沖縄の特殊事情、沖縄の気候風土、亜熱帯地方という本土にない特殊な環境にあるということ、また文化にしても、そういう点からいつまでも格差、格差ととらわれるというと、いつまでも沖縄の特性は生かされぬじゃないか、こういう声も非常に強うございます。そういう意味から、県民の本当の意思を大事にしていただきたいということが私の本音であります。  次に、公庫理事長お見えでありますのでお尋ねしたいんですが、こういう声がたまにあるんですよ。融資手続が煩瑣で利用しにくいとの声がたまに耳に入るんですよ。この点についてどのように考えておられるか。また、実情はどうなっておるのであるかとということと、もう一問、御一緒でありますので、次も申し上げまして答えていただきましょうね。  次は、政策金融の面から見て、沖縄産業振興はどうあるべきであると、特に長いこと沖縄に関心をお持ちになり、理解の深い公庫理事長でありますので、率直な御意見を承りたい。  以上が、五問と六問のまとめて理事長さんにお尋ねする意図であります。よろしくお願いします。
  185. 藤仲貞一

    参考人藤仲貞一君) 最初の御質問でございますが、沖縄公庫も財政投融資資金を原資といたしまして長期の資金を供給する金融機関でございますので、事業見通し等金融機関として必要最低限の審査を必要とすることは、これはもう先生よく御承知のとおりでございます。  ただ、一方におきまして、我々は利用者の方の利便ということをこれは考えなければならない立場にあることは十分心得ておりまして、その手続をできるだけ簡素なものにするように従来から努力してきたところでございますが、ただいま御指摘のとおり、なお公庫の手続は煩瑣であるとか、あるいは借り入れを申し込んでも融資の実行までに時間がかかるとか、そういう御指摘があることは事実でございます。  そこで、私どもも従来から努力してきておるところでございますが、最近におきましては利用者と申しますか、私どもから申しますとお客さんでございますが、お客さんへのサービスの向上ということを第一に考えるべき時期が到来しておると、そういうことから貸し付けに際しての提出資料を最低限必要なものに絞るということで、利用者の方の事務負担の軽減を図ると同時に、私ども内部の事務処理の迅速化ということに努めておるところでございます。  ただ、今申し上げましたように、まだやはり不十分なところがあるんではないかということを常に内部でチェックいたしまして鋭意努力をしているところでございますので、もう少しお待ちをいただければ、私は年々よくなりつつある、そういうぐあいに承知はいたしておりますけれども、まだ一層の努力もまた必要である、そういうぐあいに思っております。  それから二番目の御質問でございますが、私から申し上げるのもおこがましいことかもしれません。もう砂田長官ないしは総務局長からいろいろお話があったところでございますが、先ほど来お話がございますとおり、沖縄経済自立的発展を期するということからは、やはり産業の振興を図ることが急務であると、さように私は思います。  沖縄産業の振興を図る上で、本日も御議論がありましたとおり、いろいろの観点あるいはまた問題というのがあるわけでございますが、私はもう端的に申しまして、沖縄の地域特性を生かす特色ある産業というものを育成すると申しますか、そういうものの発展を期すると申しますか、そういうことが私は第一の課題ではなかろうか、こういうぐあいに個人的に考えております。  では、具体的にどういうことをいうのかということに相なりましょうが、私は具体的に申し上げますならば、やはり沖縄の戦略的産業としては、沖縄の自然的な特性を生かした海洋性長期滞在型のリゾート開発事業というようなものが一つのリーディングインダストリーに当面はなるんではなかろうか、そういうぐあいに私は確信をいたしております。  ただ、もちろんこれだけでいいわけではございませんで、沖縄の特性を生かすということでございますならば、高付加価値の亜熱帯農業の振興を図るということも、これも重要な課題でございましょうし、その他エネルギー、交通、通信情報、各面において均衡ある産業の振興というのを図っていかなければならないと思います。  そういう戦略的な産業の展望はございますが、そういうものが順調に発展いたします場合に、他の産業へもよいインパクトを与えるということもございましょうし、あるいはまた、よく言われますように、産業部門間の相乗効果というものも期待できるんではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  喜屋武先生から率直に答えろと、こういうお言葉でございましたので、おこがましいことではございますが、私の所信を申し述べた次第でございます。
  186. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に、御理解の深い長官に一言述べていただければありがたいと思います。
  187. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) これからの沖縄の振興開発につきましては、審議会から提言されました二次振計後期の展望と戦略、それから四全総などを踏まえまして、東南アジアを初めとする諸外国との国際交流拠点の形成、国際的評価にたえ得るリゾート基地の形成、さらに亜熱帯農業の振興等、特色ある産業の振興を図ることが必要であると考えております。  一つつけ加えさせていただきますならば、きょう御議論に出なかったことでありますけれども、喜屋武先生の言われる沖縄の特色を生かすという意味でも、沖縄の伝統工芸というものをやはり大切にしていかなければならないと思います。放置をいたしておきますと後継者も育ちません。何とか沖縄の伝統工芸というものを後継者育成等を考えながら、規模はそう大きくなくても、これを一つ産業化していく方策はないものか、このようなことも頭に入れて取り組まさせていただきたい、かように考えているところでございます。  開発庁といたしましては、二次振計の残されました二年、この期間に基盤整備といたしまして、水資源の安定確保、交通通信体系、農業生産基盤の整備拡充等の振興方策の展開を図ってまいる所存でございます。
  188. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案に対し、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  191. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 田代由紀男

    委員長田代由紀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会