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薮仲分科員 私は選挙区が静岡です。十数年間、静岡の清水の大店法の出店調整は全国に勇名をはせるほどトラブルを起こしたところですから、私は大店法の持っているいろいろな問題は身の内に刻んでおるわけで、いつかは
通産大臣とその問題で、きょうみたいな
分科会じゃなくて、しっかりやりますが、私の言いたいことは、
中小企業の持っている本質的な問題で
大臣と論議をしておきたいのは、これは通産省のお出しになった白書ですが、ここにこう書いてあるのです。
「
中小企業は、経済環境の
変化に積極的に
対応することにより、
我が国産業構造の重要な一翼を担い続けるとともに、
我が国経済が
産業構造を
変化させる上で、大きな役割を果たしてきた。」、いつも
産業構造が転換するときに、先導的な最も重要な役割を果たしたのは
中小企業だという認識に通産省は立っておられた。しかもさらに、「先進諸国に比べ層の厚い
中小企業層を持つ
我が国経済が、先進諸国のなかでも総じて良好なパフォーマンスを示し続けた」こう認識しておるのです。なぜ
日本の国がいろいろな経済の激動の中で良好な成長を遂げてきたか、
中小企業の皆さんの努力があったのです。これは
大臣の所掌の白書の中で認めているのです。このことを私は言っておるのです。
中小企業の大店法の中の部分的な問題もさることながら、
中小企業というものの位置づけがいかに大事であるか、白書の中にうたわれることをもう一度私は確認の意味で申し上げているのです。
これは私の意見じゃなくて、そちらの意見です。「
中小企業は、活発な開・廃業、規模移動を続けている一方、小回り性・機動性を強みとしている等」大企業を助けて側面から機動性で支えてきたのですよ。しかも
中小企業は、活発な開業、廃業あるいは規模移動を続けながら
我が国の経済に流動性を与え、転換に
貢献してきたのです。
しかもこの中で、白書はこういうことを言っているのです。「
中小企業の積極的意義を評価する見方は、近年
欧米先進諸国でも強まっている。
産業の硬直化、
活力の低下とそれに伴う高失業率等のいわゆる
先進国病に早くから悩まされたイギリスで、一九七一年に、
中小企業の経済
社会における役割の重要性を指摘した「ボルトン報告書」がまとめられたのをはじめ、最近でも、一九八五年五月のボンサミット宣言において、
中小企業育成の重要性が強調された。」
日本の経済の中でいかに
中小企業の役割が重要であったか、これは白書の中できちんと、
先進国病にかからずに成長できたのはこういうことですと。この
中小企業の役割を
大臣も当然御承知だと思いますが、今出ている大店法のみならず、二十一
世紀、さらにはもっと将来の経済活動の中での
中小企業の役割をもっともっと私は明確にしていただきたい。特に、きょうは時間がないからやめておきますけれ
ども、元年の白書、もっと
中小企業の抱えている問題をきちんと整理しておく必要があろうかと思うのです。
今、我々が
中小企業の皆さんとお会いして何が大変か。一つは、白書の中にもございますけれ
ども、廃業がふえている。ここにあるのですけれ
ども、元年度白書の百十八ぺージに開業率、廃業率のグラフが出ているのです。残念なことに、廃業率はふえているのですが、開業率が非常に減っているのです。いろいろな事情があると思うのです。やはりこれは一つのポイントだろうかと思うのです。
それから、
大臣も先刻御承知の、いわゆる
中小企業の経営上の問題がどうであるかという
調査、ここに歴然と出ておるのでございますけれ
ども、今
中小企業の問題点は何なのだ。一番困っていらっしゃるのは、このグラフに示すとおり求人難です。
中小企業に求人難が物すごくしわ寄せされているのです。ある時代には雇用の創出に努力をした
中小企業が、四〇・九というこのグラフが示しますように、今最も急激に
人手不足で苦しんでいらっしゃる。
しかも、もう一つは地価の高騰。今、
政府税調でも問題になさっているように、地価をどうするか。大企業と中小零細企業とのいわゆるゴーイングコンサーンという概念はございますけれ
ども、大企業には何ら相続に対する資産の再評価がないだろう。そこで論議されているのは、
新聞報道の中で出てきますように、企業に対しても相続税に近いような評価があってしかるべしじゃないか。あるいは企業に対して新特別土地保有税、これはきょうここにいらっしゃる
石井主査が
国土庁長官のときに上がった基本法に出てまいりますけれ
ども、あの中でも特別土地保有税というのは地方税です。しかし、あそこでは国税にして地価を安定させよう。同時に、一番問題は、土地の値段が異常に高過ぎる。幾ら収益還元といっても、どのような仕事をやっても成り立たないほど土地の資産を高くしてしまっている。一体だれが土地の資産を高くしたんだ等々問題がございますけれ
ども、私はやはり地価の高騰が
中小企業を直撃していると思うのですね。
これもきょうは白書を通じて全部
お話をしたいと思うのですが、白書にこう書いてあるのですよ。地価の高騰、ことしは出ていませんけれ
ども、ちゃんと前に載っているのです。地価高騰の影響からやむなく廃業した事例、これは白書ですからね。
東京都心で代々魚屋を営んできたB氏は、近年の地価高騰の影響や事業意欲の減退によりやむなく廃業することにした。土地を売って移転することも検討したが、魚屋は長年築いてきた顧客との
関係が非常に重要な
地域に密着した商売であり、移転しても続けられる目途が立たなかった。だから廃業したと白書に書いてあるのです。
このように
中小企業の方の承継という問題になってまいりますと、純資産評価でいったときに地価がもろにかかってくる。こうなってまいりますと、
中小企業の方は、今申し上げたように転廃業が非常に困難になってきている現実があります。それから
人手不足が深刻化しておる。地価の高騰が承継を非常に困難にする、あるいは不安を抱かせる。数多くあるのですが、きょうはこの三つに対して、
中小企業庁はそれにどう
対応し、どう具体的に乗り越えられるようにしてあげようとしていらっしゃるのか、そのことをお伺いしたいと思います。