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常松分科員 全体の家賃の問題につきましては異論がありますけれ
ども、きょうは高齢者の
方々の問題に絞ってお尋ねいたしますから、それはまた建設
委員会がそういうところでやっていただきます。
先ほど申し上げましたように、
現実に今住んでいる
方々のうちの五人に一人は六十歳以上、そしてその
方々は、大
部分は三百五十万円以下あるいは第一、第二分位の所得、こういうことを前提にしていろいろ考えていただきませんと、結局、公団はどのように言おうとも実質的には立ち退かせることになるというふうに思うのです。
少し具体的にお尋ねいたしますけれ
ども、二年間の期間とおっしゃいましたね。しかし、都営
住宅の場合は、本当に住民と合意がされるまで何度でも話し合いを進めますよ。公団は年次
計画だって示さないじゃありませんか。もしきょう出してもらえるのだったら、少なくとも私の選挙区の中だけでもいいですし、あるいは全体として三十年団地のどこから手をつけていくのかというこの年次
計画をぜひ出してくださいよ。それだけだって、
理事、随分不安はなく
なりますよ。だって、わずか二年間ですもの。二年間でこれからの人生を全部決めろなんてことは無理ですよ。そのことが
一つあります。ですから、その
計画、二年間の問題。
さらに申し上げますと、賃貸契約書の中に、家賃を三カ月以上滞納した場合には立ち退かなければならない、こういう条項が入っているわけですね。立ち退き義務です。明け渡し義務です。こういう点がやはり高齢者の
方々にとっては最大の不安の中身です。だから福祉
事業は公団の仕事じゃないと言っても、例えば年次
計画を示すということ、これはできるわけですよ、何も突如二年間にしなくても。二年間でなくて、もっと期間をかけることだってできるわけですよ。ですから、まだまだ改善の余地がある。
時間もありませんから少し話を進めますと、今、柳沢団地で建てかえをやっていますね。もしわかれば、一体何世帯ぐらいの
方々が本移転をすることになっているのか。途中経過でしょうけれ
ども、教えてもらえればと思うのです。大体五軒に一軒は本移転だと思うのですが。本移転される方は、それはほかにも事情はあると思いますけれ
ども、大
部分で言えば、結局のところ住み続けることができないからということで長年住みなれた団地を、柳沢団地をそれこそ泣く泣く出ていく
方々だと私は思いますよ。
これは、これからの団地についても全部言えるのです。
先ほど言ったように、とにかく五軒に一軒は六十歳以上の
方々なんですから。例えば
先ほど言ったこの自治協の調査によりますと、久米川団地にしても桜堤にしても府中にしても、全部六十歳以上の方が二〇%以上です。そして、その
方々は現状でさえ家賃負担率が、公団あるいは
建設省の
基準としている一七%以上の負担をしている
方々がそれぞれ四六%とかあるいは五六%とか、つまりもう二軒に一軒は一七%以上の負担をしているのですよ。ですから、これで今度、建てかえになって家賃が値上がりになるということになったら、とにかくほとんど全部の六十歳以上の
方々はこの一七%を超えますよ。事態はそういうことなんですよ。そういう調査結果です。
しかも、厚生年金あるいは国民年金の支給開始年齢だって、厚生年金は六十歳、国民年金は六十五歳でしょう。あるいは、
先ほど住宅局長がおっしゃいましたけれ
ども、各自治体でやっているいろいろな助成措置は六十五歳からですよ。それなのに、公団は七十歳からだというのですね。これは改善の余地があるのじゃありませんか、七十歳というのは。だって、どこにも七十歳なんてことはないのですよ。高齢者は六十五歳なんですよ、私は六十歳からだと思っていますけれ
ども。ですから、こういう点だって改善の余地がある。
それから、特別措置を五年間と言っていますね。ところが、これも
理事、
理事だってもう実際に専門的にやっていらっしゃるでしょうから御存じのとおり、久米川団地のB1の一DKの場合あるいはB2の−DKの場合ですけれ
ども、この五年間の特別措置をとった場合に、あの七年間の七段階減額方式あるいは十年間の七段階減額方式の場合では全く特別措置の
意味をなさないのです。こういう問題があるんですよ、
意味をなさないという問題。
あるいは三つ目に、公団はその特別措置で、
住宅扶助限度額を超えるものについては高齢者の
方々について負担すると言っていますね。ところが、これは
理事、おかしいと思いませんか。
住宅扶助の限度額、今で言うと五万九百円、これを皆さんの方が家賃の適正な負担率としている一七%で割りますと、収入は三百六十万円ですよ。年間三百六十万円の一七%分が五万九百円に相当するんですよ。これじゃね、みんなこれより以下なんだから。
さらにもっと問題なのは、生活保護費が上がっていく。生活保護世帯の
方々は助かりますよ、五万九百円が上がっていけば。それだけ生活保護の家賃の補助が高くなる。ところが、公団に住んでいる高齢者の
方々は逆なんですよ。扶助の限度額が上がっていくことは御自分の負担の金額が上がっていくことになるのですよ。これで特別措置と言えますか。
これが皆さんが今やっている特別措置の実態なんですよ。これでもう全部やり尽くしたというふうなことは言えないと思うのですね。しかし、とにかくそういう問題があるという点について、どうですか、公団の方は御認識なさっていらっしゃらないのですか。