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渡部(一)
分科員 そうおっしゃるだろうと私は思っておるわけでありまして、それには深い敬意を表しているわけですが、私が言おうとするのは、海外において
我が国についての理解の増進を図るため、こういうふうにわざわざワもカもついておるわけです。それでこれは、
我が国の国益を図る、あるいは
我が国の広範な国益を図るというのが頭についてこれらが行われるわけですね。ところが、国益が図れるんだかどうかわからないことこそがまさに国際
協力の中には膨大に出てくるわけです。例えば突然えたいの知れない病気で倒れて死にかかっている子供さんたちがいる、それは
我が国の国益に関するのかどうか一見わかりませんね。ですから、こういうのが実施面では全部外れてくる、こういう文章がついているだけで。私が甚だ残念に思っているのは、前から比べたら前進しております。それは私、何回も言いますけれ
ども、随分よくやっています。すごいです。さすがです。秀才の
大蔵省だと私は褒めています。褒めてはいるけれ
ども、(
橋本国務大臣「嫌みです」と呼ぶ)大臣のおっしゃるとおり、もちろん嫌みであります。けれ
ども、本当にこれではできない、何にもできない。私たちが考えるような国際的な善意の行為というものに関しては、もうほとんどできない。悪評さくさくなのであります。この辺をもうちょっとお考えいただけないか。国際交流基金の場合は、明らかに国際交流という観点から出されるものですから、国際交流基金の
業務は最近非常に広がっておられるようなこともよく
承知しておりますし、運用がますます善意の意味で応用が行われていることもわかっておるのですけれ
ども、これでは少ない。私は国際交流という名称に当たるかどうかについては疑義なしとはしないのであります。したがって、私は
アメリカのことを全部いいと言うわけではありませんけれ
ども、
アメリカの
企業体のこうした問題に対する進出の仕方というものはすさまじいものがあって、こういう変なブレーキはかかってないと申し上げなければならぬと思います。この辺ひとつ改善していただくか、何かのことをしていただかないと、事実上の善意が通らない。そこを御研究いただきたいと私は思うのであります。
もう
一つ、ついでにあわせて申し上げますが、例の財団法人であります。
この財団法人というのは、
企業が財団法人をつくり、その財団法人の形が活動としていろいろな公益性のある仕事をしておるというのは
アメリカでは非常に多く見受けるところでございますが、
日本の財団法人と
アメリカの財団法人とを比べてみますと、法律上の微細な議論は省略させていただきますが、端的に言って、財団法人をつくるときの頭金が
日本の側では多過ぎるのですね。今実際的に一億ぐらい要る。昔は二千万なければだめだといううわさが広がっておりましたが、最近二千万で許可された例はほとんどない。これは巨額な金額です。ですから、素人の、庶民の善意がそういう財団法人をつくり得ないという
状況が各省庁の行政指導の中から浮かんでおる。
それから、その目的がひどく制限されていて、その目的からちょっと外れると、監督官庁が出てくるという
状況がある。これは大臣、
大蔵省の
皆さんの前で訴えている意味ではないけれ
ども、総理府の方がおいでになっておるから、統一的な監督をなさっている総理府の方からお答えいただくといいのではありますけれ
ども、主として監督官庁が厳格過ぎるという
状況がある。だから、例えばエイズの問題に対策を立てている財団があったとすれば、横でコレラが発生しても知らぬ顔、まじっているところへお金を出すと、余計なことをするというふうに一々来る。したがって、目的のところに「その他」という字をたくさんつけておかないとできないという笑い話がある。目的がまた難しい。
それからもう
一つは、今度は財団法人の総数量規制がある。これは行政改革の中に出てこられたので大臣はよく御存じですけれ
ども、ひどい財団法人も確かにあったことは事実ですが、総量規制というやり方でやるために新規に財団法人がつくれない。それで各省庁のうわさを聞けば、
大蔵省が財団法人の数とか前の試験研究法人の数については特別抑制しろと強烈ににらむので、我々としては泣きながら削っているのだというふうな
説明さえ行われているのであります、今度本人を連れてきてしゃべらせてもよろしゅうございますが。この嫌な雰囲気というものは、財団法人の公益性というか行政とある意味で連絡し合いながら町づくり、それから人を助けるといういい意味の面が発揮されないように発揮されないようにコントロールされてしまっておる。
アメリカの場合ですと、私は最近
一つの例を自分の目の前で見たのですけれ
ども、財団法人のつくり方はひどく簡単である、免税
措置はえらい簡単につけてくれる。しかし、
支出その他運用について悪いと、税務査察調査で直ちに法人取り消しということになる。厳格な取り調べが行われます。だから運用に即してやるという面が強く出ている。
ところが、財団法人というのは運用に即してやった方がいい面がありますものですから、当人たちの最初の意思と違う点もありますものですから、これは
アメリカ式の方がすごく庶民の感覚からいって正しいのではないかな。要するに、お役所で完璧に整理して押し出してくるのと違って、個人あるいは法人、団体等の善意がよく生きる制度ではないか、こう思うわけであります。その点を含めて現在のお考えを聞かせていただきたいと思います。