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赤松分科員 御通告を申し上げました三点の
質問につきましては、特に
分科会ということで時間が三十分しかありませんから、きょうは一点に絞って中心的にお尋ねをさせていただきたいと思います。
なお、御通告申し上げた国際
航空運賃の内外価格差問題につきましては、別にお答えをいただこうとは思いませんが、一点だけ申し上げて省略を
するということにさせていただきたいと思います。
昨年七月以降に、FCU建てで運賃等を計算されておったわけですが、これについてはNUC建てに
変更、その結果全体的に実勢レートに近づけるような形になってきた、改善が進んでいる、特にアメリカ、ヨーロッパ方面ではそういうふうに進んでいると承知をしております。しかし、そうはいっても、価格差は縮小された、是正をされたけれ
ども、
日本発について、では果たして価格が下がったのかというと全くそうはなっていないわけですし、また、問題点のもう
一つは、例えばアメリカ行きというようなことを
考えますときに、
日本より遠い香港や台北の方がむしろ
航空運賃は格段に安いというような問題も内包しておるわけでございます。
運賃決定やその仕組みについては改めて別の機会にじっくり時間をかけて問いただしていきたい、こんなことで、この問題についてはきょうのところは省略をさせていただきたいと思います。
あともう一点、九十九里沖の例のレジャーボート転覆事件について、何か「アズマ」という船だと聞いておりますが、この問題についてももし最後に時間があれば
要望だけしておきたいと思います。
それでは、きょうの
集中的な課題として、名古屋−台北間における
日本アジア
航空、キャセイ
航空そして中華
航空三社間における旅客輸送数取り決め協定についてお尋ねをいたしたいと思います。
最近私のところに二、三の人たちからいろいろな投書が参りました。また、個人、
企業含めまして何人かの人たちから電話で苦情が寄せられております。それは何かというと、名古屋から台湾、台北と言った方が正確だと思いますが、台北へ観光や業務で行こうといたしまして予約をするわけですが、その座席の予約がなかなかとれない。特にキャセイ
航空の便はほとんど満席でとれないと聞いている。ところが、運よくたまたまキャセイ
航空に乗ってみたときあるいは乗れたとき、機内を見てみると、場合によっては半分以上空席だ。あるいはもっとひどい場合には、三分の二以上が空席であいている。これはそのときだけ特別の例かと思っていろいろ調べてみたら、いやそうではなくていつもこんな調子だというようなことで、そんなばかなことが一体あるのかということで、真相をぜひ調べてほしいということで、私のところに御意見をいただいておるわけでございます。
私も当初半信半疑で、まあそんなことはその人の思い違いであろうというようなことで思っておりましたが、しかし国民の
皆さん方からの貴重な御意見でございますから調べさせていただきました。ところが、実際に調べてみますと、驚くような事実がだんだんと明らかになってきたわけでございます。
事情や
経過が詳しくわからない
皆さん方もおみえだと思いますので、私
自身が調べました——といいますのは、
運輸省の方にもあらかじめ資料を
お願いをしたのですけれ
ども、ほとんど資料らしい資料は出てこない。
具体的に申し上げますと、例えばキャセイ
航空の昨年一年間のフライトの送客実績を尋ねてみましても、キャセイ
航空は外国
企業だから、その経営
内容については触れたくないなどと理由にもならないへ理屈を言って、一切それらの資料については出さない。この便に何人乗ったかなどということは実際には経営
内容には全く関係ないことでございますし、イミグレーションのEDカードだとかを見て数えればすぐわかることですし、あるいはフライトレポートを見ても本来でしたらすぐわかることなんですが、多分その辺の数は
運輸省としては出したくない、そんなところがあったんだろうと思います。
それはそれとして、私
自身で調べた材料をもとにしてこの問題について御説明をしながら後で
質問をさせていただきたいと思いますが、
日本アジア
航空、台湾へ乗り入れるためのある
意味では、ちょっと語弊があるかもしれませんが、
日本航空のダミー会社と言ってもよいと思いますけれ
ども、この
航空会社は、機材としてはDC10を使っております。週三便、現在のところは木、土、日、この三便、またこれは七月から変わるそうですが、飛んでいると聞いています。総座席数二百七十二席、ファーストクラスはなくて、ビジネスクラス、すなわち個人旅行用に使うと通常言われておる席ですが、これが四十八席、エコノミークラス、主に団体旅行客用ですが、これが二百二十五席となっています。
中華
航空については、例のヨーロッパで開発をしましたエアバス300、このA300を使用しておりまして、同じく週三便、総座席数二百四十二となっています。内訳について同じく申し上げれば、ビジネスクラス二十三、エコノミークラス二百十九という内訳です。
キャセイ
航空は、かのロッキード社のトライスターを使っておりまして、これはデーリーフライト、週七便、すなわち毎日毎日飛んでおるということですが、ちなみに台北からそのまま香港にもその飛行機は飛んでいるということでございます。総座席数は二百八十一席、唯一この三社の中ではファーストクラスがあり、十四席、ビジネスクラス五十三席、エコノミー二百十四席となっております。
さて、これらの便を使って名古屋から台北へ出国した数は、昨年一年間で約八万人、台北から名古屋への帰り便の数値も出ておりますけれ
ども、ほとんど数は変わりませんので、話をわかりやすくするために片道だけの話でしていきます。
そのうち
日本アジア
航空によって昨年台北へ行った人は二万一千七百人、これはいろいろなチャーターとか何かありますが、とにかくその二万一千七百人は何便でそれだけになったのかというと、百九便、平均して一便当たり約二百名が乗っているということが言えます。
それではキャセイ
航空はどうかといえば、約三万三千人、デーリーフライトですから当然
日本アジア
航空よりも多くなるでしょう。とにかく三万三千人程度乗っている。そして便数はといえば、毎日飛んでいるわけですから三百六十五便、一便当たり計算をしますと、約九十名ということになります。しかも三百六十五便すべてを調べてみますと、おかしなことに一便たりとも台北行きの乗客数で百名を超えた便というのはないのです、昨年一年間で。あんな、年末超満員だと言われるとき、ゴールデンウイークだ、夏休みでいっぱい休みがある、こういうときでも、この台北行きについては百名を超えたという実績は一日もない、一便もないということが判明をいたしております。全く不思議な話でございます。
さらに
調査した結果、関係者の証言もいただきましたが、この就航三社で協定をして、何とキャセイ
航空だけは一日に、すなわち一便に旅客を百名以上乗せないという取り決めを、いわゆるやみカルテルと私
どもは思いますけれ
ども、やみカルテルを結んでいるということが判明をしたわけであります。しかもそのキャセイの百名以下の数にはファーストの客、ビジネスクラスの客も入るわけですから、実際にはほとんど団体旅行用のエコノミークラスの座席というのは各旅行代理店は確保することが難しい、できないということになるわけでありますのですから、私が冒頭申し上げました投書や電話のとおり、いつもキャセイ便については予約は満席、実際の席はがらがらということになるわけであります。
座席の三分の一でキャセイ
航空も毎日飛行機を飛ばしているんですから、極端な言い方ですが、これで採算が合う、素人の私たちには驚くばかりでありますけれ
ども、それよりもきょうの論題はこのやみカルテル問題でありますから、この三社がやみカルテルを結んで、乗りたい客を堂々と断って、締め出しておいて、がらがらで飛ばしているということを実は認めている監督官庁も全くでたらめな行政が行われていると言わざるを得ないわけであります。フラッグキャリアであります
日本航空イコールダミー会社である
日本アジア
航空の権益を確保するためとはいえ、公正な競争
条件を前提として
考える、あるいはコモンキャリア、
公共輸送人というふうに訳しておられるようでありますが、このコモンキャリアとしての輸送拒絶の禁止条項、これに照らし合わせても極めて問題のある現況だと言わざるを得ないわけでございます。
そこでまず最初に、
公正取引委員会、きょうは審査部の鈴木
審査長さんが来ていただいておるようでありますから鈴木さんにお尋ねをしたいと思うのですが、公正な競争
条件の確保、消費者、
利用者利益の十分な尊重、こういう建前から、これらの現況についてどのような認識、
判断をされておるのか、お伺いをしたいと思います。私が述べたとおりであるとすれば独禁法違反ではないのか、やみカルテルではないのか、その疑いは十分あると思うが、見解をまず最初に求めたいと思います。