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1990-04-27 第118回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月二十七日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 左藤  恵君       伊吹 文明君    原田昇左右君       赤松 広隆君    網岡  雄君       有川 清次君    加藤 繁秋君       小岩井 清君    嶋崎  譲君       新盛 辰雄君    寺前  巖君       三浦  久君    兼務 佐藤 敬治君 兼務 遠藤 乙彦君    兼務 倉田 栄喜君 兼務 柳田  稔君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大野  明君  出席政府委員         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房会          計課長     岩田 貞男君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策          局長      中村  徹君         運輸省国際運         輸・観光局長  宮本 春樹君         運輸省地域交通          局長      早川  章君         運輸省海上技術         安全局長    石井 和也君         運輸省港湾局長 御巫 清泰君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         海上保安庁次長 野尻  豊君         気象庁長官   立平 良三君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    鈴木  満君         大蔵省主計局主         計官      堀田 隆夫君         厚生省児童家庭         局障害福祉課長 吉武 民樹君         自治省財政局地         方債課長    湊  和夫君         運輸委員会調査          室長      長岡日出雄君         予算委員会調査          室長      多田 俊幸君     ───────────── 分科員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     有川 清次君   新盛 辰雄君     小岩井 清君   三浦  久君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   有川 清次君     嶋崎  譲君   小岩井 清君     網岡  雄君   藤田 スミ君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   網岡  雄君     赤松 広隆君   寺前  巖君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   赤松 広隆君     加藤 繁秋君   木島日出夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   加藤 繁秋君     新盛 辰雄君   寺前  巖君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   木島日出夫君     三浦  久君 同日  第二分科員倉田栄喜君、柳田稔君、第三分科員  佐藤敬治君及び第六分科員遠藤乙彦君が本分科  兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算及び平成年度政府関係機関予算運輸省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  3. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 第六次空港五カ年計画、これはどういうスケジュールで行われるか、お答えを願います。
  4. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま私どもが進めております五カ年計画は第五次でございまして、本年度平成年度最終年度でございます。したがいまして、第六次の五カ年計画は来年度平成年度から五年間ということになるわけでございますが、今その六次の計画に向けまして先月航空審議会を開いていただきまして、運輸大臣から今後の空港整備とか航空保安施設整備の問題につきまして、その基本的方針を諮問いたしたところでございます。  それで、まずは今後の日程といたしましては、ことしの八月に中間的な取りまとめをしていただくようお願いをするつもりでございます。それで航空審議会の方は、それから来年の秋ぐらいの段階最終答申をいただくということになるかと思いますが、私ども政府の方は今の中間取りまとめを受けまして、概算要求時点でございますので、六次の五カ年計画のことにつきましての要求財政当局にいたす予定になると思います。それで、それを受けまして、来年の春に事業規模全体につきましての閣議了解、今までの五カ年計画やり方の例に倣いますと、閣議了解を春に、それから来年の秋以降にその五カ年の具体的な計画内容閣議決定、こんなことが今後予想されるスケジュールでございます。
  5. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 そうすると、予算要求をするのは、八月の中間答申が終わった後で概算要求をするわけですか。
  6. 丹羽晟

    丹羽政府委員 そのとおりでございます。
  7. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 そうすると、そこのところで大体はどういうふうにするのか、中間答申とはいうけれども予算要求するためにかなり具体的な結論が出てくるわけですね。
  8. 丹羽晟

    丹羽政府委員 これも今までの五カ年計画やり方の例でございますけれども、ことしの八月の中間的な取りまとめを受けました後の概算要求は、五カ年計画全体はこのくらいの事業規模でやりたいということ、それから中間取りまとめの中 で出てまいります問題としましては、大きなプロジェクトの問題、今現在やっておりますのは、例えば三大プロジェクト成田羽田関西というのがございますが、そういうものにつきましてはある程度具体的な内容、それと地方空港につきまして、つまりその他の空港につきまして、その基本的な考え方審議会の方は取りまとめをいただき、私どもの方はその全体の計画事業規模、それから五カ年を計画的にやっていきたいということの内容財政当局の方に要求する、こういうことになるかと思います。
  9. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 そうすると、八月の中間報告段階では、三大空港と言われる成田だとか関西空港だとか、そういうところは具体的に決まるけれども、その他の地方空港みたいなのはそれから後に決まってくるということですか。
  10. 丹羽晟

    丹羽政府委員 航空審議会の方は地方、つまりその他空港につきましての方針をずっと出していただく形になっていくのではないかと思います。私どもがその中間取りまとめなり御客中をいただいて、それを今度は具体的にその五カ年計画内容を、各空港別内容を策定していくという形になっていくのではないかと思っております。
  11. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 平成三年の秋か冬ごろに最終報告が出てくる。しかし、実際に第六次の五カ年計画平成年度から始まるわけですね。そうすると、三年度予算を組むのは、中間報告があったころはちょうど政府概算要求のころですね。それに合わせてあるから、実際には中間報告が、もう平成年度、具体的に予算を獲得するところの基礎になる報告になるのでしょう。そうじゃないですか。
  12. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ことしの中間取りまとめ段階では、一般空港は例えば飛行機の大型化に対応して基本施設、例えば滑走路を延長するとか、そういう方向でやるべきであるとか、そういう形の御方針をいただくことになるのではないかと思います。それで今度は単年度概算要求平成年度概算要求自身は全体の五カ年と切り離した形で、もちろん基本的な考え方はその方針に沿った形の中で来年度どのように考えていくかということを要求してまいるということになるかと思います。
  13. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 そうすると、中間報告になって予算が決まっても、その五カ年計画はその後から決まるから内客の変更があり得るということですか。
  14. 丹羽晟

    丹羽政府委員 内容変更があり得るということよりも、もともと基本的な考え方の線に沿って要求いたしたいと思っておりますものですから、五カ年計画の基本的な考え方の中の一環としての要求になると思っております。
  15. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 大臣にお聞きいたします。この間から予算委員会総括あるいは一般質問で土地問題が非常に大きな問題になっているわけですね。宅地並み課税だとか遊休地課税だとか、あるいは企業含み資産を持って膨大な借金をして、その借金でもってあちこち買いまくっている、いろいろな批判の的になっておるわけです。それで、その問題を解決することが今国政の非常に大きな問題になっております。私は予算委員会で何回も質問をいたしましたけれども、例えば東京二十三区の中に約二千ヘクタール弱の農地がある、それを今全部つぶして、そして住宅を建てろという声がある。しかし私はそれには反対でありまして、みんなつぶせばつぶすほど人口東京に集まってきて、ますます地価が高くなる、そして貴重な空地が失われていく、こう思っておるのですけれども、この一極集中排除、これが今非常に大きな問題になっておるわけです。この国土計画の中で運輸省が占める地位、比重というのは非常に大きい。というのは、人口も移動することを担っておるのは運輸省であります。したがって、これから一極集中を排除するためには運輸省なり建設省なり、そういうところが非常に大きな役割を担っている、こう私は思っております。  今、日本じゅう交通整備高速化が非常に言われております。しかし、その高速交通体系の中で非常に大きな部分で欠落したところがあります。ところが、そこのところには幾らたっても計画はあるけれども道路は来ない、こういう状態が行われております。それで、その道路をつくろうとすると、何カ年計画だ、十カ年計画だといって、結局もう十年も待たなければ自分付近道路が通らないというような、そういう高速欠落地があちこちにあります。そこのところが今コミューター航空であるとか、道路が何ぼしてもできないものだから、一番手っ取り早いのは空港だ、こういうのでいろいろな空港計画をあちこちでやっていますね。一番近いのはコミューターで、四カ所ばかりとかやって、ことしも十六億くらい予算がつくようですけれども、そのほかに今地方空港をいろいろ計画しておるところがあるのです。これはやはり今の高速交通時代に乗りおくれてしまって何ともならない、それを救う方法としてこの地方空港が今盛んに言われておるわけです。  一極集中排除、それから多極分散一つの基盤になるためにも、今地方が非常に焦って何とかしたいという形でもって地方空港という問題が非常に出てきている。そういう意味で、田舎に突然地方空港をつくるのはおかしいじゃないか、私も初めそう思いましたけれども、いろいろあれしてみますと、非常に地方が乗りおくれて取り残されてしまって何ともならない、道路をつくってくれと言えば道路もできない、何にもできないので、そういう形でもってこれを救う一つの窮余の一策として、何とかしてこの空港にひとつすがりついて自分たちのところでやろう、こういう一つのあらわれが地方空港の問題としてあちこちに出てきている、こう思います。  私が住んでおります秋田県の北のあたり一つのそういうあれがありまして、高速道路をつくるといっていろいろやってみましたけれども計画はあるけれどもそれが来るには十年か十五年ぐらいかかるのですね。とてもそんなに待っておられない、そういうので今地方空港を一生懸命何とかしようと思ってやっておるわけですが、これはあちこちにあると思うのです。今コミューター以外の地方空港を何とかしよう、つくろうとしておる地域は大体どのぐらいありますか。具体的にちょっとわかったら教えていただきたい。
  16. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま資料がちょっと手元にないものですから、至急今探します。
  17. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 私は、ぜひひとつ考えていただきたいのは、中央空港、非常に大事です。幾ら地方空港をつくっても着陸するところがないと何もなりませんから、羽田でも成田でもあるいは関西空港でもいろいろな中央空港は非常に必要ですが、やはり一つの車の両輪として田舎地方にも空港をつくって、そしてなるべく東京に、中央に速く来るような方針を、一極集中排除、多極分散という意味でぜひひとつ大臣にお考えいただきたいと思うのです。  私の選挙区である大館能代空港というので今盛んに運輸省お願いをしているのですけれども、こういう一つの典型的な例として私は今申し上げるのですが、秋田空港というのがあるのです。私は青森県の県境のあたり大館というところにいるのですが、どんなに急いでも秋田空港に四時間かかるのです。それから、秋田市という県都のあるところにどんなに早くても特急で行って一時間四十分、それが一日に二本しかない、もう何ともならない状態で、十分間の会議に一日かかって行かなければいけないというようなそういう場所がこの高速時代にあるのですね。そういうところは恐らくあちこちにあると思うのです。取り残された区域、しかもそれが広大な区域でますますどんどん過疎化していく、こういう地域であります。  ところが、よくできたもので、最近はその付近に、土地がないものだから、安いものだからもう何十という工場がどんどん集中して出てきている。秋田県の中ではテクノポリスをつくっているのですが、今やそのテクノポリスを除けば第二番目ぐらいに工場集中してきているのですけれども、今言いましたように交通がまことに不便で、 工場経営者たちから何とかして空港をつくってくれという大きな要望が出てきております。大体三十万人ぐらいの人間がおりまして、ここに空港をつくることによって日本最大過疎地を、何とか最悪の状態から抜け出したい、こういうので非常に熱烈な動きを合しておるわけです。阿仁。田沢リゾート地域が策定される、あるいは安比と同じような大きなスキー場ができる、そういうふうな意味サービス産業としても非常に大きく展開してきているので、この際大館能代空港を実現したいというのでやっておるのです。第六次の五カ年計画にぜひのせていただきたい、こういうのであえて今お願いをしておるわけでございますが、この内容につきましてどうお考えなのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  18. 丹羽晟

    丹羽政府委員 まず、先ほどコミューター空港以外の地方空港のことにつきましてお答え申し上げます。  現在供用しております空港が八十一空港ございますが、そのうちいわゆる第一種空港という大きな空港とそれからコミューター空港を除きますと六十九空港現在ございます。それで、今建設中の第三種空港という形のものが五カ所ございますが、そのほかにコミューター空港は四カ所、これが今建設中でございます。なお、今度の第六次空港整備五カ年計画に向けましてその他の箇所からも空港建設につきましての要望があるということは承っております。  それから、ただいまの御質問秋田の、いわゆる県北空港と私ども申し上げております。その空港の問題につきましては、今新しく六次空整に向けて要望のあるという空港の中の一つでございます。地元からのお話は私どもの方のところにも届いておりますけれども、これは先ほど一番最初の先生の御質問にお答え申し上げました航空審議会議論を今やっている中で地方空港をどんな考え方で取り扱っていくかという御議論をいただくことを予定しております。その方針をちょうだいいたしましてから私どもの方は具体的な五カ年計画の中にどのように対応していくかという、そういう取り扱いをしたいと思っておりますので、現在のところはちょっとそれ以上の具体的なことを申し上げる段階ではございません。
  19. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 さっきお聞きしました大館能代空港もそうですが、これに類したようなコミューターでない第三種空港の、今盛んに申請というか運動とかそういうような要望されている箇所はまだどのくらいありますか。
  20. 丹羽晟

    丹羽政府委員 離島とか何かいろいろございますものですから、今ちょっと正確に申し上げにくいのですが、五、六カ所はいわゆる第三種空港というような感じでお考えになっている地点があると思います。
  21. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 そうすると、その今要望されているいろいろな地域のものはこの第六次の審議会の中でいろいろ検討されているわけですか。
  22. 丹羽晟

    丹羽政府委員 そのとおりでございます。
  23. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 大臣に御要望いたしますけれども先ほども申し上げましたけれども一極集中排除、多極分散、これが非常に大きな命題になりまして、極端な話をすると首都を移転しろとまで言われるくらい重大な問題になっておるわけです。その多極分散一極集中排除の中でこの地方空港の占める位置というのも、かなり大きな、重要な意味を持っていると思います。したがって、中央の大空港整備も非常に大事ですけれども、今言いましたように国土計画上の人口分散という、産業分散という意味でも非常に大きな意味を持っておりますので、第六次空港整備計画の中にこの地方空港ということも十分念頭に入れてぜひひとつお考えいただきたい。  その中で、要望いたしますけれども先ほども申し上げましたようにこれにかける熱が非常に高い、しかも今どんどん誘致企業が来ている、その中で一番不便を感じるのは、やはり交通問題が一番大きな問題になっております。そういう意味で、両々相まちまして、どうかひとつ第六次空港五カ年計画の中にぜひともこの地方空港というものを念頭に入れて計画を立てていただきたい。大臣からひとつ御所信のほどをお願いいたします。
  24. 大野明

    大野国務大臣 先ほどお話を承っておって、東京現状、その他の大都会の現状を見ておっても、一極集中でなく多極分散というのは本当に早急な課題だと思います。  そこで、いずれにしてもそのためには、目まぐるしい時代ですから、時間を金で買うというと言い回しはおかしいのですけれども本当にそんなような感じで、高速交通体系というものの確立は空といわず陸といわずみんな望まれておるところですからやらなければなりません。ただ飛行場という場合は、いろいろ気象条件であるとか航空管制空域の問題であるとか地上とはまた違う部分でのいろいろな調査も十分しなければなりませんが、しかし県北空港については非常に御熱心であるということは私も十分承知いたしております。ただ、その場合に中央で物を考えると、果たして成り立つだろうかという危惧の方が先立つ方が多いわけです。しかし政治の面からいけば、きょう私は厚生大臣臨時代理をやることになったのですが、日本医学というのは風邪を引いてから医者へ行って注射を打ってもらうし、アメリカあたり医学予防医学の方が発達している、やはりそういう意味でも事前にやるという気概を持ちませんと結局後手後手になるのではないか。ただ一方において、先ほども御指摘ございましたけれども、現況の日本考えますと、まだ地方空港ができても中央の例えば東京とか大阪とかへ乗り入れなければ採算ベースも合わないとかいろいろな条件もございますけれども、それを乗り越えて、一つの県に二つあろうと三つあろうといいわけですから、私はそういう気構えで、六整に入れられるかどうかというのは、先ほど局長答弁で今審議会の最中ですからそれを乗り越えて言うのはいかがかと思いますけれども先生気持ち、また地元皆さん方のお気持ちを体して私も取り組んでいきたいと考えております。
  25. 佐藤敬治

    佐藤敬治分科員 よろしくお願いいたします。終わります。
  26. 左藤恵

    左藤主査 これにて佐藤敬治君の質疑は終了いたしました。  次に、倉田栄喜君。
  27. 倉田栄喜

    倉田分科員 私は、まず精薄者及び難病者運賃割引の点についてお伺いをいたしたいと思います。既にこの問題は相当な議論もなされておるようでございますし、また昨日は我が党の日笠委員の方からも一般質疑の中で質問がされておりますので何回も重ねて大変恐縮ではございますけれども、私自身の方にもこういう方々の御家族の方から非常に強い要望が来ておりますので、大変恐縮ではございますけれどももう一度質問をさせていただきたいと思います。  身体障害者運賃割引制度については、障害者自立を促し、社会への完全参加を実現するための援護対策一つとして身体障害者に対して旅客運賃等割引制度が現在適用されております。平成二年二月からは、関係各省また各担当大臣の御努力によって内部障害者にも適用されることになっており、障害者生活福祉の向上に大きく前進をしたということは大変な前進であり、喜ばしいことであります。  しかし、このように一つ一つ制度がよくなるにつれてそれに取り残された方々、現在においては精薄者難病者方々が取り残されておるわけですけれども、その御家族方々不公平感はいや増していくわけではなかろうかと思います。そういう意味で、精神薄弱者難病者についてもその障害の克服に努め、社会自立を目標として努力をされておられるわけであります。今日、生活圏行動範囲を拡大し、各種の交通機関を利用する機会も非常に多くなっております。したがって、せっかく内部障害者皆さんに適用されることになったわけでありますから、精神薄弱者方々難病者方々にもぜひ適用されることをお願いしたいわけでありますが、この点につきましてまず運輸省に、現在この身体障害者に関する割引制度概要をお聞きしたいと思います。また大臣に、 今までさまざまな経過があると思いますので、その経過を踏まえた上でこの問題に関して大臣の御所見をお伺いできればと思っております。
  28. 中村徹

    中村(徹)政府委員 ただいま御質問のございました身体障害者に対する運賃割引制度概要でございますが、これは昭和二十四年に身体障害者福祉法が成立いたしまして、その附則で国有鉄道運賃法運賃割引制度規定が追加されたのを受けて昭和二十五年から国鉄により実施されまして、これに倣いほぼ同時期に民鉄各社乗り合いバスが導入したわけでございます。また、航空につきましても昭和四十九年に割引制度を設けてきているわけでございます。  その後、昭和六十二年に国鉄の分割・民営化に伴いまして国有鉄道運賃法が廃止され、それと同時に、同法によります運賃割引制度規定は削除されたわけでございます。また、当時国鉄再建監理委員会答申の中で、何ら所要の措置がない場合に一定の政策事由に基づく割引等を「旅客鉄道会社に対し現在の私鉄を上回って当該会社負担による運賃割引を求めることは適当でない。」という答申も出ているわけでございます。したがいまして、現在におきましてはそういう過去の経緯を踏まえまして、事業者がそれぞれ自主的な判断によって、いわばその当該交通機関を利用する他の利用者負担によってこういう制度が続けられている状況になっているわけでございます。  運輸省といたしましては、基本的にはこういう割引制度というのは他の利用者負担によって賄うという現在のやり方考え方は適当ではない、やはり社会福祉政策公共的政策の遂行のための費用というのは全般的に解決されるべきものだと思っておるわけでございます。しかし過去の、身体障害者福祉法昭和四十二年に内部障害者というものも対象になったという経緯を踏まえまして、本年二月から内部障害者に対して運賃割引制度を適用する。これは事業者自主的判断によって実施してきているものでございますが、そういったことにいたしたわけでございます。それが概要になっているわけでございます。
  29. 倉田栄喜

    倉田分科員 大臣に、この問題について経過を踏まえて現在のお考えをお伺いできればと思っております。
  30. 大野明

    大野国務大臣 私は、議員生活のうち三分の二ぐらいは社会労働委員会に属しておりまして、社労の委員長もやりというようなことで、福祉政策、なかんずく精薄者の皆様方、また関係者の方々の御苦労は十分承知いたしております。そういうようなことを考えますと、今局長からるる経緯等についても御答弁申し上げましたけれども、私はただ運賃割引制度というような、これも大切なことでありますけれども、ただそれだけでなくもっと広い意味で、社会の中でどうあるべきかを考えてさしあげることが一番大切なことであり、それが福祉の要諦だと思っていますから、ひとつこれはやはり政府社会福祉の枠組みというか一環として位置づけて、そうしてその中でもってこうあるべきじゃないか、こういうもっと大きな見地から考えていきたいと考えておりますので、ひとつ私どもも、できる限りのことはする所存でございますが、なかなかそういう大きな福祉政策の中ですから大変な努力は要りますけれども、頑張ってみたいと思っております。
  31. 倉田栄喜

    倉田分科員 私も、この問題を実現するためには確かにいろいろな問題があろうということは既に十分承知をいたしておりますけれども一つ一つ制度が充実をされる方向で拡充拡大をしてきているわけでございますので、ひとつぜひとも運輸大臣には前向きに前向きを重ねるような努力で実現を目指して御検討願えればと思います。  そこで、この問題につきまして厚生省の方にお伺いをしてみたいと思います。  運輸省の方といたしましてはなかなか、利用者負担ということもあるし、またそれぞれ各企業負担で賄われている部分が大きい、社会福祉政策の大きな枠の中で考えていくべきではないか、このような御答弁があったわけですけれども、これを精薄者あるいは難病者まで適用を拡大した場合、大体どのくらいの予算措置が必要なのか。また、その前提として、厚生省としてはこの問題にどのような姿勢でおられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  32. 吉武民樹

    ○吉武説明員 まず、私ども児童家庭局におきまして心身障害児者の福祉サービスを担当させていただいておりますけれども、ことし二月から、JR各社あるいは運輸運行当局の御高配によりまして、障害児のうちの内部障害を持っております障害児につきましても運賃割引が適用されるということで、この点につきまして私ども、心から敬意を表したいというふうに思います。  先生お尋ねの点でございますが、私どもといたしましては、運賃割引の問題につきましては、基本的には、公共交通機関の運営に責任を有しておられます部局におきまして利用者負担状況あるいは事業者の経営状況等も勘案されまして、総合的に判断される性質のものであるというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、私どもからも、こういう状況を踏まえまして今後関係当局と十分御相談をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、お尋ねの費用の点でございますが、これは何分にも私ども実際に公共交通運賃につきまして直接所掌しておりませんので、残念ながら今のところ、その費用につきまして計算をいたすことがまだできないでおります。  以上でございます。
  33. 中村徹

    中村(徹)政府委員 適用範囲を精神薄弱者と難病患者に拡大した場合の数字というのは、私どもにおきましてもなかなか計算しにくいものでございますが、相当大胆にいろいろな前提を立てて考えまして、減収見込み額、JRと民鉄と航空と合わせて約二十億円程度ではないかというふうに見込まれております。ただ、社会的な弱者と申しましょうか、我々は交通弱者というように申しておるわけでございますが、そういった方々の一体どこまでが割引制度の対象になるのかということについてはいろいろ御議論があるところだと思いますので、そういった意味で二十億円だからいいというふうにはなかなかまいらないのではないかというふうに考えております。
  34. 倉田栄喜

    倉田分科員 既に各地方自治体においてはそれぞれの条例等の中で精薄者等に対する運賃割引制度も実施されているところが多々ございます。ただ、地方自治体だけに問題の解決を任せておきますと、いわゆる行政区域内を飛び越えた場合、非常に問題が出てくる、かえってより問題を複雑化するということもあろうかと思いますし、ここはぜひひとつ国という範囲で解決を図っていくべき問題ではなかろうかな、こういうふうに考えております。  そこで、大蔵省にお伺いをいたしたいと思いますけれども、いわゆる内部障害者に対しては制度の適用が御努力によってなされました。大変ありがたいことだと思っております。この精薄者等に対する制度の拡充について、運輸省、厚生省、それぞれ担当各省から要望等々ありますでしょうか、また、その点について大蔵省はどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  35. 堀田隆夫

    ○堀田説明員 最初のお尋ねでございますけれども、身障者に対する運賃割引制度の対象の拡大について、運輸省なり厚生省から具体的にそういう要望を伺ったということは今のところございません。  それから、本件につきましての大蔵省の態度でございますけれども先ほど運輸省からも御説明ございましたいろいろな経緯があった問題でございます。今の時点では民間のJRその他の事業者の自主的な判断によりましてその負担において実施されている、それはまたひいては利用者負担ということにもなってくるわけでございますけれども、そういう形の制度でございますので、今の制度の延長線上でその対象を拡大するかどうかという問題につきましては、基本的に私ども財政当局が関与すべき性格の問題ではないのじゃないかと考えております。  ただ、先ほどちょっと先生もおっしゃいました が、お言葉が出ましたけれども予算措置を講ずるというようなお話がございました。そうなりますともちろん私どもの問題になってまいりますけれども、今その問題について申し上げますと、先ほど申し上げましたように今の制度事業者負担さらには利用者負担において行われておるという、根っこの制度利用者負担事業者負担になっておるという問題がございます。それとのバランスをどう考えるかという問題がございますし、さらには、一般的な社会保障の諸施策との関連をどう考えるかという問題もありますので、今の時点でそういう形で新たに財政措置を導入するということについては、よほど慎重に考えなければいかぬのじゃないかと思っておるところでございます。
  36. 倉田栄喜

    倉田分科員 ただいま御答弁を承りまして、まだ具体的にこの問題についての財政面における要求はないということでございますので、これはひとつぜひとも運輸省、厚生省、御努力をいただきまして、何とか実現の方向で検討していただくとともに、最後のネックの部分になると思うのは、確かに二十億円という、先ほど概算の数字が出ましたけれども、この二十億円という数字がどんな金額なのかまだよくわからないわけですけれども、財政の問題はやはり最終的なネックの問題になろうかと思いますので、きちんと要望ができる程度までにはまとめてあるいは調査検討をしていただきたい、そしていつか実現できるものにしていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  続きまして、多少長期的な問題になって恐縮でございますけれども、熊本空港の二十四時間の運用体制についてお伺いをいたしたいと思います。  現在、空港は各地に存在しておりますけれども、いわゆる国際化と言われる時代の中において二十四時間体制で空港の運用体制というのが考えられているというところがどの辺にあるのかどうか、これとの関係でもありましょうけれども、熊本空港というのはいわゆる将来的、アジアの中における九州、この九州の中における熊本、その地理的位置から考えても非常に重要な位置を占めているのではないのかな、こういうふうに思っております。そこで、その熊本空港の二十四時間運用体制についての運輸省の御所見をお伺いをいたしたいというふうに思っております。
  37. 丹羽晟

    丹羽政府委員 熊本空港の運用時間はただいま十三時間でございますけれども空港の運用時間の延長は、もう先生よく御存じのとおり、単に時間を延長するということにとどまらないで、そのための要員の問題とかいう話が中心に、まずは私どももそうでございますし、関係のエアラインの方もそうなりますし、またそれに伴う経費の問題もございます。そういうことがございますものですから、右から左になかなか簡単にはいかない問題となっておりまして、それの運用時間を検討するに当たりましては、やはり輸送需要とか利便性の向上効果とか、そういったようなことを総合的に勘案しながら対処してきているところでございます。こういう点から申し上げますと、現状では熊本空港につきましての運用時間の十三時間をさらに延長するという、そういう問題につきましては、相当難しい問題ではないかと考えております。  なお、現在二十四時間運用ということになっている空港は、新千歳、新東京国際、成田でございますが、それから東京国際、名古屋、大阪国際、福岡、那覇、こういうことでございますが、このうち実際二十四時間にできるかどうかという問題につきましては、空港の騒音の問題とか、そういうこともございまして、現実の運用としては二十四時間になっていない空港もございます。とりあえずそういうことでございます。
  38. 倉田栄喜

    倉田分科員 私、お話を伺いまして、確かにいろいろ難しい問題があるということは承知をしたわけですけれども、ひとつこれも将来を見据えた上で御検討を願いたい、こういうふうに思っております。  あわせて、熊本空港について、これはいろいろな空港でも問題になっておるわけでございましょうけれども、いわゆる就航率の問題でございます。熊本空港は特に霧による障害で、特に梅雨期については非常に就航率が落ちまして欠航が多くなっております。いろいろな重要な問題を抱えて、これを利用される方にとっては非常に大きな問題であろうと思いますし、また一方では安全性の面でそんなに簡単にはいかない問題であろうということもわかるわけでございますけれども、いわゆる就航率の改善、霧対策、その設備等々について運輸省としての御見解をお伺いしたいと思います。
  39. 丹羽晟

    丹羽政府委員 熊本空港の就航率の問題でございますが、今私どもの把握しておりますデータですと、六十一年、年間平均しまして九七・七%、六十二年が九八・二%、六十三年が九七・九%ということで、この辺をほかの空港の就航率の実績と比較いたしますと、同じ九州では、福岡が九八・二、これは六十二年度でございますが、長崎が九七・二、大分九九・五、宮崎九八・六、鹿児島九七・五、こういったような感じでございます。具体的に今のは年間平均のことでございますので、月当たりでは今申し上げた平均よりも下がっているといいましょうか就航率の悪い、そういう月も当然ございます。  それで、その熊本空港に関しましては、一番の原因は霧の発生問題でございまして、春から夏にかけての欠航率が高くなる、こういうことでございますが、この対策の検討のために今地元の熊本県が六十一年度からその要因の把握それから気象観測、そういったような調査を行っております。それから、私ども国の方におきましても、六十三年度から霧の発生メカニズムなどの調査を行っているところでございますけれども、これは自然が相手なものですからなかなか計算どおりにいかないというところがいろいろございまして、ひとり私ども日本だけではございませんで、国際的にもなかなかこれだという決め手を発見した国というのは今までのところほとんどございません。ただいま申し上げた調査は、基礎的な調査の域をまだ出てないわけでございますけれども、これからもその調査を進めていって、できるだけ有効な対策を見つけてまいりたいと考えております。
  40. 倉田栄喜

    倉田分科員 続きまして、先ほどもちょっと質問が出ておりましたけれども、いわゆるコミューター空港に関連をいたしまして、天草空港整備事業の点についてお伺いいたしたいと思います。  コミューター空港、これを設置する場合の手続、それから法的位置づけ、さらに現在天草空港整備事業についてはどのような段階になるのかということをまず一点お伺いをしたい。  それから続けて、この問題については運輸省財政当局は、いわゆる地元等々からいろいろな財政的裏づけの要望があるだろうと思いますけれども、この点について、現在財政的措置についてどのような対応策になっているのかお伺いをしたいと思います。  さらに続けて、九州新幹線鹿児島ルートの問題がございますけれども、この着工見通し、及び難工事箇所という部分が熊本県内にも幾つかあるわけですけれども、この難工事箇所の着工見通し、あわせてまたこれが実現した場合、いわゆる新駅の実現、新駅への期待も相当あるわけでありますけれども、この辺の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  41. 丹羽晟

    丹羽政府委員 コミューター空港の天草の飛行場の関係でございますけれどもコミューター空港は近距離間の旅客輸送の用に供するために整備される飛行場でございますけれども、設置者は、その整備に当たりまして、まず航空法に基づきます運輸大臣の許可を受ける必要がございます。天草飛行場につきましては、熊本県がコミューター空港として整備する、そういう考え方を持っておりまして、現在県で運輸大臣に許可申請を行うべく準備中というふうに伺っております。
  42. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 九州新幹線を初めとします整備新幹線につきましては、昨年一月に決定いた しました基本スキームに従って着実に整備していきたいと思っております。  九州新幹線のルートのうち、熊本県内の第二今泉トンネルにつきましては、平成年度予算において一・五億円のトンネル技術調査費を計上しているところであり、予算成立後速やかに着手したいと考えております。  また、熊本県内の新駅につきまして、新玉名駅の設置を地元から要望をされているところでございますが、これにつきましては、今後の整備の進捗に応じて検討していきたいと考えております。
  43. 湊和夫

    ○湊説明員 コミューター空港整備についてでございますが、この整備に関しましては、基本的には国費による十分な財源措置を含めた法的位置づけが必要であると考えておりますが、現在、NTT資金を活用いたしまして事業費の十分の四は無利子貸し付けが行われておりまして、残りの地方負担につきましては、一般単独事業債を活用した地方債措置を講ずることといたしております。  なお、天草のコミューター空港整備に関連いたしましては現在まだ設計の段階等であるというふうにお聞きいたしておりまして、具体的な地方債の要望等は、これから事業の進捗等に合わせて御相談があろうかというふうに思っております。
  44. 倉田栄喜

    倉田分科員 これらの問題はいずれも強い要望があることだと思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、いわゆる列車黄害、し尿対策の問題でございますけれども、JR九州管内においてはまだ開放式トイレつき列車が非常に多く運用されております。この問題の発端は非常に古く、その解決は相当前から論議をされて、本来ならばもう既に解決をされておらなければならない問題かと思いますが、いまだに現状は全面的な解決に至っておりません。この点について運輸省の御見解をお聞きしておきたい。また解決の見通しについて、大体どのくらいまでに解決できるのか御所見をお伺いをしたいと思います。
  45. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 JR九州におきましては、現在、トイレつき車両約千百三十両のうち、いわゆる開放式トイレを備えた車両が五百七十両と半数を占めているところでございます。車両を更新するときにつきましては、新規車両は便所を設置するときにはタンク式を備えなければならないと定められておりますので、車両更新のときにタンク式にする、また既存の車両については車両改造を行うということで、JR九州も経営が非常に厳しい状況で設備投資も思うに任せませんが、そういう中で重点的にこのトイレの改造につきましては指導していきたいと考えております。
  46. 倉田栄喜

    倉田分科員 JR各社においてはいわゆる豪華車両をつくってみたり、こういうふうに表向き見えるところには非常に力を入れているように思えるわけでございます。しかし、長年抱えているそういう問題を一つ一つ解決をしていくことがいわゆる利用者の信頼にこたえていく道であろうかと思いますので、ひとつこの点もぜひ力を入れていただきたいと思います。  ちょっと時間が参ってしまいましたので、最後に二点だけお伺いをしておきたいと思います。  オレンジカード、いわゆるプリペイドカードの中でJR各社が発行しておりますオレンジカードの件でございますけれども、このオレンジカードについて、現在は五千円未満のオレンジカードについてはいわゆるプレミアムがついておらないわけでございます。テレホンカード等々については千円からかなりプレミアムがついております。この点について言えば、やはりこれも利用者の観点から考えるならばつけてしかるべきではないかと思いますし、また、この種のカードは発行しても使われていない未使用カードがかなり多くあるだろうと思いますし、この点から考えても、当然その利益というのは利用者に還元されてしかるべきであろうかと思いますので、ついていない部分について、五千円未満についても何とかつけるようにならないものかどうか。この点について運輸省はどのようにお考えなのか。  それから、問題が異なりまして恐縮でございますが、いわゆる通勤地獄という言葉が象徴いたしますように首都圏の通勤時の混雑は大変なものでございます。路線あるいは便数の関係上いろいろな問題がございましょうけれども、いわゆる二階建て車両を考えるあるいは考えて走らせてみるというのも混雑緩和のためには非常に大きな効果を発揮するのではなかろうかと思いますので、この点については運輸省としてはどのような御見解なのか、お伺いをしたいと思っております。
  47. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 JRのオレンジカードのプレミアムにつきましては、高額のカードは低額のカードに比べまして事務処理上の合理化効果が大きゅうございますし、一般的に引きかえの期間が長くて前受けによる資金運用のメリットが大きいと考えられることからプレミアムがつけられておりますが、低額のカード、五百円、千円、三千円につきましてはこのような理由が乏しくて、カードの製造コスト等を考慮しましてプレミアムをつけていないところでございますが、今後低額のカードについてももっと普及して利用者メリットが出てくれば、先生御指摘の点も検討したいと思います。  また、二階建て車両につきましては、現在JR東日本において東海道本線、総武本線等のグリーン車両に一部使用しておりますが、これは定員が一階建てに比べてふえるという反面、二階からの乗降に時間がかかりますので、通勤対策としてデメリットとメリットを十分検討する必要があると考えております。
  48. 倉田栄喜

    倉田分科員 これらの問題は、オレンジカードの問題については細かい問題に見えるようでございますけれども、いわゆる利用者方々の政治に対する信頼というのをきちっとつなぎとめていく上でも必要な重要なことであろうと思いますし、できないのならできないで、あるいはできるのならできるできちっとした対応を示していただきたいと思います。先ほどいわゆる事務、経費の問題等の御答弁がありましたけれども、総体として全体として考えてみるべきでもないのかなという考えを持っておりますので、強く要望をしておきたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 左藤恵

    左藤主査 これにて倉田栄喜君の質疑は終了いたしました。  次に、柳田稔君。
  50. 柳田稔

    柳田分科員 おはようございます。私は民社党の柳田でございます。  私、造船の方をちょっと勉強いたしまして、その方の仕事をやっておりまして、五十二年そして六十年代のあの不況を二回くぐってまいりまして、そろそろ造船業界も朝日が見えてきたのではないかなという気がいたしております。きょうはこの造船の関係に絞って質問をさしていただきたいというふうに思います。  今非常にいいというふうに私も聞いておるのですけれども、今の造船業界の現状について教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  51. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 お答え申し上げます。  我が国の造船業は第一次の石油ショックを危機とします極めて長期にわたります造船不況に直面いたしまして、これを克服するために昭和五十四年と六十二年度の二度にわたって過剰設備の処理を行ってまいりました。また、六十二年の設備処理に際しましては造船企業の集約化をあわせて行うなど、種々の不況対策に取り組んでまいりました。  これらの対策は、需要が低迷するという構造的な環境の変化に対応した産業体制を整備するとともに、我が国の造船業を魅力ある産業として再生することを目的としたものでありまして、我が国の造船業の長期的に見た経営の安定のための基礎はでき上がったものと考えております。このような対策はその効果を上げつつありまして、世界的な景気の拡大と相まちまして、平成年度に入りまして受注船価、受注量とも顕著な回復を見せております。経営状態につきましても、船価水準、 建造量の回復を反映いたしまして改善されてきておりまして、ようやく我が国の造船業は経営に将来展望を持つことができるような状況になってきたというふうに考えております。
  52. 柳田稔

    柳田分科員 今のお答えのとおりに、非常にいい状況になってきたということでございます。不況といいますか、非常に会社が厳しい状態のときには多角化経営、また技術革新、技術開発ということでいろいろな新規事業にも進出というのが非常に難しい状況であるわけなんです。  今、好景気ということで会社自体にも余力があるのではないか、そうしますと、今のいい状況の段階で技術開発や新規事業への進出をしまして、構造転換を図るのが今ではないか。特にこれは大手造船所の方では大分進んでいるように聞いておるのですけれども、中小造船、この方がそれほど進んでいるような気がしないのですけれども、この辺の構造転換または近代多角化経営に中小造船はどのように取り組んでいるか、また運輸省としてどのように指導されているのか、お尋ねしたいと思います。
  53. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 御指摘のように、造船業というのは非常に需要の変動が激しい産業でございまして、特に経営基盤が脆弱であります中小造船業者にとりましては、経営の多角化による新規需要の開拓の推進は、経営の体質を強化するという意味で有効な方策の一つであると考えております。  このような観点から、運輸省といたしましては、中小造船業の新規需要開拓を支援する意味で、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法あるいは特定地域中小企業対策臨時措置法、知識融合開拓法、これは略称でございますけれども、これらの法律に基づきまして、中小造船業をこれらの対象にするということなどによりまして、事業転換や特定地域における新分野進出、あるいは異業種との交流による新分野開拓を図ろうとする専業者に対しまして、中小企業金融公庫などによる低利の資金融資及び事業所税の非課税措置などの税制上の特例を設けるなどの措置を講じております。
  54. 柳田稔

    柳田分科員 今、いろいろと制度があるようにお聞きいたしましたけれども現状、中小の造船所さん、いろいろと人手不足ということもあって忙しくて、構造転換といいますか、新しい事業への進出というのは非常に厳しい状況にあるのではないかなと予測はできるのです。  今、制度があるというふうなお話でしたけれども、アンケートがありまして、中小造船業の今後の対策についてといいますか、現状の問題点、それから今後の事業計画についてのアンケートがあるわけなんですけれども、今の問題点についてはさておきまして、これからの事業計画、どのように考えているかというアンケートの回答の中で、今事業の多角化が必要だという御意見と、設備を整備して近代化したい、そういうふうな要望が非常にあるわけなんです。  先ほど、いろいろな制度があるということで、利用すればこの辺も可能になるのではないかなという気はするのですけれども現状こういうふうな状態だということになれば、また造船業に谷間が来るだろう。よく言われておりました十年周期ということもありますので、今こそ中小造船も今言いましたような事業の多角化、そして設備の近代化をしていかなければならないのではないかなという気がするわけですけれども、この辺については運輸省はどんなふうに考えていらっしゃるか。
  55. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、ただ中小造船業というのは非常に零細な事業者が多いものでございますから、資金面が不足するとか経営資源、技術資源が不足するというようなことでなかなか多角化が進まないという現状でございます。しかし、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたいろいろな法律をもとにいたしまして、多角化等による新規需要の開拓を促進させるように努力をいたしておるところでございまして、具体的には地方運輸局を通じましてさまざまな指導を続けておるところでございます。
  56. 柳田稔

    柳田分科員 中小造船、これからも厳しい時代が訪れると思いますので、それをできるだけ乗り切れるように指導、またいろいろな制度がありますので、その辺もPRして使い道がいいようにしていただければというふうに思います。  次の質問に移りますけれども先ほども一番最初に申しましたように、今造船業界、よく言われております三K二Yですか、汚い、きついを初めにしまして賃金も安いというふうな状況で、さらには合理化があるのではないか、そういうふうな状況で、非常に人手も集まりにくいし、経営基盤も大分弱くなってきているような気がするわけなんです。今までは不況を二度乗り越えてきまして、非常に暗いイメージしかなかったわけなんですけれども、そろそろ造船業界も希望の持てる産業だというふうな面でPRといいますか、アピールといいますか、やっていければなあという気がいたしているわけなんです。  そうしますと、どんなことがあるかなと思って今やられております制度、また事業など見ておりますと、次世代船舶ということでテクノスーパーライナーとか高信頼度舶用推進プラント、そういうふうなものが今やられておるようでございますけれども、今どのような状況にそれらがあるのか、進捗状況でもお知らせ願いたいと思うのですが。
  57. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 テクノスーパーライナーというのは、超高速船でございますけれども、これの研究開発につきましては、平成年度に造船大手七社を組合員といたしますテクノスーパーライナー技術研究組合を設立いたしまして、五年計画で研究開発を進めております。現在、水槽試験等を実施いたしまして、研究開発は順調に進んでおります。  また、高信頼度舶用推進プラント、これは次世代のエンジンでございまして、六カ月メンテナンスフリーでございますが、この研究開発につきましては、平成年度に株式会社エイ・ディー・ディーを設立いたしまして、六年計画で研究開発を進めております。現在、新素材、メカトロニクスの試験等を実施して、研究開発は順調に進んでいるというふうに考えております。
  58. 柳田稔

    柳田分科員 今二つございましたのですけれども、それ以外にも何か目ぼしいものがございますでしょうか。
  59. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 この高度船舶技術開発ということで、これは平成年度から国の補助金を出しましてやっておるものでございまして、現在はその二つのテーマでございます。先々のテーマにつきましては、現在、鋭意検討をいたしております。
  60. 柳田稔

    柳田分科員 今二つおっしゃいまして、テクノスーパーライナーと高信頼度舶用推進プラントということで、テクノライナーの方は五年間をめどというふうにお話がございましたのですが、この研究開発というのはどの辺まで、要するに実用化まで含むのか、実用化のめどをつけるのか、それとも基礎研究までで終了するのか、その辺についてはどうでしょうか。
  61. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 テクノスーパーライナーの研究開発につきましては、高速力を確保して、かつ大量の貨物輸送を可能にする新船型、新材料を用いた軽量構造、大出力かつ軽量なウオータージェット推進システム、それから荒天下でも運航を可能とする船体姿勢制御システムの研究を行っておりまして、最終年度には実海域で縮尺模型で実験を行うわけですが、この研究は要素研究ということで、将来これを応用して実船をつくるということでございますので、基礎的な研究だというふうに考えております。  また、高信頼度舶用推進プラントにつきましても、高い熱効率を得るための燃焼改善だとか、燃焼の可変化のためのメカトロニクス装置だとか、あるいは高温、高圧での燃焼に耐える耐熱、耐摩耗性のセラミックス、及び軽量化、剛性向上等の研究を行っておりまして、これも基礎的な研究で ございますが、最終年度にはこの技術を確立したいというふうに考えております。
  62. 柳田稔

    柳田分科員 頑張っていただきたいと思います。  五年間ということなんですが、私も研究をやってきた人間として、平成年度五億強、非常にいい予算をつけていただいているのですけれども、実験一つやるにしても非常な多額なお金がかかるのが昨今でございまして、五年間、本当に研究が完了するのかなという疑問もないわけではないのです。いずれにしましても、造船業界の研究開発という点で、運輸省さんも参加されていろいろなことをやっておるというのには評価ができるというふうに私は思っております。  このテクノスーパー、そして舶用推進プラント、それ以外には今いろいろ考え中だというふうにおっしゃいましたけれども、私も研究していたことから考えますと、まだまだいろいろなことが浮かんでくるわけなんです。その辺についても、多分運輸省さんサイドでは考えていらっしゃるというふうには思うわけですけれども、造船業の好景気、あと十年も二十年も続くというふうな保証は何もないので、できるだけ早い段階にたくさんの有意義な研究開発が実施できるように努力していただきたいと思います。それで、日本の造船業界、夢があるな、ああいういいものをつくるのが造船業界が、造船かというふうな希望を若い人たちに与えていただきまして、いろいろないい人材が集まるように努力をしていただきたいというふうにも思いますし、造船の経営が好不況の波に余り関係ないような状況にまで持っていっていただければというふうな気がいたしております。  最後に質問ですけれども、環境問題。  つい最近も海難事故による油の流出の問題がありました。非常な環境問題となっているわけなんですけれども日本の造船技術を駆使しますと、ちょっとの海難事故では油が流出しないような構造にもできるだけの技術を持っているのじゃないかな。そうしますと、この日本の技術、特にダブルボトム、ダブルハルですか、この辺を中心にして進めていくと、この辺の海難事故、油流出が中心になるかと思うのですけれども、防げるというふうな気はするのです。運輸省さんとして、この油流出事故についての取り組みについてどのように考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
  63. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 タンカーのダブルハル問題につきましては、昨年の七月のアルシュ・サミット経済宣言を受けまして、国連の専門機関でありますIMOがタンカーからの油流出防止のための構造の見直しの検討を始めております。一方、米国においても法律をつくってこれを両院で現在協議中というような話もございます。  我が国といたしましても、これらの問題につきましては国際的に合意されたものをつくるべきであると考えておりまして、これらの動きに対応いたしまして技術的及び経済的な観点から汚染防止効果が高く、かつ合理的な規制が国際的に合意されるように、二重底とか二重船殻を含めまして、あるいはほかにもバキューム方式とかそういうものもありますし、航行支援システム、これは日本でかなりの時間をかけて技術開発をやったものもございますので、それらをすべて総合いたしまして検討するということで、学識経験者及び関係者を集めました場を設けまして現在検討を進めておるところでございます。効果のある、しかも合理的な方法というものにつきまして検討を進めて、こういうものを国際基準をつくる場であるIMOの基準づくりに反映してまいりたい、そういうふうに考えております。
  64. 柳田稔

    柳田分科員 日本の造船の技術というのは世界最高だと思いますので、その辺の油流出についても世界をリードするような感じで事故がないようにしていただければなという気がいたしております。また、そのほかにも環境問題に関することはいろいろあるかと思うのですけれども、今それを一つずつ取り上げてどうのこうのというふうには思っておりません。ただ、この船に関する環境問題、この辺はなくなるようにするのが一番いいことだろうと思いますので、いろいろな面も含めまして前向きに検討して頑張っていただきたいと思います。きょうは初めて造船に関する質問を私させていただきまして、私も造船で飯を食った一人でございますので、本当に夢のある産業ということでこれからも運輸省さんも頑張っていただければと思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  65. 左藤恵

    左藤主査 これにて柳田稔君の質疑は終了いたしました。     〔主査退席、伊吹主査代理着席〕
  66. 伊吹文明

    ○伊吹主査代理 次に、寺前巖君。
  67. 寺前巖

    寺前分科員 私は、日本海側の京都府経ケ岬で、ことしの一月二十五日の零時過ぎにリベリア船籍の貨物船マリタイム・ガーデニアが浸水を起こし、九時三十分に乗組員が全員船から救助された。そして投錨していた船体が一・七キロメートル流されて、二十五日の夕方五時三十分ごろに海岸に座礁、燃料油約七百五十トンが流出した油流出事故問題についてお聞きをしたいと思います。  この事故は、国内沿岸での船舶からの油流出事故としてはここ十年間で最大規模のものとなりまして、沿岸漁民を初め関係団体の必死の防除努力にもかかわらず、油が、京都府竹野郡網野町の琴引浜という有名な美しい浜がございますが、その方面から、北の方は福井県の若狭湾沿岸にまで漂着した。推定だけでも二億円近くの漁業被害が起こり、自然環境に重大な影響を与えたということであります。  しかも、この経ケ岬というのは、お経を念ずるところの岬と書くわけですが、昔から、お経を上げながら難所として船は通ったものである。八八年十二月にも経ケ岬沖でタンカーが浸水し、沈没して、重油の一部が流出するという事故も起こっています。この事故も日本海の冬に発生しているわけですが、単に海が荒れているというだけではなくて、貨物船、タンカーの老朽化という問題も同時に考えなければいけないと思うのです。いずれにしても、この地域は航海上十分注意しないと、今後もたび重なってこういう問題が起こるのではないだろうかと心配するものであります。  そこで、私は運輸省に聞きたいわけですが、保安庁になるのですか、この事故について、一体どこに問題点があったのだろうか。嵐が吹いたからというだけの話ではなかろうと思うのです。航行判断に問題があったのか、どういうふうに関係者は見ておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  68. 野尻豊

    ○野尻政府委員 本件事故の原因については現在調査中でありまして、今回事故を起こしました船は外国船、リベリア船籍の船でございますので、特に日本海側周辺の海域の気象・海象状況について十分な知識がなかったということも原因の一つかと想定されますが、確定的なことは申し上げられません。
  69. 寺前巖

    寺前分科員 先ほどから申し上げておりますように、この場所が非常に難所であるということが非常に大事な問題だと私は思うので、これからもタンカーがますますこの地域にふえていく可能性があります。宮津湾には新しく火力発電所も建設されてきていることですし、舞鶴港にはいろいろな船舶の出入りもふえてきていることでもありますので、それだけに、その過程における難所のところに対する対応策というのは一体どういうふうにやってきているのか。  特に外国船であるだけに今後もこういう問題が起こってくるだろう。だから、今までの周知徹底はどういうふうにしておったのか、今後改善点はないのかという問題についてお答えをいただきたいと思います。
  70. 野尻豊

    ○野尻政府委員 本来、船舶の運航につきましては、その船を運航しております船長が責任を有するものであります。当庁としましては、航行の安全に必要な気象情報等につきましては随時提供いたしまして、航行の安全に対処しておるところでございます。  本件について申し上げますと、舞鶴海洋気象台が発表した海上強風警報を、八管区の海上保安本部の通信所が直ちに周辺海域を航行していた船舶に対して送信することによりまして注意を喚起しております。マリタイム・ガーデニア号、今先生質問のありました当該船舶につきましても、当庁が調査したところでは、航行警報を受信しているというようになっております。  今後の指導等についての御質問でありますけれども、ただいま申し上げましたように、当庁といたしましては航行安全に必要な気象情報等を提供する体制を常時とっておりまして、一般的には船がその情報に基づいて運航計画変更判断するなど、航行安全に必要な措置をとることになっております。  それからもう一つ、外国船舶に対する安全対策いかんという一般的な御質問でありますが、当庁におきましては外国船舶の海難を防止するために、かねてから入港中の外国船舶に対しまして海上保安官の訪船による周知、指導を行うとともに、特定港におきまして外国船舶取扱会社等から成る外国船舶安全対策連絡協議会の設立を促進いたしまして、これらの協議会を通じて水先人の乗船を推奨する、あるいは気象・海象及び沿岸地形に関する注意事項等我が国周辺海域を安全航行するために必要な事項を内容とするパンフレットの配付等、外国船舶の安全確保のための周知、指導活動を行っているところでございます。
  71. 寺前巖

    寺前分科員 二十四日に気象庁が海上強風警報を発令する。それからしばらくして海上保安庁の舞鶴通信所も同発令を発信する。同時刻にはすぐに遠方も受信をしているという警報に対する事態はもう船は知っているわけです。知っているというよりも、直接船自身感じているところであるわけです。  ところが、警報が出たからといって、それではどういう航路をたどっていくかということは船長の責任になるのでしょう。だけれども非常に危険な難所の水域をその船が走っているということに対して、警戒態勢に入ったら直ちに海上のレーダーその他何らかの方法で、船はこちら側に寄ってきたらあかんというような何か指導体制はないものだろうか。  例えば釣り人だったら、こういう事態になってくると、釣り人はおらぬか、おったらすぐ救助して引き揚げさせなかったら大変だとか、人命を尊重する立場から、一般的にいってそういう態勢に入ります。タンカーのようなものがこういう難所を通るときとか、湾内に入ってくるときとか、交通がラッシュになっているときに対して、異常な警報が出た場合に、その警報に基づいて注意を払う態勢は保安庁ではとれないものなのでしょうか。人命救助というのは事が起こってからではなくして、あるいはタンカー事故というようなことが起こってからではなくして、事前に注意の目を光らす体制はつくれないものなんだろうかということについて意見を聞きたいと思います。
  72. 野尻豊

    ○野尻政府委員 先生御指摘のように、船舶の動向を常に把握いたしまして、その船舶に対しまして衝突の危険等が生じた場合に注意を喚起するということは非常に望ましいし、また理想的な形であると私も理解しております。ただ、そのためにはレーダーを設置するとか通信施設を設置するとか、大変な設備投資が必要でありますし、またそれを受ける方の船舶にもそれなりの体制が必要なわけであります。  かかる観点から、海上保安庁では現在特に船舶がふくそうする海域につきまして海上交通センターを設けて、今申し上げましたような個々の船舶に対する指導等を行っているところであります。具体的には浦賀水道、備讃瀬戸、関門海峡等に海上交通センターを設けて、一定の大きさの船舶に対しましては当庁に対します通知義務を課してその船舶の航行に対しまして指導をする、こういうことになっているわけであります。  ただ、経ケ岬の沖合とかその他船舶がそれほどふくそうしていない海域にまでそのような施設を整備し、あるいはまた船舶側にそのような通知義務を課するということまではまだ余裕がないといったところであります。
  73. 寺前巖

    寺前分科員 余裕がないのですから、余裕は持って、幾つかの難所に対する体制というのは今後ひとつ検討していただきたいということを意見として申し上げたいと思います。  それから、今度は、現地の漁協の皆さんなりから事故が発生したときにいろいろなことが言われました。例えば二十五日の夜には、船は二つのアンカーで固定されているという連絡が宮津保安所から当該の蒲入の漁協の平井専務のところに言ってきた。にもかかわらず、同時刻過ぎには今度は油が漏れ出している、どうしてこういうことにななったのか、八管は、事故から座礁までの記録をはっきりさせるべきだということを、関係の漁協の皆さんは不審を持って言うという事態も生まれているわけです。そういう点では、保安庁の方はこういう一・七キロも流れてきて、座礁することになりかねないということに対する当時の強風状況のもとにおいての判断の甘さがあるのではないかということを地元の関係者は言うわけですが、どういう判断にお立ちになっているでしょうか。
  74. 野尻豊

    ○野尻政府委員 今御質問ありましたように、一月二十五日の早朝に事故が発生して以来、海上保安庁の巡視船艇あるいは航空機、それから油除去のための資機材を精力的に投入しております。例えば巡視船艇について申し上げますと、当日から今日に至るまでの間延べにして四百八隻、航空機は四十八機。資機材について申し上げますと、オイルフェンスは各管区から集めまして三千四百メーターにわたるものを用意いたしましたし、細かく申し上げますと切りがありませんけれども、油の吸着材とか油処理剤あるいは可搬式油回収装置、油回収艇、油回収ネットといったような各種の資機材を集めてこれに対処したわけであります。  ただ、残念ながら、この海域は非常に波が荒くて非常な荒天下でもあったということもありまして、これらの機材が有効に機能しなかったという点につきましては、私ども残念に思っております。しかし、当庁といたしましては、当庁の持てる勢力を最大限に活用いたしまして、本件の事案に対処したつもりでございます。
  75. 寺前巖

    寺前分科員 私が言っているのは、そういうことが起こってからの事態以前に、大体船は二つのアンカーで固定ができたという判断をしていること自身に甘さがあるのじゃないだろうか、あるいは経ケ岬の周辺のところは危険だという難所に対するあらかじめの判断に甘さがあるのではないだろうかということを関係者が強調しているわけなんです。そこのところの判断をまずはっきりしておかないと今後も起こりかねない話ではないのだろうか。そこはどういうふうに判断しておられるのでしょう。
  76. 野尻豊

    ○野尻政府委員 先生の御質問あるいは御指摘は二つに分けられると思いますが、一つは、第一にそういう事故が起きないように事前に対策を講ずること、不幸にして事故が起きたときに直ちにその事故に対処できるような態勢を整えることであろうかと思います。  まず第一は、何といってもこういう事故を未然に防止するということであるわけであります。そのためには、先ほども申し上げましたけれども、この船は外国船舶ということで特にこの海域について気象・海象に詳しい船長であったとは限らないという点にも問題があったわけでありますから、そういう点を踏まえまして、今後外国船舶に対する安全対策について強力に実施していくということが必要であろうかと思います。現在全国四十一の協議会を設けまして、主要な港におきましては、こういった協議会を通じて外国船舶にいろいろな指導を行っております。今後もこういったことを中心としまして、あるいは必要に応じてパンフレット等を作成いたしまして外国船舶に対する啓蒙を強化していきたい、こういう考えております。  それから、事故が発生した場合の態勢をどうするかということであります。現在当庁におきまし ては、主として船舶航行のふくそうしており、また油事故が起きましたときに非常に影響の著しいと思われる海域を重点といたしまして油資機材を備蓄しております。今回の事故におきまして、日本海側にそういった資機材の備蓄が足りなかったのではないかという趣旨の御指摘かと思いますが、私どもといたしましては、付近の海域あるいはまた日本海側だけではなくて、太平洋側の至近の海域にあります資機材を急遽ここに集めまして事故に対処したわけであります。  そういう意味で、沿岸の漁民の方々にとりましては歯がゆい思いをされているかと思いますけれども、私どもといたしましては最大限努力をしたつもりでありますし、今後もこうした事故が仮に起きた場合であっても今回と同じように当庁の勢力をフルに活用して対処していく、こういう心構えでおります。
  77. 寺前巖

    寺前分科員 事故前の構え方の甘さと、事故が起こった後も必死に全国的に資材を集めて奮闘されたことは現地の皆さんもよく知っておられるところなんです。問題は、事故が起こった場合にそれではどういう配置になっておったのかということを改めて八管の現状について認識をしたというのも事実だと思うのです。私は、その事故が起こった後にそれでは一体どういうふうに油の回収船が配置されているのだろうか、オイルフェンスがどのように準備されているのだろうかということを見てみた場合に、八管の体制というのは余りにもお粗末なのじゃないだろうかというふうに言わざるを得ないわけです。  現在海上保安庁には、油防除艇が五隻と回収艇が三隻など四十隻の油回収艇を所有しておられるようですが、瀬戸内海や太平洋側にずっと配置されております。八管の今回のことを見てみると、艇式回収艇が二隻と可搬式の三隻を宮津まで陸送で持ってこられた。内海用のために波の荒いこの地域ではすぐに使うということにはならない。今度は名古屋から運輸省の第三港湾建設局の回収船を持ってくる。今度は喫水が深くて海岸付近に接岸することができないということで、結局二十トンの油回収だけをやったにすぎなかったわけなんで、こういう外洋におけるところの油の回収をするような船をすぐにでも使えるような体制というものを八管に考えておいてもらわなかったら、全部太平洋側から持ってこなければならないし、内海用のようなものを使っておったら使いものにならないということも明らかになっている。だから保安庁として、当然のことながら八管に対する船の体制というのを少し考えてもらう必要があるのではないだろうか。これが私が感じ一つです。  それから、オイルフェンスの問題にしたって、海面上の高さ三十センチ、深さ四十センチというようなオイルフェンスでは、これは今度の事故から見て、油が流出してきた場合に波の高いところでは、役立たすと言うたら語弊がありますけれども、これではちょっと不足しているとやはり言わざるを得ないわけです。そういう意味では、大型のオイルフェンスを配置するということを考える必要がある。ところが、今回の場合でも、オイルフェンスも第四、第五、第七管区から調達してきて、そして必死になってやったんだ。だから、八管自身にそういう船の問題だってそれからオイルフェンスの問題だってふさわしい整備がやられていないということが、私は今度の事故を通じてつくづく考えさせられた問題なんです。だから、海上保安庁としてもその点に対する改善をされるのかどうかということを改めて聞いておきたいと思うのです。
  78. 野尻豊

    ○野尻政府委員 先ほど申し上げましたけれども、今海上保安庁は、油回収のための資機材の配備につきましては、タンカーの航行隻数が多く、航行船舶のふくそうする事故発生の蓋然性が高い海域に重点を置いて整備をしておるわけであります。ほかの海域で事故が発生した場合には、これらの資機材を可及的速かに輸送しまして的確な防除措置を実施するということにいたしております。  ちなみに、最近の資料、平成元年の統計で見ましても、全国のタンカーの入港隻数が三十一万二千隻でありますが、その中で八管区内だけを取り上げますと二千二百九十三隻ということであります。数としては非常に少ないという状況なわけであります。したがいまして、八管区にこういう資機材を設けるということにつきましては、財政的な面からも限界があろうかと思います。  ただ、今回の事故が荒天下の外洋に面した海域における大規模なものであったことから、流出油の防除に長期間を要し、被害も広範囲に及んだということにもかんがみまして、海上保安庁におきましては、海上災害防止センター等の協力を得て、こうした厳しい条件下におけるより迅速かつ効果的な流出油防除手法等について検討を進めるとともに、その結果を踏まえて、効果的な資機材の配備のあり方等についても検討してまいりたいと考えております。
  79. 寺前巖

    寺前分科員 時間の都合もありますので次に移ります。  国際的にも、最近のタンカー事故からタンカー船底の二重化という問題が重要な位置を占めてきていると思うのです。アメリカの下院では、十一月に海洋汚染防止のための油濁法改正案を通過させて、現在上院に回っているというふうにも言われているわけです。それが通過すると、既存船は七年以内に船底を二重化しようじゃないかということに義務づけられていくということになると思うのですが、日本ではこのタンカーの船底二重化問題については検討されているのでしょうか。どういうことになっているのでしょうか。
  80. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 お答え申し上げます。  国際的に、国連の専門機関でありますIMOにおいて、タンカーからの油流出防止のための構造の見直しの検討が進められることとなっております。アメリカにおきましては、先生が言われたようなことが行われております。しかしながら我が国といたしましては、このような問題につきましては国際的に合意のもとに進められるべきものというふうに考えておりまして、IMOの場においてこれを決めるべきだというように思っております。  しかし、これらの動きに対応いたしまして、我が国といたしましても技術的あるいは経済的な観点から、汚染防止効果が高くてかつ合理的な規制措置が行えるような方法というものを関係者を集めまして検討を進めておるところでございまして、その中に二重底、二重船殻あるいはその他の方法も含め種々な対策を総合的に検討いたしております。また、この検討結果を踏まえまして国際基準に反映することに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  81. 寺前巖

    寺前分科員 日本は世界的に見ても船舶の所有数というのは非常に多いですし、タンカー輸送というのは非常に大きな位置を占めているだけに、国際的にも環境の破壊を防ぐためにも積極的な役割をしなければならないと思うのですね。そういう意味では、この問題について他国でそこまで検討されているものを、日本の側ではもっと積極的な対応をしてしかるべきではないだろうかというふうに私は思うわけです。  最後に気象庁にお聞きしたいわけですが、この油の調査に行ったときに、舞鶴の気象台にも寄って気象観測船の清風丸というのを見せていただきました。清風丸は三百五十五トンですが、建造以来もう二十六年間たっておりまして、これが日本海全域にわたる気象観測を行っているわけですが、年間七、八回の百九十日にわたる航行の中で、風速十四メートルとか十五メートルの天候に遭うと、もう船もさびついて穴があいているようなところもあるだけに、非常に危険な状態にもなっておる。だから風が吹いてきたらその海域から逃げ出すというような措置もとられたりしているわけですが、アンチローリングタンクなどもないためにその調査活動にも弊害を及ぼしている。  この間も行きましたら、冷蔵庫の上が穴があいておって冷蔵庫の役割をしないというような問題もでておりますし、狭い居住区で四人の若い人が生活をしておりましたが、居住性も大変悪い。い ろいろな意味から考えて、この日本海唯一の海上気象船をこういう状態にいつまでも置いておいていいのだろうか、積極的に代船を建造すべきではないかというふうに私は思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  82. 立平良三

    立平政府委員 舞鶴海洋気象台の海洋気象観測船清風丸は昭和三十九年に建造されたものでございまして、これの代船建造につきましてはいろいろ計画を検討しているところでございますが、気象庁のほかにもいろいろ重要な観測施設がございまして、それらとともに総合的に、緊急性を考えながら検討を進めていきたいというふうに考えております。  また、船の安全性につきましては、毎年ドックに入りまして修繕をしておりまして、運輸局の検査も受けているところでございます。  それから、海が荒れますと確かに観測を一部変更するというふうなこともございますけれども、年間百九十日の間に観測計画を立てまして、その観測計画は順調に遂行されているところでございます。
  83. 寺前巖

    寺前分科員 時間が来たのでやめますけれども、清風丸の問題はあのままではお粗末だということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。
  84. 伊吹文明

    ○伊吹主査代理 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、小岩井清君。
  85. 小岩井清

    小岩井分科員 日本社会党の小岩井清でございます。常磐新線計画についてお伺いいたしたいと思います。  常磐新線の建設につきましては、昭和六十二年九月二十五日に常磐新線整備検討委員会が運輸大臣官房審議官、JR東日本副社長、関係一都三県副知事をメンバーとして設置をされているということを聞いておりますけれども、これについての今日までの検討作業の経過を最初にお伺いいたしたいと思います。  あわせてお伺いしておきますが、常磐新線整備推進本部を設置するというふうに伺っておりますが、これについての現在までの経過と今後の具体的検討の見通しについても伺っておきます。これが第一点です。
  86. 早川章

    ○早川政府委員 常磐新線の整備につきましては、六十年七月の運政審の答申を得ました後、先生御承知のとおり当時国鉄という形でございましたときの答申でございましたので、その段階で、しかしその当時の国鉄の財政状況等から見て国鉄にこの整備を行わせることはなかなか問題が多いであろう、したがって第三セクターというようなことが考えられるのではないかという答申の中身でございましたものですから、その趣旨に沿いまして、六十二年九月に先生御指摘の常磐新線整備検討委員会というものがJR、運輸省東京都等一都三県の副知事、こういう形で設けられまして、その検討の一応の方向づけというのが出されました。  その中身は、これも先生も御承知だと思いますが、常磐新線構想そのものは、東京駅から守谷というところまでが当面整備すべきもので、その先研究学園都市まではその後の状況に応じて考える、こういう形で答申を受けております。常磐新線としては、都心の方は東京駅ではなくて秋葉原から、そして筑波研究学園都市まで六十キロというものを整備していこう、およそのフレームというのが出されまして、目標年次を西暦二〇〇〇年とした場合に第三セクターによる整備、JR東日本による運営を予定して、総建設費はおよそ六千億円程度であろう、こういう形で一応の方向づけをいたしました。  その後、細目について議論をするという形になっておりましたが、その直後から極めて高い率の土地価格の高騰等がございまして、この六千億というフレームではなかなか実態的でないという問題がまず生じてまいりました。一方で、昨年六月国会で、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法というものが成立を見まして、言ってみますと、さらに別なより一層高度化した要請のもとで常磐新線を考えていかなければならない、こういう実態も生じたわけでございます。  したがいまして、この六千億ベースの検討委員会の一応のフレームづくりというものを再度詳細に議論をしていく必要もあるということで、これはどちらかと申しますとこのようなきちっとした検討委員会という形でなしに、関係者間で種々協議を重ねて現在に至っている、こういうことでございまして、検討委員会の結論としては一応方向づけを出してそのまま動いていないというのが実態かと存じます。  また、先生おっしゃれられました推進本部ということでございますが、私どもが関係者の方といろいろ御議論をしている中で、ひとつ何らかの形のこういう整備を進める推進本部みたいなものが要るのではないかという議論が出たことがございますが、これについては、まだそういうことの議論が、その必要性あるいはどういう形で持っていくかというプロセスについての議論から出てきているという程度でございまして、具体的な設置を見たものではございません。
  87. 小岩井清

    小岩井分科員  まだ推進本部は設置されていないということですね。ということは、今の御答弁内容は、常磐新線整備検討委員会で検討をして方向づけを出して以降動いていないということですね。  としますと、今の内容で、検討をされた、秋葉原から守谷、これは筑波学園都市まで延ばすということで六十キロでありますが、西暦二〇〇〇年で総工費六千億円ですが、その後の地価高騰で再度検討の必要があるということをおっしゃいましたけれども、現時点では、総工費はどの程度見ているのですか。
  88. 早川章

    ○早川政府委員 数字についてはさまざまな議論がございましで、とるタイミングその他でまたいろいろ違ってきているかと思います。詳細申し上げかねますが、最近時点では一兆円は下らないのではないかというようなことが巷間言われておりますが、今後の地価高騰等も考えればそういった実態になるのではないかと思います。  なお、先生お話の中で、この検討委員会としては動いておりませんが、私も先ほど答弁いたしました関係者からの議論はどんどん進められているということで、補足させていただきます。
  89. 小岩井清

    小岩井分科員 そうしますと、先ほど、第三セクターで検討をしているということでしたね。具体的にどういう団体が第三セクターに加わるのか、この点は明確になっているのですか。
  90. 早川章

    ○早川政府委員 先生の御質問、第三セクターの参加者というふうに理解をいたしますと、一都三県という地方公共団体がまず主体になられるということだと思います。その上で、JR東日本さらには財界といいますか経済界等の方々が参加されていくことを期待していろいろ議論をいたしているということでございますが、具体的にどこまでのどんな方が入るということまではまだセットできていないと思います。
  91. 小岩井清

    小岩井分科員 見通しはどうですか。大体いつごろまでにこれの骨格ができ上がって第三セクター発足という段取りになりますか。
  92. 早川章

    ○早川政府委員 その第三セクター設立の見通しがつく前提といたしまして、この鉄道、常磐新線というものについてどのような資金調達を考えるか、どのようなリスクの分担関係を考えるかというところが今議論のポイントでございまして、その問題点と申しますか、そういった種々の基本的な問題を整理しながら第三セクターの設立が進む、こういうふうに考えておるところでございます。今はいわゆる基本的な問題、資金調達をどうするか、いろいろな考えられる、予測される整備あるいは運行のリスクをどうするか、どのような形で用地買収に当たるか、こういった問題点につきまして議論をしているということでございます。
  93. 小岩井清

    小岩井分科員 第三セクターの設立の見通しはまだついていないということですか、要するに今議論している段階。今資金調達のお話がありまし たけれども、具体的に資金調達と事業主体、いわゆる第三セクターと関係がありますが、この辺のところは、伺っているところによると整備主体と運営主体に分けるというふうに聞いているのです。その点についてもお考えを伺っておきたいと思います。
  94. 早川章

    ○早川政府委員 例えば整備主体と運行主体を分けるという考え方もございますし、それは一応一体のものだ、一つのものだ、つまり整備主体、運行主体は原則同じ、こういうふうに考える。これは運行主体と申しますところにもう一つ意味がございますが、例えば鉄道を運行するにいたしましても、自分のリスクで運行する鉄道会社を考えるか、それとも、そうではなしに鉄道の整備を行った鉄道業者からの委託を受けて行うもの、もっと申しますと、鉄道法関係では鉄道事業者というのを、自分が鉄道を整備してその上で自分が運行を行うというのを第一種鉄道事業者と申しております。それから、他人の鉄道の上に運行だけを行うというのを第二種と申し、逆に言いますと、今度その鉄道の施設だけをつくって持っているというのを第三種と申しますが、第一種鉄道事業者ということで考えていくのか、第二種及び第三種というコンビネーションで考えていくのか、そういうところもいわゆる第三セクター設立の議論一つでございまして、そこの点の詰めを行っている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  95. 小岩井清

    小岩井分科員 議論をしていることはよくわかりますけれども、何かネックがあるのですか。JR東日本が第三セクター設立の構成団体に加わるのに消極的だというふうに漏れ承るのですけれども、その辺のところ、どうですか。
  96. 早川章

    ○早川政府委員 実は、この常磐新線という構想は国鉄の当時から構想されているものでございまして、このルートそのものも現在JR東日本が持っている用地の中を通るとか、有している橋げたを利用するとか、そういった形で構想されております。そういったものを無償で使用させるというような実態関係についてJRは非常に協力的に進めているわけです。  ただ、この鉄道がおよそ一兆円とか一都三県にまたがる非常に長大な路線であって、その整備については種々の困難が予想されるところについて、そういうもののリスクをどう考えていくか、それはJRが負担できる範囲にとどまるのかどうか、こういうところについては議論があるわけでございます。したがいまして、JRがこの第三セクターに入る入らないということがポイントではなくて、第三セクターといいますか、その鉄道整備を基本的にだれが主体的に行っていくのか、そこが現在まで議論をし、今後決定されていかなければならないポイントだ、こういうことで議論は進んでいるわけでございます。
  97. 小岩井清

    小岩井分科員 第三セクターの設置にかかわる議論内容については大体理解をいたしますが、じゃ具体的にこの設立の見通しはいつごろになりますか、これに答えてください。
  98. 早川章

    ○早川政府委員 西暦二〇〇〇年ということを整備をいたす一つの目標といたしております。鉄道が、用地等が順調に取得されたといたしまして、工事でおよそ六年間というようなことが一応の目算になっておりますので、それまでに、いわば諸準備と申しますか、用地買収も含めた対応がなされていなければいけない。一方で地方公共団体は、この鉄道整備に関係いたしましてそれぞれの地域のいわば開発の基本計画というものをつくっていく、こういうことで、これは一体化法の関係で出てきているわけでございますが、その地方公共団体がおつくりになる基本計画と鉄道計画が整合性のとれたものでなければならない。両者が協議をする、こういう手続になっておりまして、その地方公共団体が行います基本計画の策定に十分間に合う形で第三セクターが出ていなければならない。したがいまして、私どもとしては、残されている時間がそうたくさんあるとは思っておりませんが、具体的にいつまでにつくるということについてはなお関係者間の議論が詰まっていない、こう思います。
  99. 小岩井清

    小岩井分科員 西暦二〇〇〇年まで、それで建設についての期間が六年間要する、ということは具体的には一九九四年までということになりますね。ただ、まだ煮詰まっていないということであります。  今御答弁に出てまいりましたけれども、大都市地域において「大量の住宅地の円滑な供給と新たな鉄道の着実な整備」を図る、そういう目的で大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法、これが昨年の九月二十七日に施行されておりますけれども、それに基づく都府県による基本計画との関係が今御答弁ありましたが、この基本計画はいつごろまでに各都府県が策定をされるのか。策定の現在までの経過と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  100. 早川章

    ○早川政府委員 基本計画は、地方公共団体、都府県が策定されるものでございまして、私どもが目下把握している状況というのは、それぞれの関係の都府県で、一部の県においてはその基本計画策定のもととなる用地等の手当てについて対応が始まっているというところ、これから今年度から始めるというところ等ということでございまして、基本計画の具体的な策定までに至っているところ、あるいはそれが進むといった形になっているところは現在までにはまだないのではないかと考えております。
  101. 小岩井清

    小岩井分科員 都府県による基本計画の策定について、一として「鉄道の計画路線及び駅の位置の概要」、二として「鉄道の整備の目標年次」、三として宅地開発及び鉄道整備を一体的に推進すべき地域、四として「住宅地の供給の目標及び方針」、五として特定地域整備のための拠点となる地域、穴として「特定鉄道の整備に当たり地方公共団体が行う援助その他特定鉄道の円滑な整備を図るための措置に関する事項」等とありますね。各都府県が基本計画の策定に当たってこれらのことを盛り込みなさいということになっているのですけれども先ほど前段で質疑をいたしました第三セクターの構成、建設区間それから資金調達あるいは助成の方式、事業主体で整備主体と運営主体を別にするとか一緒にするとか、これらのことが関係者できちっと決まらなければ、この内容から見てこれは策定という段取りにいかないのではないかと思う。どうですか、これは。
  102. 早川章

    ○早川政府委員 法律上の御議論といたしましては、鉄道事業者というものがこの基本計画に合った形で鉄道を整備するのでなければまず免許が受けられないとか、逆に基本計画というのはその鉄道についての議論がなければいけない、それはおっしゃるとおりだと思います。  しかし、現在のこの基本計画をつくる一番ポイントは、基本計画というのをつくりましたときにそのような計画に従った用地等の秩序づけと申しますか、その形でいろいろな区域がセットできるかどうか、こういうことに基本的にはかかわりますので、その辺につきましては、各都府県はこのいわゆる基本計画地域について用地等の手当ての基本的な対応ができるかどうかというところがポイントであるというふうに認識をしておると思います。  したがいまして、いわば基本計画を策定するいわゆるその地域、住宅開発及び鉄道整備の一体的な関係を進めたいと言われている地域の用地についての対応というのが現在始まってきているということでございまして、その対応いかんによって鉄道を具体的にどういうふうに引っ張ってくるかということは変わってくるわけでございますので、その辺の仕組みを現在地方公共団体が進めようとされている。  したがいまして、その上で、そういう形がある程度めどがついてまいりましたタイミングで少なくとも鉄道もやはりめどがついてまいらなければならないし、そういう形でめどがついてくれば基本計画と鉄道の計画とが整合されていく、こういうふうに理解をしているところでございます。両方とも現在一応始まっているわけでございますが、なお具体的な形はとってきていない、こういうことで御理解いただければと思います。
  103. 小岩井清

    小岩井分科員 先ほど冒頭に常磐新線整備検討委員会の話をいたしましたけれども、その方向づけを出した後に関係者でさらに検討しているというお話でしたね。その関係者で検討をしていく同じ経過と、そして各都府県の、これは双方で煮詰めていく、こういうふうに理解していいのですか。
  104. 早川章

    ○早川政府委員 この基本計画を策定されるのもこのケースでいえば一都三県だと考えますし、現在第三セクターという形で構想されているこの常磐新線を具体的に、主体的に設立されていかれるのも、また実態的に支えていかれるのもいずれもこの一都三県だと考えておりますので、いわばその形でこの基本計画と鉄道計画がきちっと調整されていくものだと理解をいたしております。
  105. 小岩井清

    小岩井分科員 次に移ります。  建設区間についてお尋ねをしたいと思いますが、今冒頭に御答弁ありましたけれども、ルートについては従来、秋葉原から北千住それから八潮市南部、三郷市中央部、千葉県流山市南部、そして千葉県柏市を経由して守谷、さらに筑波学園都市、こういうふうに聞いております。いろいろ新聞報道などで、もう一つ新しいルートとして松戸まで乗り入れる営団地下鉄十一号線、半蔵門線ですが、これを利用することを運輸省は検討していると伝えられておりますけれども、この点についてはどうなんでしょうか。ルートについては運輸省の明確なお考えを御答弁いただきたいと思いますが、つい数日前の新聞に大臣お話が載っておりましたけれども、これは大臣からお答えいただけませんか。
  106. 大野明

    大野国務大臣 常磐新線のことと絡んで今お話のございました地下鉄十一号線の問題ですが、これはそういうことでなくて、一部の報道機関で書かれたことを皆様方もそうなのかなというふうにお考えになるのも無理からぬこととは思いますけれども、私どもはそんな考えは全然ございません。同じ運政審の答申の中で、地下鉄十一号線も並行して整備しなければならぬということですから、両者相まってやるということでございます。  ただ、常磐新線も、既に局長からるる御答弁させていただいたところでございますけれども、いずれにしても常磐線のあの混雑の緩和であるとか、先ほどの宅地の問題であるとか、あるいはまた通勤通学に本当に不便をかけておるなら利便性とか、そういうようなことを考えて私どもも早くやるべきだ、こう思っても、やはり地方自治体というものがあって、やっとここへ来て第三セクターをつくろうかという機運に、この間二十四日ですか、何か決起大会もやって大分進んだというので、むしろそれを契機としてもっと自治体でお話しいただいて、そうして早くできるように私ども考えたい、こう思っています。いずれにしても沿線の自治体、そういうところの皆さんの協力を得なければつくりたくてもできないわけですから、そんなことで私どもも前向きに考えております。
  107. 小岩井清

    小岩井分科員 大臣お話については御答弁いただきましたが、新聞にも載っておりましたけれども、並行して整備と今もおっしゃいましたね。並行して整備ということは、これは別のものなんですか。これはおっしゃるように、いろいろ新聞に書かれたように、場合によってはつないでこのルートの一つとして考えることがあるのですか。それは局長から。
  108. 早川章

    ○早川政府委員 事務担当者のいわばかなり自由な議論というものが新聞等で一部伝えられていることだと思いますが、言ってみますと、鉄道整備というものを議論していくときに、非常に順調に、荒野に線を引くごとくできるということでは決してないという実態の上に立ちまして、仮に用地買収が非常に難航したらどうだとかなんとかという議論があればいろいろな対応があり得るという議論だと思いますが、私どもとしては政策として、あるいはいわば決定として、あるいは結論としてそういうことをするということは全く考えていないわけでございまして、ただいま大臣から御答弁いたしましたように、両方とも、十一号線を進める、さらには常磐新線を進める、以上の形で東京の北東部というところに対する鉄道整備を推進していきたいというのが現在までの結論でございます。
  109. 小岩井清

    小岩井分科員 政策的にはあり得ないということですね。事務当局の議論としてはあり得る、こういうふうに今おっしゃいました。用地買収の困難なことも含めてというふうに御答弁ありましたね。用地買収が困難だとしたら暫定的にもこういうコースをとることはあり得るのですか。
  110. 早川章

    ○早川政府委員 今も御説明いたしましたように、事務的にあり得るということではなしに、仮定のいろいろな議論でございますので、私どもがここでもって御答弁するような中身ではない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  111. 小岩井清

    小岩井分科員 それぞれ御答弁をいただきましたので、最後に、これはきょう先ほどからずっと承っているとどうもまだ輪郭がはっきりしてこないのですね。この常磐新線推進に向けての大臣の御決意と今後の見通しについて、最後に御答弁いただきたいと思います。
  112. 早川章

    ○早川政府委員 先ほどもう既に大臣からはその推進についての運輸省の決意というのは御答弁があったと思いますが、私ども、実はこの段階地方公共団体を中心とする協議はかなり煮詰まってきているのではないかという観測をいたしておりまして、そのような実態を踏まえて、極力早期にきちっとした形で第三セクターは設立されるということについて相当程度の自信を持って現在見守っている、こういうことをお答えさせていただきたいと思います。
  113. 小岩井清

    小岩井分科員 ぜひ積極的に御検討していただいて、早期完成を目指していただきたいと思います。  終わります。
  114. 伊吹文明

    ○伊吹主査代理 これにて小岩井清君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤乙彦君。
  115. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 私は、京葉線の延伸問題と羽田空港の沖合展開問題の二点につきまして御質問をさせていただきます。  まず京葉線の延伸問題でございますけれども、京葉貨物線の旅客化・延伸事業は、臨海副都心の整備促進並びに将来の発展に大変重要な問題だと思います。東京都としましては、平成元年四月に発表いたしました臨海副都心開発事業化計画の中で、JRの京葉貨物線旅客化・延伸問題について、そのルートを新木場駅から臨海副都心、大井埠頭、大井町を経由して大崎駅に接続することを基本として検討を進めることを明らかにしております。大井埠頭、大井町、大崎駅を抱える品川区といたしましても、区の都市軸の形成に欠かせない重要な問題としてとらえておりまして、その動向を注視しておる状態でございます。  そこで運輸省にお伺いしたいと思うのですが、京葉貨物線の旅客化及び大崎方面への延伸化につきまして、今東京都が主体となって、これに運輸省建設省、JR東日本国鉄清算事業団、東京営団それから日本鉄道建設公団、学者等から成ります京葉貨物線旅客化・延伸調査委員会が設けられておりまして、基本的な諸問題について検討を行っていると承知しておりますけれども、現在までにどのような検討を行ってきたのか、またその結論がいつごろに出るのかといった点についてまずお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
  116. 早川章

    ○早川政府委員 先生御指摘の京葉貨物線旅客化・延伸調査委員会でございますが、この委員会は東京都が主催するものでございまして、現在京葉線の旅客化・延伸に関しまして需要予測あるいは収支予測、ルートの調査検討等を行っているということでございます。  その委員会に運輸省といたしましても課長レベルでございますが職員を参加させていただいて、今さまざまな議論をしている。その議論調査につきましてはるるございますので詳しく申し上げることは差し控えますが、収支計画とか資金計画あるいはルートにつきましても、あるいは駅をど うするかとかさまざまな議論が行われているということでございますが、具体的に何かが固まってきている、あるいは何かについてある程度結論が出てきているということではまだないということのように伺っております。
  117. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 重ねて伺いますが、結論のめどというのはいつごろ出るかということなんです。運輸省のお立場としましても必ずしもお答えできる立場にないかもしれませんけれども運輸省としてはどのように考えておられるか、この点につきまして重ねてお伺いしたいと思います。
  118. 早川章

    ○早川政府委員 東京都の委員会でございますし、それからまたさまざまなその地域に関連いたしますあるいは影響がある結果ということだと思いますので、その辺につきましては、むしろ東京都のきちっとした結論を待ってでないと私どもが申し上げるのは非常に差し支えがあると考えております。
  119. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 この京葉線の延伸に関しましては、東京都及び品川区の意見としましては、大井町の経由で大崎駅まで延伸するということはもう一致した強い要望としてあるわけでございまして、そういった観点から運輸省におかれましても、ぜひこの東京都及び地元要望は御理解をいただきまして、単に鉄道事業の申請が出たからそれを検討して認可をするといった姿勢にとどまらず、さらに運輸省としても御協力をいただきまして、積極的に大井町−大崎ルートの実現に向けてひとつ御助力をお願いしたいと考える次第でございます。  大臣につきましても、ぜひこの点につきまして地元要望を御理解いただきまして、この点への側助力を賜ればと思いますので、一言大臣からも、この京葉線の延伸問題につきまして、ひとつ決意をお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。
  120. 大野明

    大野国務大臣 地元から非常に強い御要望のあること、私も品川区の住民の一人ですからよく承知はいたしております。しかしやはり、鉄道を一つつくるということになればその需要の動向も必要ですし、また例えばいろいろな条件があるにしても、土地の取得なりなんなりそういう条件をクリアしていかなきゃならぬ、それにはどこがイニシアチブをとってやるかということもまだはっきりしておらぬということも承っておりますので、そこら辺をきちんと整備というかそうしてからじゃないと、今すぐここでやるよとも言うわけにいきませんし、ですから、そういう主体をまずはっきりさせるとか、そういう意味での条件整備をしていただきたい、こう思っております。しかしそれは悪いことではないのです。いいことなんですから、そういうことさえはっきりすれば運輸省としてもやっていきたい、こういうふうに考えております。
  121. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 今の点につきましては、都及び品川区とも十分連携をとりながら、また今後一層大臣の御助力をお願いできるよう進めていきたいと思っております。よろしくお願いをしたいと思っております。  続きまして、羽田空港の沖合展開の問題を質問いたします。  まず、沖合展開の進捗状況と今後のスケジュールということをお伺いしたいのですが、御承知のとおり、羽田空港の沖合展開につきましては、当初の平成五年を目標にして工事を進めておったはずですが、予期し得ざる事情、特に超軟弱地盤等の問題がございまして、二年ほどおくれると聞いております。こういった点はもちろん理解できるわけでございますけれども、この羽田空港の沖合展開事業というものは、一つには航空輸送力の増強とともに、もう一つは周辺地域住民への航空機騒音の解消ということが大きな目的になっておるわけでございまして、地元住民の意向としましても、こういった工事がおくれることは非常に迷惑であるという強い要望がございます。ぜひこういった点も勘案していただきまして、これ以上工事をおくらせることがないようお願いをしたいわけですが、改めて今後の沖合展開の工事の進捗状況と今後のスケジュールにつきましてお伺いをいたします。
  122. 丹羽晟

    丹羽政府委員 羽田空港の沖合展開事業の問題でございますけれども、これは基本的に東京都が都内から発生いたします土砂などの廃棄物、それによって埋立地の造成を行いまして、運輸省はこの埋立地を活用して空港施設を沖合に整備する、こういうことでございますので、ただいま先生おっしゃったように、この地盤が軟弱という問題が発生いたしまして、それに対応するための時間が相当かかってきているというところでございます。  それで、現在の状況は、全体を工期を三期に分けまして順次整備を進めるというところでございまして、第一期の計画につきましては、既に六十三年の七月に新しい滑走路、新Aランと言っておりますけれども、そのAランを供用開始をして、そこで第一期計画は完成いたしております。それから、今その第二期計画という段階でございますけれども、これは、西側ターミナル、そういった施設の建設内容とするものでございますが、平成年度後半の供用開始を目途にして今進めているところでございます。  それから、それが終わりますと第三期計画ということになるわけでございますが、これは、新しいB滑走路、これは横風用の滑走路でございますが、それと新しいC滑走路、新Bラン、新Cラン、それと、ターミナルの東側、その施設の建設内容とするということでございまして、これは、東京都が進めている埋め立てが順次竣功するのに対応いたしまして空港の工事に入ることとしておりまして、今年度から地盤改良には着手いたしております。現在のところ、平成七年ごろの供用開始を予定いたしております。
  123. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひとも地元住民の要望としまして、平成七年までには完成ということを改めてこの場で要望したいと思っておりますので、運輸省におかれましてもぜひその点を御理解いただきまして、運輸省の立場からもぜひ七年完成を目指して全力を挙げて取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。  続きまして、埋立地と跡地の交換の問題でございますが、これは、東京都の埋立地と運輸省の跡地の交換がいずれ行われるわけですけれども、これにつきましても、地元としても強い関心を持っておりますので、その協議の現状と交渉成立の見通しにつきましてお伺いをしたいと思います。
  124. 丹羽晟

    丹羽政府委員 羽田の沖合展開事業の関係で跡地の問題につきまして、それだけではないんですけれども運輸省東京都と大田区、品川区、そういったところから成ります羽田空港移転問題協議会、そういう協議会をつくりまして、そこで意見交換をしながら進めてきたところでございますが、これは計画策定時からずっとやってきております。都の造成した埋立地を国が取得する方法、それから空港跡地を東京都が取得する方法、そういったようなことにつきましても、この協議会の場を活用するというようなことをして進めてまいる所存でございます。
  125. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 この跡地の利用の問題がこれまた大きな地元の関心事項でございます。  これに関連しましてお聞きをしたいのですけれども、跡地の利用計画につきまして、どういう方法でいつだれがどのように行うか、それから最終決定権はどこにあるか、こういった点につきまして確認をしたいと思います。
  126. 丹羽晟

    丹羽政府委員 跡地の利用計画をどのように策定していき、それをどのように進めていくか、こういう問題につきましても、先ほど申し上げました羽田空港移転問題協議会、その場を活用しまして、地元要望を踏まえながら進めてまいりたいと考えております。それで、今、先ほど申し上げましたように、三期の工事が完成いたしまして、供用するのが平成七年ごろということを予定しておりますので、跡地の具体的な問題というのはそれ以降の話になってくるんだろうと思いますが、それまでの間に今の協議会でいろいろと意見交換をして、その跡地のそれぞれの管理者ごとの整備 をやっていくという形になるのではないかと考えております。
  127. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 跡地の利用方法に関する地元要望といたしましては、御承知のことと思いますけれども東京都及び大田区より既にさまざまな報告が出ておりますけれども、特に沖合展開によって生じる約二百ヘクタールと言われる跡地の利用を大きな期待を持って見守っております。特にこの移転跡地が湾岸地域の拠点でありまして、またその規模とか立地条件それから交通条件等に恵まれたことを考えますと、地元ないし都の要望としましては、将来的にはこれは地域の特性を生かした特徴ある大規模文化施設ないしは潤いと魅力のある広域的な市民の交流空間という形でこれを活用していくことが望ましいという考えに立っております。  具体的には緑地帯とかスポーツ施設とかあるいは航空宇宙博物館あるいは現代美術館、こういったものを集めた総合的な市民の交流空間ということが、東京都ないし地元大田区のほぼ共通の願望になっております。こういったことにつきましては、御承知のことと思いますけれども、ぜひとも御理解の上運輸省としても今後御尽力をお願いしたいと思う次第でございます。この点につきまして、何か運輸省側の方から御見解を伺いたいと思います。
  128. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま先生お話のように、東京都それから大田区、そういったそれぞれのお立場で跡地の利用にかかわります調査を実施いたしましていろいろと御勉強いただいているということはよく承知をいたしております。それで、跡地の利用計画の策定に当たりましては、これらの成果を踏まえまして東京都とかその関係の区の跡地利用の考え方などにつきましては、いずれ先ほど申し上げました協議会の場を通じましていろいろとお聞かせいただき意見交換を図ることとなるものと考えております。
  129. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひともそういった場を通じまして地元要望を最大限に考慮いただきたいと思うわけでございます。  あと、時期的な問題としまして、跡地利用の具体的な検討に早急に着手をしていただいて、平成七年、すなわち工事の完了までには決定すべきであると考えますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  130. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先ほど私の答弁でちょっと触れたところでございますけれども先ほど来申し上げておりますように、沖合展開事業の完成時には三期の供用開始ということを一応平成七年ということで考えておりますが、跡地の具体的な整備はそれ以降の問題になると思います。それまでの間に、先ほど申し上げました協議会の場を通じましてよく意見交換をいたしてまいりたいと考えております。
  131. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 それでは、最後の質問にしたいと思います。  羽田空港の沖合展開、これは大変重要な事業でございますけれども、これが将来地元の発展に与える影響という観点から、特に羽田に通ずる交通網の整備充実ということが一つの問題でございます。特に沖合展開後の羽田空港は年間六千万人ないし八千万人とも言われる利用客が集中する一大交通のターミナルとなるわけでございます。ただ御承知のように、現在の羽田空港に至る交通アクセスとしましては、都心からの方向につきましては道路がありモノレールがあり鉄道もあるわけでございますけれども、他方いわゆる環状方向への交通網というのは極めて不備なのが現状でございます。  特に現在いろいろ案が出ているのは、京浜急行の蒲田駅と東急線の蒲田が切れているということ、その間をどう結ぶかという話、あるいは都営地下鉄線が西馬込まで来ておりますけれども、これを羽田方向にまで延伸する、鉄道網に関してはそういう形で環状方向の整備を図るということがこの地域の発展、特に羽田空港の発展がまた地元の発展にも資するという観点からぜひとも必要なことでございまして、地元住民としても大変強い要望を持っておる次第でございます。  この交通整備ということはいろいろな問題があってなかなか簡単にはまいらないと思いますけれども、こういう地元要望も踏まえ、またかつ長期的な城南地域の発展という視点からもこれは大変重要な問題であると思いますので、ぜひとも御理解をいただきまして、今後とも運輸省としても前向きにひとつ検討をお願いしたいということでございまして、この点につきまして運輸省の御見解をお伺いしたいと思います。
  132. 早川章

    ○早川政府委員 ただいま先生挙げられました東急目蒲線から京急蒲田駅を結んで京急線に入れるとかその辺のいろいろな御要望地元から強く出ているということについては私もたびたび御陳情等も受けましてよく存じているところでございます。  ただ、私も現地を見させていただきましたが、御承知のとおり、東急線は狭軌でございますが京急線は標準軌ということで、ゲージがまず違います。その辺で相互乗り入れということについては実態的にも非常に難しい問題が多いのではないだろうか。またJR蒲田駅と京急蒲田を結ぶという形になりますときの地下鉄の整備というものに対する負担考え方というものについてまだなお煮詰める必要がある、場合によって、先ほどの狭軌、標準軌の議論でいきますと、京急線に入らないとすれば、むしろその横にございます道路に入っていく、これまた非常に膨大な建設費を要する結果になる。技術的にもいわゆる費用面でも非常に大きな問題があることは事実だというふうに考えております。  しかしながら、先生御指摘のようないわば環状線と申しますか後背地の方に直接入らない、都心部を経由してからまた入るということで大変問題が多い、そのことにつきましては私どもよく現状を理解しているところでございまして、今後ともいろいろ検討は進めてみたい、こう考えているところでございます。
  133. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 私の質問は大体以上でございますけれども、最後に羽田空港に関連しまして大臣に一言お伺いしたいのです。  この羽田の特にスケジュール平成七年完了ということと、それから跡地の地元要望を最大限に反映してもらいたいという強い要望がある点、それから今申し上げました環状方向への、羽田空港への整備という点、これは地元の大変強い要望でございますし、また地元の発展にも資する大きな問題でございまして、今後ぜひとも大臣の御支援を賜りたいと思う次第でございますけれども、一言大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  134. 大野明

    大野国務大臣 いずれにしても、予定どおり計画が進むようにこれから先も頑張ってやっていくということでございます。
  135. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひともその方向で努力お願いしたいと思います。  以上をもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  136. 伊吹文明

    ○伊吹主査代理 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。  なお、本会議がございますので、午後一時より当分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十八分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  137. 新盛辰雄

    新盛主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  運輸省所管について質疑を続行いたします。網岡雄君。
  138. 網岡雄

    網岡分科員 私は、今問題になっております中部新国際空港の問題につきまして、若干御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、中部新国際空港の問題につきましては、今まで各大臣からかなり積極的な御答弁をいただきまして、中部新国際空港というのは時代の 要請の中で次第に脚光を浴びているところでございますが、本委員会ではぜひひとつ歴代大臣、そして現大野運輸大臣の御答弁どもございますが、そういう大臣答弁を受けて運輸省事務当局が、例えば昨年の十二月十一日の決算委員会におきまして、江藤前運輸大臣答弁の中に、第六次空港整備五カ年計画の中で何らかの位置づけをする、かなりこれは中身を明確にお答えになっておるわけでございます。同時にことしの四月十二日の予算委員会におきましては、大野運輸大臣の御答弁で、航空審議会において取り上げてもらえるように最善の努力をしたいなどと、先ほど申しましたように今まで国会の場を通じましていろいろ積極的な御答弁がなされておるわけでございます。  ぜひこの際、実際の事務を担当していかれます運輸省の事務当局が、歴代運輸大臣答弁を受けて、この答弁に沿う形で具体的に第六次空港整備五カ年計画の中に組み入れることについての検討を進めておみえになると思いますけれども、この検討についてどういう姿勢で、どういう考えでおられるかということにつきましてお聞きをいたしたいと思います。
  139. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま先生御指摘の中部新国際空港に関します、昨年十二月十一日の決算委員会のときの江藤運輸大臣答弁、それからことしの四月十二日の予算委員会におきます大野運輸大臣の御答弁、両方とも事務当局として大変よく承知しております。  それで、中部新国際空港のその問題につきましては、三月十五日に航空審議会を開きまして、そこでこれからの第六次空港整備五カ年計画へ向けまして、空港整備とか航空保安施設整備の問題につきましての諮問を運輸大臣からいたしました段階でございまして、現在その航空審議会の中でそういう全般の問題につきまして御議論をいただいている段階でございますので、私どもはこれ以上ちょっと具体的なことは申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。
  140. 網岡雄

    網岡分科員 今一応の御答弁があったわけでございますが、率直に言って、事務当局の御答弁大臣答弁に比較をいたしますと、かなり諸般の状況なども配慮されての御発言だというふうには思いますけれども、一回というような形ではなくて、かなりたび重なって最高の責任者である運輸大臣が御答弁になっているわけでございます。  したがいまして、もう八月には航空審議会の中間まとめというものが出る時期にも来ておるわけでございますから、やはりこの大臣の御答弁を踏まえていただきまして、事務当局としてはもう少し一歩踏み込んだ何らかの、例えば航空審議会の審議の過程を通じて第六次空整についてはその中で組み入れられるような何らかの工夫をするとかといったような、もう少し前向きなお考えをお示しいただきたいと思うのでございますが、重ねてお尋ねをいたしますけれども、その点はどうでしょう。
  141. 丹羽晟

    丹羽政府委員 当然のことでございますが、私ども運輸大臣の事務当局でございますので、その大臣の御答弁を常に念頭に置いて仕事をしているところでございます。私どもは、運輸省という立場と、それから航空審議会の事務局という立場と二面性がございますので、今航空審議会でいろいろ自由に御議論いただいている段階でございますので、そういう時点であるということを御了承いただきますとありがたいのでございます。
  142. 網岡雄

    網岡分科員 二面性を持った中で運輸の行政をやっていく事務当局としては、確認の意味でございますが、歴代の運輸大臣の前向きな答弁を踏まえながら事務の遂行に当たる、こういうことで御確認をさせていただいてよろしゅうございますか。
  143. 丹羽晟

    丹羽政府委員 この問題に限らず、よく大臣の意を体して仕事をしてまいりたいと思っております。
  144. 網岡雄

    網岡分科員 そこで二つ目の問題に移りたいと思うのでございますが、もし仮にでございます、仮にということで前提条件をつけていきますが、八月の第六次空整の中に何らかの形で問題の中部新国際空港答申の中に組み入れられる、こういうことになったということが条件でございますけれども、そういう状態になりましたときには、私ども地元といたしましては、五カ年計画でございますから、五カ年計画のうちの前半の部分、例えば平成三年から五年間にわたっていくわけでございますが、平成三年か平成四年、こういう段階の五カ年計画の前半の時期に、国として問題の中部新国際空港調査をするような具体的な予算措置というものを計上されるような動きをやられるお考えはないかということをお尋ねしたいのです。  私ども地元としてそのことを非常に望んでおります理由といたしましては、一つは、この中部新国際空港というものが世界で一流の空港になるということを目指して今建設のあらゆる努力をしているわけでございますが、御案内のように空港そのものの本体が一流の入れ物であることはもちろんでございますが、その空港の機能が一流のものになっていきますためには、その空港を生かす、機能を生かすための関連の施設というものがこれまた一流のものとなって整備をされなければならぬわけでございます。特にアクセスの整備というのは空港の傘ともいうべきものでございまして、これが空港の機能の大半を決定づけると言っても過言ではないと思うのでございます。  そういう意味でいきますと、例えば鉄道系統、道路系統あるいは三重県などを中心といたしました海上系統、さらにコミューターを含む航空系統といったようなアクセスが考えられるわけでございますが、こういうアクセスを実際に整備し、実行に移していくということになりますためには、事業の推進をいたします事業主体というものは、これは国でもございましょうし、大半が地方自治体ということになると思うのでございますが、さらに民間もその一部を補っていかなければならぬわけでございます。そういうふうに、国から始まって民間に至るまでの各団体の協力といいますか、実際の事業主体になって実行に移していかなければならぬ問題があるわけでございます。  そういうことから考えていきますと、空港本体の建設の期間というのは、例えば六年とか七年といったように、簡単なものではございませんけれども大体の見通しがかなり立つことができるのでございますが、このアクセスの整備というものは空港建設に比較をいたしまして非常に長期を要するわけでございます。  そうなりますと、空港の供用開始時期と足並みをそろえていきますためには、やはり相当早い時期に、これらの整備をやっていく団体も事業主体も、国がある程度腰を切っていただく段階が形になって出たときに初めて確信を持って進めていくということになるわけでございますので、そういう意味でいきますと、やはり運輸省の姿勢というものがこの中部国際空港を含めたアクセス事業を推進していくために非常に重要な意義を持っているような気が私はするわけでございます。  そうなりますと、第六次空整を何らかの形でクリアしたということがあくまでも前提条件でございますけれども、そのときに、今言った一番軽微な調査費ぐらいは前半の段階でつけるというような運輸省の進め方についての御協力といいますか、要請がなりませんと同時進行ということがなかなか難しいわけでございます。そういうことなどをお考えいただいて、この辺についてのお考えをぜひひとつお示しいただきたいと思うのでございます。
  145. 丹羽晟

    丹羽政府委員 中部新国際空港につきましては、先ほど来申しておりますように、ただいま航空審議会で基本的な方策につきましての御議論をいただいている中の問題でございます。したがいまして、ただいま具体的にいろいろなことを申し上げる段階ではないのでございますが、一般論として、御指摘のとおり空港整備につきましてはその空港本体だけの問題ではございませんで、アクセスとかいったようなことも当然整合性を持って進めていかなければならない問題と思っております。それで、空港と関連施設の整備の整合をと るための対応につきまして今後十分検討してまいる必要があると考えております。
  146. 網岡雄

    網岡分科員 考えていただくことは非常に結構でございますが、もう一つ、ここも私前提条件にしておるわけでございますけれども、そういうことになったとしたら、つまり第六空整が何らかの形でクリアしたということが前提条件になっているわけでございます。そうなれば、普通の取り組みといたしましては、五カ年計画で一応入ったわけでございますから、時期は五カ年計画のうちのどの時期だということが問題でしょうけれども、一般的に申し上げれば、どこかで何らかの形のものをやらなければならぬということになることだけは間違いないと思うのでございます。  それで、中部新国際空港の開港問題につきましては、せっかく歴代大臣が非常に積極的な熱意を持った御答弁をしていただいているわけでございますから、先ほども御答弁いただいたようにそういうことも踏まえて、クリアしたということを前提条件判断をしたときには、国で調査をする、こういうぐらいのものは空港建設のイロハのイの字の段階でございます。したがって、五カ年計画のその一番早い前段の時期でこのことを実施していただけるようなことをぜひ考えていただきたい、こういうことをお願いしているわけでございます。  たしか大野大臣だったと思いますけれども、記者とのインタビューの中で、これはインタビューでございますので真偽のほどはどうかわかりませんが、具体的に調査費などについても考えなければいかぬというようなことを御発言になっているように私ども地元の新聞を読んで拝見をさせていただいているわけでございます。そういうことなどもあるわけでございますから、ぜひこの際、もう少し節をつけた何らかの形の御答弁というものは望めないものでしょうか。
  147. 大野明

    大野国務大臣 私は、運輸大臣としてやはり国家的見地から大局的に物を判断するということになりまして、私が考えたことは、やはり中部地区というのは近年産業も非常に振興しておりますし、またそれに伴って人の出入りも多い。それと同時に、今国土の均衡あるというか多極分散の中で、何としてでも中部地区に空港は必要である。しかも国際社会の中においておくれをとらないということを考えても、何としてでも大切な空港であるという観点から、私は、どうしてもつくるということを確かに記者会見でも申し上げました。  いずれにしても、今も局長からるる答弁ございましたようにアクセスの問題もございますし、あるいは漁業補償とかそういう問題、こういうものは地元の問題ですから、それをクリアしていただきたいということは地元にも再三再四私からお願いをいたしております。また同時に一方では空域という問題がございまして、これも非常に大きな問題でございます。これらは国とかそういうところが当然やるべきことでございますが、そういういろいろなものを総合して、これからお互いに熱意を持って進まなきゃならぬということでございます。  特に、そういう中部地区の現況を見て、また将来的に常滑あたり空港ができるのではないかということになるわけですから、そうなると国際貨物も多くなる、物流センターも欲しいというようなことで、非常に大がかりなものも東海市あたりにいかがかなという、まだいかがかなではございますが、気持ちを持っておるということをお酌み取りいただければおのずからおわかりになると思います。  私が記者会見したときはともかく、その後、六空整航空審議会が始まりましたから、局長がもたもた言っておるのじゃなくて、やはり越権をしてはいけない。それは事務当局として当然のことでありますし、まあ私は政治家ですから、もうちょっと進んだ話もこうやってできるわけです。だからそこら辺は、事務当局には一生懸命やってもらっております。どうかそういうことを御理解いただいた上で、それでもって先生地元なんですから、お互いに協力して何としてでもつくろうじゃないか、こういう観点で今後ともよろしくお願いいたします。
  148. 網岡雄

    網岡分科員 これは一つ参考までにお聞きをしていくわけでございますが、今地元の方で中部国際空港の基本構想というものをまとめている最中でございます。近く、五月の初めに提出をする、こういう運びになっているようでございます。これは空港建設に当たりましてアクセスから始まって、本体の建設、資金の問題から、あるいは事業主体のあり方とかいったようなものも含めて一定の考え方を基本構想の中で示すようでございますが、私も今基本構想案の骨子というものしか持っておりませんけれども、五月に入ると本格的なものが出るやに聞いておるわけでございます。これがまとまった段階では、事務当局の立場から考えて、運輸省としては地元からこういうものが提出をされた場合には、これは航空審議会における第六次空整の検討を進めていく材料の一つになるというようなことになるのかということをひとつお尋ねをしたいと思うのでございます。
  149. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま先生御指摘になられました基本構想の問題につきましては、私どもの方もまだ骨子の段階のものをいただいたところでございまして、近くそのお話を伺う機会があるかと思っております。  それで、航空審議会の方の御審議に関しましては、日本全国の空港全般につきましての御審議をいただいていくわけでございますから、私ども事務当局の方としてもできる限りの資料を整え、それでその前段としまして、各地方のいろいろな、中部国際空港につきましてもそうでございますが、調査の現段階におきます内容とか、そういったようなことは詳しく把握した上で事務的な資料を私ども航空審議会にいろいろと御説明することになるのではないかと考えております。
  150. 網岡雄

    網岡分科員 大体今までの御答弁の中で、先ほど大臣がおっしゃったように、事務当局の立場からいけば越えてはならない一つの線があるなどの御発言もございまして、私も大臣のおっしゃる意味についてはよくわかりますので、これで質問の最後にしたいと思うのですが、最後に大臣にもう一度出ていただきまして御答弁をいただきたいと思います。  四月十二日における御答弁もいただきまして、大臣からは航空審議会において善処をしたい、航空審議会でこれを取り上げてくれるよう最善の努力をしたい、こういう御答弁をいただいておるわけでございます。先ほども御答弁をいただきましたように、地元としてはいろいろな努力の積み重ねをしながら答案用紙の最終とも言うべき基本構想というものも五月に出す、こういうところに来ておるわけでございますから、そういうような新たな段階でのものを踏まえながら、この際ひとつ中部新国際空港建設に向けての大臣としての御答弁をいただきたいと思います。
  151. 大野明

    大野国務大臣 私としては、善処するという今先生のお言葉がありましたけれども、善処というのはちょっと当てはまらないので、知恵を絞る、こう申し上げたつもりでございます。  いずれにしても、これからの問題ですが、私は就任早々から、またそれ以前から、党内にも、あるいは中部地区選出の国会議員全員の会もあるわけですから、熱心にやってきたということで御理解賜れればありがたいと思います。いずれにしても、我が国の全体像を眺めても大切な空港であるという認識を十分心にとどめております。
  152. 網岡雄

    網岡分科員 以上で終わります。
  153. 新盛辰雄

    新盛主査代理 これにて網岡雄君の質疑は終了いたしました。  次に、赤松広隆君。
  154. 赤松広隆

    赤松分科員 御通告を申し上げました三点の質問につきましては、特に分科会ということで時間が三十分しかありませんから、きょうは一点に絞って中心的にお尋ねをさせていただきたいと思います。  なお、御通告申し上げた国際航空運賃の内外価格差問題につきましては、別にお答えをいただこうとは思いませんが、一点だけ申し上げて省略を するということにさせていただきたいと思います。  昨年七月以降に、FCU建てで運賃等を計算されておったわけですが、これについてはNUC建てに変更、その結果全体的に実勢レートに近づけるような形になってきた、改善が進んでいる、特にアメリカ、ヨーロッパ方面ではそういうふうに進んでいると承知をしております。しかし、そうはいっても、価格差は縮小された、是正をされたけれども日本発について、では果たして価格が下がったのかというと全くそうはなっていないわけですし、また、問題点のもう一つは、例えばアメリカ行きというようなことを考えますときに、日本より遠い香港や台北の方がむしろ航空運賃は格段に安いというような問題も内包しておるわけでございます。  運賃決定やその仕組みについては改めて別の機会にじっくり時間をかけて問いただしていきたい、こんなことで、この問題についてはきょうのところは省略をさせていただきたいと思います。  あともう一点、九十九里沖の例のレジャーボート転覆事件について、何か「アズマ」という船だと聞いておりますが、この問題についてももし最後に時間があれば要望だけしておきたいと思います。  それでは、きょうの集中的な課題として、名古屋−台北間における日本アジア航空、キャセイ航空そして中華航空三社間における旅客輸送数取り決め協定についてお尋ねをいたしたいと思います。  最近私のところに二、三の人たちからいろいろな投書が参りました。また、個人、企業含めまして何人かの人たちから電話で苦情が寄せられております。それは何かというと、名古屋から台湾、台北と言った方が正確だと思いますが、台北へ観光や業務で行こうといたしまして予約をするわけですが、その座席の予約がなかなかとれない。特にキャセイ航空の便はほとんど満席でとれないと聞いている。ところが、運よくたまたまキャセイ航空に乗ってみたときあるいは乗れたとき、機内を見てみると、場合によっては半分以上空席だ。あるいはもっとひどい場合には、三分の二以上が空席であいている。これはそのときだけ特別の例かと思っていろいろ調べてみたら、いやそうではなくていつもこんな調子だというようなことで、そんなばかなことが一体あるのかということで、真相をぜひ調べてほしいということで、私のところに御意見をいただいておるわけでございます。  私も当初半信半疑で、まあそんなことはその人の思い違いであろうというようなことで思っておりましたが、しかし国民の皆さん方からの貴重な御意見でございますから調べさせていただきました。ところが、実際に調べてみますと、驚くような事実がだんだんと明らかになってきたわけでございます。  事情や経過が詳しくわからない皆さん方もおみえだと思いますので、私自身が調べました——といいますのは、運輸省の方にもあらかじめ資料をお願いをしたのですけれども、ほとんど資料らしい資料は出てこない。  具体的に申し上げますと、例えばキャセイ航空の昨年一年間のフライトの送客実績を尋ねてみましても、キャセイ航空は外国企業だから、その経営内容については触れたくないなどと理由にもならないへ理屈を言って、一切それらの資料については出さない。この便に何人乗ったかなどということは実際には経営内容には全く関係ないことでございますし、イミグレーションのEDカードだとかを見て数えればすぐわかることですし、あるいはフライトレポートを見ても本来でしたらすぐわかることなんですが、多分その辺の数は運輸省としては出したくない、そんなところがあったんだろうと思います。  それはそれとして、私自身で調べた材料をもとにしてこの問題について御説明をしながら後で質問をさせていただきたいと思いますが、日本アジア航空、台湾へ乗り入れるためのある意味では、ちょっと語弊があるかもしれませんが、日本航空のダミー会社と言ってもよいと思いますけれども、この航空会社は、機材としてはDC10を使っております。週三便、現在のところは木、土、日、この三便、またこれは七月から変わるそうですが、飛んでいると聞いています。総座席数二百七十二席、ファーストクラスはなくて、ビジネスクラス、すなわち個人旅行用に使うと通常言われておる席ですが、これが四十八席、エコノミークラス、主に団体旅行客用ですが、これが二百二十五席となっています。  中華航空については、例のヨーロッパで開発をしましたエアバス300、このA300を使用しておりまして、同じく週三便、総座席数二百四十二となっています。内訳について同じく申し上げれば、ビジネスクラス二十三、エコノミークラス二百十九という内訳です。  キャセイ航空は、かのロッキード社のトライスターを使っておりまして、これはデーリーフライト、週七便、すなわち毎日毎日飛んでおるということですが、ちなみに台北からそのまま香港にもその飛行機は飛んでいるということでございます。総座席数は二百八十一席、唯一この三社の中ではファーストクラスがあり、十四席、ビジネスクラス五十三席、エコノミー二百十四席となっております。  さて、これらの便を使って名古屋から台北へ出国した数は、昨年一年間で約八万人、台北から名古屋への帰り便の数値も出ておりますけれども、ほとんど数は変わりませんので、話をわかりやすくするために片道だけの話でしていきます。  そのうち日本アジア航空によって昨年台北へ行った人は二万一千七百人、これはいろいろなチャーターとか何かありますが、とにかくその二万一千七百人は何便でそれだけになったのかというと、百九便、平均して一便当たり約二百名が乗っているということが言えます。  それではキャセイ航空はどうかといえば、約三万三千人、デーリーフライトですから当然日本アジア航空よりも多くなるでしょう。とにかく三万三千人程度乗っている。そして便数はといえば、毎日飛んでいるわけですから三百六十五便、一便当たり計算をしますと、約九十名ということになります。しかも三百六十五便すべてを調べてみますと、おかしなことに一便たりとも台北行きの乗客数で百名を超えた便というのはないのです、昨年一年間で。あんな、年末超満員だと言われるとき、ゴールデンウイークだ、夏休みでいっぱい休みがある、こういうときでも、この台北行きについては百名を超えたという実績は一日もない、一便もないということが判明をいたしております。全く不思議な話でございます。  さらに調査した結果、関係者の証言もいただきましたが、この就航三社で協定をして、何とキャセイ航空だけは一日に、すなわち一便に旅客を百名以上乗せないという取り決めを、いわゆるやみカルテルと私どもは思いますけれども、やみカルテルを結んでいるということが判明をしたわけであります。しかもそのキャセイの百名以下の数にはファーストの客、ビジネスクラスの客も入るわけですから、実際にはほとんど団体旅行用のエコノミークラスの座席というのは各旅行代理店は確保することが難しい、できないということになるわけでありますのですから、私が冒頭申し上げました投書や電話のとおり、いつもキャセイ便については予約は満席、実際の席はがらがらということになるわけであります。  座席の三分の一でキャセイ航空も毎日飛行機を飛ばしているんですから、極端な言い方ですが、これで採算が合う、素人の私たちには驚くばかりでありますけれども、それよりもきょうの論題はこのやみカルテル問題でありますから、この三社がやみカルテルを結んで、乗りたい客を堂々と断って、締め出しておいて、がらがらで飛ばしているということを実は認めている監督官庁も全くでたらめな行政が行われていると言わざるを得ないわけであります。フラッグキャリアであります日本航空イコールダミー会社である日本アジア航空の権益を確保するためとはいえ、公正な競争条件を前提として考える、あるいはコモンキャリア、 公共輸送人というふうに訳しておられるようでありますが、このコモンキャリアとしての輸送拒絶の禁止条項、これに照らし合わせても極めて問題のある現況だと言わざるを得ないわけでございます。  そこでまず最初に、公正取引委員会、きょうは審査部の鈴木審査長さんが来ていただいておるようでありますから鈴木さんにお尋ねをしたいと思うのですが、公正な競争条件の確保、消費者、利用者利益の十分な尊重、こういう建前から、これらの現況についてどのような認識、判断をされておるのか、お伺いをしたいと思います。私が述べたとおりであるとすれば独禁法違反ではないのか、やみカルテルではないのか、その疑いは十分あると思うが、見解をまず最初に求めたいと思います。
  155. 鈴木満

    ○鈴木説明員 ただいま御指摘の件でございますが、今初めてお伺いしたわけでございまして、事実関係、詳細を承知しておりませんので、これが独禁法上のいわゆるやみカルテルに当たりますかどうかについての具体的な御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、一般論として申し上げれば、事業者が、この場合三社のようでありますが、話し合いまして、共同して航空券の販売枚数を取り決める、相互にその事業活動を拘束するというようなことによりまして一定の取引分野、いわゆる市場の競争を自主的に制限する、独占すると言いかえてもいいかもしれませんが、した場合には独禁法三条に違反することになります。
  156. 赤松広隆

    赤松分科員 私は、公正取引委員会にはもう四、五日前にお話をしてありますから、本来はすぐ調べて委員会に対応するというのが筋だと思いますが、その問題はともかくとして、今、鈴木審査長さんの方からは、私が述べたようなとおりの実態であるとすれば独禁法三条違反であるというようなことでお話をいただいたわけであります。それだとすれば、こうした正式な、分科会とはいえ委員会の場で私が問題を提起したわけでありますから、当然この問題について立入調査等を行い、事実だとしたら当然是正勧告など必要な措置を公取としてとるべきだと思いますが、いかがですか。
  157. 鈴木満

    ○鈴木説明員 航空三社が話し合って、共同してそれぞれ販売する航空券の枚数を取り決めておる、それで相互に事業活動を拘束しておるという疑いに足る事実に我々接したならば、当然それは調査をして、しかるべき措置をとることになると思います。
  158. 赤松広隆

    赤松分科員 いや、だからもっと具体的に言ってもらわなきゃだめですよ。僕が言っているように、ちゃんと調べればどの便も百名以上乗っていないという実態があるわけでしょう。あなた自身もおかしいと思うわけでしょう。いいですか、年末に込んで飛行機がとれないと言っているときに百名以下しか乗ってないんだから、そういうことを私が指摘をして、そういうことを調査するつもりが公取としてあるかないかということを僕は聞いているんですよ。あるのかないのか、そんなことはしませんということなのか、じゃ調査をしてみますということなのか、それをはっきり答えてください。
  159. 鈴木満

    ○鈴木説明員 独禁法の三条に違反するかどうか、要するに事業者が話し合ってそういうことを決めておるかどうかといったところがポイントでございまして、その点後でも先生からじっくりお話を伺いまして調査するかどうか判断さしていただきたいと思います。
  160. 赤松広隆

    赤松分科員 ちょっとそれ間違っていると思うんですね、僕はこの場で言っているんですから。そうでしょう。正式な委員会の場なんですよ。そこで調査すべきじゃないかと言っているのです。調査する必要があるのかないのか、はっきり答えてくださいよ。
  161. 鈴木満

    ○鈴木説明員 カルテルに該当する疑いがあれば調査をしたいと思います。
  162. 赤松広隆

    赤松分科員 私が今指摘した経過、事実というのはそのとおりなわけですから、したがって、今の御答弁でいえば調査をしていただけるというふうに理解していいですか。もし私の言っていることが違うとあなたが言われるんだったらやる必要はないと当然なると思いますけれども。そうでしょう、もう三日も四日も前に言ってあるんだから。何もやってないのですか。
  163. 鈴木満

    ○鈴木説明員 先ほど伺いましたところ、航空三社が話し合ってそういうところで決めておるといったところについて、もう少しお聞きしてみないと判断できないということでございます。
  164. 赤松広隆

    赤松分科員 何度も繰り返しやっていますが、そういうことを三社がやったのかやらないのか調べなきゃわからないでしょう、調べなくてわかるのですか。だから、そういう話し合いをしているのかしてないのか、調査しなきゃ、聞かなきゃわからないでしょう。それをするのかということを僕は聞いてるのですよ。
  165. 鈴木満

    ○鈴木説明員 そういった事実がございまして、その場合に三社が話し合ってそういう結果が起こるのか、あるいはもっとほかの理由によってそういうことが起こるのか、そこらあたりは調べてみなければ確かにわかりませんけれども、やはり三社が話し合って決めたらしい、そういう疑いがないと権限は発動できないというのが我々の立場でございます。
  166. 赤松広隆

    赤松分科員 じゃ、そういう疑いがあるらしい、あるいはないかもしれない。それは、この件についてはどうやって判断をされるわけですか。
  167. 鈴木満

    ○鈴木説明員 たびたび申し上げて申しわけないですが、航空三社がそういう、我々が聞いても若干不自然なところがあると思うのです。それが話し合ってそういうことを決めておる。我々から言ったら、その状況というのがどうして生まれるのか、我々が調査を始める際にいろいろその判断要素がございます。いろいろもう少しお聞きしてみないと本当に三社が話し合ってそういうことを決めておるという疑い、確信が持てないということでございまして、先生のところへ来ておる情報等をもう少しお伺いしてみないと何とも言えないというのが正直のところでございます。
  168. 赤松広隆

    赤松分科員 今、不自然だということはお認めになった。そして、それが独禁法違反なのかどうなのか、それはもうちょっと調べてみなければいけない、当然そうです。この場ですべての材料がそろっているわけじゃありませんから、当然それは今後調べてもらわなければいけない。しかしそれは、僕のところへ聞きにくることもいいでしょう、それから当事者に聞くこともいいでしょう、そのことも含めて、そういうことはしていただけるのですねということを聞いているのです、不自然だとあなた自身が認めているのだから。そうでしょう。
  169. 鈴木満

    ○鈴木説明員 違反事件として調査するかどうか、なおもう少し補足をして調べてみたいと思います。
  170. 赤松広隆

    赤松分科員 調べてみたいということを合いただきましたので、次へ移ります。調べていただければ私の言ったとおりだということは多分おわかりになると思いますので、そのときは当然是正勧告等必要な措置が公取として厳重にとられると思いますので、それの期待をまずしておきます。  次に、運輸省にもお伺いをしたいと思いますが、私が指摘をいたしましたこれらについて、事実を承知しておるのかどうか、お尋ねをいたします。
  171. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  キャセイ航空は、お話のとおり昭和六十一年から名古屋−台北−香港路線に就航しておるわけでございますが、当初は、航空法第百十条というのがございますが、百十条の認可を受けた企業間の協定に基づきまして、名古屋−台北間につきましてはキャセイ航空は一便当たり百席以下とする、そういう前提のもとで事業計画の認可申請を行っておりまして、運輸省としてもそのような条件つきで認可をいたしております。  先生御承知のとおり、航空法第百十条の認可を受けますと、同法百十一条によりまして独占禁止法の適用は除外されております。しかしながら、 その後、日英の航空当局間の合意に基づきまして、キャセイ航空の名古屋−台北間の運輸権には何らの制限を課さないということになりましたので、この企業間の協定も昭和六十二年三月三十一日以降失効しておるところでございます。  なお、同航空会社は、六十二年十月二十四日までは従来と同様、名古屋−台北間について一便当たり百席以下とするとの前提で事業計画の認可申請を行ってきておりまして、これに対して運輸省は何らの制限も付さずに認可をしておるところでございますが、六十二年十月二十五日以降につきましては、キャセイ航空は何らの前提なしで事業計画の認可申請を行っており、また運輸省も全く制限を付さずに認可して今日に至っているものでございます。仮に先生御指摘のような事実上の制限があるとすれば、それはキャセイ航空が経営上の自主的な判断に基づき実施しているものだと思います。  先生御承知のとおりキャセイ航空は香港の会社でございますから、名古屋−香港間の輸送を主とするものでありまして、名古屋−台北間の輸送は当然副次的なものである、そのように経営判断するのは必ずしも妥当ではない、そういうふうには言えないと思います。
  172. 赤松広隆

    赤松分科員 宮本さん自身が今お認めになったように、かつては運輸省が認可をする条件としていわゆる百席条項を設けていた。ところが、六十二年三月三十一日以降はそれらについては失効して、今はいわば無制限なはずだということを言っておられるわけですね。質問をよく聞いておってもらわなければいけないのは、私は最初から運輸省がそういうことをやらしていると言っているのじゃないのですよ。そうでしょう。三社間で協定をしてそういうやみカルテルを結んでいるのじゃないかということを言っているわけです、今の話として。その具体的な裏づけとして、現にあなたたちは僕には出さないけれども自分たちの資料としてそういうのを持っているでしょう、みんな大抵は百席以下でしょう。だから、そういうことを監督官庁としてどうなのですか、知ってたのですか、知らないのですか、あるいは知っててもほおかむりをしてたのですかということを僕は聞いているのです。  それからもう一点、香港の話が出ましたけれども局長さん、名古屋−台北と名古屋−香港の運賃を言ってください。ベーシックでいいです、いろいろあるから。
  173. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 ただいま最後に御質問ありました具体的な数字、運賃についてお答えします。  エコノミークラスの普通運賃で名古屋−香港間は往復で十三万八千六百円、それから名古屋−台北間は十万八千八百円でございます。
  174. 赤松広隆

    赤松分科員 それは違っていますね。僕はきょうこれを調べて、まあそれは交換レートやなんかで、ドル建てやなんかしたりで若干の差が出ると思いますが、名古屋−台北間が六万九千円なんですよ。いろいろな日にちによって運賃が違うのです。だから、どのあれをあなたたちはとっているかわからないけれども、これは片道、僕が言っているのは六万九千円、そして名古屋−香港間七万七千円なんです。ほとんど変わらないのですよ。だから経済的な理由で、キャセイはロングポーションを乗せた方がもうかるから台湾に乗せないんだなんというような詭弁は通じないということをまず言っておきます。それが一つ。  それから、この問題については局長さんのところへは行っていないかもしれませんが、既にいろんな方からおたくの国際運輸・観光局の方へそれぞれ問い合わせだとか調べてくれとかいう話が行っているのです。ところが、だれとは言いませんけれども、何であんたたちにそんなことを言われなければいけないんだ、何でおれが調べなければいけないんだ、言葉の細かい言い方はともかくとして、とにかくそういうことで一般の皆さん方からの話をきちっと受けていない。いまだ返事も何もしていない、そういうことがあるということも全く知らなかったということが通じないということで、一例として言っておきたいと思います。  それからもう一つお尋ねをしていきたいと思いますが、今局長さんがおっしゃったような事柄について、いわゆるカルテル行為に類する競争排除や利用者不在のあり方というのは、この名古屋−台北便に限らずほかにもあると思いますが、それを、あるかないかわかりませんよ、わかりませんが、少なくともあなたのところで調べてみようというおつもりはありませんか。
  175. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 まず最初に、具体的なキャセイ航空の名古屋−台北便について申し上げたいと思いますが、運賃はただいま申し上げたのが認可した運賃でございまして、日々これが異なるということはございません。それからキャセイ航空の名古屋−台北間の運輸権の制限に関する企業間の取り決めは、先ほど申し上げましたとおり六十二年三月三十一日以降失効しておりまして、それ以降本件に対する航空法百十条に基づく認可を受けた企業間の協定はないはずでございます。御指摘のような取り決めがあるというようなことは承知しておりません。  なお、先ほど申し上げましたとおり、キャセイ航空は香港の航空企業でございますから、これは世界の航空界の常識として、本来日本と香港との間の輸送を第一義的に行うべき企業でございまして、名古屋−台北間の輸送については副次的なものと位置づけられるのは、これは常識だと思います。これらの状況を踏まえた上で、自主的な経営上の判断をするとすれば、これは当該会社の経営上の判断の問題である、そのように考えるわけであります。  それから、そのほかのいろいろな、航空法百十条に基づく協定の認可があるかどうかということ、これはございます。日本航空企業、外国航空企業の間でいろいろな協定がございますが、そういうものについての事実は航空局で認可をしておりまして、把握いたしております。
  176. 赤松広隆

    赤松分科員 私が言っているのは、いわゆる運輸省が認可をした形での、あなたがさっき言っていた航空法の百十一条のこの適用除外のことを僕は言っているんじゃないんです。これ以外で、今私が指摘したようなことがほかの便にもあるというふうに僕らは聞いているから、それを調べることは当然監督官庁としてやるべきだと思いますが、それもやらないとおっしゃるんですか。  大臣、どうですか。大野大臣、あなたの部下はそれをやらないと言っているんだけれども、僕はこういう事実を出して、他の空港についても便についても当然調べたっていいじゃないですか。そうでしょう。なければないでいいんだから。なぜそんなことができないんですか。もう時間がないから簡単に答えてください。——大臣に聞いているんですよ。
  177. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 ただいまの具体的に御指摘になった件につきましては、先生お話もございまして、実は当該キャセイ航空にそういう事実があるのかどうかということについては伺っておるわけでございますが、キャセイ航空側のお答えは、当社の自主的な判断によって経営上の理由で行っているものでございます、そういうお答えであったように聞いております。
  178. 赤松広隆

    赤松分科員 全然ピントを外れた答弁をしてもらったって、僕が言っているのは他の便で、別にキャセイと言っているのじゃないのです。キャセイかタイ航空か中華航空かあるいは日本アジア航空か、いろいろなそういうような自主的かあるいは業界のやみカルテルか知らないけれども、そういう調査をすべきじゃないかということを言っているのですよ。なぜしないのですか。大臣、そんなこと、なぜできないのですか。
  179. 大野明

    大野国務大臣 私も今初めてそういうお話を承ったところで、ほかにあるかどうかわかりませんし、状況がよく把握できませんので、ひとつこれから先調査するかしないか、考えさせていただきたいと思います。
  180. 赤松広隆

    赤松分科員 大臣もそういうような後ろ向きな姿勢では大変残念ですけれども、これはどんどん出てきますよ、そんなことをやっていると。いいですか、今のキャセイの便、どんな理由を言おう と、現実は百名以下なんだから、それをどうやって説明するのですか。我々が聞いているのは、そういう業界の人たち、キャセイも含めて業界の人たちは、私たちはお金になるのだから乗せたいのですと言っている。乗せたいけれども三社協定があるから乗せられないということをはっきり言っているのですよ。それを今の局長さんは、キャセイは自分のところの自主的な経営的な事情で、そういうことをやっていない、これは自主的に百席以下に抑えているのだなんていう詭弁はこの委員会では通らないですよ。時間がありませんから最後の質問にします。  最後に運輸大臣にお尋ねをいたしますけれども、日米構造協議の中でも、日本国内における日本企業と外国企業との差別、市場開放されていない部分への非難、外国企業の公正な取引からの排除等、アメリカ側から問題指摘が行われているところであります。外国キャリアヘの航空路開設、乗り入れ許可等についてどのように考え、具体的な予定について今後どのように考えておられるのか、例えば名古屋空港でもどの空港でも結構でございますけれども、どうなのかをお伺いをしておきたいと思います。
  181. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 私の方から最初にお答えします。  先生御承知のとおり、国際航空におきましては、我が国と相手国との間で航空協定を締結いたしまして、それに基づきまして路線、便数を合意した上で航空法に基づいて外国航空企業の乗り入れが許可される、そういうシステムになっているわけでございます。  今後、日本のどの都市にいかなる国の航空企業が乗り入れてくるかということについては、我が国と相手国との間の航空交渉を通じて決定されることになるわけでございますが、御質問のございました名古屋についてちなみに申し上げますと、昨年十一月の日米間の合意に基づきまして本年十月以降、米国の航空企業が新たに乗り入れる可能性がございます。それから、最近でございますが、マレーシアと合意に達しまして、マレーシア航空と全日空の共同運航便が本年十一月以降、クアラルンプール−名古屋間の路線を開設する計画を持っております。
  182. 大野明

    大野国務大臣 いずれにしても、現況、成田あるいは大阪空港もキャパシティーいっぱいだと言われております。そういう意味からいっても、地方空港が国際化の中で大いに活用できるようにしたい、こう考えております。その中において名古屋空港というのは成田、大阪に次ぐ空港ですから、私はでき得る限りそういうような観点に立って、地方空港の活用はこれまた地方の国際化に資するわけでありますから、今後そのような方向でやっていきたいと思っております。
  183. 赤松広隆

    赤松分科員 これで終わりますが、きょうは大変短い時間で、三十分ですから詰めた話がそれほどできなかったかもしれませんが、大変重要な問題ですし、私どもが指摘をさせていただいた問題は現に大きな問題としてあるわけですから、引き続いてまた別の場所で、この問題についてもまたほかの地域の問題についてもどんどんやらせていただくということだけ最後に申し上げて、私の質問時間が来ましたから質問を終わらせていただきたいと思います。
  184. 新盛辰雄

    新盛主査代理 これにて赤松広隆君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤繁秋君。
  185. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 それでは、分科会質問を私は一点だけさせていただきたいわけでございます。  私は香川県の第二区でございまして、丸亀、坂出、この都市の近くに実は住んでいるわけでございます。香川県というのは瀬戸内海に面しているものですから、我々が海にごみを捨てますと、これは直ちに処分されるわけなのです。ところが、海を不法に埋め立てて十五年間もほっておいて全然処罰がない、こういう行政をしている市や県に対して、それを指揮監督する運輸省運輸大臣が一体どのような所見を持っておられるのか、そしてその細かな問題について私はお聞きしたいと思うのです。  実は坂出の王越というところがございますが、これは五色台という山のすぐ下の海のところなのですけれども、そこにニチイという大型スーパー、これは、山梨県の小淵沢というところが第一回目のリゾートで、今度二つ目の候補地としてこの王越の木沢の塩田跡地にリゾート計画をやるということが明らかになっているのです。リゾートそのものは地域の活性化にもつながりますから大変よろしいわけでございますけれども、問題はその大手スーパー、ニチイの事実上の子会社の関西物産というところが、そのスーパーのリゾートの準備としてまず、塩田跡地北側の海の漁業権を、つまりその漁業権というのは第二種区画漁業権というわけでございますが、これをまず最初に取得しているのです。  この第二種区画漁業権というのは、香川県内に七カ所しかないわけでございまして、これを地元の漁協以外が取得するのは極めて困難なわけです。それにもかかわらず、昭和六十三年九月二十日に関西物産から香川県に漁業権取得の申請書が出されて、平成元年一月三十日に漁業調整委員会に諮問がなされて、二月一日調整委員会開催、二月二十日公聴会、三月三日答申、三月三十一日坂出養魚の漁業権の末梢、これは前任者です、そして四月一日関西物産が漁業権を取得するという、大変異例なスピードで認められているわけなのです。これは大変問題なんですけれども、きょうは運輸省ですから……。こういう問題が起きているという側面がある。  そういう側面で、一方で六十三年九月に坂出の地元漁業組合長が経営をしていた有限会社坂出養魚から塩田跡地北側の雑種地を関西物産が買ったわけなのです。問題は、この買った面積というのは四千五百六十平米なのです。ところが、実測をしますと九千三百平方メートルもある。だれが見ても——買った土地ですから、境界線を当然引きます。この隣の所有者、そして地元の人たち、坂出養魚の前任者の人たちの代表者六人が集まって、境界線はここですねと引っ張っているのです。こういうふうに引っ張っているということは、買った人は、その向こう側の海側の土地は一体何だろう、これは当然思うのです。当然思うということは、海側ですから、しかもそこには水槽が建っていた、したがって当然水槽跡地だということは推測されるわけなのです。そして、ある新聞によりますと、当然関西物産はそのとき、ははあ、これは不法埋め立ての土地なんだなということを知っていたというのです。そういう報道が朝日新聞に書かれています。  したがって、この関西物産というのは、あらかじめそれが不法埋め立てであるということを知って、そして陸地の側の面積を半分ぐらい買って、その向こう側の不法埋め立て地を買ったその以降、今度は水槽撤去、土地造成をして建設ができるような土地に仕上げたということなのです。そして、建築申請をして払い下げを請うというような、大変用意周到にされている。しかも、その関西物産が大手ニチイの子会社であるということ。したがって、これはぜひとも運輸大臣にお聞きしたいのですが、坂出市や県がこれを現在のところは認めて、もはや払い下げを待つ段階にまでなっている、こういうような県や市の行政の姿勢に対して、運輸大臣としての所見をお伺いしたいと思うのです。——いや、運輸大臣に所見を聞いているのですよ。
  186. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 とりあえず事実関係を申し上げます。  ただいまお話のございました坂出市の管理しております木沢港でありますけれども、ここで、今お話にありましたような坂出養魚あるいは関西物産というような関係でいろいろな事実が起きております。そこで、公有水面の埋立免許ということに絡んでくるかと思うのですけれども、この公有水面の埋め立てがまだ、正当な手続で行う、こういう必要があるわけですけれども、この埋立免許につきましては、いわゆる機関委任事務といたし まして港湾管理者の長である坂出市長に権限がゆだねられております。そして、特殊な例、非常に大規模な埋め立てとかそういうものを除きまして、これは地方自治を尊重するという観点から、国としては個別の免許等に関しまして関与することはないということでございます。  しかし一方では、国の事務を委任している、それが正当に行われなければいけないという観点もございますから、港湾管理者の長である市長を運輸省としては指揮監督するというようなことをしたり、あるいは研修とか、そういうことをやってうまく行えるようなことをやっている、こういうことでありますので、運輸省自身、直接的な責任がそこには生じてこないというふうに思っております。一般的にはございます。
  187. 大野明

    大野国務大臣 地元には地元の実情等がやはりございますでしょうから、私どもも、今局長から答弁しましたように、きちんとしたところへ管理者として業務を委嘱しておるわけですから、そういう意味で、地元の方で適正に処置されておられる、やっていただくことが一番いいのではないかと思っています。
  188. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 適正にやっていることが一番いい、そのとおりでございます。そして、運輸省として法律的義務はないのも私は承知しております。しかし、指揮監督という立場があると私は思うのです。したがって、その点から私はお伺いをしたいと思うのです。  まず、この不法埋め立てといいますか、この埋め立てられた場所について運輸省として公有水面埋立法の三十六条、これにかかわる問題と思っているかどうか。私は坂出市も県も調べましたが、国と十分相談をした、こういうふうになっておりますから、相談をされたときに、これにかかわるというふうに考えてしたかどうか、その点について私はお聞きしたいと思うのです。
  189. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 時系列的に申し上げますと、関西物産に水域占用許可をしておりますね。これが七月でございますけれども、その後、私ども運輸省の方にこの事実関係の説明に地元市から見えているということでありまして、その説明を受けたときにはもう既に水域占用許可を出した後でございますけれども、こういうことはその一点をとらえて見れば非常に不適切ではないのかということで、正当な手続でもってそれから以降の手続を進めてくださいという話をそこでいたしているわけであります。それは、時点的には占用許可がされた後でございます。
  190. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 私が聞いているのは水域占用の問題じゃなくて、その海面を埋め立てたという事実が公有水面埋立法第三十六条に該当しているかどうかということを聞いているんですよ。それを聞いているんです。
  191. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 これは、正当な手続でやれば埋め立てに類する行為ということになると思います。(加藤(繁)分科員「これにかかわるということですね」と呼ぶ)はい。
  192. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 私もそう思うんです。これは昨年十二月の坂出市議会の議事録の中で坂出市側も、不法埋め立てだ、こういうふうに質問者に対して答えているのです。したがって坂出市も不法埋め立てだと認めている。そして、香川県平井知事に対してある県会議員が質問しているのですけれども、その中においても平井知事はこういうふうに答えているのです。「今後はかかることのないよう、関係法令に基づき適正、厳正な管理に努めてまいる所存でございます。」したがって、市も県も不法埋め立てたと認めている、そして今、国も認めている、こういうふうに考えてよろしいですか。
  193. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 これはなかなか不法埋め立てかどうかというふうに的確に判断するのは難しいことでありますけれども、今系列的に御説明申し上げましたのは、まず、坂出市港湾管理者が水域占用許可をしているということですね。その水域占用許可をするときに、大きい面積全体ひっくるめて占用許可をしているわけでありますが、そのときに埋め立てとみなされるようなものまで含んだ格好で占用許可をしているということがございまして、そこの点は、地域の振興あるいは港湾をいかにうまく利用するかということをどのように阻害しないかという観点とか、いろいろなことを考えて市として総合的な判断をしたということであろうと思うのです。したがいまして、そこの時点をとればぐあいが悪いことではあるのですけれども、総合的に見ればやむを得ない仕儀であったのかな、こういう理解をしているわけです。
  194. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 だから、それは結果の問題としてそういうことを言っているのであって、国が相談を受けたということは、八月九日ですね、原状風復義務に関し国と協議と、これは坂出市議会の議事録なんですけれども、そういうふうになっていますから、恐らくそのときに聞いたと思うのです、したがって、その段階において海が不法に埋め立てられていることについて、これは三十六条に違反しているなというふうに考えるか、いや、違反はしていないというふうに考えるか、これは私考えなければいけないことだと思うのですよ。僕は全部通して聞いているんじゃないのです。全部通しては最後に聞きますから、途中を聞いている。  そしてもう一つ、おたくの運輸省の方が来ましたけれども、そのときに、八月に知ったのです、こういうふうに言われたんですよ。遅いじゃないですか、どうしてですか。いや、あれは財務局から相談されておるみたいだ。どうしておたくはそのときに市や国に対して遅いじゃないかというふうに言わなかったのかということですよ、この相談を受けたときに、八月九日に。そうでしょう、海を埋め立てても問題ない、会社が海をばっと埋め立てても問題ないんだという立場なら、それはもう全然しからないでしょう。しかし、我々がごみをぽっと捨てたら、それはだめですよと言ってすぐ法律で処分しておいて、会社、しかもニチイの子会社が埋め立てをしたら、それは問題ないんだというふうに考えているのだったら、これは大問題ですから。それとも問題があるというふうにそのとき考えたか、それを聞きたいのです。
  195. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 不法埋め立てである、こういうお話ですが、これは実は埋め立てがされたのは非常に古い話、四十八年から四十九年にこの埋め立てがされているということがあって、十五、六年間それがわからなかったという事実があります。そして、八月に御相談に見えたときに当方がお答えしておるのは何かというと、水域占用許可をしているということに対して、まずいのではないか、不適切、その一点だけをとったら不適切、総合的に見たときにはまあいいのであろうということで、その後の正当な手続、すなわち海岸を原状に復旧させるか、あるいは復旧させないのであれば国に無償で帰属をして売るなり貸すなり、そういう正当な手続をおとりください、こういう指導をしているわけであります。
  196. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 いや、水域占用の問題は私は後で聞きたいのですけれども、そうしたら、お伺いしますが、七月三日に坂出市は坂出養魚に対して原状回復を指示しているのですよ。これ、知っていますか。坂出市は一番最初は原状回復を指示しているのです。そして、その後水域占用とか何かいろいろ起きているのです。したがって、原状回復を指示したということは、これは不法埋め立てだから指示したのでしょう。だから、当然運輸省としても、県や市が認めているようにこれは明らかに不法埋め立てたなと考えてしかるべきじゃないかと私は思いますよ、それはどうですか。
  197. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 免許を申請しない、無願で埋め立てをしているということでありますから、それは無願埋め立て、不法な埋め立てであります。
  198. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 そうですね、わかりました。運輸省としても、そういう届け出をしてない、したがって三十六条には該当する、こういうことですね。  こういう立場で以下の質問をしたいと思うのですが、まず、先ほど言いましたように、七月三日に市が原状回復を指示したのですよ。私は、市や県がそういう処置をとったことに対して、国側の 指揮監督権はどうかという点について聞いているのですよ。だから、そういうことについていいかどうか、国の判断をお聞きしたいのです。七月三日の段階では土地が造成されていることを認めているのです。ということは、七月三日の段階で不法に埋め立てられた土地がある、こういうふうに認めているにもかかわらず、どうしてそれを水域占用許可を出したのかですよ、陸なのに。陸だったら水域じゃないでしょう。この点についてお伺いしたいのです。
  199. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 そこの点を先ほど御説明申し上げたわけでありますけれども、八月九日に我々がそのことを聞いたときには、水域占用許可ということで、陸地になっているところ、そこをひっくるめて占用許可をだしているわけでありますけれども、そのことの一点をとらえれば非常に不適切な行為であるというふうに我々は理解をいたしております。ただし、地域の振興でありますとか、そこにあります港湾に支障があるかとか、もろもろのことを考えたときに、短期間そういう状態が続き、その後正当な手続で原状に回復をする手続をとるとか、あるいは国に無償で帰属をさせてその後売るとか貸すとかという正当な手続をとるべきであるということを申し上げたわけであります。
  200. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 では、不適切な処置だったということですね。そういう陸地であるのに水域占用を認めるというのはおかしいんだ、そういうのはおかしいんだ、こういうふうに言ったということですね。
  201. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 おっしゃるとおり、総合的に全体を見ればやむを得ない仕儀であったと思うが、その一点、その土地になっているところを占用許可をするということは不適切なのである、したがって、これから正当に手続をして正当な状態に持っていってほしいという指導をしたということであります。
  202. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 それでは、それ以降は正当にしてください、こういう指導をした。  そうしますと、今度、この水域占用許可申請書があると思うのです。そのとき出されたその申請書の目的には、一体どのような目的で出されたと書いてあるのですか、お聞きします。
  203. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 それはその水域、その前面の水域並びにその土地をひっくるめて占用をしたい、こういう許可申請であります。
  204. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 それでは、何のために使うというふうに書かれていたか、その申請書の中身です。
  205. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 蓄養殖施設用の施設をつくるために、こういうことであります。
  206. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 違うでしょう。やや似ているけれども、防護さくと石積みでしょう、その申請書の中身は、目的は。そういうためにそれをつくるのだ。問題は、この水域占用許可というのは、これは占有ですから私有とは違いますね。したがって撤去可能なものだ、こういうことだと思うのです。したがって、そこに建てられたら永久にのけられないもの、そういう場合には占有許可がおりない、こういうことですね。したがって私は、出された占有許可の目的と実際その占有許可が出て許可された後に建った建物とは明らかに目的が違うと思うのですが、いかがですか。
  207. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 先ほど申し上げました目的でありますけれども、蓄養殖施設をつくるという目的で申請をされております。
  208. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 そうしたら、ポンプ室とか冷蔵庫とか事務所とかというのは違うのですね。それを海面部分の埋め立てのところに建てるのはおかしいですね。
  209. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 蓄養殖施設ということが使用目的でありまして、上に建てられます建物等を建てる、そして水面も使う、こういう目的でこの占用許可願いがされたわけであります。
  210. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 私運輸省のある人に聞いたら、占有許可という場合はどういう建物が建てられるのですかとこれは調査室を通して聞いたのです。そうしたらお答えは、桟橋とかあるいはすぐに撤去ができるものしか認められない、こういうお答えを運輸省の方からいただいているのです。それから見ると、この関西物産が建てたものというのは明らかに目的外使用じゃないですか。
  211. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 おっしゃいますように、水域占用というのは土地のように撤去できないようなものではなくて、通常は桟橋とか防波堤というようなそういうものが水域占用という場合に当たると思います。
  212. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 だったら、これは虚偽の申請ですね。その海面上の目的と違ったものを建てている。したがって、虚偽の申請をした場合には六十一条で罰せられるはずだと思いますけれども、いかがですか。
  213. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 蓄養殖施設をつくるという目的自体は虚偽の申請ではないと思いますけれども
  214. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 撤去可能ですか、それは。
  215. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 撤去不可能というか撤去が難しいと思われますのは、不法埋め立てをされている土地ですね。そこのところは撤去不能ということで水域占用許可の対象にするには不適切なのではないかということから、先ほど申し上げました全体としてやむを得ない仕儀であってもその一点に関して言えば不適切なのではないか、こういう指摘をいたしたわけであります。
  216. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 そうでしょう。したがって、あれは海岸部分自分の買った土地と運輸省の所管と三つあるのですよ。自分の買った土地は問題ない。海岸部分建設省ですからここでは問題にならない。そうすると海側です。その海側が既に陸地になっている、不法埋め立てで。しかしその陸地をこじつけて水域占用を出した。その水域占用の場合の許可が養魚施設をつくるのだということで出した。ところが、実際は海の上に、不法埋め立てをした上に建物が建っている。これは取り壊しのできないものなのです。したがって、海岸部分とか自分の建物だったら別ですよ。当然海であるところ、それを水域占用許可を与えてその上にいわば占有許可を与えられないものを建てている。これは見てくださいよ。そういう立場じゃないというふうにお考えですか。
  217. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 ただいま建物とおっしゃいましたけれども、建物自体というよりもその建物の建てられているのか建てようとしているのか(加藤(繁)分科員「建っているのです」と呼ぶ)その土地の部分ですね、海中に埋め立てられてつくられた土地の部分、これは通常の土地というような感じでありますから撤去できないし、そうしますと、それを水域占用という格好で認めるのは不適切ではないのか、この一点をとればそれは不適切でしょう、こういうような指摘をしている。  しかし、全体として見ればそれは港湾管理者の長である市長さんが総合的に判断され、短期間のつなぎの措置としてそういう措置をとられたということはやむを得ないのではないか、こういうことでありますけれども、やむを得ないというのはその次に正当な手続がされるからやむを得ないということでありまして、つくられた土地については原状に復帰するあるいは無償で国に帰属し、その後買い取るあるいは借りる、こういうような正当な手続をおとりなさい、こういうふうに申し上げたわけであります。
  218. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 正当な手続をとりなさい。そうすると水域占有許可を出したというその一点をとらえたらまずかった。しかし、それはもう出して認められている。そうだとしますと、今度は法律的に見ますと、水域占有ですからそこは海面なのです。そうすると、当然運輸省が言うように適切な措置をとるべきだったらもう一回水域占有許可を取り外して別な措置が適当な措置じゃないかと私は思う。ところが、法律的には海であるにもかかわらず、その上に第二期の建築申請が出たらそれを認めている、そしてその後に原状回復義務免除ですよ。これはおかしいじゃないですか。運輸省が言うようにその後適切な措置をとっておればいいのだ、その後も間違っているじゃないですか、その点についてどうですか。
  219. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 その後、水域占用許可をその土 地を含めて出し、しかし、それは短期の措置でしかあり得ないということで、無償で公共帰属、こういう手続になっているわけでありますから、それは正当に行われていると思います。
  220. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ちょっと違います。こうですよ。七月十九日に関西物産に水域占有許可を出した。したがって、この段階はここは海だということですね、法律的には。そして八月九日に原状回復義務に関し国と協議した。そして八月二十五日に第二期計画の建築確認を通知した。したがって、八月二十五日の第二期計画の建築確認が出たときは法律的には海なのですよ。その海の上に建築しますという申請書が出されている。それを認めているのですよ。これは一体どういうことですか。おかしいじゃないですか。海の上には建たないですよ。
  221. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 水域占用許可をした中に不法埋め立てでできた土地があってそこに建築申請がされている、こういうことですね。
  222. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 順番が違うのですよ。不法埋め立てがあった、その不法埋め立ては問題があるけれども、最後に認めてやらなければならぬという結論があるから、おたくの場合には。したがって、一遍それは海なのだというふうにもとに返して、海だから占有許可を与える、海岸部分は海岸の占有をまた与える、こういうふうに分けたのですよ。そして問題は、陸地にあるにもかかわらず海だと認めて占有許可を出した。そして、今度はその海のところに建築申請が出たものだから、はい家を建ててください、こういうことをやった。その後に今度は法律的に海にもかかわらずその土地を原状回復義務免除だ。これは海と陸地とが法律上で交錯しているということなのです。そういうことをやっている市や県に対して運輸省はどういう指導をしたかということなのです。
  223. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 ですから、占用許可が出たときに、そこに不法の土地が入っているということがそこでわかったわけですね、我々は。したがいまして、それは短期の措置としてはやむを得ないけれども、その後正当な手続でもってその土地を原状回復をするかあるいは公共に無償で帰属させていくか、こういう正当な手続をとりなさいという指示をしたわけです。だから、暫定的な短期の措置としてはやむを得なかろう、こういうふうなことはやっちゃってあるわけですから、地元の市長さんの港湾管理者としてはそういうことを総合的に判断をしておやりになったことはやむを得ないのかな、こういうふうに我々は考えたということであります。
  224. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 短期だったら多少矛盾があってもいい、こういうことをおっしゃるということですね、私は今そういうふうに伺ったのですけれども。  そうしますと、そういうふうに短期であるにもかかわらず矛盾があった、しかもその前には水域占有という不適切な処理をしている、しかもその前にさかのぼるとこれは不法埋め立てた、いわば三つの問題がある。その土地をこれからリゾート計画をやって、すぐその横に関西物産が三点の問題があるにもかかわらず土地を持って、そういう三点の矛盾があるにもかかわらず今度は、国はそれを払い下げをするという姿勢なのかどうかです。
  225. 御巫清泰

    ○御巫政府委員 これは既に国に無償で帰属している、こういう状態があるわけですね、この不法埋め立てでできた土地。これは処分をどういう格好かでしなければいけない。普通にはそれを一般的にとられているルールに従って行っていくわけでありますけれども、このときに既にそういう土地を使用している状態にあるということから考えて、この関西物産に行くという可能性もあるわけでありますけれども、そこのところを十分地元においてお考えになるしかしようがないと思います。
  226. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 運輸大臣に、私、最後にお伺いしたいんですけれども、今そういう不適切な箇所が三カ所もあるという土地を地元に任して、運輸省は指揮監督権を放棄する、こうおっしゃったのですよ。そうしますと、我々国民から見ますと、ニチイの小会社である、つまりニチイがやったことですよ、そういう大会社が埋め立てをした、その点については、ああ、もうやったことだから後からつじつまだけ合わしてください、つじつまだけ合えばそれは払い下げましょうと。そしてその土地が上がったら一体どうするのですか。その人にもうけさすんですよ。そういうことを許す運輸省の行政指導なんですかどうか。その点について運輸大臣にお聞きしたいんですよ。私はもう時間が来ましたからおたくいいですから。運輸大臣お願いします。
  227. 大野明

    大野国務大臣 私、冒頭にお答えしましたように、やはりこういうことは地元のいろいろな考え方の中でそれを尊重しながら今日までもやってきました。やはり地元地元としてのいろいろな御計画もおありですから、そういうようなことで私どもとしては、今日までも本当に一生懸命やってきたものが、どうもそういうことを言われると、国が放棄したとかそんなことは、先ほど局長答弁を聞いておって私は決してそういうふうに感じませんでしたけれども、いずれにしても坂出の問題というのは一度私も聞いてみようと思っています。
  228. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 私、終わりますから、ぜひ聞いてください。そして、国民の間で、国は大会社と結託して大会社をもうけさすために不法埋め立てを認めている、こういう批判が起きないようにぜひとも行政指導を強めていただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。
  229. 新盛辰雄

    新盛主査代理 これにて加藤繁秋君の質疑は終了いたしました。  次に、有川清次君。     〔新盛主査代理退席、主査着席〕
  230. 有川清次

    有川分科員 精神薄弱者並びに精神薄弱児に対する運賃割引制度の実施の問題について、お伺いをしたいと思います。  社会的に生活を営む上で大きなハンディを持っていらっしゃる障害者障害児に対しまして、健常者同様に人間として平等に生活を営む条件を確保できる施策は極めて重要な福祉施策だというふうに思っております。その意味では障害のいかんを問わず平等に対応すべきだというふうに思うわけであります。しかし、障害者に対する旅客運賃割引制度については、これまで内部障害者を除く身体障害者に適用されていましたが、今回内部障害者にもその適用が拡大されたところでございます。これは当然のことだと思いますけれども、それにもかかわらず、同じ障害者でありながらいまだに精神薄弱者に対しては全く適用されていないのが現状でございます。  精神薄弱者方々家族を含めて自立社会参加を目指して必死に努力を続けられ、積み重ねられているところであります。このために行動範囲も広がり、各種交通機関を利用する機会も多くなっているところです。交通機関を利用する場合は重度、軽度を問わずに介護を必要とする人が非常に多いわけでありますが、身体障害者皆さんと同様に、精神薄弱の方々に対しましても旅客運賃の割引制度が適用されるよう強く関係者から望まれているところでございます。  そこで、政府障害者対策の推進において決定されました基本的な考え方といたしまして提示された内容は、均等な機会の確保、完全参加と平等、障害者障害の原因、特質及び程度にかかわらず同年齢の市民と同等の基本的権利を有することという原則を基礎として今こうした施策が行われてきたというふうに思いますし、またそういう障害者対策の最も基本になるものであるということがこれまで明示されておるわけであります。この基本的な考え方に照らしても、障害内容について差別するということはとても納得できないところでございますが、障害者に対する基本的な考え方について、まず改めてお伺いをしたいと思います。  運輸省といえどもこうした基本を踏まえながら旅客運賃割引制度について今日まで取り組んでこられたわけでありますから、そこのところの考え 方をまず明確にしてください。
  231. 中村徹

    中村(徹)政府委員 身体障害者に対する運賃割引制度につきましては、昭和二十四年に身体障害者福祉法が成立いたしましてその附則で、国有鉄道運賃法運賃割引制度規定が追加されましたのを受けて昭和二十五年から国鉄により実施されたものでございます。これに倣いましてほぼ同時期に民鉄各社あるいは乗り合いバスが実施し、また航空につきましても昭和四十九年に割引制度を設けているところでございます。  その後、昭和六十二年の国鉄の分割・民営化に伴いまして国有鉄道運賃法が廃止されたとともに、同法の運賃割引制度規定は削除されたわけでございます。したがいまして、現在におきましては、そうした過去の経緯を踏まえまして各事業者がその自主的な判断によってそのような身体障害者に対する割引制度というのを身体障害者福祉法の精神を受けて実施しているというふうに理解いたしております。  ところで、本年の二月一日から内部障害者に対する運賃の割引制度の適用が拡大されたわけでございますが、これは昭和四十二年に身体障害者福祉法において内部障害者が対象となって、それを受けましていろいろ御要望も出ていたわけでございますが、本年二月一日にやはり事業者自主的判断ということで、こういう割引制度の拡大をこの身体障害者福祉法の精神を受けてやっているわけでございます。  ところで、この運賃割引制度というのは、今御説明申し上げましたように、割引による減収というものを一般的にその当該交通機関を利用しております他の利用者負担によって賄うことによって実施されているわけでございます。運輸省といたしましては、本来はそういう公共的な政策遂行のための費用を当該交通機関を利用している他の利用者によって負担させるということについては基本的に問題があるというふうに考えておりまして、むしろ一般の納税者全体において負担されるべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。  そのような観点から申しまして、ただいま精神薄弱者その他難病患者あるいは他の交通弱者の問題もあるわけでございますが、そういうことにさらに割引制度当該交通機関を利用する他の利用者負担において実施することについては、なお問題があるというふうに理解をいたしております。
  232. 有川清次

    有川分科員 私が求めないところまで先走って御答弁があったようでありますが、基本的には「均等な機会の確保」、「完全参加と平等」、「障害者障害の原因、特質及び程度にかかわらず同年齢の市民と同等の基本的権利を有すること」、これはきちっと踏まえた上でのことだろうと思うのですが、そういうことを確認していいですか。
  233. 中村徹

    中村(徹)政府委員 障害者に対する長期計画障害者対策推進本部において決定をされたわけでございますが、そういう重点政策については私ども承知しておりますが、これをどのような形でどういうふうに実施するかというのはやはり政府全体の問題だというふうに理解いたしております。
  234. 有川清次

    有川分科員 障害者の雇用事業所等におきまして、身体障害者精神薄弱者の各種交通機関利用時における著しい矛盾あるいは差別的な取り扱いが現実問題として今深刻な状況になっておるというふうに思います。また、一般の労働者はもちろんのこと、身体障害者と比較いたしましても賃金等の低い精神薄弱者は、運賃割引の優遇措置が受けられないためにJR、航空機等の利用ができずにいるか、あるいは本人及び家族の経済的な負担によって辛うじてわずかな旅行の機会を持っているにすぎない、こういう現状にあるわけでございます。  それは今御答弁になったとおりでありますが、しかるに今回は内部障害者も対象とした。今おっしゃるようにJRを初め各民間交通機関交通会社等に頼って割引制度を運用してきた、ここに大きなネックがあるから、今日基本的なことは踏まえていながらも結果として精神薄弱者あるいは児のこうした措置が行われていない、行われ得なかった、ここに問題があろうかと思いますが、そういう意味では今回を機に補助措置なり、今後厚生省等との全体的な話し合いを積極的に持つとか、そういうような意思、考え方なりがどうなっているのか、お聞かせください。
  235. 中村徹

    中村(徹)政府委員 本件につきましては、先ほどども考え方を申し上げたわけでございますが、内部障害者に適用を拡大いたします折に運輸大臣から厚生大臣に対しまして、こういう内部障害者に対する適用の拡大をするけれども、これはやはり事業者負担において、さらに突き詰めて言えば当該交通機関を利用する者の負担において実施しているわけであるから、これをさらに拡大するのは運輸省としては難しい、これはぜひ国全体でお考えいただくような問題であるということで、厚生大臣お願いをいたしたという経緯がございます。
  236. 有川清次

    有川分科員 今実施されている実態を見てみますと、外部の身体障害者は六十二年度の実績で対象人員二百十二万、そして金額として約六十億くらい、内部身体障害者はこれからの見込みですが、二十九万二千人で大体十二億ぐらいというふうに伺っております。そして、精神薄弱者の場合は療育手帳所持者を対象人員と見て約三十五万人、見込み額として十億くらいだろう、こういうふうに言われておるところでございます。仕分けがなかなか困難という問題など判断が難しいというのが大臣の御意見ですか、新聞等にかいま見られたわけでありますが、三十五万人のうち重度の障害者が十七万三千人、そしてその他が十七万七千人というふうになっておるわけであります。重度の場合には外部の身体障害者とのダブリもかなりあるのじゃないかというふうに思われる面があるわけで、そういう意味ではさらに減少する可能性もあろうかと思います。  私の出身である鹿児島は人口比において非常に高い比率を占めておうまして、重度で三千二百六十九人、その他で三千八百七十五人、こういう七十を超える人たちということになっておるわけであります。それだけに今度の国の内部身体障害者に対する対応について、結果を見られまして、何とかならぬのか、前から言っているじゃないか、なぜ差別するのだ、基本はどうなっているのだ、こういう切実な訴えが非常に強くなっておるわけでありますが、法律上範囲が明確でないからというような点についてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか。あるいは運輸省の方でそういうことをおっしゃるということは厚生省ともきちっと話し合いをしたりする中で非常に難しいとか、そんなような問題になっておるのじゃないかと思うのですが、そういうことなのかどうか、そこら辺をちょっと具体的に教えていただきたい。
  237. 中村徹

    中村(徹)政府委員 確かに身体障害者福祉法に基づく身体障害者の手帳を持っておられる方に比べますと、精神薄弱者福祉法に基づく精神薄弱者の方の手帳につきましては基準が明確でないとかいろいろ問題がございますけれども、私どもむしろそれは厚生省といろいろ話をしながら技術的に解決し得るものかどうか、これは厚生省と議論すればよろしいわけでございますが、身体障害者福祉法に基づく措置として私どもずっとやってきた。わけでございまして、内部障害者についてもその枠内でやってきているという過去の経緯に基づくものでございます。  これに対しまして精神薄弱者福祉法に基づく措置というのはこれまでもとられてきでないわけでございますが、これは他の、例えば公共料金につきましても似たようお状況というのはあるわけでございます。したがいまして、その辺の法律体系の相違等につきましてはむしろ全般的に考えていかなければいけないことで、運賃割引だけ取り出して、これを対象にして議論することには難しさがあるというふうに考えております。
  238. 有川清次

    有川分科員 私が質問したのは法律上の範囲の問題で、新聞は朝日新聞に載っておるのですが、記事どおりかどうかわかりませんけれども運輸大臣の「どの程度の障害まで適用範囲とするか明 確でない」という談話が載っているわけですね。このとおりだったのかどうか。そうであれば、厚生省との間で話し合いをされて具体的に詰められた結果こういう問題があったのでできませんでしたとか、そういうことになってこなければいかぬ。また、さっきの答弁では厚生省との話し合いというのが極めて不明確ですね。ちょっとその辺をはっきり言ってください。
  239. 中村徹

    中村(徹)政府委員 精神薄弱者の方の持っていらっしゃるいわゆる療育手帳の交付の問題が、仮にこれを実施しようとする場合には一つの問題点として残ることは確かでございますけれども、それが理由のすべてではないわけでございます。
  240. 有川清次

    有川分科員 今私が聞いたのは、理由の一つではあるけれども全体の問題じゃないとおっしゃるのだが、厚生省と内部障害者の問題をずっと進められるときに、精神薄弱者の問題についても厚生省とも話をされて、結果、法律上範囲が非常に問題がある、こういうふうになったのかどうか、そこの詰めを聞いているのです。
  241. 中村徹

    中村(徹)政府委員 私どもとしては、その精神薄弱者に対する割引制度の適用ということは厚生省にお願いすべきことだというふうに考えておりますので、そして厚生省の方で、厚生省の方でといいますか、つまり利用者負担事業者負担という形ではなく実施すべきだと考えておりますので、そういうことで厚生大臣にも運輸大臣からお願いもいたしたわけでございますので、厚生大臣の方でいや、これは実施してやるということになりまして、そして運輸省お話があればそれは技術論として話ができるものだというふうに理解いたしております。
  242. 有川清次

    有川分科員 内部障害者の関係で、この関係者の皆さんがこれまでどんな努力をされて実ったのかということを調査してみましたら、各運輸機関などに再三にわたり接触をしまして、そして血のにじむような大変な努力をしてこられたということのようなんですね。精神薄弱者皆さん方もそういう努力をされておる。ところがその努力の度合いが違うから、一方は認めて一方はもう厚生省単位、こういうふうにとられたのか、その仕分けですね。同じ障害者でありながら、なぜ精神薄弱者だけを、それは厚生省管轄であるべきものだ、こういうことになったのか、ちょっと今後の運動のこともありますから、お願いします。
  243. 中村徹

    中村(徹)政府委員 たびたび御説明申し上げましたように、身体障害者の場合には昭和二十四年以来の身体障害者福祉法という、そういう法体系に基づいて実施されておるわけなんで、その法体系内部の精神の実施の問題ということだというふうに我々理解しているわけでございます。それは過去の経緯からそういうものを国鉄運賃法というものが、かつて国鉄だったわけですから、そういう国鉄運賃法にそういう規定がある、それを受けての話なんでございます。そこのところでは精神薄弱者福祉法の適用ということはないわけでございますから、そこに違いが明らかにあるというふうに私ども思っておるわけであります。  ただ、その運動というようなことにつきましては、これは私ども運動があるからないからということでは考えることではないと思いますが、一つの過去の事実というのを申し上げますと、身体障害者運賃割引に対すも国会に対する請願というものが行われておりまして、過去五回ほど採択をされているやに私どもの記録にはあるわけでございますが、そのほとんどは内部障害者を対象とするもので、一度だけ「内部障害者等」ということで請願が採択いたされております。その「等」というのは恐らく精神薄弱者のことであろうというふうに私ども理解いたしておりますが、そういうような過去の事実があったことは確かでございます。
  244. 有川清次

    有川分科員 まあ大体考え方はわかったわけですが、やはり私最初基本的な考え方を、原則をお伺いをしたのは、法律では皆さんは、運輸省の場合は一応そういう一定の流れに基づいた対応をされた、こういうことに理解できますけれども障害者という定義の、あるいは人間として平等に差別なく平和に暮らしもできて生活できる、そういう条件をどうつくっていくかということでは、一つは今厚生省を中心にした福祉問題ですけれども、その一部をとって一つの運輸問題というのが出ておるわけでありますから、慎重な、そういう「等」が一つあったという程度じゃ非常に残念に思います。  日本の政治は、いろいろ法律もどんどん死に物狂いになって運動した者が得をして、差別をされてより以上厳しい条件にあるにかかわらずなかなか手つかずのところはそれは放置される、こういう状態が続けばやはり基本的な概念が非常に崩れてくるわけでありますから、ぜひ今後は、またそういう決議もしてもらうような運動もされるでしょうけれども、厚生省の方と、ネックはやはりそこにあるようでございますので、運輸大臣が談話で言われたように、皆さん交通問題については障害者の一部をそういう努力をして実現されておるわけですから、やはりそういうものにかかわる問題として厚生省との詰め、話し合い、協議という、そして差別をなくしていくという、みんながよく平等に暮らせるような条件をどうつくるかということについてぜひ御努力を願いたいと思っております。  私は、以上で終わります。
  245. 左藤恵

    左藤主査 これにて有川清次君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時五十七分散