運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-04-27 第118回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月二十七日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 内海 英男君       稲村 利幸君    自見庄三郎君       五島 正規君    谷村 啓介君       戸田 菊雄君    渡部 行雄君    兼務 鈴木  久君 兼務 辻  一彦君    兼務 石田 祝稔君 兼務 遠藤 和良君    兼務 寺前  巖君 兼務 山原健二郎君    兼務 神田  厚君  出席国務大臣         農林水産大臣  山本 富雄君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房予算課長   山本  徹君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君         農林水産省食品         流通局長    鷲野  宏君         食糧庁長官   浜口 義曠君         林野庁長官   甕   滋君         水産庁長官   京谷 昭夫君  分科員外出席者         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 細田 敏昭君         大蔵省主計局主         計官      山口 公生君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       近藤 信司君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 野村  瞭君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 壽紀君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         建設省河川局開         発課長     豊田 高司君         建設省道路局国         道第二課長   榎波 義幸君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   澤邉  守君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 分科員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   戸田 菊雄君     谷村 啓介君 同日  辞任         補欠選任   谷村 啓介君     五島 正規君 同日  辞任         補欠選任   五島 正規君     渡部 行雄君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     戸田 菊雄君 同日  第一分科員石田祝稔君、第二分科員神田厚君、  第三分科員辻一彦君、第四分科員鈴木久君、第  六分科員遠藤和良君、第七分科員寺前巖君及び  山原健二郎君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成二年度一般会計予算  平成二年度特別会計予算  平成二年度政府関係機関予算  (農林水産省所管)      ────◇─────
  2. 内海英男

    内海主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  平成二年度一般会計予算平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。谷村啓介君。
  3. 谷村啓介

    谷村分科員 私は、今岡山市に建設を予定されている場外馬券場の問題について御質問を申し上げたいと思います。  まず、今まで国会の中で十数回を上回る質問がこの問題についてはございました。そして、この特別国会でも恐らく私で四人目になるのではないかと思いますが、この問題に集中をして議論があったようでございました。したがいまして、余り今までの経過とダブらないような点でぜひ御質問をいたしてみたいと思うわけであります。  さて、まず第一に、いわゆる日隈日隈ビルがいろいろな競馬会の御指導あるいは農水省の意向等を無視して、建設中止のそういう指導について耳を傾けないという状況があるわけでありまして、四月一日の写真でございますが、もう既にこういうふうな外観を呈しているわけでございますけれども、こういう時期に当たりまして現状をいかに御認識をしていらっしゃるのか、地元状況とあわせてまず御説明をお聞きしたい、こういうように思います。
  4. 岩崎充利

    岩崎政府委員 岡山場外につきましては、昭和五十七年に誘致を受けまして、中央競馬会設置したい意向を有しておりましたが、昭和六十二年の七月、岡山市議会設置反対決議があり、また、地元住民にも相当の混乱があることは承知いたしておりまして、極めて憂慮しているところでございます。農林水産省といたしましては、現状から見て地元調整が十分になされているという判断はしがたく、このままでは中央競馬会から承認申請が出されるような状況にはないし、仮に出されるようなことがありましても、承認が下されることはあり得ないことであるというふうに認識している次第でございます。
  5. 谷村啓介

    谷村分科員 四月二十日の衆議院予算委員会におきまして、藤田高敏さんから御質問がございました。その際にも、地元意向に沿って中央競馬会を強く指導する、こういう御答弁が第一のようでありますが、第二番目に、地元調整がつかない限り承認しない、これが御答弁としてあったようでございます。  今の御説明の中に、地元調整がもちろんついていない、こういう御答弁でございましたけれども、これに反対される町内関係者の皆さんが最近世論調査をされましたところ、新福町という町内ですが、一、二丁目を対象に実施したところ、居住者のうち反対は三百三十五世帯対象世帯が四百二十六世帯でありますから、圧倒的な世帯がこれに対してノー、反対だ。七八%というような数字が出ておりますが、この点についてはいかがですか。
  6. 岩崎充利

    岩崎政府委員 反対内容については承知いたしております。先ほどから申し上げてありますように、岡山場外馬券場の問題につきましては、そういうようなことも含めまして、また市議会反対ということも含めまして地元調整がついていないということにつきまして、私どもはそういう ことで認識している、こういうことでございます。
  7. 谷村啓介

    谷村分科員 今お尋ねしたのは、こういう調査の結果は裁判所の方にも提出されておるようでありますが、これをお認めになりますかどうかという点です。時間がありませんから、簡単に。
  8. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私どもとしては、正式にはそういう形のものとしての受け取りということについてはしていないものでございますので、そういう形の中で具体的に認め認めないという話ではないかというふうに考えている次第でございます。
  9. 谷村啓介

    谷村分科員 ほぼこういう傾向であるというふうな認識はお持ちですか。
  10. 岩崎充利

    岩崎政府委員 農林水産省といたしましては中央競馬会からまだ申請が出ているという状況でございませんので、その辺のところの事実関係等々が地元においてはあるのであろうかというふうには受けとめておりますが、それを正式にどういう判断をするかということについては申し上げる段階ではないということでございます。
  11. 谷村啓介

    谷村分科員 それでは、競馬会の方にその点について、同じ質問ですがお尋ねしましょう。
  12. 澤邉守

    澤邉参考人 昨年の春にも署名がございまして、それも私ども承知をいたしております。また、ただいまお話がございましたアンケート調査ですか、これもお話としては伺っておりますし、裁判所に出しているということも承知をいたしております。
  13. 谷村啓介

    谷村分科員 そこで、今までの議事録を精査してみますと、競馬会の方から日隈に対して七回から八回の、建設について中止をしてもらいたい、こういう御要請といいますか御指導があったようでありますが、この点はいかがですか。
  14. 澤邉守

    澤邉参考人 着工に際しましても、着工は好ましくないという申し入れといいますか要請を私の方としては当初からいたしておりますし、その後も、着工したことによってかえって紛糾する事態が見られましたので、数回にわたりまして口頭、さらに文書中止方申し入れております。さらに昨年の十二月、十一月二十二日ですか、衆議院決算委員会での御質問がございましたので、そのとき農林大臣指導も改めてございましたので、再度文書をもって中止方の強い申し入れをいたしております。
  15. 谷村啓介

    谷村分科員 どういう申し入れをされたか明らかにしてもらいたいのですが、口頭あるいは文書で七、八回というふうになっておるわけですから、その文書を御提示願えますか。
  16. 澤邉守

    澤邉参考人 数回やっておりますからその都度違いますけれども、最終的に文書を出しましたのが昨年の十二月八日でございます。それから、二十二日の決算委員会での質疑大臣また私自身答弁もございまして、直ちにその後口頭中止方申し入れました上で、十二月八日に改めて文書を出したということでございます。  その内容につきましては、現情勢下において本会が農林水産大臣設置承認申請を出せる状況にないことは言うまでもないことだ、このようなもとで建設工事を進めることはいたずらに地元混乱を招くだけだ、したがって、現段階での工事の施行は即刻中止されるよう重ねて申し入れますというようなのが趣旨でございます。
  17. 谷村啓介

    谷村分科員 即刻やめなさいというような指導に対しても、依然として工事は続行されました。そして今お見せをいたしましたような外観が既に完全にでき上がってしまっておる。こういう点についてのお考え、いかがですか。愉快なことなんですか、不愉快ですか。
  18. 澤邉守

    澤邉参考人 私どもも甚だ遺憾に思っております。
  19. 谷村啓介

    谷村分科員 次に、小川国彦さんの質問で、賠償責任の問題が追及をされました。今法廷で争われておる問題もございますが、日隈小坂さんという常務がおられまして、この間も大きな声で、これができないなら競馬会の方に買い取ってもらうというふうなことを言っておったということなのです、聞いた人に確認しました。そういったことについていかがですか。
  20. 澤邉守

    澤邉参考人 前回の小川委員に対してもお答えしたとおりでございまして、私どもといたしましては、工事着工することあるいは着工してからの中止についても強く要請したところでございますが、その際、地元混乱を招くから、かえって地元調整の支障になるからということのほかに、仮に着工を強行したとしても私どもとしては一切そのリスクは負わないよということは重ねて何度も申しておりますし、相手にその意図は十分伝わっておりますので、私ども賠償をすべき責任は全くないというふうに考えております。
  21. 谷村啓介

    谷村分科員 賠償責任はいかなる場合もない、これは確信されているのですね。それはもういいですよ。  それでは、時間がございませんから次の質問に移りますが、例の事前協議について、五十八年の十月二十七日、警察庁と農林水産省の間で覚書が交わされておるわけでありますが、この協議したものを許可申請書に添付するということになっておるわけでありますけれども、こういった協議についてはいかにお考えか、そういう状況があるのかないのかという点をお聞きしたいと思うのです。
  22. 澤邉守

    澤邉参考人 手続的には一般的に地元調整が終わってから協議をするということにしておりまして、今回まだ地元調整が終わっておりませんので、協議は全くいたしておりません。
  23. 谷村啓介

    谷村分科員 したがって、所轄の警察署の方にはそういう申し入れは一切してないということですね。できる状況にないということですね。
  24. 澤邉守

    澤邉参考人 こういう事情になっておるという話はもちろんその都度したことはございますけれども協議はいたしておりません。
  25. 谷村啓介

    谷村分科員 先ほども御説明ございましたが、岡山市議会反対決議をいたしておることは御承知のとおりであります。これは農林水産大臣あるいは農林省にお尋ねしますが、この岡山市議会決議というものの重みといいますか、そういったものをどのようにおとらえでしょう。
  26. 岩崎充利

    岩崎政府委員 昭和六十二年の七月に岡山市議会反対決議をされたということは承知いたしております。農林水産省といたしましても、市議会反対決議については重要なことと認識している次第でございます。
  27. 谷村啓介

    谷村分科員 極めて重要なことというふうに思っていらっしゃる。これがある限り前に進まない一つ要件だと私どもは思っておりますが、いかがですか。
  28. 岩崎充利

    岩崎政府委員 この反対決議があるという事実は、地元調整が十分になされているかどうかという判断に大きな影響を与えるというふうに考えている次第でございます。
  29. 谷村啓介

    谷村分科員 それでは、次の質問に移りましょう。  二つ施設という考え方がございました。今のところと新たに天瀬ですか、そこの二カ所にしたらどうか、こんな話がございまして、競馬会の方にはその話ができておる、申し出ができておる、こう聞いておりますが、その点はいかがですか。
  30. 澤邉守

    澤邉参考人 六十三年の九月だったと思いますが、表町、千日前商店街のあるところでございますが、それから新福両者合同の連名で、私ども併設をしてほしいという要望書が出されております。
  31. 谷村啓介

    谷村分科員 その二つという考え方は何に基づくのか。
  32. 澤邉守

    澤邉参考人 その前にちょっと経過等を申し上げますと、新福設置について、地元調整ができればつくることを検討したいという内意を私どもが示したのは六十年の九月だったと思いますが、その後、表町の方からも我が方につくってほしいという要請がございましたけれども、その段階ではお断りをいたしました。地元商店街活性化も図られるからぜひつくってほしいという要望がありましたけれども、断ったいきさつがございます。  そういう背景もございまして、さらに新福がその後非常に紛糾しておるということで両者話し合 った結果、両者つくれば新福混雑の緩和にも役立つし、また表町の方も単独ではいろいろな点で難点がある、それが併設ならば両者に分散されるのでこれも設置可能ではないかという判断のもとに両者意見が一致して、先ほど申しましたような要望書が出された、こういうふうに理解しております。
  33. 谷村啓介

    谷村分科員 主にその発想交通の問題が中心になっておるように思いました。最近の交通状況を見ますと、おっしゃるようなことになってないのですね。ごく最近の資料を見ますと、これは六十三年十月十三日の調査でございますが、岡山港線、人絹道路が〇・七四の混雑度ということであります。そして豊成線というのが、これは新福に関する道路でありますが、これも一・〇二という大変な混雑度であります。許容量を超えておるということ。さらに今おっしゃる第二地点の天瀬の前の国道を見ますと、一・一四という既に大変な混雑度なのです。この十月十三日の調査によりましてもそうなのですね。したがって、競馬会がお考えのような、そういう条件が緩和するどころじゃない、こういう状況なのですよ。したがって、二つ施設交通の問題を解決できると思われるのは、私は大いに現状認識不足だと思わざるを得ませんが、この数字をお聞きになってどうお考えですか。
  34. 澤邉守

    澤邉参考人 今専門的な数値をお述べになりましたので、私、今直ちにここでそれがどういう意味を持つのか十分理解できない面もございますけれども、私ども併設を決定しているわけではございませんので、そういう要望があって、私どもとしては地元調整ができれば、さらにまた、地元調整の上に交通問題ということになりますれば警察協議でその点がなり重点的に協議が行われるわけでございますので、その専門当局判断も得られるなら得て、協議が調うならば設置をしたいという気持ちは、もっと前向きに検討したいという気持ちは持っておりますけれども、まだ決定しているわけではございませんので、その辺は慎重に検討したいと思います。
  35. 谷村啓介

    谷村分科員 参考までに申し上げますが、これは発信者岡山土木部道路建設課資料でございますから、この点は明らかにしておきたいと思います。ぜひひとつ、そういうふうな交通事情ということはよく御承知の上でこの問題についても御対処願いたいというふうに思うのであります。  さて次に、第百十三国会で、一井さんの質問に対しまして、地元調整が完全に行われることが要件だ、こういう御答弁が当時の京谷局長さんからありました。これは議事録をごらんになるとそのとおり載っております。完全なる地元調整ということ、この中身はどんなことなんですか。どういうことを具備すればいいのですか。
  36. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども地元調整、あるいは完全な地元調整と申しましても不完全な地元調整というものもないわけでございまして、ただ地元調整を強調したというふうに受けとめておりまして、前から御説明しているように地元調整が行われるということとして受けとめている次第でございます。
  37. 谷村啓介

    谷村分科員 もう少し明確に答えてもらいたいんですよ。完全なる地元調整とは一体どういう要件をいうのか。
  38. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地元同意が得られるということでございます。
  39. 谷村啓介

    谷村分科員 それは冒頭に私が念を押しましたように、地元は七十数%は反対している。まずその傾向についてはお認めになったわけですから、そういう点については今地元調整ができてない一つの根拠だ。それからもう一つ先ほど挙げました岡山市における決議ですね。およそこの決議なるものは意見書と同じような重みを持つということが専門書に書いてありますけれども、それももう一つでしょう。もう一つ警察協議でしょう、これは当然必須要件ですから。そういう問題ですね。そうですか。
  40. 岩崎充利

    岩崎政府委員 前から御説明しているように、今のように地元同意ということで、そのときに岡山市議会議決ということも私どもは重く受けとめている。その後、警察協議ということにつきましても、これらが整わないと地元調整ができたというふうには考えておりません。
  41. 谷村啓介

    谷村分科員 それでは不完全などころか、全く何もできてない。地元同意もない、警察協議にも入れない、市議会議決はそのまま生きておる。その調整というものは何ら進んでいない、こういうことなんですね。
  42. 澤邉守

    澤邉参考人 まだ農林水産省に私ども承認申請を出す前の段階のことでございますので、私どもの方が詳細を承知しておるところでございますので申し上げたいと思いますが、地元調整については、地元町内会同意ということ、地元町内会がどの範囲かということは個別判断するわけでございますが、この新福のケースの場合は地元町内会同意は六十二年の一月-三月の間に提出を受けております。私どもといたしましては、町内会正規の手続を経て文書で提出されたものを信頼をするということで、その段階同意を得たというふうに考えております。  ところがその後、御承知のように市議会反対決議が行われました。同じ年の七月でございました。そうしますと、通常の場合は市議会の問題になるということは非常にまれなことでございまして、大体市当局あるいは市議会は、市全体の問題ではなくて地元町内会の問題ということでその町内会判断に任せるというのが普通でございます。しかし、岡山の場合はいろいろな事情がございまして、市議会反対決議まで行ってしまったわけでございます。  したがいまして、そのいきさつにはいろいろなことがあったようでございますけれども、一たん市議会決議をした限り重要な事項として受けとめざるを得ないということでございますが、それを契機といたしましてさらに反対派の動きが強くなりまして、御承知のような憂慮すべき状態が続いておるわけでございます。先ほどお答えもいたしましたが、反対署名とかあるいは反対アンケートとかいろいろございますけれども、私の方としては、だからといって前の同意が無効になっているとまでは言い切れないというふうに考えております。正式の町内会からの同意書が出されておりますし、またその後も、同意したんだから早く着工すべきではないかといういわゆる賛成の方々の意見もございますし、両者分かれておりますので、いろいろな反対署名等があったからといって直ちに無効であるというような判断はいたしておりません。
  43. 谷村啓介

    谷村分科員 いいかげんなことを言ってもらっては困るよ。今あなたがおっしゃるように、最初町内会長さんが判を押したということは言っているんだ。その後の情勢について先ほど私は、したがって現状をどう認識しておるかという話をしたんです。それについては、現状については先ほど私が説明したような多くの人が反対をしておるということをあなたはお認めになったんじゃないですか。それでなお今、いえ、一番最初のやつがあるんですよなんて言い方はいけませんよ。特に、かつて田中美智子さんが質問主意書をお出しになって竹下さんが答弁されているのですが、その中にも「場外発売所設置に当たつては地域社会との調整を十分に行うよう指導していく考えである。」ということを政府が明らかにしておるわけですが、こういう点から照らしてみても、私は今のあなたのような発想ではこれは到底前向きに進まない、そういうふうに思います。現状認識が甘い、こういうふうに思いますよ。いかがですか。一言で結構ですから。
  44. 澤邉守

    澤邉参考人 先ほどお答えいたしましたのは、反対署名とかあるいはアンケート調査の結果は承知しておるということを申し上げたわけです。
  45. 谷村啓介

    谷村分科員 そこで、時間があと四分しかないようでございますから質問を急ぎますけれども先ほどから挙げてまいりましたように、建設中止指導も聞かない。あるいは、岡山市長もたびたび、建設中止してくださいよ、そういう行政指導をしておるのです。それからもう一つは、御存 じのように、一億円の賠償をしろという要求を日隈地域住民に対して、工事がおくれたということを理由に今訴訟中なんですね。そういった問題によってますます地元の方の反対意向は強まる、反対の運動は強化される、こういう状況が出ておるわけであります。また、先ほども私取り上げましたけれども小坂常務賠償についての発言等も多くの大衆が聞いておるわけです、法廷ですから。そういう問題。あるいは、競馬会それ自身が生まれてきたゆえんというものは、当初は政府機関であったわけです。それが特殊法人になって今の競馬会があるわけでありますが、「特殊法人総覧」というのを見ますと、これは総務庁の行政管理局が監修しているようでありますが、この前書きのところを見ますと、特殊法人というものは政府に必要な特定の事業を営んでいるんだ、こういうことでございますね。したがって一〇〇%政府の出資でもございますし、まさに政府事業だ。納付金等の問題もございますし、政府事業でしょう。  そういうさまざまの問題を持つこの場外馬券場岡山住居地域への進出は、極めて重要な意味を持っておるわけでありますから、これについては大臣、ある程度の時期には見切りをつけないと、既に四年続いているのですから地元住民の苦しみというのは大変なんですね。実際は大家になる日隈さんのそういうやり方、一体適当と思われるかどうか。そこにテナントとして入るのは特殊法人競馬会ですから、しかもそれを御承認になるのは農林省でありますから、そういう点について私は、市議会議決もございますが、これからの見きわめを一体どうするのか、いつまでもほっておくのか、そういう点について大臣の所信をお聞きしたい、このように思います。
  46. 山本富雄

    山本国務大臣 先生からるるお話のございましたように、本件につきましては、今までの経過いきさつなど私も十分勉強させていただいた、認識をしておる、こういうふうに思っております。  当然のことでございますけれども農林水産省中央競馬会から場外馬券売り場設置申請を受けてその可否を判断する、こういう立場にある。そして、さまざま御指摘の岡山状況につきましては、現在、中央競馬会から場外馬券売り場設置に係る承認申請が上がってきておりません。そこで、承認申請が出てないということを考えた場合に、これを承認するということなどはもちろんあり得ない。しかも、たびたび申し上げておりますとおり、地元経過いきさつ市議会議決を含めましてあるわけでございますから、その調整が整わない限り、仮に承認申請が出された、そういうことはないと思いますけれども、本省に上がってきたとしてもこれは承認されることはあり得ないと私は考えております。
  47. 谷村啓介

    谷村分科員 時間ですが、大臣、よくわかりました。これはもうあり得ないのだ、上がってきても今の状況ではそれは承認することはあり得ない、こういう態度ということはわかりましたが、地元調整先ほど言いましたような大変な状況でもございますし、なかなか見通しが立たないということが現実だと私は思うのです。これに対して一定の時期には、今まで建築について御指導なさったように、いいかげんにしないかというような態度はおとりになれませんか。国の機関ですよ、まさに政府一〇〇%出資の機関なのです。
  48. 山本富雄

    山本国務大臣 せっかく先生のお言葉でございますけれども、これまた、農林水産省並びに中央競馬会がここずっととってまいりました指導を含めまして、やってきた態度を見ていただければおわかりいただけるのではないか、こう思っております。
  49. 谷村啓介

    谷村分科員 ありがとうございました。質問を終わります。
  50. 内海英男

    内海主査 これにて谷村啓介君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。
  51. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 きょうは米の市場開放問題、自由化問題について二、三お尋ねしたいと思います。  私、今まで農水と予算の方におったのですが、ことしはほかの委員会にかわっておりますので米論議をやる機会がなかったので、この機会に若干お尋ねしたいと思います。  まず第一に、政府は対外的に日本の食糧自給率を説明するときにカロリーベースで説明している場合が多いのですが、穀物ベース、カロリーベース、総合ベースと三つの表現がありますけれども、日本の食糧安全保障論を展開するときにどういう表現、それのうちのどれが一番適切なものであると考えていらっしゃるか、お尋ねいたしたい。
  52. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 日本の食生活は多種多彩でございまして、同じような物差しで判定する場合に今おっしゃったようないろいろとらえ方があるわけでございますけれども、いずれも率直に言いましておのおの性格が異なることから、その軽重をつけることはなかなか難しいわけです。  ただ、あえて申し上げますと、穀物自給率につきましては、穀物の自給割合というのは確かに見られるわけでございますけれども、用途を見ますと主食用と飼料用というかなり異なった用途のものが合計されているというような難点があろうかと思います。それからまた、主食用穀物自給率でありますと用途が明確に計算できると考えております。また、食糧の総合自給率につきましては、御案内のとおり価格でやっているわけでございまして、その量的な割合を見る、物的なものを見る場合に若干難点があるのではないか。それから、供給熱量、カロリーで見る場合には、これまた品目特性が異なるものを合わすわけでございますけれども、一応カロリーという共通の尺度でやっておるということから比較的難点が少ないのではないかというので、カロリー自給率でいろいろ語をしておるわけでございます。
  53. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 きのう外務の分科会で中山外相の見解も聞いたのですが、サミットあるいは前の会議においてやはりカロリーベースで四九%と外国に対して説明しておるわけですね。私は、食糧安全保障論を迫力をもって各国に理解を求めるならば、穀物ベース三〇%を使うべきであると思うのです。それはもう言うまでもないことですが、米から御飯を、小麦からパンを、そして結局はえさ、穀物から卵や乳や肉をとって日本人が腹の中に入れて食べておるわけですから、当然食糧と言えると思うのです。そういう意味で、食糧自給率というものはOECDにおいても穀物ベースをもってずっとあらわしておるし、四九%というのと三〇%というのでは、中身は同じにしても、随分数字の与える迫力が私は違うと思うのです。  今世界に対して、日本はこれだけ食糧自給率が下がってもうこれ以上は輸入はできない、自分の国でやらなければいかぬ、こういうときに依然として半数に近い数字をもって外国を説得するということはやや難しさがあるのではないか。そういう点で、これは事務的な問題ではなしに、今後日本の食糧安全保障論を展開するときに穀物ベースを使うべきである、こう思いますが、ひとつ大臣の見解をお尋ねしたい。
  54. 山本富雄

    山本国務大臣 これは大変いいお話をお聞きしたわけなのですけれども、今官房長からお話しのとおり、あるいは三〇と言い、あるいは四九と言い、穀物あるいはカロリー、そういう指標を使って今まで言ってまいりまして、私自身も時々それらを使い分けて発言をしておる。  しかし、今先生の御指摘の数字、これは魔術ではないと思いますけれども、迫力のある、説得力のある数字として、半分の五〇というよりは三〇の方がはるかに食糧安全保障を論じる場合も迫力がある、こういう大変貴重な御意見、よく承った次第でございます。
  55. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 四九%は国内向けにそんなに低くないのだということを御説明されるときには有効でしょうが、私は今後対外的にはこれを使っていいのではないかと思うのですね。  また、六十三年二月二十二日に予算の総括質問で米問題を一時間ほど論議したときに、当時の竹下総理は、食糧自給率を少なくも三分の一以下に 落とすことがあってはならないのではないか、こういう私の質問に対して、少なくも三分の一は何とかして守りたい、こういう発言を明確にやっておるわけでありますから、これは食糧を穀物ベースで発言しておりますので、ひとつこれを十分生かしていただきたいと思います。  そこで第二にお尋ねしたいのは、アメリカやEC諸国、世界のすべての国がそうでありますが、工業生産品を輸入する場合に、自分の国の市場の二〇%以上ぐらいを他の一国の生産品の輸入で占めるということになれば必ずこれを規制しておるわけです。私のところは繊維の産地でありますが、繊維もそうでありますし、自動車も鉄鋼も工作機械も、大体主要なものについてはすべてと言っていいほど二〇%、三〇%と上がっていけば規制をする。ガットの建前上規制はできないから自主規制を求める、こういうふうにして二国間の交渉によって実質的には規制に近い数字に抑えられておる。私は、これが工業製品の場合、アメリカ、ECを含めて世界に言えることではないかと思うのです。  ところが、我が国は今、四九%というベースを使い分けるとして、穀物ベースでいけば、かつて昭和三十年代の八三%から三〇%を切ろうとしておるわけです。言うならば七割は外国から輸入しているということですから、世界最大の輸入国、今やソ連やECを超えて食糧輸入は最大になっている。この実態からいって、これはもう工業製品でもしかりであるのに、国民の命の糧である食糧について七割も外国のお世話になっておれば、三割は自分の国でつくりたい、これはもう主権国家として当然の主張でないかと私は思うのですが、そういう主張を政府農林省は、ガットそのほかの場で事あるごとに繰り返しておると承知はしておりますが、工業製品の規制に対して、食糧を少なくも三割程度は自分でつくりたいという、輸入を抑えていくという権利を主張するのは当然な独立国家の主権に関する問題だと思いますが、これを大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  56. 川合淳二

    ○川合政府委員 若干事務的な問題もありますので、まず私からお答えさせていただきます。  工業製品にお触れでございますが、ガットの規則といたしましては、先生御承知のセーフガードのような規則がございまして、ある産品が自国内の同種産品あるいは直接的の競争産品の生産業者に重大な損害を与え、あるいは与えるおそれがあるような場合に、その産品の損害を防止または救済するためにガットの義務の全部または一部を停止し、あるいは関税の譲許を撤回、修正することができるという規定がございます。  実際には、この規定が発動されたことももちろんございますが、その以前に自主規制というような形で相手国に自主規制を求めてというようなことが行われているようでございます。このことが、まさに今行われておりますガット・ウルグアイ・ラウンドの一つのテーマになっておりまして、こうした自主規制を灰色措置というような言い方をしておりますけれども、それをもうちょっと明確化し、あるいはそういう灰色措置というようなものをなるべくやらないようにしようということで話し合いが行われているわけでございます。  一方、農業の面でございますが、これも先生御承知の点でございますけれども、私ども、今御指摘のように、農業の特殊性あるいは食糧の安全保障というような観点から、農業保護の撤廃はできないということとともに、基礎的食糧につきまして、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境措置を講じ得るものとすることという提案をしているわけでございます。  それから同時に、ガットでは十一条二項(c)という条項がございます。これは輸入制限を許容する場合を決めた点でございますが、これを明確化を図って存続するようにというような提案をいたしておるところでございます。
  57. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それはわかりますが、日本の農政をあずかる政治家として、工業の場合にはみんなどの国も何割かを超えれば抑えているのに、基本的な食糧についてこれはこれだけ輸入すれば十分ではないか、これぐらい自分の国でつくらせろという意見をひとつ曲げないで頑張っていただきたい。ちょっとそれについて大臣の決意をお伺いしたい。
  58. 山本富雄

    山本国務大臣 これを私は就任以来しばしば申し上げておるのですけれども、従来の、米は国内産で自給するという体制は変わらない。そしてまた先生御指摘のとおり、供給率自体がずっと下がりつつあるわけですね。これに歯どめをかけなければならない。歯どめどころかこれをふやしていかなければ、まさに食糧安保からいって危ない、こういう認識ですね。先ほど竹下元総理のお話も出ましたが、私も全く同じ認識で現在おります。  そして、よく工業製品との比較をされるのですけれども、一方では工業の犠牲に農業がなってはならない、こういう議論もかなりあるわけです。そんなことはあり得ないことなんです。工業は工業でやっていただく、農業は農業でまさに食糧安保を基本にして、日本の主張は続けていくということでございます。それを貫いてまいりたい、こう考えております。
  59. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 私、昭和六十年と六十二年にアメリカの方に参ってカリフォルニアの米のところも見てきましたが、ミシシッピの流域でアメリカの米の四割を生産しているアーカンソー州、この地帯にも行ってかなり見てきました。それからまた、アメリカの農務省やUSTRあるいはガット、ジュネーブにも一昨年には参って米の論議をいろいろやってみたのですが、今ガットのリュック農業部長ですね、彼とも一昨年の九月の一日午前午後とかなりな時間をとって論議をしましたが、このガットも、アメリカもそうですが、彼らもなるほど食糧安全保障については一定の理解を示しているが、言葉では理解しているけれども、中身は非常に違う。御承知のとおりですね。  我が国は自分の国で三割ぐらいは少なくもつくらなければいかぬ、もうこれ以上米を開放すれば食糧自給率は二割ぐらいに穀物ベースでは下がってしまう、こういう立場であります。彼らは穀物のできるところでどんどんつくって倉庫に入れておいて、要るときに持っていけばいいじゃないか、必要なとき必要な量をちゃんと確保されれば食糧安全保障にちゃんとかなう。言うならば、自由貿易が彼らの食糧安保論を支えておるわけですから、同じ言葉であっても全く我が国と違うわけですね。  こういう論理に対して、日本の食糧安全保障論を理解さすのは容易ではないと思いますが、ここらをどう考えていらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたい。
  60. 川合淳二

    ○川合政府委員 今お話しのように、食糧安全保障につきまして私どもの提案あるいは主張につきましては、輸出国の反応というのは、もちろん、必ずしも順調なものではございません。  ただ、食糧安全保障という考え方につきましては、かなりの理解を示す点もあるわけでございますので、この点につきましては、私どもといたしましては輸入国、例えばスイスあるいは北欧、韓国というような日本とある意味で似た性格を持っている国と連携と申しますかよく連絡をとりながらガットに臨むということでやっているわけでございます。
  61. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 時間が非常に限られておりますから、ちょっと大臣にお尋ねしたいのです。  国際社会の中で、日本の食糧安全保障を理解をして支える国は韓国とスイス、そして北欧の一部であると思うのですが、私も一昨年IPUに出て韓国の議員団と昼食を挟んで三時間ほど論議をしたときに、前の農林大臣と隣の席になったものだから米の論議というものをしました。今韓国は、ちょっと一年少し前ですが、牛肉の問題で示されている、我が国はそれのちょっと前にあった、だから、日本がそういう意味で今頑張っておるときに一緒に頑張らないと、米でも日本が崩れたらすぐあなたの方に火が飛びますよ、こう言って、共通の認識を持ってこういう協議をし対処すべきで はないかという論議に対して、非常に賛同を示しておりました。  農林省もやっておるようでありますが、食糧輸入国のサミット会議等、対抗的な意味ではなしに、やはり本当に大きな輸入をして自分の国で少しでもつくりたいと考えている国のサミット会議等を一遍開いて、こういう問題をもう少し共通に国際的に輪を広げる必要があるのじゃないかと思います。やっていらっしゃるならその状況を、やってなければどうするか、ちょっと簡潔にひとつ伺いたい。
  62. 川合淳二

    ○川合政府委員 輸入国につきましては、ガットで農業交渉がここのところ継続的に月一回程度開かれておりますが、その都度何らかの形で連絡をとりながら、あるいは会合を持ちながらやってきておるところでございます。今後もこうした形はとり続けていかなければいけないと思っております。
  63. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それは事務局のレベルではいろいろな国際会議がありますから、その都度連絡を持っていらっしゃるのは当然だと思うのですが、少なくも農相レベルでそれぐらいの会合を持つ必要があると私は思うのですが、いかがですか。これは大臣から。
  64. 山本富雄

    山本国務大臣 重ねてのお話ですが、サミットなどという話が出ましたけれども、これは大使のレベルではもうやっているわけなんですね。事務局はもとよりやっているのです。提案したときから、私がこのことをすぐ経済局長その他に聞きましたところ、たび重ねて、先ほど先生の御指摘の共通の認識を持っておる国々、言うならば仲間ですね、この国々とはやっておる。さらにこれは進めてくれということも私からも指示してある。各国大使間でもやっておる。それからまた、秋から年内にかけまして、いよいよ時間的に差し迫ってまいりますので、それらには政治家としての私どもの対応も十分しなければならない。現に、五カ国農相会議というのも、七月の末、八月の初めごろアイルランドでやるというふうな通知も入っておりまして、それらに向かってもいろんな戦略を構築していきたい、こう考えております。
  65. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 その五カ国農相会議は、先進国といいますか、大体日本以外は輸出する方の国ばかりですね、多くは。やっぱり輸入国の対応を農相クラスで持つべきだと思う。ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思います。  そこで、もう一つは、かねてから日本の米市場に三%あるいは三十万トンあるいは一%ぐらいはまずは輸入をしようという論議がいろいろ唱えられていく。アメリカは数量でかっては三十万トンと言い、ケアンズグループは三%と言っている。最近は、アメリカは一%ということもちらっと流して、日米議員合同会議があって、参加した人から、公の場では出なかったけれども、非公式の中、ヤイター農務長官は、一%ぐらいはどうか、こういうことがやっぱりいろんな話の中で出ているというのですね。  だから、数字は別として、一部の輸入枠を何とか日本に設定をさせて、それをてこにして、将来、牛肉・オレンジと同様に自由化を求めようという動きは非常に強いと私は思うのですが、これはしかし、一遍あけたら後は牛肉・オレンジのわだちを踏むんじゃないかという懸念を非常に強く私は持っております。  というのは、アーカンソーの州のライスランドという、アメリカの二割かの米を押さえていると言っていましたが、大きな農協でしたが、そこらをずっと見たときに、一つは、アーカンソー大学では品種改良を随分やっておるのですね。農協の一部の人はかなりそれを参観しておったようでありますが、中粒種の研究をやっている。なぜ中粒種をやっているのですかと聞けば、見渡す限り全部長粒種であるけれども、これは、日本が将来市場開放したら、中粒種はつくりやすいんだ、今までつくった経験もある、だから二年間あれば切りかえることは可能なんだ、だからその準備をしている、こう言っているわけですね、これは品種改良の方でも。  それから、この農協等でも当然アーカンソー等は、今ミシシッピの伏流水を使っているけれども、いよいよ日本に米を送るということになれば、これは公共事業によって、ミシシッピの水を引いても十分米はつくることができる、こういうふうに言っているのですが、だから一%だ、三%だという枠を設定した場合には、あの地帯が日本向けの米を一部でもつくり出すようになれば、際限なく要求はだんだん拡大していく可能性があると私は思うのですが、こういう状況考えて、今言われている三%、一%論、これについてどうお考えになっていらっしゃるか、これは大臣にひとつしっかりとした見解を聞きたいのです。
  66. 山本富雄

    山本国務大臣 今のヤイター発言その他、新聞報道などから私は承知をしております、正式な話であるかどうかは別でありますけれども。  今の先生の御指摘のようなことは現在全く考えておりません。従来の方針どおりまいりたい、こう考えております。
  67. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 既に大臣からお答え申し上げましたので、私の方から特につけ加えるべきことはございませんが、先生御案内のとおり、現在、生産者団体と行政が一体になりまして水田面積の三割に及ぶ厳しい生産調整を実施しているところでございます。しかしながら、消費の減退により需給ギャップが拡大する傾向にありまして、これに加えまして、先ほど来御議論がありました我が国の食糧の自給率が大幅に低下している実態にもあるわけでございます。  繰り返すようでございますが、水田稲作は国土、自然環境の保全等重要な役割をしているわけでございまして、米を輸入することは行えない事情にあるというふうに考えているところでございます。
  68. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 今、ウルグアイ・ラウンドの場、ガットで論議がいろいろ進んでおりますが、新聞等の伝えるところによると、アメリカとECは関税面で歩み寄る可能性があるのではないか、こういうことが報道されているのですね。  これは、ECは共通政策を持っているし、なかなか相入れないとは思うのですが、関税の問題等によって歩み寄りが図られるとすると、また、この二つが、ECとアメリカがある妥協がなければウルグアイ・ラウンドの農業問題の交渉は妥結する可能性は全然ない。そういう場合に、歩み寄りがあった場合に、次は米にターゲットを絞ってくるのは当然であると思うのですが、そういう状況をどういうように判断していらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
  69. 川合淳二

    ○川合政府委員 現在、アメリカ、EC、それぞれ提案をいたしているわけでございます。その中では、ECは、一定の条件を出しまして、この条件が満たされれば関税化は検討してもよいという言い方をしている面がございます。一部最近の新聞で報じられたのはこの点だろうと思いますが、ただ、今先生も御指摘がございましたように、ECの共通農業政策につきましては、これは変えられないということははっきり言っておりますし、それから保護措置につきましても、アメリカは撤廃ということを言い、ECは削減と言っておりますので、この隔たりというのはかなりあるのではないかと思います。  ただ、もちろんこのウルグアイ・ラウンドの成功のためには農業の問題をどうしても解決しなければいけないということがございますので、ECと米国が今後どういう動きになっていくかということは私どもも当然注意深く見守っていかなければいけないと思っておりますが、現在の状況はそのような段階ではないかと思っております。
  70. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 ECとアメリカの交渉に歩み寄りがないとすれば、これはまた二国間交渉、米は日米間の問題にまた戻ってくる可能性もある。私は、将来を考えると、またアメリカが三〇一条をかざして米にも向かってくる可能性もないとは言えない。非常な決意と確信がないとこの日本の食糧安全保障論を押し通して国際的な理解を求めるということは容易でないという感じがします。  これはなかなか決意の要ることですが、大臣、 首をかけても頑張ってもらわなくちゃいかぬと思うのですが、ちょっとその決意を一言聞かせていただきたい。
  71. 山本富雄

    山本国務大臣 大変いろいろな御指摘もいただきながら、それこそ先生の農政に対する並み並みならぬ御決意を含めて御激励を賜りまして、本当にありがとうございます。  私も、政治家でもございます。また、この時期に農水大臣に任命されたというふうな自覚も、まあ不敏ではございますけれども十分持っておるつもりでございますから、先生方と一体になりまして、国会決議もありますし、頑張ってまいりたいと思っております。
  72. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 しっかり頑張っていただきたいと思います。  それから、総選挙が終わってから経済界の方から、それまでは黙っていましたが、総選挙以後、やっぱり工業製品を出すためには米の輸入も一部やむを得ぬではないかというような考え方が流れてきておりますが、これに対してどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  73. 山本富雄

    山本国務大臣 直接私のところへ言ってきた方はどなたもおりません。
  74. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 直接声は今はなかなか届いてはいないと思いますが、そういう動きがいろいろ出てくる。外交は内政の延長でありますから、国内の世論が割れると非常に弱くなっていくと思うのです。国会では満場一致で衆参両院とも米の完全自給を決議しておりますが、国内の世論が崩れた場合には極めて弱くなるし、足元を見透かされて締め込まれてくると思います。  そういう意味で、国内の広範な理解を得るような努力も我々もやらなくてはいけないと思うのですが、消費者、国民の皆さんに、広く経済界にも日本の食糧安全保障論を理解してもらうということをやらないと、外にいかに強腰になってみても中がもろくなっていくと思いますので、内に対する対策も十分考えていただきたい。このことを長官、ひとつそちらからでも聞きましょうか。
  75. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 今のお話の関連でございますが、まず、工業製品と農業の場合は同列に置かれるべき問題ではないというふうに考えます。それからもう一つの問題は、単に米の問題だけではなくて、日本の稲作の問題、水田の問題といったことをトータルに考えるべきであろうと思います。大臣からもお答えを申し上げておりますように、国会議決のもとでこの問題について対処していきたいというふうに考えるところでございます。
  76. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 これで終わりますが、私は時間の点から米を食糧安保論から展開をしました。これは日本の国土の保全、環境の保全、水資源の確保という重要な、日本の国土自体を守るという側面が十分にあるということはお互い承知しておるところでありますから、それらをもとにしてぜひ頑張っていただきたいということを強く期待をして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  77. 内海英男

    内海主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  次に、五島正規君。
  78. 五島正規

    五島分科員 私は、この二月の選挙で初めて国会に出てまいりました。それまで私は医師として医療の実践の中で過ごしてきたわけでございますが、従来医食同源という言葉にあらわされますように、食と健康というものは全く切り離すことのできない問題でございます。そして今実地医家にとりまして非常に深刻な問題の一つとして、例えば子供のアトピー皮膚炎といったような問題、こうした子供に対して現在食べさせる食がない。そうした子供に対しての食事の問題について、医師もあるいは当然その子供及びその御父兄にとって、大変今困っている問題でございます。そういう意味におきまして、食というものは大変健康と関係の深いものでございます。  ところで、農林省にお伺いしたいわけでございますが、今から二十年前、昭和四十五年前後に、牛の奇形が一時期に集中して大量に発生したことがございます。高知県におきましても、生まれてくる子牛の半数以上に奇形が存在するというふうな時期がございました。この大量に発生した牛の奇形というのはその後解消したわけでございますが、その原因は明らかになっているのでしょうか。その辺についてお伺いしたいと思います。
  79. 岩崎充利

    岩崎政府委員 昭和四十七年から昭和五十年に、九州、中国、四国及び南関東の地域の約四万頭の牛に早産、死産、奇形などの症状を示すいわゆる異常産の発生が見られました。この原因につきまして、国、県、民間の研究機関等の検索によりまして、吸血昆虫が媒介するアカバネ病ウイルスによるアカバネ病であるということが究明されておりまして、飼料としては関係してないということでございます。その後、ワクチンの開発、使用によりましてアカバネ病の発生はほとんど現在は見られておりません。
  80. 五島正規

    五島分科員 今食物を考える場合に大変国民が心配している問題の一つに、食糧に含まれております農薬の残留の問題がございます。農薬の使用全般についてはきょうは時間がございませんので申し上げるつもりはございませんが、先日、新聞報道に見られましたように、オーストラリア産の小麦の中にスミチオンが認められた。あるいは昨年のNHKのテレビ放送の中において、米国におきます米のポストハーベスト処理のアプリケーションの問題について報道されております。  我が国におきましては、このポストハーベストの処理というのは、後ほど述べさせていただきますが、主として薫蒸剤によるものということになっていると思うわけでございますけれども、諸外国において行われております農産物に対するポストハーベスト・アプリケーションの現状についてどのように把握しておられるのでしょうか、その辺についてお伺いしたいと思います。     〔主査退席、戸田主査代理着席〕
  81. 松山光治

    ○松山政府委員 アメリカを初めといたしました諸外国におきまして、収穫後の農産物に病害虫の防除の目的で一定の薬剤が使われる、そういう例があることは承知いたしておるわけでございますが、それぞれの国におきまして、各国の法制度に基づいて安全性の問題が確保されておる、このように理解はしておるところでございます。  具体的な使用状況といったようなことについてその全貌を把握しておるわけではございませんけれども、一般的なこととして申し上げますれば、サイロなり倉庫等におきまして薫蒸を行うとか液剤の散布を行う、あるいはまた短い時間水溶液に浸すとか粉剤を混和するといったような形での使用が行われておるというふうに承知いたしておるわけでございます。  食品安全性の問題、これは厚生省の方で主としてお取り扱いいただくことでございますけれども、私どもとしても非常に基本的に重要な問題である、このように認識をいたしておるところでございまして、外国におきます使用の実態を的確に把握するということで、関係省庁とも連携をとりながら、私どもとしても平成元年度から新たに予算を計上いたしましてその把握に努めておるところでございます。
  82. 五島正規

    五島分科員 現在それに努めるという状況にあるというお話でございますが、現実に欧米における、あるいはオーストラリアにおけるポストハーベスト・アプリケ-ションにつきましては、日本の国内において認められていないような化学薬品も使用されているわけでございます。  しかも例えば、具体的にお伺いしたいわけでございますが、米や小麦に対して、一つの例を挙げますとマラチオンといったような有機燐剤の使用ということがなされているわけでございます。もし、国内におきまして玄米あるいは白米の保存の目的でこのようなマラチオンを混入するという処理をするということは認められるのでございましょうか。
  83. 松山光治

    ○松山政府委員 国内におきます薫蒸剤、今登録を行い、かつ使用されておるのが五種類あるわけでございますが、その中にはマラチオンは入っておりません。
  84. 五島正規

    五島分科員 国内において認められていないということについて御返答はあったわけでございますが、では、もしマラチオンを保存目的で使用するということがあった場合、これは農薬取締法違反として問題になってくるということでございますね。  ところが、現実に外国においてそのような処理がされた農産品が直接国内に入ってくる。このことについて農水省はそれに対するチェック機構あるいはそれに対する規制というものはお考えになっているか、また現実に実施されているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  85. 内山壽紀

    ○内山説明員 先生御指摘のポストハーベストにつきましては、農産物の保存性を高め、それから世界的な食糧の安定的供給を確保するため、諸外国におきましては広く使用が認められているのが現状でございます。  ポストハーベスト農薬につきましては、収穫後に使用するものでございますから、その残留量がおのずから高くなります。このため、厚生省では安全性確保の観点から、平成元年度よりポストハーベスト農薬対策としまして、輸入農産物における残留実態調査等を進めておりまして、輸入農産物のポストハーベスト農薬の残留基準を整備していく考えでございます。  穀物等主要農産物につきましては平成三年度を目途に、その他の農産物については年次計画によって基準の整備を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  86. 五島正規

    五島分科員 厚生省の方からそのようなお話を聞くとは思いもよらなかったわけでございます。  と申しますのは、米の生産段階における、米に限りませんが、農産品の生産段階におきます農薬の使用ということにつきましては、それぞれ農薬取締法で認められた農薬について残留規制等々ございます。そういう枠内においての問題か、こういうふうに考えるわけでありますが、ポストハーベスト・アプリケーションという問題は、この農産物の生産過程において使われるものではない。食品に対する混入でございます。  マスコミ報道によりますと、アメリカにおいては白米に対してポストハーベスト・アプリケーションがなされる。こうなりますと、食品衛生法第四条第二号との関連において厚生省はどのようにお考えなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  87. 内山壽紀

    ○内山説明員 農薬につきましては、農産物に使われれば、諸外国あるいは国際機関でもこれはポストハーベストという位置づけになっておりますから、それはポストハーベスト農薬使用という扱いになりますし、加工の過程でもし使うようなことがございますれば、それは今先生がおっしゃられたように、食品添加物の扱いになるかと思います。
  88. 五島正規

    五島分科員 加工の過程において使われない限りは食品衛生法の対象にならないということでございますか。  白米というのは、そのままそれぞれの御家庭において炊飯して食べるものでございます。それに対して、保存目的で農薬が使用されているという問題を農薬取締法に依存するというのではなくて、これは食品衛生法の第四条で規制していくというのが当然ではないかと思うのですが、そのあたり、もう一度お伺いしたいと思います。
  89. 内山壽紀

    ○内山説明員 何度も申し上げますけれども、農産物に収穫後使用されるものにつきましては、諸外国におきましてもこれはポストハーベスト農薬使用ということで広く使われておりますから、私どももその定義に従いまして、それは残留農薬という扱いで考えておるわけでございます。
  90. 五島正規

    五島分科員 そうしますと、国内におきましても、仮に白米にこうしたマラチオンであるとかあるいは国内において使用が認められていない農薬が使用されたとしても、それは農薬取締法の問題であって、食品衛生法の問題ではないということでございますね。
  91. 内山壽紀

    ○内山説明員 ちょっとあれでございますけれども、私どもがつくります残留基準というのは、これは食品衛生法に基づいてつくるものでございます。だから、残留農薬の基準というものは、これは食品衛生法が適用されることでございます。
  92. 五島正規

    五島分科員 残留基準がそういうようなものによってつくられているということは承知しているわけでございます。  私が問題としているのは、このポストハーベスト処理という問題にいたしましても、例えば我が国が臭化メチルで米の薫蒸をしている。これ自身はアメリカにおいては発がん性があるということで使用が禁止されているわけですが、我が国においてはそれを認めているという一種のねじれみたいなものがあるわけでございます。  その一方において、もみに対して農薬を使用しているということが、これがポストハーベストということであるならば、ポストハーベストの問題としてどう考えるかということだと思うわけでございますが、白米という、もう既に加工された、もみがら玄米にされ、さらに精米として加工されたものに対する保存として使用されるものを農薬取締法によって考えていくのはおかしい。これは明らかに残留基準云々の問題ではなくて、食品衛生法として有害、有毒な物質の混入であるということで取り締まるべきであると考えるのですが、いかがでございましょうか。
  93. 松山光治

    ○松山政府委員 全体の体系の話にもなるわけでございますけれども、農薬取締法の世界は、農薬の取り扱いの適正化を通じまして安全性を確保していく、こういう観点で、主として押さえております部面は販売なり使用という段階でございます。  それぞれの国の営農形態なり病害虫の発生態様、収穫後の農産物の取り扱い、例えば日本の場合にはほとんど輸出してないわけでございますし、そういう事情の違い等々から、ポストハーベストで使い得る農薬は我が方は実質的には今五種類という形になっておるということでございます。  なお、ちょっと先生の方で米について臭化メチルを使っているのではないかという話がございました。かつてそういったことはございましたけれども、農薬登録はされておりますけれども、現在、食糧用の米は低温で保管をするという形で、全く使っておりませんので、ひとつそこは御留意いただきたいと思います。  そういうのが農薬取締法の体系でございまして、そういう使用のもとで農薬が残留していないかどうかというのは、国内の農産物につきましても食品衛生法の世界で一つの規制が行われておる、こういう関係でございます。  また、外国の農産物の問題につきましては、これは外国の使い方自体は外国のそれぞれのいわば農薬取締法的な法規によって規制されておる。それが国内に入ってまいります場合にどうなるかというのは、先生御指摘のように食品衛生法上の問題としてどういう農薬が残っているのか残っていないのかというところがコントロールされる。  なお、先ほどちょっとマラチオンの話がございましたけれども、これは残留農薬基準自体はまだ決められておりませんけれども、FAOとWHOの国際基準がございますので、食糧庁の方で自主的に、それの残留の程度は輸入の都度チェックしておる、このように承知をいたしておる次第でございます。
  94. 五島正規

    五島分科員 マラチオンについては、残留基準については国内的には決められていないけれども、一応マラチオンという農薬そのものは日本においても農薬登録がされている物質でございます。そういう意味においては、まだその残留農薬等々をチェックするという体制はあるかと思うわけでございます。  しかし、日本で登録されていない農薬というのは、されているものの倍ぐらい現実にはある。そうしますと、されていない物質においてそういうポストハーベスト・アプリケーションが実施された場合、それについてのチェック体制はどのようになっているのでございましょうか。
  95. 野村瞭

    ○野村説明員 お答えを申し上げます。  厚生省におきましては、食品衛生法で残留基準が定められていない農薬であっても、輸出国において使用されていると考えられているものにつきましては、輸入時において検査を実施しているところでございますが、この場合、先ほどもちょっとお話が出ましたが、FAO、WHOの国際基準等を参考といたしまして安全性の評価を行っているところでございます。  ちなみに、昭和六十三年の検査の実績を申し上げますと、農薬検査を二千百七十六件行っておりますが、国際基準等で定められております基準値を上回るものはなかったという結果が出ておるところでございます。  以上でございます。
  96. 五島正規

    五島分科員 部分的にしか検出されていないということでございますが、先ほどのマラチオンの問題にいたしましても、先ほどの御返答の中にも、マラチオンを米なり小麦なり、そういうふうなものにポストハーベストとして使用することは国内では認められていない。認められていないけれども、諸外国においてはそれがポストハーベスト・アプリケーションという形でもって使用されている。これを国内の法律のもとで解釈するとすれば、これは農薬の使用ではなくて、その場合においては食品添加物になるのではないですか。
  97. 松山光治

    ○松山政府委員 マラチオンが国内で薫蒸用の農薬として認められておらないというのは、登録の申請がございまして厳密な検査を行った結果だめということになったのではなくて、そもそも登録申請そのものがなかった、いわば日本の国内でポストハーベスト農薬として使いたいという希望といいましょうか提供したいという希望自体がなかった、そういうことでございます。  御案内のように、現在の農薬取締法の体系は、こういう農薬を開発したので、あるいはこういう農薬をこういう用途に向けたいのでという登録の申請がございまして、それを厳密な試験データの結果に基づき、環境庁の方でお決めいただく基準に照らして検査した結果、これなら安全ということで登録していくということでございますので、そういう事情にあるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  98. 五島正規

    五島分科員 申請があったかなかったかということを聞いているわけではなくて、現実には農薬を保存目的でもって国内で四つ、五つの認められているもの以外について使用することは認められないわけでございましょう。認められないということは、国内においてそうだ、ところが、外国ではそれを使用している。とした場合、国内の法規にあわせて考えた場合に、そういうふうに使用された農薬というのは、これは食品添加物として処理して考えないとおかしいことになるのではないですか。
  99. 内山壽紀

    ○内山説明員 先ほどもお答えしましたように、ポストハーベスト農薬というのは、国際機関あるいは諸外国で広く農薬として位置づけられているわけでございます。したがいまして、我が国におきましても、農産物にそのような使用方法でなされたものにつきましては、あくまでもそれは農薬という位置づけで残留基準の整備で対応していくということを考えているわけでございます。
  100. 五島正規

    五島分科員 時間がございませんので繰り返しませんけれども、今国民の中に、少しでも安全な食べ物を食べたいという機運が非常に強いわけでございます。より安全な農産物を食べたいということでもって生産者と国民が協力し合って大変な努力をしている、そういう状況の中で、今の厚生省の御回答は、まさにそれに逆行して農薬の使用の場を今後拡大していこうということになってくるのではないか。  諸外国においてポストハーベスト処理がなされているから、だからまた日本の国内においては整備されていないけれども、それについては認めていこうということであるならば、国民にとって食べ物に対する安心感というのはますます薄れてしまって大変な問題になってくるだろう。そういう意味においても、現実にポストハーベスト処理をされた小麦やあるいは米というものが約二年間ぐらい、御承知のように効力があると言われています。  そうした形で使われている、保存目的で使われる農薬の使用というものは、本来の農薬の開発あるいは使用から大きく離れていることは事実でございます。それを、これまで規制してきたものをむしろ拡大していこうというふうにも受け取れる、そういう国民の希望と違ったような方向に対しては私は非常に遺憾であり、そういうことについてぜひ考え直していただきたい。  それは明らかに、現在の食品衛生法そのものに第四条の第二号というものがありながら、それを軽視するものであるということではないかというふうに考えます。その点について、再度お尋ねしたいと思います。
  101. 内山壽紀

    ○内山説明員 先生が御指摘の点につきましては、私が先ほど申し上げましたように、平成元年度からポストハーベスト農産物につきましての残留基準の整備を図って、それによって安全性を確保していくという形で対応していこうと考えているところでございます。
  102. 五島正規

    五島分科員 現実には国内産において穀物の保存だけでなく、例えばショウガの保存等々におきましても、有機燐で室の中でサンドイッチでやっていくというふうなことが現実に使われている。幸いなことに、ショウガというそれほど大量に食料に一時に供するというものでないということで、消費者段階での影響ということについては今のところそれほど問題はないとしても、そういうふうな作業に従事しておられる農民の方への影響というのは、既に我々日常的に見てきているところでございます。  そういうふうな状況の中で、今後そのような形で、ポストハーベストという形での直接そのまま口に入れる食べ物に対して、保存目的で農薬を使っていく、そして、その規制の基準を、生産段階での残留基準と同じだからいいじゃないかという言い方に対しては、これは有害物の食品添加を禁じた食品衛生法を形骸化するものとして、私は強く抗議したいと思います。  そして、今農業輸入拡大に対しては非常に諸外国からの圧力がございますし、それに対しても一定応じざるを得ないという状況があることについても理解をいたしますが、国民の健康を守る、国民の健康の基礎は食糧でございます。この国民の健康を守るという一点において、そういう食品の安全に対しての規制ということについてはぜひ厳しくするようにお願いして、私は大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  103. 山本富雄

    山本国務大臣 先生は文字どおり御専門家でいらっしゃいますから、その立場からいろいろやりとりがあったのだと思っております。  しかし、いずれにいたしましても、私は、日ごろから体が弱ったときにはお医者さんに診てもらう、そして、薬をちょうだいする、しかし、最大の薬は食べ物だというふうに心得ております。ですから、農水大臣は極めて大事だ、こういう認識でございまして、その食品が安全でないというふうなことならこれは大変なことでございますから、内外にわたりまして食品の安全性ということを確保することは、食糧を担当する農水省としては最大の一番大事な問題だ、そういうふうに心得、行政もそのように進めてまいりたい、こういう考え方でございます。
  104. 五島正規

    五島分科員 今の大臣の御答弁が、現実にこの間の論議のやりとりとかなり食い違うように思うわけでございますが、ぜひ国民の命を守るという立場で政治家としての大臣の御見解が実施されることを期待したいと思います。  私の質問を終わらせていただきます。
  105. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて五島正規君の質疑は終了いたしました。  次に、石田祝稔君。
  106. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 公明党・国民会議の石田祝稔でございます。  私は、農林水産業、第一次産業というものは人間の命と直接的に結びついた大変大事な産業である、このように考えております。きょうは時間も ございませんので、特に林業について集中的にお伺いをしたいと思うわけであります。  特に最近、森林の持ちますいろいろな機能、今までは木材製品としての経済的価値が主だったわけでございますけれども、それ以外に国土保全能力とか、また水資源の涵養等々、いろいろな問題で、いろいろな分野で森林が見直されてきておる。その意味で、私はこれからますますこの分野が大事になってくるのではないか、そのように思いますので、一言、これからの森林をどうするのか、また緑に対するお考えはどうか、これをぜひとも大臣と林野庁の長官に、簡単で結構ですから、お伺いをしたいと思います。
  107. 甕滋

    ○甕政府委員 森林につきましては、ただいまおっしゃられましたように、木材の安定供給という役割のほかにも、国土の保全、水資源の涵養といった公益的な機能が期待をされているわけでございます。また最近は環境財としても見直されるというように、私どもも森林の整備を進めることがますます重要になっているという認識に立っております。そのために、現在育成中の森林資源が二十一世紀に収穫期を迎える国産材時代、これに備えるための条件整備に力を入れなければならない。また、国民の期待にこたえまして森林の公益的な機能についても一層これを発揮するような対策も充実させていく必要がある。こういう考え方のもとに、林業政策全般にわたりまして一層の推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  108. 山本富雄

    山本国務大臣 先日の予算委員会でも申し上げたのですけれども、最近世論調査をいたしましたところ、森林に対する国民の関心というのは九割に及ぶ、こういうデータが出ておるんですね。国政を進める場合に、世論を十分受けとめて政治を行う、行政を行う、これは当然のことでございまして、そういう観点からも、この森林行政の重要さ、いろいろな厳しい状態が現在日本の森林行政にはございます、先生御承知のとおりでございますけれども、それを国民の心を心として今後とも進めてまいりたい、こう考えております。
  109. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 私は、大臣、長官にお考えを伺いまして、これからいろいろと御質問させていただきたいと思います。  その前に、先日スーパー三〇一条関係で、昨年ですか、人工衛星、スーパーコンピューターとともに木材製品、これが指摘をされたわけですけれども、それの決着がなされた、こういうふうに新聞報道でも出ております。このことについて若干お伺いしますけれども、この中で、日米専門家会合は結論に達した、こういうことですけれども、この専門家会合に林野庁の関係の方ももちろん参加をされたと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  110. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま御指摘のように、日米間で昨年来木材の貿易問題の協議を行っております。スーパー三〇一というお話ございましたけれども、私どもの方といたしましては、そういった報復を前提とした交渉には応ずることができない、しかしながら両国間の問題は友好関係の中で実務的に解決をしていく必要があるということで、日米貿易委員会の枠組みの中で専門家の会合を何回となくやってきております。その中には当然でございますが私どもの代表といたしまして林政部長、担当課長等が参加をして、協議を進めまして、一昨日の夜半と申しますか昨日の早朝と申しますか、ようやく決着を見ることができた、こういう経過でございます。
  111. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 林野庁もしっかりとかんで結論を出されたということでございます。  この中でヒルズ通商代表が、その決着を受けて、米国の林産物の対日輸出は年間十億ドルから二十億ドル増加するだろう、このようにコメントを述べておるわけでございます。特に英字新聞などによりますと、明確にウッドプロダクト、木材製品、マテリアルでない言い方で書かれております。その意味で十億ドルから二十億ドル林産物が増加した場合ですね。現在たしか木材輸入は、平成元年で一兆八千億円程度と私は認識しておりますけれども、その中で米国は大変大きな割合を占めております。この米国がさらに十億ドルから二十億ドル増加する、この増加するという期待というか、認識を持っているわけなんですね。その場合に、この増加した分というのは果たしてどこから来るのか。他国の分を米国が侵食して米国からの輸出がふえるのか。それともこれは国産材の方から出すのか。国産材が今三割を切っておりますけれども、そこに結局食い込んでくるのか。それとも新たにその分が需要がふえるのか。この点についていかがでしょうか。
  112. 甕滋

    ○甕政府委員 今回の合意された措置につきましては、関税の引き下げの問題等にいたしましても、今後のウルグアイ・ラウンドの場で具体的にどう決めていくかということがございますし、また、木材あるいは木製品の輸入はもともと、需給の動向でございますとか為替の変動でございますとか、そういったものにも左右されるところが大きいということがございます。それで、ヒルズ代表が十億ドル云々というのは私も報道で見ましたけれども、どういう趣旨で、また見通しのもとにおっしゃっているかは承知しておりません。先方の期待としておっしゃったのであればおっしゃったのであろうと思うわけでありますが、現時点で具体的な予見を私どもの立場で申し上げるわけにもいくまいと思うわけでございます。  ただ、輸入の動向をこれまで見てみますと、これは着実にふえてきておりまして、国内においてもその割合を高めているということは事実でございます。国内の需要の動向はどうかと申しますと、ここ二、三年、木材需要拡大に対します官民挙げての運動も功を奏したと思いますし、また全体の景気動向も幸いしたと思いますけれども、一億立方を超えるレベルが二、三年続いております。木材需要については拡大が図られておる、その状況の中で外材の増大も行われている、こういう状況があるわけでございますので、御参考までに申し上げておきたいと思います。
  113. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 とにかくそういう期待を相手がしておるんだということを余り承知していないんだというお話ですけれども、これは明確にそういう前提でアメリカは議会をなだめようとしている。御存じのように十一月には中間選挙がありますから、結局そういうことを踏まえてこれだけ、十億ドルないし二十億ドル増加するんだということで多分話をまとめていると私は思うんですね。そのところはぜひとも忘れないでいただきたいと思います。  それから、日本農林規格、JASの認定緩和について、米側の強度基準と日本側の強度基準に今まで違いがあったわけですから、障壁と申しましょうか、相手側からいろいろ言われてきたと思うのですけれども、今回たしか日本側の提案でアメリカの強度基準を受け入れるというふうにお聞きをいたしましたけれども、この点につきまして、今までの強度基準のそういう制度から見てマイナスはないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  114. 甕滋

    ○甕政府委員 JASの問題でございますけれども、アメリカの認証を自動的にJASで受け入れよということがアメリカ側からの大きな要求項目でございましたけれども、これは法制上とても困難であるということで、時間はかかりましたが納得が得られまして解決をしております。  JASにつきましては、幾つかの技術的な項目についての改善が図られておるわけでございまして、例えばJAS認定のための提出資料の簡素化、あるいは認定までの期間の短縮をしよう、また、構造用パネルに対するくぎの保持力試験等の規格を改正するということもいたしましょう、それから、JAS規格について今後意思疎通をよくしていくために、JASの技術会合を設けて話し合いもしていこう、こういうようなことについては合意されているところでございます。
  115. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 ちょっと時間がありませんので、これはこれぐらいにしておきたいと思います。  続きまして木材の需給動向についてお伺いをしようと思いましたけれども、長官の方から先ほ ど、最近伸びてきておるのだというお話も伺いました。その前に、国産材が、これから二十一世紀に向かったときにもうそろそろ収穫と申しましょうか、伐採の時期に入ってくる。そういう場合に、需給の動向はそういうふうに見通されていると思いますけれども、では実際その仕事をされる林業就業者、これは私、国勢調査等の資料を見ますと、昭和四十年から昭和六十年にかけて二十二万入減少している。そしてその中で五十歳以上の人の割合が二五%から五九%になっている。そういたしますと、このまま推移しましても、二十一世紀には間違いなく全員六十歳以上になるわけですから、その場合に、国産材が幾ら伐採の時期が来たとしても実際に仕事をする人がいるのか、そういう意味での林業就業者、実際にやっていただく方々の当てはあるのか、これについてどういうふうにお考えになっているのか、若干お伺いをしたいと思います。
  116. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまお話ございましたとおり、林業就業者の数は減っておる、また高齢化は進んでおるという現状がございまして、来るべき国産材時代に対応する、あるいは国民のニーズにこたえて森林整備を進めるといった面で問題を投げかけておるということは事実でございます。私どもとしましては、この林業労働力を育成確保してまいりますために、森林組合、特にその作業班を中心に安定した雇用あるいは安定した就労を実現するということを中心に林業事業体の育成強化を図ることが基本であるということで取り組んでおるところでございますが、さらに、造林あるいは林道等の生産基盤の整備、機械化の推進ということも、労働力対策の面からも不可欠であるということで力を入れておるわけでございます。さらに申しますと、全体として林業就業者の生活の場である山村地域の定住環境を一層整備していくということも大事なことでございまして、各般の施策を講じておるところでございます。平成二年度の御審議いただいている予算におきましても、林業、山村の活性化を図るために新しい林業構造改善事業を発足させる、あるいは就労の長期化、安定化、若年労働力の新規参入等を総合的に推進するための新しい事業も起こすということで、今後その面で力を一層入れていかなければならないと考えております。
  117. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 いろいろと施策を講じられるということなので、それをぜひとも全力でやっていただきたいと思います。特に、私の手元の資料では、十五歳から二十九歳の若い方が、昭和四十年には五万五千人おったのが昭和六十年で八千人しかいない。もう明確に超高齢化が進んでおって就業者の見通しが非常に暗いので、これは何としてもお言葉どおりにやっていただく、私はこのことを強く要望しておきたいと思います。  それから、私は高知県出身でございまして、高知新聞という地元の新聞がございます。長官もまた大臣もよく御存じのように、高知県というのは日本で一番林野率が高こうございまして、そういう中で、ある党が独自に調査に行った。そのときのこういうふうな記事が出ているんですね。「魚梁瀬杉が林野行政の赤字減らしの犠牲になっているのはおかしい」というふうに最初に話がありまして、いろいろな人の意見を聞く中で「高知営林局の黒字の半分、十七億円も魚梁瀬営林署が出しているのに、全国一律の画一的合理化は納得ができぬ」というふうな話が、とにかく苦情とも不満ともつかない形で出てきた。特に今私も高知県のことを全国一位と申しましたけれども、八四%の林野率でございますが、五十三行政区ございまして、そのうちの当該行政区、市町村で九〇%以上が林野だ、森林だというところが十四あるんですね。そして五〇%以上が森だというところが全市町村の八七%あるわけなんです。特に、馬路村と本川村というところがありますけれども、これはもう九七%が森林だ。高知県というのはそういうふうな森林県なわけですけれども、その中で高知営林局が黒字を出しておって、その半分を自分のところで稼いでおるんだ、にもかかわらず全国一律的に職員の削減をされて、このままでは村がだめになってしまう、こういうふうな悲鳴ともつかないお話があったということが出ておるわけでございます。  全国でたしか十四営林局があると思いますけれども、このうちで単年度の事業収入で黒字のところはどこでしょうか、これをひとつお願いしたいと思います。
  118. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま営林局におきます経営改善の状況、あるいは国有林全体においての営林局間の状況等についてのお尋ねがあったわけでございますが、森林資源の状況等々は、各地域すなわち各営林局によりまして、その歴史、蓄積の段階等々異なっておるわけでございます。したがいまして、端的に申しますと、まだ収穫する資源がかなり残っておる、それからまた生産体制の方も要員がかなり縮減をされておりまして減量経営になっておるというような状況によって、その収支が左右をされております。したがいまして、昔非常に資源もあり収入を上げていた営林局が、今は資源がなくなりまして、あるいはその人員をまだ大勢抱えておりまして収支が悪いという局もありますし、現在また好転するようになっている局もあるということで、現時点におきましてどこがどうということはいろいろな角度から考えなければならない問題だというふうに思っておりますが、お尋ねでございますから、営林局別の歳入と歳出を比べてみまして、これは六十三年度の数字でございますけれども、歳入が歳出を上回るいわゆる黒字というところを拾ってみますと、東京営林局、大阪営林局、高知営林局あたりはそういった部類に入っているという数字になっております。
  119. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 尋ねたことに明確に簡潔にお答えをいただきたいと思います。私は事業収入ベースでたしか申し上げたと思うのですけれども、東京と大阪は土地の売り払い収入が入っているのじゃないですか。
  120. 甕滋

    ○甕政府委員 これは歳入歳出全体でございますので、事業収入あるいは土地の売り払い収入等は含まれております。
  121. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 だから、東京と大阪は土地の売り払い収入があるので黒字だと思うのです。そういうことがなければ、普通の事業ベースでやったときの黒字はどこですか、このようにお聞きしております。
  122. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまのように事業収入に絞りますと高知営林局ということに相なります。
  123. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 ともかくこの問題、いろいろ経緯があって、各営林局でも赤字だからすぐだめだとか、そういうことは申しませんけれども、やはり森林がその村の面積の九七%を占めておって、なおかつ一生懸命やって黒字を出しているところ、そういうところもあって、そういうところは地元気持ちとして、このまま合理化を、ある意味でいえば人員を削減していく合理化を一律でやっていかれると大変だ、こういう心配が出ている。このことはぜひとも長官、ひとつ御認識をいただきたい。こういう地方新聞ですから目を通すあれはないかもしれませんけれども、日本一の林野率を持っている高知県で、特にまた九七%も森林があるこういうところでこういう声が起きている、これはぜひとも御認識をいただきたいと私は思います。  続きまして、国有林野事業の特別会計についてお伺いをしたいと思います。  平成元年度、また平成二年度の予算収支も見ましたけれども、現在累積債務が平成元年度でおよそ二兆円になる、このように私承知しておりますが、これは何年度からこういうふうに赤字、いわゆる歳入を上回る歳出という構造になったのか、またその原因、背景について簡単にお伺いしたいと思います。
  124. 甕滋

    ○甕政府委員 国有林野事業につきましては、その資源の状況からいたしまして、戦中戦後の造林がまだまだ保育過程にあるにもかかわらず、収穫ができない、こういういわば資源の端境期に当たっておるという基本的な状況がございます。また要因につきましても、ひところ大勢の人を抱えまして事業をやってまいりましたけれども現在まだ その調整過程にあるという状況等がございまして、また、必要な林野の管理に充てるための資金として借入金を行ったものが累積してまいりまして年々の予算を圧迫しておるというような状況等、国有林の経営状況が厳しさを増してきておるわけでございます。そういった状況昭和四十年来心配されるところとなりまして、昭和五十三年に経営改善計画をスタートさせまして、自主的な改善努力を基本にして、所要の財政措置も講じながら鋭意改善努力を続けておるという状況でございます。
  125. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 たしか昭和五十一年度に四百億円の借入金が初めて出てきておると思います。職員数等もあると言いましたけれども、たしか職員数のピークはもっと前だったと思います。五十一年度から借入金が出てきて現在累積債務が約二兆円くらいになっている。それから十四年間になるわけですね。この間に累積債務の対策はいろいろやってきたというふうに長官おっしゃいましたけれども、これで赤字というのですか累積の債務は減ってきておるのでしょうか。それと、今後これはどのように、改善をされていくのか、その見通しをお伺いしたいと思います。
  126. 甕滋

    ○甕政府委員 現在の状況について申しますと、六十三年度末で債務残高が一兆九千億、平成元年度末に二兆円を超える、こういう見通してございまして、今後このままやってまいりますとこれが年々二千億増加していく、こういう見通しにもなるわけでございまして、この累積債務の対策をどうするかということは、経営全体にとりましても、また、今後の国有林が国民の期待にこたえましてその役割を十分果たしていけるかどうかという点から申しましても大きな問題でございまして、私ども、この累積債務の問題、経営全体の問題として、その健全性を確立するということにつきまして、この際十分な検討を加えていかなければならないと考えております。林政審議会を舞台にいたしまして総括的な対応策について現在検討を始めておるところでございます。その検討結果等を踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。     〔戸田主査代理退席、主査着席〕
  127. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 時間がありませんが、この林野事業特別会計は、戦後昭和二十二年につくられまして、そのときたしか森林資源を保護するということで、一般会計の方にお金が流れていかないようにということで独立会計にした、そういうふうに私は承知をしております。事業収入が、例えば平成二年度の予算で約二千九百億円。それに対して借入金が二千六百四十億円もある。そして累積債務が二兆円を超す。これは普通の会社だったら倒産です。私は、これからの森林の持ついろいろな機能、これは大事である、今までの経済的な価値だけではなくていろいろな価値があるんだ、このように思います。そういう意味で、今まで十四年間何もしなかった、努力しなかったと申しませんけれども、十四年といえば、おぎゃあと生まれた赤ん坊も中学二年生です。その間一貫して債務がふえ続けてきている。これは大いに一つの反省の糧としてやっていただきたい、そのように私は思います。特に、これは私の考えですけれども、収入の中で一般会計から受け入れているのが約百八十六億円。これは長官頑張って、一般会計からもうちょっとお金入れてくれ、そういうふうに要望されたらどうかと私は思うのです。これは、森林の価値というのはただ木だけの価値じゃないわけですから、その意味でひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。  続きまして、時間ありませんので、これは要望だけにとどめたいと思います。  我が県でも、森林の相続等につきまして、非常に大変だ、相続税の支払いが大変だ、特に立木につきまして、これはひょっとしたら木を植えてから収穫するまでに二回にわたって相続する場合がある。おじいさんからお父さん、お父さんから子供、その間に一回も木を切らないうちに、相続を二回する、そういう場合もあるので、立木に関しては何としても売ったときの収入で課税をしてもらいたい、そういう要望もあります。立木一代一回課税、これはイギリスでも西ドイツでも似たような制度がやられておりますので、ぜひとも御検討をいただきたいと思います。  きょうは、あと森林の持つ重要性についての教育啓蒙をぜひともお聞きをしたいと思いまして文部省の方にもお見えいただきましたけれども、時間がなくなりましたのでまことに申しわけございません。私もこの教育啓蒙につきましては十二分にこれから協力をしてまいりたい。きょう緑の羽根もつけてきておりますので、これからいい意味での関心を持ち続けて林野行政に目を向けてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。ありがとうございました。
  128. 内海英男

    内海主査 これにて石田祝稔君の質疑は終了いたしました。  次に、神田厚君。
  129. 神田厚

    神田分科員 水産問題について御質問を申し上げます。  現在、日ソのサケ・マスの漁業交渉が進められておりますが、大変厳しい状況の中にあるというふうに聞いております。現在の交渉の状況を、公開できる範囲でお知らせいただきたいと思います。
  130. 京谷昭夫

    京谷政府委員 お話がございましたように、日ソ間のサケ・マス協議、現在モスクワで続行中でございます。御承知のように、三月中下旬にかけてこの協議が東京で開始されたわけでございますが一時中断という状態で、四月十七日からモスクワにおいて再開をしておるものでございます。この協議におきましては、ソ連産サケ・マスの漁獲についての操業条件を詰めることが本体協議内容になっておりますけれども、実はこの本体協議内容について双方が受け入れられる条件がなかなか形成をされないということで中断、再開という経過をたどっておるわけでございます。  現在の交渉状況でございますが、まだ継続中でございますので詳細については御容赦をいただきたいわけでございますけれども、御承知のように操業条件の内容としまして、日本が漁獲をする漁獲量、それからこれに伴う協力金の支払い問題という基本的なフレームがあるわけでございますが、今回の協議におきましては、新しい問題として操業する隻数制限の問題というものが先方から提起をされまして、これらをいわばパッケージにした形で交渉は進められております。時間もかなりたっておりますし、また漁期も迫っておるということで大詰めの状況を迎えておるわけでございますけれども、なかなか我が方として受け入れられる状況がまだ出ていないということで、なお交渉を継続しております。大変厳しい状況が予測されますが、この時期、最後の頑張りを代表団の方に命じまして大詰めの協議を今進めさせていただいておる、こういう状況でございます。
  131. 神田厚

    神田分科員 時期としてはどうなのですか。連休明けぐらいの形になるのですか。
  132. 京谷昭夫

    京谷政府委員 協議の収束の見通しでありますけれども、私どもとしては、相手のある話でございますので断定的にこの協議終了のめどを申し上げるわけにはまいりませんが、ともかく漁期も迫っておるということもございますので、可及的速やかにということで連日いろいろな形での交渉を今進めさせておるところでございます。でき得べくんば、もう連休前最後の日でございますけれども、時間がちょっとずれておりますがきょうも精力的に現地での交渉を進め、できるだけ早い方がいい、こういう構えでやっておるところでございます。
  133. 神田厚

    神田分科員 ソ連側が一九九二年までの沖取り禁止を目標にして現在交渉があるわけでありますが、この一九九二年問題についてのソ連側の主張というのはどの程度のものなのか、今後の日本の方の対応次第では考え方が変化をする可能性があるのかどうか、率直なお考えをお聞きしたいと思います。
  134. 京谷昭夫

    京谷政府委員 お話ございましたとおり、現在我が国は、北太平洋の一部公海それから日本二百海里内におきまして、ソ連との二国間協議をベー スにしまして、ソ連を母川国にしましたサケ・マスを漁獲をしておるわけでございます。ソ連はこれに対して、自国の二百海里を超えた水域におきまして自国産のサケ・マスの漁獲をすることを一九九二年から禁止したいという方針を一昨年から明確に打ち出しておりまして、いわばそれまでの間の漁獲条件を決める協議を当面やっていこう、こういう構えでこのところの日ソサケ・マス協議が行われておるわけでございます。この根底にありますのは、先生御承知のとおり、昭和五十三年ごろから世界的に定着をしてきておりますいわゆる二百海里体制の中で、サケ・マスのような遡河性魚類については、それが生まれた母川を領有する国が第一次的な管轄権を持つといういわば新しい国際秩序のもとで極めて例外的な措置として、母川国と漁獲国の二国間協議によって自国産のサケ・マスを外国にとらせる道があるということで、日ソ間でのサケ・マス協議が行われておる、こういう状況に相なっておるわけでございますが、このソ連側の沖取り禁止の方針というものは、ただいま申し上げました今日一般的に定着をしております遡河性魚類に対する母川国主義の主張がさらに強まっておるという根本要因があるのではないか、かように考えております。  それに対して、私どもとしては、まさにそういった新しい国際秩序の中で例外的ではあるけれども、長い伝統、歴史を持った二国間関係の中で結ばれておる関係であるので、これをできるだけ継続すべきである、こういう主張のもとで、一昨年のソ連の方針が出されましてからその撤回を求めて、今日までいろいろな機会を通じて再考を求めてきておるわけでございます。現在のところ先方は、この一昨年に出した方針を撤回する意向は全く示しておりません。ただ、実はこの問題を今回の協議でも中断前に大分論議をしたわけでございますけれども、大変厳しい状況にございます。この問題のみにかかずり合っていてはことしの操業条件を決める話が遅滞をするということで、現在これを棚上げした格好で、また機会を改めてこの問題を論議し、我々の主張をさらに続けていこう、こういう気持ちでございます。最終的に先方がどういう対応をするかということについては、今のところ私どもとしては確たる見通しは持ち得ない状況にあるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  135. 神田厚

    神田分科員 大変厳しい状況の中ですが、北洋のサケ・マス漁業を守っていくという立場を堅持して頑張るということであれば、やはりもっと綿密な交渉を積み重ねていかなければならないと思うわけであります。その辺の努力をお願いしたいと思います。  現在サケ・マス漁業の減船作業が行われておりまして、その規模もかなりの隻数に達しておる。昨夜そういうことで大蔵省との折衝等もあったように報道されておりますけれども、現在この点の問題についてはどういうふうになっておりますか。
  136. 京谷昭夫

    京谷政府委員 日ソのサケ・マス漁業をめぐる大変厳しい状況先ほど来先生からも御指摘あるとおりでございます。実は私ども、サケ・マス漁業に限らず、我が国の国際漁業が新しい国際的な海洋秩序の変化に伴いましていろいろな影響を受ける機会が多くなっておるということを踏まえまして、そういった国際漁業のいわば再編成、減船を含む再編成ということが余儀なくされるケースが大変多くなるということを考えまして、昨年の十二月に「国際漁業再編対策について」という閣議了解を行っております。国際的な客観情勢が変化をして、減船を伴ういわば再編整備というものがある特定の漁業に不可避であるというときに、国内での必要な対策を的確に実施していくために一定のルールを決めたものでございますけれども、これに実は、このサケ・マス漁業問題をめぐりまして事態が大変厳しいということがありまして、関係団体から、昨年の閣議了解に基づく国際漁業再編対策の中に減船漁業者の救済措置という部分がございますが、これはいろいろな手順を踏んで決めることになるであろうけれども、厳しい状況下でことしの出漁を円滑に進める上で、考え方といいますか、そういうものを事前に示してほしい、こういう大変強い要望があったわけでございます。したがいまして私ども、そういった御要望を踏まえながら、本来もう少し手順を踏んでいくべきものを、これから踏む手順の前提になるサケ・マス漁業についての減船漁業者救済措置のいわば骨格というような形で、政府としての方針を明示することが関係者要望にこたえることであるということで、数週間前からその検討を進めておったわけでございますが、内容的には最終的に国の負担に属するような問題にもかかわることになりますので、財政当局とも慎重な協議を行いまして、昨晩遅くでありましたけれども、一部報道にございますような閣議了解に基づく減船漁業者救済措置の骨格という形で政府としての考え方を明らかにした、こういう経過でございます。
  137. 神田厚

    神田分科員 減船の影響は、ただ単に乗組員だけではなくて家族や加工業者、そういう人たちに大変大きな影響を与えるわけでありますし、漁協の経営、地域経済にも大変大きな混乱が生ずるおそれがあるわけであります。その辺も含めまして、混乱が生じないような十分な対処をお願いしたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  138. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘のとおり、北洋サケ・マス漁業が北海道その他の地域で一定の役割を果たしておるということは我々もよく承知をしております。ことしのサケ・マス操業が具体的にどういう形になるのかということ、まだ交渉継続中でわかりませんけれども、大変厳しい事態も予測しなければならない、こういう状況で、先ほど申し上げました減船漁業者救済措置についての骨格を明らかにしたわけでございますが、お話ございましたように、その影響というものが、各地域の実情によって差はあろうかと思いますが、いろいろな形で影響が出てくることが容易に予想されるわけでございます。それに備えて所要の対応をしていくということは私ども当然頭にあるわけでございますが、具体的にどのような状況が出てくるかということをよく見きわめながら対応していく必要があると思います。事態の推移を注意深く見守ると同時に、また対応の範囲というものが、水産庁あるいは農林省という枠を超えた対応が必要な場面もあろうかと思いますので、状況に応じまして、関係する役所あるいはまた関係する地方公共団体ともよく連絡をとって、御指摘のような対応に心がけてまいりたい、かように考える次第でございます。
  139. 神田厚

    神田分科員 次に、捕鯨問題についてお伺いをいたします。  この捕鯨問題は、単に捕鯨が再開できるかどうかといった単純なことではありませんで、諸外国からの理屈の通らない要求にどういうふうに対処するか、日本の立場、あるいは日本の文化を守るという意味もありますけれども、そういう意味で外交の基本にもかかわる象徴的な問題であるわけであります。ことし七月からオランダで開かれる国際捕鯨委員会は、商業捕鯨のモラトリアムを決定した際に国際約束がなされたとおり、商業捕鯨禁止の包括的見直しの会議であります。日本はこの間に調査捕鯨を実施し、その見直しに備えたのでありますが、ほかのIWC加盟国が見直しのためのデータを集めているということは聞いておりません。ことしのIWCでモラトリアムの見直しができるのかどうか、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  140. 京谷昭夫

    京谷政府委員 捕鯨をめぐる問題について、私どもがとっておる立場と多くの欧米諸国がとっておる立場に相当の差があること、御指摘のとおりでございます。私ども、申すまでもなく、鯨を含めてこれらの海洋資源というものは科学的、合理的な管理のもとに、その資源の保続を図りながら利用を進めていくことが適当であるという考え方、これは国際捕鯨取締条約においてもうたわれている精神であります。そういう考え方でこの問題に対処しておるわけでございますが、残念ながら多くの国におきまして、鯨神聖にして侵すべからずというふうな、いわば宗教的な信仰にも似た ような考え方が大変広く流布しております。したがいまして、IWCの運営自体が、そういった宗教的な信仰に近い形での考え方と、私どもの主張しております科学的、合理的立場に立った有効利用を図るという考え方との対立、大変厳しくなっておりまして、御指摘ございますような商業捕鯨のモラトリアムができたわけでございます。  我々も現在これに服する形で対応しておるわけでございますが、お話ございましたように、ことしは南氷洋鯨その他の三つの資源群につきまして、資源量についての包括的な見直しを行いまして、その結果に基づいて商業モラトリアムの見直しをする年に当たっておるわけでございます。私ども、最終的な方針はまだ確定をしておりませんけれども、これまでの我が方の基本的な立場を保持しながら対応したいと思っておりますが、IWCという国際機関の場に参りますと、少なくとも投票権の数の上で私どもと同じような考え方を持つ国の数が少ないことも事実であります。理屈での論争はいろいろあり得るわけでございますが、そういった多数決原理のもとで事を決し、物が動くという国際機関の場で、このモラトリアム見直しの結果は、我が方の意向を貫徹させていく上で大変難しい客観情勢にあることも事実であります。その中で我が方の主張をどのように実現すべく努力していくのか、率直に申し上げまして、私ども大変苦しい状況にあること、事実でございます。ただ、私どもの主張を実現すべくある程度の時間的な忍耐を持って事に当たっていくことが必要ではないかという印象を現在のところ私ども持っておる次第でございます。
  141. 神田厚

    神田分科員 この会議がどういうふうな形で持たれそうなんですか。
  142. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御質問の趣旨、あるいは私誤解があるかもしれませんけれども先ほど申し上げましたように、この商業捕鯨モラトリアムの見直しというのは、国際捕鯨取締条約に基づいて設立をされておりますIWCの総会で行われることになっております。この総会におけるモラトリアム見直しの前提といたしまして、IWCの科学委員会におきまして、先ほど申し上げました我が国が現在調査捕鯨をやっております南氷洋のミンククジラあるいは北西太平洋の特定の鯨種類、三つの鯨の種類についてことしは資源の包括的な見直しをしようということになっております。恐らくこの科学委員会での資源の包括的見直しという対象になった鯨種について総会で、商業モラトリアムについてどう考えていくかということが論議をされる。科学委員会での意思決定というのは基本的には全会一致が原則になっておりますけれども、科学委員会の性格上いわば科学的な認識について客観的にいろいろな意見を併記するという状態で会議が進められると思います。それから、IWCの総会自体の議決というのは、残念ながら事によって若干、四分の三、三分の二という差がございますけれども、基本的には加盟国の多数決によって意思決定が行われる、こういう会議の持ち方になっておるところでございます。
  143. 神田厚

    神田分科員 私どもは、商業捕鯨の再開にかかわらずIWC条約に基づき科学調査のための捕獲は今後とも続けていくべきであるというふうに考えておりますが、政府は、南氷洋での三回にわたる調査捕獲の粋を本年は三百頭プラス・マイナス一〇%と設定しております。その捕獲枠について米国の科学者からは、そんなに少ない数で何がわかるのかとの指摘がありますし、また日本の科学者の間にも、科学調査としては現在では少な過ぎるので拡大するべきである、こういう意見があります。外国に遠慮をして標本数を必要な数よりも少なく設定した結果、科学的効果が薄れ、かえって疑似商業捕鯨ではないかという反捕鯨団体の悪宣伝に使われている、こういう状況もあるわけでありますが、調査捕獲は国際条約に沿って行われているというわけでありますから、科学的資源把握に必要なだけの捕獲頭数、すなわち当初計画したミンククジラ八百頭、マッコウクジラ二十五頭を設定すべきであると考えております。  また、日本近海での調査につきましては、目視調査だけでなく捕獲調査も開始すべき時期が来ているのではないか、こういうように考えている人たちも多くありますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  144. 京谷昭夫

    京谷政府委員 お話ございましたように、我が国は、国際捕鯨取締条約で決められております加盟国の持っております調査権の発動の一つの形態として、現在南氷洋におきましてミンククジラの捕獲調査を行っておるわけでございます。実はこれに対しまして、商業捕鯨ではないわけでありますけれども先ほど来申し上げております欧米諸国の相当数の国におきましては、頭数にかかわらず、鯨そのものを死に至らしめるような捕獲行為をすること自体が悪であるという宗教的な信仰に近いような考え方のもとで対日批判を行う、こういう考え方が少なくとも数の上では相当数いることを事実として率直にまず認めなければいけないわけでございます。これに対して私ども、国際捕鯨条約の規定に基づいて日本固有の調査権であるということで正当性を主張しておるわけであります。この我が方の国際法上の正当性について正面切って反論をするような論理があるとは思っておりませんけれども、感情問題も交えまして事実上の批判があること、これも事実としてあるわけでございます。  そういう状況下で、条約上認められております加盟国の固有の権利である調査権の行使としてどの程度の捕獲調査をやっていくかということは、法律論あるいはまた論理的な問題としてばかりではなくて、まさに感情問題としてある批判というものをある程度考慮に入れて実行していかないと、形の上で持っております我が国固有の調査権自体が否定されかねない、こういう配慮のもとに調査規模について私ども、原計画に比べてやや抑制的な調査活動をしていることは事実でございます。ただ、これでさえも実は大変な対日非難を各地で受けておることも、これまた事実であります。理があるかないかということは別としまして、いわば感情論議としてそういう事態が起こっておりますので、そういうものとの調和を図りながら、調査の効果を確保するために、必要最小限度の規模での調査を継続しておる。もちろん調査の効果という上で、規模を縮小すれば効果が若干減殺するという一面は私も否定できませんが、これは調査の期間を長くすることによって調査の精度というものを確保していくという代替的な方法もあるわけでございますので、私ども地道な努力を続けながら我々の調査活動を守っていくという立場で対応をしていきたい、かように考えているわけでございます。  また、沿岸資源についての捕獲調査の問題、これも一つの課題としてあることは私どもも十分承知はしております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、いわば宗教的信仰あるいはまた非常に露骨な感情的な対応という事実があることも確かでございまして、これらと調和をしながら全体としての日本の立場を害さないような形でこの調査捕鯨の活動を考えていく必要があるということで、目下のところ沿岸資源の捕獲調査については慎重を期しておる、こういう状況でございます。
  145. 神田厚

    神田分科員 調査捕鯨の意義が各国にうまく伝わっていない、そういう意味では、我が国が行っている条約に基づく正当な調査捕鯨についての理解を求める運動をすべきであると考えておりますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  きょうは大臣にわざわざ出ていただきましたが、ちょっと時間その他の関係で後日また御質問させていただきます。終わります。
  146. 内海英男

    内海主査 これにて神田厚君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木久君。
  147. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 北洋サケ・マス問題一点だけに限って質問をいたします。十二時から本会議があるそうでございまして、時間が大変制約をされているということでありますので、それに協力する意味も含めて端的に質問をして、できるだけ時 間を早く繰り上げて終わるようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  今も北洋サケ・マスのやりとりを私も多少聞かせていただきました。十七日に再開されました日ソ漁業合同委員会の交渉の問題でございますけれども、大変厳しい状況でこの交渉が進んでいると思いますが、まず、日本がどんな基本的方針で臨んでいるのか、方針を伺いたいということ、それから、ソ連側が割り当て量の大幅削減という問題と同時にいわゆる漁業協力金というのをずっとこの間求めてまいりましたけれども、ソ連側の態度は現状どんなふうになっているのか、この辺からお示しいただきたいと思います。
  148. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘のございました、現在モスクワで進められております日ソ間のサケ・マス漁業交渉でございますけれども、これに臨んでおる私どもの基本的なスタイルというものは、一定の歴史、沿革を経て今日まで継続してきております。我が国の漁船が行うソ連産サケ・マスを捕獲する漁業について、ソ連側の理解のもとに我が方の関係漁業に混乱を来すことのないような形で本年の操業条件を何とか確保したい、こういう基本方針で事に臨んでおるつもりでございます。  ただ、これに対するソ連の基本的方針というものは、ことしに限ったわけではございませんけれども、基本的に、我々ソ連側としてはソ連産のサケ・マスについての管轄権はソ連側にある、これを外国にとらせるというのは極めて例外的な措置である、日ソという長い二国間関係のもとでソ連の事情の許す範囲内で日本側に一定の条件でソ連産のサケ・マスを漁獲させておる、ソ連側のそういう基本的な考え方は変わらないけれども、ソ連側の事情を言えば、まずソ連が第一次管轄権を有するサケ・マス資源については、ソ連の国内需要が非常に拡大してきておる、あるいはソ連の関係漁民の生産意欲が大変向上してきておる、したがって、外国にとらせる余裕はだんだん少なくなってきている、でき得れば一九九二年からは自分の二百海里内の外では外国には一切とらせたくない、こういう基本的な考え方を一昨年から明確に出してきておるわけでございます。  これを何とか打破すべく、その再考を求めておるわけでございますし、また、それを前提にしつつ本年の操業条件を何とか確保するための努力をしておるという状況でございます。
  149. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 今のお話をお伺いしますと、九二年にはほとんど沖取り全面禁止というソビエトの態度は変わらないというふうに聞こえてしまうのです。そうなりますと、まさにこの北洋サケ・マス、中型とその母船式の方はほとんど壊滅になる。その線上で九二年にはもう全廃するのだというか、そういう道筋ができ上がってしまって、現状その道を歩んでいるというか、もう割り当て量はずっと毎年減らされてきておりますから、どんどんゼロに向かって行進しているような感じがしてならないのです。私ども地元もかなり多くの独航の船を抱えている地域でございまして、その漁民にとってみれば今のそういう状態に対する不安というのは物すごく大きいわけです。  ですから、もう一度お伺いいたしますけれども、そういうソビエトの例外的措置だという態度、同時に、それに対して日本側は一生懸命努力をされておるとは思いますが、何か聞く限りでは、もう九二年沖取り全面禁止をずっと歩んでおるという認識になってしまっておるのじゃないかという感じがしてならないのです。現在の交渉の中身は、一万五千トンよりもずっと減らされていってしまう、一万トンぐらいになるという話もございますけれども、そういうことも含めて、日本側の考え方といいますか、九二年の沖取り全面禁止というものに対する日本側の態度について再度お示しいただきたい。
  150. 京谷昭夫

    京谷政府委員 ソ連産のサケ・マスをソ連の二百海里内で日本の漁船がとるということについては、現在の海洋利用をめぐる国際法秩序のもとでは、最終的には母川国であるソ連の判断にかかっておる部分が大変多うございます。それを法律的にあるいは国際法上非難する論理は、極端なことを申し上げますと、まずないというふうに私ども認識しております。  それはただ、ソ連と日本との二国間関係あるいはそういう資源に対するソ連自体の考え方いかんによってそういう道が許される可能性というものが、現在までそれが続けられておりますが、一九九二年以降全くないというふうには私ども考えておりませんで、そういう条件が成り立つかどうかについて我々は引き続き努力していきたいと思っております。ただ、相手のあることでございますので、一九九二年のそういった漁業については大変リスクの高いものであるという認識は我々自身持たなければなりませんし、また、関係漁業者の方にもそういう理解を持っていただかなければならない、こういう判断をいたしておる次第でございます。
  151. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 時間がありませんから端的にお伺いいたしますけれども、そういうふうな道筋になってまいりますと、結局、九二年まで国内的な減船措置をして対応するしかないというか、そういう受けとめ方になってしまいそうなんです。特に、一万トン以下に割り当て量がずっと割り込んでいったら、そしてなおかつ漁業協力金がトン当たりにすればどんどんふえていますから、毎年大きくなっていますから、もう行ってもペイしないのではないか。むしろ、そういう割り当て量も少なくなる、協力金は多くなる、とりに行って帰ってきて採算ベースに合わないということになればもうあきらめるかという感じをどうも持ってしまうのです。その減船の補償問題等々、これは先ほどもいろいろ話があったようですけれども、具体的に煮詰まって減船割り当てもほぼ決まったと見ていいのですか。
  152. 京谷昭夫

    京谷政府委員 北洋サケ・マス漁業につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在モスクワで開催されております協議状況から見て大変厳しい状況にあることは御承知のとおりでございます。こういう事態というのは、基本的には今日ただいま始まっておるわけではございませんので、端を発しましたのは、昭和五十三年前後を境にいたしまして国際海洋をめぐる法秩序の変化の中で二百海里体制が定着し出した、そういう時期から始まっておる事柄であります。私どもは当然そういう認識を持っておりますし、関係漁業者もそういう理解があっただろうと思います。その二百海里体制の中でしかれた母川国主義の中で、例外的な関係として日ソサケ・マス漁業関係があったわけでございますが、これがまた新しい変化の時期を迎えておる、こういうことがございまして、私ども、これはサケ・マスに限らず、ほかの国際関係のもとで行われておる我が国の漁業について多かれ少なかれ出てきておる現象でございますので、そういう変化に国内の対応をできるだけ円滑に進める必要があるということで、減船漁業者に対する手当ての問題、それから関連する事業者の対応の問題、それから漁業に従事をする漁船員の方々の雇用問題、こういう範囲にわたりまして総合的な対策を臨機応変にとっていくために、昨年十二月に閣議了解で国際漁業再編対策というものをつくったわけでございます。  それのいわば運用の一環としまして、サケ・マス漁業が今日置かれている客観的な状況を踏まえるとこの対策を運用していく必要があるのではないか、できればどういう方向でこれを運用していくのか、その方針をできるだけ早く示してほしいということがサケ・マス漁業に携わる関係者から大変強く出されまして、この一カ月弱の間、何らかの格好でその方向を出す必要があるということで、昨晩遅くまでかかりまして、「北洋さけ・ます漁業に関する減船漁業者救済措置の骨格」を水産庁として決めまして、関係者にこれを明らかにしたところでございます。  内容は、どういう漁業を対象にしてこの措置を講じていくかということですが、その内容としては、ソ連産サケ・マスをとっております関係漁業、数種類ございますけれども、これを全部対象にしていく、これが第一点であります。それから、救済措置の対象にしていく漁業者はどういう 人かということについても一定の限定をつけております。かつまた、いつまでに減船する人について政府としての救済措置をしていくかということも明らかにしております。さらにまた、どういう水準のいわば救済措置をするかということについても、漁業種類ごとあるいは減船する時期ごとに、細かくはさらに個別の漁業者ごとに実態を洗わないといけないわけでございますけれども、基本的な水準としてはどういう程度の救済措置が講じられるかということを漁業種類別、減船時期別に明示をした。こういう内容で公表をしておるところでございます。
  153. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 先ほども話をしましたけれども、私ども地元も独航船の基地みたいなものでして、一番多いときには六十四隻もありまして、現在はそれが三十一隻、しかし実際この二、三年は休漁をしておりまして、出ているのはごくわずかです。ピーク時から比べるともう本当にごくわずかになってしまいましたけれども、それでも三十一隻ほどございます。その三十一隻も、実は、この北洋サケ・マスとそれからサンマと、両方表裏で成り立っているのですね。ですから、北洋サケ・マスが沖取り禁止、全面だめというふうな方向へ行ってしまえば、裏か表かは別にしてサンマの方も――いろいろ調べてみますと大体三十一隻のうち現在でも二十七隻はサンマ漁をやっている。両方で乗組員を抱えて何とか経営しているのが今日の状況ですよ。こういう状況になっておりますので、私どもが憂慮するのは、そういうサケ・マスの方がどんどん厳しくなれば裏のサンマ漁もできないということになってしまって、浜はまことに厳しい状況に立たされるわけでございまして、乗組員だけでも七百名を超えますし、その家族、あるいはサンマなどでいえばその加工業を含めて大変な打撃を受けることになるわけですね。そんな実態にあるものですからなおさら、そうは言っても相手のあることだというお話でございますけれども平成四年までの間に沖取り禁止でサケ・マスがほぼだめになってしまうということになれば、まことに憂慮すべき事態になるというふうに私は思っておるわけでございます。  こうしたことを考えますと、今の減船対象という問題も、もちろんこれは国でどこのあれをどうするかということは決めないで、減船の場合むしろ業界の方が決めていくことになるのだろうと思うのですけれども、そうした問題を含めて、今日の段階で国内の措置として減船がどのぐらいになるかという見通しは立ててございませんか。
  154. 京谷昭夫

    京谷政府委員 現在、ソ連産のサケ・マスを捕獲する漁業に従事している日本国内の漁船、大小いろいろありますけれども、船体として約八百隻おります。地域的に北海道が大変ウエートが多いわけでございますけれども、北海道あるいは東北地方に分散をしておるわけでございますが、先ほどお話にございますように、ソ連産のサケ・マス捕獲について日ソ間の話がつかなければ操業できないという事態は事実でございます。私どもそういう事態を起こさないように最大限の努力をしたいと思いますし、またソ連側も、いろいろな資源管理上弊害を起こさないような形で、一定の条件下ではございますけれどもソ連の二百海里の中でとる形態もあり得るのではないかというふうなことで、これは事実一昨年からそういういわば試験的な形態が出てきておりますが、実はこれとても未来永劫に安定したものであるとは、ソ連側の事情でいつ、どういう変化をするかわからない、こういうリスクを持って事に当たっていく必要があるだろうと思います。いずれにしてもソ連側の意向、我々の意向が折り合える条件下でなければ操業が維持できないことは事実でございます。  そのために、そういう一定の流動性を持った条件下で関係する漁業者がどうしたらいいかということを当然考えていかなければいかぬわけでございまして、私ども、許される期間内にそういう御判断関係者にもしていただかなければいかぬ。特に、ことしの漁をどうするかというのは実は今交渉を継続中でございます。この結果がどうなるかを見て、かつまた私どもが昨夜遅く決めました救済措置の骨子というものをも両にらみで、やはり個々の漁業者が自分の置かれている状況をもとにいろいろ御判断をいただくということが基本ではなかろうか。その中で私どもはお手伝いできることを、関係の地方公共団体とも協力をしながらいろいろな対応をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  155. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 時間がありませんので、最後に大臣にお伺いをして私の質問を終わりたいと思うのですけれども、今のような状況、まことに厳しい、国内的にも大変な痛みを感じることでございます。そういう意味からすると、これまでサケ・マスだけじゃなくていわゆる日ソ漁業交渉全般について、どうもどちらかというと日本側はずっと受け身に立たされているという感じ、それは漁業に携わっている人々や我々も受けとめている感じなんですけれども、前の六十一年には羽田農林水産大臣が行っていらっしゃいますね。それからその後は加藤農林水産大臣が六十二年に、これは地先沖合の漁業関係で、漁業外交と言ったらいいのでしょうか、そういうものをやっておられますけれども、結局のところ二百海里内の操業にわずかの望みをかけながらという感じの今の答弁を聞く限り、もう少しソビエトに対してしっかりした漁業外交をすべきなのではないかという気持ちがこれはあると思うので、そういう意味で、これは厳しい環境にあるサケ・マス問題、さらには日ソ漁業全般の問題を含めて、大臣の決意といいましょうか、漁業外交の決意みたいなものをお聞かせいただければと思います。
  156. 山本富雄

    山本国務大臣 日ソ漁業交渉がかねての経過を踏まえて年々歳々厳しさを増している。それから、今水産庁長官からもお話がありましたけれども、二年後の沖取り禁止、私どもは本当に理不尽だというふうに考えておりまして、これについても声を大にしながらソ連側に対してこれからも交渉を続けたい、こう思っておりますけれども、しかし、状況全体が厳しいことはもう間違いない。現在、赤保谷部長に全権を委任しまして、私の相手の漁業大臣に対する手紙なども持たせまして、東京でやった会談が中断した後いろいろ相談をして、そして漁業関係者も随行しながら政府関係者一体になって第二回目の交渉をモスクワでやっている、こういうことのようでございます。私ども責任者として逃げも隠れもいたしませんし、また、いつでも飛び出していって向こう側と渡り合いたいというぐらいの気持ちは持っております。持っておりますけれども、ただ血気にはやって、行くことだけで済むことではない。しかも今回の場合に限っていえば、これまた先ほど長官が御答弁申し上げたとおりで、漁業者に対する救済措置、これも早くしないと不安が増すばかりだ、こういうことなので、本来はモスクワの交渉がある程度目鼻がつき、できれば妥結をした後、じゃその対策をどうするか、救済の場合には救済措置、再編対策に従って、こういう順序であるべきなのですけれども、これは漁業者の出漁を控えてのいろいろな不安を考えた場合に、片や交渉を続ける、しかし片やこちらの救済措置も財政当局にお願いもして進めなければいかぬ、両方で進めてきたという苦心の経緯もあるわけであります。そこで、モスクワ交渉が最終段階になっておりますから、これに私がどうこう言うことやあるいは態度を決めることでかえって影響を与えてもいけないということで、最終的に今じっと見守っているところだということでございます。  いずれにいたしましても、この厳しい中で結果が少しでもいいことを望むわけでございまして、外交交渉という先生のお話がございましたが、外交交渉は今回だけで終わるわけではありません。これからさらに二年後あるいは将来を展望して日ソ間でもやらなければならない。こっちも必死で日本漁業を守っているわけでありますから、そういう長い目で見ながら、どういうことが一番いいかということを判断しながら考えていかなければならない。繰り返すようですけれども、最終段階の交渉に影響を与えないように配慮しながらこれを見守っていこう、今のところこういう態度でご ざいます。
  157. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 沖取り全面禁止という厳しい状況が二年後に来るということを踏まえて今の大臣の決意もありましたので、国内で大変厳しい状態にさらされる漁業関係者の皆さん方の気持ちを十分踏まえてこれから頑張っていただきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  158. 内海英男

    内海主査 これにて鈴木久君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  159. 内海英男

    内海主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤和良君。
  160. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 徳島県を流れております吉野川、四国三郎と言われました美しい大河でございますけれども、その下流地域で、最近、大変農作物に塩害の被害が出ております。私もそこに住んでおりまして、近くの農民の皆さんから、水稲あるいは野菜類に大変被害の状況がある、こういうお話を伺っておるものですから、まず最初にその点からお聞きしたいと思います。  最近のこの塩水化に伴います農作物の被害状況というものについて、農水省は掌握をしていると思います。また、この塩水化の原因というものをどのように考えていらっしゃるか、あるいはまたこの塩水化に対する抜本策、こういうものについてどういう展望と見通しを持っておるのか。この辺をまず確認をさせていただきたいと思います。
  161. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 まず塩水化による農作物の被害の状況でございますけれども、徳島県からの報告によりますと、昭和六十二年に約四十ヘクタールの水稲に塩水による影響が認められ、そのうち約一ヘクタールでは水稲の枯れ死が起こっている、それからまた約〇・六ヘクタールでは生育停止の被害が認められているという報告を受けております。  それからまた塩水化の原因でございますけれども、吉野川下流地域では地下水採取による地盤沈下が見られまして、塩水化の原因といたしましては、この地下水のくみ上げが主要な原因であるというふうに考えております。  この地盤沈下対策につきましては、現在地下水の採取が規制されているということでございますけれども、その地下水の採取が規制されている地域での農業用の用排水施設、これについて効用回復のための事業、それからまた地盤沈下防止のための水源転換、地下水から河川水に水源を転換するための事業を行っている次第でございます。  この地盤沈下対策の事業は、応神地区を初めといたしまして四地区におきまして徳島県が鋭意事業を進めるいるところでございますけれども農林水産省といたしましても、この徳島県の事業を促進してまいりたいというふうに考えております。
  162. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 今いわゆる地下水の過剰くみ上げが主要な原因であるというふうな御認識でございましたけれども、県民の皆さんの中には、吉野川の流量を上流で香川に分水することにいたしましたですね、そういうものの影響で吉野川の流量自体が大変減っておるものですから海水が上流の方まで上がってきた、このことによって周辺の農地に塩水化が起こっているのではないか、こういう懸念があるわけでございますけれども、この辺についてはどのように考えておりますか。
  163. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 吉野川の塩水の遡上の状況でございますけれども、私どもといたしましても、吉野川の第十堰というのがございますけれども、これは河口から大体十五キロぐらいのところでございますが、その辺まで塩水が遡上することがあるのではないかというふうに聞いております。
  164. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 したがいまして、吉野川の流量が、池田から香川の方にかなり水を、香川用水ですか、出しております。その関係で、表流水が大変少なくなっておる、だから海の水がうんと上流まで押し寄せてきておる。これが原因ではないかと思っておりますが、これは原因と考えられますか、どうでしょう。
  165. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 塩水が吉野川の下流に遡上いたしまして、吉野川の沿岸地域にその塩水が浸透するということはあり得るのではないかと考えております。ただ、それもなぜ浸透するのかということで、複合的になるわけでございますけれども、地下水のくみ上げによって浸透しやすくなるという面があるのではないかというふうに思います。
  166. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 わかりました。いろいろな原因が錯綜しておるものですから、これが原因であるというのは特定しにくいということはよくわかります。恐らくこの地下水の過剰くみ上げに対しましては県もかなり指導しておるところでございますが、特に最近アユの養殖等でかなりの水が出ておりますし、あるいは工業用水とか、そういう意味でもありますものですから、その辺のきちっとした指導、あるいは水をもう一回再循環させて使うとか、こういう指導を強力に行うことが大事ではないか、このように考えますが、どうですか。
  167. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 吉野川下流域の地盤沈下なり水質汚濁といいますか、そういう問題に対しまして抜本的対策といいますか、そういう観点から私どもは吉野川下流域国営総合農地防災事業というものを現在計画いたしておりまして、この事業によりまして水質汚濁防止とか、それからまた地下水くみ上げから河川水への水源転換とか、そういう形で抜本的な対策を講じ得るのではないかというふうに考えている次第でございます。
  168. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ただいまお話のありました吉野川下流地域国営総合農地防災事業、これはかなりの金額と年月をかけて行うものである、このように伺っております。これは確かに抜本的な塩水化防止の対策にはなる、このように私も存ずるところでございますが、この事業の概要についてまず初めに御説明を願いたいと思います。
  169. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 吉野川の下流域は、最近都市化の進展に伴いまして、農業用の用排水施設に家庭雑排水等が流入して水質が汚濁されるという問題があります。このため、吉野川下流域の国営総合農地防災事業によりまして、用水源を柿原堰それから旧吉野川の上流地点に転換するということ、それからまた用水路と排水路を分離するということを考えたい、そういうことによりまして農業用水の水質の改善を図りたいというふうに考えております。  この事業は、徳島市ほか一市六町、約五千六百ヘクタールを受益地といたしまして、事業計画としては、取水工一カ所、用水路、これはもう全部パイプラインでやる予定でございますけれども、五十七キロメートル、それから揚水機場一カ所を整備するという予定でございます。この総事業費は、平成元年度現在で約四百八十億円というふうに予想しております。これは昭和六十一年度から平成元年度にかけて地区調査を実施してきたところでありますけれども平成二年度に全体実施設計の採択を予定いたしておりまして、工期はおおむね十年程度を予定いたしております。
  170. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 かなり大きな国営のプロジェクトだと思うわけでございますが、この事業と、建設省が所管をしております第十堰の改築改修事業、これは相互に密接な関係があると思うわけでございます。きょう建設省にも来ていただいておりますが、この第十堰の改築というのは、第十堰そもそもが大変古いせきですね。宝暦二年ですから、一七五二年にできたものですからもうかれこれ二百五十年くらいたっているせきだと思います。しかも、昭和四十一年に吉野川の上流に早明浦ダムを建設するときにこの第十堰の改築が既に知事意見として出されておりまして、合意されておる。しかも、それから数えますともう二十五年たっておるわけでございますが、新しい位置をどこにするのか、あるいは具体的に工事にいつかかるのかということがいまだに明確にされておりません。これがきちっとできないと今おっしゃった 事業はスタートできないのではないか、このように考えるところでございますが、この第十堰の改築について建設省の今の考え方はどうですか。
  171. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  吉野川第十堰の改築につきましては、吉野川総合開発計画の一環といたしまして、吉野川下流域の水害の防除、流水の正常な機能の維持を目的といたしまして吉野川本川に建設する可動ぜきでございます。  本事業は、昭和六十三年度から実施計画調査に着手いたしまして、現在、鋭意調査を推進中でございます。今後は、具体的な計画を策定することを目的といたします調査を精力的に行いまして、早期に建設事業に着手する所存であります。
  172. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 そんな、いつも調査しています、調査していますと、もう二十五年も調査して何の調査をしているのだと訴えたいわけです。確かに塩水化の問題も非常に、深刻です。それから、農林水産省がその抜本的な方法として今おっしゃった事業関係しておる。そうすると、旧吉野川への流量をどうするかという問題もあるわけでございますから、この第十堰の改築というのは早急にやるものであればやる。それから、下流にすると旧吉野川への水位が保てないという心配がある、こういう問題があります。それから、下流にしてほしいという要望は、恐らく塩水化を食いとめる策として下流にしてほしいという意見だろうと思うのですが、この辺の調査というものはきちっとやった上で、これは県民との二十五年以前の約束ですから早く結論を出す、そしてこの農林水産省の行う構造改善事業が遅滞なくできるようにやる、これは私は大事だと思うのですが、今の御説明では納得できません。きちっと報告を出してください。いつ着手ができるのか、明確にしてもらいたい。そして、その場所の決定もいつまでにやる、こういうことをはっきりしてもらわなければいけない、このように思います。
  173. 豊田高司

    ○豊田説明員 せきの決定ということにつきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、旧吉野川への分流のこと、吉野川本川の下流の塩水の遡上のこと、いろいろな面から総合的に判断しなければならないことだと認識しておりまして、せきの位置決定に当たりましては、特に地下水等に悪影響を及ぼさないよう、現在、学識経験者から成ります吉野川第十堰地下水等検討委員会を設置し、地下水の流動及び河川工学上十分な検討を早急に行いまして適切な位置を選定することとしております。できるだけ早く結論を出すよう努力したいと考えております。
  174. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 これは大臣も聞いておいてもらいたいのですけれども、徳島県の構造改善事業、特に国のプロジェクトは、当初の計画よりも大変時間がかかっております。例えば、北岸農業用水の事業もそうでございました。あるいは麻植のパイロット事業というのがありましたが、これも失敗した例ではないかと思います。このように、構造改善事業というのは大変重要な事業なんですが、時間がかかるのが難点でございます。しかもそれが、当初の計画より、十年計画が二十五年ぐらいになっておる。こうなってくると、農業をめぐる社会情勢が全く変わってきます。こういう問題があるわけでございます。  今お話のありましたこの塩水化の抜本策にもつながります大きな構造改善事業でございますけれども、私は、そのスタートにおいてこの第十堰の位置を決めることが大変重要な要素であると思うのです。これが決まらなければ、その農業用水を吉野川から引くといいましてもその水量が確保できるかできないかという問題がございます。こういうことがありますから、ひとつ早急に建設省と連携をとりまして位置を決めて、この事業が入口の段階において早急に着手できる環境を整えていく、これは大変重大な認識であると思いますが、いかが認識いたしますか。
  175. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 構造改善局、私ども考えておりますこの吉野川下流域国営総合農地防災事業の取水の考え方ですけれども、柿原堰から取水するということがまず第一点でございますが、さらに旧吉野川の河口地点からも取水することを予定しておりまして、この旧吉野川の河口から取水するところではこの第十堰がどうなるかということが非常に密接に関連いたしておるわけでございますので、私どもといたしましても、建設省の方とよく連絡を密にして今後この事業の推進に努めてまいりたいというように考えております。
  176. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 柿原堰の方の流量をかなりふやして今の旧吉野川の流量は少なくするというお話でございますが、こうなりますと、柿原堰と今の第十堰、新しい第十堰になる可能性もありますけれども、その間の水位が下がる心配があるわけです。流量が少なくて水位が下がる、そうすると、その地域のいろいろな生態系にも及ぼす影響は大きいです。あるいは、その辺で取水している皆さんにも影響があります。こういう総合的な問題があります。そういうことを検案するにしても、第十堰の位置が決まらなければ旧吉野川からどれだけの水が入るのか、これは決めることができません。こういう全体計画が決められない状態で事業が始まるというのは大変お粗末な事業であると私は思います。  したがいまして、まず、この事業の要素を確定する意味で、きちっとこの第十堰の位置の確認、特定、これは責任を持って早急にやらなければ事業がスタートできない状況にあるのではないか、このように考えるわけです。私は、構造改善事業が持つ大きな意味合いをよく理解するところでございます。ただ、それが間々、時間がかかり過ぎて非常に農民の負担になっている、農家の皆さんの経済的負担を高じている、こういう状況がかいま見られるものですから、この事業の着手を早くする意味で早急な結論を出すべきだ、このように、主張しているところでございます。大臣の所見を一言お願いいたします。
  177. 山本富雄

    山本国務大臣 現地の事情を私はよく認識をしておりませんので、あやふやなことは申し上げられませんけれども、しかし、先生のいろいろな御質疑の中での御指摘もございます。また、構造改善事業は重要だ、地元にとってももちろん重要なんだという認識もよくわかっておりますし、構造改善局あるいは建設省等とよく相談を進めてもらうようにお願いをしたいと思っております。
  178. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 それでは、この問題はよろしくお願い申し上げます。  それから、全く別の問題でございますが、ことしの二月十七日、衆議院の投票日の前の日でございますけれども、徳島県東祖谷山村の役場の近くの京上というところの国道四百三十九号線拡張工事現場で土砂崩れが起こりまして、付近の住民千八百人が孤立いたしました。これがそのときの地元紙の報道でございます。生活物資も底をつきましたり、あるいは、緊急避難道路一つあったのですけれども、そこも土砂崩れしまして、消防自動車はない、病院はない、こういうところで住民が孤立をしたわけです。こういう問題がありました。  私も早速現地に参りまして、役場の村長さんあるいは地域住民の皆さんから御要望を承ってまいりましたが、まず建設省に確認をいたしますが、この四百三十九号線の拡張工事現場で起こりました土砂崩れの原因は一体何なのか。それから、この復旧工事を早くやらなければいけないと思うわけでございますが、今、車は通れるようになったわけでございますけれども、まだこの土砂崩れの大きな土砂が残っております。しかも梅雨が来れば水を含みまして二次災害の心配がある、こういう状態に置かれているわけでございますが、この工事を早くやってもらいたい、梅雨までに安全が確保できるように早急に事業を進めてもらいたい、このように思いますが、まず建設省にお聞きをしたいと思います。
  179. 榎波義幸

    榎波説明員 一般国道の四百三十九号のうち、徳島県の三好郡東祖谷山村京上地先におきましては、幅員狭小区間の解消のために昭和六十一年度から道路改良事業を進めておりますが、御指摘のとおり、当該区間におきまして平成二年二月十七日に山側ののり面が崩れまして、延長約七十メー ターにわたって崩壊をいたしております。  この原因につきましては、当該箇所の地質が悪い上に、地形的に地下水が集中する位置にあったこと、また、この一年間雨が非常に多かったことが挙げられておりまして、降雨によりまして土砂が緩み、上部斜面の崩積土層が滑落いたしまして崩壊したものと考えております。  崩壊箇所の対策でございますけれども、応急の措置といたしまして、土砂の取り除きを行いますとともに道路上に仮設の防護さくを設置いたしまして、またさらに斜面に観測計器を設置しまして、安全性を確保しながら、三月一日から片側交互通行で交通を確保しているところでございます。また恒久的な対策といたしましては、地下水位の上昇を防ぎます排水ボーリング工事を五月中に完成すべく今実施中でございまして、それが完成後に引き続きましてのり面の切り取りとかのり枠工を年度内に完了すべく事業を計画しているところでございます。
  180. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 できるだけ早く改修工事を進めていただきたいと思います。時間がないものですから、先へ進みます。  問題は、これの改修とともに、緊急避難の道路がないとどうしても大変心配だ、こういう住民の皆さんの不安があります。そこで特に緊急避難道路あるいはバイパスの役目を持たせまして、県道菅生-伊良原線、そしてその真ん中のところに林道の白井線というのが七キロあるわけでございますけれども、これを整備をしていただきたい、こういうことなのです。特に、林道の整備については全国的な規模で行っていると思いますけれども、このように非常に緊急を要する事業でございますので、この間の道路改修を特段の配慮を持って進めていただきたい、このように思いますがいかがですか。
  181. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま国道との関係におきまして林道の白井線につきましての御指摘でございます。お話しございましたように、この林道が一宇村と東祖谷山村を結ぶ林道でございまして、森林の管理、経営の問題だけでなくて、地域の生活道としても大きな役割を果たしていると承知しております。  五十八年度に広域基幹林道として開設されて以来、両村によりましてのり面、側溝等の改良事業あるいは舗装事業を実施しておるところでございまして、これまでに両事業とも大体五〇%の実施率になっておるということでございます。  ただいまお話しございましたような御趣旨もあり、林道の整備促進が図られるように県と綿密に連絡をとってまいりたいと考えております。
  182. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 あと三年間くらいで開通できますか。見通し、どうですか。
  183. 甕滋

    ○甕政府委員 この整備につきましては、国の予算もさることながら、県あるいは両村の取り組み、対応等もございますので、一概に何年、こういうことは申し上げられませんけれども、県とも連絡をとりながらなるべく早く整備が行われるような方向で考えてまいりたいと思います。
  184. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 確かにこのごろは、例えば台風とか災害がありまして山村が孤立をいたしますと、食糧の蓄えがないものですから、ヘリコプターで食糧を運ばなければいけないような、そういう経済情勢、社会情勢になっているわけです。ですから、ここの地域が二度と孤立して不安が起こらないように格段の配慮をお願いしたい。地方の大変財政力が弱いところでございます。ここも公債費率が大変高いところでございまして、なかなか事業運営が難しいところがあります。そこのところは特段の配慮をして、この事業を早く進めてもらいたいと要望しておきます。  それから水産漁業のことでございます。特に第八次漁港整備計画につきまして徳島県ではいろいろな事業を進めていただいているわけでございます。中林漁港、大潟漁港、椿泊漁港、伊島漁港でいろいろな事業をやっておるわけでございますが、これは平成五年度に間違いなく完了する予定でございましょうか、確認をさせてもらいます。
  185. 京谷昭夫

    京谷政府委員 ただいま御指摘のございました徳島県下の漁港につきましては、お話のありましたとおり第八次の漁港整備長期計画のもとでそれぞれ整備が進められておるものでございます。この長期計画の期間は平成五年度までということになっておりまして、この期間内に整備完了を果たすべく私どもの方で所要の助成を図りますけれども事業主体である地元関係機関の方にもいろいろな御努力をお願いしなければなりません。国の側からも地元の御意向に沿った対応ができるような最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  186. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 最後に農林水産大臣にお伺いしたいのでございます。  最近、とる漁業からつくる漁業に転換しましょうということで、栽培漁業を中心にいたしました沿岸漁業の振興が叫ばれておるわけでございますが、漁業組合、漁民の皆さんからお話を承りまして思うことは、魚の小さなものを栽培漁業センターからお金を出して買ってくるわけでございますが、魚は自分の海域だけで泳いでいるわけではないのですね。よその方にもどんどん泳いでいきますし、回遊魚の場合はよその県の方まで泳いでいくわけでございまして、せっかく自分たちでお金を出して魚の苗を放流いたしましても自分たちがとれない、こういうことをよく聞きます。  そこで、思い切って国費で日本海沿岸にばっと放流したらどうか、大きい話ですが、太平洋が一つの海ですから、そこへ日本の国、政府で魚をばんと放流して、どれでもとってください、このくらいの思い切ったことをやった方がいいのではないか。自分のところの漁業区域がどうのこうのということを言っているんじゃ本当に沿岸芹漁業の振興にならないのではないか。世の中はボーダーレスの時代になっているわけですから、こういう思い切った施策がとれないものかどうか。こういうことを要望したいと思いますが、大臣の見解はどうですか。決意を聞かせてください。
  187. 山本富雄

    山本国務大臣 これは先生から質疑の御通告がありまして、魚のことを私、余りよくわからないのですけれども、一生懸命勉強してみました。水産庁の長官以下皆さんから、一体回遊魚というのはどういうのだというところから始まって一通り勉強いたしまして、ちょっと建前論で恐縮でございますが申し上げますけれども、今のつくり育てる漁業、これに向かっていかなくてはならないということはよく私どももわかっておるのです。それから、国が基本的な技術開発を行い、県が応用的な技術開発及び種苗の量産を行うこととしておる、これが原則なのですね。その種苗の放流による経済効果の程度あるいは範囲が明らかになった場合には、関係漁業者等による受益者の負担により事業を推進していくこと、これが一つなのですね。それから、先生が例を挙げられました回遊魚、マダイ、ヒラメのように放流の負担と受益が必ずしも一致しない場合におきましても、関係者は共通に利用する資源として維持栽培及び管理を図る必要があることなどから、関係者が協力して栽培漁業を推進していくべきものであると考えております。ということは、先生の御趣旨のとおり国が全部持ちますよということを簡単に言い切れない状況にある、認識にある、大変恐縮でございますけれども、こういうことでございます。
  188. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 時間が参りましたので終わりますが、そういうことはよくわかった上での質問なのです。それをやるのが農水大臣の力量ではないか、こういうふうに思いますので、期待の言葉を残しまして、質問を終わります。
  189. 内海英男

    内海主査 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。     〔主査退席、自見主査代理着席〕
  190. 寺前巖

    寺前分科員 最近、ゴルフ場が随分話題になっております。なるには理由があるからです。去年の二月に、建設省がゴルフ場の都道府県開発状況という資料を出していますが、その資料を見ますと、当時、全国で千六百四十カ所、建設中が二百九十八カ所、計画中が四百十一カ所、こうなっていたのです。ところが、一年たってことしの三月 に新聞社が出しているのを見ますと、何とそれが千七百十八に膨れ上がり、三百十四カ所で建設中で、計画が九百四十五カ所と随分ふえているのですね。この異常な急増は、リゾート法の農地転用や林地開発など規制緩和の条件も、一つの条件になったでしょう。そういうことで都市計画区域外の山間地域までずっと開発されるようになってくる。この間うちからテレビを見ておりましても、我が村ではそれ以外に行く道がないではないかというようなことで、自然を守れだけではおれらは飯を食えないのだというようなことも論争されたりしております。  しかし、これらの開発が水源涵養の低下とか、わき水の枯渇とか急傾斜の造成による災害の問題とか、農薬、肥料の過剰使用による飲料水の汚染とか、心配になる面もまた非常に大きいものがあります。だから、この調子で簡単に次々とつくられていっていいものなのだろうか。農水大臣としてこういう異常な急増ぶりについてどういう見解をお持ちなのか、聞かせていただきたいと思います。
  191. 山本富雄

    山本国務大臣 お尋ねでございますけれども、確かに異常にふえている数字が出ておりまして、実は私どももちょっと驚いておるのです。しかし、ゴルフ人口も一千万人を超すそうでございまして、それだけゴルフ人口もふえておるというふうなこと等でもございます。  ですから、これは全く私の個人的な見解とでも申しましょうか、率直に申し上げますと、今、先生がお話しになりましたが、国土保全、環境保全ということは、これはもう絶対に底辺になければならない。これがもう最大だ。しかし、レジャーブームの折からゴルフがこれだけ盛んになったわけですから、その国土保全、環境保全、環境の中にはこの間来の農薬問題等もありますから、そういうことを十二分に配慮しつつ開発が行われるべきではないか、こういうふうに考えております。
  192. 寺前巖

    寺前分科員 それで、私はきょうは農薬の問題に限って質問をさせていただきます。  農水省は、八八年八月に「ゴルフ場における農薬の安全使用について」という農蚕園芸局長通達をお出しになったようです。そこで、通達の出しっ放しでは何のためにやっているかわからないと思うのですが、ゴルフ場の実態はどういうことになっているのだろうか。すなわち農薬の適用外使用がないだろうかとか、無登録農薬が使われていないだろうか、あるいはまた水質の分野において不安になるような要素はないのだろうか、そういうようなことを各都道府県別に、実態はどういうふうになっていて、そこで現行法でこれは取り締まりをちゃんとしなければいかぬなという問題があったのか、あったとすれば何件で、どういう点で処理をしたのか、その実態についてお聞きをしたいと思います。
  193. 松山光治

    ○松山政府委員 八八年八月の通達によりまして、登録された農薬を定められた用法に従いまして適正に使用し、同時に、危害の防止に十分配慮するようにという各県に対する通達を行いまして以降、都道府県ともども農薬の適正使用問題に努力してきておるつもりでございます。その通達を受けました各都道府県におきましては、相当数のところで既に実施要綱とか指導指針とか、名称はいろいろございますが、そういうものをつくりまして具体的な指導に当たっております。またその間、千七百に上ります箇所で立入検査等も行っておる、あるいは関係者に対する講習会の開催も、私ども承知しておる限りでは既に百回を超えておる、こういうことでかなり具体的な取り組みが行われておるわけでございます。  私ども、そういう実態を踏まえながら、今後の問題といたしましては、平成二年度予算に新しい予算も計上しておりますので、それを活用したより具体的な指導を行いたい、このように考えておるところでございます。そういう指導の中で、当然のことながら実態をよく把握した上で適正な指導を行う、こういうことになるわけでございまして、適宜私どもの方にも報告をいただき、都道府県でも適宜その辺の事情は公表されておる、このように承知しておるわけでございますが、今、先生お尋ねのございました、農薬取締法に基づきます農薬登録をしておらないいわゆる無登録農薬の状況でございますが、ごくと申しましょうか一部でそういうものが見られましたことを大変残念に思っておるわけでございます。  もちろん、無登録農薬といいましても、別の銘柄の形では有効成分についての登録を受けておるものが多いようでございまして、名称を変えるなり若干成分の割合などを変えておる、そういうものが多いわけでございますが、これまで私ども報告を受けたものといたしましては、リゾックスでございますとかスーパーラージでございますとか、幾つかの銘柄、延べ五十六件、こういう報告を受けております。また、農薬としての登録はございますけれども、いわば目的外使用の形のものが延べ二百八十六件という状態でございます。これはどの程度の母数を対象にした五十六件であり、また二百八十六件かということになるわけでございますが、約千七百のゴルフ場で使っております農薬の延べ件数ということになりますので、詳細把握はいたしておりませんけれども、万の単位の母数の中でのそういう事例、こういうことであります。  しかしながら、こういったことがあってはならないのはもとよりでございまして、これらにつきましては都道府県との連携のもとに、無登録農薬につきましては、製造業者なり販売薬者なりに対しまして、直ちに販売等の中止あるいはゴルフ場等からの回収を行わせますとともに、これから農薬として販売する場合には農薬取締法に基づく農薬登録を取得するような指導を行ったところでございます。また、登録外使用を行っておりましたゴルフ場に対しましては返品と、それから今後そういうふうなことのないような使用方法の適正化を指導しておるところでございます。
  194. 寺前巖

    寺前分科員 私も都道府県に、具体的に農薬使用の実態調査についてどういうことになっているのか全国に電話を入れました。それで、対策状況についても調べてみました。  ここで一々挙げるわけにいきませんけれども、例えば北海道、ゴルフ場数百十九あるけれども、適用外使用は三十五カ所で行われている。かなりやっているわけですね。調査の結果出てくるのです。新潟県においては二十九カ所であるけれども、適用外使用が十九カ所で行われている。かなりなものです。京都府を見ると、無登録の農薬が六剤使われている。大阪府では無登録の農薬が四剤使われている。鳥取県では無登録の農薬が九剤使われている。ちょっと電話を入れただけで、実態調査をどうやったと言って聞きますと、次々に結構なっているわけですね。  そうすると、農水省は田畑中心に、作物中心に農薬の指導をやってきたから、したがってそんなゴルフ場は私の方のことではございません、知りませんというわけにはいかぬ。農薬取締法はやはりいずれのところで使われようと、これはちゃんと見てもらわなければいかぬ。そうすると、ゴルフ場での実態というのは、かなり無造作に農薬が大量に使われている。見ると、平均すると作物の二、三倍は単位面積当たりたくさん農薬が使われている。多いところでは四倍ぐらいは農薬が使われているということになるわけですよ。そうすると、作物は口の中に入るという問題があるけれども、これはこれで、このごろのゴルフ場というのは主として山の上になってきていますから、水源との関係問題というのは見逃せない問題になってきておるのです。  こう考えてみたときに、やはりゴルフ場に対する農薬の規制問題についてもっと具体的に指導に入る必要があるのと違うだろうか、これはどうか。さっき言われたのは、恐らく部分でそれだけの指導をやったというお話だろうと僕は思うが、全国的に見たらそんな程度の指導では足らぬだろうと思う。もっと全面的に取り組む必要があるのではないだろうかということを率直に申し上げたいと思うのです。  そこで、ゴルフ場周辺における水質を調べてみ るということもまた大事な仕事だと思うのですね。そうすると、全国ずっと水質の状況を見てみると、アメリカ等で発がん性の農薬として禁止している農薬、水質の中からそれが出てくるという問題がこれもまたかなりあるのです。  私がちょっと調べただけで千葉県、東京都、長野県、これはダイアジノンというのですか、それから、西独で禁止されているキャプタン、それが滋賀県、大阪府で出てきます。それから、和歌山県で出てきます。それから、ダイアジノンが大阪府、さらに山口県、徳島県、愛媛県、結構そこらの県で水質調査をしたら、アメリカで禁止されているものが出てくるわけですよ。あるいは西ドイツで禁止しているものが出てくるのです。そのほかにも発がん性の農薬というのが、アシュラムとかオキサジアゾンというのですか、DDVP、アトラジン、プロピザミドというのですか、もう読めぬです、私らこういうのは知らぬから。ダコニールとかシマジン、オキサジアゾン、全国的に何十カ所かでこういうものが水質調査の結果から随分出ているのですよ。  だから、どんなものをお使いですかと言ったら、平気でさっき言うような無登録のものが出てくるし、水質調査をやったら、外国で禁止しているようなものとかあるいは発がん性の農薬というのが、全国的にちょっと調べただけで出てくるのです。こういうことになっておる。  これだけ問題になっておりながら、手おくれになっているのと違うだろうか。日本の農薬取り締まりのあり方において再検討してもらわなかったら、人命にもあるいは日本の国民全体の将来にわたる問題としてゆゆしき状態になっているのと違うだろうか、そういう認識にお立ちですか。どうなっているのか。本当にこういう実態について農水省として調べておられて報告を求めておられるとするならば、国民の前に一回公表してほしいと思いますね。どんな実態になっているか、こういう実態について握っておられるのですか。まずそのことをお聞きしたいと思います。
  195. 松山光治

    ○松山政府委員 まず、適用外使用等につきまして先生お挙げになりました数字でございますが、私どももその数字は把握しておるわけであります。  ただ私、母数を幾らと見るかということで、よくお読み取りいただきたいという意味先ほど申し上げたわけでありますが、北海道で例えば百十九のゴルフ場、それはそのとおりでございますが、そこで延べ三十五件の適用外使用が見つかっておるわけでございますけれども、それが直ちに三十五のゴルフ場でそうなっているということでは必ずしもない、当然のことながら、一カ所のゴルフ場でお扱いになる農薬の数というのは恐らく二けたの数字の場合が多いと思いますので、そういう意味では数字の読み方についてひとつ格別の御理解をいただかなければいかぬなと思っておるわけでございます。  それで、水質の調査の問題でございますが、これは実は水質保全という観点から環境庁において基本的には分担をいただいておるわけでございます。もしあれでございましたら、あるいは環境庁の方からお聞き取りいただければと思いますが、私ども承知しております限りでは、都道府県を通じまして調査された結果、ほとんどの地点で農薬の検出がない、もちろん一部、農薬の検出があるわけてございまして、恐らく先生がおっしゃられたのもそういうことではないかと思いますけれども、その場合の検出の程度はごく微量であって、環境に特段の影響を及ぼすものではないというふうなことであると承知をしておるわけでございます。  御指摘のありましたダイアジノンその他幾つかの農薬の名前があったわけでございます。私、今全部きちっとノートしたわけではございませんが、お聞きいたしました限りでは、現に登録されておる農薬であったように思うわけでございます。登録をいたしております農薬につきましては、御案内のように、急性毒性、慢性毒性だけではなくて、発がん性の問題あるいは変異原性等、そういった特殊毒性の問題も含めまして、非常に膨大な資料に基づくチェックを行い、環境庁長官にお定めいただきました登録基準に適合したものとして登録をしておるわけでございます。  個々の外国のような禁止の事情その他について詳細申し上げる余裕はございませんが、例えばアメリカで使用禁止になっているダイアジノンの例でちょっと申し上げておきますと、これはアメリカの場合、ゴルフ場にまく薬の形が、トウモロコシにしみ込ませるといいますかまぶすというか、そういうことでされておるようでございまして、アメリカのゴルフ場にはどうも水鳥が多いのだそうでありますが、そのトウモロコシを飛んできた水鳥が食べて死んだというようなことから使用禁止になっておる、こういうふうに承知をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、農薬は有用な資材ではございますけれども、使い方を間違えますと人畜なり環境に悪影響を及ぼすおそれのあるものでございます。そこのところをしっかりと踏まえた上で、登録された農薬を適正に使用して安全の確保を図っていく、これを基本に置いて引き続き指導の徹底に努めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  196. 寺前巖

    寺前分科員 環境庁になるのか、厚生省になるのでしょうかな、水質の調査の問題は。私先ほど言いましたように、こういう発がん性のものが水質調査で出てくるというような事態の問題というのは、農薬そのものの中にメスを入れなかったらいかぬではないだろうか。今の水質調査から言えば、燐以外の問題については問題がないことになるのか知りませんけれども、水質のこういう結果の問題について、現行どうなっているのか。やはりそういう発がん性のものが出てはならないということで、きちんとした基準をつくる必要があるんじゃないだろうか。それはどういうことになっていますか。御説明をいただきたいと思うのです。
  197. 細田敏昭

    ○細田説明員 今、松山局長から御説明もございましたように、農薬の登録に当たりまして、環境庁長官が登録保留基準というものを定めておるわけでございます。  その際に、四つの観点からやっておるわけでございますが、水質につきましては、環境基準に定めのあるものに連動して、いわば登録保留基準が定められております。現在は、有機燐について環境基準が定められておるわけでございますが、その他の農薬につきましては環境基準としては定められておりませんけれども、私どもとしましては、さらに農薬の環境汚染を未然に防止するという観点で、化学的治験の集積に努めておるところでございます。  なお、今のお話に関連いたしまして、いきなり基準ということになりますと、なかなかこれは時間もかかる面もございますので、とりあえず県に対する指導の目安、県がゴルフ場を指導する際の指導の目安ということで、ゴルフ場で使われる主要な農薬につきまして、その目安濃度を示していきたいというふうに現在検討している最中でございます。
  198. 藤原正弘

    ○藤原説明員 ゴルフ場農薬による水道水の汚染が懸念されておりますので、主要なゴルフ場農薬について、水道水の水質の目標値を設定することを考えております。そのため、現在生活環境審議会の水道部会、水質専門委員会に検討をお願いしているところでございます。この専門委員会での目標値の検討に当たりましては、人間の健康の保護という観点から、毎日飲む水道水としてどのようなレベルが望ましいかを御検討願っているところでございます。
  199. 寺前巖

    寺前分科員 それぞれ、いつごろ目標を出されるのですか。将来に検討しますなどということでは役に立ちませんからね。これだけゴルフ場ラッシュになってきて、放置することはできないと思うのですが、いつをめどにしてそれを実施される予定ですか。
  200. 藤原正弘

    ○藤原説明員 水道の水質の目標値の検討につきましては、現在専門委員会でやっていただいてお るところでございまして、かなりもう議論が進んでまいりました。そしてまた、社会的にゴルフ場農薬がこのような問題になってきておりますので、できるだけ早い時期に打ち出したい、このように考えております。
  201. 細田敏昭

    ○細田説明員 ゴルフ場で使用されている農薬は多数に上りますし、また、その目安設定の際のいろいろな内外の治験を集める必要があるといったようなこと、それから農薬個々について分析法とか調査法をどうするかといった検討を今鋭意進めておりまして、同様でございますが、なるべく早くお示しして、現場の指導に遺漏のないように万全を期してまいりたいと思っております。
  202. 寺前巖

    寺前分科員 なるべく早くといっても、なるべく早くにはピンからキリまであるので、いつまでも時間をかけてやっていいというものと、さっさと手を打たにゃならぬものは手を打っていくということの両面でひとつやってもらいたいわけです。  建設省の方では、河川の管理責任者として水質保全に責任があるという立場から、河川のゴルフ場について、芝生の生育を図るためのプリマトールSAとか、ブラスコン水和剤などの除草剤の使用について中止をするということの指示を三月にお出しになっているようだけれども、農水省も、例えば林野庁の持っているところですね、ゴルフ場に提供したりしているでしょう。山でそのように提供したものが水源との関係で問題になってきたりするでしょう。  この林野庁の提供しているゴルフ場などについては一体どういう指導をしておられるのですか。貸した以上は、後はもうそっちのものでございますということで地方自治体に任せてしまっているのか、それはどういうことになっておるのですか。
  203. 松山光治

    ○松山政府委員 先般、建設省の方から、河川敷と申しましょうか堤防におきます除草のやり方について通達があったということを承知しておるわけでございます。  特に、その通達の趣旨とするところは、取水口よりも上流に位置するような堤防においては原則として使用しないようにというふうな通達のようでございまして、いろいろとそれまでの間の地域住民とのいきさつその他もあったように承知しておるわけでございますが、私ども、一般的な指導の方針といたしましては、河川敷でございますとか、要するに水源に近い場所での農薬の使用につきましては、地形なり気象条件に留意いたしまして、直接飛散したり流入しないように、あるいは魚毒性の強いようなものは差し控えるようにといったような指導を具体的に行ってきておるところでございます。
  204. 寺前巖

    寺前分科員 要するに、具体的に提供しているところについては責任持って調査しているということですな、間違いありませんな。
  205. 松山光治

    ○松山政府委員 国有林を貸しておるところということではございませんが、一般の問題といたしまして、登録されておる農業を適正に使用するようにという、そういう趣旨に沿っての厳格な指導を行っておるつもりでございます。
  206. 寺前巖

    寺前分科員 一般論じゃなくして、やはり自分の所管するところの問題について責任を持つということをきちんとやらなんだらうそだと思うのですね。これは私はあえて提起しておきたいので、後でお返事いただきたいと思います。  それから、実はこれは農水省の所管と関係するんですが、京都の丹後国営農地開発事業、これが東部地域だけで二千六百九十九ヘクタールやっているわけですけれども、そのうちの一定部分、百九十ヘクタールをゴルフ場にするということで、地元の諸君たちとゴルフ会社との間に契約をするという事態が生まれているんですね。片一方の農地開発事業は計画的にやっていくわけだけれども、その計画が、こんなことをやっておったって見通しがない、それだったら手っ取り早く金になるものにしようかいといってゴルフ場にずっと切りかえていく。こういう事態に対して農水省は一体どういう対応をしておられるのか。  それからまた、関係する地域で国の地上権が設定されている官行造林があるんです。これが三十年ほどたっているわけですけれども、五十年先には木を切って分けましょう、折半しましょうということになっているわけだけれども、これについて、これもめどないさかい売ってしまおうか、ゴルフ場にしようということで現実的に話は進んでおるわけですね。さて、こういう問題についてどういう対処をされるのか。それは仕方ない、やむを得ぬ、金の方が強いでということで処理されるのか。どういうことにされるのか、これからいろいろ起こってくる問題だろうと思うので、この際に聞いておきたいと思うのです。
  207. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 御指摘の件につきまして、いわゆる網野連合区というところがゴルフ場開発業者と賃貸契約を結んだのではないか、こういうような話を私ども聞いておりまして、現在京都府を通じまして網野町の方に問い合わせているところでございますけれども、まだ確たる回答がない状況でございます。私どもといたしましては、この土地は網野町が所有者として京都府の農業開発公社というところと使用貸借契約を結んで、この開発公社が土地改良事業に参加していただいているわけでございます。この開発公社が使用収益権を所有している土地であるということでございまして、私どもといたしましては、現在地元の方からこの土地についての地区除外をしていただきたいというような要請はございませんので、計画どおり事業を実施したいと考えております。  ただ、将来土地改良区とか京都府とか、そういう地元から地区除外の要請が出された場合には、これを地区除外をするということは、やはりその規模、内容によっては事業全体に相当大きな影響があるわけでございますので、地区除外の背景とか原因とか、そういうものを把握して、地元関係者とか網野町とか京都府とか、そういうところと十分調整をしていろいろ対応を考えたいと考えておりまして、この辺は、今後そういう事態が起こったならば、そういう関係者協議をした上で、しかも事業計画を変更するという場合には受益者全体の三分の二以上の同意を得て行う必要があるということでございます。私ども、現段階としては、現行の計画どおり農用地開発事業を進めたいというふうに考えている次第でございます。
  208. 甕滋

    ○甕政府委員 官行造林の件につきましては、現在事実関係について問い合わせを行っておりますが、まだしかとした内容がわかっておりません。早急に事実を確認いたしまして、適正に対処したいと考えております。
  209. 寺前巖

    寺前分科員 お約束の時間が来ましたのでやめますけれども、もう現に進行しているのですからね。中途半端なことにすると、今度はあとの人たちが迷惑を受けるという問題も出てくるわけですから、こういう問題の対処というのは時期を失してはだめだということを私ははっきり申し上げておきたいと思うのです。  それから大臣に最後に言っておきますが、国有林をゴルフ場に提供している場合に、これは一般的な指導じゃなくして、国有林におけるゴルフ場使用のあり方、農薬の使い方について、それは農水省自身がやはり責任を持つようにすべきであるというふうに思いますが、その点いかがでございますか。
  210. 山本富雄

    山本国務大臣 御指摘のとおり十分注意してまいりたい、こう思っております。
  211. 寺前巖

    寺前分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  212. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。
  213. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 まず、農林大臣にお伺いいたしますが、日本農業が将来発展していくためには何が一番基本的問題になっているのか、これについてひとつ御所見をお伺いいたします。
  214. 山本富雄

    山本国務大臣 就任以来、衆参の本会議あるいは予算委員会、農水委員会でも所信として申し述べてまいりましたが、私は、精神としては農は国のもとだ、こういう精神を踏んまえて、そして現 実対応をしていかなければならない。もう先生百も御承知だと思いますが、日本農業を取り巻く環境は内外まことに厳しいということでございます。しかし、厳しければ厳しいほど政治と行政に対する生産者の皆さんのお気持ちは強いというふうに思いますので、将来を展望しつつ、とにかく足の強い、腰の強い、そして希望の持てる農政、そして農村を構築してまいりたい。そのために、従来いろいろな施策を総合的に進めてまいりましたが、今後ともそれをさらに積み重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  215. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ただいま、将来を展望しつつ政策を進めていきたいという旨の御答弁がありましたが、どういう展望を持っておられるのですか。具体的に展望があるのですか、そこをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  216. 山本富雄

    山本国務大臣 展望はもちろんございますし、また我々それを見出していかなければならない、こういうふうに考えて、さまざまな施策を展開してまいります、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  217. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 その御希望は十分わかります。しかし、まだ具体性は出ていないようです。それじゃ、その農林水産大臣の意欲というものが予算上どういうふうに出ておるかということを見ますと、どうも私は、口で言っていることと実際に予算化されていることとは全く矛盾しているんじゃないか、こんなふうに思えてならないんです。  そこでお聞きしますが、ことしの生産者米価は据え置くおつもりなのか、それとも値下げにせざるを得ないのか。どういう諮問案を考えておられるか、この辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。また、それに連動して消費者米価はどういうふうに推移していくものと考えておられるか、この辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  218. 山本富雄

    山本国務大臣 お尋ねの生産者米価でございますけれども、これは食管法の規定に基づきまして、生産費あるいは物価、需給事情その他経済事情など各般の状況を参酌いたしまして、再生産を図ることを旨としながら、米価審議会の意見を聞いて適正に決定してまいりたいというふうに考えております。
  219. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そのほか私の聞いたこと……。大臣が答えてから、大臣が完全に答えていない部分については事務局の方からやはり補充して質問に対して答弁が成り立つようにしてもらわないと、ただ建前だけ言われたってだめなんですよ。実際にこれからすぐに、七月にはもう米審が開かれるのだから、いつごろを予定して、そして今度は据え置くのか、値下げするのか、そういう基本的な問題をきちっと言ってもらわなくちゃ何にもならないのですからね。ただ時間のむだですよ、これでは。
  220. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生の御指摘の点のうち、いつ開催されるのかというお話がございました。まず結論的に申し上げまして、この米価審議会の開催の期日は、現時点におきましていつということを決めているわけではございません。生産者米価でございますけれども、先生御案内のように生産者米価は、生産費及び所得補償方式のもとで直近三年間の米の生産費を基礎といたしまして、それに関連いたします物価、賃金についてもできるだけ直近の動向を反映させて算定をしてきている例でございます。  米価の決定の時期は、こういった算定方式に関連する必要な統計資料の公表時期との関係から、従来おおむね七月一日以降というのがこの十年間の姿でございまして、この十年間を見てみますと、八月の段階で決めたのが二度ございます。そういうような意味で、これから現在の食管法が定めております生産費及び所得補償方式等々に基づく資料等々の出方、そういったことも十分考えまして時期を決定していくということになろうと思います。  そういう意味で、これとの必然的な関連から、この具体的内容について、既に大臣からもお話を申し上げた精神にのっとりまして、先生御指摘のような具体的な水準等々といったものにつきましても現時点で決めておりません。
  221. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 全然決めていないならば、どうしてこの食糧管理費というようなものが予算化されていくのか。大体九〇年度の食糧管理費は、前年度に比べて二百三十億円減額されておる。パーセントで言うと五・六%減となっておる。しかし、こういうふうに減らしていくということは、生産者米価を高く買い入れるということは不可能になってくると私は思うのです。だから、ここで据え置くのか、値下げするのか、これは基本問題だから、これを予算化、予算要求するときに既に方向は決まっているはずですよ。それを私ははっきり言ってもらいたい。それから十年前の食糧管理費は幾らだったか。その辺もちょっとはっきりさせていただきたいと思います。
  222. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 まず、先生御質問の前半の問題でございます。現在、食糧管理関係の費用が減額になっているではないかというお話でございますが、実は結論を先に言いますと、食糧管理特別会計の繰入費、直接米価に関連する部分は、前年と全く同額になっているわけでございます。これは従来の予算の仕組みからいきまして、前年の生産者米価、消費者米価を前提にして組むということでございまして、繰り返すようでございますが、米価に関連する予算、その部分のいわば食管特別会計繰入金につきましては二千三百二十億ということで、同額でございます。     〔自見主査代理退席、主査着席〕  後段の部分につきまして、先生お尋ねの全体の食糧管理費、これは後で触れながら申し上げますけれども、いわゆる水田農業確立対策、生産調整費等々を含みます、いわゆる狭義の予算ではございませんで、広義の、広い意味での予算でございまして、この数字から申し上げますと、昭和五十六年に当初の予算で九千九百四十八億円というような数字になっているところでございます。一兆円に近い数字になっております。その数字に見合う今回の平成二年度の数字は約四千億、三千九百五十二億というような形になっておりまして、その数字の点につきましては減っております。  この点につきましては、既に先生からの御質問がございまして、決算委員会で私の方からお答えした過去の経緯がございますけれども、今改めてその点、主な点についてだけおさらいをさせていただきますと、生産調整に係る経費、現在の水田農業確立対策費でございますが、これはピーク時では約四千億近くになっていたわけでございますが、現在では二千億に縮減をされている。それからもう一つ大きなところは、いわゆる過剰米の処理というようなことでございまして、過剰米の処理につきましてはピーク時で一千六百億円強を要しておりましたが、六十二年度におきまして過剰米の処理といったものは終了いたしておりまして、現時点でゼロになっているわけでございます。  さらに、先ほど関係でございますが、狭義の食糧管理費の部分、一般会計から食糧管理特別会計に繰り入れられる部分でございますが、この部分につきましては、政府の買い入れ価格と売り渡し価格の差、いわゆる売買逆ざやがピーク時では約四千億がございましたけれども、その売買逆ざやが解消されまして、今黒字に転じているというようなことから縮減をされているところでございます。
  223. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 非常にわかりやすい御説明でありましたが、しかし大臣の御答弁は、農業に大変関心を持ち、また重点を置きたい、農は国の基本であるという御説明と、毎年毎年食糧管理費なり農業関係予算が減らされていくというこの事実は、どういうふうに説明したらいいでしょうか。これが今回のように具体的に、これが要らなくなってこれだけになったというなら話はわかるけれども、毎年毎年ずっと減らされてきておるこの傾向をどういうふうに御説明されたらいいでしょうか。
  224. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 確かに、近年予算編成は厳しい シーリングのもとで編成をしてきたわけでございますけれども、その際も、そういう中で私ども政策につきまして十分論議いたしまして、前向きの政策を組んできたわけでございます。また、総体として減少しておりますのは、先ほど食糧庁長官の方から申し上げましたように、食糧管理特別会計、特に過剰米の処理に要した経費でありますとか売買逆ざやの減少、あるいは食管の合理化等々による経費でございまして、先ほど申しましたように、そういう全体制度の中で前向きの施策を組んできたわけでございます。  明年度予算につきましても依然としてマイナスシーリングでございましたけれども、特に生産振興対策、いわゆる農林水の構造改善事業でありますとか生産対策につきましては、前年度に比べて大幅な増加を見込んでおりますし、また、特に最近御論議があります中山間地域関係につきましては、せんだって農山漁村振興基金につきまして、補正予算で五百億円を計上する、あるいはその関係で公庫法を改正して新しい融資制度を設けるとか、あわせまして、林業、農業につきましての基盤整備につきましては、その中山間地域の特性を配慮いたしまして、採択条件でありますとか負担率等……
  225. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 その傾向、なぜ年々減らされてきているのかというその説明をしてもらえばいいのであって、時間がないのだからそういう要らぬことを言わないで。
  226. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 はい。これはシーリングの編成のもとでのことで、総体としては減っていますけれども、実質的には、その中でも、先ほど言いましたような食管の経費で不要になったもの等を削減しながら、内客を充実しながらそういうふうな編成をやってきたわけでございます。
  227. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 内容を充実しながらと言われますと、今までの御答弁を聞いておりますと、今農業は非常に栄えて魅力ある産業として映ってきますよ。ところが、現実にはもう農業を継ぐ人さえいなくなっているのです。いわゆる後継者さえいなくなっているのです。この現実は、農業というものがいかに政策的に軽視されてきたかということを端的に物語るものだと私は思うのですよ。  そこで、今食管費の中身を見ると、ことしの生産者米価は全然出入りがないから据え置くというふうに考えていいのでしょうか。
  228. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先ほどお答えいたしましたように、現在の予算の計上の仕方は前年と同じような形になっているわけでございます。ただ、これにつきましては、食管法に基づきまして生産費補償方式で決めろということになっておりますので、直近のデータをできる限り最新のもので集めまして、それを見て厳正、公正に改めて決定していくという仕組みをとらせていただこうという考えでございます。
  229. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 いつも農林省から聞くとそういう一つのデータによってはじき出されるのだが、いよいよ決定の段階になると、政治米価といってその計算されたものは全く無視されたと同然の結果が出ておる。これについてはどういうふうに考えるのですか。
  230. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 そのときどきによりまして、いろいろの生産費のバックデータが変わることは事実でございます。ただ、先生御指摘の点でございますけれども、私どもといたしましては、全力を挙げて公正、中立にそのデータを吟味しまして、それでその年々の生産者米価なり消費者米価を決めさせていただくということをとらせていただいているところでございます。
  231. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間がないので困りますけれども、それでは端的に、今の状況は生産者米価に対してどういう影響を与えているか、今の状況のもとで生産者米価を下げる状況にはなっていないと思うのですよ。その状況判断について端的にお答え願いたい。
  232. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 繰り返すようでございますけれども、先生に申し上げましたとおり、直近のデータというのがまだ私どもの手に入っておりません。先ほどのような状況で、できるだけ七月に近いところで状況を見ます。そういった意味で、この判断というものを農林省全体で決めていきたいというふうに考えているところでございます。
  233. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 データが入ってないなどということはあり得ないと私は思うのです。本当にこの問題を真剣に考えているなら、今物価の動向だってはっきりと毎月毎月発表されているんだし、あるいは金利だってそうですし、全部要件がわかるのじゃないのですか。だとすれば、すぐ出てくるはずですよ。まあしかし、これ以上議論すると時間を食いますから次に移ります。  今の基本的な農政の中で、農民に減反を強要しておいて、今度は一方でコストを低くせよという指導をしてなるべく米価を抑えたい、こういうことで進んでいるようですが、これは全く経済の原則に反していると私は思うのですよ。本来は、生産を少なくさせていけばいくほど米の値段は上がることになる、米をたくさん生産すればするほど値段は下がるのが自由経済の中の原則的なものだと思うのですよ。そこに権力が介入して、ただ無理やりそれを抑えているだけであります。この問題についてはどういうふうにお考えですか。
  234. 松山光治

    ○松山政府委員 減反と申しますか、いわゆる生産調整の問題につきましては、一生懸命に米の消費拡大に努めておりますものの、消費の減少傾向がなお続いておる、他方、米の生産力が高まっておるという状況の中で、生産調整を行いません場合には大量の過剰が発生しかねない状況にある、そういうことを踏まえて全国の農家の理解を求めておるというのが現状でございます。  先生御指摘のように、生産の拡大を図りながら米のコストダウンを図っていく方がやりやすいことは間違いなくやりやすいわけでございますが、今私ども、そういう意味では米については需要に見合った生産ということで、一定の限界の中での生産を続ける一方で、他方、国民の皆さんに日本の稲作ということについてよく理解していただくためにも、できるだけのコストダウンの努力を必要とすると考えておるわけであります。それは、一定の米の生産量の中で米の生産のあり方をできるだけ合理的な形にしていく、例えば、これまで個々の農家で行っておりました作業をできるだけ共同でやるとか取りまとめてやるとかといったような形で向上を図っていく、こういう形で努力をしておるところでございます。
  235. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 米の過剰生産になるから減反をしているんだ、そういうことを言いながら、それじゃなぜ一方で加工米の輸入を年々ふやしているのかということです。全く矛盾しているのじゃないですか。そしてむしろ農民の所有権の侵害をしていると思うのですよ。そして市場における自由権の侵害でもあると思うのだ。自分の土地である以上、何をつくろうと権力がここに介入する理由がないでしょう。何でもいいからつくりたいものをつくりなさいよ、それこそ自由にさせればいいですよ。  そうすると、そこで初めて農民同士が、今ニーズは質的なものを要求しているんだから、それじゃ質的に高めよう、あるいは日本の中では市場が狭いから外国に輸出するような方法を考えよう、いろいろそこから工夫がされてくるわけですよ。そういう中でコストがだんだんと下げられていって、農業というものが産業として成り立つようになれるのです。することができるのです。しかも今バイオテクノロジーというようなものがどんどん進んでいる中では、質的向上はどこよりも図れるはずなのですよ。だから、この減反というのは日本農業に非常にブレーキをかけておる。また、日本の農民に対しても大変な重荷を背負わせているというふうに私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  236. 松山光治

    ○松山政府委員 米に限らず、農産物につきまして過剰の状態が発生いたしました場合の対応の仕方といたしましては、自由につくりました上で価格が下がる、そういう形で需給調整をやるやり方と、量を調整いたしまして一定の価格水準を維持するという二つのやり方があるわけでございますが、私どもの方の米の場合には、現行の食管制度 のもとで量の調整をやりながら一定の価格の水準を維持する方が農家にとってもプラスではないか、こういう考え方のもとに行われておるわけでございます。  なお、生産調整の実行に当たりましては、先生からお話のございましたようにできるだけ生産者の創意工夫を生かした形でやっていただくのが本来の姿でございます。生産者団体の実情その他からいたしまして、目標の配分を行政がやるという形はとっておりますけれども、かつてのように行政だけで配分するのではなくて、今は生産者団体と一緒に相談しながらそれぞれ目標の配分をして、できるだけ生産者なり生産者団体の主体的な取り組みを基礎に促してそれぞれの産地形成をやってもらおう、こういうふうになっておるのだということをひとつ申し上げさせていただきたいと思います。
  237. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 決して国民はばかではないので、食管制度、食管制度と言いますけれども、食管制度なんか今完全に骨抜きされて、ただあるのは、安定供給というその条項で、いつでも強権発動でも何でもできる条項が生きているだけなんですよ。あとは何も生きていないじゃないですか。  具体的に説明したいけれども、時間がありません。だから、そういうのでなしに、一たん自由につくらせて、余ったらそれを今度は政治的に解決する。例えば、仕方なければ米のない国にそれを海外援助でどんどん出してやるなり、そういう方法は考えればあるし、また、この間の決算委員会で難しいという答弁があったけれども、難しいなんて言っていられないですよ。そういうものが考えられると思うのだ。これまでいろいろ法律をいじってきた農林省のすばらしい役人の頭で考えれば何でもできるのじゃないか。  それから、時間がありませんので大臣に、その後で結構ですから、ウルグアイ・ラウンドがもうこの秋で大体決着を全部つけるような環境になってきておりますが、これは大臣、米の輸入を絶対に阻止できますか。そのことについて大臣のしっかりした御答弁をお願いしたいと思うのです。
  238. 山本富雄

    山本国務大臣 再々申し上げてまいりましたけれども、国内産で自給をするという方針に変わりはございません。
  239. 松山光治

    ○松山政府委員 今、過剰が出た場合には輸出その他で処理すればいいではないかという話があったわけでございますが、私ども過去二回大変苦い経験をしておるわけでございます。御案内の二度の過剰によりまして、海外援助に向ける、あるいはえさ米にするといったようなことで、当然のことながら多額の損失を伴います。それによりまして二回で約三兆円の税金を使わせていただいたという経緯もあるわけでございまして、もう二度とこういうことを繰り返した場合には、日本の水田農業についてなかなか国民の皆さんからの理解が得られなくなるのではないか、こういうことを心配しておるわけでございます。できるだけ需要に見合った米の計画的生産ということで関係の方方の御理解を得ていきたい、このように思っております。
  240. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 後で三兆円使った中身の資料をいただきたいと思うのです。なぜかというと、全日農では救援米というのをつくって無償で贈った経験を持っているのですよ。だから、そんなに金がかかるのなら贈れないはずだけれども、結構それでやってきたわけですから、ちょっとその数字が理解できません。  そこで、米の自給は続けますという大臣答弁ですが、自給でなくて、私は輸入は絶対に阻止するかどうかと聞いているのです。これほどアメリカからいろいろな形で日本に対して圧力というか、どういう形で表現したらいいか、その要求が出されているのに対抗して、輸入米は一粒たりとも日本に入れない、こう言われますか。
  241. 山本富雄

    山本国務大臣 繰り返すようで大変恐縮ですけれども、国内産で自給をするという方針でまいりたいと思っております。
  242. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 どうも御答弁を聞いても答弁になっていないようですから、これで終わります。どうもありがとうございました。
  243. 内海英男

    内海主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  244. 山原健二郎

    ○山原分科員 最初に、日米林産物協議の決着の内容を見ますと、関税引き下げについては新ラウンドの場で前向きに対処するとなっているようです。きょうの報道によりますと、米国の要求は関税をほぼゼロにせよというものだと指摘をされておりますが、そういうふうに理解をしてよろしいですか。
  245. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまお話がございましたように、我が国として今後のウルグアイ・ラウンドに対します考え方といたしましては、昨年中間段階で合意されました基本的な趣旨にのっとりまして前向きに取り組む、こういうことを申し上げております。その場合、今お尋ねのように、アメリカ側としてどういう要求であったかということでありますが、その中ではいろいろな要求等としては話はございましたけれども、今後どのようにしていくかということは、挙げてウルグアイ・ラウンドの中で多国間の交渉として決めていく事柄であるということでございます。
  246. 山原健二郎

    ○山原分科員 前向きという表現ですね。これはアメリカの文章によりますと、積極的という文言になっておりまして、新ラウンドでアメリカが強い態度で関税率の大幅な引き下げを求めてくるのは必至だと思います。  そもそも木材製品の関税については、八六年のいわゆるMOSS協議以降二度にわたって関税引き下げが行われまして、木材製品の関税率の平均はアメリカより日本の方が低くなっているはずですね。米国からの輸入も急増しまして、先日発表されました一九八九年、昨年度の農林水産物輸出入概況を見ますと、米国からの林産物輸入は、八五年の十三億八千二百万ドルから、八九年、昨年度は三十五億九千万ドルへと二・六倍も増加しているわけです。米国から市場が閉鎖的などと言われる筋合いはないと私は思うのです。そういう事実があるから、昨年の五月、予算委員会の総括質問でちょっと申し上げたわけですけれども、木材製品がスーパー三〇一条の対象品目とされましたときに、農林水産省も理不尽だと強く反発したはずでございますが、それがどうしてこういうふうな大幅な譲歩になるのですか、伺いたい。
  247. 甕滋

    ○甕政府委員 この日米の林産物問題につきまして、アメリカ側が三〇一条の指定を行ってまいりますのは、私どもといたしましても合点がいかない、不公正であるといった状況の中で、報復を背景として交渉をするということには応じられない、こういう基本的な考え方は当時から一貫をしておりまして、三〇一条の協議ということではなく、専門家の会合を行っておるわけでございます。これは日米双方に問題がある以上、友好関係の中で実務的に解決していくべき問題である、また相互理解の中で解決点を見出していくのが正しいやり方ではないかということで、専門家会合を何遍となく重ねたわけでございまして、そういったものの中で相互の理解の上に立ってぎりぎりの決着が図られたというのが今回の結果でございます。
  248. 山原健二郎

    ○山原分科員 今までの政府機関あるいは今更での農林水産省、それからまた、各大臣の話を見ましてもそういうふうにおっしゃいますけれども、これは明らかに強圧を加えてそれに対する譲歩が次々なされるわけでして、これは国民が、だれが見ましても、これだけ譲歩して、しかも関税率だって向こうより低いわけでしょう。そういった情勢まで来ておるのに、さらにまた譲歩すれば次々と出てくるわけです。  この問題はこれ以上やりませんけれども、米の問題に当てはめてみますと、こういう譲歩を続ける限り、米の自由化だって、幾ら国内自給で賄うとおっしゃっても、やはり国民の間に大きな不安があるのは、これはもう消しようがないわけです。その点を一言お聞きしておきたかったのでございます。  次に、米の問題ですけれども、今もお話があり ましたように、本年末のウルグアイ・ラウンドの期限を控えまして、米開放もやむなしというようなマスコミの論調も出ております。米自給方針の再検討とも受け取られる外務大臣の発言もございました。米問題をめぐって見逃せない動きが出ているわけでございまして、その場合必ず消費者の利益ということが盛んに言われておるわけです。  私は、大臣にもお伺いしたいのですけれども、消費者の利益を守るということ、これは食糧問題の一番大事なところだと思いますけれども、もともと食糧は、価格もさることながら、毎日国民が欠かさず口にするものでございますから、安定供給と安全性の確保ということが消費者利益の優先する根幹をなすものだと思います。この点、ちょっと大臣の御意見を伺っておきたいのですが、そういうふうにお考えになりますか。
  249. 山本富雄

    山本国務大臣 そのように考えております。
  250. 山原健二郎

    ○山原分科員 そこで、安定供給の面について先に取り上げてみたいのですけれども、例の昭和四十七年ですね。一九七二年から七四年にかけて食糧危機が叫ばれまして、我が国も米国による大豆などの食糧禁輸措置によって大変な影響を受けました。あのときに櫻内農林大臣が、国家安全のためにも農産物自給の強化が必要だと痛切にお感じになりまして発言したことを私は今も覚えているわけでございますけれども、今日、七〇年代半ばから八〇年代後半にかけて順調な伸びを示していました世界の穀物生産は、一転して下落、停滞を示しています。人口一人当たりの穀物生産量で見ますと、食糧危機の叫ばれた一九七二年当時の水準をも下回っていると承知いたしておりますが、この点はいかがでしょうか。
  251. 川合淳二

    ○川合政府委員 四十七年、すなわち一九七二年当時の世界の人口一人当たりの穀物生産量を見てみますと、三百七キログラム程度であります。今御指摘の、最近の動向を同じようなことで見てみますと、一九八七年-八八年の年度は三百二十キログラム、それから翌年の八八年-八九年、今御指摘の不作の年でありますが、三百五キログラムというような状況でございます。
  252. 山原健二郎

    ○山原分科員 今御答弁がありましたように、人口一人当たりの穀物生産量が下がっているわけですね。八九年、昨年度はさらに低下しておるという状態があるわけでございます。  レスター・ブラウンの話をときどき農水の委員会でも取り上げてきたのですが、アメリカの農業・環境問題の研究家で、かつて米国の農務省の農業顧問をしており、今でも環境問題の世界的権威と言われておりますが、この人が中心になりまして、毎年地球白書という報告書を出しています。  その最新版の中で、穀物在庫量が世界の消費量の何日分かという指標で見てみますと、食糧危機が言われた一九七二年当時の五十七日分から、八八年、一昨年には五十四日分へと減少しているという数字も出ておるわけでございます。これは米国の農務省の統計資料に基づいてレスター・ブラウンが指摘をしておるところです。  一昨年の干ばつ等による凶作がもし昨年も続いたら大変だという声が広がっておったわけですが、幸い昨年は、米国も世界全体で見ましても穀物生産は順調に持ち直した。ところが、生産が回復したにもかかわらず穀物供給は消費に追いつかず、穀物在庫はさらに若干の減少となっていると承知いたしておりますが、この点はどう把握されておりますか。
  253. 川合淳二

    ○川合政府委員 八八年にアメリカで干ばつがありまして、トウモロコシ、大豆などの減産がありました。この後、八九年に入りまして今御指摘がございましたようにアメリカでは天候が比較的順調に進んだこと、それから減反の緩和などがありまして、生産量は小麦あるいは粗粒穀物、大豆ともに増加してきております。世界全体でも小麦、粗粒穀物、大豆の生産増が見込まれておりまして、比較的順調に推移してきておりますが、需要につきまして引き続き堅調ということで、期末在庫はやや引き締まっているという傾向にあると考えております。
  254. 山原健二郎

    ○山原分科員 穀物在庫の積み増しには至っていないというお答えだろうと思いますが、昨年十一月の国連食糧農業機関、FAOの第二十五回総会でも、穀物生産が良好に転じたにもかかわらず消費量に多少不足するため、在庫の積み増しには至らず、低レベルの在庫水準が続くとの情勢報告がなされております。天候に恵まれて生産が順調な年に備蓄がふやせないということになると、一体いつ備蓄をもとに戻せるのかという極めて深刻な問題を提起しておるのではないかと思います。  それから、こういった情勢が一過性の問題だと言えないところにこの問題の深刻さがあるわけで、食糧生産量は耕地面積とその面積当たりの生産性、いわゆる土地生産性に左右されるわけですけれども、農水省からいただいた資料を見ても、世界の耕地面積は一九八一年をピークに減少傾向をたどりまして、土地生産性は七〇年代から八六年にかけての順調な伸びから一転して明確な停滞、減少局面を見せておると思います。  一方、世界人口は一九九〇年、本年の五十二億九千万人から二〇〇〇年には六十二億五千万人、二〇一〇年には七十一億九千万人へと急増することが国連の推計で明らかになっております。これに伴う食糧需要増大とも相まって、食糧の需要と生産をめぐる事態は、最近まで言われていた過剰基調から楽観を許さない状況に変わりつつあると思うのですが、この点についてはどう認識されておりますか。
  255. 川合淳二

    ○川合政府委員 九〇年代の需給でございます。まず短期でございますが、主要国の作付面積がかなり増加すると見込まれております。今までの情報でございますと、天候もまあまあということでございますので、需給の緩和に向かうというふうに見られております。  今御指摘の中長期的な状況でございますが、これにつきましては、畜産物消費の増加に伴う飼料穀物需要の増大あるいは人口の増加、特に開発途上国を中心とする人口の増加、開発可能地の減少など、そうしたことを勘案いたしますと、不安定と申しますか、かなり不透明な状況をはらんでいるというふうに考えております。
  256. 山原健二郎

    ○山原分科員 地球環境問題が食糧生産の不安定化をさらに加速するのではないかと指摘されておりますけれども、国連環境計画の取りまとめた資料でも、世界で進行している砂漠化面積は年六百万ヘクタール。これは我が国の耕地面積五百二十八万ヘクタールを上回る状態ですね。それから、耕地の土壌流失も深刻な問題となっていることはもう御承知のとおりでございますけれども、米国は土壌保全局を設けて耕地保全に努めておりますが、米国の農地で年間約二十億トンもの土壌が失われている。世界全体では、オーストラリアの麦作地の総表土に匹敵する二百五十億トンもの土壌流失が生じているとの米国農務省の統計機関の推定が出ておるわけでございます。さらに、地球の温暖化の問題の農業生産に及ぼす影響も単純には見ることができないと思いますが、いろいろな側面を持つと思っております。  これらのさまざまな動向をグローバルに見るとき、本当に農業というものの大切さ、そして自国で生産をしていくというこの基調がどれほど強調されてもされ過ぎることはない情勢の中に我が国も置かれているのではないかと思います。この点についてやはりしっかりした基調を持つ必要があると思いますけれども、どうお考えでしょうか。
  257. 川合淳二

    ○川合政府委員 先ほども申しましたように、中長期的には、幾つかの要素からいって不安定な面があるというふうに考えております。今申しました飼料穀物の需要の増加あるいは人口増加のほかに、御指摘のような砂漠化の問題あるいは異常気象、振れの大きい気象ということもございますので、この辺は十分に注意していかなければいけない状況であると思っております。
  258. 山原健二郎

    ○山原分科員 次に、価格の問題です。  今度の米問題をめぐりまして、自由化すれば安くなる、これは本当に俗論だと私は思っていますけれども、盛んに今宣伝もされていますけれども、食糧需給の逼迫が増進すれば貿易に回される食糧の量はさらに限られてくるわけですし、食糧 の国際価格が大きく高騰する懸念は現実性を持っていると思うわけでございます。この間の穀物在庫の減少によっても国際価格はかなりの幅で上昇しております。  時間がありませんから資料によって申し上げますと、小麦トン当たり八六年が百四ドルですね。八九年、昨年度が百五十ドルと四四%アップです。米もトン当たり八六年が百八十八ドル、それが昨年度の八九年には二百四十三ドルと二九%アップです。しかも米の場合は、貿易に回る量は小麦に比べてもはるかに少量でございます。生産量に対し貿易に回る量の割合は、小麦の一九・四%に対して米はわずかに四・二%にすぎません。したがって、ちょっとした生産不振が大きな価格変動につながると思わなければなりません。  アメリカのカリフォルニアの国府田農場総支配人である鯨岡さんが、日本は米開放をすべきでないと主張している人でありますが、八八年三月九日付の農業共済新聞紙上で、韓国が凶作で米を輸入したときがありますね、これは一九八〇年、二百六十万トン。そのうちの半分はアメリカから入れておりますが、そのときは米国の輸出価格は三倍にもなったと指摘しております。それからタイの場合、これはタイの貿易取引委員会が発表しております米の国際価格で見ましても、一九八〇年前後には一・七倍に上昇、食糧危機が叫ばれました一九七二年から七四年にかけましては四・六倍にも急騰しています。  世界的な不作や、さきに述べたような食糧生産の不安定化が生ずればたちまち値がはね上がる、そういう側面を見ておく必要があるのではないかと思いますが、もう最近は、自由化すれば安くなるというのが国民の間にまき散らされているわけでございます。この点について農水省としてはやはり確固たる姿勢で臨む必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  259. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 米の貿易構造をほかの穀物と比べての考え方につきましては、昨年の農業白書においてグラフ等々で細かく分析をさせていただいたところでございます。今お話しのように、まず結論的に申し上げまして、米の構造というのはいわゆる薄いと言われているわけでございまして、世界の貿易量の中で、それに対する生産の対応を考えますと比率が三ないし四%にすぎない。小麦、トウモロコシ等と比較いたしまして極めて小さいと言われておりますし、また、純粋の米の輸出国はタイ、アメリカで過半を占めているという限定をされているのに対しまして、輸入国はバングラデシュ等々開発途上国を中心に約百カ国に及んでいて、それらの国の生産、需要が不安定なことから国際需給は変動しやすいというふうに考えているところでございます。
  260. 山原健二郎

    ○山原分科員 アメリカは、米輸出に当たりまして輸出奨励計画、EEPですが、それとマーケティングローン制度という輸出補助金によって価格を大幅に引き下げている。その実態について、本年一月の消費者米価に関する米価審議会資料に掲載されています米国産米の財政負担の状況という表を見ますと、米国米生産農家の収入となる目標価格に占める国の財政負担の割合は八五年度で七三%、八九年度、昨年度で四〇%を示しておると思いますが、これはそういうふうに理解してよろしいですか。
  261. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 米価審議会に関する資料におきまして、アメリカの「アグリカルチュラル・アウトルック」の一九八九年九月号の数字をもとにいたしまして目標価格それから市場価格を掲載しているところでございます。その目標価格①から市場価格③を引いた数字ということで、米国産のトン当たり財政負担の状況を、財政負担額①マイナス③という数字で掲げさせていただいておりますけれども、その数字は先生のおっしゃる数字でございます。
  262. 山原健二郎

    ○山原分科員 結局、米国の輸出価格は生産価格の三分の一程度から半値程度に引き下げられているわけですね。その財政負担を軽減するために日本に市場開放を迫っているという側面があるわけでございますから、結局アメリカから米輸入するときは宣伝されているような安い価格では入ってこないことは明らかではないかと思います。  したがって、市場開放すれば消費者は大幅に安い米が食べられるという考え方は、まさに楽観に過ぎる考え方と思わざるを得ません。しかも、深刻さ増すアメリカ・カリフォルニア州の干ばつという、これは四月二十一日の読売新聞でございますが、これなどを見ましても、米国に米供給を頼るということの危険性というものが明らかに予想され、またそれを指摘していると思うわけでございます。そういう意味で、こうした種々のことを考えますと、目先の内外価格差にのみとらわれて食糧問題を判断することは事を誤るというふうに指摘せざるを得ないのでございますが、この点についての見解を伺っておきたいのです。
  263. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 先ほど来御議論ありますように、食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でありまして、一億二千万に及ぶ国民に食糧の安定供給を図っていくということは、農政の基本的な役割であるというふうに考えております。  先ほどお話ありますように、農産物の国際需給が中長期的には変動要因を抱えているということを十分頭に置きまして、今後とも、農業経営の安定を図りながら、経営規模の拡大とか生産の組織化等々によりまして、極力与えられた国土を最大限に生かして、生産性の向上を図り、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給というのを基本に置きまして、あわせて輸入の安定的な確保を図って、食糧の安定供給に努めていきたいというふうに考えております。
  264. 山原健二郎

    ○山原分科員 最後に大臣に。私いろいろなことを申し上げました。安定供給の問題、それから価格の問題等につきまして申し上げたわけでございますが、今の風潮を見ますと、かつて米の自給、そして自由化反対という国民的世論、また、国会における三度にわたる国会決議、あの当時の雰囲気から見まして、何となく米の自由化あるいは部分的開放というふうな動きがあるわけでございますけれども先ほどお話がありましたように、農水省として、また農水大臣としまして、やっぱりこの点は毅然たる態度をもって、しかも、ことし決着をつけるという重大な時期に立って農水大臣をされておるわけでございますから、山本大臣の決意を私は本当にお聞きしたいのです。  このことを最後に伺うわけですけれども、その前に、米を守り、食糧自給の向上に努めることは国際的な貢献の道だと私は思っております。食糧過剰が言われる時代には、世界の食糧を大量に買い込む行為に非難の目は向かないかもしれませんが、しかし、世界的な食糧不足という状況の場合、我が国が経済力に任せて世界の貴重な食糧を買いあさるなどということをしましたならば、これは国際貢献どころか、それに逆行することになるわけです。既に熱帯林材などの問題では、日本に対する批判が随分起こっているわけでございまして、主食である米を国内生産で賄い、食糧自給率向上に努めることは、長期的かつグローバルな視野で見ました場合に、これこそ国際貢献の道に通じると私は考えております。  したがって、その立場から、単に日米間の友好が大事だというようなことだけで、向こうの圧力や要請あるいは国内におけるさまざまな米自由化を要求する世論構築というものに対しても、やはりもっと大きな立場で、我が国の主食を守るという立場で頑張っていただきたいわけでございまして、その点についての決意を最後にお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  265. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  先日の予算委員会で先生とやりとりの中で私よくお聞きをしておりました。きょうも御意見を十分交えまして、食糧安保論から価格問題に至るまで、さまざまな御指摘でございました。大筋において私ども気持ちを同じくするものでございます。  毅然たる態度で臨め、こういうことでございますが、不敏でございますけれども、とにかく国会決議もございます。国内産で自給するということを私は言い続けておりますけれども、これを貫く ようにしてまいりたい、またひとつぜひ御支援を賜りたい、こう思っております。
  266. 内海英男

    内海主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時五分散会