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小森分科員 わかりました。そういう
認識で深く物事を掘り下げて対処していただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。
それから、私は、きょうこの予算
分科会、
皆さんに少しお願いをして、全部の
分科会を回らしてもらっておるのであります。一日八
分科会を今、回っておるのです。もう体力的にはふらふらになっていますけれ
ども、なぜ私がそういうことをお願いをしたかといいますと、今の部落地名総鑑の例を出すと、その時点における我が国社会の経済の構造というか社会構造といいますか、そういうものと人間の根源的なあり方との絡み合いというものがその時期の差別
事件を起こすわけでありまして、ではなぜ現時点でパケット通信が起きるのか、また、余り申し上げておりませんけれ
ども、あれこれいっぱいあるのであります。それは例に挙げるとまた話が散漫になって、あと十分余りですから、私も十分に意を尽くせないからそういうことはもう話題に出しませんけれ
ども。
それで結局今日の時点で、通産省に対しても私は申し上げましたし、他の省庁にも少しずつそういう問題を出しておきましたが、この部落問題というのは、なるほど人口の問題からいくと、昔から六千部落三百万と言われておる。しかし、その人口の数字は何かごろ合わせみたいな形で三百万が出てきておるようでありますので、部落の数は大体六千部落だろう。これは私は長らくの運動の経験でそう思いますし、また大正時代からの厚生省の調査などを見ても、一番多いときには五千七百というのが出ておるし、その次に五千三百というのが出ていますので、それでもみんなが部落を名のって出ることはないから、その五千七百とか五千三百の数字より多いだろうということは予測がつくのだ。だから、私は約六千部落だと思っています。
それで、つまりこの段階において六千部落の歴史的系譜から言うと、私の生まれてきたような
立場の者がこの
世の中で少し不利な目に遭うからこの問題を何とかしてください、こんなことを言っているのじゃないですよ。私はこれを各省庁にわかってもらおうと思って全部回ったのです。本来なら、これは同和対策
審議会の答申が十分にのみ込めておったらわかるのです。同対審答申ではどう書いているかといったら、この問題は、人間の自由と平等に関する市民的権利の問題であり、基本的人権の問題であり、言うなれば人類普遍の原理だと言っているのですね。したがって、人類普遍の原理だというのは、はあ理論上人類普遍の原理かと思ってもらっては困るのでありまして、この問題を解決せずんば、我が国社会は幾ら表面を糊塗してうまくやっても根底的な問題は解決しないのであります。
私は、この間からもこの
予算委員会の会場のあそこへ来てしばらく傍聴させてもらいましたし、あっちの方でうろうろしておるときにはラジオで聞きましたけれ
ども、日米構造協議の問題がかなり議論されました。それで、日米構造協議の問題で、アメリカ自体は
自分の直接的な利益を素材として、日本にいろいろなことをこうやってもらいたい、ああやってもらいたいという構造協議の中身を出しておるわけでありますが、私は、今申し上げましたように、社会の構造と人間の持っておる本源的、根底的事実というか根底的性質というものとの絡み合いからそれを見させてもらいますから、あの日米構造協議の中に随所に差別という
言葉が出ていますよ。
先ほ
ども通産省の方は、差別というのは、内外平等に物事の取引をしようじゃないかという
意味ではないですかという話でありました。確かにそういう使い方のところもあります。しかし、問題は、差別とか不平等とか恣意的とか
行政の自由裁量をもう少し規制しなければならぬとか、そういう書き方はいっぱいしていますよ。赤線を引いてみたらいっぱいあるのです。ということは、アメリカは、日本社会の根底的なところに気づいておるかどうかはわからないけれ
ども、
自分らの利害から見て、どうも日本の社会の中に、あれほど高度な経済が進んでいる日本社会の中に、前近代的な不合理な、人間をいびつにする、そして、そのいびつにした人間を使って経済の表面的数量的繁栄を目指しておる国ではないのかということに気づき始めておるのではないかな、それを私はさっき通産省とも話したのであります。
しかし、私は通産省に対してそれを言うて、的確な返事をもらうことはできません。あの通産省よりも、例えばもっと人権に近いところといったら、まず
法務省人権擁護局がありますし、同和問題の主管官庁といえば総務庁がありますし、さらに同和教育の問題で一番わからねばならぬ文部省もありますからね。だから、通産省に対して私は余り厳格な議論をいたさなかったのでありますが、これは、日米構造協議というものが、恣意とか不平等とか、
行政の裁量をもう少し客観的にしなければいかぬのではないかという
意味のことを書いていますが、そこらのところとの
関係において、全般的に我が国に部落差別が存在してなおそれが解決しないような雰囲気ならば、随所にそういう問題が散らばっておるという見方をしていただかなければならぬと私は思うのですね。
だから、アメリカが
自分の利益のために言っておることで、これは筋が通っておるところと、ちょっとおかしいなと思うところもあります。私は日本
国民ですからどうしても日本のことをひいきに考えますから、どうもそういうふうに思うところもあります。しかし、アメリカが見て日本の前
近代化なところが――前近代的という
指摘はしてないですけれ
ども、恣意とか不透明とか不平等とか規制がきつ過ぎるということですね。それは今回日米構造協議の問題が提起されて、国際的友好
関係というもので真剣にそれを考えねばならぬ時期でありますから、塩崎大臣、この辺も、そういうところへ目を向けて、そして全体が我が国における前近代的なものを取り除くことに焦点が向き、しかもその中で
近代化な人間にみんななっていく、こういう方策を閣内で他の省庁に
総務庁長官という
立場から働きかけていただければよいのじゃないか、こう思うのです。
だから、文部省で言いましたら、私がきょう文部省で
指摘したのは、今から十年くらい前は学校の中で校内暴力が一番大きい問題だったのです。学校が荒れておる、学校が荒廃しておるのは校内暴力だった。しかし、私らの経験からすれば、あのときに校内暴力を余りがたがた言うたら、これは余計悪くなるぞ。があっと私らの胸ぐらつかんでくるような中学生はまだ迫力があって、おお、おまえ、そのくらいの気力があるんだったらもう少し勉強して文句言ってみい、こういう形で整理できるんだけれ
ども、これが今度は、強い者にかかっていっておったのがだんだん弱い者いじめの方向に向かう、いじめの方向に向かっておったものが次第に全体的な雰囲気としては無気力、停滞になって学校に行かなくなる。きょう聞きましたが、小中学校で五十日以上休んでおる者が四万二千人。文部省に、じゃ三十五日とか三十九日はどうかと言ったら、その資料をつかんでおらぬと言うから、私の方から提示した。約四十万人。
そういうふうに
世の中が随分いびつになっておるわけでありますから、そのいびつというのは、我が国社会が持っておる前近代性、具体的な現象でいえば部落差別にあらわれてくるような前近代性、これを解決しなければ、教育でも損をするし、国際
関係でも損をするし、それは
指摘すればさまざま。今建設省が言いましたよ。部落のところの堤防をうまくやっておらぬためにそれが切れて、部落だけが流れたのではなしに、広島県の三次市ですよ、人口四万の町が全部流れて、電気製品から何から全部水につかって大損したじゃないか。建設省だってそういうことが言えるのであります。そういうことでありますので、ひとつ大臣に十分にお考えをいただきまして、主管官庁でありますから、各省庁にその角度で働きかけをしていただきたい。ひとつ大臣の所信を聞いておきましょう。