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1990-05-17 第118回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月十七日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 越智 伊平君    理事 近藤 鉄雄君 理事 佐藤 信二君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 宮下 創平君 理事 加藤 万吉君    理事 佐藤 敬治君 理事 村山 富市君    理事 神崎 武法君       粟屋 敏信君    井奥 貞雄君       池田 行彦君    石井  一君       稲村 利幸君    今津  寛君      小此木彦三郎君    越智 通雄君       工藤  巌君    倉成  正君       古賀  誠君    後藤田正晴君       左藤  恵君    自見庄三郎君       戸井田三郎君    葉梨 信行君       長谷川 峻君    浜田 幸一君       林  義郎君    原田  憲君       二田 孝治君    松本 十郎君       村田敬次郎君    村山 達雄君       川崎 寛治君    嶋崎  譲君       新村 勝雄君    新盛 辰雄君       関  晴正君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    松浦 利尚君       武藤 山治君    山花 貞夫君       和田 静夫君    渡辺 嘉藏君       日笠 勝之君    冬柴 鐵三君       森本 晃司君    山田 英介君       菅野 悦子君    三浦  久君       中野 寛成君    柳田  稔君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         法 務 大 臣 長谷川 信君         外 務 大 臣 中山 太郎君         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         文 部 大 臣 保利 耕輔君         厚 生 大 臣 津島 雄二君         農林水産大臣  山本 富雄君         通商産業大臣  武藤 嘉文君         運 輸 大 臣 大野  明君         郵 政 大 臣 深谷 隆司君         労 働 大 臣 塚原 俊平君         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     奥田 敬和君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      砂田 重民君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      相沢 英之君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      大島 友治君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 北川 石松君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         内閣官房長官 大島 理森君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣総理大臣官         房審議官    文田 久雄君         宮内庁次長   宮尾  盤君         宮内庁長官官房         審議官     河部 正之君         皇室経済主管  永岡 祿朗君         総務庁長官官房         長       山田 馨司君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  杉浦  力君         総務庁長官官房         会計課長    大橋 豊彦君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         防衛庁長官官房         長       児玉 良雄君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      米山 市郎君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛施設庁長官 松本 宗和君         防衛施設庁総務         部長      吉住 愼吾君         防衛施設庁労務         部長      竹下  昭君         経済企画庁長官         官房長     斎藤 次郎君         科学技術庁長官         官房審議官   石田 寛人君         科学技術庁科学         技術政策局長  石塚  貢君         科学技術庁原子         力局長     緒方謙二郎君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁地方振興         局長      野沢 達夫君         法務省入国管理         局長      股野 景親君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省経済協力         局長      木幡 昭七君         外務省条約局長 福田  博君         大蔵大臣官房審         議官         兼内閣審議官  谷口 米生君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局長 大須 敏生君         大蔵省国際金融         局次長     江沢 雄一君         文部大臣官房長 國分 正明君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省高等教育         局長      坂元 弘直君         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生省生活衛生         局長      目黒 克己君         厚生省薬務局長 北郷 勲夫君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房予算課長   山本  徹君         通商産業省貿易         局長      内藤 正久君         通商産業省立地         公害局長    岡松壯三郎君         通商産業省基礎         産業局長    高橋 達直君         通商産業省機械         情報産業局長  山本 幸助君         資源エネルギー         庁長官     山本 雅司君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 牧野  力君         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房審         議官         兼内閣審議官  井上徹太郎君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         海上保安庁次長 野尻  豊君         郵政大臣官房経         理部長     木下 昌浩君         労働大臣官房長 若林 之矩君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         自治大臣官房長 小林  実君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     古賀  誠君   内海 英男君     井奥 貞雄君   工藤  巌君     今津  寛君   田澤 吉郎君     二田 孝治君   村岡 兼造君     自見庄三郎君   井上 普方君     山花 貞夫君   川崎 寛治君     渡辺 嘉藏君   串原 義直君     関  晴正君   冬柴 鐵三君     森本 晃司君   不破 哲三君     菅野 悦子君   中野 寛成君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     内海 英男君   今津  寛君     工藤  巌君   古賀  誠君     池田 行彦君   自見庄三郎君     村岡 兼造君   二田 孝治君     田澤 吉郎君   関  晴正君     串原 義直君   山花 貞夫君     井上 普方君   渡辺 嘉藏君     川崎 寛治君   森本 晃司君     冬柴 鐵三君   菅野 悦子君     不破 哲三君   柳田  稔君     中野 寛成君     ───────────── 五月十六日  平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)  平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)  平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号) 同日  給与改善費の当初予算計上に関する請願(金子満広紹介)(第九二九号)  同(児玉健次紹介)(第九三〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第九三一号)  同(不破哲三紹介)(第九三二号)  同(古堅実吉紹介)(第九三三号)  同(三浦久紹介)(第九三四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)  平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)  平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)      ────◇─────
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)、平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)、平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  まず、三案について政府より趣旨説明を求めます。橋本大蔵大臣。     ─────────────  平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)  平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)  平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)     〔本号(その二)に掲載〕     ─────────────
  3. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 このたび、暫定補正予算を提出いたしましたが、その概要について御説明申し上げます。この暫定補正予算は、既定暫定予算に追加し、あわせてこれを平成二年四月一日から六月八日までの期間に係る暫定予算とするためのものであります。  まず、一般会計について申し上げます。  暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、今回の暫定補正予算におきましても、既定暫定予算に準じて、補正暫定予算期間中における人件費事務費等経常的経費のほか、既定施策等に係る経費について行政運営上必要最小限のものを計上することとしております。  新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないこととしておりますが、生活扶助基準等の引き上げ、国立大学の学生の増募等教育及び社会政策等への配慮から特に措置することが適当と認められるものについては、所要経費を計上することとしております。  また、公共事業関係費につきましては、補正暫定予算期間中における事業継続的執行を図るため、一般公共事業については、既定暫定予算とあわせて、平成二年度予算額のおおむね三分の一を目途に計上することとし、その枠内において、積雪寒冷地事業については特別の配慮を加える等所要額を計上することとしております。  歳入につきましては、税収等補正暫定予算期間中の収入見込み額を計上することとしております。  以上の結果、一般会計暫定補正予算による追加額は、歳入において五千百七十億円、歳出において一兆九千六百十一億円となり、これを既定暫定予算に合わせた補正暫定予算歳入総額三兆四千七百七億円、歳出総額十二兆一千六百十一億円となります。  なお、八兆六千九百四億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、十四兆二千億円を限度として、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることとしております。  特別会計及び政府関係機関暫定補正予算につきましても、一般会計の例に準じて編成いたしております。  なお、財政投融資につきましては、一般会計に準じて二兆九千五百七億円を追加し、既定暫定財政投融資計画とあわせて七兆七千四百二十七億円を計上することとしております。  以上、平成二年度暫定補正予算につきまして、その概要を御説明いたしました。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  4. 越智伊平

    越智委員長 これにて大蔵大臣説明は終了いたしました。     ─────────────
  5. 越智伊平

    越智委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
  6. 山花貞夫

    山花委員 私は、本日提案されました暫定補正予算にかかわる政府政治責任について、第二番目、韓国大統領訪日に関する政府対応に関して、第三番目、政治改革、とりわけ最近の選挙制度審議会の答申をめぐる問題について、第四番目、対中国第三次円借款について、四つのテーマについてお伺いしたい、こういうように思います。  まず、今回の平成二年度暫定予算補正についてでありますけれども、内閣の職務として憲法上明記された非常に重要なテーマである予算に関して、内閣が重大な責任を負っていることは明らかであります。本予算成立がおくれまして、昨年に続いて五十日間にも及ぶ暫定予算を編成しなければなりませんでした。対外関係国民生活にさまざまな影響を及ほすものであって、内閣責任は重大であると考えています。  戦後、暫定予算補正が行われましたのは三回、一回は昭和二十三年芦田内閣当時三回にわたり、二回目は昭和二十八年第五次吉田内閣当時二回にわたり、第三回目は昭和三十年第二次鳩山内閣当時、以上の三回でありますけれども、いずれも内閣の総辞職や衆議院の解散を原因としており、大きな混乱の中で行われたものであります。当時も、当時の議事録を拝見しますと、予算成立がおくれたことについての内閣責任が厳しく追及されております。  昨年は、中曽根元総理にかかわるリクルート事件に関連して予算審議混乱をし、さまざまな理由はありましたけれども、暫定期間中での本予算成立のめどが立たないで、竹下内閣は総辞職をいたしました。今回は、三月の補正予算審議の際自民党は、私たちはまさに党利党略であると考えましたが、与野党で合意されました日程、それに従って審議がスムーズにスタートすることなく、三月九日から二十一日まで審議は滞りました。そうした経過があったため予算審議がおくれているにもかかわらず、海部内閣は、きょうの提案を拝見してもそうですけれども、こうした問題に対する政治的な責任については全く考えることなく、安易に十九日間に及ぶ暫定予算補正を提案されております。三十五年ぶりの暫定予算補正という異常事態を招いた内閣責任重大性、この点についてどうお考えか、総理見解を伺いたいと思います。
  7. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政府といたしましては、平成二年度予算について、現下の社会経済情勢に適切に対応するため、その一日も早い成立に向けて努力をしてきたところでありますが、しかしながら、国会における御審議経過等から見て、現在の暫定期間中に平成二年度予算成立することはなかなか容易ではないと見込まれますことから、国民生活国民経済支障が生ずることのないように最小限措置を講ずることが必要となりましたために、このたび暫定補正予算を提出したところでございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、平成二年度予算について、国民生活国民経済支障が生ずることのないよう、その一日も早い成立を強く期待しておるところであります。
  8. 山花貞夫

    山花委員 予算は、一年間の政府行政の方針に対する、いわばそれを裏づける予算の面での意思表示ということだと思います。会計年度一年間、そして、一年間の行政の方向というものが打ち出されて、これに伴う予算ということでありますから、暫定で切られる、また補正で切られるということになりますと、憲法が想定している一年の会期の中における予算の組み方ということが崩れてくるということについては明らかだと思います。一年間の全体像を崩す、こうしたことに対する政治責任というものは私は免れないものだと考えています。過去戦後の三回の先例を見ましても、いずれも、先ほども指摘しましたけれども、総辞職解散、いわば政治の大きな変動の時期ということではあったわけですが、私は、そうした意味において内閣政治責任は免れがたいということについて指摘をして、次の質問に入りたいと思います。  実は、韓国盧泰愚大統領の訪日問題について政府対応ということで伺いたいと思ったわけですが、問題を若干整理の意味で切り離して、実はあらかじめちょっとお伺いしたいと思っております。  天皇のお言葉の問題であります。十五日の閣議天皇のお言葉についての対応は、総理中山外相坂本官房長官、官邸と外務省等三者に一任されると報ぜられておりました。この点について、内容は固まったのかどうかということについて伺いたいと思います。
  9. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ねの、お言葉内容について固まったのかという御質問でございますが、現在固まっておりません。
  10. 山花貞夫

    山花委員 実は、天皇のお言葉の問題、盧泰愚大統領の来日についての政府対応ということとちょっとこれは切り離して、問題点を整理してあらかじめ伺っておかなければならないテーマだと思っています。  その意味で伺いたいのですけれども、一昨年来の大喪の礼から、大喪の礼の準備の段階です、即位の礼に至るまでのさまざまな国家行事との関連におきまして、それぞれの行事概念であるとか、あるいは、いわゆる天皇公的行為とされているものについての概念憲法解釈上論議されてきております。この点については私たちは、あいまいな解釈による拡大というものは許されないと思っています。とりわけ公的行為概念拡大というものは、天皇政治利用に通ずる道を開くとして厳に慎まなければならないテーマだと考えています。天皇のお言葉国会開会式のお言葉もしかり、あるいは晩さん会などのスピーチもしかりでありますけれども、従来から政府はこれをいわゆる天皇公的行為として位置づけているのだと思いますけれども、これは法制局長官に伺いたいと思いますが、その概念憲法上の根拠責任主体ないし所在についてお伺いしたいと思います。
  11. 工藤敦夫

    工藤政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘天皇公的行為の問題でございますが、決して私ども拡大するというふうなことではございませんで、昭和四十八年当時既に田中総理もおっしゃられておりますし、あるいは私どもの法制局長官の高辻、吉國、角田、茂串といった歴代の法制局長官がお答えしているところでございます。申し上げますと、天皇行為には国事行為公的行為及びこれらのいずれにも当たらない行為、こういう三つがあるということでございます。いわゆる天皇公的行為というのは、憲法に定める国事行為以外の行為で、天皇象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われるものをいう、こういうことでございます。  で、天皇公的行為、今憲法上の位置づけという御質問でございますが、憲法上明文の根拠はないけれども、そういう意味象徴たる地位にある天皇行為、こういうことで当然認められるところである、かようにお答えしてきているところでございます。また、天皇公的行為というのは今申し上げましたように国事行為ではございませんので、国事行為の場合にはいわゆる憲法に言う内閣助言承認が必要であるということになっておりますが、天皇公的行為の場合にはそこで言う内閣助言承認は必要ではない。また、あくまで天皇の御意思をもととして行われるべきものではございますが、当然内閣としても、これが憲法趣旨に沿って行われる、かように配慮することがその責任であると考えております。  それから、若干、限界といいますか、そういう意味のことのお尋ねもあったと思いますが、天皇公的行為というのは、今申し上げましたような立場で、いわゆる象徴というお立場からの公的性格を有する行為でございます。そういう意味では、国事行為におきますと同様に国政に関する権能が含まれてはならない、すなわち政治的な意味を持つとかあるいは政治的な影響を持つものが含まれてはならないということ、これが第一でございます。第二が、その行為象徴たる性格に反するものであってはならない。第三に、その行為につきましては内閣責任を負うものでなければならない。かようなことであろうと思います。  内閣責任を負うという点につきましては、その行為に係る事務の処理が行政に属すると考えられますので、憲法六十五条によりまして行政権主体とされる内閣がそれについて責任を負うべきことであろう、かようにこれまでもお答えしておりますし、お答え申し上げたい、かように思います。
  12. 山花貞夫

    山花委員 概略従来の法制局見解を踏襲されての御説明だったと承りました。  いわゆる公的行為、さまざまな形がありますけれども、例えば国会開会式のお言葉の問題、あるいは晩さん会スピーチの問題、一般的には、これに対する、今お話ありました内閣責任の前提となる助言承認という言葉ではなく補佐責任といったことになると思いますけれども、その補佐責任のよって来るかかわり方ということについて具体的に御説明いただきたいと思うのですが、一般国会開会式のお言葉などの場合には、どういう部局でつくり、宮内庁がどう関与するのか、そしてどういう経過閣議がかかわるのかということについて、まず一般的な問題について伺っておきたいと思います。
  13. 工藤敦夫

    工藤政府委員 事務かかわり方の問題でございますので、私の方からお答えするのがあるいは適当かどうかという問題がございますが、今までの私の経験なりなんなりから申し上げますと、例えば今委員が例示に挙げられました国会開会式におけるお言葉、かようなものは例えば閣議にかかるというふうなこともございますし、あるいはその他のケースにつきましては、先ほど内閣責任という形で申し上げましたけれども、具体的には内閣法国家行政組織法あるいは個別の各省庁設置法、こういうものに基づきまして、それぞれ閣議了解、あるいはその他のいわゆる身の回りの宮内庁外務省等々のそれぞれの組織権能に基づきまして補佐申し上げるというのが、補佐責任を負う形で準備申し上げるというのがこれまでの形であったと存じております。
  14. 山花貞夫

    山花委員 最終的には内閣補佐責任ということだけれども、具体的なケースによってさまざまな行政組織がかかわってくる、こういう御説明と伺いました。  それでは、例えば今回の話題となっております天皇のお言葉の問題、この協議の機関というものがいろいろ伝えられておりまして、外務省が中心か、あるいは宮内庁なのか、あるいは官邸がどうかむのかということなわけですが、具体的には、今回のような場合にはどういう機関がどのように関与して最終的に決定されるのでしょうか。最終的には総理の決断であるという新聞の報道等もありましたし、固まった、あるいはまだ固まっていない、いろいろ報道が伝えられているわけでありますけれども、中身はさておきまして、決定に至る形、手続について御説明をいただきたいと思います。
  15. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 宮中晩さん会における天皇陛下のお言葉の具体的な手順といいますか、それについてのお尋ねでございましたが、まず外務省がいろいろな資料を作成をしていただきまして、それを私ども宮内庁がいただきまして、宮内庁外務省の間でいろいろそれについて協議をいたしまして、その結果を最終的に内閣所要の調整をして作成される、こういう手順でございます。
  16. 山花貞夫

    山花委員 ちょっとはっきりしない部分もありますけれども、要するに、一般公的行為についての補佐責任という場合と比べると極めて慎重な手続を踏んでいるということが現状ではないかと思うわけですが、手続についてはさておきまして、先ほどの長官の御説明にもありましたとおり、我々は異論を持っているわけですが、政府説明によって、公的行為のいわば憲法的な根拠としては天皇象徴たる地位というところに置かれているということだと思います。  そうなってくると、天皇象徴たる地位ということから憲法上明確な、截然とした問題点があるわけでありまして、国政に関する権能というものは有さないということであるとするならば、お言葉の中身の問題としては結果として政治的であってはならない、その意味におきましては形式性、儀礼性というものが中心となった内容となる。当然これはこれまでもそうだったと思いますし、いろいろ物議を醸した問題を除いては、まず憲法上の原則としてはそうなるというのが当然だと思いますが、この点については長官でもどなたでも結構ですが、御説明をいただきたいと思います。
  17. 工藤敦夫

    工藤政府委員 先ほどお答えしたところでございますけれども、やはり今御指摘のように、憲法天皇は「国政に関する権能を有しない。」かようにされているわけでございますから、天皇が国政に関与したのではないかとの疑いを生ずることのないように内閣としても十分配慮すべきである、かようなことでございます。
  18. 山花貞夫

    山花委員 最終的な決断と責任というものは総理のところに来るわけでありますから、これはもうこれまでのお答えのとおりです。総理はこの点についていかがお考えでしょうか。
  19. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ただいま法制局長官が申し上げたように、内閣責任においてこれはいたさなければならない、陛下を政治的に利用するものではない、こう考えております。
  20. 山花貞夫

    山花委員 しかし、今回は実は連日の新聞報道、これは両国を通じてでありますけれども、非常にいわば外交上の大きな政治テーマとなっているということだと思います。日韓の関係の過去を踏まえて大統領の来日というものを予想した場合に、天皇のお言葉が、かつて韓国の大統領が来日したときにもそうだったように、外交上の政治テーマとなることは、ある程度予知されたと申しましょうか、予想されておったのじゃないでしょうか。一方において国内の問題としては、どなたから伺っても結論は同じでありまして、天皇政治にかかわってはならない、公的行為政治利用されてはならないということがあって、これは憲法上の天皇象徴たる地位から当然の結論であります。国内的にはそれで割り切ることができるわけですが、韓国のあるいは韓国の国民の皆さんの感情からすると、これが割り切れない問題がなお残っているということについては当然予想されるところではなかったかと思うのです。ということであるとするならば、政府は外交的その他事前の努力によりまして韓国政府及び韓国の国民の皆さんに理解を求めるということの必要性が非常に大きかったのではなかろうかと思っています。  したがって、今回この問題がいわば政治的なテーマとしてマスコミに連日報道されるということに至った、よって来る責任というものはやはり内閣にあるのではないか、こう考えざるを得ません。とりわけこの数日問題となりました、かの自民党首脳の発言、韓国の社説が、「破廉恥で不道徳な民族との声が出ているということを日本人は知るべきである」と社説で書きました。あるいは「謝罪の代わりに暴言か」ということで「日本政府と一部政治家の誤った認識とごう慢無礼な姿勢に当惑と憤怒を禁じえない」とも社説が書いております。そうして、つけ加えて、こうした声については「国民の一部にある声を代弁したものではないか」「毎回毎回、大統領が来るたびにこれでは、きりがない」という追っかけての自民党首脳の発言、火に油を注ぐようなものではないかと思います。  私どもは、今回、先ほど申し上げましたとおり、あらかじめ問題となることが従来の経過からして予想されたとするならば、政府責任において外交上の努力によってこの冊題について韓国の皆さんに理解を求めるという努力が必要であったにもかかわらず、そのことが足りなかったのではないかという疑問を持ちながら、加えて、最近のこうした自民党首脳の引き続く発言について見るときは、全体としての責任内閣が、内閣総理が負うものと考えます。こうした問題についての総理見解を求めたいと思います。
  21. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 一々具体的に経過報告をすることは差し控えさせていただきますが、それなりの努力を韓国側ともいたしております。
  22. 山花貞夫

    山花委員 外交上のいわばそうした水面下の努力を含めてということだと思いますけれども、それでは我々はなるほどと言うわけにはいかないわけでして、そういう努力をされた上で結果的にどうなったかということが内閣の評価ということだと思います。結論的にはこれだけ大きなテーマとなった、しかも天皇のお言葉の問題が、国内法的にはだれも異論のない方向にあるのだけれども、韓国の皆さんには理解されていないということについての政府責任は免れないのではないかと私は指摘しないわけにはまいりません。  その他のテーマもありますので、一応問題をここで切り離した上で伺いたいと思うのですけれども、盧泰愚大統領来日に際しまして、今回は在日韓国人の皆さん、三世の法的地位の問題、これが大きなテーマとなりました。さまざまな個別のテーマにつきまして四月三十日の日韓外相定期会談等で大枠についてはまとまって、なおまだ残っておるようでありますけれども、そうした意味におきましては、こうした問題についての一応のけじめをつけるということも今回の大統領訪日を控えての問題だと思っています。  こうした問題について、待遇問題、大筋は合意したと伝えられておりますけれども、一体その点についてどうなのかということについて外務大臣に伺いたいと思います。
  23. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ねの外相会談における合意の問題点についてお答えを申し上げたいと思います。  まず第一に、いわゆる在日韓国人三世問題につきましては、在日韓国人法的地位協定第二条に基づき、これまで日韓間の事務レベルで協議を実施いたしてまいりました。  今般の外相会談の結果、三世以下の子孫に関しましては次のような方向で法的地位及び待遇に関する問題の解決を図ることにつきましては、日韓間で、第一に、簡素化した手続で覊束的に永住を認める。第二に、退去強制事由は、内乱、外患の罪、国交、外交上の利益に係る罪及びこれに準ずる重大な犯罪に限定する。三、再入国許可については、出国期間を最大限五年とする。四、指紋押捺については、三世以下子孫の立場配慮し、これを行わないこととする。このために指紋押捺にかわる適切な手段を早期に講ずる。第五、外国人登録証の携帯制度については、三世以下子孫の立場配慮した適切な解決策を見出す。六、その他、教育問題、地方自治体公務員及び教師の採用問題、地方自治体選挙権問題等については、今後とも協議を続けていくこととする。したがって、盧泰愚大統領訪日の際には、右決着を踏まえ引き続き詰めるべき点や協議すべき事項につき、最終的に明年一月をめどとして日韓双方が満足し得るような結論が得られるようお互いに努力することを確認したいと考えておる、このようなことで合意をいたしました。
  24. 山花貞夫

    山花委員 大筋については伺ったわけですが、なお最終的に詰めるべき問題、また日本側が与えられた今後解決すべきテーマというものが残っているということではないかと思います。実は、そうした問題は、韓国の大統領来日の機会でありますから、直接的には在日三世の問題ということで議論されている、詰められるということだと思いますけれども、しかしこれは日韓間の関係だけではない、こういうことだと思っています。  実は、この機会に私たちは、在日韓国・朝鮮人の戦後補償、権利保障についての申し入れ等々、政府に対しても、重複するテーマとはなりますけれども行ってきたところでありますが、なお解決の問題、将来の課題が残っているということ等を考えますと、結局在日韓国人・朝鮮人の法的地位などの問題につきましては、通常の一般的な在日外国人の地位問題とは異なりまして、日本の植民地支配という歴史的な背景を持っています。我が国は、苦痛と損害を与えたかつての植民地支配について真剣な反省と謝罪を行って、これを踏まえて在日韓国・朝鮮人などの権利についての保障と保護という立場から特段の措置を行う義務を有すると私たちは考えています。こうした問題の処理の基本姿勢として、個別のテーマについての解決はあるけれども、しかし根本的なけじめということがなければ本当の意味での、個別のテーマについての若干の、どちらに有利かという解決だけということにおきましては、両国国民の将来のあり方、親善の関係というものを深めるということにはならないのではなかろうかと考えています。  私たちは、そうした植民地支配の反省ということにつきましては、大変印象に残る経過といたしまして、かつての竹下総理のこの予算委員会における答弁を思い起こします。「日本政府及び日本国民は、過去における我が国の行為が近隣諸国の国民に多大の苦痛と損害を与えてきたことを深く自覚して、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を今日まで歩んできたわけでございます。そのような自覚と反省は、歴史的にも地理的にも我が国と最も近接しております朝鮮半島との関係においても、とりわけ銘記さるべきものであると考えております。」と、朝鮮半島全体について総理としての見識をこの予算委員会の場で披瀝をいたしました。  たまたまこれは朝鮮半島全体ということだったわけですが、日本の戦争の歴史を振り返るならば、それだけではない、アジアの諸国民に対してというテーマが残っていると思います。この問題は今回はたまたま日韓の場で問題となったわけでありますけれども、このテーマというものは、日韓両国間のテーマだけではなく、戦争被害を与えたすべてのアジアの諸国民との間のテーマとして、これからまた同じような形で議論されることもあるのじゃなかろうか。そういう場合には、個別のさまざまな要件につきまして、指紋押捺の問題あるいはそれに関連する問題等々といった両国間の問題について懸案を解決するというような、いわば技術的な積み上げた処理ということだけではなく、日本の国民のこうした問題に対する反省の気持ちというものをきちんとした形でアジア諸国にあるいは世界に示すということが大変大事なのではなかろうかと思っております。  まず総理に伺いたいのですが、このかつての竹下総理の答弁、この姿勢というものについては、これを堅持されるのかどうか。そして、こうした問題についての総理の御見解を伺いたいと思います。
  25. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今御引用になりました竹下総理の考え方は、私もそのままきちっと踏襲をいたします。
  26. 山花貞夫

    山花委員 実は、たまたま機会が重複するので問題は、切り離してという考え方でおるわけですが、こうした問題について一国の総理予算委員会で発言をする、あるいはその他、相手国の元首が来た場合にそこで総理が発言をする、さまざまな形があるのだと思いますけれども、これを私たちは国権の最高機関たる国会の場で行うということについての提案をしてきたところです。過日の党首会談におきましても、土井委員長がこのことの必要性について海部総理に強調をされました。とりわけ土井委員長、ヨーロッパから帰ったばかりということもありまして、東西両ドイツの統一の問題をめぐるヨーロッパの見方、このこととの関連で強調したところでございます。  やはり東西両ドイツが統合するということが、かつての強いドイツ、一体これからドイツがどうなるかということについての過去を振り返っての近隣諸国の心配、そのことに対して繰り返し繰り返しこうした問題について、歴史的な人の心を打つ言葉をもって東西両ドイツがこの問題について対応してきたということについては御承知のとおりであります。そのことがやはり必要なのじゃないか。日本は軍事大国にはならないと繰り返し諸国を歴訪する総理あるいは自民党の代表がおっしゃいますけれども、しかしながらそうではないかという心配がございます。経済大国論についてもまた、さまざまな形で日本に伝わってまいります。日本の基本的姿勢、そのことに対する不安、そのことを払拭して、これからの国際社会においてまさに名誉ある地位を築いていこうとするならば、二十一世紀の日本の国際社会におけるあり方を考えるならば、こうした問題についてはっきりとわかりやすい形で内外に日本の態度を表明するという機会が必要ではなかろうかと思うのです。  今回どういう形をとるかということについては、これからの問題、まだ確定はしておらないのだと思いますけれども、盧泰愚大統領の来日の問題、この機会ということではありますけれども、この問題とは切り離した形で、アジアのかつて損害と被害を与えたそうした諸国民に対する日本の戦争責任についての明白な態度というものを国会の場でするということについて私たちは提案しておりますけれども、総理の御見解を承りたいと思います。
  27. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今議論になっております、かつての日本の歴史上の犯した過ちについて、それを反省をし、朝鮮半島を含むアジア諸国の国民に多大の苦痛と損害を与えたことは深く自覚をいたしておりますから、特に具体例として、盧泰愚大統領の訪日の際には、私は謙虚に反省をしておるという私の気持ちについて率直に首脳会談の場で申し上げるということは国会でも表明しておるとおりであります。ただ、国会においてその決議をするからそれについて政府はと、こういうことでございましたので、三権分立の建前もございますし、私はそういう謙虚な気持ちで反省をしておりますし、内閣のこれまでとってきました答弁についてはそれをそのまま踏襲するということも今お答えしたとおりでありますけれども、国会のことは国会が、各党において十分御議論の上適切な結論をお出しになることがふさわしいのではなかろうか、政府としてこれはそのように申し上げさせていただきます。
  28. 山花貞夫

    山花委員 国会の決議という形式を考えれば、おっしゃったことについては当然の総理の答弁だと思います。私どもとしても、こうしたテーマにつきましては、各党の皆様に協議をお願いするということの努力も当然率先してやっていかなければならないと思っておりますが、総理・総裁としての立場で、私どもはこうした問題についての問題提起を正面から受けとめていただきたい。今後もいろいろ議論する機会があると思いますけれども、そのことを要請して次のテーマに移りたいと思います。  実は、第八次選挙制度審議会の答申が出されました。私たちはこれまでの経過の中で、自民党の政治改革の一環として位置づけられたという経過を今回の答申の背景にあるものとして問題にしなければならないと思っておりますが、きょうは中身について伺わなければいけないと思っておりますので、まず、この問題についての国会決議とのかかわりについて総理の御見解を伺いたいと思っております。  私たちは、この選挙制度の改革を含む自民党政治改革論、ここには幾つかのすりかえがあるというように考えています。小選挙区制問題というのは鳩山内閣以来の自民党の願望だったと私たちは承知しておりまずけれども、今回は政治改革の目玉とされました。竹下総理の構想に発して今日に至っている自民党政治改革が、リクルート隠しであったということについてはもう繰り返し申しません。これは例えば、政治改革については四つの柱でやっていく。党内的には選挙制度調査会とその上に立てる政治改革委員会、それで政治改革推進委員会、党外の機関としては有識者会議選挙制度審議会という位置づけで始まった当初の段階では、有識者会議における議論を拝見いたしましても、これをやったって結局自民党のリクルート隠しと言われるんじゃなかろうかという議論が委員の皆さんの中に随分ありました。記録に残っておるはずであります。  選挙制度審議会ではその議論が全くなくなったというところに問題があると思っているわけでありますけれども、二つのすりかえというのは、一つは、国会決議にありました議員定数の問題を金のかからない選挙制度という議論にかえてしまったという問題。最高裁の違憲判決が続く中で、国民の関心は定数の是正の問題にありました。一票の格差の是正です。選挙権の平等の問題です。ところが、リクルートの金にどっぷりつかった政治の現状に対する国民の批判にこたえるというふりをして、選挙制度の問題に事が移され、そして今回の小選挙区比例並立ということになったわけであります。  第二番目の問題は、改めて指摘しなければなりません。国会決議の棚上げの問題であります。国会決議棚上げの問題につきましては、総理が、結局は今日の政治を変えるためには抜本的なという、こういう御説明につきましてはいろいろな機会に私たちは伺っております。今回の答申も、実は選挙制度と政治資金についての抜本的な改革ということで宇野総理の諮問がありましたから、選挙制度審議会はまさに抜本的なということで、最終的な改革ということでの答申を行いました。そこでの問題は、まずやるべきことについては全く手をつけない、全部棚上げにしているということがあります。新たな政治改革を議論するならば、我々は既にある政治改革のための合意の履行、制度の有効な活用ということが大切であると思っています。まずこうした観点から、将来のいわば目標だけを掲げて現状に手をつけないという姿勢についての政治責任指摘しなければならないと思っています。  ということで考えるならば、まずここでは、総理に基本的な問題として伺っておきたいのですが、国会決議を履行していただきたい、すべきであるということのもう一つの前の問題として、ロッキード事件の反省として、これも私たちはすりかえだった、今そのことがはっきりしたと思いますけれども、政治倫理綱領と政治倫理審査会が設置されました。これがあるからロッキード事件再発を防ぐことができるのだ、こういう仕組みだったはずであります。有識者会議のあの提言の冒頭にも、まず政治家一人一人の倫理観というものがあればリクルート事件は起こらなかったではないかということについての一行があったことを想起すべきだと思っています。政治倫理綱領について、いわばリクルートで責任を問われたほとんどの皆さんがみずから疑惑を解明するという態度には出なかったではないか、深谷郵政大臣が今日そうではないかということを私たち指摘します。  政治倫理審査会、我々は審査会が設置されて以来、佐藤代議士、田中元総理を審査会に審査の申し立てをいたしました。長い間一遍も開かれませんでした。一年たったって二年たったって三年たったって開かれない。ついに委員の交代ということで終わりました。申し立てたけれども、自民党三百、審査会を開こうともしなかった。何のための審査会設置ですか。政治倫理審査会をつくるならば、政治の倫理の問題についてけじめをつけることができるという建前だったけれども、ついに一回も自民党多数のもとに開くことすらなかった。一度も議論されないで終わりました。こうした経過の中で、また今度はリクルートの反省としてこれなんですといったって私はごまかしだと思います。こうした政治倫理綱領をだれも守っていないではないか、政治倫理審査会は一度も開かれたことがなかったではないか、このことに対しての総理見解を伺いたいと思います。
  29. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 一連の事件の反省に立って政治改革が議論されているものと私は受けとめておりますし、また、自由民主党が昨年そのリクルート事件の反省に立って政治改革大綱をまとめ上げてきたということも、それは率直にそうだと思います。  同時にまた、今いろいろな角度からの御議論の中で、各党間のお話し合いも、私の理解に誤りがなければ、議院運営委員会の中にある議会制度協議会で、今御指摘の問題等も踏まえていろいろ御議論なされておったということ、そこでまず政治倫理確立のために国会議員全員の資産公開をしたらどうだという御議論が進められておるということも報道されておったわけでありますし、私は、そういう政治家一人一人が倫理を確立するということがこういった問題の第一前提条件であることは十分理解しておりますし、そういった御努力が国会の中で各党間において行われつつあったということもこれは事実でございますし、また、そういった反省に立って、去年は公職選挙法の一部改正案も与野党の御議論をいただいて成立をして、今年二月からそれが適用になっておるということ も、政治と選挙とお金にまつわる問題について少なくともそこで改革への第一歩を歩み出されたものと私は率直に敬意を表しておった次第でございます。  なお、政府選挙制度審議会につきましては、御指摘のとおり前内閣が諮問したものでございますけれども、私はこの答申は最大限に尊重して受けとめて、実行に当たって努力をしていかなければならぬという強い決意を持っておりますが、この選挙制度及び政治資金制度の改革についての答申の中には、今お触れになりました定数是正の問題や、裁判所が指摘しております一票の憲法違反の格差是正の問題につきましても、判例で示された一対三の枠をさらに一歩前進して、一票の格差は選挙区ごとに一対二以内にせよというような一歩踏み込んだ非常に厳しいものが出ておりますし、また定数の問題につきましても、現行の衆議院の定数をさらに低くしていけという、具体的な五百程度という目標も示されておるわけでありますし、また政治資金の問題についても、その透明性その他について十分な御指摘がなされておると思いますので、この答申を抜本的な答申として受けとめて全体を改革していくことが政治改革に直結する一つの大きな目標値である、このように受けとめておる次第でございます。
  30. 山花貞夫

    山花委員 二つの問題を指摘したいと思いますけれども、一つは、議会制度協議会でも議論されているではないかという前段の部分につきましては、自民党が三百にあぐらをかいて一度も政治倫理審査会を開かなかった、政治倫理綱領を守っていなかったではないかというその責任を追及した上での経過でありますから、やはりその前段の問題ということを私はお考えを聞きたかったわけであります。  後段の問題につきましては、定数の問題もいろいろ今度すべて解決するから、こういう御説明なわけですが、しかしそのことを、将来においてできる問題については棚上げしているではないかという私の質問でありますから、結局その問題についてはお答えは伺えなかったのではないか、こういうように思っています。  実は、そうした問題につきましては今のお話も踏まえながら伺いたいと思うのですけれども、将来こうやりますよといったって、じゃ一体国会決議をどうするのですかという問題についてです。国会決議の前段となっておりますのは、相続いた、さまざまな裁判所、最高裁判所の一回、二回、三回と違憲であるということについての、まさに三権分立、違憲立法審査権を持った最高裁判所の指摘に対してどうこたえるかというのが、かつての国会決議の背景にあったことは御承知のとおりです。裁判所の判決は立法府の怠慢まで指摘しました。  そうしてその中では、中選挙区制が悪い、いいというような——いいという評価の部分についてはあります。悪いという制度の問題には触れておらなかったのです。むしろ最高裁判所の判決について見ると、中選挙区制というものについては、「憲法が法律に委任している衆議院議員の選挙制度につき、公職選挙法がその制定以来いわゆる中選挙区単記投票制を採用しているのは、候補者と地域住民との密接な関係を考慮し、また、原則として選挙人の多数の意思の反映を確保しながら、少数者の意思を代表する議員の選出をも可能ならしめようとする趣旨に出たもの」といたしまして、最高裁のすべての違憲判決は、中選挙区制はそういうものですよ、少数意見を代表して地域住民との結びつきがあるんだ、だから格差をつくってはいけない、こうした論旨の中で、今間違っているではないか、違憲状態ではないか、こう言ったわけです。このことにこたえての国会決議だったわけですが、相次いだ最高裁判所の、今違憲状態である、こうした判決の重みを総理はどう受けとめておられたのかということについて伺いたいと思います。
  31. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 法律的に私は専門的知識を委員のように持っておるわけではありませんけれども、最高裁判所の判決というものは私なりにこれは大きく重く受けとめなければならないものだ、そう心得ております。また国会も、最高裁判所のそういう違憲状態に置いてはいけないという判決を受けて、いろいろきょうまで努力もされてこられたと私は理解をしております。そうして、その最高裁判所が示された判決というのは、一票の価値が一対三を超えることは違憲状態だという指摘があったのだと私は理解しております。そういった理解に立って考えますと、今度の審議会の答申は、選挙区ごとの格差は一対三でも広過ぎる、一対二ということになっていますから、最高裁判所の判決よりももっと踏み込んだものである。それは最高裁判所の判決というものはぎりぎりの線を示されたものかもしれませんが、この審議会の答申はさらに前進して、将来に向かってもっと厳しいものを示されたものだ、私はこのように受けとめておるところでございます。
  32. 山花貞夫

    山花委員 最高裁は国会の怠慢を指摘していました。そして国会決議は、六十年国調の確定値発表後速やかに定数是正を抜本的に行うということだったのです。もう五年たって、この暮れには国勢調査が行われまして、年末にはまた速報値が出るでしょう。そうなった場合に備えて隠れみのとして今やっているのではないか、こういう指摘だってしなければならないと思います。そして私は、単なる国会決議を守っていないではないかということと同時に、国会決議に至った経過を踏まえて見るならば、与野党の合意を破棄しているということの責任を問わなければならないと思っています。  国会決議に至る経過は御記憶のとおりでありまして、坂田議長の見解に基づいて与野党の協議が一歩進められました。坂田議長の見解は四項目、現行定数五百十一は変更しない。選挙区間議員一人当たり人口の格差は一対三。三項として、小選挙区制はとらないものとする。四項として、六十年国調の確定値が公表された段階において速報値に基づく定数是正措置の見直しをし、さらに抜本的改正を図ることとする。小選挙区制をとらないこととするということがはっきりと打ち出されました。  そして与野党の協議が始まりました。与野党国対委員長会談、八六年二月十二日、第百四回国会です。今国会で定数是正を行う、そして小選挙区制はとらないということを与野党が合意をいたしました。その上で、六十年国調確定値が公表された段階で、さらに議長見解を踏まえて、抜本改正に取り組むということで国会の決議に至り、かの部分的な定数是正が行われたわけです。すなわち、与野党の合意としては、小選挙区制をとらないということが合意されました。与野党の合意です。  今回の答申の中身は、今総理がおっしゃったとおり、一対二なんですよという抜本的なものを含むかもしれませんけれども、小選挙区制はとらないといった与野党の合意は一体どこに飛んだのですか。与野党の合意の破棄ではありませんか。いわば国会における、総理はよくこれは国会の問題だとおっしゃる。そこでの一番大事な問題は、与野党がお互い約束したことを守る、合意を尊重するということではないですか。単なる国会決議を守れということ以上に、私は、与野党の合意を一体どうしたのか、与野党の合意を破棄したことについての総理責任感を問いたいと思います。見解を伺いたいと思います。
  33. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私が、与野党の皆さんで御議論をいただき、適切な結論を得ていただきたいと申し上げましたのは、三権分立の立場、行政府立場というものを十分に自覚をいたしまして、立法府のいろいろな審議権やお話し合いを拘束してはいけないという立場に立っての物の言い方でございました。そして、その立場から申しますと、そういった過去のいろいろな経緯の積み重ねがあって、憲法違反の疑いを指摘されたりいろいろなことがあり、また、その後起こったリクルート事件等の反省に立って改革をしなければならぬという視点に立って選挙制度審議会に、まさにこれは各界の代表の有識者の方にお集まりをいただいて、そこで御議論をいただいて、その審議会から答申をいただいたわけでありますから、その審議会の答申の中に盛られておる問題について私はこれを最大限に尊重して、政府としてはこれの実現に向けて最善の努力をしていく、不退転の決意で取り組んでいくことがこういった審議会の示された現在の政治の改革に対する方向である、それに前進していくことが政治改革のために大切なことだ、こう考えておりまして、国会の御決議の趣旨なんかを読んでみても、この中にある、みずからが定数是正する、一票の重さを変えていくこと、さらに突っ込んで言えば、今の選挙、そして政治行動にお金がかかり過ぎる、あるいはかけ過ぎているという御批判もあったかもしれません。そういったものを含めて、これをどう改革していったらいいかというところに議論を含めていただくと、抜本的に基本的な改革を一体としてやるべきだという審議会の答申をよく私もそしゃくをしてみて、それが政策本位の、政党本位の選挙になっていく、それなれば、それは日本の政治改革にとって現段階において考えられる非常にすぐれた答申ではないか、このように受けとめておるわけでございます。
  34. 山花貞夫

    山花委員 審議会の議論はまた改めてしたいと思っています。そして、審議会に出席された委員の皆さんの非常に真摯な取り組みについては敬意を表しますし、部分的には我々は前進と評価する部分もございます。しかし、全体的な問題で見た場合にはまた別であるということで以下質問したいのです。  私は今お話がありましたとおり、大変立派なものであるというふうに総理はおっしゃいましたけれども、その前段階において与野党の合意を破棄したことになっているではないか。そのことを忘れて、これがよろしい、これがよろしいと言うのは、大変長い努力の積み重ねがあった与野党の合意、小選挙区制はとらないということを文章で確認をした、それを捨ててしまっているという、この破棄の責任については一言もお触れになりませんでした。お触れにならないということをも含めて、私はこの問題についての総理責任が問われなければならないと思っています。  次に進みますけれども、今総理は、非常にいい制度ではないかとおっしゃいましたけれども、こういう小選挙区比例並立というような今回の答申のような選挙制度、立派ないい制度だと言うのだったら、どこか世界の国で採用しているところがありますか。世界じゅうの国で、こういう国の制度が同じですというような、どこか採用しているところがあるのでしょうか。寡聞にして聞きませんけれども、この点いかがでしょうか。
  35. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 詳細は、世界じゅうのことは私は正確に全部知っておるわけではありませんから、専門家からお答えさせますが、逆に、私は先生とちょっと視点が変わって恐縮ですが、今のような中選挙区の制度、仕組みで選挙をやっている国が世界じゅうにどこにあったかなと思っていろいろ調べてみたのですけれども、こういう選挙制度をやっている国はないわけでございまして、やはりそれは、この制度でいくと政権を担当する政党というのは、言い過ぎかもしれませんが、一選挙区で複数の候補者を絶えず立てて争い、絶えず当選させなければならぬというところに一つの、審議会が指摘されたような、選挙というものが政策本位から離れていくのではないか。それなれば、もう少し政策中心のことを考えたらどうか。あるいは選挙のときに全く個人で、組織とか資金とかいろいろなものを一人で集めて、選挙のときの政策宣伝も一人でやって、全部一人でやる者が同じ政党同士で複数おるときにどうなるかという審議会の指摘なんかも踏まえて考えてみますと、そういう指摘も謙虚に受けとめて、政党本位の、政策本位のものに変えていくことが政治政治資金にまつわるいろいろな不透明さを断ち切っていくためのスタートになるのではないかと私は受けとめて、そういう評価をしたわけでございます。  前半のことについては専門家から答弁してください。
  36. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 諸外国の選挙制度の問題でございますが、よく引き合いにされるようないわゆる欧米諸国の国について申し上げますと、タイプとしては小選挙区制をとるかあるいは比例代表制をとるかということでございます。もちろん小選挙区制、比例代表制それぞれいろいろな態様はありますが、いずれにしてもそのいずれかを大体とっておるということでございます。同時に、日本のようないわゆる中選挙区制をとっている国もないというのが実情でございます。
  37. 山花貞夫

    山花委員 結局、世界じゅう同じような制度ありますかと言ったら、ないというのがお答えであります。  確かに、日本のような選挙制度、中選挙区制、同じものがありますかと言ったら、ないのかもしれません。日本の国情に合った、長い歴史を踏まえている。しかし、新しい選挙制度、これも世界じゅう同じような制度がないわけでありまして、ない制度を、土俵が全く違うものを議論して、これは政権交代ができる、政権安定ができる、金がかからない、民意で直接ということを断定することにいささか問題がある、こういうように思うわけです。  そして、私は問題点を前段、後段一つずつ指摘したいと思うのですけれども、選挙制度の関係につきましては、そうした世界じゅうにいわばテストされていない新しい制度を持ち出して、これで劇的な政権交代がある、あるいは政権の安定がある等々のことが議論されるわけですが、これは今どこでもやっていないわけでありますから、そんなことを言う資格がないんじゃなかろうか。仕組みだけなんです。  私がある学者の先生から伺いましたならば、今、過去数十年間の世界の政権の成立した過程、現状というものについて分析しますと、実は選挙制度の問題として、二大政党的な単独政権というところよりむしろ連合政権の方が多い。約七〇%である。それから、政権の安定、四十カ月以上続いた政権ということで調べてみると、そのうちの約八〇%が連合政権である。世界じゅうです。こういう指摘もございました。  では一体、こういう単独の政権で、世界じゅうの国のあり方の中で、一体どれくらい連合政権以上にふえているのか等々の議論をしながら、実は全体としての問題点、前半、選挙制度につきましては二大政党論であります。連合政権、連立政椎を否定しているというところから小選挙区比例並立の選択が行われています。これは答申だけではちょっとはっきりしないところがありますけれども、委員会の報告等とあわせますと大変はっきりしてくるわけでして、一票の結果、それで政権が生まれるのが議院内閣制のもとにおける求められる形である。国民が一票を投じたんだけれども、その後、各政党間の話し合いによって国民の気持ちと違った連合政権ができるというのはおかしいではないか、だから併用はだめなんだ、比例はだめなんだ、小選挙区なんだと、中心をここに置いたわけでありますけれども、連合政権、連立政権を否定しておるというところに根本的な問題点があります。  私たちは、世界の各国の連合政権の現状、そこでの政権がむしろ安定政権となっているケースの方が多いのだというそうした具体的な実績を考えるならば、我々は単独の政権を追求する場面もあるだろうし、連立、連合する場面もあるだろうと思っています。多元化社会と言われているさまざまな国民の声というものを、民意を反映させるということを選挙制度の中心に置くならば、今日の日本の現状で、一つの政党が五〇%以上、比例区の例で明らかなとおりとるということがないということ、そういうのが国民の意識の現状であるとするならば、連合政権はだめであるということを前提とした小選挙区比例並立ということについては根本的に誤りがあると思いますけれども、この連合政権を否定しているという前提に立った小選挙区比例並立、これが一番よろしいと考える総理根拠を伺いたいと思います。
  38. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ちょっと視点が違うように思うのですが、私はこの答申を読んでみまして、そしてさらに引き続いて夏までに追加の答申をいろいろしましょう。それについては、一体政党とはどういうものなのかという政党に対する法的な問題も議論してあげましょう。同時にまた、ここで指摘された政治資金の問題にしても、今非常に政治資金がかかる。ところが、ヨーロッパ、アメリカの国々を見ますと、公の仕事であるという観点から、公費の支出ということも政党やあるいは議員の活動に行われておる。そういったことも日本において政治資金規正法の問題とあわせて議論するために、審議会ではそれらの角度からも議論をしようということがこの答申に出ておるわけでありますから、その御審議、御議論を願っていきたいと思いますけれども、私は今、ここから先を言うとおしかりを受けるかもしれませんが、連合政権を否定しているからいいと言っておるのでは決してありません。また、連合政権を否定すると正面からここにはどこにも書いてありません。連合政権というものがどういうものだということを置いて議論しておるのでもございません。やはり政策本位、政党本位の選挙をやっていく、政治とお金の関係をきれいにしていくためには、今の日本の制度、仕組みではよくないということが指摘されておるわけでございます。  そして、これは政府・自民党にとってあるいは厳しいことかもしれませんが、この間も本委員会で議論のありましたことを思い出すと、今の制度、仕組みでいけば、同じ得票率だって、おまえの方は議席が多くて全野党は議席が少ないじゃないかという具体的な御指摘もございました。それはなるほど複数区で複数立てるから、争うからそういう結果になるだけのことでありまして、これを将来、政権をとるためにいろいろな党がおやりになるときには、これは議会政治全体の問題として、一自民党、一現在ということではなくて、選挙というものはお金との透明性、そして政策本位でできるようにしたいということがここには書いてあるのです。  連合政権のことについてあえて書いてあるとするなれば、一票によって選んだ政党がそのまま政権を持つのじゃなくて、国民の直接選挙と離れた場で、選挙の結果を受けた後の議会同士で、政党同士で話し合って政権ができるということと、国民の直接投票によって選ぶという大きな理想との間に一つの間隔ができるということは確かに指摘してありますが、だからといって全部それを否定したものだとは私は受けとめておりませんので、視点が違う、受けとめ方の視点が違うと、こういうことでございます。
  39. 山花貞夫

    山花委員 連合政権否定云々の問題につきましては、今総理指摘したその部分の下ですね、この答申、お持ちのものです。四ページの下の方ですけれども、比例代表の場合には「小党分立となり連立政権となる可能性が大きいため、政権が不安定になりやすい」、こういうことで、あるべき選挙制度、政権の安定性というところに、反対であるから、反対であるからという格好で、したがって、こういうことをずっと並べて、だから連合政権だめなんです、比例代表だめなんです、だから小選挙区並立なんですということになっているわけでありますから、若干この点については私は総理と読み方が違います。  もう一つ、視点が違うとおっしゃったのですけれども、これからもう一つだけ伺いたいお金の問題につきましても、総理がお考えになっているのは、やはり基本的な座標軸といいますか、視点といいますか、自民党のための政治改革、選挙制度という視点じゃないのでしょうか。我々はそうじゃなくて、国民の立場で今の日本の政治はどうあるべきかという、ここを視点として考えますから、それは視点が違うのかもしらぬ、こういう気がいたします。問題の根本はそこにあるのじゃなかろうかということを指摘したいと思います。  そういう問題点として今総理がちょっと触れられました政治資金の関係でありますけれども、今度は従来の、第七次といっても一回と二回と第五回の三つの選挙制度審議会でありますけれども、そこでの問題提起といわば百八十度問題点を転換させた企業献金についての問題です。  第一次選挙制度審議会昭和三十六年の第一次答申、「会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附をすることは禁止すべきものである。」といたしました。三十八年十月の第二次答申は「選挙資金および政治資金についての寄附は、個人に限る。会社、労働組合その他の団体からの寄附は禁止するという第一次審議会の答申を再確認する」といたしました。四十二年第五次の答申、「政党の政治資金は、個人献金と党費により賄なわれることが本来の姿である」、しかしまあ、今すぐやめということは無理なんだから、五年間ということにいたしました。  要するに、従来の選挙制度審議会の流れとしては企業献金よりも個人献金中心にいくべきである、企業献金について網をかぶせるべきである。きょうすぐやるというわけにはいかないからということで政治資金規正法の改正、かつて参議院同数になって議長裁決まで含んだそうした経過を経まして、原則は個人献金中心、企業献金についてはチェックをする、こういう流れだったはずであります。この点、企業献金の善悪につきまして議論するならば、これは自民党の皆様のお考え方もあるでしょう。しかし、そうした自民党の議論を踏まえて、全体の選挙制度審議会の流れとしては企業献金については上を抑える。そしてそのことによってさまざまな弊害を断ち切っていくという姿勢があったはずであります。  今度これがなくなりました。今度の答申の中身というものは総枠を広げるということじゃないですか。オープンとまではいかなくても、従来の一億円を何億円にふやそうということじゃありませんか。ある自民党の担当の方が言っておる。かつては一社で二十億のお金が集まった、今は頭切られているから一億しか集まらぬ、こんなことではとてもお金が集まらないと言っています。相変わらずお金の問題、そこのところを考える中で、今度の答申は、個人に出すのじゃなくて政党に出すのだから、上を取っ払ってどんどんどんどん企業献金もらってもいいじゃないかという仕組みになって、いわば企業献金についての原則禁止の方向というものを百八十度転換させました。  今日の政治に対する国民の信頼を失っている最大の問題はお金の問題です。リクルート等問題があった。かつてはロッキードの問題があった。そのことにこたえるどころか、企業献金をもっと集めるような仕組みになっている、これが後段の最大の問題だと思います。なぜこうした問題について、企業献金の問題についてオープンにする方向になっているのか、総枠規制になっているのか。自民党の昨年度の議論でも、何回か部内の会議で総枠ふやす、ふやすという議論が出てきたことについては漏れ伝わっているところでありますけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。
  40. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 政治資金のあり方と選挙制度の密着な関連というものについては、今度の答申でも明確に示されております。そして今委員が御指摘なさったように、企業献金原則禁止という形を、後段の最終でははっきりそれをうたっておるわけです、最終目標としては。そして第一段階としてはともかく企業献金は政党中心という段階に持っていこう、そして並行して公的扶助の制度をどういう形で持っていくか、それが成熟した段階において企業献金もこれは禁止さるべきであるという形を明確に答申は打ち出しておると思います。  ですから、答申内容に関して委員との相違があるといけませんから、また政府委員から説明させますけれども、今度の答申内容は、そういった意味においては画期的な内容を含んでおると私は見ております。
  41. 山花貞夫

    山花委員 答申内容の細かいことについてはまた細かい議論として公選特その他でやらなければいけないと思いますけれども、要するに私は、後段の政治資金の関係につきましては、企業献金の原則が変わったということについての問題点だけを指摘しておきたいと思います。  そういうことをも含めて、もう一つのまとめとしての問題としては、細かい議論は先に送るといたしまして、要するにそういうことを含めて全部これができ上がらなければ、歩調を合わせてでき上がらなければ、小選挙区比例並立の制度ができなければこっちにも手をつけないという今度の答申の仕組み。そうではなくて、私はまずやるべきことからやるべきではないか。企業の献金というものが政治を左右するというようなそういう問題を断ち切らなければならないと思う。こういうやるべきことをやる、政治資金規正法の改正、政治倫理法の制定等々、政治改革のまずやるべきことをやろうというのが我々の主張である、定数是正についてももうやるべきことはやるべきであるというのが我々の主張であるということだけをつけ加えて指摘しておきたいと思っています。  第四番目のテーマに問題を移りたいと思いますけれども、第三次の対中円借款の問題について伺いたいと思います。  たまたま明日から我が党山口書記長の訪中団、中国に伺って首脳と会談するという機会がございます。この四月以降、愛知国際局長加藤防衛庁長官、そして渡辺元政調会長、宇野前総理等々、相次いで自民党要人が中国を訪問されました。中国首脳との会談での中心的なテーマは、昨年のかの六・四事件以来凍結状態の第三次円借款につきましての凍結解除についてのテーマであった、こういうように聞いております。  この間、インドのニューデリーで開かれましたアジア開発銀行の年次総会に出席した大蔵大臣も、我が国と中国との間の経済協力関係の基本について公式に発言されたということについても報道されているところでございます。この点について最後に伺っておきたいと思うわけですが、外務大臣に、外務省は現在予備調査等を含めて実施中ということでありますけれども、この第三次円借款問題についての基本姿勢と現状についてお伺いしたいと思います。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 隣国の中国の安定と発展がアジアの地域の安定、繁栄に大きく寄与することは私どもの基礎的な認識でございまして、同国の改革・開放路線が一層進められることを日本としては期待をいたしているものでございます。  第三次円借款につきましては、本年一月の鄒家華国務委員が来日されましたときに、私どもの政府との間で意見の一致を見ましたとおり、現在九〇年度新規案件に関しまして、予備的準備行為として事前調査等を進めております最中でございます。最終的なコミットメントにつきましては、今後の諸状況を勘案しつつ総合的な立場から主体的にこの問題の決定をいたしてまいりたい、このように考えております。
  43. 山花貞夫

    山花委員 大蔵大臣にも一言、この問題について御見解を伺いたいと思います。
  44. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 事実の発言をそのままに申し上げた方がいいと思いますが、私は、第二十三回のアジア開発銀行総会における総務演説の中におきまして、中国との関係についてこのように表現をいたしました。「なお、我々の友人である中国と先進諸国との経済協力関係が、現在、かつての関係と若干様相を異にしているのは残念なことであります。我が国としては、アジアに位置し、中国と長い交流の歴史を持つという立場を踏まえ、中国と各国及び国際機関との関係が、双方の努力により速やかに旧に復することを強く希望しております。」私はこのような触れ方をいたしました。  この会議の一つの特色でありましたのは、アジアの国の幾つかの総務は中国との関係についてそれぞれ発言をいたしましたが、英国を初めアメリカも、中国関係については総務演説その他におきまして一切発言をしなかったということであります。その状況を受けた中で、中国人民銀行総裁の李貴鮮さんという方、総務として御出席でありまして、個別の会談を持ちました。  その席上で、ADBの総務としての李総裁から、私の演説の中で対中融資問題について日本の立場のアピールがなされたことに感謝の意を表されました後に、世銀及びADBの対中融資再開及び第三次円借款の開始について改めて日本の理解を求めたいという要請がありました。  これに対し私の方から述べましたことは、我が国の基本的な考え方は、我が国は中国を孤立化させることは望ましくないとの考え方に立って、中国の近代化、開放化の努力に対しできるだけの協力を行っていくという基本方針で臨んでいる、世銀、ADBの融資については、我が国は中国を孤立化させることは望ましくないとの基本的考え方に基づいて対応しているが、G7の協調を考えざるを得ないこと、第三次円借款については、自分は国会で繰り返し、私個人としては民生安定かつアンタイドのものについては準備行為にとどまらず融資そのものをそろそろ動かしてもよいのではないかという気持ちを持っているが、これは政府の公式見解となっているものではないという旨を説明をいたしました。その上で、自分としてもいろいろな機会に欧米諸国の理解を求める努力を行っているが、中国としても他の諸国に対し、中国の情勢についての理解が深まるよう一層の努力を行うことが望ましい旨を伝えた、記者会見でも実は私はこのように申しました。  そして、この発言をいたしますもとになりましたのは、四月七日でありましたか、ちょっと日にちを正確に覚えておりません、済みません、四月に行われましたパリのG7の会合におけるある国の、サミットで決定された対中融資凍結の方針、これは次のサミットまでその方針を貫くべきであるという発言がありましたものを受け、その方針について、つまり具体的に世銀の融資についてひとり異を唱えるつもりはない、しかし第三次円借款という日本と中国との関係におけるこの融資問題については、日本としての判断は留保するという発言をし、それに対しての各国の反応を踏まえたものであります。
  45. 山花貞夫

    山花委員 今の大蔵大臣の極めて正確なお話を伺えたところですけれども、最後に、第三次円借款問題は八八年八月の竹下総理訪中の際の公約でございます。最終的には総理の御判断ということが非常に重要になってくる。この公約ということを中心に、最後に総理の方からこの問題についての御所見を伺いたいと思います。
  46. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 第三次円借款の問題につきましては、これを実行をするつもりでございます。公約ということにお受けとめになっておりますが、私も国家と国家の約束だと受けとめております。  そして、それについては、中国を孤立させてはいけないという基本的な認識に立って、両国の努力によって一日も早くそれらのことが実現できるような環境が整うことを私たちは強く期待しておりますし、また同時に、予備的、準備的な接触調査は日本としては始めておるわけでありますから、西側のすべての国々と中国との間に何がわだかまりになっておって何が停滞を生んでおるかということも中国の当事者にもよくわかっておるわけでありますから、何らかのシグナルを出してお互いに歩み寄る努力をしてもらいたい、このことを強く希望しておきます。
  47. 山花貞夫

    山花委員 以上で私の質問を終わります。
  48. 越智伊平

    越智委員長 この際、関晴正君から関連質疑の申し出があります。山花君の持ち時間の範囲内でこれを許します。関晴正君。
  49. 関晴正

    ○関委員 私は、第一に、海部総理に御質問したいと思います。  と申しますのは、今度の予算委員会に当たっていろいろ審議された中にプルトニウムの輸送問題がございました。プルトニウムの輸送を海上輸送にするかあるいは空輸にするか、それぞれいろいろ御論議もまたあったわけであります。しかし、いずれにしても、このプルトニウムという代物は、この世の中に存在させていいものなのかどうかということをひとつ考えなきゃならない時点に今来ていると思うわけであります。  私どもは、プルトニウムをつくって、そうして未来の新しい電気をつくるのに欠くべからざるものなりとして国は進めておるわけでありますけれども、この進め方というものが果たして妥当であるだろうか。プルトニウムというものの持つ性格というものは、どんなに恐ろしいというても、これほど恐ろしい物質はこの地上にはないであろう、またこう言われておるものでもございます。しかも、このプルトニウムをつくると相なりますというと、いずれも使用済みの核燃料の再処理にかかわるわけであります。使用済み燃料の再処理によって生まれるのがプルトニウムであるわけであります。そうしてまた、このプルトニウムをたく炉というのが高速増殖炉ということになります。名前のとおり高速で、そうして増殖になるんだから、言うなればウランをたいて、そうしてプルトニウムをたいて、余計にプルトニウムをつくるんだ、ですから燃えた以上の燃料がまた生ずるんだという大宣伝があるわけであります。しかし、そういうようなことで果たして経済性が成り立つのか、こうなりますというと、安全上大変な危険負担が伴う、経済的にもこれを保持することは難しい、国家の経済において、国民経済において、これはまたどれほど影響して、使い物にならない代物になるのかということがまた言われてもいるわけであります。  そういう意味からいきまして、諸外国においても、もう再処理工場はやめた、高速増殖炉の活動もやめよう、やめる、こういうところにありまして、ひとりフランスがまだ頑張っておる状況であります。そのフランスにおいても、スーパーフェニックスの機能はもうやめなきゃならない、こういうところにも来ております。  今、日本は、とにかく原子力発電所である、そうしてまたやがてはプルトニウムを原料とするエネルギーの生産であるということに夢中になっているわけであります。だれもここでエンジンストップをかけるというものが今ありません。科技庁に申し上げますというと、もう全然聞く耳もないのが現状であります。一体だれにこの話をよく聞いてもらって、そうかというふうにしてもらえるのかとなりますというと、やはり新しい総理であるあなた以外にはないなと実は私は思っているわけであります。そういう点から、果たして海部総理はこのプルトニウムというものについてどうお考えになるのだろうか、これは幸せの道へ行くものなのか、地獄の道へ行くものなのかということについても一つの御認識がおありかとも思うのですが、それらも含めまして、総理から、プルトニウム社会というものが果たして招いていいものなのか、こういう社会をつくっていいのかどうかということに焦点を合わせて、お考えになっていることがありましたならば、まず伺いたいと思います。
  50. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 先生の高い次元に立っての御心配を含めての御質問でございますが、私は、日本が資源のない国であって、しかも現在、これは日本だけではない、既に世界のいろいろな国においてエネルギー政策の中に組み込まれている。日本でも既に発電量といいますか、電力量の三〇%、そういうところまで現実に入ってきておる。ですから、安全性確保のために十二分にも十三分にも対応していかなきゃならぬということは、これはどれだけ心配しても心配のし過ぎということはなかろうと思います。  私も原子力発電所を見学に行ったこともございますし、その安全のためのチェック機関が何重にも何重にもなされておるという話も聞いてきましたが、どれだけやってもいいと思う、安全確保は。けれども、じゃ逆に、このプルトニウムを悪だと決めつけて全部なくしてしまって、社会からこれを全部否定してしまうということになりますと、じゃ火力発電は、水力発電は、いろいろな問題を追求していきますとなかなかそれに取ってかわるようなものが見当たりません。したがいまして、安全確保ということには十二分にも十三分にも配慮しながら、気を配りながら、やはりこれは組み込んで、そして人間の生活のために使っていかなきゃならぬものではないだろうか。諸外国においてもそういったような動きになってきておる。日本では大災害が幸いにしてまだ起こっておりませんけれども、災害が起こらないように対策は十二分にあわせてやっていかなければならぬ、こういうように受けとめております。
  51. 関晴正

    ○関委員 総理のただいまのお答えでございますけれども、プルトニウムを悪と決めた場合に、かわって何があるのかという御心配がおありのようでございます。プルトニウムをたく時代というのはいつのことかといいますというと、我が国の予想している年代は二〇三〇年でございます。ですから、今から四十年後のこと。四十年後に一応高速増殖炉でたいて国民に提供しようかな、こうなっておるのですが、我が国の科学の力というものは、この四十年の間に新しいエネルギーの生産のために必要な技術の開発は私は十分成り立つ、こう思っております。何によって成り立つのか。一番期待できるものは、これは光発電でしょう。太陽光発電。恐らくこれによる時代が日本の技術によって、私は、開発しなきゃならない、それがまた日本の世界の人々に貢献する最高の道ではないだろうか、こうも思っているわけであります。  そういう点において、いろいろな御心配があるようだけれども、そういう新しいエネルギー、ニューエネルギー、クリーンエネルギーの創造に予算というものがぞっこん使われるようにしなきゃならない。前の中曽根総理は、がん退治のためにかかるか、こう言うてかかった模様であります。あなたはひとつニューエネルギーを、そうしてクリーンエネルギーを海部総理の手でつくろう、こういう方向に踏み出していただけないだろうか。今度の予算を見ましても、科学技術における予算は五千億。そのうち、驚くなかれ三千億というのは原子力の予算なんです。しかも、今お話しした安全対策、安全対策、いかに危険であるかということを物語って余りある姿であろうかと思うのであります。ですから私は、我が国の政策の第一の柱に、総理も心配しておるわけですから、安全なそうしてニューエネルギー、その創造に思い切って踏み込む、こういう御決意がないのでございましょうか。ひとつお答えいただければと思います。
  52. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 先生のお示しになりました問題点は、私もかつて科技特の委員をしておりましたときに御一緒になって砂漠へ太陽発電を、実験を見に行ったこともありましたが、あれもまだまだいろいろと、鏡を何枚か並べていろいろやったり、アモルファスシリコンの受け皿をつくって動かす実験も見てきました。またツーロンあたりで潮流発電、海の潮の発電とかあるいは川の落差の発電とか、フランスのランスの潮位差発電所とか、全部御一緒にずっと世界の新しいエネルギー源、何かないだろうかというので見て回ったこともございましたが、確かにそれぞれのところにおいてそれぞれの新しい発想の発電は行われておりましたけれども、人類の需要を賄う域にまではどれもまだ到達をいたしておりませんでした。  そういったことをいろいろと考えてみますと、これから十分に研究を続けながら、何か新しいエネルギーの出現はないものだろうか、クリーンなものは出てこないだろうか、そういった調査研究は心して続けていかなければならない、こう考えております。
  53. 関晴正

    ○関委員 私が太陽光発電を言ったからそれだけでお答えがあっているのですが、もっと申し上げれば、ソフトエネルギーの開発ということになるでしょう。火力もあるし、風力もあるし、あるいはまた燃料電池もございますし、潮力もありますし、いろいろあるのです。しかし、そこへ踏み込もうとする姿勢が日本にないものですから——やらないとは言っていません。やっていますよ。本気にやっていない。ですから私はこれに本気に取り組む、そういう姿勢が大事だと思うので、ぜひひとつこれは本気で取り組んでいただきたいということを御要望申し上げておきます。  次の質問に入りたいと思います。政府は、青森県の六ケ所の村に核燃料サイクル基地の建設ということで今大々的に進めております。この核燃のサイクル基地というのは何かということなんですが、これは閣議了解事項のときには、むつ小川原開発ということであったわけであります。むつ小川原開発というのは、これは当時、石油コンビナートをあの地域につくるんだ。火力発電であり、石油精製であり、石油化学であり、三本の柱でございました。この三本の柱が全くなくなってしまいまして、出てきたのが今のウランの濃縮、低レベルの廃棄物の処理場、そうして再処理工場の三点であります。それに高レベルでございます。  ここで、これは国土庁長官に、また政府、全閣僚にみんなこれは責任がございます。このおかげでどんなに青森県民が今被害を受けているかわかりません。青森県の政治はこれによってすっかり変わりました。かつて科学技術庁の長官をされた方が選挙では落選しました。また防衛庁長官、やっと当選しました。いずれもこの問題ではやっぱり県民の意思というものがどこにあったかといいますと、核燃サイクルは御免でございますと。そのために参議院の選挙においては、私どもの推薦する三上隆雄さんという人が五二%もちょうだいしたのです。これが県民の意思でございます。  今世界は、国民の意思を聞かないときには政権がかわる、民主主義のないところには、もう独裁政権は倒れる、至るところに、枚挙に事欠かないくらい今ございます。そういう点からいきますと、あの六ケ所における核燃サイクル基地の建設というものは私は断念すべきだろう、こう思うのでありますけれども、この点は国土庁長官は、石油コンビナートをつくると言ってまだ進めているんだろうけれども、あわせて、どんなお考えでおられるのか、お答えいただきたいと思います。
  54. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 関先生にお答えいたします。  先生御指摘のような、当初想定されたような立地を期待することが難しい状況にあると認識しております。この理由については二つございまして、一つは、二次にわたる石油危機と近年の我が国の経済構造の急激な変化によるものであると考えているわけでございます。  実は、今まで国土庁としては、むつ小川原開発は工業開発を契機としまして二つの目的を考えて計画したわけでございます。その一つは、産業の振興と、もう一つは、住民の生活及び福祉の向上に寄与することを中心として、青森県が策定した第二次基本計画を参酌しつつ、国土庁を事務局とするむつ小川原総合開発会議において関係省庁等と調整を図ってまいったわけでございます。  今後実はどうするかという問題でございますが、むつ小川原地区は、我が国の数少ない貴重な大工業適地でございまして、また地域振興の上からも極めて重要であると認識しております。こんなことでございまして、今後とも基幹資源型工業の立地にとどまらず、長期的観点から新技術を活用しました産業等、多角的な企業立地の促進に努めてまいりたい、このように考えております。
  55. 関晴正

    ○関委員 もっとはっきり言ってくれませんか。むつ小川原開発ということはもうすっかり変わっちゃったんだ、そして核燃サイクル基地の建設に方向転換したんだ、それに附属するところの関連する産業を持っていくのだ、こういうふうにはっきりお考えになっておられるんでしょう。お答えいただきます。
  56. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 現在のむつ小川原総合開発でございますが、先生御承知のとおり、青森県がつくりました第二次基本計画、これをもとにしまして、国においてこれを参酌しながら閣議口頭了解でこれを進めていこう、こういうことでやっております。  その中身は、石油等を中心にしてやっておりますが、その後、原子燃料サイクル施設、これが、事業者の方からぜひ立地したい、県の方にそういう申し出がございまして、県で十分御検討された結果、これを受け入れていこうということで現在進んでいることでございます。  この原子燃料サイクル施設でございますが、むつ小川原開発につきましては、もともと工業開発を通じて地域開発を進めていく、こういう基本理念を持っておりますので、こういう基本理念にも沿うものであるということで青森県は受けまして、計画の修正をして今進めているわけでございます。したがいまして、原子燃料サイクル施設が当初の構想に加わった形になっておりますけれども、基本的な理念は引き続き堅持しながら現在総合開発を進めている、こういう考えで現在行っているところでございます。
  57. 関晴正

    ○関委員 これはあなた方の言葉のごまかしが多過ぎます。まだ石油コンビナートの構想、考え方というものを堅持しながら、こう言っておりますけれども、一つのおりにライオンとトラは入りませんよ。初めライオンだと言って後でトラだと言った。初めはトラだと言ったが後はライオンだと言った。タイガーなのかライガーなのかわからないような格好に今置かれているでしょう、皆さん。もっとはっきり石油コンビナートはありません、こう言ったらどうです。これはどちらの大臣でも結構ですよ。石油コンビナートはありません、こうお答えになったらどうです。総理、どうですか。あいまいにしないで言ってくださいよ。ここだけ答えてくれればいいですよ。
  58. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 石油コンビナート、石油シリーズを中心にしまして構想ができております。この石油シリーズにつきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、その後の二度の石油危機あるいは急激な経済変化、こういったことで現在、率直に申し上げまして厳しい状況にあると思います。そういった状況の中で、大規模工業開発基地でございますので、基本理念を堅持しながら、現在、原子燃料サイクル施設等もございますが、今後この工業基地の開発、誘致を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  59. 関晴正

    ○関委員 これはそう言わざるを得ないんでしょう、やめたと言えば、一切これに基づく事業ができなくなっちゃいますからね。事業を、道路にしても港湾にしてもやっていく以上は、これをまくらにして進めるしかないから、そう言っているのだろう、こう思います。いずれにしても、石油コンビナートの構想というのは見事に消えてしまった、そうして核燃のサイクルがここに発生してきた、こう見ていいと思うのです。  そこで、この核燃のサイクルです。この核燃のサイクルの場所というのがどんなに不適な場所であるかということですよ。そうして、どんなにここにむだな金を投じているかということなんです。これはいろいろ申し上げたいと思います。  まず第一に、何が一番の不適かといいますというと、あそこは飛行機の、驚くなかれ、一年に四万三千回も飛んでいる空の下です。特別管制区、これは運輸大臣も御承知のとおりです。そういう飛んでいる飛行機の下にこういうものをつくるというのは、これはとんでもないというのはこういうことを言うのじゃないの、これ。とんでもない。しかも、運輸省の通達によりますというと、核燃の施設の上は飛行機は飛んではならないと言っているでしょう。そう言いながら、飛んでいる飛行機の下に平気で三点セット。応接室の三点セットと違いますよ。大変な代物ばかりです。飛行機が再処理工場に落ちたらどうなります。どれほどのプルトニウムが飛びますか、これ。チェルノブイリの悲劇の比較じゃありませんよ。  そういうことを考えれば、どこの国でもそういう飛行機のそばには持ってこない。東海村のあの水戸の射爆場がなぜ移転したんでしょうか。東海村に原子力発電所を持ってくる、再処理工場をつくる、そのとき一番問題になったのは、あの水戸の射爆場でしょう。そういうことで水戸の射爆場をなくしたじやありませんか。おかげさまでその結果——さまは要らない話だが、その結果、天ケ森射爆場、三沢の北にあるところのこの射爆場が余計に忙しくなった。ですから、こういう危険な空の下にこういうものをつくるのはもってのほかなんです。そういうことを閣議が決めているのですから、行政の継続性からいけば全部皆さん戦犯みたいなもんですよ、これ。言葉が悪いけれども。  それから、あの場所は名立たる地下水の高いところなんです。地下水の高いところ。帯水層にそういう低レベルといえどもドラム缶を三百万個も投げ捨てるなんて無謀なことです。これも皆さんが承知したことですよ。前の大臣だろうなんて逃げるわけにはいきませんね。政府責任です。そうして今度は再処理工場です。驚くなかれ、この再処理、八百トンですよ。八百トン。東海村が二百十トン。ところが、二百十トンの再処理なんかできない、東海村は。のこのこのこのこ、何だろう、あの走り方、動き方、とてもとても動いているというようなものではありません。それで、その四倍の八百トンをあそこに持ってくる、青森に持ってくる。ここに飛行機が落ちたらどうなるんです。飛行機が落ちたって大したことないと県民には言っていますよ。どこへ落ちたら大したことないでしょう。ここへ落ちても大したことないというのは、大変な間違いではありませんか。  そういうことで、私はこうしたことで事を進める、これだけはやめてもらいたいと思うのです。核燃サイクル基地の建設計画というものは、やはりそういう点からいってもこれは無理だ。無理に無理を重ねて青森を征服しようったって、それは無理だ。私どもはもう征服という言葉を使っていますよ。権力の征服、電事連の征服、これに抗した国民の反撃が先般の選挙の結果なんです。これを尊重すべきだと思うんです。そういう点では、これは総理からこの問題についてもひとつ白紙撤回、その方向について考えなきゃならない、こう思ってしかるべきだと思うんですけれども、いかがです。これは総理が答えなければ。科技庁長官なら答えはわかっているから後でもいいですよ。総理にその辺考えていただけませんか。時間がない、時間が。短く頼むよ、長々とやらないで。
  60. 大島友治

    大島国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  現在、青森県の六ケ所村で進められている核燃料サイクル施設の計画をめぐり、地元においていろいろの議論がありますし、厳しい状況にあることは私も十分認識しているところでございます。しかし、この計画は我が国が自主的な核燃料サイクルを確立するために必要な、不可欠なものであるということも私また認識しているわけでございます。したがって、エネルギー政策及び原子力政策上の極めて重要な課題だ、こういうふうに私は認識しておるものでございます。  また次に、このために政府としては、安全の確保を大前提にいたしまして、この計画について地元の一層の理解と協力が得られるように、引き続き最大限の努力をしてまいるというのが私の考えでございます。  以上でございます。
  61. 関晴正

    ○関委員 今度許可申請の提出をして、ウランの濃縮工場はこれは一応許可になっております。だがしかし、再処理工場においては目下審議中、低レベルにおいてもこれまた目下審議中、こういうことであります。私は、再処理工場の問題について、飛行機が落ちたらどうなるんだろうかということについて実はお答えいただきたいんです。どんなにコンクリートを厚くしてみたところで、再処理工場のあの敷地の中に落ちたらとてもとてもたまるものじゃない。  そこで、チェルノブイリの原発のあの事故、あの事故において飛び散ったところの放射能の量、この放射能の量と、その当時あのチェルノブイリの原発に存在しておったところの放射能の量、この量と量との状態と比率というものをひとつ示していただきたい。あわせまして、八百トンの再処理工場における、あの再処理工場の放射能というものは計算上どのくらいのキュリーになっているものか示していただきたいと思います。核種別までは要りません。
  62. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 技術的な問題でございますので、本来規制当局からお答えすべきかと存じますが、目下六ケ所村につきましては審査中でございますので、私の方から便宜かわって御説明をさせていただきます。  まず最初に、チェルノブイルの事故の際の放射能量でございますが、原子力安全委員会が発表いたしました外部に放出された放射線、放射能量は、希ガスで五千万キュリー、希ガス以外の核種で三千万ないし五千万キュリーと推定をしてございます。それでは炉の中にどれだけあったか、全体はどれだけあったかということでございますが、レポートでは、炉内存在量は十の九乗、すなわち十億キュリー程度、希ガスを除いて十億キュリー程度であって、したがって、希ガスを除いて三ないし四%程度が外部に放出をされた、こういう説明をしてございます。ただし、十億キュリーという数字は、環境に放出をされました時点で計測をしたものでございますので、放出をされた時点からその時点までの間に十日程度たっておりますので、減衰をしております。通常、十日程度たちますと、放射能量というのは十分の一程度に減衰するものなんだそうでございますので、正確な推計はできませんけれども、恐らく一けた高いレベルのものが当時あったのではないかというふうに推測をされます。  さて、六ケ所村の方でございますが、こちらはまだ申請中でございますし、正確に試算をしてございませんので申し上げられないわけでありますけれども、また稼働中の原子炉と再処理施設とでは性格が全く違いますので、放射能量を比較するということの意味につきましてもいろいろ議論のあろうところかと存じますが、御質問でございますので、やや大胆に仮定を置いて御説明をしてみたいと存じます。  先ほどチェルノブイルで十億キュリー、それが一けた高かったかもしれないと申し上げましたのが、チェルノブイル発電所の中の事故を起こした原子炉一基分の、しかも炉心の中にあった放射能量でございます。発電所全体ではございません。再処理工場ではかなりの放射能量を扱いますけれども、再処理工場のプロセスの中で扱っているものはどれぐらいかといいますと、これはいろいろな前提の置き方がございますが、便宜前提を置いてやや大胆に申し上げさせていただきますと、オーダーとしては十億キュリーのオーダー程度かと思われます。したがいまして、炉心の中対再処理工場の工程の中、プロセスの中ということで比較をいたしますと、恐らく、比較すること自体余り意味があるとは思えませんけれども、再処理工場の方が低いことはあっても多いということはあり得ないのではないかというふうに考えております。
  63. 関晴正

    ○関委員 今のお答えはちょっといただけません。なぜかといいますというと、百万キロワットの原子力発電所の使用済み燃料のすべてをあそこへ持ってくるわけですよね。そうしますと、八百トンの処理をするというのですから使用済み燃料を八百トン持ってくる。百万キロワットにおける使用済みの燃料は幾らになるかというと、これは三十トンです。ですから、八百トンといいますと百万キロワットの約二十七倍、現在からいきますというと、そのくらいになるだろうと思う。そういう点からいきますと、今の低いだろうというお答えはいただけないと思います、これは。幾ら大ざっぱでも、低いということだけはいただけません。これは十二分に御検討して、またお答えをいただきたいと思います。  そこで、そういう大変なキュリーの多大の状態のところに飛行機が突っ込んだらどうなるのか。今、億キュリーでおっしゃったのですけれども、チェルノブイリの事故における大体の姿というのは、炉の中に存在している量の一割が飛び出しています、一割が。そういう観点であのような事故になっておる。ですから、それより多いところの放射能が存在している、そこに突っ込んだ場合、一割といったら大変です。一%でも大変です。そういうことを考えますというと、とてもここに、そういう飛行機の飛び交う下には置くわけにはいかぬ。こういうことで、ぜひこの点については余計にお考えをしていただければ、こう思います。  そこで、あそこにウランの濃縮工場もできる。また、今でも我々はあくまでもつくってもらいたくはないのですけれども、計画においてつくるとなっている場合に、その計画において生産されるところの濃縮ウランにしてもあるいはまたそこから生産されるプルトニウムにしても、この値段は国際価格と比べてどういう状況にあると見ておられますか、お答えいただきたいと思います。
  64. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 現在事業者が計画しておりますプルトニウムの値段でございますけれども、これは実は再処理いたしまして、役務費という形になるかと思われます。役務費の場合には、現在フランスなどに委託しておりますが、基本的には、日本でやる場合にも国際的に十分競争できる価格の役務費にするということで何とか努力したいということが現在の計画になっております。
  65. 関晴正

    ○関委員 今のお答えは、これまた全くなっていません。なぜなっていないかというと、今、世界的にウランの価格は下がっています。みんな、買ってくれ、買ってくれです。買うなら今です。買って、プルトニウムをたくよりはそちらの方で間に合わせた方がはるかにいいという論も成り立つかと思います。  私は、こういう価格問題において、今お答えの中に、再処理の方のウランの価格も、それから再処理工場から出てくるプルトニウムの価格も、価格が提示されないということはないと思うのです。国民経済に重大な影響を及ぼすこの独占企業、この独占企業の行う行為によって生ずる発生物がどのくらいでということがないというわけはないと思うのです。これは明示してほしいと思うのですよ。申請書の中にも出ているでしょう、生産コスト、生産価格。なぜ明確にお出しにならないのです。出してください。これは、大臣の方にお願いしますよ、大臣に。あなた、出しますか。
  66. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 具体的な役務費の内容につきましては、実はまだ、これから各企業間の契約になるわけでございまして、これは今お出しするという立場にはないわけでございますが、実は、私どもといたしまして、全体の発電コストの問題が一番問題になるわけでございます。  そこで、仮に濃縮費用、再処理費用について計算いたしますと、キロワットアワーの発電当たりにいたしまして、濃縮費用にいたしましては三十五銭程度、それから再処理費用にいたしましては六十銭程度を一応現在のコスト計算上は見ているというのが現状でございます。
  67. 関晴正

    ○関委員 聞いていることに答えていない。比較の状態が違っていますよ、これは。ですから、私は、生産の結果、これを電力会社にどのくらいの価格で出す予定だと、できるでしょう、予定は。それを聞いておるのです。まずその点についてお答えしていただきたい。企業の秘密だから出せないなんということないでしょう。これと競争する企業はないのですから。しかも、電力料金というのは公共料金であって、すべて明らかにされているはずですから。ですから、ウランの濃縮工場においてつくられる濃縮ウランの価格にしても、また再処理工場においてつくられるプルトニウムの価格にしても、予定の価格というのがあって仕事をしているんでしょう。勝手にやっているわけはない。  そういう点においてもぜひこれは明確にしていただきたいし、ここでさらに申し上げたいことは、そういうことで、金をかけてつくるよりも国際的な安いものを買った方がはるかにいい、そうなりますというと、ここで価格差が出てきて、この価格差はひとつ国において補給してくれないか、こうなったら、これもまた大変なことです。そういう意味では、そういう際には大蔵大臣は、価格差が出た場合には面倒見る、そういうお考えがあるものかどうかということが一つと、この際、青森県のこの二つの低レベルの処理場と、それから再処理工場、許可にはならないんだけれども、もう許可になるものとの見通しのもとに、周辺整備法に基づいて、そうして電源開発の交付金をちょうだいしております。許可にもならないうちにそういう金をまいている。これには参っておるところです。これは一種の買収でしょう。一種の懐柔工作でしょう。こういうことを私はすべきではない。もし許可にならなかったならば、その金を返還させますか。  そういう点からいっても、この道というのは妥当ではない。ぜひひとつ、そうした疑惑を与えるような、誤解を招くような——緊急の場合は出してもいい、必要な場合は出してもいいと言っているけれども、何も緊急でもなければ必要性が何もない、あるものは危険性ばかりです。そういう懐柔策的な金の出し方というのは私はやめてもらいたい。  そういう意味において、大臣のお考えもいただきたいし、あと外務大臣には、アメリカの飛行機も飛ぶ空の下でアメリカはよしとしておるのか、こういう御相談は、何度もしろしろと言っておるのだが、しておられるのかどうかというお答えだけいただきたいと思います。
  68. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、買収といったような言葉までお使いをいただいたわけでありますが、私はその言葉については大変不適当なお言葉だと思います。  なぜなら、核燃料サイクル施設の再処理工場、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設というものは、政府として六十年四月にその設置の促進を決めました。これらの施設に係る電源立地促進対策交付金は、これらの施設の設置の円滑化に資することを目的として交付をされるものでありますから、発電用施設周辺地域整備法により整備計画の策定等の要件が定められておりますけれども、今回の予算措置もその法律の趣旨にのっとり交付をするものでありまして、問題はありません。  なお、原子力安全委員会は、これらの施設の設計及び工事方法などが適切か否かを審査するものであり、これらの手続を経なければ施設自体の工事にかかれないことは委員の御指摘のとおりでありますが、関連施設の整備及び交付金の交付を妨げるものではございません。  また、生産物価格のお話がございましたけれども、御質問のようなお話というのは所管省においても検討されておらないのではないかと思いますし、財政当局としてお答えをすべき筋のものではございません。
  69. 中山太郎

    中山国務大臣 委員お尋ねに対しましてお答え申し上げます。  政府は累次の機会に、日米合同委員会等の場を通じ、原子力施設上空の飛行規制につきまして一層徹底を図るべきよう申し入れてきておりますけれども、米側も従来からこれを尊重してきております。さらに右を徹底する旨述べておりまして、六ケ所村の原子燃料サイクル施設につきましても、今後とも機会をとらえて米側に強く要請をしてまいるつもりでございます。
  70. 越智伊平

    越智委員長 これにて山花君、関君の質疑は終了いたしました。  速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕
  71. 越智伊平

    越智委員長 速記を起こしてください。  次に、日笠勝之君。
  72. 日笠勝之

    ○日笠委員 私は、まず財政法二十七条、予算国会提出時期を明示いたしましたこの二十七条の問題について何点かお伺いをしたいと思います。  まず、大蔵省にお伺いいたしますが、戦前戦後含めても結構でございますが、この財政法二十七条のとおりに、すなわち、条文をちょっと読みますと、「内閣は、毎会計年度予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」とありますが、このとおりに提出されたことがございますか。
  73. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 十二月中に予算書を提出した例があるかというお尋ねでございますが、財政法ができました戦後の例で申し上げますと、遺憾ながら十二月中に予算書を提出いたしたことはございません。  それからなお、戦前につきましては十分につまびらかではございませんが、大正の初期、五年でございましたか、一度あったと記憶しておりますけれども、それ以後は遺憾ながらございません。
  74. 日笠勝之

    ○日笠委員 今主計局長がお答えになりましたように、昭和二十二年、この財政法ができまして以来、一度もこの二十七条のとおりに国会に提出されたことはございません。ゼロでございます。  そこで、きょうは法制局長官もいらっしゃいますのでお伺いいたしますが、この「常例」という意味と、それから一回もないということでございますが、これはいわゆる違法になるのか、もし違法でないとしても、著しくこの法の精神に逸脱をしておるということで不当である、こうなるんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、近藤(鉄)委員長代理着席〕
  75. 工藤敦夫

    工藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま「常例とする。」という用語の意味についてのお尋ねでございます。「常例とする。」という用語につきましては、例えば法令用語辞典等におきまして、通常の例という意味で、法律的な意味としては、しなければならないとかあるいはするものとするというものよりは弱く、通常の場合は、当該規定の定めるところによってある事項をなすべきであるけれども、そのとおりにしないことが絶対に許されないという趣旨ではない、仮にそのとおりにしなくても直ちに法律上の義務違反にはならない、こういう意味で緩い拘束を意味する、そういうふうに書かれているところでございます。私どももかように考えております。  したがいまして、今お尋ねのように、法律違反であるとかあるいは極めて不当であるとか、かようなところまでは言い得ないのではなかろうか、かように思っております。
  76. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうすると、この二十七条というのは何のためにここに明示をされておられるのでしょうか。二十七条で前年の十二月までに提出しなさい、これを常例とします。一回もないのですよ、一回も。これはやはりゆゆしき問題だと思いますね。  内閣法制局の第三部長の前田さんがお書きになった「法務執務」という用語辞典というのですか、これを見ますと、「合理的理由がある場合等場合によっては、そこに定められたようにされなくても法律上の義務違反となるものではない」ということを示す言葉である、これはわかります。  私がここで申し上げたいのは、合理的理由があるかないかということでございます。これはいわゆる行政権の裁量のもとに、こういうふうに十二月までに出さない。一回もないわけですからね。しかし、それは行政権の自由裁量です、合理的理由があるとおっしゃるかもしれません。しかし、それを審議する私たちの場合の審議権を拘束するということにもなるわけです。  例えばきょうお出しいただきました暫定補正のこの予算書は、各自明細書はきのうの午後二時にあのボックスに入ったのです。それからすぐそれを審議しろといってもできるわけありません。ですから、予算委員会が新聞、マスコミの皆さんに言わすと、大変低調であるとか非常に論議が活発じゃないとか言われるのです。もっと早く出していただいて、私たちもそれをしっかりと精査をさしていただいて、そしてこの場で私たちのつたない勉強の成果をお互いに議論をし合う、悪いものは悪い、いいものはいいと。ですから、こういうことで審議権を拘束している、行政の自由裁量で合理的な理由があると、こうおっしゃるのかもしれませんが、私たち立法府のこの審議する側とすれば、これはまことに著しく逸脱をしておる、不当である、このように申し上げざるを得ませんが、長官どうでしょうか。
  77. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、法制局長官お尋ねをいただきましたことでありますけれども、作業の実態の関係がありますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  確かに委員が御指摘になりましたように、予算について十分御審議をいただきますためには、できるだけ早く予算国会に提出することが望ましいことはもちろんでありますけれども、他方、その予算の編成につきまして、基本的には要求から査定に至る作業に多大の時間を要するということの以外に、内外の経済情勢の動向などと密接不可分の関係にありますために、翌年度の経済情勢の動向等をできるだけ的確に見通して編成をするという必要がありますために、事実問題としてどうしても政府予算の決定が十二月末になってしまうという実態がございます。さらに、その概算決定の後に予算国会に提出するまでの間におきましても、予算書の作成等のため膨大な作業が必要であり、その努力をいたしましても、しばしば見落とし等でおしかりを受けることもあるわけでありまして、相当の時日を要するということは御理解をいただきたいと思うのであります。  このようなことから十二月中に提出をいたしておらないところでありますけれども、政府として今後ともに一日も早く予算国会に提出できますような努力を続けてまいりますとともに、今委員がたまたま暫定補正につきましての日数を例示で述べられましたけれども、こうした事態、暫定補正の御審議をお願いしなければならないというような事態にならないこと、まずそうしたことに努力をしてまいりたい、そのように思います。
  78. 工藤敦夫

    工藤政府委員 ただいま大蔵大臣からお答えがございましたように、私どもとしてやはりその点やむを得ない事情にあったかどうか、こういうことが関係するわけでございまして、先ほど申し上げましたように、「常例とする。」ということがいわゆる緩い拘束を意味する。合理的な理由がある限りにおいては、状況によってはその例によらないことも許されないわけではない。  例えばちょっと一言申し上げますと、規定の例といたしまして、この「常例とする。」というふうなことは、例えば農業協同組合法、これの行政庁の組合に対する検査というふうなもので、「毎年一回を常例として検査を」するというふうな規定例もございますし、それぞれ合理的な理由があれば、そうなることもまたやむを得ないということだと存じております。
  79. 日笠勝之

    ○日笠委員 財政法は大蔵省にとっては憲法みたいなものですね、これは。まさか財政法を逸脱して予算をつくるなんということはあり得ぬわけです。  そこで、先ほど大蔵大臣、これは実態をしんしゃくをしていただきたいというような旨のお話がございました。ならば、一回もないのですからね、今まで。この実態に即して法改正をしたらいかがですか。例えば私、こういうふうにしたらいかがかと思うのですね。こういうふうに訂正したらどうかと思います。私の試案です。「内閣は、毎会計年度予算を、前年度の十二月中に編成し、速やかに国会に提出するのを常例とする。」とか。例えば、これならクリアできますね。ですから、こういうふうな緩やかな規定といえども明確にある。それが一回もかつてこのとおりに提出されたことがない。ならば実態に即して、時代の流れ、経済動向のテンポの速さということであれば、実態に即して財政法を直すべきではありませんか。金科玉条に昭和二十二年につくられた法律を四十年以上も絶対守っていかなければいけないということはない。法改正というのはしょっちゅうあることです。ですから、私は速やかにこの財政法の二十七条を改正することで御検討いただいた方がいいんではないか、かように思いますが、大臣いかがですか。
  80. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今法制局長官から御答弁がありましたように、この「常例」という言葉解釈につきましては、義務づけということではないと理解をされておるわけでありまして、直ちに財政法違反ということではないと思います。また、今委員が述べられましたように、十二月中に提出できないのだったら改正しろという御意見は私も一つの御意見だと思います。  しかし同時に、過去の本院における議事録等を調べてみましても、しばしばこうした御調論が行われたようでありますが、財政法第二十七条の規定というものが国会法第二条の常会召集時期の規定とも関連したものである、これらについても国会の御論議をも踏まえながら慎重に検討していく必要があるということが従来から言われております。今委員の改めての御指摘でありますが、私は一つの見識だと思います。  しかし、やはり国会法第二条の常会召集時期の規定との関連といったようなものにつきましては、十分な国会の御論議を踏まえた上で私どもとしても検討していく必要があることだと思います。
  81. 日笠勝之

    ○日笠委員 ここに過去の二十七条問題で議論した会議録を取り寄せました。言われている方は社会党の大先輩の方ですけれども、改正するにやぶさかでないような質問をされていますね。改正しちゃいかぬとは言っていません。  そういう意味では、私は何回も申し上げますが、実態に即してやはり改正していくべきではないか。でないと、この二十七条というのはあってなきがごとし、死文化でございます。この財政法は大蔵省の憲法だと思います。そういう意味では、これは国会法との関連がありますが、国会の方の論議は超党派でどうでしょうか議論していただいて、そういう実態がどうしてもできない、過去の提出もゼロであるということであれば、これはもう直していくのが当たり前であろう、こういうふうな議論も出てくると思いますので、私はぜひそういう方向で大蔵省の方もこの財政法の件は考えていただきたい、かように思います。  それで長官、そういうふうに私が言った一つの例ですが、直すのに、これは提案してくだされば別に問題ないわけでしょう。今言ったような一つの例でございますけれども、いかがですか。
  82. 工藤敦夫

    工藤政府委員 ただいま御指摘の、内閣提出の法律案につきまして毎年数十本提出申し上げているわけでございまして、それぞれ各省庁からの案をいただきまして私どもの方で審査をした上で提出申し上げる、かような形になっております。格別のそういう意味の手続上の支障はないと思っております。
  83. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣、これはずっとこのままほっておきますと、これから予算委員会とか大蔵委員会に新しく入ってくる後輩の人たちが、これは必ずひっかかってきますね。これはのどに刺さった小骨みたいなものですよ。ですから、提案してくだされば法制局の方は速やかな法改正作業ができるわけでございますから、ぜひ御検討いただきたいと思います。要望します。  それから、これは総理、五月十五日でございましたか、我が党の石田委員長との党首会談、これは突然の通告なしかもしれませんけれども、会談の中で委員長の方から予算編成に関する要望がございましたね。どういうことかといいますと、要は例年、年末に大蔵原案が内示された直後に党首会談が開かれますね。それでは実際の、我が党なら我が党、野党なら野党の要望が反映されないのではないか。ですから、できれば八月末の概算要求が締め切られた後、大蔵省さんが本格的に予算編成に着手する段階で党首会談をやるべきであるという我が党の委員長の提案でございますが、これはどのようにお考えでしょうか。
  84. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この間の党首会談のときにいろいろとお話をいたしました。おっしゃることにつきましては、これからいろいろなことを踏まえて慎重に検討させていただきます。
  85. 日笠勝之

    ○日笠委員 前向きに検討していただけると思っております。  それから、委員長、ちょっと資料のお配りをお願いしたいと思います。  お手元の資料の説明の前に、これは外務省さんにお伺いをしたいと思います。  日米構造問題協議におきまして、アメリカから日本へのいわゆるアイデア、提案、言葉がいろいろございます、新聞等では対日改善要求なんという言葉も出ておりますけれども、二百項目以上ある、こう言われております。これは朝日ジャーナルに英訳が全文掲載で出ておりましたので見ますと、次のような項目がございます。  第七項の「その他」のところでございますが、「日本政府は、行政に一層の透明性をもたせ、官僚の自由裁量権を削減し、消費者利益を反映させるための行政指針を再構築すべきである。」そしてその次に、「国会行政指針の内容が問い合わせに応じて明らかに分かるような情報公開法(サンシャイン法)を成立させるべきである。」  こういうアイデアがあったということで掲載しておりましたけれども、このようなアイデアが議論されたのでしょうか。また、アメリカからそういうようなお話もあったのでしょうか。まずお伺いしたいと思います。
  86. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 中間報告を作成する過程において、いろいろなアイデアが双方から出されたことは、先生御承知のとおりでございます。  ただいま御質問の情報公開法制定というものにつきましては、日米間の協議におきましてこの問題について議論したということはございませんで、したがって中間報告にも全く載っておりません。行政指導ということを先生おっしゃいましたが、その行政指導の透明性ということにつきましては意見交換がございまして、日本側の中間報告の「排他的取引慣行」というところに、日本側の措置として、行政指導等の政府慣行に関する一層の透明性の確保ということが言及されてございます。     〔近藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうすると、こういう情報公開法を成立させるべきであるというのはなかったということですね。わかりました。それはそれでいいわけですが、しかしながら、この情報公開法を早く成立させようという動きは、これは特に私たち野党はかって要綱も出し、法案も出したところでございます。  そこで、まずその情報公開云々の前に、今お手元にお配りをいたしました資料をちょっとごらんをいただきたいと思います。  この読み方は、一読しておわかりのとおり、国家行政組織法に基づく組織、省庁であるとか委員会をまず列挙しております。その次は、非公開文書の有無、あるかないかという問い合わせに対して、あるとかないとかでございます。それから何件ぐらいあるのかということを、いわゆる平成二年度の予算委員会の要求資料として各省庁にお願いをしてまとめたものでございます。  これを見ていただければおわかりのとおりでございますけれども、ちょっと確認をしておきたいと思いますが、経済企画庁の場合、非公開文書はなし、件数該当なし、私たちの資料要求に対してこういうお答えがございましたけれども、これで間違いございませんでしょうか。
  88. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 企画庁は、御案内のように経済政策に関する総合調整官庁でありまして、民間企業に対する許認可を行っていないこともあり、文書管理の扱いに関しましては、月報、旬報等の資料は作成の都度、図書館へ送付するものとされております。また、これまでに秘密の保全を要する文書として指定されたものはない、そういうことで「該当なし」というお答えをしているのでございます。  経済企画庁文書管理規程の第二十一条に、今の国会図書館に対する文書の送付についても規定をいたしております。「月報、旬報その他の庁内作成の資料は、すべて作成のつど担当者から四通を当該総括課等の文書取扱責任者に送付し、文書取扱責任者は、うち二通を図書館に送付する。」このようになっております。したがって、その「該当なし」というお答えをいたしております。  ただ、職員のプライバシーに関する資料等は、当然のことながらその性格上、この御質問の対象には該当しないものと考えているということであります。
  89. 日笠勝之

    ○日笠委員 職員のプライバシーなんかは別だということですか。しかし、農水省とか国土庁とか、それぞれ個人のプライバシー云々でちゃんと規程、基準を設けておられますですね、これ。それはまあよろしいでしょう。  じゃ次、厚生省さんですね。厚生省さん、件数を明確に二十四件と大変すばらしい御回答をいただいておるわけですが、できればどういう内容のものであるか、その項目とか内容について、二十四件、お答えいただければと思います。
  90. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 厚生省関係で御要望の資料に二十四件というふうにお書きしたわけでございますが、内訳としましては、医師の国家試験でありますとかあるいは歯科医師の国家試験等の試験問題など、そういう国家試験関係のもの十六件、それから契約に係る書類で秘密にすべきもの一件、それから勤務評定の記録書一件、それから採用試験の成績一件、あるいは任免関係一件、栄典関係一件、許認可等の申請関係のもの一件、それから他省庁の秘密文書関係で写しをいただいておりますものなど一件、その他省内で秘密文書として扱うように定めておりますもの一件、合計二十四件でございます。
  91. 日笠勝之

    ○日笠委員 大変立派に管理をされておられますね。  そこで総務庁さん、ちょっとお伺いするのですが、肝心の情報公開を推進していかなきゃならない総務庁さんは非公開文書あり、当然あると思いますが、「把握していない」でございますね。そういう今言ったような、厚生省さんのような基準とか、今ないんですか、どうですか。これは大臣。
  92. 山田馨

    山田政府委員 総務庁といたしましては、この非公開の文書というのを非常に広く解釈いたしまして、例えば行政庁としての意思決定過程でいろいろ作成される各種の文書も含まれるであろうというふうに解釈いたしまして、そういったものは日々作成され、また比較的短期間で次々に処分されていくものもございまして、それらについては一々公開、非公開という区別をしておりませんので、種類としてはどういう種類のものが非公開かということはございますけれども、そういう個々の文書について、一つ一つの文書について公開の文書、非公開の文書というふうに種類して集計するということをしておりませんので、「把握していない」というふうにお答えしたわけでございます。
  93. 日笠勝之

    ○日笠委員 厚生省さんに戻りますが、厚生省さんは二十四件、どういう根拠に基づいて非公開とされたんでしょうか。
  94. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 厚生省におきましては、昭和四十三年に一般の文書取扱規程とは別に厚生省の秘密文書取扱規程というものを訓令で設けておりまして、これに沿いまして文書の取り扱いをしているわけでございますが、これの趣旨に沿いまして、局長会議におきまして、秘密文書の判断基準というものを定めております。これが先ほど申し上げましたもので、具体的に二十四件になりましたものでございますが、項目としてはそういうものが定められておるわけでございます。
  95. 日笠勝之

    ○日笠委員 やはりそういう規程に基づいてやっておられるわけですね。そうすると、私どもがここで申し上げたいのは、非公開の基準というのが行政の自由裁量で決められたのでは、これは行政の民主化とか行政の公開ということを考えればゆゆしきことでございます。そこで、総理もよく消費者、生活者重視ということを言いますが、まさにこれはそれに直結する問題なのですね。  ちょっと飛びますけれども、自治省さん。自治省さんの方は、人事とかプライバシー関係等は別として、ほかは掌握していない、こういうことでございますが、今情報公開条例とか情報公開の要綱というのは各地方公共団体でも積極的に行われております。今現在、都道府県そして市町村別にどれくらいの自治体がこの情報公開条例であるとか要綱を制定をしておりますか。
  96. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 地方公共団体におきます情報公開の制度化の状況でございますが、平成二年四月一日現在におきまして、三十四都道府県百四十四市区町村、合わせまして百七十八の団体で情報公開のことが制度化されております。この中佐は、条例でやっておるものもありますれば要綱等の形で実施をしておるものもございます。
  97. 日笠勝之

    ○日笠委員 都道府県段階でいいますと四十七都道府県で三十四、七二%以上の都道府県がこれを既に制定をしておるということでございます。だから大臣、これはやはり自治省さんとしても、自治省内のこの公開のガイドラインをきちっとつくって、そして明確に、厚生省さんがおっしゃるような件数を、把握できないじゃなくて、何件というくらい、これは私たちが資料請求したときにはお答えいただくべきものではないかと思います。よって、省内で検討していただきまして、まず地方を指導する立場の自治省さんでございますし、地方の方ではだんだんとそういう情報公開の条例、要綱ができつつあるわけでございますから、ガイドラインを早急につくって、この問題に他省庁の先鞭をつけていかれたらいかがか、かように思いますが、大臣いかがですか。
  98. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 地方自治団体の方が先行しているようでございますけれども、原則公開、非公開は最小限に抑えていくという方向で指導してまいります。  他省庁に先鞭してやれという御指摘ではございますけれども、やはり他省庁との並びにおいて、できるだけそういった御要望にこたえてまいりたいと思っております。
  99. 日笠勝之

    ○日笠委員 ちょっと勘違いされているようですが、厚生省さんのようにまず規程をつくって、省内の話です、そしてそれを件数を明確にするという作業を早急に他省に、厚生省さんが先にやっておりますけれども、先鞭をつけられたらいかがですか、省内の問題として基準をつくり件数を明確にする、こういうことを言っておるわけですが、どうでしょうか。
  100. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 できるだけそのような方向で努力してまいります。
  101. 日笠勝之

    ○日笠委員 この情報公開につき、総理、先日、新行革審の最終答申がございましたけれども、昭和五十八年の臨調最終答申にこの情報公開制度を前向きに検討しなさい、そのためにまず専門的調査研究を行う組織を設けなさい、こういうことで何と今日まで七年間ずるずると来ているわけですね。  先ほど、日米構造問題協議で、これは週刊誌、新聞なんかの報道ですと「サンシャイン法、情報公開法を早く制定しなさいというアメリカからのアイデアもあったということで、絡んでくるわけでございますが、まず総理、情報公開法をすぐに制定とはなかなかいかないと思います。せめて非公開文書の基準と件数くらいは早急にこれをつくるようは、総理の方から指示をすべきではないか、かように思いますが、いかがでしょうか。
  102. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 総理がお答えになる前に私から申し上げたいと思いますが、行政情報の公開の促進の問題については、もう古くから御熱心に皆様方が御討議されているところでございます。  今御指摘のように、五十八年の臨調答申に閲覧請求権を含むところの情報公開法について研究をしろという答申が出ましたことはもちろんでございます。そこまでいかなくても、今、非公開あるいは公開の基準をつくれというお話でございます。法の研究もいたしておりますが、なかなか難しい問題がございますし、五十九年に私どもでつくりました情報公開問題研究会、各省の二十六省庁の方々が集まって今やっていただいておるところでございますが、今自治大臣も御答弁がありましたように、やはり各省ひとつ統一的な基準を設けてやる必要があるだろう。この研究を今進めているところでございます。
  103. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣、研究を進めておられるようでございますが、五十九年からもう何年ですか、六年近くたったわけですね。最近の新聞報道なんかを見ますと、この情報公開問題研究会が何か検討内容がまとまったんではないか、こういうふうな報道も流れているわけですね。先ほどの中間報告のまとめの中にも、「政府が主催する「産業界に関連する審議会や研究会」の成果は、一般に公表する。」産業界でないかもしれませんけれども、やはり政府がいろいろな審議会、研究会を設けておるものはどんどん積極的に開放していこうというのが、これが開かれた行政ということでありましょう。  この情報公開問題研究会ですが、まだ内容がまとまっていないんでしょうか。まとまっていなければ、いつごろまとめて公表をされるのでございましょうか。
  104. 百崎英

    ○百崎政府委員 基本的に行政情報をできるだけ国民に広く公開する、こういう趣旨につきましては、私ども全く御指摘のとおりだと考えております。そういう意味で、現在のところは運用上、各省庁の本省庁あるいは出先機関等に文書閲覧窓口等を設けて閲覧に供しているわけでございますが、今お話しのその制度化の問題につきましては、ほかのいろいろな関連する制度との関係等もございまして、かなり時間がかかっているところでございます。  一部の新聞に中間報告のようなものがまとまったのではないかというような記事がございましたけれども、今の時点では外部に公表できるような形では取りまとめておりません。ただ、私どもといたしましてもできるだけ早い時期にこれを取りまとめたいというふうに考えております。
  105. 日笠勝之

    ○日笠委員 この情報公開法でございますけれども、毎年行革の進捗状況について閣議決定されますね。例えば、平成元年十二月二十九日に「平成二年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針について」閣議決定されておられます。そのところで「行政情報の公開」というところがございますが、そこを読みましても「引き続き所要の調査研究等を進める。」ずっとこれで来ているわけですね。引き続き所要の調査研究を進める、ずっと続いているわけですね。ですから、いつごろをめどとか、いつごろできるのだろうか。もう諸外国、先進国はほとんどできておりますね。先ほど私申し上げましたように、地方自治体もどんどんどんどん今できておりますね。もう三十四都道府県ですから七二%の都道府県が既に実施しておるわけなんです。そういう意味ではこれは一刻も早く、いわゆる先ほどから申し上げました生活者、また消費者重視ということから考えても、開かれた行政、開かれた政府ということは当然のことでございます。ぜひひとつ、毎年閣議決定で引き続き引き続きというんじゃなくて、ある程度のめどを持って早急に精力的にそれに向かって努力していくということが大事じゃないかと思いますが、総理の御決意はいかがですか。
  106. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 行政情報をでき得る限り公開するという基本方針と、それから今日までも既にできる限りのことは行いつつあるということは、委員も御承知いただいておると思っておりますが、昭和六十三年の十二月一日現在で全国で本省庁、試験研究機関含めて七百七十六窓口でやっておる、こういうことでありますが、御指摘のように、昨年の十二月二十九日閣議決定されました行革大綱の中にも、今の一番ポイントとして御質問になった文書公開範囲をどうするかという問題を含めて「行政運営上の改善に関する具体的方策を推進する。また、制度化の問題についても、引き続き所要の調査研究等を進める。」こうなっております。ですから、文字どおり引き続いて各省に調査研究を進めてまいるように私からも強く指示をするところであります。
  107. 日笠勝之

    ○日笠委員 総理、第三次行革審の設置が決まるということでございます。どうでございましょうか、この委員の中に情報公開に非常に詳しい方を入れるとか、こういうようなことで促進をさらに図っていくというようなことは考えられませんですか。
  108. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 これは、国会の御審議をいただいて設置が決まりました後で委員の問題につきましては具体的に検討を進めさせていただくことになると思いますが、ただいまの御質問の御趣旨は記憶にとどめさせていただいておきます。
  109. 日笠勝之

    ○日笠委員 では、次の大学入学定員枠の拡大について、この質問に移っていきます。  高等教育の機会均等を徹底するということは、公平な社会を実現するとか、経済的な繁栄の持続の原因であるとか、また国際社会に貢献するとか、経済大国から文化大国とか、いろんな意味で私たち日本人にとりましてもまた日本の国家にとりましても重要課題でございます。もう一つ、一面からいえば、国民のささやかな、大学入学をしたい、こういう願いをかなえることにもなるわけでございます。  そこで現在、大学、短大、国公私立を含めましてトータルで定員は幾らか、入学志願者は幾らか、俗に言う浪人、不合格は幾らか、これを明示していただきたいと思います。
  110. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 定員につきましては後ほどまた政府委員から御説明を申し上げたいと存じますが、実態は、平成元年度におきまして大学入学希望者は百九万九千人余であります。約百十万人であります。そして合格をいたしました者が七十万二千人でございます。さらに、この差し引きになりますが、不合格者数は四十万二千人余になります。そのような現状でございます。
  111. 日笠勝之

    ○日笠委員 四十万人の方が大学、短大等々に行きたくても行かれない、こういうことでございます。四十万というとどれぐらいのところの人口ですかね。倉敷市ぐらいの人口ですかね、大変な人数でございます。  これは、例えば人口千人当たりの高等教育人口というのが、これはちょっと古いのですが、昭和六十年の各国の代表的なものがございます。例えばアメリカの場合は、千人当たりで高等教育人口は五十一・二人でございます。西ドイツが二十一・九人、フランス二十一・五人、ソ連が十九・〇人、日本は十九・四人ということでございます。こういうことから見ましてももっともっと高等教育の人口をふやしてもいかなければならない、かように思います。  そこで文部省さんにお伺いしたいのは、急減期が、ピークはもう決まっておるわけですから、恒常的定員をふやすということはなかなか難しいと思います。せめて臨時的定員の増加を積極的に図っていくべきではないか、かように思いますが、いかがでございましょうか。
  112. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 この問題につきましては、先般、党としての御要請を正式に私ども受けまして、いろいろ御懇談をさせていただきました。私立大学につきましては定員を弾力的に運用するということについて御評価をいただきまして、大変ありがたく存じたわけでございますが、国公立大学につきまして、私ども御要請の御趣旨等を体しましてこれから努力をしてまいりたい、こう思っております。今までも着実にふやしてきておりますけれども、今後もまた努力を重ねてまいりたいと思います。
  113. 日笠勝之

    ○日笠委員 私立の方はそれなりに臨時的定員の拡大は図っているようでございます。例えば平成元年度の定員超過率を見ますと、私立が一二八%、公立が一〇七%、国立一〇二%にとどまっておるわけでございます。  時間がありませんので読み上げられませんけれども、五月十三日の朝日新聞の投書欄にも、調布市の会社員五十九歳の方から「国立大学こそ定員を増やせ」という投書が出ておりました。「地方の国立大学の中には、広大なキャンパスに、学生の姿はちらほら。文部省は学生増の臨時措置を私大の水増しのみで一時しのぎをして、国立大学の”聖域”を守りたいもののようであるが、これはいかにも安易な方法だ。」というようなことで投書が出ておりました。私もこのとおりだと思います。だからということで東京の国公立定員をふやすのは、これは一極集中を促進します。地方の大学はどうでしょうか。地方の大学の方の定員をふやすことによれば地方の活性化にもなるわけでございます。  そこで、こういうお話をすると必ず予算の問題となってくるわけでございますが、まずその前に、文部大臣、地方の方をふやしていく、一極集中を排除するためにもというこの投書もございますが、これについてどのようにお考えでございましょうか。
  114. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 大臣からお答えする前にちょっと私から、数字でございますので答えさせていただきますが、私どももここ十数年間、大都市圏よりも地方の国立大学を重点的に整備するという方向で今日まで定員増を行ってきたところでございます。  ちなみに、五十一年から平成元年度までの国立大学の定員増は、臨時定員増を含めまして二万二千百八十八人の増員を図ってきておりますが、そのうち大都市圏は二〇%、それからその他の地方が八〇%ということでございます。大都市圏の二〇%のうちの、これが四千六百人ですが、このうちの三千余人が臨時的定員でございまして、恒常的定員につきましては、まさに先生御指摘のとおり地方を重点的に整備するという方向で努力をいたしております。
  115. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 ただいま高等教育局長からお答えを申し上げましたとおり、地方に重点を置いた整備を進めてまいりたいと思っております。  なお、先ほど申し上げました国立大学の定員増につきましての考え方でございますが、これから先の入学志願者あるいは入学希望者の率の増加等を考えまして、恒常増という方で考えてまいるようなことを考えております。
  116. 日笠勝之

    ○日笠委員 では終わります。
  117. 越智伊平

    越智委員長 これにて日笠君の質疑は終了いたしました。  次に、三浦久君。
  118. 三浦久

    三浦委員 海部総理お尋ねをいたします。  南朝鮮の盧泰愚大統領の訪日に関連をして、戦前の朝鮮植民地支配を初め、十五年にわたる太平洋戦争についての海部内閣の歴史的な認識が今国民の注目を集めていると思います。そこで、まず最初に、海部総理に太平洋戦争に対する基本的な認識を伺っておきたいというふうに思います。  さきの太平洋戦争が日本による侵略戦争だったということは、国際的にもはっきりしていると思います。歴代の総理大臣の認識はさまざまであったと思いますけれども、総理の前任者の宇野前総理は、軍国主義の侵略である、これが私の考えでございますとはっきり述べています。その前の竹下総理は、後世の史家が評価すべきものだと最初は答弁をしておりましたけれども、その後、我が国の過去の行為において侵略的事実があったことは否定できないと答弁をされました。中曽根元総理も、国際的に侵略であるという厳しい批判を受けていることは事実であると認めました。同時に、侵略戦争ということですねとの追及に対して、簡単に言えばそういうことですと、結局太平洋戦争は侵略戦争であることを認めたのであります。  総理、あなたは太平洋戦争について、これを日本による侵略戦争であったという御認識をお持ちなのかどうか、その点をまず最初にお尋ねいたします。
  119. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は、そういう認識を持っております。
  120. 三浦久

    三浦委員 そこで、次にお伺いいたしたいのは、日本による朝鮮植民地支配についての御認識でございます。総理は、十五日の参議院予算委員会で、日本と朝鮮との過去の清算問題について、過去の歴史の中で日本の犯した過ちは率直に反省し、済まなかったとわびたい、その場としては首脳会談で話すと答弁をされました。  そこでお尋ねいたしますが、日本の犯した過去の過ちというのは、朝鮮に対する侵略、植民地支配ということでしょうか。これに対してわびるということなんでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
  121. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 過去の歴史の経緯を私は反省をして、三十六年間にわたる、今御指摘になったように日本が犯した過ちについて率直にわびたいと思っております。
  122. 三浦久

    三浦委員 私は、済まなかったとわびることは結構なんですが、ただ、それが外交上の配慮ということからだけでそういう態度をとるということでは決してあってはならないと思うのですね。やはり残虐な植民地支配というその事実を認識し、その上に立ってやはり真剣に反省をして過去を清算する、そういう態度に立たなければならないというふうに思うのです。  しかし、この中国侵略の問題とか朝鮮植民地支配の問題については、政府・与党の幹部、これからいろいろ無責任な発言が続出いたしておりますですね。現在も自民党首脳、これは小沢幹事長のようでございますけれども、盧泰愚大統領の訪日を前にして、土下座して謝る必要はないという発言をして物議を醸しました。そして昨日はこれを陳謝をされたそうであります。ところが、報道によりますと、渡辺派は、この小沢発言は国民の一部にある声を代表したものではないかと述べて、これに理解を示した、こういうふうに報道されているわけですね。そのほかにも藤尾発言がある。またその後には奥野発言がありました。藤尾さんは罷免されました。奥野さんは国土庁長官をやめました。こういう発言が政府・与党の首脳から次から次へと出てくるということは、私は、政府・与党が本当にこういうアジア侵略戦争、こういうものに対する真剣な反省がないからじゃないかというふうに思うのですが、総理はどういう御認識をお持ちでございましょうか。
  123. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私の認識は、先ほど先生に直接ここで詳しく申し上げたとおりでございます。
  124. 三浦久

    三浦委員 あなたは総理大臣だし、また総裁でもございます。そういう意味で、言論の自由とはいえ、いわゆるみずからが侵略をしておきながらそれを、その責任を何も感じない、むしろ侵略戦争を美化するというようなそういう発言を政府・与党の幹部がされているわけです。そのことについてどういうふうにお思いでしょうか。
  125. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は、政府の代表としてお呼び出しいただいてどうするかというお尋ねでありますから、政府の代表として最初申し上げたように、盧泰愚大統領が訪日されるときには、三十六年間の植民地支配の事実を省みて、歴史の経緯を踏まえて、これは率直に反省して謙虚な気持ちで発言をしよう、これは首脳会談の場もあるわけですから、その場で政府の代表として私が申し上げるとこれは率直に申し上げました。そのとおりでございます。
  126. 三浦久

    三浦委員 私は、こういうアジア侵略に対する政府・与党の無責任な発言の背景には、やはり政府の基本認識の問題があると思うんですよ。  例えば、日韓基本条約の審議が行われましたですね。そのときに、当時の佐藤総理が、韓国併合に至るさまざまな条約、協定、これは日韓基本条約二条でもってもはや無効となったというふうにされているものですが、こういう条約とか協定は、当時の韓国と日本国とが対等、平等の立場で、そして自由意思で締結されたと、かように思っておりますと答弁しているんですね。これはまことに驚くべき答弁であります。韓国と日本が対等、平等の立場で、自由な意思で植民地になるということを、そういう条約を結んだんだ、こうおっしゃっておられるのですね。これは昭和四十年の十一月五日の衆議院日韓特別委員会での答弁であります。これは否定できない事柄であります。これはまさに植民地支配を合理化し、そして美化するものだというふうに思います。そして、この発言がいまだに取り消されていないのです。  海部総理お尋ねしますが、総理は一九〇五年の乙巳保護条約、これはもう御承知のとおり、韓国から外交権を全部取り上げる、内政問題についても、日本から派遣された統監がいろいろ皇帝に、内政問題についてもどんどんどんどん干渉していくという、そういう道を開いた条約であります。こういう乙巳保護条約や一九一〇年の韓国併合条約、これが日本国と韓国との間の対等、平等の立場で自由な意思に基づく条約の締結だったというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。
  127. 越智伊平

    越智委員長 外務省福田条約局長
  128. 三浦久

    三浦委員 委員長、これは、佐藤総理の答弁に対して私が海部総理の御見解をお聞きしているわけなんです。総理総理の問題ですから。
  129. 越智伊平

    越智委員長 政府を代表してやっているのですから、答えてください。なお、不明があったらまた聞きなさい。
  130. 福田博

    ○福田(博)政府委員 過去の事実に関することでございますので、私から御説明さしていただきます。  今、御質問の中にありました佐藤総理の答弁があることは私どもも承知しております。まさにそういう答弁が行われております。他方、御承知のとおり、日韓基本関係条約の第二条において、いわゆる日韓併合条約その他の諸条約というものはもはや無効であるということが日本国と韓国との間の合意として記されております。つまり、歴史的あるいは道義的、政治的な観点から種々意見があったわけでございますが、日韓間の問題としては、そういうもはや無効であるということで決着するということで合意したわけで、日韓間の問題としてはそれで処理済みであるということでございます。
  131. 三浦久

    三浦委員 答弁になっていないじゃありませんか。こういう今までの——この日韓条約第二条で「千九百十年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される。」と書いてある。そして、その条約、協定というのは、いわゆる大韓民国と日本帝国との自由な意思に基づいて、対等、平等な立場で行われたものだというふうに佐藤総理が日韓国会のときにおっしゃっていらっしゃるんですね。今お認めになったとおりなんです。これをそのとおりだというふうに海部総理はお思いでしょうか、どうでしょうか。
  132. 福田博

    ○福田(博)政府委員 私は、当時日韓基本関係条約の担当官として条約局に勤務しておりましたので、経緯は全部知っておるつもりでございますが、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな事情はございましたが、政府間で、日韓間でぎりぎりは了解したところが日韓基本関係条約第二条に述べられておるわけでありまして、両国間で決着を見ているこの問題についてこれ以上せんさくすることは適当でないと考えます。
  133. 三浦久

    三浦委員 これ以上せんさくすることはないとは何事ですか、あなた。ちゃんと議事録に載っているじやありませんか、あなたも認めているとおり。「対等の立場で、」これは佐藤総理の答弁ですよ。当時の石橋委員質問に対して、「対等の立場で、また自由意思でこの条約が締結された、かように思っております。」と、はっきり書かれてあるじゃないですか。ですから、海部総理はこういうようにお考えになっていらっしゃるんですかとお尋ねしているんです。条約局長に聞いているんじゃありません。簡単なことじゃありませんか。
  134. 越智伊平

    越智委員長 事実関係だから、条約局長が答えるように。
  135. 三浦久

    三浦委員 いや、事実関係じゃないんです。対等の立場で、自由な——それなら質問に答えてください、条約局長
  136. 福田博

    ○福田(博)政府委員 せんさくという言葉が適当でなかったら、それは言いかえさしていただきますが、御指摘佐藤総理の答弁についてはもちろん私ども承知しておりまして——佐藤総理の答弁についてはもちろん承知しておりますが、これはいわゆる日韓併合条約が当時法的には有効に締結され実施されたという、その事実を述べられたものと承知しております。  しかし、いずれにしても、全部でたしか五十二件あったと思いますが、そういうような種類の条約につきましては、一九六五年の日韓基本関係条約第二条によりもはや無効であるということが日韓政府間できちんと確認されているということは、先ほど答弁で述べたとおりでございます。
  137. 三浦久

    三浦委員 もうまともに答弁をされませんので、私の方から申し上げましょう。  これは対等とか平等とかの立場とか、自由意思で行われたものじゃありません。私は、ここに証拠を持ってきています。歴史の事実は、日本が武力によってさまざまな条約を韓国に強要して、そして朝鮮を侵略していったということを物語っているじゃありませんか。  私は、限られた時間ですから簡単に申し上げますけれども、この乙巳保護条約の調印の実態はどうなっているのか。先ほど言いましたように、これは外交権を奪ってしまうんですよ。それで内政干渉に道を開くという、そういう条約です。どうして韓国がそういう条約を喜ぶでしょうか。  ですから、日本側の全権公使であった林権助という人がおりますが、一九三六年、これは昭和十一年ですね、喜寿祝いに「わが七十年を語る」という本を出しております。この本です。この本に、この保護条約締結の状況が自慢げに詳しく書いてあります。  林権助はこの中で、朝鮮側は保護条約の締結を非常に嫌がっているので、特命全権大使である伊藤博文と相談して、朝鮮側の大臣が逃げ出して調印ができなくならないように、軍隊に大臣を監視させたとか、調印の席上で自殺者が出ないような措置をとったとか、それから国璽、国璽というのは国の印鑑です、この印鑑を持って逃げられないように監視さしたとかということをリアルに書いているのであります。  また、もう一冊のこの本を持ってきましたが、これは外務省編さんの「日本外交文書」です。これに収録されている伊藤博文の天皇に対する保護条約交渉報告書の中の、一九〇五年十二月八日付の「韓国特派大使伊藤博文復命書」というのがありますが、その中の韓国皇帝との会談記録である「伊藤大使謁見始末」という文書があるのです。  これによりますと、韓国皇帝が調印を嫌がるのに対して脅迫を加えているという状況が生々しく書かれております。伊藤は、本案は日本の確定案だ、断じて動かすことはできない。拒否すれば、日本は既に決心するところがある。貴国の地位は条約を締結するより以上に困難な境遇になり、一層の不利益になることを覚悟しろと、こういうおどかしをいたしております。  それでも皇帝が応じなかったんです。それで伊藤博文は、十一月の十七日に日本軍で王宮を包囲させました。そうした上で韓国政府閣議に乗り込んで、大臣一人一人に保護条約に対する賛否を明らかにするように迫ったのですね。その状況は、その場に臨席していた陸軍大佐西四辻公尭という人が「韓末外交秘話」という本を書いております。そこに生々しく語られておるわけであります。  時間の関係で詳しく言うことはできませんけれども、この閣議では、韓国の総理大臣はあくまでも反対、大蔵大臣もあくまでも反対。ですから、韓国の皇帝の決断ができないでいるんですね。しかし、そういう韓国の皇帝の決断を待っている間に、総理大臣はもう大声で泣き出してしまう。それで外に引っ張り出されていくんですね。このときに伊藤は「余リ駄々ヲ捏ネル様ダッタラ殺ッテシマヘ」。「殺ッテシマヘ」というのは殺してしまえということです。そういうことまで大きな声でほかの閣僚に聞こえるように言ったと書かれています。  そして、調印のときに総理大臣が姿を見せなかった。そのときに総理大臣が席にいないのをいぶかると、伊藤が「殺ッタダロウ」と澄まして言ったとその本には書かれています。それで、「殺ッタダロウ」というのは殺したんだろうということですから、ほかの閣僚はそれを聞いたのでばたばたと調印がスムーズに進んだ、こういうことが述べられているわけですね。  皇帝も総理も反対し、そうして調印の場に総理大臣がいない、こういう状況でこの保護条約は調印が強行されたのです。これが歴史的な事実です。これがどうして対等、平等そして自由な意思によって結ばれた条約というふうに言えるのかどうか、総理、どういうふうにお考えですか。私は、そんな平等の立場でもって自由な意思で結ばれた条約だなんて、こんなことは取り消さなければいけないと思うのです。それを政府の公式的な見解にしておいて、どうして日本と北朝鮮や南朝鮮との友好というものが発展していくでしょうか。私は、今勇断を持って元総理佐藤榮作氏のこの発言は取り消さなければいけないと思うのです、国家として。いかがでしょうか。
  138. 福田博

    ○福田(博)政府委員 我が国が植民地支配をしたことに対する反省というものについては、政府立場は先ほど総理が十分お述べになりたところでございます。いわゆる併合条約その他、その不幸な時代にあった幾つかの条約についての評価というものは、先ほど申し上げましたように政治的にも道義的にもいろいろな意見はあったわけでございますが、法的な評価の問題としては、日韓間の基本関係条約第二条で、もはや無効であるということに尽きるということで決着をするということで、両国間が合意をしているということに尽きると思います。
  139. 三浦久

    三浦委員 だから私は、総理、そういう立場がいけないと言っているんですよね。今無効なんだ、しかしかつては有効だったんだ、そういう立場でどうして植民地支配に対する心底からの反省と言えるのかどうかという問題です。有効だと言っているんですよ。——いや、政府は有効だと言っているんですよ、法律的には。この条約は有効だと言っているんです、この日韓国会の答弁の中で。ですけれども、それが本当に有効かどうかということです。もちろん戦前、強制による条約の効力は有効かどうかという点については争いがあった問題であります。
  140. 越智伊平

    越智委員長 時間です。
  141. 三浦久

    三浦委員 しかし、少なくとも国家の代表者個人に強制が加えられた場合には、その条約は無効とされていたということが通説であります。これは日韓国会で自民党推薦の公述人も、「個人的な人身に対する強迫というようなものがあって調印するというようなことであるならば、それは無効でございます」と供述しています。当時の藤崎条約局長もこれを肯定しています。日本の公文書によっても、個人に対する脅迫のもとで行われたということが、今私が言ったように明白なんです。
  142. 越智伊平

    越智委員長 時間ですから、結論を出してください。
  143. 三浦久

    三浦委員 ですから、この保護条約は無効なものだということは私は明らかだと思いますけれども、総理大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  144. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろ御引用なさって御質問でありましたが、私は冒頭お答えしましたように、過去三十六年間の日本と韓国との歴史の経緯にかんがみて、昭和四十年にできました日韓共同コミュニケの精神に従って、また盧泰愚大統領も、今度の来日を、そういう過去のことに対する問題をここから未来のものに関する問題に乗り越えていく日韓友好を打ち立てるために来日というものをするんだということも言われておるわけでありますから、私としてもみずからの認識を率直に首脳会談で反省に立って申し述べたい、こう思っております。
  145. 越智伊平

    越智委員長 これにて三浦君の質疑は終了いたしました。  次に、柳田稔君。
  146. 柳田稔

    柳田委員 私は民社党の柳田でございます。本日は質問の機会を与えていただきましたことを委員長初め先輩議員各位に感謝申し上げます。  私は、さきの総選挙において初当選をさしていただきました。ですから、当選以前は国会を一人の国民として外から見てまいりました。当選後は、期間はまだ三カ月たっていないんですけれども、短いわけですけれども、国会国会議員として中から現在勉強さしていただいています。まだまだ国会の中でわからないことが多いわけなんですけれども、今一生懸命理解をしようと努力しているところでありまして、きょうはその中でも、最近話題になっております政治改革について御質問をさしていただきたいというふうに思います。また、ごらんのとおりまだ若輩者ですので、私が質問できることといいますと、私の気持ちなり、また考えなりを率直にぶつけてみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  昨年の参議院選挙、そしてことしの衆議院選挙を通じまして、政治家の倫理、特に、政治家と金についての疑問が国民の大きな関心事となりました。現在でもまだその尾を引いているような気がするわけですけれども、私が思いますに、世界の情勢がこれほど大きく変化をして、日本もこの変化に的確に対応していかなければならない大事な時期に、この貴重な時間を政治家の倫理とか政治資金の問題に費やすということは非常に残念でなりません。と申しますのは、ことしは国会開設百年という年に当たると聞いております。百年もやっているのであるならば、もう既にこのような問題、政治家と金というふうな問題が指摘されなくなっていてもいいような気が私自身はするから、先ほど残念だと申し上げました。とはいうものの、いまだにこの政治家と金の問題が重視されているというふうに思いますと、やはり早急に政治改革の道筋を立てるべきではないかというふうに私も思います。そういう意味で、総理政治改革にかける熱意については、個人的ではありますけれども、敬意を持っております。  そこで質問さしていただきたいんですけれども、先日出ました答申に対して各党の党首と総理は御意見を交換されたというふうに聞いております。最初に、この際の総理が受け取った感想についてお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
  147. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政治改革の問題は、委員指摘のように私も極めて重要な問題だと受けとめておりますし、また、これはきょうまでも国会で、先ほどもこの委員会で申し上げましたように、例えば議院運営委員会にありました議会制度協議会で、政治倫理確立のためにどうすべきかという点について各党の代表が真剣に御議論願ったことも経緯として私はよく承知をいたしております。同時に、政府としてもこの問題については、これは前総理でありましたけれども、選挙制度審議会に各界の代表の方々、有識者にお集まり願って、抜本的な政治改革の答申をお願いしたわけでありますけれども、選挙制度の問題及び政治資金制度についての答申をいただきました。  中に書いてあることを一々御説明するのは、既に御承知と思いますから省略いたしますが、各党の党首の皆さんと私がお目にかかったのは、この問題は、政府がやるというよりむしろ議員の皆さんの立場に非常に重要な影響を及ぼす問題でありますから、各党間の御議論を通じていろいろと考えていかなければならぬ問題が多いと思いましたので、率直に答申の内容を御説明し、これは重要に考えているということを申し上げた次第でございます。  各党の党首との会談の印象はどうか、こう言われますけれども、結局各党ごとにそれぞれニュアンスが違い、立場が違い、今のままでいいとおっしゃる方はございませんでしたが、しからばどうするかという各論についてはいろいろの御意見がございました。特に委員の御所属の民社党からは、これは比例代表制というものを重点に置いた改革をしていったらどうだろうかという真剣な御議論があったこともここに申し上げさせていただきます。
  148. 柳田稔

    柳田委員 その党首との意見交換が行われた次の日の新聞を見まして、いろいろと載っておったわけですけれども、今回の答申は選挙制度と政治資金制度、お金という面に大きく分けられるかというふうに思うのです。このマスコミを読んでおりますと、新聞から私が知り得た範囲で私が感じ取ったことを今申し上げますと、まず政治資金、お金の問題については、昨年も各党がいろいろな提案をなさっておりました。これからいくと、この政治資金については、各党合意ができる点が出てくるのではないかな、いろいろな問題があるにしても、与野党ともにこの政治家とお金の問題について一致できるような気が私はしておるのですけれども、総理としてはこの辺、意見交換をされてどのような感触を持たれたか、もしお聞かせ願えるのだったらお聞かせ願いたいと思うのです。
  149. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政治不信を招いている世の批判にこたえるためには、政治資金の問題の透明性ということと、それからもう一つは、国民の批判にたえ得るような政治資金の集め方、使い方というものをきちっとしなさいという、この答申の指さす方向については各党とも御異論はないと思いますけれども、各論になってきますと、それでは一体具体的に今の政治活動にどうしてお金が要るのかというその問題や、それを企業から集めるのか団体から集めるのか、いろいろな問題等も議論の対象になってまいります。同時に別の角度から、お金がかかり過ぎておるという今の選挙制度や日常生活の仕組みやいろいろなものについてこれは考えなくてもいいのだろうか。審議会の方では、政治にある程度お金が要るんだということはこれは前提で考えて、お金なしで政治活動をやれということを要求するのではない。しかし、透明性を高めていけ。それなれば、透明性を高めるためには政党にいろいろな資金が入るようにして、政党本位の政治活動にしたらどうかという指摘や、あるいは公の行事でありますから、例えば諸外国でやっておるような公の扶助も政党なりあるいは政治家個人なりにするようなことを考えたらどうだろうか、そういったことをするための法の仕組みについても考えたらどうかというようなことの指摘もしてございます。  要するに、いろいろな制度、仕組みの根幹に触れて抜本的な改革をしていかなければならぬ。その中心はやはり今回の答申では制度と資金であり、そして政党法の問題その他についても引き続いて審議を続けていって答申を出すということまでここに述べてありますから、私はそれは御期待をして、お願いをしておるところであります。
  150. 柳田稔

    柳田委員 そして、もう一つの柱とします今総理おっしゃいました選挙制度、政治資金、お金に関することに比べますと、この選挙制度については全国会議員がさあこれから話を始めようかといる舞台が整いつつあるんじゃないか。ですから、政治資金から考えると大分おくれているというふうな気がするわけなんです。これからこの選挙制度がどうなるか、私も予想はつきませんけれども、いろいろなことで議論をされるかと思いますが、それはそれなりのことでいいのではないかなというふうな気がいたしております。  私の時間が非常に少ないので先に行かせていただきますけれども、私も、その答申を読ませていただきまして、まだまだ議員歴が浅いものでございましてわからない点も多いのですけれども、少し教えていただきたいのです。この答申の中に「最近における「政治と金」の問題に端を発して、政治に対する国民の不信がいまだかつてないほどに増大するに至っており、」というくだりがあります。そういうことで、私も今回の政治に対する不信というのは、政治家と金の問題が最重要であろう、またこれが一番の根本であろうというふうに思っておるのです。その解決策として今回の答申があるわけなんですが、これを読んでおりますと、私の理解が間違っておるのかどうかわかりませんけれども、この選挙制度と政治資金制度が一セット、一つのセットでなければならないように私は受け取るのですけれども、この答申というものは、あくまでもこの二つを一つのセットとしなければ国民の政治に対する不信というのは解消されないというふうに読んでよろしいんでしょうか。よろしくお願いします。
  151. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 答申では、御存じのとおり、この選挙制度の改革と政治資金の制度改革というものは一体として行うべしという形で答申がなされております。そのゆえんは、今委員が御指摘のように、今回ほど政治に対する倫理観が国民から強く求められているときはないと思います。そして、政治資金のあり方についても、国民は厳しくこれを見詰めて指摘されていることも御存じのとおりでございます。  しかし、今の、お金がかかる、それは、委員らの所属する政党のことではなくて、特にこの中選挙区制度下というものは、多数党をとって政権に近づくためには、どうしても複数候補の立候補というものを御存じのとおりやらなければ多数を制するわけにはいかないという現状から、自民党の場合、特に同士打ちで、政策あるいは政党本位の選挙というよりもむしろ、私の口から言うのもおかしいですけれども、泥仕合いの感あり、そして個人後援会組織を維持するのに膨大な資金がかかっておるという現状、こういった点から、委員の言うことよくわかります、入りだけを厳しくして、では政治資金の方できちっとやったらいいじゃないか、倫理観もきちっと、それは個人の問題じゃないかということ、そのとおりです。ですけれども、入りだけを厳しくして、制度をそのままにしておいて今日の弊害が打破されるかということになると、それはちょっと難しいんじゃなかろうか。したがって、選挙制度改革と政治資金問題というものはワンパッケージで、今回の八次答申ではそのことに厳しく触れられてこういう答申がなされたと思っております。
  152. 柳田稔

    柳田委員 おっしゃるとおりかもわかりません。でも、私が、議員歴三カ月未満ですし、今まで外から見てまいりまして、外から見た感じからいいますと、この政治家と金の問題、かえて言いますと政治家のお金に対する倫理ですか、これは選挙制度がどんなに変わったって政治家自身が変わらなければ、この問題は解決されないのではないかな。ですから、今提案されました小選挙区比例並立制ですか、これになっても、以前参議院の方では全国区とかありましたが、比例もありますけれども、どんな制度になれ、政治家個人が変わらなければこの政治家とお金の問題はなくならない。一般国民が、政治家というのはああ私たちのことを一生懸命考えてくれている、自分の懐を肥やすためではなくて日本の進路を一生懸命考えてくれている、そういうふうな思いを国民が持つようになるためには、制度とともにいじるというのも一つの考えかもしれませんけれども、先にこの国民の不信感を取り除くためにも政治家と金の問題を決着してもいいんじゃないかな。  と申しますのは、小選挙区制、これから議論が始まるかと思うのです。いろいろな話を聞いておりまして、そう簡単にはまとまらないだろう。ことしじゅうにまとまるかどうか、これは総理が熱意、いろいろなお言葉をおっしゃっておりますのでできるかもわかりませんけれども、先にできるのは金の問題じゃないかな。そういうふうに思いますので、私の個人的な考えになるかもしれませんが、ことしは国会開設百年だ、国民に信頼できる政治を取り戻していただきたい、そのために総理を初め皆さんにも頑張っていただきたいわけなんですが、できることからやっていただきたい。そうしますと、この政治家と金の問題、政治家の倫理のことについてできるものなら先に、そして選挙制度についてはいろいろ議論をしていただいて、審議していただいて、皆さんが納得してから導入するというふうに考えていただけないものかな。  と申しますのは、消費税を導入したときもいろいろありました。今になっていろいろ問題が出てきてごちゃごちゃやっております。一人の国民として、非常におもしろくないと言ったら言葉は語弊があるかもしれませんが、何をやっとるんかなという気がいたしておるわけなんです。ですから、この答申についても順番を追ってやっていただければなあ。国民が納得していただけるようにやっていただきたい。そして、ことしは百年だということでありますので、何か一つはやっていただきたいという気がするわけなんです。時間も大分なくなりましたので、それが私の希望なんでそのお答えもいただければと思うのですが、最後に言いたいことが一つ二つありますので、お聞き願いたいと思います。  今言いましたように政治に関するお金を厳しくした場合に、私たちの日常の政治活動は非常に困難になります。お金が使われないということになりますと、また抜け道を探していろいろなことをしていかなければならない。ただし、選挙民の皆さんには、私の場合だったら私が日常何をしておるか、政治に対してどんなことを考えているかを知っていただきたい、そういうことで思うのですけれども、今まではしおりとか後援会便りをつくって配っておったわけですが、これも莫大な金になっております。  アイデアでちょっと恐縮なんですけれども、例えば最近よくテレビで党首会談とか、消費税に関するテレビ討論とかいうのも中央ではよくあるわけなんですが、地方でも、地方選出の議員もおりますので、そういうのを地方版に持っていっていただけないものかな。そうすれば選挙民の皆さんにはよくわかっていただけるような気がするのですけれども、その辺についてはいかがなものでしょうか。
  153. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今、テレビを利用しての政策討論なりを地方マターでもうんとやって、政策普及も含めてやったらいかがか、全く賛成です。ただ、今の場合、テレビ使用は選挙に関する限りには厳しい規制がありますけれども、平生はテレビを利用して政策普及するということは禁止されておりません。しかし、委員の理想と現実の違いは金がかかる。テレビを使うと金がかかる。NHKのようにいつもああいう形で地方マターでもやってもらえるという形をできるだけとっていただくようにお願いしてまいりますけれども、こういった場合、確かに御指摘のような方向で政策普及の手だてにそういったテレビなんかを使用してやっていくということは非常に好ましいことだと思いますし、また、そういう方向でテレビ各局も協力していただけるようにまた我々としても努力したいと思っております。  そして、最初に言われましたお金がかかるということも含めて、これは政治家個々人の倫理観の問題でもあります。そしてまた、これは同時に選挙民にも御協力願わなければいかぬ問題であります。しかし、委員もこれから二十一世紀を志向される政治家として、今の制度がこれでいいのかどうかということもこの百年を契機に、単にAの党がどうだ、議席が少なくなる云々のことじゃなくて、これからの日本の未来を託する制度はどうあるべきか、これこそ百年の上に立ってお互いの各党が痛みを分かち合って、血を流し合ってもやるべきことはやらなければいかぬという姿勢でひとつぜひ御協力賜りたいと思います。
  154. 柳田稔

    柳田委員 今、自治大臣から一生懸命頑張れ、二十一世紀を見詰めて頭張れという激励をいただきまして、ありがとうございます。  私も今回選挙に出たわけなんですけれども、国会議員というのは、日本の進路はどうだ、これから日本の将来はこうなるのだというのを考えていくのが国会議員であろう、私腹を肥やすというのは国会議員ではないというふうに私は思うのですけれども、私三カ月近くやってまいりまして、私に与えられたものというのは、議員としての私、そしてあとスタッフとして秘書が二人、公設秘書を預かっております、国から補助が出ているということで。この三人で今一生懸命やっているのですけれども、御存じのとおりに土、日とかいうのは選挙区に帰って一生懸命いろいろな話を聞く。東京に来た場合には、日程の管理とか陳情とか受け付けをしておりまして、この三人ではもうどうしようもないような状況にあるわけなんです。  先ほど大臣の方からもっと将来のことについて頑張って考えろとおっしゃられたんですけれども、今悩んでいるのは、その余裕がないということと、そのスタッフが私にいない。例えば、一つの法案を考えるにしても、深く考えたいと思っても私にはそれほど時間がない。かわりに考えてくれるだれかがいないかな。よく言われておりますけれども、ブレーンとか言われておりますが、そういうのを私は、国会議員であれば、将来を考えるまた今のことを一生懸命深く考えるのであればつけていただきたいな。これを総理にお願いするわけにはいかないと思うのですけれども、大先輩でありますし、私も尊敬をしておりますので、個人として一言この辺についても御協力を願いたいというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  155. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ひたむきに勉強をしようとされるお気持ちは私も評価さしていただきますし、そのために今、議会で二人しかついておらないとおっしゃいますが、これはきょうまでも各党の議院運営委員会で、私も議院運営委員会にいるときにせめて三人目の秘書も国費で負担することはできないだろうか、各党で真剣に議論してみましたが、そのときの雰囲気としてはこれはだめでございました。  けれども、政治は、おっしゃるように国の将来を考えての公の活動でございます。アメリカの例なんかをちょっと調べてみますと、アメリカは十八人まではスタッフは全部国がつけましょうということになっておるようです。そうなりますと、必要にして十分なそういった最小限度のいろいろなスタッフとか制度、仕組みというものを考えていくことも、公の活動をきちっとしていただくという、議員活動を公で支えていくという点もあろうかと思いますが、今度審議会で御論議願う政党法の問題なんかも、そういったことにまで入っての御議論があろうかとも思いますが、これは議員の皆さん自身の問題でございます。そういった率直な御意見を各党各会派の間で十分御議論いただいて適切な結論が得られますことも私は強く期待をさせていただいております。
  156. 柳田稔

    柳田委員 時間が参りました。初めての質問に御丁寧に答えていただきまして本当にありがとうございました。これからも一生懸命頑張りますので、御指導をよろしくお願いします。終わります。
  157. 越智伊平

    越智委員長 これにて柳田君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、昨年来、各電力会社が街頭に建てております電柱の上に施設されておる変圧器、トランス、あの中に絶縁油が入っておる。そのトランスオイルから最近PCBがどんどん検出され出した。そこで、各電力会社ごとにどのくらいのPCBが検出をされておるのか、ppm単位で明らかにされたいという要望を出しましたところ、通産省の方から、きのうですよ、資源エネルギー庁公益事業部技術課、こういう返答が来ました。「柱上変圧器のPCB含有状況に係る調査結果について 一、柱上変圧器に使用している絶縁油のPCB含有状況について電力会社がサンプリング調査をしたところ、分析した再生絶縁油のうち大部分のものから微量のPCBが検出された。  二、検出されたPCBの濃度は五〇ppm以下の微量なものであった。」私の要望と全然関係ないのですね、これ。各電力会社ごとにどのくらいのppmが検出されておるのか、それを知らせてください。どうして隠すのでしょうね。隠すから余計疑心暗鬼を生むんじゃないですか。それで、これはもうわかっているのですよ。(発言する者あり)いや、そうじゃない、私が知っておっても、政府がオーソライズしなくちゃだめでしょう。要らぬことを言いなさんな。  それで私は、これはもともと微量であろうと何であろうと違法でしょう。大臣、違法でしょう。それは電気事業法に基づく電気設備に関する技術基準を定める省令、昭和五十一年十月、二十九条の二です。だから、一体今後どうされるのか、どういう行政指導をされるのか、それが一つ。  それからもう一つ。企業が倒産しますね、あるいはビルが建てかえになる、そのときに不要になったPCB入りのトランスやコンデンサー、これはどのような処理をされるのか。厚生省は廃棄物処理二十一世紀計画を何か立てられておるというような話ですが、この問題は恐らく産業廃棄物にかかわるでしょう。で、これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令で厳しく規制されている。どのように処理されているのですか、具体的に。  それから、廃棄になったり行方不明になっておるその種のものは大体どのくらい、パーセンテージでいったら。自然を守る会の人が、優秀な人が調べたところが、半分、五〇%は行方不明になっておる。これじゃ自然を破壊しますから。  以上が質問です。
  159. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ただいま御指摘の点は、昨年の十月に東京電力から自主的に電柱の変圧器の中の絶縁油、特に新しい油にはないようですけれども、再生油の中にPCBが含まれているということが報告がございまして、早速各電力会社を調べさせたようでございます。  後ほど担当の政府委員から数字はお話を申し上げます。決して隠しているわけではございませんが、いずれにしても、そのような数字が検出をされましたので、早急にそのようなトランスについては取りかえるように指導いたしまして、現在作業中でございます。しかし、それは停電までしてなかなか取りかえるわけにはまいりませんので、できるだけ速やかに取りかえるようにということで、今一生懸命指導してやっておるわけでございます。  また、取りかえた後の変圧器、いわゆる取り外したものの変圧器については、やはりこれはPCBが含まれておりますので、それは十分保管をし、処分をする場合には決して一般の皆様方に御迷惑のかからないように、今の話で産業廃棄物の処理についても同じように厳重な処理をさせる、こういう指導をいたしておりますが、数字については決して隠しておりませんので、担当の方から御報告をさしていただきます。
  160. 越智伊平

    越智委員長 簡明に願います。
  161. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 大臣の御指示でございますから、簡明にお答え申し上げますと、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、それから四国と九州は全部新油を使っておりますから出ておりません。あと沖縄で一つ、これで全社で七社出ております。  具体的な検体の数あるいはその濃度につきましては、後ほど大臣の御指示を得ましてお届けしたいと思います。
  162. 津島雄二

    ○津島国務大臣 PCBにつきましては、委員指摘のとおり、廃棄物処理法三条により、事業者みずからの責任において厳重に処理をするようになっておりますが、具体的な点につきましては政府委員から答弁させます。
  163. 越智伊平

    越智委員長 時間が参っておりますので、簡明に願います。
  164. 目黒克己

    ○目黒政府委員 PCBの廃案物の処理施設につきまして、構造基準、維持管理基準等を定めておりまして、一般的に産業廃棄物の処理基準等に準じて行っておるのでございます。  具体的なことにつきましては、通産省等が先ほど申し上げましたように、産業廃棄物として処理について企業で行っておるということで、通産省の方からお答えがあることと思います。
  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 終わります。
  166. 越智伊平

    越智委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして平成二年度暫定補正予算三案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  167. 越智伊平

    越智委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)、平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)、平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 越智伊平

    越智委員長 起立多数。よって、平成二年度暫定補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 越智伊平

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  170. 越智伊平

    越智委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十六分散会